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図面 (20)

課題

被験者の異常に増殖する細胞の増殖、定着分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転する方法の提供。

解決手段

被験者に、治療のために有効な量のT2ファミリーリボヌクレアーゼ投与する方法。該リボヌクレアーゼはアクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有し、またリボ核酸分解活性が、沸騰オートクレーブ処理あるいは化学的変性方法によって不活性化されていることが好ましい。さらに該リボヌクレアーゼは、経口投与局所投与経粘膜投与非経口投与直腸投与あるいは吸入により投与されることが好ましい。

概要

背景

癌などの細胞増殖性の疾患および障害治療に用いる新規治療薬剤の開発に対する関心が、医学界一般社会の両方に引続き存在している。

哺乳類細胞に対して抗増殖性、抗定着性、抗分化性および/または抗発育性を示す薬剤抗癌剤として使用できる可能性がある。したがって、天然原料および合成の原料の両方からのこれら薬剤が広く探究されている。

RIASESは、そのRNAを分解する性質と異なる生物活性を示すリボヌクレアーゼRNアーゼ)である。RIBASESとその構造同族体は、多種の細胞反応を行うことが知られている(Rybak,M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年;Schein, C.H.,Nature Biotechnol.15巻529−536頁1997年)。EDNとECP、すなわち細胞傷害性好酸球分泌顆粒に見られる2種のタンパク質(RNアーゼAのファミリーメンバー)は、免疫反応に参画していると考えられている。自己不和合性植物において、花柱(stylar)のS−RNアーゼ(RNアーゼのT2ファミリーのメンバー)は花粉管成長を停止させて受精を防止する。ウシガエル卵母細胞から産生されるRC−RNアーゼは、P388およびL1210白血病細胞系などの腫瘍細胞の増殖を生体外阻害し、かつ肉腫180、ErlichおよびMepII腹水の細胞を生体内殺すのに有効である(Chang,C−F.ら、J.Mol.Biol.283巻231−244頁1988年)。いくつかのRNアーゼは限定されたリボヌクレアーゼ活性を示し、その一例として、血管生成刺激するアンギオジェニン(angiogenin)類がある(Fett,J.W.,Biochemistry 24巻5480−5486頁1985年)。

生きている生物は、病原体および腫瘍細胞から守るために細胞外RNアーゼを利用する。例えば、ECPは寄生虫攻撃に反応して分泌され(Newton,DL.,J.Biol.Chem.267巻19572−19578頁1992年)かつ抗菌活性抗ウイルス活性を示す。また、この活性は、血液、精漿人乳滑液唾液、尿およびを含む大部分のヒトの体液に存在するRNアーゼである亜鉛−α2−糖タンパク質も示す(Lei,G.ら、Arch Biochem Biophys. Jul.15;355(2);160−164頁1998年)。

細胞外RNアーゼ類が細胞反応で機能する具体的な機序は分かっていない。

ある種のRNアーゼの細胞傷害活性に対する主なバリアー細胞膜である。ECPは、人工の膜と細胞膜にチャネルを形成することが発見された。EDN(小脳梨状神経細胞破壊関与している好酸球のRNアーゼ)とともに顆粒膜から放出されるECPは、恐らく、EDNを細胞内空間に移送する。真菌毒素のα−サルシン(RNアーゼAファミリーのメンバー)の標的細胞中への導入は、細胞膜を透過できるようにするウイルスの感染によって決まる(Rybak,M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年)。RNアーゼ類はエンドイト−シスによって細胞内に入ることもできる。ゴルジ破壊薬剤のレチノイン酸またはモネンシンを利用して、BS−RNアーゼを細胞中に人工的に送達したとき、細胞傷害性が劇的に増大した(Wu Y.ら、J.Biol.Chem.21;270(29):17476−17481頁1995年)。

RNアーゼ類の細胞傷害性は、治療のために利用できる。ヒトのRNアーゼLは、インターフェロンによって活性化されてウイルスの増殖を阻害する。ヒトRNアーゼLの遺伝子およびタバコ植物の2′5′−A−シンテターゼの遺伝子の発現によって、植物は、十分に、キュウリモザイクウイルスから保護されかつジャガイモウイルスYの複製が防止される。ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)は、RNアーゼLの抗ウイルス経路遮断を誘発する(Schein,C.H.,Nature Biotechnol.15巻529−536頁1997年)。RNアーゼ類は、特定の膜タンパク質の抗体と融合して、イムノトキシンをつくることができる。例えば、RNアーゼAが、トランスフェリン受容体またはT細胞抗原CD5に対する抗体と融合すると、上記毒素各々に対する特異的受容体を保持する腫瘍細胞におけるタンパクの合成が阻害される(Rybak, M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年;Newton DLら、Biochemistry 14;37(15):5173−5183頁1998年)。RNアーゼ類は動物に対する毒性が低いので、現在使用されている免疫毒素より、望ましくない副作用が少ない。

細胞傷害性リボヌクレアーゼの細胞傷害性は、リボヌクレアーゼ阻害剤(RI)と前記RNアーゼの間の相互作用の強さに逆比例するようである。リボヌクレアーゼ阻害剤(RI)は、脊椎細胞内に見られる天然に存在する分子であり、これらの細胞を、リボヌクレアーゼ類の起こりうる致命的な作用から守る働きをする。リボヌクレアーゼのインヒビターは、種々のアフィニティーでRNアーゼ類と結合する50kDaの細胞質タンパク質である。例えば、RIは、10桁もの阻害定数すなわち10−6〜10−16Mの範囲内のKi値で、リボヌクレアーゼのウシ膵臓リボヌクレアーゼA(RNアーゼA)スーパーファミリーのメンバーと結合する。

A−RNアーゼ類
オンコナーゼ(onconase)(例えばRNアーゼAとBS−RNアーゼ)は、RNアーゼAスーパーファミリーのメンバーである。RNアーゼスーパーファミリーのメンバーは、そのアミノ酸配列の約30%が同一である。非保存残基の大部分が表面ループ(surface loop)に位置し、各RNアーゼの特定目的の生物活性に有意な役割を演じているようである。オンコナーゼは、キタヒョウガエル(Northern Leopard frog)(ラナ・ピピエンス)(Rana pipiens)の卵母細胞と早期から単離した。オンコナーゼは、各種の固形腫瘍に対して、原位置および生体内の両方で抗腫瘍作用がある(Mikulski,S.M.ら、J.Natl.Cancer 17;82(2)151−153頁1990年)。オンコナーゼは、感染したH9白血病細胞において非細胞傷害性濃度でHIV−1の複製も特異的に阻害することが見出されている(Youle,R.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.21;91(13)6012−6016頁1994年)。

オンコナーゼのRNアーゼ活性は比較的低いが、その酵素活性と細胞傷害活性はある程度、関連している。A−RNアーゼ類の第三級の構造が、細胞傷害型と非細胞傷害型を区別すると考えられる。例えば、オンコナーゼとRNアーゼAの第三級構造の差は、オンコナーゼに観察される細胞傷害性の増大が原因であると考えられる。オンコナーゼは、RNアーゼと異なり、酵素活性と細胞傷害活性の両方に不可欠のブロックされたN末端Glu1残基(ピログルタメート)を含んでいる。この独特の構造によって、オンコナーゼは、標的細胞中に浸透することができる(Boix,E.ら、J.Mol.Biol.19:257(5)992−1007頁1996年)。その上に、オンコナーゼ中のLys9残基は、RNアーゼAのGln11残基を置換し、その結果、活性部位の構造を生成すると考えられる。さらに、オンコナーゼとRNアーゼAとの間の、一次構造のアミノ酸配列の差によって、その特異性をもたらす活性部位の周辺の形態が変化する(Mosimann S.C.ら、Proteins 14(3);392−400頁1992年)。

また、A−RNアーゼ類間の毒性の差もRIに結合するそれらの性能が原因である。ウシ精液リボヌクレアーゼ(BS−RNアーゼ)は、アミノ酸配列が、RNアーゼAと80%同一であるが、RNアーゼAスーパーファミリーの他のメンバーと異なり、二量体の形態で存在している。BS−RNアーゼの第四級の構造が、RIの結合を防止して、その酵素に、そのリボ核酸分解活性(ribonucleolytic activity)を、RIの存在下で保持させることが分かっている(Kimら、J.Biol.Chem.270 No.52:31097−31102頁1995年)。オンコナーゼは、RNアーゼAと高度の相同性共有しているが、RIの結合に対して抵抗性である。RI−オンコナーゼの複合体は、Kdが、少なくともRI−RNアーゼA複合体の1億分の1より小さい。オンコナーゼのRIに対する結合アフィニティが小さいことによって、リボ核酸分解活性の有効な阻害を防ぎ、そしてオンコナーゼが低濃度で細胞傷害性であるがRNアーゼがそうでない理由を説明できる。

細胞表面受容体との結合は、オンコナーゼの細胞傷害性の第一のステップである。哺乳類の細胞表面におけるオンコナーゼ受容性の性能については何も分かっていない。オンコナーゼは、リシンの場合のように、細胞表面の炭水化物に結合するのかもしれずまたはポリペプチドホルモンのような薬理学的に導入された分子に対して本来生成した受容体に結合するのかもしれない(Wu,Y.ら、J.Biol.Chem.15;268(14)10686−10693頁1993年)。オンコナーゼは、マウスでは、RNアーゼAより50〜100倍遅い速度で、腎臓から排泄される。オンコナーゼの排泄速度が遅いことは、オンコナーゼが尿細管細胞に対して結合する性能が高いためであると説明されるかおよび/またはオンコナーゼのタンパク質分解反応に対する耐性で説明される。オンコナーゼが腎臓で強く保持されることは臨床上の意味がある(Vasandani,V.M.ら、Canser Res.15;56(18)4180−4186頁1996年)。オンコナーゼは、プルキンエ細胞のEDN受容体にも結合できる(Mosimann,S.C.ら、J.Mol.Biol.26;260(4)540−552頁1996年)。また、オンコナーゼの特異性は、そのtRNAにおいても優先的に発現される。ウサギ網状赤血球溶解物およびアフリカツメガエルの卵母細胞において、オンコナーゼが、rRNAまたはmRNAの分解によるのではなくてtRNAの分解によって、タンパク質合成を阻害することが発見された。対照的に、RNアーゼAは、通常rRNAとmRNAを分解する(Lin,J.J.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.14;204(1)156−162頁1994年)。

感受性組織培養物をオンコナーゼで処理すると、RNA含量のレベルが非常に低い、細胞周期のG1相で停止した細胞が蓄積する(Mosimann,S.C.ら、Proteins 14(3)392−400頁1992年)。グリオーマ細胞において、オンコナーゼは、細胞密度が有意に低下することなしにタンパク質合成を阻害し、このことは、オンコナーゼが細胞分裂を抑制することに加えて細胞傷害性でもあることを示している(Wu,Y.ら、J.Biol.Chem.15;268(14)10686−10693頁(1993年)。化学療法薬剤と組み合わせたオンコナーゼは、多剤耐性を克服することができる。ビンクリスチンとオンコナーゼによる治療によって、ビンクリスチン耐性腫瘍を有するマウスの平均生存期間(MST)が、ビンクリスチン単独で治療したマウスの44日間に比べて66日間に増大した(Schein,C.H.,Nature Biotechnol.15巻529−536頁1997年)。さらに、いくつかの化学療法薬剤がオンコナーゼと相乗作用を行う。オンコナーゼと、タモキシフェン抗エストロゲン薬)、トリフルオロペラジン(ステラジンカルモジュリン阻害剤)またはロバスタチン(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタチルコエンザイムA(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤)の組合せで治療したヒト膵臓腺癌およびヒト肺癌の腫瘍細胞系において、オンコナーゼ単独で治療した細胞より、強力な増殖阻害が観察された(Mikulski,S.M.ら、Cell Tissue Kinet.23(3)237−246頁1990年)。したがって、有効性が一層大きくおよび/または毒性が一層低い組合せの治療方式を開発できることは明らかである。

ウシ精液RNアーゼは、二つのジスルフィド架橋で連結されたRNアーゼ様サブユニットの二量体を含有する唯一のRNアーゼであるから、RNアーゼAファミリーの特異なメンバーである。さらにウシ精液RNアーゼは、基質反応産物の両方によってアロステリック効果を維持する。その効果は、環状ヌクレオチド加水分解反応相で起こる。BS−RNアーゼは、一本鎖RNA二本鎖RNAの両者を開裂する性能を有している。BS−RNアーゼは細胞傷害性が高い。BS−RNアーゼは、マウスの白血病細胞、HeLa細胞とヒト胎児肺細胞(human embryo lung cell)、マウス神経芽細胞腫細胞およびヒト繊維芽細胞とマウス形質細胞腫の細胞系で、生体外にて抗腫瘍作用を示す。固形肉腫(甲状腺ろ胞肉腫およびそのへの転移)を有するラットに生体内投与すると、BS−RNアーゼは、治療された動物に対して検出可能な毒作用なしで、腫瘍の重量を劇的に減少させた(Laccetti,P.ら、Cancer Research 52巻4582−4586頁1992年)。人工的に一量体にしたBS−RNアーゼは、天然の二量体BS−RNアーゼより、リボヌクレアーゼ活性は高いが細胞傷害性は低い(D’Allessio,G.ら、TIBS 104−106頁1991年)。これは、やはり、生物活性に対して分子構造が重要であることを示している。BS−RNアーゼは、オンコナーゼのように、標的細胞中に入る前に、標的細胞の表面の単一もしくは複数の認識部位に結合するようである。

BS−RNアーゼは、細胞傷害性であることに加えて、免疫抑制性でもある。BS−RNアーゼは活性化T細胞の増殖をブロックしかつ同種異系マウスに移植された皮膚移植片生存延長することができる。SB−RNアーゼの免疫抑制活性は、精子細胞を、雌の免疫系から守るために必要であることによって説明される。

T2−RNアーゼ類
植物では、自家和合性が、豊富なので、自家受精を防ぐのに有効である。S遺伝子座に特定の対立遺伝子を有する花粉は、自家不和合性を制御するが、同じS−対立遺伝子を有する植物に受精できない。多くの自家不和合性植物の特にナス科(Solanacea)とバラ科(Rosaceae)のメンバーの場合、T2−RNアーゼファミリーのメンバーが、雌の器官から分泌される。S−RNアーゼは、自家花粉を特異的に認識して、受精が起こる前に、柱頭と花柱の成長を停止し(Clarke,A.E.およびNewbigin,E.,Ann.Rev.Genet.27巻257−279頁1993年)、花粉管の成長の停止はRNA分解の直接の結果であると考えられるが、S−RNアーゼが花粉管に入る方式はいぜんとして不明のままである。

RNアーゼT2ファミリーのメンバーは真菌に始めて確認された(Egami,F.およびNakamura K.,Microbial ribonucleases,Springer−Verlag、ベルリン1969年)。その後、これらメンバーは、ウイルスから哺乳類にわたって多種類の生物内に発見された。特に、T2−RNアーゼ類は、広く説明されているRNアーゼAファミリーよりはるかに広く分布している。しかし、哺乳類細胞のT2−RNアーゼ類の生体内での役割はまだ分かっていない。

微生物内において、細胞外T2−RNアーゼ類は、増殖培地中に存在するポリリボヌクレオチド類の消化に寄与して拡散可能な栄養素を生成すると一般的に考えられている。また、T2−RNアーゼ類は防御剤としても働く(Egami,F.およびNakamura,K.,Microbial ribonucleases,Springer−Verlag、ベルリン1969年)。
植物内で、T2−RNアーゼ類は、花粉管が胚珠の方に向かって伸長するのを選択的に制限することによって、送粉過程での役割を演じている(Roiz,L.およびShoseyov,O.,Inst.J.Plant Sci.156巻37−41頁1995年;Roiz,L.ら、Physiol.Plant 94巻585−590頁1995年)。現在、これらRNアーゼ類の花粉管に対する作用の機序は不明である。

