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技術 溶融はんだめっき線の製造方法

出願人 日立金属株式会社
発明者 鷲見亨青山正義沢畠勝憲岡田良平山本哲弘紀本国明
出願日 2010年11月10日 (10年1ヶ月経過) 出願番号 2010-252038
公開日 2012年5月31日 (8年6ヶ月経過) 公開番号 2012-104376
状態 特許登録済
技術分野 非絶縁導体 金属の引抜加工 溶融金属による被覆 非鉄金属または合金の熱処理 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード 極細銅線 製品品種 引き上げロール ベース素材 試作材 熱処理状態 組成品 発光分光分析器
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年5月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

無酸素銅(OFC)を用いる場合に比して、軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、更なるめっきライン増速化を実現することができる溶融はんだめっき線の製造方法を提供する。

解決手段

不可避的不純物を含む純銅に、2〜12massppmの硫黄と2を超え30massppm以下の酸素と4〜55massppmのチタンを含む希薄銅合金材料に対して最終線径伸線加工を施して伸線材を作製する工程と、該伸線材を溶融はんだめっき槽に浸漬することで伸線材の表面に溶融はんだめっき層を形成する溶融はんだめっき工程とを備え、溶融はんだめっき工程の熱量によって伸線材を軟質銅線に変質させることを特徴とする溶融はんだめっき線の製造方法。

概要

背景

近年の科学技術においては、動力源としての電力や、電気信号など、あらゆる部分に電気が用いられており、それらを伝達するためにケーブルリード線などの導線が用いられている。そして、その導線に用いられている素材としては、銅、銀などの導電率の高い金属が用いられ、とりわけ、コスト面などを考慮し、銅線が極めて多く用いられている。

銅と一括りにする中にも、その分子の配列などに応じて、大きく分けて、硬質銅軟質銅とに分けられる。そして利用目的に応じて所望の性質を有する種類の銅が用いられている。

電子部品用リード線には、硬質銅線が多く用いられ、例えば、医療機器産業用ロボットノート型パソコンなどの電子機器などに用いられるケーブルは、過酷な曲げねじれ引張りなどが組み合わさった外力が繰り返し負荷される環境下で使用されているため、硬直な硬質銅線は不的確であり、軟質銅線が用いられている。

例えば、特許文献1には、電子機器、例えば、ノートパソコン携帯電話デジタルビデオカメラなどの携帯型の情報・通信記録端末などの、耐屈曲性が求められる分野において使用される丸型断面の極細銅合金線の製造方法について、線径が0.01〜0.1mmの極細銅合金線においては、Mg又はInを0.05〜0.9質量%含有し銅及び不可避的不純物を残部とする銅合金伸線加工を施して極細銅線を形成し、最終線径形成後の極細線熱処理を施して引張強さを343MPa以上、伸びを5%以上、導電率を80%IACS以上に調質することが記載されている。

また、例えば、特許文献2には、電子機器用フレキシブルフラットケーブルに使用されるSn系めっき平角導体について、導体サイズが、厚さ0.035mm、幅0.30mmからなるSn系めっき平角導体を製造した後、この平角導体に対して最終工程の焼鈍において焼鈍温度の条件を代えて耐屈曲性などの各種特定を満足するフレキシブルフラットケーブル用平角導体の製造方法について記載されている。

また、例えば、特許文献3には、太陽電池用電極線材に使用される平角導体について、Cu単層について、無酸素銅からなる圧延シートに対してスリットして芯材を得た後に、500℃×1分の軟化焼鈍を施し、これにめっきを施すことで軟質の太陽電池用電極線材を得ることについて記載されている。

このように多岐にわたる技術分野において軟質銅線が用いられているが、上記特許文献に記載の軟質銅線の製造方法においても、その軟質銅線の製造工程のなかで、最終線径とした後に別工程において軟質特性を得るために焼鈍処理を施している。しかしこのような軟質特性を得ることを目的とした最終線径前における焼鈍工程を含む製造工程では、生産性に劣り、また製造コストが高くなってしまうという問題がある。

そこで、例えば、特許文献4には、太陽電池用電極線材にかかるものであるが、軟化焼鈍工程を設けることなく容易に軟質銅線を製造する技術として、溶融はんだ浴浴温を250℃以上、380℃以下とし、芯材の浸漬時間を浴温250℃以上、280℃未満の場合に6〜10秒とし、浴温280℃以上、350℃以下の場合に3〜10秒とし、あるいは350℃超、380℃以下の場合に3〜5秒とすることが記載されている。

概要

無酸素銅(OFC)を用いる場合に比して、軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、更なるめっきライン増速化を実現することができる溶融はんだめっき線の製造方法を提供する。不可避的不純物を含む純銅に、2〜12massppmの硫黄と2を超え30massppm以下の酸素と4〜55massppmのチタンを含む希薄銅合金材料に対して最終線径に伸線加工を施して伸線材を作製する工程と、該伸線材を溶融はんだめっき槽に浸漬することで伸線材の表面に溶融はんだめっき層を形成する溶融はんだめっき工程とを備え、溶融はんだめっき工程の熱量によって伸線材を軟質銅線に変質させることを特徴とする溶融はんだめっき線の製造方法。

目的

本発明の目的は、無酸素銅(OFC)を用いる場合に比して、軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、更なるめっきラインの増速化を実現することができる溶融はんだめっき線の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

