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技術 スクルフィンに結合する能力を有するペプチドおよびその用途

出願人 プロイェクト、デ、ビオメディシナ、シーマ、ソシエダッド、リミターダ
発明者 カサレスラガル、イネスノエリアボラスクエスタ、フランシスコサロベウガリサ、パブロプリエトバルトゥエーニャ、ヘススラサルテサガスティベルサ、フアンホセ
出願日 2008年11月14日 (12年3ヶ月経過) 出願番号 2010-534507
公開日 2011年2月3日 (10年0ヶ月経過) 公開番号 2011-504108
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード オンマイク 質量補正 基本ドメイン 相対単位 拡散能力 リポゲル ポリアミド支持体 非構造化
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図面 (10)

課題・解決手段

本発明は、スクルフィンに結合し、そしてその生物学的活性阻害することができ、したがって、制御性T細胞(Treg)リンパ球活性を調節または阻害する、一般式(I)で表されるペプチド;それらの機能性変異体および断片、ならびにそれらの薬学的に許容される塩に関する。一般式(I)において、Xは存在しないか、または、Xは存在し、X14またはX14−X15(但し、X14およびX15は互いに独立して、アミノ酸を表わす)である。これらは、感染症および腫瘍性疾患治療に適用できる。 Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X (I)

概要

背景

1970年代初頭に、免疫反応を抑制できるTリンパ球の存在がはじめて報告された。そのとき、前記抑制作用は特異的細胞亜集団によりもたらされると思われていたが、前記亜集団の特異的マーカークローニングしたり、特徴付けすることができず、この細胞のサブタイプに対する関心が部分的に失われた。しかしながら、1995年に、Sakaguchi等(Sakaguchi等、1995年、J Immunol 155:1151−64)が、インターロイキンレセプターアルファ鎖(CD25)を共発現するCD4+細胞(10%)の少数集団生体内での自己反応性細胞と自己免疫を制御するのに非常に重要であることを見いだした。そのとき以来、数多くのグループが、Tregリンパ球またはTreg細胞としても知られている、このCD4+CD25+細胞の亜集団が免疫抑制性であることを明らかにした(Takahashi等、1998年、Int Immunol 10:1969−80;Thornton&Shevach、1998年、J Exp Med.、188:287−96)。これらの細胞は、最初マウスで同定されたが、後にヒトで広く特徴付けられた(Dieckmann等、2001年、J Exp Med.、193:1303−10;Jonuleit等、2001年、J Exp Med.、193:1285−94;Levings等、2001年、J Exp Med.、193:1295−302)。特異的免疫抑制亜集団が存在することが、現在、科学界に広く受け入れられており、その臨床用途のためにその活性を操作する方法が求められている。主な問題点は、その活性をどのように調節することができるかにある。

Tregリンパ球は自己免疫疾患に対する防御および移植に対する拒絶の防止にとって必須である。したがって、活性を高めることができる可能性があると、自己免疫疾患の治療および臓器移植において大きな可能性がでてくる。しかしながら、腫瘍自己抗原発現することにより、Tregリンパ球は癌に対する免疫反応の活性化を阻害することができる。

本発明者等のグループを含むいくつかのグループは、生体内投与枯渇性抗体によりCD4+CD25+(Treg)細胞を単純に除去することにより、抗腫瘍免疫誘導と、癌発生に対する予防が容易になることを明らかにした(Casares等、2003年、J Immunol.、171:5931−9;Onizuka等、1999年、Cancer Res.、59:3128−33;Shimizu等、1999年、J Immunol.、163:5211−8;Steitz等、2001年、Cancer Res、61:8643−6;Sutmuller等、2001年、J Exp Med.、194:823−32)。したがって、CD4+CD25+(Treg)細胞は、エフェクターTリンパ球の活性を連続的に低下させることにより自己免疫プロセスを防止するが、同時に、抗腫瘍反応を的確に活性化させることが、それを必要としたときに困難になると思われる。

免疫療法は、癌を患っている患者の治療のために非常に有望である。サイトカインエフェクターT細胞の注入またはワクチン接種プロトコルに基づく療法を使用した非常に数多くの臨床プロトコルから、癌免疫療法が一般的に安全であることが明らかとなった。しかしながら、投与後の免疫反応の誘導がこれらの臨床プロトコルで観察されたが、患者のほとんどは効果的な抗腫瘍反応を生じさせなかった。700人を超える患者を含む37の独立した臨床的ワクチン接種プロトコルをメタ分析したところ、腫瘍に対して部分的または完全に反応する割合は非常に低い(3.8%)ことが明らかとなった(Rosenberg等、2004年、Nat Med.、10:909−15)。最近、黒色腫(Wang、H.Y.、J Immunol.、2005年、174:2661−2670;Viguier、M.、F.J Immunol.、2004年、173:1444−1453.)、肺癌(Woo、E.Y.、Cancer Res.、61:4766−4772)、卵巣癌(Woo、E.Y.、Cancer Res.、2001年、61:4766−4772、Curiel、T.J.、Nat Med.、2004年、10:942−949)、膵臓癌および乳癌(Liyanage、U.K.、J Immunol.、2002年、169:2756−2761)、さらには肝細胞癌(Ormandy、L.A.、Cancer Res.、2005年、65:2457−2464;Kobayashi、N.、Clin Cancer Res.、2007年、13:902−911)を患っている患者の腫瘍組織またはリンパ節にTregリンパ球が存在することが明らかとなったことと、腫瘍組織がこの亜集団を腫瘍組織の方向に特異的に引きつけるケモカイン分泌するという記載は、Tregリンパ球が腫瘍にアクセスするのは動力学過程であること、そしてそれが疾病の進行を容易にする免疫抑制作用を示すことを明らかにしている。Tregが腫瘍および末消節に存在することは、免疫療法プロトコルの効力が低いことを示している。同様に、感染症において、Tregリンパ球により示される制御は、エフェクターT反応の大きさを制限することがあり、そして感染の制御ができなくなる。したがって、B型肝炎ウイルス(Xu、D.、J Immunol.、2006年、177:739−747)、C型肝炎ウイルス(Boettler、T.、J Virol.、2005年、79:7860−7867;Cabrera、R.、Hepatology(肝臓病学)、2004年、40:1062−1071;Rushbrook、J Virol.、2005年、79:7852−7859;Sugimoto、K.、Hepatology(肝臓病学)、2003年、38:1437−1448)およびHIV(Aandahl、E.M.、J Virol.、2004年、78:2454−2459;Kinter、A.L.、J Exp Med.、2004年、200:331−343;Oswald−Richter、K.、PLoS Biol.、2004年、2:E198;Weiss、L.、Blood.、2004年、104:3249−3256)などの一部のウイルスは、抗ウイルス免疫反応をブロックするためにTregリンパ球を使用することがあり、したがって、持続性慢性感染症確立することがあることが記載された。これらの全てのことにより、Tregリンパ球の作用を調節することは、癌または感染症に対する免疫療法の開発に必須のことがあると思われる。

Tregリンパ球の作用形態に関して一定の議論があるが、エフェクターT細胞を阻害するプロセスにおけるサイトカインTGF−β(形質転換成長因子−β)の役割は、ますます明確に理解されやすくなっていると思われる(Powrie等、1996年、J Exp Med.、183:2669−74;Somasundaram等、2002年、Cancer Res.、62:5267−72)。

さらに、最近、転写因子スクルフィン(FOXP3、foxp3遺伝子の発現産物)(Yagi等、2004年、Int Immunol.、16:1643−56.2004年10月4日)がTregリンパ球の活性に必須であり、その存在により、これらの細胞の抑制活性が決まることが記載された。マウスやヒトスクルフィンをコードしているcDNA配列は米国特許第6,414,129号の主題であり、さらにスクルフィンの発現を調節することにより、種々の疾病において治療効果があることが記載されている。また、前記特許は、数ある分子のうち合成ペプチドを使用してfox3遺伝子の発現を調節することを述べているが、すでに発現したスクルフィンの活性を阻害する可能性について何も述べていない。

同様に、中和モノクローナル抗体を用いることによりTregリンパ球を除去することに基づいて、哺乳動物において免疫反応を高めるための方法(WO2006/044864)について、この特許出願は、スクルフィンの活性を阻害することによるTregリンパ球の活性を一時的に調整すること(前記細胞の免疫抑制作用において欠くことができない)について何も述べていない。さらに、Tregリンパ球の枯渇が自己免疫の誘導のリストを増加させ、そしてこのようなモノクローナル抗体は、Tregリンパ球とエフェクターTリンパ球との間を識別しないことから、こられの用途は減少する。

現在、実験的に記載されたTregリンパ球の活性を阻害するための唯一の方法は、枯渇性抗体を用いることによりこれらを除去するか、またはこれらが産生し、そして活性に関与することがあるサイトカイン(TGF−β、IL−10)をブロックすることによりこれらを除去することを含んでなるものであるが、この細胞亜集団の特異的阻害剤がない。制御性T細胞の枯渇に基づく方法は、これらが細胞を除去し、自己免疫疾患を生じるリスクがあるという欠点がある。さらに、制御性T細胞について特異的な抗体がなく、存在するものがエフェクターT細胞を除去することもある。

したがって、ヒト療法に有用である可能性があるTregリンパ球の活性を調節または阻害することができる新規化合物を同定することが依然必要とされている。

概要

本発明は、スクルフィンに結合し、そしてその生物学的活性を阻害することができ、したがって、制御性T細胞(Treg)リンパ球の活性を調節または阻害する、一般式(I)で表されるペプチド;それらの機能性変異体および断片、ならびにそれらの薬学的に許容される塩に関する。一般式(I)において、Xは存在しないか、または、Xは存在し、X14またはX14−X15(但し、X14およびX15は互いに独立して、アミノ酸を表わす)である。これらは、感染症および腫瘍性疾患の治療に適用できる。 Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X (I)

目的

同様に、前記ペプチドは、スクルフィンおよびTregリンパ球の生物学的役割を検討するツールを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

下記から選択される、スクルフィンに結合する能力を有するペプチド:a)アミノ酸配列:Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X(I)[式中、Xは存在しないか、またはXは存在して、X14またはX14−X15(式中、X14およびX15は互いに独立してアミノ酸を表す)である]を含んでなる式(I)のペプチド、b)a)で定義される前記ペプチドの変異体、またはc)a)で定義される前記ペプチドの断片またはb)で定義される変異体の断片またはその薬学的に許容される塩。

請求項2

生体外および/または生体内においてスクルフィンの生物学的活性阻害する能力をさらに有する、請求項1に記載のペプチド。

請求項3

アミノ酸配列:Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X14−X15(Ia)(式中、X14およびX15は、互いに独立して、アミノ酸を表す)を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなる、請求項1に記載のペプチド。

請求項4

X14がAlaであり、X15がMetである、請求項3に記載のペプチド。

請求項5

アミノ酸配列:Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X(Ib)(式中、XがX14(ここで、X14はアミノ酸を表す)である)を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなる、請求項1に記載のペプチド。

請求項6

X14が、Alaである、請求項5に記載のペプチド。

請求項7

列番号1、配列番号2、または配列番号3の配列を含んでなるペプチド、それらの変異体もしくは断片、およびその薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載のペプチド。

請求項8

配列番号1、配列番号2、および配列番号3の配列により構成されてなるペプチドから選択されたものである、請求項1に記載のペプチド。

請求項9

(i)請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチドと、(ii)ペプチドの細胞内取り込みを可能とするキャリアーペプチドとを含んでなる、融合タンパク質

請求項10

前記キャリアーペプチドが、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、または配列番号14より選択されたアミノ酸配列を含んでなる、請求項9に記載の融合タンパク質。

請求項11

請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記ペプチド[ペプチド(i)]と前記キャリアーペプチド[ペプチド(ii)]との間に位置するスペーサーペプチドをさらに含んでなる、請求項10に記載の融合タンパク質。

請求項12

前記融合タンパク質の単離または精製に有用なアミノ酸配列をさらに含んでなる、請求項10に記載の融合タンパク質。

請求項13

請求項1〜8のいずれかに記載の治療上有効な量のペプチド、または請求項9〜12いずれかに記載の治療上有効な量の融合タンパク質を、少なくとも一種の薬学的に許容される賦形剤とともに含んでなる、医薬組成物

請求項14

請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも一種のペプチドまたは請求項9〜12のいずれかに記載の融合タンパク質に加えて、種々のTregリンパ球免疫抑制活性を阻害または調節する一種以上の化合物を含んでなる、請求項13に記載の医薬組成物。

