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技術 ブロック共重合体、並びにそれを用いたエポキシ樹脂の潜在性硬化剤及びその製造方法

出願人 学校法人神奈川大学日立化成株式会社
発明者 亀山敦宮坂誠舟生重昭岡田穣
出願日 2011年7月27日 (9年4ヶ月経過) 出願番号 2011-164623
公開日 2012年3月22日 (8年8ヶ月経過) 公開番号 2012-057146
状態 未査定
技術分野 グラフト、ブロック重合体 エポキシ樹脂
主要キーワード コアシェル構造体 口ナス型フラスコ アンプル管 自己集合体 親水性環境 シェル部分 RAFT重合 立体造形物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年3月22日)のものです。
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図面 (4)

課題

硬化剤カプセル化したり、硬化剤となる化合物保護基を付加したりするという、従来の一液型エポキシ接着剤の硬化剤における硬化抑制方法と異なる、新規な一液型エポキシ接着剤用の硬化剤を提供すること。

解決手段

下記式の構造で表されるブロック共重合体を使用する。 R1A−b−BR2(上記式中、−b−は、ブロック共重合体であることを示す符号であり、R1及びR2は、互いに独立して有機基又は無機基を表し、A及びBは、それぞれブロック共重合体のブロック構造を表し、Aは、塩基性窒素原子を有する置換基を側鎖に含み、かつAからなる構造を有する重合体水溶性を示さない構造を有し、Bは、(メタアクリルアミドホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体が水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造である。)

概要

背景

エポキシ樹脂は、求核性を有する化合物により開環反応を受けるエポキシ基を有する化合物である。エポキシ樹脂は、求核性を有する化合物(硬化促進剤)と共存させると、この化合物で開環されたエポキシ基が他のエポキシ基と次々反応(アニオン重合)することによって、高分子量化して硬化物となることが知られている。また、エポキシ樹脂は、求核性を有する置換基を複数有する化合物(硬化剤)と共存させると、硬化剤に含まれる置換基の一つ一つがエポキシ基を開環して共有結合を形成(架橋反応)することにより、高度に架橋された硬化物となることが知られている。このようなエポキシ樹脂の硬化反応を利用した接着剤は、エポキシ接着剤と呼ばれ、優れた接着剤として各種接着用途に使用される。また、その硬化物は、優れた耐久性や寸法安定性を示すことから、例えば、電気製品基板上における電子部品封入や、立体造形物製作、一部が欠損した部材の補修用途等に使用されている。

なお、上記のように、エポキシ樹脂は、硬化促進剤によってエポキシ基がアニオン重合して硬化する場合もあるし、硬化剤によってエポキシ基が架橋反応を受けて硬化する場合もあるが、いずれの場合もエポキシ樹脂が高分子量化して硬化するという点では変わりがない。そこで、本明細書の記載では、硬化促進剤及び硬化剤の両者を含む概念として、「硬化剤」という用語を使用する。また、本明細書の記載では、アニオン重合による硬化反応及び架橋反応による硬化反応の両者を含む概念として、「硬化反応」という用語を使用する。

通常、エポキシ接着剤は、未硬化のエポキシ樹脂を含む主剤と、エポキシ基と反応する化合物を含む硬化剤とからなり、使用の直前に両者をおよそ1:1の比率で混合して使用される。エポキシ接着剤における硬化反応は主剤と硬化剤とを混合した直後から開始するので、エポキシ接着剤は、主剤と硬化剤とを混合した状態で保存しておくことができず、その使用の都度、主剤と硬化剤とを1:1の比率で混合させる必要があり、優れた硬化物が得られる反面、作業が煩雑であるという課題も有する。

このような課題を解決するために、一液型のエポキシ接着剤も提案されている。例えば、特許文献1には、硬化剤を無機質薄層被覆してカプセル型の硬化剤を形成させ、これを未硬化のエポキシ樹脂とともに配合することにより、常温での硬化が抑制される一方で、加熱により硬化するエポキシ接着剤が記載されている。このエポキシ接着剤で使用されるカプセル型の硬化剤は、常温では硬化剤がカプセルの内部に存在し、エポキシ樹脂の硬化反応を抑制するが、加熱下では硬化剤を覆うカプセルが壊れることによって内部から硬化剤が放出され、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する。

また、硬化性を発揮するためのアミノ基等の官能基保護基で保護した硬化剤を潜在性硬化剤として使用して、一液式のエポキシ接着剤を得ることも提案されている(例えば、特許文献2の実施例を参照)。この場合、潜在性硬化剤は、加熱等により保護基が脱離して、エポキシ樹脂を硬化させる。

概要

硬化剤をカプセル化したり、硬化剤となる化合物に保護基を付加したりするという、従来の一液型エポキシ接着剤の硬化剤における硬化抑制方法と異なる、新規な一液型エポキシ接着剤用の硬化剤を提供すること。下記式の構造で表されるブロック共重合体を使用する。 R1A−b−BR2(上記式中、−b−は、ブロック共重合体であることを示す符号であり、R1及びR2は、互いに独立して有機基又は無機基を表し、A及びBは、それぞれブロック共重合体のブロック構造を表し、Aは、塩基性窒素原子を有する置換基を側鎖に含み、かつAからなる構造を有する重合体水溶性を示さない構造を有し、Bは、(メタアクリルアミドホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体が水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造である。)

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、硬化剤をカプセル化したり、硬化剤となる化合物に保護基を付加したりするという、従来の一液型エポキシ接着剤の硬化剤における硬化抑制方法と異なる、新規な一液型エポキシ接着剤用の硬化剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記式(1)の構造で表されるブロック共重合体。R1A−b−BR2・・・(1)(上記式(1)中、−b−は、ブロック共重合体であることを示す符号であり、R1及びR2は、互いに独立して有機基又は無機基を表し、A及びBは、それぞれブロック共重合体のブロック構造を表し、Aは、芳香性を有する置換基、及び塩基性窒素原子を有する置換基を側鎖に含み、かつAからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示さない構造を有し、Bは、(メタアクリルアミドホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造である。)

請求項2

ブロック構造Aが、下記式(2)で表される構成単位を含む請求項1記載のブロック共重合体。(上記式(2)中、R3は、水素原子又はメチル基であり、R4は、2価の有機基であり、R5は、塩基性の窒素原子を有する有機基である。)

請求項3

ブロック構造Aが下記式(3)で表され、かつブロック構造Bが下記式(4)で表される請求項1又は2記載のブロック共重合体。(上記式(3)中、R3、R4及びR5は、上記式(2)におけるものと同様であり、mは、30〜1,000,000の整数である。上記式(4)中、R6は、水素原子又はメチル基であり、nは、10〜1,000,000の整数である。)

請求項4

R4が2価の芳香族基を含む請求項2又は3記載のブロック共重合体。

請求項5

前記2価の芳香族基がフェニレン基である請求項4記載のブロック共重合体。

請求項6

R5がイミダゾリル基である請求項2〜5のいずれか1項記載のブロック共重合体。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項記載のブロック共重合体であり、前記ブロック構造Bがシェル構造を形成し、かつ前記ブロック構造Aがコア構造を形成したコアシェル構造を有するエポキシ樹脂潜在性硬化剤