不可避的不純物を含む純銅に、2〜12massppmの硫黄と2を超え30massppm以下の酸素と4〜55massppmのチタンを含む希薄銅合金材料に対して最終線径伸線加工を施して伸線材を作製する工程と、該伸線材を溶融はんだめっき槽に浸漬することで伸線材の表面に溶融はんだめっき層を形成する溶融はんだめっき工程とを備え、溶融はんだめっき工程の熱量によって伸線材を軟質銅線変質させることを特徴とする溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項2

前記最終線径に伸線加工した際の加工度が50%以上であり、前記溶融はんだめっき槽のめっき温度が260℃〜300℃であり、浸漬時間が2〜5秒であることを特徴とする請求項1に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項3

前記最終線径に伸線加工した際の加工度が50%以上であり、前記溶融はんだめっき槽のめっき温度が300℃を超え380℃であり、浸漬時間が1秒以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項4

前記最終線径に伸線加工した際の加工度が50%未満であり、前記溶融はんだめっき槽のめっき温度が280℃〜380℃であり、浸漬時間が1〜10秒であることを特徴とする請求項1に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項5

前記最終線径に伸線加工を施す工程の前に、希薄銅合金材料からなる荒引線を伸線加工し、該伸線加工の後にこれを通電焼鈍する工程を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項6

前記溶融はんだめっき工程の前に、該伸線材を圧延加工することにより平角状に形成する圧延加工工程を備えることを特徴とする請求項1乃至5に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項7

前記希薄銅合金材料は、前記硫黄及び前記チタンが、TiO、TiO2、TiS、Ti−O−Sの形で化合物又は凝集物を形成し、残りの前記チタンと前記硫黄が固溶体の形で存在している希薄銅合金材料であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

請求項8

前記希薄銅合金材料は、前記TiOのサイズが200nm以下、前記TiO2は1000nm以下、前記TiSは200nm以下、前記Ti−O−Sは300nm以下に結晶粒内分布し、500nm以下の粒子が90%以上である希薄銅合金材料であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の溶融はんだめっき線の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、溶融はんだめっき線の製造方法に関するものであり、特に、最終線径の加工後における焼鈍工程を省略することができる溶融はんだめっき線の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年の科学技術においては、動力源としての電力や、電気信号など、あらゆる部分に電気が用いられており、それらを伝達するためにケーブルリード線などの導線が用いられている。そして、その導線に用いられている素材としては、銅、銀などの導電率の高い金属が用いられ、とりわけ、コスト面などを考慮し、銅線が極めて多く用いられている。

0003

銅と一括りにする中にも、その分子の配列などに応じて、大きく分けて、硬質銅軟質銅とに分けられる。そして利用目的に応じて所望の性質を有する種類の銅が用いられている。

0004

電子部品用リード線には、硬質銅線が多く用いられ、例えば、医療機器産業用ロボットノート型パソコンなどの電子機器などに用いられるケーブルは、過酷な曲げねじれ引張りなどが組み合わさった外力が繰り返し負荷される環境下で使用されているため、硬直な硬質銅線は不的確であり、軟質銅線が用いられている。

0005

例えば、特許文献1には、電子機器、例えば、ノートパソコン携帯電話デジタルビデオカメラなどの携帯型の情報・通信記録端末などの、耐屈曲性が求められる分野において使用される丸型断面の極細銅合金線の製造方法について、線径が0.01〜0.1mmの極細銅合金線においては、Mg又はInを0.05〜0.9質量%含有し銅及び不可避的不純物を残部とする銅合金伸線加工を施して極細銅線を形成し、最終線径形成後の極細線熱処理を施して引張強さを343MPa以上、伸びを5%以上、導電率を80%IACS以上に調質することが記載されている。

0006

また、例えば、特許文献2には、電子機器用フレキシブルフラットケーブルに使用されるSn系めっき平角導体について、導体サイズが、厚さ0.035mm、幅0.30mmからなるSn系めっき平角導体を製造した後、この平角導体に対して最終工程の焼鈍において焼鈍温度の条件を代えて耐屈曲性などの各種特定を満足するフレキシブルフラットケーブル用平角導体の製造方法について記載されている。

0007

また、例えば、特許文献3には、太陽電池用電極線材に使用される平角導体について、Cu単層について、無酸素銅からなる圧延シートに対してスリットして芯材を得た後に、500℃×1分の軟化焼鈍を施し、これにめっきを施すことで軟質の太陽電池用電極線材を得ることについて記載されている。

0008

このように多岐にわたる技術分野において軟質銅線が用いられているが、上記特許文献に記載の軟質銅線の製造方法においても、その軟質銅線の製造工程のなかで、最終線径とした後に別工程において軟質特性を得るために焼鈍処理を施している。しかしこのような軟質特性を得ることを目的とした最終線径前における焼鈍工程を含む製造工程では、生産性に劣り、また製造コストが高くなってしまうという問題がある。

0009

そこで、例えば、特許文献4には、太陽電池用電極線材にかかるものであるが、軟化焼鈍工程を設けることなく容易に軟質銅線を製造する技術として、溶融はんだ浴浴温を250℃以上、380℃以下とし、芯材の浸漬時間を浴温250℃以上、280℃未満の場合に6〜10秒とし、浴温280℃以上、350℃以下の場合に3〜10秒とし、あるいは350℃超、380℃以下の場合に3〜5秒とすることが記載されている。