請求項15

請求項1〜8のいずれかに記載のペプチドまたは請求項9〜12のいずれかに記載の融合タンパク質の、腫瘍性疾患または感染症の治療のための医薬組成物の調製における使用。

請求項16

前記感染症が、ウイルス感染細菌感染真菌感染、および寄生虫感染によって引き起こされる疾患から選択されたものである、請求項15に記載の使用。

請求項17

前記感染症が、C型肝炎ウイルスにより引き起こされる疾患およびB型肝炎ウイルスにより引き起こされる疾患から選択されたものである、請求項16に記載の使用。

請求項18

前記腫瘍性疾患が、乳頭腫腺腫脂肪腫骨腫筋腫血管腫母斑成熟奇形腫癌腫肉腫、または未熟奇形腫である、請求項15に記載の使用。

請求項19

前記腫瘍性疾患が、黒色腫骨髄腫白血病ホジキンリンパ腫基底細胞腫棘細胞腫乳癌卵巣癌子宮癌肺癌気管支癌前立腺癌結腸癌膵臓癌腎臓癌食道癌肝細胞癌、または頭部および頸部の癌である、請求項19に記載の使用。

請求項20

請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質の、腫瘍性疾患または感染症の治療における使用。

請求項21

請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする、核酸

請求項22

請求項21に記載の核酸を含んでなる、遺伝子構築物

請求項23

動作可能に結合された、前記核酸の発現を調節する配列をさらに含んでなる、請求項22に記載の遺伝子構築物。

請求項24

請求項21に記載の核酸または請求項22または23のいずれか一項に記載の遺伝子構築物を含んでなる、ベクター

請求項25

請求項21に記載の核酸、請求項22または23のいずれか一項に記載の遺伝子構築物、または請求項24に記載のベクターを含んでなる、宿主細胞

請求項26

請求項25に記載の宿主細胞を前記ペプチドの産生が可能な条件下で成長させることと、必要に応じて前記ペプチドまたは前記融合タンパク質を回収することとを含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質の製造方法。

請求項27

請求項21に記載の核酸または請求項22または23のいずれか一項に記載の遺伝子構築物の、腫瘍性疾患または感染症治療のためのベクターおよび細胞の調製における使用。

技術分野

0001

本発明は、概していえばスクルフィンに結合する能力を有するペプチドおよびその用途に関する。特に、本発明は、前記タンパク質直接結合することによりスクルフィンの生物学的活性阻害し、したがって、制御性T細胞(Treg)リンパ球活性を調節または阻害することができるペプチドに関する。このペプチドは、感染症および腫瘍性疾患などの、制御された方法でTregリンパ球の活性を調節もしくは阻害するのに適当または調節もしくは阻害することが必要である病的状態治療に使用することができる。

背景技術

0002

1970年代初頭に、免疫反応を抑制できるTリンパ球の存在がはじめて報告された。そのとき、前記抑制作用は特異的細胞亜集団によりもたらされると思われていたが、前記亜集団の特異的マーカークローニングしたり、特徴付けすることができず、この細胞のサブタイプに対する関心が部分的に失われた。しかしながら、1995年に、Sakaguchi等(Sakaguchi等、1995年、J Immunol 155:1151−64)が、インターロイキンレセプターアルファ鎖(CD25)を共発現するCD4+細胞(10%)の少数集団生体内での自己反応性細胞と自己免疫を制御するのに非常に重要であることを見いだした。そのとき以来、数多くのグループが、Tregリンパ球またはTreg細胞としても知られている、このCD4+CD25+細胞の亜集団が免疫抑制性であることを明らかにした(Takahashi等、1998年、Int Immunol 10:1969−80;Thornton&Shevach、1998年、J Exp Med.、188:287−96)。これらの細胞は、最初マウスで同定されたが、後にヒトで広く特徴付けられた(Dieckmann等、2001年、J Exp Med.、193:1303−10;Jonuleit等、2001年、J Exp Med.、193:1285−94;Levings等、2001年、J Exp Med.、193:1295−302)。特異的免疫抑制亜集団が存在することが、現在、科学界に広く受け入れられており、その臨床用途のためにその活性を操作する方法が求められている。主な問題点は、その活性をどのように調節することができるかにある。

0003

Tregリンパ球は自己免疫疾患に対する防御および移植に対する拒絶の防止にとって必須である。したがって、活性を高めることができる可能性があると、自己免疫疾患の治療および臓器移植において大きな可能性がでてくる。しかしながら、腫瘍自己抗原発現することにより、Tregリンパ球は癌に対する免疫反応の活性化を阻害することができる。

0004

本発明者等のグループを含むいくつかのグループは、生体内投与枯渇性抗体によりCD4+CD25+(Treg)細胞を単純に除去することにより、抗腫瘍免疫誘導と、癌発生に対する予防が容易になることを明らかにした(Casares等、2003年、J Immunol.、171:5931−9;Onizuka等、1999年、Cancer Res.、59:3128−33;Shimizu等、1999年、J Immunol.、163:5211−8;Steitz等、2001年、Cancer Res、61:8643−6;Sutmuller等、2001年、J Exp Med.、194:823−32)。したがって、CD4+CD25+(Treg)細胞は、エフェクターTリンパ球の活性を連続的に低下させることにより自己免疫プロセスを防止するが、同時に、抗腫瘍反応を的確に活性化させることが、それを必要としたときに困難になると思われる。

0005

免疫療法は、癌を患っている患者の治療のために非常に有望である。サイトカインエフェクターT細胞の注入またはワクチン接種プロトコルに基づく療法を使用した非常に数多くの臨床プロトコルから、癌免疫療法が一般的に安全であることが明らかとなった。しかしながら、投与後の免疫反応の誘導がこれらの臨床プロトコルで観察されたが、患者のほとんどは効果的な抗腫瘍反応を生じさせなかった。700人を超える患者を含む37の独立した臨床的ワクチン接種プロトコルをメタ分析したところ、腫瘍に対して部分的または完全に反応する割合は非常に低い(3.8%)ことが明らかとなった(Rosenberg等、2004年、Nat Med.、10:909−15)。最近、黒色腫(Wang、H.Y.、J Immunol.、2005年、174:2661−2670;Viguier、M.、F.J Immunol.、2004年、173:1444−1453.)、肺癌(Woo、E.Y.、Cancer Res.、61:4766−4772)、卵巣癌(Woo、E.Y.、Cancer Res.、2001年、61:4766−4772、Curiel、T.J.、Nat Med.、2004年、10:942−949)、膵臓癌および乳癌(Liyanage、U.K.、J Immunol.、2002年、169:2756−2761)、さらには肝細胞癌(Ormandy、L.A.、Cancer Res.、2005年、65:2457−2464;Kobayashi、N.、Clin Cancer Res.、2007年、13:902−911)を患っている患者の腫瘍組織またはリンパ節にTregリンパ球が存在することが明らかとなったことと、腫瘍組織がこの亜集団を腫瘍組織の方向に特異的に引きつけるケモカイン分泌するという記載は、Tregリンパ球が腫瘍にアクセスするのは動力学過程であること、そしてそれが疾病の進行を容易にする免疫抑制作用を示すことを明らかにしている。Tregが腫瘍および末消節に存在することは、免疫療法プロトコルの効力が低いことを示している。同様に、感染症において、Tregリンパ球により示される制御は、エフェクターT反応の大きさを制限することがあり、そして感染の制御ができなくなる。したがって、B型肝炎ウイルス(Xu、D.、J Immunol.、2006年、177:739−747)、C型肝炎ウイルス(Boettler、T.、J Virol.、2005年、79:7860−7867;Cabrera、R.、Hepatology(肝臓病学)、2004年、40:1062−1071;Rushbrook、J Virol.、2005年、79:7852−7859;Sugimoto、K.、Hepatology(肝臓病学)、2003年、38:1437−1448)およびHIV(Aandahl、E.M.、J Virol.、2004年、78:2454−2459;Kinter、A.L.、J Exp Med.、2004年、200:331−343;Oswald−Richter、K.、PLoS Biol.、2004年、2:E198;Weiss、L.、Blood.、2004年、104:3249−3256)などの一部のウイルスは、抗ウイルス免疫反応をブロックするためにTregリンパ球を使用することがあり、したがって、持続性慢性感染症確立することがあることが記載された。これらの全てのことにより、Tregリンパ球の作用を調節することは、癌または感染症に対する免疫療法の開発に必須のことがあると思われる。

0006

Tregリンパ球の作用形態に関して一定の議論があるが、エフェクターT細胞を阻害するプロセスにおけるサイトカインTGF−β(形質転換成長因子−β)の役割は、ますます明確に理解されやすくなっていると思われる(Powrie等、1996年、J Exp Med.、183:2669−74;Somasundaram等、2002年、Cancer Res.、62:5267−72)。

0007

さらに、最近、転写因子スクルフィン(FOXP3、foxp3遺伝子の発現産物)(Yagi等、2004年、Int Immunol.、16:1643−56.2004年10月4日)がTregリンパ球の活性に必須であり、その存在により、これらの細胞の抑制活性が決まることが記載された。マウスやヒトスクルフィンをコードしているcDNA配列は米国特許第6,414,129号の主題であり、さらにスクルフィンの発現を調節することにより、種々の疾病において治療効果があることが記載されている。また、前記特許は、数ある分子のうち合成ペプチドを使用してfox3遺伝子の発現を調節することを述べているが、すでに発現したスクルフィンの活性を阻害する可能性について何も述べていない。

0008

同様に、中和モノクローナル抗体を用いることによりTregリンパ球を除去することに基づいて、哺乳動物において免疫反応を高めるための方法(WO2006/044864)について、この特許出願は、スクルフィンの活性を阻害することによるTregリンパ球の活性を一時的に調整すること(前記細胞の免疫抑制作用において欠くことができない)について何も述べていない。さらに、Tregリンパ球の枯渇が自己免疫の誘導のリストを増加させ、そしてこのようなモノクローナル抗体は、Tregリンパ球とエフェクターTリンパ球との間を識別しないことから、こられの用途は減少する。

0009

現在、実験的に記載されたTregリンパ球の活性を阻害するための唯一の方法は、枯渇性抗体を用いることによりこれらを除去するか、またはこれらが産生し、そして活性に関与することがあるサイトカイン(TGF−β、IL−10)をブロックすることによりこれらを除去することを含んでなるものであるが、この細胞亜集団の特異的阻害剤がない。制御性T細胞の枯渇に基づく方法は、これらが細胞を除去し、自己免疫疾患を生じるリスクがあるという欠点がある。さらに、制御性T細胞について特異的な抗体がなく、存在するものがエフェクターT細胞を除去することもある。

0010

したがって、ヒト療法に有用である可能性があるTregリンパ球の活性を調節または阻害することができる新規化合物を同定することが依然必要とされている。

0011

今般、驚くべきことに、スクルフィンに結合することができるだけでなく、その生物学的活性を阻害することができるペプチドを使用することにより、Tregリンパ球がそれらの免疫抑制作用を示すのに欠くことのできない転写因子、スクルフィンの活性を阻害することにより、Tregリンパ球の免疫抑制活性過渡的または一時的に調整またはブロックされることがあることが見いだされた。前記スクルフィンに結合することができるペプチド、特にその生物学的活性を阻害することができるペプチドは、感染症および腫瘍性疾患などのTregリンパ球の免疫抑制活性の過渡的または一時的な調節や阻害を必要とする病的状態の治療に有用である可能性がある。同様に、前記ペプチドは、スクルフィンおよびTregリンパ球の生物学的役割を検討するツールを提供する。

0012

したがって、本発明の一つの態様は、スクルフィンに結合することができるペプチドに関する。特定のおよび好ましい実施態様によれば、前記ペプチドは、さらにスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力を有する。

0013

別の態様によれば、本発明は、本発明により得られるペプチドと、ペプチドを細胞に取り込むことができるキャリアーペプチドを含んでなる融合タンパク質に関する。

0014

別の態様によれば、本発明は、本発明で得られる少なくとも一種のぺプチドまたは一種の融合タンパク質を含んでなる医薬組成物に関する。

0015

別の態様によれば、本発明は、腫瘍性疾患または感染症などの、Tregリンパ球の免疫抑制活性の一時的な調節または阻害が必要な病的状態の治療のための医薬品の調製における、前記ペプチドおよび融合タンパク質の使用に関する。

0016

別の態様によれば、本発明は、腫瘍性疾患または感染症などの、Tregリンパ球の免疫抑制活性の一時的な調節または阻害が必要な病的状態の治療における、前記ペプチドおよび融合タンパク質の使用に関する。

