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技術 無機材料スラリを用いた導電性ペーストおよび該ペーストの製造方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 鈴木伸寿
出願日 2010年6月17日 (10年0ヶ月経過) 出願番号 2010-138751
公開日 2012年1月5日 (8年5ヶ月経過) 公開番号 2012-003992
状態 特許登録済
技術分野 セラミックコンデンサ 固定コンデンサ及びコンデンサ製造装置 導電材料 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード 分散パス 規定試験 高速ジェット流 材料表 接触点間 導電性金属粉体 公転攪拌 焼成クラック
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課題

微粒粉末を使用しても、分散性が高く、平滑な乾燥塗膜が得られる導電性ペーストを提供する。

解決手段

無機材料スラリの製造方法であって、第1工程:少なくとも無機粉末分散剤および有機溶剤を含有する粗スラリ組成物を、常圧を基準として−100mmHg〜−760mmHgの減圧雰囲気下に保持して攪拌することにより脱泡を行いながら分散処理して前処理混練物を形成する工程、第2工程:前記前処理混練物を、高圧ホモジナイザーによりさらに分散処理してスラリを作製する工程、第3工程:前記スラリを、フィルターを用いて濾過する工程の3工程を有することを特徴とする。

概要

背景

携帯電話デジタル機器などの電子機器の軽薄短小化に伴い、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCと称する)についても小型化、高容量化および高性能化が望まれている。これらを実現するための最も効果的な手段は、内部電極層誘電体層を薄くして多層化を図ることである。

このMLCCは、一般に次のようにして製造される。
先ず導電体層を形成するために、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分として、これとポリビニルブチラール等の有機バインダーからなる誘電体グリーンシート上に導電性粉末を主成分とし、これを樹脂バインダーおよび溶剤を含むビヒクルに分散させた内部電極となる導電性ペーストを所定のパターン印刷、乾燥させて溶剤を除去して乾燥膜を形成する。次に、乾燥膜を形成した誘電体グリーンシートを多層に積み重ねた状態で加熱圧着して一体化した後に切断し、酸化性雰囲気または不活性雰囲気中において500℃以下で脱バインダー処理する。その後、内部電極が酸化しないように還元雰囲気中にて1300℃程度で加熱焼成を行い、次いで、焼成チップを塗布、焼成後、外部電極上にニッケルメッキなどを施してMLCCを作製する。

しかし、この焼成工程において、誘電体セラミック粉末焼結し始める温度は、1200℃程度であり、ニッケル等の導電性金属粉末との焼結・収縮が開始する温度とかなりのミスマッチが生じるため、デラミネーション層間剥離)やクラック等の構造欠陥が発生しやすかった。特に小型・高容量化に伴って、積層数が多くなるほど、あるいはセラミック誘電体層の厚みが薄くなるほど、構造欠陥の発生が顕著となっていた。

例えば、通常内部電極用ニッケルペーストには、少なくとも誘電体層の焼結・収縮を開始する温度付近まで、その焼結・収縮を制御するために、誘電体層の組成に類似したチタン酸バリウム系あるいはジルコン酸ストロンチウム系などのペロブスカイト型酸化物を主成分とするセラミック粉末が添加されている。なぜなら、誘電体層の主成分の構成元素電極ペーストに含まれる誘電体粉末の構成元素とが大きく異なると誘電損失が増大するなど、電気特性に影響を及ぼすからである。

近年、MLCCは一層の小型・大容量化要求に従い、ニッケルなどの導電性金属粉末を用いた内部電極層およびチタン酸バリウムなどのセラミック粉末を用いた誘電体層の更なる薄層化が急速に進んでいる。そのため、導電性ペーストに使用するニッケルなどの導電性金属粉末およびセラミック粉末の微粒化・高分散化が必要である。
しかしながら、導電性金属粉末およびセラミック粉末の微粒化が進むにしたがって、凝集のし易さが増大してくるため、従来の3本ロール法によるせん断力だけでは十分に分散した導電性ペーストが製造できず、平滑な乾燥塗膜や高い乾燥膜密度を得る事は困難であった。

このため、乾燥凝集した導電性金属粉末およびセラミック粉末を、ビヒクルおよび溶剤へ十分に分散させる手段として、ボールミルビーズミル等で機械的に分散、粉砕する手法が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
しかしながら、上記の分散手法の場合、セラミック粉末では過粉砕コンタミ混入、導電性金属粉末では変形してしまうことなどによって十分な分散が得られない問題があった。

最近、高圧ホモジナイザーを用いた導電性ペーストの製造に関して、少なくとも乾燥凝集した微粒な導電性金属粉末およびセラミック粉末、ビヒクル、有機溶剤分散剤と含有する混合物予備混合し、その混合物を高圧ホモジナイザーを用いて処理することによって、含まれる粉末分散処理が可能であることが示されている(例えば、特許文献2、3など参照)。

ところで、一般的な無機粉末分散過程は、
(1)無機粉末の「濡れ」、すなわち2次粒子表面および、2次粒子内部の空隙に存在する空気が溶剤および分散剤により置換される過程
(2)分散機により2次粒子が分散、粉砕される過程、
(3)分散、粉砕した粒子表面に分散剤が吸着し、粒子の「再凝集防止」が行われる過程、の3つの過程を含んでいる。
これらの分散過程がうまく連動しない場合には、無機粉末の分散性に大きく影響し、後工程における「フィルターろ過時間が長くなるため生産コストの上昇」や導電性ペーストの平滑な塗膜および高い乾燥膜密度を得ることが難しくなるため、「ペースト塗膜品質低下」にもつながる等のデメリットを生じる。

