図面 (/)

技術 転がり軸受部振動データの高周波電磁振動成分除去方法および高周波電磁振動成分除去装置、回転機械の転がりの軸受診断方法および軸受診断装置

出願人 富士電機株式会社
発明者 宮脇基渡辺光範
出願日 2010年6月9日 (9年9ヶ月経過) 出願番号 2010-132270
公開日 2011年12月22日 (8年3ヶ月経過) 公開番号 2011-259624
状態 特許登録済
技術分野 電動機の制御一般 遮断器と発電機・電動機と電池等の試験 機械部品、その他の構造物または装置の試験
主要キーワード 基準ピーク値 絶対値判定 ピーク値レベル 駆動電源周波数 対象周波数範囲 インバータ駆動モータ 良否判定回路 高調波振動
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年12月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (15)

課題

振動センサから出力される電気信号に基づいて高調波電磁振動周波数成分を特定し、特定された高調波電磁振動の周波数成分を低減させる。さらにそのデータを用いて、回転機械転がり軸受診断を行う。

解決手段

検出した振動加速度高周波帯域ピーク値の中で、各ピーク間周波数間隔整数倍であるピーク値のレベルを低減し、回転機械の回転数に関係なくインバータ駆動モータで発生する高調波振動成分を除去する。

概要

背景

従来、多くの回転機械で構成されるプラントでは、設備の異常による操業停止を防止するため、主要な回転機械の振動監視が行われている。振動データオンラインで常時取得し、または、オフラインで定期的に取得し、取得した振動データをコンピュータ等によるデータ収集装置FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)等の解析処理を行い、その解析結果に基づいて振動監視を行っている。

回転機械の軸受部で検出される振動には、例えばロータファンなどの回転部の不釣合いに起因する回転数成分の1倍に相当する周波数成分や、電動機や発電機等におけるロータの極数P(Pは整数)に起因する回転周波数のP倍に相当する周波数成分が、計測された加速度信号の中に含まれている。さらに、転がり軸受の場合には回転周波数f[Hz]と軸受玉数mの積をn倍(nは整数)した周波数成分(n×f×m[Hz])や転動面に発生した傷に起因して励振される高調波成分が含まれるため、振動センサで測定された振動信号の中には、約10[Hz]〜10[kHz]の広帯域振動周波数成分を含んでいる。

この中で、転がり軸受の振動は1[kHz]〜10[kHz]の高周波領域の振動加速度となるため、1[kHz]〜10[kHz]を通過するバンドパスフィルタ処理後の時間波形最大値平均値の大きさで良否判定をする。図14は軸受損傷有無時の振動波形の一例を示すもので、従来の診断方法は、事前に設定した判定レベル(図中の破線)で良否判定している。

また、特許文献1では、バンドパスフィルタ処理後の時間波形の包絡線化処理を行い、その包絡線波形の最大値Vpeakと実効値Vrmsおよび波高率Vpeak/Vrmsから(1)式に示すQ値を算出して良否判定を行っている。

Q=Vrms×Vpeak×[a×|(Vpeak/Vrms)-5|+b] ・・・・(1)
但し、Vrms:包絡線波形の自乗平均平方根
Vpeak:包絡線波形のピーク値
A、b:定数
また特許文献2では、ころがり軸受における機械的振動電気信号に変換して検出し、この検出された信号をもとにころがり軸受の異常を検出する装置において、この電気信号をサンプリングし、高速フーリエ変換し、そのフーリエスペクトルのうち電動機の電磁振動スペクトルに相当する部分をゼロと置き換え逆フーリエ変換して補正された検出信号を得、この信号波形より実効値及び、ピーク値を求め実効値あるいはピーク値、あるいはピーク値に対する実効値の比等が一定以上の場合にころがり軸受が異常と判断している。さらに、フーリエスペクトルでゼロと置き換える電動機の電磁振動スペクトルとしては、電動機の溝高調波磁束のよる高調波振動スペクトル、あるいは電動機駆動用インバータ運転条件で定める周波数スペクトルである。

