図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
軟X線領域のような波長の短い光でリソグラフィーを行うとき、微細な描画が可能となるが、焦点深度が浅くなってしまうという不具合がおきてくる。細かい精密なパターンを描画するために、使用する反射型マスク用基板には、基板表面が高平坦、かつ低欠陥で、面粗さが少ないといった基板表面の完全性が求められている。
また、現行で使われているArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いて、EUV光でリソグラフィー(以下、「EUVL」と略す)へ移行するまでの延命用マスク基板としても、高平坦な合成石英ガラス基板を用いることが考えられている。
現在、EUVL等の細かいパターンに対応するために必要な高平坦化された基板は、基板表面における中央142mm×142mm角の平坦度が50nm以下のものが必要とされており、それに対応するための基板が何種類か提案されている。例えば、特許文献1:特開2007−287737号公報では、局所的にガスクラスターイオンビームエッチング等により研磨を施した後、最終研磨を行うことで得られる高平坦かつ高平滑な基板が記載されている。また、特許文献2:特許第4219718号公報では、プラズマエッチングによって局所研磨を行い、その後非接触研磨を行うことで高平坦かつ低欠陥な基板を作製する方法が記載されている。
しかし、上記の方法では、基板を平坦化することに対して装置の大きさやプロセス等の不具合が生じ、その結果生じるであろう加工コストや加工時間の増加が課題として考えられる。例えば、ガスクラスターイオンビームエッチング等は、加工を行うために真空の環境を作ることに時間がかかることや、フロートポリッシングのような非接触研磨を行うと、研磨レートが小さいために研磨加工時間が長くなるデメリットがある。また、装置が大掛かりであるゆえに生ずる多大な設備費、加工に用いるための高価なガス等の減価償却費が加工された基板の加工代として跳ね返ってくるため、基板の値段が高くなってしまう点が問題となる。ガラス基板の価格高騰は、需要側及び供給側どちらにとっても好ましくない。
一方、特許文献3:国際公開第2004/083961号パンフレットでは、主表面と面取り面の境界における基準面からの最大高さ及び形状を規定することにより、真空チャック時の基板の平坦度を良くすることができる基板について記載されている。しかしながら、明細書等に記載されているように、実際のこの基板の平坦度は、せいぜい0.2μmである。更に、ステッパー等に装着して吸着した時の形状変化を考慮して外周が平ら、もしくは外に向かって傾斜する基板設計をしているが、このエリア設定では、外周の形状変化に伴う有効範囲内への平坦度への影響が少ないため制御が難しい。従って、EUVL用基板等の厳しい基板表面の平坦度が要求されるハイフラット基板に対しては能力不足の感が否めない。
ArFエキシマレーザーのみならず、EUVLにも対応可能な高平坦基板を作製しても、ステッパーに装着して吸着を行うと、その平坦度は崩されてしまうために、吸着時における基板の形状変化を考慮した形状を持つガラス基板が必要とされる。また、EUVLにも対応できるように、ステッパーへの基板吸着時に有効範囲の平坦度が50nm以下となることを必要とする。
概要
光リソグラフィー法等で使われるフォトマスク用合成石英ガラス基板として、平坦度が良く微細な描画を行うことができ、かつ基板表面が低欠陥で面粗さの小さい合成石英ガラス基板を提供する。表面中央132mm×132mm角の外周から表面外周縁へ向かって傾斜している6インチ角の合成ガラス基板であって、表面中央132mm×132mm角の平坦度が50nm以下、表面中央148mm×148mm角内であって表面中央132mm×132mm角部分を除いた額縁部分の平坦度が150nm以下である。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 4件
- 牽制数
- 2件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
表面中央132mm×132mm角の外周から表面外周縁へ向かって傾斜している6インチ角の合成ガラス基板であって、表面中央132mm×132mm角の平坦度が50nm以下、表面中央148mm×148mm角内であって表面中央132mm×132mm角部分を除いた額縁部分の平坦度が150nm以下であることを特徴とする合成石英ガラス基板。
