図面 (/)

技術 質量分析装置

出願人 株式会社日立ハイテクノロジーズ
発明者 諸熊秀俊橋本雄一郎杉山益之山田益義長谷川英樹
出願日 2010年11月8日 (10年9ヶ月経過) 出願番号 2010-249260
公開日 2012年5月31日 (9年3ヶ月経過) 公開番号 2012-104247
状態 特許登録済
技術分野 計測用電子管
主要キーワード 電圧スイープ グローブバルブ 重畳波形 多重衝突 周波数スイープ 圧力帯 抽出材 大気内
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年5月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

小型軽量で、高精度な質量分析が可能な質量分析装置を提供する。

解決手段

測定試料4をイオン化するために外部から流入するガス23をイオン化するイオン源と、イオン化した測定試料4を分離する質量分析部102とを有し、イオン源は、質量分析部102からの差動排気によって内部が減圧され、ガス23を取り込み内圧が上昇して略100Pa〜略10000Paのときにガス23をイオン化し、質量分析部102は、ガス23の取り込みに連動して上昇した内圧がガス23の取り込み後に略0.1Pa以下に低下したときに、イオン化した測定試料4を分離する。イオン源が取り込むガス23の流量を抑制する抑制手段9と、イオン源が取り込むガス23の流れを開閉する開閉手段8とを有する。

概要

背景

質量分析装置では、イオン化した測定試料を、質量分析部にて質量分析する。質量分析部は、真空チャンバ内に収められ、0.1Pa以下の高真空に保たれている一方で、測定試料のイオン化は、特許文献1に示されているような大気圧下でイオン化する方式や、特許文献2に示されているような10〜100Pa程度の減圧下でイオン化する方式によるため、イオン化を行う環境下の圧力と、質量分析を行う環境下の圧力とには差がある。このため、質量分析部の真空度(圧力)を質量分析可能な範囲に維持したまま、イオン化した測定試料を質量分析部に導入するために、特許文献3に示されているような差動排気方式が提案されている。また、特許文献4では、差動排気方式に加えて、イオン化した測定試料を質量分析部に間欠的に導入する方式が提案されている。また、質量分析の測定感度を高めるために、高効率にイオン化可能なイオン化方式として、誘電体バリア放電現象を利用したイオン化方式が、特許文献5と特許文献6に提案されている。

概要

小型軽量で、高精度な質量分析が可能な質量分析装置を提供する。測定試料4をイオン化するために外部から流入するガス23をイオン化するイオン源と、イオン化した測定試料4を分離する質量分析部102とを有し、イオン源は、質量分析部102からの差動排気によって内部が減圧され、ガス23を取り込み内圧が上昇して略100Pa〜略10000Paのときにガス23をイオン化し、質量分析部102は、ガス23の取り込みに連動して上昇した内圧がガス23の取り込み後に略0.1Pa以下に低下したときに、イオン化した測定試料4を分離する。イオン源が取り込むガス23の流量を抑制する抑制手段9と、イオン源が取り込むガス23の流れを開閉する開閉手段8とを有する。E

目的

本発明が解決しようとする課題は、小型軽量で、高精度な質量分析が可能な質量分析装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

測定試料イオン化するために外部から流入するガスをイオン化するイオン源と、イオン化した前記測定試料を分離する質量分析部とを有し、前記イオン源は、前記質量分析部からの差動排気によって内部が減圧され、前記ガスを取り込み内圧が上昇して略100Pa〜略10,000Paのときに前記ガスをイオン化し、前記質量分析部は、前記ガスの取り込みに連動して上昇した内圧が前記ガスの取り込み後に略0.1Pa以下に低下したときに、イオン化した前記測定試料を分離することを特徴とする質量分析装置

請求項2

前記イオン源が取り込む前記ガスの流量を抑制する抑制手段と、前記イオン源が取り込む前記ガスの流れを開閉する開閉手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。

請求項3

前記抑制手段と前記開閉手段は、前記イオン源に対して、前記ガスの流れにおける上流側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の質量分析装置。

請求項4

前記測定試料は、前記イオン源に対して、前記ガスの流れにおける下流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。

請求項5

前記測定試料は、前記抑制手段と前記開閉手段に対して、前記ガスの流れにおける下流側に配置され、前記イオン源に対して、前記ガスの流れにおける上流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。

請求項6

前記測定試料は、前記ガスの流れにおける前記抑制手段と前記開閉手段の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。

請求項7

前記測定試料は、前記抑制手段に対して、前記ガスの流れにおける下流側に配置され、前記開閉手段に対して、前記ガスの流れにおける上流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。

請求項8

前記測定試料は、前記抑制手段と前記開閉手段に対して、前記ガスの流れにおける上流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。

請求項9

前記測定試料は、前記抑制手段に対して、前記ガスの流れにおける上流側に配置され、前記抑制手段は、前記開閉手段に対して、前記ガスの流れにおける上流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。

請求項10

前記イオン源は、内部を減圧可能な誘電体隔壁と、前記誘電体隔壁を介して交流電圧印加可能な第一の電極と第二の電極を有し、前記交流電圧の印加によって内部に発生する放電によって、前記ガスをイオン化することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項11

前記第一の電極と前記第二の電極は、前記イオン源の前記誘電体隔壁の外側に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の質量分析装置。

請求項12

前記第一の電極と前記第二の電極のいずれか一方は、前記イオン源の減圧可能な内部の前記誘電体隔壁を介した外側に配置され、他方は、前記イオン源の減圧可能な内部に露出していることを特徴とする請求項10に記載の質量分析装置。

請求項13

前記イオン源の内部の前記放電が発生する領域は、前記測定試料の流れから離れていることを特徴とする請求項10に記載の質量分析装置。

請求項14

前記測定試料が内側を流れるキャピラリを有し、前記キャピラリの外側で、前記ガスがイオン化され、前記キャピラリの下流側で、イオン化された前記ガスによって前記測定試料がイオン化されることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項15

前記質量分析部が、内圧が略0.1Pa以下に低下してイオン化した前記測定試料を分離した後に、前記イオン源が、前記ガスを取り込み内圧が再度上昇して略100Pa〜略10,000Paのときに前記ガスをイオン化することで、前記測定試料を繰り返し質量分析することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項16

前記質量分析部を収容する真空チャンバにおける前記ガスの流れの上流側の入口を、開閉するチャンバ開閉手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項17

前記測定試料を収納し、内部を減圧可能に前記イオン源と接続される試料容器を有し、前記試料容器は、脱着可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項18

前記測定試料を収納し、前記イオン源の内部を減圧可能な誘電体隔壁と接続される試料容器を有し、前記試料容器は、前記誘電体隔壁と接続したまま前記誘電体隔壁と共に脱着可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項19

前記イオン源に流入する前記ガスは、空気又は空気を含んだガスであることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項20

前記質量分析部を収容する真空チャンバにおける前記ガスの流れの上流側の入口に設けられ、前記質量分析部からの差動排気によって前記イオン源の内部を減圧にする第一のオリフィス又は第一のキャピラリを有することを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項21

