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技術 五フッ化リンの製造方法

出願人 ダイキン工業株式会社
発明者 鈴木敦田窪征司
出願日 2010年12月17日 (10年0ヶ月経過) 出願番号 2010-281209
公開日 2012年7月5日 (8年5ヶ月経過) 公開番号 2012-126621
状態 特許登録済
技術分野 りん、その化合物
主要キーワード 分子状フッ素 PF5 金属充填材 パック型 分子状塩素 各供給口 分子状ハロゲン 塩素ガス濃度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年7月5日)のものです。
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図面 (2)

課題

工業的スケールにも対応できる、塩素分子含有率の低い五フッ化リンの安価で効率的な製造方法を提供する。

解決手段

三塩化リン分子状ハロゲン及びフッ化水素を反応させて五フッ化リンを製造する方法において、分子状ハロゲンの使用量を三塩化リン1モルに対して0.1モル以上、1モル未満とすることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。

概要

背景

五フッ化リンPF5)は、リチウム電池リチウムイオン二次電池等の電解質として用いられる六フッ化リン酸リチウム原料として有用な物質である。

五フッ化リンの製造方法としては、例えば五塩化リン(PCl5)とフッ化カルシウム(CaF2)を反応させる方法(非特許文献1)、五塩化リンとフッ化水素(HF)を反応させる方法(特許文献1)等の五塩化リンを原料とする方法が知られている。

しかしながら、五塩化リンは非常に吸湿性が高い上に加水分解され易く、空気中の水分と容易に反応して腐食性塩化水素ガス(HCl)を発生させ、その結果、五塩化リンの純度低下し、最終的な製品純度に影響する懸念がある。更に、その吸湿性、加水分解性のために取り扱いが難しく、作業性が悪いという欠点もある。

また、非特許文献1に記載されている五塩化リンとフッ化カルシウムを反応させる方法は、固体同士の反応であるために300℃以上という非常に高温な条件でなければ反応は完結せず、バッチ反応となるために生産性が悪いという欠点もある。

固体のリン(P)とフッ素ガス(F2)を反応させることによって五フッ化リンを製造する方法も知られているが(非特許文献2)、この方法は、反応熱が非常に大きい上、固体と気体の反応であるために温度制御が困難であり、工業的に有用な方法とは言い難い。

一方、三塩化リン(PCl3)を原料とする方法によれば、安価な三塩化リンを原料とすることによって低コストで六フッ化リン酸リチウムを製造することが可能となる。例えば、下記特許文献2には、三塩化リンを原料として、第一フッ素化工程、塩素化工程、第二フッ素化工程の三段階の反応よって、五フッ化リンを製造する方法が記載されている。また、下記特許文献3には、三塩化リン、塩素ガス及びフッ化水素を同時に反応させる方法が記載されている。

これらの方法では、三塩化リンを酸化して5価のリンの状態とするために、酸化剤として十分な量の塩素ガスを用いることが必要であり、三塩化リンに対して等モル以上の塩素ガスが用いられている。このため、現在まで報告されている方法では、生成物中に分子状塩素ガスが含まれることが避けられず、五フッ化リンの精製が煩雑である。しかも、得られた五フッ化リンをフッ化リチウムと反応させて六フッ化リン酸リチウムを製造する際に、五フッ化リン含まれている塩素ガスが溶媒と反応して副反応を引き起こす懸念がある。更に、過剰分の塩素ガスをリサイクルするには煩雑な操作や設備が必要となり、結果的にコストアップに繋がるという問題もある。

下記特許文献4には、液体の三塩化リン中に固体の五塩化リンを溶解させ、常に溶液状態に保たれるように少量の塩素ガスとフッ化水素とを反応させて出口ガス中の塩素ガス濃度を抑える方法が記載されている。しかしながら、この方法では、三塩化リンを未反応の状態に維持することが必要であり、その液体を循環させることから設備が大きくなるという問題がある。更に、フッ化水素の添加量が少量であるために、五塩化リンや三塩化リンの一部がフッ素化されたPFaClb(a+b=5)、PFcCld(c+d=3)の生成が懸念される。

