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技術 脱磁方法及び脱磁装置

出願人 マグネットフォース株式会社
発明者 三浦好三遠藤政治
出願日 2010年5月27日 (10年7ヶ月経過) 出願番号 2010-122114
公開日 2011年12月8日 (9年0ヶ月経過) 公開番号 2011-249612
状態 未査定
技術分野 磁化、消磁
主要キーワード 内蔵品 コンデンサーバンク 外周金属 逆方向パルス 減衰割合 磁界ピーク 磁気回路装置 コンデンサ電源
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

必要最高減磁界ならびに脱磁磁界強度を低減しつつ処理時間を短縮可能とし、しかも、希土類磁石内蔵機器を分解せずに内部の希土類磁石を脱磁することができる、脱磁方法及びその脱磁装置を提供する。

解決手段

脱磁されるべき磁石の磁石配向方向と直角方向にパルス磁界印加し、次いで磁石配向方向に直角方向に交流減衰磁界を印加して脱磁を行うことを特徴とする。前記パルス磁界は正逆交互に印加してもよく、前記パルス磁界より低い交流減衰磁界を印加することが好ましい。

概要

背景

希土類磁石アルニコフェライト磁石に比較し高い磁石特性を有するため、HDDハードディスクドライブ)の磁気ヘッド駆動用VCM(ボイスコイルモータ)、省エネ型エアコンコンプレッサー用モータ自動洗濯機用モータ、さらにはハイブリッド自動車用モータ等に大量に使用されており、必要不可欠な材料で今後も使用量が増大すると予想される。希土類磁石は、フェライト磁石等の他の磁石と比較し高い残留磁束密度Brを持つだけではなく高い固有保磁力Hcjを持ち、大電流の入力に対し減磁せずに機械的出力を取り出せる。しかし、この高い固有保磁力Hcjのため、なんらかの理由、たとえば着磁時の極性間違い、着磁後に磁気回路装置を再度分解する必要が生じた場合、あるいは機器廃棄物化に伴う分解の必要性等で、脱磁が必要になった時には脱磁が困難となる。

永久磁石脱磁方法には、特許文献1に開示されているように、2種類の方法が知られている。磁石温度キュリー点以上に昇温して熱的に脱磁する熱脱磁方法と、外部から磁界印加して脱磁する磁気的脱磁方法である。

熱脱磁方法は、強磁性体キュリー温度以上では常磁性体となり、その磁気を失うことを利用して脱磁するものである。希土類磁石のキュリー温度は、SmCo5で727℃、Sm2Co17で920℃、Nd2Fe14Bで313℃、SmFeNx磁石で478℃である。この方法は、SmCo5系磁石唯一の希土類磁石であった時代には希土類磁石のほぼ唯一の脱磁方法であった(非特許文献1)。

しかしながら、熱脱磁方法は、脱磁対象物をキュリー点+α以上の温度に上げなければならないため加熱炉が必要であるだけでなく、昇温および冷却に時間を要する。さらに、SmCo系磁石では正規保磁力を得るための最終熱処理温度がキュリー点以下にある。このため磁石特性を劣化させずに熱脱磁することはほぼ磁石メーカにしか実施できない。また、SmFeNボンド磁石では、バインダー有機樹脂が使用されているため、バインダーの劣化のなしに熱脱磁は行えない。さらに、NdFeB磁石では正規の保磁力を得るための最終熱処理温度が約500℃のため、磁石特性(特に保磁力Hcj)の劣化を心配せず唯一熱脱磁が行えるが、非酸化雰囲気中での熱処理が必要で、やはり簡単ではない。また、これらの磁石を内蔵する機器を分解しないで脱磁するには、磁石を内蔵する機器が昇温によりガス等を発生するならばその対策を必要とするうえ、本来必要でない部分も加熱しなければならないため省エネの観点からも熱脱磁は好ましくない。