前記抑制手段は、第二のオリフィス又は第二のキャピラリであることを特徴とする請求項2乃至請求項20のいずれか1項に記載の質量分析装置。

請求項22

前記開閉手段は、開弁時間を略200m秒間以下にできるパルスバルブであることを特徴とする請求項2乃至請求項20のいずれか1項に記載の質量分析装置。

技術分野

0001

本発明は、質量分析装置、特に、小型軽量化に適した質量分析装置に関する。

背景技術

0002

質量分析装置では、イオン化した測定試料を、質量分析部にて質量分析する。質量分析部は、真空チャンバ内に収められ、0.1Pa以下の高真空に保たれている一方で、測定試料のイオン化は、特許文献1に示されているような大気圧下でイオン化する方式や、特許文献2に示されているような10〜100Pa程度の減圧下でイオン化する方式によるため、イオン化を行う環境下の圧力と、質量分析を行う環境下の圧力とには差がある。このため、質量分析部の真空度(圧力)を質量分析可能な範囲に維持したまま、イオン化した測定試料を質量分析部に導入するために、特許文献3に示されているような差動排気方式が提案されている。また、特許文献4では、差動排気方式に加えて、イオン化した測定試料を質量分析部に間欠的に導入する方式が提案されている。また、質量分析の測定感度を高めるために、高効率にイオン化可能なイオン化方式として、誘電体バリア放電現象を利用したイオン化方式が、特許文献5と特許文献6に提案されている。

先行技術

0003

US7064320
US4849628
US7592589
WO2009/023361
WO2009/102766
WO2009/157312

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献4のイオン化した測定試料を質量分析部に間欠的に導入する方式によれば、導入によって低下した質量分析部の真空度を、導入を停止している間に回復させ、高真空下において質量分析を実施することができる。この方式では、小型の真空ポンプでも質量分析部を高真空にすることができるため、質量分析装置の小型軽量化に有利である。

0005

しかしながら、特許文献4のイオン化した測定試料を質量分析部に間欠的に導入する方式は、差動排気方式のみで連続導入した場合よりも、イオン化した測定試料の伝送中のロスが大きいと考えられる。質量分析部で、高精度な測定に必要なだけのイオン化した測定試料を確保するためには、前記伝送中のロスを低減させると共に、高効率にイオン化させることが望ましく、これらにより、小型軽量な質量分析装置でも高精度な測定が可能になると考えられる。

0006

そこで、本発明が解決しようとする課題は、小型軽量で、高精度な質量分析が可能な質量分析装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、測定試料をイオン化するために外部から流入するガスをイオン化するイオン源と、
イオン化した前記測定試料を分離する質量分析部とを有し、
前記イオン源は、前記質量分析部からの差動排気によって内部が減圧され、前記ガスを取り込み内圧が上昇して略100Pa〜略10,000Paのときに前記ガスをイオン化し、
前記質量分析部は、前記ガスの取り込みに連動して上昇した内圧が前記ガスの取り込み後に略0.1Pa以下に低下したときに、イオン化した前記測定試料を分離する質量分析装置であることを特徴としている。

発明の効果

0008

本発明によれば、小型軽量で、高精度な質量分析が可能な質量分析装置を提供できる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置の構成図である。
本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置の質量分析部の構成図である。
本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置のスライドバルブ閉弁した状態の構成図の一部分である。
本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置の、スライドバルブを閉弁し試料容器着脱する際の、構成図の一部分である。
パルスバルブ開閉したこと(a)に伴う、誘電体容器の内圧(b)の圧力変動と、真空チャンバの内圧(c)の圧力変動を示すグラフである。
本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置における質量分析方法電圧スイープ方式)のシーケンスイオン蓄積排気待ち時間イオン選択イオン解離質量スキャン)に対応させて、(a)パルスバルブの開閉、(b)バリア放電部の圧力、(c)質量分析部の圧力、(d)バリア放電電極交流電圧、(e)オリフィスDC電圧、(f)インキャップ電極DC電圧、(g)エンドキャップ電極DC電圧、(h)トラップRF電圧、(i)補助交流電圧、(j)イオン検出器オンオフを示すグラフである。
本発明の第一の実施形態の変形例に係る質量分析装置における質量分析方法(周波数スイープ方式)のシーケンスに対応させて、(a)パルスバルブの開閉、(b)バリア放電部の圧力、(c)質量分析部の圧力、(d)バリア放電電極の交流電圧、(e)オリフィスDC電圧、(f)インキャップ電極DC電圧、(g)エンドキャップ電極DC電圧、(h)トラップRF電圧、(i)補助交流電圧、(j)イオン検出器のオンオフを示すグラフである。
本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置で実施される質量分析方法のフローチャートである。
本発明の第二の実施形態に係る質量分析装置の構成図である。
本発明の第二の実施形態に係る質量分析装置の、スライドバルブを閉弁し試料容器と誘電体容器を着脱する際の、構成図の一部分である。
本発明の第二の実施形態の変形例一に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第二の実施形態の変形例二に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第二の実施形態の変形例三に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第二の実施形態の変形例四に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第二の実施形態の変形例五に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第二の実施形態の変形例六に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第三の実施形態に係る質量分析装置の構成図である。
本発明の第三の実施形態の変形例一に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第三の実施形態の変形例二に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第三の実施形態の変形例三に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第三の実施形態の変形例四に係る質量分析装置の構成図の一部分である。
本発明の第三の実施形態の変形例五に係る質量分析装置の構成図の一部分である。

実施例

0010

次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略している。

0011

(第一の実施形態)
図1Aに、本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置100の構成図を示す。質量分析装置100は、真空チャンバ17を有している。真空チャンバ17には、ターボ分子ポンプ13と粗引きポンプ14とが直列に接続されている。これにより、真空チャンバ17内を、略0.1Pa以下の高真空に減圧させることができる。真空チャンバ17には、真空ゲージ15が設けられ、真空チャンバ17内の真空度(圧力)が計測できる。計測された真空度は、制御回路21に送信される。制御回路21では、受信した真空度に基づいて、ターボ分子ポンプ13と粗引きポンプ14の運転を制御している。

0012

真空チャンバ17に中には、質量分析部102が収められている。詳細は後記するが、質量分析部102では、イオン蓄積、イオン選択、イオン解離、質量スキャン等を実施し、イオン化した試料(測定試料)4から目的イオンを分離することができる。

0013

真空チャンバ17には、イオン化した試料4を導入するための入口と、この入口を開閉するチャンバ開閉手段11を有している。チャンバ開閉手段11としては、図1Aに示すような、前記入口と同程度でφ5mm〜φ10mm程度の孔が開いたスライドバルブを用いることができる。

0014

チャンバ開閉手段(スライドバルブ)11と真空チャンバ17の入口に合わせて、オリフィス(第一のオリフィス)5が設けられている。オリフィス5の孔径は、φ0.1mm〜φ1mm程度とすることができる。なお、オリフィス5に替えて、キャピラリ(第一のキャピラリ)を用いてもよい。
オリフィス5には、試料容器29が接続されている。試料容器29は、両端が開口しており、パイプ(管)状の容器を用いることができる。そして、一端の開口がオリフィス5に接続され、他端の開口がイオン源101の誘電体容器(誘電体隔壁)1に接続されている。試料容器29内には、試料(測定試料)4が配置されている。試料4が液体の場合は、ガラス濾紙固相抽出材などに吸着され気道を確保した状態で試料容器29内に配置されている。試料4が固体の場合は、そのまま試料容器29内に配置したり、ガラス濾紙などにこすりつけて試料容器29内に配置したりすることができる。試料4が気化しにくい場合は、試料容器29の外側に配置された加熱ヒータ3で温めることによって、試料4の気化を促進することができる。加熱ヒータ3は、ヒータ電源7から電力が供給されるが、制御回路21は、その電力を調整し加熱ヒータ3のオンオフさらには温度を制御することができる。

