図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2011年1月6日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題・解決手段

本発明は、組織工学用多孔質足場調製方法に関する。本発明の他の目的は、前記の方法によって得られる多孔質足場を提供し、その多孔質足場を組織工学細胞培養および細胞送達に使用することである。本発明の方法は、a)ある量の少なくとも1種の多糖および1種の架橋剤を含むアルカリ性水溶液を調製するステップと、b)ステップa)の水溶液凍結させるステップと、c)ステップb)の凍結溶液昇華させるステップとからなるステップを含み、ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行うことを特徴とする。

概要

背景

組織工学は一般的に、移植に適した足場の上またはその内部への細胞播種によって、組織または器官の相当物を作出することであると定義される。足場上に組織または器官の相当物を形成するためには、足場は生体適合性でなければならず、細胞がその足場上に付着して増殖できなければならない。したがってこれらの足場は、in vitroまたはin vivoでの細胞の増殖のための基材みなすことができる。

理想的な生体適合性足場特質としては、in vitroまたはin vivoでの細胞増殖補助する能力、さまざまな細胞型または細胞系列の増殖を補助する能力、必要とされるさまざまな程度の柔軟性または強剛性を有する能力、さまざまな程度の生分解性を有する能力、in vivoの目的部位に、二次傷害誘導することなく導入される能力、ならびに所望の作用部位に薬物、細胞および/または生理活性物質送達するためのビヒクルまたはリザーバとなる能力が挙げられるであろう。

多くの異なる足場材料が、組織再生誘導法に用いるために、および/または生体適合性表面として利用されてきた。足場が徐々に分解され、最終的には細胞−足場構造は完全に細胞に置き換わるので、生物分解性ポリマー材料が好ましい場合が多い。組織の増殖または再生を補助すると言われている、有用な足場となる可能性がある多くの候補物質としては、ゲル泡沫シート、ならびに形態および形状が異なる多数の多孔質粒子構造物が挙げられる。

組織工学または組織培養に有用であることが開示されている多種多様天然ポリマーとしては、フィブロネクチン、各型コラーゲン、およびラミニン、ならびにケラチンフィブリンおよびフィブリノーゲンヒアルロン酸ヘパリン硫酸コンドロイチン硫酸などの細胞外マトリックスの種々の成分が挙げられる。

他の使用されていた一般的なポリマーとしては、ポリラクチド−co−グリコリド)(PLG)が挙げられる。PLGは、体内への使用についてFDAから承認された、力学的に強い、加水分解可能なポリマーである(Thomson RC,Yaszemski MJ,Powers JM,Mikos AG.Fabrication of biodegradable polymer scaffoldsto engineer trabecular bone.J Biomater Sci Polym Ed.1995;7(1):23−38;Wong WH.Mooney DJ.Synthesis and properties of biodegradable polymers used as synthetic matrices for tissue engineering.In:Atala A,Mooney DJ,editors;Langer R,Vacanti JP,associate editors.Synthetic biodegradable polymer scaffolds.Boston:Birkhauser:1997.p.51−82.)。しかし、PLGは疎水性であり、一般に比較的厳密な条件下で加工され、したがって、因子の組み込みおよび生存細胞封入が潜在的に難題になる。

代替として、水分を多く含むポリマー材料(含水率が30重量%よりも高い)である種々のヒドロゲルが足場材料として使用されている。これらは、合成由来かまたは天然由来親水性ポリマー鎖で構成されている。ヒドロゲルの構造的完全性は、種々の化学結合および物理的相互作用を介してポリマー鎖間で形成される架橋結合に左右される。これらの用途で用いられるヒドロゲルは、一般に分解可能であり、比較的緩やかな条件下で処理でき、多くの組織および細胞外マトリックスと同様の力学的特性および構造的特性を有し、最小限の侵襲で送達可能である(Lee KY,Mooney DJ.Hydrogels for tissue engineering.Chem Rev.2001 Jul;101(7):1869−79.)。したがって、種々のポリマーがヒドロゲルの調製に使用されている。これらのポリマーとしては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸(HA)およびキトサンが挙げられる。

天然多糖の使用についても、それら多糖非抗原性かつ非免疫原性であり、抗血栓作用および血管増殖因子との相互作用を示すものもあることから、ヒドロゲルに基づいた足場調製の有望な代替であることが示されている。さらに、多糖は可塑性を有するので、これらの多糖ベースのヒドロゲルは種々の形態に造形することができ、治療用生体インプラント材料または生体グラフト材料の設計を可能にしうる。

例えば、Chaouatらは(Chaouat M,Le Visage C,Autissier A,Chaubet F,Letourneur D.The evaluation of a small−diameter polysaccharide−based arterial graft in rats.Biomaterials.2006 Nov;27(32):5546−53.Epub 2006 Jul 20.)、プルランデキストランの混合物を用いて調製した、新規の多糖ベースの足場を設計した。架橋剤のトリメタリン酸ナトリウムSTMP)を用いて、多糖を化学的に架橋結合させた。その後、この足場を用いて調製した動脈材料の有効性をin vivoで実証した。

しかし、Chaouatら(2006)の記載のように、足場の調製に多糖を使用することが有利であるにもかかわらず、医療目的での有効利用を想定するには、いまだに得られる足場の多孔度欠如が欠点になっている。実際、多孔性は、足場内での細胞の増殖、統合、および分化を可能にし、その材料が、in vivoで組織または器官を再構築するための細胞リザーバとして使用されるようにするために不可欠な特徴である。

したがって、本技術分野には、治療目的に使用可能な多孔質足場マトリックスを調製する方法を開発する必要性が今なお存在している。

概要

本発明は、組織工学用多孔質足場の調製方法に関する。本発明の他の目的は、前記の方法によって得られる多孔質足場を提供し、その多孔質足場を組織工学、細胞培養および細胞送達に使用することである。本発明の方法は、a)ある量の少なくとも1種の多糖および1種の架橋剤を含むアルカリ性水溶液を調製するステップと、b)ステップa)の水溶液凍結させるステップと、c)ステップb)の凍結溶液昇華させるステップとからなるステップを含み、ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行うことを特徴とする。

目的

本発明の他の目的は、前記の方法によって得られる多孔質足場、ならびにその多孔質足場の、組織工学、細胞培養および細胞送達への使用を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
6件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

a)ある量の少なくとも1種の多糖および1種の架橋剤を含むアルカリ性水溶液を調製するステップと、b)ステップa)の水溶液凍結させるステップと、c)ステップb)の凍結溶液昇華させるステップとからなるステップを含む、多孔質足場調製方法であって、ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行うことを特徴とする方法。

