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図面 (6)

課題

うつを含む精神状態治療のための新しくかつ効果的な薬物療法を提供する。

解決手段

優先ムスカリンアセチルコリン受容体M1拮抗剤を、所望により選択的ムスカリンアセチルコリンM1拮抗剤以外の少なくとも1つの抗うつ剤とともに投与することにより、精神疾患および状態を治療する。少なくとも1つの選択的ムスカリンアセチルコリン受容体M1拮抗剤を選択的ムスカリンアセチルコリンM1拮抗剤以外の少なくとも1つの抗うつ剤と組み合わせて投与するための医薬組成物およびキット

概要

背景

神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)は、エフェクター細胞膜において2種類の受容体リガンド開口型イオンチャネルであるニコチン受容体(nAChR)およびGタンパク質共役型受容体であるムスカリン性受容体(mAChR)と相互作用する。哺乳動物において、M1〜M5とよばれる5つのmAChRのサブタイプが同定されている。M1ムスカリン性受容体(M1R)は、中枢神経系および末梢神経系の両方、特に大脳皮質交感神経節で見出されている。M1Rにより媒介されるムスカリンの影響は、M1R選択的拮抗剤の使用、およびより最近ではM1Rヌルマウスの開発により広く研究されている。

現在知られているmAChR拮抗剤は、単独のムスカリン性受容体サブタイプに絶対的選択性を示さないが、薬物ピレンゼピンおよびテレンゼピンは、M1Rに対して高い相対的親和性を示し、よって、M1R選択的であるとしばしばみなされる。ピレンゼピンは、欧州、日本およびカナダ消化性潰瘍疾患治療に用いられている。テレンゼピンは、同じ適応症について臨床試験されている。治療用量では、これらは非選択的mAChR拮抗剤が行うのと同様に、平滑筋活性阻害することなく胃酸およびペプシン分泌を穏やかに低下させる。

M1Rサブタイプが、うつ病障害および不安症のある状況に関与し得ることを示唆するいくつかの証拠が存在する。ラット前脳側坐核へのピレンゼピンの直接注入により、抗うつ活性の一般的な指標であるポーソルト水泳試験での水泳時間が増加した(非特許文献1を参照されたい)。M1Rヌルマウスも、ポーソルト水泳試験での水泳時間の増加、ならびに社会的相互行為試験での社会的接触の増加を示した(非特許文献2を参照されたい)。

ピレンゼピンおよびテレンゼピンは、イミプラミンのような三環系抗うつ剤構造的に類似するが、消化性潰瘍疾患の治療のために経口摂取した場合に向精神性の効果を有することは知られていない。さらに、マウスおよびラットの以前の研究では、全身投与されたピレンゼピンは、いずれの行動上の効果も惹起できなかった(非特許文献3を参照されたい)。このような効果の欠如は、ピレンゼピンが、げっ歯類およびヒトを含む種々の種において血液脳関門の著しい浸透を示さないという知見により説明できる(非特許文献4;非特許文献5を参照されたい)。この理由から、ポーソルト水泳試験におけるピレンゼピンの効果についての上記の研究では、試験動物の脳への薬物の直接注入を用いた。

概要

うつを含む精神状態の治療のための新しくかつ効果的な薬物療法を提供する。優先的ムスカリンアセチルコリン受容体M1拮抗剤を、所望により選択的ムスカリンアセチルコリンM1拮抗剤以外の少なくとも1つの抗うつ剤とともに投与することにより、精神疾患および状態を治療する。少なくとも1つの選択的ムスカリンアセチルコリン受容体M1拮抗剤を選択的ムスカリンアセチルコリンM1拮抗剤以外の少なくとも1つの抗うつ剤と組み合わせて投与するための医薬組成物およびキット。なし

目的

本発明は、1つまたは複数のムスカリン性M1受容体(M1R選択的)拮抗剤の治療有効量を全身投与することにより、うつを含む種々の精神障害を治療する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

明細書中に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、2006年6月16日に出願された米国仮出願第60/805,066号および2006年10月12日に出願された米国仮出願第60/829,225号(これらの両方の全体の開示は、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。

0002

連邦政府支援する研究開発の下で行われた発明に対する権利についての陳述
該当せず
発明の分野
本発明は、選択的M1ムスカリン性受容体(M1R)拮抗剤の単独または抗うつ剤と組み合わせての投与による、うつを含む精神障害治療に関する。

背景技術

0003

神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)は、エフェクター細胞膜において2種類の受容体リガンド開口型イオンチャネルであるニコチン受容体(nAChR)およびGタンパク質共役型受容体であるムスカリン性受容体(mAChR)と相互作用する。哺乳動物において、M1〜M5とよばれる5つのmAChRのサブタイプが同定されている。M1ムスカリン性受容体(M1R)は、中枢神経系および末梢神経系の両方、特に大脳皮質交感神経節で見出されている。M1Rにより媒介されるムスカリンの影響は、M1R選択的拮抗剤の使用、およびより最近ではM1Rヌルマウスの開発により広く研究されている。

0004

現在知られているmAChR拮抗剤は、単独のムスカリン性受容体サブタイプに絶対的選択性を示さないが、薬物ピレンゼピンおよびテレンゼピンは、M1Rに対して高い相対的親和性を示し、よって、M1R選択的であるとしばしばみなされる。ピレンゼピンは、欧州、日本およびカナダ消化性潰瘍疾患の治療に用いられている。テレンゼピンは、同じ適応症について臨床試験されている。治療用量では、これらは非選択的mAChR拮抗剤が行うのと同様に、平滑筋活性阻害することなく胃酸およびペプシン分泌を穏やかに低下させる。

0005

M1Rサブタイプが、うつ病障害および不安症のある状況に関与し得ることを示唆するいくつかの証拠が存在する。ラット前脳側坐核へのピレンゼピンの直接注入により、抗うつ活性の一般的な指標であるポーソルト水泳試験での水泳時間が増加した(非特許文献1を参照されたい)。M1Rヌルマウスも、ポーソルト水泳試験での水泳時間の増加、ならびに社会的相互行為試験での社会的接触の増加を示した(非特許文献2を参照されたい)。

0006

ピレンゼピンおよびテレンゼピンは、イミプラミンのような三環系抗うつ剤構造的に類似するが、消化性潰瘍疾患の治療のために経口摂取した場合に向精神性の効果を有することは知られていない。さらに、マウスおよびラットの以前の研究では、全身投与されたピレンゼピンは、いずれの行動上の効果も惹起できなかった(非特許文献3を参照されたい)。このような効果の欠如は、ピレンゼピンが、げっ歯類およびヒトを含む種々の種において血液脳関門の著しい浸透を示さないという知見により説明できる(非特許文献4;非特許文献5を参照されたい)。この理由から、ポーソルト水泳試験におけるピレンゼピンの効果についての上記の研究では、試験動物の脳への薬物の直接注入を用いた。

先行技術

0007

Chau,D.T.ら、Neuroscience、2001年、104巻、3号、791〜8頁
Miyakawa,T.ら、J.Neurosci.、2001年、21巻、14号、5239〜50頁
Rogoz,Z.、Skuza,G.、Sowinska,H.、Pol.J.Pharmacol.Pharm.、1981年、第31巻、615〜26頁
Hammer,R.、Koss,F.W.、Scand.J.Gastroenterol,Suppl.、1979年、14巻、57号、1〜6頁
Bymaster,F.P.ら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1993年、267巻、1号、16〜24頁

発明が解決しようとする課題

0008

うつを含む精神状態の治療のための新しくかつ効果的な薬物療法が必要である。本発明は、この必要性およびその他の必要性に取り組むものである。

課題を解決するための手段

0009

発明の要旨
本発明は、1つまたは複数のムスカリン性M1受容体(M1R選択的)拮抗剤の治療有効量を全身投与することにより、うつを含む種々の精神障害を治療する方法を提供する。本発明の方法を実施する際に、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、その他の薬剤を伴わずに、またはその他の薬剤、例えばM1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤と組み合わせて投与できる。

0010

よって、第1の態様において、本発明は、必要とする個体に1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量を全身投与することにより、1つまたは複数の精神状態または障害を治療する方法を提供し、それによって、1つまたは複数の精神状態が治療される。

0011

関連する態様において、本発明は、必要とする個体に、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤とM1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤との組合せの治療有効量を投与することにより、1つまたは複数の精神状態または障害を治療する方法を提供し、それによって、1つまたは複数の精神状態が治療される。

0012

一実施形態において、精神障害は情動障害である。一実施形態において、精神状態はうつである。一実施形態において、精神状態は、うつ、不安症、社会的不安障害、広所恐怖症強迫性障害心的外傷後ストレス障害、身体醜形障害、月経前気分不快障害、ならびに物質乱用および/または依存症からなる群より選択される。

0013

別の態様において、本発明は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量と、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤の治療有効量との混合物を含む医薬組成物を提供する。

0014

別の態様において、本発明は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量と、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤の治療有効量との混合物を含むキットを提供する。

