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技術 V形エンジン

出願人 ヤンマー株式会社
発明者 日比野光宏伊東宏晃小川徹
出願日 2010年9月22日 (10年2ヶ月経過) 出願番号 2010-212893
公開日 2012年4月5日 (8年7ヶ月経過) 公開番号 2012-067670
状態 特許登録済
技術分野 燃料噴射装置
主要キーワード ポート穴 給気バルブ カム高さ 低出力領域 カム速度 給気行程 膨張エネルギー 給気マニホールド
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

膨張行程不等間隔となるV形エンジンにおいて、第一列と第二列排気特性差を低減できる技術を提供する。

解決手段

第一列Lに摺動可能に設けられた複数のピストン13と、第二列Rに摺動可能に設けられた複数のピストン13と、前記ピストン13の摺動によって回転されるクランク軸14と、前記クランク軸14の回転によって駆動される第一列用燃料噴射ポンプ4と、前記クランク軸14の回転によって駆動される第二列用の燃料噴射ポンプ4と、を備えたV形エンジン100において、第一列Lの前記ピストン13によって構成される気筒での膨張行程と、第二列Rの前記ピストン13によって構成される気筒での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる場合は、長間隔後に膨張行程となる第一列Lの気筒における燃料噴射圧力を低下させて、短間隔後に膨張行程となる第二列Rの気筒における燃料噴射圧力と略同等とする、とした。

概要

背景

従来より、複数のピストンを第一列と第二列に分けて平行に配置し、各列のピストンによって一つのクランク軸を回転させる、いわゆるV形エンジンが知られている(例えば特許文献1参照)。V形エンジンは、第一列のピストンの摺動方向と第二列のピストンの摺動方向からなる角度、即ち、バンク角によって膨張行程不等間隔となるため、第一列と第二列の排気特性差異を生じる場合があった。

ここで、一の気筒給気行程圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸が二回転する間に完結する4サイクルエンジンであって、各列に6つのピストンを備えたV12気筒エンジンを想定する。V12気筒エンジンは、クランク軸が二回転する間に12回の膨張行程を有するため、クランク軸の回転角度が60度毎に膨張行程を行なうと極めて滑らかで安定した運転特性を得ることが可能となる。そのため、V12気筒エンジンにおいては、バンク角を60度に設定することがエンジン性能を確保するために重要とされてきた。

しかし、バンク角を60度とした場合、全高が大きくなるという寸法上の問題を解決できないため、バンク角を90度としたV12気筒エンジンが知られている。このように、バンク角を90度としたV12気筒エンジンにおいては、クランク軸の回転角度が30度と90度で交互に膨張行程を行なう不等間隔となるため、第一列と第二列の排気特性に差異を生じる場合があった。

概要

膨張行程が不等間隔となるV形エンジンにおいて、第一列と第二列の排気特性差を低減できる技術を提供する。第一列Lに摺動可能に設けられた複数のピストン13と、第二列Rに摺動可能に設けられた複数のピストン13と、前記ピストン13の摺動によって回転されるクランク軸14と、前記クランク軸14の回転によって駆動される第一列用燃料噴射ポンプ4と、前記クランク軸14の回転によって駆動される第二列用の燃料噴射ポンプ4と、を備えたV形エンジン100において、第一列Lの前記ピストン13によって構成される気筒での膨張行程と、第二列Rの前記ピストン13によって構成される気筒での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる場合は、長間隔後に膨張行程となる第一列Lの気筒における燃料噴射圧力を低下させて、短間隔後に膨張行程となる第二列Rの気筒における燃料噴射圧力と略同等とする、とした。

目的

本発明はかかる問題を解決すべくなされたものであり、膨張行程が不等間隔となるV形エンジンにおいて、第一列と第二列の排気特性差を低減できる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第一列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、第二列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、前記ピストンの摺動によって回転されるクランク軸と、前記クランク軸の回転によって駆動される第一列用燃料噴射ポンプと、前記クランク軸の回転によって駆動される第二列用の燃料噴射ポンプと、を備えたV形エンジンにおいて、第一列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、第二列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる場合は、長間隔後に膨張行程となる第一列の気筒における燃料噴射圧力を低下させて、短間隔後に膨張行程となる第二列の気筒における燃料噴射圧力と略同等にする、ことを特徴とするV形エンジン。

