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技術 生命工学による組織コンストラクト並びに生産及び使用のための方法

出願人 オルガノジェネシスインク.
発明者 ワン,シャンヤンファリア,キャサリン,シー.
出願日 2008年11月26日 (12年6ヶ月経過) 出願番号 2010-536186
公開日 2011年2月17日 (10年3ヶ月経過) 公開番号 2011-504755
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード 構造支持部材 成型構造 マンドレル周囲 はり理論 使用指標 接着溶液 機械検査 メッシュ処理
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課題・解決手段

生命工学によるコンストラクトが、外因性マトリックス成分又はネットワ−ク支持物又はスカフォ−ド部材の必要なしに内因的に産生された細胞外マトリックス成分を合成及び分泌するように誘導された培養細胞から形成される。本発明の生命工学によるコンストラクトは、生命工学によるコンストラクトの細胞を、コンストラクトの構造上の一体性犠牲にすることなく、失活させる、及び/又は、除去することができるような様々な態様で処理することができる。更に、本発明の生命工学によるコンストラクトは、コンストラクトの多様な幾何学的形状を可能にする生体適合性生体リモデル可能な溶液と併用することができる。

概要

背景

発明の背景
本発明は、組織工学組織再生及び再生医療の原則に関し、生命工学法を、生命科学と結び付けることにより、正常及び病的哺乳動物組織中の構造上及び機能上の関係を理解しようとするものである。これらの規範の全体的目的は、組織機能回復、維持、又は向上させるために生物代替物を開発すること、及び究極的には応用することである。従って、生命工学による組織研究室デザイン及び製造することが可能である。生命工学による組織には、天然哺乳動物又はヒト組織や、合成もしくは天然のマトリックス骨格に通常伴う細胞を含めることができる。新規な生命工学による組織は、ホストに移植されたときには機能的でなければならず、また、ホストの身体に永久に取り込まれるか、あるいは、生命工学による組織由来の、又は、レシピエントのホスト由来の細胞によって漸進的に生体リモデリングされねばならない。外因性指示部材又は骨組を取り込んだり、又は頼ったりすることのない生命工学による組織コンストラクトの作製は、新規な生命工学による組織コンストラクトを作製する際の科学的な課題につながる。

発明の概要
本発明は、培養細胞と、内因的に産生された細胞外マトリックス成分とから、外因性のマトリックス成分又はネットワーク支持物又は骨組みを要せずに作製された生命工学による組織コンストラクトに関する。このように本発明は、有利なことに、例えば生命工学による組織コンストラクトをヒトでの使用に向けてデザインする場合など、ヒト細胞と、それらの細胞により産生されるヒトマトリックス成分とから完全に作製することができる。

更に本発明は、外因性のマトリックス成分、ネットワーク支持物又は骨組み部材のいずれも添加することなく、線維芽細胞などの培養細胞を刺激することで、細胞外マトリックス成分を産生させることにより組織コンストラクトを作製する方法にも関する。

更に本発明は、規定された培地系で、及び/又は、例えばウシ血清又は臓器抽出物などの未規定の又は非ヒト由来生物成分を用いることなく、線維芽細胞などの培養細胞を刺激することで、細胞外マトリックス成分を産生させることにより組織コンストラクトを作製する方法にも関する。

更に本発明は、培養細胞外マトリックス産生細胞により産生及び集合させられた、失活及び/又は脱細胞化させた層の細胞外マトリックスを含む生命工学によるコンストラクトに関する。

また更に本発明は、生命工学によるコンストラクトを作製する方法であって、二つ以上の層の内因的に産生された細胞外マトリックスを作製するステップと、次に、この二つ以上の層を架橋及び/又は生体適合性かつ生体リモデリング可能な接着性溶液で組み合わせる前に、前記細胞外マトリックス産生細胞を失活及び/又は脱細胞化するステップとを含む。

組織コンストラクトは、骨組み支持物の必要性、又は、外因性の細胞外マトリックス成分の添加を必要とせず、培養細胞により産生及び自己集合させられる。

発明の詳細な説明
これまで、現在の生命工学による生体組織コンストラクトは完全に細胞が集合させたものでなく、構造物又は支持物、あるいは両者のために外因性のマトリックス成分又は合成部材の添加又は導入のいずれかに依拠せねばならない。

ここで解説する生命工学による組織コンストラクトは、それらの細胞が由来となった元の組織の天然の特徴を数多く、示す。このように作製された組織コンストラクトは、対象への移植や、又はin vitroでの検査に用いることができる。

好適な実施態様の一つは、第一細胞種と、内因的に産生された細胞外マトリックスとを含む細胞−マトリックス・コンストラクトであり、この場合の第一細胞種は合成可能であると共に、細胞外マトリックスを分泌して細胞−マトリックス・コンストラクトを生じることができる。

もう一つの好適な実施態様は、第一細胞種及び内因的に産生された細胞外マトリックスと、その上に配置された、又は、前記第一細胞種により形成された細胞−マトリックス・コンストラクト内に配置された、第二種の細胞層とを含む二重層コンストラクトである。

より好適な実施態様は、培養真皮コンストラクトを形成するための、真皮由来のものなどの線維芽細胞を含む細胞−マトリックス・コンストラクトである。

もう一つの好適な実施態様は、培養真皮コンストラクトを形成するための、真皮由来のものなどの線維芽細胞を、その上に表皮層を形成する培養ケラチノサイトの層と一緒に含み、こうして培養二重層コンストラクトとする細胞−マトリックス・コンストラクトである。本発明の培養皮膚コンストラクトは、天然の皮膚の数多くの生理的、形態的、及び生化学的特徴を示す。

さらにより好適な実施態様では、前記細胞−マトリックス・コンストラクトは、その培養中に何の化学的に未規定の成分を用いることなく、ヒト由来細胞を含む規定された系で形成された、皮膚の真皮層に似たヒト真皮コンストラクトである組織コンストラクトである。

最も好適な実施態様では、本発明の組織コンストラクトは、ヒト由来細胞は含むが、化学的に未規定の、又は非ヒト生物成分もしくは細胞は含まない、化学的に規定された系で作製される。

本発明のある好適な実施態様は、少なくとも一種類の細胞外マトリックス産生細胞と、より簡単には「マトリックス」と呼ばれる、内因的に産生された細胞外マトリックス成分の構造層を含み、この場合、前記マトリックスは当該細胞を培養することより完全に細胞合成され、集合させられたものである。この層はここでは「細胞−マトリックス・コンストラクト」又は「細胞−マトリックス層」と呼ばれる。なぜなら前記細胞はそれらのマトリックスを分泌し、かつそれらのマトリックス内に、そしてマトリックスにわたって包まれているからである。培養組織コンストラクトは、外因性のマトリックス成分、即ち、培養細胞によって産生されるのではなく、他の手段によって導入されたマトリックス成分、を要さず、従って含まない。あるより好適な実施態様では、ヒト真皮線維芽細胞により生じる細胞−マトリックス・コンストラクトは、天然の皮膚に似た、コラーゲンを主に集中させていることが示されている。電子顕微鏡立証されるように、このマトリックスは繊維性であり、4分の1ずつ交差した67nmのバンディングパターンを示すコラーゲンや、天然のコラーゲンに似た原線維及び線維束パッキング機構を含む。遅延還元SDS-PAGEでは、これらのコンストラクト中、天然のヒトの皮膚で主に見られるコラーゲン種であるタイプI及びタイプIIIコラーゲンの両方の存在が検出されている。標準的な免疫組織化学法(IHC)技術を用いると、真皮細胞−マトリックスは、コラーゲン線維と結合することが公知であると共に、in vivoで線維直径を調節すると考えられているデルマタンスルフェートプロテオグリカンデコリンについて陽性に染色される。デコリンはまた、TEMでコンストラクト中に観察することができる。作製された組織は、例えば間充織又は修復中の組織などで見られる、細胞外マトリックス糖タンパク質であるテネイシンについても陽性に染色される。in vivoで修復中の組織と大変同じように、培養で作製される組織は、マトリックスが形成されるにつれ、そのタイプIのタイプIIIコラーゲンに対する比を増加させていくことが示されている。理論に縛られることを望む訳ではないが、細胞は、それら同士の間の空いた空間を、大部分がタイプIIIコラーゲン及びフィブロネクチンから成る肉芽組織に似た緩いマトリックスで充たし、その後、この緩いマトリックスを、大部分がタイプIコラーゲンから成る、より密なマトリックスでリモデルするのだと考えられる。作製された細胞−マトリックスは、ヒアルロン酸(HA)などのグリコサミノグリカン;フィブロネクチン;ビグリカン及びヴェルシカン原語:versican)など、デコリン以外のプロテオグリカン;及び、ジヒアルロン酸などの硫酸グリコサミノグリカンのプロファイル;ジ-コンドロイチン-0-硫酸;ジ-コンドロイチン-4-硫酸;ジ-コンドロイチン-6-硫酸;ジ-コンドロイチン-4,6-硫酸;ジ-コンドロイチン-4-硫酸-UA-2S;及びジ-コンドロイチン-6-硫酸-UA-2Sを含有することが示されている。これらの構造上及び生化学的な特徴は、コンストラクトが培養中に発達するにつれ、顕れ、コンストラクトがその最終的な形に達したときに著明である。完全に形成された培養真皮細胞−マトリックス・コンストラクト中にこれらの成分が存在することは、コンストラクトが、正常な真皮のそれに達した構造上及び生化学的な特徴を有することを示すものである。

前述のリストは、真皮線維芽細胞から形成された培養細胞−マトリックス・コンストラクトが持つ生化学的及び構造上の特徴のリストであるが、他の種類の線維芽細胞から形成された培養細胞−マトリックス・コンストラクトは、これらの特徴の多くや、それらの由来となった組織種の他の表現型を生じるであろうことは認識されねばならない。場合によっては、化学的暴露又は接触、物理的ストレス、又はトランスジェニック手段により線維芽細胞誘導して非表現型成分を発現させることができる。本発明の別の好適な実施態様は、その上に第二層の細胞を配置させて有する細胞−マトリックス層である。該第二層の細胞を細胞−マトリックス層上で培養することで、生命工学による二重層組織コンストラクトを形成させる。あるより好適な実施態様では、第二層の細胞は上皮由来である。最も好適な実施態様では、第二層は、第一細胞−マトリックス層と一緒に培養ヒトケラチノサイトを含み、こうして細胞−マトリックス・コンストラクトは、真皮線維芽細胞と内因性のマトリックスとから形成されて真皮層を形成し、生きた皮膚のコンストラクトを含む。完全に形成されると、上皮層多層階層構造となり、かつよく分化したケラチノサイト層であり、基底層と、基底層上層と、顆粒層と、角質層とを示す。皮膚コンストラクトは、透過型電子顕微鏡(TEM)で示されるように真皮−上皮接合部分に存在する、よく発達した基底膜を有する。基底膜はヘミデスモソーム周囲で最も厚いようであり、TEMで観察したときにタイプVIIコラーゲンから成る固着原線維で目される。固着原線維は基底膜から脱出して真皮層内でコラーゲン線維を捕捉している様子を見ることができる。これらの固着原線維や、他の基底膜成分はケラチノサイトにより分泌される。また、ケラチノサイトは自ら基底膜成分を分泌することができるが、認識可能な基底膜は線維芽細胞の不在下では形成されないことも知られている。本発明の皮膚コンストラクトの免疫組織化学染色は、基底膜タンパク質であるラミニンが存在することも示している。

細胞−マトリックス・コンストラクトを形成するための、本発明のある好適な方法においては、第一細胞種である細胞外マトリックス産生細胞種を基質上に播種し、培養し、それらの周り器質化した細胞外マトリックスを合成及び分泌するように誘導することで、細胞−マトリックス・コンストラクトを形成する。本発明の別の好適な方法では、細胞−マトリックス・コンストラクトの表面に第二細胞種を播種し、培養することで、二重層組織コンストラクトを形成させる。あるより好適な方法では、天然のヒトの皮膚に似た特徴を有する、完全な厚さの皮膚コンストラクトを、ヒト真皮線維芽細胞などの線維芽細胞を、マトリックス合成を誘導するのに充分な条件下で培養することで真皮細胞及びマトリックスという真皮層を形成し、その上に、ケラチノサイトなどのヒト上皮細胞を播種し、完全に分化して層状となった上皮層を形成させるのに充分な条件下で培養することで、細胞−マトリックスを形成させる。

従って、本発明の生命工学による組織コンストラクトを得る方法の一つは:(a)外因性の細胞外マトリックス成分又は構造支持部材の不在下で、少なくとも一種類の細胞外マトリックス産生細胞種を培養するステップと;(b)(a)の細胞を刺激して、細胞外マトリックス成分を合成、分泌、及び器質化させることで、細胞と、それらの細胞から合成されたマトリックスとから成る組織コンストラクトを形成するステップであって;この場合ステップ(a)及び(b)は同時に行われても、又は逐次行われもよい、ステップと;(c)細胞外マトリックス成分を含む前記組織コンストラクトを臨床上の使用に向けて失活又は脱細胞化するステップとを含む。二種以上の失活又は脱細胞化させた組織コンストラクトを一緒に接触させてもよく、また、架橋や、又は、生体適合性もしくは生体再吸収可能な接着剤の使用により互いに接着させてもよい。

I.培地の調合
細胞−マトリックス・コンストラクトは、細胞生存、増殖、及び、細胞による細胞外マトリックス成分の合成、を促進する培養基中で細胞を培養することにより、形成される。培養基は、通常は他の成分を更に補った栄養基剤から成る。当業者であれば、本は集め意の組織コンストラクトを成功裏に作製できるとの妥当な期待を持って、動物細胞培養の当業で適した栄養基剤を判断することができる。数多くの市販の栄養源が、本発明の実施にあたって有用である。これらには、無機塩エネルギー源アミノ酸、及びB-ビタミンを提供する市販の栄養源、例えばダルベッコの改良イーグル培地DMEM);最小基本(MEM);M199;RPMI1640;イスコーブの改良ダルベッコの培地(EDMEM)など、がある。最小基本培地(MEM) 及びM199には、ホスホリピド前駆体及び非必須アミノ酸の付加的な添加が必要である。付加的なアミノ酸、核酸酵素コファクター、ホスホリピド前駆体、及び無機塩類を提供する市販のビタミン・リッチな混合物には、Ham’s F-12、Ham’s F-10、NCTC 109、及び NCTC 135がある。濃度は様々であるが、全ての基本培地が、グルコース、アミノ酸、ビタミン、及び無機イオンの形で、他の基本的な培地成分と一緒に、細胞に基本的な栄養源を提供する。本発明で最も好適な基本培地は、無カルシウム又は低カルシウムのダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)の栄養基剤、又は代替的には、それぞれ3対1の比乃至1乃至3の比の DMEM及び Ham’s
F-12 を含むものである。

基本培地には、アミノ酸、成長因子、及びホルモンなどの成分を補う。本発明の細胞培養に規定された培養基は、引用をもってその開示をここに援用することとする、Prenteauへの米国特許第5,712,163号、国際PCT公報 WO
95/31473、及びPCT公報 WO 00/29553である。Ham and McKeehan, Methodsin Enzymology,
58:44-93 (1979) に開示されたものや、又はBottenstein et al., Methods in
Enzymology, 58:94-109 (1979) の他の適した化学的に規定された培地など、他の培地が当業で公知である。好適な実施態様では、基本培地に、動物細胞培養において当業者に公知の以下の成分を補う:インシュリントランスフェリントリヨードチロニン(T3)、及びいずれか一方又は両方のエタノールアミン及びo-ホスホリル-エタノールアミンであるが、この場合、添加成分の濃度及び代替は当業者が決定できよう。

本発明での使用に適した培地調合物は、培養しようとする細胞種や、作製しようとする組織構造に基づき、選択される。細胞成長、マトリックス合成、及び生存を促進するために用いられる培地や、必要とされる具体的な培養条件は、成長させようとする細胞種、又は、細胞の種類の組合せ、に依拠するであろう。

場合によっては、例えば本発明の生命工学による二重層皮膚コンストラクトの作製においては、異なる添加が異なる目的のために必要であるため、培地の組成は作製の各段階で様々である。ある好適な方法では、細胞−マトリックス層は規定された条件下、即ち、化学的に規定された培地、で培養される。別の好適な方法では、組織コンストラクトは、第二細胞層がその上に配置かつ培養された細胞−マトリックス層を含み、この場合、両方の細胞種が規定された培地系で培養される。代替的には、組織コンストラクトは、規定された培地条件下で作製された細胞−マトリックス層と、未基底の培地条件下でその上に形成された第二層とを含む。反対に、組織コンストラクトは、未規定の培地条件下で作製された細胞−マトリックス層と、規定された培地条件下でその上に形成された第二層とを含む。

化学的に規定された培地、即ち、血清下垂体抽出物視床下部抽出物、胎盤抽出物、又は胚抽出物、あるいは、フィーダー細胞の分泌したタンパク質及び因子など、未規定の動物臓器又は組織抽出物を含まない培地の使用が好ましい。ある最も好適な実施態様では、培地は、未規定の成分や、非ヒト動物源を由来とする生物成分を含まない。未規定の成分の添加は好ましくはないが、組織コンストラクトを成功裏に作製するためには、培養のいずれかの時点で、それらを開示された方法に従って用いてもよい。本発明を、非ヒト動物源由来でない、化学的に規定された成分を用いて培養されたスクリーニング済みヒト細胞を用いて実施する場合は、できた組織コンストラクトは規定されたヒト組織コンストラクトである。合成又は組換えの機能的な均等物も、補助的な化学的に規定された培地に、最も好適な作製法での使用において、化学的に規定された、の定義の範囲内で用いてもよい。一般的には、当業者であれば、不当な調査又は実験なしで、本発明の培地を補うために、通常公知の動物成分に対し、適した天然ヒトの、ヒト組換えの、又は合成の均等物を判断できるであろう。臨床においてこのようなコンストラクトを用いる利点は、外来性動物又は交差種ウィルス混入や感染の懸念が減ることである。検査の場では、化学的に規定されたコンストラクトの利点は、検査された場合に、未規定の成分が在るために結果が紛らわしくなる可能性がないことである。

インシュリンは糖及びアミノ酸の取り込みを促進して複数の経路に渡って長期の利点を提供するポリペプチド・ホルモンである。インシュリン又はインシュリン様成長因子(IGF)の添加は長期の培養には必要である。なぜなら、細胞の糖及びアミノ酸の取り込み能も最終的には枯渇し、細胞表現型が悪化する可能性があるからである。インシュリンは例えばウシ、ヒト源など、いずれの動物を由来としても、あるいは、ヒト組換えインシュリンとして組換え手段によってもよい。従って、ヒトインシュリンは非ヒト生物源由来でない化学的に規定された成分と認定されよう。インシュリン添加は連続培養推奨されるものであり、また幅広濃度範囲で培地に提供される。好適な濃度範囲は約0.1 μg/ml 乃至約500 μg/ml、より好ましくは約5 μg/ml 乃至約 400 μg/ml、そして最も好ましくは約375
μg/mlである。IGF-1
IGF-2等のインシュリン様成長因子等の補助の適した濃度は、培養に選択された細胞種に応じて、当業者であれば容易に決定できよう。

トランスフェリンは鉄輸送調節のために培地中にある。鉄は血清中に見られる必須微量元素である。鉄は血清中、その遊離型のままでは細胞にとって毒性となり得るため、好ましくは約0.05 乃至約50 μg/ml、より好ましくは約 5 μg/mlの濃度範囲でトランスフェリンに結合した状態で細胞に提供される。

トリヨードチロニン(T3)は塩基性成分であり、細胞の代謝速度を維持するために培地に含められる活性型甲状腺ホルモンである。トリヨードチロニンは培地に約 0 乃至 400 rM、 より好ましくは 約 2 乃至 200 rM、そして最も好ましくは約 20 rMの濃度範囲で添加される。

ホスホリピドであるエタノールアミン及びo-ホスホリル-エタノールアミンのいずれか一方又は両方が添加されるが、その機能は、イノシトール経路及び脂肪酸代謝の重要な前駆体である。血清中に通常見られる脂質の添加は無血清培地で必要である。エタノールアミン及びo-ホスホリル-エタノールアミンは培地に約 10-6 乃至 10-2 M、より好ましくは 約 1 x 10-4 Mの濃度範囲で提供される。

培養の間中、基本培地には、更に、例えばヒドロコルチゾン及、セレン、及びL-グルタミン酸など、合成又は分化を誘導したり、あるいは、細胞成長を向上させたりする他の成分を添加する。

ヒドロコルチゾンはケラチノサイト培養でケラチノサイトの表現型を促進すること、従って、イヴォルクリン及びケラチノサイトトランスグルタミナーゼ含有などの分化後の特徴を亢進することが示されている (Rubin et al., J. Cell Physiol.,
138:208-214 (1986))。従って、ヒドロコルチゾンは、例えばケラチノサイト・シート移植片又は皮膚コンストラクトの形成など、これらの特徴が有益であるような場合に好ましい添加剤である。ヒドロコルチゾンは約 0.01 μg/ml 乃至 4.0 μg/ml、最も好ましくは 約 0.4 μg/ml 乃至16 μg/mlの濃度範囲で提供してもよい。

亜セレン酸は、血清が通常提供する微量元素であるセレンを添加するために、無血清培地に添加される。亜セレン酸は約 10-9 M 乃至 10-7 M; 最も好ましくは 約 5.3 x 10-8 Mの濃度範囲で提供してよい。

アミノ酸Lグルタミンはいくつかの栄養基剤中に存在し、全く存在しないか、又は不充分な量しか存在しない場合に添加してよい。更にL-グルタミンは、GlutaMAX-1(登録商標) (ニューヨークグランドアイランド、GibcoBRL社)の商標で販売されているものなど、安定な形で提供してもよい。GlutaMAX-1(登録商標) は、安定なジペプチド型の L-アラニル-L-グルタミンであり、L-グルタミンと交換可能に用いられる場合があり、また、L-グルタミンの代替物として等モル濃度で提供される。このジペプチドは、培地中のL-グルタミンの有効濃度不確かになりかねないような保管中及びインキュベーション中の経時的分解からL-グルタミンを安定にする。典型的には、該基本培地には、好ましくは約 1 mM 乃至 6 mM、より好ましくは 約 2 mM 乃至 5 mM、そして最も好ましくは
4 mM のL-グルタミン又は
GlutaMAX-1(登録商標)を添加する。

上皮成長因子(EGF)などの成長因子も、細胞の増加及び播種を通じた培養物樹立を助けるために、培地に加えてよい。天然型又は組換え型のEGFを用いてよい。天然又は組換えの、ヒト型のEGFが、非ヒト生物成分を含有しない皮膚均等物を作製する場合の培地での使用には好ましい。EGFは選択的な成分であり、約1
乃至15 ng/mL, より好ましくは 約 5乃至 10 ng/mLの濃度で提供されてよい。

一種以上のプロスタグランジントランスフォーミング成長因子(トランスフォーミング成長因子アルファ又はベータを含む)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、結合組織成長因子(CTGF)、又はマンノース-6-リン酸(M6P)、又はこれらの組合せなど、他の補助成分も培地に加えてよい。

プロスタグランジンE2 (PGE2) は、プロスタグランジンEシンターゼプロスタグランジンH2 (PGH2)に対する作用から生じる。いくつかのプロスタグランジンEシンターゼが同定されている。今日までのところ、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ-1 が、PGE2の形成における鍵となる酵素として浮上している。PGE2 は、好ましくは約
0.000038 μg/mL 乃至 0.760 μg/mL、より好ましくは約
0.00038 μg/mL 乃至 0.076 μg/mL、最も好ましくは約 0.0038
μg/mL 乃至 0.038 μg/mLの範囲で培地に添加される。16,16
PGE2 型も、これらの範囲で添加してよい。

トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α) はマクロファージ、脳細胞、及びケラチノサイトで産生され、上皮の発達を誘導する。それはEGFに密接に関係し、同様な効果を持つEGF受容体にも結合することができる。好ましくは、長鎖型のTGF-α を本発明に用いるとよい。TGF-アルファは小型(~50 残基) のタンパク質であり、30%
の構造上のホモロジーをEGFに対して持ち、同じ表面結合型受容体部位をめぐって競合する。それは創傷治癒への関与示唆されており、特定の細胞で表現型変化を促進する。TGFアルファ又は長鎖TGFアルファは、好ましくは約 0.0005 μg/mL 乃至 0.30 μg/mL、より好ましくは約 0.0050 μg/mL 乃至 0.03 μg/mL、最も好ましくは約 0.01 μg/mL 乃至 0.02 μg/mLの範囲で培地に添加するとよい。

基本培地へのケラチノサイト成長因子5 μg/mL の添加を用いて表皮化生支援してもよい。ケラチノサイト成長因子 (KGF) は好ましくは約 0.001 μg/mL 乃至 0.150 μg/mL、より好ましくは 約0.0025 μg/mL 乃至 0.100 μg/mL、最も好ましくは 約 0.005 μg/mL 乃至 0.015 μg/mLの範囲で培地に添加するとよい。

基本培地へのマンノース-6-リン酸(M6P) の添加を用いて表皮化生を支援してもよい。マンノース-6-リン酸は約 0.0005
mg/mL 乃至 0.0500 mg/mLの範囲で培地に添加するとよい。

CTGF(結合組織成長因子)はシステイン豊富に含み、マトリックス結合性ヘパリン結合タンパク質である。In vitroでは、CTGF は皮膚線維芽細胞上で例えば細胞外マトリックス産生の刺激、化学走性、増殖及びインテグリン発現などのTGFベータの効果を模倣する。CTGFは内皮細胞成長、泳動、接着及び生存を促進することができ、従って内皮細胞機能及び血管新生への関与が示唆されている。CTGFは、滑膜軟骨及び数多くの他の組織に位置特定されているプロテオグリカンであるペルレカンに結合する。CTGFは創傷治癒、強皮症及び他の線維性のプロセスにおける細胞外マトリックス・リモデリングへの関与が示唆されている。なぜならそれは、マトリックス・メタロプロティナーゼ(MMP)及びそれらの阻害剤(TIMPs)の両方を上方調節することができるからである。従って、 CTGF は細胞外マトリックスの合成及び分解の両方を活性化する可能性がある。

上記の培地は典型的な以下に記載するように調製される。しかしながら、本発明の成分はそれらの物理特性適合性ある従来の方法を用いても調製及び集合させてよいことは理解されねばならない。当業において、利用能又は経済を目的としつつ同様の結果に至るために、特定の成分を適した類似の又は機能的に均等な作用性物質置換することは公知である。天然発生型の成長因子を、本発明の実際に用いた場合に同様の質及び結果を有するような組換え又は合成の成長因子に置換してもよい。

本発明に従った培地は無菌のものである。無菌の成分は無菌で購入されたり、あるいは、例えば調製後のろ過など、常法により無菌にされたりする。以下の実施例全体を通じ、適した無菌的手法を用いた。DMEM及びF-12をまず配合し、次に個々の成分を加えて培地を完成した。全成分のストック溶液は−20
°Cで保存することができるが、例外として、栄養源は4℃で保存することができる。全てのストック溶液は上に挙げた500Xの最終濃度で調製される。インシュリン、トランスフェリン及びトリヨ−ドチロニン(すべてSigma社製) のストック溶液は以下の通りに調製される:トリヨ−ドチロニンをまず、1N塩酸(HCl)無水アルコ−ルに2:1の比で溶解させる。インシュリンは希塩酸(ほぼ0.1N)に溶解させ、トランスフェリンは水に溶解させる。次にこの三つを混合し、水で希釈して500Xの濃度にする。エタノルアミン及びo−ホスホリル−エタノ−ルアミンを水に500Xの濃度になるように溶解させ、フィルタ滅菌する。プロゲステロンを無水エタノ−ルに溶解させ、水で希釈する。ヒドロコルチゾンは無水エタノ−ルに溶解させ、リン酸緩衝生理食塩水PBS)で希釈する。セレンを500倍の濃度になるまで水に溶解させ、ろ過滅菌する。EGFは無菌のものを購入し、PBSに溶解させる。アデニンは溶解させるのが難しいが、当業者に公知のいずれの数の方法でも溶解させてよい。特定の成分を溶液中で安定化させるために血漿アルブミンをそれらに加えてもよいが、現在ではヒト又は動物源由来である。例えば、長期の保存用ヒト血清アルブミンHSA)又はウシ血清アルブミンBSA)を加えてプロゲステロン及びEGFストック溶液の活性を維持してもよい。ヒト組換えアルブミンなど、組換え型のアルブミンが開発されており、ヒト及びウシ血清由来型の代わりのそれらの代替が好ましい。培地は調製後すぐに用いることもできるが、あるいは4℃で保存することもできる。保存された場合、EGFは使用時前に加えてはならない。

マトリックス産生細胞の培養により細胞−マトリックス層を形成するには、マトリックス合成及び細胞の付着を促進する付加的な物質を培地に補う。これらの補助的な物質は細胞適合性であり、高い純度に規定され、そして混入物質を含まない。細胞−マトリックス層を作製するために用いられる培地を「マトリックス産生培地」と呼ぶ。

マトリックス産生培地を調製するためには、基本培地に、アスコルビン酸ナトリウムアスコルビン酸、又は、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩n−水和物など、そのより化学的に安定な誘導体の一つなどのアスコルビン酸塩誘導体を補う。アスコルビン酸塩は、プロリン水酸化や、付着させるコラゲン分子可溶性前駆体であるプロコラ−ゲンの分泌を促進するために加えられる。またアスコルビン酸塩は他の酵素の翻訳プロセッシングの重要なコファクタ−や、タイプI及びタイプIIIコラ−ゲン合成の上方調節因子として示されている。

理論に縛られることを望む訳ではないが、タンパク質合成に関与するアミノ酸を培地に補うことで、細胞がそのアミノ酸自体を産生することを必要としないことで、細胞エネルギ−を温存できる。プロリン及びグリシンの添加が好ましい。なぜならこれらは、水酸化型のプロリンであるヒドロキシプロリンと同様に、コラ−ゲンの構造を成す塩基性アミノ酸だからである。

必ずしもではないが、マトリックス産生培地には、選択的に中性ポリマ−を補う。本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトは中性ポリマ−なしでも作製できようが、しかしやはり理論に縛られることを望む訳ではないが、マトリックス産生培地中にそれが存在すると、コラ−ゲンのプロセッシングや付着が、試料間でより一致することになるであろう。好適な中性ポリマ−の一つは、培養細胞が産生する可溶性の前駆体プロコラ−ゲンがマトリックス付着型コラ−ゲンにin vitroでプロセッシングされることを促進することが示されているポリエチレングリコ−ル(PEG)である。約1000乃至4000MW(分子量)、より好ましくは約3400乃至3700MWの範囲の組織培養等級のPEGが、本発明の培地には好ましい。本方法で用いるのに好適なPEG濃度は 約 5%w/v以下、好ましくは約
0.01% w/v乃至0.5% w/v、より好ましくは約0.025%w/v乃至0.2% w/v、最も好ましくは約0.05%w/vの濃度であろう。好ましくは30,000−40,000 MWの範囲の、デキストランT−40などのデキストラン、あるいはポリビニルピロリドン(PVP) などの他の培養等級の中性ポリマ−を、約 5% w/v 以下、好ましくは約0.01% w/v乃至0.5% w/v、より好ましくは約0.025% w/v 乃至 0.2% w/v、最も好ましくは約0.05%w/vの濃度で用いてもよい。コラ−ゲンのプロセッシング及び付着を高める他の細胞培養等級及び細胞適合性の物質は、哺乳動物細胞培養の当業者であれば確認できよう。

細胞産生細胞がコンフルエントになり、マトリックスの合成、分泌、又は器質化を助ける成分を培地に補ったら、その細胞は、細胞とそれらの細胞が合成したマトリックスとから成る組織−コンストラクト合成するように刺激されると言われている。

従って、好適なマトリックス産生培地の調合物は:4 mM L−グルタミン又は等量の5 ng/ml上皮成長因子、0.4 μg/mlハイドロコルチゾン、1
x 10−4 Mエタノ−ルアミン、1 x
10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン、5 μg/mlインシュリン、5 μg/mlトランスフェリン、20 rMトリヨ−ドチロニン、6.78
ng/mlセレン、50 ng/mlL−アスコルビン酸、0.2 μg/ml L−プロリン、及び0.1 μg/mlグリシンを補ったダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM)(高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし)を含む基剤を含む。この産生培地には、他の生理学的物質培養株に加え、分泌される細胞外マトリックスの性質、量、又は種類を変えてもよい。これらの物質には、ポリペプチド成長因子、転写因子又は無機塩を含めて、コラ−ゲンの転写を上方調節してもよい。ポリペプチド成長因子の例には、両者ともコラ−ゲン合成を上方調節することが公知のトランスフォ−ミング成長因子−ベ−タ 1 (TGF−β1) 及び組織プラスミノ−ゲン活性化因子(TPA)がある。Raghow et al., Journal of Clinical
Investigation, 79:1285−1288 (1987); Pardes et al.,
Journal of Investigative Dermatology, 100:549 (1993)。コラ−ゲン産生を刺激する無機塩の一例はセリウムである。Shivakumar et al., Journal of
Molecular and Cellular Cardiology 24:775−780 (1992).