請求項2

前記多糖が、デキストラン寒天アルギン酸ヒアルロン酸イヌリンプルランヘパリンキトサン、およびフコイダンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記架橋剤が、トリメタリン酸ナトリウムSTMP)、オキシ塩化リン(POCl3)、エピクロロヒドリンホルムアルデヒド水溶性カルボジイミド、およびグルタルアルデヒドからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記架橋剤がトリメタリン酸三ナトリウム(STMP)である、請求項3に記載の方法。

請求項5

ステップa)の水溶液を凍結乾燥する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

ステップa)の水溶液を、0.1mBar〜6.5mBarの圧力下で凍結乾燥する、請求項5に記載の方法。

請求項7

ステップa)の水溶液を、ステップb)の前に型に注ぎ込む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記足場造形する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

ステップc)で得られた足場に再度含水させることからなるステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって得られる多孔質足場。

請求項11

孔のサイズが1μm〜500μmで構成されている、請求項10に記載の多孔質足場。

請求項12

多孔度が4%〜50%で構成されている、請求項10または11に記載の多孔質足場。

請求項13

ある量の細胞担持していることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の多孔質足場。

請求項14

細胞が、酵母細胞哺乳動物細胞昆虫細胞、および植物細胞からなる群から選択される、請求項13に記載の多孔質足場。

請求項15

哺乳動物細胞が、軟骨細胞線維軟骨細胞;骨細胞骨芽細胞破骨細胞筋細胞滑膜細胞骨髄細胞間葉細胞上皮細胞肝細胞間質細胞幹細胞胚性幹細胞脂肪組織由来前駆体細胞末梢血前駆細胞成体組織から単離された幹細胞;および遺伝子形質転換細胞からなる群から選択される、請求項14に記載の多孔質足場。

請求項16

組織工学三次元細胞培養、または治療上での細胞送達のための、請求項10から15のいずれか一項に記載の多孔質足場。

請求項17

請求項10から13のいずれか一項に記載の足場を用いて作製された代用血管

請求項18

請求項10から13のいずれか一項に記載の足場を用いて作製された、軟骨または骨のインプラント

請求項19

製品毒性評価および/または薬理学評価のための、請求項10から13のいずれか一項に記載の足場の使用。

請求項20

請求項10から13のいずれか一項に記載の足場を用いて作製された、活性薬剤放出制御系。

技術分野

0001

本発明は、組織工学用多孔質足場調製方法に関する。本発明の他の目的は、前記の方法によって得られる多孔質足場、ならびにその多孔質足場の、組織工学細胞培養および細胞送達への使用を提供することである。

背景技術

0002

組織工学は一般的に、移植に適した足場の上またはその内部への細胞の播種によって、組織または器官の相当物を作出することであると定義される。足場上に組織または器官の相当物を形成するためには、足場は生体適合性でなければならず、細胞がその足場上に付着して増殖できなければならない。したがってこれらの足場は、in vitroまたはin vivoでの細胞の増殖のための基材みなすことができる。

0003

理想的な生体適合性足場特質としては、in vitroまたはin vivoでの細胞増殖補助する能力、さまざまな細胞型または細胞系列の増殖を補助する能力、必要とされるさまざまな程度の柔軟性または強剛性を有する能力、さまざまな程度の生分解性を有する能力、in vivoの目的部位に、二次傷害誘導することなく導入される能力、ならびに所望の作用部位に薬物、細胞および/または生理活性物質を送達するためのビヒクルまたはリザーバとなる能力が挙げられるであろう。

0004

多くの異なる足場材料が、組織再生誘導法に用いるために、および/または生体適合性表面として利用されてきた。足場が徐々に分解され、最終的には細胞−足場構造は完全に細胞に置き換わるので、生物分解性ポリマー材料が好ましい場合が多い。組織の増殖または再生を補助すると言われている、有用な足場となる可能性がある多くの候補物質としては、ゲル泡沫シート、ならびに形態および形状が異なる多数の多孔質粒子構造物が挙げられる。

0005

組織工学または組織培養に有用であることが開示されている多種多様天然ポリマーとしては、フィブロネクチン、各型コラーゲン、およびラミニン、ならびにケラチンフィブリンおよびフィブリノーゲンヒアルロン酸ヘパリン硫酸コンドロイチン硫酸などの細胞外マトリックスの種々の成分が挙げられる。

0006

他の使用されていた一般的なポリマーとしては、ポリラクチド−co−グリコリド)(PLG)が挙げられる。PLGは、体内への使用についてFDAから承認された、力学的に強い、加水分解可能なポリマーである(Thomson RC,Yaszemski MJ,Powers JM,Mikos AG.Fabrication of biodegradable polymer scaffoldsto engineer trabecular bone.J Biomater Sci Polym Ed.1995;7(1):23−38;Wong WH.Mooney DJ.Synthesis and properties of biodegradable polymers used as synthetic matrices for tissue engineering.In:Atala A,Mooney DJ,editors;Langer R,Vacanti JP,associate editors.Synthetic biodegradable polymer scaffolds.Boston:Birkhauser:1997.p.51−82.)。しかし、PLGは疎水性であり、一般に比較的厳密な条件下で加工され、したがって、因子の組み込みおよび生存細胞封入が潜在的に難題になる。

0007

代替として、水分を多く含むポリマー材料(含水率が30重量%よりも高い)である種々のヒドロゲルが足場材料として使用されている。これらは、合成由来かまたは天然由来親水性ポリマー鎖で構成されている。ヒドロゲルの構造的完全性は、種々の化学結合および物理的相互作用を介してポリマー鎖間で形成される架橋結合に左右される。これらの用途で用いられるヒドロゲルは、一般に分解可能であり、比較的緩やかな条件下で処理でき、多くの組織および細胞外マトリックスと同様の力学的特性および構造的特性を有し、最小限の侵襲で送達可能である(Lee KY,Mooney DJ.Hydrogels for tissue engineering.Chem Rev.2001 Jul;101(7):1869−79.)。したがって、種々のポリマーがヒドロゲルの調製に使用されている。これらのポリマーとしては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸(HA)およびキトサンが挙げられる。

0008

天然多糖の使用についても、それら多糖非抗原性かつ非免疫原性であり、抗血栓作用および血管増殖因子との相互作用を示すものもあることから、ヒドロゲルに基づいた足場調製の有望な代替であることが示されている。さらに、多糖は可塑性を有するので、これらの多糖ベースのヒドロゲルは種々の形態に造形することができ、治療用生体インプラント材料または生体グラフト材料の設計を可能にしうる。