請求項2

前記燃料噴射ポンプは、摺動することで燃料の圧送を行なうプランジャと、前記クランク軸によって駆動されて前記プランジャを摺動させるカム軸と、を具備し、第一列用の前記燃料噴射ポンプの前記カム軸についてカム形状を変更することで燃料の圧送量を調節し、燃料噴射圧力を低下させる、ことを特徴とする請求項1に記載のV形エンジン。

請求項3

第一列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、第二列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、前記ピストンの摺動によって回転されるクランク軸と、前記クランク軸の回転によって駆動される第一列用の燃料噴射ポンプと、前記クランク軸の回転によって駆動される第二列用の燃料噴射ポンプと、を備えたV形エンジンにおいて、第一列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、第二列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる場合は、短間隔後に膨張行程となる第二列の気筒における燃料噴射圧力を増加させて、長間隔後に膨張行程となる第一列の気筒における燃料噴射圧力と略同等にする、ことを特徴とするV形エンジン。

請求項4

前記燃料噴射ポンプは、摺動することで燃料の圧送を行なうプランジャと、前記クランク軸によって駆動されて前記プランジャを摺動させるカム軸と、を具備し、第二列用の前記燃料噴射ポンプの前記カム軸についてカム形状を変更することで燃料の圧送量を調節し、燃料噴射圧力を増加させる、ことを特徴とする請求項3に記載のV形エンジン。

技術分野

0001

本発明は、V形エンジンの技術に関する。

背景技術

0002

従来より、複数のピストンを第一列と第二列に分けて平行に配置し、各列のピストンによって一つのクランク軸を回転させる、いわゆるV形エンジンが知られている(例えば特許文献1参照)。V形エンジンは、第一列のピストンの摺動方向と第二列のピストンの摺動方向からなる角度、即ち、バンク角によって膨張行程不等間隔となるため、第一列と第二列の排気特性差異を生じる場合があった。

0003

ここで、一の気筒給気行程圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸が二回転する間に完結する4サイクルエンジンであって、各列に6つのピストンを備えたV12気筒エンジンを想定する。V12気筒エンジンは、クランク軸が二回転する間に12回の膨張行程を有するため、クランク軸の回転角度が60度毎に膨張行程を行なうと極めて滑らかで安定した運転特性を得ることが可能となる。そのため、V12気筒エンジンにおいては、バンク角を60度に設定することがエンジン性能を確保するために重要とされてきた。

0004

しかし、バンク角を60度とした場合、全高が大きくなるという寸法上の問題を解決できないため、バンク角を90度としたV12気筒エンジンが知られている。このように、バンク角を90度としたV12気筒エンジンにおいては、クランク軸の回転角度が30度と90度で交互に膨張行程を行なう不等間隔となるため、第一列と第二列の排気特性に差異を生じる場合があった。

先行技術

0005

特開平6−193538号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明はかかる問題を解決すべくなされたものであり、膨張行程が不等間隔となるV形エンジンにおいて、第一列と第二列の排気特性差を低減できる技術を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0007

本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。

0008

即ち、請求項1においては、第一列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、
第二列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、
前記ピストンの摺動によって回転されるクランク軸と、
前記クランク軸の回転によって駆動される第一列用燃料噴射ポンプと、
前記クランク軸の回転によって駆動される第二列用の燃料噴射ポンプと、を備えたV形エンジンにおいて、
第一列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、第二列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる場合は、長間隔後に膨張行程となる第一列の気筒における燃料噴射圧力を低下させて、短間隔後に膨張行程となる第二列の気筒における燃料噴射圧力と略同等にする、としたものである。

0009

請求項2においては、請求項1に記載のV形エンジンにおいて、前記燃料噴射ポンプは、摺動することで燃料の圧送を行なうプランジャと、
前記クランク軸によって駆動されて前記プランジャを摺動させるカム軸と、を具備し、
第一列用の前記燃料噴射ポンプの前記カム軸についてカム形状を変更することで燃料の圧送量を調節し、燃料噴射圧力を低下させる、としたものである。