II.細胞種
本発明で用いる細胞外マトリックス産生細胞種は、細胞外マトリックス成分を産生及び分泌することができ、また、この細胞外マトリックス成分を器質化して細胞−マトリックス・コンストラクトを形成することができれば、いずれの細胞種であってもよい。二種以上の細胞外マトリックス産生細胞種を培養して細胞−マトリックス・コンストラクトを形成してもよい。異なる細胞種又は組織由来の細胞を混合物として一緒に培養して、天然組織に見られるものに似た補完的成分及び構造を産生させてもよい。例えば、細胞外マトリックス産生細胞種に他の細胞種を混合して、第一の細胞種では通常産生されない量の細胞外マトリックスを産生させてもよい。代替的には、細胞外マトリックス産生細胞種に、例えば本発明の特定の皮膚コンストラクト中でなど、組織中の特化組織構造を形成するが、細胞−マトリックス・コンストラクトのマトリックス局面の全体的形成には実質的に寄与しないような他の細胞種を更に混合してもよい。

本発明に従えばいずれの細胞外マトリックス産生細胞種を用いてもよいが、本発明での使用に好適な細胞種は間葉である。より好適な細胞種は線維芽細胞、間質細胞、及び他の支持結合組織細胞であり、最も好ましくは、ヒト皮膚コンストラクトの作製用のヒト皮膚に見られるヒト皮膚線維芽細胞である。線維芽細胞は、一般的には数多くの細胞外マトリックスタンパク質、主にコラ−ゲン、を産生する。線維芽細胞が産生するコラ−ゲンには数多くの種類があるが、タイプIコラ−ゲンがin vivoでは最も多い。ヒト線維芽細胞株は、限定はしないが、新生児の陰茎包皮、皮膚、臍帯、軟骨、尿道角膜支質口内粘膜、及び腸管を含む数多くの源から得ることができる。ヒト細胞には、限定する必要はないが線維芽細胞があるが、平滑筋細胞軟骨細胞及び間葉由来の他の結合組織細胞が含まれよう。組織コンストラクトの作製で用いられるマトリックス産生細胞の起源は、本発明の培養を用いた後にそれを似せようとする、あるいは模倣させようとする組織種に由来させることが、必要ではないが好ましい。理論に縛られることを望むわけではないが、新生児線維芽細胞由来のものなどの皮膚線維芽細胞は身体の大半の組織にとって幅広い用途を有する。新生児皮膚線維芽細胞の利点は、それらが可塑性を有すると考えられることであり、つまりそれらは分化転換することができることを意味し、低酸素環境には理想的であり、安全で、生体適合性があり、対象による拒絶を誘導しない点で免疫寛容である。別の好適な実施態様では、毛嚢真皮乳頭由来の顕微切片から分離された線維芽細胞を用いて、マトリックスを単独で産生させたり、あるいは他の線維芽細胞と共同で産生させたりすることができる。角膜コンストラクトを作製する実施態様においては、マトリックス産生細胞は角膜の支質から得られる。細胞ドナ−の発達及び年齢は様々であってよい。細胞は、ドナ−の、新生児、又は、成体を含むより高齢の個体の組織から得てもよい。間葉幹細胞などの胚性前駆細胞を本発明で用いてもよく、所望の組織に発達するように分化誘導してもよい。

ヒト細胞が本発明での使用に好適であるが、本発明の方法で用いるべき細胞はヒトを源とする細胞には限られない。限定はしないが、ウマイヌブタ、ウシ、及びヒツジ起源を含む他の哺乳動物種;あるいはマウスもしくはラットなどのげっ歯類種を由来とする細胞を用いてもよい。加えて、自発的、化学的、もしくはウィルス的にトランスフェクトされた細胞や、あるいは組換え細胞あるいは遺伝子操作された細胞も、本発明で用いてよい。二種以上の細胞種を導入する実施態様の場合、自己由来細胞及び異質遺伝子型細胞のキメラ混合物など、二種以上の源を由来とする通常細胞のキメラ混合物;通常細胞及び遺伝子改変されたもしくはトランスフェクトされた細胞の混合物;異なる組織又は器官種由来の細胞の混合物;あるいは、二種以上の種又は組織源の細胞の混合物、を用いてもよい。

組換えもしくは遺伝子操作された細胞を、細胞−マトリックス・コンストラクトの作製で用いて、高レベルの天然細胞産物又は治療薬での処置を要する対象への薬物送達移植片として働く組織コンストラクトを作製してもよい。当該の細胞は産物、成長因子、ホルモン、ペプチド又はタンパク質を継続的な時間量、産生し、又は、対象が置かれた状況を原因として生物学的、化学的、又は熱的なシグナルを受けて必要時に、移植組換え細胞を通じて対象にそれらを送達するものでもよい。培養組織コンストラクトの使用指標に応じた長期又は短期遺伝子産物発現が好ましい。治療的産物を対象に長期間送達するために培養組織コンストラクトを移植する場合には、長期の発現が好ましい。反対に、創傷を有する対象に培養組織コンストラクトを移植し、そこで培養組織コンストラクトの細胞が、正常な、又は、正常に近い治癒を促進したり、あるいは創傷部位瘢痕化を減らしたりしなければならない場合、短期間の発現が好ましい。創傷が治癒したら、培養組織コンストラクトからの遺伝子産物は当該部位ではもはや必要でないか、もはや好ましくないかも知れない。更に細胞を遺伝子操作して、「正常」ではあるが高レベルで発現するタンパク質又は異なる種類の細胞外マトリックス成分を発現するようにしたり、細胞外マトリックスと、創傷治癒の向上、新血管新生の促進又は方向付け、あるいは瘢痕もしくはケロイド形成の抑制にとって治療上有利な生きた細胞とを含む移植器具となるように何らかの態様で改変されたタンパク質又は異なる種類の細胞外マトリックス成分を発現するようにしてもよい。これらの手法は当業で広く公知であり、引用をもってここに援用するSambrook et al, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold
Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY (1989)に解説されている。上に言及したすべての種類の細胞が、本発明で用いられる「マトリックス産生細胞」の定義に含まれる。

線維芽細胞が産生する主な主要細胞外マトリックス成分は原線維コラ−ゲン、特にコラ−ゲン・タイプIである。原線維コラ−ゲンは細胞−マトリックス構造で鍵となる成分であるが、本発明はこのタンパク質又はタンパク質種から成るマトリックスに限られるわけではない。例えば他のコラ−ゲン、例えばコラ−ゲン・タイプII、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、などのコラ−ゲン・ファミリ−のうちの原線維及び非原線維の両者や、同定されるかも知れない他のものを、適した細胞種を使用することにより産生されるかも知れない。同様に、現在の方法を用いて作製及び付着させることのできる他のマトリックスタンパク質には、限定はしないが、エラスチン;デコリン又はビグリカンなどのプロテオグリカン;あるいはテナシンなどの糖タンパク質;ビトロネクチン;フィブロネクチン;ラミニン;トロンボスポンジンI;及びヒアルロン酸(HA)などのグリコサミノグリカン(GAG)がある。

上述の細胞種を用いて本発明の細胞−マトリックスを作製してもよいように、これらはまた、本発明の細胞−マトリックス組成物によって送達されてもよく、この場合、一種類以上の細胞−マトリックス・シ−トが、生きた形、失活させた形、又は、脱細胞化させた形で、細胞送達器具内に作り込まれる。これらの細胞種は、本発明の細胞−マトリックスと接触した状態で、機能的細胞又は細胞産物を必要とする対象内の部位に送達されてもよい。本発明の細胞−マトリックス組成物はコラ−ゲンを含み、コラ−ゲンは細胞接着にとって天然の基質であるため、これらの細胞は細胞−マトリックス組成物に自然に接着するであろう。更に細胞−マトリックス組成物は扱いが可能であるため、細胞の送達が可能であり、細胞を送達部位局在した状態で維持する手段として働く。

III.培養条件及び方法
細胞−マトリックス層の作製のための系は静的なものであってもよく、あるいは、培養基への潅流手段を用いることで、形成中の細胞−マトリックス層に向かって機械的な力を印加させてin vivoでの力を模倣してもよい。適した刺激を適用すると、静的な培養に比較して、強度向上などの所望の特性が得られよう。静的な系では培養基は静止しており、培地が運動している潅流系とは対照的に比較的に無運動である。培地の潅流は細胞の生存率に影響を与え、マトリックス層の発達を増強する。潅流手段には、限定はしないが、培養膜を含有する基質担体の下方又は近傍の培養皿内に磁器攪拌棒又は電動インペラ−を用いて培地を攪拌する方法;培養皿又はチャンバ内あるいは培養皿又はチャンバを通じて媒質ポンプ圧入する方法;培養皿をやさしく攪拌する又はプラットホ−ムを震盪又は回転させる方法;あるいはロ−ラ−・ボトル内で作製する場合には転動させる方法;がある。本発明の方法で用いる他の潅流手段は当業者であれば判断できよう。他の機械的力は、培養中の多孔質膜脈動屈曲波動又は延伸により印加されよう。

培養株は、細胞の培養に向けて制御された温度、湿度及び気体混合率の充分な環境条件を確実にするためにインキュベ−タ内に維持される。好適な条件は約 34 °C 乃至 38 °C、より好ましくは 37 ± 1°Cで 約 5−10 ± 1% CO2 の大気、及び約 80−90%の相対湿度(Rh)である。当業者であれば、培養しようとする細胞、又は、行おうとする培養段階に応じて、上述の環境条件内でも、あるいは外れていてもよい環境条件を容易に判断できよう。供給中、追加細胞の播種中、又は、他の処置中など、培養株をこれらの条件から周囲室温、空気、及び湿度に、培養物又はそれらの細胞−マトリックス形成能に悪影響を及ぼすことがなければ取りだしてもよい。

好適な実施態様では、細胞−マトリックス・コンストラクトは皮膚線維芽細胞及びそれらの分泌マトリックスから形成された皮膚コンストラクトである。好適には、ヒト皮膚線維芽細胞を用いるとよく、皮膚から初代細胞として得るか、あるいはより好ましくは、ウィルス又は細菌混入についてスクリニングされ、純度について検査された樹立細胞ストック又はバンクから連続継代又は副次培養されるとよい。細胞は、上で細胞−マトリックス・コンストラクトを形成させる培養基質への当該細胞の播種に向けてそれらを適当な数に増殖させるために成長培地中の充分な条件下で培養される。代替的には、凍結細胞ストックからの細胞を培養基質に直接、播種してもよい。

充分な細胞数が得られたら、細胞を回収し、適した培養表面に播種し、適した成長条件下で培養して細胞のコンフルエントなシ−トを形成させる。好適な実施態様では、細胞培養株の下方と、細孔を通じて細胞培養株の最上部表面よりも上方の両方に培地が接触するように浸した多孔質膜上に細胞を播種する。好ましくは、細胞を基剤又は成長培地のいずれかの中に懸濁させ、約 1 x 105個の細胞/cm2 乃至 6.6 x 105 個の細胞/cm2, より好ましくは 約 3 x 105 個の細胞/cm2 乃至 6.6 x 105 個の細胞/cm2、そして最も好ましくは約
6.6 x 105 個の細胞/cm2(1平方センチメ−トル面積当りの細胞)の密度で細胞培養株表面上に播種するとよい。培養株を成長培地中で培養して培養株を樹立させ、約 80% 乃至100% コンフルエントまで培養し、その時点で、細胞外マトリックスの合成及び分泌を上方調節するために培地をマトリックス産生培地に取り替えることにより、それらを化学的に誘導する。代わりの方法では、細胞をマトリックス産生培地に少なくとも80% コンフルエントになるように直接、播種して基本培地を産生培地に取り替える必要を無くすが、これはより高度の播種密度を要する方法である。より高い播種密度は超コンフルエントなレベルを達成するが、約300% 乃至 600%コンフルエントの範囲を含め、細胞が100% コンフルエントを越え、最高約900% コンフルエントに播種されることを意味する。超コンフルエントに播種する場合は、播種時にマトリックス産生を開始させるために、膜上の培養細胞の成長相バイパスし、細胞をマトリックス産生培地中に播種する。

培養中、線維芽細胞は内因性のマトリックス分子を分泌し、この分泌されたマトリックス分子を器質化させて三次元組織様の構造を形成させるが、形成中の細胞−マトリックス・コンストラクトを収縮させてそれ自体を培養基質から引き剥がしてしまうような著しい収縮力は示さない。培地の交換は2乃至3日毎に新鮮なマトリックス産生培地と行われ、時と共に、分泌されるマトリックスは厚さ及び器質化を増加させる。細胞−マトリックス・コンストラクトを作製するのに必要な時間は、当初の播種密度、細胞種、細胞株の年齢、及び、その細胞株のマトリックス成分合成能及び分泌能に依存する。完全に形成されたら、本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトは、細胞により産生され、器質化させられた原線維性マトリックスのおかげで強固な厚さを有する。これらは、通常のコンフルエントな状態、又は、細胞が互いにゆるく接着した過剰にコンフルエントな状態の細胞株ではない。原線維性により、当該のコンストラクトには通常の培養株とは異なって粘着性の組織様の特性が与えられる。なぜならそれらは臨床の場での通例の操作による、例えばせん断又は裂けといった物理的損傷に耐えるからである。皮膚コンストラクトを形成するための皮膚線維芽細胞から培養された細胞−マトリックス・シ−トの製造においては、細胞は、細胞株表面上の自らの上に、膜表面にわたって好ましくは少なくとも約 30ミクロン以上の厚さ、又はより好ましくは
約 60 乃至 120ミクロンの厚さの器質化されたマトリックスを形成するであろう。しかし、120ミクロンを越える厚さが得られたことがあり、このような大きな厚さが必要な検査又は臨床用途での使用には適する。

VI.培養基質
マトリックス産生細胞は、三次元組織様構造の形成が可能な、例えば培養皿、フラスコ、又はロ−ラ−・ボトルなど、動物細胞又は組織培養物に適した容器内で培養される。上で細胞を成長させることのできる、適した細胞成長表面は、細胞が付着することができ、形成される細胞−マトリックス・コンストラクトに固定手段を提供するものであればいずれの生物学的に適合性ある材料であってもよい。ガラスステンレス鋼ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン塩化ポリビニル、ポリビニリデンポリジメチルシロキサンフルオロポリマ−、及びフッ化エチレンプロピレンを含むポリマ−;及び融解石英ポリシリコン、又はシリコン結晶を含むシリコン基質などの材料を細胞成長表面として用いてもよい。細胞成長表面材料を化学的に処理又は修飾したり、静電的に帯電させたり、あるいは、ポリ−l−リジン又はペプチドなどの生物物質被膜したりしてもよい。ペプチド・コ−ティングの一例はRGDペプチドである。

本発明の組織コンストラクトを固体の細胞成長表面上で成長させてもよいが、膜の上面及び底面の両方と連絡することで発達中の組織コンストラクトに培地が双方向で接触できるような、あるいは、培養物の下方のみから接触できるような孔を持つ細胞成長表面が好ましい。双方向の接触により、培地は、発達中の細胞−マトリックス・ベ−スのコンストラクトの上面及び底面の両方に接触することができ、培地に含有された栄養物質表面積が最大に暴露されることになる。また培地を、培養皮膚コンストラクトの発達中、上面が空気に曝されるように、形成中の培養組織コンストラクトの底面のみに接触するようにしてもよい。好適な培養容器は、培地を含有する培養容器中に懸濁させた多孔質膜などの培養処置された透過性の膜である担体又は培養インサ−トを利用するものである。典型的には、当該の膜は、蓋で覆うことのできるペトリ又は培養皿など、基剤内に挿入されて基剤を接続する管状の部材又はフレ−ムワ−クの一端に固定される。多孔質の膜を持つ担体インサ−トを取り入れた培養容器は当業で公知であり、本発明を実施するのに好適であり、また、例えばその開示を引用をもってここに援用することとする第5,766,937号、第5,466,602号、第5,366,893号、第5,358,871号、第5,215,920号、第5,026,649号、第4,871,674号、第4,608,342号を含め、いくつかが市販のものを入手可能な、本分野における米国特許証数に解説されている。これらの種類の培養容器を用いる場合、組織コンストラクトは膜の一方の表面、好ましくは上を向いた上面に生じるとよく、培養株は細胞培地に上面及び底面の両方で接触する。成長表面中の孔により、培養培地の通過が可能になり、膜を通って培養株の下側まで栄養物質が提供されるため、細胞に双方向で、又は、底面のみから、栄養物質が供給される。好適な孔のサイズは、細胞が膜を貫通して成長できないように充分小さく、しかし、培養培地に含まれた栄養物質が、例えば毛管作用により細胞−マトリックス・コンストラクトの底面まで自由に通過できるように充分大きいものである。好適な孔のサイズは約3ミクロン未満であるが、約 0.1 ミクロン乃至3 ミクロン、より好ましくは
約 0.2ミクロン乃至 1ミクロン、そして最も好ましくは約
0.4 ミクロン乃至 0.6 ミクロンのサイズの孔を用いるとよい。ヒト皮膚線維芽細胞の場合、最も好適な材料は約0.4乃至0.6ミクロンの孔のサイズを有するポリカ−ボネ−トである。最大の孔の大きさは細胞の大きさだけではなく、細胞がその形状を変化させて膜を通過する能力にも依る。組織様コンストラクトは、表面には接着するが、基質を取り込んだり、又は基質を包み込んだりせずに、最低の力で引き剥がすなどにより、それがそこから取り外せることが重要である。形成される組織コンストラクトのサイズ及び形状は、その上で成長する容器表面又は膜のサイズによって決定される。基質は円形でも、正方形でも、矩形又は多角形でもよく、また角が丸くなった形状でも、あるいは不規則な形状でもよい。基質はまた、平らでも、あるいは、創傷と界面を接するための、あるいは、天然組織の物理構造を模倣するための成型構造を生じる鋳型のような輪郭であってもよい。成長基質の表面積がより大きい場合には、比例してより多数の細胞を表面に播種し、より大量の培地が、その細胞を充分に浸すため及び栄養補給するために必要である。細胞−マトリックス・ベ−スの組織コンストラクトが最終的に形成されたら、膜基質から引き剥がすことでそれを取り外し、対象に移植する。

本発明の培養細胞−マトリックス・コンストラクトは、例えば形成用のメッシュ部材など、合成又は生体再吸収性の部材に依拠しない。メッシュ部材は織られた、編まれた、又はフェルト材料として構成される。メッシュ部材を用いる系では、細胞をこのメッシュ部材上で培養し、メッシュの一方の側と間隙中で成長させて、メッシュを本培養組織コンストラクトで包み込み、かつ中に取り入れる。このようなメッシュを取り入れた方法で形成される最終的なコンストラクトは物理的な支持とかさのためにそれに依拠する。合成メッシュ部材に依拠する培養組織コンストラクトの例はNaughtonらの米国特許番号第5,580,781号、第5,443,950号、第5,266,480号、第5,032,508号、第4,963,489号に見られる。

IV.化学修飾
本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトは、対象の処置時のそれらの最終的使用に応じて、細胞を終了させるために失活させるか、細胞を取り除くために脱細胞化される。

本発明の細胞−マトリックスは、培養インサ−トの膜上で失活又は脱細胞化しても、あるいは、それをまずそこから取り外してもよい。培養インサ−トは細胞−マトリックスを皿内に懸架することで培養培地との双方向の接触を可能にしているため、化学的失活剤又は脱細胞化剤で細胞−マトリックス・コンストラクトを処置したり、あるいは、空気、光、又は放射線を用いて細胞−マトリックス・コンストラクトを乾燥させたりすると、この双方向の接触に影響が出るであろう。培養インサ−トは便利なように培養装置から取り外し可能であり、こうしてそれを異なる容器に移し、そこで失活剤又は脱細胞化剤に曝すか、接触させてもよい。

細胞−マトリックス中の細胞を失活させるとは、細胞を取り外さずに終了させて、非生存細胞−マトリックスを形成することを意味する。本発明のコンストラクトを失活させてもよく、即ち換言すれば、内因性の細胞マトリックス成分を生じて細胞−マトリックス・コンストラクトを形成するマトリックス産生細胞を失活させて終了させる。細胞が終了すると、それらはそれらが形成したマトリックス内に留まる。失活剤及び方法は、好ましくは、細胞−マトリックスの一体性及び構造を維持するものであるとよい。

細胞−マトリックス・コンストラクト中に細胞を失活させる方法の一つは、当該コンストラクトを脱水又は乾燥させて、コンストラクト中の水分をすべて、又は実質的にすべて、取り除くことである。水分を取り除く手段には、空気中での脱水、乾燥又は凍結乾燥による脱水が含まれる。空気乾燥によってコンストラクトを脱水するには、中で細胞−マトリックスが作製された容器から培養培地を取り出し、細胞−マトリックス・コンストラクトを単に充分な時間、脱水して細胞を死滅させる。脱水条件は温度及び相対湿度の点で様々である。好適な脱水温度凍結温度よりも上から、最高で、当該細胞−マトリックス・コンストラクト中のコラ−ゲンの変性温度差次的スキャンニング熱量測定法、又は「DSC」)までの範囲であり、例えば約 0°C 乃至 60°Cである。より好適な脱水温度は周囲室温、約 18°C 乃至 22°Cである。約 0% 乃至 60%の範囲など、より低い相対湿度値が好ましい。しかしながら、室内湿度に対する相対湿度約 10% Rh 乃至 40% Rh も好ましい。脱水が周囲室温及び湿度での空気乾燥により行われる場合、細胞−マトリックス・コンストラクトは約 10% 乃至 40% w/w 以下の水分量を有するであろう。従って、本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトを空気乾燥する場合、何らかのレベルの水分が残る。「リオフィライゼ−ション」とも呼ばれるが、コンストラクトを凍結乾燥する場合、細胞−マトリックスを凍結させ、次に、真空環境に置いて水分を取り除く。凍結乾燥技術を本発明で開示したコンストラクトに利用することができ、その結果、コンストラクト内の複数の成長因子の生物活性干渉されないまま留まる。ある局面では、一層の細胞−マトリックス・コンストラクトを培養株からそのまま取り出し、−80℃で凍結した後、約 6 乃至 15 時間、又はそれ以上など、一晩かけて凍結乾燥させることができる。別の局面では、一層の細胞−マトリックス・コンストラクトをまず約8時間、空気乾燥させた後、−80℃で凍結し、約 6 乃至 15 時間、又はそれ以上など、一晩かけて凍結乾燥させることができる。周囲条件内で乾燥させるか、あるいは凍結乾燥させた後、細胞−マトリックスを失活させるが、しかし尚、失活細胞及び細胞残余物は留まる。また凍結乾燥により、周囲条件下で脱水した場合とは異なる品質がもたらされるかも知れない。このような品質は、ある実施態様では、より多孔質で開放した原線維状のマトリックス構造を示す。

更に化学的手段を用いて細胞−マトリックス・コンストラクト中の細胞を失活してもよい。細胞を浸透圧により終了させる水を用いてもよい。細胞−マトリックス・コンストラクトは、無菌の純粋中に、低張膨潤させて細胞を溶解させるのに充分な時間、浸漬される。細胞が溶解した後、細胞−マトリックスを失活するが、しかし尚、失活細胞及び細胞残余物は留まる。水を用いた場合、更にそれを過酢酸又は過酸化水素塩類、又はこれらの組合せなどの他の物質と混合してもよい。例えば、過酢酸約 0.05% 乃至 3% v/v を水に溶かした失活溶液を用いてもよい。この失活剤は更に、細胞を終了させたときの細胞−マトリックスの過剰な膨潤を防ぐべく、緩衝させてあっても、あるいは、高い塩濃度を含有してもよい。

有機溶媒及び有機溶媒溶液を、本発明の失活剤として用いてもよい。有機溶媒は細胞−マトリックス・コンストラクト中の水を変位させて終了させることができ、従って細胞−マトリックス中に細胞を失活させることができる。好ましくは、水を取り除くために用いられる有機溶媒が、本コンストラクトからそれが取り除かれたときに何も残らないものであるとよい。好適な有機溶媒には、エチルアルコ−ル、メチルアルコ−ル及びイソプロピルアルコ−ルなどのアルコ−ル;又はアセトンがある。描写を目的とすると、細胞−マトリックス・コンストラクトを無菌のエチルアルコ−ルに、細胞−マトリックス・コンストラクト中の水が変位して細胞を失活させるために充分な時間、浸漬する。次に細胞−マトリックス・コンストラクトをこのエチルアルコ−ルから取り出し、その後、細胞−マトリックス・コンストラクト中に吸収されたエチルアルコ−ルが蒸発するのに充分な時間、空気に曝す。溶媒の蒸発後、細胞−マトリックスは失活させられるが、それでも尚、失活した細胞及び細胞残余物は残っており、この細胞−マトリックスを脱水する。

細胞を失活させる他の手段には、細胞−マトリックス・コンストラクトを紫外線又はガンマ線に曝す手段がある。これらの手段を細胞−マトリックス・コンストラクトの水による低張膨潤や、他の化学的失活手段又は空気及び凍結失活手段と組み合わせて用いてもよい。

本発明の細胞−マトリックスを脱細胞化させるには、細胞をその細胞−マトリックスから取り除く手段、細胞、細胞残余物が細胞−マトリックスから取り除かれた結果、それを産生した細胞のない細胞外マトリックスになるようにする。本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化してもよいが、それは換言すると、内因性細胞外マトリックス成分を産生することで細胞−マトリックス・コンストラクトを形成するマトリックス産生細胞を細胞−マトリックスから取り除くことになる。細胞を取り除くと、培養細胞により内因的に産生された細胞−マトリックスは今や残ってはいるが、それを形成した細胞がない状態である。本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化する好適な方法の一つは、細胞、細胞残余物並びに残余細胞内DNA及びRNAを取り除く一連化学処理を用いるものである。糖タンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、脂質、及び他の非コラ−ゲン性タンパク質など、他の非コラ−ゲン性及び非エラスチン性細胞外マトリックス成分も、細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化するために用いられた薬剤及び方法で取り除くか、又は減少させてもよい。細胞並びに非コラ−ゲン性及び非エラスチン性成分を細胞−マトリックスから取り除くと、非細胞性であると共に、すべてがコラ−ゲン性から成るか、又は、いくらか少量のエラスチンがありながらも実質的にすべてコラ−ゲンから成る細胞−マトリックスが出来上がる。

細胞−マトリックス・コンストラクトはまず、それを有効量のキレ−ト剤、好ましくは細胞−マトリックスの膨潤を制御可能に制限するために生理的アルカリ、に接触させることにより、処理される。キレ−ト剤は、二価陽イオン濃度を減少させることでマトリックスからの細胞、細胞破壊片及び基底膜構造の除去を高める。アルカリ処置は糖タンパク質及びグリコサミノグリカンをコラ−ゲン性組織から解離させ、脂質をケン化する。用いてもよい当業で公知のキレ−ト剤には、限定はしないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 及びエチレンビスオキシエチレニトリロ)四酢酸(EGTA)がある。EDTAは好適なキレ−ト剤であり、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウムCa(OH)2、炭酸ナトリウム又は過酸化ナトリウムの添加により、よりアルカリ性にしてもよい。EDTA又はEGTA濃度は好ましくは約 1 乃至 200 mM; より好ましくは 約 50 乃至 150 mM; 最も好ましくは約 100 mMであるとよい。NaOH 濃度は好ましくは約 0.001 乃至 1 M; より好ましくは 約 0.001 乃至 0.10 M; 最も好ましくは 約 0.01 Mである。他のアルカリ又は塩基性物質は、キレ−ト溶液のpHを有効な塩基性pH範囲にすることにより、当業者であれば判定することができる。塩基性キレ−ト溶液の最終的なpHは、好ましくは約 8乃至約 12の間であるが、より好ましくは 約 11.1 乃至 11.8である。最も好適な実施態様では、細胞−マトリックスを、100 mM EDTA/10 mM NaOH の水溶液に接触させる。細胞−マトリックスは、好ましくは、アルカリ性キレ−ト剤に浸漬することで接触させるとよいが、より有効な処置は、本コンストラクト及び溶液を一緒に、この処置ステップが有効である時間、優しく攪拌することにより、得られる。

その後、細胞−マトリックスを、好ましくは塩を含有する、有効量の酸性溶液に接触させる。酸処理は糖タンパク質及びグリコサミノグリカンの除去や、非コラ−ゲン性タンパク質並びにDNA及びRNAなどの核酸の除去にも役割を果たす。塩処置は酸処置中のコラ−ゲン性マトリックスの膨潤を制御し、コラ−ゲン性マトリックスからのいくらかの糖タンパク質及びプロテオグリカンの除去に関与する。当業で公知の酸溶液を用いてもよく、その中には、限定はしないが、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)
及び硫酸(H2SO4)がある。好適な酸は、好ましくは約 0.5 乃至 2 M、より好ましくは約 0.75 乃至 1.25 M;最も好ましくは ほぼ1 Mの濃度の塩酸(HCl)である。酸/塩溶液の最終pHは好ましくは約 0 乃至 1、より好ましくは 約 0乃至0.75の間、そして最も好ましくは
約 0.1 乃至 0.5の間である。塩酸及び他の強酸は、核酸分子を壊すのに最も有効であるが、弱い酸は有効性が低くなる。用いてもよい塩は好ましくは無機塩であるが、その中には、限定はしないが、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び塩化カリウム(KCl) などの塩化物があり、他の有効な塩は当業者が判断することができる。好ましくは、塩化物は好ましくは約 0.1 乃至 2 Mの間;より好ましくは 約 0.75 乃至 1.25 Mの間;最も好ましくは ほぼ1 Mの濃度で用いられるとよい。本方法で用いられる好適な塩化物は塩化ナトリウム (NaCl)である。最も好適な実施態様では、細胞−マトリックスを1 M HCl/1 M NaClの水溶液に接触させる。好ましくは細胞−マトリックスを酸/塩溶液に浸漬することにより接触させるとよいが、有効な処置は本コンストラクト及び溶液を一緒に、この処置ステップが有効である時間、優しく攪拌することにより、得られる。

次に、その細胞−マトリックスを有効量の塩溶液に接触させるが、この塩溶液は好ましくはほぼ生理的pHまで緩衝されているとよい。緩衝塩溶液は膨潤を減らしながらも物質を中和する。用いてもよい塩は好ましくは無機塩であり、その中には、限定はしないが、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び塩化カリウム(KCl)などの塩化物や、硫酸アンモニウム(NH3SO4)などの窒素性塩があるが、他の有効な塩類は当業者であれば判断できよう。好ましくは、塩化物塩は好ましくは約 0.1 乃至 2 Mの間;より好ましくは 約 0.75 乃至 1.25 Mの間;最も好ましくは 約 1 Mの濃度で用いられるとよい。本方法で使用する好適な塩化物塩は塩化ナトリウム(NaCl)である。緩衝剤は当業で公知であり、その中には、限定はしないが、リン酸及びホウ酸溶液があり、他のものも、本発明での使用に向け、当業者であれば判断することができる。塩溶液を緩衝する好適な方法の一つはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加える方法であるが、好ましくはこの場合、リン酸は約 0.001 乃至 0.02 Mの濃度であり、そして塩濃度は塩溶液に対して約 0.07 乃至 0.3 M である。該溶液に好適なpHは約 5 乃至 9、より好ましくは 約 7 乃至 8、最も好ましくは 約 7.4 乃至 7.6である。最も好適な実施態様では、組織を約7.0 乃至 7.6のpHの1 M 塩化ナトリウム (NaCl)/10 mM リン酸緩衝生理食塩水(PBS) に接触させる。細胞−マトリックスは、好ましくは緩衝塩溶液に浸漬することにより接触させるとよいが、有効な処置は、組織及び溶液を一緒に、この処置ステップが有効である時間、優しく攪拌することにより、得られる。

