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技術 酸化物単結晶の製造方法

出願人 株式会社オハラ国立大学法人山梨大学
発明者 渡邊渚田中功
出願日 2011年2月9日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2011-026384
公開日 2012年9月6日 (7年6ヶ月経過) 公開番号 2012-166958
状態 拒絶査定
技術分野 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 予熱用ヒーター 金属ヒーター 結晶写真 混合溶融液 光通信用フィルタ 結晶部位 サイズ量 用途部材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

光線透過性の高いチタン酸ストロンチウム系単結晶を製造する方法を提供する。

解決手段

原料中のSrとTiのモル比が1<[Sr/Ti]<1.3となるようにSrを添加したSrTiO3−LaAlO3系固溶体組成物を原料とし、アルミン酸ストロンチウム溶媒として用いることで、Tiによる着色を低減させた透明な単結晶を育成することができ、この方法で育成した単結晶は光線を透過するため光通信用フィルタ光集積回路基板光学素子などの各種光用途部材として利用可能である。

概要

背景

RTiO3で表されるペロブスカイト型化合物誘電材料として知られており、光を含む各種電磁波に対して優れた特性を有している。このRTiO3は屈折率が高く、また誘電体であることから、光通信用フィルタ光集積回路基板太陽電池などの誘電体基板光学素子など光を利用した各種用途の部材に好適に用いられる材料である。特にR及び/又はTiへ他成分を置換固溶させることで格子定数相転移温度誘電特性および光学特性温度依存性などを調整することができ、種々の機能を有する材料を設計、作製することができると期待されている。RTiO3の中でも特にチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)やチタン酸カルシウムバリウム(CaxBa1−xTiO3)はPbなどの有害成分を含まず、更に立方晶であるため異方性がないことから、上記用途の光学素子用として強く期待されている材料である。

しかし、前記機能を付与または調整するためにRTiO3にR及び/又はTiと価数の異なる成分をドープすると紫外可視赤外領域に吸収が生じる問題があるため、添加成分および添加量が極めて限られ、光学用途に必要な透光性およびその他の機能を両立させることが困難であった。しかしながら置換成分としてABO3及び/又はCDOペロブスカイト構造酸化物(A成分、B成分、C成分、およびD成分については上記と同じ)を選択し、RとTiを同時に置換することで透明な固溶体単結晶が得られ、各種物性を調整した材料が得られると期待されている。

例えば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)への固溶成分として、菱面体晶ペロブスカイト構造であるランタンアルミネート(LaAlO3)が期待される。このSrTiO3とLaAlO3の固溶体は固溶量に応じて、例えばキュリー点使用温度域にする、誘電率の周波数特性温度特性を0にする、光路長の温度依存性を0にする、などの材料設計が可能と考えられ、誘電材料および光学材料として期待される。

しかしながら一般的にSrTiO3はベルヌーイ(Verneuil)法で育成されており、ベルヌーイ法で育成したSrTiO3系単結晶残留歪が大きく、光学的用途に使うことはできない。また、比較的固溶しやすいLaであっても5mol%以上固溶させることが困難であることに加え、価数の異なる成分を固溶させると着色し、光学用途に使うことはできないという問題がある。

また、SrTiO3−LaAlO3系単結晶材料に関する従来の発明ではSrTiO3が20%を超える単結晶ができていない(例えば、特許文献1、2、非特許文献1)。一方、米国公開特許5602080公報で示されたように所望のモル比を有するSrTiO3とLaAlO3の固溶体となるように当該所望のモル比と同じ組成原料(すなわち[Sr]/[Ti]=1)を用いて育成しても、深緑ないし濃青に着色するために光学用途に用いることができない。

概要

光線透過性の高いチタン酸ストロンチウム系単結晶を製造する方法を提供する。原料中のSrとTiのモル比が1<[Sr/Ti]<1.3となるようにSrを添加したSrTiO3−LaAlO3系固溶体組成物を原料とし、アルミン酸ストロンチウム溶媒として用いることで、Tiによる着色を低減させた透明な単結晶を育成することができ、この方法で育成した単結晶は光線を透過するため光通信用フィルタ、光集積回路基板、光学素子などの各種光用途部材として利用可能である。

