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技術 ポリアミドの製造方法

出願人 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
発明者 金子達雄モハメドアシフアリ石井直人
出願日 2010年11月17日 (9年4ヶ月経過) 出願番号 2010-256955
公開日 2012年6月7日 (7年9ヶ月経過) 公開番号 2012-107122
状態 特許登録済
技術分野 ポリアミド
主要キーワード コスト対効果 工業用プラスチック 結晶性粉体 バイオ由来 構造物性 長期固定 環境適応型 バイオベースポリマー
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年6月7日)のものです。
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図面 (4)

課題

ガラス転移温度TGが高く特性に優れたポリアミドを安定、且つ工業的規模生産することが可能なポリアミドの製造方法を提供する。

解決手段

イタコン酸ジアミン化合物とを極性溶媒中で混合することによりこれらの塩を生成させ、得られた塩を加熱することで重合させポリアミドを合成する。重合に際しては、塩の融点以上の温度に加熱する。イタコン酸としてはバイオ由来のものを用いることが好ましい。

概要

背景

エンジニアリングプラスチックの中でも特に優れた性能を備え、例えば耐熱温度が150℃以上である、いわゆるスーパエンプラは、自動車エレクトロニクス等の部品材料として欠かせない存在となっている。そして、スーパーエンプラの用途が拡大すればするほど、低炭素化が無視できない状況となってきている。

例えば、スーパーエンプラの代表例であるポリアミド樹脂は、自動車のエンジン周り等の工業製品に使用されているが、ほとんど全てが石油原料から合成されたものである。したがって、石油資源枯渇等の問題に対応する方法がないのが実情である。また、石油原料から合成されるポリアミド樹脂の需要拡大は、低炭素化とは相反する方向となる。

一方、バイオ由来原料を用いたバイオベースプラスチックは、バイオ燃料等とは異なり、二酸化炭素長期固定化が期待される物質系であり、その実用化は前記低炭素化に大いに寄与するものと考えられるが、コストが嵩むことが大きな課題となっている。逆に、コストの嵩む生体分子を用いる場合であっても、スーパーエンプラのような付加価値の高い材料であれば、コスト対効果の点でも満足し得るものとなり、社会的に広く波及できる潜在性を持つことになる。

このような状況から、バイオ由来の材料によるポリアミドの合成が検討されている(例えば、特許文献1や特許文献2等を参照)。

特許文献1には、微生物リジン代謝経路上の化合物から派生するジアミンジカルボン酸を用いたポリアミド樹脂の製造方法が開示されており、曲げ弾性率3〜5GPa、ガラス転移温度TG120〜180℃のポリアミド樹脂が実現されている。

一方、特許文献2には、ジカルボン酸としてイタコン酸を用い、これをジアミンと反応させてピロリドン環を有するポリアミドを合成する方法が開示されている。

概要

ガラス転移温度TGが高く特性に優れたポリアミドを安定、且つ工業的規模生産することが可能なポリアミドの製造方法を提供する。イタコン酸とジアミン化合物とを極性溶媒中で混合することによりこれらの塩を生成させ、得られた塩を加熱することで重合させポリアミドを合成する。重合に際しては、塩の融点以上の温度に加熱する。イタコン酸としてはバイオ由来のものを用いることが好ましい。

目的

本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ガラス転移温度TGが高く特性に優れたポリアミドを安定、且つ工業的規模で生産することが可能なポリアミドの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

イタコン酸ジアミン化合物とを極性溶媒中で混合することによりこれらの塩を生成させ、得られた塩を加熱することで重合させポリアミドとすることを特徴とするポリアミドの製造方法。

請求項2

前記塩の融点以上の温度に加熱することを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方法。

請求項3

前記ジアミン化合物が脂肪族系のジアミン化合物であり、触媒の存在下で前記塩を加熱することを特徴とする請求項1または2記載のポリアミドの製造方法。

請求項4

前記触媒がリン酸二水素ナトリウムまたはホウ酸であることを特徴とする請求項3記載のポリアミドの製造方法。

請求項5

前記ジアミン化合物が芳香族系のジアミン化合物であり、触媒を用いることなく得られた塩を加熱することで重合させることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミドの製造方法。