0009

例えば、Chaouatらは(Chaouat M,Le Visage C,Autissier A,Chaubet F,Letourneur D.The evaluation of a small−diameter polysaccharide−based arterial graft in rats.Biomaterials.2006 Nov;27(32):5546−53.Epub 2006 Jul 20.)、プルランデキストランの混合物を用いて調製した、新規の多糖ベースの足場を設計した。架橋剤のトリメタリン酸ナトリウムSTMP)を用いて、多糖を化学的に架橋結合させた。その後、この足場を用いて調製した動脈材料の有効性をin vivoで実証した。

0010

しかし、Chaouatら(2006)の記載のように、足場の調製に多糖を使用することが有利であるにもかかわらず、医療目的での有効利用を想定するには、いまだに得られる足場の多孔度欠如が欠点になっている。実際、多孔性は、足場内での細胞の増殖、統合、および分化を可能にし、その材料が、in vivoで組織または器官を再構築するための細胞リザーバとして使用されるようにするために不可欠な特徴である。

0011

したがって、本技術分野には、治療目的に使用可能な多孔質足場マトリックスを調製する方法を開発する必要性が今なお存在している。

発明が解決しようとする課題

0012

したがって、本発明の目的は、
a)ある量の少なくとも1種の多糖および1種の架橋剤を含むアルカリ性水溶液を調製するステップと、
b)ステップa)の水溶液凍結させるステップと、
c)ステップb)の凍結溶液昇華させるステップと
からなるステップを含む、多孔質足場の調製方法であって、ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行うことを特徴とする方法を提供することである。

0013

本発明によれば、「ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行う」とは、多糖の架橋結合が昇華ステップ(ステップc))中に起こることを意味する。

0014

本発明の他の目的は、前記の方法によって得られる多孔質足場を提供することである。

0015

本発明のさらに他の目的は、本発明の多孔質足場の組織工学への使用を提供することである。

課題を解決するための手段

0016

定義
本明細書で使用する「多糖」という用語は、2つ以上の単糖ユニットを含む分子を指す。

0017

本明細書で使用する「アルカリ性溶液」という用語は、pHが7より上である溶液を指す。

0018

本明細書で使用する「水溶液」という用語は、溶媒が水である溶液を指す。

0019

「架橋結合」という用語は、あるポリマー鎖と他のポリマー鎖との間の共有結合による連結を指す。

0020

本明細書で使用する「足場」は、1種または複数種の多糖鎖の三次元網目構造を含む半固体系であると定義される。そのような構造は、使用する多糖(または複数の多糖)の特性、ならびに網目構造性質および密度によって、平衡状態において種々の量の水を含むことができる。

0021

「架橋剤」という用語は、本発明の多糖の鎖間に架橋結合を導入できるような任意の作用剤を含む。

0022

本明細書で使用する「生分解性の」という用語は、排出可能な、またはさらに代謝可能な非毒性の化合物にin vivoで分解される材料を指す。

0023

「昇華」という用語は、固体状態から蒸気の状態に直接移行する物理的な段階を指す。より詳細には、昇華は、物質固体から気体に、液相を経ずに至るというプロセスである。溶液は、凍結乾燥プロセスを通じて昇華させることができる。

0024

凍結乾燥」という用語は、溶媒(すなわち、水)を凍結させ、次いで凍結状態気化させることによる、高真空下における急速冷凍した材料の乾燥についての用語である。

0025

多孔質足場とその調製方法
本発明の第1の目的は、
a)ある量の少なくとも1種の多糖および1種の架橋剤を含むアルカリ性水溶液を調製するステップと、
b)ステップa)の水溶液を凍結させるステップと、
c)ステップb)の凍結溶液を昇華させるステップと
からなるステップを含む多孔質足場の調製方法であって、ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行うことを特徴とする方法に関する。

0026

本発明によれば、「ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行う」とは、多糖の架橋結合が昇華ステップ(ステップc))中に起こることを意味する。

0027

本発明においては、任意の種類の多糖が使用可能である。合成多糖または天然多糖は、本発明の目的のために二者択一的に使用してよい。例えば、適切な天然多糖としては、デキストラン、寒天アルギン酸、ヒアルロン酸、イヌリン、プルラン、ヘパリン、フコイダン、キトサン、スクレログルカンカードランデンプンセルロース、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、酸性基カルボキシル基硫酸基リン酸基)、アミノ基(エチレンアミンジエチルアミノエチルアミンプロピルアミン)、疎水基アルキル基ベンジル基)を有する化学修飾された多糖も含んでよい。所望の多糖を生成させるために用いることができる単糖類としては、リボースグルコースマンノースガラクトースフルクトースソルボースソルビトールマンニトールイジトールズルシトール、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。これらの化合物の多くは、Sigma−Aldrich(St.Louis,Michigan,US)などの会社が市販している。

0028

多糖の好ましい重量平均分子量は、約10,000ダルトン〜約2,000,000ダルトンであり、より好ましくは約10,000ダルトン〜約500,000ダルトンであり、最も好ましくは約10,000ダルトン〜約200,000ダルトンである。

0029

本発明の一実施形態において、本発明の足場を調製するために使用される多糖(複数可)は、デキストラン、寒天、プルラン、イヌリン、スクレログリカン、カードラン、デンプン、セルロース、またはそれらの混合物などの中性多糖である。好ましい実施形態において、本発明の足場を調製するためにプルランとデキストランとの混合物が使用される。例えば、前記混合物は25%のデキストランと、75%のプルランとで構成される。

0030

本発明の他の実施形態において、本発明の足場を調製するために使用される多糖(複数可)は、キトサン、DEAE−デキストラン、およびそれらの混合物などの正電荷を持つ多糖である。

0031

本発明の他の実施形態において、本発明の足場を調製するために使用される多糖(複数可)は、アルギン酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、フコイダン、およびそれらの混合物などの負電荷を持つ多糖である。

0032

本発明の他の実施形態において、本発明の足場を調製するために使用される多糖(複数可)は、中性多糖と負電荷を持つ多糖との混合物であり、ここで負電荷を持つ多糖はその混合物の1〜20%、好ましくは5〜10%を示す。

0033

ある特定の実施形態において、架橋剤は、トリメタリン酸三ナトリウム(STMP)、オキシ塩化リン(POCl3)、エピクロロヒドリンホルムアルデヒド水溶性カルボジイミドグルタルアルデヒド、または多糖を架橋結合させるのに適切なその他の任意の化合物からなる群から選択される。好ましい実施形態において、架橋剤はSTMPである。水溶液中の架橋剤の濃度(w/v)は、約1%〜約6%であり、より好ましくは約2%〜約6%であり、最も好ましくは約2%〜約3%である。架橋剤の使用推奨量は、多糖と架橋剤の重量比が20:1〜1:1、好ましくは15:1〜1:1、より好ましくは10:1〜1:1の範囲になる量である。これらの化合物の多くは、Sigma−Aldrich(St.Louis,Michigan,US)などの会社が市販している。