目的

本発明の目的は格子定数、相転移温度、誘電特性、光学特性を調整することができ、なおかつ光線透過率の高い高品質なRTiO3(R=Ca、Sr、Ba、Zn、Pb)系固溶体単結晶、特にSrTiO3−LaAlO3系固溶体単結晶を育成する方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

RTiO3の固溶体単結晶を製造する方法であって、前記単結晶原料に含まれるR成分およびTi成分のモル比が、1<[R]/[Ti]<1.3である原料を用いることを特徴とする、単結晶の製造方法。(RはCa、Sr、Ba、Zn、Pbから選ばれる1種以上であり、[R]はCa、Sr、Ba、Zn、Pbのモル合量、[Ti]はTiのモル量である)

請求項2

前記単結晶が、RTiO3、並びABO3及び/又はCDO3との固溶体単結晶であることを特徴とする請求項1記載の単結晶の製造方法。(A成分は、Na、K、Rb、Cs、Agから選ばれるいずれか1種以上、B成分はNb、Taから選ばれるいずれか1種以上、C成分はY、Ln、Biから選ばれるいずれか1種以上、D成分はAl、Ga、Inから選ばれるいずれか1種以上を意味する。)

請求項3

前記単結晶の1.0mm厚における1553nm光透過率表面反射を含む)が60%以上である請求項1または2に記載の単結晶の製造方法。

請求項4

前記単結晶が、SrTiO3、並びABO3及び/又はCDO3との固溶体単結晶であることを特徴とする請求項1から3に記載の単結晶の製造方法。(A成分は、Na、K、Rb、Cs、Agから選ばれるいずれか1種以上、B成分はNb、Taから選ばれるいずれか1種以上、C成分はY、Ln、Biから選ばれるいずれか1種以上、D成分はAl、Ga、Inから選ばれるいずれか1種以上を意味する。)

請求項5

前記単結晶が、SrTiO3とLaAlO3の固溶体単結晶である請求項1から4に記載の単結晶の製造方法。

請求項6

原料に含まれるLaとAlのモル比が1≦[La]/[Al]<1.1であることを特徴とする、請求項5記載の単結晶の製造方法。

請求項7

フラックスとして、アルミン酸ストロンチウム組成物を用いることを特徴とする請求項5から6いずれか記載の単結晶の製造方法。

請求項8

フラックスとしてSrAl2O4及び/またはSrAl4O7を用いる請求項7記載の単結晶の製造方法。

技術分野

0001

この発明はRTiO3(RはCa、Sr、Ba、Zn、Pbから選ばれる一種以上)とABO3及び/又はCDOペロブスカイト構造酸化物との固溶体単結晶育成方法に関するものである。ここで、Aは+1価をとるNa、K、Rb、Cs、Agから選ばれるいずれか1種以上の成分、Bは+5価をとるNb、Taから選ばれるいずれか1種以上の成分、Cは+3価をとるY、Ln(ランタノイド)、Biから選ばれるいずれか1種以上の成分、Dは+3価をとるAl、Ga、Inから選ばれるいずれか1種以上の成分を意味する。この製法育成された単結晶はTi3+に由来する光の吸収が小さく、透明であるため光通信太陽光発電光学用途などの成膜基板として用いることができる。

背景技術

0002

RTiO3で表されるペロブスカイト型化合物誘電材料として知られており、光を含む各種電磁波に対して優れた特性を有している。このRTiO3は屈折率が高く、また誘電体であることから、光通信用フィルタ光集積回路基板太陽電池などの誘電体基板光学素子など光を利用した各種用途の部材に好適に用いられる材料である。特にR及び/又はTiへ他成分を置換固溶させることで格子定数相転移温度誘電特性および光学特性温度依存性などを調整することができ、種々の機能を有する材料を設計、作製することができると期待されている。RTiO3の中でも特にチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)やチタン酸カルシウムバリウム(CaxBa1−xTiO3)はPbなどの有害成分を含まず、更に立方晶であるため異方性がないことから、上記用途の光学素子用として強く期待されている材料である。