0015

イオン源101は、誘電体容器(誘電体隔壁)1と、バリア放電電極(第一の電極と第二の電極)2を有している。誘電体容器(誘電体隔壁)1は、両端が開口しており、パイプ(管)状をしている。一端の開口はパルスバルブ(開閉手段)8に接続されている。他端の開口は、試料容器29に接続され、誘電体容器(誘電体隔壁)1と試料容器29とは連通している。

0016

一対のバリア放電電極(第一の電極と第二の電極)2は、誘電体容器(誘電体隔壁)1を介して交流電圧を印加可能なように配置されている。一対のバリア放電電極(第一の電極と第二の電極)2の間に生じる磁力線および電気力線は、誘電体容器(誘電体隔壁)1を貫通している。一対のバリア放電電極(第一の電極と第二の電極)2は、誘電体容器(誘電体隔壁)1の外側で、誘電体容器(誘電体隔壁)1に沿って配置されている。バリア放電電極(第一の電極と第二の電極)2には、バリア放電用交流電源6によって交流電圧が印加される。この交流電圧のオンオフ等の制御は、制御回路21が行う。そして、交流電圧の印加によって誘電体容器(誘電体隔壁)1の内側に放電が発生し、イオン源101に取り込まれ、誘電体容器(誘電体隔壁)1の内を流通しているガスをイオン化する。

0017

パルスバルブ(開閉手段)8の一端には、イオン源101が接続され、パルスバルブ(開閉手段)8の他端には、キャピラリ(抑制手段、第二のキャピラリ)9が接続されている。なお、キャピラリ(抑制手段、第二のキャピラリ)9に替えて、オリフィス(第二のオリフィス)を用いてもよい。キャピラリ(抑制手段、第二のキャピラリ)9は、イオン源101が取り込むガス(空気)の流量を抑制することができる。パルスバルブ(開閉手段)8は、イオン源101が取り込むガスの流れを開閉することができる。

0018

パルスバルブ(開閉手段)8は、制御回路21により、開閉制御を行うことができる。パルスバルブ8としては、ニードルバルブピンチバルブグローブバルブゲートバルブボールバルブバタフライバルブ、スライドバルブ等を用いることができる。パルスバルブ8は、開弁時間を略200m秒間以下のように、短時間に開閉できる。すなわち、パルスバルブ8は、閉弁状態から開弁状態を経て再び閉弁状態になるまでの動作を、略200m秒間以下の短時間で実施することができる。

0019

外界大気(空気)と、イオン源101の誘電体容器1の間には、キャピラリ9とパルスバルブ8が直列に接続されている。その誘電体容器1と試料容器29は、オリフィス5等を介して真空チャンバ17に接続されている。このため、パルスバルブ8が閉じ、スライドバルブ11が開いていれば、誘電体容器1内と試料容器29内は、オリフィス5を介して差動排気され、減圧される。

0020

ここで、パルスバルブ8を開弁すると、外界(外部)の大気(空気)が、キャピラリ9とパルスバルブ8を経由して、イオン源101へ流入する大気(空気)の流れ23が生じる。外界の大気(空気)は、イオン源101の誘電体容器1内に取り込まれる。イオン源101において、空気の一部はイオン化し反応イオンが生成される。反応イオンは、反応イオンの流れ24により、イオン源101から試料容器29へ流入する。試料容器29で、反応イオンは、気化した試料4とイオン分子反応を起こすことで、気化した試料4は、試料分子イオン(イオン化した試料4)に変化する。オリフィス5を介して真空チャンバ17(質量分析部102)に流入する試料分子イオンの流れ25が生成される。一方、イオン化していない空気や、気化したがイオン化していない試料4は、オリフィス5と真空チャンバ17を介して、ターボ分子ポンプ13、粗引きポンプ14へ流入し、排気される気体分子の流れ27を生成する。なお、イオン源101へ流入させる大気(空気)は、空気そのもの又は空気を含んだガスでよく、例えば、空気にバリア放電を起こしやすくさせるガスを混ぜてもよい。

0021

このように、質量分析装置100には、特定の流路において特定の方向に空気およびイオン(ガス)の流れ23、24、25、27が生じ、その流れ23、24、25、27に基づいて上流下流が設定できる。すなわち、パルスバルブ(開閉手段)8と、キャピラリ(抑制手段、第二のキャピラリ)9は、イオン源101に対して、空気およびイオン(ガス)の流れ23、24、25、27における上流側に配置されていることになる。試料4(試料容器29)は、イオン源101に対して、空気およびイオン(ガス)の流れ23、24、25、27における下流側に配置されていることになる。試料4(試料容器29)とイオン源101は、オリフィス5と真空チャンバ17に対して、空気およびイオン(ガス)の流れ23、24、25、27における下流側に配置されていることになる。

0022

そして、質量分析装置100の稼動時には、まず、パルスバルブ8を閉じて十分に時間を置くことで、真空チャンバ17内は0.1Pa以下の真空度に到達し、誘電体容器1内と試料容器29内は数十〜数百Paの真空度に到達した状態にする。この状態で、パルスバルブ8を所定の短時間だけ開閉する。キャピラリ9を介して誘電体容器1内および試料容器29内に少量の大気(空気)が流入する(大気の流れ23)。キャピラリ9によって流入する大気の(時間当たりの)流量が再現性良く制限されるので、誘電体容器1と試料容器29内の圧力を、ゆっくり再現性良く上昇させることができる。また、パルスバルブ8を所定の短時間だけ開閉するので、誘電体容器1内および試料容器29内の流入によって増大する圧力の最大値を、再現性良く大気圧未満に抑えることができる。誘電体容器1と試料容器29内の一旦増大した圧力は、パルスバルブ8の閉弁後には、オリフィス5を用いた差動排気により、再現性良くゆっくり降下させることができる。このため、この誘電体容器1内の圧力が、上昇降下している最中に、100Pa〜10,000Paの圧力帯に属している時間を再現性良く長時間確保することができる。この100Pa〜10,000Paの圧力帯下では、大気(空気)を主たる放電ガスとして誘電体バリア放電を行い、高効率に空気中分子から反応イオンを生成することができる。そして、誘電体バリア放電の放電時間等を調整することで高性能な質量分析に必要な量の目的イオンを生成できるだけの反応イオンを生成することができる。反応イオンは、試料容器29において気化している試料4とイオン分子反応を起こして、気化している試料4がイオン化し、試料分子イオン(目的イオン)が、高性能な質量分析に必要な量生成できる。また、イオン源101から、試料容器29、オリフィス5を経て、質量分析部102(真空チャンバ17)まで、直結されているので、イオン源101から質量分析部102までの距離を最短化することができ、反応イオンと試料分子イオンの伝達ロスを最小限にすることができる。そして、高性能な質量分析が可能になる。

0023

また、パルスバルブ8の短時間の開閉に連動して、真空チャンバ17の圧力も一旦上昇し降下する。パルスバルブ8を開閉しても、キャピラリ9とパルスバルブ8とオリフィス5によって、真空チャンバ17の圧力の上昇は小さく抑えられ、パルスバルブ8の閉弁後、短時間に、質量分析部102が質量分析可能な0.1Pa以下の圧力まで下げることができる。短時間で圧力が下げられるので、ターボ分子ポンプ13と粗引きポンプ14の容量を小さくすることができ、質量分析装置100を小型軽量化することができる。また、短時間で圧力が下げられるので、質量分析の繰り返し測定も容易に行うことができる。

