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技術 ステレオコンプレックス体及びその製造方法

出願人 学校法人日本大学株式会社三栄興業
発明者 澤口孝志佐々木大輔
出願日 2010年8月2日 (10年3ヶ月経過) 出願番号 2010-173945
公開日 2012年2月16日 (8年9ヶ月経過) 公開番号 2012-031340
状態 特許登録済
技術分野 高分子物質の処理方法 高分子組成物 付加系(共)重合体、後処理、化学変成 生分解性ポリマー
主要キーワード 埋蔵資源 高度制御 非石油系原料 ポリオレフィンブロック共重合体 ラクトン重合体 メタルバス ラボスケール ショルダーピーク
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重要な関連分野

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図面 (5)

課題

新規な構造を有するステレオコンプレックス体、すなわち、ポリ(D又はL)−乳酸ブロック及び他の重合体ブロックを有するポリマーによるステレオコンプレックス体を提供する。

解決手段

ポリ(D−乳酸ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(A)と、ポリ(L−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(B)と、から得られるステレオコンプレックス体。

概要

背景

近年、地球環境問題に強い関心が寄せられるようになり、地球温暖化問題における原因とされる温室効果ガスについて、その排出量を抑制する動き活発になってきている。また、有限埋蔵資源である石油枯渇についても、深刻な不足となることが懸念されている。

石油を原料とした従来型ポリマーにおいては、その原料が不足すること及び消費廃棄段階での温室効果ガス発生を抑制することは、当業界において重要な課題となっている。そのような状況の中で、非石油系原料を用いたポリ乳酸が一躍脚光を浴びている。

ポリ乳酸の原料である乳酸は、農作物からの乳酸発酵を経て得ることが出来るので、枯渇の心配はない。また、乳酸を構成する炭素は、植物によって大気中の炭酸ガス固定化したものであることから、ポリ乳酸が焼却等により廃棄処分されても、大気中の炭酸ガス全体量への影響は無いと見なすことが出来る。このことから、現在さまざまな用途において活発な技術開発が進められており、いくつかの商品も生まれている。

しかしながら、ポリ乳酸はその分子構造上、分子間力が小さい事から、熱によって容易に変形してしまうという問題がある。

これを解決する手段として、光学異性体であるL−乳酸とD−乳酸をそれぞれ別々に重合したポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)を混合・成形することで、ステレオコンプレックス結晶を形成し、耐熱性が向上することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。

また、ポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)によるステレオコンプレックス結晶の熱特性融点等)、力学的特性(強度等)などを改善することを目的として、種々の試みがなされている(特許文献1〜3参照)。ステレオコンプレックス結晶とは、分子鎖螺旋の方向が異なる、ポリ(L−乳酸)及びポリ(D−乳酸)が相補的充填されて複合体を形成してなるものである。

ステレオコンプレックス結晶を形成することにより、ホモ結晶と比較して融点が40℃程度上昇し、耐熱性が向上することが報告されている。

しかしながら、これら特許文献及び非特許文献に開示された試みは、いずれもポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)によるステレオコンプレックス体に向けられており、ポリ(D又はL)−乳酸ブロックとポリ(D又はL)−乳酸ブロック以外の重合体ブロックを有するポリマーによるステレオコンプレックス体については、ほとんど報告例が無い。

概要

新規な構造を有するステレオコンプレックス体、すなわち、ポリ(D又はL)−乳酸ブロック及び他の重合体ブロックを有するポリマーによるステレオコンプレックス体を提供する。ポリ(D−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(A)と、ポリ(L−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(B)と、から得られるステレオコンプレックス体。

目的

本発明は、新規な構造を有するステレオコンプレックス体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

ポリ(D−乳酸ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(A)と、ポリ(L−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(B)と、から得られるステレオコンプレックス体

請求項2

前記重合体(A)が、分子鎖末端ヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、D−乳酸及び/又はD−ラクチド重合させることにより得られるポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体であり、前記重合体(B)が、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、L−乳酸及び/又はL−ラクチドを重合させることにより得られるポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体である、請求項1記載のステレオコンプレックス体。

