図面 (/)

技術 生分解性を有する多層フィルム

出願人 昭和電工株式会社
発明者 木村秀治市川靖石井明
出願日 2010年10月6日 (10年2ヶ月経過) 出願番号 2010-226585
公開日 2012年4月19日 (8年8ヶ月経過) 公開番号 2012-076443
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 高分子組成物 生分解性ポリマー
主要キーワード 機械工 中間層厚 常圧加熱 糊化物 生分解性プラスチック製 質量減少量 振り子式 生分解プラスチック
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年4月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

本発明の目的は特にフィルムの透明性と水蒸気透過性が改善され、さらに引裂強度が高く、天然物由来の成分を導入して、かつ生分解性でありながら自然環境化での安定性が高く、経済性にも優れた生分解性を有する多層フィルムを提供することである。

解決手段

一部のグルコース単位におけるC−2とC−3の間が切断され、C−2およびC−3にカルボキシル基が形成されている構造を有する酸化澱粉糊化物生分解性樹脂を中間層に含み、外層内層がそれぞれ生分解性樹脂を含む層からなり、前記中間層の酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)は、その水分率が5000質量ppm以下であり、かつ酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を25〜60質量%および生分解性樹脂を75〜40質量%の割合で含み、前記外層と内層のそれぞれは生分解性樹脂の合計量に基づき、ポリ乳酸系樹脂(B)を5〜50質量%、ポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)を50〜95重量%の割合で含む多層フィルム。

概要

背景

生分解性樹脂は、水中や土中で有害物を生成することなく比較的容易に分解することが知られている。そのため、ゴミ処理問題などの環境保全の面から世界的に注目されている。これらの中でも、脂肪族ポリエステル樹脂は、ポリエチレンに近い物性を有することもあって、該樹脂成形して得られるフィルムは、農業資材土木資材植生資材包装材等のフィルム用途として将来が期待されている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、従来の生分解性フィルムは、いずれも引裂強度、特にフィルムの機械延伸)方向の引裂強度が充分ではなく実用上問題があった。

一方、枯渇資源から再生可能資源への転換による循環型社会構築が注目を集めるようになり、生分解性だけでなく、原料として石油から合成される材料でなく、天然物由来する材料への関心が高まっている。天然物由来生分解性材料としては澱粉ポリ乳酸系樹脂バイオマス原料を用いた脂肪族ポリエステルなどがある。その中でも特に澱粉は「天然資源中で最も豊富生産され、しかも毎年再生産が可能であり、植物組織からの分離、精製技術も近代デンプン工業として確立され、そのうえ価格は安定かつ安価である。したがって、生分解性プラスチック製造上、もっとも有望な素原料と考えられ、研究開発工業化、並びに市場開拓が進められている。」(非特許文献1)ため、フィルム用の原料として検討されてきた。

近年、上述の生分解性樹脂や生分解性材料の性質を利用した生分解性能を有するフィルムやシートが数多く開発されている。本発明者は、酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物を中間層に含んだフィルムの透明性と水蒸気透過性の改善のために、外層内層がそれぞれ生分解性樹脂を含む層からなる多層フィルムを開発した(特許文献3)。この方法により、成形性や物性の向上が可能であることがわかった。しかし、農業用マルチフィルムでは収穫が終わるまで圃場破断しないことが望まれるため、作物によっては生分解の進行を遅延させる必要がある。また、気温湿度土壌の性質、土壌の水分率などの要因により、生分解の進行が速くなる場合があり、この方法では問題となる場合があった。

澱粉を含んだ変性ポリビニルアルコールポリマーアロイを中間層に用い、外層、内層に生分解性樹脂を用いることが提案されているが(特許文献4)、酸化澱粉を用いなければ十分な成形性、物性が得られない。水分を含んだ澱粉を中間層に持ち、外層、内層に生分解性樹脂を用いることも提案されているが(特許文献5)水分を含んだ状態では、水分が気泡を生じ、これがフィルム成形時にフィルムに穴を生じることがあるため好ましくなく、これを抑制するためには極めて生分解性の低い相溶化剤を添加する必要があった。
生分解が適度に遅いことが望まれる一方で、農業用マルチフィルム、コンポストバッグなどの用途では残査を生じると問題となるため最終的には完全に生分解しなければならないので、内層、外層に生分解の進行が遅く、剛性が高いポリ乳酸系樹脂を用い、中間層に柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を用いることが考えられる。特許文献6では、内層、外層にポリ乳酸を用い、中間層に生分解性ポリエステル系樹脂を用いるシートおよび成形体が提案され、特許文献7では、ポリ乳酸を表層に用い、中間層に柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を用いたフィルムが提案されている。しかしながら、ポリ乳酸は剛性が高く、引張破断点伸びが低いため、フィルムは、柔軟性が低下し、破断しやすくなる。それゆえ、ポリ乳酸および生分解性ポリエステル系の樹脂のみの組み合わせでは、フィルム柔軟性が要求される場合に十分ではない場合がある。

また、ポリ乳酸系ポリマーを主とする層と、ポリ乳酸とは異なる生分解性樹脂を主とする層からなるフィルムを延伸することにより機械的強度を上げることが提案されている(特許文献8、9、10)。この場合、引張強度伸びが大幅に向上するが、延伸を行う工程が必要な上に、さらに熱処理を行わないと温度上昇により収縮するという問題があり(非特許文献2)、太陽光でフィルムの温度が上昇するマルチフィルムに使用することは困難となる。
また、ポリ乳酸系樹脂は融点が150℃を超える為、一般的なフィルムを成形する温度は170〜235℃である(非特許文献3)。170℃以上の加工温度では分解して押出機内で焦げてしまいやすい酸化澱粉を含む組成物とともにポリ乳酸樹脂を共押出することは一般的な成形条件では困難であり、特に融点160℃を越えるポリ乳酸とともに共押出することは想定しにくいものであった。

概要

本発明の目的は特にフィルムの透明性と水蒸気透過性が改善され、さらに引裂強度が高く、天然物由来の成分を導入して、かつ生分解性でありながら自然環境化での安定性が高く、経済性にも優れた生分解性を有する多層フィルムを提供することである。一部のグルコース単位におけるC−2とC−3の間が切断され、C−2およびC−3にカルボキシル基が形成されている構造を有する酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂を中間層に含み、外層と内層がそれぞれ生分解性樹脂を含む層からなり、前記中間層の酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)は、その水分率が5000質量ppm以下であり、かつ酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を25〜60質量%および生分解性樹脂を75〜40質量%の割合で含み、前記外層と内層のそれぞれは生分解性樹脂の合計量に基づき、ポリ乳酸系樹脂(B)を5〜50質量%、ポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)を50〜95重量%の割合で含む多層フィルム。なし

