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図面 (8)

課題・解決手段

量子デバイスが、半導体の表面から延伸する制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドを含んで提供される。各制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドは、半導体の少なくとも一つの原子の間隔を有する。少なくとも一つの電極が、制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの電子状態を選択的に変更するために提供される。制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンド内に少なくとも一個の追加の電子を、その一個の追加の電子のそれぞれに対して少なくとも一本の非占有ダングリングボンドが存在するという条件で提供することによって、本発明のデバイスは、少なくとも293ケルビンまで動作可能となり、漂遊静電摂動に対して大幅に影響され難くなる。室温動作可能な量子セルオートマトン及び量子ビットがそこから形成される。

概要

背景

ナノエレクトロニクス発展に関する性質の理解が大幅に進んでいる一方で、原子分子又はナノスケールエンティティ演算回路への集積が困難なままである(非特許文献1〜12)。量子ドットは典型的に、バルク物質のものと孤立単一原子又は分子のものとの中間のエネルギーによって分離されている量子化準位を示す原子又は分子の小クラスタで構成されている。量子ドットは、大きな回路内に空間特異性を有して所定の位置に形成され、特定してアドレスされていることが多いので、現在のところ、量子ドットは、電子回路が如何にして分子エレクトロニクスからの恩恵を享受できるのかについての最適な実例となる(非特許文献13〜非特許文献17)。

場を回避する一つの目標は、1993年にLent及び共同研究者によって提案された量子セルオートマトンQCA,Quantum Cellular Automata)スキーム(非特許文献18)を具体化するための多重量子ドットアンサンブルの生成である。この新しい計算用のパラダイムは、トンネル結合量子ドットの“セル”と、隣接するセル間の静電相互作用とに基づいている。このようなアンサンブルは、非常に低いエネルギーコストバイナリ情報を伝え計算を行うことができると予測されている(非特許文献18、非特許文献19)。プロトタイプのQCAセルは、正方形に配置された4つの量子ドットから成る。局所的な電極の制御によって、2個の電子の、二つの縮退した正反対基底状態電子配置正味のセル電荷が提供される。局所的な静電電極対称性破壊して、QCAユニットが、対角の2つの電子状態の一方又は他方を占めるようにさせる。これらの状態を論理レベル“0”及び“1”としてマッピングすることができる。セル配列を生成することによって、セル間静電結合が、バイナリ情報を一つの点から他の点に伝えることが可能になる。QCAスキームの精緻化によって、バイナリデジタル計算のしきたりを保ちながら、計算用のロジックの完全実施が可能になる。QCAにおけるバイナリ計算スキームの保持によって、既存のソフトウェアエネルギー効率的なQCAデバイスで走らせることができるという利点が得られる。

最も単純な実施では、4量子ドット静電QCAは、休止電流を必要としない。QCAスキームは、“エッジ駆動”であり、つまり、論理入力電源でもある(非特許文献20)。数十ナノメートルオーダの寸法を有する量子ドットで形成されたQCAセル(非特許文献19、非特許文献21)や、結合3セル量子ワイヤ(非特許文献12)が達成されている。また、QCA状プロセスは、直列三重量子ドットシステムにおいても見られる(非特許文献23)。QCAデバイスを形成しようとするこれらの努力は、状態の乱雑化を防止するためにミリケルビン範囲の温度が必要とされるという事実によって、決められた計算スキームにおける実施に限定されている(非特許文献20)。量子ドットの局所的な、意図せずに固定された、若しくは時々変化する電荷、又は量子ドットのスプリアス欠陥電荷は、2電子フィリングを達成するための局所的な静電調整を必要且つ困難なものにしている(非特許文献20)。また、極低温条件も、注入ドーパントに基づいた方法には必要とされる(非特許文献24)。

量子ビットは、二つの論理レベル“0”と“1”との間で制御可能に変更される量子化情報システムであり、二次元複素ベクトル空間としてモデル化される。デジタル論理素子とは異なり、量子ビットは、摂動発現である量子エンタングルメントと、近接する素子間のトンネル結合を示すように構築されることが好ましい。量子ビットのエンタングルメント項によって、“0”と“1”のレベルとの間の中間の値の重ね合わせの無限の組が得られ、多くの多変数力学現象の計算を扱い易くすることができる。QCAデバイスに関して、電子状態変更量子ビットは、大気温度で動作するようにはできていない。

原子論的量子ドットは、単一原子又は分子に基づいていて、軌道エネルギー準位単純化された組を有していて、次元性の低減、ナノ粒子量子ドットに対して相対的に意図せずに固定された又は散発的帯電に影響され難いという点に利点がある。これらの及び他の予測される属性の結果として、分子QCAセルが、室温動作を目標として構想されている(非特許文献25)。分子量子ドットの局在化及び制御されたアドレシングに関連する難しさが、分子QCAセルの生成の妨げとなっている。同様の問題が、静電状態遷移ベースの量子ビットにも存在している。

概要

量子デバイスが、半導体の表面から延伸する制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドを含んで提供される。各制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドは、半導体の少なくとも一つの原子の間隔を有する。少なくとも一つの電極が、制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの電子状態を選択的に変更するために提供される。制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンド内に少なくとも一個の追加の電子を、その一個の追加の電子のそれぞれに対して少なくとも一本の非占有ダングリングボンドが存在するという条件で提供することによって、本発明のデバイスは、少なくとも293ケルビンまで動作可能となり、漂遊静電摂動に対して大幅に影響され難くなる。室温動作可能な量子セルオートマトン及び量子ビットがそこから形成される。

目的

制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンド内に少なくとも一個の追加の電子を、その一個の追加の電子のそれぞれに対して少なくとも一本の非占有ダングリングボンドが存在するという条件で提供する

効果

実績

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請求項1

物質の複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドと、前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの電子状態を選択的に変更するための少なくとも一つの電極と、を備えた量子デバイスであって、前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドのそれぞれが、前記物質の少なくとも一つの原子の他の前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドからの間隔を有する、デバイス

請求項2

前記物質がシリコンであり、前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドのそれぞれが、シリコン‐シリコンの結合を有するシリコン原子から延伸している、請求項1に記載のデバイス。

請求項3

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドが、前記物質の表面から延伸している、請求項1又は2に記載のデバイス。

請求項4

前記間隔が2オングストロームから200オングストロームの間である、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項5

前記間隔が3オングストロームから40オングストロームの間である、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項6

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの数が、2、3、4、5又は6本である、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項7

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドに近接して配置されて、前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの電子状態に摂動を与える静電種を更に備えた請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項8

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドが、直線状の四本の結合ダングリングボンドエンティティを形成する四本のダングリングボンドであり、少なくとも一本の静電摂動ダングリングボンドを更に備えた請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項9

前記少なくとも一本の静電摂動ダングリングボンドが、前記直線状の四本の結合ダングリングボンドエンティティに対して対角に配置された二本の静電ダングリングボンドである、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項10

前記物質が、表面から少なくとも1オングストローム延在している静電ポテンシャルを含む局在電荷サポートする、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項11

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドのそれぞれが、該複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドのそれぞれが前記物質の伝導バンドからエネルギー的非結合とされるように、前記物質に対するバルクの半導体価電子バンドエッジよりも大きくて且つ伝導バンドエッジの底よりも低いダングリングボンドエネルギーを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項12