先行技術

0010

特開2002−129262号公報
特開2003−86024号公報
国際公開第2005/114751号パンフレット
国際公開第2007/037184号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0011

この特許文献4に記載されている製造方法においては、最終線径加工を終えた後に焼鈍工程を省略することができる意味において有効な技術であるが、広く軟質めっき銅線を使用する製品分野において、更なる製造コスト削減のためには、めっきライン増速化が重要なファクターとなり、銅素線のめっき浸漬時間の更なる短縮が求められる。

0012

また、特許文献4に記載されている製造方法は、無酸素銅からなる素線を用いて高加工度の素線(実施例では、圧下率95%)に対して使用されるものであり、高加工度のものほどはんだめっき槽に浸漬する際に熱処理状態における軟化温度が低くなる現象を利用して導線の軟化を狙ったものと理解され、高加工度の素線に対して適用する場合には有効に効果を発現するものであるが、比較的加工度の低い素線に対しては、未だ十分な検討がなされているとはいえず、加工度の低い銅線に対して適用するにあたっては自ずと限界があり、加工度の低い製品品種へも適用できる製造技術が求められる。

0013

そこで、本発明の目的は、無酸素銅(OFC)を用いる場合に比して、軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、更なるめっきラインの増速化を実現することができる溶融はんだめっき線の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

本発明は前記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、不可避的不純物を含む純銅に、2〜12mass ppmの硫黄と2を超える量の酸素と4〜55mass ppmのチタンを含む希薄銅合金材料に対して最終線径に伸線加工を施して伸線材を作製する工程と、該伸線材を溶融はんだめっき槽に浸漬することで伸線材の表面に溶融はんだめっき層を形成する溶融はんだめっき工程とを備え、溶融はんだめっき工程の熱量によって伸線材を軟質銅線に変質させたものである。

0015

請求項2の発明は、前記最終線径に伸線加工した際の加工度が50%以上であり、前記溶融はんだめっき槽のめっき温度が260℃〜300℃であり、浸漬時間が2〜5秒である溶融はんだめっき線の製造方法である。

0016

請求項3の発明は、前記最終線径に伸線加工した際の加工度が50%以上であり、前記溶融はんだめっき槽のめっき温度が300℃を超え380℃であり、浸漬時間が1秒以上である溶融はんだめっき線の製造方法である。

0017

請求項4の発明は、前記最終線径に伸線加工した際の加工度が50%未満であり、前記溶融はんだめっき槽のめっき温度が280℃〜380℃であり、浸漬時間が1〜10秒である溶融はんだめっき線の製造方法である。

0018

請求項5の発明は、前記最終線径に伸線加工を施す工程の前に、希薄銅合金材料からなる荒引線を伸線加工し、該伸線加工の後にこれを通電焼鈍する工程を備える溶融はんだめっき線の製造方法である。

0019

請求項6の発明は、前記溶融はんだめっき工程の前に、該伸線材を圧延加工することにより平角状に形成する圧延加工工程を備える溶融はんだめっき線の製造方法である。

0020

請求項7の発明は、前記希薄銅合金材料は、前記硫黄及び前記チタンが、TiO、TiO2、TiS、Ti−O−Sの形で化合物又は凝集物を形成し、残りの前記チタンと前記硫黄が固溶体の形で存在している希薄銅合金材料である溶融はんだめっき線の製造方法である。

0021

請求項8の発明は、前記希薄銅合金材料は、前記TiOのサイズが200nm以下、前記TiO2は1000nm以下、前記TiSは200nm以下、前記Ti−O−Sは300nm以下に結晶粒内分布し、500nm以下の粒子が90%以上である希薄銅合金材料である溶融はんだめっき線の製造方法である。

発明の効果

0022

本発明によれば、無酸素銅(OFC)を用いる場合に比して、軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、更なるめっきラインの増速化を実現することができる。

図面の簡単な説明

0023

TiS粒子のSEM像を示す図である。
図1分析結果を示す図である。
TiO2粒子のSEM像を示す図である。
図3の分析結果を示す図である。
Ti−O−S粒子のSEM像を示す図である。
図5の分析結果を示す図である。
本発明の溶融はんだめっき線の製造方法を説明する図である。
従来の溶融はんだめっき線の製造方法を説明する図である。

0024

以下、本発明の好適な一実施の形態を説明する。

0025

先ず、本発明は、溶融はんだめっき線の素材となる銅材料の軟化温度を低減するべく、SCR連続鋳造圧延設備を用い、表面傷が少なく、製造範囲が広く、安定生産が可能である。またワイヤロッドに対する加工度90%(例えばφ8mm→φ2.6mm)での軟化温度が148℃以下の材料の開発を検討した。また、副次的ではあるが、導電率98%IACS(万国標準軟化銅(International Anneld Copper Standard)抵抗率1.7241×10-8Ωmを100%とした導電率)、100%IACS、更には102%IACSを満足する溶融はんだめっき線の製造条件を得ることを検討した。

0026

Cu(6N、純度99.9999%)に関しては、加工度90%での軟化温度は130℃である。そこで、本発明は、安定生産が可能な130℃以上で148℃以下の軟化温度で軟質材の導電率が98%IACS以上、100%IACS以上、更に導電率が102%IACS以上である軟質銅を安定して製造できる溶融はんだめっき線としての素材の製造条件を求めることを検討した。

