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技術 面状発熱体

出願人 青山産業株式会社
発明者 青山元裕
出願日 2010年10月1日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2010-223510
公開日 2012年4月19日 (7年6ヶ月経過) 公開番号 2012-079538
状態 特許登録済
技術分野 面発熱体 抵抗加熱
主要キーワード 絶縁糸 シートヒーター 中心糸 金属単線 発熱塗料 サーモメーター 各面状発熱体 膝掛け
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年4月19日)のものです。
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図面 (8)

課題

発熱特性が均一で部分的な温度ムラが生じることがなく、良好な可撓性を有して繰り返し屈曲されたときにも発熱特性の耐久性が良好で、また、電極糸との接点での摩耗により電極の作用が阻害されることがない面状発熱体を提供する。

解決手段

導電性粒子を分散してなるポリブチレンテレフタレート樹脂溶融紡糸してモノフィラメント発熱糸を形成する。このモノフィラメント発熱糸15を緯糸とし、電気絶縁性の糸を経糸として織り込んでなる織物に、当該モノフィラメント発熱糸15に電圧印加するための電極糸を配して面状発熱体10を構成する。

概要

背景

従来、床暖房システムホットカーペット融雪シートなどの用途には、導電性カーボン粒子などを合成樹脂中に分散させた導電性塗料織物などの表面に塗布或いは含浸したシート材料電極線を配した面状発熱体が使用されている。しかし、これらの面状発熱体においては、導電性塗料の塗布或いは含浸が不均一になりやすく、面状発熱体に部分的な温度ムラが生じやすいという不具合があった。

また、織物の全面に導電性塗料が塗布或いは含浸されているので織糸どうしが接着され、織物の特性である可撓性が低下して曲げにくく、床暖房システムなどの施工時に施工し辛いという不具合があった。

そこで、下記特許文献1には、可撓性に富む合成樹脂発熱糸を織り込んだ面状発熱体が提案されている。この面状発熱体に使用される合成樹脂発熱糸は、絶縁性合成樹脂繊維からなる芯糸の周囲に、導電性塗料の表面層が積層されている。

概要

発熱特性が均一で部分的な温度ムラが生じることがなく、良好な可撓性を有して繰り返し屈曲されたときにも発熱特性の耐久性が良好で、また、電極糸との接点での摩耗により電極の作用が阻害されることがない面状発熱体を提供する。導電性粒子を分散してなるポリブチレンテレフタレート樹脂溶融紡糸してモノフィラメント発熱糸を形成する。このモノフィラメント発熱糸15を緯糸とし、電気絶縁性の糸を経糸として織り込んでなる織物に、当該モノフィラメント発熱糸15に電圧印加するための電極糸を配して面状発熱体10を構成する。

目的

本発明は、以上のようなことに対処して、発熱特性が均一で部分的な温度ムラが生じることがなく、良好な可撓性を有して繰り返し屈曲されたときにも発熱特性の耐久性が良好で、また、電極糸との接点での摩耗により電極の作用が阻害されることがない面状発熱体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

導電性発熱糸経糸又は緯糸として織成してなる織物に、当該導電性発熱糸に電圧印加するための電極糸を配してなる面状発熱体において、前記導電性発熱糸は、導電性粒子を分散してなるポリブチレンテレフタレート樹脂溶融紡糸して形成されるモノフィラメント発熱糸であることを特徴とする面状発熱体。

請求項2

前記導電性粒子は、カーボンブラックカーボンファイバーカーボンウィスカー、カーボンナノチューブフラーレン金属粉、及び、金属フィラーからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の面状発熱体。

請求項3

前記モノフィラメント発熱糸の繊度は、560(dtex)〜2200(dtex)の範囲以内であって、このモノフィラメント発熱糸の体積抵抗率は、0.1(Ω・cm)〜50(Ω・cm)の範囲以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の面状発熱体。

請求項4

前記織物は、互いに並行に配された前記モノフィラメント発熱糸とこのモノフィラメント発熱糸どうしの間に配される第1の絶縁糸とを緯糸とし、第2の絶縁糸を経糸として織成してなる異方導電性織物であって、前記電極糸は、前記異方導電性織物の経糸方向に並行に少なくとも2列織り込まれて、当該異方導電性織物の幅方向端部及び当該端部から一定の間隔を隔てて配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の面状発熱体。

