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技術 偏光解消フィルム及び偏光解消フィルムの製造方法

出願人 JXTGエネルギー株式会社
発明者 松本卓也真崎仁詩
出願日 2010年7月23日 (10年3ヶ月経過) 出願番号 2010-166111
公開日 2012年2月9日 (8年9ヶ月経過) 公開番号 2012-027259
状態 未査定
技術分野 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ)
主要キーワード レーザープロジェクター 観察サンプル 偏光解消度 球晶構造 球晶サイズ PPSフィルム 散乱光線透過率 入射偏光軸
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

ヘイズを低く抑えながら、直線偏光を非偏光に変換することができる偏光解消フィルムを提供すること。

解決手段

ホモジニアス配向し、かつシュリーレン状組織を形成する、液晶高分子3を含む液晶層2を備え、ヘイズ値が40%未満である、偏光解消フィルム10。

概要

背景

近年、液晶ディスプレイは、液晶TVだけでなく、携帯電話カーナビゲーションシステムデジタルカメラゲーム機時計等の表示装置として、屋内のみならず屋外においても使用されるようになっている。これらの液晶ディスプレイには、TFT方式、STN方式、ECB方式、IPS方式、VA方式等さまざまな駆動方式があるが、いずれの方式においても、液晶ディスプレイ表面には偏光フィルムが備えられており、その出射光直線偏光となっている。

一方、屋外では、偏光眼鏡を着用する場合も多い。このとき、液晶ディスプレイからの出射光は直線偏光であるため、着用している偏光眼鏡の吸収軸と出射光の直線偏光の偏光軸が近い場合、液晶ディスプレイからの出射光が偏光眼鏡でさえぎられてしまい、液晶ディスプレイの表示内容視認できないという問題がある。

この問題を回避するために、液晶ディスプレイの出射光側偏光解消板や(特許文献1)、球晶構造を有する偏光解消フィルターを配置する方法が提案されている(特許文献2)。

さらに、基板に対して垂直配向する液晶化合物と、基板に対して平行配向して面内位相差を生じさせる液晶化合物とを混合して、フィルムの全方向に液晶化合物が配向している偏光解消フィルムが提案されている(特許文献3)。

概要

ヘイズを低く抑えながら、直線偏光を非偏光に変換することができる偏光解消フィルムを提供すること。ホモジニアス配向し、かつシュリーレン状組織を形成する、液晶高分子3を含む液晶層2を備え、ヘイズ値が40%未満である、偏光解消フィルム10。

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ヘイズを低く抑えながら、直線偏光を非偏光に変換することができる偏光解消フィルム及び偏光解消フィルムの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ホモジニアス配向し、かつシュリーレン状組織を形成する、液晶高分子を含む液晶層を備え、ヘイズ値が40%未満である、偏光解消フィルム

請求項2

前記液晶高分子の常光屈折率をnoとし、前記液晶高分子の異常光屈折率をneとするとき、前記no及び前記neが下記式(1)を満たす、請求項1記載の偏光解消フィルム。0.05≦|ne−no|≦0.5・・・(1)

請求項3

前記液晶層の厚さをdとし、光源から出射して前記液晶層へ入射する光のうち輝度が最も高い光の波長をλとするとき、前記no、前記ne、前記d及び前記λが下記式(2)又は(3)を満たす、請求項2記載の偏光解消フィルム。λ/8≦|ne−no|×d≦7λ/8・・・(2)9λ/8≦|ne−no|×d≦15λ/8・・・(3)

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光解消フィルムを得るための偏光解消フィルムの製造方法であって、基板上に、前記液晶高分子を含む液晶組成物溶液を塗布する塗布工程と、基板上の前記液晶組成物を温度T℃で加熱して、前記基板上に前記液晶高分子をホモジニアス配向させる熱処理工程と、を備え、前記液晶組成物のネマチックアイソトロピック転移温度をTi℃としたときに、前記T及び前記Tiが下記式(4)を満たす、偏光解消フィルムの製造方法。Ti−40≦T<Ti・・・(4)

技術分野

0001

本発明は、偏光を非偏光に変換する偏光解消フィルム、及び偏光解消フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、液晶ディスプレイは、液晶TVだけでなく、携帯電話カーナビゲーションシステムデジタルカメラゲーム機時計等の表示装置として、屋内のみならず屋外においても使用されるようになっている。これらの液晶ディスプレイには、TFT方式、STN方式、ECB方式、IPS方式、VA方式等さまざまな駆動方式があるが、いずれの方式においても、液晶ディスプレイ表面には偏光フィルムが備えられており、その出射光直線偏光となっている。

0003

一方、屋外では、偏光眼鏡を着用する場合も多い。このとき、液晶ディスプレイからの出射光は直線偏光であるため、着用している偏光眼鏡の吸収軸と出射光の直線偏光の偏光軸が近い場合、液晶ディスプレイからの出射光が偏光眼鏡でさえぎられてしまい、液晶ディスプレイの表示内容視認できないという問題がある。

0004

この問題を回避するために、液晶ディスプレイの出射光側偏光解消板や(特許文献1)、球晶構造を有する偏光解消フィルターを配置する方法が提案されている(特許文献2)。

0005

さらに、基板に対して垂直配向する液晶化合物と、基板に対して平行配向して面内位相差を生じさせる液晶化合物とを混合して、フィルムの全方向に液晶化合物が配向している偏光解消フィルムが提案されている(特許文献3)。