請求項3

前記官能性ポリオレフィンが、下記一般式(i)で表される構成単位から選択される少なくとも一種を構成単位とするポリオレフィン熱分解によって得られ、1分子当たりの平均末端ビニリデン基数が1.5〜1.9、数平均分子量(Mn)が1000〜100000、分子量分布分散度(Mw/Mw)が3.0以下である末端ビニリデン基含有ポリオレフィンをヒドロキシル化して得られる官能性ポリオレフィンである、請求項2記載のステレオコンプレックス体。(但し、式中、R1は、水素原子、−CH3、−C2H5又は−CH2CH(CH3)2を意味する。)

請求項4

分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、D−乳酸及び/又はD−ラクチドを重合させることによりポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体を調製する工程と、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、L−乳酸及び/又はL−ラクチドを重合させることによりポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体を調製する工程と、前記ポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体と前記ポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体を混合し、次いで該混合物を加熱により溶融し、さらに冷却することにより結晶化させる工程と、を有することを特徴とする、ステレオコンプレックス体の製造方法。

請求項5

さらに、前記官能性ポリオレフィンを得る工程として、ポリプロピレン、ポリ1−ブテンエチレンプロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体プロピレン・1−ブテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテンからなる群から選択される一種又は二種以上のポリオレフィンを溶融させ、減圧下、不活性ガスバブリングしつつ熱分解し、続いて当該熱分解生成物をヒドロキシル化する工程を有する、請求項4に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高分子化合物の技術分野に属し、特に、優れた耐熱性を有するステレオコンプレックス体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球環境問題に強い関心が寄せられるようになり、地球温暖化問題における原因とされる温室効果ガスについて、その排出量を抑制する動き活発になってきている。また、有限埋蔵資源である石油枯渇についても、深刻な不足となることが懸念されている。

0003

石油を原料とした従来型ポリマーにおいては、その原料が不足すること及び消費廃棄段階での温室効果ガス発生を抑制することは、当業界において重要な課題となっている。そのような状況の中で、非石油系原料を用いたポリ乳酸が一躍脚光を浴びている。

0004

ポリ乳酸の原料である乳酸は、農作物からの乳酸発酵を経て得ることが出来るので、枯渇の心配はない。また、乳酸を構成する炭素は、植物によって大気中の炭酸ガス固定化したものであることから、ポリ乳酸が焼却等により廃棄処分されても、大気中の炭酸ガス全体量への影響は無いと見なすことが出来る。このことから、現在さまざまな用途において活発な技術開発が進められており、いくつかの商品も生まれている。

0005

しかしながら、ポリ乳酸はその分子構造上、分子間力が小さい事から、熱によって容易に変形してしまうという問題がある。

0006

これを解決する手段として、光学異性体であるL−乳酸とD−乳酸をそれぞれ別々に重合したポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)を混合・成形することで、ステレオコンプレックス結晶を形成し、耐熱性が向上することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。

0007

また、ポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)によるステレオコンプレックス結晶の熱特性融点等)、力学的特性(強度等)などを改善することを目的として、種々の試みがなされている(特許文献1〜3参照)。ステレオコンプレックス結晶とは、分子鎖螺旋の方向が異なる、ポリ(L−乳酸)及びポリ(D−乳酸)が相補的充填されて複合体を形成してなるものである。

0008

ステレオコンプレックス結晶を形成することにより、ホモ結晶と比較して融点が40℃程度上昇し、耐熱性が向上することが報告されている。

0009

しかしながら、これら特許文献及び非特許文献に開示された試みは、いずれもポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)によるステレオコンプレックス体に向けられており、ポリ(D又はL)−乳酸ブロックとポリ(D又はL)−乳酸ブロック以外の重合体ブロックを有するポリマーによるステレオコンプレックス体については、ほとんど報告例が無い。

0010

特開2006−241607号公報
特開2008−248022号公報
特開2008−163111号公報

先行技術

0011

Takasaki,et.al.,Fiber Preprints(Annual Meeting)Japan,Vol.56,No.1(2001). 第67頁

発明が解決しようとする課題

0012

そこで、本発明は、新規な構造を有するステレオコンプレックス体を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決すべく、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、ホモポリ乳酸ブロック及びポリオレフィンブロックを有する重合体、並びに前記ホモポリ乳酸と逆不斉のホモポリ乳酸及び/又は前記ホモポリ乳酸と逆不斉のホモポリ乳酸ブロック及びポリオレフィンブロックを有する重合体がステレオコンプレックス体を形成し得ることを見出し、本発明を完成させた。特に、本発明は、以下の(1)〜(5)に関する。