0015

本方法の実施、ならびに医薬組成物およびキットのための実施形態に関して、一実施形態では、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、ピレンゼピン、テレンゼピンおよびそれらの組合せからなる群より選択される。一実施形態において、M1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)である。一実施形態において、M1R選択的拮抗剤は、ピレンゼピンである。

0016

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、第2の薬剤を伴わずに投与される。

0017

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤と組み合わせて投与されるか、または組み合わされる。一実施形態において、抗うつ剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤SSRI)および選択的セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)からなる群より選択される。

0018

一実施形態において、抗うつ剤はSSRIである。一実施形態において、SSRIは、シタロプラムエスシタロプラムフルオキセチンフルボキサミンパロキセチンおよびセルトラリンからなる群より選択される。一実施形態において、SSRIは、シタロプラム、セルトラリン、パロキセチンおよびフルオキセチンからなる群より選択される。

0019

一実施形態において、抗うつ剤はSNRIである。一実施形態において、SNRIは、ミルナシプランミルタザピンベンラファキシンデュロキセチンデスベンラファキシンおよびシブトラミンからなる群より選択される。一実施形態において、SNRIはベンラファキシンである。

0020

有効な結果は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の定期的投与を行わずに達成できる。抗うつ剤を含む同時投与される活性作用物質も、定期的投与を行わずに有効な結果をもたらす。

0021

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、フルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)である。

0022

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、フルボキサミンである。

0023

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、セルトラリンまたはそのS−鏡像異性体であるZoloft(登録商標)である。

0024

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、シタロプラム(またはエスシタロプラム)である。

0025

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、パロキセチンである。

0026

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、ベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)である。

0027

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、デスベンラファキシンである。

0028

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、デュロキセチンである。

0029

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、シブトラミンである。

0030

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、ミルナシプランである。

0031

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、ミルタザピンである。

0032

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン(ラセミまたは光学異性体)であり、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤は、ブプロピオンである。

0033

関連する態様において、本発明は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量を含有する、1つまたは複数の精神状態を治療するための医薬品の製造方法または使用を提供する。該医薬品は、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤も所望により含有できる。医薬品についての実施形態は、本明細書に記載されるとおりである。

0034

いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、本明細書に記載される薬剤の組合せを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、本明細書に記載される薬剤の組合せから本質的になる。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
うつの症状を低下させるための方法であって、それを必要とする個体に、テレンゼピンの治療有効量と、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)および選択的セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)からなる群より選択される抗うつ剤の治療有効量とを全身投与して、うつの症状を低下させることを含む、方法。
(項目2)
上記テレンゼピンが全身投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記抗うつ剤がSSRIである、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記SSRIが、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンからなる群より選択される、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記SSRIがフルオキセチンである、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記SSRIがセルトラリンである、項目4に記載の方法。
(項目7)
上記抗うつ剤がSNRIである、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記SNRIが、ミルナシプラン、ミルタザピン、ベンラファキシン、デュロキセチン、デスベンラファキシンおよびシブトラミンからなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
上記SNRIがベンラファキシンである、項目8に記載の方法。
(項目10)
1つまたは複数の精神状態を治療するための方法であって、それを必要とする個体に、1つまたは複数の選択的ムスカリン性M1受容体(M1R選択的)拮抗剤の治療有効量を全身投与することを含み、それによって該1つまたは複数の精神状態が治療される、方法。
(項目11)
上記1つまたは複数の精神状態が情動障害である、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記情動障害がうつである、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤が、ピレンゼピン、テレンゼピンおよびそれらの組合せからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目14)
M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤の投与をさらに含む項目10に記載の方法。
(項目15)
1つまたは複数の精神状態を治療するための方法であって、それを必要とする個体に、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤との組合せの治療有効量を投与することを含み、それによって該1つまたは複数の精神状態が治療される方法。
(項目16)
上記1つまたは複数の精神状態が情動障害である、項目15に記載の方法。
(項目17)
上記情動障害がうつである、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤が、ピレンゼピン、テレンゼピンおよびそれらの組合せからなる群より選択される、項目15に記載の方法。
(項目19)
上記M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤が、三環系抗うつ剤およびその類似体セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン再取り込み促進剤、セロトニン作動薬およびそのプロドラッグモノアミンオキシダーゼ阻害剤、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、項目15に記載の方法。
(項目20)
1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量と、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤の治療有効量との混合物を含む、医薬組成物。
(項目21)
上記1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤がテレンゼピンであり、上記M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤がフルオキセチンである、項目20に記載の医薬組成物。
(項目22)
上記1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤がテレンゼピンであり、上記M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤がセルトラリンである、項目20に記載の医薬組成物。
(項目23)
上記1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤がテレンゼピンであり、上記M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤がベンラファキシンである、項目20に記載の医薬組成物。
(項目24)
1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量と、M1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤の治療有効量との組合せを含むキット。

0035

定義
「精神障害」または「精神状態」の用語は、相互交換可能に、思考もしくは感情の障害、または人間の思考、感情、気分および他人と関係する能力破壊をもたらす脳の障害のことをいう。精神障害または精神状態は、例えば怒り、悲嘆、恐れ、不安、またはその他の社会病質行動の不適切なまたは誘因のない発現として表れ得る。精神障害の例示的なカテゴリーは、限定されないが、情動障害、不安障害、認知障害衝動制御障害、物質乱用/依存症、注意欠陥多動性障害摂食障害運動障害および性機能障害を含む。本発明の方法および組成物により治療可能である例示的な精神状態は、限定されないが、うつ、不安症、社会的不安障害、広所恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、身体醜形障害、月経前気分不快障害および物質乱用/依存症を含む。精神障害は、例えば、HalginおよびWhitbourne、Abnormal Psychology: Clinical Perspectives On Psycological Disorders、第4版、2005年、McGraw−Hill College;BarlowおよびAntony、Handbook of Assessment and Treatment Planning for Psycological Disorders、2002年、Guilford Press;ClaridgeおよびDavis、Personality and Psycological Disorders、2003年、Oxford Univ Pr;ならびにClinical Handbook of Psycological Disorders: A Step−by−Step Treatment Manual、Barlow編、2001年、Guilford Pressに記載されている。認識されている精神障害の診断基準は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSMIV、2000年、American Psychiatric Association)を参照にして行い得る。

0036

「情動障害」の用語は、気分の任意の障害のことをいう。情動障害は、うつ、躁病双極性障害季節性情動障害、不安症、パニックを含む。例えばPaykel、Handbook of Affective Disorders、1992年、Longman Group Ltdを参照されたい。

0037

「うつ」の用語は、当該技術において認められている意味と同じ臨床症候群のことをいう(例えば、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版、改訂版[DSM−IV−TR];American Psychiatric Association、2000年;American Psychiatric Publishing,Inc.、バージニア州アーリントンを参照されたい)。うつの症状は、限定されないが、持続性悲嘆、悲観、絶望、無力感無益感、気分の変化、激越、短気、情動不安、以前に享楽した行動への興味または快感喪失、死または自殺の思考、集中または決定の不能、精神的緩慢さ、疲労、エネルギー減少、不眠または過剰睡眠食欲の喪失または過食体重減少または体重増加、持続性頭痛または消化障害慢性疼痛、およびホルモン性異常日周期リズムを含む。

0038

物質依存症」の用語は、当業者に一般的に理解される意味のとおりに用いられる。例えば、国際疾病分類による「物質依存症」の臨床的診断は、個体が前年の間に時々、以下の3つ以上を経験または発現することを必要とする:(1)物質摂取の開始、終了または使用レベルの点での物質摂取行動の制御の困難性;(2)物質の摂取に対する強い欲望または強迫観念;(3)精神活性物質の使用、物質の取得もしくは摂取またはその影響からの回復に必要な時間の増加を原因とする他の快感または興味の進行性の軽視;(4)明白に有害な結果の明確な結果、重度の使用の結果としての憂うつ気分、または薬物に関連する認知機能の障害にもかかわらない物質使用への固執;(5)より低い用量で元来得られていた効果を達成するために必要な精神活性作用物質の用量が増加するような、耐性の証拠;(6)物質への特徴的な禁断症候群、または禁断症候群からの開放または回避を意図する同じ(または近縁の)物質の使用により証明されるような、物質の使用の停止または低減時の心理的禁断状態。物質乱用についてのさらなる情報は、例えば国立薬物乱用研究所(NIDA)のnida.nih.govのウェブサイトで見出し得る。

0039

本明細書で用いる場合、「投与する」とは、経口(「po」)投与、坐剤としての投与、局所的接触、静脈内(「iv」)、腹腔内(「ip」)、筋肉内(「im」)、病巣内鼻腔内もしくは皮下(「sc」)投与、または例えば小型浸透圧ポンプのような遅延放出デバイスの対象への移植を意味する。投与は、非経口または経粘膜(例えば経口、直腸、または経皮)を含む任意の経路により行われる。非経口投与は、例えば静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、および頭蓋内を含む。他の送達の様式は、限定されないが、リポソーム製剤の使用、静脈内注入経皮パッチなどを含む。