先行技術

0006

特開平10−10522号公報
WO2007/119592号パンフレット
特開2009−251035号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1の市販されている偏光解消板は、厳密に複屈折を制御した水晶板から構成されており、高価で生産性が悪いものである。また、特許文献2の偏光解消フィルターは、面内位相差や球晶サイズの制御が難しく、偏光解消度平行光線透過率両立が困難である。例えば、平行光線透過率が低下しフィルター内で光散乱が生じると、ヘイズ値が上昇してしまう。このようなヘイズ値の上昇は、ディスプレイ画質低下を引き起こし、表示内容がぼやけて見える原因となる。

0008

また、特許文献3の偏光解消フィルムは、フィルムを正面から見たときに、垂直配向する液晶化合物が存在する部分では、液晶の配向が不連続な特異点となり位相差がなくなることから、光が散乱する原因となる。このため平行光線透過率が下がりヘイズが上昇してしまう。

0009

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ヘイズを低く抑えながら、直線偏光を非偏光に変換することができる偏光解消フィルム及び偏光解消フィルムの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明では、ホモジニアス配向し、かつシュリーレン状組織を形成する、液晶高分子を含む液晶層を備え、ヘイズ値が40%未満である、偏光解消フィルムを提供する。

0011

本発明の偏光解消フィルムは、液晶層に含まれる液晶高分子がホモジニアス配向し、かつシュリーレン状組織を形成しているため、フィルム正面から見たときに位相差を持ち、偏光を解消することができる。このことに加え、本発明では、液晶高分子がホモジニアス配向するため、光学的な特異点が存在し難く、フィルムのヘイズ値が40%未満である。よって本発明では、フィルムによる光散乱を抑制することが可能となっている。このように、本発明は偏光解消とヘイズの抑制を両立することができる。このような偏光解消フィルムは、例えば、液晶ディスプレイからの出射光やレーザー光のような直線偏光の偏光解消に利用される。

0012

なお、ホモジニアス配向とは、液晶高分子のメソゲンが基板に対して平行である配向状態をいう。また、シュリーレン状とは、フィルム面内において、液晶高分子の配向方向(位相差の遅軸方向)が全体的にはランダムである一方で、局所的には等方的でありかつその配向方向が連続的に変化している状態をいう。

0013

本発明において、液晶高分子の常光屈折率をnoとし、液晶高分子の異常光屈折率をneとするとき、no及びneが下記式(1)を満たすことが好ましい。|ne−no|がこのような範囲であれば、偏光をより良好に解消し易くなるとともに、より効果的にヘイズを抑制することができる。
0.05≦|ne−no|≦0.5 ・・・(1)

0014

また、本発明において、液晶層の厚さをdとし、光源から出射して液晶層へ入射する光のうち輝度が最も高い光の波長をλとするとき、no、ne、d及びλが下記式(2)又は(3)を満たすことが好ましい。これにより、偏光解消とヘイズの抑制を、さらに確実に両立することができる。
λ/8≦|ne−no|×d≦7λ/8 ・・・(2)
9λ/8≦|ne−no|×d≦15λ/8 ・・・(3)

0015

本発明はさらに、上記偏光解消フィルムを得るための偏光解消フィルムの製造方法であって、基板上に、液晶高分子を含む液晶組成物溶液を塗布する塗布工程と、基板上の液晶組成物を温度T℃で加熱して、基板上に液晶高分子をホモジニアス配向させる熱処理工程と、を備え、液晶組成物のネマチックアイソトロピック転移温度をTi℃としたときに、T及びTiが下記式(4)を満たす、偏光解消フィルムの製造方法を提供する。
Ti−40≦T<Ti ・・・(4)

0016

本発明の偏光解消フィルムの製造方法によれば、ヘイズを低く抑えながら、直線偏光を非偏光に変換することができる偏光解消フィルムを提供することができる。また、このような製造方法であれば、例えば、従来のように厳密に複屈折を制御した水晶板を作製する必要がないため、高い生産性を得ることができる。

発明の効果

0017

本発明によれば、ヘイズを低く抑えながら、直線偏光を非偏光に変換することができる偏光解消フィルム及び偏光解消フィルムの製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の一実施形態に係る偏光解消フィルムを示す模式断面図である。
本発明の一実施形態に係る偏光解消フィルムにおいて、液晶高分子が形成するシュリーレン状組織を示す模式図である。
クロスニコル下の実施例1の偏光解消フィルムを偏光顕微鏡(400倍)で観察したときの液晶高分子の配向状態を示す図である。
クロスニコル下の比較例1の光学フィルムを偏光顕微鏡(400倍)で観察したときの液晶高分子の配向状態を示す図である。
クロスニコル下の比較例2の光学フィルムを偏光顕微鏡(400倍)で観察したときの液晶高分子の配向状態を示す図である。

0019

以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

0020

[偏光解消フィルム]
図1に示すように、偏光解消フィルム10は、基板1と、基板1上に形成された、液晶高分子3を含む液晶層2と、を備える。

0021

(液晶高分子)
液晶層2中の液晶高分子3はネマチック相を有しており、基板1に対しホモジニアス配向し、かつシュリーレン状組織を形成している。この液晶高分子3は、偏光解消フィルムを使用する波長領域において吸収を持たないものであれば、カラミチック液晶でも、ディスコチック液晶でも構わないが、光学軸がホモジニアス配向しやすいことからカラミチック液晶であることが好ましい。なお、カラミチック液晶とは棒状液晶であり、常光屈折率をno、異常光屈折率をneとしたとき、ne>noであるものをいう。また、ディスコチック液晶とは円盤状液晶であり、no>neであるものをいう。