請求項2
前記合成石英ガラス基板における表面中央132mm×132mm角エリアの平均平面が、前記額縁部分のエリアの表面平均平面よりも100nm以下高い位置にあることを特徴とする請求項1記載の合成石英ガラス基板。
請求項3
前記合成石英ガラス基板をステッパーに装着して合成石英ガラス基板の表面外周縁より内側2mmと内側5mmとの間の3mmの範囲内で吸着を行った際の、表面中央142mm×142mm角エリアの平坦度が50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の合成石英ガラス基板。
請求項4
前記合成石英ガラス基板の6インチ角のエリアにおける表面粗さ(RMS)が、0.10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板。
請求項5
請求項6
TiO2がドープされた請求項1乃至5のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板。
請求項7
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフォトマスク用合成石英ガラス基板。
請求項8
技術分野
0001
本発明は、フォトマスク用として好適な合成石英ガラス基板、特に基板表面が高平坦、低欠陥で面粗さが少なく、最先端用途のEUVリソグラフィーやナノインプリント技術に用いられる合成石英ガラス基板及びその製造方法に関する。
背景技術
0002
軟X線領域のような波長の短い光でリソグラフィーを行うとき、微細な描画が可能となるが、焦点深度が浅くなってしまうという不具合がおきてくる。細かい精密なパターンを描画するために、使用する反射型マスク用基板には、基板表面が高平坦、かつ低欠陥で、面粗さが少ないといった基板表面の完全性が求められている。
0003
また、現行で使われているArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いて、EUV光でリソグラフィー(以下、「EUVL」と略す)へ移行するまでの延命用マスク基板としても、高平坦な合成石英ガラス基板を用いることが考えられている。
0004
現在、EUVL等の細かいパターンに対応するために必要な高平坦化された基板は、基板表面における中央142mm×142mm角の平坦度が50nm以下のものが必要とされており、それに対応するための基板が何種類か提案されている。例えば、特許文献1:特開2007−287737号公報では、局所的にガスクラスターイオンビームエッチング等により研磨を施した後、最終研磨を行うことで得られる高平坦かつ高平滑な基板が記載されている。また、特許文献2:特許第4219718号公報では、プラズマエッチングによって局所研磨を行い、その後非接触研磨を行うことで高平坦かつ低欠陥な基板を作製する方法が記載されている。
0005
しかし、上記の方法では、基板を平坦化することに対して装置の大きさやプロセス等の不具合が生じ、その結果生じるであろう加工コストや加工時間の増加が課題として考えられる。例えば、ガスクラスターイオンビームエッチング等は、加工を行うために真空の環境を作ることに時間がかかることや、フロートポリッシングのような非接触研磨を行うと、研磨レートが小さいために研磨加工時間が長くなるデメリットがある。また、装置が大掛かりであるゆえに生ずる多大な設備費、加工に用いるための高価なガス等の減価償却費が加工された基板の加工代として跳ね返ってくるため、基板の値段が高くなってしまう点が問題となる。ガラス基板の価格高騰は、需要側及び供給側どちらにとっても好ましくない。
0006
一方、特許文献3:国際公開第2004/083961号パンフレットでは、主表面と面取り面の境界における基準面からの最大高さ及び形状を規定することにより、真空チャック時の基板の平坦度を良くすることができる基板について記載されている。しかしながら、明細書等に記載されているように、実際のこの基板の平坦度は、せいぜい0.2μmである。更に、ステッパー等に装着して吸着した時の形状変化を考慮して外周が平ら、もしくは外に向かって傾斜する基板設計をしているが、このエリア設定では、外周の形状変化に伴う有効範囲内への平坦度への影響が少ないため制御が難しい。従って、EUVL用基板等の厳しい基板表面の平坦度が要求されるハイフラット基板に対しては能力不足の感が否めない。
0007