したがって、癌治療剤として有効に使用できる細胞傷害性リボヌクレアーゼ類の例はほとんどない。哺乳類の細胞に対し、抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性を有する新しいリボヌクレアーゼ類が、ヒトの癌を治療するのに利用できる治療薬の範囲を広げて、癌治療の分野に新しい領域を切り開くために必要である。

このように、広く認められている要望があるので、癌などのヒトの増殖性疾患を治療するのに非常に有用な新規なリボヌクレアーゼを入手することは極めて有利である。

概要

被験者の異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転する方法の提供。被験者に、治療のために有効な量のT2ファミリーのリボヌクレアーゼを投与する方法。該リボヌクレアーゼはアクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有し、またリボ核酸分解活性が、沸騰オートクレーブ処理あるいは化学的変性方法によって不活性化されていることが好ましい。さらに該リボヌクレアーゼは、経口投与局所投与経粘膜投与非経口投与直腸投与あるいは吸入により投与されることが好ましい。なし

目的

上記好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記医薬は、特定の増殖性の障害または疾患、例えば特定の癌に対する治療薬を提供する

効果

実績

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請求項1

必要のある被検者において異常に増殖する細胞の増殖、定着および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転させるための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーリボヌクレアーゼの使用。

請求項2

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼが、リボ核酸分解活性を欠いている請求項1に記載の使用。

請求項3

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼのリボ核酸分解活性が、沸騰オートクレーブ処理および化学的変性からなる群から選択される方法によって不活性化される請求項2に記載の方法。

請求項4

前記異常に増殖する細胞が腫瘍細胞である請求項1に記載の使用。

請求項5

前記腫瘍細胞が癌性細胞である請求項4に記載の使用。

請求項6

前記腫瘍細胞が、乳頭腫ブラストグリオーマカポジ肉腫黒色腫肺癌卵巣癌前立腺癌扁平上皮癌星細胞腫、頭部癌、頸部癌膀胱癌乳癌大腸癌甲状腺癌膵臓癌胃癌肝細胞癌白血病リンパ腫ホジキン病、およびバーキット病からなる群から選択される増殖性障害または疾患に関連する細胞である請求項4に記載の使用。

請求項7

前記異常に増殖する細胞が、関節炎リウマチ様関節炎糖尿病網膜症再狭窄インステント再狭窄および移植血管再狭窄からなる群から選択される障害または疾患に関連する細胞である請求項1または2に記載の使用。

請求項8

前記薬剤が、経口投与局所投与経粘膜投与非経口投与直腸投与および吸入による投与からなる群から選択された投与方法のために処方されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。

請求項9

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼがRNアーゼB1である請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。

請求項10

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼが、RNアーゼT2、RNアーゼRh、RNアーゼM、RNアーゼTrv、RNアーゼIrp、RNアーゼLe2、RNアーゼPhyb、RNアーゼLE、RNアーゼMC、RNアーゼCL1、RNアーゼBsp1、RNアーゼRCL2、RNアーゼDm、RNアーゼOyおよびRNアーゼTpからなる群から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。

請求項11

必要のある被検者において腫瘍血管新生を阻害するための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼの使用。

請求項12

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼが、リボ核酸分解活性を欠いている請求項11に記載の使用。

請求項13

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼのリボ核酸分解活性が、沸騰、オートクレーブ処理および化学的変性からなる群から選択される方法によって不活性化される請求項12に記載の方法。

請求項14

前記腫瘍癌性腫瘍である請求項11または12に記載の使用。

請求項15

前記腫瘍が、乳頭腫、ブラストグリオーマ、カポジ肉腫、黒色腫、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、星細胞腫、頭部癌、頸部癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、胃癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、ホジキン病、およびバーキット病からなる群から選択される障害または疾患に関連する腫瘍である請求項11〜13のいずれか一項に記載の使用。

請求項16

前記薬剤が、経口投与、局所投与、経粘膜投与、非経口投与、直腸投与および吸入による投与からなる群から選択された投与方法のために処方されている請求項11〜15のいずれか一項に記載の使用。

請求項17

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼがRNアーゼB1である請求項11〜16のいずれか一項に記載の使用。

請求項18

前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼが、RNアーゼT2、RNアーゼRh、RNアーゼM、RNアーゼTrv、RNアーゼIrp、RNアーゼLe2、RNアーゼPhyb、RNアーゼLE、RNアーゼMC、RNアーゼCL1、RNアーゼBsp1、RNアーゼRCL2、RNアーゼDm、RNアーゼOyおよびRNアーゼTpからなる群から選択される請求項11〜16のいずれか一項に記載の使用。

請求項19

必要のある被検者において腫瘍の発育を予防し、阻害しおよび/または逆転させるための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼの使用。

請求項20

必要のある被検者において良性腫瘍悪性腫瘍への転換を予防し、阻害しおよび/または逆転させるための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼの使用。

請求項21

必要のある被検者において個々の腫瘍の数を減らすための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼの使用。

請求項22

必要のある被検者において腫瘍の大きさを小さくするための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼの使用。

請求項23

必要のある被検者において悪性腫瘍の数を減らすための薬剤の製造のための、アクチン結合活性および24〜36kDaの分子量を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼの使用。

請求項24

前記腫瘍が悪性腫瘍である請求項4,11,19および21〜23のいずれか一項に記載の使用。

請求項25

前記腫瘍が良性腫瘍である請求項4,11,19および21〜23のいずれか一項に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、被検者の異常に増殖する細胞の増殖、定着分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転させるためのT2ファミリーリボヌクレアーゼおよびそのリボヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドの使用に関する。さらに本発明は、有効成分として、T2ファミリーのリボヌクレアーゼまたはそのリボヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含有し、一般に増殖性の疾患または障害、特に癌を治療するための医薬組成物に関する。

背景技術

0002

癌などの細胞増殖性の疾患および障害の治療に用いる新規治療薬剤の開発に対する関心が、医学界一般社会の両方に引続き存在している。

0003

哺乳類の細胞に対して抗増殖性、抗定着性、抗分化性および/または抗発育性を示す薬剤抗癌剤として使用できる可能性がある。したがって、天然原料および合成の原料の両方からのこれら薬剤が広く探究されている。

0004

RIASESは、そのRNAを分解する性質と異なる生物活性を示すリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)である。RIBASESとその構造同族体は、多種の細胞反応を行うことが知られている(Rybak,M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年;Schein, C.H.,Nature Biotechnol.15巻529−536頁1997年)。EDNとECP、すなわち細胞傷害性好酸球分泌顆粒に見られる2種のタンパク質(RNアーゼAのファミリーのメンバー)は、免疫反応に参画していると考えられている。自己不和合性植物において、花柱(stylar)のS−RNアーゼ(RNアーゼのT2ファミリーのメンバー)は花粉管成長を停止させて受精を防止する。ウシガエル卵母細胞から産生されるRC−RNアーゼは、P388およびL1210白血病細胞系などの腫瘍細胞の増殖を生体外で阻害し、かつ肉腫180、ErlichおよびMepII腹水の細胞を生体内殺すのに有効である(Chang,C−F.ら、J.Mol.Biol.283巻231−244頁1988年)。いくつかのRNアーゼは限定されたリボヌクレアーゼ活性を示し、その一例として、血管生成刺激するアンギオジェニン(angiogenin)類がある(Fett,J.W.,Biochemistry 24巻5480−5486頁1985年)。

0005

生きている生物は、病原体および腫瘍細胞から守るために細胞外RNアーゼを利用する。例えば、ECPは寄生虫攻撃に反応して分泌され(Newton,DL.,J.Biol.Chem.267巻19572−19578頁1992年)かつ抗菌活性抗ウイルス活性を示す。また、この活性は、血液、精漿人乳滑液唾液、尿およびを含む大部分のヒトの体液に存在するRNアーゼである亜鉛−α2−糖タンパク質も示す(Lei,G.ら、Arch Biochem Biophys. Jul.15;355(2);160−164頁1998年)。

0006

細胞外RNアーゼ類が細胞反応で機能する具体的な機序は分かっていない。

0007

ある種のRNアーゼの細胞傷害活性に対する主なバリアー細胞膜である。ECPは、人工の膜と細胞膜にチャネルを形成することが発見された。EDN(小脳梨状神経細胞破壊関与している好酸球のRNアーゼ)とともに顆粒膜から放出されるECPは、恐らく、EDNを細胞内空間に移送する。真菌毒素のα−サルシン(RNアーゼAファミリーのメンバー)の標的細胞中への導入は、細胞膜を透過できるようにするウイルスの感染によって決まる(Rybak,M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年)。RNアーゼ類はエンドイト−シスによって細胞内に入ることもできる。ゴルジ破壊薬剤のレチノイン酸またはモネンシンを利用して、BS−RNアーゼを細胞中に人工的に送達したとき、細胞傷害性が劇的に増大した(Wu Y.ら、J.Biol.Chem.21;270(29):17476−17481頁1995年)。

0008

RNアーゼ類の細胞傷害性は、治療のために利用できる。ヒトのRNアーゼLは、インターフェロンによって活性化されてウイルスの増殖を阻害する。ヒトRNアーゼLの遺伝子およびタバコ植物の2′5′−A−シンテターゼの遺伝子の発現によって、植物は、十分に、キュウリモザイクウイルスから保護されかつジャガイモウイルスYの複製が防止される。ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)は、RNアーゼLの抗ウイルス経路遮断を誘発する(Schein,C.H.,Nature Biotechnol.15巻529−536頁1997年)。RNアーゼ類は、特定の膜タンパク質の抗体と融合して、イムノトキシンをつくることができる。例えば、RNアーゼAが、トランスフェリン受容体またはT細胞抗原CD5に対する抗体と融合すると、上記毒素各々に対する特異的受容体を保持する腫瘍細胞におけるタンパクの合成が阻害される(Rybak, M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年;Newton DLら、Biochemistry 14;37(15):5173−5183頁1998年)。RNアーゼ類は動物に対する毒性が低いので、現在使用されている免疫毒素より、望ましくない副作用が少ない。

0009

細胞傷害性リボヌクレアーゼの細胞傷害性は、リボヌクレアーゼ阻害剤(RI)と前記RNアーゼの間の相互作用の強さに逆比例するようである。リボヌクレアーゼ阻害剤(RI)は、脊椎細胞内に見られる天然に存在する分子であり、これらの細胞を、リボヌクレアーゼ類の起こりうる致命的な作用から守る働きをする。リボヌクレアーゼのインヒビターは、種々のアフィニティーでRNアーゼ類と結合する50kDaの細胞質タンパク質である。例えば、RIは、10桁もの阻害定数すなわち10−6〜10−16Mの範囲内のKi値で、リボヌクレアーゼのウシ膵臓リボヌクレアーゼA(RNアーゼA)スーパーファミリーのメンバーと結合する。

0010

A−RNアーゼ類
オンコナーゼ(onconase)(例えばRNアーゼAとBS−RNアーゼ)は、RNアーゼAスーパーファミリーのメンバーである。RNアーゼスーパーファミリーのメンバーは、そのアミノ酸配列の約30%が同一である。非保存残基の大部分が表面ループ(surface loop)に位置し、各RNアーゼの特定目的の生物活性に有意な役割を演じているようである。オンコナーゼは、キタヒョウガエル(Northern Leopard frog)(ラナ・ピピエンス)(Rana pipiens)の卵母細胞と早期から単離した。オンコナーゼは、各種の固形腫瘍に対して、原位置および生体内の両方で抗腫瘍作用がある(Mikulski,S.M.ら、J.Natl.Cancer 17;82(2)151−153頁1990年)。オンコナーゼは、感染したH9白血病細胞において非細胞傷害性濃度でHIV−1の複製も特異的に阻害することが見出されている(Youle,R.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.21;91(13)6012−6016頁1994年)。

0011

オンコナーゼのRNアーゼ活性は比較的低いが、その酵素活性と細胞傷害活性はある程度、関連している。A−RNアーゼ類の第三級の構造が、細胞傷害型と非細胞傷害型を区別すると考えられる。例えば、オンコナーゼとRNアーゼAの第三級構造の差は、オンコナーゼに観察される細胞傷害性の増大が原因であると考えられる。オンコナーゼは、RNアーゼと異なり、酵素活性と細胞傷害活性の両方に不可欠のブロックされたN末端Glu1残基(ピログルタメート)を含んでいる。この独特の構造によって、オンコナーゼは、標的細胞中に浸透することができる(Boix,E.ら、J.Mol.Biol.19:257(5)992−1007頁1996年)。その上に、オンコナーゼ中のLys9残基は、RNアーゼAのGln11残基を置換し、その結果、活性部位の構造を生成すると考えられる。さらに、オンコナーゼとRNアーゼAとの間の、一次構造のアミノ酸配列の差によって、その特異性をもたらす活性部位の周辺の形態が変化する(Mosimann S.C.ら、Proteins 14(3);392−400頁1992年)。

0012

また、A−RNアーゼ類間の毒性の差もRIに結合するそれらの性能が原因である。ウシ精液リボヌクレアーゼ(BS−RNアーゼ)は、アミノ酸配列が、RNアーゼAと80%同一であるが、RNアーゼAスーパーファミリーの他のメンバーと異なり、二量体の形態で存在している。BS−RNアーゼの第四級の構造が、RIの結合を防止して、その酵素に、そのリボ核酸分解活性(ribonucleolytic activity)を、RIの存在下で保持させることが分かっている(Kimら、J.Biol.Chem.270 No.52:31097−31102頁1995年)。オンコナーゼは、RNアーゼAと高度の相同性共有しているが、RIの結合に対して抵抗性である。RI−オンコナーゼの複合体は、Kdが、少なくともRI−RNアーゼA複合体の1億分の1より小さい。オンコナーゼのRIに対する結合アフィニティが小さいことによって、リボ核酸分解活性の有効な阻害を防ぎ、そしてオンコナーゼが低濃度で細胞傷害性であるがRNアーゼがそうでない理由を説明できる。

0013

細胞表面受容体との結合は、オンコナーゼの細胞傷害性の第一のステップである。哺乳類の細胞表面におけるオンコナーゼ受容性の性能については何も分かっていない。オンコナーゼは、リシンの場合のように、細胞表面の炭水化物に結合するのかもしれずまたはポリペプチドホルモンのような薬理学的に導入された分子に対して本来生成した受容体に結合するのかもしれない(Wu,Y.ら、J.Biol.Chem.15;268(14)10686−10693頁1993年)。オンコナーゼは、マウスでは、RNアーゼAより50〜100倍遅い速度で、腎臓から排泄される。オンコナーゼの排泄速度が遅いことは、オンコナーゼが尿細管細胞に対して結合する性能が高いためであると説明されるかおよび/またはオンコナーゼのタンパク質分解反応に対する耐性で説明される。オンコナーゼが腎臓で強く保持されることは臨床上の意味がある(Vasandani,V.M.ら、Canser Res.15;56(18)4180−4186頁1996年)。オンコナーゼは、プルキンエ細胞のEDN受容体にも結合できる(Mosimann,S.C.ら、J.Mol.Biol.26;260(4)540−552頁1996年)。また、オンコナーゼの特異性は、そのtRNAにおいても優先的に発現される。ウサギ網状赤血球溶解物およびアフリカツメガエルの卵母細胞において、オンコナーゼが、rRNAまたはmRNAの分解によるのではなくてtRNAの分解によって、タンパク質合成を阻害することが発見された。対照的に、RNアーゼAは、通常rRNAとmRNAを分解する(Lin,J.J.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.14;204(1)156−162頁1994年)。

