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技術 エレベータ用の引張り部材

出願人 オーチスエレベータカンパニー
発明者 バランダ,ペドロエス.メロー,アリーオウ.オドネル,ヒュージェイ.
出願日 2011年10月6日 (8年8ヶ月経過) 出願番号 2011-221510
公開日 2012年2月23日 (8年4ヶ月経過) 公開番号 2012-036009
状態 特許登録済
技術分野 ロープ又はケーブル一般 エレベーターの昇降案内装置及びロープ類
主要キーワード 応力分配 自動推進式 牽引面 牽引駆動装置 鋼製ワイヤ 鋼製ワイヤロープ 切りこみ 外側ワイヤ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

エレベータ装置(12)の引張り部材(22)の最大ロープ圧力を減少させるとともに柔軟性を増大させ、従来よりも小型の綱車(24)とともに使用可能とする。

解決手段

エレベータ装置(12)の引張り部材(22)は、1より大きいアスペクト比を有する。ここで、アスペクト比は、引張り部材の厚さtに対する幅wの比(w/t)として規定されている。引張り部材は、共通コーティング層内部に挿入された、金属材料からなる複数の独立した荷重運搬コード(26)を備えている。このコーティング層(28)によって、独立したロープ(26)が分離されているとともに、駆動綱車(24)と接触する接触面(30)が定められている。

概要

背景

一般的な牽引エレベータ装置は、かご釣合いおもり、かごと釣合いおもりとを連結する2本またはそれ以上のロープ、ロープを駆動する駆動綱車、及び駆動綱車を回転させる機械を備えている。これらのロープは、鋼製ワイヤをよったものつまりったものであり、綱車は、鋳鉄からなるものである。機械として、ギアを備えたもの、もしくは備えていないもののどちらを利用することもできる。ギアを備えた機械によって、より小型で低コスト高速モータを使用することが可能となるが、付加的な整備及び空間が必要となる。

一般的な円形鋼製ロープ及び鋳鉄製綱車は、非常に信頼性が高く、かつコスト効率が高いことが分かっているが、これらを使用する際には制限がある。1つの制限は、ロープと綱車との間の牽引力である。このような牽引力は、ロープの接触角を増大させること、もしくは綱車に溝部を切りこむこと、によって、増加させることができる。しかし、これらの技術を利用した場合、摩耗(接触角)もしくはロープ圧力(切りこみ)が増大することに起因して、ロープの耐久性が低下してしまう。牽引力を増加させる他の方法は、合成材料から形成されたライナを綱車の溝部に設けることである。このようなライナによって、ロープ及び綱車の摩耗が緩和されると同時に、ロープと綱車との間の摩擦係数が増加する。

円形の鋼製ロープを使用する際のもう1つの制限は、このような円形の鋼製ワイヤロープの柔軟性及び疲労特性に関する。エレベータの安全規約では、現在、各鋼製ロープの最小直径d(CENではdmin=8mm、ANSIではdmin=9.5mm(3/8“))が規定され、かつ牽引式エレベータのD/d比が40以上であること(D/d≧40)が要求されている。Dは、綱車の直径である。これにより、綱車の直径Dは、少なくとも320mm(ANSIでは380mm)と規定される。綱車の直径Dが大きいほど、エレベータ装置を駆動するために機械に要求されるトルクが大きくなる。

高い引張り強度を有する軽量の合成繊維の開発に伴って、アラミド繊維などの合成繊維からなる荷重運搬ストランドを有するロープが、エレベータの鋼製ワイヤロープに替わるものとして提案されている。このような提案を行っている最近の文献には、特許文献1〜4が含まれる。これらに文献には、鋼繊維をアラミド繊維に替えることの利点として、重量に対する引張り強度の比率の向上、およびアラミド材料による柔軟性の向上とともに、ロープと綱車の合成繊維間で牽引力が向上する可能性があることが挙げられている。

一般的な円形ロープの他の欠点は、ロープ圧力が大きいほど、ロープの寿命が短いことである。ロープ圧力(Prope)は、ロープが綱車上を移動する際に発生するものであり、ロープにおける張力(F)に正比例し、かつ綱車の直径D及びロープの直径dに反比例する(つまりPropeはF/(Dd)に比例する)。加えて、綱車に切りこみを入れるといった牽引力増大技術が適用された綱車の溝部形状によって、ロープが受ける最大ロープ圧力がいっそう増大する。

