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技術 面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置、画像形成装置及び面発光レーザ素子の製造方法

出願人 株式会社リコー
発明者 原坂和宏佐藤俊一林昌弘伊藤彰浩花岡克成
出願日 2011年3月9日 (9年3ヶ月経過) 出願番号 2011-050962
公開日 2012年1月12日 (8年5ヶ月経過) 公開番号 2012-009818
状態 特許登録済
技術分野 半導体レーザ 機械的光走査系
主要キーワード 傾斜軸方向 中央領 正六角柱状 発振抑制 高反射率領域 固化収縮 熱エネルギー制御 低反射率領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

基本横モード光出力を低下させることなく、高次横モード発振を抑制することができる面発光レーザ素子を提供する。

解決手段

出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、コンタクト層109の厚さは、出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、コンタクト層は、上部半導体DBR最表面高屈折率層上に設けられ、相対的に反射率が低い領域では、最表面高屈折率層とコンタクト層109とを合わせた光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれている。

概要

背景

面発光レーザ素子(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)において、高次横モード発振を抑制することは、応用上重要であり、従来から様々な試みがなされてきた。その中でも、出射領域の中心部と周辺部に反射率の差をつけることで高次横モードの発振を抑制する方法が有効であり、様々な手法が開示されている。

例えば、特許文献1には、上部反射鏡層構造と下部反射鏡層構造との間に発光層を配置した半導体材料層構造基板の上に形成され、上部反射鏡層構造の上方には、平面視形状が円環形状をした上部電極が形成され、上部電極の内側が開口部になっており、該開口部の一部表面を被覆して、発振レーザ光発振波長に対して透明な層が形成されている面発光半導体レーザ素子が開示されている。ここでは、出射面に光学的厚さがλ/4の奇数倍となる円環状のSiN膜を形成することで、出射領域の周辺部の反射率を低下させている。

また、特許文献2には、基板上に、第1多層膜反射鏡発光中心領域を有する活性層、第2多層膜反射鏡及び横モード調整層がこの順に積層されたレーザ構造を備え、第1多層膜反射鏡および第2多層膜反射鏡のいずれか一方は、対角線交点が発光中心領域に対応する四辺形状の電流注入領域を有し、第2多層膜反射鏡は、電流注入領域のうち一方の対角線に対応する領域に設けられた光出射口と、光出射口を間にして設けられた一対の溝部とを有し、横モード調整層は、光出射口に対応して設けられると共に、光出射口のうち発光中心領域に対応する中央領域を除く周辺領域の反射率が中央領域のそれよりも低くなっている面発光型半導体レーザが開示されている。ここでは、横モード調整層として、1種類の誘電体膜を利用する構造の他に、複数種類の誘電体膜を交互に積層することで反射率差をつける構造が示されている(例えば、特許文献2の実施形態5参照)。また、光出射口の周辺領域における第2多層膜反射鏡をエッチングで除去することで周辺領域の反射率を低下させている(例えば、特許文献2の実施形態4参照)。

また、特許文献3には、下部反射鏡、活性層、上部反射鏡の順に積層された層構造を有するとともに、下部反射鏡内または上部反射鏡内に電流狭窄層が設けられた面発光レーザ素子が開示されている。この面発光レーザ素子では、上部反射鏡上に設けられるとともに、少なくとも電流狭窄層によって定まる電流狭窄領域境界面よりも内側に、発振レーザ光に対して第一の反射率を示す第一の領域と発振レーザ光に対して第二の反射率を示す第二の領域とを有した半導体層を備えている。ここでは、出射面のGaAs層の厚さを、中心部と周辺部で光学的厚さでλ/4程度の差をつけることで、周辺部の反射率を低下させている。

概要

基本横モード光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる面発光レーザ素子を提供する。出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、コンタクト層109の厚さは、出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、コンタクト層は、上部半導体DBR最表面高屈折率層上に設けられ、相対的に反射率が低い領域では、最表面高屈折率層とコンタクト層109とを合わせた光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれている。

目的

本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

基板上に下部多層膜反射鏡活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、コンタクト層が積層され、該コンタクト層上の電極によって取り囲まれた出射領域からレーザ光射出する面発光レーザ素子において、前記出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、前記コンタクト層の厚さは、前記出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、前記コンタクト層は、前記上部多層膜反射鏡の高屈折率層上に設けられ、前記相対的に反射率が低い領域では、該高屈折率層と前記コンタクト層とを合わせた光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれており、前記相対的に反射率が高い領域と反射率が低い領域の反射率差は、該高屈折率層と前記コンタクト層とを合わせた光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍の場合に比べて大きいことを特徴とする面発光レーザ素子。

請求項2

基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡が積層され、電極によって取り囲まれた出射領域からレーザ光を射出する面発光レーザ素子において、前記出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、前記誘電体層は、前記上部多層膜反射鏡の高屈折率層上に設けられ、該高屈折率層の厚さは、前記出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、前記相対的に反射率が低い領域では、該高屈折率層の光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれており、前記相対的に反射率が高い領域と反射率が低い領域の反射率差は、該高屈折率層の光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍の場合に比べて大きいことを特徴とする面発光レーザ素子。

請求項3

前記誘電体層は、少なくとも前記相対的に反射率が高い領域に設けられ、前記相対的に反射率が高い領域に設けられた誘電体層は、材質の異なる複数の誘電体膜が積層されており、前記相対的に反射率が高い領域では、前記誘電体層直下の半導体層の厚さが、前記相対的に反射率が低い領域における該半導体層の厚さに比べて、厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載の面発光レーザ素子。

請求項4

前記相対的に反射率が低い領域では、前記誘電体層直下の半導体層の光学的厚さが「発振波長/4」より10nm以上小さいことを特徴とする請求項3に記載の面発光レーザ素子。

請求項5

前記相対的に反射率が高い領域に設けられた誘電体層は、光学的厚さが「発振波長/4」の偶数倍であり、前記複数の誘電体膜は、各誘電体膜の光学的厚さがいずれも「発振波長/4」の奇数倍であることを特徴とする請求項3又は4に記載の面発光レーザ素子。

請求項6

前記相対的に反射率が低い領域にも誘電体層が設けられ、前記相対的に反射率が低い領域に設けられた誘電体層は、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子。

請求項7

前記誘電体層は、少なくとも前記相対的に反射率が低い領域に設けられ、前記相対的に反射率が低い領域に設けられた誘電体層は、単一の材質であり、前記相対的に反射率が低い領域では、前記誘電体層直下の半導体層の厚さが、前記相対的に反射率が高い領域における該半導体層の厚さに比べて、厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載の面発光レーザ素子。

請求項8

前記相対的に反射率が低い領域に設けられた誘電体層は、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍であることを特徴とする請求項7に記載の面発光レーザ素子。

請求項9

前記相対的に反射率が高い領域にも、前記相対的に反射率が低い領域に設けられた誘電体層と同じ材質の誘電体層が設けられ、前記相対的に反射率が高い領域に設けられた誘電体層は、光学的厚さが「発振波長/4」の偶数倍であることを特徴とする請求項7又は8に記載の面発光レーザ素子。

請求項10

前記相対的に反射率が高い領域は、前記出射領域に平行な面内で互いに直交する2方向に関して形状異方性することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイ

請求項12

光によって被走査面を走査する光走査装置であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子を有する光源と、前記光源からの光を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える光走査装置。

請求項13

光によって被走査面を走査する光走査装置であって、請求項11に記載の面発光レーザアレイを有する光源と、前記光源からの光を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える光走査装置。

請求項14

少なくとも1つの像担持体と、前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する少なくとも1つの請求項12又は13に記載の光走査装置と、を備える画像形成装置

請求項15

前記画像情報は、多色カラー画像情報であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。

請求項16

出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記反射率が高い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第1の誘電体層を形成する工程と、前記コンタクト層における前記反射率が低い領域に対応する部分の表層酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、前記出射領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第2の誘電体層を形成する工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法。

請求項17

出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記コンタクト層における前記出射領域に対応する部分を取り除く工程と、前記反射率が高い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第1の誘電体層を形成する工程と、前記上部多層膜反射鏡の最表面の高屈折率層における前記反射率が低い領域に対応する部分の表層を酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、前記出射領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第2の誘電体層を形成する工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法。

請求項18

出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記反射率が低い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である誘電体層を形成する工程と、前記コンタクト層における前記反射率が高い領域に対応する部分の表層を酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法。

請求項19

出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記コンタクト層における前記出射領域に対応する部分を取り除く工程と、前記反射率が低い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である誘電体層を形成する工程と、前記上部多層膜反射鏡の最表面の高屈折率層における前記反射率が高い領域に対応する部分の表層を酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法。

請求項20

前記コンタクト層における前記出射領域に対応する部分を取り除く工程では、前記出射領域に対応する部分以外をマスクしておき、塩素ガス及び4塩化珪素ガスの少なくとも一方と酸素ガス混合プラズマ雰囲気中に暴露することを特徴とする請求項17又は19に記載の面発光レーザ素子の製造方法。

請求項21

前記酸化された表層を取り除く工程では、前記酸化された表層をアンモニア水フッ化水素、及び塩酸を含有する水溶液のいずれかに浸漬することを特徴とする請求項16〜20のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子の製造方法。

請求項22

前記表層を酸化する工程では、水蒸気により酸化することを特徴とする請求項16〜21のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子の製造方法。

請求項23

前記表層を酸化する工程では、酸素プラズマ中に暴露することを特徴とする請求項16〜21のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、面発光レーザ素子面発光レーザアレイ光走査装置画像形成装置及び面発光レーザ素子の製造方法に係り、更に詳しくは、基板表面に垂直な方向にレーザ光出射する面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイ、前記面発光レーザ素子又は面発光レーザアレイを有する光走査装置、該光走査装置を備える画像形成装置、並びに基板表面に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザ素子の製造方法に関する。

背景技術

0002

面発光レーザ素子(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)において、高次横モード発振を抑制することは、応用上重要であり、従来から様々な試みがなされてきた。その中でも、出射領域の中心部と周辺部に反射率の差をつけることで高次横モードの発振を抑制する方法が有効であり、様々な手法が開示されている。