ArFエキシマレーザーのみならず、EUVLにも対応可能な高平坦基板を作製しても、ステッパーに装着して吸着を行うと、その平坦度は崩されてしまうために、吸着時における基板の形状変化を考慮した形状を持つガラス基板が必要とされる。また、EUVLにも対応できるように、ステッパーへの基板吸着時に有効範囲の平坦度が50nm以下となることを必要とする。
先行技術
0008
特開2007−287737号公報
特許第4219718号公報
国際公開第2004/083961号パンフレット
発明が解決しようとする課題
0009
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高平坦、低欠陥で、面粗さが小さい基板表面を有し、フォトマスク用として好適な合成石英ガラス基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0010
本発明者らは、上記課題を解決するために、6インチ角基板の基板表面を後述する3つのエリアに区切り、それぞれのエリアにおける形状が規定された基板が、ステッパー等に装着して吸着した際の基板表面の平坦度を制御することに対して有用であることを見出し、EUVLにも対応可能な合成石英ガラス基板を提供する。
0011
即ち、本発明は以下の合成石英ガラス基板及びその製造方法を提供する。
請求項1:
表面中央132mm×132mm角の外周から表面外周縁へ向かって傾斜している6インチ角の合成ガラス基板であって、
表面中央132mm×132mm角の平坦度が50nm以下、
表面中央148mm×148mm角内であって表面中央132mm×132mm角部分を除いた額縁部分の平坦度が150nm以下
であることを特徴とする合成石英ガラス基板。
請求項2:
前記合成石英ガラス基板における表面中央132mm×132mm角エリアの平均平面が、前記額縁部分のエリアの表面平均平面よりも100nm以下高い位置にあることを特徴とする請求項1記載の合成石英ガラス基板。
請求項3:
前記合成石英ガラス基板をステッパーに装着して合成石英ガラス基板の表面外周縁より内側2mmと内側5mmとの間の3mmの範囲内で吸着を行った際の、表面中央142mm×142mm角エリアの平坦度が50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の合成石英ガラス基板。
請求項4:
前記合成石英ガラス基板の6インチ角のエリアにおける表面粗さ(RMS)が、0.10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板。
請求項5:
前記合成石英ガラス基板の6インチ角のエリアにおいて、凸欠陥、凹欠陥及び筋状キズが存在しないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板。
請求項6:
TiO2がドープされた請求項1乃至5のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板。
請求項7:
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフォトマスク用合成石英ガラス基板。
請求項8:
合成石英ガラス基板を粗研磨する工程、
基板表面の平坦度を測定する工程、
測定した平坦度に基づいて部分研磨をする工程、
部分研磨された合成石英ガラス基板を仕上げ研磨する工程
を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
発明の効果
0012
本発明の合成石英ガラス基板によれば、光リソグラフィー法等で使われるフォトマスク用合成石英ガラス基板等においてより微細な描画を行うときに要求されている、基板表面の平坦度が良く、かつ低欠陥で面粗さの小さいものとして活用できる。更に、ステッパー装置に装着して吸着を行ったときも、基板表面の平坦度がEUVLの有効範囲内で使用するときの要求スペックを満たすことができる。
図面の簡単な説明
0013
本発明における合成石英ガラス基板の3つのエリアを示す平面図である。
本発明における合成石英ガラス基板の断面図の一例である。
本発明における合成石英ガラス基板をステッパーに装着して吸着を行ったときの概略図である。
ガラス基板の平坦度及び平行度を説明するための基板断面の概念図である。
0014