請求項8

エポキシ樹脂、請求項7記載のエポキシ樹脂の潜在性硬化剤及び前記潜在性硬化剤でない硬化剤を含む硬化性組成物

請求項9

請求項1〜6のいずれか1項記載のブロック共重合体を有機溶媒Aに溶解して溶液を作製した後に、当該溶液を前記有機溶媒Aと混合性を有する親水性有機溶媒Bに滴下して前記ブロック共重合体を析出させ、得られた析出物をエポキシ樹脂の潜在性硬化剤とするエポキシ樹脂の潜在性硬化剤の製造方法。

請求項10

硬化のエポキシ樹脂に、請求項7記載のエポキシ樹脂の潜在性硬化剤又は請求項9記載の製造方法で得られたエポキシ樹脂の潜在性硬化剤を添加してエポキシ樹脂の硬化性組成物を作製し、次いで当該硬化性組成物を加熱して硬化させる硬化物の製造方法。

請求項11

未硬化のエポキシ樹脂に、請求項3記載のブロック共重合体を使用した請求項9記載の製造方法で製造されたエポキシ樹脂の潜在性硬化剤を添加してエポキシ樹脂の硬化性組成物を作製し、次いで当該硬化性組成物を加熱して硬化させる硬化物の製造方法であって、前記mと前記nとの比率を変化させることにより、前記硬化性組成物の硬化温度を変化させることを特徴とする硬化物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、エポキシ樹脂潜在性硬化剤用途に好ましく使用することのできるブロック共重合体、並びにそれを用いたエポキシ樹脂の潜在性硬化剤、その製造方法及びそれを使用した硬化物の製造方法に関する。

背景技術

0002

エポキシ樹脂は、求核性を有する化合物により開環反応を受けるエポキシ基を有する化合物である。エポキシ樹脂は、求核性を有する化合物(硬化促進剤)と共存させると、この化合物で開環されたエポキシ基が他のエポキシ基と次々反応(アニオン重合)することによって、高分子量化して硬化物となることが知られている。また、エポキシ樹脂は、求核性を有する置換基を複数有する化合物(硬化剤)と共存させると、硬化剤に含まれる置換基の一つ一つがエポキシ基を開環して共有結合を形成(架橋反応)することにより、高度に架橋された硬化物となることが知られている。このようなエポキシ樹脂の硬化反応を利用した接着剤は、エポキシ接着剤と呼ばれ、優れた接着剤として各種接着用途に使用される。また、その硬化物は、優れた耐久性や寸法安定性を示すことから、例えば、電気製品基板上における電子部品封入や、立体造形物製作、一部が欠損した部材の補修用途等に使用されている。

0003

なお、上記のように、エポキシ樹脂は、硬化促進剤によってエポキシ基がアニオン重合して硬化する場合もあるし、硬化剤によってエポキシ基が架橋反応を受けて硬化する場合もあるが、いずれの場合もエポキシ樹脂が高分子量化して硬化するという点では変わりがない。そこで、本明細書の記載では、硬化促進剤及び硬化剤の両者を含む概念として、「硬化剤」という用語を使用する。また、本明細書の記載では、アニオン重合による硬化反応及び架橋反応による硬化反応の両者を含む概念として、「硬化反応」という用語を使用する。

0004

通常、エポキシ接着剤は、未硬化のエポキシ樹脂を含む主剤と、エポキシ基と反応する化合物を含む硬化剤とからなり、使用の直前に両者をおよそ1:1の比率で混合して使用される。エポキシ接着剤における硬化反応は主剤と硬化剤とを混合した直後から開始するので、エポキシ接着剤は、主剤と硬化剤とを混合した状態で保存しておくことができず、その使用の都度、主剤と硬化剤とを1:1の比率で混合させる必要があり、優れた硬化物が得られる反面、作業が煩雑であるという課題も有する。

0005

このような課題を解決するために、一液型のエポキシ接着剤も提案されている。例えば、特許文献1には、硬化剤を無機質薄層被覆してカプセル型の硬化剤を形成させ、これを未硬化のエポキシ樹脂とともに配合することにより、常温での硬化が抑制される一方で、加熱により硬化するエポキシ接着剤が記載されている。このエポキシ接着剤で使用されるカプセル型の硬化剤は、常温では硬化剤がカプセルの内部に存在し、エポキシ樹脂の硬化反応を抑制するが、加熱下では硬化剤を覆うカプセルが壊れることによって内部から硬化剤が放出され、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する。

0006

また、硬化性を発揮するためのアミノ基等の官能基保護基で保護した硬化剤を潜在性硬化剤として使用して、一液式のエポキシ接着剤を得ることも提案されている(例えば、特許文献2の実施例を参照)。この場合、潜在性硬化剤は、加熱等により保護基が脱離して、エポキシ樹脂を硬化させる。

先行技術

0007

特開平2−36289号公報
特開平9−100456号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、特許文献1記載の発明のように硬化剤を物理的にカプセル化して硬化反応を制御する場合、そのカプセルが壊れる温度はカプセルに応じた特定の温度となるので、例えば80〜180℃といった範囲における好みの温度で硬化性を発現させることができない。そのため、熱に弱い素材接着させる場合や、作業工程都合で接着剤を比較的高温保管せざるを得ないような場合に、対応することが難しい。

0009

また、特許文献2記載の発明のように硬化剤の官能基を保護して硬化反応を制御する場合、常温であっても保護基が脱離する反応の速度はゼロにならないので、時間の経過とともに、エポキシ樹脂の硬化反応が進行する場合がある。

0010

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、硬化剤をカプセル化したり、硬化剤となる化合物に保護基を付加したりするという、従来の一液型エポキシ接着剤の硬化剤における硬化抑制方法と異なる、新規な一液型エポキシ接着剤用の硬化剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するブロック共重合体を使用してコアシェル構造を有する粒子を形成させると、その粒子が、常温ではエポキシ樹脂を硬化させない一方で、加熱によりエポキシ樹脂を硬化させることを見出し、本発明を完成するに至った。

0012

本発明は、(1)下記式(1)の構造で表されるブロック共重合体である。
R1A−b−BR2 ・・・(1)
(上記式(1)中、−b−は、ブロック共重合体であることを示す符号であり、R1及びR2は、互いに独立して有機基又は無機基を表し、A及びBは、それぞれブロック共重合体のブロック構造を表し、Aは、塩基性窒素原子を有する置換基を側鎖に含み、かつAからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示さない構造を有し、Bは、(メタアクリルアミドホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造である。)

0013

また、本発明は、(2)ブロック構造Aが、下記式(2)で表される構成単位を含む(1)項記載のブロック共重合体である。



(上記式(2)中、R3は、水素原子又はメチル基であり、R4は、2価の有機基であり、R5は、塩基性の窒素原子を有する有機基である。)

0014

また、本発明は、(3)ブロック構造Aが下記式(3)で表され、かつブロック構造Bが下記式(4)で表される(1)項又は(2)項記載のブロック共重合体である。



(上記式(3)中、R3、R4及びR5は、上記式(2)におけるものと同様であり、mは、30〜1,000,000の整数である。上記式(4)中、R6は、水素原子又はメチル基であり、nは、10〜1,000,000の整数である。)

