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技術 分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 真田義幸
出願日 2010年9月9日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2010-202225
公開日 2012年3月22日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2012-060795
状態 未査定
技術分野 電動機、発電機の製造 回転電機の鉄心 電動機、発電機の巻線の絶縁、固着
主要キーワード 耐強度 けた分割 射出工程後 焼きバメ 成形済み バスバーホルダ ガイド型 プレス打ち抜き
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年3月22日)のものです。
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図面 (16)

課題

生産性を低下させることなく、製造コストを低減させ、かつ実用的な製造技術で、分割固定子を高品質に製造することができる分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法を提供する。

解決手段

固定型スライドコア61と固定型ガイド型62とを有する固定型60と、可動型70とを備え、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに固定型スライドコア61を当接させた後、固定型ガイド型62と可動型70との型締めにより、キャビティK1に充填した溶融樹脂25を圧縮して樹脂成形したインシュレータ12を分割固定子コア10に固着する分割固定子製造装置50において、固定型スライドコア61を押圧する押圧バネ68を有し、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接後、押圧バネ68が、ティース側先端部11Tに対し、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧する。

概要

背景

従来、プレス加工打ち抜いた鋼板を積層して固定子コアを構成し、巻線を組み付けた状態にある巻線部等に、樹脂射出成形することにより、固定子コアを製造する方法が知られている。
一方、固定子コアを複数個に分割して、巻線を組み付けた分割固定子コアを用いる方法も、固定子コアの製造方法として知られている。分割固定子コアの場合には、焼きバメリングで複数の分割固定子コアを一体的に組み立てることが行われている。
分割固定子コアに対し、インシュレータを樹脂で成形した分割固定子コアを製造する方法が、特許文献1に記載されている。

特許文献1のインシュレータは、一般的な射出成形法として、型締めした状態で溶融樹脂射出充填することにより、分割固定子コアと一体成形で固着されている。
このような射出成形法は、充填した樹脂の分子配向バラツキが大きいため、残留歪み成形品に生じ易い。そこで、出願人は、インシュレータの歪みをより少なくするため、インシュレータ成形工程において、特許文献1のような一般的な射出成形法を射出圧縮成形法に変更して、インシュレータを成形することを検討した。
射出圧縮成形法とは、キャビティに溶融樹脂を充填しているとき、キャビティを一時的に拡大させ、充填後、可動型型締め位置まで移動して型締めすることにより、溶融樹脂の一部または全部を加圧圧縮して、所定形状の成形品を得る方法である。
射出圧縮成形法は、一般的な射出成形法と比べ、充填した溶融樹脂の分子配向を制御し易く、残留歪みが小さく抑えられるため、成形品に変形等が少なくなるという利点がある。

射出圧縮成形法によるインシュレータの成形は、一般的な射出成形法で用いた従来の成形装置金型をそのまま用いて行った。従来の分割固定子製造装置の構造を図11に示す。
図11に示すように、分割固定子製造装置200では、分割固定子コア210を可動型230に固定した状態で、可動型230の上昇により、先ず固定型スライドコア220aを分割固定子コア210のティース部211先端に当接させた。また、可動型スライドコア231a,231bにより位置決めした状態で、分割固定子コア210を保持した。
この状態で、固定型ガイド型220bに対し、可動型230を、型締め位置よりも手前、僅かに離間させたところで停止させ、インシュレータの材料である溶融樹脂225を充填した。充填後、固定型スライドコア220aを分割固定子コア210のティース部211に当接した状態で、さらに可動型230を上昇させ、可動型230と、可動型スライドコア231a,231bと、固定型ガイド型220bとにより、分割固定子コア210を押圧して、参照する図1(b)のインシュレータ12の形状に成形した。

概要

生産性を低下させることなく、製造コストを低減させ、かつ実用的な製造技術で、分割固定子を高品質に製造することができる分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法を提供する。固定型スライドコア61と固定型ガイド型62とを有する固定型60と、可動型70とを備え、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに固定型スライドコア61を当接させた後、固定型ガイド型62と可動型70との型締めにより、キャビティK1に充填した溶融樹脂25を圧縮して樹脂成形したインシュレータ12を分割固定子コア10に固着する分割固定子製造装置50において、固定型スライドコア61を押圧する押圧バネ68を有し、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接後、押圧バネ68が、ティース側先端部11Tに対し、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧する。

目的

本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、生産性を低下させることなく、製造コストを低減させ、かつ実用的な製造技術で、分割固定子を高品質に製造することができる分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

スライドコアガイド型とを有する固定型と、可動型とを備え、分割固定子コアティース側先端部に前記スライドコアを当接させた後、前記ガイド型と前記可動型との型締めにより、キャビティ充填した溶融樹脂圧縮して樹脂成形したインシュレータを前記分割固定子コアに固着する分割固定子製造装置において、前記スライドコアを押圧するバネを有し、前記スライドコアが前記ティース側先端部に当接後、前記バネが、前記ティース側先端部に対し、前記可動型の移動量に応じて押圧力を変化させて、前記スライドコアを押圧することを特徴とする分割固定子製造装置。

請求項2

請求項1に記載する分割固定子製造装置において、前記スライドコアと当接して押圧する押圧部材と、前記押圧部材と連結すると共に、前記可動型と連結するリンクとを有するスライドコア原位置復帰手段を備えていることを特徴とする分割固定子製造装置。

請求項3

請求項1または請求項2に記載する分割固定子製造装置において、前記ガイド型と前記スライドコアとの摺動部では、摺動面の面粗度が、前記固定型の前記摺動部周囲の成形面よりも粗くなっていることを特徴とする分割固定子製造装置。

請求項4

可動型を型締め位置から離間させ、キャビティを拡大した状態で、溶融樹脂を前記キャビティに射出する射出工程と、該射出工程後、前記可動型を型締め位置まで移動することにより、前記溶融樹脂を圧縮して樹脂成形したインシュレータを分割固定子コアに固着する圧縮成形工程とを有する分割固定子製造方法において、前記射出工程では、固定型のスライドコアを分割固定子コアのティース側先端部に当接させ、前記固定型のスライドコアが前記分割固定子コアのティース側先端部に押圧した状態で、前記溶融樹脂を前記キャビティに射出すること、前記圧縮成形工程では、前記可動型を型締め位置まで移動させるときに、前記可動型の移動量に応じて押圧力を変化させながら前記スライドコアを押圧することを特徴とする分割固定子製造方法。

