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技術 微量セルの温度校正方法

出願人 日本分光株式会社
発明者 和田明生平池貴子高下一太郎
出願日 2010年8月31日 (10年5ヶ月経過) 出願番号 2010-193549
公開日 2012年3月15日 (8年11ヶ月経過) 公開番号 2012-052830
状態 特許登録済
技術分野 温度及び熱量の測定 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 液体温度計 校正式 スペクトル面積 データ点列 光学セル内 主成分スコア 塩化コバルト水溶液 キャピラリーセル
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年3月15日)のものです。
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図面 (10)

課題

微量セル内測定対象試料の温度を正確に測定するための方法を提供する。

解決手段

角セル内の温度(T1、T2・・・)を変化させ(S10)、その温度毎にスペクトルが作成される(S12)。スペクトルの主成分スコア特性値(A1、A2・・・)として算出する(S14、S16)。キャピラリーセル内の温度とスコアとの値をプロット検量線とする(S18)。キャピラリーホルダ内の温度(T1、T2・・・)を変化させ(S20)、その温度毎にスペクトルが作成される(S22)。同様の手順で特性値(A1、A2・・・)を算出し(S24)、検量線(検量式)を用いることによりキャピラリーセル内の温度(T01、T02・・・)を求める(S26)。キャピラリーセル内の温度とキャピラリーホルダ内の温度とをプロットして校正曲線校正式)とする。

概要

背景

分光光度計を用いた測定方法温度変化測定、温度変化スペクトル測定と呼ばれている測定方法がある。この測定方法は、測定対象試料の温度を変化させながら、その吸光度あるいは吸収スペクトルを測定し、温度変化によって引き起こされる平衡状態の変化、構造の変化、あるいは電子状態の変化を調べる目的で実施されている。特に、DNAやタンパク質などの生体機能性高分子については、温度の上昇によってDNA鎖二重らせん構造がとけるDNAメルティングやタンパク質の熱変性解析する研究目的のために広く行われている。

通常、この測定のためには分光光度計に付属品としてペルチェ恒温セルホルダを組み合わせた装置が用いられる。ペルチェ恒温セルホルダはセル内の測定対象試料の温度を変化させ、温度を変化させた後も測定対象試料の温度を一定に保つことができる。測定の際は測定対象試料を角セルに入れてこのペルチェ恒温セルホルダにセットし、その中に温度センサープローブ(以下、温度センサー)を入れて、測定対象試料の温度を直接測定しながら吸光度や吸収スペクトルを測定し、温度と吸光度あるいは温度と吸収スペクトルを測定し、温度と吸光度あるいは温度と吸収スペクトルを対にして取得する。この装置においては、測定対象試料の温度は測定対象試料の中に浸した温度センサーによって実測されるので、その正確さは温度センサーの校正のレベル保証される。

ところが、測定対象試料のDNAやタンパク質は、一般的には量を確保することが非常に困難である。これらの微小量しか確保できない測定対象試料について吸光度や吸収スペクトルだけを測定する場合には、内容積数十から十数μlのミクロセル微量セル)を用いることが極めて多い。そして、さらに微量の測定対象試料で測定ができるように工夫されたのが、内径1mm以下の細い石英管試料容器として利用するキャピラリーセル測定である。キャピラリーセルは形状が円筒であるため照射位置が異なると光路長が変化し、得られた吸光度に不確かさが含まれるものの、検量線を用いた定量やスペクトルの形状を見るだけの分析には十分実用に耐えると評価されている。

このキャピラリーセルを温度変化測定や温度変化スペクトル測定にも利用することが求められている。そのために、角セルと同じ外形寸法を持ち、真中にキャピラリーセルを差し込んで固定する円筒形の穴を開け、さらにそのキャピラリーセルに測定光を通す光の通路を形成したキャピラリーホルダを作り、測定対象試料をキャピラリーセルの中に入れ、それをキャピラリーホルダに入れ、それをペルチェ恒温セルホルダにセットして測定を行うことが考えられる。

しかし、この装置ではキャピラリーセル内の温度を正確に測れないという重大な問題がある。通常温度を正確に測るためには、温度センサープローブをその測定対象試料の中に入れることが必要である。ところが、小さな内容積のセルの中の測定対象試料に測定光を邪魔しないようにプローブを差し込むことは非常に困難である。また、それにもまして内径1mm以下の細い管の中の測定対象試料にプローブを差し込むこと自体不可能である。
そのため、温度センサーをキャピラリーセルに差し込むことなくキャピラリーセル内の温度測定をしなくてはならない。