0034

多糖を含む水溶液は、企図する用途によって、種々の添加剤をさらに含んでよい。添加剤は多糖と適合性があり、多糖(複数可)の有効な架橋結合を妨害しないことが好ましい。使用する添加剤の量は、個々の用途によって決まり、当業者実験の常法を用いてそれを容易に決定することができる。

0035

多糖を含む水溶液は、場合によって、少なくとも1種の抗菌剤を含んでよい。適切な抗菌性保存剤当技術分野において周知である。適切な抗菌剤の例としては、メチルパラベンエチルパラベンプロピルパラベン、およびブチルパラベンなどのアルキルパラベン、クレゾールクロロクレゾールヒドロキノン安息香酸ナトリウム安息香酸カリウムトリクロサン、およびクロルヘキシジンが挙げられるが、それらに限定されない。使用することができる抗細菌剤および抗感染剤の他の例としては、リファンピシンミノサイクリン、クロルヘキシジン、銀イオン剤、および銀ベース組成物が挙げられるが、それらに限定されない。

0036

多糖を含む水溶液は、場合によって、溶液の可視性を増大させるために少なくとも1種の着色剤も含んでよい。適切な着色剤には、染料顔料、および天然着色料が含まれる。適切な着色剤の例としては、アルシアンブルーフルオレセインイソチオシアネートFITC)、およびFITC−デキストランが挙げられるが、それらに限定されない。

0037

多糖を含む水溶液は、場合によって、少なくとも1種の界面活性剤も含んでよい。本明細書で使用する界面活性剤とは、水の表面張力を弱める化合物を指す。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤、またはポリオキシエチレンエーテルポリオキシエチレンエステル、およびポリオキシエチレンソルビタンなどの中性界面活性剤であってよい。

0038

ステップa)の溶液中で多糖の架橋結合が起こる前にステップb)を行うことは、本発明に不可欠な特徴である(実施例1を参照されたい)。水溶液中での架橋結合を調節するための主要因子は、温度と時間である。多糖の架橋結合を回避する、または著しく制限するために、水溶液は37℃以下、より好ましくは4℃〜25℃で構成される温度で調製することができる。さらに、ステップb)は、前記多糖の架橋結合を回避するために、できるだけ速やかに実施することができる。

0039

水溶液を調製したら、それを凍結させる。水溶液の凍結は、異なる速度(例えば、℃/分)で行ってよい。例えば、約1℃/分〜約200℃/分の速さ、好ましくは約1℃/分〜約20℃/分の速さ、最も好ましくは約5℃/分〜約10℃/分の速さで凍結させてよい。溶液は、液体窒素で、またはドライアイスで凍結させることができる。

0040

水溶液が凍結したら、昇華が起こりうる。好ましい実施形態において、本発明による多孔質足場の調製方法は、凍結乾燥のプロセスを含む。

0041

したがって、本発明によると、凍結乾燥のプロセスは、水溶液中で架橋結合が起こる前に行われる必要がある。

0042

凍結乾燥は、当技術分野で公知の任意の装置を用いて行うことができる。凍結乾燥機には基本的に、ロータリーエバポレーター多岐管式凍結乾燥機、および式凍結乾燥機の3種類がある。そのような装置は、当技術分野において周知であり、freeze−dryer Lyovac(GT2,STERIS Rotary vane pump,BOC EDWARDS)など市販されている。

0043

基本的に、急速冷凍した水溶液をチャンバー内に置く。次に、チャンバーの温度を、液化した蒸気の沸点より高いレベルまで上昇させ、それによって蒸気を蒸発させて除去する。例えば、チャンバーの温度は−70℃〜−1℃、好ましくは−70℃〜−40℃、より好ましくは約−50℃〜−40℃であってよい。チャンバーの加熱は、チャンバーの圧力を減少させる真空の流れを伴う。一般的にチャンバーの真空は0.1mBar〜約6.5mBarである。

0044

凍結乾燥は、少なくとも水分の98.5%、好ましくは、少なくとも水分の99%、より好ましくは、少なくとも水分の99.5%を除去するのに十分な時間行う。

0045

水溶液を凍結させることによって、水から氷粒子が形成される。いかなる理論にも縛られずに、上記の温度、圧力条件下で凍結溶液に含まれる水分を昇華させ、したがって、それによって、材料内の、それまで氷粒子が占有していた空間に間隙が残り、それに応じて形成された多孔質足場が生成する。驚いたことに、架橋結合のプロセスは凍結乾燥のプロセス中に起こる。

0046

したがって、結果生成する足場の物質密度および孔のサイズは、凍結溶液の凍結乾燥速度を調節することによって変化する。凍結乾燥プロセスにおいて不可欠なパラメーターは、真空度である。実施例において、本発明者らは実際に、真空度が異なると、足場中にはサイズと密度が異なる孔ができることを示した。

0047

足場の孔の平均サイズは、約1μm〜約500μm、好ましくは約150μm〜約350μm、より好ましくは約175μm〜約300μmである。孔の密度は約4%〜約75%、好ましくは約4%〜約50%である。

0048

他の実施形態において、本発明の方法は、本発明に従って調製した足場に含水させることからなるステップをさらに含む。前記含水は、足場を水溶液(例えば、脱イオン水逆浸透膜でろ過した水、生理食塩水、または適切な有効成分を含む水溶液)中に、所望の含水率を有する足場が生成するのに十分な時間、浸すことにより行う。例えば、含水率が最大である足場を所望の場合、足場が、そのサイズ、または体積が最大になるまで膨張するのに十分な時間、足場を水溶液に浸す。一般には、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、より好ましくは約4時間〜約24時間、足場を水溶液に浸す。当然のことながら、足場を所望のレベルまで含水させるために必要な時間は、使用する多糖の組成、足場のサイズ(例えば、厚さ)、および水溶液の温度と粘度、ならびに他の因子などいくつかの因子に左右される。

0049

ある特定の実施形態において、含水した足場の含水率は80%、好ましく90%、より好ましくは95%である。

0050

他の特定の実施形態において、本発明の方法を用いて得られる多孔質足場を所望の形態にできるように、凍結および昇華の前に、多糖水溶液を型に注ぎ込むことができる。任意の幾何学的な型を本発明に従って使用してよい。サイズの異なるものも想定してよい。例えば、一般に、中心軸を有する管状の型に水溶液を注ぎ込んで、多孔質足場が所望の外径内径を有する管状になるようにすることができる(実施例6を参照されたい)。型は、任意の材料から調製してよいが、好ましい材料は、テフロン登録商標)などの粘着しない表面を有するものである。