0003

例えば、特許文献1には、上部反射鏡層構造と下部反射鏡層構造との間に発光層を配置した半導体材料層構造が基板の上に形成され、上部反射鏡層構造の上方には、平面視形状が円環形状をした上部電極が形成され、上部電極の内側が開口部になっており、該開口部の一部表面を被覆して、発振レーザ光発振波長に対して透明な層が形成されている面発光半導体レーザ素子が開示されている。ここでは、出射面に光学的厚さがλ/4の奇数倍となる円環状のSiN膜を形成することで、出射領域の周辺部の反射率を低下させている。

0004

また、特許文献2には、基板上に、第1多層膜反射鏡発光中心領域を有する活性層、第2多層膜反射鏡及び横モード調整層がこの順に積層されたレーザ構造を備え、第1多層膜反射鏡および第2多層膜反射鏡のいずれか一方は、対角線交点が発光中心領域に対応する四辺形状の電流注入領域を有し、第2多層膜反射鏡は、電流注入領域のうち一方の対角線に対応する領域に設けられた光出射口と、光出射口を間にして設けられた一対の溝部とを有し、横モード調整層は、光出射口に対応して設けられると共に、光出射口のうち発光中心領域に対応する中央領域を除く周辺領域の反射率が中央領域のそれよりも低くなっている面発光型半導体レーザが開示されている。ここでは、横モード調整層として、1種類の誘電体膜を利用する構造の他に、複数種類の誘電体膜を交互に積層することで反射率差をつける構造が示されている(例えば、特許文献2の実施形態5参照)。また、光出射口の周辺領域における第2多層膜反射鏡をエッチングで除去することで周辺領域の反射率を低下させている(例えば、特許文献2の実施形態4参照)。

0005

また、特許文献3には、下部反射鏡、活性層、上部反射鏡の順に積層された層構造を有するとともに、下部反射鏡内または上部反射鏡内に電流狭窄層が設けられた面発光レーザ素子が開示されている。この面発光レーザ素子では、上部反射鏡上に設けられるとともに、少なくとも電流狭窄層によって定まる電流狭窄領域境界面よりも内側に、発振レーザ光に対して第一の反射率を示す第一の領域と発振レーザ光に対して第二の反射率を示す第二の領域とを有した半導体層を備えている。ここでは、出射面のGaAs層の厚さを、中心部と周辺部で光学的厚さでλ/4程度の差をつけることで、周辺部の反射率を低下させている。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1に開示されている面発光半導体レーザ素子では、高次横モードの抑制効果限界があった。

0007

また、特許文献2に開示されている面発光型半導体レーザにおいて、複数種類の誘電体膜を交互に積層して横モード調整層を作成する場合には、該面発光型半導体レーザを製造する際の工数が増え、量産性及び製造コストの面で好ましくなかった。

0008

また、特許文献2に開示されている面発光型半導体レーザにおいて、光出射口の周辺領域における第2多層膜反射鏡をエッチングで除去する場合には、多層膜反射鏡は誘電体に比べて1ペアあたりの反射率が低く、高い反射率差を得るには多くの層を除去する必要がある。このときに、ウェットエッチングで除去したとすると、その断面に傾斜がつくことが予想され、高反射率領域低反射率領域の境界では反射率差が不安定になるおそれがあった。

0009

また、特許文献3に開示されている面発光レーザ素子では、反射率差を大きくするためにGaAs層を光学的厚さがλ/4程度になるまで厚くすると、吸収損失が増大して発光効率が低下するという不都合があった。

0010

本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、基本横モード光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイを提供することにある。

0011

また、本発明の第2の目的は、高精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。

0012

また、本発明の第3の目的は、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。

0013

また、本発明の第4の目的は、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる面発光レーザ素子の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

本発明は、第1の観点からすると、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、コンタクト層が積層され、該コンタクト層上の電極によって取り囲まれた出射領域からレーザ光を射出する面発光レーザ素子において、前記出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、前記コンタクト層の厚さは、前記出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、前記コンタクト層は、前記上部多層膜反射鏡の高屈折率層上に設けられ、前記相対的に反射率が低い領域では、該高屈折率層と前記コンタクト層とを合わせた光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれており、前記相対的に反射率が高い領域と反射率が低い領域の反射率差は、該高屈折率層と前記コンタクト層とを合わせた光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍の場合に比べて大きいことを特徴とする第1の面発光レーザ素子である。

0015

本発明は、第2の観点からすると、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡が積層され、電極によって取り囲まれた出射領域からレーザ光を射出する面発光レーザ素子において、前記出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、前記誘電体層は、前記上部多層膜反射鏡の高屈折率層上に設けられ、該高屈折率層の厚さは、前記出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、前記相対的に反射率が低い領域では、該高屈折率層の光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれており、前記相対的に反射率が高い領域と反射率が低い領域の反射率差は、該高屈折率層の光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍の場合に比べて大きいことを特徴とする第2の面発光レーザ素子である。

0016

上記第1の面発光レーザ素子及び第2の面発光レーザ素子によれば、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。

0017

本発明は、第3の観点からすると、本発明の面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイである。

0018

これによれば、本発明の面発光レーザ素子が集積されているため、各発光部では、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。

0019

本発明は、第4の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の面発光レーザ素子を有する光源と、前記光源からの光を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える光走査装置である。

0020

これによれば、光源が本発明の面発光レーザ素子を有しているため、高い精度の光走査を行うことが可能である。

0021

本発明は、第5の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の面発光レーザアレイを有する光源と、前記光源からの光を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える光走査装置である。

0022

これによれば、光源が本発明の面発光レーザアレイを有しているため、高い精度の光走査を行うことが可能である。

0023

本発明は、第6の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と、前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と、を備える画像形成装置である。

0024

これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能である。

0025

本発明は、第7の観点からすると、出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記反射率が高い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第1の誘電体層を形成する工程と、前記コンタクト層における前記反射率が低い領域に対応する部分の表層酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、前記出射領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第2の誘電体層を形成する工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法である。

0026

本発明は、第8の観点からすると、出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記コンタクト層における前記出射領域に対応する部分を取り除く工程と、前記反射率が高い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第1の誘電体層を形成する工程と、前記上部多層膜反射鏡の最表面の高屈折率層における前記反射率が低い領域に対応する部分の表層を酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、前記出射領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である第2の誘電体層を形成する工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法である。

0027

本発明は、第9の観点からすると、出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記反射率が低い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である誘電体層を形成する工程と、前記コンタクト層における前記反射率が高い領域に対応する部分の表層を酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法である。

0028

本発明は、第10の観点からすると、出射領域内に反射率が高い領域と低い領域とを含み、基板表面に直交する方向に光を出射する面発光レーザ素子の製造方法であって、基板上に下部多層膜反射鏡、活性層を含む共振器構造体、上部多層膜反射鏡、及びコンタクト層を積層する工程と、前記コンタクト層における前記出射領域に対応する部分を取り除く工程と、前記反射率が低い領域に対応する部分に、光学的厚さが「発振波長/4」の奇数倍である誘電体層を形成する工程と、前記上部多層膜反射鏡の最表面の高屈折率層における前記反射率が高い領域に対応する部分の表層を酸化する工程と、前記酸化された表層を取り除く工程と、を含む面発光レーザ素子の製造方法である。

0029

これらの製造方法によれば、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる面発光レーザ素子を製造することができる。

図面の簡単な説明

0030

本発明の一実施形態に係るレーザプリンタ概略構成を説明するための図である。
図1における光走査装置を示す概略図である。
図3(A)及び図3(B)は、それぞれ構成例1の面発光レーザ素子100Aを説明するための図である。
積層体を説明するための図である。
図5(A)及び図5(B)は、それぞれ面発光レーザ素子100Aの基板を説明するための図である。
コンタクト層における可溶部を説明するための図である。
コンタクト層における可溶部を除去した状態を説明するための図である。
図3(B)の一部を拡大した図である。
計算に用いたモデルを説明するための図である。
図10(A)及び図10(B)は、それぞれ計算結果を説明するための図である。
図11(A)及び図11(B)は、それぞれ構成例2の面発光レーザ素子100Bを説明するための図である。
出射領域内のコンタクト層を取り除くためのマスクを説明するための図である。
出射領域内のコンタクト層が取り除かれた状態を説明するための図である。
上部半導体DBRのエッチング速度と酸素添加条件との関係を説明するための図である。
最表面高屈折率層における可溶部を説明するための図である。
最表面高屈折率層における可溶部を除去した状態を説明するための図である。
図11(B)の一部を拡大した図である。
図18(A)及び図18(B)は、それぞれ構成例3の面発光レーザ素子100Cを説明するための図である。
図18(B)の一部を拡大した図である。
図20(A)及び図20(B)は、それぞれ構成例4の面発光レーザ素子100Dを説明するための図である。
図21(A)及び図21(B)は、それぞれ図20(B)の一部を拡大した図である。
計算に用いたモデルを説明するための図である。
図23(A)及び図23(B)は、それぞれ計算結果を説明するための図である。
図24(A)及び図24(B)は、それぞれ構成例5の面発光レーザ素子100Eを説明するための図である。
図25(A)及び図25(B)は、それぞれ図24(B)の一部を拡大した図である。
図26(A)及び図26(B)は、それぞれ構成例6の面発光レーザ素子100Fを説明するための図である。
図27(A)及び図27(B)は、それぞれ図26(B)の一部を拡大した図である。
偏光抑圧比PMSRと偏光角θpとの関係を説明するための図である。
図28における符号Cに対応する面発光レーザ素子(変形例)を説明するための図である。
図28における符号Dに対応する面発光レーザ素子(比較例)を説明するための図である。
図31(A)及び図31(B)は、それぞれ構成例7の面発光レーザ素子100Gを説明するための図である。
図32(A)及び図32(B)は、それぞれ図31(B)の一部を拡大した図である。
面発光レーザアレイを説明するための図である。
多色カラープリンタの概略構成を説明するための図である。

実施例

0031

以下、本発明の一実施形態を図1図32(B)を用いて説明する。図1には、一実施形態に係るレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。