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンド内に少なくとも一個の追加の電子を、該少なくとも一個の追加の電子のそれぞれに対して少なくとも一本の非占有ダングリングボンドが存在し且つ前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの電子状態が少なくとも293ケルビンまで安定である条件で更に備えた請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項13

前記複数の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの数が2本であり、該2本のダングリングボンド間のトンネリングレート(ktun)がを満たし、ω/2πがトンネリングの周波数であり、Dがトンネル係数であり、p1eが、前記2本のダングリングボンド内に1個の余分の電子を有する確率である、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。

請求項14

複数の量子デバイスと、該複数の量子デバイス間の相互接続とを備えた量子セルオートマトンであって、前記複数の量子デバイスが請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイスに従って形成されている、量子セルオートマトン。

請求項15

少なくとも293ケルビンの温度において計算を行う請求項1から14のいずれか一項に記載の量子セルオートマトン。

請求項16

請求項1から15のいずれか一項に記載の量子デバイスと、少なくとも293ケルビンの温度において測定可能な0及び1のデジタル論理ベルの間の中間の値の重ね合わせの無限の組を提供する量子コンピューテーション用の量子回路を形成する少なくとも二つの電極と、を備えた量子ビット

請求項17

添付図面を参照して本願明細書で説明された量子デバイス。

技術分野

0001

[関連出願の相互参照
本願は、2008年6月17日出願の米国仮特許出願第61/073126号の優先権を主張し、その開示内容は参照として本願に組み込まれる。

0002

本発明は、一般的に原子論エレクトロニクス係り、特に単一原子量子ドットで形成された量子セルオートマトン量子ビットに関する。

背景技術

0003

ナノエレクトロニクス発展に関する性質の理解が大幅に進んでいる一方で、原子分子又はナノスケールエンティティ演算回路への集積が困難なままである(非特許文献1〜12)。量子ドットは典型的に、バルク物質のものと孤立単一原子又は分子のものとの中間のエネルギーによって分離されている量子化準位を示す原子又は分子の小クラスタで構成されている。量子ドットは、大きな回路内に空間特異性を有して所定の位置に形成され、特定してアドレスされていることが多いので、現在のところ、量子ドットは、電子回路が如何にして分子エレクトロニクスからの恩恵を享受できるのかについての最適な実例となる(非特許文献13〜非特許文献17)。

0004

場を回避する一つの目標は、1993年にLent及び共同研究者によって提案された量子セルオートマトン(QCA,Quantum Cellular Automata)スキーム(非特許文献18)を具体化するための多重量子ドットアンサンブルの生成である。この新しい計算用のパラダイムは、トンネル結合量子ドットの“セル”と、隣接するセル間の静電相互作用とに基づいている。このようなアンサンブルは、非常に低いエネルギーコストバイナリ情報を伝え計算を行うことができると予測されている(非特許文献18、非特許文献19)。プロトタイプのQCAセルは、正方形に配置された4つの量子ドットから成る。局所的な電極の制御によって、2個の電子の、二つの縮退した正反対基底状態電子配置正味のセル電荷が提供される。局所的な静電電極対称性破壊して、QCAユニットが、対角の2つの電子状態の一方又は他方を占めるようにさせる。これらの状態を論理レベル“0”及び“1”としてマッピングすることができる。セル配列を生成することによって、セル間静電結合が、バイナリ情報を一つの点から他の点に伝えることが可能になる。QCAスキームの精緻化によって、バイナリデジタル計算のしきたりを保ちながら、計算用のロジックの完全実施が可能になる。QCAにおけるバイナリ計算スキームの保持によって、既存のソフトウェアエネルギー効率的なQCAデバイスで走らせることができるという利点が得られる。

0005

最も単純な実施では、4量子ドット静電QCAは、休止電流を必要としない。QCAスキームは、“エッジ駆動”であり、つまり、論理入力電源でもある(非特許文献20)。数十ナノメートルオーダの寸法を有する量子ドットで形成されたQCAセル(非特許文献19、非特許文献21)や、結合3セル量子ワイヤ(非特許文献12)が達成されている。また、QCA状プロセスは、直列三重量子ドットシステムにおいても見られる(非特許文献23)。QCAデバイスを形成しようとするこれらの努力は、状態の乱雑化を防止するためにミリケルビン範囲の温度が必要とされるという事実によって、決められた計算スキームにおける実施に限定されている(非特許文献20)。量子ドットの局所的な、意図せずに固定された、若しくは時々変化する電荷、又は量子ドットのスプリアス欠陥電荷は、2電子フィリングを達成するための局所的な静電調整を必要且つ困難なものにしている(非特許文献20)。また、極低温条件も、注入ドーパントに基づいた方法には必要とされる(非特許文献24)。

0006

量子ビットは、二つの論理レベル“0”と“1”との間で制御可能に変更される量子化情報システムであり、二次元複素ベクトル空間としてモデル化される。デジタル論理素子とは異なり、量子ビットは、摂動発現である量子エンタングルメントと、近接する素子間のトンネル結合を示すように構築されることが好ましい。量子ビットのエンタングルメント項によって、“0”と“1”のレベルとの間の中間の値の重ね合わせの無限の組が得られ、多くの多変数力学現象の計算を扱い易くすることができる。QCAデバイスに関して、電子状態変更量子ビットは、大気温度で動作するようにはできていない。

0007

原子論的量子ドットは、単一原子又は分子に基づいていて、軌道エネルギー準位単純化された組を有していて、次元性の低減、ナノ粒子量子ドットに対して相対的に意図せずに固定された又は散発的帯電に影響され難いという点に利点がある。これらの及び他の予測される属性の結果として、分子QCAセルが、室温動作を目標として構想されている(非特許文献25)。分子量子ドットの局在化及び制御されたアドレシングに関連する難しさが、分子QCAセルの生成の妨げとなっている。同様の問題が、静電状態遷移ベースの量子ビットにも存在している。