概要

振動センサから出力される電気信号に基づいて高調波電磁振動の周波数成分を特定し、特定された高調波電磁振動の周波数成分を低減させる。さらにそのデータを用いて、回転機械の転がり軸受診断を行う。 検出した振動加速度の高周波帯域のピーク値の中で、各ピーク間周波数間隔整数倍であるピーク値のレベルを低減し、回転機械の回転数に関係なくインバータ駆動モータで発生する高調波振動成分を除去する。

目的

本発明は、電動機駆動電源周波数測定器等を用いることなく、振動センサから出力される電気信号に基づいて高調波電磁振動の周波数成分を特定し、特定された高調波電磁振動の周波数成分を低減させたデータを生成すること、および生成したデータを用いて回転機械の転がり軸受診断を行う事を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

インバータ電源で駆動される回転機械転がり軸受部に設けた振動センサから取得した第1振動加速度データフーリエ変換して生成された周波数スペクトルから、インバータ電源による高調波電磁振動成分を除去する高周波電磁振動成分除去方法において、前記周波数スペクトルから複数のピーク値を検出し、基準ピーク値と前記ピーク値の周波数間隔を全て求め、前記周波数間隔から基準周波数間隔を決定し、前記周波数間隔が前記基準周波数間隔の整数倍であるピーク値を対象ピーク値として抽出し、前記周波数スペクトルの前記対象ピーク値のレベルを所定のレベルまで低減させ、インバータ電源により高周波電磁振動成分を除去する、高周波電磁振動成分の除去方法。

請求項2

前記ピーク値を検出する際に、前記インバータ電源により決定されるキャリア周波数の整数倍となる周波数を基準とした所定の周波数範囲からピーク値を検出すること、を特徴とする請求項1に記載の高周波電磁振動成分の除去方法。

請求項3

前記ピーク値を検出する際に、ピーク値のレベルが予め設定されたレベル以上のピーク値のみ検出すること、を特徴とする請求項1または2に記載の高周波電磁振動成分の除去方法。

請求項4

前記対象ピーク値を抽出する際に、予め設定されたレベル以上のピーク値のみ対象ピーク値として抽出すること、を特徴とする請求項1または2に記載の高周波電磁振動成分の除去方法。

請求項5

前記ピーク値を検出する際に、ピーク値のレベルが高い順から予め設定された個数だけピーク値として検出すること、を特徴とする請求項1または2に記載の高周波電磁振動成分の除去方法。

請求項6

前記対象ピーク値を抽出する際に、前記周波数間隔が前記基準周波数間隔の整数倍であるピーク値からレベルが高い順に予め設定された個数だけ対象ピーク値として抽出すること、を特徴とする請求項1または2に記載の高周波電磁振動成分の除去方法。

請求項7

請求項1乃至6のいずれか1項の高周波電磁振動成分の除去方法によりインバータ電源による高周波電磁振動成分を除去した周波数スペクトルから、逆フーリエ変換により時間領域の第2振動加速度データを生成し、前記第2振動加速度データに基づいて前記軸受部良否判定を行う、回転機械の転がり軸受診断方法

請求項8

インバータ電源で駆動される回転機械の転がり軸受部に設けた振動センサから取得した第1振動加速度データをフーリエ変換して生成された周波数スペクトルから、インバータ電源による高調波電磁振動成分を除去する高周波電磁振動成分除去装置において、入力された前記第1振動加速度データをフーリエ変換により周波数スペクトルを生成するFFT変換処理回路と、前記周波数スペクトルから複数のピーク値を検出するピーク値検出回路と、基準ピーク値と前記ピーク値の周波数間隔を全て求め、前記周波数間隔から基準周波数間隔を決定し、前記周波数間隔が前記基準周波数間隔の整数倍であるピーク値を対象ピーク値として抽出する対象ピーク値抽出回路と、前記周波数スペクトルの前記対象ピーク値のレベルを所定のレベルまで低減させ、インバータ電源により高周波電磁振動成分を除去したレベル低減周波数スペクトルを生成するピーク値レベル低減回路と、を備えた高周波電磁振動成分除去装置。