0015

また、本発明は、(4)R4が2価の芳香族基を含む(2)項又は(3)項記載のブロック共重合体である。

0016

また、本発明は、(5)前記2価の芳香族基がフェニレン基である(4)項記載のブロック共重合体である。

0017

また、本発明は、(6)R5がイミダゾリル基である(2)項〜(5)項のいずれか1項記載のブロック共重合体である。

0018

また、本発明は、(7)(1)項〜(6)項のいずれか1項記載のブロック共重合体であり、前記ブロック構造Bがシェル構造を形成し、かつ前記ブロック構造Aがコア構造を形成したコアシェル構造を有するエポキシ樹脂の潜在性硬化剤である。

0019

また、本発明は、(8)エポキシ樹脂、(7)項記載のエポキシ樹脂の潜在性硬化剤及び前記潜在性硬化剤でない硬化剤を含む硬化性組成物である。

0020

また、本発明は、(9)(1)項〜(6)項のいずれか1項記載のブロック共重合体を有機溶媒Aに溶解して溶液を作製した後に、当該溶液を前記有機溶媒Aと混合性を有する親水性有機溶媒Bに滴下して前記ブロック共重合体を析出させ、得られた析出物をエポキシ樹脂の潜在性硬化剤とするエポキシ樹脂の潜在性硬化剤の製造方法である。

0021

また、本発明は、(10)未硬化のエポキシ樹脂に、(7)項記載のエポキシ樹脂の潜在性硬化剤又は(9)項記載の製造方法で得られたエポキシ樹脂の潜在性硬化剤を添加してエポキシ樹脂の硬化性組成物を作製し、次いで当該硬化性組成物を加熱して硬化させる硬化物の製造方法である。

0022

また、本発明は、(11)未硬化のエポキシ樹脂に、(3)項記載のブロック共重合体を使用した(9)項記載の製造方法で製造されたエポキシ樹脂の潜在性硬化剤を添加してエポキシ樹脂の硬化性組成物を作製し、次いで当該硬化性組成物を加熱して硬化させる硬化物の製造方法であって、前記mと前記nとの比率を変化させることにより、前記硬化性組成物の硬化温度を変化させることを特徴とする硬化物の製造方法である。

発明の効果

0023

本発明によれば、硬化剤をカプセル化したり、硬化剤となる化合物に保護基を付加したりするという、従来の一液型エポキシ接着剤の硬化剤における硬化抑制方法と異なる、新規な一液型エポキシ接着剤用の硬化剤が提供される。

図面の簡単な説明

0024

本発明のブロック共重合体を示す模式図である。
本発明のブロック共重合体が自己集合によりコアシェル構造を形成し、当該コアシェル構造体が加熱により解離する様子を示す模式図である。
実施例1の硬化剤を電子顕微鏡(SEM)で観察した画像である。

0025

以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明は、ブロック共重合体、及びそのブロック共重合体を使用して作製したエポキシ樹脂の潜在性硬化剤に関する。また、本発明は、当該エポキシ樹脂の潜在性硬化剤を使用した硬化物の製造方法に関する。以下、ブロック共重合体、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤及び硬化物の製造方法の順で説明する。

0026

<ブロック共重合体>
本発明のブロック共重合体は、下記式(1)の構造で表される。
R1A−b−BR2 ・・・(1)
ここで、式(1)中、−b−は、ブロック共重合体であることを示す符号であり、R1及びR2は、互いに独立して有機基又は無機基を表し、A及びBは、それぞれブロック共重合体のブロック構造を表し、Aは、塩基性の窒素原子を有する置換基を側鎖に含み、かつAからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示さない構造を有し、Bは、(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。

0027

上記のように、ブロック構造Aは、Aからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示さない。このことは、ブロック共重合体中で、ブロック構造Aが疎水性ユニットとして存在することを意味する。その一方で、ブロック構造Bは、(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造を有する。つまり、ブロック構造Bは、水溶性である(メタ)アクリルアミドのホモポリマーからなる構造、又はブロック構造Bからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す構造である。このため、ブロック構造Bは、ブロック共重合体中で親水性のユニットとして存在することになる。このように、ブロック共重合体は、その構造中に、疎水性のブロック構造Aと親水性のブロック構造Bという、親水性の溶媒に対する親和性の異なる2つのユニットを併せ持つ。そのため、このブロック共重合体は、後述する方法により自己集合体を形成させることが可能であり、疎水性のブロック構造Aとコア構造とし、親水性のブロック構造Bをシェル構造とするコアシェル構造を形成することができる。なお、「Aからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示さない」とは、水100gに対するその重合体の溶解度(25℃)が概ね0.1g未満(すなわち、0.1g/100g未満)であることを意味する。また、「Bからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す」とは、水100gに対するその重合体の溶解度(25℃)が概ね0.1g以上(すなわち、0.1g/100g以上)であることを意味する。

0028

また、疎水性であるブロック構造Aは、上記のように、塩基性の窒素原子を有する置換基を側鎖に含む。この塩基性の窒素原子を有する置換基は、エポキシ樹脂を硬化させるために使用される。そして、上記コアシェル構造体において、この置換基は、常温では、コア構造内に存在して外部に露出しないが、高温では、コアシェル構造の崩壊により外部に露出してエポキシ樹脂を硬化させる。このような作用により、本発明のブロック共重合体から作製されたコアシェル構造体は、エポキシ樹脂の硬化剤としての、温度変化引き金とした潜在性を獲得する。なお、シェル構造(ブロック共重合体B)に含まれるアクリルアミド基も窒素原子を含む置換基であるが、この窒素原子は、電子吸引性基であるカルボニル基に隣接しているため、塩基性を示さず、エポキシ樹脂を硬化させることができない。

0029

ブロック構造Aは、下記式(2)で表される構成単位を含むことが好ましい。

0030

上記式(2)中、R3は、水素原子又はメチル基であり、R4は、2価の有機基であり、R5は、塩基性の窒素原子を有する有機基である。ここで、R5は、上記のように、エポキシ樹脂を硬化させるための置換基となる。R4は、エポキシ基を硬化させるための置換基R5をブロック構造Aの主鎖に結合させるための結合基である。

0031

R4としては、特に限定されないが、メチレン基エチレン基プロピレン基イソプロピレン基等の分枝を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基;置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいナフチレン基等の2価の芳香族基;R7−Ar−R8が例示される。ここで、Arは、置換基を有してもよい2価の芳香族基を表し、R7及びR8は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表す。

0032

これらの中でも、R4は、2価の芳香族基を含む基であることが好ましい。R4が2価の芳香族基を含むことにより、ブロック構造A同士における分子間又は分子内のπ−πスタッキング作用が働き、ブロック共重合体の自己集合作用を強くすることができる。これにより、ブロック共重合体によるコアシェル構造の形成が促進される。より好ましくは、R4がフェニレン基を含むことであり、さらに好ましくは、R4が−C6H4−CH2−で表されることである。