0017

別の態様によれば、本発明は、前記ペプチドまたは前記融合タンパク質をコードしている核酸に関する。

0018

別の態様によれば、本発明は、本発明で得られるペプチドまたは融合タンパク質をコードしている核酸を含んでなる遺伝子構築物に関する。

0019

別の態様によれば、本発明は、前記核酸または前記遺伝子構築物を含んでなるベクターに関する。

0020

別の態様によれば、本発明は、形質転換宿主細胞などの、前記核酸、前記遺伝子構築物または前記ベクターを含んでなる宿主細胞に関する。

0021

別の態様によれば、本発明は、前記宿主細胞を前記ペプチドを発現できる条件下で培養することと、必要に応じて得られたペプチドまたは融合タンパク質を回収することとを含んでなる、本発明で得られるペプチドまたは融合タンパク質の製造方法に関する。
別の態様によれば、本発明は、腫瘍性疾患または感染症などの、Tregリンパ球の免疫抑制活性の一時的調節または阻害が必要な病的状態の治療用ベクターおよび細胞の調製における、前記核酸および遺伝子構築物の使用に関する。

図面の簡単な説明

0022

図1は、実施例1(セクション1.3)に記載されている、ペプチドP60(配列番号1)とスクルフィン間で生じる生体分子相互作用表面プラズモン共鳴(SPR)分析結果を示すグラフである。グラフから明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)では、スクルフィンに特異的に結合する能力を示す陽性シグナルが得られる。図示した結果は、3つの独立した実験を表している。R.U.:相対単位
図2は、ペプチドP60(配列番号1)と、その切断型のT(1−13)配列番号2、T(1−14)(配列番号3)およびT(2−15)(配列番号4)と、スクルフィン(実施例1、セクション1.4)との間で生じる生体分子相互作用の表面プラズモン共鳴(SPR)分析の結果を示すグラフである。図から明らかなように、アミノ末端位置におけるアミノ酸を除去すると、スクルフィンに結合するペプチドの能力を阻害する。しかしながら、カルボキシル末端の残基14または15を除去しても、スクルフィンに結合するペプチドの能力は失われない。
図3は、Karpas299ヒト細胞株ACC−31、DSMZ、ドイツ)の抑制活性を示す棒グラフである。これらの細胞を用いて、Karpas299細胞株の存在下または不存在下で、2人のドナーから得た末梢血単核細胞(PBMCs)を培養することにより産生するIFN−γのレベルを測定する、混合リンパ球反応(MLR)を行なった。2人の異なるドナーのPBMCを培養するとき、混合リンパ球反応として知られている免疫反応が生じる。この免疫反応は、主組適合性複合体(MHC)とT細胞レセプター(TCR)との間の反応を介して、細胞増殖の活性化と、同種認識によるIFN−γなどのサイトカインの産生を伴う。Karpas299細胞(Tregリンパ球の表現型および活性)を添加すると、この反応は阻害される。説明:PBMC1(細胞1x105個/ウェル)、健康なドナー(1)からの末梢血リンパ球;PBMC2(細胞1x105個/ウェル)、ドナー(1)とは異なる他の健康なドナー(2)からの末梢血リンパ球;Karpas、Karpas299細胞株(細胞1x104個/ウェル)。同じ数字は、ペプチドP60(配列番号1)(100μM)が、どのようにTリンパ球によるIFN−γの産生(BD Biosciences社製ELISAアッセイにより培養上清において測定)を回復し、Karpas299細胞の抑制作用を阻害できるかを示している。
図4は、混合リンパ球反応(MLR)における、ペプチドP60(配列番号1)が、ヒトTregリンパ球(Miltenyi Biotech社製キットを使用し健康なドナーから得た末梢血を精製、参照番号130−091−301)の作用に及ぼす影響を示す棒グラフである。2人の血液ドナー(各ドナー細胞1x105個/ウェル)から誘導されるPBMCを、Tregリンパ球(細胞2x104個/ウェル)(それらの一つから得られた)およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で混合、インキュベーションした。培養開始3日後、細胞増殖を従来のトリチウムチミジン取り込みアッセイにより測定した。図から明らかなように、Tregリンパ球は、MLRを阻害することができ、ペプチドP60(配列番号1)は、MLRにおけるヒトTregリンパ球の免疫抑制作用を減少させることができる。
図5は、ペプチドP60(配列番号1)が、ビーズ結合抗CD3/CD28抗体(Dynabeads登録商標)CD3/CD28、参照番号111−31、Dynal社)による刺激に対するエフェクター細胞の反応における、天然ヒトTregリンパ球(健康なドナーの末梢血から精製)の作用に及ぼす影響を示す棒グラフである。健康なドナーから得られたエフェクターTリンパ球(細胞1x105個/ウェル)を、抗CD3/CD28刺激、Tregリンパ球(細胞2x104個/ウェル)およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で培養した。培養開始48時間後、培養上清のIFN−γの有無を市販のELISAにより調べた。図から明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)は、抗CD3/CD28による活性化に対する、ヒトTregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができる。
図6は、抗CD3抗体(BD−Biosciences社)による刺激に対し、エフェクターT細胞によるIFN−γの産生における、天然マウスTregリンパ球(Miltenyi Biotech社キットを使用しマウスの脾細胞から精製、参照番号:130−091−041)の作用に及ぼす、ペプチドP60(配列番号1)の影響を示す棒グラフである。BALB/cマウスの脾細胞(細胞1x105個/ウェル)を、抗CD3抗体(0.5μg/ml)、Tregリンパ球(細胞2x104個/ウェル)およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で培養した。図から明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)は、抗CD3の刺激に反応してエフェクター細胞によりIFN−γを産生(市販のELISAにより測定)することに対する、Tregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができる。
図7は、混合リンパ球反応(MLR)(従来のトリチウムチミジン取り込みアッセイによる細胞増殖を測定)による刺激に対するエフェクター細胞の反応に対する、天然マウスTregリンパ球(マウスの脾細胞から精製)の作用に及ぼす、ペプチドP60(配列番号1)の影響を示す棒グラフである。BALB/cマウス(細胞1x105個/ウェル)から単離したエフェクターリンパ球は、BALB/c Tregリンパ球(細胞2x104個/ウェル)の存在下または不存在下、およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下でC57BL/6マウスから精製した樹枝状細胞共培養した。図から明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)は、エフェクター細胞の増殖において、Tregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができる。
図8は、抗原による刺激に対するエフェクター細胞の反応による、天然マウスTregリンパ球(マウスの脾細胞から精製)の作用に及ぼす、ペプチドP60(配列番号1)の影響(培養上清へのIFN−γの産生として測定)を示す棒グラフである。OT1トランスジェニックマウスから単離したエフェクターリンパ球(細胞1x105個/ウェル)(実施例3(セクション3.2.3))は、BALB/c Tregリンパ球(細胞2x104個/ウェル)の存在下または不存在下、およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で、C57BL/6マウスから得た樹枝状細胞(DC)およびペプチドSIINFEKL(配列番号7)(10μg/ml)と共培養した。図から明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)は、このペプチド抗原に特異的なエフェクター細胞によるIFN−γの産生に対する、Tregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができる。
図9は、スクルフィンによる転写因子NF−κB活性の阻害に及ぼすペプチドP60(配列番号1)の効果を示す棒グラフである。293細胞を、プラスミドcDNA、pcDNA−Foxp3およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で、転写因子NF−κBにより誘導可能なプロモーター下でルシフェラーゼを発現するプラスミドpNF−kB−Luc(Clontech社、参照番号631904)でトランスフェクトした。図から明らかなように、細胞中にスクルフィンが存在していると、ルシフェラーゼの発現が阻害され、ペプチドP60(配列番号1)が存在していると、この発現が回復する。R.U.:相対単位。
図10は、ペプチドAH1(配列番号8)によるワクチン接種の抗腫瘍反応の増強における、ペプチドP60(配列番号1)の投与の影響を示す。マウスBALB/c群を、不完全フロイントアジュバント(IFA)(n=22)(Casares等、2003年、J Immunol 171:5931−9に記載されているようなもの)で乳化した、生理食塩水対照群n=11)またはペプチドAH1(配列番号8)で免疫した。ペプチドAH1(配列番号8)で免疫したマウス11匹を、免疫してから0日目、2日目、4日目、6日目、8日目および10日目に、生理食塩水で処置した。一方、残りの11匹のマウスは、生理食塩水に溶かしたペプチドP60(配列番号1)(50nm/マウス)を腹腔内(i.p.)投与して処置した。非免疫マウスの他の対照群(n=11)を、上記群と同じ処置計画に従って、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にペプチドP60(配列番号1)を添加したものでだけ処置した。図10Aは、腫瘍細胞(CT26)(5x105個)を皮下接種した異なるBALB/cマウス群における平均腫瘍成長を示す。異なる群は、処置なし(対照群、白三角形)、ワクチン抗原AH1単独で処置(黒三角形)、ペプチドP60単独(配列番号1)で処置(白丸)、またはワクチン抗原とペプチドP60(配列番号1)の併用で処置(黒丸)した場合の平均の腫瘍進展を表す。図10Bは、異なる実験群カプラマイアー表示)の生存曲線を示す。p<0.001は、ログランク検定による統計分析の結果を示す。

0023

本発明によるペプチド
一つの態様によれば、本発明は、
a)アミノ酸配列
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X (I)
(式中、Xは、存在しないか、またはXは存在し、X14またはX14−X15(式中X14およびX15は互いに独立してアミノ酸を表わす)である)
を含んでなる一般式(I)のペプチド、
b)a)で定義されるペプチドの変異体、または
c)a)で定義されるペプチドの断片またはb)で定義される変異体の断片
から選択されたスクルフィンに結合する能力を有するペプチド(以下、本発明のペプチドと称する)、および
その薬学的に許容される塩に関する。

0024

本明細書で使用される用語「ペプチド」は、規定される順序で、ペプチド結合によりアルファアミノ酸の結合により形成したポリマーに関し、修飾またはその誘導体、例えば、グリコシル化リン酸化アセチル化アミド化などを含む。

0025

本発明によるペプチドのアミノ酸は、アルファ炭素原子アミノ基の配向により決められ、L型またはD型に属する。好ましくはL型である。

0026

X14およびX15で表わされるアミノ酸は、天然アミノ酸修飾アミノ酸、または非一般的アミノ酸であることができる。天然アミノ酸は、脂肪族アミノ酸グリシンアラニンバリンロイシンおよびイソロイシン)、水酸化アミノ酸(セリンおよびスレオニン)、含硫アミノ酸システインおよびメチオニン)、ジカルボキシアミノ酸およびそれらのアミドアスパラギン酸アスパラギングルタミン酸およびグルタミン)、2つの塩基性基を有するアミノ酸(リジンアルギニンおよびヒスチジン)、芳香族アミノ酸フェニルアラニンチロシンおよびトリプトファン)および環状アミノ酸プロリン)を含む。修飾または非一般的アミノ酸の具体例としては、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、ベータアラニン、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノ酪酸デスモシン、2,2’−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジンアロヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン4−ヒドロキシプロリンイソデスモシンアロイソロシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、6−N−メチル−リジン、N−メチルバリン、ノルバリンノルロイシンオルニチンなどが挙げられるが、これらには限定されない。

0027

本発明によるペプチドは、スクルフィンに結合する能力、および有利なことには、スクルフィンの生物学的活性を阻害する能力により特徴付けられる。スクルフィンに結合するペプチドの能力は、2分子間の結合を測定することができる適当な方法により測定することができる(例えば、親和性アッセイにより)。前記方法は、スクルフィンを、前記ペプチドをスクルフィンに結合させペプチドとスクルフィン間の結合を評価することが可能な条件下で、アッセイされるペプチドと接触させることを含んでなる。特定の実施態様によれば、前記親和性アッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)法(実施例1.3)で実施するか、または、放射活性物質で標識したスクルフィンを使った、もしくはアッセイされるペプチドを放射活性物質で標識する類似の手法により実施することができる。この種類の親和性アッセイは、一般的に、スクルフィンを、例えば、プレートのウェルに固定化し、スクルフィンに結合する能力が知られているペプチドと接触させ、その後、適当な時間インキュベーションし、スクルフィンへのペプチドの結合を分析することを含んでなる。スクルフィンに対する親和性が低いペプチドは、洗浄により除去され、一方、親和性がより高いペプチドは、スクルフィンに結合したままであり、例えば、pHを低下することで両分子間の相互作用を壊し放出できる。