0014

(1)ポリ(D−乳酸)ブロックと、ポリオレフィンブロックとを有する重合体(A)と、ポリ(L−乳酸)ブロックと、ポリオレフィンブロックとを有する重合体(B)と、から得られるステレオコンプレックス体。

0015

(2)前記重合体(A)が、分子鎖末端ヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、D−乳酸及び/又はD−ラクチドを重合させることにより得られるポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体であり、
前記重合体(B)が、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、L−乳酸及び/又はL−ラクチドを重合させることにより得られるポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体である、(1)記載のステレオコンプレックス体。

0016

(3)前記官能性ポリオレフィンが、下記一般式(i)で表される構成単位から選択される少なくとも一種を構成単位とするポリオレフィン熱分解によって得られ、1分子当たりの平均末端ビニリデン基数が1.5〜1.9、数平均分子量(Mn)が1000〜100000、分子量分布分散度(Mw/Mw)が3.0以下である末端ビニリデン基含有ポリオレフィンをヒドロキシル化して得られる官能性ポリオレフィンである、(2)記載のステレオコンプレックス体。

0017

(但し、式中、R1は、水素原子、−CH3、−C2H5又は−CH2CH(CH3)2を意味する。)

0018

(4)分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、D−乳酸及び/又はD−ラクチドを重合させることによりポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体を調製する工程と、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、L−乳酸及び/又はL−ラクチドを重合させることによりポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体を調製する工程と、前記ポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体と前記ポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体を混合し、次いで該混合物を加熱により溶融し、さらに冷却することにより結晶化させる工程と、を有することを特徴とする、ステレオコンプレックス体の製造方法。

0019

(5)さらに、前記官能性ポリオレフィンを得る工程として、ポリプロピレン、ポリ1−ブテンエチレンプロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体プロピレン・1−ブテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテンからなる群から選択される一種又は二種以上のポリオレフィンを溶融させ、減圧下、不活性ガスバブリングしつつ熱分解し、続いて当該熱分解生成物をヒドロキシル化する工程を有する、(4)に記載の製造方法。

発明の効果

0020

本発明により提供されるステレオコンプレックス体は、ポリ(D−乳酸)ブロックとポリ(L−乳酸)ブロックとがステレオコンプレックスを形成していると推定され、係るコンプレックス構造により優れた耐熱性を有する。

図面の簡単な説明

0021

参照例1で得られたiPP−OHの1H−NMRチャート
参照例3で得られたiPP−PLLAの1H−NMRチャート
実施例1の結果を示すDSCチャート
実施例2の結果を示すDSCチャート

0022

以下、本発明を、実施形態に即して詳細に説明する。なお、本発明において、「ポリ」と表記した場合においては、「オリゴ」の概念も含まれるものとする。

0023

本発明に係るステレオコンプレックス体は、ホモポリ乳酸ブロック及びポリオレフィンブロックを有する重合体、並びに前記ホモポリ乳酸と逆不斉のホモポリ乳酸及び/又は前記ホモポリ乳酸と逆不斉のホモポリ乳酸ブロック及びポリオレフィンブロックとを有する重合体から構成されているものである(場合により、さらに前記ホモポリ乳酸と同不斉のホモポリ乳酸を含んでも良い)。なお、ここで、「ホモポリ乳酸」とは、L体又はD体の光学純度が97%以上のもの、好ましくは100%のものを重合してなるものをいうものとする。

0024

本発明に係るステレオコンプレックス体の具体例としては、以下の通りである。
・ポリ(D−乳酸)ブロック及びポリオレフィンブロックを有する重合体、並びにポリ(L−乳酸)を混合して得られるステレオコンプレックス体(場合により、ポリ(D−乳酸)をさらに混合しても良い)。
・ポリ(D−乳酸)、並びに、ポリ(L−乳酸)ブロック及びポリオレフィンブロックを有する重合体を混合して得られるステレオコンプレックス体(場合により、ポリ(L−乳酸)をさらに混合しても良い)。
・ポリ(D−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(A)と、ポリ(L−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(B)と、を混合して得られるステレオコンプレックス体(場合により、ポリ(D−乳酸)及び/又はポリ(L−乳酸)をさらに混合しても良い)。
なお、本発明において、上記ステレオコンプレックス体と相溶可能なポリオレフィン等を適宜共存させても良いことは言うまでもない。