0024

真空チャンバ17に流入した試料分子イオンを、質量分析部102の中央部に伝送するために、オリフィス5とインキャップ電極19間に、適当なバイアス電圧が印加され、試料分子イオンを、質量分析部102の中央部の方向に加速させている。例えば、測定したい試料分子イオンが負イオンであった場合、オリフィス5の電位を+20V程度に設定し、インキャップ電極19の電位を+50V程度に設定することができる。また、このようなバイアス電圧を加えることによって、測定しない正イオンを質量分析部102に入れないようにすることもできる。

0025

インキャップ電極19を通過して質量分析部102の中央部に流入した試料分子イオンは、リニアイオントラップ電極18a、18b等とインキャップ電極19、エンドキャップ電極20によって形成される電界によって、質量分析部102の中央部にトラップ(イオン蓄積)される。

0026

図1Bに、質量分析部102の構成図を示す。図1Bに示すように、質量分析部102として、リニアイオントラップ質量分析計を例に説明する。質量分析部102は、リニアイオントラップを有し、リニアイオントラップは、4本の四重極ロッド電極(リニアイオントラップ電極)18a、18b、18c、18dを有している。隣接するリニアイオントラップ電極18a、18b、18c、18d間に、トラップRF電圧22b(リニアイオントラップ電極用電源)を印加する。トラップRF電圧22bは、電極サイズ測定質量範囲により最適値が異なることが知られており、典型的には、振幅5kV以下、周波数500kHz〜5MHz程度のRF(電源)が使用される。このトラップRF電圧22bを印加することで、4本のリニアイオントラップ電極18a、18b、18c、18dで囲まれた空間に試料分子イオン等のイオンをトラップ(イオン蓄積)することができる。

0027

また、向かい合った一対のリニアイオントラップ電極18aと18bの間に、補助交流電圧22a(リニアイオントラップ電極用電源)を印加する。補助交流電圧22aとしては、典型的には振幅50V以下、周波数5kHz〜2MHz程度の単一周波数および複数周波数成分の重畳波形の交流電源が使用される。この補助交流電圧22aを印加することで、トラップされているイオンに対し、特定質量数のイオン(例えば、試料分子イオン)のみを選択しそれ以外を排除したり、特定質量数のイオンを解離してフラグメントイオンを生成したり、質量選択的に該当するイオンを排出する質量スキャンをしたりすることができる。特に、質量スキャンでは、リニアイオントラップ電極18a、18bに加えられた補助交流電圧22aによって、試料分子イオンを、m/z値(質量数/電荷数)が小さい順にリニアイオントラップ電極18aのスリット18eからイオン検出器16への方向(質量分離された試料分子イオンの流れ26の方向)に排出させることができる。
そして、質量選択的に排出されたイオン(イオン排出方向26)は、電子増倍管マルチチャネルプレート、もしくは、コンバージョンダイノードシンチレータフォトマルなどからなるイオン検出器16により、電気的な信号に変換され、制御回路21へ送られ蓄積(記憶)される。

0028

図1Cに、質量分析装置100でスライドバルブ11が閉弁した状態を示す。スライドバルブ11をスライドバルブ移動動方向12aに移動させて、スライドバルブ11を閉弁している。なお、図1Cでは、スライドバルブ11の移動の際に、オリフィス5や試料容器29等は、真空チャンバ17に対して相対的に移動させていないが、これに限らない。すなわち、スライドバルブ11とオリフィス5や試料容器29等を連結させ、スライドバルブ11の移動の際に、オリフィス5や試料容器29等を、スライドバルブ11の移動に連動させて移動させてもよい。そして、スライドバルブ11を閉弁することにより、質量分析の測定はできなくなるが、真空チャンバ17内の高真空を維持したまま、試料容器29ごと試料4を交換することができる。

0029

図1Dに、質量分析装置100において、スライドバルブ11を閉弁し試料容器29を交換(着脱)する様子を示す。試料容器29は、スライドバルブ11の閉弁状態に脱着するのが好ましい。試料容器29は、誘電体容器1や加熱ヒータ3から分離可能になっている。オリフィス5は、コンタミネーション防止のために、試料容器29を交換する際にクリーニングするか、図1Dに示すように試料容器29と一体化させ共に交換してもよい。試料容器29とオリフィス5とを一体化することで、オリフィス5が試料容器29の底部となり試料4を保持するので試料4の充填が容易になるとともに、必ずオリフィス5が交換されることになるので、確実にコンタミネーションを防止することができる。

0030

図2に、パルスバルブ8を開閉したこと(図2(a)参照)に伴う、誘電体容器1の内圧(図2(b)の縦軸)の圧力変動と、真空チャンバ17の内圧(図2(c)の縦軸)の圧力変動を示す。パルスバルブ8を開けると、誘電体容器1内の圧力は、再現性良く数十msで、大気を放電ガスに使用した場合のバリア放電方式のイオン化に適した圧力(例えば1700〜1800Pa)に達する。同時に真空チャンバ17内の圧力が50Pa程度まで徐々に上昇する。その後パルスバルブ8を閉じると、誘電体容器1内と真空チャンバ17内の圧力は徐々に低下し、200m秒後〜3秒後に真空チャンバ17内の圧力が質量分析可能な圧力(0.1Pa以下)到達する。本発明では、バリア放電を誘電体容器1内の圧力に同期させて開始終了することによって、最適なイオン化を実現する。図2(a)に示すように、パルスバルブ8を、50ms〜200msの短時間だけ開弁させると、図2(b)に示すように、誘電体容器1内の圧力は、バリア放電方式のイオン化に適した圧力帯ΔPである100Pa〜10000Paの範囲に入ってくる。誘電体容器1内の圧力が、この圧力帯ΔPの中に入っている時間は、バリア放電方式のイオン化に適した時間帯taとなり、この時間帯ta内であれば、容易にバリア放電を発生させることができる。また、バリア放電方式のイオン化に適した時間帯taは、質量分析で充分な試料分子イオンを確保するのに必要な反応イオンのイオン化に要する時間tb、tc、tdより長くなっている。反応イオンの充分なイオン化に要する時間tb、tc、tdは、バリア放電方式のイオン化に適した時間帯taの中であれば、任意に設定することができる。例えば、時間tbのように、パルスバルブ8の閉弁に同期させて、時間tbの終期としてもよい。また、時間tcのように、パルスバルブ8の閉弁時を跨いで設定してもよいし、時間tdのように、パルスバルブ8の閉弁後に設定してもよい。制御回路21は、設定された時間tb、tc、又はtdにおいて、バリア放電を発生させることになる。バリア放電では、誘電体容器1の外側に配置された2つのバリア放電電極2に、バリア放電用交流電源6から数kV、数MHzの交流電圧を加えると、バリア放電部10にバリア放電が発生する。このバリア放電部10を通過する大気内の水分(H2O)や酸素分子(O2)は、バリア放電によってH3O+やO2−などの反応イオンに変化し、試料4が配置された試料容器29に移動する(反応イオンの流れ24)。

0031

また、図2(c)に示すように、制御回路21は、真空ゲージ15をモニタして、真空チャンバ17内の圧力が充分に低下して0.1Pa以下に達してから質量分析を開始させることによって、適切な質量分析を実現する。