磁気的脱磁方法には磁界の反転を1〜数回で脱磁する直流脱磁法と、保磁力以上の交番減衰磁界を印加して脱磁する交流減衰脱磁方法とがある。

直流脱磁法は主に電磁石を利用して磁石固有保磁力Hcjに略等しい減磁界を印加して脱磁する方法であり、電磁石閉回路中で磁石の減磁特性曲線を測定する際には多用されている。しかしながら、直流脱磁方法は、2T(20kOe)以上の磁界の発生が電磁石では困難のため、高い減磁界を必要とする希土類磁石の脱磁には向かない。

交流減衰脱磁方法は、固有保磁力より高い磁界を交番ないし交流的に磁界を減衰させながら印加し脱磁する方法である。既にフェライト磁石の脱磁用には、商用電源からサイリスタ通電角を制御して直接交番減衰磁界を発生させる脱磁器が市販されている。アルニコ磁石の脱磁では交流磁界コイル中から磁石を引き出し移動させて交流減衰磁界をつくる方法も良く用いられている。

高い固有保磁力を有する希土類磁石の脱磁には大きな減磁界を必要とする。このため商用電源から電気的エネルギーコンデンサ充填し、この充填エネルギーを一機に放出して大電流を得るコンデンサ電源が、交流減衰脱磁方法では採用される。

この交流減衰脱磁方法には、特許文献2に開示されているように、磁界の印加方向により2通りの方法がある。通例減磁界は磁石配向方向と同一の平行方向に印加される(「平行磁界脱磁」という。)が、充分な磁界を印加すれば磁石配向方向に直角に印加(「直角磁界脱磁」という。)しても脱磁が可能であることが開示されている。

特許文献2によれば、Hcj=1.19MA/m(14.9kOe)の希土類ボンド磁石を脱磁するのに、平行磁界脱磁の場合に必要な脱磁磁界強度は2.5MA/m(31kOe)であった。しかしながら、直角磁界脱磁の場合には必要な脱磁磁界強度は5MA/m(63kOe)であった。これより直角方向の交流減衰磁界脱磁では、平行磁界脱磁の約2倍の脱磁磁界強度が必要なことになる(ここで脱磁磁界強度とは、正逆交互に発生してそのピーク磁界強度漸次減衰するパルス状の脱磁磁界の最大磁界強度を意味する)。このような大磁界を発生させるためにはコイルの巻数が多くなり、また流す電流が大きいためコイルの発熱が大きくなる等の問題が指摘されていた。

交流減衰磁界脱磁方法は、固有保磁力Hcjより高い磁界を交番ないし交流的に印加し脱磁する方法であるが、その際必要になるとされる磁界は、特許文献2に開示されているように保磁力Hcjの2〜3倍であると考えられている。

フェライト磁石の代表的高保磁力材質の保磁力Hcjは318kA/m(4kOe)程度であるのに対し、磁石特性だけでなく経済性にも優れる希土類磁石NdFeB磁石では、材質にもよるが875kA/m〜2626kA/m(11kOe〜33kOe)以上と、非常に高い値を有する。NdFeB磁石の最高の保磁力材質は、Hcj≧2626kA/m(33kOe)であり、脱磁に要する磁界は5253kA/m〜7880kA/m(66kOe〜99kOe)と非常に高いものとなり、このことが希土類磁石の脱磁を困難にしてきた理由である。

さらに平行方向の交流減衰磁界脱磁(「平行磁界脱磁」)では、減衰させる磁界の割合が重要であり、この割合が大きいと減磁時のヒステリシス曲線が適切な軌跡を描かず良好な脱磁が出来ない。望ましくは連続的に減じていくことが良いとされている(非特許文献1)。

従来、交流減衰磁界は、図7に示すような脱磁電源回路を用いて、商用電源6から、交流位相制御回路8で位相制御して、昇圧トランス7、両波整流回路9を介して、コンデンサ3に充電後、交流位相制御回路8でサイリスタ8a、8bをオフにするとともに、逆並列接続されたサイリスタ21、22をオンにしてコンデンサ3と脱磁コイル4の直列回路中に振動電流を発生させて作り出される。このため振動磁界周期と磁界強度は、コンデンサ3の静電容量Cと脱磁コイル4のインダクタンスL及び抵抗R(付図示)で決定され、例えば、図8のごとくとなり、任意に減衰磁界の減衰割合を制御することはできない。