このため、現在までに、工業的スケールでの製造に適した方法で、安価に効率よく塩素分子含有率の低い五フッ化リンを製造できる方法は確立されるには至っていない。

概要

工業的スケールにも対応できる、塩素分子含有率の低い五フッ化リンの安価で効率的な製造方法を提供する。三塩化リン、分子状ハロゲン及びフッ化水素を反応させて五フッ化リンを製造する方法において、分子状ハロゲンの使用量を三塩化リン1モルに対して0.1モル以上、1モル未満とすることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。

目的

本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、工業的スケールにも対応できる、分子状ハロゲンの含有率が低い五フッ化リンを安価に効率よく製造できる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

三塩化リン分子状ハロゲン及びフッ化水素を反応させて五フッ化リンを製造する方法において、分子状ハロゲンの使用量を三塩化リン1モルに対して0.1モル以上、1モル未満とすることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。

請求項2

分子状ハロゲンが塩素分子である請求項1に記載の方法。

請求項3

バッチ式又は連続式で反応を行う、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

三塩化リン、分子状ハロゲン及びフッ化水素を同時に反応容器に供給するか、或いは、任意の順序で供給する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法によって五フッ化リンを製造した後、得られた生成物を、三フッ化リンを含む成分A、五フッ化リンを含む成分B、及びフッ化水素を含む成分Cに分離し、分離された成分Aを原料として用いる三塩化リンに再循環させ、分離された成分Cを原料として用いるフッ化水素に再循環させる工程を含む、五フッ化リンの製造方法。

請求項6

分子状ハロゲンの使用量が、原料として用いる三塩化リンと再循環される三フッ化リンの合計量1モルに対して、0.1モル以上、1モル未満である請求項5に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、分子状ハロゲン含有量が少ない五フッ化リンの製造方法に関する。

背景技術

0002

五フッ化リン(PF5)は、リチウム電池リチウムイオン二次電池等の電解質として用いられる六フッ化リン酸リチウム原料として有用な物質である。

0003

五フッ化リンの製造方法としては、例えば五塩化リン(PCl5)とフッ化カルシウム(CaF2)を反応させる方法(非特許文献1)、五塩化リンとフッ化水素(HF)を反応させる方法(特許文献1)等の五塩化リンを原料とする方法が知られている。

0004

しかしながら、五塩化リンは非常に吸湿性が高い上に加水分解され易く、空気中の水分と容易に反応して腐食性塩化水素ガス(HCl)を発生させ、その結果、五塩化リンの純度低下し、最終的な製品純度に影響する懸念がある。更に、その吸湿性、加水分解性のために取り扱いが難しく、作業性が悪いという欠点もある。

0005

また、非特許文献1に記載されている五塩化リンとフッ化カルシウムを反応させる方法は、固体同士の反応であるために300℃以上という非常に高温な条件でなければ反応は完結せず、バッチ反応となるために生産性が悪いという欠点もある。

0006

固体のリン(P)とフッ素ガス(F2)を反応させることによって五フッ化リンを製造する方法も知られているが(非特許文献2)、この方法は、反応熱が非常に大きい上、固体と気体の反応であるために温度制御が困難であり、工業的に有用な方法とは言い難い。

0007

一方、三塩化リン(PCl3)を原料とする方法によれば、安価な三塩化リンを原料とすることによって低コストで六フッ化リン酸リチウムを製造することが可能となる。例えば、下記特許文献2には、三塩化リンを原料として、第一フッ素化工程、塩素化工程、第二フッ素化工程の三段階の反応よって、五フッ化リンを製造する方法が記載されている。また、下記特許文献3には、三塩化リン、塩素ガス及びフッ化水素を同時に反応させる方法が記載されている。