0032

図3に、本発明の第一の実施形態の質量分析装置100における質量分析方法(電圧スイープ方式)のシーケンス(イオン蓄積−排気待ち時間−イオン選択−イオン解離−質量スキャン)に対応させて、(a)パルスバルブの開閉、(b)バリア放電部の圧力、(c)質量分析部の圧力、(d)バリア放電電極の交流電圧、(e)オリフィスDC電圧、(f)インキャップ電極DC電圧、(g)エンドキャップ電極DC電圧、(h)トラップRF電圧、(i)補助交流電圧、(j)イオン検出器のオンオフを示す。図3に示すように、質量分析シーケンスは、イオン蓄積、排気待ち(時間)、イオン選択、イオン解離、質量スキャンの5つのステップから構成されている。なお、イオン蓄積ステップと、排気待ち(時間)ステップとは、図2でも説明したように、同時進行して、時間的に重なっていてもよいのである。

0033

(イオン蓄積ステップ)
まず、図3(a)に示すように、パルスバルブ8を開ける。そうすると、図3(b)と(c)に示すように、バリア放電部10(誘電体容器1)の圧力と質量分析部102の圧力が上昇する。図3(d)に示すように、バリア放電部10(誘電体容器1)の圧力が適当な値に上昇するタイミングに合わせて、バリア放電電極2にバリア放電用交流電源6から数kV、数MHzの交流電圧を印加して、バリア放電を発生させる。パルスバルブ8の開と同時に、図3(e)と(f)に示すように、オリフィス5とインキャップ電極19に適当なバイアス電圧(例えば20V(図3(e)参照)と50V(図3(f)参照))を加え、発生した試料分子イオンを質量分析部102内へ導く。図3(e)と(f)では、測定する試料分子イオンが負イオンであると仮定して、オリフィス5に20V、インキャップ電極19に50Vを印加している。また、図3(g)と(h)に示すように、質量分析部102内へ導かれてきた試料分子イオンを、エンドキャップ電極20に−50Vが印加されて発生する静電場と、リニアイオントラップ電極18a、18b、18c、18dに数MHzのRF電圧が印加されて生じる高周波電界とによって、質量分析部102の中央部に直線的にトラップ(蓄積)する。

0034

十分な量の試料分子イオンがトラップできたタイミングで、図3(d)に示すようにバリア放電用交流電源6からの電圧印加も停止して、バリア放電を止める。また、図3(f)に示すようにインキャップ電極19の電圧正負切り替えて(50Vから−50Vへ)、質量分析部102にトラップした試料分子イオンがインキャップ電極19側に逃げないようにする。なお、図3(d)に示すようにバリア放電を止めるタイミングで、図3(a)に示すようにパルスバルブ8を閉じてもよいが、図2で説明したように必ずしも一致させる必要はない。すなわち、図3破線の矢印で示すように、イオン蓄積ステップは、排気待ちステップと重なってもよい。

0035

(排気待ちステップ)
排気待ちステップでは、パルスバルブ8が閉弁状態となり、真空チャンバ17の圧力が質量分析が可能な0.1Pa以下になるまで待つ。真空チャンバ17内の圧力が0.1Pa以下に低下するまで1〜3秒程度待つ。真空チャンバ17内の圧力は真空ゲージ15でモニタする。

0036

(イオン選択ステップ)
イオン選択ステップでは、トラップされたイオンのうち、特定の範囲のm/z値の試料分子イオン(目的イオン)を選択するために、図3(i)に示すようにリニアイオントラップ電極18aと18bに補助交流電圧22aを加え、図3(h)に示すようにトラップRF電圧22bも高くして、FNF(Filtered Noise Field)処理することで測定したい範囲のm/z値外の試料分子イオンをトラップ領域から排出する。なお、トラップした試料分子イオン全てを質量分離する場合は、このFNF処理は省略される。

0037

(イオン解離ステップ)
イオン解離ステップでは、試料分子イオンをCID(Collision Induced Dissociation)処理してプロダクトイオンを発生させる。図3(i)に示すように、CIDのターゲットとなるプリカーサイオン(目的イオン)のm/z値に合った補助交流電圧22aを、リニアイオントラップ電極18aと18bに加え、プリカーサイオンを質量分析部102にある中性分子(N2やO2)と衝突させてフラグメント(解離)させる(フラグメントイオンの生成)。プリカーサイオンは、補助交流電圧22aに共鳴し、トラップ内で中性分子(バッファガス)と多重衝突して分解し、フラグメントイオンを生成する。バッファガスの圧力としては、0.01〜1Pa程度の圧力が好適である。なお、プロダクトイオンを質量分離する必要がない場合は、このCID処理は省略される。

0038

(質量スキャンステップ)
最後に、図3(h)と(i)に示すように、トラップRF電圧22bと補助交流電圧22aの電圧値波高値)をスイープして、m/z値が小さいイオンから順に、リニアイオントラップ電極18aのスリット18eからイオン検出器16の方向に排出する。m/z値の違いから生じるイオン検出器16での検出タイミングの違いが、質量分析のMSスペクトルとなって記録される。すなわち、検出されたイオンの質量数とその信号量から質量分析スペクトルを取得することができる。質量スキャンステップでは、図3(j)に示すようにイオン検出器16の電圧をオンする必要がある。なお、イオン検出器16の電圧には安定化に時間を要する高電圧が用いられているので、イオン選択ステップやイオン解離ステップの間にオンしておいてもよい。これは、イオン検出器16として、電子増倍管などの圧力が高い領域では高電圧が印加できないものを想定していたためで、イオン検出器16にフォトマルや半導体検出器などを用いる場合は、イオン検出器16の電圧を装置稼働中常にオンにすることができ(常時オン)、オンオフのスイッチング動作を省くことができる。

0039

以上のイオン蓄積、排気待ち、イオン選択、イオン解離、質量スキャンの5つのステップで、MS/MS測定は行われるが、通常のMS測定であれば、選択ステップと解離ステップを省くことができる。また、複数回数MS/MS分析(MSn)を行う場合には、選択ステップと解離ステップを複数回繰り返せばよい。

0040

(第一の実施形態の変形例)
図4に、本発明の第一の実施形態の変形例に係る質量分析装置における質量分析方法(周波数スイープ方式)のシーケンスに対応させて、(a)パルスバルブの開閉、(b)バリア放電部の圧力、(c)質量分析部の圧力、(d)バリア放電電極の交流電圧、(e)オリフィスDC電圧、(f)インキャップ電極DC電圧、(g)エンドキャップ電極DC電圧、(h)トラップRF電圧、(i)補助交流電圧、(j)イオン検出器のオンオフを示す。第一の実施形態の変形例が、第一の実施形態と異なっているのは、質量スキャンステップである。第一の実施形態では、図3(h)と(i)に示すように、トラップRF電圧22bと補助交流電圧22aの電圧値(波高値)をスイープしていたが、変形例では、図4(i)に示すように、補助交流電圧22aの周波数をスイープして、図4(h)に示すように、トラップRF電圧22bは電圧値も周波数も一定に保っている。変形例の周波数スイープ方式でも、m/z値が小さいイオンから順に、リニアイオントラップ電極18aのスリット18eからイオン検出器16の方向にイオンが排出される。

0041

図5に、本発明の第一の実施形態に係る質量分析装置100で実施される質量分析方法のフローチャートを示す。

0042

まず、オペレータは、質量分析装置100に、試料4が入った試料容器29を取り付ける(ステップS1)。そして、質量分析装置100の制御回路21は、試料容器29が取り付けられているか否かを判定する。試料容器29が取り付けられていると判定されるとステップS2に進むが、試料容器29が取り付けられていると判定するまではステップS2に進まない。