0010

請求項3においては、第一列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、
第二列に摺動可能に設けられた複数のピストンと、
前記ピストンの摺動によって回転されるクランク軸と、
前記クランク軸の回転によって駆動される第一列用の燃料噴射ポンプと、
前記クランク軸の回転によって駆動される第二列用の燃料噴射ポンプと、を備えたV形エンジンにおいて、
第一列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、第二列の前記ピストンによって構成される気筒での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる場合は、短間隔後に膨張行程となる第二列の気筒における燃料噴射圧力を増加させて、長間隔後に膨張行程となる第一列の気筒における燃料噴射圧力と略同等にする、としたものである。

0011

請求項4においては、請求項3に記載のV形エンジンにおいて、前記燃料噴射ポンプは、摺動することで燃料の圧送を行なうプランジャと、
前記クランク軸によって駆動されて前記プランジャを摺動させるカム軸と、を具備し、
第二列用の前記燃料噴射ポンプの前記カム軸についてカム形状を変更することで燃料の圧送量を調節し、燃料噴射圧力を増加させる、としたものである。

発明の効果

0012

本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。

0013

請求項1に記載の発明によれば、長間隔後に膨張行程となる第一列の気筒における燃料噴射圧力を低下させることで、第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形近似させることができる。これにより、第一列と第二列の気筒における燃焼状態が同様となるため、第一列と第二列の排気特性差を低減することが可能となる。

0014

請求項2に記載の発明によれば、第一列用の燃料噴射ポンプのカム軸についてカム形状を変更することで、燃料噴射圧力を低下させることができ、第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形を近似させることが可能となる。これにより、第一列と第二列の気筒における燃焼状態が同様となるため、第一列と第二列の排気特性差を低減することが可能となる。

0015

請求項3に記載の発明によれば、短間隔後に膨張行程となる第二列の気筒における燃料噴射圧力を増加させることで、第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形を近似させることができる。これにより、第一列と第二列の気筒における燃焼状態が同様となるため、第一列と第二列の排気特性差を低減することが可能となる。

0016

請求項4に記載の発明によれば、第二列用の燃料噴射ポンプのカム軸についてカム形状を変更することで、燃料噴射圧力を増加させることができ、第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形を近似させることが可能となる。これにより、第一列と第二列の気筒における燃焼状態が同様となるため、第一列と第二列の排気特性差を低減することが可能となる。

図面の簡単な説明

0017

V形エンジンの構成を示す斜視図。
V形エンジンの構成を示す平面図。
V形エンジンの構成を示す断面図。
(A)燃料噴射ポンプの構造を示す図。(B)燃料噴射ポンプによる燃料の圧送と調量を示す図。
膨張行程が不等間隔になることを示す図。
(A)第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形を示す図。(B)第一列の排気温度と第二列の排気温度を示す図。
(A)燃料噴射ポンプを構成するカム軸のカム形状を示す一の図。(B)燃料噴射ポンプを構成するカム軸のカム速度を示す一の図。
(A)第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形を示す一の図。(B)第一列の排気温度と第二列の排気温度を示す一の図。
(A)燃料噴射ポンプを構成するカム軸のカム形状を示す他の図。(B)燃料噴射ポンプを構成するカム軸のカム速度を示す他の図。
(A)第一列の気筒における燃料噴射圧力と第二列の気筒における燃料噴射圧力の圧力波形を示す他の図。(B)第一列の排気温度と第二列の排気温度を示す他の図。

実施例

0018

まず、本発明の一実施形態に係るV形エンジン100の構成について説明する。V形エンジン100は、第一列Lと第二列Rにそれぞれ6つのピストン13を備えたV12気筒エンジンである。また、V形エンジン100は、圧縮した空気に燃料を噴射することによって燃焼させて、燃焼による膨張エネルギーから回転動力を得るディーゼルエンジンとされる。

0019

図1は、V形エンジン100の構成を示す斜視図であり、図2は、その平面図である。また、図3は、V形エンジン100の構成を示す断面図である。なお、図中の白抜きの矢印は、吸入空気の流れ方向を示し、図中の黒塗りの矢印は、排気の流れ方向を示している。