0014

感受性組織培養物をオンコナーゼで処理すると、RNA含量のレベルが非常に低い、細胞周期のG1相で停止した細胞が蓄積する(Mosimann,S.C.ら、Proteins 14(3)392−400頁1992年)。グリオーマ細胞において、オンコナーゼは、細胞密度が有意に低下することなしにタンパク質合成を阻害し、このことは、オンコナーゼが細胞分裂を抑制することに加えて細胞傷害性でもあることを示している(Wu,Y.ら、J.Biol.Chem.15;268(14)10686−10693頁(1993年)。化学療法薬剤と組み合わせたオンコナーゼは、多剤耐性を克服することができる。ビンクリスチンとオンコナーゼによる治療によって、ビンクリスチン耐性腫瘍を有するマウスの平均生存期間(MST)が、ビンクリスチン単独で治療したマウスの44日間に比べて66日間に増大した(Schein,C.H.,Nature Biotechnol.15巻529−536頁1997年)。さらに、いくつかの化学療法薬剤がオンコナーゼと相乗作用を行う。オンコナーゼと、タモキシフェン抗エストロゲン薬)、トリフルオロペラジン(ステラジンカルモジュリン阻害剤)またはロバスタチン(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタチルコエンザイムA(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤)の組合せで治療したヒト膵臓腺癌およびヒト肺癌の腫瘍細胞系において、オンコナーゼ単独で治療した細胞より、強力な増殖阻害が観察された(Mikulski,S.M.ら、Cell Tissue Kinet.23(3)237−246頁1990年)。したがって、有効性が一層大きくおよび/または毒性が一層低い組合せの治療方式を開発できることは明らかである。

0015

ウシ精液RNアーゼは、二つのジスルフィド架橋で連結されたRNアーゼ様サブユニットの二量体を含有する唯一のRNアーゼであるから、RNアーゼAファミリーの特異なメンバーである。さらにウシ精液RNアーゼは、基質反応産物の両方によってアロステリック効果を維持する。その効果は、環状ヌクレオチド加水分解反応相で起こる。BS−RNアーゼは、一本鎖RNA二本鎖RNAの両者を開裂する性能を有している。BS−RNアーゼは細胞傷害性が高い。BS−RNアーゼは、マウスの白血病細胞、HeLa細胞とヒト胎児肺細胞(human embryo lung cell)、マウス神経芽細胞腫細胞およびヒト繊維芽細胞とマウス形質細胞腫の細胞系で、生体外にて抗腫瘍作用を示す。固形肉腫(甲状腺ろ胞肉腫およびそのへの転移)を有するラットに生体内投与すると、BS−RNアーゼは、治療された動物に対して検出可能な毒作用なしで、腫瘍の重量を劇的に減少させた(Laccetti,P.ら、Cancer Research 52巻4582−4586頁1992年)。人工的に一量体にしたBS−RNアーゼは、天然の二量体BS−RNアーゼより、リボヌクレアーゼ活性は高いが細胞傷害性は低い(D’Allessio,G.ら、TIBS 104−106頁1991年)。これは、やはり、生物活性に対して分子構造が重要であることを示している。BS−RNアーゼは、オンコナーゼのように、標的細胞中に入る前に、標的細胞の表面の単一もしくは複数の認識部位に結合するようである。

0016

BS−RNアーゼは、細胞傷害性であることに加えて、免疫抑制性でもある。BS−RNアーゼは活性化T細胞の増殖をブロックしかつ同種異系マウスに移植された皮膚移植片生存延長することができる。SB−RNアーゼの免疫抑制活性は、精子細胞を、雌の免疫系から守るために必要であることによって説明される。

0017

T2−RNアーゼ類
植物では、自家和合性が、豊富なので、自家受精を防ぐのに有効である。S遺伝子座に特定の対立遺伝子を有する花粉は、自家不和合性を制御するが、同じS−対立遺伝子を有する植物に受精できない。多くの自家不和合性植物の特にナス科(Solanacea)とバラ科(Rosaceae)のメンバーの場合、T2−RNアーゼファミリーのメンバーが、雌の器官から分泌される。S−RNアーゼは、自家花粉を特異的に認識して、受精が起こる前に、柱頭と花柱の成長を停止し(Clarke,A.E.およびNewbigin,E.,Ann.Rev.Genet.27巻257−279頁1993年)、花粉管の成長の停止はRNA分解の直接の結果であると考えられるが、S−RNアーゼが花粉管に入る方式はいぜんとして不明のままである。

0018

RNアーゼT2ファミリーのメンバーは真菌に始めて確認された(Egami,F.およびNakamura K.,Microbial ribonucleases,Springer−Verlag、ベルリン1969年)。その後、これらメンバーは、ウイルスから哺乳類にわたって多種類の生物内に発見された。特に、T2−RNアーゼ類は、広く説明されているRNアーゼAファミリーよりはるかに広く分布している。しかし、哺乳類細胞のT2−RNアーゼ類の生体内での役割はまだ分かっていない。

0019

微生物内において、細胞外T2−RNアーゼ類は、増殖培地中に存在するポリリボヌクレオチド類の消化に寄与して拡散可能な栄養素を生成すると一般的に考えられている。また、T2−RNアーゼ類は防御剤としても働く(Egami,F.およびNakamura,K.,Microbial ribonucleases,Springer−Verlag、ベルリン1969年)。
植物内で、T2−RNアーゼ類は、花粉管が胚珠の方に向かって伸長するのを選択的に制限することによって、送粉過程での役割を演じている(Roiz,L.およびShoseyov,O.,Inst.J.Plant Sci.156巻37−41頁1995年;Roiz,L.ら、Physiol.Plant 94巻585−590頁1995年)。現在、これらRNアーゼ類の花粉管に対する作用の機序は不明である。

0020

したがって、癌治療剤として有効に使用できる細胞傷害性リボヌクレアーゼ類の例はほとんどない。哺乳類の細胞に対し、抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性を有する新しいリボヌクレアーゼ類が、ヒトの癌を治療するのに利用できる治療薬の範囲を広げて、癌治療の分野に新しい領域を切り開くために必要である。

0021

このように、広く認められている要望があるので、癌などのヒトの増殖性疾患を治療するのに非常に有用な新規なリボヌクレアーゼを入手することは極めて有利である。

0022

本発明の一つの側面によって、被検者の異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転する方法であって、被検者に、治療のため有効な量のT2ファミリーのリボヌクレアーゼを投与するステップを含んでなる方法が提供される。

0023

本発明の別の側面によって、被検者の異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転する方法であって、被検者に、治療のため有効な量の、T2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発現できるポリヌクレオチドを投与するステップを含んでなる方法が提供される。

0024

本発明のさらに別の側面によって、(i)被検者の腫瘍を治療する方法;(ii)被検者の腫瘍が発育するのを予防し、阻害しおよび/または逆転する方法;(iii)被検者の良性腫瘍悪性腫瘍転換するのを予防し、阻害しおよび/または逆転する方法;(iv)被検者の腫瘍の血管新生を予防し、阻害しおよび/または逆転する方法;(v)被検者の個々の腫瘍の数を減らす方法;(vi)被検者の腫瘍の大きさを小さくする方法;(vii)被検者の悪性腫瘍の数を減らす方法;および(viii)被検者の組織が腫瘍に転換するのを予防し、阻害しおよび/または逆転する方法であって、被検者に、治療のため有効な量のT2ファミリーのリボヌクレアーゼ、または治療のため有効な量の、T2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発現できるポリヌクレオチドを投与することによって実施する方法が提供される。

0025

本発明のさらに別の側面によって、有効成分としてのT2ファミリーのリボヌクレアーゼ、および医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物が提供される。

0026

本発明のさらなる側面によって、有効成分としての、T2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発現することができるポリヌクレオチド、および医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物が提供される。

0027

本発明のさらに追加の側面によって、異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転するのに有用な医薬を製造する方法であって、T2ファミリーのリボヌクレアーゼを医薬として許容できる担体として組み合わせるステップを含んでなる方法が提供される。

0028

本発明のさらに追加の側面によって、異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転するのに有用な医薬を製造する方法であって、T2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発現できるポリヌクレオチドを医薬として許容できる担体と組み合わせるステップを含んでなる方法が提供される。

0029

以下に述べる本発明の好ましい実施態様の別の特徴によれば、前記T2ファミリーのリボヌクレアーゼは、リボ核酸分解活性を実質的に欠いている。用語「リボ核酸分解活性を実質的に欠いている」は(i)類似の非不活性化リボヌクレアーゼに比較してリボ核酸分解活性が0〜10%であるT2ファミリーの不活性化リボヌクレアーゼ(天然または組換えの);および/または(ii)類似の非変異体のリボヌクレアーゼに比べてリボ核酸分解活性が0〜10%であるT2ファミリーの組換え変異体(天然または人工的に誘導した)リボヌクレアーゼを意味する。T2ファミリーのリボヌクレアーゼのリボ核酸分解活性の不活性化は、沸騰オートクレーブ処理および化学的変性からなる群から選択した方法で行うことができる。

0030

上記好ましい実施態様のさらに別の特徴によれば、異常に増殖する細胞は癌性細胞である。

0031

上記好ましい実施態様のさらに別の特徴によれば、被検者に、治療のために有効な量のT2ファミリーのRNアーゼを投与するステップは、経口投与局所投与経粘膜投与非経口投与直腸投与および吸引による投与からなる群から選択される投与方式で行われる。

0032

上記好ましい実施態様のさらに別の実施態様によれば、T2ファミリーのリボヌクレアーゼはRNアーゼB1である。
上記好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、T2ファミリーのリボヌクレアーゼは、RNアーゼT2、RNアーゼRh、RNアーゼM、RNアーゼTrV、RNアーゼIrp、RNアーゼLe2、RNアーゼPhyb、RNアーゼLE、RNアーゼMC、RNアーゼCL1、RNアーゼBsp1、RNアーゼRCL2、RNアーゼDm、RNアーゼOyおよびRNアーゼTpからなる群から選択される。

0033

上記好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記医薬は、特定の増殖性の障害または疾患、例えば特定の癌に対する治療薬を提供することが確認される。

0034

上記好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記異常に増殖する細胞は、乳頭腫ブラストグリオーマ(blastoglioma)、カポジ肉腫黒色腫、肺癌、卵巣癌前立腺癌扁平上皮癌星細胞腫、頭部癌、頚部癌、膀胱癌乳癌大腸癌甲状腺癌膵臓癌胃癌肝細胞癌白血病リンパ腫ホジキン病バーキット病、関節炎リウマチ様関節炎糖尿病網膜症、血管新生、再狭窄インステント(in−stent)再狭窄および移植血管の再狭窄からなる群から選択される増殖性の障害または疾患に関連する細胞である。

0035

本発明は、増殖性の疾患または障害、例えば癌を予防し、阻害し、かつ逆転させるのに有用なT2ファミリーのリボヌクレアーゼの特徴的な新規な活性によって、現在知られている配置構成の欠点を成功裡に処理する。