0027

ここで、酸素濃度1〜2mass ppmの高純度銅(6N)を用い、実験室にて小型連続鋳造機(小型連鋳機)を用いて、溶湯にチタンを数massppm添加した溶湯から製造したφ8mmのワイヤロッドをφ2.6mm(加工度90%)にして軟化温度を測ると160〜168℃であり、これ以上低い軟化温度にはならない。また、導電率は、101.7%IACS程度である。よって、酸素濃度を低くして、Tiを添加しても、軟化温度を下げることができず、また高純度銅(6N)の導電率102.8%IACSよりも悪くなることがわかった。

0028

この原因は、溶湯の製造中に不可避的不純物として、硫黄を数mass ppm以上含み、この硫黄とチタンとでTiS等の硫化物が十分形成されないために、軟化温度が下がらないものと推測される。

0029

そこで、本発明では、軟化温度を下げることと、導電率を向上させるために、2つの方策を検討し、2つの効果を合わせることで目標を達成した。

0030

(a)素材の酸素濃度を2mass ppmを超える量に増やしてチタンを添加する。これにより、先ず溶銅中ではTiSとチタン酸化物(TiO2)やTi−O−S粒子が形成されると考えられる(図1図3のSEM像と図2図4の分析結果参照)。なお、図2図4図6において、PtおよびPdは観察のための蒸着元素である。

0031

(b)次に熱間圧延温度を、通常の銅の製造条件(950〜600℃)よりも低く設定(880〜550℃)することで、銅中に転位を導入し、Sが析出し易いようにする。これによって転位上へのSの析出又はチタンの酸化物(TiO2)を核としてSを析出させ、その一例として溶銅と同様Ti−O−S粒子等を形成させる(図5のSEM像と、図6の分析結果参照)。

0032

(a)と(b)により、銅中の硫黄が晶出と析出を行い、冷間伸線加工後に軟化温度と導電率を満足する銅ワイヤロッドができる。

0033

次に、本発明では、SCR連続鋳造設備で製造条件の制限として(1)〜(4)を制限した。

0034

(1)組成の制限
導電率が98%IACS以上の軟質銅材を得る場合、不可避的不純物を含む純銅(ベース素材)が、3〜12mass ppmの硫黄と、2を超え30mass ppm以下の酸素と、Tiを4〜55mass ppm含む希薄銅合金材料でワイヤロッド(荒引き線)を製造するものである。
また、合金の性質に悪影響を及ぼすことのないその他の元素および不純物を合金に含有させることもできる。

0035

ここで、導電率が100%IACS以上の軟質銅材を得る場合には、不可避的不純物を含む純銅に2〜12mass ppmの硫黄と、2を超え30mass ppm以下の酸素とTiを4〜37mass ppm含む希薄銅合金材料でワイヤロッドとするのがよい。

0036

さらに、導電率が102%IACS以上の軟質銅材を得る場合、不可避的不純物を含む純銅に3〜12mass ppmの硫黄と、2を超え30mass ppm以下の酸素と、Tiを4〜25mass ppm含む希薄銅合金材料でワイヤロッドとするのがよい。2massppmを超え30massppm以下の酸素を含有していることから、この実施の形態では、いわゆる低酸素銅(LOC)を対象としている。

0037

通常、純銅の工業的製造において、電気銅を製造する際に、硫黄が銅中に取り込まれてしまうため、硫黄を3mass ppm以下とするのは難しい。汎用電気銅の硫黄濃度上限は12mass ppmである。

0038

制御する酸素は、上述したように、少ないと軟化温度が下がり難いので2mass ppmを超える量とする。また酸素が多すぎると、熱間圧延工程で、表面傷が出やすくなるので30mass ppm以下とする。なお、添加元素添加量およびSの含有量によっては、合金の性質を備える範囲において、2を超え400mass ppmを含むことができる。

0039

(2)分散している物質の制限
分散粒子のサイズは小さく沢山分布することが望ましい。その理由は、硫黄の析出サイトとして働くためサイズが小さく数が多いことが要求されるためである。

0040

硫黄及びチタンは、TiO、TiO2、TiS、Ti−O−Sの形で化合物または、凝集物を形成し、残りのTiとSが固溶体の形で存在している。TiOのサイズが200nm以下、TiO2は1000nm以下、TiSは200nm以下、Ti−O−Sは300nm以下で結晶粒内に分布している希薄銅合金材料とする。「結晶粒」とは銅の結晶組織のことを意味する。

0041

但し、鋳造時の溶銅の保持時間や冷却状況により、形成される粒子サイズが変わるので鋳造条件の設定も必要である。

0042

(3)鋳造条件の制限
SCR連続鋳造圧延により、鋳塊ロッドの加工度が90%(30mm)〜99.8%(5mm)でワイヤロッドを造る、一例として、加工度99.3%でφ8mmワイヤロッドを造る方法をいる。

0043

(a)溶解炉内での溶銅温度は、1100℃以上1320℃以下とする。溶銅の温度が高いとブローホールが多くなり、傷が発生するとともに粒子サイズが大きくなる傾向にあるので1320℃以下とする。1100℃以上としたのは、銅が固まりやすく製造が安定しないためであるが、鋳造温度は、出来るだけ低い温度が望ましい。

0044

(b)熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上とする。

0045

通常の純銅製造条件と異なり、溶銅中での硫黄の晶出と熱間圧延中の硫黄の析出が本発明の課題であるので、その駆動力である固溶限をより小さくするためには、溶銅温度と熱間圧延温度を(a)、(b)とするのがよい。