先行技術

0008

A.Aviram、M.A.Ratner、“Molecular Rectifiers”、Chem.Phys.Lett.、1974年、第29巻、p.277−283
M.A.Reed、C.Zhou、C.J.Muller、T.P.Burgin、J.M.Tour、“Conductance of a molecular junction”、Science、1997年、第278巻、p.252−254
X.D.Cui、A.Primak、X.Zarate、J.Tomfohr、O.F.Sankey、A.L.Moore、T.A.Moore、D.Gust、G.Harris、S.M.Lindsay、“Reproducible measurement of single−molecule conductivity”、Science、2001年、第294巻、p.571−574
Y.Selzer、L.Cai、M.A.Cabassi、Y.Yao、J.M.Tour、T.S.Mayer、D.L.Allara、“Effect of local environment on molecular conduction: Isolated molecule versus self−assembled monolayer”、Nano Lett.、2005年、第5巻、p.61−65
D.J.Wold、R.Haag、M.A.Rampi、C.D.Frisbee、“Distance dependence of electron tunneling through self−assembled monolayers measured by conducting probe atomic force microscopy: Unsaturated versus saturated molecular junctions”、J.Phys.Chem.B、2002年、第106巻、p.2813−2816
W.Wang、T.Lee、I.Kretzschmar、M.A.Reed、“Inelastic electron tunneling spectroscopy of an alkanedithiol self−assembled monolayer”、Nano Lett.、2004年、第4巻、p.643−646
C.−C.Kaun、H.Guo、P.Gruetter、R.B.Lennox、“Momentum filtering effect in molecular wires”、Phys.Rev.B、2004年、第70巻、p.195309
G.V.Nazin、X.H.Qiu、W.Ho、“Visualization and spectroscopy of a metal−molecule−metal bridge”、Science、2003年、第302巻、p.77−81
Z.Yang、M.Chshiev、M.Zwolak、M.Di Ventra、“Role of heating and current−induced forces in the stability of atomic wires”、Phys.Rev.B、2005年、第71巻、p.041402(R)
P.Damle、T.Rakshit、M.Paulsson、S.Datta、“Current−voltage characteristics of molecular conductors: two versus three terminal”、IEEE Trans.Nanotech.、2002年、第1巻、p.145−153
E.G.Emberly、G.Kirczenow、“The smallest molecular switch”、Phys.Rev.Lett.、2003年、第91巻、p.188301
U.Landman、W.D.Luedtke、“Small is different: energetic, structural, thermal, and mechanical properties of passivated nanocluster assemblies”、Faraday Discuss.、2004年、第125巻、p.1−22
S.De Franceschi、S.Sasaki、J.M.Elzerman、W.G.van der Wiel、S.Tarucha、L.P.Kouwenhoven、“Electron Cotunneling in a Semiconductor Quantum Dot”、Phys.Rev.Lett.、2001年、第86巻、p.878−881
A.W.Holleitner、R.H.Blick、A.K.Huettel、K.Eberl、J.P.Kotthaus、“Probing and Controlling the Bonds of an Artificial Molecule”、Science、2002年、第297巻、p.70−72
J.M.Elzerman、R.Hanson、J.S.Greidanus、L.H.Willems van Beveren、S.De Franceschi、L.M.K.Vandersypen、S.Tarucha、L.P.Kouwenhoven、“Few−electron quantum dot circuit with integrated charge read out”、Phys.Rev.B.、2003年、第67巻、p.161308
M.Pioro−Ladriere、M.R.Abolfath、P.Zawadzki、,J.Lapointe、S.A.Studenikin、A.S.Sachrajda、P.Hawrylak、“Charge sensing of an artificial H2+ molecule in lateral quantum dots”、Phys.Rev.B、2005年、第72巻、p.125307
L.Gaudreau、S.A.Studenikin、A.S.Sachrajda、P.Zawadzki、A.Kam、J.Lapointe、M.Korkusinski、P.Hawrylak、“Stability Diagram of a Few−Electron Triple Dot”、Phys.Rev.Lett.、2006年、第97巻、p.036807
C.S.Lent、P.D.Tougaw、W.Porod、G.H.Bernstein、“Quantum cellular automata”、Nanotechnology、1993年、第4巻、p.49−57
C.S.Lent、“Molecular Electronics: bypassing the transistor paradigm”、Science、2000年、第288巻、p.1597−1599
C.S.Lent、P.D.Tougaw、“A device architecture for computing with quantum dots”、Proceedings of the IEEE、1997年、第85巻、p.541−557
A.O.Orlov、I.Amlani、G.H.Bernstein、C.S.Lent、G.L.Snider、“Realization of a functional cell for quantum−dot cellular automata”、Science、1997年、第277巻、p.928−930
K.K.Yadavalli、A.O.Orlov、J.P.Timler、C.S.Lent、G.L.Snider、“Fanout gate in quantum−dot cellular automata”、Nanotechnology、2007年、第18巻、p.375401
D.Schroeer、A.D.Greentree、L.Gaudreau、K.Eberl、L.C.L.Hollenberg、J.P.Kotthaus、S.Ludwig、“Electrostatically defined serial triple quantum dot charged with few electrons”、Phys.Rev.B、2007年、第76巻、p.075306
J.H.Cole、A.D.Greentree、C.J.Wellard、L.C.L.Hollenberg、S.Prawer、“Quantum−dot cellular automata using buried dopants”、Phys.Rev.B、2005年、第71巻、p.115302
C.S.Lent、B.Isaksen、M.Lieberman、“Molecular quantum−dot cellular automata”、J.Am.Chem.Soc.、2003年、第125巻、p.1056−1063
P.G.Piva、G.A.DiLabio、J.L.Pitters、J.Zikovsky、M.Rezek、S.Dogel、W.A.Hofer、R.A.Wolkow、“Field regulation of single−molecule conductivity by a charged surface atom”、Nature、2005年、第435巻、p.658−661
Ph.Ebert、“Nano−scale properties of defects in compound semiconductor surfaces”、Surface Science Reports、1999年、第33巻、p.121−303
J.W.Lyding、T.−C.Shen、J.S.Hubacek、J.R.Tucker、G.C.Abeln、“Nanoscale patterning and oxidation of H−passivated Si(100)−2×1 surfaces with an ultrahigh vacuum scanning tunneling microscope”、Appl.Phys.Lett.、1994年、第64巻、p.2010−2012
Ph.Ebert、“Atomic structure of point defects in compound semiconductor surfaces”、Curr.Opin.In Solid State and Materials Science“、2001年、第5巻、p.211−250
J.J.Boland、“Scanning tunneling microscopy study of the adsorption and recombinative desorption of hydrogen from the Si(100)−2×1 surface”、J.Vac.Sci.Technol.A、1992年、第10巻、p.2458−2464
T.Hitosugi、S.Heike、T.Onogi、T.Hashizume、S.Watanabe、Z.−Q.Li、K.Ohno、Y.Kawazoe、T.Hasegawa、K.Kitazawa、“Jahn−Teller distortion in dangling−bond linear chains fabricated on a hydrogen−terminated Si(100)−2×1 surface”、Phys.Rev.Lett.、1999年、第82巻、p.4034−4037
A.D.Becke、“Density−functional thermochemistry.III.The role of exact exchange”、Chem.Phys.、1993年、第98巻、p.5648−5652
C.Lee、W.Yang、R.G.Parr、“Development of the Colle−Salvetti correlation energy formula into a functional of the electron density”、Phys.Rev.B、1988年、第37巻、p.785−789
M.J.Frisch外、Gaussian 03 Revision C.02(Gaussian,Inc.、コネチカット州ウォリンフォード、2004年)
G.Burkard、D.Loss、D.P.Di Vincenzo、“Coupled quantum dots as quantum gates”、Phys.Rev.B、1999年、第59巻、p.2070−2078
J.H.Weiner、“Transmission function vs energy splitting in tunneling calculations”、J.Chem.Phys.、1978年、第69巻、p.4743−4749
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A.O.Orlov外、“Experimental demonstration of a binary wire for quantum−dot cellular automata”、Appl.Phys.Lett.、1999年、第74巻、第19号、p.2875−2877
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J.R.Tucker、T.−C.Shen、“Can single−electron integrated circuits and quantum computers be fabricated in silicon?”、Int.J.Circ.Theor.Appl.、2000年、第28巻、p.553−562

発明が解決しようとする課題

0009

従って、ミリケルビン以上の温度での動作可能性を備えた電子的にアドレス可能な分子又は原子量ドットが必要とされている。更には、分子又は原子量子ドットの秩序的な配置を含むQCA及び量子ビットデバイスが必要とされている。