目的

本発明の目的は特にフィルムの透明性と水蒸気透過性が改善され、さらに引裂強度が高く、天然物由来の成分を導入して、かつ生分解性でありながら自然環境化での安定性が高く、コンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などに好適で、経済性にも優れた生分解性を有する多層フィルムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

一部のグルコース単位におけるC−2とC−3の間が切断され、C−2およびC−3にカルボキシル基が形成されている構造を有する酸化澱粉糊化物生分解性樹脂を中間層に含み、外層内層がそれぞれ生分解性樹脂を含む層からなり、前記中間層の酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)は、その水分率が5000質量ppm以下であり、かつ酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を25〜60質量%および生分解性樹脂を75〜40質量%の割合で含み、前記外層と内層のそれぞれは生分解性樹脂の合計量に基づき、ポリ乳酸系樹脂(B)を5〜50質量%、ポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)を50〜95重量%の割合で含む多層フィルム

請求項2

外層、中間層、内層の厚みの比が1:1:1〜1:16:1である、請求項1に記載の多層フィルム。

請求項3

ポリ乳酸系樹脂(B)の融点が160℃以上である、請求項1または2に記載の多層フィルム。

請求項4

前記外層、内層に含まれる生分解性樹脂および中間層に含まれるポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)が脂肪族ポリエステルであり、エチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールコハク酸および/またはアジピン酸縮合重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層フィルム。

請求項5

前記中間層に含まれるポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)が脂肪族ポリエステルであり、エチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールとコハク酸およびアジピン酸の縮合重合体であり、コハク酸及びアジピン酸の合計量に対し、コハク酸が40〜80モル%、アジピン酸が20〜60モル%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の多層フィルム。

請求項6

前記外層、内層に含まれる生分解性樹脂および中間層に含まれるポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)が脂肪族芳香族ポリエステルであり、芳香族ポリカルボン酸脂肪族ポリオールとの縮合重合体および/または脂肪族ポリカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとの縮合重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層フィルム。

請求項7

前記脂肪族ポリカルボン酸がアジピン酸、芳香族ポリカルボン酸がテレフタル酸、脂肪族ポリオールがブタンジオールである、請求項6に記載の多層フィルム。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層フィルムからなるコンポストバッグ

請求項9

請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層フィルムからなる農業用フィルム

技術分野

0001

本発明は、多層フィルムに関するものである。さらに詳しくは、成形性、機械的特性水蒸気透過性および生分解性が改良された、コンポストバッグ農業用フィルムおよび包装材料などに好適な生分解性を有する多層フィルムに関するものである。特に本発明の多層フィルムは、水蒸気透過性および生分解性が適度に制御されており、コンポストバッグおよび農業用フィルムに有用である。

背景技術

0002

生分解性樹脂は、水中や土中で有害物を生成することなく比較的容易に分解することが知られている。そのため、ゴミ処理問題などの環境保全の面から世界的に注目されている。これらの中でも、脂肪族ポリエステル樹脂は、ポリエチレンに近い物性を有することもあって、該樹脂を成形して得られるフィルムは、農業資材土木資材植生資材包装材等のフィルム用途として将来が期待されている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、従来の生分解性フィルムは、いずれも引裂強度、特にフィルムの機械延伸)方向の引裂強度が充分ではなく実用上問題があった。

0003

一方、枯渇資源から再生可能資源への転換による循環型社会構築が注目を集めるようになり、生分解性だけでなく、原料として石油から合成される材料でなく、天然物由来する材料への関心が高まっている。天然物由来生分解性材料としては澱粉ポリ乳酸系樹脂バイオマス原料を用いた脂肪族ポリエステルなどがある。その中でも特に澱粉は「天然資源中で最も豊富生産され、しかも毎年再生産が可能であり、植物組織からの分離、精製技術も近代デンプン工業として確立され、そのうえ価格は安定かつ安価である。したがって、生分解性プラスチック製造上、もっとも有望な素原料と考えられ、研究開発工業化、並びに市場開拓が進められている。」(非特許文献1)ため、フィルム用の原料として検討されてきた。

0004

近年、上述の生分解性樹脂や生分解性材料の性質を利用した生分解性能を有するフィルムやシートが数多く開発されている。本発明者は、酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物を中間層に含んだフィルムの透明性と水蒸気透過性の改善のために、外層内層がそれぞれ生分解性樹脂を含む層からなる多層フィルムを開発した(特許文献3)。この方法により、成形性や物性の向上が可能であることがわかった。しかし、農業用マルチフィルムでは収穫が終わるまで圃場破断しないことが望まれるため、作物によっては生分解の進行を遅延させる必要がある。また、気温湿度土壌の性質、土壌の水分率などの要因により、生分解の進行が速くなる場合があり、この方法では問題となる場合があった。

0005

澱粉を含んだ変性ポリビニルアルコールポリマーアロイを中間層に用い、外層、内層に生分解性樹脂を用いることが提案されているが(特許文献4)、酸化澱粉を用いなければ十分な成形性、物性が得られない。水分を含んだ澱粉を中間層に持ち、外層、内層に生分解性樹脂を用いることも提案されているが(特許文献5)水分を含んだ状態では、水分が気泡を生じ、これがフィルム成形時にフィルムに穴を生じることがあるため好ましくなく、これを抑制するためには極めて生分解性の低い相溶化剤を添加する必要があった。
生分解が適度に遅いことが望まれる一方で、農業用マルチフィルム、コンポストバッグなどの用途では残査を生じると問題となるため最終的には完全に生分解しなければならないので、内層、外層に生分解の進行が遅く、剛性が高いポリ乳酸系樹脂を用い、中間層に柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を用いることが考えられる。特許文献6では、内層、外層にポリ乳酸を用い、中間層に生分解性ポリエステル系樹脂を用いるシートおよび成形体が提案され、特許文献7では、ポリ乳酸を表層に用い、中間層に柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を用いたフィルムが提案されている。しかしながら、ポリ乳酸は剛性が高く、引張破断点伸びが低いため、フィルムは、柔軟性が低下し、破断しやすくなる。それゆえ、ポリ乳酸および生分解性ポリエステル系の樹脂のみの組み合わせでは、フィルム柔軟性が要求される場合に十分ではない場合がある。