本発明のガラス基板は、例えばArFエキシマーレーザー光源を利用したリソグラフィー技術やEUV光を用いて微細な描画をするリソグラフィー技術を行うときの半導体用合成石英ガラス基板として用いられる。大きさは、通常のフォトマスク用基板で用いられる6インチ角基板が望ましい。例えば、四角形状の152mm×152mm×6.35mmの6025基板等が該当する。
0015
ここで、図1,2は、本発明における6インチ角の合成ガラス基板1を示す。この基板1は、3つのエリアA,B,C、より詳しくは4つのエリアA,B0,B1,Cに分けることができる。エリアAは、基板表面中央132mm×132mm角のエリアである。エリアBは、表面中央132mm×132mm角の外周部と表面中央148mm×148mm角の外周部との間のエリアで、このエリアBは上記エリアAの外周部からエリアCに向けて傾斜しており、これを額縁部分とする。エリアCは表面中央148mm×148mm角の外周部と基板外周縁との間のエリアで、これを最外部分とする。このエリアCの外周部に面取り面を設けてもよい。この場合、エリアBは、更に表面中央132mm×132mm角の外周部と表面中央142mm×142mm角の外周部との間のエリアB0と、表面中央142mm×142mm角の外周部と表面中央148mm×148mm角の外周部との間のエリアB1とに分けられる。
上記エリアB1は、図3に示すステッパーステージ上の吸着部にて吸着される部分であり、このように吸着された場合、上記エリアAとエリアB0とがリソグラフィーを行う場合のリソグラフィー有効エリアとなる。
0016
本発明における6インチ角の合成石英ガラス基板は、図1,2に示す表面中央132mm×132mm角内のエリアAの平坦度が50nm以下、好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下である。このエリアAはステッパー等に装着して基板を吸着しても、その力による変形は小さいため、吸着前から高平坦であることが要求される。また、EUVL等微細な描画を行うために必要とされる最低限の平坦度でもある。なお、その平坦度の下限は限定されず、0nmでもよいが、通常は5nm以上である。
0017
基板表面の平坦度は、基板表面の反りを表し、基板主表面に設けた最小二乗法で求められる任意の平面を焦平面とし、この焦平面より上にある基板表面の最も高い位置と、焦平面より下にある基板表面の最も低い位置との高低差の絶対値により算出される。
0018
表面の平坦度の測定方法は、測定精度の観点から、レーザー光等のコヒーレントな光を基板表面に当てて反射させ、基板表面の高さの差が反射光の位相のズレとして観測されることを利用した光学干渉式の方法が望ましく、例えばTROPEL社製Ultra Flat M200を用いて測定される。
0019
図4は、平坦度及び平行度を説明するための基板断面の概念図である。本発明において、基板(基板材料)の平坦度は、基板表面の最小二乗平面を基準面としたときの、基準面と基板表面の凸部分との距離の最大値と、基準面と基板表面の凹部分との距離の最大値との和であり、図4中のaとbとの和で表される。一方、基板の平行度は、基板の裏面から表面までの距離の最大値cと最小値dとの差で表される。なお、図4中、1は基板、11は基板表面、12は最小二乗平面である。
0020
基板がいかに高平坦であっても、ステッパーに装着して吸着させたときなど実際の描画を行う環境において、基板が高平坦でないと価値がない。そこで、ステッパー等で吸着を行ったときに基板が高平坦になるように、表面中央148mm×148mm角内のエリアにおいて表面中央132mm×132mm角内のエリアAを除いた額縁部分2(エリアB)の平坦度を規定する。
0021
上記額縁部分2(エリアB)は、吸着を行ったときの変化量を考慮し、かつ基板中央部の平坦度を維持する、もしくは更に良くするため、額縁部分2(エリアB)の平坦度は150nm以下、好ましくは120nm以下に規定される。なお、平坦度の下限は通常30nm以上、特に50nm以上である。
0022
基板は、図3に示すように、その額縁部分2(エリアB)のうちエリアB1がステッパーステージ21上の吸着部22にて吸着されるため、吸着後に基板表面を高平坦化することを考慮すると、表面中央132mm×132mm角部分(エリアA)の外周から表面外周縁に向かって傾斜していなければならない。しかし、最外部分(エリアC)については、吸着による影響を受けても基板中央部に影響を及ぼさないため、この範囲においては、形状は問われない。
0023