0022

上述のシュリーレン状組織において、液晶高分子3の配向状態は液晶高分子のガラス化架橋によって固定化されている。このような液晶高分子としては、例えば、以下のようなものが例示される。

0023

<ガラス化によって配向状態を固定化できる液晶高分子>
まず、ガラス化によって配向状態を固定化できる液晶高分子としては、ガラス転移温度以上でネマチック相を有するものが例示され、例えば、芳香族ジオール単位及び芳香族ジカルボン酸単位、又は芳香族ジオール単位、芳香族ジカルボン酸単位及び芳香族ヒドロキシカルボン酸単位からなる主鎖型液晶性ポリエステルを主成分とするものが挙げられる。このような液晶高分子のガラス転移温度Tgは、60≦Tg≦160℃であることが好ましく、70≦Tg≦140℃であることがより好ましく、80≦Tg≦120℃であることがさらに好ましい。Tgが160℃より大きい場合、液晶高分子を配向させるために必要な温度が高くなりすぎて、十分に散乱の少ない配向状態を得られにくい傾向がある。一方、Tgが60℃より小さい場合、作製した偏光解消フィルム自体の耐熱性が低くなり、使用温度液晶配向乱れ易くなるため、偏光解消能力が低下する傾向がある。

0024

なお、液晶高分子がガラス転移温度を持たない場合、所定の温度まで加熱することで液晶高分子を一時的に配向させることができたとしても、冷却過程において結晶化が起こるため配向状態を維持することができない。

0025

主鎖型液晶性ポリエステルの構成単位の例として、以下の(a)芳香族ジオール単位、(b)芳香族ジカルボン酸単位、及び(c)芳香族ヒドロキシカルボン酸単位が挙げられる。特に、ガラス化が起こるためには、主鎖型液晶性ポリエステルは、構成単位としてカテコール及び、水素原子ハロゲンアルキルオキシアルキル基置換されたカテコールを含むことが好ましい。カテコールのような屈曲単位が構成単位として含まれることにより、分子直線性落ち結晶性が低下する。それにより、主鎖型液晶性ポリエステルがガラス化しやすくなる。

0026

0027

式(5)〜(7)中、XはF、Cl、Br又はCnH2n+1を、n及びmは2〜10の整数を表す。

0028

このような構成単位を有する主鎖型液晶性ポリエステルとしては、例えば以下のものが挙げられる。




式(8)中、a=10、b=2〜8、c=2〜8、9<b+c<11である。




式(9)中、a+b=10、b=0.1〜3、c=2〜8、d=2〜8、c+d=9〜11である。




式(10)中、a=0〜10、b=0〜10、c=1〜9、c+d=10、e=0〜5、f=4〜11、e+f=9〜11である。




式(11)中、a=0〜10、b=0〜10、c=1〜9、c+d=10、e=0.1〜5、f=4〜11、e+f=9〜11である。

0029

<架橋によって配向状態を固定化できる液晶高分子>
架橋によって配向状態を固定化できる液晶高分子としては、熱処理可能な温度領域でネマチック相を有し、ネマチック相を保持したまま、光又は熱重合によって配向状態を固定化できるものが例示され、例えば、側鎖に架橋基を持つ側鎖型液晶性ポリメタアクリレートが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。

0030

このような架橋基としては、ラジカル重合性の(メタ)アクリル基や、カチオン重合性エポキシ基オキセタン基ビニルエーテル基等が挙げられるが、これらの中でもカチオン重合性架橋基を用いるのが好ましく、特に比較的安定なオキセタン基やビニルエーテル基を用いるのが好ましい。これにより、架橋基を持つ側鎖型液晶性ポリ(メタ)アクリレートをより容易に合成することが可能となる。

0031

側鎖に架橋基を持つ側鎖型液晶性ポリ(メタ)アクリレートは、重合基を持つ構成単位と重合基を持たない構成単位とを共重合することによって得られる。

0032

重合基を持つ構成単位としては、以下のような構造が例示される。

0033

式(12)中、Zは下記式を表す。

0034

式(12)及び(13)中、R1、R2、L1及びL2は下記式を表し、n及びmはそれぞれ0〜10の整数を表す。

0035

また、式(12)中、M1は下記式を表す。

0036

このとき、L3及びL4並びにP1〜P3は下記式のとおりである。

0037

式(16)中、XはF、Cl、Br、CH3、OCH3、t−C4H9又はC2H5を表す。

0038

一方、重合基を持たない構成単位としては、以下のような構造が例示される。

0039

式(17)中、m及びnはそれぞれ1〜10の整数を表し、R1及びL1は下記式を表す。

0040

また、式(17)中、M2は下記式を表す。

0041

このとき、L2及びL3並びにP1〜P3は下記式のとおりである。

0042

式(20)中、XはH、F、Cl、Br、ClH2l+1、OClH2l+1又はCNを表す。ただし、lは1〜10の整数を表す。

0043

これらの構成単位を有する側鎖型液晶性ポリ(メタ)アクリレートとしては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。

0044

式(21)中、XはF、Cl、Br、CnH2n+1、OCnH2n+1又はCNを表す。ただし、nは1〜10の整数を表す。

0045

また、R1〜R5は下記式を表し、mは1〜10の整数を、l、o、p及びqは1〜5の整数を表す。そして、a=0〜8、b=0〜7、c=0.1〜5、d=0〜2、a+b+c+d=10である。