図面の簡単な説明

0036

ここで本発明を、例示することだけを目的として添付図面を参照して説明する。ここで詳細な図面を参照して、示されている詳細事項は、実施例として、本発明の好ましい実施態様を例示して考察することだけを目的とするものであり、最も有用であると考えられるものおよび本発明の原理および概念の側面が直ちに理解される説明を提供するために提供することを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要以上に詳細に本発明の構造の詳細を示すことはしておらず、図面について行った説明によって、当業技術者にとって、いくつもの形態の本発明がどのように実施できるか明らかになるであろう。
図1は、Roiz,L.とShoseyov,O.,Int.J.Plant Sci.156巻37−41頁1995年の教示にしたがって単離したアスペルギルスニガーのRNアーゼB1の吸光度とRNアーゼ活性を示すグラフである。グラフAは、粗濾液EMD−TMAEカラムクトマトグラフィーによって得た画分を示し、一方グラフBは、上記粗濾液のEMD−TMAEクロマトグラフィーから得た活性画分のMONO−Qカラムクロマトグラフィーから得た画分を示す。実線は280nmの吸光度を示し、破線はRNアーゼ活性を示す。
図2は、利用された精製ステップを通じてRNアーゼB1タンパク質の濃度が増大するのを示すSDS−PAGEザイモグラムである。レーン1は粗濾液を示し;レーン2はEMD−TMAEカラムからの溶出液を示し;レーン3はMONO−Qカラムからの溶出液を示し;レーン4は、RNアーゼ活性についてその場で検定され次いでトルイジンブルーで染色されたレーン3の溶出液を示し;レーン5は、PNGアーゼFによって脱グリコシル化された後、精製されたRNアーゼを示す。レーン1〜3と5はクーマシーブルーで染色した。
図3は、桃花粉の発黒四角印を有する実線)と花粉管の長さ(白四角印を有する破線)に対する異なる濃度のRNアーゼB1の生体外での作用を示すグラフである。
図4は、柱頭および花柱の上部における桃花粉管の成長に対するRNアーゼB1の作用を示す。図4aは対照の花を示し、一方、図4bは受粉前にRNアーゼB1で処置された花である。バー(Bar)=0.2mm。
図5は、タンジェリンの花の柱頭における花粉管の成長に対するRNアーゼB1の作用を示す。図5aは、自然受粉に48hr暴露された対照の花を示す。図5bは受粉前に、RNアーゼB1で処置された花を示す。バー=0.1mm。
図6は、ネクタリンの種子について実施した生存能力試験を示す。図6aは未処置の花が産生した対照の種子を示し、一方、図6bはRNアーゼB1で処置した花が産生した種子を示す。バー=0.3mm。
図7は、ユリcv.Osnatの花粉管の長さに対するRNアーゼB1、未処置、沸騰またはオートクレーブ処理の作用を示す。
図8は、生体外で成長しIKIで染色されたユリ花粉管に対するRNアーゼB1の作用を示す。
図9は、RNアーゼB1で処置していない花粉管(図9a)とRNアーゼB1で処置した花粉管(図9b)におけるオルガネラの移動と局在を示す集積ビデオ画像からとらえたショットを示す。
図10は、成長中のユリ花粉管のアクチンフィラメントに対するRNアーゼB1の作用を示す。図10aは対照の花粉管を示し、一方、図10bはRNアーゼB1で処置した花粉管を示す。両方の花粉管を実験後に切り取ってTRITCファロイジンで染色して可視化した。
図11は、アクチンに対するRNアーゼB1の結合を示すスキチャードプロットである。Aはアクチンの濃度(μM)、Rfは遊離RNアーゼB1の濃度(μM)、Rbは結合したRNアーゼB1の濃度(μM)である。
図12は、1hr成長させて免疫金銀染色を行ったユリ花粉管を示す。図12aは対照を示し、一方図12bと12cは両者ともにRNアーゼB1で処置された花粉管である。図12bに示す花粉管はウサギの免疫前血清とともにインキュベートした。一方図12cに示す花粉管は抗RNアーゼB1ウサギポリクローナル抗体とともにインキュベートした。
図13は、HT29結腸癌細胞の生存能力に対することなる濃度のRNアーゼB1の作用を示す。細胞の反復試料を37℃で48hrまたは72hr増殖させ、トリパンブルー分染することによって可視化して計数した。図13aは細胞の合計数を示すが、図13bは死んだ細胞の百分率を示す。
図14は、HT29細胞のクローン原性に対するRNアーゼB1の作用を示す。細胞の反復試料を、10−6MのRNアーゼB1ありまたはなしで、48hr増殖培地プレインキュベートし、トリプシンで処理し、洗浄し、段階的に希釈したRNアーゼB1なしの増殖培地に再懸濁させ、96ウェル微量滴定プレート中にプレートして14日間定着させた。コロニーを、固定と、メチレンブルーによる染色を行った後に計数した。
図15はHT29細胞のクローン原性に対する、RNアーゼB1への暴露期間の作用を示す。細胞の反復試料を、10−6MのRNアーゼB1を含有する増殖培地とともに48hrプレインキュベートし、次いで同濃度のRNアーゼB1を含有する増殖培地またはRNアーゼを含有しない培地で定着させた。定着は96ウェルの微量滴定プレートで7日間行った。各処置は、一ウェル当たりの細胞初期数が異なっていた。コロニーは同定およびメチレンブルーによる可視化を行った後に計数した。RNアーゼB1なしの増殖培地でプレインキュベートして定着させた細胞は対照として利用した。
図16はHT29細胞の定着性能に対するRNアーゼB1の作用を示す。対照の細胞(図16a)は、RNアーゼB1なしの増殖培地で48hrプレインキュベートし、次にトリプシン処理を行い、次に96微量滴定プレートの同じ増殖培地でインキュベートして定着させた。図16bは、10−6MのRNアーゼB1を含有する増殖培地で48hrプレインキュベートし次にRNアーゼB1なしの増殖培地で定着させた細胞を示す。図16cはプレインキュベートし次いで10−6MのRNアーゼB1を含有する増殖培地で定着された細胞を示す。細胞のコロニーはメチレンブルー染色法を利用して可視化した。
図17はラット6頭ずつの各群に対する処置を説明するラットに実施した生体内実験の模式図である。
図18はRNアーゼB1のCAPマイクロカプセルからの放出速度に対する2種のpHの作用を示す。10mgのRNアーゼB1を含有するマイクロカプセルを、0.1MHCl(pH1)または0.1Mトリス緩衝液(pH8)10ml中に懸濁させ、撹拌しながら37℃でインキュベートした。上部溶液の試料を30分毎に採取してRNアーゼの活性の試験を行った。
図19a−19bは、各実験終了時の体重で示す、ラット成長速度に対するRNアーゼB1および/またはDMHの作用を示す。初期のラット重量は約200gであった(n=6)。図19a:PBS、RNアーゼB1またはI−RNアーゼB1を、最初のDMH注射の後、1〜9週に浸透ポンプで投与した(予防処置)。上記のように処置したがDMHなしの場合のラットを対照として使用した。図19b:PBS、RNアーゼB1またはI−RNアーゼB1を、最初のDMH注射の後、12〜17週に浸透ポンプで投与した(治療処置)。
図19c−19dは、各実験終了時の体重で示す、ラット成長速度に対するRNアーゼB1および/またはDMHの作用を示す。初期のラット重量は約200gであった(n=6)。図19c:ラットに、予防処置として、RNアーゼB1またはグルコースを含有するマイクロカプセルを投与した。DMHなしでRNアーゼB1で処置したラットを、対照として使用した。図19d:ラットに、RNアーゼB1またはグルコースを含有するマイクロカプセルを投与した。
図20は、予防処置として、RNアーゼB1(図20a)、I−RNアーゼB1(図20b)またはPBS(図20c)が入っている浸透ポンプを移植したラットの糞便のRNアーゼ活性を示す。対照として、ラットをDMHなしでRNアーゼB1またはPBSで処置した。RNアーゼの活性は、実施例の項に記載したようにして測定した。
図21は、予防処置として、RNアーゼB1またはグルコースを含有するマイクロカプセルを与えたラットの糞便のRNアーゼ活性を示す。対照として、ラットにDMHなしでRNアーゼB1またはグルコースを与えた。RNアーゼ活性は実施例の項で述べたようにして測定した。
図22は、予防処置として浸透ポンプを移植されたラット(n=6)の遠位結腸(5cm)中の異所性陰窩病巣(ACF)の数を示す。
図23は、予防処置として、RNアーゼB1またはグルコースのマイクロカプセルを与えられたラットの遠位(5cm)結腸で検査した異なるパラメータに対するRNアーゼB1の作用を示す(n=6)。図23a:腫瘍の数/結腸;図23b:腫瘍の大きさ;図23c:ACF/結腸。
図24は、切り取って1hr後に、内側粘膜表面撮影したときの異なるタイプの腫瘍を示す。図24a:赤色の腫瘍;図24b:白色の腫瘍。図24c:ピンク色の腫瘍と赤色の腫瘍。図24d:予防処置として、グルコースまたはRNアーゼB1を含有するマイクロカプセルを与えたラットの3種の腫瘍の分布。
図25は、メーヤーのヘマトキシリンマルチウスイエローで染色した腫瘍の組織病理学的検査を示す。図25a:アデノマまたはアデノパピローマー良性腫瘍。図25b:腺癌粘膜細胞粘膜下組織の下側につきぬけている。図25c:十分に発育した腺癌、組織の配列がすっかり中断されている。図25d:予防処置として、グルコースまたはRNアーゼB1のカプセルで処置したラットの結腸のアデノーマ型と腺癌型の腫瘍の分布パターン
図26は、治療処置として、PBS、RNアーゼB1またはI−RNアーゼB1が入っている。浸透ポンプで処置したラットの遠位(5cm)結腸で検査した異なるパラメータに対するRNアーゼB1の作用を示す。図26a:腫瘍の数/結腸;図26b:大きさによる腫瘍の分布;図26c:血管新生を示す色による腫瘍の分布。
図27は、治療処置として、RNアーゼB1またはグルコースのマイクロカプセルを投与したラットの遠位(5cm)結腸で検査した異なるパラメータに対するRNアーゼB1の作用を示す。図27a:腫瘍の数/直腸図27b:大きさによる腫瘍の分布;図27c:血管新生を示す色による腫瘍の分布。
図28は、4日間培養し、アクチンについてTRIRCで染色したヒト結腸癌HT−29細胞を示す。図28a:対照の細胞;図28b:10−6MのRNアーゼB1の存在下で増殖させた細胞。
図29は、4日間培養し、細胞膜のアクチンを免疫染色したヒト結腸癌HT−29細胞を示す。図29a:対照の細胞;図29b:10−6MのRNアーゼB1の存在下で増殖させた細胞。
図30は、4日間培養し、FITCで免疫染色したヒト結腸癌HT−29細胞を示す。抗−RNアーゼB1を一次抗体として使用した。図30a:対照の細胞;図30b:RNアーゼB1の存在下で増殖させた細胞。細胞表面に結合したRNアーゼB1を示している;図30c:免疫前血清(PIS)を一次抗体として使用した。
図31は、ユリの花粉管の長さに対する異なるタンパク質による処理の作用を示す。花粉管は、実施例の項で述べたように25℃にて1hr生体外で増殖させた。

0037

本発明は、被検者の異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転するための、T2ファミリーのリボヌクレアーゼまたはそのリボヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドの使用を教示する。本発明は、さらに、有効成分として、一般に増殖性の疾患または傷害を、および特に癌を治療するのに用いるT2ファミリーのリボヌクレアーゼまたはそのリボヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含有する医薬組成物を教示する。

0038

細胞傷害活性を有するリボヌクレアーゼを、腫瘍細胞の増殖を阻害するために使用することは、新しいことではなく、当該技術分野ではすでに論証されている。オンコナーゼとして商業的に知られているAファミリーのリボヌクレアーゼは、臨床試験で腫瘍状組織における細胞の増殖を阻害することが分かっている。RNアーゼAスーパーファミリーのいくつもの他のRNアーゼも、それらのリボ核酸分解活性に加えて細胞傷害活性を有することも論証されている。

0039

いくつかのリボヌクレアーゼの細胞傷害性は、ある程度、それらのリボ核酸分解活性に依存しているが、リボ核酸分解活性のレベルは、リボヌクレアーゼについて観察される細胞傷害性のレベルと必ずしも相関関係があるわけではない。さらに、細胞傷害活性を全く示さないがリボヌクレアーゼとしてうまく機能するリボヌクレアーゼのいくつもの例がある。最もよく知られている例はRNアーゼAである。他の場合では、反応速度が、より特異的な結合またはいくつかの他の性能の改良された機能のために犠牲になっている。例えば、アンギオジェニンの活性部位は、RNアーゼAに存在しない側鎖によってブロックされて、RNアーゼを、全基質に対する活性を10000分の一にするが、リボソームのRNAの分解に対しては一層特異的にする。BS−RNアーゼはそれがモノマーの場合、より速いヌクレアーゼである。しかし、その細胞傷害性は一層高いので、二量体の形態の場合、リボヌクレアーゼ阻害剤による阻害はかなり低下する。グリコシル化RNアーゼBは、大部分の基質に対して、RNアーゼAより活性が低いが、BS−RNアーゼにしばしば観察される脱アミド反応(アスパラギン67からイソアスパルテートへ)は、該タンパク質の水素結合構造の全連鎖を切断することによって、RNアーゼA変異体の活性を低下させる(Shein,C.H.,Nature Biotechnol 15巻529−536頁1997年に概説されている)。

0040

T2ファミリーのリボヌクレアーゼ類は、それらの独特な分子の特徴が特徴である。AファミリーとT2ファミリーのRNアーゼのメンバーの比較結果を以下の表2に要約してある(アミノ酸の位置は、ファミリーAのRNアーゼAとファミリーT2のRNアーゼT2の後である)。

0041

0042

T2ファミリーのリボヌクレアーゼ類は、植物中のみならず多数の微生物中に確認されており、植物内では、花粉管が胚珠の方に向いて伸びるのを選択的に制御することによって、受粉の過程で能動的な役割を演じている。

0043

本発明の発明者らが明らかにして、実施例1,2および6で以下に詳細に述べるように、RNアーゼB1すなわち一種のT2リボヌクレアーゼは、リボ核酸分解的に活性かまたはリボ核酸分解的に不活性であり、伸長中の花粉管中のアクチンに特異的に結合して花粉管の伸長を阻害し、かつ哺乳類の細胞のアクチンにも結合する。

0044

アクチンは、細胞構造を維持しかつ臓器細胞細胞内輸送を支持するのに能動的な、細胞の必須細胞骨格成分であるフィラメントを形成することが知られている。その結果、アクチンフィラメントは、増殖、定着、分化、転換、および組織形成を含む他の発育の側面を含む、正常細胞および異常細胞のライフサイクル全体の多くの細胞プロセスに参画している。アクチンが、癌細胞の発育を制御する各種細胞プロセスにも参画しているということは、多数の研究論文が示している(Jordan,M.A.およびWilson,L.,Curr.Opin.Cell Biol.10巻123−130頁1998年; Jammy,P.A.およびChaponnier,C.,Curr.Opin.Cell Biol.7巻111−117頁1995年; Sigmond,S.H.,Curr.Opin.Cell Biol.8巻66−73頁1996年; Tapon,N.ら、Curr.Opin.Cell Biol.9巻86−92頁1997年)。したがって、例えば、アクチンフィラメントは異常細胞の増殖に参画している(Assoian,R.K.およびZhu,X.,Curr.Opin.Cell Biol.9巻93−98頁1997年)。悪性細胞は、正常細胞よりサイトカラシンBに対して感受性であることが発見された(Hemstreet,G.P.ら、J.Cell Biochem.25S 197−204頁1996年)。

0045

アクチンは、高度保存タンパク質であり、進化の面で遠縁の生物間に高レベルの相同性を維持しているので、花粉管の伸長を阻害するRNアーゼB1のアクチン結合活性を、この理論によって限定されることなく利用して、哺乳類の細胞のアクチンに特異的に結合させて、その細胞の増殖、定着、分化および/または発育を阻害できるという仮説を立てたのである。

0046

本発明を、実施例の項の実施例2と5で述べるように実施すると、外因性RNアーゼB1が膜アクチンに特異的に結合して、細胞アクチンネットワークの障害を起こす。実施例3〜5に示すように、RNアーゼB1の哺乳類癌細胞に対する作用を、生体外と生体内でさらに研究した。その実施例で明らかに立証されているように、RNアーゼB1は、(i)培養で増殖させた腺癌細胞の増殖および/または定着をかなり減少させ、そして(ii)大腸癌ラットモデルにおいて、予防的方式および/または治療的方式で、異所性クリプト病巣(aberrant crypt foci)(ACF)を減らし、腫瘍の数と大きさを小さくし、腫瘍の血管新生を阻害し、腫瘍の悪性度とアデノーマから腺癌への移行を減らし、一方大腸もしくは他の臓器の健康な組織に対して明らかな副作用が全くない。

0047

本発明の少なくとも一つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられているかまたは諸実施例に例示されている詳細事項にその用途を限定されないと解すべきである。本発明は、他の実施態様を実施できるかまたは種々の方式で実施することができる。また、本願で利用される語句は、説明を目的とするもので本発明を限定しないと解すべきである。また、本発明は、本願に示される理論または仮説によって拘束されるかまたは限定されることがないと解すべきである。

0048

T2ファミリーの1種以上のリボヌクレアーゼを、本願では、総合的にT2−RNアーゼと呼称する。同様に、T2ファミリーの1種以上のリボヌクレアーゼをコードする1種以上のポリヌクレオチドを、本願では、総合的に、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチド(または同等物)と呼称する。

0049

したがって、本発明の一側面によって、被検者の異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転する方法が提供される。本発明のこの側面による方法は、被検者に、治療のために有効な量のT2ファミリーのリボヌクレアーゼまたはT2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発見できるポリヌクレオチドを、それ自体でまたは医薬組成物の有効成分として投与することによって行われる。

0050

したがって、本発明の他の側面によって、有効成分としてのT2ファミリーのリボヌクレアーゼまたはT2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発現できるポリヌクレオチド、および医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物が提供される。

0051

本発明のさらに他の側面によって、異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転するのに有用な薬剤の製造方法であって、T2ファミリーのリボヌクレアーゼまたはT2ファミリーの組換えリボヌクレアーゼをコードして生体内で発現できるポリヌクレオチドを、医薬として許容できる担体と組み合わせるステップを含んでなる方法が提供される。

0052

上記薬剤は、好ましくは、例えば特定の癌のような特定の増殖性の障害または疾患に対し治療剤を提供することが確認される。このような確認は、当該技術分野でよく知られているように、例えば、薬剤が入っている容器またはリーフレット印刷される。

0053

本発明の方法と医薬組成物は、例えば(i)被検者の腫瘍を治療するため;(ii)被検者に腫瘍が発するのを予防し、阻害し、および/または逆転させるため;(iii)被検者の良性腫瘍が悪性腫瘍に転換するのを予防し、阻害しおよび/または逆転させるため;(iv)被検者の腫瘍の血管新生を予防し、阻害および/または逆転させるため;(v)被検者の個々の腫瘍の数を減らすため;(vi)被検者の腫瘍の大きさを小さくするため;(vii)被検者の悪性腫瘍の数を減らすため;および/または(viii)被検者の組織が腫瘍に転換するのを予防し、阻害しおよび/または逆転させるために利用できる。

0054

T2−RNアーゼは、天然の原料から、下記実施例1に例示するように誘導することができ、あるいは、適当なポリヌクレオチド(下記表2とそれに続く説明参照)と発現系を使用して組換えタンパク質として製造することができる。組換えタンパク質の発現と精製は、当該技術分野で周知のことであり、多数の教本および研究所のプロトコル書に詳細に記載されている複数の方法のうちのいずれか一つによって行うことができ、それらの教本とプロトコル書としては、例えば「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;「Current Protocols in Molecular Biology」I−III巻、Ausubel,R.M.編1994年; Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons、米国メリーランド州ボルチモア1989年; Perbal、「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons、米国ニューヨーク州;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク州;Birrenら編、「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series 」1−4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク州1998年がある。