請求項6

前記イタコン酸はバイオ由来のものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のポリアミドの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリカルボン酸としてイタコン酸を用いたポリアミドの製造方法に関するものであり、いわゆるナイロン塩ナイロン商標)の生成を利用した新規なポリアミドの製造方法に関する。

背景技術

0002

エンジニアリングプラスチックの中でも特に優れた性能を備え、例えば耐熱温度が150℃以上である、いわゆるスーパエンプラは、自動車エレクトロニクス等の部品材料として欠かせない存在となっている。そして、スーパーエンプラの用途が拡大すればするほど、低炭素化が無視できない状況となってきている。

0003

例えば、スーパーエンプラの代表例であるポリアミド樹脂は、自動車のエンジン周り等の工業製品に使用されているが、ほとんど全てが石油原料から合成されたものである。したがって、石油資源枯渇等の問題に対応する方法がないのが実情である。また、石油原料から合成されるポリアミド樹脂の需要拡大は、低炭素化とは相反する方向となる。

0004

一方、バイオ由来原料を用いたバイオベースプラスチックは、バイオ燃料等とは異なり、二酸化炭素長期固定化が期待される物質系であり、その実用化は前記低炭素化に大いに寄与するものと考えられるが、コストが嵩むことが大きな課題となっている。逆に、コストの嵩む生体分子を用いる場合であっても、スーパーエンプラのような付加価値の高い材料であれば、コスト対効果の点でも満足し得るものとなり、社会的に広く波及できる潜在性を持つことになる。

0005

このような状況から、バイオ由来の材料によるポリアミドの合成が検討されている(例えば、特許文献1や特許文献2等を参照)。

0006

特許文献1には、微生物リジン代謝経路上の化合物から派生するジアミンジカルボン酸を用いたポリアミド樹脂の製造方法が開示されており、曲げ弾性率3〜5GPa、ガラス転移温度TG120〜180℃のポリアミド樹脂が実現されている。

0007

一方、特許文献2には、ジカルボン酸としてイタコン酸を用い、これをジアミンと反応させてピロリドン環を有するポリアミドを合成する方法が開示されている。

先行技術

0008

特開2006−137820号公報
米国特許4,420,608号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、例えば特許文献1に記載される方法では、原料であるジアミンやジカルボン酸を工業規模で安定に供給することは難しく、コスト的に問題が多い。また、ガラス転移温度TG等に関しては、ある程度のレベルのものが得られているが、吸湿性等、他の特性の点で必ずしも満足し得るものが得られていないのが実情である。

0010

一方、特許文献2記載の発明では、バイオ由来の材料として、工業的に生産方法確立されており安定な供給が可能なイタコン酸を用いているので、コスト等の点では有利であり、また、合成されるポリアミドにピロリドン環が導入されるので、吸湿性が低いという利点も有する。ただし、特許文献2に記載される方法で合成されるポリアミドでは、ガラス転移温度TG等、スーパーエンプラとしての特性の点で十分とは言い難い。これは、特許文献2に記載される方法では、原料であるジアミンとジカルボン酸の比率を1:1に制御することが難しく、分子量の高いものを安定に得ることができないことが原因と考えられる。

0011

本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ガラス転移温度TGが高く特性に優れたポリアミドを安定、且つ工業的規模生産することが可能なポリアミドの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

前述の目的を達成するために、本発明のポリアミドの製造方法は、イタコン酸とジアミン化合物とを極性溶媒中で混合することによりこれらの塩を生成させ、得られた塩を加熱することで重合させポリアミドとすることを特徴とする。

0013

本発明の製造方法によれば、ピロリドン環が導入され、環状アミド構造を有するポリアミドが合成される。環状アミド構造の導入により、例えば吸湿性が低下する等、エンジニアリングプラスチックとしての性能が改善される。また、本発明の方法によれば、いわゆるナイロン塩の状態を経て合成を行っているので、イタコン酸とジアミン化合物の比率がほぼ1:1に制御された状態で合成が行われ、分子量が大きく、ガラス転移温度TGの高いエンジニアリングプラスチックとしての特性に優れたポリアミドが合成される。