0043

次に、制御回路21は、パルスバルブ8を閉じる(ステップS2)。そして、制御回路21は、スライドバルブ11を開ける(ステップS3)。これらにより、バリア放電領域となる誘電体容器1と試料容器29が、オリフィス5を介して差動排気される(ステップS4)。制御回路21は、真空ゲージ15によって真空チャンバ17内の真空度(変化)をモニタして、バリア放電領域が十分排気されたか否か判定する(ステップS5)。具体的には、真空チャンバ17内の真空度が、所定の真空度以下に達したか否か判定する。そして、真空チャンバ17内の真空度が、所定の真空度以下に達していると判定されるとステップS6に進むが、達していると判定するまではステップS6に進まない。

0044

次に、測定を開始するために、パルスバルブ8を開ける(ステップS6)。ステップS6からステップS7とS9へ進む。ステップS7とS9へは、それぞれ定められた所定の時間経過後に進む。ステップS7で、制御回路21は、誘電体容器1において、バリア放電を発生させ、反応イオンを生成させ、試料容器29において、イオン分子反応を起こして、試料分子イオンを発生させる。制御回路21は、発生した試料分子イオンを、オリフィス5とインキャップ電極19を介して、質量分析部102の中央部に導入させ、質量分析部102にトラップさせる(ステップS8)。十分に試料分子イオンがトラップされる所定の時間だけステップS7が実施され、ステップS7に同期してステップS8が実施される。

0045

ステップS9で、制御回路21は、ステップS6でパルスバルブ8を開けてから所定の時間経過後に、パルスバルブ8を閉じる。制御回路21は、質量分析部102の圧力が十分に下がるまで1〜3秒待つ(ステップS10)。具体的には、制御回路21は、真空ゲージ15によって真空チャンバ17内の真空度(変化)をモニタして、真空チャンバ17内の真空度が、所定の真空度以下に達したか否か判定する。そして、真空チャンバ17内の真空度(圧力)が、所定の真空度以下に達していると判定されるとステップS11に進むが、達していると判定するまではステップS11に進まない。

0046

ステップS11で、制御回路21は、イオン選択、イオン解離、質量スキャンを実施して、測定結果を記憶する。

0047

ステップS12で、オペレータからの入力等に基づいて、同一の試料4の測定を終了するか否か判定する。同一の試料4の測定を終了せず、同一試料4で別の測定を継続する場合は、パルスバルブ8を開けるステップ(ステップS6)に戻って、再度測定を実施する。これにより、試料4を繰り返し質量分析することができる。測定を終了する場合は、ステップS13へ進み、スライドバルブ11を閉じる。制御回路21は、パルスバルブ8を開けて(ステップS14)、試料容器29内の圧力を大気圧に戻す。オペレータは、質量分析装置100から、試料4が入った試料容器29を取り外す(ステップS15)。そして、制御回路21は、試料容器29が取り外されているか否かを判定する。そして、試料容器29が取り外されていると判定されるとこのフローをエンドさせるが、試料容器29が取り外されていると判定するまではフローをエンドさせない。別の試料4を測定する場合は、再び、試料容器29を取り付けるステップ(ステップS1)から開始すればよい。

0048

(第二の実施形態)
図6Aに、本発明の第二の実施形態に係る質量分析装置100の構成図を示す。第二の実施形態の質量分析装置100が、第一の実施形態の質量分析装置100と異なっている点は、誘電体容器1と試料容器29の並びの順番が逆になっている点である。すなわち、試料容器29は、第一の実施形態と同様に、パルスバルブ8とキャピラリ9に対して、大気(空気)の流れ23や試料分子(気体)の流れ28における下流側に配置されているが、イオン源101(誘電体容器1)に対して、大気(空気)の流れ23や試料分子(気体)の流れ28における上流側に配置されている点が異なっている。

0049

第一の実施形態では、キャピラリ9から導入された大気内の水分(H2O)や酸素分子(O2)がバリア放電部10でイオン化されて反応イオンとなり、この反応イオンが気化した試料4とイオン分子反応を起こして試料分子イオンを生成する。これに対して、第二の実施形態では、気化した試料4もバリア放電部10を通るため、気化した試料4をバリア放電部10で直接イオン化できる。そのため、第一の実施形態よりもより多くの試料分子イオンの発生させることができる。また、第一の実施形態よりも第二の実施形態の方がイオンを発生させるバリア放電部10の位置が質量分析部102につながるオリフィス5に近いため、発生したイオンの伝送ロスを少なくすることができる。但し、気化した試料4をバリア放電で直接イオン化するとフラグメント(試料分子の分割)を生じる場合があるので、フラグメントが生じやすい場合は第一の実施形態の方が好適である。また、気化した試料4や試料分子イオンによって誘電体容器1もコンタミネーションする可能性があるため、試料4を試料容器29と共に交換する際に、図6Bに示すように、誘電体容器1も交換する必要がある。このため、試料容器29は、誘電体容器(誘電体隔壁)1と一体化され互いに接続されたまま、共に脱着可能になっている。

0050

(第二の実施形態の変形例一)
図6Cに、本発明の第二の実施形態の変形例一に係る質量分析装置100の一部分を示す。第二の実施形態の変形例一では、バリア放電部10を発生させるバリア放電電極2の一方の電極を、オリフィス5が兼ねている。これによって構造を簡略化できるだけでなく、オリフィス5は、誘電体容器1の内部空間に露出し、すなわち、バリア放電部10に露出するので、バリア放電部10を、オリフィス5により近付けることができ、発生したイオンの伝送ロスを少なくすることができる。

0051

(第二の実施形態の変形例二)
図6Dに、本発明の第二の実施形態の変形例二に係る質量分析装置100の一部分を示す。第二の実施形態の変形例二では、バリア放電部10を発生させるバリア放電電極2の一方の電極を、誘電体容器1の内部空間に配置して露出させ、すなわち、バリア放電部10内に配置して露出させている。これによっても、バリア放電部10を発生させることができる。また、第二の実施形態の変形例二は、第二の実施形態だけでなく、第一の実施形態や後記する第三の実施形態でも利用できる。

0052

(第二の実施形態の変形例三)
図6Eに、本発明の第二の実施形態の変形例三に係る質量分析装置100の一部分を示す。第二の実施形態の変形例三の質量分析装置100が、第二の実施形態の質量分析装置100と異なっている点は、試料分子(気体)の流れ28上に、バリア放電部10が発生していない点である。このため、第二の実施形態の変形例三では、試料イオン化容器33が設けられている。試料イオン化容器33は、筒状で、第二の実施形態で誘電体容器1が配置されていた位置、すなわち、オリフィス5と試料容器29の間の位置に配置され、オリフィス5と試料容器29に接続されている。また、試料イオン化容器33の側壁には、誘筒状の電体容器1が接続されている。筒状の誘電体容器1の中心軸延長線と、筒状の試料イオン化容器33の中心軸とは、交差し、直交している。誘電体容器1には、キャピラリ9aとパルスバルブ8aが接続されている。