0032

このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。

0033

通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。

0034

感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。

0035

帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。

0036

帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。

0037

光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。

0038

トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。

0039

現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。

0040

給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。

0041

転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性電圧印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。

0042

定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。

0043

除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。

0044

クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。

0045

次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。

0046

この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ポリゴンミラー13、光源14、カップリングレンズ15、開口板16、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー18、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング30の所定位置に組み付けられている。

0047

なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。

0048

カップリングレンズ15は、光源14から出力された光束を略平行光とする。

0049

開口板16は、開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。

0050

シリンドリカルレンズ17は、開口板16の開口部を通過した光束を、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に副走査対応方向に関して結像する。

0051

光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板16とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。

0052

ポリゴンミラー13は、高さの低い正六角柱状部材からなり、側面に6面の偏向反射面が形成されている。このポリゴンミラー13は、副走査対応方向に平行な軸の周り等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。

0053

偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。

0054

像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。

0055

ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bの間の光路上、及び像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されても良い。

0056

光源14は、基板表面に直交する方向に光を射出する面発光レーザ素子を有している。この面発光レーザ素子としては、種々の構成のものが考えられる。そこで、以下に、いくつかの構成例について説明する。なお、本明細書では、レーザ発振方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面内における互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。

0057

《構成例1》
構成例1の面発光レーザ素子100Aが、図3(A)〜図4に示されている。図3(A)は、面発光レーザ素子100Aにおける発光部近傍の平面図であり、図3(B)は、面発光レーザ素子100AをXZ面に平行に切断したときの断面図である。なお、図3(A)における符号L11は約25μm、L12は約15μm、L13は約13μm、L14は約5μmである。

0058

この面発光レーザ素子100Aは、発振波長が780nm帯の面発光レーザ素子であり、基板101、バッファ層102(図4では図示省略)、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109などを有している。

0059

基板101は、表面が鏡面研磨面であり、図5(A)に示されるように、鏡面研磨面(主面)の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]A方向に向かって15度(θ=15度)傾斜したn−GaAs単結晶基板である。すなわち、基板101はいわゆる傾斜基板である。ここでは、図5(B)に示されるように、結晶方位[0 −1 1]方向が+X方向、結晶方位[0 1 −1]方向が−X方向となるように配置されている。また、傾斜基板を用いることによって、偏光方向を傾斜軸方向(ここでは、X軸方向)に安定させようとする作用が働くものとする。

0060

図3(B)に戻り、バッファ層102は、基板101の+Z側の面上に積層され、n−GaAsからなる層である。

0061

下部半導体DBR103は、バッファ層102の+Z側の面上に積層され、n−AlAsからなる低屈折率層と、n−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを40.5ペア有している。各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層図3(B)では図示省略、図4参照)が設けられている。そして、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学的厚さとなるように設定されている。なお、光学的厚さとその層の実際の厚さについては以下の関係がある。光学的厚さがλ/4のとき、その層の実際の厚さDは、D=λ/4n(但し、nはその層の媒質屈折率)である。

0062

下部スペーサ層104は、下部半導体DBR103の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5Pからなる層である。

0063

活性層105は、下部スペーサ層104の+Z側に積層され、3層の量子井戸層と4層の障壁層とを有している。各量子井戸層は、0.7%の圧縮歪み誘起する組成であるGaInAsPからなり、バンドギャップ波長が約780nmである。また、各障壁層は、0.6%の引張歪みを誘起する組成であるGaInPからなる。

0064

上部スペーサ層106は、活性層105の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5Pからなる層である。

0065

下部スペーサ層104と活性層105と上部スペーサ層106とからなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、その厚さが1波長の光学的厚さとなるように設定されている。なお、活性層105は、高い誘導放出確率が得られるように、電界定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。

0066

上部半導体DBR107は、上部スペーサ層106の+Z側に積層され、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを24ペア有している。各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた組成傾斜層(図3(B)では図示省略、図4参照)が設けられている。そして、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、λ/4の光学的厚さとなるように設定されている。

0067

上部半導体DBR107における低屈折率層の1つには、p−AlAsからなる被選択酸化層108が厚さ30nmで挿入されている。この被選択酸化層108の挿入位置は、電界の定在波分布において、活性層から3番目となる節に対応する位置である。

0068

コンタクト層109は、上部半導体DBR107の+Z側に積層され、膜厚が25nmのp−GaAsからなる層である。コンタクト層は、半導体と電極を小さな抵抗接合するためにドーピング濃度を高くした層である。例えば、GaAsにZnをドープしたものである。

0069

また、上部半導体DBR107における最も+Z側の屈折率層は高屈折率層(以下では、便宜上「最表面高屈折率層」ともいう)である。そして、最表面高屈折率層とその下層(−Z側の屈折率層)となる低屈折率層の間には組成傾斜層が設けられており、該組成傾斜層の中心からコンタクト層109の表面までの光学的厚さがλ/4となるように設計されている(組成傾斜層については図4を参照)。

0070

なお、このように基板101上に複数の半導体層が積層されたものを、以下では、便宜上「積層体」ともいう。

0071

次に、面発光レーザ素子100Aの製造方法について説明する。

0072

(A1)上記積層体を有機金属気相成長法MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。

0073

ここでは、III族原料には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料には、フォスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)を用いている。また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr4)、ジメチルジンク(DMZn)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(H2Se)を用いている。

0074

(A2)積層体の表面に、気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiO2からなる第1の誘電体層111aを形成する。ここでは、第1の誘電体層111aの光学的厚さがλ/4となるようにした。具体的には、SiO2の屈折率nが1.45、発振波長λが780nmであるため、実際の膜厚(=λ/4n)は約134nmに設定した。

0075

(A3)出射領域における反射率が高い部分に対応する領域をマスクするためのレジストパターン(第1のパターンという)、及びメサ構造体(以下では、便宜上「メサ」と略述する)の外形を規定するレジストパターン(第2のパターンという)を含むエッチングマスクを形成する。ここでは、第1のパターンは、内径L14(ここでは、約5μm)、外径L12(ここでは、約15μm)のドーナツ状パターンとした。また、第2のパターンは、外形が一辺の長さL11(ここでは、約25μm)の正方形状で、幅約2μmの閉じたパターンとした。

0076

(A4)バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチングにより誘電体層111aをエッチングする。これにより、エッチングマスクでマスクされていない部分の誘電体層111aが除去される。

0077

(A5)第2のパターンによって囲まれた領域を覆うレジストパターンを形成する。

0078

(A6)Cl2ガスを用いるECRエッチング法で、積層体をエッチングし、少なくとも被選択酸化層108が側面に露出している四角柱状のメサを形成する。ここでは、エッチングの底面は下部スペーサ層中に位置するようにした。

0079

(A7)各レジストパターンを除去する。

0080

(A8)積層体を水蒸気中で熱処理する。これにより、被選択酸化層108中のAl(アルミニウム)がメサの外周部から選択的に酸化され、メサの中央部に、Alの酸化物108aによって囲まれた酸化されていない領域108bが残留する。すなわち、発光部の駆動電流経路をメサの中央部だけに制限する、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域である。このようにして、例えば幅4μmから6μm程度の略正方形状の電流通過領域が形成される。また、同時にコンタクト層109の露出部の表面が酸化され、酸及びアルカリ溶液に可溶な可溶部が生成される(図6参照)。ここでは、該可溶部の深さは約15nmである。

0081

(A9)積層体をアンモニア水に40秒間浸漬する。これにより、コンタクト層109における上記可溶部が除去される(図7参照)。なお、ここでは、可溶部を除去するのにアンモニア水を用いたが、酸及び他のアルカリ溶液を用いることができる。例えば、塩酸水溶液燐酸水溶液アルカリ性現像液等を使用することができる。

0082

(A10)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNからなる第2の誘電体層111bを形成する。ここでは、第2の誘電体層111bの光学的厚さがλ/4となるようにした。具体的には、SiNの屈折率nが1.87、発振波長λが780nmであるため、実際の膜厚(=λ/4n)は約105nmに設定した。

0083

(A11)レーザ光の射出面となるメサ上部に、p側電極と接触する部分(コンタクトホール)のコンタクト層を露出させるためのエッチングマスクを形成する。

0084

(A12)BHFを用いたウェットエッチングにより第2の誘電体層111bをエッチングし、コンタクトホールを形成する。

0085

(A13)エッチングマスクを除去する。

0086

(A14)メサ上部の光射出部となる領域に一辺の長さがL13(ここでは、約13μm)の正方形状のレジストパターンを形成し、p側の電極材料蒸着を行う。p側の電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。

0087

(A15)光射出部となる領域に蒸着された電極材料をリフトオフし、p側電極113を形成する。このp側電極113で囲まれた領域が出射領域である。出射領域の形状は、一辺の長さがL3の正方形状である。

0088

(A16)基板101の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側電極114を形成する。ここでは、n側電極114はAuGe/Ni/Auからなる多層膜である。

0089

(A17)アニールによって、p側電極113とn側電極114のオーミック導通をとる。これにより、メサは発光部となる。

0090

(A18)チップ毎に切断する。

0091

そして、種々の後工程を経て、面発光レーザ素子100Aとなる。

0092

このようにして製造された面発光レーザ素子100Aでは、出射領域内における周辺部に、光学的厚さがλ/4の第2の誘電体層111bが設けられ、出射領域の中心部に、光学的厚さがλ/4の第1の誘電体層111aと光学的厚さがλ/4の第2の誘電体層111bの2層からなる誘電体層が設けられている。

0093

この場合、出射領域内における周辺部は、相対的に反射率が低い領域(低反射率領域)となり、出射領域の中心部は、相対的に反射率が高い領域(高反射率領域)となる(図8参照)。なお、図8における符号107aは、上部半導体DBR107における低屈折率層であり、符号107bは、上部半導体DBR107における高屈折率層である。また、図8では、組成傾斜層の図示を省略している。

0094

また、面発光レーザ素子100Aでは、高反射率領域でのコンタクト層109の厚さは25nm、低反射率領域でのコンタクト層109の厚さは10nm(=25−15)の厚さとなる。すなわち、コンタクト層109の厚さは、出射領域内における低反射率領域と高反射率領域とで互いに異なっている。