0046

また、以下のような化合物も、上記構成単位を有する側鎖型液晶性ポリ(メタ)アクリレートの具体例である。

0047

式(23)中、XはF、Cl、Br、CnH2n+1、OCnH2n+1又はCNを表す。ただし、nは1〜10の整数を表す。

0048

また、R1〜R5は下記式を表し、mは1〜10の整数を、l、o、p及びqは1〜5の整数を表す。そして、a=0〜8、b=0〜7、c=0.1〜5、d=0〜2、a+b+c+d=10である。

0049

さらに、以下のような例も挙げられる。

0050

式(25)中、XはF、Cl、Br、CnH2n+1、OCnH2n+1又はCNを表す。ただし、nは1〜10の整数を表す。

0051

また、R1〜R5は下記式を表し、mは1〜10の整数を、o、p及びqは1〜5の整数を表す。そして、a=0〜8、b=0〜7、c=0.1〜5、d=0〜2、a+b+c+d=10である。

0052

クロスニコル下の偏光解消フィルムを偏光顕微鏡で観察したとき、このような液晶高分子は、偏光解消フィルムの液晶層において、図2に示すようなシュリーレン状組織を形成している。すなわち、点と点とをつなぐように存在する暗視野消光位)部分4が、全体としてランダムな網目状のパターンを形成するようにフィルム面内に存在している。これにより、本実施形態の偏光解消フィルムはフィルム正面(液晶層表面に垂直な方向)から見たときに位相差を持つフィルムとなる。

0053

位相差の遅相軸方向、すなわち液晶高分子の配向方向は、フィルム面内でランダムな方向を向いており、かつ連続的に変化している。たとえば、液晶層の位相差がλ/2の場合、フィルムに垂直方向に入射する直線偏光は、その偏光方向と位相差の遅相軸方向とのなす角度をθとするとき、入射光の偏光方向から2θだけ偏光方向が回転した直線偏光として出射する。このため、位相差の遅相軸方向が面内でランダムな場合、出射する直線偏光の偏光方向も面内でランダムとなる。液晶層の位相差が厳密にλ/2でない場合も、位相差の遅相軸方向によって、出射する楕円偏光方位角が決まるため、出射する楕円偏光の方位角は面内でランダムとなる。

0054

クロスニコル下の偏光解消フィルムを偏光顕微鏡で観察したとき、このようなシュリーレン状組織では、偏光解消フィルムを面内回転させたとき、暗視野部分(つまり偏光板透過軸又は吸収軸の方向に液晶高分子が配向している部分)の位置及び形状がランダムに変化する。これにより、液晶層における液晶高分子の配向が面内でランダムかつ連続的であることを確認することができる。

0055

一方、液晶高分子がランダムに配向している場合であっても、面内で連続的に変化していないときは、液晶高分子の配向が不連続となる点が現れる。このような特異点は、クロスニコル下の偏光顕微鏡で観察した場合に、フィルムを面内で回転させても、暗視野部分として存在し続ける。特異点では、液晶高分子はホメオトロピック配向(基板に垂直に配向)しているため、光の散乱が起こり、ヘイズが大きくなる。

0056

偏光解消フィルムとして使用可能なヘイズ値は40%未満であり、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。ヘイズ値が40%より大きい場合、偏光解消フィルムを透過した光が拡散してしまい、液晶ディスプレイの表示内容がぼんやり見えるため好ましくない。なお、ヘイズ値は、フィルムの散乱光線透過率全光線透過率で割ったものを百分率で表した値であり、例えばヘイズメーター(ガードナー社製、Haze−gard plus)のような測定装置によって測定することができる。

0057

この液晶高分子の複屈折率は、0.05≦|ne−no|≦0.5であることが好ましく、0.1≦|ne−no|≦0.3であることがより好ましい。|ne−no|(以下、Δnという)が0.05より小さいと、フィルムの膜厚を厚くする必要があるために、液晶高分子を配向させることが難しくなり、ヘイズが大きくなる傾向がある。また、Δnが0.5より大きいと、可視光を吸収し易くなる傾向がある。

0058

ここで液晶高分子の複屈折率とは、液晶高分子を偏光解消フィルムとして製造する場合と同条件で、フィルムの面内方向に配向規制力がある基板上に液晶高分子を配向させたときの液晶層の複屈折率を指し、例えばアッベ屈折計によって測定することができる。

0059

本実施形態の偏光解消フィルムとして用いられる、液晶層の位相差は(n+1/8)λ≦Δnd≦(n+7/8)λであることが好ましく、(n+1/4)λ≦Δnd≦(n+3/4)λであることがより好ましく、(n+3/8)λ≦Δnd≦(n+5/8)λであることがさらに好ましい。なお、λは、光源から出射して液晶層へ入射する光のうち輝度が最も高い出射光の波長であり、通常は550nmである。また、nは0又は1である。液晶層の位相差が0<Δnd<λ/8、7λ/8<Δnd<9λ/8又は、15λ/8<Δnd<2λである場合は、直線偏光が楕円率の小さい楕円偏光に変換され易くなり、偏光解消度が低くなる傾向がある。また2λ<Δndである場合は、膜厚dを大きくすることが好ましいが、そうすると液晶高分子が十分にランダムかつ連続的に配向し難くなり、ヘイズが大きくなる傾向がある。