0028

本発明によるペプチドは、スクルフィンに結合する能力だけでなく、スクルフィンの生物学的活性を阻害し、その結果、間接的に、Tregリンパ球の免疫抑制活性を過度的または一時的に調節または阻害する能力によっても有利に特徴付けられる。理論に拘束されることを意図するものではないが、ペプチドがスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力は、スクルフィンに前記ペプチドが直接的に結合によることによるものと思われる。ペプチドのスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力は、例えば、以下のような、その効果を明らかにするのに好適ないずれかの方法により、生体外で分析できる:
a)抗CD3抗体、Tregリンパ球、トリチウムチミジンの存在下、およびアッセイされるペプチドの存在下あるいは不存在下で、エフェクターTリンパ球培養液における細胞増殖を測定にすることに基づいたアッセイ;
b)OT−1トランスジェニックマウス(マウスのTリンパ球がオボアルブミンのペプチドSIINFEKL(配列番号7)に対し特異的なT細胞レセプターを有する)から得た脾細胞とTregリンパ球を、抗原[ぺプチドSIINFEKL(配列番号7)]の存在下、Tregリンパ球の存在下あるいは不存在下、およびアッセイされるペプチドの存在下あるいは不存在下で共培養することに基づいたアッセイ;または、
c)マウス(例えば、BALB/c)から得たエフェクター細胞を、その株の一つのマウス(例えば、BALB/c)から得たTregリンパ球の存在下または不存在下、およびアッセイされるペプチドの存在下あるいは不存在下で他のマウス株(例えば、C57BL/6)から得た樹枝状細胞と混合する混合リンパ球反応(MLR)に基づいたアッセイ。

0029

同様に、同じような実験を、ヒト由来のTregリンパ球を使用して行なうこともできる。実施例3は、生体外で、アッセイされるペプチド(例えば、本発明によるペプチド)がスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力を評価することを目的とした種々アッセイを詳細に記載している。

0030

ある特定の実施態様によれば、本発明によるペプチドは、以下のアミノ酸配列を含んでなる一般式(I)で表わされるペプチドである:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X
(式中、Xは、式(I)に関連して上記した意味を有する)

0031

別の特定の実施態様によれば、本発明によるペプチドは、一般式(Ia)[式(I)のペプチド(式中、XはX14−X15である)]で表されるペプチドであり、アミノ酸配列:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X14−X15 (Ia)
[式中、
X14およびX15は、互いに独立して、天然アミノ酸(例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Cys、Met、Asp、Asn、Glu、Gln、Lys、Arg、His、Phe、Tyr、TrpまたはPro)または、修飾または非一般的アミノ酸(例えば、Aad、bAad、bAla、Abu、4Abu、Acp、Ahe、Aib、bAib、Apm、Dbu、Des、Dpm、Dpr、EtGly、EtAsn、Hyl、aHyl、3Hyp、4Hyp、Ide、aIle、MeGly、MeIle、MeLys、MeVal、Nva、NleまたはOrn)を表し;X14およびX15は、同一でも異なっていてもよいが、特定の実施様態によれば、X14およびX15は異なり、例えば、X14がAlaを表し、X15がMetを表す]
を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなるペプチドである。

0032

別のある特定のおよび好ましい実施様態によれば、本発明によるペプチドは、アミノ酸配列:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−Ala−Met (配列番号1)
を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなるペプチドである。

0033

配列番号1によって表わされるペプチドは、本明細書ではペプチドP60と記載することがある。

0034

別のある特定の実施様態によれば、本発明によるペプチドは一般式(Ib)[式(I)のペプチド(式中、XはX14)]で表わされるペプチドであり、アミノ酸配列:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−X (Ib)
[式中
Xは、X14(式中X14は、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Cys、Met、Asp、Asn、Glu、Gln、Lys、Arg、His、Phe、Tyr、TrpまたはProなどの天然アミノ酸、または修飾または非一般的アミノ酸(例えば、Aad、bAad、bAla、Abu、4Abu、Acp、Ahe、Aib、bAib、Apm、Dbu、Des、Dpm、Dpr、EtGly、EtAsn、Hyl、aHyl、3Hyp、4Hyp、Ide、aIle、MeGly、MeIle、MeLys、MeVal、Nva、NleまたはOrn)を表し、好ましくはAlaである)である]
を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなるペプチドである。

0035

別の特定の実施様態によれば、本発明によるペプチドは、アミノ酸配列:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe−Phe−Ala (配列番号2)
を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなるペプチドである。

0036

別の特定の実施様態によれば、本発明によるペプチドは一般式(Ic)[式(I)のペプチド(式中、Xは存在しない)]で表されるペプチドであり、アミノ酸配列:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe (Ic)
を含んでなるか、または前記アミノ酸配列により構成されてなるペプチドである。

0037

別の特定の実施様態によれば、本発明によるペプチドはアミノ酸配列:
Arg−Asp−Phe−Gln−Ser−Phe−Arg−Lys−Met−Trp−Pro−Phe (配列番号3)
により構成されているペプチドである。

0038

本発明者等によりなされたアッセイから、アミノ末端(Arg)のアミノ酸を除去すると、ペプチドのスクルフィンに結合する能力が大幅に減少し、一方、カルボキシル末端、すなわち、部分「X」の残基14または15を除去してもペプチドがスクルフィンに結合する能力に影響しない(実施例1.4、図2)ことから、スクルフィンに結合するペプチドの能力に一般式(I)のペプチドのアミノ末端が重要な役割を果たすことが明らかとなった。

0039

別の特定の実施様態によれば、本発明によるペプチドは、セクションa)で定義される一般式(I)のぺプチドの変異体である。本明細書において使用される用語「変異体」は、セクションa)で定義されている一般式(I)のペプチドと実質的に相同であり、且つ機能的に均等なペプチドに関する。本明細書において使用されている、ペプチドは、別のペプチドに対して、そのアミノ酸が少なくとも50%、有利には少なくとも60%、好ましくは少なくとも70、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、それよりもさらにより好ましくは少なくとも95%同一であるときに、「実質的に相同」である。同様に、本明細書において使用される表現「機能的に均等な」は、当該ペプチド(変異体)が、スクルフィンに結合し、有利には生体外および/または生体内でスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力を維持することを意味する。スクルフィンに結合するペプチドの能力は、上記したような適当な従来方法、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)法(実施例1.3)に基づいた親和性アッセイなどの親和性アッセイにより測定することができる。同じように、スクルフィンの生物学的活性を阻害するペプチドの能力は、上記したような適当な従来の方法、例えば、実施例3に記載されているいずれかのアッセイにより測定することができる。ある特定の実施様態によれば、本発明によるペプチドは、セクションa)で示されるアミノ酸配列の一つ以上のアミノ酸の、一つ以上の挿入、欠損、および/または修飾を有する変異体であり、スクルフィンに結合する能力を維持している。特定の実施態様によれば、前記変異体は、上記したアミノ酸配列に関し、アミノ酸の一つ以上の同類置換を含んでなる。

0040

別の特定の実施態様によれば、本発明によるペプチドは、セクションa)で定義される一般式(I)のペプチドの断片または、セクションb)で定義される変異体の断片である。本明細書において使用される用語「断片」は、セクションa)で定義されている一般式(I)のペプチドまたはセクションb)で定義されている変異体の、少なくとも5個の連続したアミノ酸からなる一部分、すなわち、内部に前記セクションa)で述べた一般式(I)のアミノ酸配列またはセクションb)で定義されている変異体を含んでなる少なくとも5個の連続したアミノ酸の配列を含んでなり、スクルフィンに結合する能力を維持しているペプチドに関する。ある特定の実施態様によれば、本発明によるペプチドは、a)で定義される一般式(I)のぺプチドの断片またはb)で定義される変異体の断片であり、一つ以上のアミノ酸が、アミノ末端またはカルボキシル末端、もしくは両末端からから除去されている、セクションa)で述べられた5以上の(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15)一般式(I)のアミノ酸配列の連続したアミノ酸、またはセクションb)で定義された変異体のアミノ酸を含んでなり、スクルフィンに結合する能力および有利なことにスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力を維持している、断片である。スクルフィンに結合するペプチド断片の能力は、上記したような適当な従来の方法、例えば、SPR法(実施例1.3)に基づいた親和性アッセイなどの親和性アッセイにより測定することができる。同様に、スクルフィンの生物学的活性を阻害するペプチド断片の能力は、上記したような適当な従来方法、例えば、実施例3に記載されているいずれかのアッセイにより測定することができる。

0041

同様に、本発明によるペプチドの薬学的に許容される塩は、本発明に包含される。本明細書において使用される用語「薬学的に許容される塩」は、金属塩または酸付加塩を形成するのに通常使用されている塩を含む。塩の性質は、薬学的に許容される限りは重要ではない。本発明によるぺプチドの薬学的に許容される塩は、有機または無機の酸または塩基から得ることができる。前記塩は、当業者によく知られた従来方法により得ることができる。

0042

ある特定の且つ好ましい実施態様によれば、本発明によるペプチドは、スクルフィンに結合する能力を有し、配列番号1を含んでなる、または配列番号1により構成されるアミノ酸配列の生物学的活性を阻害するペプチド、それらの変異体または断片、およびその薬学的に許容される塩である。本明細書に記載の実施例が示すように、前記ペプチドは、スクルフィンに結合し、その生物学的活性を阻害することができ、間接的に、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一時的に調節または阻害することができる。

0043

本発明による融合タンパク質
本発明によるペプチドは、他のぺプチドと融合することができ、その結果、融合タンパク質を形成することができる。本発明によるペプチドとスクルフィン間の相互作用が、細胞内(例えば、細胞質内および/または核内)で生じなければならないので、本発明によるペプチドが融合するペプチドは、細胞内に本発明によるペプチドが取り込まれるのを容易にすることができるペプチドが有利である。

0044

したがって、別の態様において、本発明は、
(i)本発明のペプチドと
(ii)ペプチドの細胞内取り込みを可能とするキャリアーペプチドと
を含んでなる融合タンパク質に関する。

0045

本発明によるペプチドの特性は、上述の通りである。

0046

「キャリアーペプチド」として本明細書に時に記載される「ペプチドの細胞内取り込みを可能とするキャリアーペプチド」とは、細胞膜横断し、外側から細胞に浸透することができるペプチドであり、つまり(本発明の融合タンパク質のように)それに融合したペプチド(例えば、本発明のペプチド)に、与えられる特性であり、したがって、意図するペプチド(例えば、本発明のペプチド)の標的細胞への輸送代替手段を提供するペプチドである。ペプチドが細胞に入る機構は、「タンパク質の導入または送達」として知られている。ペプチドを細胞に取り込むことができる様々なキャリアーペプチドが、知られている(Schwarze S.R.等、Science(サイエンス)、1999年、Sep 3;285(5433):1569−72;Niesner U.等、Bioconjug.Chem.、2002年、Jul−Aug;13(4):729−36;Ford K.G.等、Gene Therapy(遺伝子治療)、2001年;8:1−4;およびGusarova G.A.等、J.Clin.Invest.、2007年、Jan;117(1):99−111)。

0047

実質的にペプチドを細胞に取り込むことができるいずれのキャリアーペプチドも、本発明を実施するのに使用できる。ある特定の実施態様によれば、前記キャリアーペプチドは、「PTD」(「タンパク質導入ドメイン」)断片を含んでなるペプチドである。タンパク質導入ドメイン(PTDs)を含んでなるタンパク質の具体例としては、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)TAT(「トランス作用翻訳タンパク質」)タンパク質、ショウジョウバエアンテナペディアホメオティック転写因子(Antp)および単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)VP22DNA結合タンパク質などが挙げられるが、これらには限定されない。また、インフルエンザウイルス血球凝集素ラクトフェリン線維芽細胞増殖因子−1、線維芽細胞増殖因子−2、Hoxa−5、Hoxb−4およびHoxc−8タンパク質(Ford K.G.等.、Gene Therapy(遺伝子治療)、2001年;8:1−4)などの他のタンパク質が、細胞にペプチドを取り込むことができるこの特性を有していることが示唆されている。

0048

ある特定の実施態様によれば、前記キャリアーペプチドは、HIV−1TATタンパク質由来のペプチドであり、基本ドメイン(PTD)は、前記HIV−1 TATタンパク質の部分49〜57、具体的にはアミノ酸配列RKKRRRRR(配列番号9)、または前記HIV−1 TATタンパク質の部分47〜57である、ペプチド形質導入に関与する配列を含んでなるペプチド、例えば、アミノ酸配列がYGRKKRRQRRR(配列番号10)であるペプチドまたはアミノ酸配列がCGISYGRKKRRQRRR(配列番号11)であるペプチドである。