0040

「全身投与」および「全身投与された」の用語は、循環系を介して、医薬的作用の標的部位を含む体内の部位に送達されるように哺乳動物に化合物または組成物を投与する方法のことをいう。全身投与は、限定されないが、経口、鼻腔内、直腸および非経口(すなわち筋肉内、静脈内、動脈内、経皮および皮下のような消化管を通る以外)の投与を含むが、但し、本明細書で用いる場合、全身投与は、くも膜下腔内注射および頭蓋内投与のような、循環系を介する以外の方法による脳領域への直接投与は含まない。

0041

「同時投与」の用語は、個体の血液中に2つの活性作用物質が同時に存在することをいう。同時投与される活性作用物質は、同時または連続的に送達され得る。

0042

本明細書で用いる場合、「治療する」および「治療」の用語は、この用語が用いられる疾患もしくは状態のいずれか、またはそのような疾患もしくは状態の1つまたは複数の症状の発症遅延、進行の遅滞または逆転、あるいは緩和または予防のことをいう。

0043

本明細書で用いる場合、「選択的ムスカリン性受容体M1拮抗剤」および「M1R選択的拮抗剤」の用語は、ムスカリン性受容体サブタイプM2およびM3に比較してムスカリン性受容体M1サブタイプと優先的な相互作用を示すムスカリンアセチルコリン受容体拮抗剤のことをいう。M1R選択的拮抗剤の例は、限定されないが、ピレンゼピンおよびテレンゼピンを含む。優先的な結合は、完全である必要はない。例えば、M1およびM4受容体サブタイプへの同様の親和性にもかかわらず、ピレンゼピンはM1R選択的拮抗剤に分類される。

0044

M1R選択的拮抗剤の優先的な結合は、競合置換アッセイにより測定できる。M1R選択的拮抗剤は、既知のM1R選択的リガンド(例えばピレンゼピンおよび/またはテレンゼピン)を、既知のM2(例えばトリトラミン、ヒンバシンメトクトラミン)およびM3(例えばダリフェナシンヘキサヒドロシラジフェニドール)選択的リガンドに比較して、優先的に置換する。あるいは、M1R選択的拮抗剤は、非選択的ムスカリンリガンド(例えばキヌクリニルベンジラート(QNB)、N−メチルスコポラミン(NMS))のM2およびM3受容体サブタイプへの結合の置換に比較して、非選択的ムスカリンリガンドを、M1受容体サブタイプから優先的に置換する。放射性標識競合物質を置換する相対的な能力は、50%の競合物質が置換される濃度(IC50)、または平衡解離定数(Kd)として表され得る。IC50値および/または平衡解離定数は、利用可能なソフトウェアを用いて、未標識の試験化合物滴定量の存在下で検出された標識リガンドの値を入力することにより算出できる(例えば、LIGAND(Munson,P.J.およびRodbard,D.、Anal.Biochem.(1980年)107巻:220〜39頁、またはDATAPLOT、国立技術情報サービス)。M1R選択的拮抗剤は、M2およびM3受容体サブタイプへの結合についてのIC50値またはKd値よりも少なくとも約3倍少ない、好ましくは少なくとも約10倍少ない、より好ましくは少なくとも約30倍少ないM1受容体サブタイプへの結合についてのIC50値またはKd値を有する。放射性標識NMSまたはQNBを用いる利用可能な放射性リガンド結合アッセイは、Buckleyら、Molecular Pharmacology(1989年)35巻:469〜76頁およびBoldenら、J Pharmacol Exp Ther.(1992年)260巻:576〜80頁に開示される。

0045

本明細書で用いる場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」のは、方法または組成物に含まれる活性薬剤、および方法または組成物の意図する目的について不活性な任意の賦形剤の属または種のことをいう。いくつかの実施形態において、「から本質的になる」の句は、M1R選択的拮抗剤でも抗うつ剤でもない1つまたは複数の追加の活性作用物質を含むことを明白に排除する。いくつかの実施形態において、排除され得る追加の活性作用物質は、プロラクチン阻害剤プロラクチン刺激物質5−HT受容体拮抗剤、5−HT受容体作動薬、NK−I受容体拮抗剤および/またはジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤の1つまたは複数を含む。

0046

制御放出」、「持続放出」、「延長放出」および「持効性放出」の用語は、相互交換可能に、薬物の放出が即時でない、すなわち「制御放出」製剤の経口投与が吸収プールへの薬物の即時の放出をもたらさない任意の薬物含有製剤のことをいう。用語は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippencott Williams & Wilkins(2006年)で定義される「非即時放出」と相互交換可能に用いられる。そこで述べられているように、即時および非即時放出は、以下の等式を参照にして動力学的に定義され得る。

0047

「吸収プール」は、特定の吸収部位で投与された薬物の溶液を表し、kr、kaおよびkeは、それぞれ(1)製剤からの薬物の放出、(2)吸収、および(3)排泄についての1次速度定数である。即時放出剤形について、薬物放出についての速度定数krは、吸収速度定数kaよりもはるかに大きい。制御放出製剤についてはその逆であり、すなわちkr<<kaであり、剤形からの薬物の放出速度が、標的領域への薬物の送達における律速段階である。

0048

「持続放出」および「延長放出」の用語は、それらの通常の意味で用いられ、長期間、例えば12時間以上にわたって薬物の徐放を提供し、必須ではないが好ましくは、長期間、薬物の血中レベルを実質的に一定の状態にする薬剤の製物のことをいう。

0049

本明細書で用いる場合、「遅延放出」の用語は、無傷で通過して小腸で溶解する医薬製剤のことをいう。

0050

本明細書で用いる場合、「相乗作用」または「相乗」とは、相互交換可能に、相加効果よりも大きい2つの活性作用物質の合わさった効果のことをいう。相乗作用は、2つの活性作用物質の有効でない用量を組み合わせて有効な効果を生み出すことによっても達成できる。相乗作用の測定は、統計的有意性とは独立している。

図面の簡単な説明

0051

尾部懸垂試験に供したCD−1マウスの不動時間に対する、腹腔内投与されたピレンゼピン(PZP)の効果を示す図である。以下の実施例に記載されるように、雄性CD−1マウス(1群当たりn=10)に、ピレンゼピンを遊離塩基として、5mg/kg、25mg/kgまたは50mg/kgの用量で投与した。対照マウスVEH)には、10%DMSOを投与した。*は、VEHに対してp<0.05を示す。
尾部懸垂試験に供したCD−1マウスの不動時間に対する、腹腔内投与されたテレンゼピン(TZP)の効果を示す図である。以下の実施例に記載されるように、雄性CD−1マウス(1群当たりn=10)に、テレンゼピンを遊離塩基として、5mg/kg、25mg/kgまたは50mg/kgの用量で投与した。対照マウス(VEH)には、10%DMSOを投与した。*は、VEHに対してp<0.05を示す。**は、VEHに対してp<0.001を示す。
尾部懸垂試験に供したCD−1マウスの不動時間に対する、経口テレンゼピン(TZP)の効果を示す図である。以下の実施例に記載されるように、雄性CD−1マウス(1群当たりn=10)に、テレンゼピンを遊離塩基として、60mg/kg、80mg/kgまたは100mg/kgの用量で投与した。対照マウス(VEH)には、塩水を投与した。*は、VEHに対してp<0.05を示す。**は、VEHに対してp<0.01を示す。
尾部懸垂試験に供したCD−1マウスの不動時間に対する、テレンゼピン(TZP)とセルトラリン(SRT)との併用投与の効果を示す図である。以下の実施例に記載されるように、雄性CD−1マウス(1群当たりn=10)に、遊離塩基としてテレンゼピン単独(5.0mg/kg)、セルトラリン単独(1.0mg/kg)、または同時投与されるテレンゼピン(5.0mg/kg)とセルトラリン(1.0mg/kg)を腹腔内投与した。対照マウス(VEH)には、10%DMSOを投与した。**は、VEHに対してp<0.01を示す。
尾部懸垂試験に供したCD−1マウスの不動時間に対する、テレンゼピン(TZP)とベンラファキシン(VEN)との併用投与の効果を示す図である。以下の実施例に記載されるように、雄性CD−1マウス(1群当たりn=10)に、遊離塩基としてテレンゼピン単独(5.0mg/kg)、ベンラファキシン単独(10mg/kg)、または同時投与されるテレンゼピン(5.0mg/kg)とベンラファキシン(10mg/kg)を腹腔内投与した。対照マウス(VEH)には、10%DMSOを投与した。*は、VEHに対してp<0.05を示す。**は、VEHに対してp<0.01を示す。「aa」は、VENに対してp<0.01を示す。「b」は、TZPに対してp<0.05を示す。
尾部懸垂試験に供したCD−1マウスの不動時間に対する、テレンゼピン(TZP)とフルオキセチン(FLX)との併用投与の影響を示す図である。以下の実施例に記載されるように、雄性CD−1マウス(1群当たりn=10)に、遊離塩基としてテレンゼピン単独(10mg/kg)、フルオキセチン単独(4mg/kg)、または同時投与されるテレンゼピン(10mg/kg)とフルオキセチン(4mg/kg)を腹腔内投与した。対照マウス(VEH)には、10%DMSOを投与した。**は、VEHに対してp<0.01を示す。