0060

(基板)
偏光解消フィルム10に用いられる基板1は、基板を構成する分子の面内における配向性が等方的であることが好ましい。これにより液晶高分子3がシュリーレン状組織を形成しやすくなる。このように、面内では等方的であるため配向規制力のない基板1としては、ポリビニルアルコールフィルムトリアセチルセルロースフィルムシクロポリオフレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ(メタ)アクリルフィルム等が挙げられる。

0061

一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムポリエチレンナフタレートフィルムポリフェニレンスルフィドフィルムなどの延伸フィルムは、延伸された方向に配向能を持つため、基板としてはそのまま用いることができない。ただし、これら配向能を持つフィルムの上に、ポリビニルアルコール樹脂ポリイミド樹脂からなる膜を形成することにより、面内等方性を有する基板1として、本実施形態の偏光解消フィルムに用いることができる。つまり、ポリビニルアルコール樹脂やポリイミド樹脂からなる膜上に液晶層2を形成すればよい。

0062

基板1の厚みは、10μm以上200μm以下が好ましく、25μm以上100μm以下がより好ましく、38μm以上75μm以下がさらに好ましい。基板1の厚みがこの範囲内であれば、塗工、乾燥、熱処理、架橋の各工程における取扱い性が向上する。

0063

[偏光解消フィルムの製造方法]
本実施形態の偏光解消フィルムの製造方法について以下に述べる。

0064

本実施形態の偏光解消フィルムの製造方法は、調製工程、塗布工程、乾燥工程、熱処理工程及び熱処理工程を備える。調製工程では、液晶高分子を含有する液晶組成物溶液を調製する。塗布工程では、液晶組成物溶液を、面内で等方的な配向基板上に塗布する。乾燥工程では、基板上に塗布された液晶組成物溶液から溶媒を除去するように液晶組成物溶液を乾燥する。熱処理工程では、乾燥後の液晶高分子にさらに熱を加え液晶高分子を基板に対してホモジニアス配向させ、かつ基板表面に平行な面内においてランダムな方向に配向させる。固定化工程では、基板上の液晶高分子の配向状態を液晶高分子のガラス化又は架橋によって固定化する。なお、必要に応じて液晶層上に保護層を付与したり、光学フィルムとして使用可能な(光学特性に優れた)透光性基板上に、液晶層を転写したりする工程を有していてもよい。

0065

調製工程では、液晶高分子と溶媒とを含む液晶組成物溶液を調製する。溶媒は、液晶高分子を溶解することができ、かつ基板を侵さない溶媒であればよく、ハロゲン系、エステル系エーテル系、アルコール系、ケトン系、アミド系、ラクトン系及びスルホキシド系等の様々な溶媒を使用することができる。具体的に例示するならば、クロロホルムテトラクロロエタン酢酸エチルプロピレングリコールメチルエーテル2−プロパノールメチルエチルケトンジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンγ−ブチロラクトン及びジメチルスフホキシド等を用いることができる。

0066

液晶組成物溶液における液晶高分子の含有量は、液晶組成物溶液の全質量を基準として、0.5〜90質量%であることが好ましく、1〜70質量%であることがより好ましい。このような液晶組成物溶液は良好な流動性を有するため、塗布工程において好適に用いることができる。なお、架橋によって配向状態を固定化できる液晶高分子を用いる場合は、液晶組成物溶液は、液晶高分子の全質量を基準として、0.1〜10質量%の光重合開始剤又は熱重合開始剤を含む。このとき、さらに副成分として、少なくとも1つ以上、液晶高分子が持つ重合基と同じ又は共重合可能な重合基を持つ架橋剤や、光増感剤を適宜含んでいてもよい。

0067

このような架橋剤としては、(メタ)アクリル基、スチレン基、エポキシ基、ビニルエーテル基を持つ化合物が挙げられ、以下のような構造が例示される。

0068

式(27)中、Z1及びZ2は下記式を表す。

0069

式(28)中、R1及びR2は下記式を表す。

0070

さらに式(27)中、L1、L2及びM1は下記式を表す。

0071

このとき、L4及びL5並びにP1〜P3は下記式のとおりである。

0072

なお、式(31)中、XはF、Cl、Br、CH3、OCH3、t−C4H9又はC2H5を表す。

0073

また、液晶組成物溶液は、例えば、液晶組成物溶液塗布時のレベリング性を上げるために、界面活性剤又はレベリング剤等の添加剤を含んでいてもよいが、その含有量は、液晶組成物溶液の全質量を基準として、0.0001〜10質量%であることが好ましく、0.001〜1質量%であることがより好ましい。

0074

塗布工程では、調製工程で得られた液晶組成物溶液を所定の基板上に塗布する。塗布方式としては、スピンコート方式グラビアコート方式、ディップコート方式、ダイコート方式等があるが、膜厚を制御して均一に塗布できればどの方式も使用可能である。なお、良好な生産性を達成できることから、ロール連続塗工が可能な、グラビアコート方式、ディップコート方式、ダイコート方式が好ましい。

