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技術 マイクロ波反応装置およびこの装置を用いた高分子化合物の製造方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 孝治慎之助平谷卓之中浜数理
出願日 2011年6月21日 (9年5ヶ月経過) 出願番号 2011-137822
公開日 2012年4月5日 (8年7ヶ月経過) 公開番号 2012-066236
状態 特許登録済
技術分野 高周波加熱[構造] 物理的、化学的プロセスおよび装置 重合方法(一般)
主要キーワード 発熱媒体 マイクロ波吸収能 カーボンメッシュ 光ファイバーセンサ マルチモ 昇温領域 接界面 間欠照射
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

冷温領域の発生に係る課題を解消し、化学反応を効果的に促進可能なマイクロ波反応装置及びこの装置を用いた高分子化合物の製造方法を提供する。

解決手段

反応液を収容するための反応容器2と、反応容器2に収容された反応液にマイクロ波照射するためのマイクロ波照射手段3と、反応容器2に収容された反応液を冷却するための冷却手段1と、を備えたマイクロ波反応装置において、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体5が、冷却手段1の表面又は表面の近傍であって、反応液を介してマイクロ波照射手段3からのマイクロ波4を受容する位置に、配置されている。

概要

背景

合成反応分解反応及び酸化還元反応等の化学反応系マイクロ波照射することによって、化学反応が促進され、反応速度を高められることが報告されている。これらのマイクロ波照射による化学反応は、現在、マイクロ波化学プロセスという技術領域に位置付けられ、精力的に研究がなされている。

一般に、マイクロ波の照射出力と化学反応の促進効果には相関があり、マイクロ波の照射出力を大きくすると、反応速度をより一層高めることが可能となる。しかし、高出力のマイクロ波の照射は、化学反応系の過剰加熱を誘発して、化学反応が制御困難になる可能性があり、化学反応の制御性の観点から好ましくない。このような課題を解決する方法として、特許文献1には、冷却手段を備えるマイクロ波反応装置が報告されている。

概要

冷温領域の発生に係る課題を解消し、化学反応を効果的に促進可能なマイクロ波反応装置及びこの装置を用いた高分子化合物の製造方法を提供する。反応液を収容するための反応容器2と、反応容器2に収容された反応液にマイクロ波を照射するためのマイクロ波照射手段3と、反応容器2に収容された反応液を冷却するための冷却手段1と、を備えたマイクロ波反応装置において、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体5が、冷却手段1の表面又は表面の近傍であって、反応液を介してマイクロ波照射手段3からのマイクロ波4を受容する位置に、配置されている。

目的

本発明の目的は、前記低温領域の発生に係る課題を解消し、化学反応を効果的に促進可能なマイクロ波反応装置及び高分子化合物の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

反応液を収容するための反応容器と、前記反応容器に収容された前記反応液にマイクロ波照射するためのマイクロ波照射手段と、前記反応容器に収容された前記反応液を冷却するための冷却手段と、を備えるマイクロ波反応装置において、前記マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体が、前記冷却手段の表面又は表面の近傍であって、前記反応液を介して前記マイクロ波照射手段からの前記マイクロ波を受容する位置に、配置されていることを特徴とするマイクロ波反応装置。

請求項2

前記発熱媒体は、前記反応容器の内部に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波反応装置。

請求項3

前記発熱媒体は、少なくともカーボンニッケル炭化ケイ素酸化アルミニウム又はフェライトのいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ波反応装置。

請求項4

前記冷却手段の表面又は表面の近傍に設置された前記発熱媒体の被覆率が20%以上80%以下であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のマイクロ波反応装置。

請求項5

前記被覆率が25%以上65%以下であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のマイクロ波反応装置。

請求項6

請求項1に記載のマイクロ波反応装置の前記反応容器に、少なくとも液体媒体及びモノマーを含む反応液を収容する工程と、前記反応容器の中の前記反応液を前記冷却手段により冷却しながら、前記マイクロ波照射手段によりマイクロ波を前記反応容器の中の反応液に照射して前記モノマーを重合する工程と、を有することを特徴とする高分子化合物の製造方法。