請求項9

前記ピーク値検出回路は、前記インバータ電源により決定されるキャリア周波数の整数倍となる周波数を基準とした所定の周波数範囲からピーク値を検出すること、を特徴とする請求項8に記載の高周波電磁振動成分除去装置。

請求項10

前記ピーク値検出回路は、ピーク値のレベルが予め設定されたレベル以上のピーク値のみ検出すること、を特徴とする請求項8または9に記載の高周波電磁振動成分除去装置。

請求項11

前記対象ピーク値抽出回路は、予め設定されたレベル以上のピーク値のみ対象ピーク値として抽出すること、を特徴とする請求項8または9に記載の高周波電磁振動成分除去装置。

請求項12

前記ピーク値検出回路は、ピーク値のレベルが高い順から予め設定された個数だけピーク値として検出すること、を特徴とする請求項8または9に記載の高周波電磁振動成分除去装置。

請求項13

前記対象ピーク値抽出回路は、前記周波数間隔が前記基準周波数間隔の整数倍であるピーク値からレベルが高い順に予め設定された個数だけ対象ピーク値として抽出すること、を特徴とする請求項8または9に記載の高周波電磁振動成分除去装置。

請求項14

前記請求項8乃至13のいずれか1項に記載の高周波電磁振動成分除去装置と、前記高周波電磁振動成分除去装置で生成された前記レベル低減周波数スペクトルから、逆フーリエ変換により時間領域の第2振動加速度データを生成するIFF変換処理回路と、前記第2振動加速度データに基づいて前記軸受部の良否判定を行う良否判定回路と、を備えた回転機械の転がり軸受診断装置

技術分野

0001

本発明は、インバータ電源で駆動する電動機などの回転機械転がり軸受部から取得した振動データ処理方法および処理装置、前記処理方法および処理装置を利用して得た振動データを用いて軸受部分の損傷を検知する回転機械の転がり軸受診断方法および転がり軸受診断装置に関する。

背景技術

0002

従来、多くの回転機械で構成されるプラントでは、設備の異常による操業停止を防止するため、主要な回転機械の振動監視が行われている。振動データをオンラインで常時取得し、または、オフラインで定期的に取得し、取得した振動データをコンピュータ等によるデータ収集装置FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)等の解析処理を行い、その解析結果に基づいて振動監視を行っている。

0003

回転機械の軸受部で検出される振動には、例えばロータファンなどの回転部の不釣合いに起因する回転数成分の1倍に相当する周波数成分や、電動機や発電機等におけるロータの極数P(Pは整数)に起因する回転周波数のP倍に相当する周波数成分が、計測された加速度信号の中に含まれている。さらに、転がり軸受の場合には回転周波数f[Hz]と軸受玉数mの積をn倍(nは整数)した周波数成分(n×f×m[Hz])や転動面に発生した傷に起因して励振される高調波成分が含まれるため、振動センサで測定された振動信号の中には、約10[Hz]〜10[kHz]の広帯域振動周波数成分を含んでいる。

0004

この中で、転がり軸受の振動は1[kHz]〜10[kHz]の高周波領域の振動加速度となるため、1[kHz]〜10[kHz]を通過するバンドパスフィルタ処理後の時間波形最大値平均値の大きさで良否判定をする。図14軸受損傷有無時の振動波形の一例を示すもので、従来の診断方法は、事前に設定した判定レベル(図中の破線)で良否判定している。

0005

また、特許文献1では、バンドパスフィルタ処理後の時間波形の包絡線化処理を行い、その包絡線波形の最大値Vpeakと実効値Vrmsおよび波高率Vpeak/Vrmsから(1)式に示すQ値を算出して良否判定を行っている。