概要

エレベータ装置(12)の引張り部材(22)の最大ロープ圧力を減少させるとともに柔軟性を増大させ、従来よりも小型の綱車(24)とともに使用可能とする。エレベータ装置(12)の引張り部材(22)は、1より大きいアスペクト比を有する。ここで、アスペクト比は、引張り部材の厚さtに対する幅wの比(w/t)として規定されている。引張り部材は、共通コーティング層内部に挿入された、金属材料からなる複数の独立した荷重運搬コード(26)を備えている。このコーティング層(28)によって、独立したロープ(26)が分離されているとともに、駆動綱車(24)と接触する接触面(30)が定められている。

目的

上述したように、コーティング層28内の過剰な応力を防止すると同時に、引張り部材22の耐用年数が最大となるように十分な材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

エレベータ装置かごに吊り上げ力を提供する引張り部材であって、該引張り部材は、エレベータ装置の回転可能な綱車と接触可能に設けられており、該引張り部材は、コーティング層内に挿入された荷重運搬コードを有しており、前記荷重運搬コードは、金属材料で形成されており、前記コーティング層は、非金属材料で形成されていることを特徴とする引張り部材。

請求項2

離間された複数の金属製コードを含み、前記コーティング層は、該離間された複数の金属製コードを囲んでいることを特徴とする請求項1記載の引張り部材。

請求項3

前記コーティング層は、難燃性であることを特徴とする請求項1記載の引張り部材。

請求項4

前記各コードは、隣接するワイヤ間に空間が生じるように、複数のワイヤによって構成されており、前記コーティング層がこれらの空間を満たしていることを特徴とする請求項1記載の引張り部材。

請求項5

エレベータ装置のかごに吊り上げ力を提供する引張り部材であって、該引張り部材は、幅w、曲げ方向に測定された厚さt、および該引張り部材の幅寸法によって定められる接触面を有し、該引張り部材は、厚さtに対する幅wの比率として定義されるアスペクト比が1より大きく、該引張り部材は、共通のコーティング層内に挿入された複数の独立した荷重運搬コードを含んでおり、該コーティング層は、難燃性であることを特徴とする引張り部材。

技術分野

0001

本発明は、エレベータ装置に関し、特に、エレベータ装置のための引張り部材に関する。

背景技術

0002

一般的な牽引式エレベータ装置は、かご釣合いおもり、かごと釣合いおもりとを連結する2本またはそれ以上のロープ、ロープを駆動する駆動綱車、及び駆動綱車を回転させる機械を備えている。これらのロープは、鋼製ワイヤをよったものつまりったものであり、綱車は、鋳鉄からなるものである。機械として、ギアを備えたもの、もしくは備えていないもののどちらを利用することもできる。ギアを備えた機械によって、より小型で低コスト高速モータを使用することが可能となるが、付加的な整備及び空間が必要となる。

0003

一般的な円形鋼製ロープ及び鋳鉄製綱車は、非常に信頼性が高く、かつコスト効率が高いことが分かっているが、これらを使用する際には制限がある。1つの制限は、ロープと綱車との間の牽引力である。このような牽引力は、ロープの接触角を増大させること、もしくは綱車に溝部を切りこむこと、によって、増加させることができる。しかし、これらの技術を利用した場合、摩耗(接触角)もしくはロープ圧力(切りこみ)が増大することに起因して、ロープの耐久性が低下してしまう。牽引力を増加させる他の方法は、合成材料から形成されたライナを綱車の溝部に設けることである。このようなライナによって、ロープ及び綱車の摩耗が緩和されると同時に、ロープと綱車との間の摩擦係数が増加する。

0004

円形の鋼製ロープを使用する際のもう1つの制限は、このような円形の鋼製ワイヤロープの柔軟性及び疲労特性に関する。エレベータの安全規約では、現在、各鋼製ロープの最小直径d(CENではdmin=8mm、ANSIではdmin=9.5mm(3/8“))が規定され、かつ牽引式エレベータのD/d比が40以上であること(D/d≧40)が要求されている。Dは、綱車の直径である。これにより、綱車の直径Dは、少なくとも320mm(ANSIでは380mm)と規定される。綱車の直径Dが大きいほど、エレベータ装置を駆動するために機械に要求されるトルクが大きくなる。