0052

詳細な説明
1.序論
上で述べたように、ラットおよびマウスでの以前の研究は、全身投与されたピレンゼピンが、いずれの行動上の効果も惹起できず(Rogoz,Z.、Skuza,G.、Sowinska,H.、Pol.J.Pharmacol.Pharm.、1981年、31巻、615〜26頁を参照されたい)、ピレンゼピンがげっ歯類およびヒトを含む種々の種における血液脳関門の著しい浸透を示さないことを示した(Hammer,R.、Koss,F.W.、Scand.J. Gastroenterol.、Suppl.、1979年、14巻、57号、1〜6頁;Bymaster,F.P.ら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1993年、267巻、1号、16〜24頁を参照されたい)。驚くべきことに、発表された文献とは逆に、本発明は、ピレンゼピンおよびテレンゼピンを含むM1R選択的拮抗剤が、治療量で血液脳関門を通過することができ、よって、全身投与されたときに有用な抗うつ活性を有することを示す。これらの物質は、抗うつ剤を用いてしばしば治療される他の精神状態の治療にも有用である。

0053

本発明は、ある特定のその他の治療薬と組み合わせてのM1R選択的拮抗剤の使用が、うつを含む精神状態の治療に有利な予期せぬ相乗効果を生み出すことも示す。

0054

本発明は、うつ、不安症、社会的不安障害、広所恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、身体醜形障害、月経前気分不快障害および物質乱用または依存症(例えばニコチンアルコール鎮静剤など)のための有効な薬理学的治療を提供する。選択的ムスカリン性受容体M1(M1R選択的)拮抗剤の全身投与は、予期せぬことに、抗うつ効果を提供する。驚くべきことに、うつを含む精神障害の治療において有効な1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の治療有効量は、対象に全身投与されたときに、血液脳関門を通過することができる。さらに、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤とM1R選択的拮抗剤以外の1つまたは複数の抗うつ剤との同時投与は、予期せぬことに、これらのカテゴリーのいずれの薬物単独の投与により達成されるものよりも大きい抗うつ効果を提供する。

0055

2.精神障害の治療方法
a.治療に供する条件
本方法および組成物は、精神障害の治療において用いられ得る。本方法および組成物により治療可能な精神障害の例示的な一般的カテゴリーは、限定されないが、(1)情動障害、不安障害および衝動制御障害(病的過食を含む)、(2)物質乱用/依存症(すなわち嗜癖性行動)、(3)認知障害、注意欠陥および多動性障害、(4)運動障害および性機能障害ならびに(5)摂食障害(例えば神経性食欲不振症および神経性過食症)を含む。

0056

中枢神経系でのムスカリン性受容体に対するアセチルコリンの作用は、認知洞察覚醒、情動、感覚運動ゲーティングならびに反射性および定向性運動性を含む一連の多様な行動に影響する(Bymasterら、Curr Drug TargetsCNSNeurol Disord(2002年)1巻:163〜181頁)。ムスカリン性受容体は、コリン作動性ニューロンとの相互作用を介するのみでなく、前脳/中脳ドーパミン作動性GABA作動性およびグルタミン酸作動性ニューロンの活性の調節も介してこれらの機能に影響する。神経局在化および微小透析の研究により、具体的な受容体サブタイプに依存する調節(刺激/阻害)の方向性を有する、これらの系に対してムスカリン性受容体およびそれらの作動薬または拮抗剤が有する影響が確かめられた。具体的に、M1/M4を好む拮抗剤であるピレンゼピンの局所微量注射は、線条におけるドーパミン流出を減少させる(Smoldersら、J Neurochem(1997年)68巻:1942〜1948頁)。同様に、中脳に直接注射したときに、M1/M4受容体を好む拮抗剤であるテレンゼピンは、GABA流出を低減させる(Smoldersら、1997年、既出)。同様に、スコポラミンのような非サブタイプ選択的拮抗剤は、前脳においてアセチルコリンのレベルを上昇させる(Izurieta−Sanchezら、Eur J Pharmacol(2000年)399巻:151〜160頁)。

0057

物質乱用および依存症の障害について、中脳辺縁系のドーパミン回路が、嗜癖性行動の形成および永続化において重要な役割を有していると考えられている(BerridgeおよびRobinson、Brain Res Brain Res Rev(1998年)28巻:309〜369頁;Crespoら、J Neurosci(2006年)26巻:6004〜6010頁;Di ChiaraおよびImperato、Proc
Natl Acad Sci USA(1988年)85巻:5274〜5278頁;HernandezおよびHoebel、Life Sci(1988年)42巻:1705〜1712頁)。げっ歯類を用いる研究は、線条における具体的な構造である側坐核(NAc)が、報酬および嫌悪の調節に関与することを示した。NAcは、中腹線条にあり、殻、核および吻極細分領域にさらに分けることができる(ZahmおよびBrog、Neuroscience(1992年)50巻:751〜767頁)。

0058

ラットは、ドーパミン作動薬NAc中自己投与し(Hoebelら、Psychopharmacology (Berl)(1983年)81巻:158〜163頁)、ヒトにおいて乱用および慣れを引き起こすことが知られている多数の薬物が、NAcにおける細胞外ドーパミンレベルを増加させることが示されている(Di ChiaraおよびImperato、1988年、既出;HernandezおよびHoebel、1988年、既出;Radaら、Pharmacol Biochem Behav(1996年)53巻:809〜816頁)。逆に、側坐核中の細胞外ドーパミンの減少は、モルヒネ誘発およびニコチン誘発の禁断症状の間の嫌悪を伴うことが観察されている(AcquasおよびDi Chiara、(1992年)J Neurochem58巻:1620〜1625頁;Dianaら、J Pharmacol Exp Ther(1995年)272巻:781〜785頁;Pothosら、Brain Res(1991年)566巻:348〜350頁;Radaら、Psychopharmacology (Berl)(2001年)157巻:105〜110頁)。ドーパミンの影響は、受容体サブタイプD1およびD2により媒介されているようである。ドーパミンD1またはD2作動薬の核ではなくNAc殻への注入は、コカインのためにレバーを押すように自発的に馴らされたが、次いで、塩水をコカインに置き換えることにより行動を失わせたラットにおいて、薬物探索行動を回復させたことが示されている(Schmidtら、Eur J Neurosci(2006年)23巻:219〜228頁)。

0059

NAc内において、コリン作動性およびドーパミン作動性回路は、薬理学的に対抗しているようである。アトロピン(非特異的ムスカリン拮抗剤)またはメカミラミン(非特異的ニコチン拮抗剤)のいずれかの側坐核内の局所投与も、オピエート強化の獲得を遮断することが報告されているが(Crespoら、2006年、既出)、モルヒネはNAc内のアセチルコリンレベルを低減させ(Fiserovaら、Psychopharmacology (Berl)(1999年)142巻:85〜94頁;Radaら、Neuropharmacology(1991)30巻:1133〜1136頁)、ナロキソン誘導オピエートの中止は、アセチルコリンレベルを増加させる(Fiserovaら、1999年、既出;Radaら、1991年、既出;Radaら、1996年、既出)。同様の現象が、ニコチン依存症ラットにおけるメカミラミン誘導禁断症状との関連で観察されている(Radaら、2001年、既出)。上昇したAChと不快性状態との広い一般的な関連を支持して、AChは、条件嫌悪味覚(Markら、Brain Res(1995年)688巻:184〜188頁)、有害脳刺激(RadaおよびHoebel、Brain Res(2001年)888巻:60〜65頁)およびジアゼパム(RadaおよびHoebel、Eur J Pharmacol(2005年)508巻:131〜138頁)、アルコール(Radaら、Pharmacol Biochem Behav(2004年)79巻:599〜605頁)または糖分(Colantuoniら、Obes Res(2002年)10巻、478〜488頁)からの禁断症状により、NAcに放出される。コリン作動性伝達の減衰は、よって、嗜癖および慣れの疾患の治療に対する治療上魅力的アプローチである。このような疾患は、スクロースの中止の例での知見のように、純粋に薬理学的である必要はない。

0060

よって、優先的にM1ムスカリン性受容体を調節する能力を有する化合物についての神経精神医学的応用は広範囲である。よって、本方法は、損なわれたi)認知処理、ii)情動処理および/またはiii)欲求誘因に起因するものを含む種々の状態の治療において用い得る。これらのカテゴリーに入る状態は、(1)情動障害、不安障害および衝動制御障害(病的過食を含む)、(2)物質乱用/依存症(すなわち嗜癖性行動)、(3)認知障害、注意欠陥および多動性障害、(4)運動障害および性機能障害、ならびに(5)摂食障害(例えば神経性食欲不振症および神経性過食症)を含む。