課題を解決するための手段

0010

量子デバイスが、物質の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドを含んで提供される。各制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドは、物質の少なくとも一つの原子の他の制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドからの間隔を有する。制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンドの電子状態を選択的に変更するための少なくとも一つの電極が提供される。三つの他のシリコン原子のみに結合したシリコン表面原子が、ダングリングボンドの形成には特に適していて、所望の間隔で形成される。3から40オングストロームの間隔が、ダングリングボンド間の量子力学的結合相互作用には特に適している。制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンド内に少なくとも一個の追加の電子を、その一個の追加の電子のそれぞれに対して少なくとも一本の非占有ダングリングボンドが存在するという条件で提供することによって、本発明のデバイスは、少なくとも293ケルビンまで動作可能となり、漂遊静電摂動に対して大幅に影響され難くなる。

0011

293ケルビン以上の温度で動作可能な量子セルオートマトンが、複数のこのようなデバイスを相互接続を介して連結するように提供することによって、形成される。293ケルビン以上の温度で動作可能な量子ビットは、物質の表面から延伸する制御可能に量子力学的に結合したダングリングボンド及び少なくとも二つの電極を有し、0及び1のデジタル論理レベル間の中間の値の重ね合わせの無限の組を提供する量子コンピューテーション用の量子回路が形成される。

図面の簡単な説明

0012

水素終端Si(100)上のダングリングボンド(DB,dangling bond)の画像の比較をバルドーピング密度図1a及びb)及び離隔距離図1c及びd)の関数として示す走査型トンネル顕微鏡STM,scanning tunneling microscopy)の顕微鏡写真である。上部の挿入図は表面構造を示し、シリコンダイマーが黒色で示され、表面下シリコン原子が灰色で、水素原子空白で示されている。図1aは、35×35nmのエリアに対する低ドープn型シリコン(〜1016cm−3)の、2V、0.1nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。ダングリングボンドが、明るいスポット(二つが矢印で指されている)として見える。図1bは、35×35nmのエリアに対する高ドープn型シリコン(〜1019cm−3)の、2.2V、0.1nAで撮られた顕微鏡写真である。ダングリングボンドが、中心スポットを備えた暗いくぼみとして見える。図1cは、9×9nmの2V、0.2nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。シリコン表面は水素放出の前には一様に見える。図1dは、9×9nmの2V、0.2nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。ダングリングボンドの三つのグループが設けられている。(I)2.32nmの非結合DB対。(II)1.56nmの結合DB対。(III)1.15nmの結合DB対。下部の挿入図は、離隔距離に基づいたDB対の帯電確率を示す。実曲線及びハッチングされた曲線はそれぞれ、一電子占有、二電子占有を表す。位置I、II、IIIは、図1dの関連するDB対に対応する。
水素終端Si(100)上のダングリングボンドの結合及び非結合を示すSTM顕微鏡写真である。図2aは、10×10nmのエリアの2V、0.2nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。二本の負ダングリングボンドがDB1及びDB2で示されている。図2bは、10×10nmのエリアの2V、0.2nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。新たなDBが、DB2の近くでのSTM誘起のH放出によって生成されている。DB2及びDB3が結合している。図2cは、9×9nmのエリアの2V、0.2nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。DB4は孤立していて負である。DB5及びDB6が結合している。図2dは、9×9nmのエリアの2V、0.2nAで撮られたSTM顕微鏡写真である。水素原子(H)がDB6を覆っている。DB5が孤立して負になっている。
可変間隔ポテンシャルウェルとしての対になったDBのプロットである。図3aは、孤立DBを示し、それぞれ負に帯電している(中性のDBは一個の電子の占有を有し、負のDBは基底状態エネルギーE0において二個の電子によって占有されている)。図3bは、クーロン反発相互作用Velの結果と、一個の電子が結合DBの対から排除されて、一個の電子の正味の電荷がもたらされる様子とを示す。各DBが一個の余分の電子を有する占有状態シェーディングされている)は、距離が減少すると次第に好ましくないものになる。反発性のハバードオンサイトペアリングエネルギーU及び量子力学的分裂エネルギーtも示されていて、dは最近接ダイマー間距離である。図3cは、二本の量子力学的に結合したDBに対する、第三のより遠くて負に帯電したDB近傍における摂動された二重ウェルポテンシャルを示す。DBの表面被覆率は低いとされるので、バンド曲がりは、帯電DBの間近から離れた表面においては無視できる。CBM及びVBMはそれぞれ、伝導バンド最小値価電子バンド最大値である。
対称なDB配置における結合を示すSTM顕微鏡写真である。図4aは3本の結合DBを示す。DBの格子位置は画像の下に示されている。明らかな不等性が3本のDB間には存在している。DB2が最も明るい一方で、DB1及びDB3は暗く見える。図4bは、第四の結合DBが単一のH原子の除去によって生成された後の同じエリアを示す。DB2が明るくないものになっている一方で、DB1及びDB3が今度は最も明るい。シリコン表面上のDBの一を表すグリッドが顕微鏡写真の下に示されている。ダッシュはシリコンダイマーを表し、円は結合シリコンDBを表す。円のサイズは、その上のSTM像に見られるようなDBの強度を示す。明るいDBと明るくないDBとの間の平均の高さの差は、図4a、図4bに対してそれぞれ〜0.4Å、〜0.7Åである。
対称なDB配置における結合のSTM像である。4本のDBの対称なグループが、四個の単一のH原子をSi(100)から除去することによって生成されている。DBの明るい見た目は、個々のDBが結合していることを示す。DBの高さは0.1Å以内で等しい。シリコン表面上のDBの位置を表すグリッドが図の下に示されている。ダッシュはシリコンダイマーを表し、赤い円は結合シリコンDBを表す。単一のQCAセルの概略図が顕微鏡写真の隣に示されている。バイナリ状態“0”及び“1”のセルが示されている。
結合DBに対する静電摂動の実例を与えるSTM像である。図6aは二本の結合DBを示す。DB対の高さプロファイルが、図6cの下方のプロファイル曲線に示されている。僅かな非対称性のみが断面図で明らかになっている。図6bは第三のDBの追加後の図6aと同じエリアである。DB3は、負に帯電していて、DB1及びDB2と結合していない。DB対の高さプロファイルが図6cの上方の曲線に示されている。ここでは、DB2は、負に帯電したDB3に対する近接性の結果としてはるかに明るく見える。挿入図は、シリコン表面上のDBの位置を表すグリッドを示す。ダッシュはシリコンダイマーを表し、円は結合シリコンDBを表し、左上の円は、非結合の負に帯電したシリコンDBを表す。DB1及びDB2の円のサイズは、STM像に見られるようなDBの強度を示す。図6cは、摂動DB(DB3)を追加した前(下方)と後(上方)とのDB対に対する相対的な高さプロファイルのグラフの比較である。明確にするため、ラインプロファイルはずらされている。
対角に配置された追加の二本の静電摂動DBを備えた直線状の四本の結合DBエンティティを示すSTM像である。図7aは、負の摂動DBに最近接の2本の結合DBが、それらのサイトにおける好ましくない電子占有の結果として比較的見た目が明るい様子を示すSTM像である。シリコン表面上のDBの位置を表すグリッドが図の下方に示されている。ダッシュはシリコンダイマーを表し、円は結合シリコンDBを表し、Xは非結合の負に帯電したシリコンDBを表す。円のサイズは、上方のSTM像に見られるようなDBの強度を示す。明るいDBと明るくないDBとの間の平均の高さの差は〜0.4Åである。図7bは、図7aのSTM像のカラーマッピングを示すSTM像であり、トポグラフィーの違いが明確に描かれている。