0033

上記式(3)中、R5は、塩基性の窒素原子を有する有機基であればよく、そのような有機基としては、1級アミノ基を有する有機基、2級アミノ基を有する有機基、3級アミノ基を有する有機基、ヘテロ原子として窒素原子を有する芳香環又は脂肪環を有する有機基が挙げられる。より具体的には、R5として、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、3−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−メチル−1−イミダゾリル基、5−メチル−1−イミダゾリル基、2−エチル−1−イミダゾリル基、4−エチル−1−イミダゾリル基、5−エチル−1−イミダゾリル基、2−プロピル−1−イミダゾリル基、4−プロピル−1−イミダゾリル基、5−プロピル−1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基、5−ピリダジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、6−ピリミジル基、2−ピラジル基、3−ピラジル基、2−ピロリジル基、3−ピロリジル基、2−ピラジル基、3−ピラジル基、1−イミダゾリジル基、2−イミダゾリジル基、3−イミダゾリジル基、4−イミダゾリジル基、5−イミダゾリジル基、1−ピラゾリジル基、3−ピラゾジリル基、4−ピラゾジリル基、5−ピラゾジリル基、1−ピペリジル基、2−ピペリジル基、1−ピペリジル基、4−ピペリジル基、2−ピペラジル基、3−ピペラジル基、2−モルホリル基、3−モルホリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、3−1H−インダゾリル基、4−1H−インダゾリル基、5−1H−インダゾリル基、6−1H−インダゾリル基、7−1H−インダゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、3−シンノリル基、4−シンノリル基、5−シンノリル基、6−シンノリル基、7−シンノリル基、8−シンノリル基、2−キナゾリル基、4−キナゾリル基、5−キナゾリル基、6−キナゾリル基、7−キナゾリル基、8−キナゾリル基、2−キノキサリル基、3−キノキサリル基、5−キノキサリル基、6−キノキサリル基、7−キノキサリル基、8−キノキサリル基、1−フタラジル基、4−フタラジル基、5−フタラジル基、6−フタラジル基、7−フタラジル基、8−フタラジル基、2−プリル基、6−プリル基、8−プリル基、2−プテリジル基、4−プテリジル基、6−プテリジル基、7−プテリジル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、5−カルバゾリル基、6−カルバゾリル基、7−カルバゾリル基、8−カルバゾリル基、1−フェナントリジル基、2−フェナントリジル基、3−フェナントリジル基、4−フェナントリジル基、6−フェナントリジル基、7−フェナントリジル基、8−フェナントリジル基、9−フェナントリジル基、10−フェナントリジル基、1−アクリジル基、2−アクリジル基、3−アクリジル基、4−アクリジル基、5−アクリジル基、6−アクリジル基、7−アクリジル基、8−アクリジル基、9−アクリジル基、10−アクリジル基、1−フェナジル基、2−フェナジル基、3−フェナジル基、4−フェナジル基、6−フェナジル基、7−フェナジル基、8−フェナジル基、9−フェナジル基、10−フェナジル基、2−フェナントロリル基、3−フェナントロリル基、4−フェナントロリル基、5−フェナントロリル基、6−フェナントロリル基、7−フェナントロリル基、8−フェナントロリル基、9−フェナントロリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、4−ベンゾオキサゾリル基、5−ベンゾオキサゾリル基、6−ベンゾオキサゾリル基、7−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、4−ベンゾチアゾリル基、5−ベンゾチアゾリル基、6−ベンゾチアゾリル基、7−ベンゾチアゾリル基等が例示される。これらの中でも、R5として、イミダゾリル基が好ましく使用され、1−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基等がより好ましく使用される。

0034

また、ブロック構造Aは、下記式(3)で表されることがより好ましい。

0035

上記式(3)中、R3、R4及びR5は、上記式(2)において説明したものと同様であり、mは、30〜1,000,000の整数であることが好ましい。つまり、上記式(3)で表されるブロック構造は、上記式(2)で表される構成単位のホモポリマー構造であり、その重合度が30〜1,000,000のものであることが好ましい。mは、30〜100,000の整数であることがより好ましく、30〜10,000の整数であることがさらに好ましい。

0036

次に、ブロック構造Bについて説明する。上述の通り、ブロック構造Bは、(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、又はBからなる構造を有する重合体を作製した場合に水溶性を示す構造であることを条件として、(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーからなる構造を有する。ブロック構造Bは、このような構造を有するので、ブロック構造Aとは対照的に大きな親水性を示す。また、ブロック構造Aの側鎖に含まれるアクリルアミド基は、水素結合により、アクリルアミド基同士で強固に会合することができる。このため、後述する方法により、ブロック共重合体自己集合させると、分子間又は分子内でブロック構造A同士が強固に会合し、前述のコアシェル構造のうちのシェル構造を形成させる。このように、水素結合によって強固に会合したシェル構造によりコア構造内に存在する塩基性の窒素原子が隠されるので、ブロック共重合体の自己集合体であるコアシェル構造体は、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤となる。

0037

ブロック構造Bを(メタ)アクリルアミドと他のモノマーとのコポリマーとする場合、当該他のモノマーは、ブロック構造Bからなる構造を有する重合体を作製した場合にその重合体が水溶性を示すようなものであれば特に限定されない。このようなモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、そのような化合物として、(メタ)アクリル酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド等の水溶性を示すモノマー、メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル酢酸ビニル等のビニルエステルスチレンビニルトルエン等の芳香族ビニルアクリロニトリルメタクリロニトリル等のシアン化ビニル等が例示される。これらの中でも、(メタ)アクリル酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド等の水溶性を示すモノマーが好ましい。これらのモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

0038

ブロック構造Bは、下記式(4)で表されることが好ましい。

0039

上記式(4)中、R6は、水素原子又はメチル基であり、nは、10〜1,000,000の整数であることが好ましい。つまり、上記式(4)で表されるブロック構造は、(メタ)アクリルアミドのホモポリマー構造であり、その重合度が10〜1,000,000のものであることが好ましい。nは、10〜100,000の整数であることがより好ましく、10〜10,000の整数であることがさらに好ましい。

0040

次に、ブロック共重合体におけるブロック構造Aとブロック構造Bとの存在比について説明する。既に述べた又は後述するように、ブロック共重合体は、自己集合により、ブロック構造Aをコア構造とし、ブロック構造Bをシェル構造とするコアシェル構造を形成する。ここで、エポキシ樹脂を硬化させる塩基性の窒素原子はコア構造内に含まれるので、形成されたコアシェル構造体は、常温ではエポキシ樹脂を硬化させない。しかし、形成されたコアシェル構造体を加熱すると、コアシェル構造体が壊れて、その内部から塩基性の窒素原子が外部に露出し、エポキシ樹脂を硬化させる。

0041

ここで、ブロック共重合体におけるブロック構造Aとブロック構造Bとの存在比は、形成されるコアシェル構造体におけるコア部分の厚さとシェル部分の厚さのバランスとなる。コア部分の厚さに対してシェル部分の厚さが小さければ、すなわち上記式(3)及び(4)におけるmに対してnが小さければ、シェル部分が壊れやすくなる。したがって、コアシェル構造体は、より低い温度でエポキシ樹脂を硬化させる。

0042

反対に、コア部分の厚さに対してシェル部分の厚さが大きければ、すなわち上記式(3)及び(4)におけるmに対してnが大きければ、シェル部分が壊れにくくなる。したがって、コアシェル構造体は、より高い温度でエポキシ樹脂を硬化させる。

0043

このように、本発明のブロック共重合体から形成されたコアシェル構造体は、上記式(3)及び(4)におけるmとnの比を調節することによって、エポキシ樹脂の硬化温度を調節することのできる潜在性硬化剤となる。なお、mとnの比を調節するには、重合反応を行う際に、ブロック構造Aを構成するためのモノマーとブロック構造Bを構成するためのモノマーのモル比を調節すればよい。