0053

パルスバルブ8aは、パルスバルブ8と同期して開閉し、キャピラリ9aとパルスバルブ8aを介して、誘電体容器1内に大気(水分、酸素分子)を導入することができる。導入された大気中の水分や酸素分子は、誘電体容器1内のバリア放電部10において、イオン化され、反応イオンとなる。誘電体容器1内のバリア放電部10で生成された反応イオンは、差圧により、試料イオン化容器33に移動する。試料イオン化容器33において、試料分子(気体)の流れ28にのって試料容器29から流入してきた試料分子は、誘電体容器1から流入してきた反応イオンとイオン分子反応をして、試料分子イオンを生成する。生成した試料分子イオンは、試料分子イオンの流れ25となって、試料イオン化容器33から、オリフィス5を通って真空チャンバ17に流入する。これによって、バリア放電部10が、試料分子(気体)の流れ28から離れているので、気化した試料4がバリア放電部10で直接イオン化されず、第一の実施形態と同様に、バリア放電部10でイオン化された大気内の水分や酸素分子の反応イオンによるイオン分子反応で試料分子イオンを生成することができる。また、第二の実施形態の変形例三は、第二の実施形態だけでなく、第一の実施形態や後記する第三の実施形態でも利用できる。なお、キャピラリ9aとパルスバルブ8aは省いてもよく、以下も同様である。

0054

(第二の実施形態の変形例四)
図6Fに、本発明の第二の実施形態の変形例四に係る質量分析装置100の一部分を示す。第二の実施形態の変形例四も第二の実施形態と同様に、試料4がパルスバルブ8と誘電体容器1の間に配置され接続されているが、第二の実施形態の変形例四では第二の実施形態とは異なり、試料4はバイアル瓶31内に入れられている。バイアル瓶31内の試料4の上側のヘッドスペース部32には、試料4が気化し、その気体が生じている。ヘッドスペース部32とパルスバルブ8とは、キャピラリ9bで接続されている。また、ヘッドスペース部32と誘電体容器1とは、キャピラリ9cで接続されている。キャピラリ9cの一端は、誘電体容器1のオリフィス5に対向する壁面から内部空間にまで差し込まれ、バリア放電部10よりもオリフィス5側に達している。キャピラリ9cは、円筒形状をしており、その中心軸は、円筒状の誘電体容器1の中心軸に一致し、そのキャピラリ9cの中心軸の延長上にはオリフィス5が設けられている。なお、キャピラリ9cは、バリア放電電極2から放射される高周波が内部に透過しないように、シールドされ接地されている。

0055

ヘッドスペース法により、パルスバルブ8が開くと、大気の流れ23が生じ、大気が、キャピラリ9、パルスバルブ8、キャピラリ9bを経由して、ヘッドスペース部32に流れ込み、試料4が気化した気体を伴って、キャピラリ9cから流れ出て、気体(試料分子)の流れ28が生じる。試料4が気化した気体は、キャピラリ9cを通ることで、バリア放電部10に直接さらされることなく、また、自ら、放電してイオン化することなく、キャピラリ9cの一端から、オリフィス5の直前の誘電体容器1内に流れ出る。第二の実施形態の変形例三でも、試料分子(気体)の流れ28上に、バリア放電部10は発生せず、試料分子(気体)はバリア放電部10にさらされることはない。

0056

誘電体容器1のオリフィス5に対向する壁面およびその近傍の壁面(バリア放電部10に対向しない壁面)には、キャピラリ9aとパルスバルブ8aが接続されている。パルスバルブ8aは、パルスバルブ8と同期して開閉し、キャピラリ9aとパルスバルブ8aを介して、誘電体容器1内に大気(水分、酸素分子)を導入することができる。導入された大気中の水分や酸素分子は、誘電体容器1内のバリア放電部10において、イオン化され、反応イオンとなる。誘電体容器1内のバリア放電部10で生成された反応イオンは、差圧により、キャピラリ9cの一端の周辺へ、さらには、オリフィス5の直前の誘電体容器1内に移動する。そして、オリフィス5の直前の誘電体容器1内において、試料分子(気体)の流れ28にのってキャピラリ9cから流入してきた気体(試料分子)は、反応イオンとイオン分子反応をして、試料分子イオンを生成する。生成した試料分子イオンは、試料分子イオンの流れ25となって、誘電体容器1から、オリフィス5を通って真空チャンバ17に流入する。

0057

このように、第二の実施形態の変形例四では、パルスバルブ8の開閉動作によってキャピラリ9、9bを通ってバイアル瓶31内のヘッドスペース部32に流入した大気が、ヘッドスペース部32に気化した試料4を押し出し、キャピラリ9cを通ってバリア放電部10よりも下流に導入される。気化した試料4がバリア放電部10で直接イオン化されず、第一の実施形態と同様に、バリア放電部10でイオン化された大気内の水分や酸素分子の反応イオンによるイオン分子反応で試料分子イオンを生成することができる。また、試料4が、液体で、夾雑物が多く含まれている場合などは、このヘッドスペース法によれば、夾雑物の影響を低減することができる。

0058

(第二の実施形態の変形例五)
図6Gに、本発明の第二の実施形態の変形例五に係る質量分析装置100の一部分を示す。第二の実施形態の変形例五の質量分析装置100が、第二の実施形態の変形例三の質量分析装置100と異なっている点は、試料4がバイアル瓶31内に入れられている点である。このバイアル瓶31を用いるヘッドスペース法は、第二の実施形態の変形例四と同様であるが、キャピラリ9cが、変形例四では誘電体容器1に接続されているが、変形例五では、試料イオン化容器33に接続されている点が異なっている。試料イオン化容器33内には、バリア放電部10が発生しないので、試料分子(気体)の流れ28が試料イオン化容器33内に流れ込んでも、試料分子(気体)の流れ28が、バリア放電部10に突っ込むことはない。また、バリア放電部10が試料イオン化容器33内に生じないので、試料イオン化容器33内におけるキャピラリ9cの端部の位置は、基本的には試料イオン化容器33の中心軸上ならどこでもよいが、イオン分子反応の効率を高めるためには、オリフィス5から誘電体容器1の接続位置より離れた位置が好ましい。
第二の実施形態の変形例五によっても、バリア放電部10が、試料分子(気体)の流れ28から離れているので、気化した試料4がバリア放電部10で直接イオン化されず、第一の実施形態と同様に、バリア放電部10でイオン化された大気内の水分や酸素分子の反応イオンによるイオン分子反応で試料分子イオンを生成することができる。

0059

(第二の実施形態の変形例六)
図6Hに、本発明の第二の実施形態の変形例六に係る質量分析装置100の一部分を示す。第二の実施形態の変形例六の質量分析装置100が、第二の実施形態の変形例五の質量分析装置100と異なっている点は、キャピラリ9b、9cの替わりの細管35が埋め込まれて一体化したキャップ34を使って、パルスバルブ8と、バイアル瓶31と、試料イオン化容器33とを接続している。これによってキャピラリ9b、9cで接続した場合よりもバイアル瓶31の交換が容易になる。また、キャップ34の細管35は、バイアル瓶31側の端部に、気体だけを通す多孔質フィルタ36が設けられており、液体や粉体固形物)がキャップ34の細管35に入るのを防いでいる。

0060

(第三の実施形態)
図7Aに、本発明の第三の実施形態に係る質量分析装置100の構成図を示す。第三の実施形態の質量分析装置100が、第二の実施形態の質量分析装置100と異なっている点は、パルスバルブ8が、試料容器29と誘電体容器1との間に配置されて、キャピラリ9が、試料容器29の端部に取り付けられている点である。すなわち、試料4が設けられる試料容器29は、大気(空気)の流れ23や試料分子(気体)の流れ28における、パルスバルブ8とキャピラリ9の間に配置されている。そして。試料4が設けられる試料容器29は、キャピラリ9に対して、大気(空気)の流れ23や試料分子(気体)の流れ28における、下流側に配置され、パルスバルブ8に対して、上流側に配置されている。第一と第二の実施形態では、パルスバルブ8の開閉動作によって、大気が誘電体容器1内および試料容器29内に間欠的に導入されるが、第三の実施形態では、大気と気化された試料4が誘電体容器1に間欠的に導入される。そのため、パルスバルブ8を開けた時だけ、試料4が誘電体容器1や質量分析部102に導入され、試料4による誘電体容器1や質量分析部102のコンタミネーションを少なくすることができる。また、試料容器29がパルスバルブ8の大気側に取り付けられているため、試料容器29の交換が簡単に実施できる。