実施例

0013

本発明には、量子セルオートマトンや量子ビット等の原子論的電子デバイスの形成における有用性がある。原子論的量子ドットは、制御可能に量力学的に結合されて、量子セルオートマトンデバイス又はコンピュータ量子ビットのブロックを具体化する。好ましい実施形態では、ダングリングボンド(DB,dangling bond)が、原子論的量子ビットとして動作する。このようなセルは、自己バイアス効果を示し、電子占有が、セルの幾何学的形状及びフェルミ準位によって設定される。セルのバイナリ状態は静電的に制御される。以前のようなミリケルビンでの実施とは異なり、本発明のデバイスは、ミリケルビン以上、更には室温(293ケルビン)で動作して、漂遊静電摂動に対してほとんど影響を受けない。本発明のダングリングボンド量子デバイスは、近接する静電摂動ダングリングボンド又は電極(本発明のデバイスを支持する表面の上又は下に懸架されているか、またはその表面上に存在する)によって制御される。例えば、電極は、薄膜コンタクトや、ナノワイヤ、STM探針を含む。オプションとして、電極を使用又はバイアスして、結合ダングリングボンドの局在ダイナミクス感知することができる。

0014

ユニタリ変換を行うための量子ビットハミルトニアンに対する制御は、DBや電極等の摂動種の形成/除去を介して本発明に従って行われ、結合二DB量子ビット内でユニタリ変換を生成する。同様に、キュートリット(qutrit)及びクアッドリット(quadrit)が、それぞれ3又は4本のDBの結合を介して本発明により容易に形成される。5、6、7、8本更にはそれ以上の結合DBを含む高次DBエンティティも、本発明による室温量子コンピューテーショナルデバイスとして可能であると考えられる。

0015

本発明のデバイスの特徴は、超低消費電力、1Kから室温以上での動作、超高デバイス密度、追加の電子電荷が提供された際の“自己バイアス”特性の実例である。室温における電子状態遷移QCA又は量子ビットデバイスとしての動作も提供される。

0016

単一電極構造及び多重電極構造は、半導体量子ドットQCA及び分子QCAシステムに関して当該分野において知られている(非特許文献38、非特許文献39)。これらの電極構造及び配置は本願においても機能する。STM探針は、例示的な単一電極デバイスとして使用される。二電極システムは、例えば、DBに摂動を与える電源としての第一の論理入力と、結合DB電子状態をモニタリングする第二の電極とを有する。

0017

本発明のデバイスは、物質のダングリングボンド(DB)の空間的に制御された形成によって形成される。本発明によると、シリコンは、ダングリングボンドの生成用の好適な表面を代表する。しかしながら、少なくとも1オングストロームにわたって延在する静電ポテンシャルを誘起する局在電荷をサポートすることができる他の表面も本願において機能することは理解されたい。他のこのような物質には、例えば、帯電原子及び/又は量子ドットをサポートすることができる多くの半導体化合物半導体ゲルマニウムダイヤモンドグラファイトグラフェンGaAs、InSb)、遷移金属カルコゲナイド、薄いインシュレータオンコンダクタ、薄いインシュレータ・オン・セミコンダクタの表面が含まれる。

0018

シリコン等の半導体の表面上の単一原子は、−1から+1の電子電荷の範囲内で制御可能に帯電される。本願において、ホスト格子のものと異なる元素の原子の電荷に対しても同様の制御が得られ、表面上にダングリングボンドを形成する少なくとも一のイオン化不純物原子又は分子を含むことは理解されたい。

0019

電荷制御される原子は、DBを形成する相手のいない軌道の元素に対する通常のものよりも少ない結合の相手を有しなければならない。例えば、シリコン原子は、通常四本の結合を共有するが、三本の結合のみが関与するように制限されているのであれば帯電が制御可能である。この状況は、各表面原子が三配位結合を有しているシリコン結晶の表面では自然に達成される。単一の帯電可能原子は、一つを除いて全ての表面シリコン原子に水素原子を結合させて、その表面シリコン原子が三本のシリコン‐シリコン結合及び一本のSi‐H結合を共有し、空間的に制御された近接性で複数のこのようなDBを形成することによって、生成される。本発明によると、単一のDBは、シリコン表面上に空間制御されて容易に形成される。空間制御によって、DB及びその感知リードの制御された構築に対して、ダングリングボンド電子配置に基づいた実際的な量子コンピューティングアーキテクチャを開発することができる。これは、リン原子の配置に対する位置制御欠けるリン原子によるシリコン格子ドーピングという従来技術とは対照的である。

0020

こうした原子は、DBに附随して、バンドギャップ内に存在している空間的に局在した電子エネルギー状態を有する。DBは、バルク半導体の価電子バンドエッジよりもエネルギーが高い一方で、伝導バンドエッジの底よりもエネルギーが低い。DBは伝導バンドからエネルギー的に非結合とされているので、DBは、本発明のQCA及び量子ビットデバイスをミリケルビン以上で最大293ケルビンを超えて動作可能にする原子論的クオリティを有する。本発明の特質は、従来技術のQCAデバイスがミリケルビンでの動作を必要としたのとは著しく対照的である。DBの特定の電荷レベルは、複数のパラメータの関数であり、それらのパラメータは主に、ギャップ状態密度バルク結晶ドーピング濃度物理的配置印加される相対的な静電ポテンシャルである。

0021

電子の量子力学的相互作用を介したDBを有する二つ以上の原子の結合に依存した距離で、1ケルビン以上、更には293ケルビン以上の温度で動作するQCA及び量子ビットデバイスが形成される。DBが通常の負電荷の条件下で利用される場合、クーロン反発力が、DBによる自己バイアス、及びDBを含むデバイスを提供し、具体的には不完全な電子占有が生じることによって、原子間の量子力学的相互作用、特にトンネリングが可能となる。量子力学的結合は、略4から20オングストロームの距離において明確である。双安定性4シリコン原子QCAセルを一つの論理状態に静電設定することが室温において実現される。同様に、同じDBアンサンブルは、純粋な又はエンタングルした量子ビットとして動作可能である。

0022

−1の電荷のDB量子ビットは、そのロバストな室温性能によってQCAの好ましい構成要素であると考えられる。近接するDBの中性対によって、制御可能な量子力学的結合が、励起の際に量子ビットとして機能する所定のDB間の間隔を備えたH2に類似する人工分子エンティティを形成することが可能になる。更には、二本よりも多くの量子力学的に結合した中性DBは、環状炭素π電子系の多様な電子配置を模倣することができる。