その代案として、キャピラリーホルダに温度センサーを差し込んでキャピラリーホルダの温度を測定し、それをもって測定対象試料の温度とみなす、あるいはそのキャピラリーホルダの温度から測定対象試料の温度を見積もるという方法をとることが考えられる。

そこで、発明者らは前者の方法でラムダファージのDNAのメルティング測定を行った。
角セルを使った測定ではメルティング温度が89.07℃と得られたが、キャピラリーセルで行った測定では、91.72℃となり、2.65℃の食い違いが生じた。これはキャピラリーセル内の温度がキャピラリーホルダ内の温度と一致していないことを示している。この偏りは、キャピラリーセルが石英製で温度が伝わりにくいためキャピラリーホルダの温度がキャピラリーセルに十分伝わりきれないか、あるいはキャピラリーセルの形状が非常に細い円筒状の形状であるため周囲の空気の影響を受けやすく、温度が伝わる過程で変わってしまったことなどによる系統誤差である。

また、後者の方法として、この誤差は温度に依存することから、このメルティング測定で得られた2.65℃の偏りを補正値として使ってキャピラリーセルの温度に補正することも考えられるが十分な正確さが得られないので適切ではない。また、キャピラリーセルの位置に別の温度センサーを置き、キャピラリーホルダの温度を変えながら、キャピラリーセルの位置とキャピラリーホルダの両方の温度を同時に測定し、それらの間の関係を求めるという補正方法も考えられるが、そのような温度センサーとキャピラリーセルでは熱容量など熱的な特性が異なるために、この方法ではキャピラリーセルの温度の正確な測定が期待できない。

このような事情があって、どうしても温度を正確に測りたいという場合には、角セルで測るために必要となる量の測定対象試料を確保するために多大な努力がなされていた。また、十分な測定対象試料が確保できない場合には、温度の不確かさを無視して他の測定対象試料を用いて相対的に解析することが行われていた。

そこで、キャピラリーセルなどの容積が小さく温度センサーを挿入することのできない微量セルの中に温度センサーを差し込むことなく、微量セル内の測定対象試料の温度を正確に測定することのできる測定方法が求められている。

概要

微量セル内の測定対象試料の温度を正確に測定するための方法を提供する。角セル内の温度(T1、T2・・・)を変化させ(S10)、その温度毎にスペクトルが作成される(S12)。スペクトルの主成分スコア特性値(A1、A2・・・)として算出する(S14、S16)。キャピラリーセル内の温度とスコアとの値をプロットし検量線とする(S18)。キャピラリーホルダ内の温度(T1、T2・・・)を変化させ(S20)、その温度毎にスペクトルが作成される(S22)。同様の手順で特性値(A1、A2・・・)を算出し(S24)、検量線(検量式)を用いることによりキャピラリーセル内の温度(T01、T02・・・)を求める(S26)。キャピラリーセル内の温度とキャピラリーホルダ内の温度とをプロットして校正曲線校正式)とする。

目的

本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は温度センサーを微量セル内に差し込むことなく微量セル内の測定対象試料の温度を正確に測定するため、精度の高い方法で微量セルが差し込まれたキャピラリーホルダ内の温度を校正することにより微量セル内の温度を求める方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

容積が小さく直接容器内に温度センサーが挿入不能な微量セルと、該微量セル及び温度センサーを固定するキャピラリーホルダと、該キャピラリーホルダ内の温度を計測する温度センサーとを内部に含んだ試料室を備えた測定装置を用いた温度校正方法において、前記微量セル内温度変化に伴い色彩が変化するサーモクロミズム特性を示す試料を入れ、前記キャピラリーホルダ内の温度を複数回変化させ、温度を変化させる毎に該サーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルを測定して該スペクトルを分析することにより前記微量セル内の温度を測定し、前記キャピラリーホルダ内の温度と前記微量セル内の温度との相関関係により校正曲線を作成し、該校正曲線を用いて前記キャピラリーホルダ内の温度を前記微量セル内の温度に校正することを特徴とする温度校正方法。