0046

通常の熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が950℃以下、最終圧延ロールでの温度が600℃以上であるが、固溶限をより小さくするためには、本発明では、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上に設定する。

0047

550℃以上にする理由は、この温度以下ではワイヤロッドの傷が多いので製品にならないためである。熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上で、できるだけ低い方が望ましい。こうすることで、軟化温度(φ8〜φ2.6に加工後)が限りなくCu(6N、軟化温度130℃)に近くなる。

0048

(c)直径φ8mmサイズのワイヤロッドの導電率が98%IACS以上、100%IACS、更に102%IACS以上であり、冷間伸線加工後の線材(たとえばφ2.6mm)の軟化温度が130℃〜148℃である希薄銅合金線または板状材料を得ることができる。

0049

工業的に使うためには、電気銅から製造した工業的に利用される純度の軟質銅線にて98%IACS以上必要であり、軟化温度はその工業的価値から見て148℃以下である。Tiを添加しない場合は、160〜165℃である。Cu(6N)の軟化温度は127〜130℃であったので、得られたデータから限界値を130℃とする。このわずかな違いは、Cu(6N)にない不可避的不純物にある。

0050

導電率は、無酸素銅のレベルで101.7%IACS程度であり、Cu(6N)で102.8%IACSであるため、出来るだけCu(6N)に近い導電率であることが望ましい。

0051

(4)鋳造条件の制限
ベース材の銅はシャフト炉で溶解の後、還元状態になるように制御した、すなわち還元ガス(CO)雰囲気の下で、希薄合金の構成元素の硫黄濃度、Ti濃度、酸素濃度を制御して鋳造し、圧延するワイヤロッドを安定して製造する方法がよい。銅酸化物混入や粒子サイズが大きいので品質を低下させる。

0052

ここで、添加物としてTiを選択した理由は次の通りである。

0053

(a)Tiは溶融銅の中で硫黄と結合し化合物を造りやすいためである。

0054

(b)Zrなど他の添加金属に比べて加工でき扱いやすい。

0055

(c)Nbなどに比べて安価である。

0056

(d)酸化物を核として析出しやすいからである。

0057

以上により得られた希薄銅合金材料は、溶融半田めっき材(線、板、箔)、エナメル線、軟質純銅、高導電率銅、焼鈍時のエネルギーを低減でき、やわらかい銅線として使用でき、生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れた実用的な希薄銅合金材料を得ることが可能となる。

0058

また、上述の実施の形態では、SCR連続鋳造圧延法によりワイヤロッドを作製し、熱間圧延にて軟質材を作製する例で説明したが、双ロール式連続鋳造圧延法またはプロペルチ式連続鋳造圧延法により製造するようにしても良い。

0059

さて、この希薄銅合金材料を素材とした本発明の溶融はんだめっき線の製造方法を図7により説明する。

0060

このめっき線は、その表面にめっき層を備えた銅線である。この銅線は、上述の希薄銅合金材料を素材としたものである。また、めっき層としては、例えば、錫、ニッケル、銀を主成分とするものを適用可能であり、いわゆるPbフリーめっきを用いてもよい。

0061

図7に示すように、めっき線の製造方法は、上述の希薄銅合金材料を素材としたワイヤロッド2を伸線する伸線工程と、伸線されたワイヤロッド2aを圧延して平角導体(軟質平角導体)10とする圧延工程と、平角導体10の表面にめっき層を形成するはんだめっき工程とを備える。ここでは圧延工程を含む場合を説明するが、本発明の溶融はんだめっき線の製造方法は、この圧延工程がない製造方法であってもよい。

0062

伸線工程で用いる伸線装置1は、上述の希薄銅合金材料を素材としたワイヤロッド2が巻き付けられた送出しボビン3と、その送出しボビン3から送出されたワイヤロッド2を伸線するための複数のダイス4を有する伸線機5と、伸線後のワイヤロッド2aを巻取巻取りボビン6とからなる。また、ワイヤロッドを伸線する際には、伸線装置1の内部に図示しない通電加熱装置備え付けて、送出しボビン3から送り出し、伸線材を巻取りボビン6に巻き取るとの搬送工程のなかで、いわば伸線加工と同一ライン上にて通電アニーラなどの処理により焼鈍処理をするものであってもよい。本発明の目的は、最終線径への加工が終了した後の焼鈍工程を省略することであるが、このように、最終線径に加工する前段階において、伸線加工と同一ライン上にて焼鈍処理を行う場合には、短時間の処理であるため、生産性の面で問題となる程度のものではなく、本発明は、このような焼鈍工程を実施する場合をも排除する趣旨のものではない。

0063

圧延工程で用いる圧延装置7は、伸線後のワイヤロッド2が巻き付けられた送出しボビン8(巻取りボビン6)と、その送出しボビン8から送出されたワイヤロッド2aを上下から圧延する圧延ロール9を有し、ワイヤロッド2aを平角導体10に加工する圧延機11と、平角導体10を巻取る巻取りボビン12とからなる。

0064

はんだめっき工程で用いるはんだめっき装置13は、平角導体10が巻き付けられた送出しボビン14(巻取りボビン12)と、はんだ溶湯Sで満たされたはんだめっき槽15と、送出しボビン14から送出された平角導体10をはんだめっき槽15にガイドする複数のプーリ16と、はんだめっき槽15を通じて平角導体10の表面にめっき層が形成された平角導体17を巻取る巻取りボビン18とからなる。