0025

これらのうち、本出願に係る、ポリ(D−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(A)と、ポリ(L−乳酸)ブロックとポリオレフィンブロックとを有する重合体(B)と、から構成されるステレオコンプレックス体について、以下詳細に説明する。

0026

重合体(A)としては、特に制限されるものではないが、下記一般式(i)で表される群から選択される少なくとも一種を構成単位とし、かつ、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、D−乳酸及び/又はD−ラクチドを重合させることにより得られるポリ(D−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体が好ましい。

0027

また、重合体(B)としては、特に制限されるものでないが、重合体(B)が、下記一般式(i)で表される構成単位の少なくとも一種を有し、かつ、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンの存在下、L−乳酸及び/又はL−ラクチドを重合させることにより得られるポリ(L−乳酸)−ポリオレフィンブロック共重合体が好適である。

0028

0029

(但し、式(i)中、R1は、水素原子、−CH3、−C2H5又は−CH2CH(CH3)2を表す。)

0030

上記一般式(i)で表される構成単位の少なくとも一種を有し、かつ、分子鎖末端にヒドロキシル基を有する官能性ポリオレフィンとしては、本発明者等により、Macromolecules, 28, 7973(1995)に報告された高度制御熱分解技術を使用して得られる末端ビニリデン基含有ポリオレフィンを、ヒドロキシル化することにより得られるものが好適である。

0031

高度制御熱分解法によって得られるポリオレフィンの熱分解生成物(末端ビニリデン基含有ポリオレフィン)は、下記一般式(ii)で表される、分子鎖両末端ビニリデン基を有するポリオレフィン、及び、下記一般式(iii)で表される、分子鎖片末端にビニリデン基を有するポリオレフィンの混合物であり、通常、数平均分子量(Mn)が1000〜100000、分散度(Mw/Mn)が3.0以下、1分子当たりのビニリデン基の平均数が1.5〜1.9の範囲であり、分解前の原料ポリオレフィン立体規則性を保持しているという特性を有している。

0032

(上記一般式(ii)及び一般式(iii)において、各R1は、それぞれ独立して、水素原子、−CH3、−C2H5又は−CH2CH(CH3)2を表し、m及びnは、それぞれ独立して、10〜2000の整数を表す。)

0033

分解前の原料のポリオレフィンの数平均分子量は、好ましくは1万〜100万の範囲内、より好ましくは5万〜70万の範囲内、さらに好ましくは10万〜50万の範囲内である。また、重量平均分子量は、好ましくは1万〜100万の範囲内、さらに好ましくは20万〜80万の範囲内である。

0034

熱分解装置としては、Journal of PolymerScience:Polymer Chemistry Edition, 21, 703(1983)に開示された装置を用いることができる。パイレックス(R)ガラス製熱分解装置の反応容器内に、例えばポリプロピレンを入れて、減圧下、溶融ポリマー相を窒素ガス激しくバブリングし、揮発性生成物抜き出すことにより、2次反応を抑制しながら、所定温度で所定時間、熱分解反応させる。熱分解反応終了後、反応容器中の残存物を熱キシレンに溶解し、熱時濾過後、アルコール再沈殿させ精製する。再沈物を濾過回収して、真空乾燥することにより末端ビニリデン基含有ポリプロピレンが得られる。

0035

熱分解条件は、分解前のポリオレフィンの分子量と最終目的物ブロック共重合体の1次構造から生成物の分子量を予測し、予め実施した実験の結果を案して調整する。熱分解温度は300℃〜450℃の範囲が好ましい。300℃より低い温度では、ポリオレフィンの熱分解反応が充分に進行しない恐れがあり、450℃より高い温度では、熱分解生成物の劣化が進行する恐れがある。

0036

熱分解するポリオレフィンとしては、特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテンが好適である。

0037

また、ポリオレフィンの立体規則性についても特に制限されるものではなく、イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックオリゴプロピレン及びアタクチックポリプロピレン等、種々のポリオレフィンを熱分解することが出来る。また、エチレン・プロピレン共重合体等の共重合体に関しては、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであっても良い。