また、「濡れ」の過程において、少なくとも導電性金属粉末、有機溶剤、分散剤を含む混合物を単に高速攪拌する(プレミックス)だけでは、「ダマ」や「泡」の巻き込み等が生じ、2次粒子表面の「濡れ」は起こっても、2次粒子内部の一次粒子表面の「濡れ」が不十分となり、上記問題点は改善されない。さらに、泡の発生を抑制するために必要以上の動力をかけても、材料の中に発生または存在するサブミクロン数ミクロンの泡の除去は困難である。以上の事から、「ダマ」や「泡」を発生させず、一次粒子表面の「濡れ」も解決できる前処理工程および後工程の分散処理工程での高圧ホモジナイザーを使いこなす事が重要なカギとなる。

ところが、一次粒子表面の「濡れ」を改善し、高圧ホモジナイザーによる混合物の分散処理効率や分散性を向上させることに関して、前記「フィルターろ過時間の短縮などの生産コストダウン」や「平滑な導電性ペースト塗膜を実現するなどの品質改善」については特別な工夫はなされていなかった。

概要

微粒な粉末を使用しても、分散性が高く、平滑な乾燥塗膜が得られる導電性ペーストを提供する。無機材料スラリの製造方法であって、第1工程:少なくとも無機粉末、分散剤および有機溶剤を含有する粗スラリ組成物を、常圧を基準として−100mmHg〜−760mmHgの減圧雰囲気下に保持して攪拌することにより脱泡を行いながら分散処理して前処理混練物を形成する工程、第2工程:前記前処理混練物を、高圧ホモジナイザーによりさらに分散処理してスラリを作製する工程、第3工程:前記スラリを、フィルターを用いて濾過する工程の3工程を有することを特徴とする。なし

目的

携帯電話やデジタル機器などの電子機器の軽薄短小化に伴い、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCと称する)についても小型化、高容量化および高性能化が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

無機材料スラリの製造方法であって、下記の第1工程から第3工程を有することを特徴とする。〔第1工程〕少なくとも無機粉末分散剤および有機溶剤を含有する粗スラリ組成物を、常圧を基準として−100mmHg〜−760mmHgの減圧雰囲気下に保持して攪拌することにより脱泡を行いながら分散処理して前処理混練物を形成する工程。〔第2工程〕前記前処理混練物を、高圧ホモジナイザーによりさらに分散処理してスラリを作製する工程。〔第3工程〕前記スラリを、フィルターを用いて濾過する工程。

請求項2

無機材料スラリ、ビヒクル、有機溶剤を含有する導電性ペーストであって、前記無機材料スラリが、請求項1に記載の無機材料スラリの製造方法によって形成されていることを特徴とする。

請求項3

前記無機材料スラリを構成する無機粉末における導電性金属粉体が、前記導電性ペースト全量に対して30〜70質量%の含有量であることを特徴とする請求項2に記載の導電性ペースト。

技術分野

0001

本発明は微粒粉末を使用しても、その分散性が高く、平滑な乾燥塗膜が得られる導電性ペーストに関するものである。

背景技術

0002

携帯電話デジタル機器などの電子機器の軽薄短小化に伴い、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCと称する)についても小型化、高容量化および高性能化が望まれている。これらを実現するための最も効果的な手段は、内部電極層誘電体層を薄くして多層化を図ることである。

0003

このMLCCは、一般に次のようにして製造される。
先ず導電体層を形成するために、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分として、これとポリビニルブチラール等の有機バインダーからなる誘電体グリーンシート上に導電性粉末を主成分とし、これを樹脂バインダーおよび溶剤を含むビヒクルに分散させた内部電極となる導電性ペーストを所定のパターン印刷、乾燥させて溶剤を除去して乾燥膜を形成する。次に、乾燥膜を形成した誘電体グリーンシートを多層に積み重ねた状態で加熱圧着して一体化した後に切断し、酸化性雰囲気または不活性雰囲気中において500℃以下で脱バインダー処理する。その後、内部電極が酸化しないように還元雰囲気中にて1300℃程度で加熱焼成を行い、次いで、焼成チップを塗布、焼成後、外部電極上にニッケルメッキなどを施してMLCCを作製する。

0004

しかし、この焼成工程において、誘電体セラミック粉末焼結し始める温度は、1200℃程度であり、ニッケル等の導電性金属粉末との焼結・収縮が開始する温度とかなりのミスマッチが生じるため、デラミネーション層間剥離)やクラック等の構造欠陥が発生しやすかった。特に小型・高容量化に伴って、積層数が多くなるほど、あるいはセラミック誘電体層の厚みが薄くなるほど、構造欠陥の発生が顕著となっていた。

0005

例えば、通常内部電極用ニッケルペーストには、少なくとも誘電体層の焼結・収縮を開始する温度付近まで、その焼結・収縮を制御するために、誘電体層の組成に類似したチタン酸バリウム系あるいはジルコン酸ストロンチウム系などのペロブスカイト型酸化物を主成分とするセラミック粉末が添加されている。なぜなら、誘電体層の主成分の構成元素電極ペーストに含まれる誘電体粉末の構成元素とが大きく異なると誘電損失が増大するなど、電気特性に影響を及ぼすからである。

0006

近年、MLCCは一層の小型・大容量化要求に従い、ニッケルなどの導電性金属粉末を用いた内部電極層およびチタン酸バリウムなどのセラミック粉末を用いた誘電体層の更なる薄層化が急速に進んでいる。そのため、導電性ペーストに使用するニッケルなどの導電性金属粉末およびセラミック粉末の微粒化・高分散化が必要である。
しかしながら、導電性金属粉末およびセラミック粉末の微粒化が進むにしたがって、凝集のし易さが増大してくるため、従来の3本ロール法によるせん断力だけでは十分に分散した導電性ペーストが製造できず、平滑な乾燥塗膜や高い乾燥膜密度を得る事は困難であった。