請求項5

前記電極糸は、2対以上からなる電極糸であって、これらの電極糸は、前記異方導電性織物の幅方向端部及び当該端部から一定の間隔毎に複数列配されていることを特徴とする請求項4に記載の面状発熱体。

請求項6

前記第1及び第2の絶縁糸は、同一又は異種のマルチフィラメント絶縁糸であることを特徴とする請求項4又は5に記載の面状発熱体。

請求項7

前記織物に織り込まれた前記モノフィラメント発熱糸の織り密度は、15(本/インチ)〜70(本/インチ)の範囲以内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の面状発熱体。

請求項8

前記電極糸は、絶縁性芯糸の周囲に金属箔ラッピング処理してなる金属箔糸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の面状発熱体。

技術分野

0001

本発明は、面状発熱体に関し、更に詳しくは、床暖房システムなどに使用される面状発熱体に関するものである。

背景技術

0002

従来、床暖房システム、ホットカーペット融雪シートなどの用途には、導電性カーボン粒子などを合成樹脂中に分散させた導電性塗料織物などの表面に塗布或いは含浸したシート材料電極線を配した面状発熱体が使用されている。しかし、これらの面状発熱体においては、導電性塗料の塗布或いは含浸が不均一になりやすく、面状発熱体に部分的な温度ムラが生じやすいという不具合があった。

0003

また、織物の全面に導電性塗料が塗布或いは含浸されているので織糸どうしが接着され、織物の特性である可撓性が低下して曲げにくく、床暖房システムなどの施工時に施工し辛いという不具合があった。

0004

そこで、下記特許文献1には、可撓性に富む合成樹脂発熱糸を織り込んだ面状発熱体が提案されている。この面状発熱体に使用される合成樹脂発熱糸は、絶縁性合成樹脂繊維からなる芯糸の周囲に、導電性塗料の表面層が積層されている。

先行技術

0005

特開平9−326291号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、上記特許文献1の面状発熱体では、織物に織り込まれた合成樹脂発熱糸どうしは接着されておらず、織物の特性である可撓性は維持されており曲げやすく、床暖房システムなどの施工時に施工し辛いという不具合を生じることはない。

0007

しかし、上記特許文献1の面状発熱体では、合成樹脂発熱糸の周囲に形成された導電性塗料の表面層が不均一となりやすく、面状発熱体の部分的な温度ムラは依然解消されていない。また、面状発熱体を曲げたときに導電性塗料の表面層が剥離して耐久性に乏しく、温度ムラが更に大きくなり、床暖房システムなどの性能が低下するという問題があった。更に、電極には導電性の良好な金属を具備した電極糸が使われるため、この電極糸と合成樹脂発熱糸との接点での摩耗により、導電性塗料の表面層が剥離して電極としての作用が阻害されるという問題があった。

0008

そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、発熱特性が均一で部分的な温度ムラが生じることがなく、良好な可撓性を有して繰り返し屈曲されたときにも発熱特性の耐久性が良好で、また、電極糸との接点での摩耗により電極の作用が阻害されることがない面状発熱体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、導電性粒子を分散させた合成樹脂を紡糸してモノフィラメント発熱糸を作成し、このモノフィラメント発熱糸を織り込んだ面状発熱体により上記課題を解決できることを見出し本発明の完成に至った。

0010

即ち、本発明に係る面状発熱体は、請求項1の記載によると、
導電性発熱糸(15)を経糸又は緯糸として織成してなる織物(11)に、当該導電性発熱糸に電圧印加するための電極糸(12)を配してなる面状発熱体(10)において、
上記導電性発熱糸は、導電性粒子を分散してなるポリブチレンテレフタレート樹脂溶融紡糸して形成されるモノフィラメント発熱糸であることを特徴とする。

0011

上記構成によれば、面状発熱体を構成する織物に織り込まれた導電性発熱糸どうしは接着されておらず、織物の特性である可撓性は維持されており曲げやすい。また、この導電性発熱糸は、導電性粒子を内部に分散したポリブチレンテレフタレート樹脂を溶融紡糸して形成されるモノフィラメント発熱糸からなり、芯糸の周囲に導電性塗料の表面層が積層されてなる従来の導電性発熱糸と異なり、均一な導電性を有する。