0038

ヒドロキシル化は、上記方法に従って得られた末端ビニリデン基含有ポリオレフィンの二重結合を、ヒドロホウ素化に続く、酸化反応によってヒドロキシル化することにより達成される。例えば、テトラヒドロフラン溶媒とし、まずホウ素化試薬を加えてヒドロホウ素化する。ホウ素化試薬としては、9−ボランビシクロノナンやボラン−テトラヒドロフラン錯体を用いることができる。ヒドロホウ素化後の反応溶液過酸化水素水を加え、酸化反応させると官能性ポリオレフィンが得られる。なお、1分子当たりの末端ヒドロキシ基の平均数は、上記ビニリデン基の平均数に依存するものであり、1.5〜1.9の範囲となる。

0039

上述のようにして得られた官能性ポリオレフィンの存在下、乳酸及び/又はラクチドを重合させる条件としては、特に制限されるものではなく、通常公知の条件を採用することが出来る。具体的には、重合触媒として金属誘導体を使用する方法である。

0040

金属誘導体を使用する方法は、ラクチドの開環重合に好適である(Macromolecules 2000,33,7395−7403およびMacromolecules 1999,32,4794−4801等を参照)。触媒として作用する金属の誘導体としては、例えば、錫、亜鉛、鉛、チタンビスマスジルコニウムゲルマニウムアンチモンアルミニウムなどの金属の誘導体が挙げられる。反応性および生成する不純物が少ないことから、トリアルキルアルミニウムが好ましく、トリエチルアルミニウムの使用がより好ましい。

0041

反応溶媒としては、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテルトルエンベンゼンなど、ラクトン重合体を溶解し、かつ酵素失活させない溶媒であれば制限なく使用することができる。

0042

重合温度は、30ないし150℃が可能であるが、特に40ないし130℃の範囲内で行うことが好ましい。30℃より低いと反応速度が小さくなり、また、130℃を超えると、反応溶液が沸騰するおそれがある。

0043

反応の進行は、生成物を定性的若しくは定量的に分析することにより、確認することが可能である。具体的には、ガスクロマトグラフ液体クロマトグラフ質量分析、NMR、IR、UV−VIS又はこれらの組合せによる方法が挙げられる。また生成するブロック共重合体の分子量特性についてはGPC法測定可能であり、ミクロ構造についてはNMRやIR分光学的方法が適用可能である。

0044

反応終了後は、生成物の貧溶媒により再沈殿させて精製することができる。精製後は、通常、減圧乾燥により乾燥することが好ましい。

0045

この様にして得られた重合体(A)及び重合体(B)は、それぞれ、通常、数平均分子量(Mn)が5千〜50万の範囲内、好ましくは1万〜20万の範囲内である。また、重量平均分子量(Mw)は、通常、5千〜50万の範囲内、好ましくは1万〜30万の範囲内である。更に、分散度(Mn/Mw)は、通常1〜3の範囲内、好ましくは1〜2の範囲内にある。

0046

また、この様にして得られた重合体(A)又は重合体(B)は、それぞれ、下記一般式(iv)で表されるポリ(D又はL)−乳酸−ポリオレフィンブロック共重合体と、下記一般式(v)で表されるポリ(D又はL)−乳酸−ポリオレフィンブロック共重合体を含む混合物である。

0047

(上記式(iv)及び(v)において、各R1は、それぞれ独立して、水素原子、−CH3、−C2H5又は−CH2CH(CH3)2を表し、m及びnは、それぞれ独立して、10〜2000の整数を表す。また、o、p、及びqは、それぞれ独立して、10〜2000の整数を表す。)なお、式(iv)及び式(v)において、*は、D−乳酸若しくはD−ラクチドによる不斉炭素箇所(重合体(A)の場合)又はL−乳酸若しくはL−ラクチドによる不斉炭素箇所(重合体(B)の場合)を意味する。

0048

ステレオコンプレックス体の形成方法としては、特に制限されるものではなく、通常公知の方法を採用することが出来る。具体的には、例えば、重合体(A)及び重合体(B)のパウダーを混合し、当該混合物を加熱により溶融し、さらに冷却することにより結晶化させることが出来る。この場合、適宜、2軸押出機などの通常公知の溶融混練装置を用いることが出来る。溶融・混練温度としては、210〜260℃の範囲が好ましい。溶融・混練温度が210℃未満であると、ステレオコンプレックスの形成が不十分になるおそれがあり、260℃を超えると分解や着色のおそれがある。