0020

V形エンジン100は、主にエンジン主体部1と、二つの給気通路2と、二つの排気通路3と、二つの燃料噴射ポンプ4と、から構成されている。

0021

エンジン主体部1は、燃焼による膨張エネルギーから回転動力を得るV形エンジン100の主たる構造体である。エンジン主体部1は、主にシリンダブロック11と、シリンダヘッド12と、ピストン13と、クランク軸14と、から構成される。

0022

エンジン主体部1には、シリンダブロック11に設けられたシリンダ穴11cと、該シリンダ穴11cに摺動可能に内設されたピストン13と、該ピストン13に対向するように配置されたシリンダヘッド12と、で燃焼室15が構成されている。また、ピストン13は、コネクティングロッド16によってクランク軸14のピン部と連結されており、該ピストン13の摺動によってクランク軸14を回転駆動させる。なお、エンジン主体部1の具体的な作動態様については後述する。

0023

給気通路2は、外部から吸入された吸入空気をエンジン主体部1に設けられた各燃焼室15に導く通路である。給気通路2は、吸入空気が流れる方向に沿って主にエアクリーナ21と、コンプレッサ22と、給気マニホールド23と、で構成される。

0024

エアクリーナ21は、濾紙又はスポンジ等によって吸入空気を濾過するものである。エアクリーナ21は、吸入空気を濾過することによって埃等の異物が燃焼室15に混入することを防止している。

0025

コンプレッサ22は、エアクリーナ21によって濾過された吸入空気を加圧するものである。具体的には、コンプレッサ22は、複数のブレードを備えたコンプレッサホイールを備え、該コンプレッサホイールを回転させることによって吸入空気を加圧する。コンプレッサ22のコンプレッサホイールは、後述するタービンホイールと連結されて該タービンホイールによって回転駆動される。

0026

給気マニホールド23は、コンプレッサ22によって加圧された吸入空気を各燃焼室15に分配するものである。本実施形態に係るV形エンジン100は、第一列Lと第二列Rにそれぞれ6つの燃焼室15が設けられているため、一の給気マニホールド23も6つの通路に分岐するように形成されている。なお、給気マニホールド23は、シリンダヘッド12に設けられた吸入空気の通路と連通するように該シリンダヘッド12に固設されている。

0027

排気通路3は、各燃焼室15から排出された排気を排気口まで導く通路である。排気通路3は、排気の流れる方向に沿って主に排気マニホールド31と、排気タービン32と、で構成される。

0028

排気マニホールド31は、各燃焼室15から排出された排気を集合させるものである。本実施形態に係るV形エンジン100は、第一列Lと第二列Rにそれぞれ6つの燃焼室15が設けられているため、一の排気マニホールド31も6つの通路を一つの通路に合流するように形成されている。なお、排気マニホールド31は、シリンダヘッド12に設けられた排気の通路と連通するように該シリンダヘッド12に固設されている。

0029

排気タービン32は、各燃焼室15から排出された排気のエネルギーを利用して回転動力を得るものである。具体的には、排気タービン32は、複数のブレードを備えたタービンホイールを備え、排気を受けることによって該タービンホイールが回転される。排気タービン32のタービンホイールは、前述したコンプレッサホイールと連結されて該コンプレッサホイールを回転駆動させる。

0030

燃料噴射ポンプ4は、シリンダヘッド12に取り付けられた燃料噴射ノズル17へ燃料を圧送する圧送装置である。燃料噴射ポンプ4の圧送部は、主にプランジャバレル41と、プランジャ42と、デリベリバルブ43と、カム軸44と、から構成される(図4(A)参照)。なお、燃料噴射ノズル17は、噴射口17hが設けられた先端部を燃焼室15内に突出するようにしてシリンダヘッド12に固設されている。

0031

燃料噴射ポンプ4には、プランジャバレル41と、該プランジャバレル41に摺動可能に内設されたプランジャ42と、該プランジャ42に対向するように配置されたデリベリバルブ43と、で燃料室45が構成されている。また、プランジャ42は、スプリング46によってカム軸44のカム部へ付勢されており、該カム軸44の回転によって摺動される。なお、燃料噴射ポンプ4の具体的な作動態様については後述する。