0008

これらの方法では、三塩化リンを酸化して5価のリンの状態とするために、酸化剤として十分な量の塩素ガスを用いることが必要であり、三塩化リンに対して等モル以上の塩素ガスが用いられている。このため、現在まで報告されている方法では、生成物中に分子状塩素ガスが含まれることが避けられず、五フッ化リンの精製が煩雑である。しかも、得られた五フッ化リンをフッ化リチウムと反応させて六フッ化リン酸リチウムを製造する際に、五フッ化リン含まれている塩素ガスが溶媒と反応して副反応を引き起こす懸念がある。更に、過剰分の塩素ガスをリサイクルするには煩雑な操作や設備が必要となり、結果的にコストアップに繋がるという問題もある。

0009

下記特許文献4には、液体の三塩化リン中に固体の五塩化リンを溶解させ、常に溶液状態に保たれるように少量の塩素ガスとフッ化水素とを反応させて出口ガス中の塩素ガス濃度を抑える方法が記載されている。しかしながら、この方法では、三塩化リンを未反応の状態に維持することが必要であり、その液体を循環させることから設備が大きくなるという問題がある。更に、フッ化水素の添加量が少量であるために、五塩化リンや三塩化リンの一部がフッ素化されたPFaClb(a+b=5)、PFcCld(c+d=3)の生成が懸念される。

0010

このため、現在までに、工業的スケールでの製造に適した方法で、安価に効率よく塩素分子含有率の低い五フッ化リンを製造できる方法は確立されるには至っていない。

0011

特開平6−56413号公報
特許第3494343号
特許第4005174号
WO 00/01614 A1

先行技術

0012

J. Inorg. Nucl. Chem.,1960,vol.16, 52-59.
Ann. Chim. Phys., 1891, 24, 224 - 282.

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、工業的スケールにも対応できる、分子状ハロゲンの含有率が低い五フッ化リンを安価に効率よく製造できる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、入手容易で安価な化合物である三塩化リン(PCl3)を原料として用い、これを分子状ハロゲン及びフッ化水素(HF)と反応させて五フッ化リンを製造する際に、分子状ハロゲンの使用量を三塩化リン1モルに対して1モル未満とすることによって、塩素ガス等の分子状ハロゲンの含有量が非常に少ない五フッ化リンを製造することが可能となり、分子状ハロゲンが存在することによる各種の問題点を解消できることを見出した。しかも、この方法では、副生する三フッ化リンと残留するフッ化水素は、蒸留等の方法によって容易に五フッ化リンから分離することができるので、原料に再循環して再利用することによって、分子状ハロゲンの含有量が少ない五フッ化リンを効率的に製造できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。

0015

即ち、本発明は、下記の五フッ化リンの製造方法を提供するものである。
項1.三塩化リン、分子状ハロゲン及びフッ化水素を反応させて五フッ化リンを製造する方法において、分子状ハロゲンの使用量を三塩化リン1モルに対して0.1モル以上、1モル未満とすることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。
項2. 分子状ハロゲンが塩素分子である上記項1に記載の方法。
項3.バッチ式又は連続式で反応を行う、上記項1又は2に記載の方法。
項4. 三塩化リン、分子状ハロゲン及びフッ化水素を同時に反応容器に供給するか、或いは、任意の順序で供給する上記項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5. 上記項1〜4のいずれか一項に記載の方法によって五フッ化リンを製造した後、得られた生成物を、三フッ化リンを含む成分A、五フッ化リンを含む成分B、及びフッ化水素を含む成分Cに分離し、分離された成分Aを原料として用いる三塩化リンに再循環させ、分離された成分Cを原料として用いるフッ化水素に再循環させる工程を含む、五フッ化リンの製造方法。
項6. 分子状ハロゲンの使用量が、原料として用いる三塩化リンと再循環される三フッ化リンの合計量1モルに対して、0.1モル以上、1モル未満である上記項5に記載の方法。