また、図7、図8に示す交流減衰脱磁方法では、磁界が反転する毎の絶対値での減衰が大きいために、希土類磁石やNdFeB系ボンド磁石等のような保磁力の大きい磁石を良好に脱磁することができない(特許文献3の段落「0019」,「0020」)。

そこで特許文献3では、この減衰磁界量を制御する装置及び方法を提案し、減衰磁界量を44.6kA/m(560Oe)以下にすることを求めている。そして、特許文献3には、Hcj=1170kA/m(14.7kOe)の希土類磁石に対し、磁界を2388kA/m(30kOe)からスタートして減衰磁界量を44.6kA/m(560Oe)にして正逆反転させながら60回の磁界を印加することで良好に脱磁されたと開示している。

しかしながら、特許文献3に開示された方法では、所定減衰磁界量にするために磁界1回ごとにコンデンサの充電電圧を調整している。このため、磁石1個の脱磁に要する時間は略2〜8分以上(充電に2〜8秒として;約2秒×60回=約120秒)必要であると推定される。1回の脱磁処理に要する時間が長いことから能率が悪いこと、大電流の通電時間が長いためにコイルの発熱対策が必要になると考えられる。

一方、特許文献4には永久磁石を含む廃棄物処理では破砕機のつまり等の故障の原因になるため、永久磁石の脱磁が必要であることが開示されている。廃棄圧縮機中の磁石の脱磁方法の一つとして、モータ巻線を利用し商用電源を活用して行う脱磁方法が開示されているが、NdFeB磁石を使用する圧縮機用モータの磁石保磁力は、高い保磁力たとえばHcj≒2388ka/m(30kOe)の材質が使用されている。このため脱磁には4.77MA/m〜7.15MA/m(60kOe〜90kOe)の高い減磁界が必要となることになるが、モータ巻線と商用電源の使用は一種の電磁石の使用であり、必要磁界を確保することは困難と考えられる。希土類磁石含有廃棄圧縮機の脱磁には、少なくともパルス大電流が得られるコンデンサ放電電源装置が必要である。したがって、特許文献4が開示する方法はフェライト磁石含有圧縮機にしか適用できないと考えられる。

希土類元素貴重資源である。NdFeB磁石の固有保磁力Hcjを高めるための必須添加元素Dy(ジスプロシウム)は、鉱石中の含有量が少なく特に貴重であるといわれている。このため保磁力を低下させずにDy含有量を減少させる努力が磁石メーカで精力的に行われている。このため廃棄物製品中から貴重な希土類元素、特にDyを回収リサイクルすることは地球環境保護資源有効活用の観点からも重要であるが、現状ほとんど実施されていないと言える。

希土類磁石を内蔵する廃棄物から希土類磁石を安全かつ効率よく回収するためには、強力な磁力を有する希土類磁石の脱磁が必須である。磁石単体の脱磁でも容易でないことに加えて、希土類磁石が組み込まれた磁気回路ないし該磁気回路を内蔵する製品を製品ごと脱磁することは、さらに制約事項が増え希土類磁石単体脱磁以上に困難となることは容易に推定できる。

概要

必要最高減磁界ならびに脱磁磁界強度を低減しつつ処理時間を短縮可能とし、しかも、希土類磁石内蔵機器を分解せずに内部の希土類磁石を脱磁することができる、脱磁方法及びその脱磁装置を提供する。 脱磁されるべき磁石の磁石配向方向と直角方向にパルス磁界を印加し、次いで磁石配向方向に直角方向に交流減衰磁界を印加して脱磁を行うことを特徴とする。前記パルス磁界は正逆交互に印加してもよく、前記パルス磁界より低い交流減衰磁界を印加することが好ましい。

目的

本発明は、上記従来の技術における問題点を解消するため、必要最高減磁界ならびに脱磁磁界強度を低減しつつ処理時間を短縮可能とし、しかも、希土類磁石内蔵機器を分解せずに内部の希土類磁石を脱磁することができる、脱磁方法及びその脱磁装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