0061

情動障害、不安障害および衝動制御障害の例は、情動障害(限定されないが、うつ、双極性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害を含む)、不安障害(限定されないが、全般性不安障害、社会的不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、広所恐怖症、特異性恐怖症転換性障害、身体醜形障害を含む)、および衝動制御障害(限定されないが、窃盗癖放火癖抜毛癖、病的賭博、病的過食を含む)を含む。

0062

例示的な物質乱用および/または依存症は、限定されないが、ニコチン、アルコール、オピオイド精神刺激薬鎮痛薬催眠薬を含む薬剤への身体的および/または精神的依存を含む。「オピオイド」の用語は、限定されないが、天然半合成および非天然の作動薬またはオピオイド受容体部分作動薬を含む。「精神刺激薬」の用語は、限定されないが、ドーパミン再取り込み輸送体の拮抗剤、ならびに/またはドーパミン放出を直接促進し、かつ限定されないがコカイン、合成ドーパミン輸送体阻害剤、アンフェタミンフェンメトラジンおよびメチレンジオキシアンフェタミンを含む物質を含む。

0063

認知障害、注意欠陥および多動性障害の例は、認知障害/機能不全(限定されないが、統合失調症アルツハイマー病軽度認知機能障害認知症)、および注意欠陥/多動性障害(例えば、ADDADHD)を含む。

0064

運動障害の例は、限定されないが、パーキンソン病ハンチントン病ジスキネジアジストニアおよび振戦の2次的なものを含む。性機能障害の例は、限定されないが、早漏および覚醒障害を含む。

0065

摂食障害の例は、限定されないが、神経性食欲不振症および神経性過食症を含む。

0066

b.薬剤
本方法および組成物において用いられる薬剤は、1つまたは複数の薬剤の任意の医薬的に許容される塩、プロドラッグ、ラセミ混合物立体異性体および/または光学異性体、結晶多形、ならびに同位変異体を含む任意の医薬的に許容される形にある以下に詳細に記載される1つまたは複数の活性作用物質を含む。

0067

i.選択的ムスカリン性受容体M1拮抗剤
本発明の方法は、必要とする個体に、1つまたは複数の選択的ムスカリン性受容体M1拮抗剤の治療量を投与することにより、うつを含む精神状態を治療する。ムスカリン拮抗剤は、全般的に、本明細書に参照により組込まれる既出のGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeuticsの第7章に論説されている。選択的ムスカリン性受容体M1拮抗剤の例は、ピレンゼピンおよびテレンゼピンを含み、これらの構造を次に示す。

0068

ピレンゼピン(5,11−ジヒドロ−11−[(4−メチル−1−ピペラジニルアセチル]−6H−ピリド[2,3−b][1,4]ベンゾジアゼピン−6−オン)は、Azupharma(ドイツシュツットガルト)、Boehringer Ingelheim(ドイツインゲルハイム;Gastrozepin(登録商標)として販売)、Dolorgiet(ドイツボン)を含むいくつかの製薬会社により、ピレンゼピン2塩酸塩として製造および販売されている。ピレンゼピンは、約50mg/日〜約200mg/日、例えば約100〜150mg/日、または50、100、150もしくは200mg/日の用量で投与できる。あるいは、ピレンゼピンは、約0.1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、通常、約0.7mg/kg/日〜約5mg/kg/日の用量で投与できる。ピレンゼピンの類似体も、本方法の実施において用い得る。ピレンゼピンの化学的類似体は、例えば、そのそれぞれの開示が全ての目的のために全体として本明細書に参照により組込まれる米国特許第3660380号;第3743734号;および第5324832号に開示されている。

0069

テレンゼピン(4,9−ジヒドロ−3−メチル−4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)アセチル]−10H−チエノ[3,4−b][1,5]ベンゾジアゼピン−10−オン)は、例えばTocris Bioscience(ミズーリ州エリスヴィル)およびSigma−Aldrich,Inc.(ミズーリ州セントルイス)から、テレンゼピン2塩酸塩として商業的に入手可能である。さらに、テレンゼピンの合成は、本明細書に参照により組込まれる米国特許第4381301号に開示されている。テレンゼピンは、1日当たり約0.5mg〜1日当たり約10mg、例えば約1〜5mg/日、または0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10mg/日の用量で投与できる。テレンゼピンの類似体も、本方法の実施において用い得る。テレンゼピンの化学的類似体および鏡像異性体は、例えば、そのそれぞれの開示が全ての目的のために全体として本明細書に参照により組込まれる米国特許第3953430号;第4168269号;第4172831号;第4381301号;第5140025号および第5324832号に開示されている。

0070

いくつかの実施形態において、(+)および(−)の鏡像異性体の混合物を含有するテレンゼピンのラセミ調製物が投与される。いくつかの実施形態において、テレンゼピンの(+)または(−)の鏡像異性体が投与される。テレンゼピンは、35.5kcal/モル活性化障壁により分離された2つのキラル的に区別される状態で存在する(Eveleighら、Mol Pharmacol(1989年)35巻:477〜483頁;およびSchudtら、Eur J Pharmacol(1989年)165巻:87〜96頁)。テレンゼピンの(+)形は、有効な抗ムスカリン活性を有し、(−)形は、活性がより小さい。テレンゼピンの選択性は、異なる解剖学的部位にて変動するようであり、(+)形は(−)異性体に比較して、皮質受容体に対して400倍より有効である。心臓受容体において、選択性はより小さく、(+)形は、(−)形よりも50倍より効力がある(Eveleighら、既出)。2つの形はゆっくりと、90度にて約200時間の半減時間相互転換する(Eveleighら、既出)。2つの形が異なる活性を有することが、多くの研究により確かめられている(Eltze、Eur J Pharmacol(1990年)180巻:161〜168頁;Eveleighら、既出;Feifelら、Eur J Pharmacol(1991年)195巻:115〜123頁;Kilianら、Agents Actions Suppl34巻:131〜147頁;Schudtら、既出)。

0071

ii.抗うつ剤
本発明で用いられるM1R選択的拮抗剤でない抗うつ剤は、それらの作用機序により制限されず、任意のクラスの抗うつ剤を用い得る。例えば、三環系抗うつ剤(TCA)およびその類似体、セロトニン再取り込み阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、セロトニン作動薬およびそのプロドラッグ、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、ならびにセロトニン再取り込み促進剤は全て、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤とともに投与できる。セロトニン再取り込み阻害剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)およびセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)をともに含む。ノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、および混合ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)をともに含む。セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン、または「3重再取り込み阻害剤」も、本発明において用い得る。他のカテゴリーの抗うつ剤、例えば四環系抗うつ剤であるマプロチリンもしくはミアンセリン、またはトラゾドン、ネファドンもしくはブスピロンの薬剤;副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体1(CRF1)拮抗剤、ならびにアモキサピンクロザピンリスペリドンオランザピンクエチアピンおよびアリピプラゾールを含む精神病もしくは双極性障害の環境において活性を有することが見出されている化合物も用い得る。

0072

本発明において用いるための三環系抗うつ剤は、アミネプチン、アミトリプチリンクロミプラミンデシプラミンドキセピン、ドチエピン、イミプラミン、ノルトリプチリンプロトリプチリン、トリミプラミン、アモキサピンおよび筋弛緩剤であるシクロベンザプリンを含む。列挙していない他の三環系抗うつ剤およびその類似体も用い得る。

0073

一実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の有効量は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の有効量と同時投与される。例示的な選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、列挙していないSSRIを用い得るが、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン(およびそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))を含む。一実施形態において、シタロプラム(またはエスシタロプラム)は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と同時投与される。一実施形態において、フルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)の有効量が同時投与される。一実施形態において、フルボキサミンの有効量が同時投与される。一実施形態において、セルトラリン(またはそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))の有効量が同時投与される。一実施形態において、パロキセチンの有効量が同時投与される。一実施形態において、デュロキセチンの有効量が同時投与される。

0074

一実施形態において、1つまたは複数のセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の有効量は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と同時投与される。例示的なセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、列挙していないSNRIも有用であるが、ミルナシプラン、ミルタザピン、ベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)、デュロキセチン、(−)1−(1−ジメチルアミノメチル−5−メトキシベンゾシクロブタン−1−イルシクロヘキサノール(S33005)、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SRおよびシブトラミンを含む。その明らかなセトロニン作動性およびノルアドレナリン作動性の2重作用により、ミルタザピンの作用機序は他のSNRIのものとは異なり得るが、これは、本明細書において、SNRIクラスの抗うつ剤とみなす。一実施形態において、ベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)の有効量が同時投与される。一実施形態において、デスベンラファキシンの有効量が同時投与される。一実施形態において、シブトラミンの有効量が同時投与される。一実施形態において、デュロキセチンの有効量が同時投与される。一実施形態において、ミルナシプランの有効量が同時投与される。一実施形態において、ミルタザピンの有効量が同時投与される。

0075

別の実施形態において、1つまたは複数の選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の有効量が、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と同時投与される。選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の例は、レボキセチンおよびアトモキセチンを含む。

