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技術 溶銑の放熱抑制方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 細井威男恒見忍
出願日 2010年7月8日 (10年5ヶ月経過) 出願番号 2010-156049
公開日 2012年1月26日 (8年11ヶ月経過) 公開番号 2012-017504
状態 特許登録済
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼
主要キーワード バーミュキライト 温度低下速度 保温蓋 中間容器 温度低下量 脱着装置 温度換算 燃焼発熱
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年1月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

大掛かりな設備を設置する必要がなく、また保温剤コストが増大せず、さらには保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程に悪い影響を及ぼすことのない溶銑放熱抑制方法を提供する。

解決手段

溶銑脱硫−溶銑脱燐順序予備処理を行う工程における溶銑の放熱抑制方法である。溶銑の脱硫処理後脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、原単位で0.3kg/ton〜1.0kg/tonの生石灰を溶銑の表面に添加する。次工程の溶銑脱燐処理において、表面被覆剤として投入した前記生石灰の添加量を所定の生石灰添加量から減量する。

効果

特別な被覆剤を使用することなく、溶銑予備処理後放熱を抑制することができる。

概要

背景

鉄鋼溶銑予備処理では、除去した成分が溶銑中に再移行することを防止する観点から、処理後のスラグを速やかに除去している。このため、溶銑表面からの放熱が大きくなって追加の熱源が必要となる。また、取鍋中に格納した溶銑の滞留時間が長くなると、溶銑の表面が固化して操業の妨げとなる場合がある。

このため、鉄鋼の溶銑予備処理では、溶銑表面からの放熱を抑制することが課題であり、種々の提案がなされている。

例えば特許文献1では、Al、 Si、 C、及びバーミュキライトや焼籾殻を添加した溶銑温度降下防止剤が提案されている。

この特許文献1で提案された溶銑温度降下防止剤は、Al、 Si、 Cの燃焼発熱反応を利用するので高い保温効果が得られるものの、金属AlやSiを含有するのでコストが高くなる。また、Siは酸化反応によりSiO2となるので、次の脱燐工程或いは脱炭工程において、目標とするスラグ塩基度(CaO/SiO2)に応じて生石灰を追加する必要があり、コスト及び廃棄物の増大を招くという問題がある。

バーミュキライトや焼籾殻を単体で添加しても保温効果はあるが、これらは保温効果を得るためだけに用いるものであり、次工程あるいは本工程における媒溶剤としての効果はない。このため、必要なコストが高くなり、また、バーミュキライトや焼籾殻の温度上昇に溶銑の保有する熱量が取られるという問題もある。また、バーミュキライトは融点が低く、滓化するので、対流が生成し輻射熱が増加するという問題もある。

また、特許文献2では、使用済のMgO−C煉瓦破砕し、保温剤として用いてそのまま転炉装入する方法が提案されている。

しかしながら、転炉或いは転炉型脱燐処理において、スラグ中MgO濃度が好適点である10質量%以下よりも高くなると、スラグ粘度が著しく上昇して排滓性が低下し、また、局所的なT.Fe増大による耐火物溶損等の問題がある。このため、使用済MgO−C煉瓦屑の使用量が制限され、十分な保温効果が得られない。また、MgO−C煉瓦は、Cを含有するので比較的熱伝導度が高く、溶銑表面からの放熱抑制には十分な効果が得られないという問題もある。

また、特許文献3では、溶銑脱燐−溶銑脱硫−溶銑脱炭の順で行う溶銑予備処理プロセスにおいて、溶銑脱燐後に脱燐処理を行った後のスラグを除去しないことで、スラグを溶銑の放熱抑制剤として使用する方法が提案されている。

この特許文献3で提案された方法は、特別な保温剤を使用する必要がないので、保温剤コストが不要になるという利点を有している。

しかしながら、当該工程の溶銑脱燐は酸化精錬であるため、スラグにはFeOやMnOといった酸性酸化物が大量に含まれ、次工程の脱硫効率を低下させるという課題を有する。また、FeOやMnOの存在下では、生石灰の融点が低下して融解するために、放熱抑制という目的からは望ましくない。加えて、本願が対象とする溶銑脱硫−溶銑脱燐−溶銑脱炭の順で行う溶銑予備処理プロセスには適用することができない。