0023

図1dは、DB間の距離の効果を示し、近い間隔のDBは、より離れて隣接するDBと比較して“明るい”見た目となる。また、或る閾値を超えると、更なる間隔の減少が更なる明るさの増強につながることも見て取れる。水素終端Si表面から単一のH原子を制御して除去することによって、DBが、隣接するDB間の制御された距離で所望のパターンに形成される。DBを欠いた少なくとも一つの原子が、隣接するDBを離隔して、クーロン結合の程度を、デバイス形成を容易にする程度に限定する。隣接するDB間にDBを欠いた少なくとも一つの原子が存在することに基づいて、一つのシリコンダイマー(非特許文献20)上の、又は一列に隣接するダイマー(非特許文献21)上の二本のDBという極端な場合が、本発明のデバイスからは明確に除外される。異なる半導体表面を用いて、DBの角度及び表面原子の間隔を変更することができることは理解されたい。(100)表面に加えて、本願において動作可能な他の表面には、例えば、(110)、(111)、(010)、(311)、ミスカット表面、それらの表面の全ての再構成が含まれる。DBは、エッジ表面上に、異種物質の界面、特に格子不整合を有するものに、バルクの秩序及びアモルファス物質内にも容易に形成されることは理解されたい。隣接するDB間の横方向の間隔が2から200オングストロームの間だと、QCAデバイス又は量子ビットのエンタングルメントに適した程度の量子力学的結合が提供される。厳密な距離は、物質に依存し、物質の静電ポテンシャルの関数である。図2a及び2bは、孤立した負DB(ラベルDB2)が、十分に近い相手(DB3)が提供された際に結合配置を取る実例を示すSTM像である。図2bの新たなDBは、選択的な単一H原子の除去によって形成されている。一旦、対になると、図2a及び2bに共通のDBは、非結合DBのSTM画像のハロー特性を最早有さない。DBは両方とも結合DBの明るい見た目を示し、結合対は、図2bのSTM像の暗いハローによって取り囲まれている。

0024

図2c及び2dは、一本のDB(ラベルD6)にH原子を結合させることによって、DBの対の一方を消去することを介して結合の消去の効果の実例を示すSTM像である。DB状態は、一旦H被覆エンティティに変換されると、余分の電子を保持する性能を失い、残りのDBが、効果的に孤立して負に帯電する(DB5)。

0025

二本の十分に近いDBは量子力学的に結合している。空間を介する(through‐space)共有結合は、略4オングストロームのDB間隔を超えると無視できるので、格子が、DB波動関数の量子力学的結合を仲介する。

0026

また、3.4から20オングストロームの間で離隔されたDBを有する系における電子の閉じ込め及び電子の量子力学的相互作用に基づいた本発明のデバイスは、コンピュータによるモデル化によっても理解することができる。

0027

密度汎関数理論DFT,density functional theory)モデル化を、3‐21G基底セットでGaussian‐03(非特許文献34)パッケージで行われるようなB3LYP(非特許文献32、非特許文献33)汎関数を用いて、本発明の系に対して行う。計算に用いたモデルは、2×1表面再構成の396個のシリコン原子のピラミッド状クラスタで構成され、三列の七つのダイマーを有する。クラスタは二つのリンドーパント原子を含んでいた。二つのリン原子は、表面のダングリングボンド(DB)の二本を帯電させるのに必要な二つの過剰電子を提供する。一本のDBが、固定された位置の第二のDBに向けてダイマーの列の一側に沿って段になっている。第三のDB(クラスタの2×1面の一つのコーナー近くに位置する)は、間隔の近いDB対のクーロン反発力が大きくなるとその間隔の近いDB対から排除される電子に対する電子アクセプタサイトとして機能する。

0028

小クラスタに対するB3LYP計算を用いて、帯電DBの一電子状態の描像を提供する。DB状態に対する物理的範囲は、H‐Si(100)‐2×1表面の列構造によって明確に区切られている。DB結合を調べるため、調和振動子ポテンシャルを用いる(非特許文献35)。また、DBは、Si中の原子不純物に対してもモデル化される(非特許文献37)。しかしながら、大きな有効半径を有するバルク誘電体中のドナー原子とは異なり、DBは局在化した表面状態である。そのように、DB電子は、Si媒体中のより大きな空間的幅の表面よりも上の真空状態に部分的に局在している。

0029

有効二次元調和振動子を用いて、自由電子の質量meに等しい電子の有効質量で、DB中の電子の閉じ込めを記述する。シリコン表面の幾何学的形状に基づき、孤立DBの有効二次元ポテンシャルは、電子がDB軌道から半導体のバルクの伝導バンド(CB,conduction band)に逃れるようにしなければならない。従って、調和ウェル領域の外側r<Rhでは、ポテンシャル曲線は、バルクの伝導バンド最小値に対して横這いになる。この単純なモデルでは、孤立DBの波動関数は、単純なガウス型関数の形状、及び、



の基底状態エネルギーを有する。パラメータωは、DB波動関数の空間的広がりが略3.8オングストロームのDFTモデル化から得られたものを反映するように設定される。ウェルの深さは、DB中の余分の電子の結合エネルギー補正値再現するようにフィッティングされる。隣接するDB間のそれらの間隔によって与えられる電子の量子力学的相互作用は、十分に小さいものであり、クーロン反発力が二つのDBの完全な占有を防止する。量子力学的相互作用は、系の基底状態エネルギーのエネルギー分裂を生じさせる(非特許文献36)。

0030

図3は二次元調和振動子モデルを示し、二本の孤立DBの振る舞いの定性的記述を提供する。図3のポテンシャルウェルは、CBエネルギーにおいて漸近的に横這いになっている。図3aは二つのポテンシャルウェルを示し、非結合となるように十分に横方向に離隔されている。各ウェルを横切る水平線は、それぞれ二個の電子を有することができる束縛DB準位を表す。図3bは、略20オングストローム未満で横方向に離隔された2本のDBを表す。非結合DBに対して二つの重要な変化が示されている。クーロン反発力の結果として、DB毎に2個の電子を備えた占有状態が不安定化されている(エネルギーが上方にシフトされている)。二つのDB状態は、一個の電子がDBのうち一本から排除されるとより安定であることを示す。排除された電子がバルクのエネルギー準位内に入っている。結合DBに関係する部分的に空の準位は、一個以上の電子を収容できるように見えるが、占有の作用で、その準位はCBの上に押し上げられて、その配置を不安定にする。これは、オンサイト(反発性)ペアリングエネルギー(“ハバードU”項としてモデル化される(非特許文献38))、及び、二個の電子がそのように局在した際のクーロン反発力のより実質的な増大の結果である。また、電子のエネルギー準位に対する量子力学的相互作用の効果は、トンネル分裂エネルギーtを介しても含まれている。

0031

二つの条件が、結合DB間の電子の量子力学的相互作用を可能にする。十分に近い場合、DBを離隔する障壁は二本のDB間の実質的な量子力学的交換許容するのに十分に狭い。しかし、重要なことに、対になったDBからの一つの電子の排除が、部分的に空の状態を提供して、トンネル電子行き先が提供される。特定の理論に縛られるものではないが、結合DBの比較的明るい見た目は、2個の余分の電子のうち一つの排除に基づくものであり、上向きのバンド曲がりを低減させて、STM探針からCBへの比較的容易な電子の放出及びより明るい見た目を可能にする。ここで、“余分”とは、中性に必要にされるのよりも多い電子の数を称する。例えば、2本のDBにおける4個の電子は、−2又は2の“余分”の電子の電荷に対応する。結合DBにおける電荷が減じられて、中性DBのもの(図1a)と同様の見た目が得られるが、余分の電子に起因する対の周り暗いハローが、結合DBを中性DBから区別している。

0032

DBの間隔の減少と共にDB対の明るさが増大することは、帯電状態−2と−1との間のクロスオーバーの発現である。局所的なバンド曲がりが減少するので、注入されるSTM電流は増大する。結合DBの平均の電子占有は、DBの離隔距離によって制御することができる。一個の電子に対して略23オングストローム離隔されたDBが、10オングストロームよりも近くなり、これが、間隔の減少と共にDB対の明るい見た目の増大を説明し、図1dに見て取れ、1個の電子(黒い実線)及び2個の電子(ハッチング線)に対する図1の挿入図にグラフで示されているとおりである。