0076

一実施形態において、1つまたは複数のノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤の有効量が、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と同時投与される。例示的なノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤は、アミネプチン、モダフィニル、GW353162およびブプロピオンを含む。ブプロピオンの場合、代謝物は、ノルアドレナリン作動性再取り込み遮断の原因であると考えられている。一実施形態において、ブプロピオンの有効量が同時投与される。

0077

一実施形態において、1つまたは複数の3重(セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン)再取り込み阻害剤の有効量が、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と同時投与される。例示的な3重再取り込み阻害剤は、インダトラリンSEP−225289、DOV 216,303および(+)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ−[3.1.0]ヘキサン塩酸塩(DOV 21,947)を含む。

0078

本発明で用いるためのモノアミンオキシダーゼ阻害剤は、ベフロキサトンブロファロミン、デプレニルイソカルボキサジド、モクロベミド、パージリンフェネルジンセレギリンおよびトラニルシプロミン、ならびにそれらの持続送達および経皮送達の形を含む。

0079

M1R選択的拮抗剤と同時投与され得る抗うつ剤は、マプロチリン、チアネプチン、ネファゾドンおよびトラゾドンを含む。

0080

抗うつ剤の適切な投与量は、その他の因子の中でも、選択される投与経路および組成物の処方に依存する。例えば、三環系抗うつ剤は、約25〜約600mg/日の用量、通常、約75〜約300mg/日の用量で投与される。

0081

セロトニン−再取り込み阻害剤は、約5〜約400mg/日の用量で投与され、通常、約20〜約250mg/日で投与される。特に、本方法の実施において、ベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)は、用量当たり約9mg〜約225mgで投与でき、通常、用量当たり約37.5mg、75mg、150mgまたは225mgで投与される。ベンラファキシンは、典型的には、約25〜550mg/日、通常、約37.5〜375mg/日、より典型的には約75〜225mg/日、最も典型的には約37.5、75、150、225または300mg/日で投与される。個別の患者について適切であれば、ベンラファキシンの1日投与量は、分割して、1日当たり1回、2回、3回、4回またはそれより多く投与できる。デスベンラファキシンは、約50〜600mg/日、例えば約50、100、200、400または600mg/日の用量で投与できる。セルトラリン(またはそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))は、約50〜200mg/日、通常、約100〜150mg/日の範囲の用量で投与できる。フルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)は、約5〜50mg/日、通常、約20〜40mg/日の範囲の用量で投与できる。フルボキサミンは、約50〜300mg/日、通常、約100〜200mg/日の範囲の用量で投与できる。パロキセチンは、約10〜50mg/日、通常、約20〜40mg/日の範囲の用量で投与できる。

0082

本方法を行う際に、シタロプラム(またはエスシタロプラム)は、約5〜60mg/日、好ましくは約10、20または30mg/日で投与できる。通常、シタロプラムは、1日1回、例えばまたは夜に投与される。しかし、1日当たり2回以上のシタロプラムの投与量を与えられる患者がいくらかいる。ミルタザピンは、約5〜100mg/日、例えば約7.5、15、30、45または90mg/日の用量で投与できる。ミルナシプランは、約25〜200mg/日、例えば約25、50、100、150または200mg/日の用量で投与できる。

0083

ブプロピオン、ネファゾドンおよびトラゾドンを含む非定型抗うつ剤は、約50〜600mg/日、通常、約150〜400mg/日の用量で投与される。ブプロピオンは、約25〜300mg/日、例えば約25、50、100、150、200、300mg/日の用量で投与できる。モノアミンオキシダーゼ阻害剤は、典型的には、約5〜90mg/日、通常、約10〜60mg/日の用量で投与される。

0084

iii.薬剤の組合せ
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、M1R選択的拮抗剤でない1つまたは複数の抗うつ剤と同時投与または同時処方される。M1R選択的拮抗剤および抗うつ剤は、上記のとおりである。

0085

いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、1つまたは複数の5−HT2c受容体作動薬と同時投与または同時処方される。例示的な5−HT2c受容体作動薬は、1−(m−クロロフェニルピペラジン(m−CPP)、ミルタザピン、APD−356(ロルカセリン)、SCA−136(バビカセリン)、ORG−12962、ORG−37684、ORG−36262、ORG−8484、Ro−60−175、Ro−60−0332、VER−3323、VER−5593、VER−5384、VER−8775、LY−448100、WAY−161503、WAY−470、WAY−163909、MK−212、BVT.933、YM−348、IL−639、IK−264、ATH−88651、ATHX−105などを含む(例えばNilsson BM、J.Med.Chem.2006年、49巻:4023〜4034頁を参照されたい)。

0086

いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、m−CPPと同時投与または同時処方される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、ミルタザピンと同時投与または同時処方される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、ロルカセリンと同時投与または同時処方される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、Ro−60−175と同時投与または同時処方される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、Ro−60−0332と同時投与または同時処方される。

0087

いくつかの実施形態において、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と、M1R選択的拮抗剤でない1つまたは複数の抗うつ剤と、1つまたは複数の5−HT2c受容体作動薬との組合せが投与される。

0088

iv.異性体
全ての配座異性体(例えばシスおよびトランス異性体)および全ての光学異性体(例えば鏡像異性体およびジアステレオマー)、そのような異性体のラセミ混合物、ジアステレオ混合物およびその他の混合物、ならびに治療薬の溶媒和物水和物、同形多形および互変異性体は、本発明の範囲内にある。

0089

v.同位元素
本発明は、1つまたは複数の原子が、特定の原子質量または質量数を有する1つまたは複数の原子により置換された治療薬の同位元素標識変異体も含む。治療薬の同位元素標識変異体およびそのプロドラッグ、ならびに治療薬の同位元素標識された医薬的に許容される塩およびそのプロドラッグは、本発明の範囲内にある。所定の状況下で、重水素(2H)のようなより重い同位元素での置換は、代謝安定性の増大をもたらすことができ、このことは、in vivo半減期の増加、または必要投与量の低減のような治療上の利点を提供する。本発明の治療薬の同位元素標識変異体およびそのプロドラッグは、非同位元素標識試薬を同位元素標識試薬に置き換えることにより、当業者に知られる方法に従って、通常調製できる。

0090

c.投与
i.投与期間
通常、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、長期間にわたって個体に投与される。方法は、少なくとも20日、いくつかの実施形態においては少なくとも40、60、80または100日、いくつかの実施形態においては少なくとも150、200、250、300、350日、1年またはそれより長く行い得る。特定の個体は、本治療方法を、1年より長く、例えば少なくとも400、450、500、550、600、650、700、800、900、1000日間受ける。しかし、個体は、2年、3年、4年またはそれより長く、本発明の方法によりうまく治療され得る。

0091

ii.予定
一般的に、本方法を行う際に、1つまたは複数の抗うつ剤と同時投与される1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の有効量は、一緒にまたは別々に、同時または異なる時間で投与され得る。M1R選択的拮抗剤および抗うつ剤は、独立して、必要に応じて、毎日1回、2回、3回、4回またはそれより多くあるいはより少ない頻度で投与され得る。好ましくは、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤は、毎日1回投与される。好ましくは、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤は、同じ時間に、例えば混合物として投与される。1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤は、持続放出製剤で投与できる。

0092

特定の患者のために、本方法は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤を、治療の開始から同時に投与して行われる。特定の患者のために、本方法は、まず、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤を、次いでその後に1つまたは複数の抗うつ剤を同時投与することにより行われる。患者は、1つまたは複数の抗うつ剤の投与を開始する前に、初めに、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤を単独で、3日、5日、7日、10日、14日、20日または30日間の長さで受けることができる。

0093

1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、危険性のある対象での精神状態の症状を予防するために予防的に、または長期間にわたって精神状態の症状を緩和するために治療的に投与できる。

0094

iii.投与経路
単独、あるいは1つまたは複数の抗うつ剤と組み合わせての1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤の投与は、それ自体で、経口、頬側、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、経皮、経粘膜、鼻腔内などを含む非経口投与を含む種々の方式で達成できる。1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、1つまたは複数の抗うつ剤と同時投与される場合、同じまたは異なる投与経路により投与できる。

0095

いくつかの実施形態において、単独または組合せでの1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤は、全身的ではなく局所的に、例えばデポーまたは持続放出製剤で投与できる。

0096

iv.適切な投与量の決定方法
M1R選択的拮抗剤および抗うつ剤についての投与される投与量は、当業者により実施される投与量、および予定計画に従う。本方法において用いられる全ての薬剤の適切な投与量についての一般的な手引きは、それぞれが本明細書に参照により組込まれるGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第11版、2006年、既出および医師用添付文書集(Physician’s Desk Reference)(PDR)、例えば第59版(2005年)または第60版(2006年)、Thomson PDRで提供される。M1R選択的拮抗剤について発表された投与量は、うつまたはその他の精神状態を緩和する治療とは異なる適応症についてである。本発明の組成物および方法において、本発明を行うためのM1R選択的拮抗剤および抗うつ剤の有効投与量は、他の適応症について発表された投与量に等しいかまたはそれ未満である(例えば約25、50、75または100%)。