化学洗浄処置後、細胞−マトリックスを有効量のすすぎ剤と接触させることにより、それをすすいで化学洗浄剤を取り除くことが好ましい。水、等張生理食塩水及び生理的pH緩衝液などの薬剤を用いることができ、洗浄剤を取り除くのに充分な時間、細胞−マトリックスに接触させる。好適なすすぎ溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの生理PHの緩衝生理食塩水である。細胞−マトリックスから化学洗浄剤をすすぎ落とす他の手段は当業者であれば判断できよう。アルカリ性キレ−ト剤に細胞−マトリックスを接触させる洗浄ステップと、塩を含む酸溶液に細胞−マトリックスを接触させる洗浄ステップは、実質的に同じ洗浄効果が得られればいずれの順序で行われてもよい。溶液を配合しなくともよく、しかし一回のステップとして行われてもよい。

細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化させたその結果は、それを産生した細胞が脱細胞化された、培養細胞が産生した内因的に産生されたコラ−ゲン性マトリックスである。脱細胞化させた細胞−マトリックス・コンストラクトの更なる結果は、それを産生した細胞が脱細胞化され、かつ、非コラ−ゲン性及び非エラスチン性細胞外マトリックス成分が取り除かれた又は減らされた、培養細胞が産生した内因的に産生されたコラ−ゲン性マトリックスである。

いくつかの実施態様では、細胞−マトリックス・コンストラクトをまず失活させて細胞を終了させ、その後に脱細胞化することで、失活した細胞を取り除いてもよい。

失活させた、又は脱細胞化させた細胞−マトリックス・コンストラクトは現在の状態で用いてもよいが、これらを更に化学処置、物理処置、薬物成長因子、培養細胞、天然、生合成、ポリマ−起源の他のマトリックス成分などの他の物質の添加により改変してもよく、そしてそれらを、心臓内開存した卵円孔欠損を処置するためのステント及び閉鎖具などの医療器具と組み合わせてもよい。

架橋。脱細胞化させた、又は失活させた細胞−マトリックスを架橋剤を用いて架橋して、その生体リモデリング速度を制御したり、そして生体への移植又は内植時のその持続性増したりしてもよい。それを架橋して単一層のコンストラクトとして用いてもよく、あるいは、それを組み合わせるか、又は操作して、異なる種類のコンストラクトを作製してもよい。また本発明の架橋方法は、細胞−マトリックスのシ−ト、又はその部分を互いに接着する方法も提供する。

細胞−マトリックスは好ましくは、最終的にはそれに意図された用途に依るプロテ−ゼの形状を持つプロテ−ゼとして用いられる多様な種類の細胞−マトリックス・コンストラクトを作製するために用いることのできる平面状のシ−ト構造であるとよい。本発明のプロテ−ゼを形成するためには、失活させた、又は脱細胞化させた細胞−マトリックス・シ−トは、マトリックス・シ−トの生体リモデリング能を保ちながらも、置換組織としてのその性能のためにその強度及び構造上の特徴を高めることもできる方法を用いて作製されねばならない。本発明の平らなシ−トのコンストラクトは、失活させた、又は脱細胞化させた細胞−マトリックス・シ−トか、あるいは、互いに接触するように積層して互いに接着させた失活させて脱細胞化させたマトリックス・シ−ト(例えば失活させた細胞−マトリックス・シ−トや、脱細胞化させた細胞−マトリックス・シ−ト)を含む。本発明の管状コンストラクトは、失活させた、又は脱細胞化させたマトリックス・シ−トをそれ自体の上に、少なくともその接触が最低限の程度あるように巻いたものを含む。マトリックス・シ−ト同士、又は、マトリックス・シ−ト自体の接触面積接着領域である。

多層架橋コンストラクト。ある好適な実施態様では、本発明のプロテ−ゼ器具は、互いに接着されて平らなシ−ト・コンストラクトを形成する二枚以上の積層されたマトリックス・シ−トを有する。ここで用いる場合の「接着されたコラ−ゲン層」とは、同じ又は異なる起源又は輪郭の二枚以上の細胞−マトリックス・シ−トが、層同士が互いに積層されて、自己積層及び化学的接着により相互に充分の保持されるような態様で処理されたものから成ることを意味する。

本発明の好適な実施態様は、平らなシ−ト・プロテ−ゼと、接着されて架橋された二枚以上のマトリックス・シ−トを含む、平らなシ−ト・プロテ−ゼを作製及び使用する方法とに関する。マトリックス・シ−トの平らなシ−ト構造のおかげで、このプロテ−ゼはいずれの数の層、好ましくは2枚乃至20枚の層、より好ましくは2乃至10枚の層を含むように容易に作製され、この場合、層の数は、コンストラクトの最終的な意図された用途に必要な強度及びかさに依存する。代替的には、積層された配置の最終的なサイズがマトリックス・シ−トのサイズで制限される場合、層をコラ−ジュのような配置で互い違いにしてシ−ト・コンストラクトを形成し、表面積はいずれかの個々のマトリックス・シ−トよりも大きいが、連続する層が当該配置の面積全体に行き渡っていないようにしてもよい。

マトリックス・シ−トを含む多層コンストラクトの製造においては、無菌の環境及び無菌のツ−ルを用いて無菌性を維持することが好ましい。マトリックス・シ−トの多層コンストラクトを形成するためには、まずポリカ−ボネ−トの剛性のシ−トなど、無菌の剛性の支持部材を広げる。マトリックス・シ−トがまだ失活プロセス又は脱細胞化プロセスから水和状態にはない場合、これらを水又はリン酸緩衝生理食塩水などの水溶液で水和させる。マトリックス・シ−トを無菌の吸収性クロスで吸い取って、この材料から余分な水分を吸収させる。一番目のマトリックス・シ−トをポリカ−ボネ−ト・シ−ト上に載せ、手でポリカ−ボネ−ト・シ−トに向かって均して、気泡しわ及び折り目を取り除く。二番目のマトリックス・シ−トを一番目のシ−トの上面に載せ、やはり手で気泡、しわ及び折り目を取り除く。特定の用途に向けた所望の数の層が得られるまで、この層形成を繰り返す。

所望の数のマトリックス・シ−トを層形成したら、これらを一緒に脱水する。理論に縛られることを望むわけではないが、脱水により、隣り合ったマトリックス・シ−トの線維の間から水が取り除かれると、コラ−ゲン線維などの細胞外マトリックス成分が一緒になる。層は、一番目の支持部材上の開放面で脱水されても、あるいは、一番目の支持部材と、二番目のポリカ−ボネ−ト・シ−トなど、平らな平面配置に層のすべてを維持するために乾燥前に一番上の層上に配置されて圧縮により、又は圧縮無しで、一番目の支持部材に固定された二番目の支持部材との間で脱水されてもよい。脱水を容易にするために、支持部材を多孔質にして、空気及び水分が脱水中の層を通過できるようにしてもよい。層は、空気乾燥しても、真空乾燥しても、あるいは、例えばアセトンや、エチルアルコ−ル又はイソプロピルアルコ−ルなどのアルコ−ルにより化学的手段により乾燥してもよい。空気乾燥による脱水は室内湿度まで、約 0% Rh 乃至 60% Rh以下、あるいは約 10%
乃至 40% w/w の水分以下まで、行われてもよい。脱水は、積層された層を斜めにして、層流キャビネットの無菌流に周囲室温、ほぼ20℃、及び室内湿度で少なくとも約1時間から最高24時間まで、当てることで容易に行われよう。真空又は化学的手段で行われる脱水により空気乾燥で達成されるよりも低い水分レベルまで、層が脱水されるであろう。

選択的なステップでは、脱水後の層を再水和するか、又は代替的には再水和して再度、脱水する。上述したように、脱水により、隣り合ったマトリックス層の細胞外マトリックス成分が一緒になり、それらの層を一緒に架橋して、該成分を間に化学結合を形成して層を接着させる。層を再水和させるには、これらを多孔質の支持部材から一緒に引き剥がし、水性再水和剤を容れた溶液にそれらを少なくとも約10乃至15分間、約4℃乃至20摂氏の温度で移すことにより、それらを分離又は層剥離させることなく、水性の再水和剤、好ましくは水、の中で、層を再水和させる。次に、層形成されたマトリックス・シ−トを架橋剤、好ましくはマトリックス層の生体リモデリング能を保つ化学的架橋剤、に、接触させることにより、マトリックス層を架橋する。

接着後のプロテ−ゼ器具を架橋させると、更に器具に強度及び耐久性が提供されて操作特性が向上する。カルボジイミドゲニピン、トランスグルタミナ−ゼ、リボ−ス及び他の糖類、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、酸化性の物質、紫外線(UV) 、並びにデヒドロサ−マル(DHT)
法など、多様な種類の架橋剤が当業で公知であり、用いることができる。化学的架橋剤のほかにも、ポリウレタン酢酸ビニル又はポリエポキシなど、生体適合性のフィブリン・ベ−スの接着剤又は医療等級の接着剤で、層を互いに接着してもよい。好適な生体適合性接着剤の一つは、メチルアルコ−ルを用いて活性化する組織マトリックス隣接層間の接着領域に配置される4−8%シルクフィブロイン溶液であるシルク・フィブロインである。生体適合性の接着剤又は接着剤を用いて、架橋された又は架橋していない層、あるいは両者、を互いに接着して、本発明の生命工学によるコンストラクトを形成してもよい。

好適な生体適合性接着剤は、組織マトリックスの隣接層間の接着領域に配置される2−8%シルク・フィブロイン溶液であるシルク・フィブロインである。ある局面では、上述の二種以上の細胞−マトリックス・コンストラクトを、生体適合性の接着性生体材料を用いて組み合わせることができる。一例として、シルク・フィブロインはボンビックス−モリ(原語:
Bombyx
mori )カイコから得ることができ、このシルク・フィブロインを加工して無セリシン化合物を得、この無セリシン化合物を、ある局面では、生体適合性の接着剤として用いることができる。ボンビックス−モリは主にグリシン及びアラニン反復配列が構造を支配するものから成る。そのフィブロイン鎖は、結晶性の配列と、規則的に交互になった、より秩序の少ないポリペプチドのものという、二つの基本的ポリペプチド配列から成る。この「結晶性」ポリペプチドの基本配列は、β−シ−ト構造を採る−(Ala−Gly)n− であるが、「より秩序の少ない」ポリペプチドは付加的なアミノ酸、具体的にはチロシンバリン及び酸性や塩基性のアミノ酸を含有する。組換え源を由来とするシルク・フィブロインを用いて、本発明を実施するための同様な生体適合性接着性を達成してもよいことは、理解されるはずである。

簡単に説明すると、B.モリカイコのを20乃至30分間、0.02 M Na2CO3を含む水溶液中で沸騰させる。接着剤様のセリシンタンパク質を抽出するために、次にこの繭をすすぐ。ある実施態様では、抽出されたシルク・フィブロインを約60℃の9.3 M臭化リチウム(LiBr)溶液に約4時間、溶解させ、それにより20%体積重量(w/v) の溶液を生じさせる。その結果の溶液を次に蒸留水に対し、Slide−a−Lyzer透析カセット(MWCO 3,500、Pierce社) を用いて室温で48時間かけて透析して塩分を取り除くが、いずれの透析手法も本発明の考察するところである。不純物やこの透析ステップ中に形成された凝集物を取り除くために、その結果得られた透析物複式にしてそれぞれ−20℃で20分間、遠心分離する。

好適な架橋剤は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド
(EDC)である。別の好適な方法では、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドをEDC架橋剤にStaros, J. V., Biochem. 21, 3950−3955, 1982に解説された通りに加える。最も好適な方法では、EDCを好ましくは約 0.1 mM 乃至 100 mMの間、より好ましくは 約 1.0 mM 乃至 10 mMの間、最も好ましくは約 1.0 mMの濃度で水に可溶化させる。水の他にも、リン酸緩衝生理食塩水又は (2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸) (MES)緩衝液を用いてEDCを溶解させてもよい。アセトン又はアルコ−ルなどの他の物質を、典型的には50%であるが水に溶かして最高99%v/vにして溶液に加えて、架橋をより均一及び効率的にしてもよい。これらの物質は層から水を取り除いてマトリックス線維を互いに近寄らせることで、これらの線維間の架橋を促進する。架橋剤中のこれらの物質の水に対する比を用いて架橋を調節することができる。EDCは時間と共にその活性を失うため、EDC架橋溶液使用直前に調製される。架橋剤をマトリックス層に接触させるために、水和させ、接着させたマトリックス層を浅いなべなどの容器に移し、架橋剤をこのなべに静かにデカントし、マトリックス層が覆われつつ宙に浮いていること、そして気泡がマトリックス層の下側又はマトリックス層同士の間に存在しないことを確認する。容器に蓋をし、マトリックス層を約4 乃至 24時間、より好ましくは8 乃至 16時間の間、約 4°C 乃至 20°Cの温度で架橋させる。架橋は温度により調節することができる。低い温度では、反応が鈍化するため、架橋はより有効である。高い温度では、EDCがより不安定となるため、架橋の有効性が低くなる。

架橋後、架橋剤をデカントして廃棄し、架橋された多層マトリックス・コンストラクトを、それらをすすぎ剤と接触させてすすいで、残った架橋剤を取り除く。好適なすすぎ剤は水又は他の水溶液である。好ましくは、架橋後の多層マトリックス・コンストラクトを等量の無菌水でそれぞれ約5分間で3回、接触させることにより、充分にすすぐとよい。

管状のコンストラクト。別の好適な実施態様では、本発明のマトリックス・コンストラクトは、一枚の概ね矩形のマトリックス・シ−トから形成された管状のコンストラクトである。このマトリックス・シ−トを、一方の端が出会って他方の端の上に重なるように丸める。この重なりが接着領域として役立つ。マトリックス・シ−トから形成される管状のコンストラクトは、多様な直径、長さ、及び層数になるように作製でき、また、その用途の指示に応じて他の成分を取り入れてもよい。

管状のコンストラクトを形成するには、形成されるコンストラクトの直径を決定することになる直径値を持つマンドレルを選択する。マンドレルは、好ましくは横断面が筒状又は楕円であるとよく、ガラス製、ステンレス鋼製であるか、あるいは非反応性の医療等級組成のものであるとよい。マンドレルは直線状でも、湾曲していても、角度を持っていてもよく、また分枝又は二股になっていたり、あるいは多数のこれらの品質を持っていたりしてもよい。形成しようとする管状のコンストラクトに意図された層数は、マトリックス・シ−トがマンドレル上と自らの上に巻かれる回数に相当する。マトリックス・シ−トを巻くことができる回数は、加工済みのマトリックス・シ−トの寸法に依存する。二層の管状のコンストラクトである場合、マトリックス・シ−トの幅は、シ−トマンドレルに少なくとも2回、巻くのに充分でなくてはならない。この幅は、マンドレルの周りに必要な回数、そして、重なる分として付加的なパ−センテ−ジ、即ち、接着領域を固定させ、また継ぎ目が密になるように、マンドレルの周囲の約5%乃至約20%の間の分、巻くのに充分であることが好ましい。同様に、マンドレルの長さは、その上に形成することのできる管の長さを決定するであろう。マンドレル上でコンストラクトを容易に操作できるように、操作時にはコンストラクトではなく、マンドレルが触れられるように、マンドレルはコンストラクトの長さよりも長くなくてはならない。

マンドレルに、非反応性の医療用等級の品質の、弾性ゴム又はラテックス材料スリ−ブの形で提供されることが好ましい。管状のマトリックス・シ−トのコンストラクトをマンドレル表面上に直接、形成してもよいが、該スリ−ブは、形成された管のマンドレルからの取り外しを容易とし、マトリックス・シ−トに接着することも、反応することも、又は残余物を残すこともない。形成されたコンストラクトを取り外すには、スリ−ブをマンドレルの一端から引き抜いて、それと一緒にコンストラクトをマンドレルから移動させてもよい。マトリックス・シ−トはスリ−ブに軽く接着しているだけで、他のマトリックス・シ−トにはより接着しているため、コンストラクトを引っ張ることなく、あるいはストレス又は損傷の危険を加えることなくマンドレルから管状になったコンストラクトを取り外せるため、マトリックス・シ−トからの管の作製は容易である。最も好適な実施態様では、スリ−ブは、大変安定な飽和中間部ロックを持つスチレンエチレンブチレン−スチレンのコポリマ−から成る熱可塑性ゴムであるKRATON(R)(Shell
Chemical Company社)を含む。

描写での簡潔性のために、4mmの直径と10%の重なりを持つ二層管状コンストラクトを4mmの直径を有するマンドレル上で形成する。マンドレルには、マンドレルの長さとほぼ同じ長さで、その上に形成しようとするコンストラクトよりも長いKRATON(R)スリ−ブを設ける。幅の寸法が約28mmになるようにマトリックス・シ−トを切りそろえ、
長さ寸法は、コンストラクトの所望の長さに応じて様々でよい。次に、層流キャビネットの無菌野で以下のプロセスによりマトリックス・シ−トを管に形成する。マトリックス・シ−トを一端に沿って湿らせ、スリ−ブで覆われたマンドレルと位置合わせし、マトリックス・シ−トの接着性とバランスを取りながら、スリ−ブで覆われたマンドレルの長さ方向でそれを「のように立て」、定位置で少なくとも10分以上、乾燥させる。次にこの旗のように立てられたマトリックス・シ−トを水和させ、マンドレル周囲巻き付け、更にその上に一周プラス10%、即ち110%の重なりになるように巻いて、接着領域として作用させ、密な継ぎ目を提供する。

一層の管状コンストラクトの形成の場合、マトリックス・シ−トはマンドレル上に一周、そして重なりとして更に一周の少なくとも5%、巻かれることで、コンストラクトの周囲の等量乃至5%である接着領域を提供しなければならない。二層コンストラクトの場合、マトリックス・シ−トは、マンドレル上に少なくとも2回、そして好ましくは更に一周の5%乃至20%を、重なりとして巻くことができなければならない。二層巻き付けではマトリックス・シ−ト表面同士の間に100%の接着領域が提供されるが、更なるパ−センテ−ジで重なりがあると、密で不浸透性の継ぎ目が確実となる。三層コンストラクトの場合、マトリックス・シ−トはマンドレル上に少なくとも3回、巻くことができなければならない。コンストラクトは、所望のマトリックス・シ−トの寸法及び仕様によって制限を受けるいずれの層数にしても調製されよう。典型的には、管状のコンストラクトは、様々な重なりの程度で、例えば2乃至6層、又は2もしくは3層など、10以下の層を有するであろう。巻き付け後、気泡、しわ、及び折り目を材料の下側及び層間から逃して均す

マトリックス・シ−トは、手で、又は、マンドレルの下側又は巻かれたマトリックス・シ−トの層間で発生することのある気泡又は水泡又は折り目を均一に引っ張って均すのを助ける装置の支援を受けて、マンドレル上に巻いてよい。該装置は、それが回転してマトリックス・シ−トを巻き付けるときにその長さ方向でマンドレルが接触することのできる表面を有するであろう。

次に、巻かれたマトリックス・シ−トの層を、マトリックス・シ−トから形成された平らなシ−ト・コンストラクトを接触及び架橋するのに用いられた方法及び物質を利用することで、互いに接着する。架橋及びすすぎ後、巻かれて脱水されたICLコンストラクトを、そこでスリ−ブを介してマンドレルから引き抜いても、あるいは更なる加工に向けて残しておいてもよい。コンストラクトを再水和剤を含有する室温の容器に少なくとも約10乃至15分間、移すことによりコンストラクトを水溶液、好ましくは水、で再水和させ、層を分離又は層剥離させることなくそれらを再水和する。

物質の添加。本発明による、失活させた、又は脱細胞化させた一枚の細胞−マトリックス・シ−ト又は多層細胞−マトリックス・コンストラクトは、更に、体内に移植又は内植されたときに生体内の細胞及び組織が好ましい方法でそれに反応するよう、様々な操作上又は機能上の品質を与える、あるいは、様々な特徴を材料に与える一種以上の付加的な物質を含んでもよい。

ヘパリン。コンストラクトを、例えば循環系内など、血液と接触した状態で用いる実施態様では、コンストラクトの全表面に、又は、平らなシ−ト・コンストラクトの片面のみに、あるいは管状コンストラクトの場合は内腔又は内腔から離して、コンストラクトにヘパリンを施すことにより、コンストラクトを非血栓生成性にする。ヘパリンは多種の公知の技術によりコンストラクトに施すことができる。描写のために言うと、ヘパリンは以下の三つの方法でコンストラクトに施すことができる。第一に、ベンザルコニウムヘパリン(BA−Hep)イソプロピルアルコ−ル溶液をプロテ−ゼに、ル−メンを垂直方向で充たすか、あるいはプロテ−ゼを溶液に浸して施した後、それを空気乾燥させる。この手法でコラ−ゲンはイオン結合したBA−Hep錯体で処置される。第二に、EDCを用いてヘパリンを活性化した後、ヘパリンをコラ−ゲン線維に共有結合させることができる。第三に、EDCを用いてコラ−ゲンを活性化した後、プロタミンをコラ−ゲンに共有結合させ、次にヘパリンをこのプロタミンにイオン結合させることができる。

抗菌処置、薬物、成長因子、サイトカイン遺伝物質及び培養細胞をマトリックス層中又は層上に取り入れてもよい。付加的な物質の層をコンストラクトの少なくとも一表面上に配置してもよく、このような付加的な物質の層には、タンパク質及び他の細胞外マトリックス成分が純粋な形又は粗の形で含まれる。

タンパク質。細胞外マトリックス・タンパク質は、本発明での使用に好適なクラスのタンパク質である。例には、限定はしないが、コラ−ゲン、フィブリン、エラスチン、ラミニン、及びフィブロネクチン、プロテオグリカンがある。例えば、タンパク質フィブリノ−ゲンは、スロンビンと組み合わされるとフィブリンを形成する。ヒアルロナン(ヒアルロン酸又はヒアルロネ−トとも呼ばれる)は結合組織上皮組織及び神経組織全体に広く分布する非硫酸化型グリコサミノグリカンである。それは細胞外マトリックスの主成分の一つであり、細胞増殖及び泳動に著しく寄与し、術後接着を減らすために用いられる。天然発生したこれらのタンパク質のそれぞれに多数の種類があり、合成製造又は遺伝子操作により作製可能な、あるいは合成製造又は遺伝子操作により作製された種類もある。例えば、コラ−ゲンは数多くの型及び種類で生じる。これらの種類及び下位分類のすべては、ここで指名されたタンパク質の使用に包含される。タンパク質という用語には、更に、限定はしないが、フラグメント類似体保存的アミノ酸置換、及び、各名称のタンパク質に関して非天然で生じたアミノ酸との置換が含まれる。「残基」という用語は、ここでは、アミド結合によりタンパク質に導入されたアミノ酸(D又はL)あるいはアミノ酸模倣体を言うために用いられる。従って、アミノ酸は天然発生型のアミノ酸と考えられ、あるいは、他に限定しない限り、天然発生型のアミノ酸と同様な態様で機能する、天然アミノ酸の公知の類似体(即ちアミノ酸ミメティック)も包含されよう。更に、アミド結合ミメティックには、当業者に公知のペプチド骨格修飾が含まれる。

合成材料を、細胞−マトリックス・コンストラクトの少なくとも一方の表面上に配置してもよい。合成材料をシ−トの形で、細胞−マトリックス・コンストラクト上に積層するか、又は互い違いに配置することで、細胞−マトリックス層上に合成層を形成させてもよい。合成材料のある一つのクラスは、好ましくは生物学的に適合性の合成材料であるが、ポリマ−を含むものである。このようなポリマ−には、限定はしないが以下のものがある:ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)又はシリコ−ン、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレ−ト)、ポリ(ビニルアルコ−ル)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテ−ト)、ポリ(エチレングリコ−ル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリドエス)(PLGA)、ポリ無水物、及びポリオルトエステル、あるいは、生物学的に適合性ある、開発されるかも知れない他の類似体合成ポリマ−。用語「生物学的に適合性ある合成ポリマ−」には、コポリマ−及びブレンド物や、前述のものを一緒にした、あるいは一般に他のものを一緒にしたコポリマ−が含まれよう。これらのポリマ−の使用は、用途及び必要な仕様に依るであろう。例えば、生物学的に適合性の合成ポリマ−は生分解性でもあると考えられ、従って対象の身体内に移植されたときに時間と共に生分解する。細胞−マトリックス・コンストラクト上に配置されたときに、組合せのコンストラクトは生分解性層及び生体リモデリング層を含む。これらのポリマ−やポリマ−の種類のより詳細な議論は、全文をここに挙げたのと同様に引用をもってここに援用することとするBrannon−Peppas, Lisa,
"Polymers in Controlled Drug Delivery," Medical Plastics and
Biomaterials, November 1997に記載されている。

裏打ち層として用いてもよい別の合成材料の一例はシリコ−ンである。多孔質もしくはマイクロ多孔質の膜又は非多孔質フィルムの形のシリコ−ン層を施し、マトリックス・コンストラクトに接着させる。創傷治癒に用いられる場合、シリコ−ン層を用いてマトリックス・コンストラクトを皮膚創傷に対して取り扱い、操作することで創傷周辺密封してマトリックス・コンストラクトを封入して創傷を処置する。またシリコ−ンは創傷が乾燥しないようにする水分バリアを成す。典型的には21日目であるが、治癒した創傷組織が成功裏に形成した後、治癒した又は治癒中の創傷の端部から鉗子慎重に引き剥がす。

滅菌。 次にコンストラクトを医療器具滅菌の当業で公知の手段を用いて最終滅菌する。好適な滅菌法は、その開示をここに援用することとする米国特許第5,460,962号による、充分な量の10 N水酸化ナトリウム(NaOH)で中和させた無菌0.1%過酢酸(PA)処置にコンストラクトを接触させることによる。混入除去は、例えば1 L Nalgeなど、シェ−カ−・プラットホ−ム上に置いた容器中で約1.8±2時間の間、行われる。次にコンストラクトを三つの量の無菌水にそれぞれのすすぎで10分間、接触させることにより、それらをすすぐ。

本発明のコンストラクトをガンマ線照射により滅菌してもよい。コンストラクトは、ガンマ線照射に適した材料製の容器中に梱包し、真空密閉器を用いて密封し、続いてこれを密封バッグ内に入れて25.0 乃至35.0 kGyでガンマ線照射する。ガンマ線照射により、著しく、しかし有害でない程度に、ヤング係数及び縮み温度が低下する。ガンマ線照射後の機械的特性はそれでも尚、ある範囲の用途にとっては充分であり、ガンマ線は移植可能な医療器具の分野で幅広く用いられているため、好適な滅菌手段である。

V.物理的修飾
更に本発明のコンストラクトを、創傷の手当てを要する対象に移植する前にメッシュ処理してもよい。創傷治癒に用いられる場合、メッシュ処理により、創傷床にコンストラクトがよくなじむようになり、移植片の下方からの創傷滲出液の排出手段となる。用語「メッシュ処理」は、組織に細孔を穿孔してネット様の構成を形成する機械的方法であると定義しておく。メッシュ処理は好ましくは、従来の皮膚用メッシャ−(ZIMMER(R);
BIOPLASTY(R))の利用により行われるとよい。メッシュ処理後のコンストラクトは、細孔が開放し、その後創傷床に施されるように皮膚を伸展させることにより拡張させられてもよい。拡張後のメッシュ処理済コンストラクトは、被覆率が最大の創傷面積を提供する。代替的には、メッシュ処理後のコンストラクトを拡張させずに、単に拡張していない細孔を持つシ−トとして、施してもよい。メッシュ処理後のコンストラクトを単体で施しても、あるいは、身体の別の区域由来の対象自身の皮膚と一緒に施してもよい。また本発明のコンストラクトは、穿孔又は開窓、及び、他の手段により提供された孔を有していてもよい。開窓は、レ−ザ−、パンチメス、針又はピンを用いて手で施されてもよい。

本発明のコンストラクトには、更に当該コンストラクトの両方の平面間を連絡する穴を設けてもよい。穴は、規則的又は非規則的パタ−ンで導入された穿孔である。またメス又は針で組織に切り目を付けたり、又は穿孔したりしてもよいであろう。

VII.処置の方法
本発明の生命工学によるコンストラクトは創傷治癒に用いてもよく、例えば手術による創傷又は火傷区域を含む急性の創傷、あるいは、静脈潰瘍糖尿病性潰瘍褥瘡潰瘍などの慢性の創傷は、開示した皮膚コンストラクトの適用により、治癒上利点を経験するであろう。表皮水疱症などの他の先天性皮膚病にも同様に利点があるであろう。本発明の生命工学によるコンストラクトは、心臓用途、歯根膜用途、外科用途、及び美容用途や神経学的用途、例えば硬膜修復パッチ又は末梢神経収縮用移植片、神経束用の包装材料又は神経再生を案内するチュ−ブなど、に用いてよい。

細胞送達。 本発明の生命工学によるコンストラクトは細胞送達用途に向けて構成してもよく、また細胞送達用途で用いられてもよい。本発明の失活又は脱細胞化させたコンストラクトを細胞の培養基質として用いてもよい。本発明のコンストラクトは主にコラ−ゲンを含むため、それらは細胞培養の天然の基質である。本発明のマトリックス・コンストラクトは培養装置中に配置及び固定してもよく、培養基中の細胞懸濁液をこのマトリックス・コンストラクト上に配置することで、マトリックス・コンストラクトの表面に付着及び増殖させてもよく、あるいは、マトリックス・コンストラクトの表面中及び下方、あるいは両者、に付着及び増殖させてもよい。マトリックス・コンストラクトとの培養に選択される細胞は、損傷もしくは罹患器官又は組織を処置することで、その器官又は組織を修復してそれに意図された機能性を復元するために好ましい品質を有するものである。細胞送達に向けた、本発明のコンストラクトの別の構成の一例の場合、マトリックス層を、もしくは始原細胞、前駆細胞又は機能性細胞の送達のためのポケット又はエンベロ−プとして構成してもよい。

本発明の実施をより良く説明するために以下の例を提供するが、以下の例は、本発明の範囲をいずれの態様でも制限するものと解釈されてはならない。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、ここで解説された方法に多様な改変を行うことができることは認識されよう。

実施例
実施例1:ヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスの形成
ヒト新生児包皮線維芽細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc社で発生)を5 x 105 個の細胞/162 cm2組織培養処理フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Costar Corp.社、cat # 3150)に播種し、成長培地中で成長させた。成長培地はダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランドウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)に 10%新生仔ウシ血清(NBCS)
ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び 4 mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。この細胞を37 ± 1°C で 10 ± 1% CO2の大気を容れたインキュベ−ト内に維持した。培地は2乃至3日毎に、調製したばかりの培地に取り替えられた。8日間の培養後、細胞をコンフルエントに成長させ、つまり、細胞は組織培養フラスコの底面に沿って密に詰まった単層を形成し、培地を培養フラスコから吸引した。単層をすすぐために、滅菌ろ過したリン酸緩衝生理食塩水を各培養フラスコの底面に加えた後、フラスコから吸引した。5 mLトリプシン−バ−ゼングルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を各フラスコに加えることで細胞をフラスコから遊離させ、優しく揺らすことで単層が確実に完全に覆われるようにした。培養物をインキュベ−タ内に戻した。細胞を遊離させてすぐに5 ml のSBTI(大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、懸濁液と混合してトリプシン−バ−ゼンの作用を停止させた。細胞懸濁液をフラスコから取り出し、無菌の円柱状の遠心分離管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することにより、細胞を採集した。