0033

孤立DBに対して使用される閉じ込めポテンシャルは、電子が、DB軌道からバルクの伝導バンド内に逃れることを可能にして、調和ウェル領域の外側r<Rhでは、ポテンシャル曲線は、バルクの伝導バンド最小値(CBM,conduction band minimum)に対して横這いとなり、r→∞では閉じ込めポテンシャルに対してゼロの値をとる。

0034

従って、例示的なモデルとして、有限打ち切られた閉じ込めポテンシャルは以下のように選択され、



ここで、ωはウェル内の電子の古典的振動数であり、V0はポテンシャル深さ(CBMから測定)であり、ftrは打ち切り関数であり、調和ポテンシャル有限範囲保証する。以下の単純な形式が選択され、



ここで、パラメータRb及びwはそれぞれ、打ち切り領域の位置及び幅を決定する。

0035

この単純化されたモデルでは、孤立DBの波動関数は、単純なガウス型関数



の形状と、基底状態エネルギー



(ポテンシャルの底に対して)とを有し、ここで、



であり、Aは規格化定数である。パラメータωは、単純なガウス型DB波動関数の空間的広がりが略3.8オングストロームの密度汎関数理論(DFT)調和振動子モデル化から得られるものを反映するように設定される。そして、調和振動子(HO,harmonic oscillator)ウェル内の電子の結合エネルギーは



であり、ここで、ECBは伝導バンドエネルギーであり、E0は基底状態エネルギーである。ウェル深さは、上述のDFT法によって計算されるようなHOの結合エネルギーを再現するようにフィッティングされる。

0036

量子力学的に結合したDB対を記述するための二重ウェルポテンシャルは、以下のように二本のDBの単一のウェルポテンシャルを組み合わせることによって単純に構築され、



V12(r)の効果は、DBが点rにより近いかどうかに依存して、VDB1又はVDB2のいずれかに略等しくなる。

0037

二重ウェルの系に対して、量子力学的トンネル係数は、WKB近似(非特許文献36)内において



であり、ここで、±αは、ポテンシャル障壁の古典的転換点である。従って、トンネル分裂相互作用は次のように計算される。

0038

デバイスは、H‐Si(100)表面上にn本のDBを備え、ここでnは2と∞との間の整数である。電子数iでのこのデバイスの帯電確率を計算するため、DB系が温度T及び化学ポテンシャルEF(つまりグランドカノニカルアンサンブル)でリザーバ(バルク結晶)に接触している効果を求める。DBセル内の所定の数の余分の電子での帯電状態の出現確率を計算する。

0039

DBデバイスが整数の余分の電子及び明確な分極を有するようにするため、本発明のデバイスは、QCAデバイスで必要とされるように量子力学的トンネルエネルギーがクーロンエネルギーよりもはるかに小さいt<<Vel形式(非特許文献8)において動作する。統計変動に起因する室温での帯電エネルギーへの量子力学的トンネリングの寄与を無視するのdえ、全ての帯電状態が有限の発現確率を有する。古典統計とすると、各帯電状態は、統計的重み(各帯電状態に対するボルツマン因子に等しい)によって特徴付けられる。従って、一個の電子の帯電に対して、重みは、



であり、ここで、



は、一個の余分の電子を備えたn‐DBセルの全エネルギーであり、kはボルツマン定数であり、Tは温度であり、gieは帯電状態iの縮退である。外部摂動が存在しないとすると、



であり、ここで、全てのエネルギーはCB準位から測定されている。同様に、二個の電子の帯電の重みは、



であり、



となり、



はセルの全静電エネルギーである。後者の相互作用は、点電荷相互作用として単純に計算され、



ここで、eは電気素量であり、dはDBの間隔であり、



は表面の有効誘電率である。

0040

同様に、帯電状態iの重みは、



である。

0041

デバイスの全帯電エネルギーの計算においては、量子力学的トンネルエネルギーは無視されて、所定の帯電状態に対する最低配置エネルギーのみを考慮する。例えば、二重に帯電した4‐DBデバイスに対して対角の占有のみを考慮して、隣接するDB上に電子を備えた配置を許容しない。

0042

n‐DBセルの分配関数



となり、各帯電状態iの確率は、i=1,nに対して



である。例えば、“明確に”二重占有の4‐DBセルを有するためには、条件



を満たす必要がある。

0043

図1の下方の挿入図には、孤立2‐DBデバイスに対する帯電確率が、DBの間隔の関数として示されている。二重占有DBに対する結合エネルギーEbの値を0.32eVとしている。図1の下方の挿入図に示されるように、DBの表面被覆率は小さくて、バンド曲がりは、DBセルの近傍以外では、表面において無視できる。帯電状態0の確立p0eは、p1eよりも四桁小さいと計算されるので、ここでの計算では無視される。DBを比較するため、水素終端高ドープn型Si(100)に対するSTM像を多様な離隔距離に対して撮り、図1dにおいて、(I)2.32nm、(II)1.56nm、(III)1.15nmで現れている。図1cと1dとの間のDB間隔の関数としての帯電状態の確率のプロットの挿入図は、図1dのDB対I、II、IIIに対する離隔距離を示す。ハッチングされた曲線は、二個の電子の帯電状態の確率を表す。2本の帯電DB間の相互作用に対する有効誘電率は略



である。これは、古典的に導出される6.5との値よりも小さい(非特許文献27)。特定の理論に縛られるものではないが、バルクと比較して低いDBの



の値は、DB軌道が真空中に部分的に局在していて、周囲のSi表面原子に対して押し上げられている結果であると考えられる。また、この



の値は、帯電状態−1と−2との間のクロスオーバーの位置を、図1のような減少した距離におけるDB対のSTM像にフィッティングすることによってもおおまかに裏付けられる。

0044

DBの帯電確率を考慮して、二本の量子力学的に結合したDB間の量子力学的トンネリングレートは、そのトンネリングの試みの振動数ω/2π、トンネル係数D、及び、第一のDBが占有されている際に占有されていない第二のDBを有する確率



の積として以下のように与えられる



ここで、p1eは、2‐DBセルが1個の余分の電子を有する確率である。図1の挿入図の黒い曲線は、DB間隔の関数として単一の電子帯電状態の確率を与える。

0045

量子力学的トンネリングレートの割合は、多様なデバイスファクタによって制御される。これらのファクタには、例えば、DB間隔(DB間隔が減少するにつれて量子力学的トンネリングレートが増大する)、障壁高さ、帯電状態確率が挙げられる。後者のファクタは、ドーピングレベル、半導体を変更することによって、及び/又は、局所的静電ポテンシャルを変化させる電極を使用することによって、変更される。

0046

図4aは3本の結合DBを示す。異なる時間平均電子占有の結果として、DB間で明るさが変化している。例えば、DB2は、最も顕著な見た目を有しているので、最も低度に負である。図4bでは、第四の結合DB(ラベルDB4)が、単一のH原子のSTM探針誘起の除去によって生成されたものとして示されている。図4の概略図は、四本のDB構造が、規則的な矩形のSi(100)配置から離れて、直線状になっている様子を示す。