0032

ここで、図3を用いてエンジン主体部1の作動態様について説明する。詳しくは、ピストン13によって構成される一の気筒の作動態様について説明する。V形エンジン100は、一の気筒で給気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸14が二回転する間に完結する4サイクルエンジンである。

0033

給気工程は、シリンダヘッド12に備えられた給気バルブ12iを開弁するとともに、ピストン13を下方へ摺動させることによって、燃焼室15内へ吸入空気を導く工程である。

0034

圧縮工程は、給気バルブ12iを閉弁するとともに、ピストン13を上方へ摺動させることによって、燃焼室15内の空気を圧縮する工程である。そして、圧縮されて高温高圧となった空気に燃料噴射ノズル17から燃料が噴射されると、燃料は燃焼室15内で分散して蒸発し、燃焼を開始する。

0035

その後、本気筒はピストン13を再び下方へ摺動させる膨張行程に移行する。膨張行程は、燃料が燃焼したことによる燃焼室15内の圧力の上昇によって、ピストン13を押し下げ行程である。このとき、ピストン13からコネクティングロッド16を介してクランク軸14に回転動力が付与される。

0036

そして、本気筒はピストン13を再び上方へ摺動させる排気行程に移行する。排気工程は、排気バルブ12eを開弁するとともに、ピストン13を上方へ摺動させることによって、燃焼室15内の排気を排出する行程である。

0037

こうして、V形エンジン100は、一の気筒で給気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸14が二回転する間に完結する。V形エンジン100は、全ての気筒C1・C2・C3・・・において上記の各行程を繰り返すことによって、連続して運転することを可能としている。

0038

次に、図4(A)、図4(B)を用いて燃料噴射ポンプ4の作動態様について説明する。詳しくは、プランジャ42等によって構成される一の圧送機構の作動態様について説明する。但し、以下の説明と説明に用いた図4は、一般的な燃料噴射ポンプの構造を例示したものであり、詳細な構造については異なる部分を有する。

0039

上述したように、燃料噴射ポンプ4の圧送部は、主にプランジャバレル41と、プランジャ42と、デリベリバルブ43と、カム軸44と、から構成される。また、燃料噴射ポンプ4の調量部は、主にコントロールスリーブ47と、コントロールラック48、アクチュエータ49と、から構成される。

0040

プランジャバレル41には、プランジャ42が摺動可能に内設されている。プランジャ42の軸心方向図示上下方向)の中途部には、該プランジャ42と一体となって回転するコントロールスリーブ47が外嵌されている。そして、コントロールスリーブ47の外周に設けられたピニオンギヤ47gは、コントロールラック48のラックギヤ48gと歯合されている。また、コントロールラック48は、アクチュエータ49と連結されて図示しない制御装置によって駆動される。

0041

図4(B)に示すように、燃料の圧送は、軸心方向(図示上下方向)へ摺動するプランジャ42がプランジャバレル41のポート穴41pを塞ぐことで開始される。詳細に説明すると、プランジャ42が摺動してプランジャバレル41のポート穴41pを塞ぐと、燃料室45に注入された燃料の圧力が上昇する。そして、燃料室45における燃料の圧力が所定の値を超えると、デリベリバルブ43が開弁して燃料の圧送が開始されるのである。

0042

また、図4(B)に示すように、燃料の調量は、プランジャ42がポート穴41pを塞ぐ時期と再び連通する時期とを調節することで可能となる。詳細に説明すると、プランジャ42の上端面と中途部には、それぞれ所定の角度で切欠42a・42bが穿設されているため、プランジャ42を回転させることでポート穴41pを塞ぐ時期と連通する時期とを調節できる。そして、ポート穴41pを塞ぐ時期と連通する時期とを調節すると、デリベリバルブ43の開弁時期閉弁時期とが変化して燃料の調量が行われるのである。