請求項7

前記反応液は、ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の高分子化合物の製造方法。

請求項8

前記モノマーは、少なくともスチレンクロロスチレンα−メチルスチレンジビニルベンゼンビニルトルエンアクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸n−ブチルメタクリル酸メチルメタクリル酸エチルメタクリル酸−n−ブチルのいずれかを含み、前記液体媒体は、水であることを特徴とする請求項6又は7に記載の高分子化合物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、マイクロ波反応装置およびこの装置を用いた高分子化合物の製造方法に関する。

背景技術

0002

合成反応分解反応及び酸化還元反応等の化学反応系マイクロ波照射することによって、化学反応が促進され、反応速度を高められることが報告されている。これらのマイクロ波照射による化学反応は、現在、マイクロ波化学プロセスという技術領域に位置付けられ、精力的に研究がなされている。

0003

一般に、マイクロ波の照射出力と化学反応の促進効果には相関があり、マイクロ波の照射出力を大きくすると、反応速度をより一層高めることが可能となる。しかし、高出力のマイクロ波の照射は、化学反応系の過剰加熱を誘発して、化学反応が制御困難になる可能性があり、化学反応の制御性の観点から好ましくない。このような課題を解決する方法として、特許文献1には、冷却手段を備えるマイクロ波反応装置が報告されている。

先行技術

0004

登録03705807号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1のような冷却手段を備えるマイクロ波反応装置を用いた化学反応において、高出力のマイクロ波の照射に対する化学反応の促進効果を確認できない場合があった。この理由として、冷却手段近傍で温度が急激に低下している低温領域が生じ、この低温領域に起因する化学反応の抑制効果によって、マイクロ波照射に基づく化学反応の促進効果が打ち消されるためであると本発明者は推察している。

0006

ここでいう低温領域とは、反応液内部の冷却手段近傍に生じる温度が急激に低下した領域をいう。低温領域においては、更に、当該低温領域以外の加熱された反応液中での反応速度と比較して反応速度が二分の一以下となっている冷温領域が存在すると考えられる。

0007

低温領域の発生を抑制すべく、冷却手段による冷却を中止すると、反応液がその沸点以上に昇温してしまい、化学反応が期待通りには進行しない。

0008

本発明の目的は、前記低温領域の発生に係る課題を解消し、化学反応を効果的に促進可能なマイクロ波反応装置及び高分子化合物の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明のマイクロ波反応装置は、反応液を収容するための反応容器と、反応容器に収容された反応液にマイクロ波を照射するためのマイクロ波照射手段と、反応容器に収容された反応液を冷却するための冷却手段と、を備えており、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体が、冷却手段の表面又は表面の近傍であって、反応液を介してマイクロ波照射手段からのマイクロ波を受容する位置に配置されていることを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、マイクロ波反応装置において、冷却手段近傍に発熱媒体を配置することによって熱を発生させ、冷温領域となってしまう領域にある反応液を加熱する。こうして冷温領域の発生を抑制したり、冷温領域の体積ボリューム)を小さくしたりすることによって、化学反応を促進させる。

図面の簡単な説明

0011

本発明のマイクロ波反応装置の第1の実施形態を示す図である。
本発明のマイクロ波反応装置の第2の実施形態を示す図である。
従来及び本発明の反応装置の反応容器における温度勾配を説明するための模式図である。
本発明に用いられる発熱媒体の形態を示す図である。
本発明に用いられる反応装置を示す図である。
本発明の実施例6乃至9、比較例6、及び比較例7における発熱媒体被覆率重合転化率上昇率の関係を示す図である。

0012

以下、本発明のマイクロ波反応装置について、図面を用いて説明する。

0013

本発明のマイクロ波反応装置では、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体が、冷却手段の表面若しくは表面の近傍に配置されている。そして、発熱媒体は、反応液を介して、マイクロ波照射手段から供給されたマイクロ波を受容できるように配置されている。ここで冷却手段の表面の近傍とは、例えば、冷温領域であり、具体的には、冷却手段からの距離が1cm以下の領域であり得る。

0014

図1は、本発明のマイクロ波反応装置の第1の実施形態を示したものである。このマイクロ波反応装置では、反応液を収容するための反応容器2と、反応容器2に収容された反応液にマイクロ波を照射するためのマイクロ波照射手段3と、反応容器2に収容された反応液を冷却するための冷却手段1と、を備えている。そして、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体5が、冷却手段1の表面又は表面の近傍であって、反応液を介してマイクロ波照射手段3からのマイクロ波4を受容する位置に、配置されている。