0003

しかし、前記機能を付与または調整するためにRTiO3にR及び/又はTiと価数の異なる成分をドープすると紫外可視赤外領域に吸収が生じる問題があるため、添加成分および添加量が極めて限られ、光学用途に必要な透光性およびその他の機能を両立させることが困難であった。しかしながら置換成分としてABO3及び/又はCDO3ペロブスカイト構造酸化物(A成分、B成分、C成分、およびD成分については上記と同じ)を選択し、RとTiを同時に置換することで透明な固溶体単結晶が得られ、各種物性を調整した材料が得られると期待されている。

0004

例えば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)への固溶成分として、菱面体晶ペロブスカイト構造であるランタンアルミネート(LaAlO3)が期待される。このSrTiO3とLaAlO3の固溶体は固溶量に応じて、例えばキュリー点使用温度域にする、誘電率の周波数特性温度特性を0にする、光路長の温度依存性を0にする、などの材料設計が可能と考えられ、誘電材料および光学材料として期待される。

0005

しかしながら一般的にSrTiO3はベルヌーイ(Verneuil)法で育成されており、ベルヌーイ法で育成したSrTiO3系単結晶は残留歪が大きく、光学的用途に使うことはできない。また、比較的固溶しやすいLaであっても5mol%以上固溶させることが困難であることに加え、価数の異なる成分を固溶させると着色し、光学用途に使うことはできないという問題がある。

0006

また、SrTiO3−LaAlO3系単結晶材料に関する従来の発明ではSrTiO3が20%を超える単結晶ができていない(例えば、特許文献1、2、非特許文献1)。一方、米国公開特許5602080公報で示されたように所望のモル比を有するSrTiO3とLaAlO3の固溶体となるように当該所望のモル比と同じ組成原料(すなわち[Sr]/[Ti]=1)を用いて育成しても、深緑ないし濃青に着色するために光学用途に用いることができない。

0007

特開2005−325002号公報
特開2010−208938号公報
米国公開特許5602080号公報

先行技術

0008

Journal of the European Ceramic Society 27 (2007) 2861

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の目的は格子定数、相転移温度、誘電特性、光学特性を調整することができ、なおかつ光線透過率の高い高品質なRTiO3(R=Ca、Sr、Ba、Zn、Pb)系固溶体単結晶、特にSrTiO3−LaAlO3系固溶体単結晶を育成する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、RTiO3で表されるペロブスカイト型単結晶材料に所望の物性を付与するために他成分を置換固溶させる際に、当該固溶体単結晶の原料の組成を、特定のものに調整することによって、着色の原因となるTi3+の存在が抑制され、光線透過率の高い高品質なRTiO3系固溶体単結晶が得られることを見出した。本発明に係る製法は、SrTiO3−LaAlO3系固溶体単結晶において特に好適である。具体的には本発明は以下のようなものを提供する。