0016

以下、本発明の五フッ化リンの製造方法について具体的に説明する。

0017

本発明では、三塩化リン、分子状ハロゲン、及びフッ化水素を反応させることによって、五フッ化リンを製造する。

0018

原料として用いる三塩化リンは、安価で高純度品が入手し易い化合物であり、室温で液体であるために、固体の五塩化リンを用いる場合と比べて取り扱い易い物質である。また、禁水状態での取り扱いも容易で加水分解が抑制されるため、最終製品純度の安定化が可能となる。

0019

また、分子状のハロゲンとしては、分子状のフッ素塩素臭素等を用いることができる。特に、コスト面を考慮すると塩素が好ましい。

0020

三塩化リン、分子状ハロゲン、及びフッ化水素の状態については、特に限定はなく、気体状、液体状のいずれであってもよく、これらの混合した状態であってもよい。特に、分子状ハロゲンとフッ化水素が気体である場合には、三塩化リンと均一に接触させることが容易であり、円滑に反応を進行させることができ、反応時の温度制御も比較的簡単に行うことができる。

0021

本発明では、分子状ハロゲンの使用量は、原料として用いる三塩化リン1モルに対して、0.1モル以上、1モル未満とすることが必要である。三塩化リン1モルに対して0.1モル程度以上、1モル程度未満の分子状ハロゲンを用いることによって、反応生成物中のハロゲン濃度を低く抑えることが可能となり、生成物中にハロゲンが含まれることによる問題点を解消できる。分子状ハロゲンの使用量は、好ましくは、三塩化リン1モルに対して、0.5モル程度以上、0.9モル程度以下である。分子状ハロゲンの使用量が少なすぎる場合には、五フッ化リンの生成量が少なく、三フッ化リンの生成量が増加するので、これを原料として再利用する場合には、多量の三フッ化リンをリサイクルする必要があり、コスト高に繋がるので好ましくない。

0022

フッ化水素の使用量については、三塩化リン1モルに対して5〜20モル程度が好ましく、5〜15モル程度がより好ましい。フッ化水素の使用量が少なすぎる場合には、一部のみがフッ素化されたPFxCly(x+y=5)が生成することがあり、一方、使用量が多すぎてもフッ素化の反応速度の向上は期待できないので、いずれも好ましくない。

0023

本発明の五フッ化リンの製造方法は、連続式又はバッチ式のいずれで行って良い。

0024

バッチ式で行う場合には、反応容器中に上記した原料を入れて同時に反応させれば良い。反応容器としては、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等のフッ化水素の腐食作用とハロゲンの酸化、及び腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。

0025

連続的に実施する場合には、例えば、流通型の反応容器を用いて、上記した原料を反応容器の入口から供給して反応を行えば良い。

0026

流通型の反応器としては、例えば断熱反応器熱媒体を用いて除熱した多管型反応器等を用いることができる。反応器は、バッチ式の反応器と同様に、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等のフッ化水素の腐食作用とハロゲンの酸化及び腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。また、反応管内には混合や熱移動伝熱)を促進するために充填材を詰めても良い。充填材としては、特に限定されるものではないが、ラシヒリングヘリパック型既知金属充填材アルミナビーズ多孔質状の金属充填材等を用いることができる。

0027

またフッ素化や塩素化反応を促進させるために充填材の代わりに、又は充填材と混合して1種又は2種以上のフッ素化触媒を用いることもできる。触媒としては特に限定されるものではないが、例えばSbCl5、SbF5、SbCl3、SbF3、TiF4、TiCl4、FeCl3、AlCl3等を担持した活性炭アルミナペレット等の担持触媒や、組成式:CrOm-1/2nFn(mは1.5≦m≦3、nは0.1<n<4)であるフッ化酸化クロム触媒等を用いることができる。