0065

図8に示すように、従来は、めっき平角導体19を製造するため、加工工程(伸線工程・圧延工程)で丸線の材料20を平角状(平角導体21)にし、線材に対し最終的な加工を施した後に、焼鈍工程(熱処理工程)を介してから、はんだめっき槽15に浸漬してめっき複合材(平角導体19)とする製造方法が行われている。

0066

しかし、加工工程で加工された材料20は、加工硬化し、次の焼鈍工程で軟質化しなければならなかった。焼鈍工程では、管状炉22やバッチ炉23を用いて平角導体21を焼鈍させる。このため、製造コストが高く、経済性・生産性に問題があった。

0067

これに対し、上述のとおり、本発明の溶融はんだめっき線の製造方法を使用すれば、半軟化温度が低い素材を用いるため、製造時に、加工工程から焼鈍工程、めっき工程を経て製造される工程を、最終伸線加工を行った後に軟化焼鈍工程を設けることなく、加工工程からめっき工程のみで製品を製造できることになり、低コストであり、高い生産性が得られる。

0068

さらには、本発明によれば、後述の表3、表4に示すデータに基づき、無酸素銅(OFC)を用いる場合に比して、軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、更なるめっきラインの増速化を実現することができる。

0069

表1は実験条件と結果に関するものである。

0070

0071

先ず、実験材として、表1に示した酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度で、φ8mmの銅線(ワイヤロッド):加工度99.3%をそれぞれ作製した。φ8mmの銅線は、SCR連続鋳造圧延により、熱間圧延加工を施したものである。Tiは、シャフト炉で溶解された銅溶湯還元ガス雰囲気で樋に流し、樋に流した銅溶湯を同じ還元ガス雰囲気の鋳造ポットに導き、この鋳造ポットにて、Tiを添加した後、これをノズルを通して鋳造輪無端ベルトとの間に形成される鋳型にて鋳塊ロッドを作成した。この鋳塊ロッドを熱間圧延加工してφ8mmの銅線を作成したものである。その実験材を冷間伸線して、φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度と導電率を測定し、またφ8mmの銅線における分散粒子サイズを評価した。

0072

酸素濃度は、酸素分析器レコ(Leco;商標)酸素分析器)で測定した。硫黄、Tiの各濃度はICP発光分光分析器で分析した結果である。

0073

φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度の測定は、400℃以下で各温度1時間の保持後、水中急冷し、引張試験を実施しその結果から求めた。室温での引張試験の結果と400℃で1時間のオイルバス熱処理した軟質銅線の引張試験の結果を用いて求め、引張強さの差の半分の値を示す強度に対応する温度を半軟化温度と定義し求めた。

0074

分散粒子のサイズは小さく沢山分布することが望ましい。その理由は、硫黄の析出サイトとして働くためサイズが小さく数が多いことが要求される。すなわち直径500nm以下の分散粒子が90%以上である場合を合格とした。ここに「サイズ」とは化合物のサイズであり、化合物の形状の長径短径のうちの長径のサイズを意味する。また、「粒子」とは前記TiO、TiO2、TiS、Ti−O−Sのことを示す。また、「90%」とは、全体の粒子数に対しての該当粒子数の割合を示すものである。

0075

表1において、比較材1は、実験室でAr雰囲気において直径φ8mmの銅線を試作した結果であり、銅溶湯にTiを、0〜18massppm添加したものである。

0076

このTi添加で、Ti添加量ゼロの半軟化温度215℃に対して、13mass ppmは160℃まで低下して最小となり、15,18mass ppmの添加で高くなっており、要望の軟化温度148℃以下にはならなかった。しかし工業的に要望がある導電率は98%IACS以上であり満足していたが、総合評価は×であった。

0077

そこで、次にSCR連続鋳造圧延法にて、酸素濃度を7〜8mass ppmに調整してφ8mm銅線(ワイヤロッド)の試作を行った。

0078

比較材2は、SCR連続鋳造圧延法で試作した中でTi濃度の少ないもの(0,2mass ppm)であり、導電率は102%IACS以上であるが、半軟化温度が164,157℃であり、要求の148℃以下を満足しないので、総合評価で、×となった。

0079

実施材1については、酸素濃度と硫黄濃度が、ほぼ一定(7〜8mass ppm、5mass ppm)、Ti濃度の異なる(4〜55mass ppm)試作材の結果である。

0080

このTi濃度4〜55mass ppmの範囲では、半軟化温度148℃以下であり、導電率も98%IACS以上、102%IACS以上であり、分散粒子サイズも500nm以下の粒子が90%以上であり良好である。そしてワイヤロッドの表面もきれいであり
、いずれも製品性能として満足している(総合評価○)。

0081

ここで、導電率100%IACS以上を満たすものは、Ti濃度が4〜37mass ppmのときであり、102%IACS以上を満たすものは、Ti濃度が4〜25mass ppmのときである。Ti濃度が13mass ppmのとき導電率が最大値である102.4%IACSを示し、この濃度の周辺では、導電率は、僅かに低い値であった。これは、Tiが13mass ppmのときに、銅中の硫黄分を化合物として捕捉することで、高純度銅(6N)に近い導電率を示したためである。