技術分野

0001

この発明は、製造に適したモータ分割固定子を製造する分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法に関するものである。詳しくは、樹脂成形してインシュレータ分割固定子コアに固着する分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、プレス加工打ち抜いた鋼板を積層して固定子コアを構成し、巻線を組み付けた状態にある巻線部等に、樹脂射出成形することにより、固定子コアを製造する方法が知られている。
一方、固定子コアを複数個に分割して、巻線を組み付けた分割固定子コアを用いる方法も、固定子コアの製造方法として知られている。分割固定子コアの場合には、焼きバメリングで複数の分割固定子コアを一体的に組み立てることが行われている。
分割固定子コアに対し、インシュレータを樹脂で成形した分割固定子コアを製造する方法が、特許文献1に記載されている。

0003

特許文献1のインシュレータは、一般的な射出成形法として、型締めした状態で溶融樹脂射出充填することにより、分割固定子コアと一体成形で固着されている。
このような射出成形法は、充填した樹脂の分子配向バラツキが大きいため、残留歪み成形品に生じ易い。そこで、出願人は、インシュレータの歪みをより少なくするため、インシュレータ成形工程において、特許文献1のような一般的な射出成形法を射出圧縮成形法に変更して、インシュレータを成形することを検討した。
射出圧縮成形法とは、キャビティに溶融樹脂を充填しているとき、キャビティを一時的に拡大させ、充填後、可動型型締め位置まで移動して型締めすることにより、溶融樹脂の一部または全部を加圧圧縮して、所定形状の成形品を得る方法である。
射出圧縮成形法は、一般的な射出成形法と比べ、充填した溶融樹脂の分子配向を制御し易く、残留歪みが小さく抑えられるため、成形品に変形等が少なくなるという利点がある。

0004

射出圧縮成形法によるインシュレータの成形は、一般的な射出成形法で用いた従来の成形装置金型をそのまま用いて行った。従来の分割固定子製造装置の構造を図11に示す。
図11に示すように、分割固定子製造装置200では、分割固定子コア210を可動型230に固定した状態で、可動型230の上昇により、先ず固定型スライドコア220aを分割固定子コア210のティース部211先端に当接させた。また、可動型スライドコア231a,231bにより位置決めした状態で、分割固定子コア210を保持した。
この状態で、固定型ガイド型220bに対し、可動型230を、型締め位置よりも手前、僅かに離間させたところで停止させ、インシュレータの材料である溶融樹脂225を充填した。充填後、固定型スライドコア220aを分割固定子コア210のティース部211に当接した状態で、さらに可動型230を上昇させ、可動型230と、可動型スライドコア231a,231bと、固定型ガイド型220bとにより、分割固定子コア210を押圧して、参照する図1(b)のインシュレータ12の形状に成形した。

先行技術

0005

特開2009−72055号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、以下の2つの問題があった。
(1)バリの発生に伴い製造コストが上昇する問題
インシュレータに生じたバリの様子を図12に示す。図13は、モータを模式的に図示した図であり、図12に示すバリが及ぼす影響について説明する図である。
分割固定子製造装置200には、分割固定子コア210と、可動型スライドコア231a,231bとの間、及び分割固定子コア210と固定型スライドコア220aとの間に、それぞれ僅かな隙間がある。
射出圧縮成形法によりインシュレータを成形すると、固定型スライドコア220a及び固定型ガイド型220bと、可動型230とを僅かに離間させ、キャビティを拡大した状態で、溶融樹脂がキャビティ内に注入される。このとき、溶融樹脂が、特にキャビティ内で必要量より多く注入されてしまうと、型締めに伴って、キャビティ内の溶融樹脂の圧力がより大きくなり、行き場のない溶融樹脂の一部が上記の隙間に流れ込み、成形後、図12に示すように、インシュレータ212のバリ212A,212Bとなる。バリ212A,212Bは、分割固定子コア210とエッジワイズコイル213との間から分割固定子コア210の外側に向けて発生する。

0007

図12及び図13に示すように、分割固定子コア210の側部にバリ212Aがあると、バリ212Aにより、組み立て後ステータ240とロータ250との間隔が不均一になる等、モータの組付け不良を招くことがある。その対策として、成形時に、可動型スライドコア231a,231bを内側に引き寄せて分割固定子コア210に押圧させ、分割固定子コア210と可動型スライドコア231a,231bとの隙間をなくし、溶融樹脂の流動を阻止することにより、バリ212Aの発生を防ぐことができる。

0008

一方、分割固定子コア210のティース部211の先端側にバリ212Bがあると、モータ作動時に、バリ212Bとロータ250との接触で絶縁不良を招く虞がある。
ところが、分割固定子製造装置200は、固定型スライドコア220aを分割固定子コア210のティース部211に押圧する構造になっておらず、成形中、分割固定子コア210と固定型スライドコア220aとの隙間をなくすことができない。そのため、型締め時に、分割固定子コア210と固定型スライドコア220aとの隙間に溶融樹脂が流れ込むのを阻止できず、バリ212Bの発生を抑止することができない。
従って、バリ212Bを取り除く専用のバリ取り装置が、分割固定子製造装置200とは別に必要となる上、このバリ取り装置によるバリ取り工程が、インシュレータ成形工程後に余分に増えてしまい、分割固定子の製造コストが上昇してしまう問題があった。

0009

(2)溶融樹脂詰まりが起きると生産性が低下する問題
図14は、図11に示す従来の分割固定子製造装置をメンテナンスする様子を説明する図であり、図が複雑になるのを避けるため、可動型スライドコアの図示を省略した図である。図15は、図14中、E部の拡大図であり、固定型スライドコアとガイド型との摺動部に溶融樹脂が詰まった様子を示す図である。
分割固定子製造装置200では、通常、型締めの時点で固定型スライドコア220aが、固定型ガイド型220bに対して上昇した押圧位置図15中、実線で図示した位置)にあり、次のワークのインシュレータ成形工程を実施するため、固定型スライドコア220aを、図15中、二点鎖線で図示した原位置まで下降させる。