0049

本発明に係るステレオコンプレックス体は、優れた耐熱性(通常、融点が180〜240℃、典型的には190〜230℃)を有することから、射出成形ブロー成形インフレーション成形などの成形法によって、種々の製品に成形することができる。

0050

また、本発明に係るステレオコンプレックス体の用途も特に制限されるものではなく、フィルムシート等様々な製品に成形することが出来る。また、本発明のステレオコンプレックス体は、ポリオレフィンと、ポリ−乳酸とのブレンド又はアロイを調製する際に極めて優れた相溶性を示す。特にイソタクチックポリプロピレンとポリ乳酸とのブレンドに添加することで、これらの全く極性相違するポリマーを相溶化させることができる。

0051

相溶化剤としての本発明のステレオコンプレックス体の使用方法には特に制限はない。本発明のステレオコンプレックス体、ポリ乳酸及びポリオレフィンを適切な混合比で、溶融混合等により混合してブレンドを調製することが可能である。相溶性の評価は、当該ブレンドの断面を観察することで可能である。断面の観察には、ポリマーブレンド又はアロイの分野において通常使用される装置や方法が使用可能である。具体的には、ブレンドしたポリマーの一方を溶媒によって溶出して得られた試料の断面を観察することが好ましい。

0052

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各実施例において分子量の測定条件及びNMRの測定条件は以下の通りである。

0053

分子量測定条件>
測定装置:GPC分析装置(HLC−8220GPC(東ソー(株)製))
カラム:TOSOHSKgelGMHXL,G3000HXL,G2000HXL
流速:1mL/min
溶媒:THF
溶質濃度:1mg/ml
標準物質ポリスチレン
温度:40℃
<NMR>
測定装置:FT−NMR:JNM−GX400(日本電子(株)製)
溶媒:CDCl3
<末端ビニリデン基数の測定方法
末端ビニリデン基数の測定は13C−NMRにより行い、21.5ppmの末端ビニリデン基隣接メチル炭素と12.5ppmの飽和末端メチル炭素のシグナル強度よりもとめた。例えば、末端二重結合含有ポリプロピレン(0.4g)、1,2,4−トリクロロベンゼン(2.1mL)、重水素化ベンゼン(0.7mL)、基準物質としてHMDSを用いて、10mm管で120℃で測定した。

0054

(合成例1):官能性ポリプロピレン(iPP−OH)の合成
熱分解装置として試料量最大5kgのラボスケール高度制御熱分解装置を使用した。市販のイソタクチックポリプロピレン(ノバテックPP(日本ポリプロピレン株式会社製)、グレード:EA9A、メルトフローインデックスMFR):0.5g/10min)2kgを反応器仕込み、系内を窒素置換後、2mmHgに減圧して、反応器を200℃に加熱して溶融した。その後、390℃に設定されたメタルバスに反応器を沈め、熱分解を行った。熱分解中は、系内を2mmHg程度の減圧状態に保ち、溶融ポリマーに導キャピラリーを導入し、該キャピラリーから排出される窒素ガスのバブリングによって攪拌した。2時間経過後、反応器をメタルバスからあげ、室温まで冷却した後、反応系を常圧にし、反応器内の残渣を熱キシレンにて溶解した後、メタノール滴下して再沈殿精製した。得られたポリマーは収率96%、数平均分子量(Mn)が35000、分散度(Mw/Mn)が2.9、一分子当たりの末端二重結合の平均数(fTVD)が1.7であった。

0055

上記のような高度制御熱分解によって得られた末端二重結合含有ポリプロピレン(Mn:1000、Mw/Mn:1.1、fTVD:1.8)20gおよびテトラヒドロフラン(THF)200mlを反応器に仕込み、窒素置換後、60mlのボラン−テトラヒドロフラン錯体(BH3−THF)THF溶液(1M)を加え、環流下で5時間加熱した。その後、氷浴中で5N水酸化ナトリウム水溶液60mlを加え、続いて、30%過酸化水素水溶液60mlを加え、環流下で12時間加熱した。反応後、反応混合物をメタノールに注ぎ、再沈殿精製し、官能性ポリプロピレン(iPP−OH)を得た。図1に、iPP−OHの1H−NMRチャートを示す。図1から明らかなとおり、二重結合によるピーク観測されていないことから、すべての末端ビニリデン基がヒドロキシル基に変換されたことが分かる。