0082

よって、酸素濃度を高くし、Tiを添加することで、半軟化温度と導電率の双方を満足させることができる。

0083

比較材3は、Ti濃度を60mass ppmと高くした試作材である。この比較材3は、導電率は要望を満足しているが、半軟化温度は148℃以上であり、製品性能を満足していない。さらにワイヤロッドの表面傷も多い結果であり、製品にすることは難しかった。よって、Tiの添加量は60massppm未満がよい。

0084

次に実施材2については、硫黄濃度を5mass ppmとし、Ti濃度を13〜10mass ppmとし、酸素濃度を変えて、酸素濃度の影響を検討した試作材である。

0085

酸素濃度に関しては、2を超えて30mass ppm以下まで、大きく濃度が異なる試作材とした。但し、酸素が2massppm未満は、生産が難しく安定した製造できないため、総合評価は△とした。また酸素濃度を30mass ppmと高くしても半軟化温度と導電率の双方を満足することがわかった。

0086

また比較材4に示すように、酸素が40mass ppmの場合には、ワイヤロッド表面の傷が多く、製品にならない状況であった。

0087

よって、酸素濃度が2を超え30mass ppm以下の範囲とすることで、半軟化温度、導電率102%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足させることができ、またワイヤロッドの表面もきれいであり、いずれも製品性能を満足させることができる。

0088

次に実施材3は、それぞれ酸素濃度と硫黄濃度とを比較的近い濃度とし、Ti濃度を4〜20mass ppmと変えた試作材の例である。この実施材3においては、硫黄が2mass ppmより少ない試作材は、その原料面から実現できなかったが、Tiと硫黄の濃度を制御することで、半軟化温度と導電率の双方を満足させることができる。

0089

比較材5の硫黄濃度が18mass ppmで、Ti濃度が13mass ppmの場合には、半軟化温度が162℃で高く、必要特性を満足できなかった。また、特にワイヤロッドの表面品質が悪いので、製品化は難しかった。

0090

上より、硫黄濃度が2〜12mass ppmの場合には、半軟化温度、導電率102%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足しており、ワイヤロッドの表面もきれいですべての製品性能を満足することがわかった。

0091

また比較材6としてCu(6N)を用いた検討結果を示したが、半軟化温度127〜130℃であり、導電率も102.8%IACSであり、分散粒子サイズも、500nm以下の粒子はまったく認められなかった。

0092

0093

表2は、製造条件としての、溶融銅の温度と圧延温度を示したものである。

0094

比較材7は、溶銅温度が高めの1330〜1350℃で、且つ圧延温度が950〜600℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。

0095

この比較材7は、半軟化温度と導電率は満足するものの、分散粒子のサイズに関しては、1000nm程度のものもあり500nm以上の粒子も10%を超えていた。よってこれは不適とした。

0096

実施材4は、溶銅温度が1200〜1320℃で且つ圧延温度が低めの880〜550℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この実施材4については、ワイヤ表面品質、分散粒子サイズも良好で、総合評価は○であった。

0097

比較材8は、溶銅温度が1100℃で、且つ圧延温度が低めの880〜550℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材8は、溶銅温度が低いため、ワイヤロッドの表面傷が多く製品には適さなかった。これは、溶銅温度が低いため、圧延時に傷が発生しやすいためである。

0098

比較材9は、溶銅温度が1300℃で、且つ圧延温度が高めの950〜600℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材9は、熱間圧延温度が高いため、ワイヤロッドの表面品質が良いが、分散粒子サイズも大きなものがあり、総合評価は×となった。

0099

比較材10は、溶銅温度が1350℃で、且つ圧延温度が低めの880〜550℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材10は、溶銅温度が高いため、分散粒子サイズが大きなものがあり、総合評価は×となった。

0100

0101

表3は、無酸素銅(OFC)を試料とした従来例と、微量のTiを添加した実施例とを対象として、いずれも比較的高加工度である92.1%の場合におけるめっき槽浸漬後の0.2%耐力値を測定した結果である。
浸漬後の試料の軟化特性を把握するため、0.2%耐力値を測定した。目標値は90MPa以下に設定した。ここに試料は、実施材5については、前記実施材1のうち上から3番目の素材をφ2.6mmに伸線した後に同一ライン上にて伸びが30%になるまで通電アニーラの処理を行い、さらにφ0.73mmに伸線した(加工度92.1%)。この丸線を平角状に成形するための圧延加工工程(0.2×2.0mm)を通った平角状の線材を、焼鈍工程を設けることなく、硬質銅線の状態で、溶融はんだめっき工程にて、はんだめっき槽に連続的に浸漬させて引き上げロールにより引上げ平角線材の周囲に溶融はんだめっき層を有する軟質希薄銅線を得た。これに対して、従来材1は、原材料として無酸素銅(OFC)を用いた点を除けば、上記実施材5と同様の条件にて製造した。ここに加工度とは、「(加工前の断面積−加工後の断面積)/加工前の断面積」であらわされる。