請求項2

請求項1の方法において、多項式変数に前記キャピラリーホルダ内の温度を変化させたときの温度を従属変数とし、温度と前記スペクトルとを関連付ける特性値独立変数としてそれぞれ代入し、前記多項式の各項の係数を調整して前記校正曲線に近似させることにより校正式を得て、該校正式を用いて前記キャピラリーホルダ内の温度を前記微量セル内の温度に校正することを特徴とする温度校正方法。

請求項3

請求項1の方法において、温度センサーが挿入可能な光学セル内に前記サーモクロミズム特性を示す試料を入れてスペクトル測定し、サーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルの所定の波長又は波数範囲ベースラインを設定し、所定の間隔で該スペクトルから該ベースラインを差し引くことによりスペクトル値を得て、これらのスペクトル値列を主成分分析し、主成分スコアを計算して前記スペクトルの特性値としており、前記サーモクロミズム特性を示す試料の温度を複数回変化させ、前記サーモクロミズム特性を示す試料の温度を変える毎に同様の手順により主成分スコアを計算して特性値を計算し、検量線を表示するためのX−Y平面上の一つの軸をサーモクロミズム特性を示す試料の温度とし、もう一つの軸を対応する主成分スコアとしてプロットすることにより検量線を得て、該検量線を用いてサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルからサーモクロミズム特性を示す試料の温度を測定することを特徴とする温度校正方法。

請求項4

請求項3の方法において、多項式の変数に前記容器内の温度を変化させたときの温度を従属変数とし、主成分スコアを独立変数としてそれぞれ代入し、前記多項式の各項の係数を調整して前記検量線に近似させることにより検量式を得て、該検量式を用いてサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルからサーモクロミズム特性を示す試料の温度を測定することを特徴とする温度校正方法。

技術分野

0001

本発明はキャピラリーセル内の測定対象試料温度校正方法、特に、容積が小さく温度センサーの挿入不能なキャピラリーセル内の測定対象試料の温度を、キャピラリーホルダ内の温度を校正することにより求める方法に関する。

背景技術

0002

分光光度計を用いた測定方法温度変化測定、温度変化スペクトル測定と呼ばれている測定方法がある。この測定方法は、測定対象試料の温度を変化させながら、その吸光度あるいは吸収スペクトルを測定し、温度変化によって引き起こされる平衡状態の変化、構造の変化、あるいは電子状態の変化を調べる目的で実施されている。特に、DNAやタンパク質などの生体機能性高分子については、温度の上昇によってDNA鎖二重らせん構造がとけるDNAメルティングやタンパク質の熱変性解析する研究目的のために広く行われている。

0003

通常、この測定のためには分光光度計に付属品としてペルチェ恒温セルホルダを組み合わせた装置が用いられる。ペルチェ恒温セルホルダはセル内の測定対象試料の温度を変化させ、温度を変化させた後も測定対象試料の温度を一定に保つことができる。測定の際は測定対象試料を角セルに入れてこのペルチェ恒温セルホルダにセットし、その中に温度センサープローブ(以下、温度センサー)を入れて、測定対象試料の温度を直接測定しながら吸光度や吸収スペクトルを測定し、温度と吸光度あるいは温度と吸収スペクトルを測定し、温度と吸光度あるいは温度と吸収スペクトルを対にして取得する。この装置においては、測定対象試料の温度は測定対象試料の中に浸した温度センサーによって実測されるので、その正確さは温度センサーの校正のレベル保証される。

0004

ところが、測定対象試料のDNAやタンパク質は、一般的には量を確保することが非常に困難である。これらの微小量しか確保できない測定対象試料について吸光度や吸収スペクトルだけを測定する場合には、内容積数十から十数μlのミクロセル微量セル)を用いることが極めて多い。そして、さらに微量の測定対象試料で測定ができるように工夫されたのが、内径1mm以下の細い石英管試料容器として利用するキャピラリーセル測定である。キャピラリーセルは形状が円筒であるため照射位置が異なると光路長が変化し、得られた吸光度に不確かさが含まれるものの、検量線を用いた定量やスペクトルの形状を見るだけの分析には十分実用に耐えると評価されている。

0005

このキャピラリーセルを温度変化測定や温度変化スペクトル測定にも利用することが求められている。そのために、角セルと同じ外形寸法を持ち、真中にキャピラリーセルを差し込んで固定する円筒形の穴を開け、さらにそのキャピラリーセルに測定光を通す光の通路を形成したキャピラリーホルダを作り、測定対象試料をキャピラリーセルの中に入れ、それをキャピラリーホルダに入れ、それをペルチェ恒温セルホルダにセットして測定を行うことが考えられる。