さらに、特許文献4でも、前記特許文献3で提案された方法と同じ順序の溶銑予備処理プロセスにおいて、転炉型容器において溶銑脱燐を行った後、中間容器出湯する際に、金属Al、或いは炭素濃度が70質量%以上の炭素含有物質と共に1〜10kg/溶銑tonの生石灰を添加する方法が提案されている。

この特許文献4で提案された方法は、前記特許文献3で提案された方法に比べ、次工程の脱硫効率を低下させない点で優れている。

しかしながら、金属Alや炭素濃度70質量%以上の炭素含有物質のような、追加の熱源を必要とする点は、コストアップを引き起こすので必ずしも望ましくない。加えて、脱燐スラグが流出した場合、金属Alや炭素と混合することで復燐を生ずることから、極低燐鋼の製造には必ずしも適していない。また、金属Alや炭素含有物質と共に生石灰を添加していることから、攪拌を伴う出湯時に生石灰が融解するため、放熱抑制という目的では望ましくない。

また、特許文献5では、溶銑運搬装置として、溶銑鍋の上に保温蓋を設置して放熱を抑制する技術が提案されている。

しかしながら、この特許文献5で提案された技術は、保温蓋の開閉装置を必要とするため、設置するには大掛かりな設備改造が必要である。また、比較的低温処理となる溶銑予備処理工程では、溶銑鍋に地金やスラグが付着し、保温蓋が装着できないという問題がある。

概要

大掛かりな設備を設置する必要がなく、また保温剤コストが増大せず、さらには保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程に悪い影響を及ぼすことのない溶銑の放熱抑制方法を提供する。溶銑脱硫−溶銑脱燐の順序で予備処理を行う工程における溶銑の放熱抑制方法である。溶銑の脱硫処理後脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、原単位で0.3kg/ton〜1.0kg/tonの生石灰を溶銑の表面に添加する。次工程の溶銑脱燐処理において、表面被覆剤として投入した前記生石灰の添加量を所定の生石灰添加量から減量する。特別な被覆剤を使用することなく、溶銑予備処理後の放熱を抑制することができる。

目的

本発明は、大掛かりな設備を設置する必要がなく、また保温剤コストが増大せず、さらには保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程に悪い影響を及ぼすことのない溶銑の放熱抑制方法の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

溶銑脱硫溶銑脱燐順序予備処理を行う工程における溶銑の放熱抑制方法であって、溶銑の脱硫処理後脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、原単位で0.3kg/ton〜1.0kg/tonの生石灰を溶銑の表面に添加することを特徴とする溶銑の放熱抑制方法。

請求項2

次工程の溶銑脱燐処理において、表面被覆剤として投入した前記生石灰の添加量を所定の生石灰添加量から減量することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の放熱抑制方法。

技術分野

0001

本発明は、溶銑脱硫後に脱燐を行う溶銑予備処理プロセスにおいて、溶銑を脱硫した後に、特別な保温剤を使用せず、次工程で使用する生石灰を溶銑の表面に添加することによって、取鍋中に格納された溶銑の表面からの放熱を抑制する方法に関するものである。

背景技術

0002

鉄鋼の溶銑予備処理では、除去した成分が溶銑中に再移行することを防止する観点から、処理後のスラグを速やかに除去している。このため、溶銑表面からの放熱が大きくなって追加の熱源が必要となる。また、取鍋中に格納した溶銑の滞留時間が長くなると、溶銑の表面が固化して操業の妨げとなる場合がある。

0003

このため、鉄鋼の溶銑予備処理では、溶銑表面からの放熱を抑制することが課題であり、種々の提案がなされている。

0004

例えば特許文献1では、Al、 Si、 C、及びバーミュキライトや焼籾殻を添加した溶銑温度降下防止剤が提案されている。

0005

この特許文献1で提案された溶銑温度降下防止剤は、Al、 Si、 Cの燃焼発熱反応を利用するので高い保温効果が得られるものの、金属AlやSiを含有するのでコストが高くなる。また、Siは酸化反応によりSiO2となるので、次の脱燐工程或いは脱炭工程において、目標とするスラグ塩基度(CaO/SiO2)に応じて生石灰を追加する必要があり、コスト及び廃棄物の増大を招くという問題がある。

0006

バーミュキライトや焼籾殻を単体で添加しても保温効果はあるが、これらは保温効果を得るためだけに用いるものであり、次工程あるいは本工程における媒溶剤としての効果はない。このため、必要なコストが高くなり、また、バーミュキライトや焼籾殻の温度上昇に溶銑の保有する熱量が取られるという問題もある。また、バーミュキライトは融点が低く、滓化するので、対流が生成し輻射熱が増加するという問題もある。