0012

また、このモノフィラメント発熱糸においては、導電性粒子がポリブチレンテレフタレート樹脂中に分散されており、従来の導電性発熱糸のように面状発熱体を曲げたときに導電性塗料の表面層が剥離するということがない。更に、このモノフィラメント発熱糸が金属を具備した電極糸との接点で摩耗されても、電極の作用が阻害されるということがない。

0013

よって、請求項1に記載の発明においては、発熱特性が均一で部分的な温度ムラが生じることがなく、良好な可撓性を有して繰り返し屈曲されたときにも発熱特性の耐久性が良好で、また、電極糸との接点での摩耗により電極の作用が阻害されることがない面状発熱体を提供することができる。

0014

また、本発明は、請求項2の記載によると、請求項1に記載の面状発熱体であって、
上記導電性粒子は、カーボンブラックカーボンファイバーカーボンウィスカー、カーボンナノチューブフラーレン金属粉、及び、金属フィラーからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。

0015

上記各導電性粒子は、いずれも、導電性が良好な粒子であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂中に均一に分散して溶融紡糸した際に、紡糸されたモノフィラメント発熱糸は、良好な導電性を発揮することができる。従って、これらの導電性粒子のうち少なくとも1種の導電性粒子を採用することにより、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0016

また、本発明は、請求項3の記載によると、請求項1又は2に記載の面状発熱体であって、
上記モノフィラメント発熱糸(15)の繊度は、560(dtex)〜2200(dtex)の範囲以内であって、
このモノフィラメント発熱糸の体積抵抗率は、0.1(Ω・cm)〜50(Ω・cm)の範囲以内であることを特徴とする。

0017

このように、モノフィラメント発熱糸の繊度と、このモノフィラメント発熱糸の体積抵抗率とを所定範囲以内とすることにより、請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0018

また、本発明は、請求項4の記載によると、請求項1〜3のいずれか1つに記載の面状発熱体であって、
前記織物は、
互いに並行に配されたモノフィラメント発熱糸(15)とこのモノフィラメント発熱糸どうしの間に配される第1の絶縁糸(16)とを緯糸とし、第2の絶縁糸(17)を経糸として織成してなる異方導電性織物(11)であって、
上記電極糸(12)は、上記異方導電性織物の経糸方向に並行に少なくとも2列織り込まれて、当該異方導電性織物の幅方向端部及び当該端部から一定の間隔を隔てて配されていることを特徴とする。

0019

このように、異方導電性織物の緯糸をモノフィラメント発熱糸と第1の絶縁糸とから構成し、一方、異方導電性織物の経糸を第2の絶縁糸から構成する。また、異方導電性織物の経糸方向に並行に織り込まれた少なくとも2列の電極糸は、上述のように、一定の間隔を隔てて配されている。このことにより、電極糸間に電圧が印加された際、面状発熱体は均一に発熱する。従って、請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0020

また、本発明は、請求項5の記載によると、請求項4に記載の面状発熱体であって、
上記電極糸(12)は、2対以上からなる電極糸であって、
これらの電極糸は、上記異方導電性織物(11)の幅方向端部及び当該端部から一定の間隔毎に複数列配されていることを特徴とする。

0021

このように、電極糸を2対以上使用することにより、1つの面状発熱体上に複数の発熱面を構成することができる。従って、複数の発熱面でそれぞれ安定した発熱特性を発揮することができ、請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0022

また、本発明は、請求項6の記載によると、請求項4又は5に記載の面状発熱体であって、
上記第1及び第2の絶縁糸(16、17)は、同一又は異種のマルチフィラメント絶縁糸であることを特徴とする。

0023

このように、経糸及び緯糸に使用する絶縁糸をマルチフィラメント絶縁糸としてもよい。従って、請求項6に記載の発明においては、請求項4又は5に記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0024

また、本発明は、請求項7の記載によると、請求項1〜6のいずれか1つに記載の面状発熱体であって、
上記織物(11)に織り込まれた上記モノフィラメント発熱糸(15)の織り密度は、15(本/インチ)〜70(本/インチ)の範囲以内であることを特徴とする。