0010

ところが、成形中、溶融樹脂225やバリ212Bが、固定型スライドコア220aと固定型ガイド型220bとの摺動部222に詰まり、固定型スライドコア220aが押圧位置から原位置に復帰できなくなることがある。固定型スライドコア220aが押圧位置でロックしてしまうと、インシュレータの成形が継続できないため、成形作業中断し、分割固定子製造装置200のメンテナンス作業が必要となる。
分割固定子製造装置200は、固定型スライドコア220a、固定型ガイド型220b及び可動型230等の複数の金型から構成されており、非常に重いため、図14に示すようなクレーンにより、分割固定子製造装置200をメンテナンス現場へ移動させた後、固定型スライドコア220aと固定型ガイド型220bとを分解しなければならない。
従って、固定型スライドコア220aと固定型ガイド型220bとの摺動部222に溶融樹脂225が詰まってしまうと、インシュレータの成形作業を中断して、分割固定子製造装置200に大がかりなメンテナンス作業が必要となり、その結果、生産性が低下してしまい問題であった。

0011

本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、生産性を低下させることなく、製造コストを低減させ、かつ実用的な製造技術で、分割固定子を高品質に製造することができる分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上記の問題点を解決するために、本発明の分割固定子製造装置は、次の構成を有している。
(1)スライドコアとガイド型とを有する固定型と、可動型とを備え、分割固定子コアのティース側先端部にスライドコアを当接させた後、ガイド型と可動型との型締めにより、キャビティに充填した溶融樹脂を圧縮して樹脂成形したインシュレータを分割固定子コアに固着する分割固定子製造装置において、スライドコアを押圧するバネを有し、スライドコアがティース側先端部に当接後、バネが、ティース側先端部に対し、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させて、スライドコアを押圧することを特徴とする。
(2)(1)に記載する分割固定子製造装置において、スライドコアと当接して押圧する押圧部材と、押圧部材と連結すると共に、可動型と連結するリンクとを有するスライドコア原位置復帰手段を備えていることを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する分割固定子製造装置において、ガイド型とスライドコアとの摺動部では、摺動面の面粗度が、固定型の摺動部周囲の成形面よりも粗くなっていることを特徴とする。
また、本発明の分割固定子製造方法は、次の構成を有している。
(4)可動型を型締め位置から離間させ、キャビティを拡大した状態で、溶融樹脂をキャビティに射出する射出工程と、該射出工程後、可動型を型締め位置まで移動することにより、溶融樹脂を圧縮して樹脂成形したインシュレータを分割固定子コアに固着する圧縮成形工程とを有する分割固定子製造方法において、射出工程では、固定型のスライドコアを分割固定子コアのティース側先端部に当接させ、固定型のスライドコアが分割固定子コアのティース側先端部に押圧した状態で、溶融樹脂をキャビティに射出すること、圧縮成形工程では、可動型を型締め位置まで移動させるときに、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させながらスライドコアを押圧することを特徴とする。

発明の効果

0013

上記構成を有する本発明の分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法の作用・効果について説明する。
本発明の分割固定子製造装置では、
(1)スライドコアとガイド型とを有する固定型と、可動型とを備え、分割固定子コアのティース側先端部にスライドコアを当接させた後、ガイド型と可動型との型締めにより、キャビティに充填した溶融樹脂を圧縮して樹脂成形したインシュレータを分割固定子コアに固着する分割固定子製造装置において、スライドコアを押圧するバネを有し、スライドコアがティース側先端部に当接後、バネが、ティース側先端部に対し、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させて、スライドコアを押圧するので、成形中、分割固定子コアのティース側先端部とスライドコアとの間に、僅かな隙間が発生するのを防止することができる。これにより、キャビティに射出した溶融樹脂が、分割固定子コアのティース側先端部とスライドコアとの間に流れ込まなくなり、インシュレータの成形後、このティース側先端部でインシュレータから生じるバリの発生を抑止することができる。

0014

すなわち、インシュレータを、射出圧縮成形法により樹脂成形する場合、スライドコアが分割固定子コアのティース側先端部に当接した後、型締め位置に向けた可動型の移動により、キャビティに充填された溶融樹脂にかかる圧力は、型締め位置に向けた可動型の移動量と共に、増加する。
このとき、溶融樹脂は、可動型の移動と共に次第に高圧となるため、分割固定子コアのティース側先端部とスライドコアとの間に僅かな隙間があると、溶融樹脂がこの微小な隙間に流れ込んでしまい、成形後にバリとなる。

0015

本発明の分割固定子製造装置では、分割固定子コアのティース側先端部にスライドコアを当接させた後、バネが、ティース側先端部に対し、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させて、スライドコアを押圧している。バネは、その伸縮時の変位量に応じて当該バネのバネ力も変化するため、分割固定子コアのティース側先端部への押圧力を、キャビティに充填された溶融樹脂にかかる圧力の増加と共に、リニアに変化させることができる。
特に、本発明の分割固定子製造装置に用いるバネは、バネ力で分割固定子コアを押し潰さない程度に、固定型スライドコアのティース側先端部への押圧力が大きく作用するバネである。また、そのバネ特性として、固定型スライドコアが分割固定子コアのティース側先端部に当接後、可動型が、溶融樹脂をキャビティに射出する射出位置から型締め位置までの成形距離を移動したときに、固定型スライドコアを押圧する押圧力が、例えば、成形距離が僅か2mmで、30MPaからその6倍の180MPa等にもなって、可動型の移動と共に次第に大きく溶融樹脂の圧力に打勝つことができるものである。
これにより、成形中、溶融樹脂が次第に高圧な状態となっても、バネが、スライドコアを、分割固定子コアのティース側先端部との間に隙間ができないよう、押圧できているため、溶融樹脂が、分割固定子コアのティース側先端部とスライドコアとの間に流動せず、この間に流動した溶融樹脂によるバリも生成しない。

0016

また、バネにより、ティース側先端部に対し、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させて、スライドコアを押圧するだけで、上記バリの発生が抑止できるため、上記のバリを取り除く専用のバリ取り装置や、このバリ取り装置によるバリ取り工程が、不要となり、分割固定子に掛かる製造コストが低減できる。
従って、インシュレータを射出圧縮成形法で樹脂成形しても、分割固定子コアのティース側先端部とスライドコアとの間を溶融樹脂が流動せず、インシュレータのバリが分割固定子コアのティース側先端部に生成されないため、生産性を低下させることなく、製造コストを低減させ、かつ実用的な製造技術で、分割固定子を高品質に製造することができる、という優れた効果を奏する。