0007

このため、乾燥凝集した導電性金属粉末およびセラミック粉末を、ビヒクルおよび溶剤へ十分に分散させる手段として、ボールミルビーズミル等で機械的に分散、粉砕する手法が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
しかしながら、上記の分散手法の場合、セラミック粉末では過粉砕コンタミ混入、導電性金属粉末では変形してしまうことなどによって十分な分散が得られない問題があった。

0008

最近、高圧ホモジナイザーを用いた導電性ペーストの製造に関して、少なくとも乾燥凝集した微粒な導電性金属粉末およびセラミック粉末、ビヒクル、有機溶剤分散剤と含有する混合物予備混合し、その混合物を高圧ホモジナイザーを用いて処理することによって、含まれる粉末の分散処理が可能であることが示されている(例えば、特許文献2、3など参照)。

0009

ところで、一般的な無機粉末分散過程は、
(1)無機粉末の「濡れ」、すなわち2次粒子表面および、2次粒子内部の空隙に存在する空気が溶剤および分散剤により置換される過程
(2)分散機により2次粒子が分散、粉砕される過程、
(3)分散、粉砕した粒子表面に分散剤が吸着し、粒子の「再凝集防止」が行われる過程、の3つの過程を含んでいる。
これらの分散過程がうまく連動しない場合には、無機粉末の分散性に大きく影響し、後工程における「フィルターろ過時間が長くなるため生産コストの上昇」や導電性ペーストの平滑な塗膜および高い乾燥膜密度を得ることが難しくなるため、「ペースト塗膜品質低下」にもつながる等のデメリットを生じる。

0010

また、「濡れ」の過程において、少なくとも導電性金属粉末、有機溶剤、分散剤を含む混合物を単に高速攪拌する(プレミックス)だけでは、「ダマ」や「泡」の巻き込み等が生じ、2次粒子表面の「濡れ」は起こっても、2次粒子内部の一次粒子表面の「濡れ」が不十分となり、上記問題点は改善されない。さらに、泡の発生を抑制するために必要以上の動力をかけても、材料の中に発生または存在するサブミクロン数ミクロンの泡の除去は困難である。以上の事から、「ダマ」や「泡」を発生させず、一次粒子表面の「濡れ」も解決できる前処理工程および後工程の分散処理工程での高圧ホモジナイザーを使いこなす事が重要なカギとなる。

0011

ところが、一次粒子表面の「濡れ」を改善し、高圧ホモジナイザーによる混合物の分散処理効率や分散性を向上させることに関して、前記「フィルターろ過時間の短縮などの生産コストダウン」や「平滑な導電性ペースト塗膜を実現するなどの品質改善」については特別な工夫はなされていなかった。

先行技術

0012

特開2006−156204号公報
特開1999−99514号公報
特開2005−104070号公報

発明が解決しようとする課題

0013

本発明者は、このような課題の改善策として前処理工程において、「攪拌雰囲気」、「攪拌方法」、「脱泡」の3点が重要な因子であることを以下の検討結果から見出した。
(a)「大気圧下において高速攪拌した後、減圧脱泡する前処理分散方法」において、単に高速撹拌するだけでは処理物内の泡を除去できないため、「泡の巻き込み」による2次粒子内部の一次粒子表面の「濡れ」が不十分となり、結果として、フィルターの処理時間が長くなったり、平滑な導電性ペースト塗膜が得られないなどの問題が生じる。さらに、この前処理物を単に減圧脱泡する場合でも、泡が抜けるまでペーストを長時間放置しなければならないという問題点があり、生産コストの低減に至らない。例えば、泡は大気圧の760分の1の真空圧下に曝されると大気圧下の体積の約760倍に膨張し、この体積膨張を利用して脱泡する場合、材料表面の泡は比較的容易に脱泡できるが、攪拌操作を同時に行わないと混合物内に大きな対流が生じないため、泡を効率的に除去できない。

0014

(b)「減圧雰囲気下において高速攪拌する前処理分散方法」では、一定速度、一方向にのみ回転する高速攪拌では遠心力が小さく、処理物の攪拌にムラ滞留部分)が生じる。また、これらの方法だけでは材料の中に発生または存在するサブミクロン〜数ミクロンの泡の除去が困難となるため、導電性金属粉末およびセラミック粉末の濡れが不十分であり、フィルターの処理時間、導電性ペースト塗膜の平滑性などに問題が生じる。

0015

本発明は、上記問題点に鑑み、少なくとも無機材料粉末、分散剤および有機溶剤からなる混合物を高圧ホモジナイザーにより分散処理する前処理工程において、減圧雰囲気下に保持し、公転方向に加えて自転方向にも回転させながら攪拌することで、遠心力が大きくなり、混合物全体を万遍なく対流させる。したがって滞留することもなく、泡も発生しないため、上記「濡れ」の過程がスムーズに進むものである。

0016

この前処理工程を加えることにより、高圧ホモジナイザーにおける分散工程では、「ノズル詰まり」が解消されたり、一次粒子表面の「濡れ」が改善され、分散処理工程で粒子表面に分散剤が吸着して起こる、粒子の「再凝集」を防止できるため、フィルターによるスラリの濾過の時間が短縮できる。また、積層セラミック電子部品の小型化、薄型化のために微細化した導電性金属粉セラミック粉に対しても高い分散性を与えるため、乾燥塗膜の平滑性および乾燥膜密度の向上を期待できる導電性ペーストを提供可能とするものである。