0095

そして、高反射率領域では、コンタクト層109と最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とを合わせた光学的厚さはλ/4であり、低反射率領域では、コンタクト層109と最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とを合わせた光学的厚さはλ/4よりも小さい。最表面高屈折率層とは、図8における+Z側の一番上部の高屈折率層107bのことである。

0096

すなわち、面発光レーザ素子100Aは、高反射率領域及び低反射率領域のいずれにも誘電体層が設けられ、高反射率領域におけるコンタクト層109の厚さと低反射率領域におけるコンタクト層109の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれている。

0097

この場合は、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。

0098

この面発光レーザ素子100Aについて、基本横モードに対する高次横モードの抑圧SMSR(Side Mode Suppression Ratio)が20dBとなる光出力(基本横モード出力)を評価した。一般的に、電流通過領域の面積を大きくしていくと、出射領域の周辺部に光出力のピークがある高次横モードが発振しやすくなるため基本横モード出力が低下しやすい傾向があるが、面発光レーザ素子100Aでは、電流通過領域の面積が30μm2でも2.5mW以上の基本横モード出力が得られた。

0099

誘電体層111a及び誘電体層111bの光学的厚さは、いずれもλ/4である。また、誘電体層111aの屈折率は、誘電体層111bの屈折率よりも小さい。

0100

この場合、出射領域の中心部では、誘電体層111aと誘電体層111bが1ペアの誘電体多層膜反射鏡を形成し、反射率が向上する。これに対して、出射領域内の周辺部では、誘電体層111bと空気との境界で逆位相反射波が発生し、反射率が低下する。

0101

基本横モードの光強度は、出射領域の中心部で強く周辺部になるにつれて低下する傾向がある。これに対して、高次横モードの光強度は、少なくとも出射領域の周辺部で大きくなる傾向がある。面発光レーザ素子100Aでは、出射領域の中心部では反射率が向上し、周辺部では反射率が低下するため、基本モードの出力を低下させずに、高次横モードの発振だけが抑制される。

0102

また、低反射率領域では、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれている。この場合、低反射率領域では、コンタクト層109で定在波に対する位相がずれるため、反射率が低下する。その結果、中心部と周辺部の反射率差はより大きくなり、高次横モードの抑制効果はさらに向上する。

0103

コンタクト層は、メタル配線と接合する層であるため、ドーピング濃度が大きく、レーザ光に対して吸収損失が発生する。つまり、コンタクト層の厚さは、吸収損失に比例し、反射率に影響を与える。他方、誘電体層や多層膜反射鏡は、光の吸収が無いため、その厚さは反射率に影響しない。

0104

また、膜厚は、レーザ光に対する光学長のλ/4からずれると反射率が変化する。例えば、屈折率が高い層、低い層、高い層のように交互となる場合は膜厚の光学長がλ/4のときに反射率が最大となり、ずれると反射率が低下する。また、反射率が高い層、低い層、低い層のように交互とはならない場合は、膜厚の光学長がλ/4のときに反射率が最小となり、ずれると反射率が高くなる。

0105

本願明細書の構成例では、コンタクト層や、多層膜反射鏡の最表面層の膜厚を制御することで、出射領域内の反射率の差を設けるようにしている。

0106

ここでは、被選択酸化層108を選択酸化させて酸化狭窄構造体を形成するのに先だって、低反射率領域に対応する部分のコンタクト層109を露出させている。そして、酸化狭窄構造体の形成とともに、低反射率領域に対応する部分のコンタクト層109の表面を酸化させている。コンタクト層109は、表面が酸化されていると酸やアルカリによって酸化物が除去され膜減りしやすくなる。そこで、表面が酸化されているコンタクト層109をアンモニア水に浸漬し、低反射率領域に対応する部分のコンタクト層109を膜減りさせている。これにより、低反射率領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さをλ/4よりも小さくしている。

0107

低反射率領域において最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層を合わせた光学的厚さをλ/4からずらすことの効果を確かめるために、図9に示される1次元計算モデルを用いて反射率の計算を行った。この計算モデルでは、上部半導体DBRとして光学的厚さがλ/4のAl0.3Ga0.7AsとAl0.9Ga0.1Asが23ペア積層され、出射面に最も近い高屈折率層上にコンタクト層が形成されている。また、高反射率領域には、コンタクト層の表面に光学的厚さがλ/4のSiO2(n=1.45)とSiN(n=1.87)からなる1ペアの誘電体多層膜反射鏡が形成され、低反射率領域には、コンタクト層の表面に光学的厚さがλ/4のSiNが形成されている。さらに、コンタクト層の厚さが25nmのときに、上部半導体DBRにおける最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4となるように設定されている。

0108

この計算モデルにおいて、コンタクト層の厚さだけを変化させたときの反射率を計算した結果が、高反射率領域について図10(A)に示され、低反射率領域について図10(B)に示されている。

0109

図10(A)及び図10(B)における実線は、コンタクト層の吸収係数を10000[cm−1]として計算した結果であり、破線は比較のためにコンタクト層の吸収係数を0として計算した結果である。780nmの波長帯ではGaAsの吸収係数は約10000[cm−1]となるため、実線の結果が実際に近い値となる。

0110

高反射率領域では、図10(A)に示されるように、吸収有り/無しのいずれの場合においても、コンタクト層の厚さが25nmに近いときに反射率が最大となり、コンタクト層の厚さが25nmからずれると反射率が低下する傾向がある。これは、最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4からずれるためである。

0111

一方、低反射率領域では、図10(B)に示されるように、吸収係数が0の場合はコンタクト層の厚さが25nmに近いときに反射率が最大となり、コンタクト層の厚さが25nmからずれると反射率が低下する傾向がある。これに対して、吸収がある場合はコンタクト層の厚さが25nmよりも小さい20nmに近いときに反射率が最大となり、コンタクト層の厚さが20nmからずれると反射率が低下する傾向がある。

0112

コンタクト層の厚さが25nmではなく20nmのときに反射率が最大となっているのは、コンタクト層の厚さが20nmのときには、最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4からずれていて反射率が低下するが、コンタクト層が25nmよりも薄くなることで吸収損失が小さくなり、反射率が高くなったためである。

0113

高反射率領域と低反射率領域とで吸収係数の値による傾向が異なるのは、低反射率領域では反射率が相対的に低いためにコンタクト層による吸収の影響があらわれやすいためである。

0114

従って、高反射率領域でのコンタクト層の厚さが25nmに近く、低反射率領域でのコンタクト層の厚さが25nmよりも大きいか、25nmより10nm以上小さい構造にすることで、25nmの場合に比べて大きな反射率差が得られることが分かる。

0115

例えば、低反射率領域のコンタクト層を15nmだけ膜減りさせた場合、低反射率領域のコンタクト層の厚さは10nmとなる。このとき、高反射率領域は図10(A)における位置H1に対応し、低反射率領域は図10(B)における位置L1に対応する。位置H1での反射率をRH1、位置L1での反射率をRL1とすると、反射率差はRH1−RL1となる。この反射率差は、低反射率領域におけるコンタクト層と最表面高屈折率層とを合わせた層の光学的厚さがλ/4の場合、つまり、コンタクト層の厚さが一様に25nmである場合に比べて大きい。ここでは、低反射率領域のコンタクト層が薄くなるほど高次横モードの抑制効果が高いと言える。

0116

また、780nmの波長帯ではコンタクト層による吸収の影響が大きいため、コンタクト層の厚さを少なくとも10nm以上小さくしなければ、低反射率領域の反射率をコンタクト層の厚さが25nmのときよりも小さくすることができない。しかし、780nmより長波長帯ではコンタクト層による吸収の影響が小さくなるため、コンタクト層の膜減りが10nmより小さくても反射率差を大きくする効果が得られる。

0117

また、面発光レーザ素子100Aでは、出射領域が誘電体層で保護される構造となるため、環境雰囲気による酸化や汚染、及びAlを含む層が外部環境の水分を吸湿することによって生じる素子破壊などを防ぐことができる。すなわち、長期信頼性に優れた面発光レーザ素子を得ることができる。

0118

なお、ここでは、基板101の主面の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]A方向に向かって15度傾斜している場合について説明したが、これに限定されるものではない。基板101の主面の法線方向が、結晶方位<1 0 0>の一の方向に対して、結晶方位<1 1 1>の一の方向に向かって傾斜していれば良い。

0119

また、ここでは、保護層及びモードフィルタがSiNの場合について説明したが、これに限らず、例えば、SiNx、SiOx、TiOx及びSiONのいずれかであっても良い。それぞれの材質の屈折率に合わせて膜厚を設計することで同様の効果を得ることができる。

0120

また、ここでは、各誘電体層の光学的厚さがλ/4の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各誘電体層の光学的厚さが3λ/4であっても良い。要するに、各誘電体層の光学的厚さがλ/4の奇数倍であれば、上記面発光レーザ素子100Aと同様な高次横モード抑制効果を得ることができる。

0121

また、ここでは、コンタクト層と最表面高屈折率層とを合わせた層の光学的厚さがλ/4よりも小さい場合のみを記載したが、これに限定されるものではない。λ/4の奇数倍に対して前記光学的厚さがずれていれば同様の効果が得られる。なお、コンタクト層を厚くすると吸収損失は増えるが、コンタクト抵抗シート抵抗が低減するため、レーザ光を高速直接変調する用途には有利である。

0122

また、ここでは、p側電極113の開口部が正方形の場合について説明したが、これに限定されるものではない。p側電極113の開口部が多角形円形楕円形などの形状でも良い。

0123

続いて、他の構成例について説明するが、前述した構成例1との相違点を中心に説明するとともに、構成例1と同一若しくは同等の構成部分については、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。

0124

《構成例2》
構成例2の面発光レーザ素子100Bが、図11(A)及び図11(B)に示されている。図11(A)は、面発光レーザ素子100Bにおける発光部近傍の平面図であり、図11(B)は、面発光レーザ素子100BをXZ面に平行に切断したときの断面図である。

0125

面発光レーザ素子100Bは、前記面発光レーザ素子100Aに対して、誘電体層の直下のコンタクト層が除去され、誘電体層の下層が最表面高屈折率層である点が異なっている。誘電体層には、先に説明したように、SiO2からなる誘電体層と、SiNからなる誘電体層との組み合わせが例示できる。