脱磁されるべき磁石の磁石配向方向と直角方向にパルス磁界印加し、次いで磁石配向方向に直角方向に交流減衰磁界を印加して脱磁を行うことを特徴とする脱磁方法

請求項2

前記パルス磁界を正逆交互に印加することを特徴とする請求項1に記載の脱磁方法。

請求項3

前記交流減衰磁界は、前記パルス磁界より低い強度の磁界を印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の脱磁方法。

請求項4

コンデンサと、該コンデンサに充電するための充電回路と、該コンデンサの両電極間に接続された脱磁コイルと、前記コンデンサの第1電極と前記脱磁コイルの一端に接続されて前記コンデンサの第1電極から前記脱磁コイルの一端に電流を流す第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子と逆並列接続されて前記第1スイッチング素子と逆方向に電流を流す第2スイッチング素子と、前記コンデンサの第2電極と前記脱磁コイルの他端に接続されて前記コンデンサの第2電極から前記脱磁コイルの他端に電流を流す第3スイッチング素子と、前記第3スイッチング素子と逆並列接続されて前記第3スイッチング素子と逆方向に電流を流す第4スイッチング素子と、前記コンデンサの第1電極と前記脱磁コイルの他端に接続されて前記コンデンサの第1電極から前記脱磁コイルの他端に電流を流す第5スイッチング素子と、前記脱磁コイルの一端と前記コンデンサの第2電極に接続されて前記脱磁コイルの一端から前記コンデンサの第2電極に電流を流す第6スイッチング素子と、前記第1〜第6スイッチング素子を制御して前記脱磁コイルにパルス磁界を印加した後に交流減衰磁界を印加する制御装置と、を備えることを特徴とする脱磁装置

請求項5

前記コンデンサの容量切換手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の脱磁装置。

請求項6

コンデンサと、該コンデンサに充電するための充電回路と、該コンデンサの両電極間に接続された脱磁コイルと、前記コンデンサの第1電極と前記脱磁コイルの一端に接続されて前記コンデンサの第1電極から前記脱磁コイルを介して前記コンデンサの第2電極に電流を流す第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子と逆並列接続されて前記第1スイッチング素子と逆方向に電流を流す第2スイッチング素子と、前記コンデンサの容量切換手段と、前記第1及び第2スイッチング素子並びに前記容量切換手段を制御して前記脱磁コイルにパルス磁界を印加した後に前記容量切換手段の切り換えて該パルス磁界より低い強度の交流減衰磁界を印加する制御装置と、を備えることを特徴とする脱磁装置。

請求項7

前記容量切換手段は、並列接続した複数個のコンデンサの何れかをオフにするスイッチを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の脱磁装置。

技術分野

0001

本発明は、希土類磁石脱磁方法及び脱磁装置係り、特に電気機器等に内蔵されている希土類磁石の脱磁に適した脱磁方法及び脱磁装置に関する。

背景技術

0002

希土類磁石はアルニコフェライト磁石に比較し高い磁石特性を有するため、HDDハードディスクドライブ)の磁気ヘッド駆動用VCM(ボイスコイルモータ)、省エネ型エアコンコンプレッサー用モータ自動洗濯機用モータ、さらにはハイブリッド自動車用モータ等に大量に使用されており、必要不可欠な材料で今後も使用量が増大すると予想される。希土類磁石は、フェライト磁石等の他の磁石と比較し高い残留磁束密度Brを持つだけではなく高い固有保磁力Hcjを持ち、大電流の入力に対し減磁せずに機械的出力を取り出せる。しかし、この高い固有保磁力Hcjのため、なんらかの理由、たとえば着磁時の極性間違い、着磁後に磁気回路装置を再度分解する必要が生じた場合、あるいは機器廃棄物化に伴う分解の必要性等で、脱磁が必要になった時には脱磁が困難となる。