0017

このように本発明は、微粒な粉末を使用していても、その分散性が高いことから平滑な乾燥塗膜が得られるセラミック電子部品に最適な導電性ペーストを提供するものである。

課題を解決するための手段

0018

本発明の第1の発明は、下記の第1工程から第3工程を有することを特徴とする無機材料スラリの製造方法である。
第1工程:少なくとも無機材料粉末、分散剤および有機溶剤を含有する粗スラリ組成物を、常圧を基準として−100mmHg〜−760mmHgの減圧雰囲気下に保持して攪拌することにより脱泡を行いながら分散処理して前処理混練物を形成する工程。
第2工程:第1工程で作製した前処理混練物を、高圧ホモジナイザーによりさらに分散処理してスラリを作製する工程。
第3工程:第2工程で作製したスラリを、フィルターを用いて濾過する工程。

0019

本発明の第2の発明は、第1の発明による無機材料スラリ、ビヒクル、有機溶剤を含有することを特徴とする導電性ペーストである。
さらに、無機材料スラリを構成する無機粉末における導電性金属紛体が、導電性ペースト全量に対して30〜70質量%の含有量であることを特徴とするものである。

発明の効果

0020

本発明によれば、微粒な粉末を使用したスラリであっても、その微粒な粉末の分散性を高める効果を有するものである。したがって平滑な乾燥塗膜を容易に得ることができ、小型、薄層化が要求される積層セラミック電子部品に好適な導電性ペーストを提供できるものである。

0021

本発明における積層セラミックコンデンサの内部電極形成用の導電性ペーストは、バインダーを溶剤に溶解したビヒクル中に導電性金属粉末およびセラミック粉末を分散させたペーストを特徴としている。そのためには、微細な導電性粉末、セラミック粉末を十分に分散せしめた状態のペーストであることが必要である。そこで、本発明では、その導電性ペーストの導電性成分の供給を、導電性成分が十分に分散されたスラリによって行うもので、そのスラリの製造工程には、次の3工程が必要である。

0022

〔第1工程〕
本発明におけるスラリ製造の第1工程は、無機材料粉末、分散剤および有機溶剤を含有する粗スラリ組成物を減圧雰囲気下に保持し、自転および公転方向に回転させながら攪拌する事で脱泡しながら分散処理して、前処理混練物を形成するものである。

0023

この減圧雰囲気下で、自転させると同時に公転させることによって、材料自体流動性が生じるとともに、大きな遠心力が加わり、容器内部の混練物に上下方向の対流が発生する。この力を効率よく利用することで、混練物が攪拌され、さらに減圧雰囲気を加えることによって容器の底面や壁面の泡が強い流動性によって上面まで上がることによって、サブミクロンの泡まで除去される。また、混練物の粘度に応じて、自転および公転の回転は別々に制御できるため、昇温対策としても有効である。
このような自転並びに公転攪拌装置としては、例えばプライミクス株式会社製「T.K.ハイビスディスパーミックス」などの分散・混練装置が用いられる。

0024

本発明における攪拌時の自転および公転方向の回転数としては、自転方向の回転数は1000rpm/分以上が好ましく、公転方向の回転数は10rpm/分以上が好ましい。
自転方向の回転数が1000rpm/分未満では、容器内の上下方向(高さ)の流れを作る力が弱くなり、泡を上面まで移動させることができない場合がある。また、公転方向の回転数が10rpm/分未満では、流動性が低下し、小さな遠心力しか得られないため、十分な攪拌ができない。

0025

混練処理を行う減圧雰囲気下の圧力は、−760mmHg以上、−100mmHg以下が好ましい。なお、この圧力の値は大気圧を0mmHgとした常圧基準で表示している。
溶媒からは泡の放出と溶剤成分の蒸発が同時に起こっているが、−100mmHg以下の場合は、溶剤の蒸発を抑えながら泡を効果的に膨張させて放出させることができる。これに反して、減圧環境下にしないで混練を行う場合は、材料などから分離した泡がつぶれて小さくなって溶媒から除去できなくなる場合がある。

0026

〔第2工程〕
本発明におけるスラリ製造の第2工程は、第1工程で得られた前処理混練物を高圧ホモジナイザーにより、さらに分散処理する工程である。なお、高圧ホモジナイザーとは、一般に原料高圧もしくは超高圧加圧し、オリフィスを抜ける際のせん断力を利用して粉砕、分散、乳化を行うものである。
この高圧ホモジナイザーとしては、オリフィスから噴出したジェット流を壁に衝突させる分散方式、オリフィスから噴出したジェット流同士を衝突させる分散方式、さらにはオリフィスから噴出したジェット流(処理物)が、次のオリフィス以降の抵抗により滞留した背圧状態の処理物に衝突させることで、速度変化を生じて力をうけ、次のオリフィスへ進み、それが多段となって、大気圧に放出される分散方式などがあげられる。例えば、マイクロフルイダイザーマイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)、アルティマイザー(株式会社スギマシン製)、Nano3000(株式会社美粒製)が挙げられる。

0027

本発明における高圧ホモジナイザーによる処理条件は、その処理圧力は、50〜300MPaが好ましく、さらに100〜250MPaの範囲で処理することが好ましい。処理圧力が50MPa未満であると、オリフィスから噴出したジェット流の速度が不十分であるため、処理物にかかるエネルギーが弱いため分散不良となる。また、圧力が300MPa以下である理由は、分散機の部材の摩耗を抑制し、長期間の使用に耐えられるようにする観点から好ましいためである。