0011

(1)RTiO3の固溶体単結晶を製造する方法であって、前記単結晶の原料に含まれるR成分およびTi成分のモル比が、1<[R]/[Ti]<1.3である原料を用いることを特徴とする、単結晶の製造方法。(RはCa、Sr、Ba、Zn、Pbから選ばれる1種以上であり、[R]はCa、Sr、Ba、Zn、Pbのモル合量、[Ti]はTiのモル量である)
(2)前記単結晶が、RTiO3、並びABO3及び/又はCDO3との固溶体単結晶であることを特徴とする(1)記載の単結晶の製造方法。(A成分は、Na、K、Rb、Cs、Agから選ばれるいずれか1種以上、B成分はNb、Taから選ばれるいずれか1種以上、C成分はY、Ln、Biから選ばれるいずれか1種以上、D成分はAl、Ga、Inから選ばれるいずれか1種以上を意味する。)
(3)前記単結晶の1.0mm厚における1553nm光透過率表面反射を含む)が60%以上である(1)または(2)に記載の単結晶の製造方法。
(4)前記単結晶が、SrTiO3、並びABO3及び/又はCDO3との固溶体単結晶であることを特徴とする(1)から(3)に記載の単結晶の製造方法。(A成分は、Na、K、Rb、Cs、Agから選ばれるいずれか1種以上、B成分はNb、Taから選ばれるいずれか1種以上、C成分はY、Ln、Biから選ばれるいずれか1種以上、D成分はAl、Ga、Inから選ばれるいずれか1種以上を意味する。)
(5)前記単結晶が、SrTiO3とLaAlO3の固溶体単結晶である(1)から(4)に記載の単結晶の製造方法。
(6)原料に含まれるLaとAlのモル比が1≦[La]/[Al]<1.1であることを特徴とする、(5)記載の単結晶の製造方法。
(7)フラックスとして、アルミン酸ストロンチウム組成物を用いることを特徴とする(5)から(6)いずれか記載の単結晶の製造方法。
(8)フラックスとしてSrAl2O4及び/またはSrAl4O7を用いる(7)記載の単結晶の製造方法。

発明の効果

0012

この発明によると、RTiO3で表されるペロブスカイト型化合物において、Rサイト及び/又はTiサイトへ他成分を置換固溶する際に光線透過率を犠牲にすることなく種々の機能を付加できる。特に、SrTiO3にLaAlO3を添加した組成物において光線透過率の高いチタン酸ストロンチウム系複合酸化物単結晶材料を製造することができる。そのSrTiO3−LaAlO3単結晶材料は、透明であると共に相転移温度、誘電特性、光学特性を任意に制御することが可能であるため、光通信フィルタ材料、光集積回路基板、誘電体基板、光学素子などに利用することができる。

図面の簡単な説明

0013

透明SrTiO3−LaAlO3単結晶の組成と屈折率の関係を表すグラフである。
透明SrTiO3−LaAlO3単結晶の組成と誘電率の関係を表すグラフである。
SrTiO3−LaAlO3単結晶の組成と結晶構造の関係を表すグラフである。
透明SrTiO3−LaAlO3単結晶の透過率を表すグラフである。
比較例1〜5の透過率を表したグラフである。
実施例2の単結晶写真である。
実施例3の単結晶写真である。
実施例4の単結晶写真である。
比較例1の写真である。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0015

RTiO3(R=Ca、Sr、Ba、Zn、Pb)系固溶体単結晶は、RおよびTiと価数の異なる成分を固溶させる場合、電荷補償するように複数の成分を組み合わせて添加したとしても微妙な組成のずれが生じることで着色を生じやすい。この着色の原因のひとつにTi3+の吸収と価数の異なる成分の添加で生じたドナーアクセプターがあるが、これは本質的にRとTi量が完全に一致していないという組成に起因するものであり、育成雰囲気などによる単なる酸素欠陥に起因する着色と異なり、育成後のアニール処理による脱色ができない。また、ここで電荷補償する複数の成分の組み合わせとは、ペロブスカイト構造化合物一般式XYO3を用いた場合の各々のサイトに対して
[Xサイトへ+3価のY(イットリウム)及び/又はLn(ランタノイド) と Yサイトへ+3価のGa及び/又はAl]
[Xサイトへ+1価のNa及び/又はK及び/又はRb及び/又はCs及び/又はBi と Yサイトへ+5価のNb及び/又はTa]
[Xサイトへ+1価のNa及び/又はK及び/又はRb及び/又はCs及び/又はBi と Xサイトへ+3価のY(イットリウム)及び/又はLn(ランタノイド)]
[Yサイトへ+3価のGa及び/又はAl と Yサイトへ+5価のNb及び/又はTa]
など、+2価のRと+4価のTiへ置換した場合の電荷のずれを打ち消す組み合わせである。

0016

着色の原因である微妙な組成のずれが生じる原因としては以下がある。
(ア)成分ごとの揮発量の違いによる、原料組成の変化。
(イ)成分ごとの分配係数の違いによる、単結晶組成のずれと異相析出
(ウ)温度勾配による結晶内における組成のばらつき。