0028

流通型の反応器を用いる場合には、三塩化リン、分子状のハロゲン及びフッ化水素を同時に反応器に供給してもよく、あるいは、任意の順序で供給してもよい。例えば、分子状ハロゲンとフッ化水素を反応器に供給して供給状態が安定となった後、三塩化リンの供給を開始することや、反対に三塩化化リンを先に反応器に供給し、供給状態が安定となった後、分子状ハロゲンとフッ化水素の供給を開始してもよい。

0029

特に、高沸点化合物析出液化などを避けるために、フッ化水素を分子状ハロゲンより先に供給するか、或いは、フッ化水素と分子状ハロゲンを同時に供給することが好ましい。

0030

また、流通型の反応装置を用いる場合に、原料供給口を反応器に一箇所だけ設けると、供給口近傍で急激に反応が生じて熱が多量に発生することがある。このため、流通型反応器の入口と出口の間に、二箇所以上の原料供給口を設け、原料を分割して、各供給口から連続的又は間欠的に供給してもよい。これによって急激な反応熱の発生を抑制することができ、反応器の温度制御が容易となる。

0031

分子状のハロゲンについては、液体又は気体として反応器に供給することができ、具体的な供給方法については、供給時のハロゲンの状態に応じて適宜決めれば良い。例えば、分子状フッ素については、通常、フッ素ガスとして気体状態で供給される。この場合、フッ素ガスとしては、100mass%のガスを用いることもでき、乾燥窒素ガス等の不活性ガス希釈された5〜50mass%程度の濃度のガスを用いることもできる。供給方法としては、例えば気体用マスフローコントローラー等で流量制御を行い反応器に供給することができる。分子状塩素や臭素については、例えば気体状態のものであれば気体用のマスフローコントローラーや、液体状態であれば液体用のマスフローコントローラーや送液ポンプ等で反応器に供給することが出来る。

0032

フッ化水素についても、液体又は気体として供給することができる。例えば気体状態のものであれば気体用のマスフローコントローラーや、液体状態であれば液体用のマスフローコントローラーや送液ポンプ等で反応器に供給することが出来る。

0033

三塩化リンの供給方法については、供給時の三塩化リンの状態に応じて種々の方法を採用できる。例えば、気体状の場合には、気体用のマスフローコントローラー等で流量制御を行い反応器に供給することができ、液状の場合には、送液ポンプや、シリンジポンプ等を用いて供給することができ、乾燥した不活性ガスに同伴するなどの方法で供給しても良い。

0034

本発明の製造方法では、反応器内圧力については、特に限定的ではないが、例えば、絶対圧として0.1〜2MPa程度であることが好ましく、0.1〜1MPa程度であることがより好ましい。また、反応温度については、反応が十分に進行すればよく、特に限定されるものではないが、反応温度が低すぎると、反応器を冷却しなければならずコストアップするだけでなく、反応器内でフッ化水素が液化する等の問題が懸念される。一方、反応温度が高すぎると望ましくない副反応が起こることが懸念される。このため、通常、0〜200℃程度が好ましく、20〜150℃程度がより好ましい。

0035

また、本発明では、三塩化リン、分子状ハロゲン、及びフッ化水素を同時に反応させる方法の他に、次の三工程からなる方法で五フッ化リンを製造してもよい:
(1)三塩化リンとフッ化水素を反応させて気体状の三フッ化リンを生成させる第一工程、
(2)第一工程で生成した三フッ化リンと分子状ハロゲンを反応させて気体状の二ハロゲン化三フッ化リンを生成させる第二工程、
(3)第二工程で生成した二ハロゲン化三フッ化リンとフッ化水素を反応させて五フッ化リンを生成させる第三工程。