0005

高い引張り強度を有する軽量の合成繊維の開発に伴って、アラミド繊維などの合成繊維からなる荷重運搬ストランドを有するロープが、エレベータの鋼製ワイヤロープに替わるものとして提案されている。このような提案を行っている最近の文献には、特許文献1〜4が含まれる。これらに文献には、鋼繊維をアラミド繊維に替えることの利点として、重量に対する引張り強度の比率の向上、およびアラミド材料による柔軟性の向上とともに、ロープと綱車の合成繊維間で牽引力が向上する可能性があることが挙げられている。

0006

一般的な円形ロープの他の欠点は、ロープ圧力が大きいほど、ロープの寿命が短いことである。ロープ圧力(Prope)は、ロープが綱車上を移動する際に発生するものであり、ロープにおける張力(F)に正比例し、かつ綱車の直径D及びロープの直径dに反比例する(つまりPropeはF/(Dd)に比例する)。加えて、綱車に切りこみを入れるといった牽引力増大技術が適用された綱車の溝部形状によって、ロープが受ける最大ロープ圧力がいっそう増大する。

先行技術

0007

米国特許第4022010号明細書
米国特許第4624097号明細書
米国特許第4887422号明細書
米国特許第5566786号明細書

発明が解決しようとする課題

0008

上述の合成繊維のロープの柔軟性によって、要求されるD/dの比率が減少し、またこれにより綱車直径Dが減少する可能性があるが、ロープは、なおも大きなロープ圧力にさらされる。綱車直径Dとロープ圧力は逆比例するので、アラミド繊維からなる従来のロープによって得られる綱車直径の減少が制限されている。加えて、アラミド繊維は、高い引張り強度を有する一方で、横方向の負荷を受けたときに損傷しやすい。D/dの必要条件が減少しても、結果的に生じるロープ圧力によってアラミド繊維が不当に損傷され、ロープの耐久性が低下するおそれがある。

0009

上述した技術があるにも拘わらず、本出願人の譲度人の指示下にある科学者及び技術者は、エレベータ装置を駆動するための、効率及び耐久性が優れた方法及び装置の開発に努めている。

課題を解決するための手段

0010

本発明によると、エレベータ用の引張り部材は、1より大きいアスペクト比を有し、ここで、アスペクト比は、引張り部材の幅w対厚さtの比として定義される(アスペクト比=w/t)。

0011

本発明の主な特徴は、引張り部材の平坦な形状である。アスペクト比の増加により、ロープ圧力を分配するように最適化された幅寸法によって定められる接触面が得られる。従って、引張り部材における最大圧力が最小化される。さらに、アスペクト比が1に等しい円形ロープに比べて、アスペクト比を増加させることにより、引張り部材の断面積を一定に保ちながら引張り部材の厚さを減少させることができる。

0012

さらに本発明によると、引張り部材は、共通のコーティング層内に挿入された複数の独立した荷重運搬コードを有する。このコーティング層は、個々のコードを分離するとともに、駆動綱車との接触面を定める。

0013

引張り部材の構成により、引張り部材に亘ってより均一にロープ圧力を分配することができる。これにより、同様の荷重運搬能力を有する従来のロープを備えるエレベータに比べて最大ロープ圧力がかなり減少する。さらに、同等の負荷容量に対して、(曲げ方向に測定された)有効なロープ直径“d”が減少する。従って、D/d比を減少させることなく、綱車直径“D”の値を小さくすることができる。さらに、綱車の直径Dが最小となることで、ギアボックスを必要とすることなく、低コストで、かつ小型の高速モータを駆動機械として使用可能となる。

0014

本発明の特定の実施例では、個々のコードがアラミド繊維などの非金属材料のストランドによって構成される。このような材料の重量、強度、耐久性、そして特に柔軟性を有するコードを本発明の引張り部材に組み込むことによって、最大ロープ圧力を許容限度内に維持する一方で、許容できる駆動綱車直径をさらに減少させることができる。上述したように、綱車の直径が小さいと、綱車を駆動する機械に要求されるトルクが減少するとともに、回転速度が増加する。従って、より小さく、かつ低コストの機械を使用してエレベータ装置を駆動することが可能となる。