0051

あるいは、本発明の足場は、所望のサイズおよび形になるよう切断し、造形してよい。

0052

本発明の方法は、任意の適切なプロセスを用いて足場を滅菌するステップをさらに含んでよい。足場は、任意の適切な時点で滅菌することができるが、足場に含水させた後に滅菌するのが好ましい。適切な非放射線滅菌技法としては、UV照射ガスプラズマ、または酸化エチレンなどの当技術分野において公知の方法が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Abtox,lnc、Mundelein、IIIinoisから入手可能な滅菌システム商品名PlazLyteを用いて、または米国特許第5413760号および米国特許第5603895号に開示されているガスプラズマ滅菌プロセスに従って、足場を滅菌することができる。

0053

本発明の方法によって生成する足場は、任意の適切な包装材包装することができる。包装材を破るまで足場の無菌性が保たれるような包装材が望ましい。

0054

他の実施形態において、多孔質足場に1つまたは複数の生体分子を組み込むことができる。他の実施形態において、生体分子は、薬物、ホルモン抗生物質抗菌物質、染料、放射性物質蛍光物質、抗細菌物質化学薬品、または作用物質、それらの任意の組合せを含んでよい。この物質は、治療効果の増大、可視性の増大、適正な配向指示、感染への抵抗治癒の促進、柔軟性の増加、または他の任意の望ましい効果を目的として使用してよい。前記実施形態において、上記に記載の1つまたは複数の生体分子を含む本発明の足場は、活性剤放出制御系として用いることができる。

0055

一実施形態において、生体分子は、走化性物質、抗生物質、ステロイド性もしくは非ステロイド性鎮痛剤抗炎症薬免疫抑制剤抗がん剤、種々のタンパク質短鎖ペプチド骨形態形成タンパク質糖タンパク質、およびリポタンパク質など);細胞付着介在物質生理活性リガンドインテグリン結合配列;リガンド;種々の増殖作用物質および/または分化剤(上皮細胞増殖因子、IGF−I、IGF−II、TGF−β、増殖因子および分化因子ストロマ細胞由来因子SDF−1;血管内皮細胞増殖因子線維芽細胞増殖因子血小板由来増殖因子、インスリン由来増殖因子、および形質転換増殖因子、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、bFGF;TGFβスーパーファミリー因子;BMP−2;BMP−4;BMP−6;BMP−12;ソニックヘッジホッグGDF5;GDF6;GDF8;PDGFなど);特異的な増殖因子の上方制御に影響を及ぼす小分子;テネイシン−C;ヒアルロン酸;コンドロイチン硫酸;フィブロネクチン;デコリントロンエラスチン);トロンビン由来ペプチドヘパリン結合ドメイン;ヘパリン;ヘパラン硫酸DNA断片DNAプラスミド、Si−RNA、トランスフェクション試薬、またはそれらの任意の組合せを含んでよい。

0056

一実施形態において、増殖因子として、ヘパリン結合増殖因子(HBGF)、形質転換増殖因子αまたは形質転換増殖因子β(TGF)、α線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、およびSDF−1、同様の血管形成因子の一部が挙げられる。他の実施形態において、因子として、インスリン、グルカゴン、およびエストロゲンなどのホルモンが挙げられる。ある実施形態では、神経成長因子(NGF)または筋肉形態形成因子(MMF)などの因子を組み込むことが望ましい場合がある。ある実施形態において、TNFα/β、またはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を組み込む。

0057

さらに、本発明の足場は、場合によって、インドメタシンアセチルサルチル酸イブプロフェンスリンダクピロキシカム、およびナプロキセンなどの抗炎症剤;トロンビン、フィブリノーゲン、ホモシステイン、およびエストラムスチンなどの血栓形成剤;ならびに硫酸バリウム金粒子、および酸化鉄ナノ粒子(USPIO)などの放射線を通さない化合物を含んでよい。

0058

さらに、本発明の足場は、場合によって、抗ビタミンKもしくはアスピリンなどの抗血栓剤、アスピリン、チエノピリジンジピリダモール、もしくはクロピドグレルなどの抗血小板剤アデノシン二リン酸ADP誘導性血小板凝集を選択的かつ可逆的に阻害する)、またはヘパリンなどの抗凝固剤を含んでよい。ヘパリン(抗凝固剤)とチロフィバン(抗血小板剤)の組合せが、血栓および血栓塞栓の両方を減少させるのに有効であることが示されており、これを本発明の足場に組み込むことができる。用量依存的な抗血小板特性および抗増殖特性を有する可能なイソフラボンであり、原発性血栓症の原因であるコラーゲン誘導性の血小板凝集を阻害するゲニステインも、本発明の足場に組み込むことができる。

0059

本発明の足場の使用方法
本発明の足場は、特に組織工学、組織修復、または組織再生に適している。多孔度の違いにより、足場の適当な領域への異なる細胞型の移入が促進されうる。他の実施形態において、多孔度の違いにより、組織の発生/修復/再生の適当な構造化に必要な、足場を構成する細胞型間における適当な細胞間連結の発生が促進されうる。例えば、細胞突起伸長は、足場材料の多様な多孔度を介してより適当になるよう適応されうる。したがって、足場は任意の組織の細胞を含んでよい。

0060

ある特定の実施形態において、前記足場に細胞を播種する。他の実施形態において、本発明の足場を、所望の細胞を含む培養溶液中に、その細胞が足場全体に浸透できるのに十分な時間浸す。

0061

他の実施形態において、本発明の足場は、培養物中の播種細胞の生存率および増殖を、長時間にわたって、分化を誘導せずに補助することが可能である。

0062

他の実施形態において、本発明の足場は、非刺激性の細胞増殖環境(増殖促進剤による活性化がない)を提供する。

0063

他の実施形態において、本発明の足場は、組織増殖、骨の再建創傷治癒腫瘍形成(移動と浸潤を含む)、および血管新生などの生理学的、病理学的なプロセスの研究に用いることができる。足場により、内因性因子を含まない制御された形で、特定のプロセスを調節および研究できるような、規定され、かつ制御された環境の作出が可能になる。

0064

具体的には、本発明の足場は、診断用量または毒性用量に関する三次元培養に使用可能である。この実施形態において、本発明の足場は、製品の毒性について、三次元環境に存在する細胞に対して直接評価することを可能にする。前記実施形態において、本発明の足場を、肝細胞胚性幹細胞上皮細胞ケラチノサイト、または人工多能性幹細胞iPS細胞)などの、製品の毒性および/または薬理作用を評価するために有用な細胞の培養に使用する。