0003

永久磁石の脱磁方法には、特許文献1に開示されているように、2種類の方法が知られている。磁石温度キュリー点以上に昇温して熱的に脱磁する熱脱磁方法と、外部から磁界印加して脱磁する磁気的脱磁方法である。

0004

熱脱磁方法は、強磁性体キュリー温度以上では常磁性体となり、その磁気を失うことを利用して脱磁するものである。希土類磁石のキュリー温度は、SmCo5で727℃、Sm2Co17で920℃、Nd2Fe14Bで313℃、SmFeNx磁石で478℃である。この方法は、SmCo5系磁石唯一の希土類磁石であった時代には希土類磁石のほぼ唯一の脱磁方法であった(非特許文献1)。

0005

しかしながら、熱脱磁方法は、脱磁対象物をキュリー点+α以上の温度に上げなければならないため加熱炉が必要であるだけでなく、昇温および冷却に時間を要する。さらに、SmCo系磁石では正規保磁力を得るための最終熱処理温度がキュリー点以下にある。このため磁石特性を劣化させずに熱脱磁することはほぼ磁石メーカにしか実施できない。また、SmFeNボンド磁石では、バインダー有機樹脂が使用されているため、バインダーの劣化のなしに熱脱磁は行えない。さらに、NdFeB磁石では正規の保磁力を得るための最終熱処理温度が約500℃のため、磁石特性(特に保磁力Hcj)の劣化を心配せず唯一熱脱磁が行えるが、非酸化雰囲気中での熱処理が必要で、やはり簡単ではない。また、これらの磁石を内蔵する機器を分解しないで脱磁するには、磁石を内蔵する機器が昇温によりガス等を発生するならばその対策を必要とするうえ、本来必要でない部分も加熱しなければならないため省エネの観点からも熱脱磁は好ましくない。

0006

磁気的脱磁方法には磁界の反転を1〜数回で脱磁する直流脱磁法と、保磁力以上の交番減衰磁界を印加して脱磁する交流減衰脱磁方法とがある。

0007

直流脱磁法は主に電磁石を利用して磁石固有保磁力Hcjに略等しい減磁界を印加して脱磁する方法であり、電磁石閉回路中で磁石の減磁特性曲線を測定する際には多用されている。しかしながら、直流脱磁方法は、2T(20kOe)以上の磁界の発生が電磁石では困難のため、高い減磁界を必要とする希土類磁石の脱磁には向かない。

0008

交流減衰脱磁方法は、固有保磁力より高い磁界を交番ないし交流的に磁界を減衰させながら印加し脱磁する方法である。既にフェライト磁石の脱磁用には、商用電源からサイリスタ通電角を制御して直接交番減衰磁界を発生させる脱磁器が市販されている。アルニコ磁石の脱磁では交流磁界コイル中から磁石を引き出し移動させて交流減衰磁界をつくる方法も良く用いられている。

0009

高い固有保磁力を有する希土類磁石の脱磁には大きな減磁界を必要とする。このため商用電源から電気的エネルギーコンデンサ充填し、この充填エネルギーを一機に放出して大電流を得るコンデンサ電源が、交流減衰脱磁方法では採用される。

0010

この交流減衰脱磁方法には、特許文献2に開示されているように、磁界の印加方向により2通りの方法がある。通例減磁界は磁石配向方向と同一の平行方向に印加される(「平行磁界脱磁」という。)が、充分な磁界を印加すれば磁石配向方向に直角に印加(「直角磁界脱磁」という。)しても脱磁が可能であることが開示されている。

0011

特許文献2によれば、Hcj=1.19MA/m(14.9kOe)の希土類ボンド磁石を脱磁するのに、平行磁界脱磁の場合に必要な脱磁磁界強度は2.5MA/m(31kOe)であった。しかしながら、直角磁界脱磁の場合には必要な脱磁磁界強度は5MA/m(63kOe)であった。これより直角方向の交流減衰磁界脱磁では、平行磁界脱磁の約2倍の脱磁磁界強度が必要なことになる(ここで脱磁磁界強度とは、正逆交互に発生してそのピーク磁界強度漸次減衰するパルス状の脱磁磁界の最大磁界強度を意味する)。このような大磁界を発生させるためにはコイルの巻数が多くなり、また流す電流が大きいためコイルの発熱が大きくなる等の問題が指摘されていた。