0015

第1の実施形態は、冷却手段が反応容器の内部にある形態である。

0016

マイクロ波の照射方向はどのような方向でもよく、一方向から照射されても、反応容器周囲から照射されてもよい。本実施形態によるマイクロ波反応装置は、冷却手段1の表面の一部または表面近傍の一部に、マイクロ波4を吸収して発熱する発熱媒体5が設けられている。

0017

図2は、本発明のマイクロ波反応装置の第2の実施形態を示したものである。このマイクロ波反応装置は、反応液を収容するための反応容器2と、反応容器2に収容された反応液にマイクロ波を照射するためのマイクロ波照射手段3と、反応容器2に収容された反応液を冷却するための冷却手段1と、を備えている。そして、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱媒体5が、冷却手段1の表面又は表面の近傍であって、反応液を介してマイクロ波照射手段3からのマイクロ波4を受容する位置に、配置されている。

0018

第2の実施形態は、冷却手段が反応容器の外部にある形態である。そして、本実施形態のマイクロ波反応装置における冷却手段1は、反応容器2と隣接して設けられるとともに、マイクロ波照射手段3から照射されるマイクロ波4の照射方向(図中矢印の伝搬方向)に対して反応容器2より下流側に位置する。さらに、マイクロ波4を吸収して発熱する発熱媒体5は、冷却手段の表面の近傍として、ここでは、冷却手段1と反応容器2との境界面の一部または境界面近傍の一部に、設けられている。

0019

図1または図2のように、反応容器2と冷却手段1を配置することによって、高出力のマイクロ波4の照射から誘発される化学反応系の過剰加熱を抑制することができる。また、照射されたマイクロ波4は、その一部が反応容器2内部の反応液に吸収され、反応液に吸収されずに反応液を透過したマイクロ波の一部が発熱媒体5に吸収される。この結果、発熱媒体5が発熱し、局所的に発生した熱が冷却手段1に起因して反応容器2内部に生じる冷温領域にある反応液の温度を上昇させるため、冷温領域に起因する化学反応の抑制を改善することができると考えられる。また、冷温の反応液中に局所的な昇温領域が生じることにより、この昇温領域において化学反応が促進すると考えられる。

0020

したがって、発熱媒体5は、反応容器2と冷却手段1の境界面に配置される場合に限らず、冷却手段1の表面付近に局所的な昇温領域が生じるように上記境界面の近傍に配置されていてもよい。

0021

図3に示すように、発熱媒体の無い従来の冷却手段を有する反応容器2にマイクロ波を照射した場合、図3点線で示したように、冷却手段1の近傍で温度が急激に低下している低温領域、更には冷温領域が生じて、これにより化学反応の促進が抑制されると本発明者は考える。これに対して、本実施形態による反応装置では、反応容器2と冷却手段1の境界面又はその近傍に、マイクロ波を吸収して発熱する発熱媒体を有する。本発明の装置の反応容器2内では、発熱媒体5付近で局所的な昇温領域が生じ、図3実線で示すように、冷却手段1付近に生じる冷温領域の体積を減少させて化学反応を促進することができる。

0022

図3では温度分布の様子を模式的に表現したが、冷却手段1の表面における温度は、発熱媒体がない部分では冷却手段の温度となり、発熱媒体のある部分では、その発熱媒体の発熱によって定まる温度となる。

0023

発熱媒体5は、上述したとおり、冷却手段の表面又はその近傍に設けられる。例えば、反応容器2と冷却手段1の境界面またはその近傍に設けられる。発熱媒体は、スパッタリング蒸着CVDといった、物理的もしくは化学的成膜手法により境界面上に形成したマイクロ波吸収能を持つ発熱媒体であり得る。また、発熱媒体5は、リボン、棒、メッシュ、箔、薄板ペーパークロスなどの形状であり得る。