0049

別の特定の実施態様によれば、前記キャリアーペプチドは、D.アンテナペディアAntpタンパク質由来のペプチドであり、ペプチド形質導入(PTD)[前記Antpタンパク質の部分43〜58]に関与するドメインを含んでなるアンテナペディアホメオドメイン(AntpHD)を含んでなり、アミノ酸配列RQKIWFQNRRMKWKK(配列番号12)を含んでなる、ペプチド、またはその機能的断片である。

0050

別の特定の実施態様によれば、前記キャリアーペプチドは、ペプチド形質導入(PTD)に関与するドメインを含んでなるHSV−1 VP22タンパク質由来のペプチドである。

0051

別の特定の実施態様によれば、前記キャリアーペプチドは、細胞に浸透するペプチドの能力に関与するアミノ酸配列を含んでなるARF(「代替読み取りフレーム」)腫瘍抑制タンパク質由来のペプチド、例えば、前記ARFタンパク質の部分26〜44、具体的にはアミノ酸配列KFVRSRRPRTSCAAFVN(配列番号13)を含んでなる断片、または前記ARFタンパク質の部分37〜44、具体的にはアミノ酸配列SCALAFVN(配列番号14)を含んでなる断片である。

0052

本発明によるペプチドは、本発明のペプチドを細胞に取り込むことができるキャリアーペプチドの(アミノまたはカルボキシル)末端のいずれにも結合できる。したがって、特定の実施態様によれば、本発明のペプチドのカルボキシル末端は、前記キャリアーペプチドのアミノ末端に結合しており、一方、別の特定の実施態様によれば、本発明のぺプチドのアミノ末端は、前記キャリアーペプチドのカルボキシル末端に結合している。

0053

本発明によるペプチドは、前記ペプチドを細胞に取り込むことができるキャリアーペプチドに直接結合していても、結合していなくてもよい。したがって、特定の実施態様によれば、本発明のペプチド[ペプチド(i)]は、直接前記キャリアーペプチド[ペプチド(ii)]に結合している。一方、別の特定の実施態様によれば、本発明のペプチド[ペプチド(i)]は、前記ペプチド(i)と(ii)間のリンカーまたはスペーサーペプチドを介して前記キャリアーペプチド[ペプチド(ii)]と結合している。結果的に、必要に応じて、本発明の融合タンパク質は、前記本発明のペプチド[ペプチド(i)]と前記キャリアーペプチド[ペプチド(ii)]間に位置しているスペーサーペプチドをさらに含むことができる。前記スペーサーペプチドは、非構造化ドメインを生じさせるペプチド等の構造的柔軟性を有するペプチドが有利である。構造的柔軟性を有する実質的にいずれのペプチドもスペーサーペプチドとして使用することができる。前記スペーサーペプチドの具体例としては、アミノ酸部分、例えば、Glyおよび/またはSerの反復、またはいずれかの他の好適なアミノ酸部分の反復を含むペプチドなどが挙げられるが、これらには限定されない。

0054

必要に応じて、本発明による融合タンパク質は、本発明の融合タンパク質の単離または精製に有用なアミノ酸配列を任意に含むことができる。前記配列は、本発明によるペプチドの機能性に悪影響を及ぼさない本発明の融合タンパク質の領域に位置している。融合タンパク質(一般的にタグペプチドと称される)を単離または精製するのに使用することができる実際上いずれのアミノ酸配列も、前記本発明の融合タンパク質に存在することができる。融合タンパク質の単離または精製に有用な前記アミノ酸配列として、例えば、アルギニンタグ(Arg−tag)、ヒスチジンタグ(His−tag)、FLAG−tag、Strep−tag、抗体によって認識されるエピトープ、例えば、c−myc−tag、SBP−tag、S−tag、カルモジュリン結合ペプチドセルロース結合ドメインキチン結合ドメイングルタチオントランスフェラーゼタグ、マルトース結合タンパク質、NusA、TrxA、DsbA、Avi−tag(Terpe K.、Appl. Microbiol. Biotechnol.、(2003)、60:523−525)、β−ガラクトシダーゼ、VSV−糖タンパク質(YTDIEMNRLGK)(配列番号15)、またはAla His Gly His Arg Pro(配列番号16)(2、4、および8コピー)、Pro Ile His Asp His Asp His Pro His Leu Val Ile His Ser(配列番号17)などのアミノ酸配列があげられるが、これらには限定されない。

0055

本発明によるペプチドおよび融合タンパク質の用途
本発明によるペプチドは、スクルフィンと結合することができ、そして有利なことには、スクルフィンの生物学的活性を阻害することができ、したがって、間接的に、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一時的に調節または阻害できる。したがって、本発明によるペプチドの重要な利点は、その使用により、Tregリンパ球の免疫抑制活性が過度的または一時的に調節または阻害できることである。表面マーカーに対する抗体を使用することに基づく、Tregリンパ球の活性を阻害する他の公知の方法とは異なり、本発明のペプチド、すなわち、スクルフィンに結合する能力、特に前記タンパク質への直接結合によりスクルフィンの生物学的活性を阻害する能力を有するペプチドは、Tregリンパ球を除去せず、それらの活性に対してより細かく一次的な制御が可能となる。いずれの理論にも拘束されることは意図しないが、本発明によるペプチドは、それらのサイズが小さいため、細胞に導入してスクルフィンの活性を阻害することができると思われる。

0056

多くの生物学的プロセスにおけるTregリンパ球の役割およびスクルフィンがそれらの免疫抑制活性に不可欠であるという事実から、本発明によるペプチドの使用は、腫瘍性疾患および感染症の治療に有用な可能性がある新しい種類の薬剤の開発の可能性に道を開くものである。スクルフィンの生物学的活性の阻害により、本発明によるペプチドが、Tregリンパ球の免疫抑制活性を過度的または一時的に調節または阻害でき、したがって、前記Tregリンパ球の作用がさらに選択的且つ過渡的に制御され、それらの除去の結果として自己免疫の誘導のリスクが減少するようにする、腫瘍性疾患または感染症の治療のための療法を開発することができる。

0057

したがって、本発明のぺプチドおよび本発明の融合タンパク質は、Tregリンパ球が免疫抑制の役割を果たし、効果的な免疫反応の正しい活性化を防止することがある、腫瘍性疾患または感染症の場合に起きる、Tregリンパ球の免疫抑制活性を過度的または一時的に調節または阻害することが好適または必要である、病的状態の治療に使用することができる。ヒトにおいて、Tregリンパ球が、黒色腫(Wang、H.Y.、J Immunol.、2005年、174:2661−2670;Viguier、M.、F.、J Immunol、2004年、173:1444−1453)、肺癌(Woo、E.Y.、Cancer Res.、2001年、61:4766−4772)、卵巣癌(Woo、E.Y.、Cancer Res、2001年、61:4766−4772、Curiel、T.J.、Nat Med.、2004年、10:942−949)、膵臓癌および乳癌(Liyanage、U.K.、J Immunol.、2002年、169:2756−2761)、さらには肝細胞癌(Ormandy、L.A.、Cancer Res.、2005年、65:2457−2464;Kobayashi、N.、Clin Cancer Res.、2007年、13:902−911)の場合における抗腫瘍T細胞の有益な作用を抑制することができることが知られている。感染症において、Treg細胞によりなされる制御により、エフェクターT反応の大きさを制限し、感染の制御ができなくなることがある。したがって、一部のウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス(Xu、D.、J Immunol.、2006年、177:739−747)、C型肝炎ウイルス(Boettler、T.、J Virol.、2005年、79:7860−7867;Cabrera、R.、Hepatology(肝臓病学)、2004年、40:1062−1071;Rushbrook、J Virol.、2005年、79:7852−7859;Sugimoto、K.、Hepatology(肝臓病学)、2003年、38:1437−1448)およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)(Aandahl、E.、M. J Virol.、2004年、78:2454−2459;Kinter、A.L.、 J Exp Med.、2004年、200:331−343;Oswald−Richter、K.、PLoS Biol、2004年、2:E198;Weiss、L.、Blood、2004年、104:3249−3256)は、抗ウイルス免疫反応を阻害するためにTreg細胞を使用し、それによって、持続性慢性感染症が確立することがあることが記載された。

0058

本発明のペプチドおよび融合タンパク質により治療できる可能性のある病的状態の具体例には、腫瘍性疾患および感染症などがある。本明細書において使用される用語「腫瘍性疾患」には、腫瘍(すなわち、良性または悪性であるかには無関係に、構成する細胞数が増加するため、容積、特に塊の増加を生じる組織障害)および癌(隣接する組織進入し、離れている組織に広がることができる、異常細胞の無制御増殖により特徴付けられる疾患)の両方を含む。同様に、用語「感染症」は、一般的には、ウイルス、細菌、真菌寄生虫などの感染によって引き起こされる疾患に関する。この種の感染または腫瘍(癌)過程において、リンパ球は、治癒を促進する、感染または腫瘍過程に対する免疫反応の活性化を阻害することができるので、リンパ球は負の影響を及ぼす。

0059

本発明のペプチドおよび融合タンパク質で治療できるウイルス感染症の具体例には、実質的にいずれもウイルス性感染症、例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIV、ヒト乳頭腫ウイルスヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV−7)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、カポジヘルペスウイルス(HHV−8)などのヒトヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症などが挙げられるが、これらには限定されない。

0060

本発明のペプチドおよび融合タンパク質で治療できる細菌感染症の具体例には、ハンセン菌により引き起こされる感染症、ヒト結核菌により引き起こされる感染症、ペスト菌により引き起こされる感染症、ヘリコバクターピロリにより引き起こされる感染症などが挙げられるが、これらには限定されない。

0061

本発明のペプチドおよび融合タンパク質で治療できる真菌感染症の具体例には、カンジダアルビカンスにより引き起こされる感染症、紅色白癬菌により引き起こされる感染症、アスペルギルス属により引き起こされる感染症などが挙げられるが、これらには限定されない。

0062

本発明のペプチドおよび融合タンパク質で治療できる寄生虫感染症の具体例には、リーシュマニア症、例えば、内臓リーシュマニア症マラリア原虫により引き起こされるマラリアトキソプラズマ症などの感染症が挙げられるが、これらには限定されない。

0063

本発明のペプチドおよび融合タンパク質で治療できる腫瘍性疾患の具体例には、乳頭腫腺腫脂肪腫骨腫筋腫血管腫母斑成熟奇形腫癌腫肉腫または未熟奇形腫、例えば、黒色腫、骨髄腫白血病ホジキンリンパ腫基底細胞腫棘細胞腫、乳癌、卵巣癌、子宮癌、肺癌、気管支癌前立腺癌結腸癌、膵臓癌、腎臓癌食道癌、肝細胞癌、頭部癌および頸部癌などが挙げられるが、これらには限定されない。

0064

一般的に、Tregリンパ球が、被験者が患っている病的状態の治癒に影響を及ぼすことがある免疫を抑制する役割を果たす、いずれの感染症または腫瘍疾患過程も、本発明のペプチドで治療することができる。

0065

同様に、本発明のペプチドおよび融合タンパク質は、ワクチン接種後にそれらを投与し、そしてそれらの投与中に本発明のペプチドにより、続いてTregリンパ球が阻害されると、ワクチンの成分に対する反応を高めることができるので、抗ウイルスまたは抗腫瘍ワクチンの能力を向上するのに使用することができる。

0066

さらに、Tregリンパ球が、抗原に対する経口免疫寛容において中心的役割を担うことがあり(Huibregtse、I.L.、Gastroenterology(消化器病学)、2007年、133:517−528)、したがって、本発明のペプチドは、経口投与された抗原に対するこの寛容が失われるべきである状況で使用することができる。

0067

医薬組成物
被験者に投与するために、本発明のペプチドまたは本発明の融合タンパク質を、好適な医薬組成物に製剤化する。本明細書において使用される用語「被験者」は、いずれかの哺乳動物種に属するものであり、家畜霊長類およびヒトなどがあげられるが、これらには限定されない。好ましくは、被験者は、いずれかの年齢または人種男性または女性のヒトである。