0061

(第三の実施形態の変形例一)
図7Bに、本発明の第三の実施形態の変形例一に係る質量分析装置100の一部分を示す。第三の実施形態の変形例一では、第三の実施形態と比べ、試料4がパルスバルブ8とキャピラリ9の上流側に配置されている点が異なっている。試料4は、キャピラリ9に対して上流側に配置され、そのキャピラリ9は、パルスバルブ8に対して上流側に配置されている。試料4は、キャピラリ9の先端の近傍であれば、質量分析装置100と独立して離れた場所におくことができる。第三の実施形態の変形例一では、試料4を、試料台30上に載せるだけでよく、試料4が、揮発性の高い化学物質である場合などに好適である。

0062

(第三の実施形態の変形例二)
図7Cに、本発明の第三の実施形態の変形例二に係る質量分析装置100の一部分を示す。第三の実施形態の変形例二も変形例一と同様に、試料4がパルスバルブ8とキャピラリ9の上流側に配置されている。ヘッドスペース法により、試料4は、バイアル瓶31内に入れられ、試料4が揮発したバイアル瓶31のヘッドスペース部32の気体が、ヘッドスペース部32に一端が差し込まれたキャピラリ9から、誘電体容器1内に取り込まれる。試料4が、液体で、夾雑物が多く含まれている場合などは、このヘッドスペース法によれば、夾雑物の影響を低減することができるので、第三の実施形態の変形例二が好適である。

0063

(第三の実施形態の変形例三)
図7Dに、本発明の第三の実施形態の変形例三に係る質量分析装置100の一部分を示す。第三の実施形態の変形例三の質量分析装置100が、第三の実施形態の質量分析装置100と異なっている点は、キャピラリ9cが誘電体容器1の内側に設けられている点である。キャピラリ9cの一端は、パルスバルブ8の流出口に接続されている。キャピラリ9cのもう一端は、誘電体容器1のバリア放電部10よりもオリフィス5側に達している。キャピラリ9cは、円筒形状をしており、その中心軸は、円筒状の誘電体容器1の中心軸に一致し、そのキャピラリ9cの中心軸の延長上にはオリフィス5が設けられている。なお、キャピラリ9cは、バリア放電電極2から放射される高周波が内部に透過しないように、シールドされ接地されている。

0064

誘電体容器1の側壁のバリア放電部10に対向しない上流側の壁面には、キャピラリ9aとパルスバルブ8aが接続されている。パルスバルブ8aは、パルスバルブ8と同期して開閉し、キャピラリ9aとパルスバルブ8aを介して、誘電体容器1内に大気(水分、酸素分子)を導入することができる。導入された大気中の水分や酸素分子は、誘電体容器1内のバリア放電部10において、イオン化され、反応イオンとなる。誘電体容器1内のバリア放電部10で生成された反応イオンは、差圧により、キャピラリ9cの一端の周辺へ、さらには、オリフィス5の直前の誘電体容器1内に移動する。そして、オリフィス5の直前の誘電体容器1内において、試料分子(気体)の流れ28にのってキャピラリ9cから流入してきた気体(試料分子)は、反応イオンとイオン分子反応をして、試料分子イオンを生成する。生成した試料分子イオンは、試料分子イオンの流れ25となって、誘電体容器1から、オリフィス5を通って真空チャンバ17に流入する。
第三の実施形態の変形例三では、気化した試料4はパルスバルブ8の下流のキャピラリ9cを通って、バリア放電部10の下流に導入される。試料4がキャピラリ9cの内側を流れ、キャピラリ9cの外側で、大気がイオン化され、反応イオンが生成される。キャピラリ9cの下流側で、反応イオンによって試料4がイオン化される。これによって、バリア放電部10が、試料分子(気体)の流れ28から離れているので、気化した試料4がバリア放電部10で直接イオン化されず、第一の実施形態と同様に、バリア放電部10でイオン化された大気内の水分や酸素分子の反応イオンによるイオン分子反応で試料分子イオンを生成することができる。

0065

(第三の実施形態の変形例四)
図7Eに、本発明の第三の実施形態の変形例四に係る質量分析装置100の一部分を示す。本発明の第三の実施形態の変形例四に係る質量分析装置100は、第三の実施形態の変形例一の質量分析装置100のパルスバルブ8の上流側と、第三の実施形態の変形例三の質量分析装置100のパルスバルブ8の下流側とを組み合わせた構造をしている。第三の実施形態の変形例四によっても、気化した試料4はパルスバルブ8の下流のキャピラリ9cを通って、バリア放電部10の下流に導入される。これによって、バリア放電部10が、試料分子(気体)の流れ28から離れているので、気化した試料4がバリア放電部10で直接イオン化されず、第一の実施形態と同様に、バリア放電部10でイオン化された大気内の水分や酸素分子の反応イオンによるイオン分子反応で試料分子イオンを生成することができる。

0066

(第三の実施形態の変形例五)
図7Fに、本発明の第三の実施形態の変形例五に係る質量分析装置100の一部分を示す。本発明の第三の実施形態の変形例五に係る質量分析装置100は、第三の実施形態の変形例二の質量分析装置100のパルスバルブ8の上流側と、第三の実施形態の変形例三の質量分析装置100のパルスバルブ8の下流側とを組み合わせた構造をしている。第三の実施形態の変形例五によっても、気化した試料4はパルスバルブ8の下流のキャピラリ9cを通って、バリア放電部10の下流に導入される。これによって、バリア放電部10が、試料分子(気体)の流れ28から離れているので、気化した試料4がバリア放電部10で直接イオン化されず、第一の実施形態と同様に、バリア放電部10でイオン化された大気内の水分や酸素分子の反応イオンによるイオン分子反応で試料分子イオンを生成することができる。

0067

1誘電体容器(誘電体隔壁)
2バリア放電電極(第一の電極と第二の電極)
3加熱ヒータ
4試料(測定試料)
5オリフィス(第一のオリフィス)(第一の電極又は第二の電極)
6バリア放電用交流電源
7ヒータ用電源
8パルスバルブ(開閉手段)
9キャピラリ(第二のキャピラリ)(抑制手段)
10 バリア放電部
11スライドバルブ(チャンバ開閉手段)
12a スライドバルブ移動方向
13ターボ分子ポンプ
14粗引きポンプ
15真空ゲージ
16イオン検出器
17真空チャンバ
18a、18b、18c、18dリニアイオントラップ電極
19インキャップ電極
20エンドキャップ電極
21制御回路
22a リニアイオントラップ電極用電源(補助交流電圧(電源))
22b リニアイオントラップ電極用電源(トラップRF電圧(電源))
23大気(外部から流入するガス(空気))の流れ
24反応イオンの流れ
25試料分子イオンの流れ
26質量分離された試料分子イオンの流れ
27排気される気体分子の流れ
28試料分子(気体)の流れ
29試料容器
30試料台
31バイアル瓶
32ヘッドスペース部
33試料イオン化容器
34キャップ
35細管
36多孔質フィルタ
100質量分析装置
101イオン源
102質量分析部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