0017

(2)(1)に記載する分割固定子製造装置において、スライドコアと当接して押圧する押圧部材と、押圧部材と連結すると共に、可動型と連結するリンクとを有するスライドコア原位置復帰手段を備えているので、スライドコアとガイド型との摺動部に溶融樹脂が流れ込み、スライドコアが原位置まで復帰できなくなった場合でも、本発明の分割固定子製造装置をその設置現場から移動させることなく、スライドコア原位置復帰手段により、その場でスライドコアを原位置まで復帰させることができる。
すなわち、型開き後、ガイド型に対し、スライドコアが、先の成形でティース側先端部を押圧した状態にあるときの押圧位置から、次の成形開始を待つ状態である原位置まで戻らないときに、可動型を、固定型との型開き以上のストロークで離間させる。これにより、押圧部材が、可動型の移動によりリンクを介して連動し、スライドコアを押圧して、スライドコアを原位置まで押し戻すことができる。そのため、本発明の分割固定子製造装置を、その設置現場から移動させることなくその場で、スライドコア原位置復帰手段により、スライドコアを原位置まで復帰させることができる。
また、従来の分割固定子製造装置において、スライドコアが原位置まで復帰できなくなったとき、設置現場とメンテナンス作業現場との間の装置の移動、分解、摺動部で詰まった溶融樹脂の除去、再組付け、及び組付け後の各部調整等に要していた多大な時間が、本発明の分割固定子製造装置では不要となる。そのため、インシュレータの成形作業を一時的に中断する時間も格段に低減でき、生産性の低下をより小さく抑えることができる。

0018

(3)(1)または(2)に記載する分割固定子製造装置において、ガイド型とスライドコアとの摺動部では、摺動面の面粗度が、固定型の摺動部周囲の成形面よりも粗くなっているので、摺動部に入り込んだ溶融樹脂を、摺動部の摺動面に張り付くように付着させることができ、摺動部に入り込んだ溶融樹脂の除去が容易にできる。
特に、例えば、スライドコアの摺動面を、その面粗度がガイド型の摺動面より粗くして形成した場合には、摺動部に入り込んだ溶融樹脂は、主にスライドコア側の摺動面に付着するようになるため、スライドコアの側の摺動面を清掃するだけで、付着した溶融樹脂を除去することができ、金型の保全性が向上する。

0019

(4)可動型を型締め位置から離間させ、キャビティを拡大した状態で、溶融樹脂をキャビティに射出する射出工程と、該射出工程後、可動型を型締め位置まで移動することにより、溶融樹脂を圧縮して樹脂成形したインシュレータを分割固定子コアに固着する圧縮成形工程とを有する分割固定子製造方法において、射出工程では、固定型のスライドコアを分割固定子コアのティース側先端部に当接させ、固定型のスライドコアが分割固定子コアのティース側先端部に押圧した状態で、溶融樹脂をキャビティに射出すること、圧縮成形工程では、可動型を型締め位置まで移動させるときに、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させながらスライドコアを押圧するので、射出工程で、充填した溶融樹脂の分子配向が、固定型と可動型とを完全に閉じて、溶融樹脂を高圧でキャビティに充填する方法と比して、制御し易くなることから、樹脂成形したインシュレータに残留歪みを小さく抑えることができ、変形が少ないインシュレータを得ることができる。
また、圧縮成形工程では、分割固定子コアのティース側先端部と固定型のスライドコアとの隙間をなくした状態で、キャビティに充填した溶融樹脂を、型締め位置で型締めするまで圧縮することができる。そのため、分割固定子コアのティース側先端部とスライドコアとの隙間に流れ込んだ溶融樹脂によるインシュレータのバリが、分割固定子コアのティース側先端部に生成するのを防止することができる。

図面の簡単な説明

0020

実施形態に係る分割固定子の製造手順を示す説明図である。
実施形態に係る分割固定子を18個組み合わせ、外筒により焼きバメされた固定子を示す図である。
実施形態に係る分割固定子を、一部断面で示した説明図である。
実施形態に係る分割固定子製造装置と、図1(a)中、A矢視側から見たときの分割固定子コアを示す図であり、固定型の構造を一部断面で示した説明図である。
図4と同様、実施形態に係る分割固定子製造装置と、図1(a)中、B矢視側から見たときの分割固定子コアを示す図であり、成形金型の構造の一部を、図4中、C−C矢視断面で示した説明図である。
図4中、分割固定子製造装置の要部を説明する図であり、C部の構造を詳細に示した拡大図である。
図5中、分割固定子製造装置の要部を説明する図であり、要部の構造を詳細に示した拡大図である。
実施形態に係る分割固定子の製造工程を説明する工程図である。
スライドコアとガイド型との摺動部に付着した溶融樹脂により、固定型スライドコアがロックした状態を示す説明図である。
スライドコア原位置復帰手段より、固定型スライドコアを原位置まで復帰させた状態を示す説明図である。
従来の分割固定子製造装置の構造を説明する図である。
インシュレータ成形工程で生じたインシュレータのバリを示す図である。
モータを模式的に図示した図であり、図12に示すバリが及ぼす影響について説明する図である。
図11に示す従来の分割固定子製造装置をメンテナンスする様子を説明する図であり、可動型スライドコアの図示を省略した図である。
図14中、E部の拡大図であり、固定型スライドコアとガイド型との摺動部に溶融樹脂が詰まった様子を示す説明図である。

実施例

0021

(実施形態)
以下、本発明に係る分割固定子製造装置、及び分割固定子製造方法を具体化した一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、分割固定子の製造手順を示す。分割固定子コア10は、成形済みコイルが装着されるティース部11を備えている。分割固定子コア10は、プレス打ち抜きで製造された鋼板を積層して構成している。ここでは、分割固定子コア10は、18個組み合わさることにより、完成後、環状の固定子コアになる構造とする。
分割固定子コア10を図1(a)に示す。次に、分割固定子コア10のティース部11に、インシュレータ12が装着された状態を図1(b)に示す。インシュレータ12は、ティース部11を覆う筒部12b、分割固定子コア10のティース部11が突き出した以外の内面部分を覆い、上下方向に延設されたカバー部12a、筒部12bの上下に突き出した2箇所の突起部12cを備えている。特に、インシュレータ12bの側面の厚みは、0.2〜0.3mmである。インシュレータ12の成形方法については、後で詳細に説明する。