0006

Q=Vrms×Vpeak×[a×|(Vpeak/Vrms)-5|+b] ・・・・(1)
但し、Vrms:包絡線波形の自乗平均平方根
Vpeak:包絡線波形のピーク値
A、b:定数
また特許文献2では、ころがり軸受における機械的振動電気信号に変換して検出し、この検出された信号をもとにころがり軸受の異常を検出する装置において、この電気信号をサンプリングし、高速フーリエ変換し、そのフーリエスペクトルのうち電動機の電磁振動スペクトルに相当する部分をゼロと置き換え逆フーリエ変換して補正された検出信号を得、この信号波形より実効値及び、ピーク値を求め実効値あるいはピーク値、あるいはピーク値に対する実効値の比等が一定以上の場合にころがり軸受が異常と判断している。さらに、フーリエスペクトルでゼロと置き換える電動機の電磁振動スペクトルとしては、電動機の溝高調波磁束のよる高調波振動スペクトル、あるいは電動機駆動用インバータ運転条件で定める周波数スペクトルである。

先行技術

0007

特開昭56−135140号公報
特開平3−291539号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、特許文献2に記載の第1の実施例では、電磁振動スペクトルの特定方法が明示されておらず、どのように電磁振動スペクトルを特定するのか不明である。
さらに、特許文献2に記載の第2の実施例では、インバータ電源より電動機駆動電源周波数の信号を電磁振動周波数演算装置に入力し、溝高調波周波数インバータの運転条件により発生する高調波リップル周波数演算しているが、電磁振動スペクトルを求めるためには電動機駆動電源周波数を測定する必要がある。

0009

通常、駆動電源周波数を得るためには駆動電源電圧波形周波数分析することが必要となるため、振動センサとは別に高周波用電圧プローブ別途必要となる。
そこで、本発明は、電動機駆動電源周波数の測定器等を用いることなく、振動センサから出力される電気信号に基づいて高調波電磁振動の周波数成分を特定し、特定された高調波電磁振動の周波数成分を低減させたデータを生成すること、および生成したデータを用いて回転機械の転がり軸受診断を行う事を目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するため、本発明においては高周波電磁振動成分を除去するため、
インバータ電源で駆動される回転機械の転がり軸受部に設けた振動センサから取得した第1振動加速度データフーリエ変換して生成された周波数スペクトルから複数のピーク値を検出し、
隣り合う前記ピーク値の周波数間隔を全て求め、前記周波数間隔から基準周波数間隔を決定し、前記周波数間隔が前記基準周波数間隔の整数倍であるピーク値を対象ピーク値として抽出し、
前記周波数スペクトルの前記対象ピーク値のレベルを所定のレベルまで低減させ、インバータ電源により高周波電磁振動成分を除去する。

0011

さらに、本発明において転がり軸受診断を行うため、
上記のように高周波電磁振動成分を除去した周波数スペクトルから、逆フーリエ変換により時間領域の第2振動加速度データを生成し、
前記第2振動加速度データに基づいて前記軸受部の良否判定を行う。

発明の効果

0012

検出した振動加速度の高周波帯域のピーク値の中で、各ピーク間の周波数間隔が整数倍であるピーク値のレベルを低減するため、回転機械の回転数に関係なくインバータ駆動モータで発生する高調波電磁振動成分を除去することができる。さらに、高調波電磁振動成分を除去したデータに従来から周知である軸受診断を適用する事で、容易に軸受診断が可能となる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態に係る概略構成図である。
本発明の第1の実施形態に係るピーク除去回路の構成図である。
インバータのキャリア周波数に起因した側帯波を含む高調波を示す一例である。
ピーク値とピーク値の周波数間隔を説明する周波数スペクトルである。
ピーク値低減レベル低減回路の処理後の周波数スペクトルである。
正常な軸受における高調波電磁振動の周波数を含む振動データの一例である。
正常な軸受における振動データに本発明の実施形態を適用し、高調波電磁振動の周波数成分を除去した振動データの一例である。
異常な軸受における振動データに本発明の実施形態を適用し、高調波電磁振動の周波数成分を除去した振動データの一例である。
本発明の第2の実施形態に係るピーク除去回路の構成図である。
本発明の第2の実施形態におけるピーク値とピーク値の周波数間隔を説明するグラフである。
本発明の第3の実施形態に係るピーク除去回路の構成図である。
本発明の第4の実施形態に係るピーク除去回路の構成図である。
本発明の第5の実施形態に係るピーク除去回路の構成図である。
軸受損傷有無時の振動波形および従来の診断方法の一例を示すグラフである。