新鮮な培地を用いて細胞を3.0 x 106
個の細胞/mlの濃度になるように再懸濁させ、6ウェルトレイに入った0.4ミクロンのポア・サイズで24 mmの直径の組織培養株処置済みインサ−ト (TRANSWELL(登録商標), Corning Costar社)に3.0 x 106 個の細胞/インサ−ト(6.6 x 105個の細胞/cm2)の密度に播種した。この細胞を37 ± 1°C で10 ± 1% CO2 の大気のインキュベ−ト内に維持し、2乃至3日間毎に21日間、新鮮な産生培地を加えた。産生培地は3:1でDMEM及びHams F−12 培地(メリ−ランド州ゲイザ−ズバ−グQuality Biologics 社)の基本混合物、4 mM GlutaMAX−1(登録商標) (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加物を最終濃度5
ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology 社)、2%ウシ新生児血清(ユタ州ロ−ガン、Hyclone社)、0.4 μg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma 社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコマ、Fluka社、ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコシンミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine
Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA社、Inc.#013−12061)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG) 3400−3700 MW (細胞培養等級)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)になるように含んでいた。

組織分析用試料を7日目、14日目及び21日目に採取し、ホルマリンに固定した後、パラフィン包埋した。ホルマリン固定された試料をパラフィンに包埋し、5マイクロメ−トルの切片をヘマトキシリンエオシン(H&E)で当業で公知の手法に従って染色した。H&E染色されたスライドを用い、厚さの測定を10個の無作為に抽出された顕微鏡視野に対し、10 mm/100 マイクロメ−タ−焦点鏡を取り付けた10倍の接眼レンズを用いて行った。

ヒト皮膚線維芽細胞の二つの異なる細胞株の結果を表1に要約するが、表1では、細胞−マトリックス・コンストラクトの、それが発達するにつれた厚さを示す。

更に試料を7日目、14日目及び21日目にコラ−ゲン濃度分析のためにも提出した。コラ−ゲン含有量は、当業で公知のヒドロキシプロリン含有量に関する比色検定法を利用して推定された(Woessner, 1961)。それらと同じ時点で細胞数も判定された。表2はコラ−ゲン濃度の要約であり、表3は上述の手法を用いて二つの異なる細胞株(B156 及び B119)から作製された細胞−マトリックス・コンストラクトで採られた細胞デ−タの要約である。

7日目、14日目及び21日目のヒト細胞由来皮膚マトリックスの試料を遅延還元SDS−PAGEで分析して、試料中のコラ−ゲンの組成を判定したところ、タイプI及びタイプIIIコラ−ゲン・アルファ・バンドが示された。

皮膚マトリックスの製化学的特徴は、免疫組織法を用いて判定された。フィブロネクチンの同定は、パラフィンで固定された切片に対し、Zymedヒスステイン・ソトレプトアビジンビオチン系(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ、Zymed Laboratories Inc.社)を用いて行われた。テナシンの存在は、一次抗テナシン抗体染色(カリフォルニア州カ−ピンセリア、Dakoダコ社)の次に抗マウスさびペルオキシダ−ゼ標識抗体(Calbiochem社)を二次抗体として用いて判定された。試料はジアミノベンジン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma 社)を施すことにより視覚化され、Nuclear
Fastレッド対比染色された。グリコサミノグリカン(GAG) 定量を21日目の試料に、前に解説された方法(Farndale, 1986)を用いて行った。検定で、播種後21日目に採取されたヒト細胞由来皮膚マトリックスの試料中で1cm2当り0.44グラムのGAG の存在が示された。

実施例2:化学的に規定されたヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin Vitro 形成
ヒト新生児包皮線維芽細胞を実施例1で解説した手法を用いて展開させた。次に細胞を3 x 106 個の細胞/mlの濃度になるように再懸濁させ、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24 mm 直径の組織培養株で処置されたメンブレン・インサ−トに 3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度で播種した。次にこれらの細胞を実施例1の通りに、培地を完全に省略した新生仔ウシ血清と一緒に維持した。より具体的には、培地は以下:DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)、4 mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)の3:1の混合物である基剤及び添加剤:5 ng/ml のヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、cat. #02400 ACS grade), 1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Company社)、 50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA, Inc.社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル
(PEG)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)を含んでいた。上述の手法を用いて試料を7日目、14日目及び21日目にコラ−ゲン濃度及び細胞数について検査した。結果を表4(細胞数)及び5(コラ−ゲン)に要約する。更に試料をホルマリン固定し、実施例1で解説するように光学顕微鏡分析に向けてヘマトキシリン及びエオシン処理した。組織学的評価では、規定された培地で成長させたコンストラクトは2%ウシ新生仔血清の存在下で成長させたものと同様だった。試料はまた、実施例1で解説した手法を用いると、フィブロネクチンについても陽性着色した。

内因的に産生された原線維状コラ−ゲンの他にも、デコリン及びグリコサミノグリカンも細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。

実施例3: ヒトアキレス腱線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin Vitro 形成
細胞−マトリックス・コンストラクトを実施例1で解説した同じ方法を用い、ヒト包皮線維芽細胞をヒトアキレス腱線維芽細胞(HATF)に替えた。産生培地中での21日間に続き、試料をH&E染色し、実施例1で解説した手法を用いて厚さを判定した。その結果のコンストラクトを75.00 ± 27.58ミクロン(n=2)の厚さの細胞マトリックス組織様コンストラクトとして視覚化した。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンであるデコリン及びグリコサミノグリカンもコンストラクト中に存在した。

実施例4:トランスフェクトされたヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのIn Vitro形成
トランスフェクトされたヒト皮膚線維芽細胞を以下の手法を用いて作製した。1バイアルのjCRIP−43血小板由来成長因子
(PDGF)ウィルス性産生細胞(Morgan, .J, et al.) を解凍し、この細胞を2 x 106 個の細胞/162 cm2フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Corning Costar社)に播種した。これらのフラスコに成長培地を供給し、37 ± 1°C で10 ± 1% CO2の大気を容れたインキュベ−タ内に維持した。成長培地はダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社) に10%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び4 mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。同じ日に1バイアルのヒト新生児包皮線維芽細胞 (HDFB156) も解凍し、1.5 x 106 個の細胞/162 cm2 フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Corning Costar社)にプレ−トした。3日後にこの jCRIP PDGF−43 ウィルス性産生細胞に新鮮な成長培地を供給した。HDFB156 には上述の成長培地と、8 μg/ml のポリブレン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)とを加えた。翌日、HDFB156の細胞を以下のように感染させた。jCRIP PDGF−43ウィルス性産生細胞の使用済み培地を採集し、0.45ミクロン・フィルタ−を通してろ過した。8 μg/ml ポリブレンをこのろ過後の使用済み培地に加えた。次に、使用済み培地をHDF上に置いた。その後の2日間、このHEFに新鮮な成長培地を供給した。HDFがp5 から p6に継代した後に、2.5
x 106 個の細胞/162 cm2 フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Corning Costar社)の密度で播種した。細胞は以下の通りに継代させた:使用済み培地を吸引した。次に、フラスコをリン酸緩衝生理食塩水ですすいで、残ったウシ新生仔血清を取り除いた。5 mLトリプシン−ヴェルゼンを各フラスコに加えて細胞をフラスコから遊離させ、やさしく揺らして単層の完全な被覆を確実にした。培養株をインキュベ−タに戻した。細胞が遊離してすぐに、5 mL のSBTI (大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、懸濁液と混合してトリプシン−ヴェルゼンの作用を停止させた。細胞/トリプシン/SBTI懸濁液をフラスコから取り出し、無菌の円柱型遠心管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することで細胞を採集した。細胞を、上述の密度での播種に向けた成長培地に再懸濁させた。2日後に細胞に新鮮な成長培地を供給した。翌日、細胞を上述した通りに回収し、1.5 x 106 個の細胞/ml の密度になるように、10%
ジメチルスルホキシド(DMSO) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)と一緒に10%ウシ新生仔血清(NBCS)を含有する成長培地に希釈した。その後、細胞を1 ml/低温バイアルで 約 −80 °Cに凍結させた。

この例のためのコラ−ゲン性マトリックスの作製は実施例1及び3と同じ手法を用いるが、ヒト新生児包皮線維芽細胞を、上述したように高レベルの血小板由来成長因子(PDGF)を産生するように形質転換したヒト新生児包皮線維芽細胞と置換している。播種後18日目に上述した通りにH&E染色に向けて試料を採取した。更に試料を、実施例10に挙げたフィブロネクチンの存在について、アビジン−ビオチン法を用いて染色した。試料は実施例1で解説された通りにH&E染色に向けて播種後18日目に採取され、実施例1で解説したものと同様な細胞−マトリックスの肉眼での外観を示し、測定された厚さは123.6ミクロン(N=1)だった。細胞−マトリックス・コンストラクト中のトランスフェクト細胞のPDGF出力は、培養期間(18日間)を通してELISAにより100 ng/mL であることが測定されたが、PDGF
コントロ−ル出力は検出不能だった。

実施例5:ヒト角膜実質細胞によるマトリックスのin Vitro 形成
ヒト角膜実質細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc社由来)を角膜の間質コンストラクト作製に用いた。ヒト角膜実質細胞のコンフルエントな培養株をそれらの培養基質からトリプシン−ヴェルゼンを用いて遊離させた。遊離時、大豆トリプシン阻害剤を用いてトリプシン−ヴェルゼンを中和させ、細胞懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄した後、細胞を基本培地中に再懸濁させて、濃度を3X106 個の細胞/mlにした。細胞は、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで 24 直径の組織培養物処理トランスウェル中に3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度で播種された。これらの培養物を一晩、播種培地中に維持した。播種培地はダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) 及びHams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics 社)の3:1の基本混合物、4 mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)、及び添加剤: 5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(EGF) (ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 X 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び 6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Company社)から成った。この後、培養物に新鮮な産生培地を供給した。産生培地はDMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、Gibco BRL社)及び添加剤: 5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology 社)、2%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、Hyclone社)、0.4 mg/ml ヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 M エタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml トランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rM トリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/ml セレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO
pure chemical company社)、 0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社、細胞培養等級)から成った。

細胞を37 ± 1°C で10% ± 1% CO2
の大気のインキュベ−タ内に維持し、2乃至3日毎に20日間、新鮮な産生培地を供給した(合計21日間の培養)。21日間の培養後、角膜実質細胞は、実施例1で解説した方法で測定したところ厚さ約40ミクロンのマトリックス層を付着させていた。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンであるデコリン及びグリコサミノグリカンも細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。

実施例6:産生培地に播種されたヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin vitro形成
ヒト新生児包皮線維が細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc.社機嫌)を、6ウェル・トレイ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Costar Corp. 社製TRANSWELL(R))に容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24
mm の直径の組織培地処理済担体に 1 x 105 個の細胞になるように播種し、成長培地中で成長させた。成長培地は:ダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)に、10%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び4mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。この細胞を37 ± 1°C で10 ±1% CO2の大気を容れたインキュベ−タ内に維持した。2乃至3日毎に培地を取り替えた。培養での9日間後、培地を培養皿から吸引し、産生培地に取り替えた。この細胞を37 ± 1 °C で10 ± 1% CO2 の大気を容れたインキュベ−タ内に維持し、新鮮な産生培地を2乃至3日毎に21日間、供給した。産生培地は: DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、2% ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、Hyclone社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、NY ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO
Pure Chemical Company社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレンgグリコ−ル (PEG) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社、細胞培養等級)から成った。

試料を21日目に採取し、ホルマリン固定した後、パラフィン包埋した。ホルマリン固定した試料をパラフィンに包埋し、5マイクロメ−トルの切片をヘマトキシリン−エオシン(H&E)で当業で通常用いられる技術に従って染色した。H&E染色済みスライドを用いて、10個の無作為に抽出された顕微鏡視野に対し、10mm/100 マイクロメ−トルの焦点板(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を取り付けた10倍の接眼レンズ(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を用いて測定を行った。この方法を用いて作製されたコンストラクトは、構造及び生化学的組成上で、実施例1で作製されたものと同様であり、82.00 ± 7.64ミクロンの測定厚さを有する。

実施例7:ブタ皮膚線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのIn Vitro 形成
ブタ皮膚線維芽細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc.起源)を162 cm2組織培養処理フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Costar Corp.社、cat # 3150) に5 x 105 個になるように播種し、以下に説明するように成長培地中で成長させた。成長培地は:ダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM)(高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)に10%ウシ胎児血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び4 mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。この細胞を37 ± 1°C で10% ± 1% CO2の大気を容れたインキュベ−タ内に維持した。培地を2乃至3日毎に取り替えた。コンフルエントになったとき、つまり細胞が組織培養フラスコの底面で詰まった層を形成したとき、培地を培養皿から吸引した。単層をすすぐために、滅菌ろ過したリン酸緩衝生理食塩水を単層に加え、その後、皿から急進した。5 mlトリプシン−ヴェルゼングルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を各フラスコに加えて細胞をフラスコから遊離させ、単層が確実に完全に覆われるようにやさしく揺らした。培養株をインキュベ−タに戻した。細胞が遊離したらすぐに5 mlのSBTI(大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、細胞懸濁液と混合してトリプシン−ヴェルゼンの作用を停止させた。懸濁液をフラスコから取り出し、無菌に円柱形の遠心分離管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することにより細胞を採集した。細胞を再懸濁させ、3 x 106
個の細胞/mlの濃度になるように希釈し、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24 mmの直径の組織培養処理トランスフェルに 3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度で播種した。細胞を一晩、播種培地中に維持した。播種培地は:DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、NY ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、 5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、 5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine
Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Pure Chemical Company社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び 0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)から成った。この細胞を、37 ±
1°Cで10 ± 1% CO2 の大気を容れたインキュベ−タ内に維持し、2乃至3日毎に7日間、新鮮な産生培地を供給した。産生培地は: DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、Gibco BRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、2%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone社)、0.4 mg/ml ヒドロコルチゾン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 M エタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、ACS 等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml トランスフェリン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rM トリヨ−ドチロニン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/ml セレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine
Chemicals Co.社)、50 ng/ml L−アスコルビン酸(WAKO Pure Chemical Company)、0.2 μg/ml L−プロリン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/ml グリシン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)細胞培養等級から成った。7日後に培地をウシ新生仔血清のない産生培地に取り替えた。この培地は、2乃至3日毎に更に20日間、培養中は合計で28日間、新鮮なものが細胞に供給された。

試料を21日目に採取し、ホルマリン固定し、パラフィンに包埋した。ホルマリン固定した試料をパラフィンに包埋し、5マイクロメ−トルの切片をヘマトキシリン−エオシン(H&E)で当業で通常用いられる技術に従って染色した。H&E染色済みスライドを用いて、10個の無作為に抽出された顕微鏡視野に対し、10mm/100 マイクロメ−トルの焦点板(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を取り付けた10倍の接眼レンズ(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を用いて測定を行った。試料は71.20
± 9.57ミクロンの測定された厚さを持つ、細胞及びマトリックスから成る構造を示した。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンの他に、デコリン及びグリコサミノグリカンも細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。

実施例8:化学的に規定された培地における、ヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin Vitro 形成
ヒト新生児包皮線維芽細胞を実施例1に解説した手法を用いて展開させた。次に細胞を濃度3 x 106 個の細胞/mlまで展開させ、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで 24 mm 直径の組織培養処理メンブレン・インサ−トに3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度まで播種した。この実施例における細胞は全体を通じて化学的に規定された培地中で培養された。

培地は:DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4 mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5
ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、cat. #02400、ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78
ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA, Inc.社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)を含有していた。

上記の基本培地に他の成分をこれらの別々の条件で加えた:
1. 5
μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)。
2. 5
μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.4 mg/ml ヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)。
3. 375 μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、6 mg/ml ヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)。

試料をホルマリン固定し、光学顕微鏡分析に向けてヘマトキシリン及びエオシン染色用に加工した。視覚的組織評価により、PEGのない条件2はPEGを含有する条件1と比較的に同様なマトリックスを示すことが実証された。コンストラクトのコラ−ゲン含有量を測定する生化学的分析では、両者でほぼ同じコラ−ゲン量が示された:PEG有りの条件1では168.7 ± 7.98 μg/cm2
であり、対照的にPEGのない条件2では170.88 ± 9.07 μg/cm2。高レベルのインシュリン及びヒドロコルチゾンを含有する条件3は、コラ−ゲンを含め、より高いマトリックス発現量を、他の二つの条件よりも早い時点で示した。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンの他に、デコリン及びグリコサミノグリカンも、全ての条件で細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。この実施例の条件2の方法で形成された培養皮膚コンストラクトを図2に示す。図2に示すのは、化学的に規定された培地中で21日目に培養ヒト皮膚線維芽細胞から形成された細胞−マトリックス・コンストラクトの、固定され、パラフィン包埋されたヘマトキシリン及びエオシン染色された切片の顕微鏡写真である。多孔質の膜はコンストラクトよりも下に薄い半透明の帯の外観をしており、細胞はこの膜の表面上で成長するが、マトリックス内の膜を包み込んだり、組み込まれたりしないことを見ることができる。

図3は、21日目にこの実施例の条件2の方法により形成された培養皮膚コンストラクトの二種類の倍率透過電子顕微鏡(TEM)画像を示す。図3Aは、線維芽細胞間の内因性コラ−ゲン線維の配置の7600倍の画像である。図3Bは、原線維の配置及び充填状態を示す、完全に形成された内因性コラ−ゲン線維の19000倍の画像である。

この実施例のすべての条件において、形成された培養皮膚コンストラクトは皮膚線維芽細胞及び内因的に産生されたマトリックスを含む。全てが、完全に形成されたコラ−ゲン原線維を、細胞間で密に配置された状態で器質化させている。それらの原線維の質、厚さ及び粘着による一体性により、コンストラクトに相当な強度が与えられているため、それを移植片又はインプラントとして、当該コンストラクトで処置しようとする対象にそれを移すときに、培養メンブレンから引き剥がすことにより取り外し、取り扱うことができる。

実施例9: ヒト線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスの形成
この実験の目的はヒトの頬組織から分離された頬線維芽細胞から細胞−マトリックス・コンストラクトを作製することである。頬を、T−150フラスコに容れた10% NBCS培地を含有するDMEM中で培養した。7日目に、更に細胞数を展開させるために、頬細胞を採集し、9本のT−150フラスコ中に4.0 x 106 個の細胞になるように10% NBCS培地を含有するDMEMに通過させ、コンフルエントになるまで培養し、コンフルエントになった時点で細胞を採集した。

細胞を採集するには、培地を培養フラスコから吸引した。単層をすすぐために、滅菌ろ過したリン酸緩衝生理食塩水を各培養フラスコの底面に加えた後、フラスコから吸引した。5 mLトリプシン−ヴェルゼングルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を各フラスコに加えて細胞をフラスコから遊離させ、やさしく揺らして単層が確実に完全に覆われるようにした。細胞をインキュベ−タ内に戻した。細胞が遊離してすぐに5 mlのSBTI (大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、懸濁液と混合してトリプシン−ヴェルゼンの作用を停止させた。この細胞懸濁液をフラスコから取り出し、無菌の円柱形の遠心分離管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することにより、細胞を採集した。

新鮮な培地を用いて細胞を3.0 x 106 個の細胞/mlの濃度に再懸濁させ、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24 mm の直径の組織培養処理インサ−ト(Corning Costar社、TRANSWELL(R))に3.0 x 106 個の細胞/インサ−ト (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度になるように播種した。この細胞を37 ± 1°C で 10 ± 1% CO2 の大気を容れたインキュベ−タ内に維持し、DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4 mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、cat.
#02400 ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び 6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Company社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA, Inc.社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)を含有する新鮮な培地を供給した。

播種から1日後に培地をSerum Free Production Mediaに置き換え、21日間、2乃至3日毎に交換した。21日目に試料を組織検査に向けてホルマリン固定した。タンパク質及びコラ−ゲンの産生分析には3つの試料を用いた。

培養21日目では、24mm直径のコンストラクトのコラ−ゲン産生はコンストラクト一つ当り平均で519 μg だった。培養21日目の24 mm 直径のコンストラクトの総タンパク質産生はコンストラクト一つ当り平均で210 μgだった。形態学的には、口内結合組織の培養組織コンストラクトである頬線維芽細胞細胞−マトリックス・コンストラクトは、マトリックスに取り囲まれた頬線維芽細胞を示したが、物理的には、コンストラクトは物理的なかさ及び一体性を有していた。

実施例10:内因的に産生されるマトリックス・コンストラクト中の線維芽細胞を終了させて失活した細胞−マトリックス・コンストラクトを形成する方法
内因的に産生される細胞−マトリックス・コンストラクト中の線維芽細胞の終了をalamarBlue(登録商標)検定を用いて検定した。alamarBlueTM検定は、成長培地の化学的還元に応答して、細胞代謝の直接的結果として色が変わる酸化−還元指標子を取り入れたものである。細胞の代謝活性の結果、alamarBlueTM の還元が起きて、曝露時間が増すにつれ、赤色又はピンク色になる。生存細胞がなければ、色の変化はほとんどないか、又は全くないはずである。

実施例1の方法に従って作製された12個の24
mm 直径のマトリックス・コンストラクト(細胞−マトリックス・コンストラクト)を、0.4ミクロンのポアを有する24 mmの培養インサ−ト上で、各培養インサ−トを深いウェルのトレイに沈めた状態で25日間、成長させた。4種類の線維芽細胞終了法(各状態についてn=3 )を一晩、行った:(1)周囲室温及び湿度での空気乾燥;(2)100%エタノ−ル中ですすぐこと;(3)瞬間凍結させた後、空気乾燥;及び(4)凍結乾燥。この24 mmメンブレン培養インサ−トを元の6−ウェル・プレ−トに戻した。それぞれのウェルは10% AlamarBlueTM
を加えた11.0 mL のダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を含んでいた。培地を各ウェルから8時間目及び24時間目に200 mL の試料として採集したが、これらの試料は96ウェル・プレ−ト中に採集及びアリクォ−トされ、2乃至8℃で保存された。2回目試料採集時点後、96ウェル・プレ−ト中の試料をプレ−ト・リ−ダ−で二つの波長で読み取った。AlamarBlueTMの還元率を、プレ−ト・リ−ダ−による吸光度から計算した。

24時間のインキュベ−ト後、検査した全ての条件が有意な代謝活性を示さなかったことから、各細胞−マトリックス・コンストラクト中の細胞がこれらの終了方法を用いて成功裏に終了させられたことが示唆された。この実施例の結果は失活した単層マトリックス・コンストラクトであり、これを本発明の多層、又は管状、又は複合型の、生命工学によるコンストラクトに用いてもよい。この実施例の失活方法を以前の実施例の生きたマトリックス・コンストラクトに応用すれば、失活したマトリックス・コンストラクトが得られるであろう。

実施例11:ヒト細胞由来皮膚マトリックスの架橋
実施例1の方法に従って、それらを75 mm 直径で、0.4ミクロンの多孔質のポリカ−ボネ−ト・メンブレン上で培養することにより作製された二つの75mm直径の細胞マトリックス・コンストラクト。一方の細胞−マトリックス・コンストラクトは室温及び湿度で空気乾燥させることにより失活させ、他方はそれを100%エタノ−ル中に一晩、浸した後、空気乾燥させてエタノ−ルを細胞−マトリックス・コンストラクトから蒸発させることで失活させた。次に両方の細胞−マトリックス・コンストラクトを一容の注射用無菌水を用いて再水和させた。2層コンストラクトを形成するために、該細胞−マトリックス・コンストラクトをそれらの各メンブレンから湾曲したピンセットを用いて引き剥がし、100mm培養皿の蓋を用いて相互に積層することで重ね合わせた。ほぼ15 mL の1.0 mM EDC溶液を、積層した細胞−マトリックス・コンストラクトに加え、一晩又はほぼ15乃至18時間、架橋させた。この2層コンストラクトをEDC溶液から取り出し、無菌水中ですすぎ、空気乾燥させて、ヒト線維芽細胞が内因的に産生した2層の、架橋させ、失活させた細胞−マトリックス・コンストラクトとした。

その後、コンストラクトを再水和させた。再水和させると、2層コンストラクトは水塊を迅速に得、滑らかな木目となった。再水和プロセスはほぼ瞬時であり、1分で行われた。2層コンストラクトは単一の組織片見え、また単一の組織片として扱われた。コンストラクトをざっと1.25 x 5 cm の4つの切れ端裁断した後、強度をInstron機械検査で調べた。Instron機で記録された各切れ端の平均強度は4.9 Nだった。

実施例12:失活させた組織コンストラクトを積層及び架橋して多層コンストラクトを形成する
16個のマトリックス・コンストラクトを約
0.4 mm のポアを有する75mmの直径の培養インサ−ト・メンブレン上で実施例1と概ね同様な方法及び材料を用いて成長させた。それらを失活させるために、組織コンストラクトを一晩、周囲室温及び湿度で空気乾燥させて、線維芽細胞を確実に終了させた。次に、失活後の組織コンストラクトを注射用の水(WFI)で水和させ、湾曲したピンセット又は鈍鉗子を用いて各メンブレンから組織コンストラクトを引き剥がした。失活後の組織コンストラクトを(便利な作業表面として)100 mm の培養皿の蓋の上に完全に広げ、続く層を、失活後の組織コンストラクトを互いの上面上に重ね合わせることで加えて、2又は3層を達成した。層を周囲室温及び湿度で一晩、又は約15乃至18時間、空気乾燥させた。乾燥後、重ねあわされた層は互いに接着していた。接着した層を水和させた後、他の接着済みの層上に重ね合わせた後、再度一晩、又は約15乃至18時間、乾燥させた。16個の単層失活組織コンストラクトから、10層、5層及び単層のコンストラクトが形成され、このとき10層及び5層コンストラクトの層同士は、乾燥及び水和化プロセスにより相互に接着していた。次にコンストラクトを架橋剤で架橋させた。コンストラクトは容器内にあり、各容器に、ほぼ10 mL の 1.0 mM EDC の WFI溶液を加えた。層状になった失活済みECM組織コンストラクトを一晩(ほぼ15乃至18時間)、架橋させた。組織コンストラクトをEDC溶液から取り出し、WFI ですすぎ、周囲室温及び湿度で最後の一回、空気乾燥させることで、架橋された、多層の、失活ヒト細胞由来組織コンストラクトを得た。

二つの多層コンストラクトをざっと1.25 x
5 cm の三つの切れ端に裁断した後、Instron機械検査器で検査して強度を測定した。5層組織コンストラクトの層一枚あたりの正規化された引張り強度は1.425 N/層と判定され;10層の組織コンストラクトでは引張り強度は1.706 N/層だった。

脱細胞性ECM組織コンストラクトの空気乾燥、積層、及びEDC架橋という組合せは、脱細胞性ECMに強度及び均質性を与える上で成功だった。脱細胞性ECM組織コンストラクトは成功裏に積層、乾燥、及び再水和化させることができる。脱細胞性ECM組織コンストラクトの取り扱い及び形状は、複数回の乾燥及び再水和化ステップで減じられることはなかった。脱細胞性ECM組織コンストラクトの総数を5層や、10層といった数に増やすと、コンストラクトの全体的強度が増し、またサイズへの切断後の組織の形状も維持された。

実施例13:トランスグルタミナ−ゼ又はトランスグルタミナ−ゼ/EDCを用いて架橋された多層細胞−マトリックス・コンストラクトの作製
失活後の細胞−マトリックス・コンストラクトを積層し、トランスグルタミナ−ゼか、又は、トランスグルタミナ−ゼに続いてEDCのMES緩衝液溶液を用いて架橋して、層同士を接着させた。トランスグルタミナ−ゼ(「TGM」)はタンパク質を結び付ける作用をする天然発生型の酵素ファミリ−の総称である。TGMは遊離網筋及びγ−カルボキサミド基間の共有結合を触媒し、リジン及びグルタミンに特異的に作用する。複数の型のTGMがあるが、この実験で注目される型は、発酵プロセスを通じて作られ、結合剤として用いられるActivaTM
食品級のTGMであろう。それは乾燥粉末として容易に用いられるが、スラリ−又は溶液として混合することもできる。

12個の細胞−マトリックス・コンストラクトを0.4μmの多孔質膜を有する75 mm 直径の培養インサ−ト上で成長させ、実施例1で挙げたものとほぼ同様な方法に従い、また材料を用いて25日間、培養した。細胞−マトリックス・コンストラクトは、それらを一晩、ほぼ15乃至18時間、周囲室温及び湿度で空気乾燥させることにより、失活させた。
乾燥後、失活した細胞−マトリックス・コンストラクトを注射用無菌水(WFI)で水和させ、コンストラクトを鈍鉗子を用いてそれらの各々の膜から引き剥がした。細胞−マトリックス・コンストラクトを100 mm培養皿状に完全に広げ、このとき、重なった細胞−マトリックス・コンストラクトはそれらの上に積層した状態にさせて3つの4層コンストラクトを形成した。積層時、各細胞−マトリックス層を、個々の層の間に加えられた様々な濃度の5.0 mL TGM溶液に接触させて(各4層コンストラクトの濃度は28U、280U、及び700Uだった)、細胞−マトリックス層全体が架橋剤で確実に処理されるようにした。細胞−マトリックス・コンストラクトを架橋溶液中でゆるやかに積層して、圧力の印加又は乾燥ステップなしのときの層の融合を評価した。3つの4層細胞−マトリックス・コンストラクトを40°Cのインキュベ−タ内に一晩、又はほぼ15乃至18時間、置いた。3つの4層細胞−マトリックス・コンストラクトを40°C のインキュベ−タから取り出し、周囲室温及び湿度で空気乾燥させた。完全に空気乾燥させた後、細胞−マトリックス・コンストラクトを無菌WFIで水和させた。細胞−マトリックス・コンストラクトを半分に切断し、次に各コンストラクトの半分を1.0 mM EDCのMES緩衝液溶液で処理し、4℃で一晩、架橋させた。TGAのみで架橋させた、各コンストラクトの他方の半分もWFI中で4℃で一晩、保存した。翌日、すべての6片をInstron機で引張り強度及び縫合の保持について検査した。

結果は試料間で異なるが、概して、全ての条件で、TGA処理のみをTGA/EDC架橋及び接着させたコンストラクトに比較したときに層一枚当りで相当な強度を有する、失活し、内因的に産生された細胞−マトリックス層の4層接着コンストラクトが出来上がった。

実施例14:食品等級のトランスグルタミナ−ゼ又は組換えトランスグルタミナ−ゼを用いて架橋された多層細胞−マトリックス・コンストラクトの作製
多層の、失活した細胞−マトリックス・コンストラクトに対する二つの形のトランスグルタミナ−ゼ(TGM)を比較した。比較した二つの型の酵素はActivaTM 食品等級及び組換えヒトトランスグルタミナ−ゼだった。

32個の細胞−マトリックス・コンストラクトを、0.4μm の多孔質膜を有する75 mmの直径の培養インサ−ト上で成長させ、実施例1で挙げたものとほぼ同様な方法に従い、材料を用いて25日間、培養した。全ての細胞−マトリックス・コンストラクトを、周囲室温及び湿度中で空気乾燥させることにより、失活させた。乾燥後の、失活させた単層細胞−マトリックス・コンストラクトを24時間後に注射用無菌水(WFI)で水和させた後、コンストラクトをそれらの各メンブレンから鈍鉗子を用いて引き剥がした。その後、8つの層を有する細胞−マトリックス・コンストラクトを作製した。