0044

上記式(1)におけるR1及びR2は、ブロック共重合体を合成する際に導入される末端部分であり、有機基又は無機基である。上記のように、本発明のブロック共重合体の特性は、ブロック構造A及びBによって発現されるものであるので、R1及びR2がどのような構造を有するのかは重要なことではない。したがって、R1及びR2は、任意である。有機基は、炭素原子を含む置換基である。無機基としては、水素原子、水酸基ハロゲン原子メルカプト基等が例示されるが、特に限定されない。

0045

例えば、ブロック共重合体を合成する際に、リビングラジカル重合一種である可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT:Reversible Addition−Fragmentation Chain Transfer)重合(以後、RAFT重合と呼ぶ)を使用する場合、R1及びR2は、それぞれ、使用される連鎖移動剤の断片部分となる。一例として、RAFT重合における連鎖移動剤として、[1−(O−エチルザンチル)エチル]ベンゼンを使用した場合、R1はフェニルエチル基となり、R2はエトキシチオカルボニルチオ基となる。また、クミルジチオベンゾエートを使用した場合、R1はクミル基となり、R2はフェニルチオカルボニルチオ基となる。

0046

上記式(1)で表されるブロック共重合体を合成する方法は、特に限定されず、公知の各種有機合成手法が挙げられる。これらの有機合成手法の中でも、金属触媒等を用いないため、金属に配位する塩基部分を有するモノマーの重合も容易に行うことができる点から、上述のRAFT重合法が好ましく使用される。次に、RAFT重合法を使用したブロック共重合体の合成法の一例について説明する。

0047

まず、ブロック構造Aを形成させるためのモノマーを含む溶液に、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤を添加して、ラジカル重合させる。ここで、ブロック構造Aを形成させるためのモノマーとしては、4−イミダゾリルメチルスチレン、N,N−ジエチルアミノメタクリレート、4−ビニルベンジルアミン、2−ビニルー4,6−ジアミノ1,3,5−トリアジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピラジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、N−エチル−2−ビニルカルバゾール、2−[(3,5−ジメチルピラゾリルカルボニルアミノエチルメタクリレート等が例示される。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。

0048

ラジカル重合開始剤としては、公知のものを特に限定されずに使用することができ、アゾビスイソブチロニトリルAIBN)、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’—アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、4,4’—アゾビス(4−シアプロピオン酸)、(2RS,2’RS)−アゾビス(4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物重合開始剤過酸化ベンゾイル等の過酸化物の重合開始剤;等が例示される。連鎖移動剤としては、2−シアノ−2−ベンゾジチオエート、4−シアノ−4−(フェニルカルボノチオイルチオペンタン酸、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボネート、4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル]ペンタン酸、2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−2−メチルプロピオン酸シアノメチルドデシルトリチオカルボネート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエート、ビス(チオベンゾイルジスルフィド、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド、クミルジチオベンゾエート、[1−(O−エチルザンチル)エチル]ベンゼン等のジチオエステル化合物が好ましく例示される。

0049

ラジカル重合させる際のモノマー、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤の比率は、形成させようとするブロック構造Aの重合度や化合物の反応性を考慮して適宜決定すればよいが、モノマー:ラジカル重合開始剤:連鎖移動剤=1000:0.5〜50:10〜100(モル比)が好ましく、モノマー:ラジカル重合開始剤:連鎖移動剤=1000:0.5:10(モル比)がより好ましい。

0050

この重合反応により、ブロック構造Aが形成される。このとき、各ブロック構造Aの両端には、使用した連鎖移動剤の断片(式(1)におけるR1及びR2に相当する。)が存在している。そのため、各ブロック構造Aは、ブロック構造Bを形成させるための重合反応において、それ自身が連鎖移動剤として作用する。

0051

次に、ブロック構造Aが合成された反応溶液に、ブロック構造Bを形成させるためのモノマーである(メタ)アクリルアミド及びラジカル重合開始剤を添加して、ブロック構造Aの末端にブロック構造Bを伸長させる。ラジカル重合開始剤としては、上記ブロック重合体Aを形成させる際と同様のものを使用することができる。

0052

ラジカル重合させる際の、ブロック構造A、モノマー及びラジカル重合開始剤の比率は、ブロック構造Aの末端に形成させようとするブロック構造Bの重合度や化合物の反応性を考慮して適宜決定すればよいが、ブロック構造A:モノマー:ラジカル重合開始剤=1:0.1〜50:0.01〜0.1(モル比)が好ましく、ブロック構造A:モノマー:ラジカル重合開始剤=1:1:0.04(モル比)がより好ましい。

0053

以上の重合反応により、ブロック構造Aの両端に存在していた連鎖移動剤の断片は、ブロック構造A及びブロック構造Bからなるブロック共重合体の両端に移動し、上記式(1)で表されるブロック共重合体が得られる。

0054

<エポキシ樹脂の潜在性硬化剤>
次に、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤について説明する。本発明のエポキシ樹脂の潜在性硬化剤は、上記ブロック共重合体を自己集合させて、ブロック構造Aをコア構造とし、ブロック構造Bをシェル構造とするコアシェル構造としたものである。この潜在性硬化剤が、常温でエポキシ樹脂を硬化させず、かつ加熱によってエポキシ樹脂を硬化させる潜在性を有することについては既に述べた通りである。そこで、以下の説明では、上記ブロック共重合体を自己集合させて、コアシェル構造を有するエポキシ樹脂の潜在性硬化剤の作製方法を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のブロック共重合体を示す模式図である。図2は、本発明のブロック共重合体が自己集合によりコアシェル構造を形成し、当該コアシェル構造体が加熱により崩壊する様子を示す模式図である。

0055

図1に示すように、本発明のブロック共重合体は、式(1)のAに対応するブロック構造Aと、式(1)のBに対応するブロック構造Bと、を有する直鎖状の分子である。なお、実際には、当該直鎖状の分子の両端に式(1)のR1及びR2に対応する置換基が結合するが、これらの置換基はブロック構造A及びBに対して非常に小さいものになるので、図ではこれらの置換基の記載を省略する。

0056

まず、第1工程として、上記ブロック共重合体を有機溶媒Aに溶解させる。有機溶媒Aは、ブロック共重合体を溶解させることができ、後述する親水性有機溶媒Bと混合性を有する溶媒である。このとき、ブロック共重合体は、図2(a)に示すように、溶解状態として有機溶媒Aの中に存在する。なお、ここでいう「混合性を有する」とは、有機溶媒Aと親水性有機溶媒Bとが、必ずしも任意の容積比で混ざり合う必要はなく、少なくとも一部が混ざり合うものであれば足りる。

0057

有機溶媒Aとしては、ブロック共重合体を溶解させるものであればよく、ジメチルスルホキシドDMSO)、ジメチルホルムアミドDMF)、アセトニトリルN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒等が例示される。これらの中でも、DMSOがより好ましい。これらの溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて有機溶媒Aとすることができる。

0058

有機溶媒Aにブロック共重合体を溶解させる濃度は、ブロック共重合体の溶解性を考慮して適宜決定すればよいが、有機溶媒Aの1mLあたり、ブロック共重合体を50〜500mg溶解させることが例示され、100〜150mg溶解させることが好ましく例示される。