0065

他の実施形態において、本発明の足場は、in vitroまたはin vivoでの複数の細胞型の増殖および分化を補助することが可能である。

0066

他の実施形態において、細胞は幹細胞または前駆細胞である。他の実施形態において、細胞は、軟骨細胞線維軟骨細胞;骨細胞骨芽細胞破骨細胞滑膜細胞骨髄細胞間葉細胞;上皮細胞、肝細胞、筋細胞間質細胞;幹細胞;胚性幹細胞;脂肪組織由来前駆体細胞末梢血前駆細胞成体組織から単離された幹細胞;人工多能性幹細胞(iPS細胞);遺伝子形質転換細胞;軟骨細胞と他の細胞の組合せ;骨細胞と他の細胞の組合せ;滑膜細胞と他の細胞の組合せ;骨髄細胞と他の細胞の組合せ;間葉細胞と他の細胞の組合せ;間質細胞と他の細胞の組合せ;幹細胞と他の細胞の組合せ;胚性幹細胞と他の細胞の組合せ;成体組織から単離された前駆細胞と他の細胞の組合せ;末梢血前駆細胞と他の細胞の組合せ;成体細胞から単離された幹細胞と他の細胞の組合せ;および遺伝子形質転換細胞と他の細胞の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。

0067

他の実施形態において、本発明の足場および方法に使用するためのこれらの細胞はどれも、例えば、それらの一部が血管形成因子でもある、ヘパリン結合性増殖因子(HBGF)、形質転換増殖因子αまたは形質転換増殖因子β(TGFβ)、α線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、およびSDF−1などの所望の分子を発現するように遺伝子改変してよい。他の実施形態において、発現される因子として、インスリン、グルカゴン、およびエストロゲンなどのホルモンが挙げられる。他の実施形態において、神経成長因子(NGF)もしくは筋肉形態形成因子(MMF)などの因子が発現され、または他の実施形態において、TNFα/βが発現される。

0068

ある特定の実施形態において、本発明の足場は、例えばChaouatら(Chaouat M,Le Visage C,Autissier A,Chaubet F,Letourneur D.The evaluation of a small−diameter polysaccharide−based arterial graft in rats.Biomaterials.2006 Nov;27(32):5546−53.Epub 2006 Jul 20.)の記載のような、損傷した動脈を交換するための代用血管を調製するのに適している。そのような代用物は、本発明の方法に従って、上記の型を用いて調製することができる。次いでそのような代用物に細胞集団を含めてin vitroまたはin vivoで血管を再構築することができる。他の実施形態において、細胞として、間葉幹細胞MSC)、内皮前駆細胞(EPC)、内皮細胞線維芽細胞、および平滑筋細胞が挙げられるが、それらに限定されない。

0069

他の特定の実施形態において、本発明の足場は、軟骨または骨のインプラントを調製するのに適している。そのような場合に、本発明の足場に、軟骨細胞;骨細胞;骨芽細胞;破骨細胞;血管細胞、またはそれらの混合物を担持させることができ、分化誘導剤の存在下で培養することができる。

0070

移植部位は、治療が必要な罹患損傷組織によって決まる。例えば、関節軟骨関節半月、および骨の構造欠陥を治療するために、細胞を播種した足場複合体を欠陥部位に設置して損傷組織の修復を促進する。

0071

中枢神経系(CNS)の損傷の場合、足場複合体には、成体神経幹細胞、胚性幹細胞、グリア細胞、およびセルトリ細胞の組合せを播種してよい。好ましい実施形態において、足場複合体には、異種源または同種源の形質転換細胞系由来のセルトリ細胞を神経幹細胞と組み合わせて播種してよい。セルトリ細胞は、幹細胞を加えてその後損傷部位に移植するまでの間、足場複合体と一緒に培養してよい。この手法により、細胞治療のCNSへの適用の主要な障害の1つ、すなわち、移植術後の幹細胞の生存についての障害を回避できる。多数のセルトリ細胞を封入した足場複合体により、幹細胞の生存により適した環境が提供されうる。

0072

したがって、本発明に従って調製される多孔質ポリマー足場は、人工血管人工食道人工膀胱人工神経、人工心臓人工心臓弁人工皮膚整形外科用インプラント人工筋肉人工靱帯人工呼吸器などの人工組織または人工器官を製造するための原料として有効に使用できる。さらに、本発明の多孔質ポリマー足場は、他種の生体材料上またはその内部に、また組織もしくは器官由来機能性細胞と一緒に配合することまたは組み込むことによって、ハイブリッド組織の形で調製できる。ハイブリッド組織には、例えば、細胞の機能性、組織の再生などの維持など、種々の生物医学的な用途がありうる。

0073

あるいは、本発明の足場は、治療上の細胞送達のために使用できる。実際、本発明の足場は、治療目的または診断目的で患者投与可能な細胞送達系を調製するための原料として用いることができる。ある特定の実施形態において、本発明の足場は、細胞、優先的には自己細胞に担持させることが可能なパッチ生体膜、または包帯材の調製に使用できる。ヒト細胞および動物細胞は細胞培養後に得ることができ、また凍結貯蔵細胞から直接得ることができる。例えば、本発明の足場は、皮膚を再構築または治癒するために皮膚に塗布可能な、細胞含有包帯材の調製に用いることができる。あるいは、前記包帯材は、虚血心筋梗塞)を治療するために患者の心臓への投与に用いることができる。したがって、これらの実施形態において、足場中に封入された細胞は、標的とする組織または器官内に移動できる。

0074

他の実施形態において、本発明の足場は、細胞培養に用いることができる。次いで適当な増殖因子を加えることにより細胞を刺激して、分化または他の生理学的プロセス発展させる。細胞を未分化状態で維持するために、または細胞を特定の経路に分化させるために、1種または複数種のサイトカイン、増殖因子、ホルモン、またはそれらの組合せを含む培養培地を用いてよい。

0075

より具体的には、本発明の足場は、対象分子の生成に用いることができる。実際に、本発明の足場は、細胞が所望の分子を生成できるように、細胞をバイオリアクター中に固定するための生物環境を提供するために用いることができる。本発明の足場は、培養細胞を力学的、生化学的に保護する。

0076

したがって、足場は、タンパク質、有機分子、およびヌクレオチドなどの所望の分子を生成させるための細胞リザーバとして役立つ。例えば、対象のタンパク質としては、増殖因子、ホルモン、シグナル分子、細胞増殖の阻害剤、および抗体などが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の足場は、モノクローナル抗体の生成に関して特に興味深い。本発明の足場は、香料治療用分子などの有機分子の生成にも適切でありうる。