0014

さらに、原料としてバイオ由来のイタコン酸を用いれば、いわゆるバイオプラスチックが実現され、二酸化炭素の長期固定化等において、その意義は大きい。また、バイオ由来のイタコン酸は、工業規模で安定供給が可能であるので、これを用いることで、バイオプラスチックの安定供給及び製造コストの削減が実現される。

0015

本願発明は、脂肪族系高分子からなるバイオベースポリマーの分野に、ヘテロ環構造の導入という新しい分子設計を提案するものであり、これまでほとんど研究されていない環状ポリアミド構造物性相関を明確にすることで、スーパエンプラの新たな材料設計指針の開発に繋がるものと考えられる。

発明の効果

0016

本発明によれば、ガラス転移温度が高く、エンジニアリングプラスチックとしての性能に優れたポリアミドを合成することが可能である。また、イタコン酸としてバイオ由来の材料を用いれば、二酸化炭素の長期固定化等に貢献し得るバイオベースプラスチックを実現することができ、しかも、性能に優れたバイオベースプラスチックを安定且つ安価に供給することが可能である。

図面の簡単な説明

0017

本発明における合成スキームを示す図である。
DSCによるガラス転移温度測定結果の一例を示す特性図である。
芳香族系ジアミンの種類と合成されるポリアミドの構造を示す図である。

0018

以下、本発明を適用したポリアミドの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

0019

本発明は、ポリアミドの合成に関するものであり、ジカルボン酸とジアミン化合物(以下、単にジアミンと称する。)とを1:1で重合(脱水縮合)させ、アミド結合により連結されたポリマー(ポリアミド)を形成する

0020

ここで、本発明においては、ジカルボン酸としてイタコン酸を使用する。イタコン酸は、脂肪族ジカルボン酸の1種であり、分子中に1つの二重結合を有する不飽和二塩基性の酸である。また、イタコン酸は、例えばカビの1種(Aspegillus terreus)によって生産される有機酸であり、バイオ由来のものが工業的規模で安定、且つ比較的安価に供給されている。

0021

本発明において、ポリアミドの合成に使用するイタコン酸としては、必ずしもバイオ由来のものではなくても良いが、バイオ由来のものを用いることで、いわゆるバイオベースエンジニアリングプラスチックを実現することができ、二酸化炭素の長期固定化等の社会的要求合致する。

0022

一方、もう一方の原料であるジアミンとしては、この種のポリアミドの合成に用いられるものであればいずれも使用可能であり、脂肪族系ジアミン、芳香族系ジアミンのいずれであってもよい。具体的に、脂肪族系ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミンペンタメチレンジアミンテトラメチレンジアミントリメチレンジアミン、ノナンジアミンメチルペンタジアミン等を挙げることができるが、勿論、これに限られるものではない。芳香族系ジアミンとしては、p−フェニレンジアミンm−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を挙げることができるが、やはりこれに限られるものではない。

0023

前述のイタコン酸及びジアミンを用いてポリアミドを合成するが、本発明では、図1(a)に示すように、これらイタコン酸とジアミンとを混合し、図1(b)に示すように、これらの塩(いわゆるナイロン塩)を形成する。

0024

イタコン酸とジアミンの塩を形成するには、例えば、これらを極性溶媒に溶解し、混合すれば良い。極性溶媒中において、イタコン酸とジアミンがそれぞれイオン化し、これらを混合することで塩が形成される。実際、イタコン酸とジアミンとをエタノール中で混合すると、ナイロン塩の結晶性粉体が生成する。

0025

前記ナイロン塩の状態では、イタコン酸とジアミンとは必ず1:1で対応することになる。ナイロン塩を経るポリアミド合成法は、このようにモノマーであるイタコン酸とジアミンとを厳密に1:1で混合する方法であり、その後の重縮合において、前記1:1での混合が特性上、非常に重要になる。