0007

また、特許文献2では、使用済のMgO−C煉瓦破砕し、保温剤として用いてそのまま転炉装入する方法が提案されている。

0008

しかしながら、転炉或いは転炉型脱燐処理において、スラグ中MgO濃度が好適点である10質量%以下よりも高くなると、スラグ粘度が著しく上昇して排滓性が低下し、また、局所的なT.Fe増大による耐火物溶損等の問題がある。このため、使用済MgO−C煉瓦屑の使用量が制限され、十分な保温効果が得られない。また、MgO−C煉瓦は、Cを含有するので比較的熱伝導度が高く、溶銑表面からの放熱抑制には十分な効果が得られないという問題もある。

0009

また、特許文献3では、溶銑脱燐−溶銑脱硫−溶銑脱炭の順で行う溶銑予備処理プロセスにおいて、溶銑脱燐後に脱燐処理を行った後のスラグを除去しないことで、スラグを溶銑の放熱抑制剤として使用する方法が提案されている。

0010

この特許文献3で提案された方法は、特別な保温剤を使用する必要がないので、保温剤コストが不要になるという利点を有している。

0011

しかしながら、当該工程の溶銑脱燐は酸化精錬であるため、スラグにはFeOやMnOといった酸性酸化物が大量に含まれ、次工程の脱硫効率を低下させるという課題を有する。また、FeOやMnOの存在下では、生石灰の融点が低下して融解するために、放熱抑制という目的からは望ましくない。加えて、本願が対象とする溶銑脱硫−溶銑脱燐−溶銑脱炭の順で行う溶銑予備処理プロセスには適用することができない。

0012

さらに、特許文献4でも、前記特許文献3で提案された方法と同じ順序の溶銑予備処理プロセスにおいて、転炉型容器において溶銑脱燐を行った後、中間容器出湯する際に、金属Al、或いは炭素濃度が70質量%以上の炭素含有物質と共に1〜10kg/溶銑tonの生石灰を添加する方法が提案されている。

0013

この特許文献4で提案された方法は、前記特許文献3で提案された方法に比べ、次工程の脱硫効率を低下させない点で優れている。

0014

しかしながら、金属Alや炭素濃度70質量%以上の炭素含有物質のような、追加の熱源を必要とする点は、コストアップを引き起こすので必ずしも望ましくない。加えて、脱燐スラグが流出した場合、金属Alや炭素と混合することで復燐を生ずることから、極低燐鋼の製造には必ずしも適していない。また、金属Alや炭素含有物質と共に生石灰を添加していることから、攪拌を伴う出湯時に生石灰が融解するため、放熱抑制という目的では望ましくない。

0015

また、特許文献5では、溶銑運搬装置として、溶銑鍋の上に保温蓋を設置して放熱を抑制する技術が提案されている。

0016

しかしながら、この特許文献5で提案された技術は、保温蓋の開閉装置を必要とするため、設置するには大掛かりな設備改造が必要である。また、比較的低温処理となる溶銑予備処理工程では、溶銑鍋に地金やスラグが付着し、保温蓋が装着できないという問題がある。

先行技術

0017

特開平8−003610号公報
特開2009−132951号公報
特開2002−327208号公報
特開2004−143544号公報
特開昭62−192515号公報

発明が解決しようとする課題

0018

本発明が解決しようとする問題点は、従来の技術は、大掛かりな設備を設置する必要があったり、保温剤コストが増大したり、或いは保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程への悪影響があるという点である。

課題を解決するための手段

0019

本発明は、大掛かりな設備を設置する必要がなく、また保温剤コストが増大せず、さらには保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程に悪い影響を及ぼすことのない溶銑の放熱抑制方法の提供を目的とするものである。

0020

本発明の溶銑の放熱抑制方法は、溶銑脱硫−溶銑脱燐の順序で予備処理を行う工程における溶銑の放熱抑制方法であって、溶銑の脱硫処理後脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、原単位で0.3kg/ton〜1.0kg/tonの生石灰を溶銑の表面に添加することを最も主要な特徴としている。

0021

上記本発明の溶銑の放熱抑制方法では、溶銑の脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、精錬剤に使用する生石灰を溶銑の表面に所定量添加して、溶銑の放熱を抑制するので、大掛かりな設備を設置する必要がなく、また保温剤コストが増大することもない。また、保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程に悪い影響を及ぼすこともない。