0006

しかし、この装置ではキャピラリーセル内の温度を正確に測れないという重大な問題がある。通常温度を正確に測るためには、温度センサープローブをその測定対象試料の中に入れることが必要である。ところが、小さな内容積のセルの中の測定対象試料に測定光を邪魔しないようにプローブを差し込むことは非常に困難である。また、それにもまして内径1mm以下の細い管の中の測定対象試料にプローブを差し込むこと自体不可能である。
そのため、温度センサーをキャピラリーセルに差し込むことなくキャピラリーセル内の温度測定をしなくてはならない。

0007

その代案として、キャピラリーホルダに温度センサーを差し込んでキャピラリーホルダの温度を測定し、それをもって測定対象試料の温度とみなす、あるいはそのキャピラリーホルダの温度から測定対象試料の温度を見積もるという方法をとることが考えられる。

0008

そこで、発明者らは前者の方法でラムダファージのDNAのメルティング測定を行った。
角セルを使った測定ではメルティング温度が89.07℃と得られたが、キャピラリーセルで行った測定では、91.72℃となり、2.65℃の食い違いが生じた。これはキャピラリーセル内の温度がキャピラリーホルダ内の温度と一致していないことを示している。この偏りは、キャピラリーセルが石英製で温度が伝わりにくいためキャピラリーホルダの温度がキャピラリーセルに十分伝わりきれないか、あるいはキャピラリーセルの形状が非常に細い円筒状の形状であるため周囲の空気の影響を受けやすく、温度が伝わる過程で変わってしまったことなどによる系統誤差である。

0009

また、後者の方法として、この誤差は温度に依存することから、このメルティング測定で得られた2.65℃の偏りを補正値として使ってキャピラリーセルの温度に補正することも考えられるが十分な正確さが得られないので適切ではない。また、キャピラリーセルの位置に別の温度センサーを置き、キャピラリーホルダの温度を変えながら、キャピラリーセルの位置とキャピラリーホルダの両方の温度を同時に測定し、それらの間の関係を求めるという補正方法も考えられるが、そのような温度センサーとキャピラリーセルでは熱容量など熱的な特性が異なるために、この方法ではキャピラリーセルの温度の正確な測定が期待できない。

0010

このような事情があって、どうしても温度を正確に測りたいという場合には、角セルで測るために必要となる量の測定対象試料を確保するために多大な努力がなされていた。また、十分な測定対象試料が確保できない場合には、温度の不確かさを無視して他の測定対象試料を用いて相対的に解析することが行われていた。

0011

そこで、キャピラリーセルなどの容積が小さく温度センサーを挿入することのできない微量セルの中に温度センサーを差し込むことなく、微量セル内の測定対象試料の温度を正確に測定することのできる測定方法が求められている。

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は温度センサーを微量セル内に差し込むことなく微量セル内の測定対象試料の温度を正確に測定するため、精度の高い方法で微量セルが差し込まれたキャピラリーホルダ内の温度を校正することにより微量セル内の温度を求める方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、キャピラリーセル等の微量セルの中の温度を測定するために、サーモクロミズム特性を示す試料を使うことを考案した。この試料は温度によって色が変化するので、これを微量セル内に入れて試料の色変化を観察することにした。サーモクロミズム特性を示す試料による色彩の変化をスペクトルとして測定し、得られたスペクトルを分析することにより微量セル内の温度を測定することができる。

0014

微量セルとしてキャピラリーセルを使用する場合は、例えば、図1のように10mmの角セルと同じ外形寸法を持ち、真中にキャピラリーセルを挿入できる構造を持たせたキャピラリーホルダを用いる。このキャピラリーホルダ12をペルチェ恒温セルホルダの角セルの位置に入れ、キャピラリーホルダ12にキャピラリーセル10を嵌入し、温度センサーはキャピラリーホルダ12に設けた穴14に嵌入する。このようにすることにより、キャピラリーセルと温度センサーはキャピラリーホルダにより固定され、キャピラリーセル10内の温度はキャピラリーホルダ12に取り付けたセンサープローブにより間接的にモニタされる。
そして、キャピラリーホルダの温度を徐々に変化させていき、そのつど、本発明に係る測定方法を用いてキャピラリーセル(微量セル)内の温度を測定し、キャピラリーホルダ内の温度とキャピラリーセル内の温度とを、温度及び測定値(吸光度)を軸としたX−Y平面上にプロットしていくことにより校正曲線が得られる。この校正曲線を利用すれば、キャピラリーホルダ内の温度を校正し、キャピラリーセル内の温度を求めることができる。