0043

こうして、燃料噴射ポンプ4は、カム軸44の回転によってプランジャ42を摺動させることができ、燃料噴射ノズル17へ燃料を圧送可能としている。また、燃料噴射ポンプ4は、アクチュエータ49がコントロールラック48やコントロールスリーブ47を介してプランジャ42を回転させることができ、燃料噴射ノズル17へ圧送される燃料を調量可能としている。

0044

以上のような構成のV形エンジン100において、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)での膨張行程と、第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)での膨張行程と、の間隔が不等間隔となる理由について説明する。また、膨張行程が不等間隔となることによって、第一列Lと第二列Rの排気特性に差異が生じる理由について説明する。

0045

上述したように、4サイクルエンジンであって、V12気筒エンジンであるV形エンジン100は、クランク軸14が二回転する間に12回の膨張行程が行なわれる。従って、クランク軸14の回転角度が60度毎に膨張行程を行なうと極めて滑らかで安定した運転特性を得ることが可能とされる。

0046

しかし、本V形エンジン100は、第一列Lのピストン13の摺動方向と第二列Rのピストン13の摺動方向からなる角度、即ち、バンク角Vaが90度とされているため(図3参照)、クランク軸14の回転角度が60度毎に膨張行程を行なうことは不可能である。つまり、図5に示すように、V形エンジン100は、クランク軸14の回転角度が30度と90度で交互に膨張行程を行なうこととなり、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)での膨張行程と、第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)での膨張行程と、の間隔が不等間隔にならざるを得ないのである。

0047

このように、V形エンジン100は、クランク軸14の回転角度が30度と90度で交互に膨張行程を行なう不等間隔となるため、第一列Lと第二列Rの排気特性に差異が生じていたのである。具体的には、長間隔(90度)後に膨張行程となる第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力が、短間隔(30度)後に膨張行程となる第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力よりも高くなる傾向にあるため、第一列Lと第二列Rの排気特性に差異が生じていたのである。

0048

図6(A)に、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力と第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力の圧力波形を示す。また、図6(B)に、第一列Lの排気温度と第二列Rの排気温度を示す。

0049

図6(A)より、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力が、第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力よりも高くなっていることがわかる。これは、クランク軸14の回転角度が30度と90度で交互に膨張行程を行なうことに起因して、長間隔後に膨張行程となる第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力が、短間隔後に膨張行程となる第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力よりも高くなることを示している。

0050

また、図6(B)より、低出力領域においては第一列Lの排気温度が第二列Rの排気温度よりも高くなっており、高出力領域においては第一列Lの排気温度が第二列Rの排気温度よりも低くなっていることがわかる。これは、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力と第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力が異なることに起因して、燃焼室15における燃焼状態が互いに異なっていることを示している。

0051

そして、燃焼室15における燃焼状態が互いに異なっている場合は、窒素酸化物(NOx)ならびに粒子状物質(PM)の生成量に差異が生じると考えられる。具体的に説明すると、窒素酸化物(NOx)は、主に高温領域で生成されるために燃焼状態の影響を受け易く、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)と第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)で生成量に差異が生じるからである。また、粒子状物質(PM)は、主に低酸素領域で生成されるために燃焼状態の影響を受け易く、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)と第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)で生成量に差異が生じるからである。

0052

以下に、第一列Lと第二列Rの排気特性差を低減する一の手段について説明する。

0053

図7(A)に、燃料噴射ポンプ4を構成するカム軸44のカム形状を示す。図7(A)の実線は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状を示し、図7(A)の破線は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状を示している。また、図7(B)に、燃料噴射ポンプ4を構成するカム軸44のカム速度を示す。図7(B)の実線は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度を示し、図7(B)の破線は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度を示している。なお、カム速度とは、カム軸44のカム部によって摺動されるプランジャ42の摺動速度同義である。

0054

図7(A)より、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状と比較して、ベース円Cbならびにランプ部Crの形状が略同一となっている。しかし、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状は、ランプ部Crから連続するフランク部Cfにおいてカム高さが低くなっている。

0055

図7(B)より、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度と比較して、ベース円部Cbとランプ部Crでほぼ一致する。これは、互いのカム形状がベース円部Cbとランプ部Crにおいて略同一だからである。しかし、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度と比較して、フランク部Cfで遅くなっている。これは、第一列用の燃料噴射ポンプ4のフランク部Cfにおけるカム高さが低いことに起因する。