0012

交流減衰磁界脱磁方法は、固有保磁力Hcjより高い磁界を交番ないし交流的に印加し脱磁する方法であるが、その際必要になるとされる磁界は、特許文献2に開示されているように保磁力Hcjの2〜3倍であると考えられている。

0013

フェライト磁石の代表的高保磁力材質の保磁力Hcjは318kA/m(4kOe)程度であるのに対し、磁石特性だけでなく経済性にも優れる希土類磁石NdFeB磁石では、材質にもよるが875kA/m〜2626kA/m(11kOe〜33kOe)以上と、非常に高い値を有する。NdFeB磁石の最高の保磁力材質は、Hcj≧2626kA/m(33kOe)であり、脱磁に要する磁界は5253kA/m〜7880kA/m(66kOe〜99kOe)と非常に高いものとなり、このことが希土類磁石の脱磁を困難にしてきた理由である。

0014

さらに平行方向の交流減衰磁界脱磁(「平行磁界脱磁」)では、減衰させる磁界の割合が重要であり、この割合が大きいと減磁時のヒステリシス曲線が適切な軌跡を描かず良好な脱磁が出来ない。望ましくは連続的に減じていくことが良いとされている(非特許文献1)。

0015

従来、交流減衰磁界は、図7に示すような脱磁電源回路を用いて、商用電源6から、交流位相制御回路8で位相制御して、昇圧トランス7、両波整流回路9を介して、コンデンサ3に充電後、交流位相制御回路8でサイリスタ8a、8bをオフにするとともに、逆並列接続されたサイリスタ21、22をオンにしてコンデンサ3と脱磁コイル4の直列回路中に振動電流を発生させて作り出される。このため振動磁界周期と磁界強度は、コンデンサ3の静電容量Cと脱磁コイル4のインダクタンスL及び抵抗R(付図示)で決定され、例えば、図8のごとくとなり、任意に減衰磁界の減衰割合を制御することはできない。

0016

また、図7図8に示す交流減衰脱磁方法では、磁界が反転する毎の絶対値での減衰が大きいために、希土類磁石やNdFeB系ボンド磁石等のような保磁力の大きい磁石を良好に脱磁することができない(特許文献3の段落「0019」,「0020」)。

0017

そこで特許文献3では、この減衰磁界量を制御する装置及び方法を提案し、減衰磁界量を44.6kA/m(560Oe)以下にすることを求めている。そして、特許文献3には、Hcj=1170kA/m(14.7kOe)の希土類磁石に対し、磁界を2388kA/m(30kOe)からスタートして減衰磁界量を44.6kA/m(560Oe)にして正逆反転させながら60回の磁界を印加することで良好に脱磁されたと開示している。

0018

しかしながら、特許文献3に開示された方法では、所定減衰磁界量にするために磁界1回ごとにコンデンサの充電電圧を調整している。このため、磁石1個の脱磁に要する時間は略2〜8分以上(充電に2〜8秒として;約2秒×60回=約120秒)必要であると推定される。1回の脱磁処理に要する時間が長いことから能率が悪いこと、大電流の通電時間が長いためにコイルの発熱対策が必要になると考えられる。

0019

一方、特許文献4には永久磁石を含む廃棄物処理では破砕機のつまり等の故障の原因になるため、永久磁石の脱磁が必要であることが開示されている。廃棄圧縮機中の磁石の脱磁方法の一つとして、モータ巻線を利用し商用電源を活用して行う脱磁方法が開示されているが、NdFeB磁石を使用する圧縮機用モータの磁石保磁力は、高い保磁力たとえばHcj≒2388ka/m(30kOe)の材質が使用されている。このため脱磁には4.77MA/m〜7.15MA/m(60kOe〜90kOe)の高い減磁界が必要となることになるが、モータ巻線と商用電源の使用は一種の電磁石の使用であり、必要磁界を確保することは困難と考えられる。希土類磁石含有廃棄圧縮機の脱磁には、少なくともパルス大電流が得られるコンデンサ放電電源装置が必要である。したがって、特許文献4が開示する方法はフェライト磁石含有圧縮機にしか適用できないと考えられる。