0022

図1(c)に、成形済みのエッジワイズコイル13をインシュレータ12の筒部12bを介して、ティース部11に装着した図を示す。エッジワイズコイル13は、断面が平角(矩形状)のコイル線を、ティース部11の形状に内径を合わせて成形したものである。
エッジワイズコイル13は、カバー部12aを介して、分割固定子コア10に密着している。また、エッジワイズコイル13は、左右方向は筒部12bを介してティース部11により位置決めされている。また、上下方向は、インシュレータ12の突起部12cにより位置決めされている。これにより、エッジワイズコイル13は、分割固定子コア10に対して、定位置に位置決めされている。エッジワイズコイル13には、カバー部12a近くで上に突き出ている長端末13aと、ティース部11先端付近で上に突き出ている長端末13bが備えられている。
本実施形態では、成形済みコイルとして、エッジワイズコイル13について説明するが、断面が丸形でも、角形でも、成形されて形状が確定しているものであれば、他の種類のコイルでも同じである。

0023

図1(d)に、樹脂モールドされた分割固定子18を示す。図1(c)のエッジワイズコイル13部分が樹脂モールド14されている。分割固定子18の樹脂モールド14からは、一対の長端末13a,13bが外部に突き出ている。樹脂モールドされた分割固定子18の断面図を、図3に示す。この断面図は、エッジワイズコイル13と樹脂モールド14との位置関係を示すものである。
分割固定子コア10にインシュレータ12を介して、エッジワイズコイル13が装着され、エッジワイズコイル13のコイル部分を囲む部分にのみ樹脂モールド14が形成されている。図3は、分割固定子コア10の上にバスバー17を保持する樹脂製のバスバーホルダ16が取り付けられている状態を示している。バスバー17に対して、長端末13a,13bが曲げられて、接続される。

0024

図2に、分割固定子18を18個組み合わせた固定子19を示す。18個の分割固定子18が環状に組み合わされ、外側に加熱され、膨張して内径が大きくなっている外筒15が嵌め込まれる。その後、常温に冷却されることにより、外筒15の内径が縮小して、18個の分割固定子18が締りバメされ、一体化され固定子19となる。いわゆる外筒の焼きバメである。
次の工程において、図示していないが、分割固定子18の長端末13aは、左側に2つの分割固定子を越えた3つ目の分割固定子18の長端末13bと、バスバーホルダ16内のバスバー17により接続される。このように、18個の長端末は、順次バスバーホルダ16内のバスバー17により接続され、U,V,W相の3つのモータコイルが構成される。

0025

次に、分割固定子18を製造するための本発明に係る分割固定子製造装置について説明する。
分割固定子製造装置50において、インシュレータを成形するための成形金型の構造を概略的に示した説明図を図4に示し、図5は、図4中、C—C矢視断面図である。図6は、図4中、D部の構造を詳細に示す拡大図であり、図7は、図5中、分割固定子製造装置の要部の構造を詳細に示す拡大図である。なお、図4は、分割固定子製造装置の側面図であるが、見易いように一部を破断した断面図で示している。

0026

分割固定子製造装置50では、図4乃至図7に示すように、分割固定子コア10が、可動型70の可動型コア72に載置され、可動型コア72に対し、マグネット78による吸引で固定される。分割固定子コア10は、可動型コア72に4方向で保持され、2面、3面、あるいは4面のスライドコアで固定するものの内、この図7では、一対の可動型スライドコア71A,71Bに挟まれて固定される。その状態で、可動型70が固定型60に向けて上昇する。

0027

固定型60は、逆さ凹部状の固定型本体64と、この固定型本体64の内部空間64Sに組み込まれた固定型ガイド型62を備えている。固定型60には、図6に示すように、インシュレータ12を成形するためのキャビティK1(図5参照)に、インシュレータ用材料として、例えば、PPS等の熱可塑性樹脂である溶融樹脂25を注入するランナー67が設けられている。また、固定型60には、溶融樹脂25の注入にあたり、固定型ガイド型62と分割固定子コア10との間に空間を形成するためのピン66が設けられている。

0028

また、固定型60は、固定型ガイド型62によりガイドされ上下方向にスライド可能な固定型スライドコア61を、内部空間64Sに備えている。固定型スライドコア61は、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接する型である。固定型ガイド型62と固定型スライドコア61との摺動部63では、固定型60の摺動部63周囲の成形面よりも粗く、本実施形態では、固定型スライドコア61の摺動面61aの面粗度が、固定型ガイド型62の摺動面62aよりも粗くなっている。
具体的には、固定型ガイド型62の摺動面62aの面粗度は、通常、金型の成形面を鏡面仕上げするときの面粗度として、例えば、十点平均高さRzで0.8z以下の面粗度となっている。これに対し、固定型スライドコア61の摺動面61aは、例えば、鏡面仕上げあるいは研削加工を施さず、切削加工による加工面の状態として、Rzで6.3z程度の面粗度となっている。

0029

この固定型スライドコア61の上端部61bと固定型本体64の上端部64aとの間には、固定型スライドコア61(スライドコア)を押圧する押圧バネ68(バネ)が、本実施形態では、2つに設けられている。押圧バネ68は、その両端部を上端部61bと上端部64aとに固定させ、下方に付勢するバネである。
押圧バネ68は、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接後、このティース側先端部11Tに対し、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧する。このときの押圧力は、分割固定子コア10を押し潰さない程度に、固定型スライドコア61のティース側先端部11Tへの押圧力を大きくした大きさである。
具体的には、押圧バネ68の押圧力は、例えば、6860Nで固定型スライドコア61が押し潰れて破損する場合、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接してから押圧バネ68が2mm圧縮したときに30MPaで、さらにここから2mm圧縮したときに180MPaであり、固定型60と可動型70との型締力と対応したものとなっている。

0030

分割固定子製造装置50は、スライドコア原位置復帰手段80を備えている。スライドコア原位置復帰手段80は、固定型スライドコア61の上端部61bと当接して押圧する2つの押圧部材81と、この押圧部材81と連結すると共に、可動型70と連結する4本のリンク85とを有する。押圧部材81は、その中央部に押圧バネ68を挿通させる2つの貫通孔81Hを有し、これらの貫通孔81Hに押圧バネ68が挿通した状態で、固定型スライドコア61の上端部61bと固定型ガイド型62の上端部62bとの間の内部空間64Sを横切る配置で設けられている。