0077

この目的で、本発明の足場には、原核細胞および真核細胞を含む任意の細胞型を担持させてよい。例えば、本発明の足場は、細菌、酵母細胞哺乳動物細胞昆虫細胞植物細胞などを担持させてよい。具体例として、E.coli、クリベロマイセス(Kluyveromyces)酵母もしくはサッカロマイセス(Saccharomyces)酵母、哺乳動物細胞系(例えば、ベロ細胞CHO細胞、3T3細胞、COS細胞など)、ならびに初代もしくは樹立された哺乳動物細胞培養物(例えば、リンパ芽球、線維芽細胞、胚細胞、上皮細胞、神経細胞脂肪細胞などから生成)が挙げられる。より具体的には、本発明は、雑種細胞などの樹立細胞系の使用を企図している。あるいは、上記の所望の分子を発現するように細胞を遺伝子改変してよい。

0078

本発明の足場に細胞を担持させ、一定時間培養することができ、次いで細胞を足場から回収/抽出/分離して、治療用途もしくは診断用途、または細胞分析などにさらに使用できる。足場からの細胞の分離は、プルラナーゼなどの足場を分解できる酵素の使用、および/またはコラゲナーゼエラスターゼもしくはトリプシンなどの細胞を剥離できる酵素、もしくはEDTAなどの細胞剥離溶液の使用を伴ってよい。

0079

本発明についてさらに、以下の図および実施例に照らして例示する。

図面の簡単な説明

0080

含水後円形多孔質足場の肉眼的外観を示す写真である。
ESEMによって、凍結乾燥条件(真空度、mbar)に応じて肉眼観察した、含水した多孔質足場の写真である。スケールバー:200ミクロン、高倍率(50ミクロン)を除く。
0.1mbarで調製した乾燥多孔質足場(左)、6.5mbarで調製した乾燥多孔質足場(右)をSEMによって観察した写真である。
0.1mbarまたは6.5mbarで調製した多孔質足場切片をH&E染色して観察した写真である(倍率40倍)。
凍結乾燥の圧力に応じた膨張の割合を示すグラフである。
多孔質足場からのノルキロサシン放出と、孔形成剤非存在下で調製した非多孔質足場からのノルキロフサシン放出を比較したグラフである。

0081

<実施例1>
多糖ベースの足場の調製
プルラン/デキストラン75:25、水中総濃度24.5%(w/v)の混合物(プルラン、MW200,000、Hayashibara Inc.Okayama,Japan;デキストラン、MW500,000、Pharmacia)を調製した。アルカリ性条件下で、架橋剤のトリメタリン酸ナトリウム(STMP)(11%(w/v)、Sigma)を用いて多糖を化学的に架橋結合させた。簡単に言えば、多糖溶液9mLを、10MのNaOH1mLと混合し、次いでその混合物に水1mL中STMP300mgの水溶液を加えた。その溶液をすぐに60mmのペトリ皿中に注ぎ込み、次いで−80℃で保管した。Lyovac freeze−dryer (GT2,STERIS Rotary vane pump,BOC EDWARDS)内での凍結乾燥プロセス中に、凍結した混合物を架橋結合させた。水分を完全に除去できるように足場を24時間凍結乾燥させた。凍結乾燥プロセス中に架橋結合した足場は不透明で若干もろいものであった。その足場は所望のサイズと形状に容易に切断でき、再含水させることができるものであった(図1)。

0082

50℃で化学的に架橋結合を行った後に得られた足場を凍結乾燥させることにより、対照実験を行った。しかし、これらの乾燥足場は、その全体構造が凍結乾燥プロセス後に破損したために、ほどよく再含水させることができなかった。他の実験を、プロセス中の架橋剤を除いて行った。この条件では、凍結乾燥プロトコールによって溶液のみがもたらされ、足場にならなかった。

0083

<実施例2>
凍結乾燥条件の影響
実施例1に従って多糖足場の調製を行った。凍結乾燥ステップでは、制御漏出量によって異なる真空度を調整した(0.1mbar、0.75mbar、3mbar、1.5mbar、および6.5mbar)。

0084

結果生じた足場について、環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)および走査電子顕微鏡(SEM)を用いて特性決定した。ESEM技法は試料脱水を少しも必要としないので、含水した状態の足場の表面を、ESEM− FEG(Philips XL 30,Netherlands、圧力4トルにおける加速電圧15kV)を用いて直接観察した。膨張した状態の足場のESEM画像は、これらの足場が多孔質であることを示している(図2)。0.1mbar(高真空度)で凍結乾燥させた足場の孔は、6.5mbar(低真空度)で調製した足場よりも直径が大きかった。真空度が低い条件については、足場の網目構造がより良好に組織化され、足場全体で相互接続した孔が均質であった。乾燥足場のSEM画像により、凍結乾燥プロセス中に架橋結合させた足場が多孔質であることが確認された(図3)。組織染色のために、足場を4%のパラホルムアルデヒドPBSで固定し、次いでそれをOCT包埋し(Tissue Teck−OCT(EMS,Washington,PA)、液体窒素冷却イソペンタンで凍結させた。凍結試料を、クリオスタット(Leica CM 1900)を用いて凍結切片化した(10μmの切片)。足場切片についてヘマトキシリンエオジン染色を行い、足場の構造を可視化した。

0085

足場の組織切片の外観は、電子顕微鏡画像図4)と一致していた。足場内部の多孔質構造は、凍結乾燥時の真空度を変えることにより調節できた。低真空度(6.5mbar)で架橋結合させた足場は、ゆるんだ網目構造を示した高真空度(0.1mbar)で架橋結合させた足場に比べて、小さい孔を有する構造であった。

0086

<実施例3>
膨張の割合
実施例2に従って多糖足場の調製を行った。凍結乾燥させた足場を、かみそりで切断して長方形の足場(2.5cm×2cm、厚さ3mm)を得た。足場を脱イオン水で洗浄して緩衝塩を全て除去し、次いで50℃で36時間、脱水した。試料の乾燥重量(乾燥W)と、脱イオン水で24時間再含水させた後の膨張状態の重量(膨張W)を、電子てんびん(AG 204 Deltarange(登録商標)mettler Toledo;最大81g/210g;d=0.1mg/1mg)を用いて測定した。計量前に、膨張した足場を柔らかい紙の上に注意深く置いて過剰な水分を除去した。それぞれの実験を3連で行った。膨張の割合を次式に従って計算した。膨張の割合=(膨張W−乾燥W)/乾燥W)×100。

0087

多孔質足場の膨張の割合は、凍結乾燥時の真空度の上昇とともに上昇する(図5)。最も低い真空度(6.5mbar)で調製した足場が、膨張の割合が最も低いことがわかった。