0075

乾燥工程では、塗布された液晶組成物溶液から溶媒を除去するように液晶組成物溶液を乾燥して、基板上に前駆体層(液晶層の前駆体)を形成する。乾燥条件は、使用している溶媒の種類、溶液の濃度などによって、最適な条件を設定することになるが、乾燥温度は25℃以上120℃以下であることが好ましく、30℃以上100℃以下であることがより好ましく、40℃以上80℃以下であることがより好ましい。また乾燥時間は、10秒以上30分以下であることが好ましく、30秒以上20分以下であることがより好ましく、1分以上10分以下であることがさらに好ましい。乾燥温度が25℃以下、又は乾燥時間が10秒以下では、液晶組成物に含まれる溶媒の残存量が多くなる傾向がある。一方、乾燥温度が120℃以上では、乾燥時のむらが発生し易くなり、良好な前駆体層(液晶層)を作成することが困難になる傾向がある。また、乾燥時間が30分以上では、良好な生産性が期待できない傾向がある。なお、塗布工程において連続塗工を実施している場合は、乾燥も連続的に行うのが一般的であり、その場合乾燥温度を最初は25℃程度の低温に設定し、徐々に120℃程度まで上げながら乾燥させることで、むらを効果的に抑制することができて好ましい。

0076

熱処理工程では、前駆体層にさらに熱処理を施すことにより、液晶高分子を含む液晶組成物に所定の配向状態を付与する。ここで、液晶高分子がガラス化によって配向状態を固定化できるものである場合、液晶組成物とは液晶高分子自体を表す。一方、液晶高分子が架橋によって配向状態を固定化できるものである場合、実際に配向させる対象が、少なくとも液晶高分子と開始剤との反応物であるため、液晶組成物とは液晶高分子と開始剤等を含むものを表す。なおこの場合、液晶組成物は必要に応じて架橋剤を含んでもよいが、架橋剤は必須ではない。このように、用いられる液晶高分子のタイプによって液晶組成物が表すものが異なるが、いずれのタイプにおいても液晶組成物を配向させることで液晶組成物に含まれる液晶高分子を配向させていることになる。

0077

熱処理工程で液晶組成物に付与される所定の配向状態とは、すなわち液晶組成物がホモジニアス配向しながら、シュリーレン状組織を形成し、かつフィルムとしてのヘイズ値が40%未満となるような配向状態である。このような配向状態を得るためには、液晶組成物の流動性を保ちながら、かつヘイズを小さくするために、液晶組成物の配向に不整合が生じているディスクリネーションラインや特異点をできるだけ少なくする必要がある。そのためには、液晶組成物をそのネマチックアイソトロピック転移温度に近い温度T℃で熱処理することが好ましい。

0078

具体的には、熱処理温度T℃は、液晶組成物がネマチック状態である温度であって、ネマチックアイソトロピック転移温度をTi℃としたときに、Ti−40以上Ti未満であり、好ましくはTi−30以上Ti未満であり、より好ましくはTi−20以上Ti未満の温度である。TがTi−40℃未満であると、ドメイン合一が遅いためにピッチの小さいシュリーレン状組織となり、ヘイズ値が大きくなってしまう。さらに液晶高分子がネマチック状態である温度未満では、液晶組成物の流動性が低下するため所定の配向状態を得ることができない。また、TがTi以上であると、液晶組成物がアイトロピック状態となるために、やはり所定の液晶配向を得ることができない。すなわち、後述する固定化工程において液晶層を室温まで冷却するときに、無秩序アイソトロピック相から急激に液晶組成物が配向することになるため、ピッチの小さいシュリーレン状組織となってしまう。これにより、液晶層での光散乱が大きくなり、ヘイズを低く抑制することができない。

0079

なお、乾燥工程における乾燥だけで所定の配向状態が実現できる場合は、前述の熱処理工程を経ずに次の固定化工程を実施することができる。

0080

固定化工程では、熱処理工程で得られた液晶組成物の所定の配向状態を固定化する。液晶組成物がガラス転移点を持ち、ガラス転移点以下に冷却したときに液晶配向を保持したままガラス化が起こる場合、単に熱処理工程後に液晶層を冷却するだけで、配向状態を固定化することができる。なお、偏光解消フィルムの耐熱性を確保するために、前述したようにこのような液晶組成物のガラス転移点は60℃以上であることが好ましい。ただし、ガラス転移点が60℃未満である場合でも、配向状態を架橋により更に固定化させることで、偏光解消フィルムに所望の耐熱性を付与することができる。この場合、液晶組成物溶液には、架橋可能な重合基を持つ構成単位を有する液晶組成物と、重合開始剤とを含有させておけばよい。熱処理温度に関係なく重合を開始できるため、光重合開始剤が好ましい。

0081

一方、液晶組成物がガラス転移点を持たない場合には、乾燥工程や熱処理工程において液晶組成物を所定の配向状態とした後に、その状態を保持したまま液晶組成物の架橋を行うことで、所定の配向状態を固定化することができる。このとき、熱処理工程後に一定の温度まで冷却しまうと、低温での結晶相スメクチック相が現れ、液晶組成物の配向状態が乱れてしまう。このため、所定の配向状態を示す温度範囲において、液晶層に光や熱などの外部刺激を与えることで、液晶組成物の重合を開始して配向状態を架橋により固定化する必要がある。

0082

以上の工程により得られた本実施形態の偏光解消フィルムに、液晶層表面の強度を増すため、ハードコート層を設けることも可能である。

0083

また、基板として、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロポリオフレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ(メタ)アクリルフィルム等の、透明で面内では等方的な基板を用いた場合は、基板及び基板上に形成した液晶層からなる積層体を、そのまま偏光解消フィルムとして用いることができる。