細胞−マトリックス・シ−トを、それらを重ね合わせて16個の2層細胞−マトリックス・コンストラクトにすることにより、対にして積層した。これらを再度、周囲室温及び湿度中で無菌条件下で空気乾燥させた。4組の2層コンストラクトを100mmのプレ−ト状に広げ、それぞれ、TGMの20mL の特異的型及び活性を有するか、あるいは、rhTGM溶液を加えた:(1)8層の食品等級のTGM 5U;(2) 8層の食品等級のTGM 10U;(3)8層のrhTGM 15U;及び(4)8層のrhTGM
30U。コンストラクトを40°C のインキュベ−タ内に配置し、一晩、架橋させた。翌日、各条件の2層コンストラクトを4層コンストラクトに積層した。このプロセスをTGMなしで繰り返し、一つの8層コンストラクトを各架橋条件について達成した。これらを周囲室温及び湿度で空気乾燥させ、同じTGM 架橋剤で最後の2回目、処理した。コンストラクトを40°Cのインキュベ−タ内に配置し、一晩、ほぼ18乃至24時間、架橋させた。最後の空気乾燥後、コンストラクトを無菌WFIで水和させた。各コンストラクトの厚さをレ−ザ−を用いて測定した。8層単位から採った3つの片を引張り強度及び縫合保持についてInstron機で検査した。

この実験で、8層コンストラクトに対し、rhTGMによる架橋は食品等級のTGMよりも成果が大きかった。rhTGMの濃度を低くすると、他の条件よりも引張り強度及び縫合保持がより良好となった。

実施例15:結合組織コンストラクト
線維芽細胞がバイオリアクタ−に容れたマイクロキャリア上で培養されたスケ−ル・アップ培養物から線維芽細胞を回収して播種した。線維芽細胞をステンレス製のふるい用具を用いて株分けすることで、線維芽細胞をマイクロキャリアから分離した。これで全てのマイクロキャリア及び細胞クランプが細胞懸濁液から取り除かれた。ほぼ3.0X107 個の細胞を、約 140 mL の化学的に規定されたマトリックス産生培地に浸した、表面積がほぼ44 cm2の0.4ミクロンの多孔質膜に播種した。この播種密度は超コンフルエントだった。

化学的に規定されたマトリックス産生培地は、DMEM(高グルコ−ス、L−グルタミンなし)の基剤に、ほぼ以下の量の:4 mM L−グルタミン;10 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子;
1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン;1 x
10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン;5 μg/mlトランスフェリン、20 rMトリヨ−ドチロニン、5
μg/mlインシュリン;6.78
ng/ml亜セレン酸;50 ng/mlアスコルビン酸マグネシウム;0.2 μg/ml L−プロリン;0.1 μg/mlグリシン;0.02 mg/ml ヒト組換え長鎖TGF−アルファ;0.0038
mg/mlプロスタグランジンE2 (PGE2);0.4 mg/mlヒドロコルチゾンを補ったものを含有していた。マトリックス産生培地を新鮮なマトリックス産生培地に3乃至4日毎に18日間、交換した。この期間中、内因性の細胞−マトリックス・コンストラクトが細胞によって形成された。

実施例16:二重層皮膚コンストラクト
線維芽細胞層及びケラチノサイト層を含有する皮膚コンストラクトを、完全に化学的に規定された培養培地系で形成した。胞線維芽細胞がバイオリアクタ−に容れたマイクロキャリア上で培養されたスケ−ル・アップ培養物から線維芽細胞を回収して播種した。線維芽細胞をステンレス製のふるい用具を用いて株分けすることで、線維芽細胞をマイクロキャリアから分離した。これで全てのマイクロキャリア及び細胞クランプが細胞懸濁液から取り除かれた。ほぼ1.0X107 個の細胞を、約 130 mL の化学的に規定されたマトリックス産生培地に浸した、表面積がほぼ44 cm2の0.4ミクロンの多孔質膜に播種した。この播種密度は超コンフルエントだった。

含有されていた、化学的に規定されたマトリックス産生培地:

線維芽細胞をマトリックス産生培地で11日間、培地を周期的に3乃至4日毎に取り替えながら培養した。

11日目に、ケラチノサイトの懸濁液を細胞−マトリックス・コンストラクトの表面にほぼ3.3X106 個の細胞の密度で、ほぼ:

を含有する培地に播種した。

13日目に、以下:

を含有する分化培地の使用を加えることで、分化を誘導した。

15日目に、培地調合物を、ほぼ:

を含有する培地で発達中のケラチノサイトの角質化を誘導するために変更した。

角質化培地は2乃至3日毎に交換された。

皮膚コンストラクトは成熟し、22日目から35日目まで維持され、2乃至3日毎に:

を含有する新鮮な維持培地に交換されながら維持培地を供給された。

完全に形成されると、培養皮膚コンストラクトは、内因的に産生された細胞外マトリックスと、その線維芽細胞とから成る細胞−マトリックス層を示し、細胞−マトリックス層の最上部には分化ケラチノサイト層が配置されていた。

実施例17:コラ−ゲン性材料−合成ポリマ−のコンストラクトのシルク・フィブロイン接着溶液を用いた作製
精製済み異種コラ−ゲン層(例えば「ICL」)の多様な対象物との接着特性を検査した。より具体的には、以下の実施態様に限定されるという意図はないが、(a)二つのICL 層;(b)少なくとも一つのICL層と、少なくとも一つのポリヒドロキシアルカノエ−ト− (PHA)−ベ−スのポリマ−・フレ−ム;及び(c)少なくとも一つのICL 層、間の少なくとも一つのPHAベ−スのポリマ−製ロッドに対する接着特性を分析した。試料の調製を以下の実施例で解説する:

(a)乾燥した単一層ICLを大きさで1 × 2.5 cmの数片に切断した。二片のICL を0.5cmを重ねて付着させ、一滴のシルク溶液を層間に塗布した。切断されたICL片の寸法、及び、重ねられる寸法は、上記の例に限られないことを理解されたい。
(b)PHAポリマ−・ベ−スのフレ−ムをシルク・フィブロイン溶液に少なくとも1分間、浸して、フレ−ム表面の支柱をシルク・フィブロイン溶液の薄い層で被覆した。次に、一片のICL (約 1.5 × 1.5 cm) をフレ−ムの先端に付着させた。
(c)PHAポリマ−・ベ−スのロッドを、ロッドの表面をシルク・フィブロイン溶液の薄い層で被覆するのに充分な量のシルク・フィブロイン溶液に少なくとも1分間、浸した。次に、一片のICL (約 1 × 1.5 cm) をロッドに付着させた。

次に、全ての試料を室温で約 1.5 時間、乾燥させた。その後、試料をメタノ−ル・ベ−スの溶媒に5乃至10分間、浸漬した後、10分間、乾燥させた。上記の試料は脱イオン水に少なくとも24時間、浸された。シルク・フィブロイン溶液で達成された接着特性はその後、当業者に公知の手法を用いて試料に機械的ひずみを導入することにより、評価される。

限定する意図はないが、シルク・フィブロイン水溶液の接着剤としての利用は、例えばICLとエレクトロスパン・コラ−ゲン、エレクトロスパン・フィブリン、金属ベ−スの材料、セラミック・ベ−スの材料、組織操作されたコンストラクト、合成ポリマ−材料、天然材料との間で実施することができることは、理解されねばならない。

実施例18:多層細胞−マトリックス・コンストラクトのシルク・フィブロイン接着溶液を用いた作製
多層細胞−組織コンストラクトを作製するために、数単位を培養株から取り出し、成長及び/又はマトリックス産生培地を吸引し、該単位を、少なくとも細胞が失活するまで、空気乾燥させた。次に該単位を10 ml のWFI で約10分間、再水和させた。加えて、及び/又は、代替的に、該単位を5 mLの8%シルク溶液中で再水和させるか、あるいは、0.5 mL の約8%シルク溶液に曝露し、該単位を互いに積層した。その後、該単位を一晩乾燥させた後、3 mL のメタノ−ルに少なくとも10分間、浸す。上記のステップは、5層以上の細胞−組織コンストラクトが形成されるまで、繰り返すことができる。代替法として、多層細胞組織−コンストラクトの層間にトランスグルタミナ−ゼを適用することができることは理解されねばならない。加えて、層を8%シルク溶液で処理するステップの後に、該単位をロ−ラ−を用いて平らになるまで回転させることができる。

5層以上の細胞−組織コンストラクトは、次に、該コンストラクトを凍結乾燥機内に少なくとも約17時間、配置することにより、凍結乾燥させることができる。シルク溶液を接着剤として用いることで、層状のコンストラクトを層剥離から保護することができることは理解されるはずである。

以上、明晰性及び理解を目的として前述の発明を描写及び実施例をもとにいくらか詳細に解説してきたが、特定の変更及び改変を、添付の請求項の範囲内で実施可能であろうことは当業者には明白であろう。

概要

生命工学によるコンストラクトが、外因性マトリックス成分又はネットワ−ク支持物又はスカフォ−ド部材の必要なしに内因的に産生された細胞外マトリックス成分を合成及び分泌するように誘導された培養細胞から形成される。本発明の生命工学によるコンストラクトは、生命工学によるコンストラクトの細胞を、コンストラクトの構造上の一体性を犠牲にすることなく、失活させる、及び/又は、除去することができるような様々な態様で処理することができる。更に、本発明の生命工学によるコンストラクトは、コンストラクトの多様な幾何学的形状を可能にする生体適合性/生体リモデル可能な溶液と併用することができる。

目的

これらの規範の全体的目的は、組織機能を回復、維持、又は向上させるために生物代替物を開発すること、及び究極的には応用することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
5件

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請求項1

培養された細胞外マトリックス産生細胞により産生され、かつ集合させられた細胞外マトリックス失活層を含む、生命工学によるコンストラクト

請求項2

培養された細胞外マトリックス産生細胞により産生され、かつ集合させられた細胞外マトリックスの一つ以上の付加的な失活層を更に含む、請求項1に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項3

細胞外マトリックスの層が、培養された細胞外マトリックス産生細胞を脱細胞化させてある、請求項2に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項4

細胞外マトリックスの層が、接着領域で互いに隣り合って接触する、請求項3に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項5

接着領域で隣り合って接触する細胞外マトリックスの層が、架橋により相互に接着されている、請求項4に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項6

接着領域で隣り合って接触する細胞外マトリックスの層が、前記層間に配置された生体リモデル可能又は生体吸収性接着剤により一緒に接着されている、請求項4に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項7

前記生体リモデル可能又は生体吸収性の接着剤がボンビクス−モリ(原語:Bombyxmori)カイコ由来溶液である、請求項6に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項8

前記溶液がシルクフィブロインを濃度約2%乃至約8%w/vで含む、請求項7に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項9

少なくとも一つの細胞外マトリックス層が架橋されている、請求項2に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項10

少なくとも一つの細胞外マトリックス層がより低い程度、架橋されており、そして少なくとも一つの細胞外マトリックス層がより高い程度、架橋されている、請求項2に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項11

前記層が、動物由来成分を含まない化学的に規定された培養培地を含む条件で産生される、請求項1に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項12

前記細胞外マトリックス産生細胞が、新生仔オス包皮、皮膚、尿道臍帯角膜支質口内粘膜及び腸管から成る群より選択される、請求項1に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項13

前記細胞外マトリックス産生細胞が幹細胞を由来とする、請求項1に記載の生命工学によるコンストラクト。

請求項14

前記培養された細胞外マトリックス産生細胞が皮膚線維芽細胞である、請求項1に記載の生命工学による組織

請求項15

細胞外マトリックス産生細胞を第一培養株で、細胞誘導して第一の細胞外マトリックス層を形成させる条件下で培養するステップと、細胞外マトリックス産生細胞を第二培養株で、細胞を誘導して第二の細胞外マトリックス層を形成させる条件下で培養するステップと、前記第一の細胞外マトリックス層及び第二の細胞外マトリックス層の両者中の細胞外マトリックス産生細胞を終了させて、第一及び第二の細胞外マトリックス失活層を形成させるステップと、前記第一及び第二の層を重ね合わせることで前記第一の細胞外マトリックス失活層を前記第二の細胞外マトリックス失活層に接触させて、接着領域を形成するステップと、前記第一及び第二層を接着するステップであって、前記接着が架橋又は接着剤により達成される、ステップとを含む、生命工学によるコンストラクトを作製する方法。

技術分野

0001

関連出願
本出願は、それぞれの内容を引用をもってここに援用することとする2007年11月28日に出願された米国仮出願第60/990,757号と、2008年1月15日に出願された米国仮出願第61/021,176号に基づく優先権を主張するものである。

0002

発明の分野
本発明は組織工学の分野に入る。本発明は生命工学によるコンストラクトを作製する方法に関する。この生命工学によるコンストラクトは生体適合性かつ生体リモデリング可能であり、臨床目的に用いることができる。

背景技術

0003

発明の背景
本発明は、組織工学、組織再生及び再生医療の原則に関し、生命工学法を、生命科学と結び付けることにより、正常及び病的哺乳動物組織中の構造上及び機能上の関係を理解しようとするものである。これらの規範の全体的目的は、組織機能回復、維持、又は向上させるために生物代替物を開発すること、及び究極的には応用することである。従って、生命工学による組織研究室デザイン及び製造することが可能である。生命工学による組織には、天然哺乳動物又はヒト組織や、合成もしくは天然のマトリックス骨格に通常伴う細胞を含めることができる。新規な生命工学による組織は、ホストに移植されたときには機能的でなければならず、また、ホストの身体に永久に取り込まれるか、あるいは、生命工学による組織由来の、又は、レシピエントのホスト由来の細胞によって漸進的に生体リモデリングされねばならない。外因性指示部材又は骨組を取り込んだり、又は頼ったりすることのない生命工学による組織コンストラクトの作製は、新規な生命工学による組織コンストラクトを作製する際の科学的な課題につながる。

0004

発明の概要
本発明は、培養細胞と、内因的に産生された細胞外マトリックス成分とから、外因性のマトリックス成分又はネットワーク支持物又は骨組みを要せずに作製された生命工学による組織コンストラクトに関する。このように本発明は、有利なことに、例えば生命工学による組織コンストラクトをヒトでの使用に向けてデザインする場合など、ヒト細胞と、それらの細胞により産生されるヒトマトリックス成分とから完全に作製することができる。

0005

更に本発明は、外因性のマトリックス成分、ネットワーク支持物又は骨組み部材のいずれも添加することなく、線維芽細胞などの培養細胞を刺激することで、細胞外マトリックス成分を産生させることにより組織コンストラクトを作製する方法にも関する。

0006

更に本発明は、規定された培地系で、及び/又は、例えばウシ血清又は臓器抽出物などの未規定の又は非ヒト由来生物成分を用いることなく、線維芽細胞などの培養細胞を刺激することで、細胞外マトリックス成分を産生させることにより組織コンストラクトを作製する方法にも関する。

0007

更に本発明は、培養細胞外マトリックス産生細胞により産生及び集合させられた、失活及び/又は脱細胞化させた層の細胞外マトリックスを含む生命工学によるコンストラクトに関する。

0008

また更に本発明は、生命工学によるコンストラクトを作製する方法であって、二つ以上の層の内因的に産生された細胞外マトリックスを作製するステップと、次に、この二つ以上の層を架橋及び/又は生体適合性かつ生体リモデリング可能な接着性溶液で組み合わせる前に、前記細胞外マトリックス産生細胞を失活及び/又は脱細胞化するステップとを含む。

0009

組織コンストラクトは、骨組み支持物の必要性、又は、外因性の細胞外マトリックス成分の添加を必要とせず、培養細胞により産生及び自己集合させられる。

0010

発明の詳細な説明
これまで、現在の生命工学による生体組織コンストラクトは完全に細胞が集合させたものでなく、構造物又は支持物、あるいは両者のために外因性のマトリックス成分又は合成部材の添加又は導入のいずれかに依拠せねばならない。

0011

ここで解説する生命工学による組織コンストラクトは、それらの細胞が由来となった元の組織の天然の特徴を数多く、示す。このように作製された組織コンストラクトは、対象への移植や、又はin vitroでの検査に用いることができる。

0012

好適な実施態様の一つは、第一細胞種と、内因的に産生された細胞外マトリックスとを含む細胞−マトリックス・コンストラクトであり、この場合の第一細胞種は合成可能であると共に、細胞外マトリックスを分泌して細胞−マトリックス・コンストラクトを生じることができる。

0013

もう一つの好適な実施態様は、第一細胞種及び内因的に産生された細胞外マトリックスと、その上に配置された、又は、前記第一細胞種により形成された細胞−マトリックス・コンストラクト内に配置された、第二種の細胞層とを含む二重層コンストラクトである。

0014

より好適な実施態様は、培養真皮コンストラクトを形成するための、真皮由来のものなどの線維芽細胞を含む細胞−マトリックス・コンストラクトである。

0015

もう一つの好適な実施態様は、培養真皮コンストラクトを形成するための、真皮由来のものなどの線維芽細胞を、その上に表皮層を形成する培養ケラチノサイトの層と一緒に含み、こうして培養二重層コンストラクトとする細胞−マトリックス・コンストラクトである。本発明の培養皮膚コンストラクトは、天然の皮膚の数多くの生理的、形態的、及び生化学的特徴を示す。

0016

さらにより好適な実施態様では、前記細胞−マトリックス・コンストラクトは、その培養中に何の化学的に未規定の成分を用いることなく、ヒト由来細胞を含む規定された系で形成された、皮膚の真皮層に似たヒト真皮コンストラクトである組織コンストラクトである。

0017

最も好適な実施態様では、本発明の組織コンストラクトは、ヒト由来細胞は含むが、化学的に未規定の、又は非ヒト生物成分もしくは細胞は含まない、化学的に規定された系で作製される。

0018

本発明のある好適な実施態様は、少なくとも一種類の細胞外マトリックス産生細胞と、より簡単には「マトリックス」と呼ばれる、内因的に産生された細胞外マトリックス成分の構造層を含み、この場合、前記マトリックスは当該細胞を培養することより完全に細胞合成され、集合させられたものである。この層はここでは「細胞−マトリックス・コンストラクト」又は「細胞−マトリックス層」と呼ばれる。なぜなら前記細胞はそれらのマトリックスを分泌し、かつそれらのマトリックス内に、そしてマトリックスにわたって包まれているからである。培養組織コンストラクトは、外因性のマトリックス成分、即ち、培養細胞によって産生されるのではなく、他の手段によって導入されたマトリックス成分、を要さず、従って含まない。あるより好適な実施態様では、ヒト真皮線維芽細胞により生じる細胞−マトリックス・コンストラクトは、天然の皮膚に似た、コラーゲンを主に集中させていることが示されている。電子顕微鏡立証されるように、このマトリックスは繊維性であり、4分の1ずつ交差した67nmのバンディングパターンを示すコラーゲンや、天然のコラーゲンに似た原線維及び線維束パッキング機構を含む。遅延還元SDS-PAGEでは、これらのコンストラクト中、天然のヒトの皮膚で主に見られるコラーゲン種であるタイプI及びタイプIIIコラーゲンの両方の存在が検出されている。標準的な免疫組織化学法(IHC)技術を用いると、真皮細胞−マトリックスは、コラーゲン線維と結合することが公知であると共に、in vivoで線維直径を調節すると考えられているデルマタンスルフェートプロテオグリカンデコリンについて陽性に染色される。デコリンはまた、TEMでコンストラクト中に観察することができる。作製された組織は、例えば間充織又は修復中の組織などで見られる、細胞外マトリックス糖タンパク質であるテネイシンについても陽性に染色される。in vivoで修復中の組織と大変同じように、培養で作製される組織は、マトリックスが形成されるにつれ、そのタイプIのタイプIIIコラーゲンに対する比を増加させていくことが示されている。理論に縛られることを望む訳ではないが、細胞は、それら同士の間の空いた空間を、大部分がタイプIIIコラーゲン及びフィブロネクチンから成る肉芽組織に似た緩いマトリックスで充たし、その後、この緩いマトリックスを、大部分がタイプIコラーゲンから成る、より密なマトリックスでリモデルするのだと考えられる。作製された細胞−マトリックスは、ヒアルロン酸(HA)などのグリコサミノグリカン;フィブロネクチン;ビグリカン及びヴェルシカン原語:versican)など、デコリン以外のプロテオグリカン;及び、ジヒアルロン酸などの硫酸グリコサミノグリカンのプロファイル;ジ-コンドロイチン-0-硫酸;ジ-コンドロイチン-4-硫酸;ジ-コンドロイチン-6-硫酸;ジ-コンドロイチン-4,6-硫酸;ジ-コンドロイチン-4-硫酸-UA-2S;及びジ-コンドロイチン-6-硫酸-UA-2Sを含有することが示されている。これらの構造上及び生化学的な特徴は、コンストラクトが培養中に発達するにつれ、顕れ、コンストラクトがその最終的な形に達したときに著明である。完全に形成された培養真皮細胞−マトリックス・コンストラクト中にこれらの成分が存在することは、コンストラクトが、正常な真皮のそれに達した構造上及び生化学的な特徴を有することを示すものである。

0019

前述のリストは、真皮線維芽細胞から形成された培養細胞−マトリックス・コンストラクトが持つ生化学的及び構造上の特徴のリストであるが、他の種類の線維芽細胞から形成された培養細胞−マトリックス・コンストラクトは、これらの特徴の多くや、それらの由来となった組織種の他の表現型を生じるであろうことは認識されねばならない。場合によっては、化学的暴露又は接触、物理的ストレス、又はトランスジェニック手段により線維芽細胞誘導して非表現型成分を発現させることができる。本発明の別の好適な実施態様は、その上に第二層の細胞を配置させて有する細胞−マトリックス層である。該第二層の細胞を細胞−マトリックス層上で培養することで、生命工学による二重層組織コンストラクトを形成させる。あるより好適な実施態様では、第二層の細胞は上皮由来である。最も好適な実施態様では、第二層は、第一細胞−マトリックス層と一緒に培養ヒトケラチノサイトを含み、こうして細胞−マトリックス・コンストラクトは、真皮線維芽細胞と内因性のマトリックスとから形成されて真皮層を形成し、生きた皮膚のコンストラクトを含む。完全に形成されると、上皮層多層階層構造となり、かつよく分化したケラチノサイト層であり、基底層と、基底層上層と、顆粒層と、角質層とを示す。皮膚コンストラクトは、透過型電子顕微鏡(TEM)で示されるように真皮−上皮接合部分に存在する、よく発達した基底膜を有する。基底膜はヘミデスモソーム周囲で最も厚いようであり、TEMで観察したときにタイプVIIコラーゲンから成る固着原線維で目される。固着原線維は基底膜から脱出して真皮層内でコラーゲン線維を捕捉している様子を見ることができる。これらの固着原線維や、他の基底膜成分はケラチノサイトにより分泌される。また、ケラチノサイトは自ら基底膜成分を分泌することができるが、認識可能な基底膜は線維芽細胞の不在下では形成されないことも知られている。本発明の皮膚コンストラクトの免疫組織化学染色は、基底膜タンパク質であるラミニンが存在することも示している。

0020

細胞−マトリックス・コンストラクトを形成するための、本発明のある好適な方法においては、第一細胞種である細胞外マトリックス産生細胞種を基質上に播種し、培養し、それらの周り器質化した細胞外マトリックスを合成及び分泌するように誘導することで、細胞−マトリックス・コンストラクトを形成する。本発明の別の好適な方法では、細胞−マトリックス・コンストラクトの表面に第二細胞種を播種し、培養することで、二重層組織コンストラクトを形成させる。あるより好適な方法では、天然のヒトの皮膚に似た特徴を有する、完全な厚さの皮膚コンストラクトを、ヒト真皮線維芽細胞などの線維芽細胞を、マトリックス合成を誘導するのに充分な条件下で培養することで真皮細胞及びマトリックスという真皮層を形成し、その上に、ケラチノサイトなどのヒト上皮細胞を播種し、完全に分化して層状となった上皮層を形成させるのに充分な条件下で培養することで、細胞−マトリックスを形成させる。

0021

従って、本発明の生命工学による組織コンストラクトを得る方法の一つは:(a)外因性の細胞外マトリックス成分又は構造支持部材の不在下で、少なくとも一種類の細胞外マトリックス産生細胞種を培養するステップと;(b)(a)の細胞を刺激して、細胞外マトリックス成分を合成、分泌、及び器質化させることで、細胞と、それらの細胞から合成されたマトリックスとから成る組織コンストラクトを形成するステップであって;この場合ステップ(a)及び(b)は同時に行われても、又は逐次行われもよい、ステップと;(c)細胞外マトリックス成分を含む前記組織コンストラクトを臨床上の使用に向けて失活又は脱細胞化するステップとを含む。二種以上の失活又は脱細胞化させた組織コンストラクトを一緒に接触させてもよく、また、架橋や、又は、生体適合性もしくは生体再吸収可能な接着剤の使用により互いに接着させてもよい。

0022

I.培地の調合
細胞−マトリックス・コンストラクトは、細胞生存、増殖、及び、細胞による細胞外マトリックス成分の合成、を促進する培養基中で細胞を培養することにより、形成される。培養基は、通常は他の成分を更に補った栄養基剤から成る。当業者であれば、本は集め意の組織コンストラクトを成功裏に作製できるとの妥当な期待を持って、動物細胞培養の当業で適した栄養基剤を判断することができる。数多くの市販の栄養源が、本発明の実施にあたって有用である。これらには、無機塩エネルギー源アミノ酸、及びB-ビタミンを提供する市販の栄養源、例えばダルベッコの改良イーグル培地DMEM);最小基本(MEM);M199;RPMI1640;イスコーブの改良ダルベッコの培地(EDMEM)など、がある。最小基本培地(MEM) 及びM199には、ホスホリピド前駆体及び非必須アミノ酸の付加的な添加が必要である。付加的なアミノ酸、核酸酵素コファクター、ホスホリピド前駆体、及び無機塩類を提供する市販のビタミン・リッチな混合物には、Ham’s F-12、Ham’s F-10、NCTC 109、及び NCTC 135がある。濃度は様々であるが、全ての基本培地が、グルコース、アミノ酸、ビタミン、及び無機イオンの形で、他の基本的な培地成分と一緒に、細胞に基本的な栄養源を提供する。本発明で最も好適な基本培地は、無カルシウム又は低カルシウムのダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)の栄養基剤、又は代替的には、それぞれ3対1の比乃至1乃至3の比の DMEM及び Ham’s
F-12 を含むものである。

0023

基本培地には、アミノ酸、成長因子、及びホルモンなどの成分を補う。本発明の細胞培養に規定された培養基は、引用をもってその開示をここに援用することとする、Prenteauへの米国特許第5,712,163号、国際PCT公報 WO
95/31473、及びPCT公報 WO 00/29553である。Ham and McKeehan, Methodsin Enzymology,
58:44-93 (1979) に開示されたものや、又はBottenstein et al., Methods in
Enzymology, 58:94-109 (1979) の他の適した化学的に規定された培地など、他の培地が当業で公知である。好適な実施態様では、基本培地に、動物細胞培養において当業者に公知の以下の成分を補う:インシュリントランスフェリントリヨードチロニン(T3)、及びいずれか一方又は両方のエタノールアミン及びo-ホスホリル-エタノールアミンであるが、この場合、添加成分の濃度及び代替は当業者が決定できよう。

0024

本発明での使用に適した培地調合物は、培養しようとする細胞種や、作製しようとする組織構造に基づき、選択される。細胞成長、マトリックス合成、及び生存を促進するために用いられる培地や、必要とされる具体的な培養条件は、成長させようとする細胞種、又は、細胞の種類の組合せ、に依拠するであろう。

0025

場合によっては、例えば本発明の生命工学による二重層皮膚コンストラクトの作製においては、異なる添加が異なる目的のために必要であるため、培地の組成は作製の各段階で様々である。ある好適な方法では、細胞−マトリックス層は規定された条件下、即ち、化学的に規定された培地、で培養される。別の好適な方法では、組織コンストラクトは、第二細胞層がその上に配置かつ培養された細胞−マトリックス層を含み、この場合、両方の細胞種が規定された培地系で培養される。代替的には、組織コンストラクトは、規定された培地条件下で作製された細胞−マトリックス層と、未基底の培地条件下でその上に形成された第二層とを含む。反対に、組織コンストラクトは、未規定の培地条件下で作製された細胞−マトリックス層と、規定された培地条件下でその上に形成された第二層とを含む。

0026

化学的に規定された培地、即ち、血清下垂体抽出物視床下部抽出物、胎盤抽出物、又は胚抽出物、あるいは、フィーダー細胞の分泌したタンパク質及び因子など、未規定の動物臓器又は組織抽出物を含まない培地の使用が好ましい。ある最も好適な実施態様では、培地は、未規定の成分や、非ヒト動物源を由来とする生物成分を含まない。未規定の成分の添加は好ましくはないが、組織コンストラクトを成功裏に作製するためには、培養のいずれかの時点で、それらを開示された方法に従って用いてもよい。本発明を、非ヒト動物源由来でない、化学的に規定された成分を用いて培養されたスクリーニング済みヒト細胞を用いて実施する場合は、できた組織コンストラクトは規定されたヒト組織コンストラクトである。合成又は組換えの機能的な均等物も、補助的な化学的に規定された培地に、最も好適な作製法での使用において、化学的に規定された、の定義の範囲内で用いてもよい。一般的には、当業者であれば、不当な調査又は実験なしで、本発明の培地を補うために、通常公知の動物成分に対し、適した天然ヒトの、ヒト組換えの、又は合成の均等物を判断できるであろう。臨床においてこのようなコンストラクトを用いる利点は、外来性動物又は交差種ウィルス混入や感染の懸念が減ることである。検査の場では、化学的に規定されたコンストラクトの利点は、検査された場合に、未規定の成分が在るために結果が紛らわしくなる可能性がないことである。

0027

インシュリンは糖及びアミノ酸の取り込みを促進して複数の経路に渡って長期の利点を提供するポリペプチド・ホルモンである。インシュリン又はインシュリン様成長因子(IGF)の添加は長期の培養には必要である。なぜなら、細胞の糖及びアミノ酸の取り込み能も最終的には枯渇し、細胞表現型が悪化する可能性があるからである。インシュリンは例えばウシ、ヒト源など、いずれの動物を由来としても、あるいは、ヒト組換えインシュリンとして組換え手段によってもよい。従って、ヒトインシュリンは非ヒト生物源由来でない化学的に規定された成分と認定されよう。インシュリン添加は連続培養推奨されるものであり、また幅広濃度範囲で培地に提供される。好適な濃度範囲は約0.1 μg/ml 乃至約500 μg/ml、より好ましくは約5 μg/ml 乃至約 400 μg/ml、そして最も好ましくは約375
μg/mlである。IGF-1
IGF-2等のインシュリン様成長因子等の補助の適した濃度は、培養に選択された細胞種に応じて、当業者であれば容易に決定できよう。

0028

トランスフェリンは鉄輸送調節のために培地中にある。鉄は血清中に見られる必須微量元素である。鉄は血清中、その遊離型のままでは細胞にとって毒性となり得るため、好ましくは約0.05 乃至約50 μg/ml、より好ましくは約 5 μg/mlの濃度範囲でトランスフェリンに結合した状態で細胞に提供される。

0029

トリヨードチロニン(T3)は塩基性成分であり、細胞の代謝速度を維持するために培地に含められる活性型甲状腺ホルモンである。トリヨードチロニンは培地に約 0 乃至 400 rM、 より好ましくは 約 2 乃至 200 rM、そして最も好ましくは約 20 rMの濃度範囲で添加される。

0030

ホスホリピドであるエタノールアミン及びo-ホスホリル-エタノールアミンのいずれか一方又は両方が添加されるが、その機能は、イノシトール経路及び脂肪酸代謝の重要な前駆体である。血清中に通常見られる脂質の添加は無血清培地で必要である。エタノールアミン及びo-ホスホリル-エタノールアミンは培地に約 10-6 乃至 10-2 M、より好ましくは 約 1 x 10-4 Mの濃度範囲で提供される。

0031

培養の間中、基本培地には、更に、例えばヒドロコルチゾン及、セレン、及びL-グルタミン酸など、合成又は分化を誘導したり、あるいは、細胞成長を向上させたりする他の成分を添加する。