0028

さらに、高圧ホモジナイザーでは高速ジェット流を発生させるために微細なオリフィスを利用することを特徴とする。そのために、そのオリフィス径は、生産性や装置の効率性から0.03〜0.5mm程度とするのが好ましく、また、その形状は湾曲部や屈曲部のない摩耗し難い直線状が望ましい。さらに、オリフィスを形成する材料としては、例えば、焼結ダイヤモンド単結晶ダイヤモンド等のダイヤモンドアルミナジルコニアカーボランダム等のセラミック材料ステンレス、鉄、チタン等の金属が挙げられるが、その中でも耐摩耗性に優れる材質のものが好ましい。

0029

ここで、スラリのオリフィス内の通過速度が速ければ速いほどせん断力も大きくなり、粒子の粒径をより微細にすることができるが、粒子の粒径が小さくなりすぎると凝集が起こりやすくなるため、粒子を適度な粒径のままで維持するには、オリフィス内およびオリフィス通過後の空間部内でスラリにかかる応力が最適となるように、スラリのオリフィス通過速度を調整することが必要である。
この通過速度の調整は、オリフィス径、処理圧等の条件を選択することによって可能であり、スラリのオリフィス通過速度を100〜1000m/secの範囲とし、より好ましくは400〜800m/secの範囲に調整することにより、粒子を適度な微細粒径のままで維持することができる。

0030

また、スラリのオリフィス通過後の空間部内壁への衝突や、せん断力の不均一化を招く泡の発生を防止するために、背圧をかけながら、スラリを製造することもできる。さらに、スラリ温度が高くなると粒子の安定性が低下し、再凝集する等の問題が生じ、好ましくないため、スラリ温度の上昇を防止するために、冷却装置装備することが好ましい。さらに、高圧ホモジナイザーにおける分散パス回数は、要求される粒子径粒度分布等によって適宜選択することができる。なお、分散パス回数は、スラリを循環させるような装置の構成で行うことが好ましい。

0031

〔第3工程〕
次に、高圧ホモジナイザーにより分散処理して得られたスラリをフィルター濾過する。
その条件としては、99%カットろ過精度で、目開きが5μm以下のフィルターでろ過することが望ましい。その目開きが5μmを超えるフィルターを用いた場合、無機物未分散物、粗大粒子などが除去できなくなり、誘電体層の厚みより大きい物質が混入していると、ペースト塗膜表面に突起が生じるため、平滑性が低下する。そのため、平滑性に優れた導電性ペーストを得ることができない。

0032

特に、本発明における高濃度かつ高比重な導電性金属スラリは、高圧ホモジナイザーにより分散処理し終えた後、時間を空けてフィルター濾過すると目詰まりが早くなる問題が生じるため、フィルター濾過をする第3工程では、高圧ホモジナイザーにより分散処理した直後、取り出す直前にフィルター濾過する。

0033

なお、99%カット濾過精度で、目開きが5μm以下のフィルターにて濾過を行うとは、5μm以上の粒子を99%以上補足することを意味する。例えば、JIS z 8901規定試験用粉体7種(5mg/L分散液、10L/min)に基づいたシングルパステストが挙げられる。また、濾材としては、金属、PTFE、ポリプロピレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。さらに、ここで使用されるフィルター構造としては、メンブレンタイプ、プリーツタイプ、デプスタイプなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。

0034

〔導電性ペースト〕
本発明において、乾燥塗膜の平滑性および乾燥膜密度を向上させる導電性ペーストを得るには、そのニッケル粉末の粒径は、0.5μm以下の微粉末を用いると良い。
ニッケル粉末は凝集により粗大粒子が生じることがあり、ニッケル粉末の粒径が0.5μmを超えると、ペースト層を薄層化するときの成膜性が悪化し、所定の静電容量が得られないばかりでなく、粗大粒子の混入確率が増大して破壊電圧(BDV)が下がる不良を発生しやすくなる。また、薄層化対応となるような電極膜を形成しようとすると、乾燥膜で平滑性が不十分であり、かつニッケル粉末粒子充填が不十分となり、所望の乾燥膜密度が確保できない。

0035

一方、ニッケル粉末の粒径を0.5μm以下とする理由としては、積層コンデンサの薄層化において連続性に優れた電極膜を形成するのに必須だからである。さらに、粒径が0.03μmを下回ると粒子の比表面積が大きくなりすぎ、金属粒子表面活性が高くなりすぎ、乾燥、脱バインダー特性に悪影響をおよぼすだけでなく、適正な粘度特性が得られなかったり、導電性ペーストの長期保存中に変質する恐れがある。
本発明において、ニッケル粉末の粒径は、特に断らない限り比表面積をBET法に基づいて算出した粒径である。その算出式を数1に示す。

0036

0037

本発明の導電性ペースト中における導電性金属粒子の割合は、好ましくは30〜70質量%である。導電性金属粒子が30質量%を下回ると焼成後の電極厚みが著しく薄くなり抵抗値が上昇したり、電極膜の形成が不充分で導電性を失い、目的とする静電容量が得られない場合がある。70質量%を上回ると電極膜の薄層化が困難となる。導電性金属粉末は、ペースト全体に対して40〜60質量%とすることがより好ましい。

0038

導電性ペーストに含まれるセラミック粉末は、通常ペロブスカイト型酸化物であるBaTiO3などや、これに種々の添加物を添加したから選択することができる。また、MLCC用の誘電体層グリーンシートの主成分として使用されるセラミック粉末と同組成、あるいは類似の組成も好ましい。

0039

また、セラミック粉末の製造方法について固相法水熱合成法アルコキシド法ゾルゲル法など種々あるが、特に水熱合成法は、微細でシャープな粒度分布が得られるため、本発明に使用するセラミック粉末としては好ましい。
なお、必要に応じて、セラミック粉末は、ビーズミルや高圧ホモジナイザーなどの装置により分散・粉砕処理を施したセラミックスラリを導電性ペーストに焼結抑制剤として添加することができる。