0006

また、ポリ乳酸系ポリマーを主とする層と、ポリ乳酸とは異なる生分解性樹脂を主とする層からなるフィルムを延伸することにより機械的強度を上げることが提案されている(特許文献8、9、10)。この場合、引張強度伸びが大幅に向上するが、延伸を行う工程が必要な上に、さらに熱処理を行わないと温度上昇により収縮するという問題があり(非特許文献2)、太陽光でフィルムの温度が上昇するマルチフィルムに使用することは困難となる。
また、ポリ乳酸系樹脂は融点が150℃を超える為、一般的なフィルムを成形する温度は170〜235℃である(非特許文献3)。170℃以上の加工温度では分解して押出機内で焦げてしまいやすい酸化澱粉を含む組成物とともにポリ乳酸樹脂を共押出することは一般的な成形条件では困難であり、特に融点160℃を越えるポリ乳酸とともに共押出することは想定しにくいものであった。

0007

特開平5−271377号公報
特開平6−170941号公報
特開2008−296482号公報
特開平7−285192号公報
特表2006−508830号公報
特開2003−127311号公報
国際公開第2004/069535号公報
特開2007−320290号公報
特開2001−47583号公報
特開2005−047138号公報

先行技術

0008

生分解性プラスチックハンドブック生分解プラスチック研究会編 、1995年、p.122
バイオプラスチック材料のすべて、日本バイオプラスチック協会、2008年、p96
バイオプラスチック材料のすべて、日本バイオプラスチック協会、2008年、p85

発明が解決しようとする課題

0009

上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は特にフィルムの透明性と水蒸気透過性が改善され、さらに引裂強度が高く、天然物由来の成分を導入して、かつ生分解性でありながら自然環境化での安定性が高く、コンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などに好適で、経済性にも優れた生分解性を有する多層フィルムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、酸化澱粉と生分解性樹脂を中間層に含む多層フィルムにおいて、中間層の水分率を制御し、外層と内層を特定の割合のポリ乳酸を含む組成とすることにより、上記問題を解決することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。

0011

すなわち、本発明は、以下、
(1)一部のグルコース単位におけるC−2とC−3の間が切断され、C−2およびC−3にカルボキシル基が形成されている構造を有する酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂を中間層に含み、外層と内層がそれぞれ生分解性樹脂を含む層からなり、前記中間層の酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)は、その水分率が5000質量ppm以下であり、かつ酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を25〜60質量%および生分解性樹脂を75〜40質量%の割合で含み、前記外層と内層のそれぞれは生分解性樹脂の合計量に基づき、ポリ乳酸系樹脂(B)を5〜50質量%、ポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)を50〜95重量%の割合で含む多層フィルム、
(2)外層、中間層、内層の厚みの比が1:1:1〜1:16:1である(1)に記載の多層フィルム、
(3)ポリ乳酸系樹脂(B)の融点が160℃以上である(1)または(2)に記載の多層フィルム、
(4)前記外層、内層に含まれる生分解性樹脂および中間層に含まれるポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)が脂肪族ポリエステルであり、エチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールコハク酸および/またはアジピン酸縮合重合体である上記(1)から(3)のいずれかに記載の多層フィルム、
(5)前記中間層に含まれるポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)が脂肪族ポリエステルであり、エチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールとコハク酸およびアジピン酸の縮合重合体であり、コハク酸及びアジピン酸の合計量に対し、コハク酸が40〜80モル%、アジピン酸が20〜60モル%である上記(1)から(4)のいずれかに記載の多層フィルム、
(6)前記外層、内層に含まれる生分解性樹脂および中間層に含まれるポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)が脂肪族芳香族ポリエステルであり、芳香族ポリカルボン酸脂肪族ポリオールとの縮合重合体および/または脂肪族ポリカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとの縮合重合体である上記(1)から(3)のいずれかに記載の多層フィルム、および
(7)前記脂肪族ポリカルボン酸がアジピン酸、芳香族ポリカルボン酸がテレフタル酸、脂肪族ポリオールがブタンジオールである上記(6)記載の多層フィルム、
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の多層フィルムからなるコンポストバッグ、および
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の多層フィルムからなる農業用フィルムを提供するものである。

発明の効果

0012

本発明によれば、実用的な透明性、水蒸気バリア性機械的物性、生分解性がありながら自然環境化での安定性が改善された生分解性を有する多層フィルムが提供される。特に、水蒸気透過性および生分解性が適度に制御されているため、コンポストバッグや農業用フィルムに有用である。

0013

本発明の多層フィルムにおける層構成は3層以上である。内層、外層とは、フィルムの表面の層であり、残りが中間層である。3層のインフレーションフィルムの場合、バブルのそれぞれ、内側、外側に対応する。Tダイフィルムの場合、冷却ロールに接触する側を内層、ニップロールに接触する側を外層とする。

0014

本発明の多層フィルムにおける中間層に用いる酸化澱粉と生分解性樹脂との組成物における一方の成分である酸化澱粉の糊化物を得るためには、まず、下記のような構造、すなわち、澱粉中の一部のグルコース単位におけるC−2とC−3間が切断され、C−2およびC−3にカルボキシル基が形成されている構造を有する酸化澱粉を製造する必要がある。

0015

0016

澱粉中のグルコース単位を上記のような構造に変換するには、例えば、通常は、澱粉を次亜塩素酸ナトリウム酸化することにより行う。過酸化物のような酸化剤で澱粉を酸化処理した場合、C-C結合およびグリコシド結合の切断による開重合が生じて、C−2とC−3間の切断が充分行なわれず、カルボキシル基の形成量が不十分となる。
次亜塩素酸ナトリウムによる澱粉の酸化は、澱粉濃度40〜50質量%程度、好ましくは、45質量%程度の水懸濁液をpH8〜11程度に調整し、塩素濃度8〜12質量%程度、好ましくは、10質量%程度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加して40〜50℃程度で1〜2時間程度反応させることにより行なう。反応は常圧下、耐腐食性反応容器中で撹拌しながら行なうのが好ましい。反応終了後目的物は、遠心脱水機等を用いて分離し、充分に水洗して乾燥させることにより得られる。
カルボキシル基の量はカルボキシル基置換度で表され、通常のものはカルボキシル基置換度(中和滴定法)の数値が0.001〜0.100程度、好ましくは、0.01〜0.035である。