0055

0056

いくつかの用途の場合、望ましくない副作用があるかまたは望ましくない副作用を起こすことがあるリボ核酸分解活性を実質的に欠いているリボヌクレアーゼを使用することが有利である。用語「リボ核酸分解活性を実質的に欠いている」は、本願で使用する場合、(i)類似の非不活性化リボヌクレアーゼに比べてリボ核酸分解活性が0〜10%であるT2ファミリーの不活性化リボヌクレアーゼ(天然または組換えの);および/または(ii)類似の非変異体リボヌクレアーゼに比べてリボ核酸分解活性が0〜10%であるT2ファミリーの組換え変異体(天然の単離物または人工によるもの)のリボヌクレアーゼを意味する。T2ファミリーのリボヌクレアーゼのリボ核酸分解活性の不活性化は、沸騰、オートクレーブ処理および化学的変性もしくは不活性化からなる群から選択した方法で行うことができる。

0057

後記実施例2と6でさらに詳細に述べるように、本発明の発明者らは、RNアーゼB1の抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性がそのリボ核酸分解活性に依存しておらず、沸騰させ、オートクレーブ処理しおよび化学的に不活性化(アセチル化)したRNアーゼB1はリボ核酸分解活性がほとんどない(10%)かまたは実質的にない(0〜10%)が、その抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性はすべて実質的に保持していることを示した。

0058

したがって、本発明のT2−RNアーゼタンパク質は、天然のリボ核酸分解活性型、または代わりに、リボ核酸分解活性がないか(0%)またはほとんどない(10%まで)サイレントのもしくは抑制されたリボ核酸分解活性型であるがその他の活性を維持している型の両方で利用することができる。それ故、用語「T2−RNアーゼ」は、そのタンパク質の他の特性のいかんにかかわらず、そのタンパク質の抗増殖型、抗定着型、抗分化型および抗発育型のすべてを含んでいるものとする。

0059

リボ核酸分解活性は被検者に望ましくない副作用をもたらすことがあるので、望ましい活性を示すがリボ核酸分解活性が欠けているかまたは抑制されているT2−RNアーゼを、直接に、またはポリヌクレオチドから発現させて利用することが特に有利であることが分かるであろう。

0060

本願で定義されるT2−RNアーゼのアミノ酸配列を示すポリペプチドは、当該技術分野で周知のいくつもの方法のうちのいずれか一つによって製造することができる。例えば、そのポリペプチドは、標準ペプチド合成技法によって、例えば、標準の9−フルオレニルメトキシカルボニル(F−Moc)化学(例えば、Atherton,E.とSheppard,R.C.,J.Chem.Soc.Chem.Comm.165 1985年参照)または標準のブチロキシカーボネート(T−Boc)化学を利用して合成で製造できるが、ごく最近、Sheppardが開発したフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)/ter−ブチル系がますます広く利用されていることに注目すべきである(Sheppard,R.C.,Science Tools,The LKBJournal 33巻9頁1986年)。

0061

あるいは、T2−RNアーゼタンパク質は、このタンパク質を発現することが分かっている生物から、当該技術分野で周知の方法で単離し次いで精製することもできる。このような生物としては、例えば、エロモナスヒドロフィラ(Aeromonus hydrophila)、ヘモフィルスインフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、エシェリキアコリ(Escherichia coli)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ホエニシス(Aspergillus phoenicis)、リソプス・ニベウス(Rhisopus niveus)、トリコデルマビリデ(Trichoderma viride)、レンティヌラ・エドデス(Lentinula edodes)、イルペックス・ラクテウス(Irpex lacteus)、フィサルム・ポリセフルム(Physarum polycephlum)、アラビドプシスタリアナ(Arabidopsis thaliana)、リコペルシコンエスクレツム(Lycopersicon esculentum)、ニコチアナ・アラタ(Nicotiana alata)、マルスドメスチカ(Malus domestica)、ピルス・ピリフォリア(Pyrus Pyrifolia)、モモルディカカランチア(Momordica charantia)、ガルス・ガルス(Gallus gallus)、ラナ・カテベイアナ(Rana catesbeiana)、ドロソフィラメラガスター(Drosophyla melanogaster)、クラソステラ・ギグス(Crassostera gigus)、トダロデス・パシフィクス(Todarodes pasificus)、およびホモサピエンス(Homo sapiens)がある。しかし、T2−RNアーゼを産生することがまだ知られていない他の生物は、産生することが発見されると、本発明によって、T2−RNアーゼの原料として使用できると考えられる。

0062

あるいは、好ましくは、T2−RNアーゼタンパク質は、そのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、適当な発現ベクター系を使って発現させることによって組換え法で製造することができる。好ましくは、適切な翻訳後の修飾体を提供する発現系が選択される。適切な発現ベクター系としては、限定されないが、ウイルス(例えばアデノウイルスレトロウイルス単純ヘルペスウイルスアビポックスウイルス)に感染した哺乳類細胞;ウイルス(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞;遺伝子によって改変された植物、またはプラスミド植物ウイルスもしくはアグロバクテリウム(Agrobacterium)属の細菌で形質転換された植物細胞酵母ベクターを含有する酵母などの形質転換された微生物またはバクテリオファージDNA、プラミドDNAもしくはコスミドDNAで形質転換された細菌がある。ベクターの発現制御要素は利用される宿主−ベクター系に対応してその強度と仕様が変化し、いくつもの適切な転写要素と翻訳要素のうちのいずれか一つを使用できる。組換え法で製造したT2−RNアーゼは、宿主の細胞から、アフィニティークロマトグラフィー電気泳動法高速液体クロマトグラフィーHPLC)、免疫沈降法、沈降法などの当該技術分野で公知の方法によって精製することができる。
精製されたT2−RNアーゼを使用し、適当な医薬として許容される担体および/または添加剤を添加して、通常の混合、溶解、顆粒化糖衣錠製造、研和乳化被包形成、封入(entrapping)または凍結乾燥の方法によって本発明の薬剤を製造することができ、あるいは精製されたT2−RNアーゼは、先に述べたような適当な送達ベヒクルに結合してもよい。

0063

本発明のポリヌクレオチドは天然のT2−RNアーゼタンパク質をコードすることができ、この場合のいずれの用語も、抗増殖活性とリボ核酸分解活性の両方を有するT2−RNアーゼを述べており、または、代わりに、本発明のポリヌクレオチドは、リボ核酸分解活性を全くもっていないかもしくはほとんどもっていないサイレントなもしくは抑制されたT2−RNアーゼ変異体をコードして、リボ核酸分解活性を実質的にもっていないタンパク質を生体内で発現し(例えば転写し翻訳し)することができる。

0064

したがって、用語「ポリヌクレオチド」は、一般的なT2−RNアーゼの場合にまたは特異的なT2−RNアーゼの場合に、本願で用いるとき、異常に増殖する細胞の増殖、定着、分化および/または発育を予防し、阻害しおよび/または逆転させるのに能動的で、リボ核酸分解活性を有しているかまたは実質的に欠いているT2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチド配列を意味する。リボ核酸分解活性を欠いたT2−RNアーゼをコードしているポリヌクレオチドは、公知の分子生物学の技法、例えばランダム突然変異誘発法、部位特異的突然変異誘発法および促進進化(enhanced evolution)法を利用して得ることができる。部位特異的突然変異誘発法は、T2−RNアーゼのリボ核酸分解活性のために不可欠のアミノ酸残基が分かっているので[Kusanoら、Biosci.Biothechnol.Biochem.62巻87−94頁1998年(この文献は本願に援用する)および前記表2を参照]、直ちに利用できる。

0065

したがって、本発明を使用して、異常に増殖する細胞例えば癌性などの細胞を特徴とする症状、症候群または疾患であって、限定されないが、例えば乳頭腫、ブラストグリオーマ、カポジ肉腫、黒色腫、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、星細胞腫、頭部癌、頸部癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、胃癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、ホジキン病、バーキット病、関節炎、リウマチ様関節炎、糖尿病網膜症、血管新生、再狭窄、イン−ステント再狭窄および移植血管再狭窄を治療することができる。

0066

用語「癌」または「腫瘍」は、本願で使用するとき、異常な細胞増殖を示す細胞を特徴とする無数の疾患を含む、臨床で述べられる用語である。用語「腫瘍」は、組織に使用される場合、過剰でかつ異常な細胞の増殖を特徴とする異常な組織の増殖を意味する。腫瘍は、「良性」でその元の病巣から拡散できないことがあり、または「悪性」もしくは「転移性」で、その解剖学的部位を超えて他の領域へ、宿主身体全体にわたって拡散可能であることがある。用語「癌」は古い用語であり、悪性腫瘍またはそれから起こる疾患の状態を述べるのに一般に使用される。あるいは、その用語は、新生物のような異常増殖および悪性新生物のような悪性異常増殖を意味する。

0067

本願に記載されかつ後記実施例の項に例示されている、抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼはいずれも、本発明の教示にしたがって、治療薬として使用できる。同様に、本願に記載されている抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性を有するT2ファミリーのリボヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドはいずれも、本発明の教示にしたがって、治療薬として使用できる。T2ファミリーのリボヌクレアーゼの網羅的でないリストは上記表2に提供してある。後記実施例でさらに例示されるように、T2ファミリーのメンバーである。RNアーゼB1は、抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性を有し、これらの活性は生体内および生体外の検定法で確認した。さらに、RNアーゼB1は、リボ核酸分解活性がなくなるように処理された場合でさえ、アクチンに結合することが示されている。したがって、本発明は、当業技術者が、与えられたリボヌクレアーゼを、その抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性について試験できる三つの異なる検定法を提供し、それらの方法は、被検リボヌクレアーゼの癌性細胞に対する作用を確認する生体外検定法、被検リボヌクレアーゼの腫瘍の発育に対する作用を確認する生体内検定法、および被検リボヌクレアーゼの、細胞アクチンおよび/または遊離アクチンに結合する性能を確認するもう一つの生体外検定法である。本発明を、理論によって限定することなしに、アクチンに結合するリボヌクレアーゼの性能は、このようなリボヌクレアーゼが抗増殖活性、抗定着活性、抗分化活性および/または抗発育活性を有していることを示していると考えられる。

0068

本発明のリボヌクレアーゼは、ヒトまたは他の動物などの生物に、それ自体で、または適切な担体または添加剤が混合されている医薬組成物で投与することができる。

0069

用語「医薬組成物」および「薬剤」は、本願で使用する場合、他の化学的成分、例えば薬理学に適切な担体および添加剤を含有する、本願に記載されている1種以上のリボヌクレアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドの製剤を意味する。医薬組成物の目的は、化合物を生物に投与しやすくすることである。

0070

用語「添加剤」は、本願で使用する場合、医薬組成物に添加して、化合物の投与を一層容易にする不活性物質を意味する。添加剤の例としては、限定されないが炭酸カルシウムリン酸カルシウム、各種の糖類と各種のデンプンセルロース誘導体ゼラチン植物油およびポリエチレングリコール類がある。

0071

また医薬組成物は、一種以上の追加の有効成分を含有していてもよく、例えば限定されないが、抗炎症薬抗菌薬麻酔薬などが主有効成分に加えられる。

0072

本発明の医薬組成物は、当該技術分野で周知の方法、例えば、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、研和、乳化、被包形成、封入または凍結乾燥の方法によって製造することができる。

0073

したがって本発明にしたがって使用される医薬組成物は、有効化合物を、医薬として使用できる製剤に加工しやすくする添加剤と助剤を含む一種以上の薬理学的に許容できる担体を使用する通常の方式で調合できる。適正な調合は、選択される投与経路によって決まる。

0074

したがって、投与を行うために、本発明の医薬組成物は、適切な医薬担体、および有効量のT2−RNアーゼもしくはそれをコードするポリヌクレオチドを含有し、例えば、局所、眼内、非経口、経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下または当該技術分野で周知の方法による他の有効な手段で投与される。

0075

静脈内、筋肉内または皮下の注射の場合、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドは、好ましくは生理的に相容性緩衝液、例えばハンクス溶液リンゲル溶液または生理食塩水の緩衝液で調合することができる。例えば、有効量のT2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドを含有する生理学的に適当な溶液は、血液循環系中に、全身にわたって投与して、直接到達できないかまたは解剖学的に切離すことができない癌または腫瘍を治療することができる。有効量のT2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドを含有する生理的に適当な溶液は、標的組織の腫瘍細胞を治療するために有効な量を、針によって、標的の癌組織または腫瘍組織に直接注射することができる。

0076

経粘膜投与の場合は、浸透させるべきバリアーに対して適当な浸透剤を調合に使用する。このような浸透剤は、当該技術分野で広く知られている。

0077

経口投与に使用する場合、本発明の医薬組成物は、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドを、当該技術分野で周知の医薬として許容できる担体と組み合わせることによって容易に調合することができる。このような担体によって、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドを、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル剤液剤ゲル剤シロップ剤スラリー剤、懸濁剤などとして、患者経口摂取するために調合することができる。経口で服用する薬理学的製剤は、固体の添加剤を使用し、得られた混合物を任意に粉砕し、次いで所望の場合、適当な助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して製造し、錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適切な添加剤は詳しくのべると充填剤であり、例えば糖類(ラクトーススクロースマンニトールまたはソルビトールを含む)、セルロース製剤(例えばトウモロコシデンプン小麦デンプン米デンプンジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガムメチルセルロースヒドロキシプロピルメチル−セルロースカルボキシメチルセルロースナトリウム)、および/または生理的に許容できるポリマー類例えばポリビニルピロリドンPVP)がある。所望により、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン寒天またはアルギン酸もしくはその塩例えばアルギン酸ナトリウムがある。

0078

糖衣錠コアには適切なコーティングが行われる。この目的のため、濃縮糖溶液が使用され、この溶液は任意にアラビアゴムタルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲルポリエチレングリコール二酸化チタンラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有している。染料または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに添加して、識別したりまたは有効成分の投与量の異なる組合せを特徴づけることができる。

0079

経口で服用できる追加の医薬組成物としては、ゼラチン製のプッシュフィット(push−fit)カプセル剤、およびゼラチンや可塑剤例えばグリセリンもしくはソルビトールで製造された密封軟カプセル剤がある。前記プッシュ−フィットカプセル剤には、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドがラクトースなどの充填剤、デンプン類などの結合剤、タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤および任意に安定剤と混合されて入っている。軟カプセル剤中には、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドが、適切な液体例えば脂肪油類流動パラフィンまたは液状ポリエチレングリコール類に溶解されているか懸濁されている。さらに安定剤を加えてもよい。経口投与用配合物はすべて、選択された投与経路に適切な用量でなければならない。

0080

本発明の医薬組成物の経口による送達は、胃腸期間に存在するpHと酵素による分解のため成功しないことがある。したがって、そのような医薬組成物は、望ましくない環境を避けるように調合しなければならない。例えば、腸溶コーティングを経口固体調合物に適用することができる。酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)およびアクリル樹脂類のような耐酸性物質が、マイクロカプセル化のための錠剤または顆粒をコートするために最も一般的に使用される。腸溶コートされた顆粒を製造するには、有効成分とコーティングの反応を避けるため、湿式造粒法を利用することが好ましい(Lin,S.Y.およびKawashima,Y.Pharmaceutical Res.4巻70−74頁1987年)。溶媒蒸発法も利用できる。溶媒蒸発法は、血中グルコース濃度を維持するため糖尿病ラットに投与されるインシュリンをカプセルにつめるのに使用された(Lin,S.Y.ら、Biomater,Medicine Device,Artificial ogan 13巻187−201頁1986年およびLin,S.Y.ら、Biomchemical Artificial Cells Artificial Organ 16巻815−828頁1988年)。溶媒蒸発法は、ウイルス抗原コンカナバリンAなどの高分子量生物物質をカプセルにつめるのにも使用された(Maharaj,I.ら、J.Pharmac.Sci.73巻39−42頁1984年)。