0015

本発明の他の特定の実施例では、個々のコードは、鋼といった金属材料のストランドから形成されている。適切な寸法および構成とされた柔軟性を有する金属材料のコードを、本発明の引張り部材に組み込むことによって、駆動綱車の許容直径が減少すると同時に、ロープの最大圧力を許容限界値以下に維持することができる。

0016

コーティング層は、種々の利点をもたらす。第1に、エラストマコーティング層は、鋳鉄もしくは他の金属材料からなる駆動綱車と接触する従来の鋼製ロープに比べて牽引力を向上させる。第2に、コーティング層によって、金属製コード密閉され、従来の鋼製ロープで要求されるコードの連続的な潤滑の必要がなくなる。第3に、コーティング層は、コードの隣接するストランド間の空間を満たし、ワイヤ間の接触を防止する。このような接触は、コードのフレッチング劣化につながる。

0017

さらに、コーティング層は、荷重運搬コードの周り保護シースを提供し、溶剤や炎などの環境要因による偶然の損傷を防止する。これは、特に火事の場合に重要である。非金属製および金属製コードの両方に関して、コーティング層を難燃性成分で形成することができる。難燃性のコーティング層は、熱および火災に弱いおそれのある非金属製コードに対する火災の影響を最小に抑える。さらに、鋼や他の金属製コードは、本質的に難燃性であるが、難燃性のコーティングを有することで、燃えてロープから遊離したコーティング層材料が、昇降路内で周囲に損傷を与える事態を避けることができるという付加的な利点が得られる。コーティング層を難燃性にすることで、コーティング層材料がロープから分離して周囲に損傷を与えるおそれが少なくなる。

0018

ここで、“難燃性”とは、材料から火炎を離すと、自己消火性がある材料を指す。本発明の他の特定の実施例では、エレベータ装置の牽引駆動装置は、アスペクト比が1よりも大きい引張り部材とこの引張り部材を受けるように形状づけられた牽引面を有する駆動綱車とを含む。引張り部材は、その幅寸法によって定められる接触面を備える。綱車の牽引面と接触面は、相補的な形状となっており、牽引力を与えるとともに引張り部材と綱車の間の接触状態を案内する。他の構成では、牽引駆動装置は、駆動綱車と接触する複数の引張り部材を含み、綱車は、両側に設けられた一対のリムと隣接する引張り部材の間に設けられた1つまたはそれ以上のデバイダを備えている。一対のリムとデバイダは、引張り部材を案内するように機能し、ロープが緩んだ場合などに全体のアライメントに問題が起こるのを防止する。

0019

さらに他の実施例では、綱車と引張り部材の間の牽引力を最適化し、かつ引張り部材の摩耗を最小にする材料によって綱車の牽引面が定められる。1つの構成では、牽引面は、綱車に備えられた綱車ライナと一体に設けられている。他の構成では、牽引面は、駆動綱車に接合されたコーティング層によって定められている。更に他の構成では、駆動綱車は、牽引面を定めている材料から形成される。

0020

ここでは、駆動綱車を有するエレベータ用途で使用される牽引装置に関して主に説明したが、引張り部材は、間接ロープ式エレベータ装置リニアモータ駆動のエレベータ装置、および釣合いおもりを有する自動推進式エレベータなど、引張り部材の駆動に駆動綱車を使用しないエレベータ用途でも有用かつ有益でありうる。このような用途では、エレベータ装置に必要な空間を減少させるために綱車の減少した寸法が有用でありうる。本発明に係る上記および他の目的、特徴、および利点は、以下の実施形態および添付図面によっていっそう明らかになる。

図面の簡単な説明

0021

本発明に係る牽引駆動装置を有するエレベータ装置の斜視図である。
引張り部材と綱車を示す、牽引駆動装置の断面図である。
複数の引張り部材を示す、他の実施例の断面図である。
引張り部材を中心に位置づけるために凸面形状を有する駆動綱車を示す他の実施例の断面図である。
牽引力を向上させるとともに引張り部材と綱車の間の接触状態を案内するように相補的な形状を有する駆動綱車と引張り部材を示す、他の実施例の断面図である。
引張り部材の断面図である。
中心ストランドの周りに6本のストランドを有する本発明の他の実施例における単一のコードの拡大断面図である。
本発明のまた他の実施例における単一のコードの拡大断面図である。
本発明のさらに他の実施例の拡大断面図である。