0025

このように、モノフィラメント発熱糸の織り密度を所定範囲以内にすることにより、請求項7に記載の発明においては、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0026

また、本発明は、請求項8の記載によると、請求項1〜7のいずれか1つに記載の面状発熱体であって、
上記電極糸(12)は、絶縁性の芯糸の周囲に金属箔ラッピング処理してなる金属箔糸であることを特徴とする。

0027

このように、電極糸に上記金属箔糸を採用することにより、請求項8に記載の発明においては、請求項1〜7のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。

0028

なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。

図面の簡単な説明

0029

本発明に係る面状発熱体の一実施形態を示す正面図である。
図1において、Aの部分を拡大して示す拡大図である。
図2において、W−W線に沿った横断面図である。
図2において、X−X線に沿った横断面図である。
図2において、Y−Y線に沿った縦断面図である。
図2において、Z−Z線に沿った縦断面図である。
各実施例においてPBTモノフィラメント発熱糸の織り密度と面状発熱体の表面温度との関係を示す相関図である。

0030

以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る面状発熱体の一実施形態を示す正面図である。

0031

図1において、面状発熱体10は、緯糸に発熱糸、経糸に絶縁糸を配した平織りの異方導電性織物11(後述する)と、この異方導電性織物11に電圧を印加するための電極糸12a〜12dとを備えている。

0032

電極糸12a〜12dは、異方導電性織物11の幅方向緯糸方向左右両端部及び当該両端部から等間隔の織物中央部に経糸の一部として織り込まれており、この電極糸12a〜12dは、緯糸に配される発熱糸に交差するように織り込まれている(後述する)。この電極糸12a〜12dは、その織り端末の一方端部に電源に接続するためのソケット14a〜14dを具備している。

0033

また、この面状発熱体10は、その表裏両面にポリエチレンテレフタレートフィルム13(以下、PETフィルム13ともいう)を具備しており、このPETフィルム13は、異方導電性織物11の表裏両面からラミネートされ、面状発熱体10の表面に電気絶縁性を与えている。このPETフィルム13のラミネートは、通常の方法で行えばよく、例えば、熱融着或いは接着剤による接着などで行えばよい。

0034

図2は、図1に示す異方導電性織物11の部分拡大図であって、図2において、異方導電性織物11には、緯糸として2種類の糸が織り込まれている。一方の緯糸は、発熱糸として作用するものであって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂という)からなるモノフィラメント糸15(以下、PBTモノフィラメント発熱糸15という)であり、繊維内部に導電性粒子を含有している。ここで、モノフィラメント糸とは、1本の単繊維から構成される糸をいい、1本の繊維が太いので柔軟性が若干低い。

0035

他方の緯糸は、絶縁糸として作用するものであって、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂という)からなるマルチフィラメント糸16(以下、PETマルチフィラメント絶縁糸16という)である。ここで、マルチフィラメント糸とは、複数本の繊維を束ねて構成される糸をいい、1本ずつの繊維が細いので柔軟性が高い。

0036

図2においては、PBTモノフィラメント発熱糸15とPETマルチフィラメント絶縁糸16とが1本ずつ交互に並行に配列するように織り込まれている。

0037

一方、図2において、異方導電性織物11には、経糸として2種類の糸が織り込まれている。一方の経糸は、緯糸に使用するものと同一のPETマルチフィラメント絶縁糸17であって、異方導電性織物11の略全体に亘って織り込まれている。

0038

他方の経糸は、電気伝導性の高い金属などを具備した電極糸12aであって、本実施形態においては、図2に示すように、電極糸12aは、異方導電性織物11の右端部側に2本引き揃えて3列織り込まれている。同様に、電極糸12bは、異方導電性織物11の左端部側に2本引き揃えて3列織り込まれている(図1参照)。

0039

また、織物中央部においては、図1に示すように、電極糸12c、12dは、それぞれ、2本引き揃えて3列が2組織り込まれている。すなわち、電極糸12cは、右端部側の電極糸12aに対応して1対の電極を形成し、一方、電極糸12dは、左端部側の電極糸12bに対応して1対の電極を形成している。このことにより、異方導電性織物11には、左右2面の発熱面11a、11bが形成されている(図1参照)。