0017

酸化澱粉としては、市販のものを使用することができる。
なお、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで酸化する方法は、たとえば、不破英次著「澱粉科学の辞典」(株式会社書店、2003年3月20日)p408および二国二郎著「澱粉科学ハンドブック」(株式会社朝倉書店、1977年7月20日)p501等に記載されている。

0018

酸化澱粉の原料となる澱粉については特に制限が無く、いずれの澱粉も用いることができる。例えば、馬鈴薯澱粉コーンスターチ、甘薯澱粉、タピオカ澱粉サゴヤシ澱粉、米澱粉小麦澱粉などの未化工澱粉、さらには、各種エステル化澱粉エーテル化澱粉等の化工澱粉等を挙げることができる。

0019

本発明の多層フィルムの中間層の生分解性樹脂、および内層および外層のポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)にも特に制限はない。それ自身生分解性を有する樹脂であれば良く、成形性を考慮すると熱可塑性であることが好ましい。化学合成系樹脂、微生物系樹脂、天然物利用系樹脂等のいずれに属する樹脂でも良い。例えば、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペートポリエチレンサクシネートポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレートバリレー共重合体など)、脂肪族芳香族ポリエステル(ポリブチレンテレフタレートアジペート共重合体など)、ポリビニルアルコールアセチルセルロース等を挙げることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。 中でも、フィルム成形性、物性を考えた場合、融点が50〜180℃であり、かつ重量平均分子量が50000以上である脂肪族ポリエステルまたは芳香族脂肪族ポリエステルが良好な成形品を得るうえで好ましい。

0020

ここで脂肪族ポリエステルは通常、グリコール類脂肪族二塩基酸とを脱水共縮合させることにより得られる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸セバシン酸ドデカン二酸並びにこれらの無水物等が挙げられる。実用的な融点を示す脂肪族ポリエステルを得るためにはグリコールとしてエチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオール、脂肪族二塩基酸としてコハク酸および/またはアジピン酸を用いることが好ましい。

0021

特に中間層に使用する脂肪族ポリエステルとしては脂肪族二塩基酸としてコハク酸およびアジピン酸を用い、コハク酸及びアジピン酸の合計量に対し、コハク酸が40〜80モル%、好ましくは30〜70モル%、アジピン酸が20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%である脂肪族ポリエステルを用いることが、良好な成形性と引裂強度を得るうえで好ましい。コハク酸が40モル%に満たない場合には、結晶化速度が遅くなるため成形が難しく、80モル%を超える場合には引裂強度が低下する。
また、その他成分として、3官能または4官能を有する多価アルコールオキシカルボン酸または多価カルボン酸を少量添加したものでもよい。

0022

また、脂肪族芳香族ポリエステルは、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとの縮合重合体または脂肪族ポリカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとの縮合重合体であり、脂肪族ポリカルボン酸がアジピン酸、芳香族ポリカルボン酸がテレフタル酸、脂肪族ポリオールがブタンジオールであることが、十分な生分解性と良好な物性を示す上で望ましい。

0023

さらに脂肪族ポリエステルとしては、市販品があり、例えば、昭和高分子(株)製の"ビオノーレ"(登録商標シリーズがよく知られている。
脂肪族ポリエステルとしては、"ビオノーレ"シリーズを用いることが好ましい。脂肪族芳香族ポリエステルとしては、市販品があり、例えば、BASF製の“Ecoflex” (登録商標)がよく知られている。
最終的に得られる生分解性フィルムの軟化温度やフィルムの柔軟性を調整するためにポリ乳酸系樹脂を併用することもできる。

0024

本発明の多層フィルムにおける中間層を形成させるために用いる組成物(A)中の酸化澱粉の糊化物(糊化反応については、酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂を混合して生分解性樹脂組成物を調製する際に合わせて記載する)と生分解性樹脂の含有割合としては、特に、同組成物を成形して中間層を製造する際の成形性と得られる中間層の物性の観点から、酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を25〜60質量%(生分解性樹脂が75〜40質量%)含有させ、好ましくは30〜50質量%(生分解性樹脂が70〜50質量%)である。酸化澱粉の糊化物を25質量%以上とすることにより、経済性が発揮され、かつ、中間層を製造する際の成形性の向上および得られる中間層の引き裂き強度の向上効果が得られる。また、酸化澱粉の糊化物を60質量%以下とすることにより澱粉の分散不良によるフィルム成形性の低下および中間層の物性が低下するのを防ぐ。

0025

本発明の多層フィルムにおける中間層を形成させるために用いる酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物を製造する方法としては、通常、熱可塑性樹脂溶融混合する場合に用いられる押出機を使用することが好ましい。
具体的には、酸化澱粉の糊化、脱水、糊化された酸化澱粉と生分解性樹脂との溶融混合を同時に行うために、二軸スクリュー方式で、脱水のためのベントを備えていることが重要である。さらに、十分な製造量を確保するためには、十分なL/Dが重要なファクターであり、通常、L/Dは32以上である。脱水と混合のより効率の良い方法としては、第一工程において、加熱混合による酸化澱粉の糊化完了時に開放式のベントで押出機内の圧力上昇による逆流を防止し、さらに第二工程において酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂をさらに混合しながら、真空ベントで脱水を行うことである。

0026

この二つの工程を一台の押出機で完結するためには、最低でもL/Dは32であることが肝要であり、よりL/Dの大きな装置では吐出量を多くすることが可能であり、製造コスト下げることが可能となる。第一工程では、生分解性樹脂の軟化温度(または融点)に合わせて設定温度を60〜160℃程度、好ましくは、80〜140℃とする。多くの生分解性樹脂はこの温度範囲軟化溶融)するため、酸化澱粉の糊化と同時に糊化した酸化澱粉と生分解性樹脂の溶融状態での混合も行われる。第一工程での滞留時間は通常、30〜180秒、好ましくは60〜120秒である。滞留時間を30秒以上とすることにより、酸化澱粉の糊化を充分進行させ、180秒以下とすることにより、分解を抑制し、生産性を確保することができる。