0020

希土類元素貴重資源である。NdFeB磁石の固有保磁力Hcjを高めるための必須添加元素Dy(ジスプロシウム)は、鉱石中の含有量が少なく特に貴重であるといわれている。このため保磁力を低下させずにDy含有量を減少させる努力が磁石メーカで精力的に行われている。このため廃棄物製品中から貴重な希土類元素、特にDyを回収リサイクルすることは地球環境保護資源有効活用の観点からも重要であるが、現状ほとんど実施されていないと言える。

0021

希土類磁石を内蔵する廃棄物から希土類磁石を安全かつ効率よく回収するためには、強力な磁力を有する希土類磁石の脱磁が必須である。磁石単体の脱磁でも容易でないことに加えて、希土類磁石が組み込まれた磁気回路ないし該磁気回路を内蔵する製品を製品ごと脱磁することは、さらに制約事項が増え希土類磁石単体脱磁以上に困難となることは容易に推定できる。

0022

特開平8−97035号公報
特開2002−141223号公報
特開2008−263079号公報
特開2001−110636号公報

先行技術

0023

山川和郎、大川光吉、本毅信著、「永久磁石磁気回路の設計と応用」、第1版、総合電子出版、昭和54年4月15日、p.244

発明が解決しようとする課題

0024

本発明は、上記従来の技術における問題点を解消するため、必要最高減磁界ならびに脱磁磁界強度を低減しつつ処理時間を短縮可能とし、しかも、希土類磁石内蔵機器を分解せずに内部の希土類磁石を脱磁することができる、脱磁方法及びその脱磁装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0025

本発明は、上記目的を達成するため、本発明に係る脱磁方法は、脱磁されるべき磁石の磁石配向方向と直角方向にパルス磁界を印加し、次いで磁石配向方向に直角方向に交流減衰磁界を印加して脱磁を行うことを特徴とする。

0026

前記パルス磁界を正逆交互に印加することが好ましい。

0027

前記交流減衰磁界はパルス磁界より低い磁界を印加することが好ましい。

0028

また、上記目的を達成するため、本発明に係る脱磁装置は、コンデンサと、該コンデンサに充電するための充電回路と、該コンデンサの両電極間に接続された脱磁コイルと、前記コンデンサの第1電極と前記脱磁コイルの一端に接続され、前記コンデンサの第1電極から前記脱磁コイルの一端に電流を流す第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子と逆並列接続されて、前記第1スイッチング素子と逆方向に電流を流す第2スイッチング素子と、前記コンデンサの第2電極と前記脱磁コイルの他端に接続され、前記コンデンサの第2電極と前記脱磁コイルの他端に電流を流す第3スイッチング素子と、前記第3スイッチング素子と逆並列接続されて、前記第3スイッチング素子と逆方向に電流を流す第4スイッチング素子と、前記コンデンサの第1電極と前記脱磁コイルの他端に接続され、前記コンデンサの第1電極から前記脱磁コイルの他端に電流を流す第5スイッチング素子と、前記脱磁コイルの一端と前記コンデンサの第2電極に接続され、前記脱磁コイルの一端から前記コンデンサの第2電極に電流を流す第6スイッチング素子と、前記第1〜第6スイッチング素子を制御して、前記脱磁コイルにパルス磁界を印加した後、交流減衰磁界を印加する制御装置と、を備えることを特徴とする。