実施例

0022

図1に、牽引式エレベータ装置12が示されている。エレベータ装置12は、かご14、釣合いおもり16、牽引駆動装置18、及び機械20を備えている。牽引駆動装置18は、かご14と釣合いおもり16とを相互に連結する引張り部材22と、駆動綱車24と、を備えている。綱車24の回転により、引張り部材22、ひいてはかご14及び釣合いおもり16が移動するように、引張り部材22は綱車24と接触している。機械20は、綱車24と係合して、これを回転させる。ギアを備えた機械20が図示されているが、この構成は単に例示的なものであり、本発明は、ギアを備えた機械または備えていない機械のどちらでも利用可能である。

0023

引張り部材22及び綱車24は、図2により詳細に示されている。引張り部材22は、共通コーティング層28の内部に複数のコード26を含む単一部材である。各ロープ26は、商業的に入手可能なアラミド繊維といった高強度の合成非金属繊維のストランドがよられたものつまり捻られたものから形成されている。コード26は、長さが等しく、コーティング層28内で幅方向にほぼ等間隔で離間されており、かつ幅寸法に沿って直線状に配置されている。コーティング層28は、ポリウレタン材料、好ましくは熱可塑性ウレタンより形成され、この材料は、個々のコード26の他のコード26に対する長手方向移動拘束するように、複数のコード26上およびその中を通って押し出される。他の実施例には、透明な材料を使用するものも含まれ、このような材料は、平形ロープ目視検査を容易とするので有利でありうる。もちろん、色は、構造には無関係である。牽引力、摩耗性、コード26への牽引負荷の伝達、環境要因に対する耐性などのコーティング層に要求される機能を十分に満たせば、他の材料もコーティング層28として使用可能である。さらに、熱可塑性ウレタンの機械的性質に満たない他の材料を使用した場合には、綱車直径を飛躍的に縮小するという本発明の更なる利点が完全に得られないおそれがある。熱可塑性ウレタンの機械的性質を利用した場合には、綱車直径が100ミリメートル以下に縮小可能である。コーティング層28は、駆動綱車24の対応する面と接触する接触面30を定める。

0024

図6でさらに明瞭に示しているように、引張り部材22は、引張り部材22の長さに対して横方向に測定した幅wと、綱車24を中心とした引張り部材22の曲げ方向に測定した厚さt1を有する。各コード26は、直径dを有し、かつ距離sによって離間されている。さらに、コード26と接触面30の間のコーティング層28の厚さt2、およびコード26と反対側の面との間の厚さt3は、t1=t2+t3+dとなるように定められる。

0025

引張り部材22の全体寸法によって、アスペクト比が1よりかなり大きい断面が得られ、ここで、アスペクト比は、幅w対厚さt1の比(アスペクト比=w/t1)として定義される。アスペクト比が1の場合は、従来の円形ロープで一般的な円形の断面に対応する。アスペクト比が高いほど、引張り部材22の断面がより平坦になる。引張り部材22を平ら延ばすと、断面積すなわち荷重運搬能力を犠牲にすることなく、引張り部材22の厚さt1が最小となるとともに幅wが最大となる。この形状により、ロープ圧力が引張り部材22の幅に亘って分配されるとともに、断面積つまり荷重運搬能力が同等な円形ロープに比べて最大ロープ圧力が減少する。コーティング層28内に5本の独立したコード26が配置されている図2の引張り部材22では、アスペクト比が5より大きい。アスペクト比は、5より大きく図示されているが、アスペクト比が1より大きく、特にアスペクト比が2より大きい引張り部材によって利点が得られると思われる。

0026

隣接するコード26の離間距離sは、引張り部材22の材料と製造工程、および引張り部材22に亘るロープの応力分配によって決定される。荷重を考慮すると、隣接するコード26の離間距離sを最小とし、コード26間のコーティング材料の量を減少させることが望ましい。しかし、ロープの応力分配を考慮すると、隣接するコード26間のコーティング層における過剰な応力を防止するように、コード26を互いに近接した距離で設けることが制限されうる。これらの考慮すべき事項に基づいて、荷重運搬に関する特定の必要条件に対して離間距離を最適化することができる。