0081

口腔内投与の場合、本発明の医薬組成物は、通常の方式で調合された錠剤またはロゼンジの形態であればよい。

0082

直腸投与の場合は、当該技術分野で周知である坐剤を利用できる。

0083

吸入による投与の場合、本発明によって使用されるT2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドは、加圧パックまたはネブライザーから、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタントリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素を使用してエーロゾルスプレイの形態で便利に送達される。加圧エーロゾルの場合、用量単位は、弁を設置して計量された量を送達することによって決定することができる。吸入器または吹入器に使用する例えばゼラチン製のカプセルやカートリッジは、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドおよびラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末ベース粉末混合物を入れて調合できる。

0084

本発明の医薬組成物は、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与用にも調合できる。注射用組成物は、単位剤形、例えば任意に保存剤を加えたアンプルもしくはマルチドーズコンテナーで提供できる。その組成物は、油性もしくは水性媒体による懸濁液、溶液または乳液でもよくそして懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの調合剤を含有していてもよい。

0085

非経口投与用医薬組成物としては、水溶性型の有効成分の水溶液がある。さらに、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドの懸濁液は、適当な油性注射懸濁液として製造することができる。適切な親油性の溶媒または媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルトリグリセリド類もしくはリポソーム類などの合成の脂肪酸エステルがある。水性注射懸濁剤は、その懸濁液の粘度を増大する物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有していてもよい。この懸濁剤は、T2−RNアーゼもしくはそれをコードするポリヌクレオチドの溶解度を増大して、高濃度溶液を製造できるようにする適切な安定剤または薬品を任意に含有していてもよい。

0086

あるいは、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドは、使用する前に、適切な媒体、例えば滅菌されたパイロジェンなしの水で再構成するための粉末形態でもよい。

0087

本発明の医薬組成物は、例えばカカオバターなどのグリセリド類のような通常の坐薬ベースを使用して、坐剤または保持浣腸剤などの直腸組成物にも調合することができる。

0088

さらに、体腔、例えば眼、胃腸管泌尿生殖器官(例えば膀胱)、肺系統および気管支系統などに存在する癌または腫瘍は、有効量のT2−RNアーゼもしくはそれをコードするポリヌクレオチドを含有する生理学的に適当な組成物(例えば滅菌された、食塩水もしくはリン酸緩衝液などの溶液、懸濁液または乳液)を、針による直接の注射または癌もしくは腫瘍に冒された中空臓器中に配置されたカテーテルなどの送達管によって受け取ることができる。X線ソノグラムまたは光ファイバー視覚化装置などの有効な画像形成装置を使用して標的組織の位置をつきとめて針またはカテーテル管を、該組織の近くに案内することができる。

0089

本発明の医薬組成物は、浸透マイクロポンプで送達することもできる。その浸透マイクロポンプは体腔のうちの一つに移植され、医薬が治療すべき組織に、定期的に続いて放出される。この方法は、その医薬組成物に対する免疫反応が経験されている場合、特に有利である。この方法はオンコナーゼに利用されている(Vasandani V.M.ら、Cancer Res.15;56(18)4180−4186頁1996年)。

0090

あるいは、本発明の別の好ましい実施態様によれば、医薬として許容できる担体としては、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドを、被検者の哺乳類細胞に送達することができる送達媒体がある。

0091

タンパク質または核酸を、腫瘍または癌細胞を標的として送りこむ多くの送達媒体や方法が当該技術分野で知られている。例えば、リポソームは、タンパク質または核酸を標的細胞中に送達するのに利用できる人工膜ベシクルである(Newton,A.C.およびHuestis,W.H.,Biochemistry 27巻4655−4659頁1988年;Tanswell,A.K.ら、Biochmica et Biophysica Acta 1044巻269−274頁1990年;およびCeccoll,J.ら、Journal of Investigative Dermatology 93巻190−194頁1989年)。したがって、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドは、高い効率でリポソームベシクルで被包して哺乳類細胞中に送達できる。その上に、T2−RNアーゼタンパク質または核酸は、例えばLeeの米国特許第5925628号に記載されているように、ミセルによって、腫瘍または癌の細胞を標的として送達することもできる。なおこの特許は本願に援用するものである。

0092

リポソームまたはミセルに被包されたT2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドは、局所、眼内、非経口、鼻腔内、気管内、気管支内、筋肉内、皮下に、または他の有効な手段によって、標的組織の異常に増殖する細胞を治療するのに有効な投与量で投与することができる。リポソームは、被包されたT2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドの有効量を含有する生理学的に適当な組成物で投与することができる。

0093

あるいは、本発明の他の好ましい実施態様によって、その送達媒体は、限定されないが、特定の細胞表面受容体またはマーカーに結合できる抗体またはリガンドでもよい。抗体またはリガンドは、T2−RNアーゼタンパク質もしくは核酸に、適切なリンカーを通じて直接結合できるか、あるいはこのような抗体もしくはリガンドは、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドを被包しているリポソームの表面に提供することができる。

0094

例えば、T2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野ですでに述べられているように、特定の組織または細胞を標的として向かわせるために、特定の膜タンパク質の抗体もしくはリガンドと融合させてもよい。この点については、リボヌクレアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼAが、トランスフェリン受容体に対する抗体または抗原CD5に対する抗体と融合すると、上記毒素各々に対して特異的な受容体を保持する腫瘍細胞内でのタンパク質合成が阻害されることが分かるであろう(Rybak,M.ら、J.Biol.Chem.266巻21202−21207頁1991年およびNewton,DLら、Protein Eng.10(4)巻463−470頁1997年)。

0095

本発明で使用するのに適切な医薬組成物としては、有効成分の意図する目的を達成するのに有効な量を含有する組成物がある。より具体的に述べると、治療のために有効な量とは、疾患の症状を予防し、軽減しまたは改善するためまたは治療されている被検者の生存を延長するために有効な有効成分の量を意味する。

0096

治療のために有効な量を決定することは、特に、本願に詳細に開示されていることにてらして、十分に当業技術者の技量の範囲内にある。

0097

本願に記載の有効成分の毒性と治療効力は、細胞培養または実験動物の標準的製薬学的方法によって、例えば被検者に対する有効成分のIC50およびLD50(被検動物の50%が死ぬ致死量)を測定することによって確認することができる。これらの細胞培養検定法や動物実験から得たデータを利用して、ヒトに使用する投与量の範囲内の調合を行うことができる。その投与量は、利用される剤形と利用される投与経路に応じて変えることができる。正確な調合、投与経路および投与量は、個々の医師が、患者の症状を考慮して選択することができる(例えば、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」1章1頁1975年のFinglらの論文参照)。

0098

投与は、治療される症状の重症度反応性に対応して、徐放性組成物の一回の投与でもよく、治療の過程は、数日間〜数週間または治癒するまでもしくは疾患状態減退するまで続く。

0099

投与すべき組成物の量は、勿論、治療される被検者、苦痛のきびしさ、投与の方式、担当医師の判断などによって決まる。

0100

さきにすでに述べているように、本発明の一側面によって、医薬組成物の有効成分は、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドである。

0101

本発明のこの側面によって、前記ポリヌクレオチドは、医薬として許容できる担体とともに哺乳類細胞中に導入され、その導入によって、その細胞の遺伝子調節が行われて、その細胞内でT2−RNアーゼを発現することができる。

0102

用語「遺伝子調節」は、本願の明細書と特許請求の範囲で使用される場合、核酸を細胞に挿入する方法を意味する。その挿入は、例えばウイルス感染、注射、トランスフェクション粒子衝撃法または核酸を細胞に導入するのに有効な他の手段で行うことができ、これら手段のうちいくつかは、以下にさらに詳細に説明する。遺伝子調節によって、前記核酸は、全部か一部が細胞のゲノム(DNA)に組みこまれるかまたは細胞ゲノムの外側に留まり、安定して修飾された細胞または一時的に修飾された細胞が提供される。

0103

したがって、本発明のこの側面の医薬組成物は、遺伝子治療に使用することができる。

0104

用語「遺伝子治療」または「遺伝治療」は、本願で使用する場合、互いに取り換えて使用することができ、かつ癌細胞などの増殖性細胞類の安定した遺伝子調節または一時的な遺伝子調節によって前記細胞の増殖が阻害される治療法を意味する。

0105

そのGeneBank の受託番号によって表2にあげたポリヌクレオチドのいずれか一つを、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドとして、本発明で利用することができる。さらに、先に列挙したポリヌクレオチドと、40%以上相同性でおよび/またはゆるやかなおよび/またはストリンジェントハイブリッド形成条件下でハイブリッドを形成するポリヌクレオチドも、それがコードするタンパク質がT2−RNアーゼとしての特性を有しかつ所望の活性を示すならば、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドとして利用できる。さらに、かようなポリヌクレオチドの部分、変異体、キメラまたは対立遺伝子も、かようなポリヌクレオチドのかような部分、変異体、キメラまたは対立遺伝子が、所望の活性を示すT2−RNアーゼをコードするならば、やはり、本発明によって、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドとして使用できる。

0106

T2−RNアーゼをコードする新規なポリヌクレオチドを単離することも考えられる。このような単離は当該技術分野で周知の方法を利用して行うことができ、限定されないがライブラリースクリーニング、ハイブリッド形成、PCR増幅標識化プライマー、標識化変性プライマー(labeled degenerated primer)がある。したがってゲノムとcDNAのポリヌクレオチドを利用できる。

0107

本発明のポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法を使用して、他のタンパク質をコードするポリペプチドに、インフレームで融合させて、融合タンパク質をコードさせることができる。例えば、そのポリペプチドは、リーダー配列または分泌のためのシグナルペプチドに融合させることができる。同様に、T2−RNアーゼタンパク質は、当該技術分野で周知の方法を使用して他のタンパク質に融合(複合)させることができる。タンパク質を含む異なるタイプの分子を、複合または融合(連結)させる多種類の方法が当該技術分野で知られている。これらの方法は、本発明で使用して、T2−RNアーゼを、リガンドもしくは抗体などの他の分子に連結させ、T2−RNアーゼが特定の細胞型を標的として向かわせてそれに結合するのを助ける。当業技術者に知られている複合方法を使用して、タンパク質のペアを複合もしくは融合させることができる。これらのタンパク質は、3−(2−ピリジルジチオプロピオン酸エヌヒドロキシスクシンイミドエステル(N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネートとも呼称されている(「SDPD」)(Sigmaカタログ番号:P−3415)、グルターアルデヒド(gluteraldehyde)複合法またはカルボジイミド複合法を使用して複合することができる。

0108

本発明の好ましい実施態様によれば、ポリヌクレオチドが、T2−RNアーゼをコードする配列に作動的に連結された、一つ以上のセグメントを保持する転写制御配列を含有している。このような転写制御配列は、限定されないが以下に詳細に説明するプロモーターおよびエンハンサーを含有している。これらの転写制御配列は、一般にコード領域の上流に作動的に連結されて、転写および/またはその翻訳を調節する働きをする。

0109

本発明の別の好ましい実施態様によれば、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドは、真核細胞の発現ベクター内に含まれている。用語「発現ベクター」は、T2−RNアーゼをコードする配列および転写制御配列を含有し、かつT2−RNアーゼを哺乳類の細胞内で発現することができる核酸配列を意味する。

0110

哺乳類の遺伝子を発現させることを目的として、DNA断片をベクター中に挿入する多種類の方法が、当該技術分野で知られていて、適当な転写/翻訳制御配列および所望のT2−RNアーゼのポリヌクレオチド配列を含有する、T2−RNアーゼをコードする遺伝子発現ベクター構築するのに利用することができる。これらの方法としては、生体外でのDNA組換え法と合成法および生体内での遺伝子組換え法がある。T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドの発現は、転写制御配列によって調節され、その結果、T2−RNアーゼが、組換えDNA分子でインフェクトされたかまたはトランスフェクトされた宿主細胞内で発現される。例えば、T2−RNアーゼの発現は、当該技術分野で知られているプロモーター/エンハンサーの要素によって制御できる。そのプロモーターの活性化は、組織特異的であるかまたは代謝産物もしくは投与された物質によって誘発することができる。

0111

標的の組織もしくは細胞内でのT2−RNアーゼの発現を制御するのに使用できるプロモーター/エンハンサーとしては、限定されないが、天然のRBプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)のプロモーター/エンハンサー(Karasuyama,H.ら、J.Exp.Med.169巻13頁1989年)ヒトβ−アクチンプロモーター(Gunning P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84巻4831−4835頁1987年)、マウスの乳癌ウイルスロングターミナルリピート(HHTVLTR)中に存在するグルココルチコイド誘発性プロモーター(Klessig,D.F.ら、Mol.Cell Biol.4巻1354−1362頁1984年)、Holoneyマウス白血病ウイルスのロングターミナルリピート配列(MULV LTR)(Weiss,R.ら、RNA Tumor Viruses 1985年、Cold Spring Harbor Laboratory、米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)、SV40初期領域プロモーター(BernoistおよびChambon、Nature 290巻304−310頁1981年)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3′ロングターミナルリピートに含まれているプロモーター(Yamamotoら、Cell 22巻787−797頁1980年)、単純ヘルペスウイルス(HSV)のチミジンキナーゼプロモーター/エンハンサー(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78巻1441−1445頁1981年)、メタロチオネイン遺伝子調節配列(Brinsterら、Nature 296巻39−42頁1982年)、アデノウイルスのプロモーター(Yamadaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82(11)巻3567−3571頁1985年)、および単純ヘルペスウイルスLATプロモーター(Wolfe,J.H.ら、Nature Genetics 1巻379−384頁1992年)がある。

0112

腫瘍または癌の細胞の遺伝子治療で使用する、哺乳類宿主細胞と相容性の発現ベクターとしては、限定されないがプラスミド、レトロウイルスのベクター、アデノウイルスのベクター、ヘルペスウイルスのベクターおよび非複製型のアビポックス(avipox)ウイルスがあり、例えば米国特許第5174993号に記載されている。なおこの特許は本願に援用するものである。

0113

いくつもの方法を使用して、発現ベクターを、本発明のこの側面によって、一種または複数種標的哺乳類細胞に送達することができる。

0114

例えば、有効量の発現ベクターを含有する、生理学的に適当な溶液などの適切な医薬として許容できる担体は、局所、眼内、非経口、経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下にまたは他の有効な手段によって投与することができる。

0115

有効量の発現ベクターを含有する生理学的に適当な溶液は、血液循環系中に全身に投与して、直接には到達できないかまたは解剖学的に分離できない癌または腫瘍を治療することができる。

0116

腫瘍塊を治療する場合、有効量の発現ベクターを含有する生理学的に適当な溶液は、標的腫瘍塊の腫瘍細胞を治療するのに有効な量で、針を通じて標的腫瘍塊中に直接注射することができる。

0117

あるいは、例えば、眼、胃腸管、泌尿生殖器官(例えば膀胱)、肺および気管支の系統内の体腔内に存在する癌または腫瘍は、有効量の発現ベクターを含有する生理学的に適当な組成物(例えば、発現ベクター以外は滅菌されている食塩水またはリン酸緩衝液の溶液)を、針による直接注射または癌もしくは腫瘍に冒された中空臓器内に配置されたカテーテルもしくは他の送達管によって受け取ることができる。X線、ソノグラムまたは光ファイバーの可視化装置などの有効な画像形成装置を使用して、標的組織の位置をつきとめて針またはカテーテル管を案内することができる。

0118

の」発現ベクターは、哺乳類の細胞が能動的に吸収できるので、その発現ベクターが適当に充填されているかまたは被包されているならば、取り込みや標的に対する送達が促進される。

0119

したがって、本発明の他の好ましい実施態様によれば、医薬として許容できる担体は、発現ベクターを、哺乳類の細胞中に、標的指向方式で送達するのに適切な送達媒体を含んでいる。