0084

一方、基板として、ポリビニルアルコール樹脂等からなる、等方的な配向膜を形成したポリエチレンナフタレートフィルムやポリフェニレンスルフィドフィルム等の不透明なフィルムを用いている場合は、配向膜上に液晶組成物溶液を塗布してもよい。その後、所定の工程を経て配向膜上に形成された液晶層を、粘着剤接着剤を介して他の好適な基板等に転写することができる。また、基板の厚さが厚すぎて偏光解消フィルムとしての使用に不適当な場合も同様に、基板上に形成された液晶層を粘着剤や接着剤を介して他の好適な基板等に転写することができる。

0085

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。

0086

(実施例1)
[液晶組成物溶液の調製]
<調製工程>
テレフタル酸100mmol、メチルヒドロキノンジアセテート35mmol、カテコールジアセテート65mmol及びN−メチルイミダゾール60mgを混合して、窒素雰囲気下、270℃で12時間重縮合を行い、反応性生物を得た。得られた反応生成物をテトラクロロエタンに溶解した後、メタノール再沈殿を行って精製し、下記式(27)で表される主鎖型液晶性ポリエステルポリマーを得た。なお、この主鎖型液晶性ポリエステルポリマーの対数粘度を、ウッベローデ型粘度計を用いて、フェノール/テトラクロロエタン(60/40:質量比混合溶媒中、30℃で測定したところ、0.15dl/gであった。

0087

上記のとおり得られた主鎖型液晶性ポリエステルポリマー20質量部と、界面活性剤(AGCセイケミカル社製、サーフロン、S−386)0.01質量部とを、N−メチルピロリドン79.99質量部に溶解してN−メチルピロリドン溶液とした後、孔径0.45μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製フィルターで不溶分を濾過して、実施例1の液晶組成物溶液を調製した。

0088

なお、液晶組成物のネマチックアイソトロピック転移温度Tiを測定するために、青板ガラス上に、実施例1の液晶組成物溶液をスピンコーターを用いて塗布し、観察サンプルを作製した。この観察サンプルを、ホットステージメトラー社製)上で加熱しながら、液晶組成物を偏光顕微鏡で観察した。その結果、実施例1の液晶組成物はネマチック相を有し、そのネマチックアイソトロピック転移温度Tiは265℃であった。

0089

[偏光解消(光学)フィルムの作製]
PPS(ポリフェニレンスルフィド)フィルム(東レ製、トレリナ、厚さ60μm)上に、PVA(ポリビニルアルコール:日本酢ビ・ポバール製、JF−17)の2−プロパノール/水(50質量%/50質量%)4質量%溶液を、スピンコーター(塗布条件:400rpm×30秒間)用いて塗布した。これを、55℃のホットプレート上で30分間、さらに130℃のオーブン中で5分間熱処理して、PPSフィルム上に配向規制力のないPVA膜(等方的な配向膜)を形成した。

0090

<塗布工程>
PPSフィルムの上に形成したPVA膜上に、液晶組成物溶液を、スピンコーター(塗布条件:650rpm×30秒間)を用いて塗布した。

0091

<乾燥工程>
PVA膜に塗布した液晶組成物溶液を、55℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、PVA膜上に前駆体層を形成した。

0092

<熱処理工程及び固定化工程>
PVA膜上の前駆体層を250℃のオーブン中で10分間熱処理した後、室温まで冷却することで、PVA膜上にガラス化した液晶層を形成した。

0093

次に、この液晶層上に紫外線硬化型接着剤(東亞合成製、UV−3400)を5μm厚になるよう塗布した後、TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム:富士フイルム製、T80−SZ、厚さ80μm)をラミネートした。TACフィルム側から600mJ/cm2の紫外光照射して紫外線硬化型接着剤を硬化した後、PPSフィルムとPVA膜を剥離し、TACフィルム上に液晶層が形成された実施例1の偏光解消フィルムを得た。

0094

(実施例2)
[液晶組成物溶液の調製]
<調製工程>
オキセタニル基を持つアクリルモノマー等をそれぞれ所定の割合で混合して重合させることで、下記式(28)で表されるオキセタニル基を持つ側鎖型液晶性ポリアクリレート(Mn=8,000、Mw/Mn=1.5)を得た。
また、ヒドロキシ安息香酸出発化合物として、ウィリアムソンのエーテル合成法によりオキセタニル基を結合させて得られた化合物と、所定のジオールとを、酸クロリド法を用いて結合させることで、下記式(29)で表される2つのオキセタニル基を持つ架橋剤を得た。
さらに、ウィリアムソンのエーテル合成法により、オキセタニル基を持つ部位とアクリル基を持つ部位とを結合させることで、下記式(30)で表されるオキセタニル基とアクリル基を持つ架橋剤を得た。

0095

0096

上記のとおり得られたオキセタニル基を持つ側鎖型液晶性ポリアクリレート0.8質量部と、2つのオキセタニル基を持つ架橋剤0.15質量部と、オキセタニル基とアクリル基を持つ架橋剤0.05質量部と、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製、サーフロン、S−386)0.001質量部とを、N−メチルピロリドン9質量部に溶解してN−メチルピロリドン溶液とした。この溶液を暗所に移動し、トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製)0.05質量部を加えた後、孔径0.45μmのPTFE製フィルターで不溶分を濾過して、実施例2の液晶性組成物溶液を調製した。