0017

本発明者らは、(ア)の揮発量の違いによる原料組成の変化についてはR成分が揮発しやすく、所望とする固溶体の化学量論組成と同じ組成の原料から育成すると[Ti]/[R]>1となり着色しやすいことを判明し、そこで原料中のRの量を1<[R]/[Ti]となるように添加することで着色原因であるTi3+の存在を抑制できることを見出した。しかしながらRが過剰すぎるとRTiO3系固溶体単結晶に入りきれないRがROやRAl2O4等の異相として析出するため、原料中のRとTiのモル比が[R]/[Ti]<1.3が好ましい。

0018

(イ)の分配係数の違いによる単結晶組成のずれについては例えばSrTiO3−LaAlO3系固溶体単結晶ではAlおよびSrがLaおよびTiと比較してチタン酸ストロンチウム系固溶体単結晶中に入りにくいため、フラックスとしてアルミン酸ストロンチウム組成物を用いることが好ましい。このアルミン酸ストロンチウム組成物と原料の混合溶融液はAl及びSrが豊富であり、この混合溶融液から結晶化させることで[La]/[Al]および[Ti]/[Sr]比が1であるチタン酸ストロンチウム系固溶体結晶が得られるからである。アルミン酸ストロンチウム組成物は例えばSrAl2O4、SrAl4O7、Sr3Al2O6、SrAl12O19等の組成物を用いることができる。特にSrAl2O4を用いると原料組成と混合したときに平衡状態になりやすい。

0019

また、分配係数の違いによりAlおよびSrが単結晶中に入りにくいため、チタン酸ストロンチウム系固溶体単結晶の他にSrAl2O4等の異相が生じることがある。この異相に関しては、原料中のLaを[La]≧[Al]とすることで発生を防ぐことができる。しかしながらLaが過剰すぎるとBサイトにTi3+が生じ、着色しやすくなるため1≦[La]/[Al]<1.1が好ましい。

0020

(ウ)の温度勾配による組成に関しては、育成速度を低下させることによって当該組成斑を緩和することができる。従って、本発明の製造方法における育成速度は20mm/h以下が好ましく、5mm/h以下が特に好ましく、2.5mm/h以下が最も好ましい。

0021

温度勾配に関しては、結晶形状により、結晶部位冷却速度が変化する。具体的にはファセットがあると強く冷却されるため、ファセット近傍が深緑もしくは紺に着色される。そのため、いずれの育成方位でも透明単結晶は得られるが、育成方位を制御することで透明部取得率を改善することができる。例えば(111)成長では三角断面の頂点が着色しやすく、(110)成長では扁平な断面の両端が着色しやすく、(100)成長では四角断面の頂点が着色しやすいため、(100)で最も透明部が多く取得できる。

0022

本発明の製造方法は例えばチタン酸ストロンチウムとランタンアルミネートの固溶体単結晶といった単純二元系単結晶に限らず、格子定数、結晶系、相転移温度、誘電特性、光学特性などの調整のため、Na、K、Rb、Ca、Ba、Zn、Y、Ln、Bi、Pb、Ga、In、Zr、Hf、Sn、Si、Ge、Sn、B、Nb、Taなどのうちから1種または2種以上を組み合わせて添加した固溶体単結晶にも用いることができる。但し、前述の電荷補償する組み合わせ及び量で添加する必要がある。上記成分のうちNa、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Ba、Zn、Y、Ln、Bi、Pbは一般式XYO3で表したペロブスカイト構造の固溶体単結晶においてXサイトに、Ga、In、Zr、Hf、Sn、Si、Ge、Sn、B、Nb、TaはYサイトに入りやすい。

0023

本発明の製造方法によると、RTiO3の固溶体単結晶において特定機能に寄与する成分を固溶させる際に生じる着色が軽減されるので、高い光線透過率を有することができる。本発明の製造方法による固溶体単結晶は、1.0mm厚における1553nm光の透過率(表面反射を含む)が60%以上、より好ましくは63%以上、最も好ましくは65%以上である。