0027

コーティング層28の厚さt2は、ロープの応力分配とコーティング層28の材料の摩耗特性によって決定される。上述したように、コーティング層28内の過剰な応力を防止すると同時に、引張り部材22の耐用年数が最大となるように十分な材料を提供することが望ましい。

0028

コーティング層28の厚さt3は、引張り部材22の使用法によって決定される。図1に示したように、引張り部材22は、単一の綱車24上を移動するので、頂面32が綱車24と接触しない。この用途では、引張り部材22が綱車24上を移動するときのひずみに耐えうる十分な厚さを有する限り、厚さt3を非常に薄くすることができる。また、厚さt3内の張力を減少させるように、引張り部材の表面32に溝を切ることが望ましい場合もある。一方、引張り部材22を、第2の綱車の周りで反対方向に曲げる必要のあるエレベータ装置で使用する場合には、t2と同等な厚さt3が要求されうる。この用途では、引張り部材22の頂面32と下面30の両方が接触面となり、これらの面の摩耗と応力に関する必要条件は同様となる。

0029

個々のコード26の直径dとコード26の数は、特定の用途によって異なる。上述のように、コード26の柔軟性が最大、かつ応力が最小となるように、厚さdをできる限り小さく維持することが望ましい。

0030

図2には、複数の円形ロープ26がコーティング層28の内部に埋め込まれているものを示したが、コスト、耐性および製造の容易性などの理由により、アスペクト比が1より大きいものを含め、他の形状を有する個々のロープを引張り部材22に利用することも可能である。ロープはコーティング層内部に挿入され、コーティング層によって接触面が定められているため、実際のロープ形状は、牽引力のためにはあまり重要ではなく、他の目的のために最適化されうる。

0031

他の好適な実施例では、各コード26は、好ましくは7本のストランドが捻られたものから形成され、各ストランドは、7本の金属ワイヤが捻られたものからなる。本発明のこの構成の好適な実施例では、高炭素鋼が用いられる。鋼は、冷間引抜きされるとともに亜鉛めっきされ、このような処理によって得られる周知の強度及び耐食性を有することが好ましい。コーティング層は、好ましくは、エーテルベースで、かつ難燃性成分を含んでいるポリウレタン材料である。難燃性は、本質的に難燃性であるコーティング材料を選択するか、もしくは添加剤を加えてコーティング層材料を難燃性とすることができる。このような添加剤の例には、リン酸エステルメラミンハロゲンが含まれる。

0032

図7を参照すると、鋼製コードを備えた好適な実施例では、コード26の各ストランドは、7本のワイヤを有しており、中心ワイヤ31の周りに6本のワイヤ29が捻られた状態となっている。各コード26は、中心に配置された1本のストランド27aと、中心のストランド27aの周りに捻られた6本の外側ストランド27bと、を有する。好ましくは、中心ストランド27aを構成する個々のワイヤ29の捻りパターンは、中心ストランド27aの中心ワイヤ31の周りに単一方向に捻られたものであり、外側ストランド27bのワイヤ29は、外側ストランド27bの中心ワイヤ31の周りに反対方向に捻られている。ストランド27aにおいてワイヤ29が中心ワイヤ31の周りに捻られているのと同一の方向で、外側のストランド27bは、中心ストランド27aの周りに捻られている。例えば、1つの実施例では、個々のストランドが中心ワイヤ31を有しており、中心ストランド27aでは、中心ワイヤ31の周りに6本のワイヤ29が時計方向に捻られ、外側ストランド27bでは、ワイヤ29が反時計方向に捻られている。さらに、コード26のレベルでは、外側ストランド27bは、中心ストランド27aの周りに時計方向に捻られている。捻りの方向によって、コードの全ワイヤにおける荷重分配特性が改善される。

0033

本発明のこの実施例を成功させるためには、非常に小さな寸法のワイヤ29を用いることが重要である。各ワイヤ29,31の直径は、0.25ミリメートル未満であり、好ましくは、約0.10〜0.20ミリメートルである。特定の実施例では、ワイヤの直径は、0.175ミリメートルである。小さな寸法のワイヤを好んで用いることによって、直径の小さな綱車を使用することができるという利点が得られる。直径の小さなワイヤは、平形ロープのストランドに過剰な応力を加えることなく、(直径約100ミリメートルの)小さな直径の綱車の曲げ半径に耐えうる。本発明のこの特定の実施例において、好ましくは全直径が約1.6ミリメートルの、複数の細いコード26を平形ロープのエラストマに挿入しているため、各コードに加わる圧力が、従来技術のロープよりもはるかに低減される。nを平形ロープ内部の平行なコードの数とすると、所定の荷重およびワイヤ断面積に対して、コード圧力は少なくともn-1/2に減少する。