0126

面発光レーザ素子100Bの製造方法について説明する。

0127

(B1)上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。但し、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さはλ/4である。

0128

(B2)積層体の表面に、p側電極113とコンタクトする領域以外のコンタクト層109をエッチングするようなエッチングマスクを形成する(図12参照)。

0129

(B3)積層体を4塩化珪素ガス酸素ガス混合プラズマ雰囲気暴露して、コンタクト層109のみを選択的に除去し、所望の領域の高屈折率層107bを露出させる(図13参照)。なお、図13では、組成傾斜層の図示を省略している。

0130

ところで、図14には、上部半導体DBRを実験的にエッチングしたときのエッチング経過時間と反射率の関係が示されている。なお、モニタ波長は570nmである。高反射率層低反射率層が1層エッチングされる毎に反射率の高低が繰り返される。ここでは、開始時は酸素添加無しでエッチングを行い、時間経過とともに酸素添加条件1〜3でエッチングを行った。なお、酸素添加量は、条件1<条件2<条件3である。酸素添加無しの場合と比べて、例えば酸素添加条件3ではエッチング速度が1/3以下となっている。一方、コンタクト層は、酸素添加の有無によって、エッチング速度が変動することはない。そこで、例えば、酸素が添加された雰囲気でプラズマ処理を行うことにより、コンタクト層を選択的にエッチングすることが可能であり、所望の領域の最表面高屈折率層を露出させることができる。

0131

以降、前述した構成例1の(A2)〜(A18)と同様の処理を行う。

0132

なお、前述した構成例1の(A8)と同様な処理では、酸化狭窄構造体の形成と同時に、最表面高屈折率層の露出部の表面が酸化され、酸及びアルカリ溶液に可溶な可溶部が生成される(図15参照)。

0133

そして、前述した構成例1の(A9)と同様な処理後の状態が図16に示されている。

0134

ところで、上記(B3)のコンタクト層109の除去工程において、エッチャントによっては最表面高屈折率層が膜減りする可能性がある。このときには、あらかじめ最表面高屈折率層を厚くしておく必要がある。

0135

このようにして製造された面発光レーザ素子100Bでは、出射領域内における周辺部に、光学的厚さがλ/4の第2の誘電体層111bが設けられ、出射領域の中心部に、光学的厚さがλ/4の第1の誘電体層111aと光学的厚さがλ/4の第2の誘電体層111bの2層からなる誘電体層が設けられている。

0136

この場合、出射領域内における周辺部は、相対的に反射率が低い領域(低反射率領域)となり、出射領域の中心部は、相対的に反射率が高い領域(高反射率領域)となる(図17参照)。

0137

また、面発光レーザ素子100Bでは、高反射率領域での最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さはλ/4であり、低反射率領域での最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さはλ/4よりも小さい。すなわち、最表面高屈折率層の厚さは、出射領域内における低反射率領域と高反射率領域とで互いに異なっている。

0138

すなわち、面発光レーザ素子100Bは、高反射率領域及び低反射率領域のいずれにも誘電体層が設けられ、高反射率領域における最表面高屈折率層の厚さと低反射率領域における最表面高屈折率層の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さがλ/4からずれている。

0139

この場合は、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。なお、最表面高屈折率層はp−Al0.3Ga0.7Asであり、780nm帯での吸収係数は小さいので、構成例1のGaAsコンタクト層のように吸収係数を考慮する必要はない。

0140

誘電体層111a及び誘電体層111bの光学的厚さは、いずれもλ/4である。また、誘電体層111aの屈折率は、誘電体層111bの屈折率よりも小さい。

0141

この場合、出射領域の中心部では、誘電体層111aと誘電体層111bが1ペアの誘電体多層膜反射鏡を形成し、反射率が向上する。これに対して、出射領域内の周辺部では、誘電体層111bと空気との境界で逆位相の反射波が発生し、反射率が低下する。

0142

基本横モードの光強度は、出射領域の中心部で強く周辺部になるにつれて低下する傾向がある。これに対して、高次横モードの光強度は、少なくとも出射領域の周辺部で大きくなる傾向がある。面発光レーザ素子100Bでは、出射領域の中心部では反射率が向上し、周辺部では反射率が低下するため、基本モードの出力を低下させずに、高次横モードの発振だけが抑制される。

0143

また、低反射率領域では、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さがλ/4からずれている。この場合、低反射率領域では、最表面高屈折率層で定在波に対する位相がずれるため、反射率が低下する。その結果、中心部と周辺部の反射率差はより大きくなり、高次横モードの抑制効果はさらに向上する。

0144

ここでは、誘電体層111aを形成するのに先だって、出射領域内のコンタクト層を除去している。そして、高反射率領域に対応する部分に誘電体層111aを形成し、酸化狭窄構造体の形成とともに、低反射率領域に対応する部分の最表面高屈折率層の表面を酸化させている。最表面高屈折率層は、表面が酸化されていると酸やアルカリによって膜減りしやすくなる。そこで、表面が酸化されている最表面高屈折率層をアンモニア水に浸漬し、低反射率領域に対応する部分の最表面高屈折率層を膜減りさせている。これにより、低反射率領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さをλ/4よりも小さくしている。

0145

《構成例3》
構成例3の面発光レーザ素子100Cが、図18(A)及び図18(B)に示されている。図18(A)は、面発光レーザ素子100Cにおける発光部近傍の平面図であり、図18(B)は、面発光レーザ素子100CをXZ面に平行に切断したときの断面図である。なお、図18(A)における符号L21は約15μm、符号L22は約5μm、符号L23は約2μmである。

0146

面発光レーザ素子100Cは、前記面発光レーザ素子100Aに対して、高反射率領域が、X軸方向とY軸方向に関して形状異方性を有する点が異なっている。この場合は、光閉じ込め作用に異方性が生じるため、偏光方向が特性の方向に規定される作用が働く。その結果、偏光方向がより安定した面発光レーザ素子を得ることができる。

0147

すなわち、面発光レーザ素子100Cは、高反射率領域及び低反射率領域のいずれにも誘電体層が設けられ、高反射率領域におけるコンタクト層109の厚さと低反射率領域におけるコンタクト層109の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれている(図19参照)。

0148

この場合は、前記面発光レーザ素子100Aと同様に、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。

0149

ところで、面発光レーザ素子100Cでは、前記面発光レーザ素子100Aよりも低反射率領域の面積がわずかに小さくなる。そこで、面発光レーザ素子100Cでは、前記面発光レーザ素子100Aに比べて基本横モード出力はやや低くなる。

0150

しかしながら、面発光レーザ素子100Cでは、電流通過領域の面積が30μm2であっても2.0mW以上の十分高い基本横モード出力が得られた。また、面発光レーザ素子100Cでは、射出される光の偏光方向は安定しており、20dB以上の偏光抑圧比PMSR(Polarization Mode Suppression Ratio)が得られた。なお、偏光抑圧比とは、所望の偏光方向における光強度とそれに直交する方向における光強度との比であり、複写機などでは20dB程度必要であるとされている。

0151

なお、この場合に、上記構成例2のように、誘電体層直下が最表面高屈折率層であっても同等の効果が得られる。

0152

《構成例4》
構成例4の面発光レーザ素子100Dが、図20(A)及び図20(B)に示されている。図20(A)は、面発光レーザ素子100Dにおける発光部近傍の平面図であり、図20(B)は、面発光レーザ素子100DをXZ面に平行に切断したときの断面図である。なお、図20(A)における符号L31は約13μm、符号L32は約5μmである。

0153

面発光レーザ素子100Dは、前記面発光レーザ素子100Aに対して、低反射率領域のみに誘電体層111が設けられている点が異なっている。

0154

ここでは、コンタクト層109の厚さを40nmとし、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109とを合わせた光学的厚さは、コンタクト層109の厚さが25nmのときにλ/4となるように設計されている。

0155

面発光レーザ素子100Dの製造方法について説明する。

0156

(D1)上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。

0157

(D2)積層体の表面に、気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiO2からなる誘電体層111を約20nm形成する。

0158

(D3)メサの外形を規定するレジストパターンを含むエッチングマスクを形成する。

0159

(D4)Cl2ガスを用いるECRエッチング法で、積層体をエッチングし、少なくとも被選択酸化層108が側面に露出している四角柱状のメサを形成する。ここでは、エッチングの底面は下部スペーサ層中に位置するようにした。

0160

(D5)エッチングマスクを除去する。

0161

(D6)積層体を水蒸気中で熱処理する。これにより、被選択酸化層108中のAl(アルミニウム)がメサの外周部から選択的に酸化され、メサの中央部に、Alの酸化物108aによって囲まれた酸化されていない領域108bが残留する。すなわち、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域である。このようにして、例えば幅4μmから6μm程度の略正方形状の電流通過領域が形成される。

0162

(D7)濃度10%のBHFに15秒間浸漬する。これによりメサ上部にある20nmのSiO2膜がエッチングされ、続いて形成される誘電体膜の密着性が向上する。

0163

(D8)化学気相堆積法(CVD法)により、SiNからなる誘電体層111を形成する。ここでは、誘電体層111の光学的厚さがλ/4となるようにした。具体的には、屈折率nが1.86、発振波長λが780nmであるため、実際の膜厚(=λ/4n)は約105nmに設定した。

0164

(D9)レーザ光の射出面となるメサ上部の相対的に反射率を高くする部分及びコンタクトホールとなる部分のコンタクト層を露出させるためのエッチングマスクを形成する。ここでは、低反射率領域の形状は、外径L31(ここでは、約13μm)、内径L32(ここでは、約5μm)のドーナツ形状とする。

0165

(D10)BHFにて誘電体層111をエッチングする。

0166

(D11)酸素プラズマに暴露する。これにより、エッチングマスクが除去される。同時にコンタクト層109の露出部の表面が酸化され、酸及びアルカリ溶液に可溶な可溶部が生成される。ここでは、該可溶部の深さは約15nmである。