0040

このセラミック粉末の粒径は、0.01から0.2μmの範囲が望ましい。セラミック粉末の粒径が0.2μmを超えると乾燥膜密度が低下する。乾燥膜では、略球状のニッケル粉末粒子が積み重なって形成される隙間にセラミック粉末が充填されることから、セラミック粉末の粒径が0.2μmを超えると、略球状のニッケル粉末粒子の接触点間入り込みにくくなるために、所望の乾燥膜密度が得られず、導電性ペーストの焼結開始温度セラミック層の焼結開始温度まで遅延する効果も弱くなることから制限される。

0041

また、セラミック粉末の粒径が0.01μmを下回ると、導電性ペーストの焼結遅延効果が困難となり、デラミネーションやクラックなどの構造欠陥が生じる。さらに、上述の乾燥膜密度の低下やセラミック粉末の凝集粉末を起因に誘電体層の薄層化が困難になる、コンデンサ信頼性(絶縁抵抗の低下やショート率の上昇など)が悪化するという問題が発生する。

0042

本発明において、セラミック粉末の粒径は、特に断らない限り比表面積をBET法に基づいて算出した粒径である。その算出式を数2に示す。

0043

0044

本発明で用いる有機溶剤は、ターピネオール(α、β、γおよびこれらの混合物)、ジヒドロターピネオールオクタノールデカノールトリデカノールブチルカルビトールブチルカルビトールアセテートジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどを使用することができる。また、粘度を調整するために、ペーストの希釈剤として芳香族炭化水素脂肪族炭化水素が使用される。かかる希釈剤は、ペースト印刷後の乾燥速度の調節、そしてペーストに適度の粘度特性を付与するのに使用される。

0045

さらに、導電性ペーストのバインダー樹脂としては、エチルセルロースニトロセルロースアクリル、ポリビニルブチラールなどの有機樹脂が挙げられ、これらの中から1種以上が選択される。分子量は上記溶剤に溶解するものであることが前提であるが、好ましくは20000〜200000の分子量の樹脂を用いる。
ペースト中のバインダー樹脂量は、1.0〜5.0wt%が望ましく、特に2.0〜4.0wt%がより好ましい。1.0wt%未満ではスクリーン印刷に適した粘度を得ることが困難であり、5.0wt%を超えると脱バインダー時に残留カーボン量が増え、積層チップデラミネ−ションを引き起こすので好ましくない。

0046

本発明における分散剤は、特に限定されるものではなく、カチオン系分散剤アニオン系分散剤ノニオン系分散剤両性界面活性剤高分子系分散剤など、導電性金属粉末やセラミック粉末をバインダーおよび有機溶剤中に微細化した状態で安定に分散させうる分散剤であればよく、公知の分散剤を使用することができる。特に、これらの中でアニオン系分散剤が好ましく、たとえば、カルボン酸系分散剤燐酸系分散剤、燐酸塩系分散剤などが挙げられる。これらの分散剤は1種または2種以上組み合わせて用いても良い。アニオン系分散剤は、無機表面への吸着力が大きいため、その表面改質作用により無機成分の分散性を上げるのに寄与して、塗膜の平滑性や乾燥膜密度の向上をもたらすものである。

0047

そのアニオン系分散剤の平均分子量は、200〜20000が好ましい。より好ましくは300〜10000である。この平均分子量が200より小さいと、粒子が十分な静電反発力が得られず、粒子の分散性や保存安定性が低下する場合がある。通常、分散剤が粒子表面に吸着して分散剤の吸着層を形成し、静電反発力や立体的反発力を粒子に付与することで、分散性に優れたペーストが得られる。
しかし、時間の経過とともに粒子同士の衝突により、吸着層の静電反発力より勝って粒子同士が凝集すると考えられるため、平均分子量は200以上が良い。また、分子量が20000より大きいと、ビヒクルおよび溶剤との相溶性が低下したり、粒子同士の凝集を招いたり、分散性・保存安定性の低下を引き起こす場合がある。さらに、ペースト粘度が高くなる問題も生じる。

0048

ここで、アニオン系分散剤の添加量は、例えば導電性金属粉末に対する添加量は、無機物含有量100質量部に対して0.01〜2.00質量部が好ましく、0.30〜1.00質量部が更に好ましい。界面活性剤が0.01質量部未満では、充分な分散性が得にくくなる傾向がある。一方、2.00質量部を越えると乾燥性が悪くなり、また乾燥膜密度が低下する問題等が生じる。

0049

セラミック粉末の含有量は、導電性金属粉末100質量部に対して3〜25質量部が望ましい。より望ましくは導電性金属粉末100質量部に対して5〜15質量部である。
セラミック粉末の含有量が3質量部未満では、例えば、ニッケル粉末の焼結が制御できず、内部電極層と誘電体層の焼結収縮挙動のミスマッチが顕著になると共に、内部電極の焼結が低温から始まってしまい、内部電極層と誘電体層との焼結温度の差が大きくなるため、焼成クラックが発生してしまう。一方、セラミック粉末の含有量が25質量部を超えると、例えば、内部電極層から誘電体層中のセラミック粒子との焼結により誘電体層の厚みが膨張し、組成のずれが生じるため、誘電率の低下等の電気特性に悪影響を及ぼす。

0050

以下、本発明をより具体的な実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明の範囲は実施例によって何ら限定されるものではない。