0026

イタコン酸とジアミンの塩を形成した後、これを加熱することで重合(脱水縮合)させる。すなわち、生成した塩を取り出し、その脱水温度以上に加熱し撹拌する。ほとんどの場合、脱水温度=融点である。

0027

前記脱水縮合に際しては、触媒を使用しても良く、特にジアミンとして脂肪族系ジアミンを使用した場合、触媒を用いることで分子量の大きなポリアミドが合成される。使用する触媒としては、特に制約はなく、例えば、ホウ素やリン酸二水素ナトリウム等を挙げることができる。特に、リン酸二水素ナトリウムは、分子量が大きくガラス転移温度Tgの高いポリアミドを合成する上で好適である。一方、ジアミンとして芳香族系ジアミンを用いた場合には、触媒は用いなくとも良い。

0028

以上の操作により、図1(c)に示すような、ヘテロ環構造が導入された環状ポリアミドが合成される。合成される環状ポリアミドは、ヘテロ環構造部分(ピロリドン環)に水素がないため、吸湿性が低い。ポリアミドにおいては、吸湿性が高いことが問題となっており、前記ヘテロ環構造の導入による吸湿性の低下は、このような問題を解消する上で有効である。

0029

なお、合成される環状ポリアミドは、化1に示す結合部分と、化2に示す結合部分とを有する可能性があり、全体としては化3で示す構造を有するものと考えられる。ここで、m(%)=100%−n(%)であり、m,n=0%〜100%である。

0030

0031

0032

0033

また、合成されるポリアミドは、分子量が大きく、ガラス転移温度Tgが高いという特徴を有する。例えば、イタコン酸とヘキサメチレンジアミンの重合体のガラス転移温度Tgは103℃であったが、これは水の沸点を超えるものであり、工業用プラスチックとして使用可能なレベルと言える。さらに、モノマーの種類等によっては、ガラス転移温度Tgが250℃程度までのポリアミドの合成が可能である。いわゆるスーパーエンプラに要求される耐熱温度は150℃以上であり、したがって本発明方法によれば、スーパーエンプラとしても使用可能なポリアミドの合成が可能である。

0034

本発明方法により合成されるポリアミドは、前記特徴を活かし、様々な分野での用途が期待できる。先ず第1に、自動車用途等の工業用プラスチックとしての利用が可能である。第2に、イタコン酸としてバイオ由来の材料を用いれば、一般にポリアミドが使用される部分のバイオプラスチックへの代替を行うことが可能になる。第3に、生分解性が期待できる。ポリアミドのアミド結合は加水分解し得る結合であり、水による加水分解が行われた後に生体由来物質戻り生体循環系で利用されるものと考えられる。第4に、環境適応型プラスチック補強材としての用途である。

0035

以上、本発明を適用したポリアミドの製造方法に係る実施形態について説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

0036

以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて詳細に説明する。

0037

イタコン酸と脂肪族系ジアミンによるポリアミドの合成
使用した脂肪族系ジアミンは、炭素数n=2のジメチレンジアミン、炭素数n=3のトリメチレンジアミン、炭素数n=4のテトラメチレンジアミン、炭素数n=5のペンタメチレンジアミン、炭素数n=6のヘキサメチレンジアミンの5種類である。

0038

イタコン酸と脂肪族系アミンとをエタノール中で混合した。これにより、白色のナイロン塩の結晶性粉体が生成した。得られたナイロン塩を触媒(リン酸二水素ナトリウムまたはホウ素)の存在下で融点(ペンタメチレンジアミンの場合には175℃)以上に加熱することで重合(脱水縮合)を行った。表1に、各脂肪族ジアミンのナイロン塩の熱物性を示す。

0039

0040

得られたポリマーをNMP(N−メチル−2−ピロリジン)に溶解し、アセトン再沈殿することでモノマー等の不純物を取り除き、得られた粉体を再度アセトンで洗浄して乾燥した。収率は概ね85%であった。