実施例

0014

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る回転機械の転がり軸受診断装置における概略構成図であり、振動センサ100および転がり軸受診断装置200の内部構成を示している。振動センサ100は、図示しない回転機械の転がり軸受部に取り付けられ、振動加速度を電気信号に変換して外部に出力する。

0015

転がり軸受診断装置200では、振動センサ100から出力される電気信号を電圧信号に変換するチャージアンプ300と、チャージアンプ300の出力信号から所定の高周波帯域(例えば1kHz〜10kHzの高周波帯域)のみ通過させるバンドパスフィルタ400と、バンドパスフィルタ400の出力信号を増幅するアンプ500と、アンプ500からのアナログ信号デジタル信号に変換するためのA/D変換器600と、変換されたデジタル信号の高調波電磁振動成分を除去するピーク除去回路700と、ピーク除去回路700の出力信号から軸受の良否判定を行う良否判定回路800と、その結果を表示・記憶する表示回路900とで構成されている。

0016

また、ピーク除去回路700は、第1の実施形態において図2の構成図に示すように、図示しないA/D変換器600で変換された振動データのデジタル信号が入力され、振動データのデジタル信号をフーリエ変換により周波数スペクトルを生成するFFT変換処理回路710と、FFT変換処理回路710で生成された周波数スペクトルの中から所定の周波数範囲内のピーク値を検出するピーク値検出回路720と、ピーク値検出回路720で検出されたピーク値の中からレベルを低減するピーク値を抽出する対象ピーク値抽出回路730と、抽出した対象ピーク値のスペクトルレベルを低減するピーク値レベル低減回路740と、ピーク値を低減した周波数スペクトルデータを逆フーリエ変換し時間領域の振動データを生成するIFF変換回路750とで構成されている。

0017

このような構成において、回転機械の転がり軸受部の振動加速度を振動センサ100により検出し、チャージアンプ300で電気信号に変換し、バンドパスフィルタ400で例えば1kHz〜10kHzの帯域成分を抽出しアンプ500で増幅し、増幅された電気信号はA/D変換器600によりデジタル変換する。ここで、所定の高周波帯域のみの振動加速度データを第1振動加速度データとする。また、本実施形態においてバンドパスフィルタはチャージアンプ300の後にあるが、A/D変換器600の後にバンドパスフィルタがあっても良い。

0018

第1振動加速度データ(デジタル信号)は、ピーク除去回路700に入力される。ピーク除去回路700では、入力された第1振動加速度データ(デジタル信号)をFFT変換処理回路710で周波数スペクトルに変換し、ピーク値検出回路720で1kHz〜10kHz間のピーク値を示す周波数およびレベルを検出する。なお、ピーク値検出回路720では、各周波数スペクトルにおいて前後1点或いは2点までのレベルが順次低くなるスペクトルをピーク値とする。

0019

近年省電力化交流電動機可変速化などのためにインバータ電源による電動機が多く使用され、インバータのキャリア周波数:fc(数kHz)に起因した側帯波を含んだ高調波の電磁振動が軸受振動に含まれるようになっている。

0020

図3(a)は、インバータのキャリア周波数に起因した側帯波が含まれる振動の時間波形の一例である。図3(b)は、(a)の振動の時間波形をFFT処理して求めた周波数スペクトルである。図3(c)は、(b)の周波数スペクトルの主要帯域周波数軸を拡大した図である。