0024

本発明者の検討によれば、冷却手段1と反応液の境界面のうち発熱媒体5が設けられている割合を被覆率と定義する場合、被覆率は20%以上80%以下であることが好ましい。被覆率が20%より小さい場合、昇温領域が十分な体積をもって生じないことから化学反応の促進効果が小さい。一方、被覆率が80%を超えると、冷却手段1によって反応液を十分冷却できない場合がある。さらに、被覆率は25%以上65%以下であることがより好ましい。この範囲においては、設けられた発熱媒体による化学反応の促進効果と冷却手段による冷却効果バランスが最適化されるため、化学反応の促進効率が最も高くなる。本発明における発熱媒体5の設置形態について特に制限はないが、例えば、図4(A)のような島状、(B)のような帯状、(C)のようなメッシュ状の形態で発熱媒体5を設置してもよい。

0025

被覆率は、周知の加工方法によって調整できる。例えば、スパッタリングや蒸着、CVDといった物理的もしくは化学的な成膜手法と、ドライエッチングウェットエッチングといった物理的もしくは化学的なエッチング手法を組み合わせた加工方法である。あるいは、線やリボン、メッシュ、ペーパーやクロスなどを冷却手段の表面や容器内面に固定する方法であってもよい。

0026

本発明に用いられる発熱媒体は、少なくともマイクロ波を吸収して発熱する材料から構成される。任意材料がマイクロ波を吸収して発熱する度合いはマイクロ波吸収係数によって表され、この値が大きい程、マイクロ波エネルギー熱エネルギーに変換する効率が高い。一般に、熱損失が大きい材料は、マイクロ波吸収係数が大きいとされる。熱損失は、マイクロ波エネルギーに対する材料の導電損失誘電損失磁性損失によって発生する。これらは材料の化学組成結晶構造および形態に依存し、特に、化学組成および結晶構造がそれらの支配因子となる場合が多い。本発明においても導電損失や誘電損失、磁性損失の大きい化学組成および結晶構造を有する材料を発熱媒体として用いることが好ましい。導電損失が大きい材料の具体例としてカーボンが挙げられる。誘電損失が大きい材料の具体例として炭化ケイ素酸化アルミニウムが挙げられる。磁性損失が大きい材料の具体例としてニッケルフェライト等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。また、これらの材料と樹脂などの複合体を用いてもよい。ただし、本発明を実施可能な範囲において、発熱媒体の材料はこれらに限定されない。本発明では、発熱媒体の材料として、反応液よりも大きいマイクロ波吸収係数を有する材料を適用することが好ましい。発熱媒体の材料が反応液のマイクロ波吸収係数よりも小さい場合、反応容器に高温領域を形成させることが難しい場合がある。

0027

例えば、カーボンにおいては、繊維状カーボンカーボンペーパーカーボンクロスといったカーボン製の各種形態、または、カーボン粉末を含む樹脂で形成したカーボンメッシュなどが挙げられる。ニッケルにおいては、めっきやスパッタなどの成膜手法によるニッケル薄膜ニッケル線ニッケルメッシュニッケル薄板などが挙げられる。ただし、本発明の目的を達成可能な範囲において、これらの方法に限定されない。

0028

本発明に用いられるマイクロ波照射手段としては、周知のマグネトロンジャイラトロンクライストロン固体素子発振器などのマイクロ波発振器を用いることできる。照射されるマイクロ波の周波数は0.3〜30GHz(波長10mm〜1m)を用いることができる。マイクロ波のモードとしては、シングルモードもしくはマルチモードのどちらでもよく、照射方法は、連続照射間欠照射のいずれの方法でもよい。本発明の目的を達成可能な範囲において、これらの方法に限定されない。

0029

本発明に用いられる反応容器は、マイクロ波透過性及び熱伝導性に優れた材料を用いて構成される。このような材料として、石英ガラスホウケイ酸ガラスなどの無機材料や、PTFE等の樹脂のような有機材料が挙げられる。ただし、反応容器の部材はこれらに限定されない。反応容器の部材は、1種類の材料であっても、2種類以上の材料から構成されてもよい。例えば、図2のように冷却手段1と反応容器2が隣接して設けられる場合、冷却手段1と反応容器2の隣接界面に限り、マイクロ波透過性を有さない材料を反応容器2の部材として適用することができる。この場合、冷却手段1による反応容器2内の冷却効率を高める目的で、冷却手段1と反応容器2の隣接界面に限り、ステンレス鋼のようなマイクロ波透過性を有さず熱伝導性に優れる材料を用いることができる。例えば、冷却手段として、ステンレス鋼製の中空管と、反応容器としてホウケイ酸ガラス製の中空管を隣接させて反応装置とすることで、上記のような構成をとることができる。