0022

上記構成の本発明の溶銑の放熱抑制方法において、表面被覆剤として投入した前記生石灰は、次工程の溶銑脱燐処理において精錬剤としてそのまま使用できるので、その添加量を所定の生石灰添加量から減量すれば、次工程での投入量を減少することができる。

発明の効果

0023

本発明によれば、特別な表面被覆剤を使用することなく、溶銑予備処理後の放熱を抑制することができる。これに伴い、溶銑温度の低下を3.5℃〜22℃程度抑制でき、鉄歩留りを0.03%〜0.22%程度高めることができた。

図面の簡単な説明

0024

表面被覆剤毎の時間当たりの温度低下量を示した図である。
表面被覆剤である生石灰の添加量と温度低下量との関係を示した図である。

発明を実施するための最良の形態

0025

本発明では、大掛かりな設備を必要とせず、また保温剤コストを増大させず、さらには保温剤使用に伴うスラグ量の増大やMgO濃度の上昇といった次工程に悪い影響を及ぼすことがないようにするという目的を、溶銑脱硫処理に使用したスラグの除去後に、精錬剤に使用する生石灰を所定量添加することによって実現した。

0026

以下、本発明の課題解決に至るまでの過程を説明した後に、本発明の溶銑の放熱抑制方法について説明する。

0027

溶銑は、主として容器開放部からの放射によって放熱する。従って、溶銑の放熱を抑制するには、(1) 容器の開放部の表面積を小さくすること、(2) 溶銑の露出表面の温度を低下させて熱放射を抑制すること、が有効である。

0028

(1) の対策については、特許文献5で提案された保温蓋を設置する方法があるが、温度が低く地金或いはスラグの付着が多い溶銑鍋では、その開放部を密閉することが困難である。また、保温蓋脱着装置の設備費が膨大であるという問題もある。

0029

また、(2) の溶銑の露出表面の温度を低下させる方法としては、溶銑以外の物質、特に熱伝導率の低い非金属製の物質で溶銑の表面を被覆することが挙げられる。表面被覆剤に求められる性質は、熱伝導率が低いほど、また表面被覆剤の厚みが大きいほど、溶銑の露出表面の温度が低下することから、特許文献1で提案された溶銑温度降下防止剤に使用される嵩比重の小さいバーミュキライトや、スラグ分を含んだ表面被覆剤が用いられてきた。

0030

これらの表面被覆剤はコストを要すると共に、比較的融点が低く、添加時に融解する場合がある。表面被覆剤が融解すると、流動性増し、また体積が小さくなる。表面被覆剤の流動性向上は、取鍋の測温やサンプリングを妨げるスラグの固化を防止するという観点からは望ましい。しかしながら、対流による放熱、また体積減少による断熱効果の低下が生じ、本願発明が対象とするような溶銑自体の皮張り防止、或いは放熱抑制という観点からは望ましくない。

0031

ところで、一般的な製鋼プロセスでは、脱燐や脱硫といった溶銑予備処理を施した後、当該処理に用いたスラグを除去し、さらに他の溶銑予備処理或いは転炉で脱炭処理を行う。

0032

これらの次工程の処理には、CaO(生石灰)を含む精錬剤が主に使用される。生石灰は嵩比重が1.0〜2.0程度と大きいので、溶銑の表面被覆剤として望ましい性質を持つ。また、生石灰は融点が2572℃と高く、融解による嵩比重の低下や流動性の増加が起こり難い。

0033

発明者らは、この特性を利用し、脱硫処理後にスラグを除去した溶銑の表面に生石灰を添加することで、放熱を抑制できることを知見した。また、添加した生石灰を次工程の脱燐処理の精錬剤としてそのまま使用した場合は、次工程での投入量を減少することができ、このため保温剤或いは表面被覆剤に要するコストを必要とせずに放熱抑制が可能であることも知見した。

0034

本発明の溶銑の放熱抑制方法は、上記の知見に基づいてなされたものであり、溶銑脱硫−溶銑脱燐の順序で予備処理を行う工程における溶銑の放熱抑制方法であって、溶銑の脱硫処理後、脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、所定量の生石灰を溶銑の表面に添加することとしている。