0031

また、図4及び図5に示すように、押圧部材81の両端部である連結部82は、各側それぞれ、第1係留部83により、固定型本体64に、上下方向に延びて形成された第1長孔64H、及びリンク85の上端部を通じて、リンク85と相対的に移動可能に係留されている。第1長孔64Hの長手方向のピッチは、内部空間64Sにおける固定型本体64の上端部64aと固定型ガイド型62の上端部62bとの高さhより大きくなっている。また、内部空間64Sにおける押圧部材81の移動範囲は、後述する摺動部63の上下方向の範囲4mmより大きく設定されている。これにより、押圧部材81は、内部空間64Sにおける固定型本体64の上端部64aと固定型ガイド型62の上端部62bとの間を移動範囲として、上下方向に自在に移動することができる。

0032

また、4本のリンク85の下端部には、上下方向に延びる第2長孔86Hが形成されている。各リンク85は、係留部87により、第2長孔86Hを通じて、可動型70と相対的に移動可能に取付けられている。第2長孔86Hの長手方向のピッチは、固定型60に対する可動型70の型開きストローク分に、第1長孔64Hの長手方向のピッチ分を加えたピッチとなっている。これにより、4本のリンク85と可動型70とは、上下方向に延びた第2長孔86Hの長手方向のピッチ分を移動範囲として、上下方向に自在に相対移動することができる。

0033

本実施形態では、分割固定子製造装置50は、型締力を2ton、型締め位置と型開き位置との間の可動型70のストロークを400mmとしている。また、溶融樹脂25を、ランナー67を通じてキャビティK1に注入するとき、可動型70が、型締め位置から固定型60に対して4mm離れた位置と、t=2mm離れた位置(図6参照)で、それぞれ一時的に停止するようになっている。また、可動型70が固定型60と型締め位置より手前4mm離れた位置で、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接するのに合わせ、固定型スライドコア61と固定型ガイド型62との摺動部63の範囲は、上下方向に4mmとなっている。
また、可動型70が固定型60との型開き以上のストロークで離間し、スライドコア原位置復帰手段80により、押圧部材81で固定型スライドコア61を押圧して、固定型ガイド型62に対し固定型スライドコア61を下降させたときには、固定型スライドコア61の摺動面61aは、固定型ガイド型62の摺動面62aから離れて外部に露出するようになっている。

0034

次に、インシュレータ成形工程を説明する。図8に、実施形態に係る分割固定子の製造工程を説明する工程図を示す。
(a)可動型スライドコア71A,71Bが左右に開いた状態で、分割固定子コア10が可動型コア72に置かれ、可動型スライドコア71A,71Bが内側に閉じて分割固定子コア10を左右から位置決め保持する。ここで、分割固定子コア10は、事前に加熱されている。
(b)この状態で可動型70を上昇させ、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに固定型スライドコア61を当接させる。その後も、当接したまま可動型70の上昇を続けて、型締め位置より手前2mmのところで可動型70を停止させ、固定型60と可動型70とを僅かに離間させる。このとき、固定型スライドコア61が、押圧バネ68のバネ力により、例えば、約30MPaの押圧力で、分割固定子コア10のティース側先端部11Tを押圧するようにする。この状態で、分割固定子コア10、固定型スライドコア61、固定型ガイド型62、可動型スライドコア71A,71B、及び可動型コア72により、キャビティK1が構成されている。

0035

(c)次いで、本発明の分割固定子製造方法のうち、射出圧縮成形法に基づいて射出工程を行う。射出圧縮成形法とは、キャビティに溶融樹脂を充填しているとき、キャビティを一時的に拡大させ、充填後、可動型を型締め位置まで移動して型締めすることにより、溶融樹脂の一部または全部を加圧・圧縮して、所定形状の成形品を得る方法である。
本発明の射出工程では、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11に当接し、押圧バネ68のバネ力により、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに押圧した状態で、インシュレータ用材料として、PPS等の熱可塑性樹脂である溶融樹脂25を、キャビティK1に必要量射出する。

0036

(d)射出工程から所定時間が経過した後、本発明の分割固定子製造方法のうち、圧縮成形工程を行う。圧縮成形工程では、可動型コア72(可動型70)を型締め位置まで移動させるときに、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させながら固定型スライドコア61を押圧する。
具体的には、固定型60と2mm分の隙間で開いた可動型70を、型締め位置まで上昇させて、キャビティK1内の溶融樹脂25を圧縮し、インシュレータ12(図1(b)参照)を形成するためのキャビティK2を形成する。
このとき、それまで押圧バネ68のバネ力が約30MPaであったものが、可動型70と共に、固定型スライドコア61がさらに上方に移動して、押圧バネ68が圧縮することにより、バネ力が、押圧バネ68の圧縮と共に、約180MPa程度まで増大する。そのため、固定型スライドコア61が、更に大きい押圧力で、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに押圧される。かくして、溶融樹脂25は、参照する図1(b)に示すインシュレータ12の形状に成形される。

0037

(e)溶融樹脂25が固化するのを待って、可動型70が型開き位置まで下降する。型開き位置で、可動型スライドコア71A,71Bが左右に開き、インシュレータ12を固着した分割固定子コア10が、可動型70から取り出される。
その後、インシュレータ12を固着した分割固定子コア10には、図1(c)に示すように、エッジワイズコイル13が装着される。次いで、図1(d)に示すように、エッジワイズコイル13のコイル部分を囲む部分にのみ樹脂モールド14が形成される。

0038

次に、本実施形態に係る分割固定子製造装置50、分割固定子製造方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る分割固定子製造装置50では、固定型スライドコア61と固定型ガイド型62とを有する固定型60と、可動型70とを備え、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに固定型スライドコア61を当接させた後、固定型ガイド型62と可動型70との型締めにより、キャビティK1に充填した溶融樹脂25を圧縮して樹脂成形したインシュレータ12を分割固定子コア10に固着する分割固定子製造装置50において、固定型スライドコア61を押圧する押圧バネ68を有し、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接後、押圧バネ68が、ティース側先端部11Tに対し、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧するので、成形中、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との間に、僅かな隙間が発生するのを防止することができる。
これにより、キャビティK1に射出した溶融樹脂25が、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との間に流れ込まなくなり、インシュレータ12の成形後、このティース側先端部11Tでインシュレータ12から生じるバリ(参照する図12中、バリ212B)の発生を抑止することができる。