0036

上記した三工程からなる五フッ化リンの製造方法では、第二工程で用いる分子状ハロゲンの使用量を、第一工程で原料として用いる三塩化リン1モルに対して、0.1モル以上、1モル未満とすることが必要である。ハロゲンの使用量をこの範囲とすることによって、反応生成物中のハロゲン濃度を低く抑えることでき、分子状ハロゲンを用いることによる問題点を解消することができる。

0037

フッ化水素の使用量については、第一工程におけるフッ化水素の使用量と、第三工程におけるフッ化水素の使用量の合計量として、三塩化リン1モルに対して、5〜20モル程度が好ましく、5〜15モル程度がより好ましい。第一工程におけるフッ化水素の使用量は、通常、三塩化リン1モルに対して3〜5モル程度とすればよく、不足分のフッ化水素を第三工程において使用すればよい。

0038

上記した三工程からなる方法では、各工程で用いる反応装置として、それぞれ流通式の反応器を用いて、これらを連結して反応を行えばよい。使用する反応装置としては、前述した一段階反応方法で用いる流通式の反応器と同様の反応器を用いることができる。

0039

このような三工程からなる製造方法では、各反応工程における反応温度及び反応容器内圧力については、一段階による反応の場合と同様でよい。例えば、反応器内圧力については、絶対圧として0.1〜2MPa程度であることが好ましく、0.1〜1MPa程度であることがより好ましい。また、反応温度については、0〜200℃程度が好ましく、20〜150℃程度がより好ましい。

0040

本発明の五フッ化リンの製造方法によれば、反応生成物には、目的とする五フッ化リンの他に、副生成物である三フッ化リンと、原料として用いたフッ化水素、フッ素化により生成した塩化水素等が含まれる。これらの内で、三フッ化リンは五フッ化リンの原料として使用できる有用な化合物であり、反応生成物から三フッ化リンを分離して、原料として用いる三塩化リンに再循環させることによって、五フッ化リン製造用の原料として再利用できる。その結果、全体として反応収率を向上させることが可能となり、塩素分子含有率の低い五フッ化リンを効率的に製造することができる。

0041

三フッ化リンを再循環させる方法については、特に限定的ではないが、例えば、図1に示すフロー図に従って、本発明方法で得られた生成物を、三フッ化リンを含む成分A、五フッ化リンを含む成分B、及びフッ化水素を含む成分Cに分離し、成分Aについては、原料として用いる三塩化リンに再循環させ、成分Cについては、原料として用いるフッ化水素に再循環させればよい。これにより、副生成物の三フッ化リンを五フッ化リンの製造用原料として有効に利用することに加えて、フッ化水素の未反応物も有効に再利用できる。

0042

上記した成分A、成分B及び成分Cを分離する方法については、特に限定的ではなく、例えば、蒸留、分液、抽出、抽出蒸留等の手段を適宜適用できる。

0043

特に、蒸留によれば、三フッ化リン(沸点:約-101℃)を含む成分Aを塔頂成分として抜き出し、五フッ化リン(沸点:約-85℃)、塩化水素(沸点:-85℃)等を含む成分Bを蒸留塔中段成分として抜き出し、フッ化水素(沸点:19℃)を含む成分Cを塔底成分として得ることによって、簡単な方法で成分A、成分B及び成分Cを分離することが出来る。

0044

この様にして分離した各成分について、例えば、図1に示すフロー図に従って再循環させることによって、目的物である五フッ化リンを効率良く製造することができる。

0045

三フッ化リンを再循環して再利用する方法では、分子状ハロゲンの使用量は、原料として用いる三塩化リンと、再循環させる三フッ化リンの合計量1モルに対して、0.1モル程度以上、1モル程度未満とすればよく、0.5〜0.9モル程度とすることが好ましい。

0046

上記した方法で得られる五フッ化リンは、必要に応じて、合成ゼオライトや活性炭等の吸着剤等による精製、膜分離、蒸留等の公知の方法によって、更に精製して用いることができる。