0032

ヒドロコルチゾンはケラチノサイト培養でケラチノサイトの表現型を促進すること、従って、イヴォルクリン及びケラチノサイトトランスグルタミナーゼ含有などの分化後の特徴を亢進することが示されている (Rubin et al., J. Cell Physiol.,
138:208-214 (1986))。従って、ヒドロコルチゾンは、例えばケラチノサイト・シート移植片又は皮膚コンストラクトの形成など、これらの特徴が有益であるような場合に好ましい添加剤である。ヒドロコルチゾンは約 0.01 μg/ml 乃至 4.0 μg/ml、最も好ましくは 約 0.4 μg/ml 乃至16 μg/mlの濃度範囲で提供してもよい。

0033

亜セレン酸は、血清が通常提供する微量元素であるセレンを添加するために、無血清培地に添加される。亜セレン酸は約 10-9 M 乃至 10-7 M; 最も好ましくは 約 5.3 x 10-8 Mの濃度範囲で提供してよい。

0034

アミノ酸Lグルタミンはいくつかの栄養基剤中に存在し、全く存在しないか、又は不充分な量しか存在しない場合に添加してよい。更にL-グルタミンは、GlutaMAX-1(登録商標) (ニューヨークグランドアイランド、GibcoBRL社)の商標で販売されているものなど、安定な形で提供してもよい。GlutaMAX-1(登録商標) は、安定なジペプチド型の L-アラニル-L-グルタミンであり、L-グルタミンと交換可能に用いられる場合があり、また、L-グルタミンの代替物として等モル濃度で提供される。このジペプチドは、培地中のL-グルタミンの有効濃度不確かになりかねないような保管中及びインキュベーション中の経時的分解からL-グルタミンを安定にする。典型的には、該基本培地には、好ましくは約 1 mM 乃至 6 mM、より好ましくは 約 2 mM 乃至 5 mM、そして最も好ましくは
4 mM のL-グルタミン又は
GlutaMAX-1(登録商標)を添加する。

0035

上皮成長因子(EGF)などの成長因子も、細胞の増加及び播種を通じた培養物樹立を助けるために、培地に加えてよい。天然型又は組換え型のEGFを用いてよい。天然又は組換えの、ヒト型のEGFが、非ヒト生物成分を含有しない皮膚均等物を作製する場合の培地での使用には好ましい。EGFは選択的な成分であり、約1
乃至15 ng/mL, より好ましくは 約 5乃至 10 ng/mLの濃度で提供されてよい。

0036

一種以上のプロスタグランジントランスフォーミング成長因子(トランスフォーミング成長因子アルファ又はベータを含む)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、結合組織成長因子(CTGF)、又はマンノース-6-リン酸(M6P)、又はこれらの組合せなど、他の補助成分も培地に加えてよい。

0037

プロスタグランジンE2 (PGE2) は、プロスタグランジンEシンターゼプロスタグランジンH2 (PGH2)に対する作用から生じる。いくつかのプロスタグランジンEシンターゼが同定されている。今日までのところ、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ-1 が、PGE2の形成における鍵となる酵素として浮上している。PGE2 は、好ましくは約
0.000038 μg/mL 乃至 0.760 μg/mL、より好ましくは約
0.00038 μg/mL 乃至 0.076 μg/mL、最も好ましくは約 0.0038
μg/mL 乃至 0.038 μg/mLの範囲で培地に添加される。16,16
PGE2 型も、これらの範囲で添加してよい。

0038

トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α) はマクロファージ、脳細胞、及びケラチノサイトで産生され、上皮の発達を誘導する。それはEGFに密接に関係し、同様な効果を持つEGF受容体にも結合することができる。好ましくは、長鎖型のTGF-α を本発明に用いるとよい。TGF-アルファは小型(~50 残基) のタンパク質であり、30%
の構造上のホモロジーをEGFに対して持ち、同じ表面結合型受容体部位をめぐって競合する。それは創傷治癒への関与示唆されており、特定の細胞で表現型変化を促進する。TGFアルファ又は長鎖TGFアルファは、好ましくは約 0.0005 μg/mL 乃至 0.30 μg/mL、より好ましくは約 0.0050 μg/mL 乃至 0.03 μg/mL、最も好ましくは約 0.01 μg/mL 乃至 0.02 μg/mLの範囲で培地に添加するとよい。

0039

基本培地へのケラチノサイト成長因子5 μg/mL の添加を用いて表皮化生支援してもよい。ケラチノサイト成長因子 (KGF) は好ましくは約 0.001 μg/mL 乃至 0.150 μg/mL、より好ましくは 約0.0025 μg/mL 乃至 0.100 μg/mL、最も好ましくは 約 0.005 μg/mL 乃至 0.015 μg/mLの範囲で培地に添加するとよい。

0040

基本培地へのマンノース-6-リン酸(M6P) の添加を用いて表皮化生を支援してもよい。マンノース-6-リン酸は約 0.0005
mg/mL 乃至 0.0500 mg/mLの範囲で培地に添加するとよい。

0041

CTGF(結合組織成長因子)はシステイン豊富に含み、マトリックス結合性ヘパリン結合タンパク質である。In vitroでは、CTGF は皮膚線維芽細胞上で例えば細胞外マトリックス産生の刺激、化学走性、増殖及びインテグリン発現などのTGFベータの効果を模倣する。CTGFは内皮細胞成長、泳動、接着及び生存を促進することができ、従って内皮細胞機能及び血管新生への関与が示唆されている。CTGFは、滑膜軟骨及び数多くの他の組織に位置特定されているプロテオグリカンであるペルレカンに結合する。CTGFは創傷治癒、強皮症及び他の線維性のプロセスにおける細胞外マトリックス・リモデリングへの関与が示唆されている。なぜならそれは、マトリックス・メタロプロティナーゼ(MMP)及びそれらの阻害剤(TIMPs)の両方を上方調節することができるからである。従って、 CTGF は細胞外マトリックスの合成及び分解の両方を活性化する可能性がある。

0042

上記の培地は典型的な以下に記載するように調製される。しかしながら、本発明の成分はそれらの物理特性適合性ある従来の方法を用いても調製及び集合させてよいことは理解されねばならない。当業において、利用能又は経済を目的としつつ同様の結果に至るために、特定の成分を適した類似の又は機能的に均等な作用性物質置換することは公知である。天然発生型の成長因子を、本発明の実際に用いた場合に同様の質及び結果を有するような組換え又は合成の成長因子に置換してもよい。

0043

本発明に従った培地は無菌のものである。無菌の成分は無菌で購入されたり、あるいは、例えば調製後のろ過など、常法により無菌にされたりする。以下の実施例全体を通じ、適した無菌的手法を用いた。DMEM及びF-12をまず配合し、次に個々の成分を加えて培地を完成した。全成分のストック溶液は−20
°Cで保存することができるが、例外として、栄養源は4℃で保存することができる。全てのストック溶液は上に挙げた500Xの最終濃度で調製される。インシュリン、トランスフェリン及びトリヨ−ドチロニン(すべてSigma社製) のストック溶液は以下の通りに調製される:トリヨ−ドチロニンをまず、1N塩酸(HCl)無水アルコ−ルに2:1の比で溶解させる。インシュリンは希塩酸(ほぼ0.1N)に溶解させ、トランスフェリンは水に溶解させる。次にこの三つを混合し、水で希釈して500Xの濃度にする。エタノルアミン及びo−ホスホリル−エタノ−ルアミンを水に500Xの濃度になるように溶解させ、フィルタ滅菌する。プロゲステロンを無水エタノ−ルに溶解させ、水で希釈する。ヒドロコルチゾンは無水エタノ−ルに溶解させ、リン酸緩衝生理食塩水PBS)で希釈する。セレンを500倍の濃度になるまで水に溶解させ、ろ過滅菌する。EGFは無菌のものを購入し、PBSに溶解させる。アデニンは溶解させるのが難しいが、当業者に公知のいずれの数の方法でも溶解させてよい。特定の成分を溶液中で安定化させるために血漿アルブミンをそれらに加えてもよいが、現在ではヒト又は動物源由来である。例えば、長期の保存用ヒト血清アルブミンHSA)又はウシ血清アルブミンBSA)を加えてプロゲステロン及びEGFストック溶液の活性を維持してもよい。ヒト組換えアルブミンなど、組換え型のアルブミンが開発されており、ヒト及びウシ血清由来型の代わりのそれらの代替が好ましい。培地は調製後すぐに用いることもできるが、あるいは4℃で保存することもできる。保存された場合、EGFは使用時前に加えてはならない。

0044

マトリックス産生細胞の培養により細胞−マトリックス層を形成するには、マトリックス合成及び細胞の付着を促進する付加的な物質を培地に補う。これらの補助的な物質は細胞適合性であり、高い純度に規定され、そして混入物質を含まない。細胞−マトリックス層を作製するために用いられる培地を「マトリックス産生培地」と呼ぶ。

0045

マトリックス産生培地を調製するためには、基本培地に、アスコルビン酸ナトリウムアスコルビン酸、又は、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩n−水和物など、そのより化学的に安定な誘導体の一つなどのアスコルビン酸塩誘導体を補う。アスコルビン酸塩は、プロリン水酸化や、付着させるコラゲン分子可溶性前駆体であるプロコラ−ゲンの分泌を促進するために加えられる。またアスコルビン酸塩は他の酵素の翻訳プロセッシングの重要なコファクタ−や、タイプI及びタイプIIIコラ−ゲン合成の上方調節因子として示されている。

0046

理論に縛られることを望む訳ではないが、タンパク質合成に関与するアミノ酸を培地に補うことで、細胞がそのアミノ酸自体を産生することを必要としないことで、細胞エネルギ−を温存できる。プロリン及びグリシンの添加が好ましい。なぜならこれらは、水酸化型のプロリンであるヒドロキシプロリンと同様に、コラ−ゲンの構造を成す塩基性アミノ酸だからである。

0047

必ずしもではないが、マトリックス産生培地には、選択的に中性ポリマ−を補う。本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトは中性ポリマ−なしでも作製できようが、しかしやはり理論に縛られることを望む訳ではないが、マトリックス産生培地中にそれが存在すると、コラ−ゲンのプロセッシングや付着が、試料間でより一致することになるであろう。好適な中性ポリマ−の一つは、培養細胞が産生する可溶性の前駆体プロコラ−ゲンがマトリックス付着型コラ−ゲンにin vitroでプロセッシングされることを促進することが示されているポリエチレングリコ−ル(PEG)である。約1000乃至4000MW(分子量)、より好ましくは約3400乃至3700MWの範囲の組織培養等級のPEGが、本発明の培地には好ましい。本方法で用いるのに好適なPEG濃度は 約 5%w/v以下、好ましくは約
0.01% w/v乃至0.5% w/v、より好ましくは約0.025%w/v乃至0.2% w/v、最も好ましくは約0.05%w/vの濃度であろう。好ましくは30,000−40,000 MWの範囲の、デキストランT−40などのデキストラン、あるいはポリビニルピロリドン(PVP) などの他の培養等級の中性ポリマ−を、約 5% w/v 以下、好ましくは約0.01% w/v乃至0.5% w/v、より好ましくは約0.025% w/v 乃至 0.2% w/v、最も好ましくは約0.05%w/vの濃度で用いてもよい。コラ−ゲンのプロセッシング及び付着を高める他の細胞培養等級及び細胞適合性の物質は、哺乳動物細胞培養の当業者であれば確認できよう。

0048

細胞産生細胞がコンフルエントになり、マトリックスの合成、分泌、又は器質化を助ける成分を培地に補ったら、その細胞は、細胞とそれらの細胞が合成したマトリックスとから成る組織−コンストラクト合成するように刺激されると言われている。

0049

従って、好適なマトリックス産生培地の調合物は:4 mM L−グルタミン又は等量の5 ng/ml上皮成長因子、0.4 μg/mlハイドロコルチゾン、1
x 10−4 Mエタノ−ルアミン、1 x
10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン、5 μg/mlインシュリン、5 μg/mlトランスフェリン、20 rMトリヨ−ドチロニン、6.78
ng/mlセレン、50 ng/mlL−アスコルビン酸、0.2 μg/ml L−プロリン、及び0.1 μg/mlグリシンを補ったダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM)(高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし)を含む基剤を含む。この産生培地には、他の生理学的物質培養株に加え、分泌される細胞外マトリックスの性質、量、又は種類を変えてもよい。これらの物質には、ポリペプチド成長因子、転写因子又は無機塩を含めて、コラ−ゲンの転写を上方調節してもよい。ポリペプチド成長因子の例には、両者ともコラ−ゲン合成を上方調節することが公知のトランスフォ−ミング成長因子−ベ−タ 1 (TGF−β1) 及び組織プラスミノ−ゲン活性化因子(TPA)がある。Raghow et al., Journal of Clinical
Investigation, 79:1285−1288 (1987); Pardes et al.,
Journal of Investigative Dermatology, 100:549 (1993)。コラ−ゲン産生を刺激する無機塩の一例はセリウムである。Shivakumar et al., Journal of
Molecular and Cellular Cardiology 24:775−780 (1992).

0050

II.細胞種
本発明で用いる細胞外マトリックス産生細胞種は、細胞外マトリックス成分を産生及び分泌することができ、また、この細胞外マトリックス成分を器質化して細胞−マトリックス・コンストラクトを形成することができれば、いずれの細胞種であってもよい。二種以上の細胞外マトリックス産生細胞種を培養して細胞−マトリックス・コンストラクトを形成してもよい。異なる細胞種又は組織由来の細胞を混合物として一緒に培養して、天然組織に見られるものに似た補完的成分及び構造を産生させてもよい。例えば、細胞外マトリックス産生細胞種に他の細胞種を混合して、第一の細胞種では通常産生されない量の細胞外マトリックスを産生させてもよい。代替的には、細胞外マトリックス産生細胞種に、例えば本発明の特定の皮膚コンストラクト中でなど、組織中の特化組織構造を形成するが、細胞−マトリックス・コンストラクトのマトリックス局面の全体的形成には実質的に寄与しないような他の細胞種を更に混合してもよい。

0051

本発明に従えばいずれの細胞外マトリックス産生細胞種を用いてもよいが、本発明での使用に好適な細胞種は間葉である。より好適な細胞種は線維芽細胞、間質細胞、及び他の支持結合組織細胞であり、最も好ましくは、ヒト皮膚コンストラクトの作製用のヒト皮膚に見られるヒト皮膚線維芽細胞である。線維芽細胞は、一般的には数多くの細胞外マトリックスタンパク質、主にコラ−ゲン、を産生する。線維芽細胞が産生するコラ−ゲンには数多くの種類があるが、タイプIコラ−ゲンがin vivoでは最も多い。ヒト線維芽細胞株は、限定はしないが、新生児の陰茎包皮、皮膚、臍帯、軟骨、尿道角膜支質口内粘膜、及び腸管を含む数多くの源から得ることができる。ヒト細胞には、限定する必要はないが線維芽細胞があるが、平滑筋細胞軟骨細胞及び間葉由来の他の結合組織細胞が含まれよう。組織コンストラクトの作製で用いられるマトリックス産生細胞の起源は、本発明の培養を用いた後にそれを似せようとする、あるいは模倣させようとする組織種に由来させることが、必要ではないが好ましい。理論に縛られることを望むわけではないが、新生児線維芽細胞由来のものなどの皮膚線維芽細胞は身体の大半の組織にとって幅広い用途を有する。新生児皮膚線維芽細胞の利点は、それらが可塑性を有すると考えられることであり、つまりそれらは分化転換することができることを意味し、低酸素環境には理想的であり、安全で、生体適合性があり、対象による拒絶を誘導しない点で免疫寛容である。別の好適な実施態様では、毛嚢真皮乳頭由来の顕微切片から分離された線維芽細胞を用いて、マトリックスを単独で産生させたり、あるいは他の線維芽細胞と共同で産生させたりすることができる。角膜コンストラクトを作製する実施態様においては、マトリックス産生細胞は角膜の支質から得られる。細胞ドナ−の発達及び年齢は様々であってよい。細胞は、ドナ−の、新生児、又は、成体を含むより高齢の個体の組織から得てもよい。間葉幹細胞などの胚性前駆細胞を本発明で用いてもよく、所望の組織に発達するように分化誘導してもよい。

0052

ヒト細胞が本発明での使用に好適であるが、本発明の方法で用いるべき細胞はヒトを源とする細胞には限られない。限定はしないが、ウマイヌブタ、ウシ、及びヒツジ起源を含む他の哺乳動物種;あるいはマウスもしくはラットなどのげっ歯類種を由来とする細胞を用いてもよい。加えて、自発的、化学的、もしくはウィルス的にトランスフェクトされた細胞や、あるいは組換え細胞あるいは遺伝子操作された細胞も、本発明で用いてよい。二種以上の細胞種を導入する実施態様の場合、自己由来細胞及び異質遺伝子型細胞のキメラ混合物など、二種以上の源を由来とする通常細胞のキメラ混合物;通常細胞及び遺伝子改変されたもしくはトランスフェクトされた細胞の混合物;異なる組織又は器官種由来の細胞の混合物;あるいは、二種以上の種又は組織源の細胞の混合物、を用いてもよい。

0053

組換えもしくは遺伝子操作された細胞を、細胞−マトリックス・コンストラクトの作製で用いて、高レベルの天然細胞産物又は治療薬での処置を要する対象への薬物送達移植片として働く組織コンストラクトを作製してもよい。当該の細胞は産物、成長因子、ホルモン、ペプチド又はタンパク質を継続的な時間量、産生し、又は、対象が置かれた状況を原因として生物学的、化学的、又は熱的なシグナルを受けて必要時に、移植組換え細胞を通じて対象にそれらを送達するものでもよい。培養組織コンストラクトの使用指標に応じた長期又は短期遺伝子産物発現が好ましい。治療的産物を対象に長期間送達するために培養組織コンストラクトを移植する場合には、長期の発現が好ましい。反対に、創傷を有する対象に培養組織コンストラクトを移植し、そこで培養組織コンストラクトの細胞が、正常な、又は、正常に近い治癒を促進したり、あるいは創傷部位瘢痕化を減らしたりしなければならない場合、短期間の発現が好ましい。創傷が治癒したら、培養組織コンストラクトからの遺伝子産物は当該部位ではもはや必要でないか、もはや好ましくないかも知れない。更に細胞を遺伝子操作して、「正常」ではあるが高レベルで発現するタンパク質又は異なる種類の細胞外マトリックス成分を発現するようにしたり、細胞外マトリックスと、創傷治癒の向上、新血管新生の促進又は方向付け、あるいは瘢痕もしくはケロイド形成の抑制にとって治療上有利な生きた細胞とを含む移植器具となるように何らかの態様で改変されたタンパク質又は異なる種類の細胞外マトリックス成分を発現するようにしてもよい。これらの手法は当業で広く公知であり、引用をもってここに援用するSambrook et al, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold
Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY (1989)に解説されている。上に言及したすべての種類の細胞が、本発明で用いられる「マトリックス産生細胞」の定義に含まれる。

0054

線維芽細胞が産生する主な主要細胞外マトリックス成分は原線維コラ−ゲン、特にコラ−ゲン・タイプIである。原線維コラ−ゲンは細胞−マトリックス構造で鍵となる成分であるが、本発明はこのタンパク質又はタンパク質種から成るマトリックスに限られるわけではない。例えば他のコラ−ゲン、例えばコラ−ゲン・タイプII、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、などのコラ−ゲン・ファミリ−のうちの原線維及び非原線維の両者や、同定されるかも知れない他のものを、適した細胞種を使用することにより産生されるかも知れない。同様に、現在の方法を用いて作製及び付着させることのできる他のマトリックスタンパク質には、限定はしないが、エラスチン;デコリン又はビグリカンなどのプロテオグリカン;あるいはテナシンなどの糖タンパク質;ビトロネクチン;フィブロネクチン;ラミニン;トロンボスポンジンI;及びヒアルロン酸(HA)などのグリコサミノグリカン(GAG)がある。

0055

上述の細胞種を用いて本発明の細胞−マトリックスを作製してもよいように、これらはまた、本発明の細胞−マトリックス組成物によって送達されてもよく、この場合、一種類以上の細胞−マトリックス・シ−トが、生きた形、失活させた形、又は、脱細胞化させた形で、細胞送達器具内に作り込まれる。これらの細胞種は、本発明の細胞−マトリックスと接触した状態で、機能的細胞又は細胞産物を必要とする対象内の部位に送達されてもよい。本発明の細胞−マトリックス組成物はコラ−ゲンを含み、コラ−ゲンは細胞接着にとって天然の基質であるため、これらの細胞は細胞−マトリックス組成物に自然に接着するであろう。更に細胞−マトリックス組成物は扱いが可能であるため、細胞の送達が可能であり、細胞を送達部位局在した状態で維持する手段として働く。

0056

III.培養条件及び方法
細胞−マトリックス層の作製のための系は静的なものであってもよく、あるいは、培養基への潅流手段を用いることで、形成中の細胞−マトリックス層に向かって機械的な力を印加させてin vivoでの力を模倣してもよい。適した刺激を適用すると、静的な培養に比較して、強度向上などの所望の特性が得られよう。静的な系では培養基は静止しており、培地が運動している潅流系とは対照的に比較的に無運動である。培地の潅流は細胞の生存率に影響を与え、マトリックス層の発達を増強する。潅流手段には、限定はしないが、培養膜を含有する基質担体の下方又は近傍の培養皿内に磁器攪拌棒又は電動インペラ−を用いて培地を攪拌する方法;培養皿又はチャンバ内あるいは培養皿又はチャンバを通じて媒質ポンプ圧入する方法;培養皿をやさしく攪拌する又はプラットホ−ムを震盪又は回転させる方法;あるいはロ−ラ−・ボトル内で作製する場合には転動させる方法;がある。本発明の方法で用いる他の潅流手段は当業者であれば判断できよう。他の機械的力は、培養中の多孔質膜脈動屈曲波動又は延伸により印加されよう。

0057

培養株は、細胞の培養に向けて制御された温度、湿度及び気体混合率の充分な環境条件を確実にするためにインキュベ−タ内に維持される。好適な条件は約 34 °C 乃至 38 °C、より好ましくは 37 ± 1°Cで 約 5−10 ± 1% CO2 の大気、及び約 80−90%の相対湿度(Rh)である。当業者であれば、培養しようとする細胞、又は、行おうとする培養段階に応じて、上述の環境条件内でも、あるいは外れていてもよい環境条件を容易に判断できよう。供給中、追加細胞の播種中、又は、他の処置中など、培養株をこれらの条件から周囲室温、空気、及び湿度に、培養物又はそれらの細胞−マトリックス形成能に悪影響を及ぼすことがなければ取りだしてもよい。

0058

好適な実施態様では、細胞−マトリックス・コンストラクトは皮膚線維芽細胞及びそれらの分泌マトリックスから形成された皮膚コンストラクトである。好適には、ヒト皮膚線維芽細胞を用いるとよく、皮膚から初代細胞として得るか、あるいはより好ましくは、ウィルス又は細菌混入についてスクリニングされ、純度について検査された樹立細胞ストック又はバンクから連続継代又は副次培養されるとよい。細胞は、上で細胞−マトリックス・コンストラクトを形成させる培養基質への当該細胞の播種に向けてそれらを適当な数に増殖させるために成長培地中の充分な条件下で培養される。代替的には、凍結細胞ストックからの細胞を培養基質に直接、播種してもよい。

0059

充分な細胞数が得られたら、細胞を回収し、適した培養表面に播種し、適した成長条件下で培養して細胞のコンフルエントなシ−トを形成させる。好適な実施態様では、細胞培養株の下方と、細孔を通じて細胞培養株の最上部表面よりも上方の両方に培地が接触するように浸した多孔質膜上に細胞を播種する。好ましくは、細胞を基剤又は成長培地のいずれかの中に懸濁させ、約 1 x 105個の細胞/cm2 乃至 6.6 x 105 個の細胞/cm2, より好ましくは 約 3 x 105 個の細胞/cm2 乃至 6.6 x 105 個の細胞/cm2、そして最も好ましくは約
6.6 x 105 個の細胞/cm2(1平方センチメ−トル面積当りの細胞)の密度で細胞培養株表面上に播種するとよい。培養株を成長培地中で培養して培養株を樹立させ、約 80% 乃至100% コンフルエントまで培養し、その時点で、細胞外マトリックスの合成及び分泌を上方調節するために培地をマトリックス産生培地に取り替えることにより、それらを化学的に誘導する。代わりの方法では、細胞をマトリックス産生培地に少なくとも80% コンフルエントになるように直接、播種して基本培地を産生培地に取り替える必要を無くすが、これはより高度の播種密度を要する方法である。より高い播種密度は超コンフルエントなレベルを達成するが、約300% 乃至 600%コンフルエントの範囲を含め、細胞が100% コンフルエントを越え、最高約900% コンフルエントに播種されることを意味する。超コンフルエントに播種する場合は、播種時にマトリックス産生を開始させるために、膜上の培養細胞の成長相バイパスし、細胞をマトリックス産生培地中に播種する。

0060

培養中、線維芽細胞は内因性のマトリックス分子を分泌し、この分泌されたマトリックス分子を器質化させて三次元組織様の構造を形成させるが、形成中の細胞−マトリックス・コンストラクトを収縮させてそれ自体を培養基質から引き剥がしてしまうような著しい収縮力は示さない。培地の交換は2乃至3日毎に新鮮なマトリックス産生培地と行われ、時と共に、分泌されるマトリックスは厚さ及び器質化を増加させる。細胞−マトリックス・コンストラクトを作製するのに必要な時間は、当初の播種密度、細胞種、細胞株の年齢、及び、その細胞株のマトリックス成分合成能及び分泌能に依存する。完全に形成されたら、本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトは、細胞により産生され、器質化させられた原線維性マトリックスのおかげで強固な厚さを有する。これらは、通常のコンフルエントな状態、又は、細胞が互いにゆるく接着した過剰にコンフルエントな状態の細胞株ではない。原線維性により、当該のコンストラクトには通常の培養株とは異なって粘着性の組織様の特性が与えられる。なぜならそれらは臨床の場での通例の操作による、例えばせん断又は裂けといった物理的損傷に耐えるからである。皮膚コンストラクトを形成するための皮膚線維芽細胞から培養された細胞−マトリックス・シ−トの製造においては、細胞は、細胞株表面上の自らの上に、膜表面にわたって好ましくは少なくとも約 30ミクロン以上の厚さ、又はより好ましくは
約 60 乃至 120ミクロンの厚さの器質化されたマトリックスを形成するであろう。しかし、120ミクロンを越える厚さが得られたことがあり、このような大きな厚さが必要な検査又は臨床用途での使用には適する。

0061

VI.培養基質
マトリックス産生細胞は、三次元組織様構造の形成が可能な、例えば培養皿、フラスコ、又はロ−ラ−・ボトルなど、動物細胞又は組織培養物に適した容器内で培養される。上で細胞を成長させることのできる、適した細胞成長表面は、細胞が付着することができ、形成される細胞−マトリックス・コンストラクトに固定手段を提供するものであればいずれの生物学的に適合性ある材料であってもよい。ガラスステンレス鋼ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン塩化ポリビニル、ポリビニリデンポリジメチルシロキサンフルオロポリマ−、及びフッ化エチレンプロピレンを含むポリマ−;及び融解石英ポリシリコン、又はシリコン結晶を含むシリコン基質などの材料を細胞成長表面として用いてもよい。細胞成長表面材料を化学的に処理又は修飾したり、静電的に帯電させたり、あるいは、ポリ−l−リジン又はペプチドなどの生物物質被膜したりしてもよい。ペプチド・コ−ティングの一例はRGDペプチドである。

0062

本発明の組織コンストラクトを固体の細胞成長表面上で成長させてもよいが、膜の上面及び底面の両方と連絡することで発達中の組織コンストラクトに培地が双方向で接触できるような、あるいは、培養物の下方のみから接触できるような孔を持つ細胞成長表面が好ましい。双方向の接触により、培地は、発達中の細胞−マトリックス・ベ−スのコンストラクトの上面及び底面の両方に接触することができ、培地に含有された栄養物質表面積が最大に暴露されることになる。また培地を、培養皮膚コンストラクトの発達中、上面が空気に曝されるように、形成中の培養組織コンストラクトの底面のみに接触するようにしてもよい。好適な培養容器は、培地を含有する培養容器中に懸濁させた多孔質膜などの培養処置された透過性の膜である担体又は培養インサ−トを利用するものである。典型的には、当該の膜は、蓋で覆うことのできるペトリ又は培養皿など、基剤内に挿入されて基剤を接続する管状の部材又はフレ−ムワ−クの一端に固定される。多孔質の膜を持つ担体インサ−トを取り入れた培養容器は当業で公知であり、本発明を実施するのに好適であり、また、例えばその開示を引用をもってここに援用することとする第5,766,937号、第5,466,602号、第5,366,893号、第5,358,871号、第5,215,920号、第5,026,649号、第4,871,674号、第4,608,342号を含め、いくつかが市販のものを入手可能な、本分野における米国特許証数に解説されている。これらの種類の培養容器を用いる場合、組織コンストラクトは膜の一方の表面、好ましくは上を向いた上面に生じるとよく、培養株は細胞培地に上面及び底面の両方で接触する。成長表面中の孔により、培養培地の通過が可能になり、膜を通って培養株の下側まで栄養物質が提供されるため、細胞に双方向で、又は、底面のみから、栄養物質が供給される。好適な孔のサイズは、細胞が膜を貫通して成長できないように充分小さく、しかし、培養培地に含まれた栄養物質が、例えば毛管作用により細胞−マトリックス・コンストラクトの底面まで自由に通過できるように充分大きいものである。好適な孔のサイズは約3ミクロン未満であるが、約 0.1 ミクロン乃至3 ミクロン、より好ましくは
約 0.2ミクロン乃至 1ミクロン、そして最も好ましくは約
0.4 ミクロン乃至 0.6 ミクロンのサイズの孔を用いるとよい。ヒト皮膚線維芽細胞の場合、最も好適な材料は約0.4乃至0.6ミクロンの孔のサイズを有するポリカ−ボネ−トである。最大の孔の大きさは細胞の大きさだけではなく、細胞がその形状を変化させて膜を通過する能力にも依る。組織様コンストラクトは、表面には接着するが、基質を取り込んだり、又は基質を包み込んだりせずに、最低の力で引き剥がすなどにより、それがそこから取り外せることが重要である。形成される組織コンストラクトのサイズ及び形状は、その上で成長する容器表面又は膜のサイズによって決定される。基質は円形でも、正方形でも、矩形又は多角形でもよく、また角が丸くなった形状でも、あるいは不規則な形状でもよい。基質はまた、平らでも、あるいは、創傷と界面を接するための、あるいは、天然組織の物理構造を模倣するための成型構造を生じる鋳型のような輪郭であってもよい。成長基質の表面積がより大きい場合には、比例してより多数の細胞を表面に播種し、より大量の培地が、その細胞を充分に浸すため及び栄養補給するために必要である。細胞−マトリックス・ベ−スの組織コンストラクトが最終的に形成されたら、膜基質から引き剥がすことでそれを取り外し、対象に移植する。

0063

本発明の培養細胞−マトリックス・コンストラクトは、例えば形成用のメッシュ部材など、合成又は生体再吸収性の部材に依拠しない。メッシュ部材は織られた、編まれた、又はフェルト材料として構成される。メッシュ部材を用いる系では、細胞をこのメッシュ部材上で培養し、メッシュの一方の側と間隙中で成長させて、メッシュを本培養組織コンストラクトで包み込み、かつ中に取り入れる。このようなメッシュを取り入れた方法で形成される最終的なコンストラクトは物理的な支持とかさのためにそれに依拠する。合成メッシュ部材に依拠する培養組織コンストラクトの例はNaughtonらの米国特許番号第5,580,781号、第5,443,950号、第5,266,480号、第5,032,508号、第4,963,489号に見られる。

0064

IV.化学修飾
本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトは、対象の処置時のそれらの最終的使用に応じて、細胞を終了させるために失活させるか、細胞を取り除くために脱細胞化される。