上記傾斜の度合いは、表面中央132mm×132mm角部分(エリアA)の最小二乗平面が、額縁部分2(エリアB)表面の最小二乗平面よりも100nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上80nm以下の高い位置にあることより決められることが好ましい。
0024
これは、ステッパー等に装着して吸着をしたときの基板表面の平坦度の変化量を考慮すると、基板表面外周縁に向けて傾斜している額縁部分2(エリアB)において、傾斜しすぎることは好ましくないからである。即ち、額縁部分2が表面中央132mm×132mm角部分のエリアAよりも低い位置にありすぎると、例えば、EUVLの有効範囲とされる表面中央142mm×142mm角部分(エリアA+エリアB0)において平坦度が50nm以下を達成するのは困難だからである。
0025
表面中央132mm×132mm角部分のエリアAにおいては、ステッパー等に基板を装着して吸着させても、基板外周部に比べて基板表面の平坦度に影響する程度は非常に低い。従って、表面中央132mm×132mm角部分のエリアAは、上述したように、好ましくは平坦度が50nm以下、更に好ましくは40nm以下、特に好ましくは30nm以下の範囲である。
0026
本発明の合成石英ガラス基板は、EUVL世代にも対応できるように設計されている。EUVLを行う際の有効範囲は、例えば6025基板だと使用有効範囲は表面中央142mm×142mm角部分のエリア(エリアA+エリアB0)の平坦度が50nm以下であるとされている。この条件を満たすため、本発明の合成石英ガラス基板は、ステッパー等に装着して吸着したときに表面中央142mm×142mm角部分3エリア(エリアA+エリアB0)の平坦度が50nm以下になるように設計した。しかし、実際には表面中央142mm×142mm角部分のエリアの平坦度は40nm以下が好ましく、表面中央142mm×142mm角部分のエリアの平坦度が30nm以下であれば更に好ましい。
0027
基板の裏面は、基板のステッパーに装着したときに平面に近ければ近い程良いが、リソグラフィーを行う際に表面に影響が出ない程度の平坦度があれば良い。具体的には、吸着時に表面中央142mm×142mm角のエリアの平坦度が500nm以下であれば十分である。但し、EUVLを行う場合は裏面も表面と同じく、ステッパー装着時に表面中央142mm×142mm角のエリアの平坦度が50nm以下が好ましい。
また、本発明の合成石英ガラス基板の平行度は、ステッパー吸着時の基板の歪みを少なくすべく、5μm以下、好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下である。
0028
本発明の合成石英ガラス基板の表面粗さ(RMS)は、好ましくは0.10nm以下、更に好ましくは0.08nm以下である。これは、リソグラフィーを行うとき、基板表面のRMSが大きいと、描画の細かさや精度に影響を与えるためである。また、EUVLに対応するためには、ArFやKrFリソグラフィーに求められるRMSよりも小さい値でなければならない。RMSの下限は特に制限されないが、通常は0.05nm以上である。
0029
なお、本発明の合成石英ガラス基板は、6インチ角のエリアにおいて、長径が数十nm〜500nm程度で高さ数nm〜数十nm程度の凸欠陥や長径が数十nm〜500nm程度で深さが数nm〜100nm程度の凹欠陥、もしくは、深さが1〜5nmと浅いながら、長さが1μm〜数十μmもある薄い筋状キズ等の欠陥がないことが好ましい。これは、上述のような欠陥が基板表面に存在すると、リソグラフィーを行ったときに、その欠陥も一緒に転写され、細かい描画をすることが困難になるからである。このような欠陥は、後述する研磨工程において除去し得る。
0030
本発明の基板をEUVLで用いる場合には、基板表面の平坦度、面粗さ、欠陥数の他に、素材自体も規定される。この場合、熱膨張係数を下げるためにTiO2を5〜12質量%濃度でドープしたものが好ましい。
0032
本発明のガラス基板は、ガラスを粗研磨する工程、粗研磨した基板の表面の平坦度を測定する工程、部分研磨をする工程、仕上げ研磨をする工程を経て製造される。
0034
次いで、基板表面の平坦度が測定されるが、基板の形状を作りこむために粗研磨された基板表面の平坦度は、平坦度が0.3〜1.0μmのものが用いられる。
0035