0059

有機溶媒Aにブロック共重合体を溶解させるには、公知の方法を特に限定されずに使用することができる。このような溶解方法と一例としては、有機溶媒Aにブロック共重合体を加えた後に、撹拌したり、超音波振動を加えたりする方法が挙げられる。溶解に際して、有機溶媒Aとブロック共重合体との混合物を加熱してもよい。

0060

次に、第2工程として、第1工程で作製したブロック共重合体の溶液を親水性有機溶媒Bに滴下して、ブロック共重合体を析出させる。このとき、既に述べたように、ブロック共重合体の溶液の作製に使用した有機溶媒Aと親水性有機溶媒Bとが混合性を有することが必要である。

0061

ブロック共重合体の溶液が親水性有機溶媒Bに滴下されると、溶解していたブロック共重合体は、溶解状態を維持することができずに直ちに析出を始める。このとき、ブロック共重合体は、複数の分子が自己集合し、図2(b)に示すように、親水性を有するブロック構造Bを外側に向け、疎水性を有するブロック構造Aを内側に向けた球状構造として析出する。ブロック共重合体が析出する際に親水性を有するブロック構造Bを外側に向けるのは、ブロック共重合体の分子の周囲に存在する溶媒の大部分が親水性有機溶媒Bだからである。

0062

ここで、ブロック共重合体が図2(b)に示すような構造に自己集合する理由は、3つの要素の存在が挙げられる。第1には、上述のように、ブロック共重合体が親水性環境に置かれたことが挙げられる。そして、第2には、ブロック構造Bの側鎖に含まれるアミド基の存在が挙げられる。上述の通り、アミド基は、水素結合により、複数のアミド基同士で会合することができる。このため、析出を開始した複数のブロック共重合体の分子は、ブロック構造B同士で水素結合による会合体を形成して、シェル構造を形成すると考えられる。そして、第3には、ブロック構造A同士の疎水性相互作用の存在が挙げられる。ブロック構造Aは、疎水性であるので、親水性環境に置かれるとブロック構造A同士で凝集してコア構造を形成すると考えられる。このような作用は、上述のように、ブロック構造Aの側鎖に芳香環が含まれた場合にπ−πスタッキング作用によってより顕著なものとなる。

0063

自己集合体を形成した直後のブロック共重合体は、そのコア部分に有機溶媒Aを含むと考えられ、幾分緩いコアシェル構造を形成すると考えられる。コア部分に含まれる有機溶媒Aは、ブロック共重合体が析出してコアシェル構造を形成した後に、外部に存在する親水性有機溶媒Bへ徐々に滲み出して行き、最終的にコア部分から除かれる。そのため、ブロック共重合体の析出物は、しばらくの間、親水性有機溶媒B中に保持しておくことが望ましい。

0064

親水性有機溶媒Bとしては、メタノールエタノールプロパノール等のアルコール類アセトン等が好ましく使用され、中でも、メタノールがより好ましく使用される。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて親水性有機溶媒Bとすることができる。

0065

最後に、第3工程として、親水性有機溶媒B中に析出したブロック共重合体を溶媒から分離し、乾燥させる。得られたブロック共重合体の粉末は、コアシェル構造を有し、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤として好ましく使用される。

0066

<硬化性組成物及び硬化物の製造方法>
上記のようにして得られた潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂と混合され、硬化性組成物とされる。このような硬化性組成物、及びその硬化性組成物を使用した硬化物の製造方法も本発明の一つである。通常、エポキシ樹脂と一般の硬化剤とを混合して得られた硬化性組成物は、混合して作製された直後から硬化を開始する。しかし、本発明の硬化性組成物に含まれる潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるための置換基(塩基性の窒素原子を有する有機基)がコアシェル構造の内部に存在するので、硬化性組成物とされた後であっても常温ではエポキシ樹脂を硬化させない。

0067

本発明の硬化性組成物は、上記のように常温では硬化しないが、加熱によって硬化して硬化物となる。本発明の硬化性組成物に含まれる潜在性硬化剤は、常温ではコアシェル構造を維持するが、加熱すると、図2(c)に示すように、コアシェル構造が壊れる。このとき、コアシェル構造のコア部分として存在していたブロック構造A(図において破線で示した部分)が、外部に現れてエポキシ樹脂を硬化させる。

0068

なお、ここでいうエポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するポリマーオリゴマー又はモノマーである。エポキシ樹脂としては、接着剤用途等として公知のものを特に制限なく使用することができる。

0069

エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合割合は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、潜在性硬化剤が0.001〜0.1当量になるようにすることが好ましく、0.002〜0.05当量になるようにすることがより好ましい。なお、ここでいう「当量」とは、モル当量を意味する。

0070

本発明の硬化性組成物には、硬化を促進させるために、上記潜在性硬化剤でない公知の硬化剤を添加してもよい。

0071

このような硬化剤としては、フェノール類レゾール若しくはノボラック、3級アミン化合物又は酸無水物が挙げられる。これらのうち、フェノール類のノボラックとしては、フェノールノボラックキシリレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック等を例示することができるが、特に限定されない。

0073

上記の硬化剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、エポキシ樹脂と硬化剤との混合割合は、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1当量に対して、硬化剤が0.5〜1.5当量になるようにすることが好ましい。なお、ここでいう「当量」とは、モル当量を意味する。

0074

次に、硬化性組成物を硬化させる加熱温度について説明する。既に述べたように、本発明のブロック共重合体は、コアシェル構造のコア部分となるブロック構造Aと、コアシェル構造のシェル部分となるブロック構造Bとのモル比m:n(上記式(3)及び(4)を参照)を調節することによって、コアシェル構造が崩壊する温度(すなわち、硬化性組成物が硬化を開始する温度)を調節することができる。硬化性組成物が硬化を開始する温度は、所望に応じて、概ね100〜190℃の範囲にて適宜設定することができる。

0075

上記m:nは、m/n=0.5〜3.3であることが好ましく、m/n=0.8〜2.2であることがより好ましい。m/nが3.3以下であることにより、ブロック共重合体から形成させたコアシェル構造体が硬化剤としての潜在性を良好に獲得することができる。

0076

以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。

0077

[ジチオベンゾエート(DTBA)の合成]
反応容器である100mL三口ナス型フラスコに、窒素雰囲気下で、脱水テトラヒドロフラン(THF)20mL、及びフェニル臭化マグネシウム13.3mL(0.04mmol)を加えた。反応容器を氷浴につけて冷却後、二硫化炭素1.2mL(0.02mol)を添加し、氷浴条件下で1時間撹拌した後に、反応溶液を、氷冷した希塩酸150mL(約1.2mol/L)に注いだ。その後、ジエチルエーテル650mLで抽出し、有機層を、飽和食塩水(50mL)、水(100mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥剤濾別し、溶媒を留去してDTBAを得た(粗収量3.403g、粗収率110%)。得られたDTBAは精製せずに、次のクミルジチオベンゾエート(CDB)の合成に使用した。

0078

[クミルジチオベンゾエート(CDB)の合成]