0015

すなわち、請求項1に記載されているように、本発明に係る温度校正方法は、以下のように行われる。
容積が小さく直接容器内に温度センサーが挿入不能な微量セルと、該微量セル及び温度センサーを固定するキャピラリーホルダと、該キャピラリーホルダ内の温度を計測する温度センサーとを内部に含んだ試料室を備えた測定装置を用いた温度校正方法において、
前記微量セル内に温度変化に伴い色彩が変化するサーモクロミズム特性を示す試料を入れ、前記キャピラリーホルダ内の温度を複数回変化させ、温度を変化させる毎に該サーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルを測定して該スペクトルを分析することにより前記微量セル内の温度を測定し、
前記キャピラリーホルダ内の温度と前記微量セル内の温度との相関関係により校正曲線を作成し、該校正曲線を用いて前記キャピラリーホルダ内の温度を前記微量セル内の温度に校正することを特徴としている。

0016

また、キャピラリーホルダ内の温度を微量セル内の温度に校正するときに、計算処理により自動で校正を行うためには、キャピラリーホルダ内の温度から微量セル内の温度を計算するための校正式を求める必要がある。そのために、本発明に係る方法により作成された校正曲線を表示し、それと同時に多項式表現される曲線を多項式の係数を調整することにより校正曲線にフィッティングし、多項式を校正曲線に近似することにより係数を求める。

0017

すなわち、請求項2に記載されているように、本発明に係る温度校正方法は、
多項式の変数に前記キャピラリーホルダ内の温度を変化させたときの温度を従属変数とし、温度と前記スペクトルとを関連付ける特性値独立変数としてそれぞれ代入し、
前記多項式の各項の係数を調整して前記校正曲線に近似させることにより校正式を得て、該校正式を用いて前記キャピラリーホルダ内の温度を前記微量セル内の温度に校正するのが好適である。

0018

本発明はサーモクロミズム特性を示す試料を分光学的に分析することにより微量セル内の温度を測定している。サーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルを温度に関連付けるためにスペクトルの特性値を計算することにした。この特性値はスペクトルの形状を反映したものとしなくてはならない。
特性値の算出方法としては、例えば、スペクトルの所定の波長範囲ベースラインを設定し、所定の波長間隔でスペクトルからベースラインを差し引くことによりスペクトルの数値データを得る。これらのスペクトル値列を主成分分析し、固有ベクトルと各ベクトルとの内積により主成分スコアを計算してそれを特性値として設定する。そして、この特性値とサーモクロミズム特性を示す試料の温度をプロットすることにより検量線を得る。

0019

すなわち、請求項3に記載されているように、本発明に係る温度校正方法は、
温度センサーが挿入可能な光学セル内に前記サーモクロミズム特性を示す試料を入れてスペクトル測定し、
サーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルの所定の波長又は波数範囲にベースラインを設定し、所定の間隔で該スペクトルから該ベースラインを差し引くことによりスペクトル値を得て、これらのスペクトル値列を主成分分析し、主成分スコアを計算して前記スペクトルの特性値としており、
前記サーモクロミズム特性を示す試料の温度を複数回変化させ、前記サーモクロミズム特性を示す試料の温度を変える毎に同様の手順により主成分スコアを計算して特性値を計算し、検量線を表示するためのX−Y平面上の一つの軸をサーモクロミズム特性を示す試料の温度とし、もう一つの軸を対応する主成分スコアとしてプロットすることにより検量線を得て、該検量線を用いてサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルからサーモクロミズム特性を示す試料の温度を測定するのが好適である。

0020

また、計算処理により自動でこの特性値から温度を知るためには、この検量線を表示し、それに多項式の係数を調整することにより近似させた検量式を求めておくことが必要となる。

0021

すなわち、請求項4に記載されているように、本発明に係る温度校正方法は、
多項式の変数に前記容器内の温度を変化させたときの温度を従属変数とし、主成分スコアを独立変数としてそれぞれ代入し、
前記多項式の各項の係数を調整して前記検量線に近似させることにより検量式を得て、該検量式を用いてサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルからサーモクロミズム特性を示す試料の温度を測定するのが好適である。