0068

したがって、別の態様によれば、本発明は、治療上有効な量の本発明のぺプチドまたは、治療上有効な量の本発明の融合タンパク質を、少なくとも一種の薬学的に許容される賦形剤とともに含んでなる医薬組成物(以下、本発明の医薬組成物と称する)に関する。前記医薬組成物は、ヒトまたは動物の体、好ましくはヒトの体に投与および/または適用するのに有用である。

0069

本発明による医薬組成物は、一種以上の本発明のぺプチドまたは融合タンパク質を、任意に、本発明のペプチドおよび融合タンパク質と異なる、Tregリンパ球の免疫抑制活性を調節または阻害する別の一種以上の化合物と共に含むことができる。本発明のペプチドおよび融合タンパク質とは異なる、その作用機構(例えば、スクルフィンの阻害によるか、または他の機構による)とは無関係に、Tregリンパ球の免疫抑制活性を阻害または調節する実質的にいずれの化合物も、必要に応じて、本発明による医薬組成物に存在させることができる。本発明のペプチドおよび融合タンパク質と共に使用でき、本発明のペプチドおよび融合タンパク質とは異なる、Tregリンパ球の活性を阻害または調節する別の化合物の具体例として、とりわけ、抗CD25抗体、抗CTLA4抗体、抗GIR抗体、サイトカインTGF−beta、IL−10またはIL−9を阻害する化合物、シクロホスファミドフルダラビンなどの化学療法化合物、またはケモカインCCL17またはCCL22の阻害剤などが挙げられるが、これらには限定されない。

0070

抗体に代えて、本発明によるペプチドを使用することにより、多くの利点が得られる。前記ペプチドは小さい分子なので、それらは、より高い拡散能力とより短い半減期を有する。本発明のペプチドは、スクルフィンに対し高い親和性を持つが、抗体よりも素早く分解し、考えられる副作用は本発明によるペプチドの好適な投与量により制御することができる。さらに、Tregリンパ球に対するほとんどの抗体は、前記細胞の脱離を引き起こし、したがって、それらの作用はより長期的になり、自己免疫疾患の誘導リスクは増加する(Stephens、L.A.、Proc Natl Acad Sci USA.、2005年、102:17418−17423)。また、本発明のペプチドとスクルフィン間の相互作用は細胞内部で起こる(例えば、細胞質内またはおそらく核内)はずであるので、本発明によるペプチドが細胞内に進入しすくなり、それによって、本発明によるペプチドの、スクルフィンの活性に対する阻害活性が増加すことから、本発明による融合タンパク質の利用には、数多くの利点がある。

0071

症状がある病的状態、感染症または腫瘍性疾患の治療のために、本発明によるペプチドおよび融合タンパク質は、ヒトまた動物の体において、本発明によるペプチドと、その作用部位との接触を生じるいずれの手段で投与してもよい。本発明により提供される医薬組成物に含まれるペプチド、それらの誘導体または薬学的に許容される塩、あるいは本発明の融合タンパク質の量は、広範囲で変化させることができる。

0072

本発明によるペプチド、融合タンパク質および/または医薬組成物で前記病的状態を治療するための投与量は、年齢、患者の状態、疾患または病的状態の重症度、投与の経路および頻度などの多数の因子、ならびに投与される本発明のペプチドまたは融合タンパク質に依存する。

0073

本発明によるペプチドまたは融合タンパク質を含んでいる医薬組成物は、例えば、固体または液体などいずれの剤形であってもよく、適切な経路、例えば、経口、非経口直腸または局所経路で投与することができる。剤形には、例えば、軟膏リポゲルヒドロゲルなど)、点眼剤エアゾールスプレー注射剤浸透圧ポンプなどの所望の剤形に製剤化するのに必要な薬学的に許容される賦形剤などがある。医薬品の種々の剤形およびそれらを得るために必要な賦形剤が、例えば、「Tratado de Farmacia Galenica」、C.Fauli i Trillo、1993年、Luzan 5、S.A.Ediciones、Madrid;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences(レミングトン製薬科学)(A.R.Gennaro編)、第20版、Williams&Wilkins PA、アメリカ(2000年)にまとめられている。

0074

本発明の医薬組成物の調製における、本発明のペプチドおよび融合タンパク質の使用は、本発明の追加の態様を構成する。したがって、別の態様によれば、本発明は、感染症(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症など)および腫瘍性疾患(例えば、癌および腫瘍)などの、Tregリンパ球の免疫抑制活性の過度的または一時的な調節もしくは阻害するのに適当な、または必要な病的状態の治療用医薬品の調製における、本発明のペプチドまたは本発明の融合タンパク質の使用に関する。

0075

同様に、別の態様によれば、本発明は、感染症(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症など)および腫瘍性疾患(例えば、癌および腫瘍)などの、Tregリンパ球の免疫抑制活性の過度的または一時的な調節もしくは阻害するのに適当な、または必要な病的状態の治療における、本発明のペプチドまたは本発明の融合タンパク質の使用に関する。

0076

本発明によるペプチドの入手
本発明によるペプチドは、通常の合成方法、例えば、固相合成技術により得ることができ、従来の方法、例えば、高速液体クロマトグラフィーHPLC)により精製することができる。さらに、必要に応じて、従来の技術、例えば、配列決定質量分析アミノ酸分析核磁気共鳴分析などにより分析することができる。本発明によるペプチドは、アサートンFmoc変異体(Atherton、E.、Logan、J.C.およびSheppard、R.C.、1989年、Peptide synthesis II(ペプチド合成II)、 Procedures for solid phase synthesis using N−fluorenyl methoxycarbonyl amino acidson polyamide supports(ポリアミド支持体上でN−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ酸を用いて固相合成する方法)、Synthesis of substance P and of acyl carrier protein 65−74 decapeptide(物質Pおよびアシルキャリアタンパク質65−74デカペプチドの合成)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.、1:538)を使用した通常の手法(Merrifield RB.、J Am Chem Soc.、1963年;85:2149−2154)に準じたペプチド合成により得ることができるが、これらには限定されない。得られたペプチドの純度は、例えば、逆相HPLCおよび/または質量分析法により測定することができる。

0077

本発明による融合タンパク質は、本発明のペプチド、および上述したもの等の通常の合成法(例えば、固相化学合成)または組み換え技術により得ることができる本発明のペプチドを細胞に取り込むことができるキャリアーペプチドのカップリング反応により得ることができる。

0078

別の方法として、本発明によるペプチドおよび本発明による融合タンパク質は、組み換えDNA技術により得ることができる。したがって、別の態様によれば、本発明は、本発明のペプチドまたは融合タンパク質をコードしているDNA配列を提供する。前記DNA配列は、本発明のペプチドまたは融合タンパク質のアミノ酸配列から容易に推定することができる。

0079

前記DNA配列は、DNA構築物に含まれるものでもよい。したがって、別の態様によれば、本発明は、本発明によるペプチドまたは融合タンパク質をコードするDNA配列を含んでなるDNA構築物を提供する。前記DNA構築物は、動作可能に結合された、本発明によるペプチドまたは融合タンパク質をコードしているDNA配列の発現を調節する配列を含むことができる。制御配列は、本発明によるペプチドまたは融合タンパク質の転写および、必要に応じて、翻訳を制御、調節する配列であり、前記DNA配列または構築物を含んでなる形質転換宿主細胞で機能する、プロモーター配列ターミネータ配列などを含む。特定の実施態様によれば、前記発現制御配列は、細菌において機能する。前記DNA構築物は、さらに前記DNA構築物を用いて形質転換宿主細胞を選択することができるモチーフまたは表現型をコードしているマーカーまたは遺伝子を含んでなるのが有利である。本発明により提供されるDNA構築物は、当業者に公知の方法(Sambrook等、「Molecular cloning、a Laboratory Manual」(分子クローニング、実験マニュアル)、2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(コールドスプリングハーバー研究所雑誌)、ニューヨーク、1989年、1−3巻)により得ることができる。

0080

本発明により提供されるDNA配列またはDNA構築物は、適当なベクターに挿入することができる。したがって、別の態様によれば、本発明は、前記DNA配列または構築物を含んでなる、発現ベクターなどのベクターに関する。どのベクターを選択するかは、続いて導入する宿主細胞により異なる。一例として、前記DNA配列が導入されるベクターは、宿主細胞に導入したときに、前記細胞のゲノム一体化するか、一体化しない、プラスミドまたはベクターであることができる。前記ベクターは、当業者に公知の従来の方法(上記したSambrook等、1989年)により得ることができる。

0081

別の態様によれば、本発明は、本発明で与えられたDNA配列またはDNA構築物または上記したベクターを含んでなる、形質転換宿主細胞などの宿主細胞に関する。前記細胞は、原核細胞または真核細胞であることができる。

0082

同様に、別の態様によれば、本発明は、本発明による提供される配列、DNA構築物またはベクターを含んでなる宿主細胞を、前記本発明のペプチドまたは融合タンパク質の産生が可能な条件下で成長させることと、必要に応じて、前記本発明のペプチドまたは融合タンパク質を回収することとを含んでなる、本発明によるペプチドまたは本発明による融合タンパク質の製造方法に関する。前記宿主細胞の培養を最適化する条件は、使用する宿主細胞によって決まる。必要に応じて、本発明のペプチドまたは融合タンパク質の製造方法は、前記ペプチドまたは融合タンパク質の単離および精製をさらに含んでいる。

0083

さらに、本発明により提供される前記DNA配列およびDNA構築物は、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一時的に調節または阻害するのに適当なまたは必要な、病的状態の治療用ベクターおよび細胞の調製において使用することができる。したがって、別の態様によれば、本発明は、例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫感染症など、および腫瘍性疾患である、Tregリンパ球の免疫抑制活性を一時的に調節または阻害するのに適当なまたは必要な、病的状態の治療用ベクターおよび細胞の調製における、前記DNA配列およびDNA構築物の使用に関する。本発明のこの態様によれば、前記DNA配列または構築物は、ウイルスまたは非ウイルスベクターなどの遺伝子導入ベクターと接触させることができる。本発明のこの実施態様を実施するのに好適なウイルスベクターには、アデノウイルスベクターアデノ随伴ベクター、レトロウイルスベクターレンチウイルスベクターアルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、コロナウイルス誘導ベクターなどが挙げられるが、これらには限定されない。本発明の実施態様を実施するのに好適な非ウイルス型ベクターには、DNA、リポソームポリアミンデンドリマーカチオン糖重合体、リポソーム−ポリカチオン複合体、タンパク質、レセプター依存性遺伝子導入システムなどが挙げられるが、これらには限定されない。

0084

本発明のペプチドの初期同定
ファージライブラリーに関連した手法を使用して、スクルフィンに結合する能力を有するペプチドを最初に同定した。この手法により、一定のタンパク質(例えば、スクルフィン)との高親和性結合を有するペプチドを同定し、続いて生体外アッセイにより、当該タンパク質の生物学的活性を阻害する能力を定量化することができる。この場合、前記タンパク質はスクルフィンであり、その生物学的活性の阻害により、間接的に、Tregリンパ球の免疫抑制活性を調節または阻害することができる。その生物学的活性を阻害する、スクルフィンに結合するペプチドの配列は、いくつかのバイオパンニングサイクル(一般的に3)後の対応するDNA配列から推定することができる。一定の生成物阻害物質を同定するためにファージライブラリーを使用することが、例えば、Chirinos−Rojas C.L.等 Immunology(免疫学)、1999年、Jan.、96(1):109−113;McConnell S.J.等、Gene(遺伝子)、1994年、Dec.、30、151(1−2):115−118;またはSmith G.P.、Science(サイエンス)、1985年、Jun.、14、228(4705):1315−1317により記載された。

0085

したがって、別の態様によれば、本発明は、スクルフィンに結合する能力を有するペプチドを同定する方法であって、
(i)複数の繊維状ファージを含んでなるファージライブラリーであって、前記ファージの各々のゲノムがファージコートタンパク質の遺伝子に連結した異なるペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含んでおり、それにより各ファージが遺伝学的にファージコートタンパク質に融合した異なるペプチドを含有する、ファージライブラリーを使用すること、
(ii)親和性アッセイにより、より高い親和性でスクルフィンと結合しているペプチドを含んでいるファージを選択すること;および
(iii)工程(ii)で選択したファージに挿入され、スクルフィンに結合する前記ペプチドをコードしている対応するDNA配列から、スクルフィンに結合しているペプチドの配列を決定すること、
とを含んでなる、同定方法に関する。