0167

なお、ここでは、酸素流量を300ml/min、放電圧力を100Pa、投入パワーを500W、暴露時間を20分とした。

0168

(D12)積層体をアンモニア水に40秒間浸漬する。これにより、コンタクト層109における上記可溶部が除去される。なお、ここでは、可溶部を除去するのにアンモニア水を用いたが、酸及び他のアルカリ溶液を用いることができる。例えば、塩酸水溶液、燐酸水溶液、アルカリ性の現像液等を使用することができる。

0169

以降、前述した構成例1の(A14)〜(A18)と同様な処理を行う。

0170

このようにして製造された面発光レーザ素子100Dでは、高反射率領域でのコンタクト層の厚さd1が25nm、低反射率領域でのコンタクト層の厚さd2は40nmとなる(図21(A)及び図21(B)参照)。

0171

そして、高反射率領域では、コンタクト層と最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とを合わせた光学的厚さ(d1+d3)がλ/4となる。また、低反射率領域では、コンタクト層と最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とを合わせた光学的厚さ(d2+d3)がλ/4よりも大きくなる。

0172

すなわち、面発光レーザ素子100Dは、低反射率領域に誘電体層が設けられ、高反射率領域におけるコンタクト層109の厚さと低反射率領域におけるコンタクト層109の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれている。

0173

この場合は、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。

0174

誘電体層111の光学的厚さはλ/4である。出射領域の中心部では誘電体層が設けられていないため反射率は変化しないが、出射領域内の周辺部では光学的厚さがλ/4の誘電体層111により、誘電体層111と空気との境界で逆位相の反射波が発生するため反射率は低下する。そこで、出射領域の中心部は、相対的に反射率が高い領域となる。

0175

ここでは、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれるように積層体が作成されている。そして、被選択酸化層108を選択酸化させて酸化狭窄構造体を形成した後、相対的に反射率が高い領域及びコンタクトホールに対応する部分以外に誘電体層111を形成している。そして、酸素プラズマに暴露して、コンタクト層の露出部分の表層を酸化させている。コンタクト層は、表面が酸化されていると酸やアルカリによって膜減りしやすくなる。そこで、表面が酸化されているコンタクト層をアンモニア水に浸漬し、相対的に反射率が高い領域に対応する部分のコンタクト層を膜減りさせている。これにより、相対的に反射率が高い領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層を合わせた光学的厚さをλ/4とし、低反射率領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層を合わせた光学的厚さをλ/4よりも大きくしている。

0176

このように、相対的に反射率が高い領域に誘電体層が設けられていない場合には、上記構成例1と異なり、低反射率領域のコンタクト層109が誘電体層111によりマスクされているので、膜減りするのは相対的に反射率が高い領域のコンタクト層109である。この場合に、低反射率領域での位相をずらすためには、コンタクト層109が膜減りする量を把握し、その分だけコンタクト層109をあらかじめ厚くしておけば良い。その結果、低反射率領域では、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4からずれるため、反射率が低下する。従って、中心部と周辺部の反射率差は、従来よりも大きくなる。

0177

低反射率領域において最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層を合わせた光学的厚さをλ/4からずらすことの効果を確かめるために、図22に示される1次元の計算モデルを用いて反射率の計算を行った。この計算モデルでは、上部半導体DBRとして光学的厚さがλ/4のAl0.3Ga0.7AsとAl0.9Ga0.1Asが25ペア積層され、出射面に最も近い高屈折率層上にコンタクト層が形成されている。また、低反射率領域には、コンタクト層の表面に光学的厚さがλ/4のSiN(n=1.87)が形成されている。さらに、コンタクト層の厚さが25nmの場合に、上部半導体DBRにおける最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4となるように設定されている。

0178

この計算モデルにおいて、コンタクト層の厚さだけを変化させたときの反射率を計算した結果が、高反射率領域(相対的に反射率が高い領域)について図23(A)に示され、低反射率領域について図23(B)に示されている。

0179

図23(A)及び図23(B)において、実線はコンタクト層の吸収損失係数を10000[cm−1]として計算した結果であり、破線は比較のためにコンタクト層の吸収損失係数を0として計算した結果である。780nmの波長帯ではGaAsの吸収係数は約10000[cm−1]となるため、実線の結果が実際に近い値となる。

0180

高反射率領域では、図23(A)に示されるように、吸収有り/無しのいずれの場合においても、コンタクト層の厚さが25nmに近いときに反射率が最大となり、コンタクト層の厚さが25nmからずれると反射率が低下する傾向がある。これは、最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4からずれるためである。

0181

一方、低反射率領域では、図23(B)に示されるように、吸収係数が0の場合はコンタクト層の厚さが25nmに近いときに反射率が最大となり、コンタクト層の厚さが25nmからずれると反射率が低下する傾向がある。これに対して、吸収がある場合はコンタクト層の厚さが25nmよりも小さい20nmに近いときに反射率が最大となり、コンタクト層の厚さが20nmからずれると反射率が低下する傾向がある。

0182

コンタクト層の厚さが25nmではなく20nmのときに反射率が最大となっているのは、コンタクト層の厚さが20nmのときには、最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4からずれていて反射率が低下するが、コンタクト層が25nmよりも薄くなることで吸収損失が小さくなり、反射率が高くなったためである。

0183

高反射率領域と低反射率領域とで吸収係数の値による傾向が異なるのは、低反射率領域では反射率が相対的に低いためにコンタクト層による吸収の影響があらわれやすいためである。

0184

従って、高反射率領域でのコンタクト層の厚さが25nmに近く、低反射率領域でのコンタクト層の厚さが25nmよりも大きいか、25nmより10nm以上小さい構造にすることで、25nmの場合に比べて大きな反射率差が得られることが分かる。

0185

例えば、コンタクト層を15nmだけ膜減りさせた場合、形成時のコンタクト層の厚さを40nmと設計しておけば、最終的な高反射率領域のコンタクト層の厚さは25nmとなる。そして、低反射率領域のコンタクト層は40nmのままであり、高反射領域に比べて15nm厚くなる。このとき、高反射率領域は図23(A)における位置H2に対応し、低反射率領域は図23(B)における位置L2に対応する。

0186

位置H2での反射率をRH2、位置L2での反射率をRL2とすると、反射率差はRH2−RL2となる。この反射率差は、低反射率領域におけるコンタクト層と最表面高屈折率層を合わせた層の光学的厚さがλ/4の場合、つまり、コンタクト層の厚さが25nmの場合に比べて大きい。ここでは、低反射率領域のコンタクト層が厚くなるほど高次横モードの抑制効果が高いと言える。

0187

また、コンタクト層をあらかじめ厚くしていない場合は、反射率差は小さくなってしまう。例えば、コンタクト層の厚さを25nmに設計した場合、高反射率領域のコンタクト層は膜減りにより厚さが10nmに仕上がることになる。この場合、高反射率領域は図23(A)における位置H3に対応し、低反射率領域は図23(B)における位置L3に対応する。

0188

位置H3での反射率をRH3、位置L3での反射率をRL3とすると、反射率差はRH3−RL3となる。この反射率差は、上記RH2−RL2、つまり低反射率領域におけるコンタクト層と最表面高屈折率層とを合わせた層の光学的厚さをλ/4よりも厚くした場合に比べて小さく、高次横モードの抑制効果が低下する。

0189

また、780nmの波長帯はコンタクト層による吸収の影響が大きいため、25nmよりも小さいときに低反射率領域の反射率が最大となっている。しかし、本構成例では高反射率領域のコンタクト層を膜減りさせるので、低反射率領域のコンタクト層は25nmよりも厚くなる。この場合、コンタクト層の吸収損失により低反射率領域の反射率がさらに低下するため、反射率差はさらに大きくなる。

0190

また、本構成例では、コンタクト層による吸収損失が小さい波長帯だとしても反射率差が大きくなる効果は得られる。これは、コンタクト層と最表面の高屈折率層の位相をずらすことで反射率を低下させているためである。

0191

例えば、780nmより長波長帯ではGaAsによる吸収係数が小さくなるが、図23(B)に破線で示されているように、吸収係数が0の場合でも最表面の高屈折率層とコンタクト層を合わせた光学的厚さがλ/4からずれることによる反射率差の拡大効果が得られることが分かる。

0192

また、ここでは、低反射率領域における誘電体層の光学的厚さがλ/4の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、誘電体層の光学的厚さが3λ/4であっても良い。要するに、誘電体層の光学的厚さがλ/4の奇数倍であれば、上記面発光レーザ素子100Dと同様な高次横モード抑制効果を得ることができる。

0193

また、ここでは、コンタクト層と最表面高屈折率層とを合わせた層の光学的厚さがλ/4よりも小さい場合のみを記載したが、これに限定されるものではない。λ/4の奇数倍に対して前記光学的厚さがずれていれば同様の効果が得られる。なお、コンタクト層を厚くすると吸収損失は増えるが、コンタクト抵抗やシート抵抗が低減するため、レーザ光を高速に直接変調する用途には有利である。

0194

《構成例5》
構成例5の面発光レーザ素子100Eが、図24(A)及び図24(B)に示されている。図24(A)は、面発光レーザ素子100Eにおける発光部近傍の平面図であり、図24(B)は、面発光レーザ素子100EをXZ面に平行に切断したときの断面図である。

0195

面発光レーザ素子100Eは、前記面発光レーザ素子100Dに対して、誘電体層の直下のコンタクト層が除去され、誘電体層の下層が最表面高屈折率層である点が異なっている。

0196

面発光レーザ素子100Eの製造方法について説明する。

0197

(E1)上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。但し、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の厚さは35nmである。なお、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)は、厚さが25nmのときに光学的厚さがλ/4となる。

0198

(E2)出射領域に対応する領域のコンタクト層109がエッチングされるようなエッチングマスクを形成する。

0199

(E3)4塩化珪素ガスと酸素ガスの混合プラズマ雰囲気に暴露して、出射領域に対応する領域のコンタクト層109を除去する。これにより、出射領域に対応する領域では、最表面高屈折率層が露出する。