0040

ここで、異方導電性織物11の経糸或いは緯糸を構成する上述の3種類の糸の交差状態について説明する。図2において、異方導電性織物11は、経糸及び緯糸が交互に交差するように織成された平織組織の織物であるが、その中で、一方の緯糸であるPBTモノフィラメント発熱糸15は、太い単糸からなり他の糸より柔軟性が低く、異方導電性織物11に織り込まれても経糸と交差して波打つことなく、直線状のまま織り込まれている(図3参照)。

0041

これに対して、他方の緯糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸16は、複数の細い繊維からなり高い柔軟性を有することから、経糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸17或いは2本引き揃えられた電極糸12aと互いに湾曲しながら交差している(図4参照)。

0042

一方の経糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸17は、複数の細い繊維からなり高い柔軟性を有することから、緯糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸16と互いに湾曲しながら交差している(図5参照)。

0043

また、他方の経糸である電極糸12aは、後述するように、柔軟性を有するものを使用し、緯糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸16と互いに湾曲しながら交差している(図6参照)。

0044

このように、緯糸であるPBTモノフィラメント発熱糸15は、他の糸より柔軟性が低く直線状のまま織り込まれているが、経糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸17及び電極糸12aが高い柔軟性を有してPBTモノフィラメント発熱糸15に湾曲状に接触している。このことにより、この接触点摩擦力により異方導電性織物11の織組織が乱れてPBTモノフィラメント発熱糸15が織組織からずれることがない。

0045

また、本実施形態においては、各PBTモノフィラメント発熱糸15の間に柔軟性を有するPETマルチフィラメント絶縁糸16が緯糸として織り込まれている。このPETマルチフィラメント絶縁糸16と経糸であるPETマルチフィラメント絶縁糸17とが互いに湾曲しながら交差することにより、この交差部分の摩擦力により異方導電性織物11の織組織が乱れることがない。

0046

更に、経糸である電極糸12aは、高い柔軟性を有して緯糸であるPBTモノフィラメント発熱糸15に交差している。このことにより、電極糸12aがPBTモノフィラメント発熱糸15からずれることなく、且つ、接触面積を十分に確保して電極としての役割を十分に果たしている。

0047

以下、異方導電性織物11に織り込まれる3種類の糸について説明する。まず、PBTモノフィラメント発熱糸15は、PBT樹脂に導電性粒子を分散してなるマスターバッチを使用して溶融紡糸法により形成する。

0048

ここで、PBT樹脂は、熱可塑性の樹脂であって、面状発熱体に要求される温度範囲での耐熱性を有しており、同じ熱可塑性樹脂であるポリエチレン樹脂などに比べ、面状発熱体の発熱時に熱収縮が生じにくく耐熱特性に優れている。

0049

また、PBT樹脂は、非常に結晶性の高い樹脂であって、紡糸したときに導電性粒子の配列状態を良好にすることができ、導電性粒子の導電特性を効率よく発揮することができる。その結果、PBT樹脂を採用することにより、PBT樹脂に含有する導電性粒子の量をある程度低減することができ、PBTモノフィラメント発熱糸15の繊維強度を良好に維持することができる。

0050

このPBT樹脂の紡糸は、他の熱可塑性樹脂と同様に溶融紡糸で行うことができるので、均一なPBTモノフィラメント発熱糸15を低コストで形成することができ、良好な発熱特性を有する面状発熱体を安価に製造することができる。

0051

ここで、導電性粒子は、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン、金属粉、及び、金属フィラーからなる群より選ばれる。これらの中でも、安価、軽量であり、PBT樹脂中に均一に分散することが容易であることから、カーボンブラック或いはカーボンウィスカーが特に好ましい。また、これらの導電性粒子の粒子径とPBT樹脂中の含有量は、本発明の効果を発揮する範囲で任意に選択すればよい。

0052

但し、PBT樹脂の溶融紡糸時延伸条件によりPBTモノフィラメント発熱糸15中の導電性粒子の分散状態が変化して繊維密度或いは繊維方向への電気抵抗値が異なることがある。従って、紡糸されたPBTモノフィラメント発熱糸15の体積抵抗率が、発熱特性に適した10-1Ω・cm〜101Ω・cmのオーダーとなるように紡糸することが望ましい。