0027

第二工程では設定温度を130〜180℃程度、好ましくは、150〜170℃とする。これにより酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂組成物が完全に溶融混合される。第二工程での滞留時間は通常、30〜120秒、好ましくは60〜90秒である。滞留時間を30秒以上とすることにより、糊化された酸化澱粉と生分解性樹脂との混合を充分に行ない、120秒以下とすることにより、分解を抑制し、生産性を確保することができる。

0028

第一工程における酸化澱粉の糊化のためには、酸化澱粉自身が保持している水分のみでも、温度および滞留時間、剪断力などにより可能な場合もあるが、糊化を完了させるために必要な水および/または極性を有する高沸点溶媒を添加することができる。高沸点の極性溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコールグリセリンソルビトールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等を挙げることができる。
中でも澱粉および生分解性樹脂との相溶性、糊化能力およびコストのバランスの観点から、グリセリンを用いることが好ましい。
以上のような手順で本発明の中間層に用いる酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物が得られる。

0029

得られた酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)の中に、酸化澱粉に含まれていた水、または糊化を完了させるための水、または、保管中に空気中の水分に触れることにより吸収された水分が多く含まれると、フィルム成形時に発泡し、フィルムの表面が均質でなくなり、さらに悪化すると孔が生じる場合がある。特に、中間層に用いられる、酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)は、表層により成形中に揮発した水分が散逸しにくくなるため、気泡となりやすく前述の問題が起こりやすい。そのため、得られた酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物(A)の水分率は5,000質量ppm以下、好ましくは4,000質量ppm以下である。水分を除去する方法としては、特に限定はないが、50〜100℃での加熱乾燥が好ましい。加熱乾燥では装置内を風が循環しないものでもよいが、速やかな乾燥を行うためには発生させた熱風が装置内を循環する除湿空気循環式乾燥機流動床式乾燥機などが好ましい。または、上記酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂組成物を溶融混合する第二工程に一つまたは複数のベント孔を設け、水分を十分に除去することもできる。

0030

本発明の多層フィルムにおいて、外層と内層のそれぞれは生分解性樹脂の合計量に基づき、ポリ乳酸系樹脂(B)は5〜50質量%、望ましくは5〜40質量%、さらに望ましくは7〜28質量%、ポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)を50〜95質量%、望ましくは60〜95質量%、さらに望ましくは72〜93質量%の割合である。前記(B)成分が5質量%未満では、生分解が速いために圃場での耐久性が悪化し、また、剛性が低下する。また、50質量%より多いと引裂強度が低下し、実用的な強度を示さない。

0031

本発明の外層と内層に用いる樹脂組成物の製造方法としては、ポリ乳酸系樹脂(B)とポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)とを押出機を用いて溶融混合し、組成物ペレットとする方法がある。なお、フィルムなどに成形する場合は、ポリ乳酸系樹脂(B)とポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)とをそれぞれをペレット状態で混合し、直接成形してもよい。

0032

本発明において用いられるポリ乳酸系樹脂(B)は、乳酸モノマーを必須成分として重合したものであればよい。例えば、構造単位L−乳酸であるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、構造単位がL−乳酸およびD−乳酸であるポリDL− 乳酸、並びにこれらの混合体を主成分とする重合体であることができる。また、前述のポリ乳酸系樹脂の構成としてはモル比として、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15、または0:100〜15:85であることが好ましい。

0033

また、D−乳酸とL−乳酸との構成割合が異なった他のポリ乳酸系樹脂をブレンドすることも可能である。D−乳酸のみまたはL−乳酸のみを構造単位とするポリ乳酸系樹脂は結晶性樹脂となり、融点が高く、耐熱性、機械的物性に優れる傾向にある。さらには、ポリ乳酸系樹脂は、前述のポリ乳酸系樹脂と、後述する他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であってもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んでもよい。他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL− 乳酸)、グリコール酸3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸類、およびカプロラクトンブチロラクトンバレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。このような他のヒドロキシカルボン酸単位は、(B)成分中15モル% 未満で使用するのがよい。

0034

ポリ乳酸系樹脂(B)の重合方法としては、縮合重合法、開環重合法等公知の方法を採用することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂 を得ることができる。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸系樹脂を得ることができる。なお、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、D−乳酸およびL−乳酸の2量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合し、重合することによって任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂 を得ることができる。本発明において使用されるポリ乳酸系樹脂は、重量平均分子量が6万〜70万であることが好ましく、より好ましくは8万〜40万、特に好ましくは10万〜30万である。分子量が6 万より小さいと機械物性や耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、70万より大きいと溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る。また、融点が160℃以上170℃以下であることが好ましく、160℃未満であると、生分解、加水分解が速く、マルチフィルムとして用いた場合、短期間で破断しやすく、また、加水分解がおきやすいので長期保存ができないという問題が生じる。170℃を超える場合には、成形温度を高くしなくてはならないため高温で焦げやすい澱粉との共押出が困難になる場合がある。

0035

次に本発明の生分解性を有する多層フィルムについて説明する。
本発明の生分解性を有する多層フィルムの製造方法としては、例えば、上記のように酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂とを押出機を用いて溶融混合して中間層を形成させるための組成物(A)とし、ポリ乳酸系樹脂(B)とポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)とを押出機を用いて溶融混合して、外層と内層を形成させるための組成物とし、押出機出口を公知の水冷または空冷式多層インフレーション成形、Tダイ式多層フィルム成形機に連結して外層および内層となる生分解性樹脂とともに共押し出し方式により連続して製造してもよいし、中間層および外層と内層を形成させるための組成物をそれぞれ一旦ペレット化またはフレーク化して、別途、公知の水冷または空冷式多層インフレーション成形、Tダイ式多層フィルム押出成形機を用いて同様に外層および内層となる生分解性樹脂とともに共押し出し方式により成形しても良い。
さらに、中間層となるフィルムを作製した後、その両面に生分解性樹脂の溶液を塗布したり、ラミネートして外層および内層となるフィルムを形成させても良い。