本発明の合成石英ガラス基板の形状を作りこむためには、小型回転加工ツールを用いた部分研磨技術が採用される。上記で測定した、基板表面の測定データを元に、基板表面における各場所での研磨量を決定し、予め設定しておいた目標形状に向かって部分研磨を行う。研磨量は、ツールを動かす速度によって制御される。即ち、研磨量を多くしたい場合は、ツールが基板表面を通過する速度を遅くし、目標形状に近づいていて研磨量が少ない場合は、逆にツールが基板表面を通過する速度を速くすることによって研磨量を制御する。
0036
部分研磨の加工部は、リュータ式の回転加工ツールを用いたものが採用される。また、ガラスへの研磨ダメージを軽減するなどの観点から、ガラスと接触する回転ツールの素材には硬度A50〜75(JIS K6253に準拠)のポリウレタン、フェルトバフ、ゴム、セリウムパッド等から選択されるが、ガラス表面を研削できるものであれば種類は限定されない。また、回転ツールの研磨加工部の形状は円又はドーナツ型、円柱型、砲弾型、ディスク型、たる型等が挙げられる。
0038
部分研磨を施した基板は、仕上げ研磨として、通常の枚葉式研磨にてバッジ式研磨を行い、部分研磨工程まででついた欠陥や面粗さの改善を行う。このとき、研磨布にはスェード製のものが好適に用いられ、研磨レートはあまり高くないほうが、部分研磨で作り込んだ形状が最終の目標形状へ一気に変化しないように研磨できるため好ましい。このとき、研磨砥粒としては、粒径30〜150nm、好ましくは粒径30〜100nmのコロイダルシリカ水分散液が好適に用いられる。
0039
上記のように得られる合成石英ガラス基板は、部分研磨の仕上がりの形状により、仕上げ研磨後の形状を決めることができる。即ち、部分研磨上がりの形状によって最終の基板の表面形状をコントロールすることができる。
0041
仕上げ研磨して得られた基板は、表面の平坦度を測定し、その測定データをもとにしてステッパーに装着したときの吸着力を制御することによって、ステッパー装着時の基板の平坦度を制御することも可能となる。
0042
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
0043
[実施例1]
インゴットからスライスされた合成石英ガラス基板原料(6インチ)を、遊星運動を行う両面ラップ機にてラッピングした後、遊星運動を行う両面ポリッシュ機にて粗研磨を行い、原料基板を用意した。このとき原料基板表面の平坦度は6インチ角の範囲で0.398μmであった。なお、平坦度の測定はTROPEL社製Ultra FlatM200を使用した。
その後、上記基板を加工ツールとして研磨加工部が口径20mmφ×口径長25mmの砲弾型のフェルトバフツール(日本精密機械工作(株)製F3620)を使用した部分研磨機にセットした。加工条件は、加工ツールの回転数を5,000rpm、加工圧力を160g/mm2とし、被加工物上を移動させ、基板全面を加工した。このとき、研磨液としてコロイダルシリカ水分散液を使用した。加工方法は、基板のX軸に対して平行に加工ツールを連続的に移動させ、Y軸方向へは0.25mmピッチで移動させる方法をとった。この条件での最適加工速度は、予め測定して1.9μm/minとし、加工ツールの移動速度は、基板形状で最も低い基板の部分で50mm/secとして、98分間加工した。部分研磨後の基板形状は、最終仕上げ研磨における基板の削れ方を予め考慮して設定した。部分研磨処理後、基板全体の平坦度は0.286μmであった。なお、この基板は、基板が点対称になり最終研磨で力が基板に均等にかかるように作り込んだ。
次に、軟質のスエード製研磨布を用いて、研磨剤としてSiO2濃度が40質量%のコロイダルシリカ水分散液を用いて、研磨荷重100gfにて最終精密研磨をした。取り代は、粗研磨工程及び部分研磨工程で入ったキズを除去するのに十分な量として4μmを研磨した。
研磨終了後、洗浄・乾燥してから表面平坦度を測定したところ中央132mm×132mm角の範囲で37nmであった。また、額縁部分の範囲で121nmであった。原子間力顕微鏡で面粗さを測定したところ、RMS 0.07nmであった。レーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置(レーザーテック社製)を用いて欠陥検査を行ったところ、凸欠陥、凹欠陥及び筋状キズは検出されなかった。
この基板を基板表面中央148mm×148mm角の正方形の辺上にてステッパーに装着し、上記エリアB1部分において吸着を行ったところ、表面中央142mm×142mm角の平坦度は47nmとなった。
0044
[実施例2]