反応容器である100mL三口ナス型フラスコに、DTBA3.085g(0.02mol,1equiv)、α−メチルスチレン6.5mL(0.05mol,2.5equiv)、及び四塩化炭素25mLを加えて均一な溶液とし、暗所下、70℃で9時間撹拌した。反応溶液を室温に戻した後、溶媒を留去し、さらに、展開溶媒としてヘキサンを使用して、アルミナを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製してCDBを得た(収量1.682g、収率31%)。

0079

[[1−(O−エチルザンチル)エチル]ベンゼン(EXEB)の合成]



反応容器である200mLナス型フラスコに、エタノール40mL、及び水酸化カリウム5.6g(0.10mol)を加え、撹拌しながら二硫化炭素20mLをゆっくりと滴下した。反応溶液を室温で10時間撹拌した後、過剰な二硫化炭素を蒸留により除去した。残った反応溶液に、(1−ブロモエチル)ベンゼン9.5mL(0.07mol)のエタノール(20mL)溶液を加えて、60℃で5時間反応させた。生成した塩をメンブレンフィルターで取り除き、溶媒を留去し、残留物をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥剤を濾別後、濾液濃縮して、EXEBを黄色の粘稠液体として得た(収量13.07g、収率82%)。

0080

[4−イミダゾリルメチルスチレン(ImMSt;モノマー)の合成]
反応容器である200mL三口フラスコジムロート冷却管を取り付け、窒素雰囲気下で、アセトン57mL及びイミダゾール15.0g(0.22mol)を加え、40℃で加熱溶解した。得られた溶液に、p−クロロメチルスチレン7.8mL(0.06mol)をゆっくり滴下し、40℃で22時間反応させた。その反応溶液から溶媒を留去し、残留物をクロロホルムで抽出後、抽出液を希アンモニア水で洗浄後、純水で洗浄した。その後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで2時間乾燥させ、乾燥剤を濾別後、溶媒を留去し、さらに、展開溶媒としてクロロホルム:メタノール=20:1の混合溶媒を使用して、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られた精製物をヘキサンにより再結晶して、白色固体であるImMStを得た(収量5.58g、収率37%)。

0081

[ImMStのRAFT重合]



ガラス製のアンプル管に1,4−ジオキサン脱水)4mL、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)8mg(50μmol,1equiv)、ImMST1.84g(10mmol,200equiv)、及びEXEB25mg(0.1mmol,2equiv)を加えて溶解し、凍結脱気を行った。解凍した反応溶液を、暗所下にて、80℃で24時間撹拌した後、反応溶液を液体窒素急冷することにより反応を停止させた。得られた反応溶液をメタノールで希釈した後、貧溶媒として石油エーテル(500mL)を使用して沈殿精製を行った。上澄み液を取り除き、容器内面に付着した生成物をメタノールで溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、薄黄色の固体であるImMStの重合体(Poly−ImMSt)を得た(収量1.662g、収率89%)。

0082

[4−(2−メチルイミダゾリル)メチルスチレン(MImMSt;モノマー)の合成]
反応容器である200mL三口フラスコにジムロート冷却管を取り付け、窒素雰囲気下でトルエン30mL及び2−メチルイミダゾール15.0g(0.18mol)を加え、40℃で加熱溶解した。得られた溶液に、p−クロロメチルスチレン6.3mL(0.05mol)をゆっくり滴下し、さらにアセトン30mLを加えて、40℃で22時間反応させた。その反応溶液から溶媒を留去し、残留物をクロロホルムで抽出後、抽出液を希アンモニア水で洗浄後、純水で洗浄した。その後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで2時間乾燥させ、乾燥剤を濾別後、溶媒を留去し、さらに、展開溶媒としてクロロホルム:メタノール=20:1の混合溶媒を使用して、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製することで、淡黄色液体のMImMStを得た(収量1.191g、収率13%)。

0083

[MImMStのRAFT重合]



ガラス製のアンプル管に1,4−ジオキサン(脱水)4mL、AIBN8mg(50μmol,1equiv)、MImMSt1.98g(10mmol,200equiv)、及びEXEB25mg(0.1mmol,2equiv)を加えて溶解し、凍結脱気を行った。解凍した反応溶液を、暗所下にて、80℃で24時間撹拌した後、反応溶液を液体窒素で急冷することにより反応を停止させた。得られた反応溶液をメタノールで希釈した後、貧溶媒として石油エーテル(500mL)を使用して沈殿精製を行った。上澄み液を取り除き、容器の内面に付着した生成物をメタノールで溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、淡黄色の固体であるMImMStの重合体(Poly−MImMSt)を得た(収量0.909g、収率45%)。

0084

[ブロック共重合体A(1:1.17)の合成]



ガラス製のアンプル管に1,4−ジオキサン(脱水)4mL、AIBN19.6mg(120mmol,1equiv)、アクリルアミド(AAm)0.213g(3.0mmol,25equiv)、及びPoly−ImMSt0.553g(3.0mmol,25equiv)を加えて溶解し、凍結脱気を行った。解凍した反応溶液を、暗所下にて、80℃で24時間撹拌した後、反応溶液を液体窒素で急冷することにより反応を停止させた。得られた反応溶液をメタノールで希釈した後、貧溶媒として石油エーテル(500mL)を使用して沈殿精製を行った。上澄み液を取り除き、容器の内面に付着した生成物をメタノールに分散した後、溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、薄黄色の固体であるブロック共重合体A(1:1.17)を得た(収量0.727g、収率92%)。なお、この合成において、上記化学反応式におけるm:nは1:1.17だった。「ブロック共重合体A(1:1.17)」という名称のうち、「(1:1.17)」とは、m:nが1:1.17であることを表すものである。このことは、以下の記載についても同様である。なお、ブロック共重合体Aは、先に述べたブロック構造Aが疎水性となるブロック共重合体である。

0085

[ブロック共重合体A(1:0.84)の合成]
使用したPoly−ImMStとAAmとのモル比を1:0.85としたこと以外は、上記のブロック共重合体A(1:1.17)の合成方法と同じ手順により、ブロック共重合体A(1:0.84)を得た。

0086

[ブロック共重合体A(1:0.67)の合成]
使用したPoly−ImMStとAAmとのモル比を1:0.67としたこと以外は、上記のブロック共重合体A(1:1.17)の合成方法と同じ手順により、ブロック共重合体A(1:0.67)を得た。

0087

メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルのRAFT重合]



ガラス製のアンプル管に1,4−ジオキサン(脱水)4mL、AIBN8mg(50μmol,1equiv)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(2DMAEM)1.59mL(9.4mmol,200equiv)、及びCDB25.6mg(94μmol,2equiv)を加えて溶解し、凍結脱気を行った。解凍した反応溶液を、暗所下にて、60℃で16時間撹拌した後、反応溶液を液体窒素で急冷することにより反応を停止させた。貧溶媒として石油エーテル(260mL)を利用して、得られた反応溶液の沈殿精製を行った。上澄み液を取り除き、容器の内面に付着した生成物をアセトンで溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、薄紫色の固体であるPoly−2DMAEMを得た(収量1.317g、収率81%)。

0088

[ブロック共重合体B(1:1)の合成]