0053

このように発熱糸としての電気抵抗値と繊維強度を実用範囲内に維持する観点から、PBTモノフィラメント発熱糸15の繊度は極端に細くすることができず、この理由から、マルチフィラメント発熱糸ではなくモノフィラメント発熱糸を採用する。換言すれば、本発明においては、PBTモノフィラメント発熱糸15の繊度は、560dtex〜2200dtexの範囲以内であることが好ましく、更に、1450dtex〜2200dtexの範囲以内であることがより好ましい。

0054

PBTモノフィラメント発熱糸15の繊度が560dtexより細い場合には、要求される電気抵抗値を維持するのに必要な量の導電性粒子を含有すると、繊維の強度低下が大きくなり実用的な面状発熱体を織成することができなくなる。一方、PBTモノフィラメント発熱糸15の繊度が2200dtexより太い場合には、モノフィラメント糸自体が非常に硬くなり、織成することが難しく、また、織物自体が柔軟性を欠き施工時など使用状態に問題が生じる。

0055

また、PBTモノフィラメント発熱糸15の体積抵抗率は、上記発熱特性に適した10-1〜101Ω・cmのオーダーの中でも、特に、0.1Ω・cm〜50Ω・cmの範囲以内であることが好ましく、更に、1Ω・cm〜30Ω・cmの範囲以内であることがより好ましい。繊度が上記範囲以内にあるPBTモノフィラメント発熱糸15の体積抵抗率が、この範囲以内にあることにより、良好な発熱特性を有する面状発熱体を構成することができる。

0056

ここで、異方導電性織物11に緯糸として織り込まれるPBTモノフィラメント発熱糸15の織り密度は、15本/インチ〜70本/インチの範囲以内であることが好ましく、更に、20本/インチ〜50本/インチの範囲以内であることがより好ましい。繊度及び体積抵抗率が上記範囲以内にあるPBTモノフィラメント発熱糸15をこの織り密度で織成することにより、良好な発熱特性を有する面状発熱体を構成することができる。

0057

次に、PETマルチフィラメント絶縁糸は、電気絶縁性を有する糸であり、且つ、上記PBTモノフィラメント発熱糸15と織成することのできるものであれば、どのような絶縁糸を使用してもよい。特に、本実施形態において、モノフィラメント糸ではなくマルチフィラメント糸を採用するのは、高い柔軟性を有してPBTモノフィラメント発熱糸15に追従して湾曲状に接触し、この接触点の摩擦力によりPBTモノフィラメント発熱糸15が織組織からずれることを防ぐためである。

0058

また、電極糸12a〜12dは、PBTモノフィラメント発熱糸15に電圧を印加するために使用されるので、PBTモノフィラメント発熱糸15との接触面積を多く得ることが好ましい。従って、電極糸12a〜12dは、高い柔軟性を有してPBTモノフィラメント発熱糸15に追従して湾曲状に接触し、この大きな接触面積により安定して電圧を印加することができるものがよい。

0059

これらの点から、銅線などの金属単線を使用するのではなく、柔軟性を有する金属複合糸を使用することがよい。これらの金属複合糸としては、例えば、一般電気銅線を伸線圧延したものを中心糸にラッピング処理した銅箔糸などを採用すればよい。

0060

この銅箔糸には、PET樹脂からなる絶縁糸などを中心糸としてもよく、ラッピングする銅箔には錫、銀、金などのメッキを施すようにしてもよい。これらの銅箔糸は、可撓性、柔軟性、軽量性に特に優れており、PBTモノフィラメント発熱糸15に追従して湾曲状に接触し、大きな接触面積をもつことができる。また、金属線が柔軟な銅箔からなることにより、銅箔糸とPBTモノフィラメント発熱糸15との接触面に傷が入ることもなく、屈曲への追従が容易となる。

0061

更に、電極糸12a〜12dとPBTモノフィラメント発熱糸15との接触面積を多く得るために、1か所の電極に複数本の電極糸を採用することが好ましい。例えば、本実施形態のように、複数本の電極糸12a〜12dを引き揃えて織り込む、或いは、複数列の経糸に織り込むようにすることが好ましい。