0102

実施材5に相当する試料No2〜4についてみると、はんだめっき温度が260℃〜300℃においては、浸漬時間が2〜5秒で、0.2%耐力値は90MPaを下回っており、浸漬時間が短いにもかかわらず、良好な軟質銅線が得られていることがわかる。これに対して、従来材1である試料No9、10は、はんだめっき温度が260℃、280℃の例であるが、浸漬時間が60秒と長時間であるにもかかわらず、0.2%耐力値はいずれも目標値である90MPaを上回っていた。また、同じく従来材1である試料No11は、0.2%耐力値が82MPaであり良好であるが、浸漬時間が長いため、生産性の面で劣る結果となった。
また、試料No5〜8については、はんだめっき温度が320℃〜380℃において浸漬時間が1秒の短時間であるにもかかわらず、溶融はんだめっき工程の熱量によって硬質銅線が変質されて、0.2%耐力値は90MPaを下回っていたのに対して、試料No12〜15はいずれも0.2%耐力値90MPaを下回っているものの、試料No5〜8に比して浸漬時間が長いことがわかる。

0103

これら表3の結果から、Tiを微量添加した実施材5の材料が、無酸素銅(OFC)を用いる従来例に対して軟質銅線を製造する上において、はんだめっき槽への浸漬時間をより短時間で行うことができ、より具体的には260℃〜300℃であれば2〜5秒、300℃を超えて380℃以下であれば1秒以下で目標の0.2%耐力値に到達することができ、めっきラインの増速化の点においてより有効であるといえる。

0104

なお、比較材11については、はんだめっき温度260℃の場合にはんだ浸漬時間を2秒とする条件にて0.2%耐力値を測定したが、目標値の90MPaを大きく上回るものであった。

0105

0106

表4は、比較的低加工度である47.7%の場合において、無酸素銅(OFC)を試料とする従来例と、微量Tiを添加する実施例とを対象として、めっき槽浸漬後の0.2%耐力値を測定した結果である。0.2%耐力値の評価方法は表3の場合と同様である。
ここに試料は、実施材5については、前記実施材1のうち上から3番目の素材をφ2.6mmに伸線した後に同一ライン上にて伸びが30%になるまで通電アニーラの処理を行い、さらにこれをφ1.01mmに伸線した後同一ライン上にて伸びが30%になるまで通電アニーラの処理を行った。つづいて、これをさらにφ0.73mmに伸線して、硬質銅線を得た(加工度47.7%)。後の工程は、表3の場合と同様である。これに対して、従来材2は、原材料として無酸素銅(OFC)を用いた点を除けば、上記実施材5と同様の条件にて製造した。なお、加工度の特定方法については、実施材5と同様のものである。

0107

実施材6をみると、はんだめっき温度が280℃〜380℃においては、浸漬時間が1〜10秒で0.2%耐力値が90MPaを下回っており、比較的低加工度の試料に対してもはんだめっき槽への浸漬によって溶融はんだめっき工程の熱量によって硬質銅線が変質されて良好な軟質銅線が作製できることがわかる(試料No18〜23)。
これに対して、従来材2をみても、260℃〜320℃においては浸漬時間を60秒と長くしたとしても、0.2%耐力値が90MPaを上回る結果となり、銅線の素材として無酸素銅(OFC)を使用した場合には、はんだめっき槽への浸漬による銅線の軟化効果は得られないことがわかった(試料No24〜27)。また、340℃〜380℃においては、0.2%耐力値が90MPaを下回るものが得られているが、はんだめっき槽への浸漬時間が30秒、60秒と長すぎるため、生産性の面において劣っていることがわかった(試料No28〜30)。また、340℃〜380℃において、浸漬時間が30秒、60秒で実施したものについては線材のCuがはんだめっき槽中に溶け出しており、めっき槽の成分を変化させ、後続の線材のはんだめっき層の組成品質に影響を及ぼすものであるため、現実のめっき製造ラインにおいては適用できないものである。

0108

これら表4の結果から、従来材2より、高加工度の銅線(たとえば、特許文献4では圧下率95%)に対して、はんだめっきによる熱処理効果によって、線材の軟化が起る現象は開示されているが、本発明は銅線の素材そのものを見直し、組成成分改善のアプローチから所定のO含有量、S含有量の銅材料に対してTiを微量に添加することにより、比較的低加工度の領域においても、はんだめっき層の品質に悪影響を及ぼすことなく、はんだめっき槽への浸漬による銅線の軟化効果が得られるという優位性があるといえる。

0109

なお、比較材12については、はんだめっき温度260℃の場合にはんだ浸漬時間を夫々30秒、60秒とする条件において0.2%耐力値を測定したが、目標値の90MPa付近の値となったが、はんだ浸漬時間を実施材6と比較して長くとる必要があり、生産性の面で劣る結果となった。

0110

また、実施材5の試料および実施材6の試料を、太陽電池セルシリコン基板、厚さ200μm)にはんだ付けし、はんだ付け後の太陽電池セルにおけるクラックの発生の有無を調べた結果、いずれの実施例においても、クラックの発生は認められなかった。よって、本実施例の導体を例えば、太陽電池用途に使用する場合には、はんだ付け後の熱膨張係数の差に起因する太陽電池セルのクラックの発生を無くすことができる効果がある。

実施例

0111

なお、本発明の実施例においては、平角状の導体を用いて説明したが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、断面が丸形状の線材であってもよい。

0112

1伸線装置
2、2aワイヤロッド
3、8、14送出しボビン
4ダイス
5伸線機
6、12巻取りボビン
7圧延装置
9圧延ロール
10、17、19、21平角導体
13はんだめっき装置
S はんだ溶湯
15 はんだめっき槽
16プーリ
20 材料
22管状炉
23 バッチ炉

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