0036

本発明の生分解性を有する多層フィルムに成形する際、中間層、外層および内層の各層はさらに可塑剤を含んでいてもよい。生分解性樹脂がさらにポリ乳酸系樹脂を含む場合に可塑剤を添加する効果が発揮される。用いられる可塑剤としては、グリセリン誘導体が好ましく、特にポリグリセリン酢酸エステルあるいはその誘導体あるいはアジピン酸ジエステルが好ましい。添加量は通常1〜10質量%程度、好ましくは2〜8質量%である。1質量%以上とすることにより、フィルム物性、特に引張伸度フィルムインパクト強度が改良され、10質量%未満とすることにより可塑剤がブリードして、外観不良となるのを防ぐ。

0037

また、本発明の生分解性を有する多層フィルムの中間層、外層または内層の各層には、所望により当該技術分野において通常用いられている添加剤、例えば、酸化防止剤熱安定剤紫外線防止剤帯電防止剤難燃剤結晶化促進剤顔料などを本発明の特性を損なわない範囲で添加してもよい。

0038

具体的には、酸化防止剤としては1,1,3-トリス(2-メチル-4ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートテトラキスメチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタントリエチレングリコールビス〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4・ヒドロキシベンジル)イソシアレイト等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;熱安定剤としてはトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等;紫外線吸収剤としてはp−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2,−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等;帯電防止剤としてはN,N−ビス(ヒドロキシエチルアルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリールスルホネートアルキルスルホネート等;難燃剤としてはヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピルホスフェートペンタブロモフェニルアリルエーテル等;結晶化促進剤としてはタルクホロンナイトライドポリエチレンテレフタレート、ポリ−トランスシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等が挙げられる。顔料としては、単独で、または併用して公知の顔料を用いることができ、具体的にはカーボンブラックチタンホワイトチタンイエロー、ジスアゾイエローイソインドリノンイエロー、ポリアゾイエロー、ポリアゾレッドキナクリドンレッド、DPPレッド、ペリレンレッドフタロシアニングリーンフタロシアニンブルー弁柄群青ジオキサジンバイオレット鉄黒等が挙げられる。

0039

以上の添加剤は、外層、中間層、内層に用いられるそれぞれの生分解性樹脂原料の製造工程において添加して分散させることが可能であるが、中間層においては、酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂とを押出機を用いて溶融混合する段階、外層と内層においては、ポリ乳酸系樹脂(B)とポリ乳酸系樹脂を除く生分解性樹脂(C)とを押出機を用いて溶融混合する段階で材料に添加して分散させることも可能である。また、水冷または空冷式多層インフレーション成形、Tダイ式多層フィルム押出成形機を用いてフィルム成形を行う時に材料とともにホッパー投入して分散させることも可能である。凝集を防ぎ、分散性を向上させるためにマスターバッチ化して添加することができ、その場合には、材料との相溶性と生分解後に残査として残さないために脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル、ポリ乳酸系樹脂など生分解性樹脂に添加剤を添加してマスターバッチ化することが望ましい。マスターバッチ化では、それぞれの添加剤と樹脂に適した公知の分散剤を用いるとこができる。例えばエチレンビスアマイドポリエチレンワックスポリプロピレンワックス低分子量樹脂ワックス類ステアリン酸カルシウムステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩類、水などを用いることができる。

0040

上記のように、中間層に用いる酸化澱粉と生分解性樹脂との組成物の調製に引き続いて連続してフィルムの製造を行うのでなく、一旦ペレット化またはフレーク化された澱粉と生分解性樹脂を含む組成物を用いて多層フィルムの製造を行う場合、多層インフレーション成形、Tダイ式多層フィルム押出成形機の中間層用押出機の設定温度は上記第二工程と同じ設定温度、すなわち、130〜180℃程度、好ましくは、145〜170℃とする。130℃以下では可塑化が不十分となり、押し出すことができないか、フィルムに未溶融物が押し出されるため、フィルムに孔が開くか、ゲルが生じ、不均一なフィルムとなる。180℃以上では澱粉成分の酸化が始まり、フィルムの着色、焦げによる黒点の発生などの問題が発生する。外層および内層用押出機の設定温度は、バレル温度は180℃〜230℃に設定し、押出機とダイのアダプタおよびダイの温度設定は130〜180℃にすることが望ましい。バレル設定温度が180℃以下であると、ポリ乳酸が融解せず、230℃以上であると、材料が劣化して分子量が低下し成形性が悪化する。アダプタおよびダイの設定温度が130℃以下であると可塑化が不十分となり、押し出すことができないか、フィルムに未溶融物が押し出されるため、フィルムに孔が開くか、ゲルが生じ、不均一なフィルムとなる。180℃以上では中間層の澱粉成分の酸化が始まり、フィルムの着色、焦げによる黒点の発生などの問題が発生する。
本発明の生分解性を有する多層フィルムは、さらに一軸又は二軸延伸したものであってもよい。

0041

本発明の生分解性を有する多層フィルムの層構成における外層:中間層:内層の厚みの比は好ましくは1:1:1〜1:16:1であり、さらに好ましくは1:2:1〜1:8:1である。ただし、外層と内層の厚みは必ずしも同じにする必要はなく、多層フィルムの用途や使用する生分解樹脂の種類に応じて異なるフィルム成形時の安定性、柔軟性、生分解性、コスト等を考慮して適宜変動させることができる。
中間層の厚みが外層または内層の厚みより大幅に小さいと、中間層に用いる酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物の特徴である機械的物性および低コスト性を生かすことができず、また、中間層の厚みが外層または内層の厚みの16倍以上では、外層および内層が薄くなりすぎて、成形安定性が得られず、例え成形できたとしても表面ヘーズが向上せず、全ヘーズを改善することができない。
また、多層フィルムのトータルの厚みは取り扱い易さ、柔軟性、フィルム強度、コスト等の観点から、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは15〜50μmである。

0042

本発明の多層フィルムにおける中間層を成形するために用いる酸化澱粉と生分解性樹脂を含む組成物は、それをフィルムに成形する際の成形性が改良されているので、生産性が向上し、かつ、表層にポリ乳酸と生分解性樹脂を含む組成物を用いて得られた多層フィルムは機械的特性、特に多層フィルムのインパクト強度が改良されているので、生分解性を有するコンポストバッグ、農業用フィルム、レジ袋フォルダ保護フィルム粘着テープ手袋、および包装材料などに好適に用いられる。特に、生分解性でありながら自然環境化での安定性に優れ、水蒸気透過性も適度に制御されているため、コンポストバッグ、農業用フィルムでの使用に優れる。