0021

図3(c)は、キャリア周波数fcの2倍の周波数成分(2fc)とその前後の等間隔(Δf)にピークが現れた一例である。
そこで、予め設定されたキャリア周波数fcとピーク検出周波数範囲fwとにより、ピーク値検出回路720で検出するピーク値の対象周波数範囲はm・fc±fw(mは整数)とする。例えばfc=2000Hz,fw=500Hzでは10kHzを超えない範囲で、2000±500Hz,4000±500Hz,6000±500Hz・・・となる。ここで、fwは経験的に回転数を決定する基本周波数frの10次以内とすることができるため、最高回転数により定まる基本周波数frmaxとすれば、fw=10×frmaxと定めることができる。また、fwを正常時のデータを取得して周波数スペクトルから決定しても良い。

0022

このようにキャリア周波数fcを基準としてピーク値を検出する周波数範囲を限定することで、インバータのキャリア周波数に起因した高調波電磁振動成分以外をピーク値として検出しないため、後述する対象ピーク値抽出回路730で対象ピークを誤って抽出することがなくなる。よって、検出周波数範囲を設定したほうがより正確な高調波電磁振動成分を抽出することができる。

0023

図4に示す周波数スペクトルの例では、n・fc±fw間で前後2点が順次レベルが下がる点をピーク条件にした場合であり、P1〜P11がピーク値となる。
なお、ピーク値の検出周波数範囲を設定しないで、全帯域の中からピーク値を検出してもよい。

0024

次に、対象ピーク値抽出回路730では、ピーク値検出回路720で検出された各ピーク周波数の中で、インバータのキャリア周波数の整数倍に最も近いピークを基準ピーク値とし、基準ピーク値と各ピーク周波数間の周波数間隔Δf1〜Δfn(nは正の整数)を算出する。その後、基準ピーク値前後のピーク値に対して周波数間隔Δf1〜ΔfnからΔfa=Δfb(a,bは1〜nの何れかの正の整数)となる周波数間隔がある場合又は、2Δfa=Δfbとなる周波数間隔がある場合、より小さいΔfnを周波数バンドΔfとする。もしどちらも該当しない場合はΔf=0とする。

0025

周波数バンドΔfはより具体的には下記の(1)〜(3)の手順により決定する。
(1)周波数間隔Δf1〜ΔfnからΔfa=Δfbとなる周波数間隔Δfsを全て抽出する。さらに、抽出したΔfsから最も周波数間隔が小さいΔfsをΔfsmとして記憶する。なお、周波数間隔が同じ値であるΔfsが存在しなかった場合には、Δfsm=0として記憶する。
(2)周波数間隔Δf1〜Δfnから2Δfa=Δfbとなる周波数間隔ΔfaをΔfdとして全て抽出する。さらに、抽出したΔfdから最も周波数間隔が小さいΔfdをΔfdmとして記憶する。なお、周波数間隔が同じ値であるΔfnが存在しなかった場合には、Δfdm=0として記憶する。
(3)次に、Δfsm=Δfdm=0であれば、周波数バンドΔf=0として記憶する。Δfsm=0であれば、周波数バンドΔf=Δfdmとして記憶する。Δfdm=0であれば、周波数バンドΔf=Δfsmとして記憶する。Δfsm≠0、Δfdm≠0であれば、ΔfsmとΔfdmとを比較し、より周波数間隔の値が小さい方を周波数バンドΔfとして記憶する。

0026

その後、基準ピーク値と各ピーク間で算出したΔf1〜Δfnから周波数バンドΔfの整数倍になるピーク周波数を抽出する。
図4に示す周波数スペクトルの例では、P1〜P11のピーク値に対してΔf1〜Δf6の異なる6つの周波数間隔が求まり、その中で基準ピーク値前後はΔf1と異なるΔf2となるが、Δf2が2倍のΔf1であることから、周波数バンドはΔf1となる。そこで、まずΔf1とΔf2であるP4,P5,P7が対象ピーク値として抽出される。さらに、他のΔf3,Δf4,Δf5,Δf6が整数倍であるか確認し、Δf1の整数倍であればピーク値として抽出される。
本例においては、全ての点が抽出された。