0062

以下、本実施形態において、次のような実施例1〜4の各面状発熱体10を作成し、その発熱特性を測定した。
(面状発熱体の作成)
各実施例において緯糸に使用したPBTモノフィラメント発熱糸15は、導電性粒子としてカーボンブラックを採用し、カーボンブラックを29重量%含有したPBT樹脂マスターバッチを使用して、紡糸温度:245(℃)、延伸倍率:2.5倍として溶融紡糸して得られた。

0063

得られたPBTモノフィラメント発熱糸15は、繊度:1678dtex、切断時引張強力:1.07daN、切断時伸度:9.8%、繊維密度:1.36、繊維の長さ方向への電気抵抗値:1.21×104Ω/cm、この電気抵抗値から計算した体積抵抗率:15.6Ω・cmの各特性値を示していた。このように、得られたPBTモノフィラメント発熱糸15の繊度は、560dtex〜2200dtexの範囲以内にあり、体積抵抗率は、0.1Ω・cm〜50Ω・cmの範囲以内にあることを確認した。

0064

なお、切断時引張強力及び切断時伸度は、オートグラフAGS−100G(株式会社島津製作所製)を使用して測定し、電気抵抗値は、DCミリオームメータGOM−802(GW INSTEK社製)を使用して、温度20℃、湿度65%の条件で測定した。また、繊維密度は、アルキメデス比重法により測定した。

0065

また、各実施例において経糸及び緯糸には、同じPETマルチフィラメント絶縁糸を使用した。このPETマルチフィラメント絶縁糸16、17には、330dtex(96フィラメント)の糸をインターレース加工により各フィラメント間交絡したものを採用した。

0066

また、各実施例において使用した電極糸12には、PET樹脂からなるマルチフィラメント絶縁糸を中心糸とし、錫メッキを施した圧延銅箔をラッピング処理した銅箔糸を採用した。

0067

本実施例1〜4の各面状発熱体10は、緯糸としてPBTモノフィラメント発熱糸15をそれぞれ、22、27、32及び42本/インチと変化させて織り込むようにして作成した(表1参照)。

0068

また、各実施例において、各PBTモノフィラメント発熱糸15の間には、その織り密度に対応させて、それぞれの間隙を埋める本数のPETマルチフィラメント絶縁糸16を配するようにした。

0069

一方、各実施例の経糸としては、PETマルチフィラメント絶縁糸17のみを使用し、織り密度を81本/インチとして統一した。

0070

また、実施例1〜4の各面状発熱体10は、上述のように、その幅方向左右両端部及び中央部に電極糸12a〜12dを経糸の一部として織り込んでおり(図1参照)、これら各対の電極糸間(12aと12c、12bと12d)の距離は、125mmであった。

0071

このようにして織成した各面状発熱体10は、それぞれ、左右に2面の発熱面11a、11bを有している(図1参照)。
(発熱特性の測定)
上述のようにして作成した各面状発熱体10の各電極糸間に100Vの交流電圧を印加し、5分後の各面状発熱体10の表面温度を測定した。表面温度の測定には、デジタルサーモメーターHA−100E(安立計器株式会社製)を使用した。

0072

測定した各面状発熱体10の左右両面11a、11bの各表面温度と左右両面11a、11b間の温度差を表1に示す。また、PBTモノフィラメント発熱糸15の織り密度と表面温度との関係を図7に示す。

0073

表1及び図7から分かるように、実施例1〜4の各面状発熱体10においては、PBTモノフィラメント発熱糸15の織り密度と表面温度は、正の相関関係を示している。例えば、PBTモノフィラメント発熱糸15を28〜29本/インチ織り込むことにより、約60℃の発熱温度を得ることができ、また、42〜43本/インチ織り込むことにより、約80℃の発熱温度を得ることができる。このことにより、面状発熱体10の発熱温度は、PBTモノフィラメント発熱糸15の織り密度を変化させることにより、任意の温度に設計することができる。

0074

また、表1から分かるように、各面状発熱体10の左右両発熱面11a、11b間の温度差は、約1℃程度であり非常に小さい。このことは、従来の発熱塗料を織物に塗布或いは含浸した面状発熱体の左右両発熱面間の温度差が10℃程度あったことに比べ、非常に良好であり、安定した発熱特性を有していることが分かる。