0043

以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるものではない。
[実施例1〜11および比較例1〜8]
各例において用いられた樹脂材料等を表1に、各特性の測定値を表2に示した。表1において、実施例番号、比較例番号および層構成における厚さ比率以外の数値は全て質量%を表わす。

0044

表1の中間層の欄に中間層で用いた酸化澱粉および生分解性樹脂の種類、各配合量(質量%)を示す。各例における原料や添加剤をスーパーミキサーで混合し、脱水のためのベントを備えたスクリュー径65mmの同方向二軸押出機(L/Dは35)を用いて溶融混練し、組成物(A)のペレットを得た。設定温度は第一工程80〜140℃、第二工程120〜160℃、滞留時間は第一工程60〜90秒、第二工程60〜90秒である。

0045

得られた各ペレットを除湿空気循環式乾燥機で温度80℃、20時間乾燥した。但し、比較例7のみ15時間とした。乾燥後の水分率を表1に示す。(なお、表1の中間層における樹脂、澱粉の括弧内の数値は乾燥後の組成物(A)における質量%を示す。)トミー機械工業社製3種3層インフレーション成形機(押出機40mmφ、ダイ口径100mm、リップ間隔1.5mm)を用いて厚さ20μm(外層および内層厚さ5μm、中間層厚さ10μm)、折幅350mm(ブローアップ比=2.2相当)の多層フィルムを共押し出し成形した。外層、内層用に二種類の樹脂を混合して用いる場合は、ペレットをタンブラーであらかじめ混合後、各押出機のホッパーに投入し、成形を実施した。

0046

各特性の測定方法を以下に示す。
ヤング率
ヤング率は、テンシロンRTM−1T((株)オリエンテック社製)を用い、MD方向、TD方向について幅20mm、長さ300mmのサンプル片を作製し、ASTMD−822に準じ、引張速度5mm/min、つかみ間隔250mmで測定した。
<引裂強度>
引裂強度は、振り子式エルメンドルフ引裂試験機(東洋精機(株)製)を用い、JIS P−8116に準じて測定した引裂き強さ(N)をフィルム厚み(mm)で割り、引裂強度とした。
<透明性(ヘーズ)>
ヘーズはヘイズメーター HM−150型((株)色彩技術研究所製)を用い、JIS K−7105に準じて測定した。
<生分解性>
(株)SDSバイオテック「みのり農事試験場」の圃場の土を用いて、その水分率が最大容水量の50%になるように調整した。昭和電工(株)製「ビオノーレ3001G」から作製された20μmのフィルムで1ヶ月間予め暴露することにより馴化し、土壌の調整を行った。
5cm角に裁断した各例で得られた多層フィルムをナイロンメッシュに挟んで1ヶ月埋設した後、質量減少量を測定し、その減少割合から生分解度を%で評価した。すなわち、値が大きいほど生分解が進みやすいことを示している。多層フィルムの試験サンプルを埋設した土壌は、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿下で管理し、土壌中の水分については、1週間毎に全質量(サンプルプラス土壌)の減少量から算出して、追加し、最大容水量の50%を保持するようにコントロールした。

0047

<水蒸気透過性>
水蒸気透過性については、成形した厚さ20μmのフィルムを用いて、JIS K 7129(A法)(40℃、90%RH)、に従って、LYSSY製Water Vapor Permeability tester L80−4000を使用し透湿度(g/m2・24hour)の測定を行なった。
<フィルム成形性>
前記の成形機において所定の寸法のフィルムが得られた場合を○、成形できなかった場合を×とした。
上記各特性中、機械的特性はフィルム成形性の評価が○で、フィルムが得られた場合のみ各フィルムについて測定した。機械的特性は、いずれも縦方向(フィルム引き取り方向、MD)と横方向(TD)の両者について測定した。
<融点>
ポリ乳酸の融点は示差走査熱量計DSCセイコーインスツルメンツ株式会社製SSC5200)を用い、200℃で溶融したのち、10℃/分で0℃まで降温し、5分間保持した後に10℃/分で200℃まで昇温して融点を測定した。
MFR>
MFR(メルトフローレート)は、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
水分率測定方法
サンプル約2gを精し、京都電子工業株式会社製の水分気化装置(ADP−351)付きカールフィッシャ水分計(MKC−210)を用いて、気化温度180℃で測定した。
<重量平均分子量測定方法>
重量平均分子量(以下「Mw」という)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工社製、Shodex GPC System−11)を用いて下記の条件で測定した。
溶媒:酢酸アンモニウム15mmol/L含有するヘキサフルオロイソプロプルアルコール溶液樹脂濃度:0.1質量%検量線PMMA標準サンプル(昭和電工社製、Shodex Standard M−75)

0048

使用材料
(1)樹脂A:700Lの反応器窒素置換してから、1,4−ブタンジオール183kg、コハク酸224kgを仕込んだ。引き続いて、常圧の窒素気流下に触媒のテトライソプロポキシチタン34gを添加した。窒素気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。その後、温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940Paの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(チバガイギー社製)を170g及び滑剤としてステアリン酸カルシウムを170g加えて、更に30分間撹拌を続けた。得られたポリエステル凝縮水を除くと収量は339kgであった。
得られたポリエステル339kgを入れた反応器に160℃で亜リン酸57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いでヘキサメチレンジイソシアナート5420gを添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物ギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。90℃で6時間、真空乾燥した後のポリエステル(B1)の収量は300kgであった。
得られたポリエステルは、わずかにアイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が110℃、重量平均分子量(Mw)が170,000、MFR(190℃)は1.0g/10分であった。

0049

(2)樹脂B:700Lの反応器を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール194.3kg、コハク酸173kg、アジピン酸91.8kg(コハク酸:アジピン酸=70:30(モル比))を仕込んだ。引き続いて、触媒のテトライソプロポキシチタン46gを添加した。窒素気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。その後、温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940Paの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応終了後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(チバスシャリティーケミカル社製)を190gおよび滑剤としてステアリン酸カルシウム190gを加えて、更に30分間撹拌を続けた。
得られたポリエステルは凝縮水を除くと収量は380kgであった。得られたポリエステル380kgを入れた反応器に160℃で亜燐酸57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いで反応器に攪拌下でヘキサメチレンジイソシアナート4180gを添加し、160〜190℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物をギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。70℃で3時間、除湿空気循環式の乾燥機で乾燥した後のポリエステルの収量は350kgであった。
得られたポリエステルは白色ペレット状で、融点が76℃、重量平均分子量(Mw)が210000、MFRは2.3g/10分であった。