0097

なお、実施例2の液晶組成物溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液晶組成物のネマチックアイソトロピック転移温度Tiを測定した。その結果、実施例2の液晶組成物はネマチック相を有し、そのネマチックアイソトロピック転移温度Tiは180℃であった。

0098

[偏光解消(光学)フィルムの作製]
<塗布工程>
コロナ処理した無延伸のシクロポリオレフィンフィルム積水化学社製エスシーナ、厚さ30μm)上に、得られた液晶組成物溶液を、スピンコーター(塗布条件:280rpm×20秒間)を用いて塗布し、フィルム上に前駆体層を形成した。

0099

(乾燥工程)
フィルム上の前駆体層を、60℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。

0100

(熱処理工程及び固定化工程)
乾燥後の前駆体層を150℃のオーブン中で5分間熱処理しながら、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量450mJ/cm2の紫外線光を照射し、前駆体層中の液晶性ポリアクリレートを架橋した。熱処理及び紫外線照射を行った後の前駆体層を室温まで冷却することで、シクロポリオレフィンフィルム上に液晶層が形成された実施例2の偏光解消フィルムを得た。

0101

(比較例1)
PPSフィルム上にPVA膜を形成せずに、PPSフィルム上に直接液晶組成物溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。

0102

(比較例2)
オーブン中での熱処理条件を190℃、10分間としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。

0103

(比較例3)
オーブン中での熱処理条件を120℃、10分間としたこと以外は、実施例2と同様にして光学フィルムを作製した。

0104

(液晶高分子の評価)
高屈折率ガラス上にポリイミド配向膜上を形成してラビング処理した後、同ポリイミド配向膜上に、実施例1及び2の液晶組成物溶液をスピンコーターで塗布した。このようにして得られた観察サンプルを、55℃のホットプレート上で10分間、さらに250℃のオーブン中で10分間熱処理して、ポリイミド配向膜上に液晶層を形成した。そして、アッベ屈折計(アタゴ社製4−T)を用いて、実施例1及び2の液晶高分子(液晶層)の常光屈折率noと異常光屈折率neを求めたところ、それぞれ下記の表1に示すとおりであった。

0105

(偏光解消(光学)フィルムの評価)

0106

実施例1で得られた偏光解消フィルムの液晶層の厚さを、触針膜厚計(ULVAC社製、DEKTAK−3030)を用いて測定したところ、d=1300nmであった。したがって、液晶層の位相差はΔnd=|ne−no|×d=277nm≒λ/2(ただし、λ=550nm)と算出された。同様にして、実施例2の偏光解消(光学)フィルムの液晶層の厚さを測定したところ、d=1800nmであった。したがって、液晶層の位相差はΔnd=|ne−no|×d=277nm≒λ/2(ただし、λ=550nm)と算出された。

0107

0108

次に、実施例1で得られた偏光解消フィルム並びに比較例1及び2で得られた光学フィルムについて、偏光顕微鏡(オリンパス社製、BX−51)を用いて、クロスニコル下で液晶層を構成する液晶高分子の配向状態を400倍(対物レンズ:40倍、接眼レンズ:10倍)で観察した。その結果を図3〜5に示す。

0109

また、実施例及び比較例で得られた偏光解消(光学)フィルムを、入射側偏光板を0°及び45°に配置して、クロスニコル下とパラコル下で、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製、V-570)を用いて各フィルムにおける光透過率(λ=550nm)を測定した。さらに、ヘイズメーター(ガードナー社製、Haze−gard plus)を用いて、各フィルムのヘイズ値(拡散透過率/全光線透過率×100)の測定を行った。これらの結果を表2に示す。

0110

0111

実施例1及び2は、液晶高分子がホモジニアス配向し、かつ図3に示すような、好適なシュリーレン状組織を形成していた。このため、フィルムのヘイズ値が低く、入射偏光軸が0°の場合も45°の場合も、クロスニコル下及びパラニコル下でのフィルムの透過率がほぼ同程度となっており、良好に偏光が解消していた。

0112

比較例1は、図4に示すように、液晶高分子がシュリーレン状組織を形成せずに、ほぼ均一な方向に配向していた。このため、フィルムのヘイズ値は低いものの、入射側偏光軸が0°のときはクロスニコル下のフィルムの透過率がパラニコル下の透過率に比べて著しく低かった。また、入射側偏光軸が45°のときはパラニコル下のフィルムの透過率がクロスニコル下のフィルムの透過率に比べて著しく低かった。このことから、入射側偏光軸が0°のときは直線偏光がほぼそのままの偏光状態を保ち出射し、入射側偏光軸が45°のときは直線偏光がほぼ90°回転して出射しており、偏光が解消していないことが分かった。

実施例

0113

比較例2及び3では、図5に示すように、液晶高分子が非常に細かいシュリーレン状組織を形成していた。このため、実施例1及び2と同様、偏光は解消していたものの、液晶層内において光散乱が生じ、ヘイズ値が高く、透過率が低くなっていた。

0114

本発明の偏光解消フィルムは、液晶ディスプレイからの出射光やレーザー光のような直線偏光を、ヘイズを低く抑えながら、自然光に近い非偏光に変換することができる。例えば、レーザープロジェクターの出射光を非偏光にするために用いることができる。また、本発明の偏光解消フィルムの製造方法によれば、このような特性を備える偏光解消フィルムを作製することができる。

0115

1・・・基板、2・・・液晶層、3・・・液晶高分子、4・・・暗視野部分、10・・・偏光解消フィルム。

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