0027

対象ピーク値抽出回路730で抽出されたピーク値は、ピーク値レベル低減回路740でレベルを0又は設定された減衰量だけ低減される。図5図4に示す周波数スペクトルをピーク値低減レベル低減回路により処理した後の周波数スペクトルである。このようにして低減された周波数スペクトルは、IFFT変換処理回路750で逆フーリエ変換されて時間領域の振動加速度データに変換される。ここで、IFFT変換処理回路750で変換された時間領域の振動加速度データを第2振動加速度データとする。

0028

良否判定回路では、IFFT変換処理回路750で変換された時間領域の第2振動加速度データを用いて良否判定を行う。良否判定方法は、従来から知られている周知の方法(例えば、豊田 利夫著、「回転機械診断の進め方」、日本プラントメンテナンス協会、に詳しく判定方法が説明されている。)を用いることができる。例えば、振動データの最大値、平均値、これらを組合せた値が、判定基準を超えたか否かによって異常の診断ができる。異常の判断基準には、振動データの最大値や平均値等が所定の値を超えたか否かにより判断する絶対値判定基準と、振動データの最大値や平均値等が初期状態に比べて何倍になったかや同一条件の軸受部のデータを比較して何倍かにより判断する相対値判定基準があるが、どちらか一方を用いても良いし組み合わせて診断してもよい。ここでは他の方法は記載しないが、勿論、周知の他の方法を用いることができる。本発明の実施形態において重要なことは、インバータ電源に起因する高調波電磁振動を振動データから除去することで、良否判定方法は従来からの周知方法をそのまま利用できる点である。

0029

表示回路9では上記の診断結果や振動波形の表示や記憶を行う。
次に、本発明の実施形態の効果を図6図8を用いて説明する。図6(a)は、正常な軸受における高調波電磁振動の周波数を含む時間領域の振動データの一例である。図6(b)は、正常な軸受における高調波電磁振動の周波数を含む振動データの周波数スペクトルである。図7(a)は、図6(a)および図6(b)に示す振動データに本発明の実施形態を適用し、高調波電磁振動の周波数成分を除去した時間領域の振動データの一例である。図7(b)は、図6(a)および図6(b)に示す振動データに本発明の実施形態を適用し、高調波電磁振動の周波数成分を除去した振動データの周波数スペクトルである。図8(a)は、異常な軸受における振動データに本発明の実施形態を適用し、高調波電磁振動の周波数成分を除去した時間領域の振動データの一例である。図8(b)は、異常な軸受における振動データに本発明の実施形態を適用し、高調波電磁振動の周波数成分を除去した振動データの周波数スペクトルである。なお、図6(a),図7(a),図8(a)に記載された判定レベルは、図7(a)のデータを基準に設定した判定レベルである。

0030

図6(a),図7(a),図8(a)から理解できるように、本発明の実施形態によって、高周波電磁振動の周波数成分を除去しても軸受の異常を診断できるとともに、高周波電磁振動の周波数成分を除去しない場合に比べて判定レベルの幅を狭くできるので、より正確に判定できることがわかる。

0031

次に本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態におけるピーク除去回路700をピーク除去回路701に置き換え、他の部分は変更していない。よって、他の部分の説明は省略し、ピーク除去回路701についてのみ説明する。

0032

図9は、本発明の第2の実施形態におけるピーク除去回路701の構成図を示すものである。図2に示す第1の実施形態におけるピーク除去回路700と同じ回路同符号をつけており、説明は省略する。この第2の実施形態におけるピーク値検出回路721では、ピーク値検出回路720のピーク値検出条件に、事前に設定したピーク値判定レベル以上のピーク値のみ検出することを追加した。図10は、図4と同じ振動データの周波数スペクトルをピーク値検出回路721でピーク値を検出した例である。なお、図4図10において同じ周波数のピーク値は同じ記号を付している。図4におけるピーク値P1〜P11のピークの内P3,P6,P8,P11の4つのピーク値が検出され、振動振幅に大きく影響する高調波成分のみを除去することができ、軸受損傷時に発生する振動増大成分をより多く含んだ信号で判定できるため、判定精度が向上する。