0035

この結果、本発明の溶銑の放熱抑制方法では、溶銑の放熱抑制、溶銑表面の皮張り抑制を、特別な保温剤を使用することなく行うことができる。

0036

次に、上記本発明の溶銑の放熱抑制方法において、溶銑の表面に添加する生石灰の最適量とその効果を調査するために行った実験結果について説明する。

0037

高炉からトーピードカーにて搬送した250トンの溶銑を溶銑鍋に払い出し、溶銑鍋中の溶銑に生石灰等の媒溶剤を添加し、機械式撹拌装置で攪拌して脱硫処理を行い、その後復硫を防止するために脱硫スラグを除去した。

0038

この脱硫スラグを除去した溶銑の表面に、下記表1に示した表面被覆剤を溶銑鍋の上方から添加した。その後、予めスクラップを投入した転炉型脱燐処理炉に溶銑鍋から溶銑を装入し、これに生石灰等の媒溶剤を加え、炉底から不活性ガス吹込んで撹拌しながら、溶銑上部から酸素を吹き付けて脱燐処理を行った。なお、表面被覆剤として生石灰を使用したものは、その量に応じて脱燐処理炉で添加する生石灰の量を減量した。

0039

0040

脱硫スラグ除去後と脱燐処理後の間の溶銑温度・成分の差違及び脱燐処理で投入したスクラップ・媒溶剤の冷却能を合算して温度換算をし、脱硫スラグ除去から脱燐処理までの時間と放熱量をプロットすることで、時間当たりの温度低下量を評価した。

0041

図1に表1に示した表面被覆剤毎の時間当たりの温度低下量を示したが、時間当たりの温度低下速度は、生石灰を表面被覆材として使用した場合が一番遅いことが分かる。

0042

下記表2は、前記表1に示した表面被覆材を、生石灰では0.3〜1.0kg/ton(厚み換算で6〜21mm)、バーミュキライトでは0.11〜0.15kg/ton(厚み換算で15〜21mm)添加して20〜130分保持した場合の、温度低下量及び溶銑表面の固化の有無を調査した結果の一例を示したものである。

0043

なお、脱燐処理で使用する生石灰量は、通常は7.0kg/ton〜20.0kg/tonであるところ、本発明の実施においては、6.0kg/ton〜19.7kg/tonと、表面被覆剤として生石灰を使用した量に応じて生石灰の添加量を減量した。

0044

その結果、特別な表面被覆剤コストを要することなく、生石灰を表面被覆剤として使用した場合、表面被覆剤を使用しなかった場合と比較して、温度低下量は1/4に抑制できた。また、バーミュキライトを表面被覆剤として使用した場合と比較しても温度低下量は41%減少した。

0045

0046

また、表面被覆剤である生石灰の添加量を変化させた場合の、生石灰の添加量と温度低下量との関係を図2に示す。

0047

図2より、生石灰の添加量が0.30kg/溶銑ton未満の場合は、放熱抑制効果が著しく低下していることが分かる。これは、生石灰は溶銑予備処理温度である1200℃〜1400℃の領域では単体では溶融せず溶銑表面に一様に広がらないことから、溶銑が露出する部分が生じ、この部分からの放熱量が大きかったことによると考えられる。

0048

一方、生石灰の添加量が1.0kg/溶銑tonを超えても放熱抑制効果は大きく変化しなかった。これは、1.0kg/溶銑tonを超える場合は、生石灰の表面温度が十分低下し、放熱抑制効果が飽和したためと考えられる。

0049

表2及び図2より、添加原単位で0.30kg/溶銑ton以上、1.0kg/溶銑ton以下の生石灰を溶銑の上方から投入して溶銑の表面を被覆することで、バーミュキライト等の保温剤を使用する場合と比較して、放熱量を大きく低減することが可能であることが判明した。加えて、表面被覆材として精錬剤に使用する生石灰を使用すれば、次工程の生石灰使用量を削減することができ、特別な保温剤コストも不要となる。

0050

本発明は、上記の知見及び実験結果に基づいて成されたものであり、溶銑脱硫−溶銑脱燐の順序で予備処理を行う工程における溶銑の放熱抑制方法であって、溶銑の脱硫処理後、脱硫処理に使用したスラグを除去した後に、原単位で0.3kg/ton〜1.0kg/tonの生石灰を溶銑の表面に添加することを特徴とするものである。

0051

また、本発明の溶銑の放熱抑制方法は、溶銑の脱硫処理後の溶銑脱燐処理において、前記生石灰をそのまま使用すべく、表面被覆剤として投入した前記生石灰の添加量を所定の生石灰添加量から減量することを特徴とするものである。

0052

本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。

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