0024

この発明による単結晶材料の製造方法は、帯域溶融法、ベルヌーイ法、EFG法、μ−PD法、二重坩堝CZ法、原料滴下ブリッジマン法など、単結晶界面にフラックスである溶融液相を有し、原料がそのフラックス部を経て、単結晶化させられる、既知単結晶育成方法にて複合酸化物の単結晶として製造する。

0025

一例としてFZ法の場合について説明する。FZ法は(a)原料粉を準備する工程、(b)原料棒を準備する工程、(c)原料棒と種結晶対向配置し、その間にフラックスを配置する工程、(d)原料棒を加熱溶融し、対向配置した種結晶に単結晶を成長させる工程がある。

0026

(a)原料粉を準備する工程は例えば以下の手段がある。
(1)出発原料を所望の割合となるように量する。
(2)秤量した原料を混合・粉砕する。
(3)混合物仮焼する。
(4)仮焼粉を粉砕する。
原料には酸化物水酸化物炭酸塩硝酸塩硫酸塩、各種アルコキシドなどの形態を用いることができる。混合・粉砕において純水またはアルコールなどの有機溶媒を加え、湿式粉砕とすることができ、ボールミル遊星ミルなどを用いてもよい。原料混合粉を充分に反応させるために、(3)仮焼および(4)粉砕を数回繰り返して行う、仮焼中に雰囲気制御するなどの手法を単一あるいは組み合わせて用いることができ、特に原料に塩類を用いた場合は雰囲気ガスフローあるいは減圧とすることで原料の反応を促進し、効率的に原料仮焼粉を得ることできる。なお仮焼温度は1000℃以上が好ましく、仮焼時間は1時間以上が好ましい。

0027

(b)原料棒を準備する工程は例えば以下の工程がある。
(1)原料粉を成形する。
(2)成形体焼結する。
成形方法として一軸プレス冷間静水圧プレスCIP)、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレスHIP)、押出し、射出鋳込みなどを用いることができる。なお、ホットプレスおよび熱間静水圧プレスでは成形と焼結を同時に行うことができる。また、成形時の型にはゴム製、金属製、セラミックス製などを用いることができる。焼結温度は1500℃以上が好ましく、焼結時間は1時間以上が好ましい。

0028

(c)原料棒と種結晶の間にフラックスを配置する工程は例えば以下の工程がある。
(1)フラックス成形体あるいは焼結体を準備する。
(2)フラックスを原料棒の先端に接触させ、接触部を加熱溶融して固化させる。
(3)フラックス付の原料棒の対向に種結晶を配置する。
フラックス粉末は例えば(a)の手順で用意することができ、(b)の手順により成形体あるいは焼結体とすることができる。また、原料棒を用意する(b)の手順で先端にフラックスが来るようにゴム型充填、成形、焼結した原料棒を種結晶と対向配置させてもいい。

0029

フラックスは原料棒と混合溶融すると溶融帯と同サイズ量溶媒組成物となるよう計算された量のアルミン酸ストロンチウムであり、溶媒組成物とは単結晶組成よりAl及び/又はSrを多く含むセルフフラックスである。

0030

アルミン酸ストロンチウム組成物をフラックスに用いなくとも、育成を継続することで徐々に、『定常状態で原料組成の結晶を析出するのに適した組成』に変化していくが、フラックスを用いた方が高品質化に効果的である。

0031

(d)原料棒を加熱溶融し、種結晶に単結晶を成長させる工程は例えば以下の工程がある。
(1)原料棒の先端を加熱溶融させ、種結晶と接触させる。
(2)加熱溶融部(溶融帯)を原料棒側に移動させ、種結晶上に単結晶を育成する。
(3)原料棒と種結晶から育成した単結晶を離す。
原料棒と種結晶の固定には高融点金属線を用いることができ、特に白金ロジウム線が好ましい。

0032

種結晶にはLaAlO3単結晶または焼結棒、(1−X)SrTiO3−XLaAlO3系組成の原料焼結棒(好ましくは0<X<0.8)、または育成した(1−X)SrTiO3−XLaAlO3単結晶(好ましくは0.04<X<0.8、より好ましくは0.04<X≦0.6)、またはSrTiO3単結晶若しくは焼結棒を用いることができる。