0086

特定の実施態様によれば、生物学的活性に対して阻害活性を有する可能性のある高親和性でスクルフィンに結合することができる15アミノ酸の長さを有するペプチドを得るために、複数の糸状バクテリオファージ(M13)により形成されたファージライブラリーを使用した。これらの各々は、遺伝学的にファージコートタンパク質に融合、この場合はpIIIコートタンパク質のN−末端に結合した、15アミノ酸の異なるペプチドを含んでいる。したがって、ファージは、その表面に、表面タンパク質の5分子の各々において、15アミノ酸からなるペプチドを提示し、一方、前記ペプチド配列をコードしているDNAを内部に含んでいる。ファージライブラリーにおいて、ペプチドをコードしている配列は、20天然アミノ酸で15位置の各々を変性した配列に由来するものであり、異なるファージにおける15アミノ酸の1.1x1012個の可能性のある配列を提示できる。バクテリオファージにおけるペプチド配列とそれをコードしているDNAとの間の物理的比1:1により、多数の変異体から、スクルフィンに特異的に結合する配列を選択することが可能となる。このプロセスは、親和性アッセイによって実施される。

0087

ある特定の実施態様によれば、前記親和性アッセイは、バイオパンニングと呼ばれる生体外選択プロトコルからなる。簡単に述べると、前記手法は、実用上、ファージにより担持されたペプチドとの相互作用について正しく提示された、スクルフィンを塗布したプレートにおいて15アミノ酸(この場合)からなるペプチドの全ての変異体を表す一連のファージをインキュベーションすることからなる。培養後、未結合ファージは、洗浄によって除去され、その後、特異的に結合しているファージは、pHを低下させることにより、スクルフィンとファージによって提示されたペプチド間の分子間相互作用破壊することで溶出される。溶出したファージは、それから、細菌株に感染させ増幅させる。このプロセスを、合計3回反復して、スクルフィンに特異的に結合し、スクルフィンに対して高親和性を有するファージの含量を高める。プレートを阻害するのに使用されるスクルフィンの濃度は、各回で、次第に減少(例えば、2.5〜0.02μg/mLおよび最終的に0.002μg/mL)する。したがって、各回において選択されるファージは、スクルフィンに対してより高い親和性を有している。プロセスの終わりに、スクルフィンに対する親和性について選択されたファージを、プライマーを用いて配列決定する。これにより、ファージにおいて提示されたペプチドの配列を得ることができる。このスクリーニングを実施後、図1に示す生体分子相互作用表面プラズモン共鳴(SPR)法により、前記ペプチドとスクルフィン間の相互作用の能力を確認するためのアッセイを実施できる。生体分子相互作用表面プラズモン共鳴(SPR)法は、この方法により確認されるペプチドP60(配列番号1)がスクルフィンにどのように特異的に結合するかを示している。

0088

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。

0089

実施例1
スクルフィンに結合する能力を有するペプチドの選択
スクルフィンに結合する能力を有し且つスクルフィンの生物学的活性に対する阻害活性を有する可能性のあるペプチドを、ファージライブラリーから、開発した技術に基づき生体外選択法により選択した。

0090

1.1スクルフィンの産生
スクルフィンを産生するために、プラスミドpDEST15−FOXP3(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)に結合したスクルフィン発現ベクター)を融合タンパク質として使用した(Ignacio Casal博士(Centro Nacional de Investigaciones Oncologicas、CNIO、Madrid、Espana)の好意により提供されたもの)。前記プラスミドを、タンパク質(スクルフィン)の発現およびその後の精製に適した大腸菌BL21にクローニングした。前記タンパク質の発現は、0.5リットルLB培地セントルイスにあるSigma社)の培養から実施した。細菌ペレットを、フレンチプレス(Thermo Electron Corporation社)に、上清にスクルフィンが残留するように溶解した。スクルフィンの精製は、GSTrap親和性カラム(参照番号17513001、Amersham、Pharmacia社)とFPLC(高速タンパク質液体クロマトグラフィークロマトグラフ(Akta FPLC、Amersham Biosciences社)のプラットホームを使用した親和性クロマトグラフィーにより行なった。プール分画について、抗Foxp3抗体(ab10564、Abcam社)を使用しウエスタンブロットを行ない、タンパク質の存在を確認した。スクルフィンを単離し、精製した時点で、ファージライブラリーを用いた結合/溶離ラウンドを開始した。

0091

1.2ファージライブラリーおよびバイオパンニング法によるペプチドの選択
ファージライブラリーに関連した技術を使用して、スクルフィンに結合する能力を有するペプチドを同定した。この方法では、一定のタンパク質(この場合、スクルフィン)との高親和性結合を有するペプチドを同定し、続いて生体外アッセイにより、前記タンパク質の生物学的活性を阻害する種々のペプチドの能力を定量化することができる。スクルフィンと結合するペプチドの配列は、何回かのバイオパンニングサイクル(一般的に3)後に対応するDNA配列から推定することができる。

0092

この実施例を実施するのに使用したファージライブラリーは、2x108個の種々のクローンを含み、George P.Smith氏(米国のミズーリ大学、Division of Biological Sciences Tucker Hall)の研究室により提供されたものであった。前記ファージライブラリーに存在するファージを増幅し、精製してから、選択(バイオパンニング)を実施した。そのために、前記ファージライブラリー10μlを、大腸菌K91Kan(ミズーリ大学のDivision of Biological Sciences Tucker HallのGeorge P.Smith氏から供給されたもの)を宿主株として用いて増幅した後、ポリエチレングリコール(PEG)/NaClで2回沈殿およびCsCl勾配遠心分離により精製した。分光分析によりファージ懸濁液の力価を算出したところ、ウイルス粒子が3.82x1014個/mlであり、感染粒子数が1.3x1013TU/mlであった。選択アッセイ開始前に、前記ファージ懸濁液の一部を、配列決定して、増幅がクローンの多様性に影響を及ぼさなかったことを確認した。

0093

スクルフィンに結合する能力を有し、スクルフィンの生物学的活性の阻害剤として有用である可能性があるペプチドを選択する方法は、スクルフィンをファージライブラリーにより提示されるペプチドと接触させることを含んでなる。このために、96ウェルプレートの各ウェルに、スクルフィンを塗布(炭酸塩緩衝液に添加したスクルフィンを前記ウェルに添加し、静置して4℃で16時間インキュベーションする)し、ファージライブラリー10μlを3x104ウイルス/mlの濃度で添加し、室温(20〜22℃)で1〜2時間インキュベーションした。その後、PBS/Tween(リン酸緩衝生理食塩水/ソルビタン脂肪酸エステルポリオキシアルキレン誘導体)で洗浄することにより未結合ファージを除去して、スクルフィンに特異的なファージだけがプレートに結合したまま残存するにようにした。スクルフィンに特異的に結合するこれらのファージは、pHを低下(溶出緩衝液)させ、スクルフィンと、ファージによって提示されたペプチドとの間の分子間相互作用を破壊することにより溶出した。溶出したファージは、細菌株(大腸菌K91Kan)において感染させることにより増幅させた。このプロセスは、合計3以上の結合/溶出ラウンド反復した。この際、毎回、ウェルに付着したスクルフィンの量を減らし(各ラウンドで、2.5μg/mlから0.02μg/mlに徐々に減らし、最終的に0.002μg/mlに減らす)、各ラウンドで、より高いスクルフィン結合親和性を有するファージを選択した。したがって、最終ラウンドにおいて、バクテリアコロニーは、ゲノムの変性領域に、単一のペプチドをコードしている単一の配列を有している単一ファージに感染される(バクテリアコロニーの選択は、耐性がファージのゲノムに存在する前記抗体に対する耐性を有する遺伝子により与えられるテトラサイクリンの存在下で実施し、この方法で、ファージに感染したコロニーだけが成長し、各コロニーは、表面に提示される単一のペプチドの配列が対応する単一ファージのゲノムを含むようにした)。この領域の配列を決定することにより、そのDNA配列、したがって、スクルフィンの活性の阻害剤としての可能性がある、スクルフィンに結合することができるペプチドの配列を知ることができる。

0094

したがって、最後のバイオパンニング選択ラウンドから得たファージに感染したバクテリアコロニーから、DNAを抽出し、ファージのpIIIタンパク質に提示されたペプチドに相当する領域を含むゲノムの部分を、その領域付近ハイブリダイズする特異的プライマー(配列番号5)を用いて配列決定した。このようにして、47個のペプチドを得た。

0095

アッセイされるペプチド数を制限するために、スクルフィンに対する親和性がより高いファージだけを選択する目的で、ファージの抗M13モノクローナル抗体(HRP/抗M13モノクローナル複合体(参照番号27942101、Amersham Pharmacia Biotech社))に基づいて、市販のELISAを実施した。簡単に述べると、ELISAは、スクルフィンを塗布したマキシソーププレート(Nunc、参照番号:442404)を使用して行なった。選択されたファージは、ELISAプレートの各ウェルに分注し、逐次洗浄後、プレートを抗M13モノクローナル抗体で展開した。各負の対照(スクルフィンなしのウェル)よりも光学密度が大きいウェルは、スクルフィンに対して最も特異的なペプチドを含んでいた。このようにして、最初の47個のファージのうち、25個が選択された。選択された25個のペプチドを、本発明者等の研究室において、Fmoc技術を用いて化学的に合成し、次のアッセイに使用した。これらのペプチドがTreg細胞の免疫抑制作用を阻害する能力を測定するために、何回かアッセイを生体外で実施した後、P60(配列番号1)として同定されたペプチドは、このようなアッセイにおいて最も高い阻害活性を有していたので選択した(実施例2)。

0096

1.3表面プラズモン共鳴(SPR)による、スクルフィンに結合するペプチドP60(配列番号1)の能力の測定
スクルフィンに結合するペプチドP60(配列番号1)の能力は、バイオセンサーBIAcore X(BIAcore、AB、ウプサラ、スウェーデン)を使用した生体分子相互作用表面プラズモン共鳴(SPR)により確認した。大腸菌で産生し、GSTrapカラム(Amersham、Pharmacia社)を使用し親和性精製したスクルフィンを、De Crescenzo等(JBC2001、276巻;29632−29643)に記載のようにして、CM5チップ(Sensor Chip CM 参照番号116Br−1000−14、BIAcore、General Electrics社)のフローセル2(FC2)表面に、共有結合により固定化した。スクルフィンを表面に固定化していないフローセル1(FC1)を、基準フローセルとして使用した。各ペプチド溶液(10μM)を、流量30μl/分で、10mMヘペス緩衝液(150mMNaCl、pH7.4)に3回注入した。FC1における反応を、FC2で得られる反応から減じることにより、結合曲線を処理した。平衡における応答を、ペプチドP60(配列番号1)と、同じサイズ(長さ)の無関係の対照ペプチド、具体的には、アミノ酸配列がヒトCD81レセプターのアミノ酸123−137に対応する配列番号6に示されているペプチドとの間で比較した。各応答に、質量補正因子:MW(P60)/MW(P)(但し、MW(P60)はペプチドP60(配列番号1)の分子量であり、MW(P)は対照ペプチドの分子量である)を乗じた。図1から明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)は陽性シグナルを示し、スクルフィンタンパク質に特異的に結合する能力を有する。

0097

1.4アミノ末端またはカルボキシル末端からアミノ酸を欠失させることによる切断型ペプチドP60(配列番号1)の生成およびそれらのスクルフィン結合能の評価
ペプチドP60(配列番号1)のアミノ末端およびカルボキシル末端に位置するアミノ酸の重要性を評価するために、前記切断型ペプチドP60(配列番号1)を上記に示したように化学合成し、スクルフィンに結合する前記切断型の能力を、上記のセクション1.3に記載したプロトコルに基づいて、SPRによりアッセイした。

0098

化学合成した切断型は、
T(1−13)(配列番号2)[P60のアミノ酸1−13]、
T(1−14)(配列番号3)[P60のアミノ酸1−14]および
T(2−15)(配列番号4)[P60のアミノ酸2−15]
として同定されたP60のペプチドまたは切断型であった。

0099

同様に、前記ペプチド(配列番号2、配列番号3および配列番号4)のスクルフィンに結合する能力を、上記した条件の下SPRによりアッセイした。得られた結果から、アミノ酸末端位置におけるアミノ酸を除去すると、スクルフィンに結合するペプチドの能力を阻害することが明らかである。しかしながら、カルボキシル末端から残基14または15を除去しても、スクルフィンに結合するペプチドの能力が失われることはない(図2)。