ガラス製のアンプル管に1,4−ジオキサン(脱水)4mL、AIBN19.7mg(120μmol,1equiv)、AAm0.213g(3.0mmol,25equiv)、及びPoly−2DMAEM0.473g(3.0mmol,25equiv)を加えて溶解し、凍結脱気を行った。解凍した反応溶液を、暗所下にて、60℃で24時間撹拌した後、反応溶液を液体窒素で急冷することにより反応を停止させた。得られた版応用液をアセトンで希釈した後、貧溶媒として石油エーテル(300mL)を使用して沈殿精製を行った。上澄み液を取り除き、容器の内面に付着した生成物をメタノールで溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、薄紫色の固体であるブロック共重合体B(1:1)を得た(収量0.673g、収率98%)。「ブロック共重合体B(1:1)」という名称のうち、「(1:1)」とは、m:nが1:1であることを表すものである。なお、ブロック共重合体Bは、先に述べたブロック構造Aが親水性となるブロック共重合体である。

0089

[ブロック共重合体C(1:1.11)の合成]



ガラス製のアンプル管に1,4−ジオキサン(脱水)4mL、AIBN19.7mg(120μmol,1equiv)、アクリルアミド(AAm)0.213g(3.0mmol,25equiv)、及びPoly−MImMSt0.594g(3.0mmol,25equiv)を加えて溶解し、凍結脱気を行った。解凍した反応溶液を、暗所下にて、80℃で24時間撹拌した後、反応溶液を液体窒素で急冷することにより反応を停止させた。得られた反応溶液をメタノールで希釈した後、貧溶媒として石油エーテル(500mL)を使用して沈殿精製を行った。上澄み液を取り除き、容器の内面に付着した生成物をメタノールで溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、薄黄色の固体であるブロック共重合体C(1:1.11)を得た(収量0.792g、収率95%)。なお、この合成において、上記化学反応式におけるm:nは1:1.11だった(1H−NMR測定結果より算出)。「ブロック共重合体C(1:1.11)」という名称のうち、「(1:1.11)」とは、m:nが1:1.11であることを表すものである。なお、ブロック共重合体Cは、先に述べたブロック共重合体Aに含まれるブロック構造AをImMStからMImMStに変更したものである。

0090

[ブロック共重合体C(1:1.82)の合成]
使用したPoly−MImMStとAAmとのモル比を1:1.5としたこと以外は、上記のブロック共重合体C(1:1.11)の合成方法と同じ手順により、ブロック共重合体C(1:1.82)を得た(収率93%)。

0091

[ブロック共重合体C(1:0.94)の合成]
使用したPoly−MImMStとAAmとのモル比を1:0.8としたこと以外は、上記のブロック共重合体C(1:1.11)の合成方法と同じ手順により、ブロック共重合体C(1:0.94)を得た(収率97%)。

0092

[ブロック共重合体C(1:0.35)の合成]
使用したPoly−MImMStとAAmとのモル比を1:0.5としたこと以外は、上記のブロック共重合体C(1:1.11)の合成方法と同じ手順により、ブロック共重合体C(1:0.35)を得た(収率95%)。

0093

[コアシェル構造を有する硬化剤の作製1]
サンプル管にブロック共重合体A(1:1.17)を0.3g取り、これをジメチルスルホキシド(DMSO)0.5mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール5mL中に1滴ずつ滴下し、その後この混合溶液を1時間撹拌した。得られた混合溶液を5分間、5000rpmで遠心分離して、沈殿物回収し、減圧乾燥した。この操作により得られた粉末を実施例1の硬化剤とした。
同様に、ブロック共重合体A(1:0.84)を使用して実施例2の硬化剤を、ブロック共重合体A(1:0.67)を使用して実施例3の硬化剤を、ブロック共重合体B(1:1)を使用して比較例4の硬化剤を、それぞれ作製した。

0094

[比較例1〜3及び5の硬化剤の作製]
合成されたブロック共重合体A(1:1.17)そのものを比較例1の硬化剤とした。つまり、比較例1の硬化剤は、コアシェル構造を有さない。
同様に、ブロック共重合体A(1:0.84)そのものを比較例2の硬化剤とし、ブロック共重合体A(1:0.67)そのものを比較例3の硬化剤とし、ブロック共重合体B(1:1)そのものを比較例5の硬化剤とした。

0095

[コアシェル構造を有する硬化剤の作製2]
サンプル管にブロック共重合体C(1:1.11)を0.15g秤取り、これをDMSO0.5mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール20mL中に1滴ずつ滴下し、その後この混合溶液を24時間撹拌した。得られた混合溶液を2回遠心分離(5000rpm、10分間)して、沈殿物を回収し、減圧乾燥した。この操作により得られた粉末を実施例5の硬化剤とした。
同様に、ブロック共重合体C(1:1.82)を使用して実施例4の硬化剤を、ブロック共重合体C(1:0.94)を使用して実施例6の硬化剤を、ブロック共重合体C(1:0.35)を使用して実施例7の硬化剤を、それぞれ作製した。

0096

[比較例6の硬化剤の作製]
合成されたブロック共重合体C(1:1.11)そのものを比較例6の硬化剤とした。つまり、比較例6の硬化剤は、コアシェル構造を有さない。

0097

[評価]
得られた実施例1〜7及び比較例1〜6の硬化剤のそれぞれについて、以下の手順により、下記式に示すビスフェノールF型エポキシ樹脂(EP)との反応性の温度依存性を調べた。



サンプル管にEP100mgを秤取り、実施例1〜7及び比較例1〜6のいずれかの硬化剤を、硬化剤のブロック構造Aに含まれる塩基部位がEPのエポキシ基に対して3mol%になる量加えた。この粘性のある混合物を均一になるまでかき混ぜ棒で撹拌した(10分間)。この混合物の3mgを、熱水処理(110℃2時間処理後、95℃で乾燥)した密閉型丸底アルミニウムパンに秤取り、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で20〜250℃の範囲でDSC測定示差走査熱量測定セイコーインスツルメンツ株式会社製、SSC5200DSC6200型装置を使用)して、エポキシ樹脂の硬化反応が開始する温度を調べた。その結果を表1及び2に示す。

0098

0099

0100

表1から理解されるように、本発明のブロック共重合体を使用して作製されたコアシェル型の硬化剤は、再沈のみを行った硬化剤よりも高い温度で発熱を開始していることがわかる。この発熱はエポキシ樹脂の硬化反応に伴うものであるから、本発明のブロック共重合体を使用して作製されたコアシェル型の硬化剤は、潜在性を獲得していることがわかる。
その一方で、ブロック構造Aとして親水性のユニットを有する比較例4及び5の硬化剤では、コアシェル構造とするための処理を行うか否かに関わらず、潜在性を獲得していないことがわかる。このことから、比較例4の硬化剤は、コアシェル構造をとっておらず、ゆえに潜在性を獲得できていないと推察された。
また、このような傾向は、ブロック共重合体のブロック構造AがImMStからMImMStになっても同様に観察されることがわかった。

実施例

0101

さらに、実施例1の硬化剤を電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を図3に示す。実施例1の硬化剤は、ブロック共重合体A(1:1.17)のコアシェル構造体である。図3から理解されるように、実施例1の硬化剤は略球状の形状を有する。実施例1の硬化剤が略球状の形状を有することと、実施例1の硬化剤が比較例1の硬化剤に比べて大幅に高い硬化温度を示すこととから、本発明の硬化剤が、コアシェル構造を有し、そのような構造に基づく潜在性を獲得していると推察される。

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