0200

以降、前述した構成例4の(D2)以降と同様の処理を行う。

0201

なお、前述した構成例4の(D11)と同様な処理では、最表面高屈折率層の露出部の表層10nmが酸化され、酸及びアルカリ溶液に可溶な可溶部が生成される。

0202

そして、前述した構成例4の(D12)と同様な処理では、最表面高屈折率層における上記可溶部が除去される。

0203

このようにして製造された面発光レーザ素子100Eでは、高反射率領域(相対的に反射率が高い領域)での最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の厚さd4が25nm、低反射率領域での最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の厚さd5は35nmとなる(図25(A)及び図25(B)参照)。

0204

そして、高反射率領域では、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さがλ/4となる。また、低反射率領域では、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さがλ/4よりも大きくなる。

0205

すなわち、面発光レーザ素子100Eは、低反射率領域に誘電体層が設けられ、高反射率領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の厚さと低反射率領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さがλ/4からずれている。

0206

この場合は、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。

0207

誘電体層111の光学的厚さはλ/4である。出射領域の中心部では誘電体層が設けられていないため反射率は変化しないが、出射領域内の周辺部では光学的厚さがλ/4の誘電体層111により、誘電体層111と空気との境界で逆位相の反射波が発生するため反射率は低下する。そこで、出射領域の中心部は、相対的に反射率が高い領域となる。

0208

ここでは、膜減り後の光学的厚さをλ/4となるように最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)が形成されている。そして、メサを形成するのに先だって、出射領域内のコンタクト層を除去している。被選択酸化層108を選択酸化させて酸化狭窄構造体を形成した後、相対的に反射率が高い領域及びコンタクトホールに対応する部分以外に誘電体層111を形成している。そして、酸素プラズマに暴露して、最表面高屈折率層の露出部分の表層を酸化させている。最表面高屈折率層は、表面が酸化されていると酸やアルカリによって膜減りしやすくなる。そこで、表面が酸化されている最表面高屈折率層をアンモニア水に浸漬し、相対的に反射率が高い領域に対応する部分の最表面高屈折率層を膜減りさせている。これにより、相対的に反射率が高い領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さをλ/4とし、低反射率領域における最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さをλ/4よりも大きくしている。

0209

このように、相対的に反射率が高い領域に誘電体層が設けられていない場合には、上記構成例2と異なり、低反射率領域の最表面高屈折率層が誘電体層111によりマスクされているので、膜減りするのは相対的に反射率が高い領域の最表面高屈折率層である。この場合に、低反射率領域での位相をずらすためには、最表面高屈折率層が膜減りする量を把握し、その分だけ最表面高屈折率層をあらかじめ厚くしておけば良い。その結果、低反射率領域では、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)の光学的厚さがλ/4からずれるため、反射率が低下する。従って、中心部と周辺部の反射率差は、従来よりも大きくなる。

0210

《構成例6》
構成例6の面発光レーザ素子100Fが、図26(A)及び図26(B)に示されている。図26(A)は、面発光レーザ素子100Fにおける発光部近傍の平面図であり、図26(B)は、面発光レーザ素子100FをXZ面に平行に切断したときの断面図である。なお、図26(A)における符号L41は約13μm、符号L42は約5μm、符号L43は約2μmである。

0211

面発光レーザ素子100Fは、前記面発光レーザ素子100Dに対して、高反射率領域(相対的に反射率が高い領域)が、X軸方向とY軸方向に関して形状異方性を有する点が異なっている。この場合は、光閉じ込め作用に異方性が生じるため、偏光方向が特性の方向に規定される作用が働く。その結果、偏光方向がより安定した面発光レーザ素子を得ることができる。

0212

すなわち、面発光レーザ素子100Fは、低反射率領域に誘電体層が設けられ、高反射率領域(相対的に反射率が高い領域)におけるコンタクト層109の厚さと低反射率領域におけるコンタクト層109の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれている(図27(A)及び図27(B)参照)。

0213

この場合は、前記面発光レーザ素子100Dと同様に、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。

0214

ところで、面発光レーザ素子100Fでは、前記面発光レーザ素子100Dよりも低反射率領域の面積がわずかに小さくなる。そこで、面発光レーザ素子100Fでは、前記面発光レーザ素子100Dに比べて基本横モード出力はやや低くなる。

0215

しかしながら、面発光レーザ素子100Fでは、電流通過領域の面積が30μm2であっても2.0mW以上の十分高い基本横モード出力が得られた。

0216

また、面発光レーザ素子100Fについて、偏光抑圧比PMSRと偏光角θpとの関係を求めた。その結果が変形例及び比較例とともに図28に示されている。ここでは、Y軸方向が偏光角θp=0度、X軸方向が偏光角θp=90度である。

0217

図28における符号Aは面発光レーザ素子100Fの場合である。図28における符号Cは、一例として図29に示されるように、面発光レーザ素子100Fにおける低反射率領域をZ軸まわりに90度回転させたのと同等の面発光レーザ素子(変形例)の場合である。また、図28における符号Dは、一例として図30に示されるように、出射領域内に中央部を取り囲む1つの小領域が設定され、そこに光学的厚さがλ/4の透明な誘電体膜が形成されている面発光レーザ素子(比較例)の場合である。

0218

符号Aの場合は、偏光方向はX軸方向で安定し、符号Cの場合は、偏光方向はY軸方向で安定しているという結果が得られた。また、いずれの場合も、符号Dの場合に比べて、約5dB以上高い偏光抑圧比PMSRが得られた。一方、符号Dの場合は、偏光方向はX軸方向で安定はしているが、偏光抑圧比PMSRが10dBを下回り、偏光方向が不安定な場合があった。

0219

光学的厚さがλ/4の透明な誘電体膜が形成される小領域の数を複数にすることで偏光安定性が向上した要因として、互いに直交する2方向(ここでは、X軸方向とY軸方向)における光閉じ込め作用に異方性が生じたことが考えられる。面発光レーザ素子100Fでは、偏光方向がX軸方向と一致する光は、出射領域の周辺部に比べて反射率の高い出射領域の中心部への閉じ込め作用が働き、偏光方向がY軸方向と一致する光に比べて発振しきい値が低下する。その結果、偏光抑圧比が向上したと考えられる。

0220

なお、ここでは、2つの低反射率領域が、出射領域の中心を通りY軸に平行な軸に対して対称になるように設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。出射領域の中心を通りY軸に平行な軸の一側と他側にそれぞれ低反射率領域があれば良い。

0221

また、上記実施形態では、各低反射率領域の形状がドーナツを2つに割ったような形状の場合について説明したが、これに限定されるものではない。長方形状半円形状、楕円形状など任意の形状であっても良い。

0222

また、この場合に、上記構成例5のように、誘電体層直下が最表面高屈折率層であっても同等の効果が得られる。

0223

《構成例7》
構成例7の面発光レーザ素子100Gが、図31(A)及び図31(B)に示されている。図31(A)は、面発光レーザ素子100Gにおける発光部近傍の平面図であり、図31(B)は、面発光レーザ素子100GをXZ面に平行に切断したときの断面図である。なお、図31(A)における符号L51は約25μm、符号L52は約13μm、符号L53は約5μmである。

0224

面発光レーザ素子100Gは、前記面発光レーザ素子100Aに対して、誘電体層が単一の材質からなる点が異なっている。

0225

ここでは、コンタクト層109の厚さを40nmとし、最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109とを合わせた光学的厚さは、コンタクト層109の厚さが25nmのときにλ/4となるように設計されている。

0226

面発光レーザ素子100Gの製造方法について説明する。

0227

(G1)上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。

0228

(G2)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNからなる誘電体層111を形成する。ここでは、誘電体層111の光学的厚さがλ/4となるようにした。具体的には、屈折率nが1.86、発振波長λが780nmであるため、膜厚(=λ/4n)は約105nmに設定した。

0229

(G3)出射領域における相対的に反射率が高い部分に対応する領域をマスクするためのレジストパターン(第1のパターン)、及びメサの外形を規定するレジストパターン(第2のパターン)を含むエッチングマスクを形成する。ここでは、第1のパターンは、外径L52(ここでは、約13μm)、内径L53(ここでは、約5μm)のドーナツ状パターンとした。また、第2のパターンは、外形が一辺の長さL51(ここでは、約25μm)の正方形状で、幅約2μmの閉じたパターンとした。

0230

(G4)バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチングにより誘電体層111をエッチングする。これにより、エッチングマスクでマスクされていない部分の誘電体層111が除去される。

0231

(G5)第2のパターンによって囲まれた領域を覆うレジストパターンを形成する。

0232

(G6)Cl2ガスを用いるECRエッチング法で、積層体をエッチングし、少なくとも被選択酸化層108が側面に露出している四角柱状のメサを形成する。ここでは、エッチングの底面は下部スペーサ層中に位置するようにした。

0233

(G7)各レジストパターンを除去する。

0234

(G8)積層体を水蒸気中で熱処理する。これにより、被選択酸化層108中のAl(アルミニウム)がメサの外周部から選択的に酸化され、メサの中央部に、Alの酸化物108aによって囲まれた酸化されていない領域108bが残留する。すなわち、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域である。このようにして、例えば幅4μmから6μm程度の略正方形状の電流通過領域が形成される。また、同時にコンタクト層109の露出部の表面が酸化され、酸及びアルカリ溶液に可溶な可溶部が生成される。ここでは、該可溶部の深さは約15nmである。

0235

(G9)積層体をアンモニア水に40秒間浸漬する。これにより、コンタクト層109における上記可溶部が除去される。なお、ここでは、可溶部を除去するのにアンモニア水を用いたが、酸及び他のアルカリ溶液を用いることができる。例えば、塩酸水溶液、燐酸水溶液、アルカリ性の現像液等を使用することができる。

0236

(G10)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNからなる誘電体層111を形成する。ここでは、誘電体層111の光学的厚さが2λ/4となるようにした。具体的には、屈折率nが1.86、発振波長λが780nmであるため、膜厚(=λ/4n)は約210nmに設定した。

0237

以降、前述した構成例1の(A11)〜(A18)と同様の処理を行う。

0238

このようにして製造された面発光レーザ素子100Gでは、出射領域内における周辺部に、光学的厚さが3λ/4の誘電体層111が設けられ、出射領域の中心部に、光学的厚さが2λ/4の誘電体層111が設けられている(図32(A)及び図32(B)参照)。