0100

実施例2
ペプチドP60(配列番号1)がKarpas299ヒト細胞株の免疫抑制活性に及ぼす影響
プロファイルを検証、確認した後、生体外アッセイを、制御性T細胞[Tregリンパ球]プロファイルを有するヒトリンパ腫(Wolke等、Int J Mol Med.、2006年、Feb;17(2):275−8)から得たKarpas299ヒト細胞株(ACC−31、DSMZ、ドイツ)を用いることにより実施した。したがって、CD4+CD25+細胞を単離する必要はない。

0101

ペプチドP60(配列番号1)がKarpas299細胞株の免疫抑制活性に及ぼす影響を評価するために、Karpas299細胞株の存在下または不存在下で、2人のドナーから得た末梢血単核細胞(PBMCs)を使用し、「混合リンパ球反応」(MLR)アッセイを実施した。このアッセイ(MLR)は、互いに異物として認識する異なる組織適合性を有する異なる由来のリンパ球を共培養することに基づいている。この反応により、リンパ球は急速に増加し、サイトカインを分泌する。このアッセイでは、各ドナーの細胞(陽性MLR対照)100,000個を、単独またはKarpas299細胞株10,000個の存在下で、96ウェルプレートで培養した。

0102

48時間後、上清を抽出し、市販のELISA(参照番号555138、Pharmingen社、サンディエゴ、カリフォルニア州、アメリカ)によりインターフェロンガンマ(IFN−γ)を測定した。この場合、Karpas299細胞株が存在すると、MLR増殖において可能性のある影響をマスクするので、細胞増殖を測定することはできない。IFN−γの測定結果を、図3に示す。この測定結果から、Karpas299細胞株の抑制活性についての情報が得られた。Karpas299細胞株の存在によるMLRの阻害についてのこのアッセイにおいて、MLRによるIFN−γの産生を回復するペプチドP60(配列番号1)の能力を分析した。図3は、MLRとKarpas299細胞株との共培養にペプチドP60(配列番号1)(100μM)を添加すると、Karpas299細胞の不存在下において観察されるIFN−γの産生を部分的に回復することができることを示している。

0103

実施例3
ペプチドP60(配列番号1)がヒトおよびマウスTregリンパ球の免疫抑制活性に及ぼす影響
3.1ペプチドP60(配列番号1)がヒトTregリンパ球の免疫抑制活性に及ぼす影響
ペプチドP60(配列番号1)のヒトTregリンパ球の免疫抑制活性に対する阻害能力を、2種類のアッセイにより分析した:
a)混合リンパ球反応(MLR)に基づくアッセイ;および
b)Tregリンパ球の存在下または不存在下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体が表面に付着しているミクロスフェアとともに培養したヒトCD4エフェクターTリンパ球の培養液におけるIFN−γの産生の測定に基づくアッセイ。

0104

3.1.1混合リンパ球反応(MLR)に基づくアッセイ
実施例2に示すような混合リンパ球反応(MLR)に基づくアッセイを行なうために、2人のドナーから得た末梢血単核細胞(PBMCs)を、市販のキット(参照番号130091072、Miltenyi Biotec社、ベルギッシュグラートバハ、ドイツ)により、製造業者説明書にしたがって、それらのうちの一つから精製したCD4+CD25+Treg細胞(Tregリンパ球)と混合した。精製後、細胞をフローサイトメトリーにより分析したところ、全てのアッセイにおいて、純度が約90%であった。ヒトTregリンパ球の阻害効果を阻害する能力をアッセイするために、このMLRアッセイは、各ドナーから得た105個のPBMC細胞と2x104個のTregリンパ球をペプチドP60(配列番号1)の存在下または不存在下でインキュベーションすることにより実施した。培養開始3日後、0.5μCi/ウェルのトリチウムチミジン(Amersham、Pharmacia社)と、16時間後にプレートを、ハーベスター(Filtermate96ハーベスター;Packard Instrument社、Meriden、CT)を用いて集め、細胞DNAに取り込まれた放射能を、シンチレーションカウンター(Topcount;Packard Instrument社)により、カウントした(細胞増殖の測定)。このアッセイの結果を、図4に示す。図4から明らかなように、2人のドナーのPBMCの混合物は、放射性チミジンの取り込みとして測定される細胞増殖を促進し、そしてTregリンパ球を添加すると前記細胞増殖を阻害することができる。さらに、ペプチドP60(配列番号1)をこれらの共培養液に添加すると、MLRを部分的に回復してヒトTregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができることが観察される。

0105

3.1.2IFN−γの測定に基づくアッセイ
このアッセイは、2x104個のヒトTregリンパ球(上記したようにして精製)の存在下または不存在下で、105個のヒトCD4エフェクターTリンパ球を、表面に抗CD3抗体および抗CD28抗体が付着したミクロスフェア(Dynabeads(登録商標)CD3/CD28;参照番号111.31、Dynal社)とともに培養した培養液におけるIFN−γ産生の測定に基づいている。このアッセイは、ぺプチドP60(配列番号1)の存在下または不存在下で行い、Tregリンパ球の阻害効果を評価した。培養48時間後、培養上清のIFN−γの存在が市販のELISA(参照番号555138、Pharmingen社)により調べた。図5は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含むミクロスフェアがTリンパ球によるIFN−γ産生を促進し、培養物にTreg細胞を添加することで前記IFN−γ産生を阻害できることを示している。これらの共培養物へペプチドP60(配列番号1)を添加することにより、再びヒトTregリンパ球の阻害効果を阻害できるようになり、刺激に反応してIFN−γ産生を部分的に回復する。

0106

3.2ペプチドP60(配列番号1)のマウスTregリンパ球の免疫抑制活性に及ぼす影響
ペプチドP60(配列番号1)のマウスTregリンパ球の免疫抑制活性に対する阻害能力を、異なる3種類のアッセイにより分析した:
a)脾細胞の活性化に基づくアッセイ;
b)混合リンパ球反応(MLR)アッセイ;および
c)トランスジェニックマウス脾細胞とTregリンパ球の共培養に基づくアッセイ。

0107

3.2.1脾細胞の活性化に基づくアッセイ
まず、抗CD3抗体(参照番号553057、BD Biosciences社)の存在下、BALB/cマウス脾細胞(チャースリバー)活性化のアッセイを実施した。このために、105個のBALB/cマウス脾細胞を、抗CD3抗体、2x104個のマウスTregリンパ球およびペプチドP60(配列番号1)の存在下または不存在下で培養した。ペプチドP60(配列番号1)(100μM)が、抗CD3による刺激に反応してエフェクター細胞によるIFN−γの産生に対するTregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができることが観察される(図6)。

0108

3.2.2混合リンパ球反応アッセイ(MLR)
第二に、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを実施した。BALB/cマウスから単離したエフェクターリンパ球(細胞105個/ウェル)を、BALB/cTregリンパ球の存在下または不存在下、およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で、C57BL/6マウス(チャールスリバー)から得た精製樹枝状細胞と共培養した。細胞増殖の測定は、上記した従来のトリチウムチミジン取り込みアッセイにより実施した。得られた結果から、ペプチドP60(配列番号1)が、MLRに反応してエフェクター細胞の増殖に対するTregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができることが明らかである(図7)。

0109

3.2.2トランスジェニックマウス脾細胞とTregリンパ球の共培養に基づくアッセイ
第三に、ペプチドP60(配列番号1)の効果を、OT−1トランスジェニックマウスから得た脾細胞(Melero博士(CIMパンプロナ)による好意により提供された、オボアルブミンのペプチドSIINFEKL(配列番号7)に特異的なT細胞レセプターをもつTリンパ球)をTregリンパ球とともに、抗原(配列番号7)の存在下およびTregリンパ球の存在下または不存在下で共培養することに基づくアッセイで測定した。図8に、抗原による刺激に対するエフェクター細胞の反応に対する天然マウス制御性T細胞(マウス脾細胞から精製)の作用へのペプチドP60(配列番号1)の影響を示す(培養上清へのIFN−γの産生として測定)。OT−1トランスジェニックマウス(細胞105個/ウェル)から単離したエフェクターリンパ球を、C57BL/6マウスから得た樹枝状細胞およびペプチドSIINFEKL(配列番号7)(10μg/ml)とともに、2x104個のBALB/制御性T細胞の存在下または不存在下、およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で、共培養した。図から明らかなように、ペプチドP60(配列番号1)は、このペプチド抗原に特異的なエフェクター細胞によるIFN−γの産生(市販のELISA(参照番号:555138、Pharmingen社、サンディエゴ、カリフォルニア州)により測定)に対するTregリンパ球の免疫抑制作用を阻害することができる。

0110

実施例4
転写因子NF−κBの活性化に対するスクルフィンの阻害効果
スクルフィンが存在すると、293細胞における転写因子NF−kBの活性化を阻害することができることが記載された(Betelli等、Proc Natl Acad Sci USA.、2005年、102:5138−43)。この研究に基づいて、ペプチドP60(配列番号1)を、Oukka博士の好意により提供され、そして上記した(Betelli等、Proc Natl Acad Sci USA.、2005年、102:5138−43)foxp3遺伝子を発現するプラスミドでトランスフェクトした293細胞の培養液への添加、および対照プラスミドでトランスフェクトした293細胞の培養液にNF−κBで誘導されるプロモーター下でルシフェラーゼを発現するプラスミド(参照番号631904、pNF−kB−Luc、Clontech社)ととともに添加することにより得られる効果が研究された。293細胞は、プラスミドpcDNA、pcDNA−Foxp3およびペプチドP60(配列番号1)(100μM)の存在下または不存在下で、リポフェクタミンを用いることにより、転写因子NF−kBにより誘導されるプロモーター下でルシフェラーゼを発現するプラスミドpNF−kB−Lucでトランスフェクトした。培養24時間後、細胞を集め、細胞抽出液におけるルシフェラーゼ活性を、好適なキット(Promega社、マディソン、アメリカ)およびルミノメーター(オリオンマイクロプレートルミノメーター、Berthold detection systems社、ドイツ)を用いることにより測定した。得られた結果を図9に示す。図9から、細胞中にスクルフィンが存在すると、ルシフェラーゼの発現が阻害されること、およびペプチドP60(配列番号1)が存在するとルシフェラーゼの発現が回復することが明らかである。

0111

実施例5
スクルフィン阻害ペプチドを投与することによる抗腫瘍ワクチンの生体内免疫増強
上記で得られた結果を考慮して、生体内アッセイを実施して、スクルフィン阻害ペプチド投与による抗腫瘍ワクチン接種に対する免疫増強作用を測定した。

0112

本発明者等は、以前、CT26結腸癌株に基づくモデルにおいて、Tregリンパ球が腫瘍成長に好都合である免疫抑制作用を有することを明らかにした(Casares等、2001年、Eur J Immunol、31:1780−9;Casares等、2003年、J Immunol、171:5931−9)。このアッセイに使用された腫瘍モデルは、本発明者等の研究室での以前の研究で報告したCT26結腸癌株に基づくモデルであった(上記したCasares等、2003年)。

0113

CT26細胞株(Huang、A.Y.等、Proc Natl Acad Sci USA.、1996年、93:9730−9735)の細胞傷害性T細胞決定基を含有し、そしてTregリンパ球(上記したCasares等、2003年)が存在するので、除去せずとも、免疫化により腫瘍成長をある程度遅延させる、合成ペプチド(配列番号8)を、ワクチン抗原として使用した。

0114

簡単に述べると、6週齢BALB/cマウス群(チャールスリバー)を、ペプチドP60(配列番号1)の存在下または不存在下で、上記したCasares等、2001年に記載されているようなペプチドAH1(配列番号8)で免疫化した。免疫して10日後、マウスに5x105個のCT26細胞を皮下注射し、腫瘍の進展を測定した。

0115

図10に示すように、ペプチドAH1で免疫した後数日間に前記ペプチドP60(配列番号1)を投与することにより、マウスに腫瘍が発症するのが防止された。実際に、ペプチドAH1で免疫し、ペプチドP60(配列番号1)で処理したマウス11匹のうち、触知可能な腫瘤を生じたのは2匹だけであった(防止率82%)。一方、残りの群の防止率は、これよりも顕著に低く、致死腫瘍を生じた(AH1だけで免疫したマウス(0%)、ペプチドP60(配列番号1)だけで免疫したマウス(10%)またはPBSだけで免疫したマウス(0%))(全例においてn=11)。

実施例

0116

図10Aは異なる実験群の腫瘍成長曲線を示し、図10Bは異なる実験群の生存曲線(カプランマイア表示)を示している。p<0.001は、ログランク検定による統計分析の結果である。

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