0033

単結晶育成中は原料棒及び/又は種結晶を回転させ攪拌することができ、加熱部に対する原料棒と種結晶の移動速度を変更することで原料棒と異なる太さの育成結晶を得ることも可能である。

0034

本発明の方法は上記に示した方法に限られるものではない。例えば原料棒は焼結体でなく成形体でもよく、フラックスはAl化合物Sr化合物の混合物でもよい。育成して得られた(1−X)SrTiO3−XLaAlO3単結晶を原料棒および種結晶に用いてFZ法により育成すると、より高品質な単結晶が得られやすくなる。

0035

この発明による単結晶材料の製造方法において熱源には赤外線カーボンヒーター金属ヒーター高周波などを用いることができ、必要に応じて予熱用ヒーターアフターヒーターを用いてもよい。育成中の雰囲気は特に限定しないが、カーボンヒーターあるいは金属ヒーターを用いる場合には不活性雰囲気が好ましい。育成雰囲気により(1−X)SrTiO3−XLaAlO3単結晶の透過率が低下することがあるが、本発明で得られた単結晶はアニール処理を行うことで、透過率を改善することができる。アニール処理は酸化性雰囲気、1000℃以上が望ましい。

0036

(実施例および比較例)
以下の手順で実施例および比較例を作製した。SrCO3(高純度化学製、3N)、TiO2(高純度化学製、4N)、La2O3(高純度化学製、4N)またはLa(OH)3(高純度化学製、4N)、Al2O3(岩谷化学工業製、RA−40、4Nup)またはAl(OH)3(高純度化学製、4N)の出発原料粉末を原料の組成が(1−X)Sr1+YTiO3−X La1+ZAlO3となるよう秤量し、エタノール中で混合した混合粉大気または減圧雰囲気下1500℃で5時間仮焼後、エタノール中で湿式粉砕した。得られた仮焼粉を更に焼成および粉砕を行い、乾燥して原料粉とした。得られた原料粉を細長ゴムチューブに充填し、静水圧で3t/cm2、1分間加圧し、直径3−6mmの丸棒状に成形した。この成形体を大気または窒素雰囲気下にて1500−1750℃で3−10時間焼結し、原料棒を得た。得られた原料棒を赤外線集光装置((株)クリスタルステム製FZ−T−800H)にて育成を行った。原料棒及び種結晶の設置には20%Rh−Pt線を用いた。種結晶は(1−X)SrTiO3−XLaAlO3組成の焼結体を用い、育成速度、育成雰囲気、方位は表1に示した。攪拌は種結晶と原料棒を逆回転させることで行った。

0037

育成した(1−X)SrTiO3−XLaAlO3単結晶について、結晶構造はXRD(フィリップス製X’pert−MPD)にて解析し、組成は電子プローブマイクロアナライザ日本電子(株)製JXA−8200)、屈折率はメトリコンプリズムカプラ2010、透過率は分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−4100)、−30〜70℃の平均線熱膨張係数熱膨張計(ブルカー製TD5030SA)にて測定した。

0038

実施例および比較例について、原料組成、フラックス、育成速度、雰囲気を表1に、結晶組成、育成方位、透過率、結晶系、屈折率を表2に示した。

0039

0040

0041

実施例1〜13の試料は透明な単結晶が得られた。比較例1−5の単結晶は着色が強く、光学用途に用いることができないと判明した。また、比較例1および4の試料は完全な単結晶にならず、SrAl2O4相が共存していた。

0042

図1にSrTiO3−LaAlO3単結晶の組成と屈折率の関係を、図2に組成と誘電率の関係を、図3に組成と結晶構造の関係を、図4に得られた単結晶の写真を示した。本発明により透明なチタン酸ストロンチウム系固溶体単結晶が得られ、その組成を変えることで結晶構造、誘電特性、光学特性を制御した単結晶が得られることが確認された。

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