0239

また、高反射率領域でのコンタクト層109の厚さは25nm、低反射率領域でのコンタクト層109の厚さは33nmとなる。

0240

このとき、高反射率領域では、コンタクト層109と最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とを合わせた光学的厚さがλ/4となる。また、低反射率領域では、コンタクト層109と最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とを合わせた光学的厚さがλ/4よりも大きくなる。

0241

すなわち、面発光レーザ素子100Gは、高反射率領域及び低反射率領域のいずれにも誘電体層が設けられ、高反射率領域におけるコンタクト層109の厚さと低反射率領域におけるコンタクト層109の厚さは異なり、低反射率領域では最表面高屈折率層(組成傾斜層の1/2を含む)とコンタクト層109を合わせた光学的厚さがλ/4からずれている。

0242

この場合は、低反射率領域と高反射率領域の反射率差を従来よりも大きくすることができる。その結果、従来よりも強い高次横モードの発振抑制効果を得ることができる。

0243

また、面発光レーザ素子100Gでは、出射領域が誘電体層で保護される構造となるため、環境雰囲気による酸化や汚染、及びAlを含む層が外部環境の水分を吸湿することによって生じる素子の破壊などを防ぐことができる。すなわち、長期信頼性に優れた面発光レーザ素子を得ることができる。

0244

また、ここでは、低反射率領域における誘電体層の光学的厚さが3λ/4、高反射率領域における誘電体層の光学的厚さが2λ/4の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、低反射率領域のおける誘電体層の光学的厚さが5λ/4、高反射率領域における誘電体層の光学的厚さが4λ/4であっても良い。要するに、低反射率領域における誘電体層の光学的厚さがλ/4の奇数倍であり、高反射率領域における誘電体層の光学的厚さがλ/4の偶数倍であれば、上記面発光レーザ素子100Gと同様な高次横モードの抑制効果、及び出射領域が保護されることによる優れた長期信頼性を得ることができる。

0245

以上説明したように、本実施形態に係る各面発光レーザ素子によると、基板101上に、下部半導体DBR103、活性層105を含む共振器構造体、被選択酸化層108を有する上部半導体DBR107などが積層されている。

0246

そして、面発光レーザ素子100A、100C、100D、100F、及び100Gは、出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、コンタクト層の厚さは、出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、コンタクト層は、上部半導体DBR107の最表面高屈折率層上に設けられ、相対的に反射率が低い領域では、最表面高屈折率層とコンタクト層とを合わせた光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれている。

0247

また、面発光レーザ素子100B及び100Eは、出射領域内に設けられ、該出射領域内における周辺部の反射率と中心部の反射率を異ならせる透明な誘電体層を有し、該誘電体層は、上部半導体DBR107の最表面高屈折率層上に設けられ、該最表面高屈折率層の厚さは、出射領域内における相対的に反射率の高い領域と相対的に反射率が低い領域とで互いに異なり、相対的に反射率が低い領域では、最表面高屈折率層の光学的厚さが、「発振波長/4」の奇数倍からずれている。

0248

この場合は、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。

0249

本実施形態に係る光走査装置1010によると、光源14が面発光レーザ素子100A〜100Fのいずれかを有しているため、円形で且つ光密度の高い微小ビームスポットを感光体ドラム上に結像させることできる。そこで、高精度の光走査を行うことができる。

0250

本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、光走査装置1010を備えているため、高品質の画像を形成することが可能である。

0251

また、上記実施形態において、光源14は、前記面発光レーザ素子100A〜100Fに代えて、一例として図33に示される面発光レーザアレイ100Mを有しても良い。

0252

この面発光レーザアレイ100Mは、2次元的に配列された複数(ここでは21個)の発光部が同一基板上に形成されている。ここでは、図33におけるX軸方向は主走査対応方向であり、Y軸方向は副走査対応方向である。複数の発光部は、すべての発光部をY軸方向に伸び仮想線上に正射影したときに発光部間隔が等間隔d2となるように配置されている。なお、本明細書では、発光部間隔とは2つの発光部の中心間距離をいう。また、発光部の数は21個に限定されるものではない。

0253

各発光部は、前述した面発光レーザ素子100A〜100Fのいずれかと同様な構造を有し、同様な方法で製造することができる。そこで、面発光レーザアレイ100Mは、基本横モードの出力を低下させずに、高次横モードの発振を抑制することができる。従って、円形で且つ光密度の高い微小な光スポットを21個同時に感光体ドラム1030上の所望の位置に形成することが可能となる。

0254

また、面発光レーザアレイ100Mでは、各発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときの発光部間隔が等間隔d2であるので、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で発光部が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。

0255

そして、例えば、上記間隔d2を2.65μm、光走査装置1010の光学系の倍率を2倍とすれば、4800dpi(ドットインチ)の高密度書き込みができる。もちろん、主走査対応方向の発光部数を増加したり、副走査対応方向のピッチd1を狭くして間隔d2を更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、発光部の点灯のタイミングで容易に制御できる。

0256

また、この場合には、レーザプリンタ1000では書き込みドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書き込みドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。

0257

また、上記実施形態において、前記面発光レーザ素子100A〜100Fに代えて、前記面発光レーザ素子100A〜100Fと同様にして製造された発光部が1次元配列された面発光レーザアレイを用いても良い。

0258

また、上記実施形態では、発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。

0259

また、上記各面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイは、画像形成装置以外の用途にも用いることができる。その場合には、発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。この場合に、活性層を構成する半導体材料は、発振波長に応じた混晶半導体材料を用いることができる。例えば、650nm帯ではAlGaInP系混晶半導体材料、980nm帯ではInGaAs系混晶半導体材料、1.3μm帯及び1.5μm帯ではGaInNAs(Sb)系混晶半導体材料を用いることができる。

0260

また、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。

0261

例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。

0262

例えば、媒体が、CTP(Computer to Plate)として知られている印刷版であっても良い。つまり、光走査装置1010は、印刷版材料レーザアブレーションによって直接画像形成を行い、印刷版を形成する画像形成装置にも好適である。

0263

また、例えば、媒体が、いわゆるリライタブルペーパーであっても良い。これは、例えば紙や樹脂フィルム等の支持体上に、以下に説明するような材料が記録層として塗布されている。そして、レーザ光による熱エネルギー制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものである。

0264

透明白濁リライタブルマーキング法とロイコ染料を用いた発消色型リライタブルマーキング法があり、いずれも適用できる。

0265

透明白濁型は、高分子薄膜の中に脂肪酸微粒子を分散したもので、110℃以上に加熱すると脂肪酸の溶融により樹脂膨張する。その後、冷却すると脂肪酸は過冷却状態になり液体のまま存在し、膨張した樹脂が固化する。その後、脂肪酸が固化収縮して多結晶の微粒子となり樹脂と微粒子間に空隙が生まれる。この空隙により光が散乱されて白色に見える。次に、80℃から110℃の消去温度範囲に加熱すると、脂肪酸は一部溶融し、樹脂は熱膨張して空隙を埋める。この状態で冷却すると透明状態となり画像の消去が行われる。

0266

ロイコ染料を用いたリライタブルマーキング法は、無色のロイコ染料長鎖アルキル基を有する顕消色剤との可逆的な発色及び消色反応を利用している。レーザ光により加熱されるとロイコ染料と顕消色剤が反応して発色し、そのまま急冷すると発色状態が保持される。そして、加熱後、ゆっくり冷却すると顕消色剤の長鎖アルキル基の自己凝集作用により相分離が起こり、ロイコ染料と顕消色剤が物理的に分離されて消色する。

0267

また、媒体が、紫外光を当てるとC(シアン)に発色し、可視光のR(レッド)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとM(マゼンタ)に発色し、可視光のG(グリーン)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとY(イエロー)に発色し、可視光のB(ブルー)の光で消色するフォトクロミック化合物が、紙や樹脂フィルム等の支持体上に設けられた、いわゆるカラーリライタブルペーパーであっても良い。

0268

これは、一旦紫外光を当てて真っ黒にし、R・G・Bの光を当てる時間や強さで、Y・M・Cに発色する3種類の材料の発色濃度を制御してフルカラーを表現し、仮に、R・G・Bの強力な光を当て続ければ3種類とも消色して真っ白にすることもできる。

0269

このような、光エネルギー制御によって発色に可逆性を与えるものも上記実施形態と同様な光走査装置を備える画像形成装置として実現できる。

0270

また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。

0271

また、一例として図34に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。

0272

このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用のステーション(感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6)と、シアン用のステーション(感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6)と、マゼンタ用のステーション(感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6)と、イエロー用のステーション(感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6)と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。

0273

各感光体ドラムは、図34中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、それぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。

0274

光走査装置2010は、前記面発光レーザ素子100A〜100Fのいずれかと同様にして製造された面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイのいずれかを含む光源を、色毎に有している。そこで、上記光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、上記レーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。

0275

ところで、カラープリンタ2000では、各部品製造誤差位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が前記面発光レーザアレイ100Mと同様な面発光レーザアレイを有していると、点灯させる発光部を選択することで色ずれを低減することができる。

0276

以上説明したように、本発明の面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイによれば、基本横モードの光出力を低下させることなく高次横モードの発振を抑制するのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高い精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を形成するのに適している。また、本発明の面発光レーザ素子の製造方法によれば、基本横モードの光出力を低下させることなく高次横モードの発振が抑制された面発光レーザ素子を安定的に量産するのに適している。

0277

11a…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14…光源、100A…面発光レーザ素子、100B…面発光レーザ素子、100C…面発光レーザ素子、100D…面発光レーザ素子、100E…面発光レーザ素子、100F…面発光レーザ素子、100G…面発光レーザ素子、100M…面発光レーザアレイ、101…基板、103…下部半導体DBR(下部多層膜反射鏡)、104…下部スペーサ層(共振器構造体の一部)、105…活性層、106…上部スペーサ層(共振器構造体の一部)、107…上部半導体DBR(上部多層膜反射鏡)、111…誘電体層、111a…誘電体層(誘電体膜)、111b…誘電体層(誘電体膜)、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)。

先行技術

0278

特開2001−156395号公報
特開2007−201398号公報
特開2003−115634号公報

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