0120

ウイルス発現ベクターは、感染または形質導入によって、発現可能の形態で標的細胞中に、送達媒体で導入することができる。このような送達媒体としては、限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスおよびアビポックスウイルスがある。ベクター構造体を標的細胞中に導入することができかつT2−RNアーゼを標的細胞内で細胞の増殖を阻害する量で発現できる送達媒体は、上記の有効な方法で投与することができる。

0121

あるいは、このような送達媒体としては、限定されないが、先に述べたようなリポソーム、ミセル、抗体またはリガンドがある。

0122

本願に記載のポリヌクレオチドは、それを、適当な医薬として許容できる担体と混合することによって、哺乳類の哺乳類細胞の増殖を阻害するのに有用な薬剤を製造するのに利用できることは分かるであろう。

0123

先に述べたように、T2−RNアーゼをコードするポリヌクレオチドは各種の方法で得ることができるが、これらの方法としては、限定されないが、T2−RNアーゼ特異的プライマーを使用してゲノムまたはcDNAのライブラリーをスクリーニングし、T2−RNアーゼ特異的プライマーとともに逆転写PCRを使用して、T2−RNアーゼを発現することが分かっている生物から単離されたmRNAを増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅方法、またはT2−RNアーゼをコードするDNA配列を適当な生物から直接単離する方法がある。この場合、上記方法は、活性形態の上記T2−RNアーゼを単離または発生させるのに利用することもできることは分かるであろう。

0124

精製されたポリヌクレオチドは、次に適当な発現ベクター中に挿入するか、または適当な転写制御配列を提供して上記のように製造することができる。

0125

以下の実施例の章でさらに例示しかつ先に述べたように、特定のT2−RNアーゼまたはそれをコードするポリヌクレオチドの作用を確認する検定法も本発明の教示によって提供される。このような検定は、例えば、増殖中の細胞をT2−RNアーゼに暴露してそれら細胞の増殖挙動を時間の経過とともに追跡して、対照の未処置の細胞と比較することによって行われる。この検定法は、特定の用途に対して最も強力なT2−RNアーゼを選択するのに利用できるだけでなく、用量反応確証するのにも利用することができる。このことは生体内実験中、または被検者を治療中の初期治療投与量に反映させることができ、これらのことは、T2ファミリーのRNアーゼB1について本願でさらに例示する。この検定法は、抗増殖活性の部位もしくは部分またはT2−RNアーゼを確認するとか、または発生もしくは単離した、リボ核酸分解活性を示さない変異体の活性を確認するのに使用することもできることが分かるであろう。

0126

本発明の追加の目的、利点および新規な特徴は、以下の実施例を試験すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳細に説明されかつ特許請求の範囲の章で請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、以下の実施例で実験によって支持されている。

0127

ここで以下の実施例について述べるが、これら実施例は、上記説明とともに本発明を例示し、本発明を限定するものではない。

0128

一般に、本願で利用される命名法と本発明で利用される実験手順としては、分子生化学的方法、微生物学的方法および組換えDNA法がある。このような技法は文献に綿密に説明されている。例えば以下の文献を参照されたい。すなわち、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;「Current Protocols in Molecular Biology」I−III巻、Ausubel,R.M.編1994年;Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、米国メリーランド州ボルチモア1989年;Perbal、「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons、米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」、Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1−4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press 米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載されているような諸方法;Cellis,J.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I−III巻1994年;Freshney著「Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique」第3版1994年、Wiley−Liss、米国ニューヨーク;Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I−III巻1994年;Stitesら編、「Basic and Clinical Immunology」第8版1994年、Appleton & Lange、米国コネチカットノーウォーク;MishellおよびShiigi編「Selected Methodsin Cellular Immunology」、W.H.Freeman and Co.米国ニューヨーク1980年があり;そして利用可能な免疫検定法は特許や科学文献に広く記載されている。例えば以下のものを参照されたい。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」、IRL Press 1986年;Perbal,B 著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年と「Methods in Enzymology」vol.1−317、Academic Press;「PCRProtocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Prese、米国カリフォルニアサンディエゴ1990年;Marshakら著「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」CSHLPress 1996年。これらの特許や文献は、あたかも本願に完全に記載されているように本願に援用するものである。他の一般的文献がこの文書全体に提供されている。これら文献の方法は、当該技術分野では周知であると考えられ、読者に便利なように提供されている。これら文献に含まれている情報はすべて本願に援用するものである。

0129

実施例1
アスペルギル・ニガー(Aspergillus niger)B1のRNアーゼの特性決定と、そのRNアーゼの、果物の木の花粉管成長に対する阻害作用
材料と方法
エー・ニガーの細胞外RNアーゼの調製と精製:
アスペルギルス・ニガーB1(CMICC 324626)を、1%(w/v)の小麦粉と0.05%(w/v)の硫酸アンモニウムを含有する液体培地で増殖させた。得られた混合物を、塩酸でpH3.5に調節してオートクレーブで処理した。約106個の胞子からなる接種物を100mlの培地100mlに懸濁させ、次に200rpmのオービタルシェーカーで30℃にて100hrインキュベートした。その増殖培地を、10倍容積の2mM酢酸ナトリウム(pH6)に対し、0.2μm膜を通過させて3回透析した。その透析溶液2lを、20mM酢酸ナトリウムpH6で平衡化させたFractogelEMD−TMAE650(M)26/10(Merck)カラムに注入した。捕捉されたタンパク質類を、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)システム(Pharmacia)を流量5ml・min−1で使用して、同じ緩衝液中0〜1.0M塩化ナトリウムの直線勾配液500mlで溶離させた。最高のRNアーゼ活性を示す画分をプールし、2mM酢酸ナトリウム(pH6)に対して透析し、次にその50mlを、20mM酢酸ナトリウム(pH6)で平衡化したMONO−Q5/5HR(Pharmacia)カラム中に注入した。溶離は、0〜1.0Mの塩勾配液10mlだけを1ml−min−1の流量で使用したことを除いて、前記EMD−TMAEカラムの場合と同様にして行った。

0130

タンパク質類は、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準として使用して、Bradford(Bradford,M.M.,Anal.Biochem.72巻248−245頁1976年)にしたがって280nmで監視して測定した。異なる画分は、12.5%ドデシル硫酸ナトリウムアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)(Laemmeli,U.K.,Nature 227巻680−685頁1970年)によって分析した。RNアーゼ活性は、先に記載したようにして(RoizおよびShoseyov,Int.J.Plant Sci.156巻37−41頁1995年)測定した。

0131

上記精製されたRNアーゼB1を、Broothaertsらが報告した方法(Broothaerts,W.P.ら、Sex.Plant Reprod,4巻258−266頁1991年)にしたがって酵素によって脱グリコシル化した。その酵素は、0.5%(w/v)SDSと5%(w/v)β−メルカプトエタノールに混合し、100℃で5分間加熱した。放冷後、その反応混合物を、50mMリン酸ナトリウムpH7.5、25mMEDTA、1%(w/v)Triton X−100および0.02%(w/v)アジ化ナトリウムを含有する緩衝液で2.5倍希釈した。ペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF、Boehringer−Mannheim)を、最終濃度20単位・ml−1まで加えて、一夜37℃でインキュベートした。次にその試料を試料用緩衝液と混合し、100℃で5分間加熱し、次いで12.5%のゲルを使用してSDS−PAGEで分析した。

0132

RNアーゼ検定:
RNアーゼの活性に対する最適の条件を、10℃ずつ上昇させる20〜100℃の温度範囲と、50mMと12mMのリン酸塩クエン酸塩緩衝液で行った、0.5pH単位ずつ上昇させるpH2.5〜7の範囲を使ってBrownとHoの方法(Brown,P.H.およびHo,T.H.D.,Plant Physiol.82巻801−806頁1986年)を改変した方法によって決定した。10μlずつの各試料を、4mg・ml−1の酵母RNA(Sigma)を含有する氷冷緩衝液490μlに加えた。各試料の1/2に、25%(w/v)過塩素酸中0.75%(w/v)硫酸ウラニル50μlを含有する停止溶液を直ちに添加することによってブランクとして使用した。残りの1/2は、10分間インキュベートし、続いて停止溶液50μlを各々に添加した。15000Xgで5分間遠心分離を行った後、その上澄み液蒸留水で20倍に希釈し、260nmの吸光度を測定した。RNアーゼ活性の1単位を、1A.U260nm/minの速度で可溶性ヌクレオチドを放出する酵素の量と決定した。

0133

RNアーゼB1を、先に記載したようにして(RoizおよびShoseyov,Int.J.Plant Sci.156巻37−41頁1995年)可視化した。RNアーゼB1を含有するSDSゲルを、25%(v/v)イソプロパノールを含有する20mM酢酸塩緩衝液(pH3.5)を使って15分間ずつ2回洗浄し、次に、上記緩衝液だけで15分間ずつ2回洗浄することによって再生させた。RNアーゼB1を含有する再生されたゲルを、20mM酢酸塩緩衝液中0.1%RNAと0.8%アガロースを含むプレート上に塗布し、次いで37℃で30分間インキュベートした。そのゲルを取り出し、そのアガロースプレートを、トルイジンブルーの0.02%(w/v)水溶液で染色してRNアーゼの活性を可視化した。

0134

RNアーゼB1の花粉管成長に対する作用
Peach cv.Almogの花粉を、先に述べたようにして(RoidおよびShoseyov,Int.J.Plant Sci.156巻37−41頁1995年)、液体培地中、生体外で発芽させた。15%(w/v)スクロース、100μg・ml−1ホウ酸、200μg・ml−1硫酸マグネシウム、200μg・ml−1硝酸カルシウムおよび各種濃度のRNアーゼB1を含有する100μlずつに花粉粒を懸濁させた。暗室中、25℃で一夜インキュベートした後、発芽率を記録した。花粉管の長さを、アイピースマイクロメータで測定した。

0135

花粉管の成長に対するRNアーゼB1による処理の作用も生体内で試験した。とタンジェリン[シトルス・レチキュラータ(Citrus reticulata)、Blanco cv.Murcott]の無傷の花に、開花初期段階において、100単位・ml−1のRNアーゼB1を含有する20mMクエン酸塩緩衝液(pH3.5)をスプレーした。各々の種の、異なる枝にある同じ段階の追加の花は、対照として緩衝液だけをスプレーするかまたは処理しないままで残した。自然受粉に48hr暴露した後、花柱を、酢酸エタノール容積比率3:1の混合物内で24hr固定し、蒸留水で洗浄し、次に、8M水酸化ナトリウム内で一夜吸水させた。蒸留水で十分洗浄した後、花柱を縦方向に切断し、各々をスライドガラス上の0.1Mリン酸カリウム中0.1%(w/v)アニリンブルーの一滴の中に浸漬させ、次いでカバーガラス注意深く押しつぶした。花粉管をエピフルオレッセンスマイクロスコピー(epifluorescence microscopy)(WIBキューブを備えたOlympus BX40)で観察した。

0136

止りに対するRNアーゼB1の作用:
フィールド実験をネクタリン[プルヌス・ペルシカ変種ネクタリナ・ファンシア(Prunus persica var.Nectarina Fantasia)]について行った。花がほぼ10%開いた長さ30〜40cmの枝に、20mMクエン酸塩緩衝液pH3.5と0.025%triton−X 100混合液中、異なる濃度のRNアーゼB1をスプレーした。未処理の枝および緩衝液とtriton−X 100混合液のみをスプレーした枝を対照とした。これらの枝に、開花期間中(14日間)2〜3日間隔でスプレーした。一ヶ月後、1枝当り果実の数をかぞえた。生存度試験を行うため、種子を胚をとおって縦方向に切断し、1%の2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド含有水溶液中に、暗室内で20℃にて4hr浸漬した。赤色に染色した組織は生存可能な組織を示した。

0137

実験結果
RNアーゼB1の精製と特性決定:
液体培地で増殖させたエー・ニガーは、かなりな量の細胞外RNアーゼB1を産生した。温度60℃でpH3.5が、RNアーゼの活性に対して最適であることが発見されたので、その後のRNアーゼ検定法の標準条件として採用した。

0138

RNアーゼB1の精製には三つのステップ(表3)がある。第一ステップにおいて、粗濾液には1000単位・ml−1含まれていて、0.05mg・ml−1のタンパク質が得られた。その粗濾液に、EMD−TMAEカラムを通過させ、そしてプールされた活性画分(図1グラフA)は0.1mg・ml−1のタンパク質を含有し、RNアーゼの活性は40000単位・ml−1であった。最後のステップで、プールされた画分に、MONO−Qカラムを通過させ次に、活性RNアーゼの画分を溶離させた(図1、グラフB)。この画分はタンパク質濃度が1.05μg・ml−1で、RNアーゼ活性は543000単位・ml−1であった。40kDaと32kDaの二つの主要タンパク質のバンドが、精製されたRNアーゼB1画分のSDS−PAGEを行った結果観察された(図2)。RNアーゼ活性ゲルが、前記32kDaと40kDaのタンパク質に対応する活性バンドを示した。PNGアーゼFにかけると、単一のタンパク質バンドが29kDaに出現した。RNアーゼ活性は、PNGアーゼ消化の後も保持された(図示していない)。

0139

0140

花粉管と実止りに対するRNアーゼB1の作用:
生体外の実験では、対照花粉の75%が発芽しそして花粉管は長さが約0.5mmになった。増殖培地中に、RNアーゼB1を添加すると、投与量反応方式で、発芽百分率と花粉管の長さが低下した(図3)。RNアーゼB1には著しい阻害作用があった。0.1μg・ml−1のタンパク質を示す50単位・ml−1が致命的であったが、125μg・ml−1のBSAは花粉発芽力と花粉管の生成の1/2しか低下させなかった。

0141

生体内では、桃の対照の花粉管は受粉後48hrに、柱頭組織を通過して花柱に向かって成長するのが観察された(図4a)。類似の作用が、緩衝液だけで処理された花柱に観察された。対照的に、RNアーゼB1で処理され、柱頭で発芽した花粉粒は短い花粉管を生成した。その花粉管は成長方向を欠いているようであり、花柱組織を通過できなかった(図4b)。タンジェリンの場合、柱頭組織(直径が2〜3mmであった)のごく小さい部分しか顕微鏡視野内にとらえられなかった。したがって図5に示すように、ごく少数の花粉管しか観察されなかった。しかし、対照の花粉管の正常な成長(図5a)と、RNアーゼで処理された花粉管の異常な成長(図5b)の差は明白であった。

0142

ネクタリンcv.ファンタシア(nectarine cv.Fantasia)の場合、RNアーゼB1は、実止まりの低下を起こした(表4)。未処理のままで残した枝またはtriton−X 100含有緩衝液をスプレーした枝はそれぞれ実止りが48.3%と36.3%であった。低pHの緩衝液は、実止まりに対する阻害作用がいくらかあるようであったが、500単位・ml−1および1000単位・ml−1のRNアーゼB1で処理した枝はそれぞれ実止りが23.3%と18.4%であった。このことは、投与量依存方式のRNアーゼの有意な間引き作用を示している。

0143

0144

RNアーゼB1で処理した枝には、多数の未熟の小果実が観察された。生存度の試験は、対照の花の場合(未処理かまたは緩衝液だけをスプレー)は、胚組織が赤色に染色されたが(図6a)RNアーゼで処理された花の中で成長した胚の組織は、壊死を示す褐色に染色された(図6a)。