0047

四本のDBのグループのうち最も広く離隔されたDB(ラベルDB2及びDB4)は、最も暗い見た目になっている。局在した負の電荷による上向きのバンド曲がり及び局所的なSTM画像の暗さを考慮すると(非特許文献22)、この構造における余分の電子は、最も遠いDBに主に位置していることが明らかであり、最大の電荷の離隔が最低のエネルギー配置に対応するという予測と矛盾しない。

0048

少なくとも一つの空状態が、DB間の量子力学的相互作用には必要とされて、結合DBの比較的明るい見た目につながるので、少なくとも一個の電子が排除されていることは明らかであり、また、グループを取り囲む暗いハローが存在しているので、いくつかの余分の電子がこのグループにおいて局在したままであることは明らかである。DBセルの厳密な帯電状態は、サンプルのフェルミ準位EF(温度及びドーパント濃度に依存する)に依存し、また、固定されたEFに対しては、デバイスのDB間の距離に依存する。計算によって、この決定を洗練することができて、クーロン反発力は、3個の電子が図4に示される構造に束縛されるには大き過ぎることがわかり、2個の余分の電子の占有をサポートしている。

0049

図5は4本の結合DBを示す。4本の結合DBは、横方向の2回対称構造を有し、Lent及び共同研究者によって1993年に提案されたQCAスキームを連想させる(非特許文献18)。このようなデバイスは、量子力学的に結合した量子ドット及び2個の電子の正味の占有を必要として、図5の概略図に示されるように、論理レベル“0”及び“1”としてマッピング可能である二つの縮退した正反対の基底状態電子配置をもたらす。現在のところ、静電的な実施は、ミリケルビン範囲内の温度を必要として、漂遊電荷による制御不能な効果に悩まされていた(非特許文献20)。図5に示される構造はQCAとして動作可能であり、固有の2回電子縮退が、その状態をバイナリ状態にマッピングする。

0050

選択的な電子の対称性の縮退の破壊に関して、QCAとしての4本の結合DBのグループの動作プロセスを説明するため、より単純な2本の結合DBのグループを参照して、点静電摂動の効果を理解する。

0051

図6aは結合DBの対を示す。DB2は、DB1よりも僅かに見た目が明るい。図6bにおいて、追加の摂動DB(ラベルDB3)の結果としての新たな効果が調べられている。摂動DB(DB3)は、最近接のDBから大きく離れすぎていて、他のDBと顕著には量子力学的に結合しない。DB3の非結合特性は、2個の電子の局在化による暗い見た目によって明らかになる。摂動DB3は量子力学的関係を介しては顕著に相互作用しないが、図6cに示されるラインプロファイルにおいて明らかな反発性のクーロン効果を働かせて、静電摂動がDB2をDB1よりも顕著に明るくしている。

0052

この静電結合効果は、QCAデバイスにおいて必要とされるゲートのタイプの一例である(非特許文献20、非特許文献21)。他方に対する一方の占有の優性をもたらす対称性の破壊によるDB3は、DB1‐DB2結合対における縮退を破壊するように選択的に動作する。注目すべき点は、結合DBが、2ドットエンティティにおいてゼロ個ではなくて1個又は二個の電子を自然に有することによる“自己バイアス”効果を示すことによって、占有を調整する“フィリング(充填)”電極が必要でなくなる点である。図3bは、結合DB対効果におけるこの自然な一個の電子の存在を示す。図3cは、近接する摂動DBの影響による量子力学的に結合したDBの対の一つの好ましい占有を示す。フィリングの制御を、従来の容量結合法、例えば電極を使用して行うことができる点は留意されたい。

0053

結合DB対のこの単一電子の自然な充填を、結合DB対のより大きなグループに拡張する。このような結合DB対は、多様な配置で形成可能であり、例えば、線形階段状の線形パターン、矩形、直線状、平行四辺形セルラーニューラルネットワークを形成する他の多角形が含まれる。

0054

図7は、4本の結合DB及び2本の対角に配置された摂動DBを示す。概略図は6本全てのDBの位置を示す。電子占有を不安定にする負のゲート効果に矛盾せず、摂動DBに最近接のグループ内の二本のDBがより明るく見えて、より低度に負の電荷が局在していることを示している。この静電的に設定された正反対の状態の観測が、図7bでは強調されている。

0055

上述のような図7のグループに関する計算は、−3の正味の電荷が禁制クーロン反発力を伴うことを示す。−1及び−2の両方の電荷は、図7で観測される正反対のパターンと矛盾しない一方で、計算は、図7に示される特定のDB間隔において4本のDBに対して、−2の電荷状態が好ましいものであることを示している。図7は、対称性の制御された静電破壊を示し、QCAセルの原子スケールの実施形態及び最も単純な機能例を表す。電極として作用するSTM探針での結合DBの動作を超えた、量子ドットデバイス用の電極構造の構築は当該分野において知られている(非特許文献38、非特許文献39)。本願において、電極構造は、DBを選択的に配置及び帯電させる性能を介して、室温動作可能QCAを形成することができる。QCAベースコンピューテーションの室温以上での実施は、理論化されていはいたが、本願発明までは実施困難なものであるとされていた。

0056

4本の結合DBのセルのグループを用いて、QCAコンピュータの素子を構築することができることは理解されたい。DBアセンブリの異なるグループは、データ保存を可能にする。このような設計は、一つ以上のQCA及び/又は量子ビットの組み合わせを介して達成可能である。本発明は、余分の電子に関連する量子エンタングルメントがDB間の量子力学的結合を帯電させ、そして、論理入力が電源としても機能することを示す。従来のデジタルマイクエレクトロニクスデバイスとは異なり、本発明のデバイスが、単一の電極でも動作可能であることは理解されたい。QCAのノード間の状態情報の伝達の管理、及び、VLSI設計へのQCAの集積は、当該分野において知られている(非特許文献40)。

0057

顕著な自由度が、電子占有及びデバイス動作に対する制御には存在している。わずかに更に広い間隔の構成は、クーロン反発力を低減して、より大きな正味の電荷を可能にし、それを自動的にもたらす。同様に、より近い間隔の構造は、電荷レベルの減少を自然と示す。QCAフレームワークによって必要とされるような−2のセル電荷を達成するこの“自己バイアス”は、多重及び単一のセル特有の“フィリング”電極を必要としないので、最も望ましいものである。グループから略20オングストロームを超えた固定電荷は、SiのDBベースQCAセルの論理状態及びフィリングレベルに対して顕著な摂動ではないと計算されて、比較的離れた意図しない電荷に対するいくつかの量子ドットの鋭い感度と対照的である(非特許文献41)。本発明の原子論的量子ドットのロバスト性は、ナノ結晶量子ドットと比較して大きな束縛状態のエネルギー準位間隔に起因するものであり、また、従来技術のデバイスが極低温条件を必要とするのと異なり、DBが室温で動作可能なデバイスを形成することの結果である。

0058

本明細書で言及した特定の文献は、本発明に関連する分野の当業者のレベルを示すものである。これらの文献は、各文献が本願に参照として明確且つ個別的に組み込まれていた場合と同程度に、参照として本願に組み込まれているものとする。

0059

以上の説明は、本発明の特定の実施形態を例示するものであり、本発明の実施をそれらに制限するものではない。添付の特許請求の範囲及びその全ての等価物が、本発明の範囲を定めるものである。

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