0056

(合成例2):重合体(A)(iPP−PDLA)の合成
上記の官能性ポリプロピレン(Mn:1000)0.1gをシュレンク管に仕込み、窒素置換後、トルエン3mlを加えて加熱して溶解した後、トリエチルアルミニウム/トルエン1M溶液を0.2ml加え、10分間攪拌後、D−ラクチド1gを加え、100℃で12時間攪拌した。反応後、停止剤として1NHCl水溶液0.5mlを加え、200mlのメタノールで再沈殿精製した。得られた共重合体をGPCを用いて分析した結果、Mnが9900、Mw/Mnが1.22であった。

0057

(合成例3):重合体(B)(iPP−PLLA)の合成
上記の官能性ポリプロピレン(Mn:1000)0.1gをシュレンク管に仕込み、窒素置換後、トルエン3mlを加えて加熱して溶解した後、トリエチルアルミニウム/トルエン1M溶液を0.2ml加え、10分間攪拌後、L−ラクチド1gを加え、100℃で12時間攪拌した。反応後、停止剤として1NHCl水溶液0.5mlを加え、200mlのメタノールで再沈殿精製した。得られた共重合体をGPCを用いて分析した結果、Mnが10900、Mw/Mnが1.26であった。図2は、参照例3で得られたiPP−PLLAの1H−NMRチャートを示す(なお、参照例2に係るiPP−PDLAについても同様のチャートとなった)。

0058

(合成例4):重合体(A)(iPP−PDLA)及び重合体(B)(iPP−PLLA)の合成
合成例1において、熱分解条件を変更することにより得られた分子量14,000のiPP−OHを用いて、合成例2及び合成例3と同様の方法で、iPP−PDLA(ポリ−D乳酸−iPP−ポリ−D乳酸のトリブロック共重合体と推定した場合に、Mn=15,000−14,000—15,000)及びiPP−PLLA(ポリ−L乳酸−iPP−ポリ−L乳酸のトリブロック共重合体と推定した場合に、Mn=16,000−14,000−16,000)を合成した。

0059

(実施例1):ステレオコンプレックス体の調製及び融点測定
合成例2で得られた重合体(A)2.5mg及び合成例3で得られた重合体(B)2.5mgを専用アルミニウムパンに入れ、セイコーインスツルメンツ社製示差走査熱量計DSC6100)を用いて、室温から250℃まで、10℃/分で昇温して溶融させた。次いで、250℃から−70℃まで10℃/分で冷却することにより、ステレオコンプレックス体(iPP−scPLA)を形成・結晶化させた。

0060

さらに、ステレオコンプレックス体を上記示差走査熱量計中で、−70℃の状態から250℃まで10℃/分で昇温させることにより、示差走査熱量測定(DSC)を行った。また、比較として、iPP−PDLA、iPP−PLLA及びiPP−OHについても同様にDSC測定を行った。図3は、これらの結果を示すDSCチャートである。図3から、本発明に係るステレオコンプレックス体の融点は、202℃となっており、良好な耐熱性を有することが分かる。

実施例

0061

(実施例2):ステレオコンプレックス体の調製及び融点測定2
重合体(A)及び重合体(B)として、合成例4で得られたものを使用した以外は、実施例1と同様な方法を用いてステレオコンプレックス体の形成及び融点測定を行った。結果を図4に示す。図4において、iPP−OHにおける158℃の吸熱ピークはiPPの結晶融解由来する。iPP−PLLAの171℃及び155℃の吸熱ピークはそれぞれPLLA及びiPPの結晶融解に由来する。iPP−PDLAにおける161℃のピーク及び154℃のショルダーピークはそれぞれPDLA及びiPPの結晶融解に由来する。これらに対して、iPP−scPLAではPDLA及びPLLAの結晶融解に由来するピークがほぼ消失し、220℃に新たに吸熱ピークが出現した。これはPDLA及びPLLAの結晶融解よりも約50℃高く、ステレオコンプレックスに由来するとものである。

0062

本発明に係るステレオコンプレックス体は、良好な耐熱性を有することから、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形などの成形法によって、種々の製品に成形することができる。

0063

また、本発明に係るステレオコンプレックス体を構成する重合体は、ポリオレフィンブロックを有することから、従来のポリ乳酸のみからなるステレオコンプレックス体と比較して優れた機械的物性引張強度曲げ強度耐衝撃性など)を有し、種々の用途に適用することが出来る。

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