0030

また、反応容器は、必要に応じて、攪拌手段を備えてもよい。攪拌手段として、例えばマグネティックスターラーメカニカルスターラーが例示されるが、これらに限られるものではない。

0031

本発明に用いられる冷却手段は、反応容器内の反応液を冷却可能な範囲において、周知の如何なる冷却方法冷却装置も適用できる。特に、中空構造の内部を冷媒循環する様式の冷却装置を冷却手段とする場合、冷却手段のマイクロ波吸収に基づく冷却効率の低下を抑制できることから、本発明をより好ましく実施可能である。この場合、中空構造の部材を構成する材料は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ステンレス鋼などを用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。冷媒は、所望の冷却温度において流動性を有する化学物質であれば特に制限なく適用可能であるが、コストの観点から好ましくは水を用いることができる。冷却手段の形状において特に制限はない。冷却手段1の冷却能力を高める目的で、例えばその形状を螺旋型や二重螺旋型のような異形とし、冷却手段1と反応容器2内の反応液との接触面積を大きくしてもよい。

0032

本発明の高分子化合物の製造法は、上記のマイクロ波反応装置の反応容器に、少なくとも液体媒体及びモノマーを含む反応液を収容する工程と、反応液を冷却手段により冷却しながら、マイクロ波を反応容器内の反応液に照射してモノマーを重合する工程を有する。

0033

本発明者は、例えば、高分子化合物を合成するためのラジカル重合のような、温度変化の影響を受けやすい化学反応系では、冷却手段近傍で低温領域が生じることにより化学反応が大きく抑制されることを、実験から見出している。即ち、ラジカル重合をするモノマーを用いる場合、特に、本発明を効果的に実施可能である。

0034

ラジカル重合性モノマーとして、アクリル酸メタクリル酸アクリルアミドスチレンスルホン酸ビニルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸メタクリルスルホン酸などの水溶性モノマーを用いることができる。また、スチレンクロロスチレンα−メチルスチレンジビニルベンゼンビニルトルエンアクリル酸メチルアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルメタクリル酸メチルメタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル等などの油溶性モノマーを用いることができる。ただし、本発明のラジカル重合性モノマーはこれらに限定されない。ラジカル重合性モノマーは、1種類のみで用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。

0035

反応液は、少なくとも液体媒体およびモノマーを含む。反応液は、更にラジカル重合開始剤を含んでもよい。ラジカル重合開始剤は、その半減温度によって低温型中温型もしくは高温型分類されるが、反応の安定性の観点から、中温型か高温型、或はその両方を用いることが好ましい。このようなラジカル重合開始剤として、過硫酸カリウムなどの水溶性ラジカル重合開始剤や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル過酸化ベンゾイル等の油溶性ラジカル重合開始剤などを例示できる。ただし、本発明のラジカル重合開始剤はこれらに限定されない。ラジカル重合開始剤は、1種類のみで用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。

0036

また、反応液中の液体媒体は、水、エタノールトルエン等の従来公知の液体媒体を適用することができる。液体媒体は、1種類のみで用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。

0037

本発明では、上記ラジカル重合組成物を適宜組み合わせて反応液とすることにより、溶液重合乳化重合ソープフリー乳化重合析出重合懸濁重合ミニエマルション重合など、様々な様式のラジカル重合の化学反応を促進することができる。

0038

本発明の反応液は、化学反応の前後で発熱媒体5を腐食させたり、変化させたりする成分を含まないことが好ましい。一方、目的とする化学反応に対して発熱媒体5を構成する材料が触媒作用を有する場合は、本発明の効果に加えて、触媒による化学反応の促進効果をも得られる場合がある。

0039

本発明の効果を得るために、発熱媒体5がマイクロ波を吸収して発熱する必要がある。そのため、反応容器の大きさ、冷却手段1の設定温度、反応液および反応容器2の材質等を適宜設定する必要がある。

0040

以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0041

(マイクロ波反応装置)
本実施例で用いたマイクロ波反応装置の概略図を図5に示す。マイクロ波照射装置6であるMicroSYNTH(マイルストーンネラル社製)内に、冷却手段1が中央に挿入された反応容器2を設置した。