0034

図8を参照すると、金属材料からなるコードを備えた構成の他の実施例では、各コード26における中心ストランド37aの中心ワイヤ35の直径が大きくなっている。例えば、上述した実施例の(直径0.175ミリメートルの)ワイヤ29が利用される場合、全コードの内中心ストランドの中心ワイヤ35のみが、約0.20〜0.22ミリメートルの直径を有する。このように中心ワイヤの直径を変更することの効果は、ストランド37aの周りに捻られているストランド37b間の接触が低減されるだけでなく、ワイヤ35を囲んでいるワイヤ29間の接触が低減されることである。このような実施例では、コード26の直径は、上述した実施例の1.6ミリメートルよりも僅かに大きくなる。

0035

図9を参照すると、金属材料からなるコードを備えた構成の第3の実施例では、図8の実施例の概念発展させることによって、ワイヤとワイヤとの間、ストランドとストランドとの間、の接触がさらに低減されている。本発明のコードは、3つの異なる寸法のワイヤを用いて構成されている。この実施例では、最も太いワイヤは、中心ストランド200の中心ワイヤ202である。中間の直径を有するワイヤ204は、中心ストランド200の中心ワイヤ202の周りに配置されており、中心ストランド200の一部となっている。この中間の直径を有するワイヤ204は、さらに、全ての外側ストランド210の中心ワイヤ206となっている。最も小さな直径のワイヤは、208の符号が付されており、各外側ストランド210において各ワイヤ206に巻きついている。この実施例の全ワイヤの直径もまた、0.25mm未満である。代表的な実施例では、ワイヤ202を0.21mm、ワイヤ204を0.19mm、ワイヤ206を0.19mm、ワイヤ208を0.175mm、とすることができる。この実施例では、ワイヤ204およびワイヤ206は、直径が等しく、単に配置に関する情報を提供するために、別個に符号が付されている。本発明は、ワイヤ204およびワイヤ206の直径が等しいものに限定されない。用いられているワイヤの全ての直径は、単に例示的なものであり、中心ストランドの外側ワイヤ間の接触が低減され、外側ストランドの外側ワイヤ間の接触が低減され、かつ外側ストランド間の接触が低減されるような接合の原理に従って再編成することが可能である。(単に例示的な目的のために)記載された実施例では、外側ストランドの外側ワイヤ間には、0.14mmの間隔が得られる。ワイヤ間の空間は、コードにコーティング層を施す工程においてコーティング材料で満たされる。この結果、コーティング層が、ワイヤ間の接触を減少させることに寄与する。

0036

図2を再び参照すると、駆動綱車24は、基部40およびライナ42を備えている。基部40は、鋳鉄からなるとともに、溝部46を構成するように綱車24の両側に配置された一対のリム44を備えている。ライナ42は、牽引面50を有する基部48と、綱車24のリム44によって支持されている一対のフランジ52と、を備えている。ライナ42は、例えば出願人が有する米国特許第5,112,933号に記載されているようなポリウレタン材料、もしくは、コーティング層28の接触面30とともに所望の牽引力を提供し、かつ摩耗性を有するような他の適した材料から形成される。引張り部材22もしくは綱車24を交換する際のコストは高いため、牽引駆動装置18において、綱車24もしくは引張り部材22ではなく、綱車のライナ42が摩耗することが望ましい。従って、ライナ42は、牽引駆動装置18において、犠牲層として機能する。ライナ42は、接合もしくは他の一般的方法により溝部46内に保持されているとともに、引張り部材22を受容するための牽引面50を画定している。牽引面50は、直径Dを有する。牽引面50と接触面30との間の接触によって、エレベータ装置12を駆動するための牽引力が得られる。上述した牽引部材とともに利用される綱車の直径は、従来技術の綱車よりも飛躍的に減少する。特に、本発明の平形ロープとともに利用される綱車の直径は、100mm以下にまで減少されうる。当業者にはすぐ認識されうるように、このように綱車の直径が減少することによって、非常に小さな機械を使用することが可能となる。実際、機械の寸法は、例えば一般的な8人乗りエレベータのための低層用ギアレス装置において通常の寸法の1/4に減少されうる。このことは、100mmの綱車によって必要なトルクが約1/4に低減し、モータの回転速度が増大するためである。従って、図示されている機械にかかるコストが減少する。