0145

アスペスギルス・ニガーB1細胞外RNアーゼ(RNアーゼB1)を均一になるまで精製した。そのRNアーゼは、29kDaのタンパク質コアを共有する32kDaおよび40kDaの糖タンパク質の2種のアイソフォームを含有していることが発見された。最適のRNアーゼ活性が温度60℃とpH3.5で観察された。桃(プルヌス・ペルシカcv.Almog)とタンジェリン(シトルス・レチキュラータ、Blanco cv.Murcott)の場合、該酵素は、生体外および生体内で花粉の発芽と花粉管の成長を阻害した。フィールド実験で、RNアーゼはネクタリン(プルヌス・ペルシカ変種ネクタリナ・ファンタジア)の実止りを低下させかつ正常な胚の成長を阻害した。

0146

実施例2
T2−RNアーゼによる花粉の発芽と花粉管の成長の阻害はアクチンとの相互作用によって仲介される
RNアーゼによって花粉の発芽と花粉管の成長が阻害されることはよく知られているが、この酵素が前記伸長プロセスを阻害する機序はまだ明らかでない。したがって、この試験を、花粉管の伸長プロセスを阻害するRNアーゼB1の役割を読み解くために始めた。

0147

材料と実験方法
花粉管の成長に対するRNアーゼB1の作用:
ユリ[リリウム・グラジフロルム L.cv.Osnat(Lilium grandiflorum L.cv.Osnat)]のやくを、室温で24hr裂開させ、新鮮なものを使うかまたは−20℃で貯蔵した。RNアーゼB1を、アスペルス・ニガーの増殖培地の濾液から、実施例1に記載されているようにして製造して精製した。7%スクロース、1.27mM CaNO3、0.16mM H3BO3、1mM K2NO3および3mM KH2PO4を含有する水100μlずつの水性培地で、花粉を生体外で発芽させた(YokotaおよびShimmenの1994年の論文)。いくつかの培地は、100単位/mlのRNアーゼ活性を有するRNアーゼB1を、最終タンパク質濃度16μg/mlまで補充した。追加の培地は、予め30分間沸騰させて50%の活性を失わせたRNアーゼまたは触媒活性を欠いているオートクレーブ処理されたRNアーゼを補充した。暗所にて25℃で2hrインキュベートした後、花粉管の長さを、顕微鏡のアイピースマイクロメーターで測定した。花粉管をIKI(0.3%I2と1.5%KIの水溶液)で染色してデンプン体(starch body)を検出した。1hrにわたって活発に伸長している花粉管を顕微鏡載物台上のガラスセルに移した。その花粉管の成長パターンとオルガネラの移動を、Applitec MSV−800ビデオプレゼンタを使用し、Heslop−Harrison,J.とHeslop−Harrison,Y.法(Heslop−Harrison,J.およびHeslop−Harrison,Y.,Sex Plant Reprod.3巻187−194頁1990年)の改変法でビデオに記録した。画像は、Scion LG−3フレームグラバーによって、0.8フレーム/secで8秒間とらえ、次にNIH画像ソフトウエアによってディジタル化して統合した。それらの写真はAdobe Photoshop(Adobe Systems Inc., 米国カリフォルニア州マウンテンビュー)およびPower−Point(Microsoft Co.)のソフトウエアを使用して処理した。

0148

花粉管のアクチンフィラメントに対するRNアーゼの作用:
RNアーゼありまたはなしの水性培地で、花粉を生体外にて発芽させた。一夜インキュベートした後、花粉管を、おだやかにペレット処理を行い(pellet)、次いで前記増殖培地を、10−6MのテトラメチルローダミンBイソチオシアネート(TRITC)で標識化したファロイジン(Sigma)を含有するPBST緩衝液(150mM NaCl、3mM KCl、10mM Na2HPO4、2mM KH2PO4および0.02%Tween−20)と取りかえた。生体内観察を行うため、lily cv.Stargazerの花を、開花開始時に除雄し、次に10単位/mlのRNアーゼを含有する増殖培地0.5mlを、柱頭を通じて花柱溝中に注射した。RNアーゼなしの増殖培地を注射された花を、対照として使用した。上記液体を、花柱組織中に25℃で5hr吸収させた後、柱頭に、lily cv.Osnatの花粉を手作業で受粉させた。25℃で48hrインキュベートした後、各雌ずいを縦方向に切断し、そして花粉管を注意深く切り取って、TRITC−TBST溶液中に移し、1hrインキュベートした。柱頭での切開は花粉管に影響しなかった。というのは花粉管の死活にかかわるプロトプラストは遠位部分に位置していて、カロースプラグ(callose plug)で保護されているからである。生体外と生体内の実験の両方で、染色された花粉管をTBS(Tween−20)を欠いたTBST)ですすぎ、スライドガラス上に置いて、エピフルオレッセント光学顕微鏡(USH−102D水銀ランプを備えたOlypus BX40)で観察した。

0149

アクチンのRNアーゼB1への結合:
RNアーゼB1とアクチンの間の相互作用を、Simm法(Simm,F.C.ら、Eur.J.Biochem.166巻49−54頁1987年)を改変して利用して定量した。ウサギの筋肉グロブ(G−)アクチン(Sigma Co.)を、緩衝液F(10mMトリスpH8.0、0.1mMATP、0.2mM CaCl2、0.1M KClおよび2mM MgCl2)中で、室温にて30分間重合させて線維状(F−)アクチンを得た。30μMのF−アクチンを各々含有する50μlずつの試料を、1〜33μM RNアーゼB1とともに、一夜4℃でインキュベートした。対照として、各濃度のRNアーゼを、緩衝液Fのみとともにインキュベートした。これら試料を、15000gで40分間遠心分離し、その上澄み液のRNアーゼ活性を測定した(Roiz,L.,Goren,R.およびShoseyov,O.Physiol.Plant.94巻585−590頁1995年)。

0150

花粉管上のRNアーゼB1の免疫金−銀染色法
免疫金−銀染色法(IGSS)を利用して、ユリの花粉管に対するRNアーゼの吸着を検出した。ポリクローナル抗体を、ウサギに、RNアーゼB1(Aminolab)に対して生成した。生体外で2hr経過したユリの花粉管を、2.5%グルターアルデヒド含有PBST中、4℃で一夜固定した。その花粉管を、PBST内で1hr洗浄し、1%BSAと2%脱脂乳を含有するPBST中で1hrブロックし、次にPBSTで1:500の比率で希釈した抗−RNアーゼB1内で1hrインキュベートした。ウサギの免疫前血清(PIS)を対照として利用した。これら花粉管を各々、PBSTで10分間ずつ3回洗浄し、5nmの金粒子と結合したヤギ抗ウサギIgG(PBSTで1:100の比率にて希釈)内で1hrインキュベートした。PBST内で10分間ずつ2回洗浄し、次に水中で10分間1回洗浄した後、反応を最終的に起こさせるため銀−染色キット(Biocell Research Laboratories)を使用した。前記花粉管を、混合したキットの溶液に10〜15分間浸漬し、過剰の蒸留水で洗浄し、光学顕微鏡(Olympus BX40)で観察した。

0151

実験結果
RNアーゼなしの成長培地で生体外にて発芽させたユリの花粉管の対照試料は、長さが約300μmになった(図7)。同じ条件下RNアーゼで処置した培養物は、長さが160μmにしかならなかった。RNアーゼを沸騰もしくはオートクレーブ処理した場合それぞれの花粉管の長は130μmと170μmであった。花粉管のRNアーゼで処理された3群間に、有意差はないとみなされた。

0152

デンプン染色法は、対照試料のアミロプラストが、先端領域を除いて花粉管にそって広がっていることが観察されることを示した(図8a)。一方、RNアーゼで処理した花粉管のIKIで染色された本体が先端領域に蓄積した(図8b)。

0153

能動的に延びる花粉管の集積ビデオ画像は、細胞質フローライン(flow line)を示した(図9aと9b)。対照試料の場合、連続した縦方向の運動が最も一般的であり、花粉管の周囲は求頂的フローであり、中心は求基的フローであり、先端領域の下側に「逆噴水(inverse fountain)」パターンを形成した(図9a)。先端領域自体は、非常に小さい本体、主としてP粒子が占めていたが、その運動パターンはほとんど観察されなかった。RNアーゼで阻害された花粉管の先端は、膨潤していて、先端領域に到達しているデンプンと脂質の粒子がよく見えた(図9b)。連続した運動は検出できなかったが、代わりに、伸長した不規則な画像が、細胞質体ランダムに回転していることを示した。

0154

アクチンフィラメントの分布に対するRNアーゼの作用を、生体外で1hrおよび生体内で48hrの花粉管で試験した。生体内の花粉管は長さが約3〜4cmになり、それらのTRITC−ファロイジン染色は生体外の花粉管より強力であった。しかし、RNアーゼの作用のモードは、両方の実験では類似していた。対照の場合、アクチンのマイクロフィラメントが、花粉管の軸線にそって縦方向に組み付けられて、先端領域に微小ネットワークを形成した(図10a)、一方、RNアーゼで処理された花粉管の場合、アクチンの塊が、先端の細胞壁に蓄積された(図10b)。

0155

RNアーゼB1とアクチンの間の相互作用を、スキャッチャード分析法を利用して定量した。アクチン−RNアーゼB1実験において、0.45で横座標軸と交差する回帰直線図11)は、RNアーゼ:アクチンのモル比が0.45であることを示したが、二つのアクチン分子が各RNアーゼ分子に結合していることを示唆している。

0156

RNアーゼB1の存在下で発芽させた花粉を光学顕微鏡で調べるために調製し、RNアーゼの位置を、抗RNアーゼ抗体を使用して、IGSSで確認した(図12a〜c)。RNアーゼなしで成長させた花粉管(図12a)またはRNアーゼありで成長させたがPISで処理した花粉管(図12b)の場合、その細胞壁の外面は、銀による染色がなかった。一方、RNアーゼB1で処置した花粉管の場合、明瞭な免疫金−銀の染色が現れ、先端領域に蓄積した(図12c)。

0157

この試験では、ユリ「リリウム・グランディフロルム(Lilium grandiflrum)の花粉の発芽と花粉管の伸長は、エー・ニガーのRNアーゼB1によって特異的に阻害された。沸騰もしくはオートクレーブ処理され、元の触媒活性をほとんど欠いているRNアーゼは、同様の阻害作用を示した。これら試験結果は、エー・ニガーのRNアーゼが、花粉管の伸長に対する阻害作用を有するアクチン結合タンパク質であることを立証した。RNアーゼB1の触媒活性には無関係のこの結合によって、花粉管アクチンフィラメントの配列が変形して細胞質の流れが中断される。

0158

実施例3
ヒトの結腸癌細胞に対するRNアーゼB1の作用
花粉管においてRNアーゼB−1に対して開かれたアクチン結合活性が、細胞傷害活性がある可能性を暗示したので、ヒト結腸癌細胞に対するRNアーゼB1の細胞傷害作用を試験することが決定された。

0159

材料と実験方法および試験結果
細胞の培養:
すべての実験を生体外で実施した。ヒトの結腸腺癌(HT29)細胞を、10%のウシ胎仔血清、1%のグルタミンおよび10%のAntibiotic−Antimicotic溶液(Biolab)を補充したDMEM培地(Biological Industries, Bet Haemek)で増殖させた。その細胞を、5%CO2を含有する加湿大気中で37℃にてインキュベートした。RNアーゼB1の溶液は、PBS緩衝液(pH6.8)で調製した。

0160

細胞生存能の予備検定:
細胞を50mlのフラスコでインキュベートした。各フラスコには、異なる濃度(10−8〜10−6M)のRNアーゼB1の存在下または非存在下、7mlの培地中2×105の細胞を入れた。これらの細胞を48hrまたは72hr増殖させ、次いで生存可能な細胞と生存不能の細胞を、トリパンブルー染色法を利用し、区別して計数した。

0161

すべての処理で、72hr間増殖させた細胞の合計数(55〜60×105)は、48hr培養後に得た細胞の数(25〜30×105)の約2倍になった(図13a)。増殖培地中にRNアーゼB1が存在していることは、細胞の増殖に対して有意な作用はなかった。しかし、48hrと72hrのインキュベーションの両者で、死んだ細胞の数に対するRNアーゼB1の小さいが有意な作用が見られた(図13b)。
クローン原性(clonogenicity)の検定I:
腫瘍細胞の長期間の生存は、それら細胞の分裂してクローンを産生する性能が特徴である。細胞を10−6MのRNアーゼB1を含有する増殖培地で48hrプレインキュベートし次にトリプシンで処理し、洗浄し、次にRNアーゼB1を欠いた増殖培地中に再懸濁させた。96ウェル微量滴定プレート中にプレートする前に、その細胞を、各ウェル(200ml)中、50〜105細胞の範囲で、5倍ずつの段階希釈を行った。これらプレートを、新しい増殖培地を添加することなく、上記条件で14日間培養し、続いてコロニーを固定してメチレンブルーで染色した。各ウェル中のクローン原性細胞を、クローン可視化を行った後、計数した。対照の細胞は上記のように処理したが、最初の48hrを、RNアーゼB1を欠いた培地でプレインキュベートした。

0162

100個の細胞をプレートしたウェルには、両方の処置で、類似の数のコロニーが観察された(図14)。RNアーゼB1の細胞傷害作用は、高密度の細胞が入っているウェルに出現した。500個ずつの細胞をプレートされたウェルの場合、対照の細胞とRNアーゼB1で処理された細胞は、それぞれ、1個のウェル当たり180個と100個のコロニーを産生した。さらに、1000個ずつの細胞でプレートしたウェルの場合、RNアーゼB1で処置した細胞は、ウェル1個当たり約250個のコロニーを形成したが、一方、対照の細胞は、融合して連続層になった非常に多数のコロニーを形成したので、図14には計数して示すことができなかった。高密度でプレートした細胞は、培地を変えない培養では生存しなかった。

0163

クローン原性検定II:
腫瘍細胞が増殖しおよび定着する能力を、RNアーゼB1に短時間または連続的に暴露して試験した。この実験は、(i)対照の細胞;(ii)10−6MのRNアーゼB1を含有する培地でプレインキュベートし次にRNアーゼB1なしの増殖培地で定着させた細胞;および(iii)(ii)と同様にプレインキュベートし、次に、定着検定中、10−6MのRNアーゼB1を含有する増殖培地でインキュベートした細胞;を使用して、クローン原性検定Iに記載したのと同様に実施した。これらの実験で、初期密度は250〜1000細胞/ウェルの範囲内であり、そして定着期間は7日間であった。

0164

この実験で利用した短期間のインキュベーション(7日間)を14日間のプレインキュベーションと比べたところディフューズされたコロニー(defused colony)は全くなかった。このコロニーは高密度の細胞を含有するウェルでさえも識別できる。すべての密度において、RNアーゼB1とともに48hrインキュベートすると、細胞が定着する能力は、対照と比べて、20〜30%低下した(図15)。しかし、各密度において、RNアーゼB1に連続して暴露すると、クローン原性の90%が劇的に低下した。図16a〜cは、RNアーゼB1で連続的に処置した細胞(図16c)が、RNアーゼB1とともに48hrプレインキュベートした細胞(図16b)または対照の細胞(図16a)より小さくかつ染色性が低かったことを示している。この試験結果は、RNアーゼB1がコロニー増殖速度を損なったことを示している。

0165

したがって、ここで提供した試験結果から明らかに分かるように、エー・ニガーのRNアーゼB1は、ヒトの腺癌HT29細胞に対し、明確な細胞傷害作用を有している。RNアーゼB1の細胞傷害作用は、細胞の生存能力の低下ではなくて、細胞のクローン原性の低下によって表現される。RNアーゼB1は腫瘍細胞に対して長期間、作用することができる。RNアーゼB1は対照と比べてコロニー増殖速度を低下させる。このことはRNアーゼB1は、細胞の増殖する能力を損なうことを示している。

0166

実施例4
ラットモデルにおける腫瘍発生に対するRNアーゼB1の生体外作用
RNアーゼB1の抗癌作用をさらに試験するため、生体内の実験をラットで行った。

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