0039

すなわち、インシュレータ12を、射出圧縮成形法により樹脂成形する場合、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接した後、キャビティK1に充填された溶融樹脂25にかかる圧力は、型締め位置に向けた可動型70の移動量と共に、増加する。
このとき、溶融樹脂25は、可動型70の移動と共に次第に高圧となるため、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との間に僅かな隙間があると、溶融樹脂25がこの微小な隙間に流れ込んでしまい、成形後にバリとなる。

0040

本実施形態に係る分割固定子製造装置50では、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに固定型スライドコア61を当接させた後、押圧バネ68が、ティース側先端部11Tに対し、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧している。押圧バネ68は、その伸縮時の変位量に応じて当該押圧バネ68のバネ力も変化するため、分割固定子コア10のティース側先端部11Tへの押圧力を、キャビティK1に充填された溶融樹脂25にかかる圧力の増加と共に、リニアに変化させることができる。

0041

特に、押圧バネ68は、バネ力で分割固定子コア10を押し潰さない程度に、固定型スライドコア61のティース側先端部11Tへの押圧力が大きく作用するバネである。
また、そのバネ特性として、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接後、可動型70が、溶融樹脂25をキャビティK1に射出する射出位置から型締め位置までの成形距離を移動したときに、固定型スライドコア61を押圧する押圧力が、成形距離が僅か2mmで、30MPaからその6倍の180MPaにもなって、可動型70の移動と共に次第に大きく溶融樹脂25の圧力に打勝つことができるものである。
これにより、成形中、溶融樹脂25が次第に高圧な状態となっても、押圧バネ68が、固定型スライドコア61を、分割固定子コア10のティース側先端部11Tとの間に隙間ができないよう、押圧できている。そのため、溶融樹脂25が、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との間に流動せず、この間に流動した溶融樹脂25によるバリ、すなわち参照する図12に示すようなバリ212Bも生成しない。

0042

また、押圧バネ68により、ティース側先端部11Tに対し、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧するだけで、上記バリの発生が抑止できるため、上記のバリを取り除く専用のバリ取り装置や、このバリ取り装置によるバリ取り工程が、不要となり、分割固定子に掛かる製造コストが低減できる。
従って、インシュレータ12を射出圧縮成形法で樹脂成形しても、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との間を溶融樹脂25が流動せず、インシュレータ12のバリが分割固定子コア10のティース側先端部11Tに生成されないため、生産性を低下させることなく、製造コストを低減させ、かつ実用的な製造技術で、分割固定子18を高品質に製造することができる、という優れた効果を奏する。

0043

ところで、固定型スライドコア61を押圧する押圧手段として、押圧バネ68以外にも、例えば、油圧シリンダ等を用いることも可能ではある。
ここで、このような押圧手段として、押圧バネ68に替えて、例えば、油圧シリンダ等を用いた分割固定子製造装置について、検討してみる。
分割固定子製造装置50のような分割固定子製造装置では、分割固定子コアのティース側先端部に対し、可動型の移動量に応じて押圧力を変化させて、固定型スライドコア61を押圧しようとすると、油圧シリンダ等による押圧力を、可動型70の移動量に応じてリニアに追従させる制御が別途必要となる。
しかしながら、このような制御を実際に実施しようとすると、油圧回路上、及び電気回路上での制御回路が複雑になる上、この制御回路に用いる制御プログラムも複雑となり、そのプログラムの作成にも困難を伴う。また、押圧手段を油圧シリンダ等にすることで、分割固定子製造装置の構造が、押圧手段が押圧バネ68である場合に比して、より煩雑となり、本発明のスライドコア、及びガイド型等の固定型のほか、可動型に相当する金型がより大型化してしまう。
そのため、検討した分割固定子製造装置は、結果的にコスト高設備となってしまう。

0044

これに対し、本発明の分割固定子製造装置では、スライドコアを押圧する押圧手段が、バネであるので、バネはその伸縮時の変位量に応じて当該バネのバネ力も変化するという、バネの特性上、押圧手段であるバネを設けるだけの簡単な構造で、分割固定子コアのティース側先端部に対し、可動型の移動量に応じて押圧力を、変化させることができるようになる。しかも、スライドコアを押圧するのをバネで行っているので、本発明の分割固定子製造装置に掛かる設備費用が、低コストに抑制できている。

0045

ところで、分割固定子製造装置50では、インシュレータ12の成形中、何らかの理由で、固定型スライドコア61と固定型ガイド型62との摺動部63に、溶融樹脂25Fが付着し、詰まることがある。図9は、固定型スライドコアと固定型ガイド型との摺動部に溶融樹脂が付着したことにより、型開き後でも、固定型スライドコアが原位置まで移動できなくなった状態を示す図である。図10は、スライドコア原位置復帰手段より、固定型スライドコアを原位置まで復帰させた状態を示す図である。
従来、このような摺動部に溶融樹脂が詰まると、ガイド型に対してスライドコアが移動できなくなり、インシュレータの成形作業を中断して、分割固定子製造装置に大がかりなメンテナンス作業が必要となり、生産性が低下してしまう問題があった。

0046

これに対し、本実施形態に係る分割固定子製造装置50では、固定型スライドコア61と当接して押圧する押圧部材81と、この押圧部材81と連結すると共に、可動型70と連結するリンク85とを有するスライドコア原位置復帰手段80を備えているので、図9に示すように、固定型スライドコア61と固定型ガイド型62との摺動部63に溶融樹脂25Fが流れ込み、固定型スライドコア61が原位置まで復帰できなくなった場合でも、当該分割固定子製造装置50をその設置現場から移動させることなく、スライドコア原位置復帰手段80により、その場で固定型スライドコア61を原位置まで復帰させることができる。