0037

綱車がライナ42を備えているように図示されているが、ライナ42を備えていない綱車とともに引張り部材22を利用することも可能なことは、当業者には明らかであろう。ライナ42に代えて、ポリウレタンといった選択された材料の層を綱車にコーティングすることもでき、もしくは、綱車を、適切な合成材料から形成つまり成形することも可能である。このような実施例は、綱車の寸法が減少したことにより、綱車のライナを交換するよりも単に綱車全体を交換する方が低コストであることが確認された場合にコスト効率が良好となりうる。

0038

綱車24およびライナ42の形状によって、引張り部材22が受容される空間54が画定されている。リム44およびライナ42のフランジ52は、引張り部材22と綱車24との間の接触に対する境界面を定め、引張り部材22が綱車24から外れないようにこの接触状態を案内するようになっている。

0039

牽引駆動装置18についての他の実施例が図3に示されている。この実施例では、牽引駆動装置18は、3本の引張り部材56および駆動綱車58を備えている。各引張り部材56の形状は、図1および図2に関して説明した引張り部材22と同様である。駆動綱車58は、基部62、綱車58の両側に配置された一対のリム64、一対のデバイダ66および3つのライナ68を備えている。デバイダ66は、横方向に、リム64から離間されているとともに、互いに離間されており、ライナ68を受容する3つの溝70を画定している。図2に関して説明したライナ42と同様に、各ライナ68は、1つの引張り部材56を受容する牽引面74を画定する基部72と、リム64もしくはデバイダ66に隣接する一対のフランジ76と、を備えている。さらに図2に示されているように、ライナ42は、引張り部材の端部とライナ42のフランジ76との間にスペース54が存在しうる幅となっている。

0040

牽引駆動装置18の他の実施例が図4および図5に示されている。図4には、凸面形状の牽引面88を有する綱車86が示されている。このような牽引面88の形状によって、運転中、平形引張り部材90が中心位置に保持される。図5には、被覆されたコード96によって定められる、形状づけられた接触面94を有する引張り部材92が示されている。駆動綱車98は、ライナ100を備えており、このライナ100は、引張り部材92の外形に対して相補的な外形を有する牽引面102を有する。このような相補的形状によって、引張り部材が接触状態で案内されるとともに、引張り部材92と駆動綱車98との間の牽引力が増大する。

0041

本発明の引張り部材および牽引駆動装置を利用することによって、ロープの最大圧力が著しく減少し、これに対応して、綱車の直径および要求されるトルクが減少する。このようなロープの最大圧力の減少は、引張り部材の断面のアスペクト比が1より大きいことに起因する。このような形状の場合、ロープの最大圧力の概算値は、以下のように計算される。

0042

0043

ここで、Fは、引張り部材における最大張力である。個々のロープが不連続な場合には僅かに大きい値となる。円形ロープが円形状溝部内にある場合、ロープの最大圧力の概算値は、以下のように計算される。

0044

0045

直径および張力レベルが同等であるとすると、係数(4/π)によって、ロープの最大圧力が少なくとも27%大きい値となる。より重要なことは、幅wがコードの直径dよりもはるかに大きいことであり、これによって、ロープの最大圧力が著しく減少する。従来のロープ用溝部が切り込まれている場合には、ロープの最大圧力はいっそう大きくなるため、平形引張り部材を用いることによって、ロープの最大圧力を相対的に減少させることができる。本発明の引張り部材の他の利点は、引張り部材の厚さt1が、同等の荷重運搬能力を有する円形ロープの直径dよりもはるかに小さいことである。このことによって、引張り部材の柔軟性が、従来のロープよりも向上する。

0046

本発明は、その実施例に関して開示および説明したが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更、省略および追加を行うことができることは、当業者には認識されよう。

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