0056

すると、カム速度の相異は、ポート穴41p等からの燃料の溢流量に相関関係を有するため、燃料噴射ノズル17への燃料の圧送量に影響を及ぼす。つまり、第一列用の燃料噴射ポンプ4は、カム速度が遅いために燃料室45からの燃料の溢流量が多くなり、燃料噴射ノズル17への燃料の圧送量が少なくなるのである。

0057

このような構成により、本V形エンジン100は、長間隔後に膨張行程となる第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力を低下させることが可能となる。そして、図8(A)に示すように、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力と第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力の圧力波形を近似させることが可能となるのである。また、図8(B)に示すように、第一列Lの排気温度と第二列Rの排気温度とが略同等になっていることからも、燃焼室15における燃焼状態が互いに同様になっていると考えられる。

0058

上より、燃焼室15における燃焼状態が互いに同様となるために窒素酸化物(NOx)ならびに粒子状物質(PM)の生成量に差異が生じず、第一列Lと第二列Rの排気特性差を低減することが可能となるのである。

0059

以下に、第一列Lと第二列Rの排気特性差を低減する他の手段について説明する。

0060

図9(A)に、燃料噴射ポンプ4を構成するカム軸44のカム形状を示す。図9(A)の実線は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状を示し、図9(A)の破線は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状を示している。また、図9(B)に、燃料噴射ポンプ4を構成するカム軸44のカム速度を示す。図9(B)の実線は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度を示し、図9(B)の破線は、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度を示している。なお、カム速度とは、カム軸44のカム部によって摺動されるプランジャ42の摺動速度と同義である。

0061

図9(A)より、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状と比較して、ベース円部Cbならびにランプ部Crの形状が略同一となっている。しかし、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム形状は、ランプ部Crから連続するフランク部Cfにおいてカム高さが高くなっている。

0062

図9(B)より、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度と比較して、ベース円部Cbとランプ部Crでほぼ一致する。これは、互いのカム形状がベース円部Cbとランプ部Crにおいて略同一だからである。しかし、第二列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度は、第一列用の燃料噴射ポンプ4のカム速度と比較して、フランク部Cfで速くなっている。これは、第一列用の燃料噴射ポンプ4のフランク部Cfにおけるカム高さが高いことに起因する。

0063

すると、カム速度の相異は、ポート穴41p等からの燃料の溢流量に相関関係を有するため、燃料噴射ノズル17への燃料の圧送量に影響を及ぼす。つまり、第二列用の燃料噴射ポンプ4は、カム速度が速いために燃料室45からの燃料の溢流量が少なくなり、燃料噴射ノズル17への燃料の圧送量が多くなるのである。

0064

このような構成により、本V形エンジン100は、短間隔後に膨張行程となる第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力を増加させることが可能となる。そして、図10(A)に示すように、第一列Lの気筒(C1・C3・C5・C7・C9・C11)における燃料噴射圧力と第二列Rの気筒(C2・C4・C6・C8・C10・C12)における燃料噴射圧力の圧力波形を近似させることが可能となるのである。また、図10(B)に示すように、第一列Lの排気温度と第二列Rの排気温度とが略同等になっていることからも、燃焼室15における燃焼状態が互いに同様になっていると考えられる。

0065

以上により、燃焼室15における燃焼状態が互いに同様となるために窒素酸化物(NOx)ならびに粒子状物質(PM)の生成量に差異が生じず、第一列Lと第二列Rの排気特性差を低減することが可能となるのである。

0066

100V形エンジン
1 エンジン主体部
11シリンダブロック
12シリンダヘッド
13ピストン
14クランク軸
15燃焼室
16コネクティングロッド
17燃料噴射ノズル
2給気通路
21エアクリーナ
22コンプレッサ
23給気マニホールド
3排気通路
31排気マニホールド
32排気タービン
4燃料噴射ポンプ
41プランジャバレル
42プランジャ
43デリベリバルブ
44カム軸
45燃料室
L 第一列
R 第二列
Va バンク角

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