0050

(3)樹脂C:700Lの反応器を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール174kg、コハク酸173kg、アジピン酸54kg(コハク酸:アジピン酸=80:20(モル比))を仕込んだ。引き続いて、触媒のテトライソプロポキシチタン46gを添加した。窒素気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。その後、温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940Paの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応終了後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカル社製)を190gおよび滑剤としてステアリン酸カルシウム190gを加えて、更に30分間撹拌を続けた。得られたポリエステルは凝縮水を除くと収量は325kgであった。
得られたポリエステル325kgを入れた反応器に160℃で着色防止剤として亜燐酸57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いで反応器に攪拌下でヘキサメチレンジイソシアナート3600gを添加し、160〜190℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物をギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。70℃で3時間、除湿空気循環式の乾燥機で乾燥した後のポリエステルの収量は300kgであった。
得られたポリエステルは白色ペレット状で、融点が92℃、重量平均分子量(Mw)が230000、MFRは1.2g/10分であった。

0051

(4)樹脂D:700Lの反応器を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール172kg、コハク酸130kg、アジピン酸107kg(コハク酸:アジピン酸=60:40(モル比))を仕込んだ。引き続いて、触媒のテトライソプロポキシチタン46gを添加した。窒素気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940MPaの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応終了後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカル社製)を190gおよび滑剤としてステアリン酸カルシウム190gを加えて、更に30分間撹拌を続けた。得られたポリエステルは凝縮水を除くと収量は336kgであった。
得られたポリエステル336kgを入れた反応器に160℃で着色防止剤として亜燐酸57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いで反応器に攪拌下でヘキサメチレンジイソシアナート3700gを添加し、160〜190℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物をギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。70℃で3時間、除湿空気循環式の乾燥機で乾燥した後のポリエステルの収量は307kgであった。
得られたポリエステルは白色ペレット状で、融点が92℃、重量平均分子量(Mw)が240000、MFRは1.0g/10分であった。

0052

(5)樹脂E:BASF(株)製脱水縮合型脂肪族芳香族ポリエステル[Ecoflex(融点;120℃、MFR;4.0g/10分)]
(6)樹脂F:700Lの反応器を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール180kg、コハク酸213kg、アジピン酸17kg(コハク酸:アジピン酸=94:6(モル比))を仕込んだ。引き続いて、触媒のテトライソプロポキシチタン46gを添加した。窒素気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940Paの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応終了後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカル社製)を190gおよび滑剤としてステアリン酸カルシウム190gを加えて、更に30分間撹拌を続けた。採取されたポリエステルは凝縮水を除くと収量は336kgであった。
得られたポリエステル336kgを入れた反応器に160℃で着色防止剤として亜燐酸57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いで反応器に攪拌下でヘキサメチレンジイソシアナート3600gを添加し、160〜190℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物をギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。70℃で3時間、除湿空気循環式の乾燥機で乾燥した後のポリエステルの収量は307kgであった。
得られたポリエステルは白色ペレット状で、融点が92℃、重量平均分子量(Mw)が230000、MFRは1.3g/10分であった。

0053

(7)ポリ乳酸A:ポリ乳酸 レヴォダ110 浙江海正生物材料股イ分有限公司製融点160℃、MFR 5g/10分
(8)ポリ乳酸B:ポリ乳酸インジオ2002Dネイチャーワークス製 融点 150℃、MFR 3g/10分
(9)澱粉A:王子コーンスターチ(株)製酸化澱粉[エースA;カルボキシル基置換度0.01、粘度300プラスマイナス50BU(ブラベンダー粘度、濃度20質量%、50℃1時間後測定)、水分12質量%(常圧加熱法105℃、4時間)
(10)澱粉B:王子コーンスターチ(株)製コーンスターチ[生澱粉;カルボキシル基置換度0、粘度1100プラスマイナス50BU(ブラベンダー粘度、濃度8質量%、50℃1時間後測定)、水分12質量%(常圧加熱法105℃、4時間)
(11) 水:脱イオン水
(12) 高沸点の極性溶媒:薬品工業(株)製、精製グリセリン
(13)可塑剤A:理研ビタミン(株)製ポリグリセリン酢酸エステル[リケマールPL−710]
(14) 可塑剤B:旭電化(株)製アジピン酸ジエステル[アデカサイザーRS−107]

0054

0055

0056

表2に示されている各特性の測定結果から、本発明の多層フィルムは比較例のものと比べて機械的強度、透明性およびフィルム成形性、水蒸気透過度、生分解性のバランスにおいて優れていることがわかる。
実施例1〜11では、実用的な剛性と引裂強度を示し、透明性が高く、生分解性が適度で水蒸気透過性が適度に抑制されたフィルムが得られた。

実施例

0057

比較例1では、酸化澱粉ではなく、生澱粉を用いたところ、澱粉が凝集し、その部分から孔が開き、フィルムを成形することができなかった。
比較例2では表層にポリ乳酸を60質量%添加したため、引裂強度が大きく低下した。
比較例3では表層にポリ乳酸を添加しなかったため、生分解が速く、マルチフィルムとして使用した場合、気候、作物によっては劣化して使用できなかった。
比較例4では酸化澱粉を用いたが、澱粉の量が多すぎたため、澱粉が凝集し、その部分から孔が開き、フィルムを成形することができなかった。
比較例5では澱粉の量が少なすぎたため引裂強度が大きく低下した。
比較例6では、表層を設けなかったため、水蒸気透過度が高く、生分解が速くなってしまった。
比較例7では、中間層に用いるペレットの乾燥時間を15時間としたため、水分が多く、ダイ出口で発泡しフィルム成形時に孔が開き、フィルムを成形することができなかった。
比較例8では、中間層に澱粉を用いなかったため、引裂強度が低下した。

0058

以上詳述したように、本発明は、植物由来原料の割合が高く、物性が良好で、かつ経済的な生分解性を有する多層フィルムに関するものであり、本発明により、使用後に回収する必要の無い農業用フィルムおよび生ゴミを入れそのままコンポスト製造設備に投入できるコンポストバッグ、廃棄されても自然環境下で分解して消滅するレジ袋などに好適なフィルムを提供できるものとして有用である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