発明の効果

0022

本発明によって、分光学的な測定を実施している最中に実施できなかった微小なセル内の温度が、校正によって正確に知ることができるようになり、数ulの極めて微量な測定対象試料量で正確な温度変化測定、温度変化スペクトル測定ができるようになった。これによって微量の測定対象試料量しか確保できないDNAやタンパク質などの生体機能性高分子の正確なメルティング測定や熱変性解析が可能になった。

0023

また、スペクトルから得られるベクトル等の値を主成分分析し、温度とサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルとを関連付ける特性値を主成分スコアとしたことによりスペクトルの特徴が適切に反映されるので、スペクトルの温度以外が原因となる変動・偏りは排除され、サーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルから算出される微量セル内の温度の精度についての信頼性を高めている。

0024

また、特性値(主成分スコア)とサーモクロミズムを示す試料の温度の関係を表した検量線と、ホルダ内の温度と微量セル内の温度の関係を表した校正曲線を、それぞれ多項式の係数を調整することによりフィッティングして近似したものを検量式・校正式としたので、この検量式・校正式を使うことにより自動で計算処理することが可能となり、読み取り誤差をなくすことができる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の方法を用いた光学的装置の構成を示した全体図である。
塩化コバルト水溶液の温度を20℃と100℃としたときのスペクトルをそれぞれ示した図である。
塩化コバルト水溶液の温度を20℃と100℃としたときの解析用データ点列を設定したときの操作の様子を示した説明図である。
解析用のデータ点列(スペクトルとベースラインの差分)に主成分分析を適用し、第1主軸をX軸、第2主軸をY軸にとって各データをプロットしたときの図である。
スペクトルの特性値と温度の関係を示す検量線を示した図である。
検量線について5次式を当てはめた場合の各項の係数を示した図である。
キャピラリーホルダ内の温度からキャピラリーセル内の温度に校正する校正曲線を示した図である。
校正曲線について5次式を当てはめた場合の各項の係数を示した図である。
本発明に係る方法の処理フローを示した図である。

実施例

0026

以下、キャピラリーセル内の温度を測定するためにキャピラリーセル内にサーモクロミズム特性を示す試料として塩化コバルト液体温度計として使用し、本発明の方法により検量式を求めた。
なお、塩化コバルトは2つの化学種の間の化学平衡の移動によってスペクトルが変化する性質を持ち、肉眼では室温付近では赤色、高温では青色を示す。

0027

(光学的装置の構成)
本発明の方法を用いた光学的装置の構成について説明する。
本発明の方法を用いた光学的装置は、試料室内図1に示された細い円筒状の容器であるキャピラリーセル10と、キャピラリーセル10と温度センサーとを固定するキャピラリーホルダ12と、温度センサーを挿入するための温度センサー用挿入口14と、キャピラリーセル10内の塩化コバルトへ光源からの光を透過させるための光路上に設けられた光路窓16とを備える。

0028

(スペクトル測定)
次に塩化コバルト水溶液の吸収スペクトルの測定について説明する。0.1molの硫酸コバルトと4.5molの塩化ナトリウムを含む1Lの水溶液を調整し、これを石英製の2mmの角セルに入れ、分光光度計+ペルチェ恒温セルホルダの装置にセットし、20℃から110℃まで0.5℃/分の速さで温度を上げながら1℃ごとに可視部の吸収スペクトルを測定した。
このとき塩化コバルト水溶液の温度を角セル内に温度センサーを入れて測定した。得られた91本のスペクトルのうち、20℃と100℃のものを図2に示した。温度が変化することによりスペクトルの形状と大きさが顕著に変化していることがわかる。

0029

(特性値の算出)
次にこれらのスペクトルを温度と関連づけるための、スペクトルの「特性値」を計算した。特性値としてはスペクトルの特徴を反映し、温度と関連づけられるものなら様々な方法で算出することができる。例えば、短波長側(例えば500nm付近)と長波長側(680nm付近)のピーク比、短波長側(例えば500nm付近)と長波長側(680nm付近)の面積比スペクトル面積、スペクトルの重心波長などが考えられる。ただし、スペクトルには温度とは直接関係していない変動、偏りなども含まれる可能性があり、特性値の選び方によっては信頼性に差が生じる。また、変動、偏りとして、スペクトルのベースラインの変動、水溶液の濃度の変化に起因する大きさの変動などが考えられる。