0042

本実施例で用いた前記マイクロ波照射装置6のマイクロ波照射モードは、マルチモードであり、装置内で照射されたマイクロ波は乱反射して均一なエネルギー分布が形成される。したがって、該装置内に反応容器2を設置した場合、マイクロ波は底面を除くあらゆる方向から入射する。

0043

反応容器2は、内径70mm、高さ190mmの円筒形で、材質がパイレックス(登録商標)のものを用いた。一方、冷却手段1は、外径が26mmの円筒形で中空構造を有し、材質が石英のものを用いた。冷却手段1の内部には、チューブ10にて外部接続したチラー(CA−1310、東京理化器械社製)9によって所定温度に設定した水を内部循環させる構成とした。なお、本実施例では、前記水の設定温度を冷却手段1の設定温度とした。発熱媒体5は、冷却手段1の表面に設置した。反応液7と攪拌子8を反応容器2に入れ、攪拌子8を回転させて反応液7を攪拌できる構成とした。図5に図示していないが、反応液7の温度は、光ファイバーセンサ、あるいは赤外線センサによって測定した。なお、本実施例では、反応容器上部にアルミホイル11を巻きつけることにより、冷却手段1が直接的にマイクロ波4を吸収しないよう工夫した。

0044

[実施例1]
80gのイオン交換水と0.8gのリン酸三カルシウムを10000rpmにて攪拌混合して水溶液を調製した。20gのスチレンに0.2gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と1.0gのポリエステルを溶解した溶解液を、前記水溶液に添加し、室温下、10000rpmにて攪拌して、反応液である水中油滴(O/W)型エマルションを調製した。

0045

反応液を反応容器2に入れ、冷却手段1を5℃に設定した状態で、攪拌しながら30分間の窒素バブリングを行った。なお、本実施例における冷却手段1の表面には、無電解メッキ処理エッチング処理によって、予め発熱媒体5であるニッケルを島状に被覆率35%で設置した。

0046

反応液を攪拌しながら、1時間、マイクロ波4を連続的に照射した後、反応液を採取し、重量法に基づいて、モノマーの重合転化率を評価した。

0047

重合転化率とは、重合反応進行度を示す数値であり、以下のように表現される。
{1−(未反応のモノマー量)/(原料のモノマー量)}×100
なお、前記1時間の間、反応液の温度が最大でも80℃に維持されるようマイクロ波4の照射出力を適宜、制御した。

0048

[実施例2]
実施例1の発熱媒体5をニッケルからカーボンメッシュ(被覆率73%)に変更した以外は、実施例1と同様の実験操作を実施した。

0049

[比較例1]
実施例1の発熱媒体5を設置しなかった以外は、実施例1と同様の実験操作を実施した。

0050

[比較例2]
実施例1のエッチング処理を実施しないことにより、発熱媒体5であるニッケルの被覆率を100%に変更した以外は、実施例1と同様の実験操作を実施した。
比較例1で得られた重合転化率を基準として、実施例1、2および比較例2で得られた重合転化率の比較を行った。表1に実施例1、2、比較例2の結果を示す。

0051

0052

[実施例3]
100gのイオン交換水と3gのメタクリル酸メチル、0.05gの過硫酸カリウム(KPS)を混合して、反応液を調製した。

0053

反応液を反応容器2に入れ、冷却手段1を5℃に設定した状態で、攪拌しながら30分間の窒素バブリングを行った。なお、本実施例における冷却手段1の表面には、無電解メッキ処理とエッチング処理によって、予め発熱媒体5であるニッケルを島状に被覆率35%で設置した。

0054

反応液を攪拌しながら、1時間、マイクロ波4を連続的に照射した後、反応液を採取し、重量法に基づいて、反応生成物の重合転化率を評価した。なお、前記1時間の間、反応液の温度が最大でも70℃に維持されるようマイクロ波4の照射出力を適宜、制御した。

0055

[比較例3]
実施例3の発熱媒体5を設置しなかった以外は、実施例3と同様の実験操作を実施した。
比較例3で得られた重合転化率を基準として、実施例3で得られた重合転化率の比較を行った。表2に実施例3の結果を示す。

0056

0057

[実施例4]
25gのイオン交換水と60gのエタノールの混合液に、10gのスチレン、3gのポリビニルピロリドン、0.1gの過酸化ベンゾイル(BPO)を溶解して、反応液を調製した。