0051

1.無機材料スラリの作製(ニッケルスラリの作製)
ニッケル粉末(粒径:0.3μm)を85wt%、有機溶剤が14.5wt%、アニオン系分散剤が0.5wt%とした粗スラリ組成物を、圧力が−650mmHgの減圧雰囲気下に保持し、自転方向に2500rpm/分、公転方向に25rpm/分に回転させながら攪拌脱泡する前処理分散を行い、前処理混練物を形成した。次いで、得られた前処理混練物を、200MPaの処理圧、ダイヤモンド製オリフィス径を0.1mm、処理回数を5回とした条件の高圧ホモジナイザーを行い、ニッケルスラリを作製した。このニッケルスラリを目開きが2.0μmのデプスタイプフィルターにより濾過して、最終のニッケルスラリを得た。

0052

2.導電性ペーストの作製
上記無機材料スラリの作製で作製したニッケルスラリ中に含まれたニッケル含有量が50wt%、ビヒクルが3.5wt%、アニオン系分散剤が0.5wt%、ターピネオールが46wt%となるように各成分を混合し、3本ロールにて混練して導電性ペーストを作製した。なお、ビヒクルは樹脂成分としてエチルセルロースが9wt%、有機溶剤としてターピネオール91%からなり、加熱して作製した。この作製した導電性ペーストの粒度分布、および導電性ペーストによる乾燥膜の表面粗さRzを、下記測定法によって測定し、その結果を表1に示した。

0053

評価特性評価方法
(a)粒度分布
前処理方法が異なるニッケルスラリの最終的な分散性を比較するために、上記フィルター処理直前のスラリの粒度分布のD50を測定した。
なお、粒度分布測定は日機装社製のマイクロトラックにより測定した。
粒度分布をフィルター処理前で比較した理由は、前処理攪拌条件相違ニッケル粉の分散性に及ぼす影響が、フィルター処理によって判別できなくなることを避けるためである。フィルター処理前の粒度分布の相違は、フィルターの濾過効率や目詰まりの程度に影響する。すなわち、粒度分布が大きいものほど濾過時間が増大し、また目詰まりが多く発生するといった問題を生じるものである。

0054

(b)乾燥膜表面粗さ:Rz
前処理方法が異なるニッケルスラリを用いて製造したニッケルペーストを、アプリケーターギャップ厚10μm)を用いてガラス基板上に塗布後、120℃で5分間、空気中で乾燥させ、乾燥膜を作製し、次いで、その乾燥膜を表面粗さ計(装置名;SURFCOM 551A、ピックアップスタイラス10μmR、ダイヤモンド90°円錐)を用い、Cut−off:1.6mm、測定範囲3.0mm、測定速度:0.6mm/secの条件にて、10点平均粗さ(Rz)を測定した。

0055

(比較例1A)
ニッケル粉末(粒径:0.3μm)を85wt%、有機溶剤が14.5wt%、アニオン系分散剤を0.5wt%とした粗スラリ組成物を、減圧雰囲気下の圧力が−80mmHgに保持し、自転方向に2500rpm/分、公転方向に25rpm/分に回転させながら攪拌脱泡する前処理分散を行い、前処理混練物を形成した。次いで、得られた前処理混練物を200MPaの処理圧、ダイヤモンド製オリフィス径を0.1mm、処理回数を5回とした条件の高圧ホモジナイザーを行い、ニッケルスラリを作製した。このニッケルスラリを目開きが2.0μmのデプスタイプフィルターにより濾過し、最終のニッケルスラリを得た。
次いで、実施例1と同様にして導電性ペーストを作製した。
その導電性ペーストを用いて特性評価を行い実施例1と同様に、その結果を表1に示した。

0056

(比較例1B)
ニッケル粉末(粒径:0.3μm)を85wt%、ターピネオールが14.5wt%、アニオン系分散剤を0.5wt%とした粗スラリ組成物を、常圧下で高速攪拌する前処理分散を行った。
次いで、実施例1と同様にして導電性ペーストを作製した。
その導電性ペーストを用いて特性評価を行い実施例1と同様に、その結果を表1に示した。

0057

0058

表1に示すように、前処理条件として減圧雰囲気下で自転および公転方向に攪拌した後、高圧ホモジナイザーにより製造したニッケルスラリ(実施例1参照)は、高速攪拌のみの前処理条件を経て製造したニッケルスラリ(比較例1B参照)と比較して、D50値が約13%小さくなっている。これは、前処理条件の違いによりニッケル表面の濡れが改善され、後工程の高圧ホモジナイザーによる分散効率が向上した結果、Ni粉の分散性に差が生じることがわかる。
さらに、前処理混練条件が同じ減圧下であるが、減圧量が小さく、本発明の範囲を外れた条件で作製されたニッケルスラリ(比較例1A参照)と比較しても、D50値は約11%ほど小さくなっている。

0059

さらに、前処理条件として減圧雰囲気下で自転および公転方向に攪拌することで、高速攪拌のみの前処理条件と比較(比較例1B参照)して、ニッケルペースト乾燥膜のRz値が約38%改善され、平滑な乾燥膜が得られていることがわかる。これは、前処理の攪拌時に粒子の濡れが改善され、分散性が向上したからである。
また、前処理混練条件が同じ減圧下であるが、減圧量が小さく、本発明の範囲を外れた条件で作製されたニッケルスラリ(比較例1A参照)と比較しても、乾燥膜のRz値は約32%改善されているのがわかる。

0060

1.セラミックスラリの作製
セラミック粉末(粒径:0.03μm)が40wt%、有機溶剤が59wt%、アニオン系分散剤が1.0wt%である粗スラリ組成物を減圧雰囲気下の圧力が−650mmHgに保持し、自転方向に2000rpm/分、公転方向に20rpm/分に回転させながら攪拌脱泡する前処理分散を行い、前処理混練物を形成する。次いで、得られた前処理混練物を前述の高圧ホモジナイザーを用いて処理圧を200MPa、ダイヤモンド製オリフィス径を0.1mm処理回数を10回とした条件にて行い、セラミックスラリを得た。得られたセラミックスラリを目開きが0.8μmのメンブレンフィルターにより濾過し、最終のセラミックスラリを得た。