0065

本発明の細胞−マトリックスは、培養インサ−トの膜上で失活又は脱細胞化しても、あるいは、それをまずそこから取り外してもよい。培養インサ−トは細胞−マトリックスを皿内に懸架することで培養培地との双方向の接触を可能にしているため、化学的失活剤又は脱細胞化剤で細胞−マトリックス・コンストラクトを処置したり、あるいは、空気、光、又は放射線を用いて細胞−マトリックス・コンストラクトを乾燥させたりすると、この双方向の接触に影響が出るであろう。培養インサ−トは便利なように培養装置から取り外し可能であり、こうしてそれを異なる容器に移し、そこで失活剤又は脱細胞化剤に曝すか、接触させてもよい。

0066

細胞−マトリックス中の細胞を失活させるとは、細胞を取り外さずに終了させて、非生存細胞−マトリックスを形成することを意味する。本発明のコンストラクトを失活させてもよく、即ち換言すれば、内因性の細胞マトリックス成分を生じて細胞−マトリックス・コンストラクトを形成するマトリックス産生細胞を失活させて終了させる。細胞が終了すると、それらはそれらが形成したマトリックス内に留まる。失活剤及び方法は、好ましくは、細胞−マトリックスの一体性及び構造を維持するものであるとよい。

0067

細胞−マトリックス・コンストラクト中に細胞を失活させる方法の一つは、当該コンストラクトを脱水又は乾燥させて、コンストラクト中の水分をすべて、又は実質的にすべて、取り除くことである。水分を取り除く手段には、空気中での脱水、乾燥又は凍結乾燥による脱水が含まれる。空気乾燥によってコンストラクトを脱水するには、中で細胞−マトリックスが作製された容器から培養培地を取り出し、細胞−マトリックス・コンストラクトを単に充分な時間、脱水して細胞を死滅させる。脱水条件は温度及び相対湿度の点で様々である。好適な脱水温度凍結温度よりも上から、最高で、当該細胞−マトリックス・コンストラクト中のコラ−ゲンの変性温度差次的スキャンニング熱量測定法、又は「DSC」)までの範囲であり、例えば約 0°C 乃至 60°Cである。より好適な脱水温度は周囲室温、約 18°C 乃至 22°Cである。約 0% 乃至 60%の範囲など、より低い相対湿度値が好ましい。しかしながら、室内湿度に対する相対湿度約 10% Rh 乃至 40% Rh も好ましい。脱水が周囲室温及び湿度での空気乾燥により行われる場合、細胞−マトリックス・コンストラクトは約 10% 乃至 40% w/w 以下の水分量を有するであろう。従って、本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトを空気乾燥する場合、何らかのレベルの水分が残る。「リオフィライゼ−ション」とも呼ばれるが、コンストラクトを凍結乾燥する場合、細胞−マトリックスを凍結させ、次に、真空環境に置いて水分を取り除く。凍結乾燥技術を本発明で開示したコンストラクトに利用することができ、その結果、コンストラクト内の複数の成長因子の生物活性干渉されないまま留まる。ある局面では、一層の細胞−マトリックス・コンストラクトを培養株からそのまま取り出し、−80℃で凍結した後、約 6 乃至 15 時間、又はそれ以上など、一晩かけて凍結乾燥させることができる。別の局面では、一層の細胞−マトリックス・コンストラクトをまず約8時間、空気乾燥させた後、−80℃で凍結し、約 6 乃至 15 時間、又はそれ以上など、一晩かけて凍結乾燥させることができる。周囲条件内で乾燥させるか、あるいは凍結乾燥させた後、細胞−マトリックスを失活させるが、しかし尚、失活細胞及び細胞残余物は留まる。また凍結乾燥により、周囲条件下で脱水した場合とは異なる品質がもたらされるかも知れない。このような品質は、ある実施態様では、より多孔質で開放した原線維状のマトリックス構造を示す。

0068

更に化学的手段を用いて細胞−マトリックス・コンストラクト中の細胞を失活してもよい。細胞を浸透圧により終了させる水を用いてもよい。細胞−マトリックス・コンストラクトは、無菌の純粋中に、低張膨潤させて細胞を溶解させるのに充分な時間、浸漬される。細胞が溶解した後、細胞−マトリックスを失活するが、しかし尚、失活細胞及び細胞残余物は留まる。水を用いた場合、更にそれを過酢酸又は過酸化水素塩類、又はこれらの組合せなどの他の物質と混合してもよい。例えば、過酢酸約 0.05% 乃至 3% v/v を水に溶かした失活溶液を用いてもよい。この失活剤は更に、細胞を終了させたときの細胞−マトリックスの過剰な膨潤を防ぐべく、緩衝させてあっても、あるいは、高い塩濃度を含有してもよい。

0069

有機溶媒及び有機溶媒溶液を、本発明の失活剤として用いてもよい。有機溶媒は細胞−マトリックス・コンストラクト中の水を変位させて終了させることができ、従って細胞−マトリックス中に細胞を失活させることができる。好ましくは、水を取り除くために用いられる有機溶媒が、本コンストラクトからそれが取り除かれたときに何も残らないものであるとよい。好適な有機溶媒には、エチルアルコ−ル、メチルアルコ−ル及びイソプロピルアルコ−ルなどのアルコ−ル;又はアセトンがある。描写を目的とすると、細胞−マトリックス・コンストラクトを無菌のエチルアルコ−ルに、細胞−マトリックス・コンストラクト中の水が変位して細胞を失活させるために充分な時間、浸漬する。次に細胞−マトリックス・コンストラクトをこのエチルアルコ−ルから取り出し、その後、細胞−マトリックス・コンストラクト中に吸収されたエチルアルコ−ルが蒸発するのに充分な時間、空気に曝す。溶媒の蒸発後、細胞−マトリックスは失活させられるが、それでも尚、失活した細胞及び細胞残余物は残っており、この細胞−マトリックスを脱水する。

0070

細胞を失活させる他の手段には、細胞−マトリックス・コンストラクトを紫外線又はガンマ線に曝す手段がある。これらの手段を細胞−マトリックス・コンストラクトの水による低張膨潤や、他の化学的失活手段又は空気及び凍結失活手段と組み合わせて用いてもよい。

0071

本発明の細胞−マトリックスを脱細胞化させるには、細胞をその細胞−マトリックスから取り除く手段、細胞、細胞残余物が細胞−マトリックスから取り除かれた結果、それを産生した細胞のない細胞外マトリックスになるようにする。本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化してもよいが、それは換言すると、内因性細胞外マトリックス成分を産生することで細胞−マトリックス・コンストラクトを形成するマトリックス産生細胞を細胞−マトリックスから取り除くことになる。細胞を取り除くと、培養細胞により内因的に産生された細胞−マトリックスは今や残ってはいるが、それを形成した細胞がない状態である。本発明の細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化する好適な方法の一つは、細胞、細胞残余物並びに残余細胞内DNA及びRNAを取り除く一連化学処理を用いるものである。糖タンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、脂質、及び他の非コラ−ゲン性タンパク質など、他の非コラ−ゲン性及び非エラスチン性細胞外マトリックス成分も、細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化するために用いられた薬剤及び方法で取り除くか、又は減少させてもよい。細胞並びに非コラ−ゲン性及び非エラスチン性成分を細胞−マトリックスから取り除くと、非細胞性であると共に、すべてがコラ−ゲン性から成るか、又は、いくらか少量のエラスチンがありながらも実質的にすべてコラ−ゲンから成る細胞−マトリックスが出来上がる。

0072

細胞−マトリックス・コンストラクトはまず、それを有効量のキレ−ト剤、好ましくは細胞−マトリックスの膨潤を制御可能に制限するために生理的アルカリ、に接触させることにより、処理される。キレ−ト剤は、二価陽イオン濃度を減少させることでマトリックスからの細胞、細胞破壊片及び基底膜構造の除去を高める。アルカリ処置は糖タンパク質及びグリコサミノグリカンをコラ−ゲン性組織から解離させ、脂質をケン化する。用いてもよい当業で公知のキレ−ト剤には、限定はしないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 及びエチレンビスオキシエチレニトリロ)四酢酸(EGTA)がある。EDTAは好適なキレ−ト剤であり、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウムCa(OH)2、炭酸ナトリウム又は過酸化ナトリウムの添加により、よりアルカリ性にしてもよい。EDTA又はEGTA濃度は好ましくは約 1 乃至 200 mM; より好ましくは 約 50 乃至 150 mM; 最も好ましくは約 100 mMであるとよい。NaOH 濃度は好ましくは約 0.001 乃至 1 M; より好ましくは 約 0.001 乃至 0.10 M; 最も好ましくは 約 0.01 Mである。他のアルカリ又は塩基性物質は、キレ−ト溶液のpHを有効な塩基性pH範囲にすることにより、当業者であれば判定することができる。塩基性キレ−ト溶液の最終的なpHは、好ましくは約 8乃至約 12の間であるが、より好ましくは 約 11.1 乃至 11.8である。最も好適な実施態様では、細胞−マトリックスを、100 mM EDTA/10 mM NaOH の水溶液に接触させる。細胞−マトリックスは、好ましくは、アルカリ性キレ−ト剤に浸漬することで接触させるとよいが、より有効な処置は、本コンストラクト及び溶液を一緒に、この処置ステップが有効である時間、優しく攪拌することにより、得られる。

0073

その後、細胞−マトリックスを、好ましくは塩を含有する、有効量の酸性溶液に接触させる。酸処理は糖タンパク質及びグリコサミノグリカンの除去や、非コラ−ゲン性タンパク質並びにDNA及びRNAなどの核酸の除去にも役割を果たす。塩処置は酸処置中のコラ−ゲン性マトリックスの膨潤を制御し、コラ−ゲン性マトリックスからのいくらかの糖タンパク質及びプロテオグリカンの除去に関与する。当業で公知の酸溶液を用いてもよく、その中には、限定はしないが、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)
及び硫酸(H2SO4)がある。好適な酸は、好ましくは約 0.5 乃至 2 M、より好ましくは約 0.75 乃至 1.25 M;最も好ましくは ほぼ1 Mの濃度の塩酸(HCl)である。酸/塩溶液の最終pHは好ましくは約 0 乃至 1、より好ましくは 約 0乃至0.75の間、そして最も好ましくは
約 0.1 乃至 0.5の間である。塩酸及び他の強酸は、核酸分子を壊すのに最も有効であるが、弱い酸は有効性が低くなる。用いてもよい塩は好ましくは無機塩であるが、その中には、限定はしないが、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び塩化カリウム(KCl) などの塩化物があり、他の有効な塩は当業者が判断することができる。好ましくは、塩化物は好ましくは約 0.1 乃至 2 Mの間;より好ましくは 約 0.75 乃至 1.25 Mの間;最も好ましくは ほぼ1 Mの濃度で用いられるとよい。本方法で用いられる好適な塩化物は塩化ナトリウム (NaCl)である。最も好適な実施態様では、細胞−マトリックスを1 M HCl/1 M NaClの水溶液に接触させる。好ましくは細胞−マトリックスを酸/塩溶液に浸漬することにより接触させるとよいが、有効な処置は本コンストラクト及び溶液を一緒に、この処置ステップが有効である時間、優しく攪拌することにより、得られる。

0074

次に、その細胞−マトリックスを有効量の塩溶液に接触させるが、この塩溶液は好ましくはほぼ生理的pHまで緩衝されているとよい。緩衝塩溶液は膨潤を減らしながらも物質を中和する。用いてもよい塩は好ましくは無機塩であり、その中には、限定はしないが、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び塩化カリウム(KCl)などの塩化物や、硫酸アンモニウム(NH3SO4)などの窒素性塩があるが、他の有効な塩類は当業者であれば判断できよう。好ましくは、塩化物塩は好ましくは約 0.1 乃至 2 Mの間;より好ましくは 約 0.75 乃至 1.25 Mの間;最も好ましくは 約 1 Mの濃度で用いられるとよい。本方法で使用する好適な塩化物塩は塩化ナトリウム(NaCl)である。緩衝剤は当業で公知であり、その中には、限定はしないが、リン酸及びホウ酸溶液があり、他のものも、本発明での使用に向け、当業者であれば判断することができる。塩溶液を緩衝する好適な方法の一つはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加える方法であるが、好ましくはこの場合、リン酸は約 0.001 乃至 0.02 Mの濃度であり、そして塩濃度は塩溶液に対して約 0.07 乃至 0.3 M である。該溶液に好適なpHは約 5 乃至 9、より好ましくは 約 7 乃至 8、最も好ましくは 約 7.4 乃至 7.6である。最も好適な実施態様では、組織を約7.0 乃至 7.6のpHの1 M 塩化ナトリウム (NaCl)/10 mM リン酸緩衝生理食塩水(PBS) に接触させる。細胞−マトリックスは、好ましくは緩衝塩溶液に浸漬することにより接触させるとよいが、有効な処置は、組織及び溶液を一緒に、この処置ステップが有効である時間、優しく攪拌することにより、得られる。

0075

化学洗浄処置後、細胞−マトリックスを有効量のすすぎ剤と接触させることにより、それをすすいで化学洗浄剤を取り除くことが好ましい。水、等張生理食塩水及び生理的pH緩衝液などの薬剤を用いることができ、洗浄剤を取り除くのに充分な時間、細胞−マトリックスに接触させる。好適なすすぎ溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの生理PHの緩衝生理食塩水である。細胞−マトリックスから化学洗浄剤をすすぎ落とす他の手段は当業者であれば判断できよう。アルカリ性キレ−ト剤に細胞−マトリックスを接触させる洗浄ステップと、塩を含む酸溶液に細胞−マトリックスを接触させる洗浄ステップは、実質的に同じ洗浄効果が得られればいずれの順序で行われてもよい。溶液を配合しなくともよく、しかし一回のステップとして行われてもよい。

0076

細胞−マトリックス・コンストラクトを脱細胞化させたその結果は、それを産生した細胞が脱細胞化された、培養細胞が産生した内因的に産生されたコラ−ゲン性マトリックスである。脱細胞化させた細胞−マトリックス・コンストラクトの更なる結果は、それを産生した細胞が脱細胞化され、かつ、非コラ−ゲン性及び非エラスチン性細胞外マトリックス成分が取り除かれた又は減らされた、培養細胞が産生した内因的に産生されたコラ−ゲン性マトリックスである。

0077

いくつかの実施態様では、細胞−マトリックス・コンストラクトをまず失活させて細胞を終了させ、その後に脱細胞化することで、失活した細胞を取り除いてもよい。

0078

失活させた、又は脱細胞化させた細胞−マトリックス・コンストラクトは現在の状態で用いてもよいが、これらを更に化学処置、物理処置、薬物成長因子、培養細胞、天然、生合成、ポリマ−起源の他のマトリックス成分などの他の物質の添加により改変してもよく、そしてそれらを、心臓内開存した卵円孔欠損を処置するためのステント及び閉鎖具などの医療器具と組み合わせてもよい。

0079

架橋。脱細胞化させた、又は失活させた細胞−マトリックスを架橋剤を用いて架橋して、その生体リモデリング速度を制御したり、そして生体への移植又は内植時のその持続性増したりしてもよい。それを架橋して単一層のコンストラクトとして用いてもよく、あるいは、それを組み合わせるか、又は操作して、異なる種類のコンストラクトを作製してもよい。また本発明の架橋方法は、細胞−マトリックスのシ−ト、又はその部分を互いに接着する方法も提供する。

0080

細胞−マトリックスは好ましくは、最終的にはそれに意図された用途に依るプロテ−ゼの形状を持つプロテ−ゼとして用いられる多様な種類の細胞−マトリックス・コンストラクトを作製するために用いることのできる平面状のシ−ト構造であるとよい。本発明のプロテ−ゼを形成するためには、失活させた、又は脱細胞化させた細胞−マトリックス・シ−トは、マトリックス・シ−トの生体リモデリング能を保ちながらも、置換組織としてのその性能のためにその強度及び構造上の特徴を高めることもできる方法を用いて作製されねばならない。本発明の平らなシ−トのコンストラクトは、失活させた、又は脱細胞化させた細胞−マトリックス・シ−トか、あるいは、互いに接触するように積層して互いに接着させた失活させて脱細胞化させたマトリックス・シ−ト(例えば失活させた細胞−マトリックス・シ−トや、脱細胞化させた細胞−マトリックス・シ−ト)を含む。本発明の管状コンストラクトは、失活させた、又は脱細胞化させたマトリックス・シ−トをそれ自体の上に、少なくともその接触が最低限の程度あるように巻いたものを含む。マトリックス・シ−ト同士、又は、マトリックス・シ−ト自体の接触面積接着領域である。

0081

多層架橋コンストラクト。ある好適な実施態様では、本発明のプロテ−ゼ器具は、互いに接着されて平らなシ−ト・コンストラクトを形成する二枚以上の積層されたマトリックス・シ−トを有する。ここで用いる場合の「接着されたコラ−ゲン層」とは、同じ又は異なる起源又は輪郭の二枚以上の細胞−マトリックス・シ−トが、層同士が互いに積層されて、自己積層及び化学的接着により相互に充分の保持されるような態様で処理されたものから成ることを意味する。

0082

本発明の好適な実施態様は、平らなシ−ト・プロテ−ゼと、接着されて架橋された二枚以上のマトリックス・シ−トを含む、平らなシ−ト・プロテ−ゼを作製及び使用する方法とに関する。マトリックス・シ−トの平らなシ−ト構造のおかげで、このプロテ−ゼはいずれの数の層、好ましくは2枚乃至20枚の層、より好ましくは2乃至10枚の層を含むように容易に作製され、この場合、層の数は、コンストラクトの最終的な意図された用途に必要な強度及びかさに依存する。代替的には、積層された配置の最終的なサイズがマトリックス・シ−トのサイズで制限される場合、層をコラ−ジュのような配置で互い違いにしてシ−ト・コンストラクトを形成し、表面積はいずれかの個々のマトリックス・シ−トよりも大きいが、連続する層が当該配置の面積全体に行き渡っていないようにしてもよい。

0083

マトリックス・シ−トを含む多層コンストラクトの製造においては、無菌の環境及び無菌のツ−ルを用いて無菌性を維持することが好ましい。マトリックス・シ−トの多層コンストラクトを形成するためには、まずポリカ−ボネ−トの剛性のシ−トなど、無菌の剛性の支持部材を広げる。マトリックス・シ−トがまだ失活プロセス又は脱細胞化プロセスから水和状態にはない場合、これらを水又はリン酸緩衝生理食塩水などの水溶液で水和させる。マトリックス・シ−トを無菌の吸収性クロスで吸い取って、この材料から余分な水分を吸収させる。一番目のマトリックス・シ−トをポリカ−ボネ−ト・シ−ト上に載せ、手でポリカ−ボネ−ト・シ−トに向かって均して、気泡しわ及び折り目を取り除く。二番目のマトリックス・シ−トを一番目のシ−トの上面に載せ、やはり手で気泡、しわ及び折り目を取り除く。特定の用途に向けた所望の数の層が得られるまで、この層形成を繰り返す。

0084

所望の数のマトリックス・シ−トを層形成したら、これらを一緒に脱水する。理論に縛られることを望むわけではないが、脱水により、隣り合ったマトリックス・シ−トの線維の間から水が取り除かれると、コラ−ゲン線維などの細胞外マトリックス成分が一緒になる。層は、一番目の支持部材上の開放面で脱水されても、あるいは、一番目の支持部材と、二番目のポリカ−ボネ−ト・シ−トなど、平らな平面配置に層のすべてを維持するために乾燥前に一番上の層上に配置されて圧縮により、又は圧縮無しで、一番目の支持部材に固定された二番目の支持部材との間で脱水されてもよい。脱水を容易にするために、支持部材を多孔質にして、空気及び水分が脱水中の層を通過できるようにしてもよい。層は、空気乾燥しても、真空乾燥しても、あるいは、例えばアセトンや、エチルアルコ−ル又はイソプロピルアルコ−ルなどのアルコ−ルにより化学的手段により乾燥してもよい。空気乾燥による脱水は室内湿度まで、約 0% Rh 乃至 60% Rh以下、あるいは約 10%
乃至 40% w/w の水分以下まで、行われてもよい。脱水は、積層された層を斜めにして、層流キャビネットの無菌流に周囲室温、ほぼ20℃、及び室内湿度で少なくとも約1時間から最高24時間まで、当てることで容易に行われよう。真空又は化学的手段で行われる脱水により空気乾燥で達成されるよりも低い水分レベルまで、層が脱水されるであろう。

0085

選択的なステップでは、脱水後の層を再水和するか、又は代替的には再水和して再度、脱水する。上述したように、脱水により、隣り合ったマトリックス層の細胞外マトリックス成分が一緒になり、それらの層を一緒に架橋して、該成分を間に化学結合を形成して層を接着させる。層を再水和させるには、これらを多孔質の支持部材から一緒に引き剥がし、水性再水和剤を容れた溶液にそれらを少なくとも約10乃至15分間、約4℃乃至20摂氏の温度で移すことにより、それらを分離又は層剥離させることなく、水性の再水和剤、好ましくは水、の中で、層を再水和させる。次に、層形成されたマトリックス・シ−トを架橋剤、好ましくはマトリックス層の生体リモデリング能を保つ化学的架橋剤、に、接触させることにより、マトリックス層を架橋する。

0086

接着後のプロテ−ゼ器具を架橋させると、更に器具に強度及び耐久性が提供されて操作特性が向上する。カルボジイミドゲニピン、トランスグルタミナ−ゼ、リボ−ス及び他の糖類、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、酸化性の物質、紫外線(UV) 、並びにデヒドロサ−マル(DHT)
法など、多様な種類の架橋剤が当業で公知であり、用いることができる。化学的架橋剤のほかにも、ポリウレタン酢酸ビニル又はポリエポキシなど、生体適合性のフィブリン・ベ−スの接着剤又は医療等級の接着剤で、層を互いに接着してもよい。好適な生体適合性接着剤の一つは、メチルアルコ−ルを用いて活性化する組織マトリックス隣接層間の接着領域に配置される4−8%シルクフィブロイン溶液であるシルク・フィブロインである。生体適合性の接着剤又は接着剤を用いて、架橋された又は架橋していない層、あるいは両者、を互いに接着して、本発明の生命工学によるコンストラクトを形成してもよい。

0087

好適な生体適合性接着剤は、組織マトリックスの隣接層間の接着領域に配置される2−8%シルク・フィブロイン溶液であるシルク・フィブロインである。ある局面では、上述の二種以上の細胞−マトリックス・コンストラクトを、生体適合性の接着性生体材料を用いて組み合わせることができる。一例として、シルク・フィブロインはボンビックス−モリ(原語:
Bombyx
mori )カイコから得ることができ、このシルク・フィブロインを加工して無セリシン化合物を得、この無セリシン化合物を、ある局面では、生体適合性の接着剤として用いることができる。ボンビックス−モリは主にグリシン及びアラニン反復配列が構造を支配するものから成る。そのフィブロイン鎖は、結晶性の配列と、規則的に交互になった、より秩序の少ないポリペプチドのものという、二つの基本的ポリペプチド配列から成る。この「結晶性」ポリペプチドの基本配列は、β−シ−ト構造を採る−(Ala−Gly)n− であるが、「より秩序の少ない」ポリペプチドは付加的なアミノ酸、具体的にはチロシンバリン及び酸性や塩基性のアミノ酸を含有する。組換え源を由来とするシルク・フィブロインを用いて、本発明を実施するための同様な生体適合性接着性を達成してもよいことは、理解されるはずである。

0088

簡単に説明すると、B.モリカイコのを20乃至30分間、0.02 M Na2CO3を含む水溶液中で沸騰させる。接着剤様のセリシンタンパク質を抽出するために、次にこの繭をすすぐ。ある実施態様では、抽出されたシルク・フィブロインを約60℃の9.3 M臭化リチウム(LiBr)溶液に約4時間、溶解させ、それにより20%体積重量(w/v) の溶液を生じさせる。その結果の溶液を次に蒸留水に対し、Slide−a−Lyzer透析カセット(MWCO 3,500、Pierce社) を用いて室温で48時間かけて透析して塩分を取り除くが、いずれの透析手法も本発明の考察するところである。不純物やこの透析ステップ中に形成された凝集物を取り除くために、その結果得られた透析物複式にしてそれぞれ−20℃で20分間、遠心分離する。

0089

好適な架橋剤は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド
(EDC)である。別の好適な方法では、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドをEDC架橋剤にStaros, J. V., Biochem. 21, 3950−3955, 1982に解説された通りに加える。最も好適な方法では、EDCを好ましくは約 0.1 mM 乃至 100 mMの間、より好ましくは 約 1.0 mM 乃至 10 mMの間、最も好ましくは約 1.0 mMの濃度で水に可溶化させる。水の他にも、リン酸緩衝生理食塩水又は (2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸) (MES)緩衝液を用いてEDCを溶解させてもよい。アセトン又はアルコ−ルなどの他の物質を、典型的には50%であるが水に溶かして最高99%v/vにして溶液に加えて、架橋をより均一及び効率的にしてもよい。これらの物質は層から水を取り除いてマトリックス線維を互いに近寄らせることで、これらの線維間の架橋を促進する。架橋剤中のこれらの物質の水に対する比を用いて架橋を調節することができる。EDCは時間と共にその活性を失うため、EDC架橋溶液使用直前に調製される。架橋剤をマトリックス層に接触させるために、水和させ、接着させたマトリックス層を浅いなべなどの容器に移し、架橋剤をこのなべに静かにデカントし、マトリックス層が覆われつつ宙に浮いていること、そして気泡がマトリックス層の下側又はマトリックス層同士の間に存在しないことを確認する。容器に蓋をし、マトリックス層を約4 乃至 24時間、より好ましくは8 乃至 16時間の間、約 4°C 乃至 20°Cの温度で架橋させる。架橋は温度により調節することができる。低い温度では、反応が鈍化するため、架橋はより有効である。高い温度では、EDCがより不安定となるため、架橋の有効性が低くなる。

0090

架橋後、架橋剤をデカントして廃棄し、架橋された多層マトリックス・コンストラクトを、それらをすすぎ剤と接触させてすすいで、残った架橋剤を取り除く。好適なすすぎ剤は水又は他の水溶液である。好ましくは、架橋後の多層マトリックス・コンストラクトを等量の無菌水でそれぞれ約5分間で3回、接触させることにより、充分にすすぐとよい。

0091

管状のコンストラクト。別の好適な実施態様では、本発明のマトリックス・コンストラクトは、一枚の概ね矩形のマトリックス・シ−トから形成された管状のコンストラクトである。このマトリックス・シ−トを、一方の端が出会って他方の端の上に重なるように丸める。この重なりが接着領域として役立つ。マトリックス・シ−トから形成される管状のコンストラクトは、多様な直径、長さ、及び層数になるように作製でき、また、その用途の指示に応じて他の成分を取り入れてもよい。

0092

管状のコンストラクトを形成するには、形成されるコンストラクトの直径を決定することになる直径値を持つマンドレルを選択する。マンドレルは、好ましくは横断面が筒状又は楕円であるとよく、ガラス製、ステンレス鋼製であるか、あるいは非反応性の医療等級組成のものであるとよい。マンドレルは直線状でも、湾曲していても、角度を持っていてもよく、また分枝又は二股になっていたり、あるいは多数のこれらの品質を持っていたりしてもよい。形成しようとする管状のコンストラクトに意図された層数は、マトリックス・シ−トがマンドレル上と自らの上に巻かれる回数に相当する。マトリックス・シ−トを巻くことができる回数は、加工済みのマトリックス・シ−トの寸法に依存する。二層の管状のコンストラクトである場合、マトリックス・シ−トの幅は、シ−トマンドレルに少なくとも2回、巻くのに充分でなくてはならない。この幅は、マンドレルの周りに必要な回数、そして、重なる分として付加的なパ−センテ−ジ、即ち、接着領域を固定させ、また継ぎ目が密になるように、マンドレルの周囲の約5%乃至約20%の間の分、巻くのに充分であることが好ましい。同様に、マンドレルの長さは、その上に形成することのできる管の長さを決定するであろう。マンドレル上でコンストラクトを容易に操作できるように、操作時にはコンストラクトではなく、マンドレルが触れられるように、マンドレルはコンストラクトの長さよりも長くなくてはならない。

0093

マンドレルに、非反応性の医療用等級の品質の、弾性ゴム又はラテックス材料スリ−ブの形で提供されることが好ましい。管状のマトリックス・シ−トのコンストラクトをマンドレル表面上に直接、形成してもよいが、該スリ−ブは、形成された管のマンドレルからの取り外しを容易とし、マトリックス・シ−トに接着することも、反応することも、又は残余物を残すこともない。形成されたコンストラクトを取り外すには、スリ−ブをマンドレルの一端から引き抜いて、それと一緒にコンストラクトをマンドレルから移動させてもよい。マトリックス・シ−トはスリ−ブに軽く接着しているだけで、他のマトリックス・シ−トにはより接着しているため、コンストラクトを引っ張ることなく、あるいはストレス又は損傷の危険を加えることなくマンドレルから管状になったコンストラクトを取り外せるため、マトリックス・シ−トからの管の作製は容易である。最も好適な実施態様では、スリ−ブは、大変安定な飽和中間部ロックを持つスチレンエチレンブチレン−スチレンのコポリマ−から成る熱可塑性ゴムであるKRATON(R)(Shell
Chemical Company社)を含む。

0094

描写での簡潔性のために、4mmの直径と10%の重なりを持つ二層管状コンストラクトを4mmの直径を有するマンドレル上で形成する。マンドレルには、マンドレルの長さとほぼ同じ長さで、その上に形成しようとするコンストラクトよりも長いKRATON(R)スリ−ブを設ける。幅の寸法が約28mmになるようにマトリックス・シ−トを切りそろえ、
長さ寸法は、コンストラクトの所望の長さに応じて様々でよい。次に、層流キャビネットの無菌野で以下のプロセスによりマトリックス・シ−トを管に形成する。マトリックス・シ−トを一端に沿って湿らせ、スリ−ブで覆われたマンドレルと位置合わせし、マトリックス・シ−トの接着性とバランスを取りながら、スリ−ブで覆われたマンドレルの長さ方向でそれを「のように立て」、定位置で少なくとも10分以上、乾燥させる。次にこの旗のように立てられたマトリックス・シ−トを水和させ、マンドレル周囲巻き付け、更にその上に一周プラス10%、即ち110%の重なりになるように巻いて、接着領域として作用させ、密な継ぎ目を提供する。

0095

一層の管状コンストラクトの形成の場合、マトリックス・シ−トはマンドレル上に一周、そして重なりとして更に一周の少なくとも5%、巻かれることで、コンストラクトの周囲の等量乃至5%である接着領域を提供しなければならない。二層コンストラクトの場合、マトリックス・シ−トは、マンドレル上に少なくとも2回、そして好ましくは更に一周の5%乃至20%を、重なりとして巻くことができなければならない。二層巻き付けではマトリックス・シ−ト表面同士の間に100%の接着領域が提供されるが、更なるパ−センテ−ジで重なりがあると、密で不浸透性の継ぎ目が確実となる。三層コンストラクトの場合、マトリックス・シ−トはマンドレル上に少なくとも3回、巻くことができなければならない。コンストラクトは、所望のマトリックス・シ−トの寸法及び仕様によって制限を受けるいずれの層数にしても調製されよう。典型的には、管状のコンストラクトは、様々な重なりの程度で、例えば2乃至6層、又は2もしくは3層など、10以下の層を有するであろう。巻き付け後、気泡、しわ、及び折り目を材料の下側及び層間から逃して均す

0096

マトリックス・シ−トは、手で、又は、マンドレルの下側又は巻かれたマトリックス・シ−トの層間で発生することのある気泡又は水泡又は折り目を均一に引っ張って均すのを助ける装置の支援を受けて、マンドレル上に巻いてよい。該装置は、それが回転してマトリックス・シ−トを巻き付けるときにその長さ方向でマンドレルが接触することのできる表面を有するであろう。

0097

次に、巻かれたマトリックス・シ−トの層を、マトリックス・シ−トから形成された平らなシ−ト・コンストラクトを接触及び架橋するのに用いられた方法及び物質を利用することで、互いに接着する。架橋及びすすぎ後、巻かれて脱水されたICLコンストラクトを、そこでスリ−ブを介してマンドレルから引き抜いても、あるいは更なる加工に向けて残しておいてもよい。コンストラクトを再水和剤を含有する室温の容器に少なくとも約10乃至15分間、移すことによりコンストラクトを水溶液、好ましくは水、で再水和させ、層を分離又は層剥離させることなくそれらを再水和する。