0058

反応液を反応容器2に入れ、冷却手段1を5℃に設定した状態で、攪拌しながら30分間の窒素バブリングを行った。なお、本実施例における冷却手段1の表面には、無電解メッキ処理とエッチング処理によって、予め発熱媒体5であるニッケルを島状に被覆率35%で設置した。

0059

反応液を攪拌しながら、1時間、マイクロ波4を連続的に照射した後、反応液を採取し、重量法に基づいて、反応生成物の重合転化率を評価した。なお、前記1時間の間、反応液の温度が最大でも70℃に維持されるようマイクロ波4の照射出力を適宜、制御した。

0060

[比較例4]
実施例4の発熱媒体5を設置しなかった以外は、実施例4と同様の実験操作を実施した。
比較例4で得られた重合転化率を基準として、実施例4で得られた重合転化率の比較を行った。表3に実施例4の結果を示す。

0061

0062

[実施例5]
80gのジメチルホルムアミドDMF)に、5gのスチレンと0.05gのAIBNを溶解して、反応液を調製した。

0063

反応液を反応容器2に入れ、冷却手段1を5℃に設定した状態で、攪拌しながら30分間の窒素バブリングを行った。なお、本実施例における冷却手段1の表面には、無電解メッキ処理とエッチング処理によって、予め発熱媒体5であるニッケルを島状に被覆率35%で設置した。

0064

反応液を攪拌しながら、1時間、マイクロ波4を連続的に照射した後、反応液を採取し、重量法に基づいて、反応生成物の重合転化率を評価した。なお、前記1時間の間、反応液の温度が最大でも70℃に維持されるようマイクロ波4の照射出力を適宜、制御した。

0065

[比較例5]
実施例5の発熱媒体5を設置しなかった以外は、実施例5と同様の実験操作を実施した。
比較例5で得られた重合転化率を基準として、実施例5で得られた重合転化率の比較を行った。表4に実施例5の結果を示す。

0066

0067

[実施例6]
150gのイオン交換水と1.5gのリン酸三カルシウムを10000rpmにて攪拌混合して水溶液を調製した。40gのスチレンおよび10gのアクリル酸−n−ブチルに0.5gのBPOと2.5gのポリエステルを溶解した溶解液を、前記水溶液に添加し、室温下、10000rpmにて攪拌して、反応液である水中油滴(O/W)型エマルションを調製した。

0068

反応液を反応容器2に入れ、冷却手段1を5℃に設定した状態で、攪拌しながら30分間の窒素バブリングを行った。なお、本実施例においては、冷却手段1の表面全体に発熱媒体5であるニッケルメッシュ(ニラコ社製)を固定することで、発熱媒体5の被覆率を32.3%とした。

0069

反応液を攪拌しながら、2時間、マイクロ波4を連続的に照射した後、反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中の残存モノマー量を定量し、モノマーの重合転化率を評価した。

0070

なお、前記2時間の間、反応液の温度が最大でも70℃に維持されるようマイクロ波4の照射出力を適宜、制御した。

0071

[実施例7]
実施例6の発熱媒体5であるニッケルメッシュの被覆率を50.3%とした以外は、実施例6と同様の実験操作を実施した。

0072

[実施例8]
実施例6の発熱媒体5であるニッケルメッシュの被覆率を63.2%とした以外は、実施例6と同様の実験操作を実施した。

0073

[実施例9]
実施例6の発熱媒体5であるニッケルメッシュの被覆率を75.2%とした以外は、実施例6と同様の実験操作を実施した。

0074

[比較例6]
実施例6の発熱媒体5であるニッケルメッシュを設置しなかった以外は、実施例6と同様の実験操作を実施した。

実施例

0075

[比較例7]
実施例6の発熱媒体5としてニッケル箔を設置し、被覆率を100%とした以外は、実施例6と同様の実験操作を実施した。
比較例6で得られた重合転化率を基準として、実施例6から9、および比較例6、7で得られた重合転化率の比較を行った。横軸に発熱媒体の被覆率、縦軸に比較例6で得られた重合転化率を基準とした重合転化率の上昇率をプロットしたグラフ図6に示す。

0076

1 冷却手段
2反応容器
3マイクロ波照射手段
4マイクロ波
5発熱媒体
6 マイクロ波照射手段
7 反応液

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