0047

本発明方法で得られる五フッ化リンは、リチウム電池、リチウムイオン電池等の電解質として用いられる六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の製造用原料として有用な化合物である。五フッ化リンから六フッ化リン酸リチウムを製造する方法については、五フッ化リンとフッ化リチウムを反応させて六フッ化リン酸リチウムとすることが可能な方法であれば特に限定はなく、公知の方法を適用できる。例えば、固体のフッ化リチウムと気体の五フッ化リンを反応させる方法;無水フッ化水素を溶媒として、溶解したフッ化リチウムと気体状の五フッ化リチウムを反応させる方法;有機溶媒中でフッ化リチウムと気体状の五フッ化リンを反応させる方法等の公知の方法を適用できる。これらの方法の具体的な反応条件については、例えば、特開昭64−72901号公報、J.Chem.Soc.Part4,4408(1963)等に記載されている公知の条件を適用できる。

発明の効果

0048

本発明の五フッ化リンの製造方法によれば、安価な化合物である三塩化リンを原料として用いて、塩素等の分子状ハロゲンの含有量の少ない五フッ化リンを効率よく得ることができる。このため、五フッ化リンからハロゲンを分離するための精製や、ハロゲンのリサイクルなどのための煩雑な操作が不要となる。更に、得られた五フッ化リンをフッ化リチウムと反応させて六フッ化リン酸リチウムを製造する際に、副反応を抑制することができる。

0049

更に、本発明方法で得られた生成物から三フッ化リンを含む成分とフッ化水素を含む成分を分離し、これらを原料に再循環させる工程を含む方法によれば、全体としての収率を向上させることができ、ハロゲン含有率の低い五フッ化リンを効率よく製造することができる。

図面の簡単な説明

0050

本発明の製造プロセスの一例を示すフロー図。

実施例

0051

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0052

実施例1
直径4.5mmのハイアルミナボール内径20mm、長さ400mmの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応管を絶対圧0.1MPaおよび100℃に維持し、無水フッ化水素を200 ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)、塩素ガスを16ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に供給した後、三塩化リンを送液ポンプを用いて0.12g/min(約0.9mmol/min)で反応器に供給した。この場合、三塩化リンに対する塩素ガスのモル比は約0.8であった。

0053

反応器出口ガス分析したところ以下の組成であることが分かった。

0054

五フッ化リン:7mol%、三フッ化リン:2mol%、三塩化リン:0mol%、フッ化水素:50mol%、塩化水素:41mol%、塩素:0mol%
実施例2
直径4.5mmのハイアルミナボールを内径20mm、長さ400mmの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応管を絶対圧0.1MPaおよび100℃に維持し、無水フッ化水素を320 ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)、塩素ガスを24ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に供給した後、三塩化リンを送液ポンプを用いて0.23g/min(約1.65mmol/min)で反応器に供給した。この場合、三塩化リンに対する塩素ガスのモル比は約0.6であった。

0055

反応器出口ガスを分析したところ以下の組成であることが分かった。
五フッ化リン:7mol%、三フッ化リン:4mol%、三塩化リン:0mol%、フッ化水素:45mol%、塩化水素:44mol%、塩素:0mol%
実施例3
直径2mmのNiビーズを内径20mm、長さ400mmの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応管を絶対圧0.1MPaおよび100℃に維持し、無水フッ化水素を200 ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)、塩素ガスを16ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に供給した後、送液ポンプを用いて、三塩化リンを0.06g/min(0.45mmol/min)で反応器に供給し、ガス状の三フッ化リンを10ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に供給した。この場合、三塩化リンと三フッ化リンの合計モル数に対する塩素ガスのモル比は約0.8であった。

0056

反応器出口ガスを分析したところ以下の組成であることが分かった。

0057

五フッ化リン:7mol%、三フッ化リン:2mol%、三塩化リン:0mol%、フッ化水素:62mol%、塩化水素:28mol%、塩素:0mol%

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