TiO2を7.0質量%ドープしたインゴットからスライスされた合成石英ガラス基板原料(6インチ)を、実施例1と同様に粗研磨を行い、原料基板を用意した。このとき原料基板表面の平坦度は6インチ角の範囲で0.371μmであった。
その後の部分研磨の加工条件は、加工ツールの回転数を6,000rpm、加工圧力を160g/mm2で被加工物上を移動させ、基板全面を加工した。このとき、研磨液としてコロイダルシリカ水分散液を使用した。加工方法は、基板のX軸に対して平行に加工ツールを連続的に移動させ、Y軸方向へは0.25mmピッチで移動させる方法をとった。この条件での最適加工速度は、予め測定して、1.1μm/minとし、加工ツールの移動速度は、基板形状で最も低い基板の部分で50mm/secとして、102分間加工した。部分研磨処理後、基板全体の平坦度は0.277μmであった。なお、この基板は、基板が点対称になり最終研磨で力が基板に均等にかかるように作り込んだ。
次に、実施例1と同様の条件により最終精密研磨をした。取り代は、粗研磨工程及び部分研磨工程で入ったキズを除去するのに十分な量として5μmを研磨した。
研磨終了後、洗浄・乾燥してから表面平坦度を測定したところ中央132mm×132mm角の範囲で41nmであった。また、額縁部分の範囲で108nmであった。原子間力顕微鏡で面粗さを測定したところ、RMS 0.07nmであった。レーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置(レーザーテック社製)を用いて欠陥検査を行ったところ、凸欠陥、凹欠陥及び筋状キズは検出されなかった。
この基板をステッパーに装着し、上記エリアB1において吸着を行ったところ、表面中央142mm×142mm角の平坦度は48nmとなった。
実施例
0045
[実施例3]
インゴットからスライスされた合成石英ガラス基板原料(6インチ)を、実施例1と同様に粗研磨を行い、原料基板を用意した。このとき原料基板表面の平坦度は6インチ角の範囲で0.303μmであった。
その後の部分研磨の加工条件は、加工ツールの回転数を3,000rpm,加工圧力を160g/mm2で被加工物上を移動させ、基板全面を加工した。このとき、研磨液としてコロイダルシリカ水分散液を使用した。加工方法は、基板のX軸に対して平行に加工ツールを連続的に移動させ、Y軸方向へは0.25mmピッチで移動させる方法をとった。この条件での最適加工速度は予め測定して、1.9μm/minとし、加工ツールの移動速度は、基板形状で最も低い基板の部分で50mm/secとして、102分間加工した。部分研磨処理後、基板全体の平坦度は0.222μmであった。なお、この基板は、基板が点対称になり最終研磨で力が基板に均等にかかるように作り込んだ。
次に、実施例1と同様の条件により最終精密研磨をした。取り代は粗研磨工程及び部分研磨工程で入ったキズを除去するのに十分な量として4.2μmを研磨した。研磨取代は、更に精密研磨を行うため、予め得られている研磨データを基に基板の削れ方を解析し、最小二乗法により最適研磨取代を求め、小数点以下1桁まで制御して設定をした。
研磨終了後、洗浄・乾燥してから表面平坦度を測定したところ中央132mm×132mm角の範囲で21nmであった。また、額縁部分の範囲で98nmであった。原子間力顕微鏡で面粗さを測定したところ、RMS 0.07nmであった。レーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置(レーザーテック社製)を用いて欠陥検査を行ったところ、凸欠陥、凹欠陥及び筋状キズは検出されなかった。
この基板をステッパーに装着し、上記エリアB1において吸着を行ったところ、表面中央142mm×142mm角の平坦度は27nmとなった。
0046
1基板
2額縁部分
11 基板表面
12最小二乗平面
21ステッパーステージ
22 ステッパー吸着部
A 基板表面中央132mm×132mm角部分のエリア
B 基板表面中央132mm×132mm角部分と表面中央148mm×148mm角部分との間のエリア
B0 基板表面中央132mm×132mm角部分と表面中央142mm×142mm角部分との間のエリア
B1 基板表面中央142mm×142mm角部分と表面中央148mm×148mm角部分との間のエリア
C 基板表面中央148mm×148mm角部分と基板表面外周縁との間のエリア
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