0097

1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および抗うつ剤の適切な投与量は、選択される投与経路、組成物の処方、患者の応答、状態の重篤さ、対象の体重、および指示する医師の判断を含むいくつかの因子により変動する。投与量は、個別の患者により要求されれば、時間の経過につれて増加または減少し得る。通常、患者は、最初は低用量を与えられ、次いでこの用量を、患者が耐え得る有効な投与量に増加させる。

0098

有効量の決定は、特に本明細書に与えられる詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内に十分にある。一般的に、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤の組合せの有効なまたは効果的な量は、まず、M1R選択的拮抗剤単独の低用量または少量を投与し、次いで、治療される対象において毒性副作用が最小限でありまたはなく、所望の効果が観察されるまで、第2または第3の投薬を必要に応じて加えながら、投与される用量または投与量を増加させることにより決定される。本発明の組合せの投与についての適切な用量または投与予定を決定するために用い得る方法は、例えば、それぞれが本明細書に参照により組込まれるGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第11版、2006年、既出;医師用添付文書集(PDR)、既出;Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2006年、既出;およびMartindale: The Complete Drug Reference、Sweetman、2005年、ロンドン:Pharmaceutical Press.、ならびにMartindale、Martindale: The Extra Pharmacopoeia、第31版、1996年、Amer Pharmaceutical Assnに記載される。

0099

投与の量および間隔は、治療効果を維持するのに十分な活性化合物血漿レベルを提供するように個別に調節できる。好ましくは、治療上有効な血清レベルは、単独1日用量を投与することにより達成されるが、有効な複数1日用量予定は、本発明に含まれる。局所投与または選択的摂取の場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関連しなくてよい。当業者は、過度実験をすることなく、治療有効局所投与量を最適化できる。

0100

3.医薬組成物
本発明は、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤の治療有効量の混合物を含む医薬組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態において、M1R選択的拮抗剤は、テレンゼピン、ピレンゼピンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。

0101

ある特定の実施形態において、医薬組成物は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン再取り込み促進剤、セロトニン作動薬およびそれらのプロドラッグである1つまたは複数の抗うつ剤を含む。一実施形態において、医薬組成物は、ベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)、デュロキセチン、フルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SR、ブプロピオン、GW353162、シブトラミン、アトモキセチン、およびセルトラリン(またはそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))からなる群より選択される1つまたは複数の抗うつ剤を含む。

0102

一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびSSRIの治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびシタロプラム(またはエスシタロプラム)の治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびセルトラリン(またはそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))の治療有効量を含む。一実施形態におい
て、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびフルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)の治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびフルボキサミンの治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびパロキセチンの治療有効量を含む。

0103

一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびSNRIの治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)の治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびデスベンラファキシンの治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびデュロキセチンの治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびミルナシプランの治療有効量を含む。一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびミルタザピンの治療有効量を含む。

0104

一実施形態において、医薬組成物は、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびブプロピオンの治療有効量を含む。

0105

1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と、1つまたは複数の抗うつ剤との組合せは、例えばヒト患者ネコまたはイヌのような家畜のような対象に、独立してまたは一緒に、それらの医薬的に許容される塩の形、または化合物が適切な担体もしくは賦形剤と治療有効量、例えば精神状態の症状の低減の所望の結果をもたらすのに効果的な用量で混合された医薬組成物の形で投与できる。

0106

本発明のM1R選択的拮抗剤−抗うつ剤の組合せは、治療的な投与のための種々の製剤に組込むことができる。より具体的には、本発明の組合せは、一緒にまたは別々に、医薬的に許容される適切な担体または希釈剤との処方により、医薬組成物に処方でき、かつ錠剤カプセル剤丸剤散剤顆粒剤糖衣剤、ゲル、スラリー軟膏液剤、坐剤、注射剤吸入剤エアロゾルのような固体半固体液体または気体の形の製剤に処方できる。

0107

本発明において用いるのに適切な製剤は、例えば、本明細書に参照により組込まれるRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2006年、既出;Martindale: The Complete Drug Reference、Sweetman、2005年、ロンドン:Pharmaceutical Press.;Niazi、Handbook of
Pharmaceutical Manufacturing Formulations、2004年、CRCPress;およびGibson、Pharmaceutical Preformulation and Formulation: A Practical Guide from Candidate Drug Selection to Commercial Dosage Form、2001年、Interpharm Pressに見出される。本明細書に記載される医薬組成物は、当業者に知られる方法で、すなわち通常の混合、溶解、造粒、糖衣製造、粉砕乳化被包封入、または凍結乾燥プロセスにより製造できる。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、限定するものではない。

0108

一実施形態において、M1R選択的拮抗剤−抗うつ剤の組合せは、例えば治療薬を含有する固体疎水性ポリマー半透過性マトリクス中の持続放出、制御放出、延長放出、持効性放出、または遅延放出製剤での送達のために調製される。種々のタイプの持続放出材料が確立されており、当業者に公知である。現在の延長放出製剤は、フィルム被覆錠剤多重粒子またはペレットステム親水性または親油性の材料を用いるマトリクス技術、および孔形成賦形剤を用いるワックスベースの錠剤を含む(例えば、Huangら、Drug Dev.Ind.Pharm.29巻:79頁(2003年);Pearnchobら、Drug Dev.Ind.Pharm.29巻:925頁(2003年);Maggiら、Eur.J.Pharm.Biopharm.55巻:99頁(2003年);Khanvilkarら、Drug Dev.Ind.Pharm.228巻:601頁(2002年);およびSchmidtら、Int.J.Pharm.216巻:9頁(2001年)を参照されたい)。持続放出送達システムは、その設計に応じて、時間または日、例えば4、6、8、10、12、16、20、24時間またはそれより長い期間にわたって化合物を放出できる。通常、持続放出製剤は、天然に存在するかまたは合成のポリマー、例えばポリビニルピロリドンPVP)のようなポリマー性ビニルピロリドンカルボキシビニル親水性ポリマーメチルセルロースエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのような疎水性および/または親水性ヒドロコロイド;ならびにカルボキシポリメチレンを用いて調製できる。

0109

持続または延長放出製剤は、二酸化チタン二酸化ケイ素酸化亜鉛およびクレイを含む無機物のような天然の成分を用いても調製できる(本明細書に参照により組込まれる米国特許第6638521号を参照されたい)。本発明のM1R選択的拮抗剤−抗うつ剤の組合せの送達に用い得る延長放出製剤の例は、それぞれが本明細書に参照により組込まれる米国特許第6635680号;第6624200号;第6613361号;第6613358号、第6596308号;第6589563号;第6562375号;第6548084号;第6541020号;第6537579号;第6528080号および第6524621号に記載されるものを含む。特に興味のある制御放出製剤は、それぞれが本明細書に参照により組込まれる米国特許第6607751号;第6599529号;第6569463号;第6565883号;第6482440号;第6403597号;第6319919号;第6150354号;第6080736号;第5672356号;第5472704号;第5445829号;第5312817号および第5296483号に記載されるものを含む。当業者は、その他の用い得る持続放出製剤を容易に認識できる。

0110

経口投与のために、M1R選択的拮抗剤−抗うつ剤の組合せは、当該技術において公知の医薬的に許容される担体と組み合わせることにより容易に処方できる。このような担体は、化合物が、治療される患者による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、エマルジョン、親油性および親水性の懸濁剤、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして処方されることを可能にする。経口用の医薬製剤は、化合物を固体賦形剤と混合し、得られた混合物を所望により粉砕し、必要であれば適切な佐剤を添加した後に混合物を顆粒に加工して錠剤または糖衣剤の核を得ることにより得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類のような充填剤;例えばトウモロコシデンプン小麦デンプン米デンプンバレイショデンプンゼラチントラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物である。必要であれば、架橋ポリビニルピロリドン寒天またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩壊剤を加えることができる。

0111

経口で用い得る医薬製剤は、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤製の密閉ソフトカプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ならびに所望により安定剤と混合した有効成分を含有し得る。ソフトカプセル中には、活性化合物が、脂肪油流動パラフィン、または液状ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤を加えることができる。経口投与用の全ての製剤は、このような投与のために適する投与量であるはずである。

0112

糖衣剤の核には、適切なコーティングが提供される。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を所望により含み得る濃縮糖溶液を用い得る。活性化合物用量の異なる組合せの同定または特徴づけのために、染料または色素を錠剤または糖衣剤のコーティングに用い得る。

0113

化合物は、例えばボーラス投与または持続注入による注射による非経口投与のために処方され得る。注射のために、M1R選択的拮抗剤−抗うつ剤の組合せは、それらを、植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド高級脂肪酸エステルまたはプロピレングリコールのような水性または非水性の溶媒中に、必要であれば可溶化剤等張剤、懸濁化剤乳化剤、安定剤および防腐剤のような通常の添加物とともに溶解、懸濁または乳化することにより製剤に処方できる。好ましくは、本発明の組合せは、水性溶液中に、好ましくはハンクス溶液リンゲル液、または生理食塩緩衝液のような生理的に適合する緩衝液中に処方され得る。注射用の製剤は、単位剤形、例えばアンプル、または防腐剤を加えた複数回用量容器中に存在し得る。組成物は、油性もしくは水性の媒体中の懸濁剤、液剤またはエマルジョンのような形をとり得、かつ懸濁化剤、安定剤および/または分散剤のような製剤化剤を含有し得る。