0047

すなわち、型開き後、固定型ガイド型62に対し、固定型スライドコア61が、先の成形で分割固定子コア10のティース側先端部11Tを押圧した状態にあるときの押圧位置から、次の成形開始を待つ状態である原位置まで戻らないときに、図10に示すように、可動型70を、固定型60との型開き以上(本実施形態では、400mm以上)のストロークで離間させる。これにより、押圧部材81が、可動型70の移動によりリンク85を介して連動し、固定型スライドコア61を押圧し、固定型スライドコア61を原位置まで押し戻すことができる。
そのため、分割固定子製造装置50をその設置現場から移動させることなくその場で、スライドコア原位置復帰手段80により、固定型スライドコア61を原位置まで復帰させることができる。

0048

また、従来の分割固定子製造装置において、スライドコアが原位置まで復帰できなくなったとき、設置現場とメンテナンス作業現場との間の装置の移動、分解、摺動部で詰まった溶融樹脂の除去、再組付け、及び組付け後の各部調整等に要していた多大な時間が、分割固定子製造装置50では不要となる。そのため、インシュレータ12の成形作業を一時的に中断する時間も格段に低減でき、生産性の低下をより小さく抑えることができる。

0049

また、本実施形態に係る分割固定子製造装置50によれば、固定型スライドコア61と固定型ガイド型62との摺動部63では、固定型スライドコア61の摺動面61aが、固定型ガイド型62の摺動面62aよりも粗くなっているので、摺動部63に入り込んだ溶融樹脂25Fを、摺動部63の摺動面61a側に張り付くように付着させることができ、溶融樹脂25Fの除去が容易にできる。
特に、本実施形態では、固定型スライドコア61の摺動面61aが、その面粗度が固定型ガイド型62の摺動面62aより粗くして形成されている。また、内部空間64Sにおける押圧部材81の移動範囲が、摺動部63の上下方向の範囲4mmより大きく設定されている。そのため、固定型ガイド型62に対し固定型スライドコア61を下降させたときには、固定型スライドコア61の摺動面61aは、固定型ガイド型62の摺動面62aから離れて外部に露出するようになっている。そのため、固定型スライドコア61側の摺動面61aを清掃するだけで、付着した溶融樹脂25Fを除去することができ、金型の保全性が向上する。

0050

本実施形態に係る分割固定子製造方法によれば、可動型70を型締め位置から離間させ、キャビティK1を拡大した状態で、溶融樹脂25をキャビティK1に射出する射出工程と、該射出工程後、可動型70を型締め位置まで移動することにより、溶融樹脂25を圧縮して樹脂成形したインシュレータ12を分割固定子コア10に固着する圧縮成形工程とを有する分割固定子製造方法において、射出工程では、固定型60の固定型スライドコア61を分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接させ、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに押圧した状態で、溶融樹脂25をキャビティK1に射出すること、圧縮成形工程では、可動型70を型締め位置まで移動させるときに、可動型70の移動量に応じて押圧力を変化させながら固定型スライドコア61を押圧するので、射出工程で、充填した溶融樹脂25の分子配向が、固定型と可動型とを完全に閉じて、溶融樹脂を高圧でキャビティに充填する方法と比して、制御し易くなることから、樹脂成形したインシュレータ12に残留歪みを小さく抑えることができ、変形が少ないインシュレータ12を得ることができる。
また、圧縮成形工程では、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との隙間をなくした状態で、キャビティK1に充填した溶融樹脂25を、キャビティK2の状態まで、すなわち型締め位置で型締めするまで圧縮することができる。そのため、分割固定子コア10のティース側先端部11Tと固定型スライドコア61との隙間に流れ込んだ溶融樹脂25によるインシュレータ12のバリ(参照する図12中、バリ212B)が、分割固定子コア10のティース側先端部11Tに生成するのを防止することができる。

0051

以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、本実施形態では、本実施形態では、固定型スライドコア61を押圧する押圧バネ68を2つ設けたが、スライドコアを押圧するバネの数量は、2つに限定することなく、適宜変更可能である。
(2)また、本実施形態では、押圧バネ68のバネ力について、固定型スライドコア61が分割固定子コア10のティース側先端部11Tに当接後、可動型70が2mmの上昇で、約30MPaの押圧力が、さらに可動型70が2mm上昇すると、約180MPa程度の押圧力が作用するよう例示した。しかしながら、バネ力は、例示した約180MPa程度の押圧力に限定されるものではなく、分割固定子コアの耐強度を超えないようにする必要があり、分割固定子コアに作用させるバネ力は、分割固定子コアの強度、材質、形状等を考慮した上で、適切に選択する必要がある。

0052

(3)また、本実施形態では、固定型スライドコア61の摺動面61aの面粗度を、固定型ガイド型62の摺動面62aより粗くしたが、ガイド型の摺動面の面粗度を、スライドコア61の摺動面より粗くしても良い。また、固定型ガイド型62の摺動面62aの面粗度より粗くした固定型スライドコア61の摺動面61aを、Rzで6.3z程度の面粗度と例示したが、粗くした側の摺動面の面粗度は、Rzで6.3z程度に限定されることなく適宜変更可能である。
(4)また、本実施形態では、インシュレータ12の成形材料である溶融樹脂25を、PPS等の熱可塑性樹脂であるが、PPS以外にも、具体的な材料として、LCP,PBT,PEN,PEEK,フッ素樹脂芳香族ポリアミド樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性熱伝導性、成形性、耐クラック性等を考慮して選定する。

0053

(5)また、本実施形態では、1つのエッジワイズコイル13を有する分割固定子10について説明したが、2つのティース部11を備える分割固定子コアに、2つのエッジワイズコイル13を各々装着して、全体を樹脂モールドしても良い。また、3つのティース部11を備える分割固定子コアに、3つのエッジワイズコイル13を各々装着して、全体を樹脂モールドしても良い。
また、実施形態の説明でも記載したが、本実施形態では、エッジワイズコイルについて説明したが、コイル巻線の断面が丸や正方形等であっても、コイルとして成形されておれば、本発明が適用できることは、明らかである。

0054

10分割固定子コア
11Tティース側先端部
12インシュレータ
25溶融樹脂
50分割固定子製造装置
60固定型
61固定型スライドコア(スライドコア)
61a (固定型スライドコアの)摺動面
62固定型ガイド型(ガイド型)
62a (固定型ガイド型の)摺動面
63 摺動部
68押圧バネ(バネ)
70可動型
80 スライドコア原位置復帰手段
81押圧部材
85リンク
K1,K2キャビティ

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