0041

脂肪族系ジアミンの種類、重合(脱水縮合)時間、反応温度、触媒の種類、得られたポリアミドの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、その比率(Mw/Mn)、ガラス転移温度Tg、収率、及び10%重量減少温度を表2に示す。

0042

0043

脂肪族系ジアミンを原料に用いた場合、触媒を用いることで分子量やガラス転移温度の上昇が見られ、特に、リン酸二水素ナトリウムを触媒とすることで、分子量の大きなポリアミドを合成することが可能であった。したがって、エンジニアリングプラスチックとしての性能に優れたポリアミドを合成する際には、触媒としてリン酸二水素ナトリウムを用いることが好ましいと言える。

0044

得られた各ポリアミドの溶解性であるが、NMP(N−メチル−2−ピロリジン)、及びDMSO(ジメチルスルホキサイド)は良溶媒であり、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)には僅かに溶解した。ヘキサン、THF(テトラヒドロフラン)、アセトン、エタノール、メタノールグリセリンm−クレゾール、水には不溶であった。

0045

また、合成したポリアミドのガラス転移温度TgをDSCにより測定した。図2は、イタコン酸とヘキサメチレンジアミンとから合成(触媒:ホウ酸)されたポリアミドのDSCによるガラス転移温度Tg測定結果である。この場合のガラス転移温度Tgは95℃であった。触媒にリン酸二水素ナトリウムを用いて合成されたポリアミドのガラス転移温度Tgは97℃であった。

0046

同様に、他の脂肪族系ジアミンを用いて合成(触媒はリン酸二水素ナトリウム)されたポリアミドのガラス転移温度Tgを測定したところ、ジメチレンジアミン由来のポリアミドでは154℃、トリメチレンジアミン由来のポリアミドでは83℃、テトラメチレンジアミン由来のポリアミドでは93℃、ペンタメチレンジアミン由来のポリアミドでは93℃であった。

0047

イタコン酸と芳香族ジアミンによるポリアミドの合成
イタコン酸と芳香族ジアミンとにより合成されるポリアミドの構造を図3に示す。図3において、(b)が合成されるポリアミドの構造であり、(c)が使用した芳香族系ジアミンの構造である。ここでは、芳香族系ジアミンとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンを用いた場合を例にして、その構造を示している。

0048

イタコン酸と芳香族系ジアミンとからポリアミドを合成する場合にも、これらをエタノール中で混合し、ナイロン塩を生成させる。そして、得られたナイロン塩を融点以上に加熱して重合(脱水縮合)を行う。ただし、重合(脱水縮合)の際に触媒は不要である。なお、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いた場合には、ナイロン塩の生成のためには若干の温水をエタノールに加える必要があった。

0049

生成したポリマーは、DMFに溶解し、得られた溶液をエタノールに再沈殿することで精製し、白色粉末高分子固体を得た。得られたポリアミド(ポリマーA〜E)における反応温度、重合(脱水縮合)時間、得られたポリアミドの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、その比率(Mw/Mn)、ガラス転移温度Tg、収率を表3に示す。また、ポリマーA〜Dの溶解性を表4に示す。なお、ポリマーA〜Cでは、芳香族系ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用い、ポリマーDでは、芳香族系ジアミンとしてm−キシリレンジアミンを用い、ポリマーEでは、ヘキサメチレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを混合して用いた。

0050

0051

0052

いずれのポリアミドにおいても、高いガラス転移温度Tgが実現されており、特に、ポリマーAではガラス転移温度Tg250℃以上が達成されている。

実施例

0053

また、芳香族系ポリアミドとしてm−キシリレンジアミンを用い、従来法であるダイレクト法(イタコン酸とジアミンとを直接混合し重合させる方法)と本発明方法でポリアミドを合成し、そのガラス転移温度Tgを比較した。その結果、ダイレクト法で合成したポリアミドの重量平均分子量が約510000、ガラス転移温度Tgが138℃であったのに対して、本発明方法で合成したポリアミドの重量平均分子量は約780000、ガラス転移温度Tgは156℃であり、本発明方法によりガラス転移温度Tgの高い高性能なポリアミドが合成されることが実証された。

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