0033

第3の実施形態は、第1の実施形態におけるピーク除去回路700をピーク除去回路702に置き換え、他の部分は変更していない。よって、他の部分の説明は省略し、ピーク除去回路702についてのみ説明する。

0034

図11は、本発明の第3の実施形態におけるピーク除去回路703の構成図を示すものである。図2に示す第1の実施形態におけるピーク除去回路700と同じ回路は同符号をつけており、説明は省略する。この本発明の第3の実施形態における対象ピーク値抽出回路732では、対象ピーク値抽出回路730の抽出条件に、前記ピーク値判定レベル以上のピーク値のみ対象ピーク値として抽出することを追加した。これにより、第3の実施形態は第2の実施形態と同様の効果が得られる。

0035

第4の実施形態は、第1の実施形態におけるピーク除去回路700をピーク除去回路703に置き換え、他の部分は変更していない。よって、他の部分の説明は省略し、ピーク除去回路703についてのみ説明する。

0036

図12は、本発明の第4の実施形態におけるピーク除去回路703の構成図を示すものである。図2に示す第1の実施形態におけるピーク除去回路700と同じ回路は同符号をつけており、説明は省略する。この第4の実施形態におけるピーク値検出回路723では、ピーク値検出回路720のピーク値検出条件に、予め設定された数だけピーク値のレベルの高い順に検出することを追加した。高周波電磁振動の振幅が大きくない場合でも、対象ピーク値抽出回路740にて周波数バンドΔfを選択する際に必要な数だけピーク値を検出することができる。

0037

第5の実施形態は、第1の実施形態におけるピーク除去回路700をピーク除去回路704に置き換え、他の部分は変更していない。よって、他の部分の説明は省略し、ピーク除去回路704についてのみ説明する。

0038

図13は本発明の第5の実施例によるピーク除去回路704の構成図を示すものである。図2に示す第1の実施形態におけるピーク除去回路700と同じ回路は同符号をつけており、説明は省略する。この第5の実施形態における対象ピーク値抽出回路734では、対象ピーク値検出回路730の抽出条件に、前記周波数間隔が前記基準周波数間隔の整数倍であるピーク値からレベルが高い順に予め設定された個数だけ対象ピーク値として抽出することを追加した。これにより、第5の実施形態は第4の実施形態と同様の効果が得られる。

0039

なお、他の変形例として、本発明の第2および第3の実施形態で記載したピーク値判定レベル処理と、第4および第5の実施形態で記載した対象ピーク数抽出処理を、同じピーク除去回路で処理をしても良い。つまり、ピーク値検出回路または対象ピーク値検出回路の一方でピーク値判定レベル処理を行い、ピーク値判定レベル処理を行っていないピーク値検出回路または対象ピーク値検出回路の一方でピーク数抽出処理を行っても良い。また、ピーク値検出回路または対象ピーク値検出回路の何れか一方で、ピーク値判定レベル処理と対象ピーク数抽出処理を行っても良い。

0040

100振動センサ
300チャージアンプ
400バンドパスフィルタ
500アンプ
600 A/D変換器
700ピーク除去回路
800良否判定回路
900 表示回路

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社小松製作所の「 作業車両の状態検出システム、作業車両、及び作業車両の状態検出方法」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】作業車両の回転機械の状態を的確に認識すること。【解決手段】作業車両の状態検出システムは、回転機械を有する作業車両に設けられ作業車両の走行状態を検出する走行状態検出装置と、回転機械に設けられる振... 詳細

  • NTN株式会社の「 アクチュエータ制御装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】一対のアクチュエータを制御するアクチュエータ制御装置において、アクチュエータを制御する電子制御装置の異常により、左右どちらか一方が制御不能になった場合に、車両の挙動が不安定に陥ることを防止する... 詳細

  • ダイハツ工業株式会社の「 検査装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】本発明は、車両に搭載された状態と検査状態との差異を抑制し、ワークの検査精度を向上させることができる検査装置を提供することを目的とした。【解決手段】本発明の検査装置10は、検査対象とされたワーク... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