0075

上述したように、本実施形態においては、面状発熱体10の緯糸として、溶融紡糸して得られるPBTモノフィラメント発熱糸15を採用する。このPBTモノフィラメント発熱糸15どうしは接着されておらず、これらの面状発熱体10においては、織物の特性である可撓性は維持されており曲げやすい。

0076

また、このPBTモノフィラメント発熱糸15は、導電性粒子としてのカーボンブラックを繊維内部に分散して形成されるものであり、芯糸の周囲に導電性塗料の表面層が積層されてなる従来の導電性発熱糸と異なり、均一な導電性を有する。

0077

更に、このPBTモノフィラメント発熱糸15は、上述のように、カーボンブラックを繊維内部に分散して形成されるものであり、従来の導電性発熱糸のように面状発熱体10を曲げたときに導電性塗料の表面層が剥離するということがない。また、このPBTモノフィラメント発熱糸15が銅箔糸からなる電極糸12a〜12dとの接点で摩耗されても、電極の作用が阻害されるということがない。

0078

以上のことから、本実施形態においては、発熱特性が均一で部分的な温度ムラが生じることがなく、良好な可撓性を有して繰り返し屈曲されたときにも発熱特性の耐久性が良好で、また、電極糸との接点での摩耗により電極の作用が阻害されることがない面状発熱体を提供することができる。

実施例

0079

なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限らず次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、各実施例においてPBTモノフィラメント発熱糸の織り密度と発熱温度との相関関係を求めたが、この相関関係に基づいて、要求される発熱温度に対応する本数のPBTモノフィラメント発熱糸を織り込むようにすれば、任意の発熱温度を有する面状発熱体を設計することができる。
(2)上記実施形態においては、一定の電極糸間隔及び一定の電圧における、PBTモノフィラメント発熱糸の織り密度と発熱温度との相関関係を求めたが、電極糸間隔或いは当該電極糸間に印加する電圧を変化させるようにして、任意の発熱温度を有する面状発熱体を設計するようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、面状発熱体の発熱面は、左右2面を有するようにして作成したが、面状発熱体の発熱面は、任意の枚数で作成するようにすればよい。
(4)上記実施形態においては、PBTモノフィラメント発熱糸として、繊度が1678dtex、体積抵抗率が15.6Ω・cmの糸を採用したが、これに限るものではなく、本発明の効果を発揮するものであれば、任意の繊度及び体積抵抗率を有する糸を採用すればよい。このとき、当該糸の特性値に対応させた織物設計とすればよい。
(5)上記実施形態においては、PBTモノフィラメント発熱糸は、単糸として面状発熱体に織り込んだが、これに限るものではなく、2本、3本或いはそれ以上引き揃えて織り込んでもよく、又は、複数本をより糸としてから織り込むようにしてもよい。このようにすることにより、電気抵抗値の安定性が更に向上する。
(6)上記実施形態においては、電気絶縁糸としてPETマルチフィラメント絶縁糸を採用するが、これに限るものではなく、電気絶縁糸の材質及び構成は、電気絶縁性を有するものであればどのような糸を採用するようにしてもよい。
(7)上記実施形態においては、電極糸としてラッピング銅箔糸を採用するが、これに限るものではなく、電極糸の材質及び構成は、電極として作用するものであればどのような糸を採用するようにしてもよい。
(8)上記実施形態においては、1か所の電極糸の本数を2本引き揃えて3列配したが、これに限るものではなく、1か所の電極糸の本数を多くしてPBTモノフィラメント発熱糸との接触面積を更に大きくし、電極の安定性を維持するようにしてもよい。例えば、2本或いは3本引き揃えて、5〜10列配するようにしてもよい。

0080

本発明に係る面状発熱体は、従来の面状発熱体と比較して、導電性が均一で温度ムラが発生にしにくく、柔軟性に富み、曲げに強いという特徴を有する。このことにより、床暖房システムへの利用にとどまらず、自動車シートヒーター膝掛けヒーターロードヒーティング、融雪シート、健康器具などにも広く利用することができる。

0081

10…面状発熱体、11…異方導電性織物、11a、11b…発熱面、
12a〜12d…電極糸、13…PETフィルム、14a〜14d…ソケット、
15…PBTモノフィラメント発熱糸、16、17…PETマルチフィラメント絶縁糸。

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