0114

非経口投与用の医薬製剤は、水溶性の形の活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性の注射用懸濁剤として調製できる。適切な親油性溶媒または媒体は、ゴマ油のような脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランのような、懸濁剤の粘度を上昇させる物質を含有し得る。所望により、懸濁剤は、適切な安定剤、または化合物の溶解性を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする物質も含有し得る。あるいは、有効成分は、適切な媒体、例えば滅菌パイロジェンフリーの水を用いて使用前に構成するための粉末の形であり得る。

0115

全身投与は、経粘膜または経皮の様式によっても行い得る。経粘膜または経皮の投与のために、透過すべき障壁に適する浸透剤を製剤に用い得る。局所投与のために、物質を、軟膏、クリーム膏薬、粉末およびゲルに処方する。一実施形態において、経皮送達剤は、DMSOであり得る。経皮送達システムは、例えばパッチを含み得る。経粘膜投与のために、透過すべき障壁に適する浸透剤を製剤に用い得る。このような浸透剤は、当該技術において一般的に知られている。本発明において用い得る経皮送達製剤の例は、それぞれが本明細書に参照により組込まれる米国特許第6589549号;第6544548号;第6517864号;第6512010号;第6465006号;第6379696号;第6312717号および第6310177号に記載されるものを含む。

0116

頬側投与のために、組成物は、通常の様式で処方された錠剤またはトローチ剤の形をとり得る。

0117

前に記載した製剤に加えて、本発明のM1R選択的拮抗剤−抗うつ剤の組合せは、デポー製剤としても処方できる。このような長期作用型製剤は、移植(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与され得る。つまり、例えば、化合物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、あるいはやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩として処方できる。

0118

医薬組成物は、適切な固体またはゲル状態の担体または賦形剤も含み得る。このような担体または賦形剤の例は、限定されないが、炭酸カルシウムリン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーを含む。

0119

4.キット
本発明の医薬組成物は、キットとして提供できる。ある特定の実施形態において、本発明のキットは、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と、1つまたは複数の抗うつ剤とを別々の製剤で含む。ある特定の実施形態において、キットは、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤と、1つまたは複数の抗うつ剤を、同じ製剤中に含む。ある特定の実施形態において、キットは、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤を、治療の経過の間を通して一律の投与製剤中に独立して提供する。ある特定の実施形態において、キットは、1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤および1つまたは複数の抗うつ剤を、治療の経過の間に、個体の要求に応じて、増加または減少するが、通常は有効な投与レベルまで増加する累進的な投与量中に独立して提供する。

0120

一実施形態において、キットは、テレンゼピンおよびピレンゼピンからなる群より選択される1つまたは複数のM1R選択的拮抗剤を含む1つまたは複数の医薬組成物を含む。

0121

ある特定の実施形態において、キットは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される1つまたは複数の抗うつ剤を含む。一実施形態において、キットは、ベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)、フルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)、デュロキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SR、ブプロピオン、GW353162、シブトラミン、アトモキセチンおよびセルトラリン(またはそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))からなる群より選択される1つまたは複数の抗うつ剤を含む1つまたは複数の医薬組成物を含む。

0122

一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびSSRIの治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびシタロプラム(またはエスシタロプラム)の治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびセルトラリン(またはそのS−鏡像異性体、Zoloft(登録商標))の治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびフルオキセチン(ラセミまたは光学異性体)の治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびフルボキサミンの治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびパロキセチンの治療有効量を含む。

0123

一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびSNRIの治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびベンラファキシン(ラセミまたは光学異性体)の治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびデスベンラファキシンの治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびデュロキセチンの治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびミルナシプランの治療有効量を含む。一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびミルタザピンの治療有効量を含む。

0124

一実施形態において、キットは、テレンゼピンまたはピレンゼピンおよびブプロピオンの治療有効量を含む。

0125

以下の実施例は、請求される発明を説明するために与えられるが、限定するためではない。

0126

(実施例1)
抗うつ効果:化合物の抗うつ効果を評価するために、尾部懸垂法を用いた。この方法は、Steruら(Steru Lら、Psychopharmacol85巻:367〜70頁、1985年;Steru Lら、Prog Neuro−Psychopharmacol & Biol Psychiat11巻:659〜71頁、1987年)による最初の記載、およびCrowleyら(Crowley JJら、Pharmacol Biochem Beh78巻(2号):269〜74頁、2004年)によるその後の改変から適合させた。7〜8週齢の(25〜35グラム)雄性CD−1マウスを、試験の1週間前に収容した。マウス(用量群当たりn=8〜10)に、調査中の化合物を腹腔内(ip)または経口(po)で与え、適切な処置前間隔(45〜60分)で、ケージに返した。テープを用いて、マウスをひずみゲージから尾部で吊り下げた。次の6分間の活動を、ひずみゲージにより記録される運動の強度に基づいて、1)不動性、2)逃避行動、または3)主要逃避行動のいずれかとしてコンピュータにより評点した。合計の不動性は、秒で計算し、表した。このアッセイにおいて、媒体で処置したマウスは、典型的には、セッションの約30%で不動であったが、抗うつ剤での前処理は、この累積不動を著しく短縮した。処置効果は、未処理の不動経過時間(秒±SEM標準誤差])および不動性の低減の%=[1−(処置の不動性/媒体処置の不動性)]×100%として、ともに表1および図1〜6に示す。表1の用量欄の同様の上付き文字は、同じ実験に由来する値を示す(個別の処置と同時投与との区別を促進するため)。統計解析は、1元ANOVA分散分析)の後に、0.05の全体的なアルファ設定を用いるボンフェローニ多重比較検定を用いて行った。表1において、アスタリスク(*)は、媒体処置マウスに比較して有意な効果を示し、文字(aまたはb)は、単独化合物で処置したマウスに比較して有意な効果を示す(「a」は抗うつ剤からの有意性であり、「b」はテレンゼピンからの有意性である)。表1において、記号はp<0.05を示し、2つの記号はp<0.01を示し、3つの記号はp<0.001を示す)。統計的有意性を示すのに用いる記号は、対応する図中とは異なり得る。

0127

効果についての注解
表1にまとめるように、50mg/kg ip(図1)でのピレンゼピン単独、または25mg/kg ip(図2)もしくは60mg/kg po(図3)でのテレンゼピン単独の全身投与は、不動性を著しく低減させる。

0128

テレンゼピンを抗うつ剤と同時投与したとき、試験した3つ全ての組合せは、各化合物の活性以下の用量を組み合わせて、一般的に相乗的に見える著しい効果を生み出し得るという原則を示す。テレンゼピン+ベンラファキシンの組合せは、試験した組合せのうちで最大の効果を示した。テレンゼピンとベンラファキシンの同時投与は、単なる相加により予期される31%の低減をはるかに超える75%の有意な低減(p<0.01)を生み出す(図5)。同様に、10mg/kgのテレンゼピン+4mg/kgのフルオキセチンの同時投与は、個別の化合物の寄与から予期されるよりも大きい効果である54%の不動性の有意な低減(p<0.01)となる(図6)。テレンゼピンおよびセルトラリンの同時投与は、不動性の著しい43%の低減を生み出す(図4)。

0129

選択的M1R拮抗剤および抗うつ剤の組合せは、抗うつ剤化合物の「有効量」を、M1R拮抗剤(例えばテレンゼピン)を同時投与することにより、劇的に低減させ得ることを示す。ベンラファキシンの用量は、3倍低減でき(10mg/kgまで)、かつ5mg/kgのテレンゼピンを同時投与することにより効力をまだ維持できる。30mg/kgのベンラファキシンを単独で投与したときの72%の不動性の低減を、10mg/kgのベンラファキシンを5mg/kgのテレンゼピンと同時投与したときの75%の不動性の低減と比較されたい。同様に、セルトラリンの用量は、5倍低減でき(1mg/kgまで)、5mg/kgのTZPを同時投与することにより効力をまだ維持できる。5mg/kgのセルトラリンを単独で投与したときの48%の不動性の低減を、1mg/kgのセルトラリンを5mg/kgのテレンゼピンと同時投与したときの43%の不動性の低減と比較されたい。有効なフルオキセチン用量は、10mg/kgのTZPを同時投与することにより、約7倍低くできる(4mg/kgまで)と見積もられる。

実施例

0130

本明細書に記載される実施例および実施形態は、説明の目的のためのものに過ぎず、その観点での種々の改変または変更は、当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれる。本明細書で引用される全ての出版物、特許および特許出願は、その全体が全ての目的のために参照により組込まれる。

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