0098

物質の添加。本発明による、失活させた、又は脱細胞化させた一枚の細胞−マトリックス・シ−ト又は多層細胞−マトリックス・コンストラクトは、更に、体内に移植又は内植されたときに生体内の細胞及び組織が好ましい方法でそれに反応するよう、様々な操作上又は機能上の品質を与える、あるいは、様々な特徴を材料に与える一種以上の付加的な物質を含んでもよい。

0099

ヘパリン。コンストラクトを、例えば循環系内など、血液と接触した状態で用いる実施態様では、コンストラクトの全表面に、又は、平らなシ−ト・コンストラクトの片面のみに、あるいは管状コンストラクトの場合は内腔又は内腔から離して、コンストラクトにヘパリンを施すことにより、コンストラクトを非血栓生成性にする。ヘパリンは多種の公知の技術によりコンストラクトに施すことができる。描写のために言うと、ヘパリンは以下の三つの方法でコンストラクトに施すことができる。第一に、ベンザルコニウムヘパリン(BA−Hep)イソプロピルアルコ−ル溶液をプロテ−ゼに、ル−メンを垂直方向で充たすか、あるいはプロテ−ゼを溶液に浸して施した後、それを空気乾燥させる。この手法でコラ−ゲンはイオン結合したBA−Hep錯体で処置される。第二に、EDCを用いてヘパリンを活性化した後、ヘパリンをコラ−ゲン線維に共有結合させることができる。第三に、EDCを用いてコラ−ゲンを活性化した後、プロタミンをコラ−ゲンに共有結合させ、次にヘパリンをこのプロタミンにイオン結合させることができる。

0100

抗菌処置、薬物、成長因子、サイトカイン遺伝物質及び培養細胞をマトリックス層中又は層上に取り入れてもよい。付加的な物質の層をコンストラクトの少なくとも一表面上に配置してもよく、このような付加的な物質の層には、タンパク質及び他の細胞外マトリックス成分が純粋な形又は粗の形で含まれる。

0101

タンパク質。細胞外マトリックス・タンパク質は、本発明での使用に好適なクラスのタンパク質である。例には、限定はしないが、コラ−ゲン、フィブリン、エラスチン、ラミニン、及びフィブロネクチン、プロテオグリカンがある。例えば、タンパク質フィブリノ−ゲンは、スロンビンと組み合わされるとフィブリンを形成する。ヒアルロナン(ヒアルロン酸又はヒアルロネ−トとも呼ばれる)は結合組織上皮組織及び神経組織全体に広く分布する非硫酸化型グリコサミノグリカンである。それは細胞外マトリックスの主成分の一つであり、細胞増殖及び泳動に著しく寄与し、術後接着を減らすために用いられる。天然発生したこれらのタンパク質のそれぞれに多数の種類があり、合成製造又は遺伝子操作により作製可能な、あるいは合成製造又は遺伝子操作により作製された種類もある。例えば、コラ−ゲンは数多くの型及び種類で生じる。これらの種類及び下位分類のすべては、ここで指名されたタンパク質の使用に包含される。タンパク質という用語には、更に、限定はしないが、フラグメント類似体保存的アミノ酸置換、及び、各名称のタンパク質に関して非天然で生じたアミノ酸との置換が含まれる。「残基」という用語は、ここでは、アミド結合によりタンパク質に導入されたアミノ酸(D又はL)あるいはアミノ酸模倣体を言うために用いられる。従って、アミノ酸は天然発生型のアミノ酸と考えられ、あるいは、他に限定しない限り、天然発生型のアミノ酸と同様な態様で機能する、天然アミノ酸の公知の類似体(即ちアミノ酸ミメティック)も包含されよう。更に、アミド結合ミメティックには、当業者に公知のペプチド骨格修飾が含まれる。

0102

合成材料を、細胞−マトリックス・コンストラクトの少なくとも一方の表面上に配置してもよい。合成材料をシ−トの形で、細胞−マトリックス・コンストラクト上に積層するか、又は互い違いに配置することで、細胞−マトリックス層上に合成層を形成させてもよい。合成材料のある一つのクラスは、好ましくは生物学的に適合性の合成材料であるが、ポリマ−を含むものである。このようなポリマ−には、限定はしないが以下のものがある:ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)又はシリコ−ン、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレ−ト)、ポリ(ビニルアルコ−ル)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテ−ト)、ポリ(エチレングリコ−ル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリドエス)(PLGA)、ポリ無水物、及びポリオルトエステル、あるいは、生物学的に適合性ある、開発されるかも知れない他の類似体合成ポリマ−。用語「生物学的に適合性ある合成ポリマ−」には、コポリマ−及びブレンド物や、前述のものを一緒にした、あるいは一般に他のものを一緒にしたコポリマ−が含まれよう。これらのポリマ−の使用は、用途及び必要な仕様に依るであろう。例えば、生物学的に適合性の合成ポリマ−は生分解性でもあると考えられ、従って対象の身体内に移植されたときに時間と共に生分解する。細胞−マトリックス・コンストラクト上に配置されたときに、組合せのコンストラクトは生分解性層及び生体リモデリング層を含む。これらのポリマ−やポリマ−の種類のより詳細な議論は、全文をここに挙げたのと同様に引用をもってここに援用することとするBrannon−Peppas, Lisa,
"Polymers in Controlled Drug Delivery," Medical Plastics and
Biomaterials, November 1997に記載されている。

0103

裏打ち層として用いてもよい別の合成材料の一例はシリコ−ンである。多孔質もしくはマイクロ多孔質の膜又は非多孔質フィルムの形のシリコ−ン層を施し、マトリックス・コンストラクトに接着させる。創傷治癒に用いられる場合、シリコ−ン層を用いてマトリックス・コンストラクトを皮膚創傷に対して取り扱い、操作することで創傷周辺密封してマトリックス・コンストラクトを封入して創傷を処置する。またシリコ−ンは創傷が乾燥しないようにする水分バリアを成す。典型的には21日目であるが、治癒した創傷組織が成功裏に形成した後、治癒した又は治癒中の創傷の端部から鉗子慎重に引き剥がす。

0104

滅菌。 次にコンストラクトを医療器具滅菌の当業で公知の手段を用いて最終滅菌する。好適な滅菌法は、その開示をここに援用することとする米国特許第5,460,962号による、充分な量の10 N水酸化ナトリウム(NaOH)で中和させた無菌0.1%過酢酸(PA)処置にコンストラクトを接触させることによる。混入除去は、例えば1 L Nalgeなど、シェ−カ−・プラットホ−ム上に置いた容器中で約1.8±2時間の間、行われる。次にコンストラクトを三つの量の無菌水にそれぞれのすすぎで10分間、接触させることにより、それらをすすぐ。

0105

本発明のコンストラクトをガンマ線照射により滅菌してもよい。コンストラクトは、ガンマ線照射に適した材料製の容器中に梱包し、真空密閉器を用いて密封し、続いてこれを密封バッグ内に入れて25.0 乃至35.0 kGyでガンマ線照射する。ガンマ線照射により、著しく、しかし有害でない程度に、ヤング係数及び縮み温度が低下する。ガンマ線照射後の機械的特性はそれでも尚、ある範囲の用途にとっては充分であり、ガンマ線は移植可能な医療器具の分野で幅広く用いられているため、好適な滅菌手段である。

0106

V.物理的修飾
更に本発明のコンストラクトを、創傷の手当てを要する対象に移植する前にメッシュ処理してもよい。創傷治癒に用いられる場合、メッシュ処理により、創傷床にコンストラクトがよくなじむようになり、移植片の下方からの創傷滲出液の排出手段となる。用語「メッシュ処理」は、組織に細孔を穿孔してネット様の構成を形成する機械的方法であると定義しておく。メッシュ処理は好ましくは、従来の皮膚用メッシャ−(ZIMMER(R);
BIOPLASTY(R))の利用により行われるとよい。メッシュ処理後のコンストラクトは、細孔が開放し、その後創傷床に施されるように皮膚を伸展させることにより拡張させられてもよい。拡張後のメッシュ処理済コンストラクトは、被覆率が最大の創傷面積を提供する。代替的には、メッシュ処理後のコンストラクトを拡張させずに、単に拡張していない細孔を持つシ−トとして、施してもよい。メッシュ処理後のコンストラクトを単体で施しても、あるいは、身体の別の区域由来の対象自身の皮膚と一緒に施してもよい。また本発明のコンストラクトは、穿孔又は開窓、及び、他の手段により提供された孔を有していてもよい。開窓は、レ−ザ−、パンチメス、針又はピンを用いて手で施されてもよい。

0107

本発明のコンストラクトには、更に当該コンストラクトの両方の平面間を連絡する穴を設けてもよい。穴は、規則的又は非規則的パタ−ンで導入された穿孔である。またメス又は針で組織に切り目を付けたり、又は穿孔したりしてもよいであろう。

0108

VII.処置の方法
本発明の生命工学によるコンストラクトは創傷治癒に用いてもよく、例えば手術による創傷又は火傷区域を含む急性の創傷、あるいは、静脈潰瘍糖尿病性潰瘍褥瘡潰瘍などの慢性の創傷は、開示した皮膚コンストラクトの適用により、治癒上利点を経験するであろう。表皮水疱症などの他の先天性皮膚病にも同様に利点があるであろう。本発明の生命工学によるコンストラクトは、心臓用途、歯根膜用途、外科用途、及び美容用途や神経学的用途、例えば硬膜修復パッチ又は末梢神経収縮用移植片、神経束用の包装材料又は神経再生を案内するチュ−ブなど、に用いてよい。

0109

細胞送達。 本発明の生命工学によるコンストラクトは細胞送達用途に向けて構成してもよく、また細胞送達用途で用いられてもよい。本発明の失活又は脱細胞化させたコンストラクトを細胞の培養基質として用いてもよい。本発明のコンストラクトは主にコラ−ゲンを含むため、それらは細胞培養の天然の基質である。本発明のマトリックス・コンストラクトは培養装置中に配置及び固定してもよく、培養基中の細胞懸濁液をこのマトリックス・コンストラクト上に配置することで、マトリックス・コンストラクトの表面に付着及び増殖させてもよく、あるいは、マトリックス・コンストラクトの表面中及び下方、あるいは両者、に付着及び増殖させてもよい。マトリックス・コンストラクトとの培養に選択される細胞は、損傷もしくは罹患器官又は組織を処置することで、その器官又は組織を修復してそれに意図された機能性を復元するために好ましい品質を有するものである。細胞送達に向けた、本発明のコンストラクトの別の構成の一例の場合、マトリックス層を、もしくは始原細胞、前駆細胞又は機能性細胞の送達のためのポケット又はエンベロ−プとして構成してもよい。

0110

本発明の実施をより良く説明するために以下の例を提供するが、以下の例は、本発明の範囲をいずれの態様でも制限するものと解釈されてはならない。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、ここで解説された方法に多様な改変を行うことができることは認識されよう。

0111

実施例
実施例1:ヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスの形成
ヒト新生児包皮線維芽細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc社で発生)を5 x 105 個の細胞/162 cm2組織培養処理フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Costar Corp.社、cat # 3150)に播種し、成長培地中で成長させた。成長培地はダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランドウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)に 10%新生仔ウシ血清(NBCS)
ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び 4 mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。この細胞を37 ± 1°C で 10 ± 1% CO2の大気を容れたインキュベ−ト内に維持した。培地は2乃至3日毎に、調製したばかりの培地に取り替えられた。8日間の培養後、細胞をコンフルエントに成長させ、つまり、細胞は組織培養フラスコの底面に沿って密に詰まった単層を形成し、培地を培養フラスコから吸引した。単層をすすぐために、滅菌ろ過したリン酸緩衝生理食塩水を各培養フラスコの底面に加えた後、フラスコから吸引した。5 mLトリプシン−バ−ゼングルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を各フラスコに加えることで細胞をフラスコから遊離させ、優しく揺らすことで単層が確実に完全に覆われるようにした。培養物をインキュベ−タ内に戻した。細胞を遊離させてすぐに5 ml のSBTI(大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、懸濁液と混合してトリプシン−バ−ゼンの作用を停止させた。細胞懸濁液をフラスコから取り出し、無菌の円柱状の遠心分離管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することにより、細胞を採集した。

0112

新鮮な培地を用いて細胞を3.0 x 106
個の細胞/mlの濃度になるように再懸濁させ、6ウェルトレイに入った0.4ミクロンのポア・サイズで24 mmの直径の組織培養株処置済みインサ−ト (TRANSWELL(登録商標), Corning Costar社)に3.0 x 106 個の細胞/インサ−ト(6.6 x 105個の細胞/cm2)の密度に播種した。この細胞を37 ± 1°C で10 ± 1% CO2 の大気のインキュベ−ト内に維持し、2乃至3日間毎に21日間、新鮮な産生培地を加えた。産生培地は3:1でDMEM及びHams F−12 培地(メリ−ランド州ゲイザ−ズバ−グQuality Biologics 社)の基本混合物、4 mM GlutaMAX−1(登録商標) (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加物を最終濃度5
ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology 社)、2%ウシ新生児血清(ユタ州ロ−ガン、Hyclone社)、0.4 μg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma 社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコマ、Fluka社、ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコシンミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine
Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA社、Inc.#013−12061)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG) 3400−3700 MW (細胞培養等級)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)になるように含んでいた。

0113

組織分析用試料を7日目、14日目及び21日目に採取し、ホルマリンに固定した後、パラフィン包埋した。ホルマリン固定された試料をパラフィンに包埋し、5マイクロメ−トルの切片をヘマトキシリンエオシン(H&E)で当業で公知の手法に従って染色した。H&E染色されたスライドを用い、厚さの測定を10個の無作為に抽出された顕微鏡視野に対し、10 mm/100 マイクロメ−タ−焦点鏡を取り付けた10倍の接眼レンズを用いて行った。

0114

ヒト皮膚線維芽細胞の二つの異なる細胞株の結果を表1に要約するが、表1では、細胞−マトリックス・コンストラクトの、それが発達するにつれた厚さを示す。

0115

0116

更に試料を7日目、14日目及び21日目にコラ−ゲン濃度分析のためにも提出した。コラ−ゲン含有量は、当業で公知のヒドロキシプロリン含有量に関する比色検定法を利用して推定された(Woessner, 1961)。それらと同じ時点で細胞数も判定された。表2はコラ−ゲン濃度の要約であり、表3は上述の手法を用いて二つの異なる細胞株(B156 及び B119)から作製された細胞−マトリックス・コンストラクトで採られた細胞デ−タの要約である。

0117

0118

0119

7日目、14日目及び21日目のヒト細胞由来皮膚マトリックスの試料を遅延還元SDS−PAGEで分析して、試料中のコラ−ゲンの組成を判定したところ、タイプI及びタイプIIIコラ−ゲン・アルファ・バンドが示された。

0120

皮膚マトリックスの製化学的特徴は、免疫組織法を用いて判定された。フィブロネクチンの同定は、パラフィンで固定された切片に対し、Zymedヒスステイン・ソトレプトアビジンビオチン系(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ、Zymed Laboratories Inc.社)を用いて行われた。テナシンの存在は、一次抗テナシン抗体染色(カリフォルニア州カ−ピンセリア、Dakoダコ社)の次に抗マウスさびペルオキシダ−ゼ標識抗体(Calbiochem社)を二次抗体として用いて判定された。試料はジアミノベンジン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma 社)を施すことにより視覚化され、Nuclear
Fastレッド対比染色された。グリコサミノグリカン(GAG) 定量を21日目の試料に、前に解説された方法(Farndale, 1986)を用いて行った。検定で、播種後21日目に採取されたヒト細胞由来皮膚マトリックスの試料中で1cm2当り0.44グラムのGAG の存在が示された。

0121

実施例2:化学的に規定されたヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin Vitro 形成
ヒト新生児包皮線維芽細胞を実施例1で解説した手法を用いて展開させた。次に細胞を3 x 106 個の細胞/mlの濃度になるように再懸濁させ、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24 mm 直径の組織培養株で処置されたメンブレン・インサ−トに 3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度で播種した。次にこれらの細胞を実施例1の通りに、培地を完全に省略した新生仔ウシ血清と一緒に維持した。より具体的には、培地は以下:DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)、4 mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)の3:1の混合物である基剤及び添加剤:5 ng/ml のヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、cat. #02400 ACS grade), 1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Company社)、 50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA, Inc.社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル
(PEG)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)を含んでいた。上述の手法を用いて試料を7日目、14日目及び21日目にコラ−ゲン濃度及び細胞数について検査した。結果を表4(細胞数)及び5(コラ−ゲン)に要約する。更に試料をホルマリン固定し、実施例1で解説するように光学顕微鏡分析に向けてヘマトキシリン及びエオシン処理した。組織学的評価では、規定された培地で成長させたコンストラクトは2%ウシ新生仔血清の存在下で成長させたものと同様だった。試料はまた、実施例1で解説した手法を用いると、フィブロネクチンについても陽性着色した。

0122

0123

0124

内因的に産生された原線維状コラ−ゲンの他にも、デコリン及びグリコサミノグリカンも細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。

0125

実施例3: ヒトアキレス腱線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin Vitro 形成
細胞−マトリックス・コンストラクトを実施例1で解説した同じ方法を用い、ヒト包皮線維芽細胞をヒトアキレス腱線維芽細胞(HATF)に替えた。産生培地中での21日間に続き、試料をH&E染色し、実施例1で解説した手法を用いて厚さを判定した。その結果のコンストラクトを75.00 ± 27.58ミクロン(n=2)の厚さの細胞マトリックス組織様コンストラクトとして視覚化した。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンであるデコリン及びグリコサミノグリカンもコンストラクト中に存在した。

0126

実施例4:トランスフェクトされたヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのIn Vitro形成
トランスフェクトされたヒト皮膚線維芽細胞を以下の手法を用いて作製した。1バイアルのjCRIP−43血小板由来成長因子
(PDGF)ウィルス性産生細胞(Morgan, .J, et al.) を解凍し、この細胞を2 x 106 個の細胞/162 cm2フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Corning Costar社)に播種した。これらのフラスコに成長培地を供給し、37 ± 1°C で10 ± 1% CO2の大気を容れたインキュベ−タ内に維持した。成長培地はダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社) に10%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び4 mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。同じ日に1バイアルのヒト新生児包皮線維芽細胞 (HDFB156) も解凍し、1.5 x 106 個の細胞/162 cm2 フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Corning Costar社)にプレ−トした。3日後にこの jCRIP PDGF−43 ウィルス性産生細胞に新鮮な成長培地を供給した。HDFB156 には上述の成長培地と、8 μg/ml のポリブレン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)とを加えた。翌日、HDFB156の細胞を以下のように感染させた。jCRIP PDGF−43ウィルス性産生細胞の使用済み培地を採集し、0.45ミクロン・フィルタ−を通してろ過した。8 μg/ml ポリブレンをこのろ過後の使用済み培地に加えた。次に、使用済み培地をHDF上に置いた。その後の2日間、このHEFに新鮮な成長培地を供給した。HDFがp5 から p6に継代した後に、2.5
x 106 個の細胞/162 cm2 フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Corning Costar社)の密度で播種した。細胞は以下の通りに継代させた:使用済み培地を吸引した。次に、フラスコをリン酸緩衝生理食塩水ですすいで、残ったウシ新生仔血清を取り除いた。5 mLトリプシン−ヴェルゼンを各フラスコに加えて細胞をフラスコから遊離させ、やさしく揺らして単層の完全な被覆を確実にした。培養株をインキュベ−タに戻した。細胞が遊離してすぐに、5 mL のSBTI (大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、懸濁液と混合してトリプシン−ヴェルゼンの作用を停止させた。細胞/トリプシン/SBTI懸濁液をフラスコから取り出し、無菌の円柱型遠心管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することで細胞を採集した。細胞を、上述の密度での播種に向けた成長培地に再懸濁させた。2日後に細胞に新鮮な成長培地を供給した。翌日、細胞を上述した通りに回収し、1.5 x 106 個の細胞/ml の密度になるように、10%
ジメチルスルホキシド(DMSO) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)と一緒に10%ウシ新生仔血清(NBCS)を含有する成長培地に希釈した。その後、細胞を1 ml/低温バイアルで 約 −80 °Cに凍結させた。

0127

この例のためのコラ−ゲン性マトリックスの作製は実施例1及び3と同じ手法を用いるが、ヒト新生児包皮線維芽細胞を、上述したように高レベルの血小板由来成長因子(PDGF)を産生するように形質転換したヒト新生児包皮線維芽細胞と置換している。播種後18日目に上述した通りにH&E染色に向けて試料を採取した。更に試料を、実施例10に挙げたフィブロネクチンの存在について、アビジン−ビオチン法を用いて染色した。試料は実施例1で解説された通りにH&E染色に向けて播種後18日目に採取され、実施例1で解説したものと同様な細胞−マトリックスの肉眼での外観を示し、測定された厚さは123.6ミクロン(N=1)だった。細胞−マトリックス・コンストラクト中のトランスフェクト細胞のPDGF出力は、培養期間(18日間)を通してELISAにより100 ng/mL であることが測定されたが、PDGF
コントロ−ル出力は検出不能だった。

0128

実施例5:ヒト角膜実質細胞によるマトリックスのin Vitro 形成
ヒト角膜実質細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc社由来)を角膜の間質コンストラクト作製に用いた。ヒト角膜実質細胞のコンフルエントな培養株をそれらの培養基質からトリプシン−ヴェルゼンを用いて遊離させた。遊離時、大豆トリプシン阻害剤を用いてトリプシン−ヴェルゼンを中和させ、細胞懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄した後、細胞を基本培地中に再懸濁させて、濃度を3X106 個の細胞/mlにした。細胞は、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで 24 直径の組織培養物処理トランスウェル中に3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度で播種された。これらの培養物を一晩、播種培地中に維持した。播種培地はダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) 及びHams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics 社)の3:1の基本混合物、4 mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)、及び添加剤: 5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(EGF) (ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 X 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び 6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Company社)から成った。この後、培養物に新鮮な産生培地を供給した。産生培地はDMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、Gibco BRL社)及び添加剤: 5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology 社)、2%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、Hyclone社)、0.4 mg/ml ヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 M エタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml トランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rM トリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/ml セレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO
pure chemical company社)、 0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG)(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社、細胞培養等級)から成った。

0129

細胞を37 ± 1°C で10% ± 1% CO2
の大気のインキュベ−タ内に維持し、2乃至3日毎に20日間、新鮮な産生培地を供給した(合計21日間の培養)。21日間の培養後、角膜実質細胞は、実施例1で解説した方法で測定したところ厚さ約40ミクロンのマトリックス層を付着させていた。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンであるデコリン及びグリコサミノグリカンも細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。

0130

実施例6:産生培地に播種されたヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin vitro形成
ヒト新生児包皮線維が細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc.社機嫌)を、6ウェル・トレイ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Costar Corp. 社製TRANSWELL(R))に容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24
mm の直径の組織培地処理済担体に 1 x 105 個の細胞になるように播種し、成長培地中で成長させた。成長培地は:ダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM) (高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)に、10%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び4mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。この細胞を37 ± 1°C で10 ±1% CO2の大気を容れたインキュベ−タ内に維持した。2乃至3日毎に培地を取り替えた。培養での9日間後、培地を培養皿から吸引し、産生培地に取り替えた。この細胞を37 ± 1 °C で10 ± 1% CO2 の大気を容れたインキュベ−タ内に維持し、新鮮な産生培地を2乃至3日毎に21日間、供給した。産生培地は: DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、2% ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、Hyclone社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、NY ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO
Pure Chemical Company社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレンgグリコ−ル (PEG) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社、細胞培養等級)から成った。

0131

試料を21日目に採取し、ホルマリン固定した後、パラフィン包埋した。ホルマリン固定した試料をパラフィンに包埋し、5マイクロメ−トルの切片をヘマトキシリン−エオシン(H&E)で当業で通常用いられる技術に従って染色した。H&E染色済みスライドを用いて、10個の無作為に抽出された顕微鏡視野に対し、10mm/100 マイクロメ−トルの焦点板(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を取り付けた10倍の接眼レンズ(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を用いて測定を行った。この方法を用いて作製されたコンストラクトは、構造及び生化学的組成上で、実施例1で作製されたものと同様であり、82.00 ± 7.64ミクロンの測定厚さを有する。

0132

実施例7:ブタ皮膚線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのIn Vitro 形成
ブタ皮膚線維芽細胞(マサチュ−セッツ州カントン、Organogenesis, Inc.起源)を162 cm2組織培養処理フラスコ(マサチュ−セッツ州ケンブリッジ、Costar Corp.社、cat # 3150) に5 x 105 個になるように播種し、以下に説明するように成長培地中で成長させた。成長培地は:ダルベッコの改良イ−グル培地(DMEM)(高グルコ−ス調合物、L−グルタミンなし、メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)に10%ウシ胎児血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone Laboratories, Inc.社)及び4 mM L−グルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を補ったものから成った。この細胞を37 ± 1°C で10% ± 1% CO2の大気を容れたインキュベ−タ内に維持した。培地を2乃至3日毎に取り替えた。コンフルエントになったとき、つまり細胞が組織培養フラスコの底面で詰まった層を形成したとき、培地を培養皿から吸引した。単層をすすぐために、滅菌ろ過したリン酸緩衝生理食塩水を単層に加え、その後、皿から急進した。5 mlトリプシン−ヴェルゼングルタミン(メリ−ランド州ウォ−カ−ズビル、BioWhittaker社)を各フラスコに加えて細胞をフラスコから遊離させ、単層が確実に完全に覆われるようにやさしく揺らした。培養株をインキュベ−タに戻した。細胞が遊離したらすぐに5 mlのSBTI(大豆トリプシン阻害剤)を各フラスコに加え、細胞懸濁液と混合してトリプシン−ヴェルゼンの作用を停止させた。懸濁液をフラスコから取り出し、無菌に円柱形の遠心分離管に均等に分割した。ほぼ800−1000 x g で5分間、遠心分離することにより細胞を採集した。細胞を再懸濁させ、3 x 106
個の細胞/mlの濃度になるように希釈し、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで24 mmの直径の組織培養処理トランスフェルに 3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度で播種した。細胞を一晩、播種培地中に維持した。播種培地は:DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、NY ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、 5 μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、 5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine
Chemicals Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Pure Chemical Company社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び 0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)から成った。この細胞を、37 ±
1°Cで10 ± 1% CO2 の大気を容れたインキュベ−タ内に維持し、2乃至3日毎に7日間、新鮮な産生培地を供給した。産生培地は: DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4mM GlutaMAX (ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、Gibco BRL社)及び添加剤:5 ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、2%ウシ新生仔血清(ユタ州ロ−ガン、HyClone社)、0.4 mg/ml ヒドロコルチゾン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、1 x 10−4 M エタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、ACS 等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン(セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/ml トランスフェリン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rM トリヨ−ドチロニン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78 ng/ml セレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine
Chemicals Co.社)、50 ng/ml L−アスコルビン酸(WAKO Pure Chemical Company)、0.2 μg/ml L−プロリン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/ml グリシン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)及び0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)細胞培養等級から成った。7日後に培地をウシ新生仔血清のない産生培地に取り替えた。この培地は、2乃至3日毎に更に20日間、培養中は合計で28日間、新鮮なものが細胞に供給された。

0133

試料を21日目に採取し、ホルマリン固定し、パラフィンに包埋した。ホルマリン固定した試料をパラフィンに包埋し、5マイクロメ−トルの切片をヘマトキシリン−エオシン(H&E)で当業で通常用いられる技術に従って染色した。H&E染色済みスライドを用いて、10個の無作為に抽出された顕微鏡視野に対し、10mm/100 マイクロメ−トルの焦点板(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を取り付けた10倍の接眼レンズ(ニュ−ヨ−ク州メルヴィル、Olympus America Inc.社)を用いて測定を行った。試料は71.20
± 9.57ミクロンの測定された厚さを持つ、細胞及びマトリックスから成る構造を示した。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンの他に、デコリン及びグリコサミノグリカンも細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。

0134

実施例8:化学的に規定された培地における、ヒト新生児包皮線維芽細胞によるコラ−ゲン性マトリックスのin Vitro 形成
ヒト新生児包皮線維芽細胞を実施例1に解説した手法を用いて展開させた。次に細胞を濃度3 x 106 個の細胞/mlまで展開させ、6ウェル・トレイに容れた0.4ミクロンのポア・サイズで 24 mm 直径の組織培養処理メンブレン・インサ−トに3.0 x 106 個の細胞/TW (6.6 x 105 個の細胞/cm2)の密度まで播種した。この実施例における細胞は全体を通じて化学的に規定された培地中で培養された。

0135

培地は:DMEM、Hams F−12 培地(メリ−ランド州ガイザ−ズバ−グ、Quality Biologics社)の3:1の基本混合物、4 mM GlutaMAX(ニュ−ヨ−ク州グランド・アイランド、GibcoBRL社)及び添加剤:5
ng/ml ヒト組換え上皮成長因子(ニュ−ヨ−ク州レイク・プラシッド、Upstate Biotechnology社)、1 x 10−4 Mエタノ−ルアミン(ニュ−ヨ−ク州ロンコンコマ、Fluka社、cat. #02400、ACS等級)、1 x 10−4 M o−ホスホリル−エタノ−ルアミン (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、5 μg/mlトランスフェリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、20 rMトリヨ−ドチロニン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、及び6.78
ng/mlセレン(ウィスコンシン州ミルウォ−キ−、Sigma Aldrich Fine Chemicals
Co.社)、50 ng/mlL−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA, Inc.社)、0.2 μg/ml L−プロリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.1 μg/mlグリシン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)を含有していた。

0136

上記の基本培地に他の成分をこれらの別々の条件で加えた:
1. 5
μg/mlインシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.05%ポリ−エチレングリコ−ル (PEG) (ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)。
2. 5
μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、0.4 mg/ml ヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)。
3. 375 μg/ml インシュリン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)、6 mg/ml ヒドロコルチゾン(ミズ−リ州セントルイス、Sigma社)。

0137

試料をホルマリン固定し、光学顕微鏡分析に向けてヘマトキシリン及びエオシン染色用に加工した。視覚的組織評価により、PEGのない条件2はPEGを含有する条件1と比較的に同様なマトリックスを示すことが実証された。コンストラクトのコラ−ゲン含有量を測定する生化学的分析では、両者でほぼ同じコラ−ゲン量が示された:PEG有りの条件1では168.7 ± 7.98 μg/cm2
であり、対照的にPEGのない条件2では170.88 ± 9.07 μg/cm2。高レベルのインシュリン及びヒドロコルチゾンを含有する条件3は、コラ−ゲンを含め、より高いマトリックス発現量を、他の二つの条件よりも早い時点で示した。内因的に産生された原線維状コラ−ゲンの他に、デコリン及びグリコサミノグリカンも、全ての条件で細胞−マトリックス・コンストラクト中に存在した。この実施例の条件2の方法で形成された培養皮膚コンストラクトを図2に示す。図2に示すのは、化学的に規定された培地中で21日目に培養ヒト皮膚線維芽細胞から形成された細胞−マトリックス・コンストラクトの、固定され、パラフィン包埋されたヘマトキシリン及びエオシン染色された切片の顕微鏡写真である。多孔質の膜はコンストラクトよりも下に薄い半透明の帯の外観をしており、細胞はこの膜の表面上で成長するが、マトリックス内の膜を包み込んだり、組み込まれたりしないことを見ることができる。

0138

図3は、21日目にこの実施例の条件2の方法により形成された培養皮膚コンストラクトの二種類の倍率透過電子顕微鏡(TEM)画像を示す。図3Aは、線維芽細胞間の内因性コラ−ゲン線維の配置の7600倍の画像である。図3Bは、原線維の配置及び充填状態を示す、完全に形成された内因性コラ−ゲン線維の19000倍の画像である。

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