0061

2.ニッケルペーストの作製
作製したセラミックスラリ中に含有されるセラミック粉末(粒径:0.03μm)の量を4.7wt%になる量のセラミックスラリと、ニッケル粉末(粒径:0.2μm)が47wt%、ビヒクル2.8wt%、アニオン系分散剤が0.5wt%、ターピネオールが45wt%となるように混合して3本ロールにて混練した。ビヒクルは、樹脂成分としてエチルセルロースが9wt%、有機溶剤としてターピネオール91%からなり加熱して作製したビヒクルとした。
そのニッケルスラリを、目開きが1.0μmのデプスタイプフィルターにより濾過し、最終のニッケルスラリを作製し、実施例1と同様にして導電性ペーストであるニッケルペーストを作製した。
そのニッケルペーストによる乾燥膜の表面粗さRa、乾燥膜密度(DFD)を下記測定法によって測定し、その結果を表2に示した。

0062

セラミックスラリの作製における高圧ホモジナイザーの処理条件を、オリフィス径を0.01mm、処理回数を20回とした以外は実施例2と同条件でニッケルペーストを作製して表面粗さRa、乾燥膜密度(DFD)を測定し、その結果を表2に示した。

0063

セラミックスラリの作製における高圧ホモジナイザーの処理条件を、オリフィス径を0.06mm、処理回数を20回とした以外は実施例2と同条件でニッケルペーストを作製して表面粗さRa、乾燥膜密度(DFD)を測定し、その結果を表2に示した。

0064

(比較例2)
セラミック粉末(粒径:0.03μm)が40wt%、有機溶剤が59wt%、アニオン系分散剤が1.0wt%とした粗スラリ組成物を常圧下で高速攪拌した後、実施例2と同じ条件で前処理分散を行いセラミックスラリを作製した。
次いで、実施例2と同様にして、ニッケルペーストを作製し、表面粗さRa、乾燥膜密度(DFD)を測定した。その結果を表2に示した。

0065

(比較例3)
比較例2の粗スラリ組成物を常圧下で高速攪拌し、次いで前処理分散を行わずに、ニッケル粉末(粒径:0.2μm)が47wt%、セラミック粉末(粒径:0.03μm)が4.7wt%、ビヒクルAが2.8wt%、アニオン系分散剤が0.5wt%、ターピネオールが45wt%の成分組成になるように混合したセラミックスラリを作製して3本ロールにて混練した。なお、ビヒクルAは樹脂成分としてエチルセルロースが9wt%、有機溶剤としてターピネオール91%からなり加熱して作製したビヒクルとした。

0066

〔評価特性と評価方法〕
(c)非接触式表面粗さRaの測定
本発明における平均表面粗さの測定方法は、以下の方法を用いた。
アプリケーター(ギャップ厚5μm)を用いてガラス基板上にニッケルペーストを塗布後、120℃で5分間、空気中で乾燥させ、膜厚約3μmの乾燥膜を得る。次いで、乾燥膜について、光学的な方法、つまり位相シフト干渉方式により表面の突起を測定する。
具体的には、特定波長領域に限定された光源から光を、試料およびリファレンス鏡に照射し、試料およびリファレンス鏡に照射した光の干渉縞により表面状態を観察する。さらに言えば、試料を1/4波長ごとに光が照射される方向に移動させて光の干渉縞から表面状態を観察する。たとえば、光干渉表面形状測定装置(WYCO製NT-1100)を用いて、乾燥膜の平均粗さを測定することができる。測定数は3箇所としている。

0067

(d)乾燥膜密度(DFD)の測定
乾燥膜密度の測定は、ペーストをPETフィルム上に5cm×10cmの面積で膜厚30μmとなるように印刷後、120℃で40分間、空気中で乾燥させ、その乾燥したニッケルペースト乾燥膜を1×1cmに切断し、厚みと質量を測定して、下記数3によって乾燥膜密度を算出した。測定数は15箇所であり、得られた膜密度平均値をその導電性ペーストの膜密度とした。

0068

0069

乾燥膜密度の測定はPETフィルム上に導電性ペーストを印刷して行うが、本発明の導電性ペーストを誘電体層グリーンシートに印刷しても同様の特性が発揮されるのはもちろんである。
ここで、乾燥膜密度とは、導電性ペーストを乾燥させた後の密度のことである。

0070

0071

従来の3本ロールで分散した比較例3では、乾燥膜密度が5.1と低く、微粒なセラミック粉が分散できないが、高圧ホモジナイザーにより分散処理した比較例2では、乾燥膜密度が5.4まで向上した。比較例2に示した分散工程の前処理として自転および公転真空攪拌工程を取り入れた実施例2では、粒子の濡れ性が改善されたことにより、Ra値が約15%小さくなり、乾燥膜密度は5.6と高い値を示した。また、オリフィスを通過するパス回数が20回とした実施例3では、Ra値および乾燥膜密度が更に改善される。さらに、実施例4に示すようにオリフィス径を0.06mmまで小さくした場合、乾燥膜密度が5.9と更に高い値を示しており、比較例3に対して15%、比較例2に対して10%改善された。

実施例

0072

以上の結果から、自転および公転真空攪拌による前処理工程を加えた後に、パス回数やオリフィス径などを検討して高圧ホモジナイザーにより分散処理することで、従来の3本ロールあるいは通常の高圧ホモジナイザーによる処理では実現できなかった分散性の向上により、ペースト塗膜の平滑性および粒子の充填性が改善されていた。

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