0030

特性値に極力温度と関係のない変動や偏りが含まれないよう、特性値を以下の方法により算出した。
各スペクトルで410nmと780nmを直線で結んでベースラインとして差引き、ついで450nmから700nmまでを5nm毎に平均し、できた51個のスペクトルデータに対して51/(データ値の総和)をかけて規格化して解析用のデータ点列とした。この操作の様子を図3に示した。上図が20℃の場合で、下図が100℃の場合を示している。

0031

こうして作成された各温度に対応する91個のスペクトル値に主成分分析を適用した。第1主軸をX軸、第2主軸をY軸にとって各データをプロットすると図4のようになる。X軸方向に広く分布しているので、ほとんどの場合第1主成分だけで温度が説明できることが図より確認できる。

0032

(検量線の作成)
そこで、第1主成分の固有ベクトルと各ベクトルとの内積により主成分スコアを計算し、これを特性値とすることにした。この主成分スコアと実測の温度に対してプロットしたものが、スペクトルと温度の関係を示した検量線となる。このときの検量線を図5に示した。

0033

(検量式の算出)
この検量線を使うと、塩化コバルト水溶液のスペクトルからその温度を求めることができる。ただし、毎回図から温度を読み取るのは面倒で手間がかかり、読み取り誤差が含まれることもあるので、多項式でフィッティングし、コンピュータ上で計算できるようにした。多項式としては5次式程度が好適である。図5の検量線について5次式を当てはめた場合の各項の係数を図6に示した。

0034

(校正曲線の作成)
次に、キャピラリーホルダの温度からキャピラリーセル内の温度に換算する校正曲線を作成する。そのためにキャピラリーセルに全く同じ塩化コバルト水溶液を入れ、同じ測定をした。このとき温度センサーはキャピラリーホルダに取付け、その温度を測定する。また、得られた各温度でのスペクトルに検量線を作成したときと同様の操作をおこない、ベクトルを取り出した。それらと第1主成分の固有ベクトルとの内積をとって主成分スコアを算出した。そして、この主成分スコアを検量式に代入して温度を算出した。このようにして算出されたキャピラリーセル内の温度と、そのときのキャピラリーホルダ内の温度とをそれぞれ軸としてX−Y平面上にプロットすることにより、キャピラリーホルダの温度からキャピラリーセル内の温度に校正する校正曲線が作成される。そのときの校正曲線を図7に示した。

0035

(校正式の算出)
毎回図から温度を読み取るのは面倒で手間がかかり、読み取り誤差が含まれることもあるので、検量式と同様に多項式でフィッティングし、コンピュータ上で計算できるようにした。こちらも多項式としては5次程度が好適である。
図7の校正曲線について5次式を当てはめた場合の各項の係数を図8に示した。

0036

(本発明に係る方法の処理フロー)
図9に本発明に係る方法の処理フローを示した。
本発明の方法における処理フローは大きく分けて2つに分けられる。角セルでの測定ではサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルと角セル内の温度との関係から検量線(検量式)が求められる。
また、キャピラリーセルでの測定では作成された検量線(検量式)を用いて、ホルダ内の温度とキャピラリーセル内の温度との関係を示す校正曲線(校正式)が求められる。

0037

角セルでの測定では、角セル内の温度(T1、T2・・・)を変化させていき(S10)、その温度毎にサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルが作成される(S12)。スペクトルの特徴を表すものとして、例えば、ある波長の吸光度(Abs)や2波長のAbs比等を主成分分析して、主成分スコアを特性値(A1、A2・・・)として算出する(S14、S16)。そして、キャピラリーセル内の温度と主成分スコアとの値をX−Y平面上にプロットし検量線とする(S18)。

0038

キャピラリーセル内の測定では、キャピラリーホルダ内の温度(T1、T2・・・)を変化させていき(S20)、その温度毎にキャピラリーセルのサーモクロミズム特性を示す試料のスペクトルが作成される(S22)。角セルでの測定と同様の手順で特性値(A1、A2・・・)を算出し(S24)、検量線(検量式)を用いることによりキャピラリーセル内の温度(T01、T02・・・)を求める(S26)。キャピラリーセル内の温度とキャピラリーホルダ内の温度とをプロットすることにより、両者の関係を示した校正曲線(校正式)とする。

0039

10・・・キャピラリーセル
12・・・キャピラリーホルダ
14・・・温度センサー用挿入口
16・・・光路窓
18a、18b・・・レンズ

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