0088

<実施例4>
細胞浸潤
ウィスターラット由来の大腿骨骨髄間葉系幹細胞(MSC)を実施例1の通りに調製した足場で培養した。円形の穿孔器を用いて、直径6mm、厚さ1mmの円形の多孔質足場を切り出した。細胞を播種する前に、37℃で24時間、24ウェルプレートの培養培地中で足場を平衡化させた。培養培地は、10%のウシ胎児血清と1%のペニシリンストレプトマイシン(Sigma)を含む低グルコースDMEM(Gibco,Life Technology,New York)からなるものを使用した。細胞を足場の上部に播種した(足場あたり細胞106個の細胞密度)。アルコルビン酸(50μg/ml)を補充した培養培地を2〜3日ごとに取り替えた。試料を培養物中で最大1週間維持した。培養培地中でインキュベートした非播種の多孔質足場を対照として用いた。動物由来およびヒト由来の一次血管平滑筋細胞および内皮細胞などの他の細胞型を用いて同様の実験を首尾よく行った。

0089

−最初の付着
足場にMSCを浸潤させながら、多孔質足場の表面に細胞を2時間未満付着させた。

0090

−細胞追跡
播種ステップの前に蛍光染料PKH26(Sigma)を用い、製造者取扱説明書に従って細胞標識することにより、細胞追跡を行った。細胞を非標識足場とFITC−足場の両方に播種した。次いで細胞播種した足場を4%のパラホルムアルデヒド/PBSで固定した後、共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510)で分析した。

0091

PKH26標識したMSCを、足場の孔中くまなく追跡した。1日目と7日目に、70ミクロンと190ミクロンの深さでゲル内の細胞分布の代表的な画像を撮った。共焦画像のZ軸投影により、ゲル内の細胞浸潤が確認された。1日目〜7日目に足場内の細胞密度が増加したことが認められた。

0092

−細胞の生存率
生存細胞によって加水分解され、それによって強度な均一の緑色蛍光波長485〜535nm)を生成するポリアニオン系染料である、カルセインAM(Calbiochem,San Diego CA)を用いて、細胞の生存率をアッセイした。この染料を、1日目、5日目、および7日目に、製造者の取扱説明書に従って、多孔質の非標識足場およびFITC−足場に加えた。次いでこの播種された足場を4%のパラホルムアルデヒド/PBSで固定した後、共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510)で分析して、足場およびFITC−足場内の細胞分布を可視化した。

0093

このアッセイにより、1日目と7日目に、細胞のほとんどが多孔質足場の表面および内部に生存していることが確認された。

0094

<実施例5>
足場内へのタンパク質の組み込み
実施例1に従い、ゼラチンおよびI型コラーゲンなどの接着タンパク質を組み込むために以下の改変を加えて、多糖足場を調製した。ゼラチンに関しては、多糖溶液9mLを10MのNaOH1mLと混合し、次いでその混合物にゼラチン500μgを含む水1mL中STMP300mgの水溶液(0.1%のゼラチン溶液500μL)を加えた。I型コラーゲンの組み込みに関しては、多糖溶液に0.4%のコラーゲン溶液(Upstate #08115)500μLを加えた後に架橋剤(500μL中300mg)を加えた。足場の厚い切片のクーマシーブルー染色およびシリウスレッド染色により、足場内のタンパク質分布が確認された。平均タンパク質含量は、足場直径6mmにつきゼラチン約1μg、および足場直径6mmにつきコラーゲン4μgであると見積もられた。

0095

<実施例6>
代用血管としての管状足場
実施例1に記載の通り調製した多糖ベースの管状足場は、代用血管として使用できうる。

0096

実施例1に記載の通りに調製した水溶液を、20Gの針とキャップとからなる自家製の管状型に注ぎ込んだ。針(20G×11/2’’または0.9×40mm)を、滑らかな管腔表面管腔直径2mm)を作るための中心軸として用いた。多糖/STMP溶液を1mlのシリンジを用いて針のキャップを通して針内注入した。結果生じた管状足場の内径と外径はどちらも、針とそのキャップのサイズによって決まる(18Gまたは21Gの針を用いた試料も調製した)。

0097

実施例1に従って、型をすぐに−80℃で凍結させた。次に、混合物を上記の通りに凍結乾燥させた。凍結乾燥後、足場を型から容易に取り出した。PBSで再含水させた後、管状足場を得た。平滑筋細胞または間葉幹細胞などの細胞を、再含水プロセス中に管状足場に播種でき、次いで内皮細胞または内皮前駆細胞などの他の細胞を管状足場の管腔に担持させることができる。

0098

<実施例7>
足場内への薬物の組み込み
実施例1に従い、ノルフロキサシンなどの薬物を組み込むために以下の改変を加えて、多糖足場を調製した。ノルフロキサシンは、フルオロキノロンカルボン酸であり、広く使用されている抗菌剤である。現在ノルフロキサシンは、主にその水溶性の低さに起因して、生体利用率が低いモデル化合物とされている。固体状態のノルフロキサシン(Sigma)(60mg)を多糖溶液(10g)に加え、その混合物を、均一になるまで撹拌した。次いで、結果生じた混合物を10MのNaOH1mLと混合し、次いでその混合物に水1mL中STMP300mgの水溶液を加えた。次いで、実施例1に従って架橋結合プロセスを行った。

0099

PBS中、37℃で最大24時間、多孔質足場をインキュベートすることにより、放出特性を得た。上清中のノルフロキサシン含量を274nmにおける分光光度でアッセイした。図6は、多孔質足場からのノルフロキサシン放出と、孔形成剤の非存在下で調製した非多孔質足場からのノルフロキサシン放出との比較を例示している。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 国立大学法人東京医科歯科大学の「 生体ガス計測装置」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題・解決手段】生体ガスを連続的に採取するとともに、採取した生体ガスからの対象物質の測定を即時に、かつ、経時的に行うことの可能な生体ガス計測装置を提供する。身体に対向する側に開口部11を有するととも... 詳細

  • 森永乳業株式会社の「 生菌数の測定方法」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題・解決手段】1種類又は複数種類の細菌を含む被検体から、簡便でありながら精度のよい特定のビフィズス菌の生菌数の測定方法を提供すること。1種類又は複数種類の細菌を含む被検体からビフィドバクテリウム・... 詳細

  • 積水メディカル株式会社の「 リアルタイムPCRによる核酸検出方法」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】本発明は、ろ紙に血液を含ませた後乾燥させたろ紙血の紙片中に含まれる標的核酸を、核酸増幅反応を利用して増幅した産物をリアルタイムPCRにより光学的に検出する方法及び定量する方法、さらにはこれらの... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