0029

前記コンデンサの容量切換手段を更に備えることが好ましい。

0030

また、上記目的を達成するため、本発明に係る脱磁装置は、他の形態として、コンデンサと、該コンデンサに充電するための充電回路と、該コンデンサの両電極間に接続された脱磁コイルと、前記コンデンサの第1電極と前記脱磁コイルの一端に接続されて前記コンデンサの第1電極から前記脱磁コイルを介して前記コンデンサの第2電極に電流を流す第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子と逆並列接続されて前記第1スイッチング素子と逆方向に電流を流す第2スイッチング素子と、前記コンデンサの容量切換手段と、前記第1及び第2スイッチング素子並びに前記容量切換手段を制御して前記脱磁コイルにパルス磁界を印加した後に前記容量切換手段の切り換えて該パルス磁界より低い強度の交流減衰磁界を印加する制御装置と、を備えることを特徴とする。

0031

前記容量切換手段は、並列接続した複数個のコンデンサの何れかをオフにするスイッチを含むことが好ましい。

発明の効果

0032

本発明によれば、希土類磁石単体、希土類磁石含有磁気回路ないし該磁気回路内蔵品の脱磁が、必要最高減磁界ならびに脱磁磁界強度を低減しつつ処理時間の短縮が可能となり、脱磁が困難のために実施困難な廃棄物中からの希土類磁石の回収等が安全かつ容易に行うことが可能になる。

図面の簡単な説明

0033

本発明に係る脱磁装置の第1実施形態を示す回路図である。
本発明に係る脱磁装置の第2実施形態を示す回路図である。
本発明に係る脱磁装置の第3実施形態を示す回路図である。
本発明に係る脱磁方法による減磁界の一例を示すグラフである。
本発明に係る脱磁方法による減磁界の他の例を示すグラフである。
本発明に係る脱磁方法による減磁界の更に他の例を示すグラフである。
従来の脱磁装置を示す回路図である。
図7の脱磁装置による減磁界を示すグラフである。

0034

本発明に係る脱磁方法及び脱磁装置について、以下に図1〜6を参照して説明する。なお、全実施形態を通じて、同様の構成部分には同符号を付した。

0035

図1は、本発明に係る脱磁装置の第1実施形態を示す回路図である。脱磁装置1は、充電回路2と、コンデンサ3からなるコンデンサーバンクと、コンデンサ3及び脱磁コイル4を含む放電回路5を備える、コンデンサ放電式脱磁電源回路によって構成されている。脱磁装置1は、コンデンサ3の充電後に、脱磁コイル4に瞬時に大電流を供給することができる。

0036

コンデンサ3を充電する充電回路2は、商用電源6に一次側コイル7aが接続される昇圧用トランス7と、商用電源6の一方端子と一次側コイル7aの一方端子との間に逆並列接続されSCR素子8a、8bからなる交流位相制御回路8と、昇圧用トランス7の二次側コイル7bの両端子間に接続されて昇圧された交流を全波整流する両波整流回路9と、両波整流回路9の直流出力端子間に接続された電圧検出回路10と、を備えている。電圧検出回路10の両端子間にコンデンサ3が接続され、電圧検出回路10はコンデンサ3の充電電圧を検出する。

0037

放電回路5は、印加減磁界に一方向パルス磁界を含ませるために、従来のコンデンサ式着磁電源の機能、即ちLC直列回路電流振動を最初の半波のみに抑える機構を有するとともに正逆パルス磁界発生のために、該半波電流パルスの向きを変えられるスイッチ機構を有し、さらに交流減衰磁界を発生させるために、LC直列回路の電流振動を最初の半波のみに抑える機構を解除できる機能を有している必要がある。

0038

そのため、放電回路5は、コンデンサ3の両電極間に接続された脱磁コイル4と、コンデンサ3の第1電極3aと脱磁コイル4の一端4aに接続されてコンデンサ3の第1電極3aから脱磁コイル4の一端4aに電流を流す第1スイッチング素子11と、第1スイッチング素子11と逆並列接続されて第1スイッチング素子11と逆方向に電流を流す第2スイッチング素子12と、コンデンサ3の第2電極3bと脱磁コイル4の他端4bに接続されてコンデンサ3の第2電極3bから脱磁コイル4の他端4bに電流を流す第3スイッチング素子13と、第3スイッチング素子13と逆並列接続されて第3スイッチング素子13と逆方向に電流を流す第4スイッチング素子14と、コンデンサ3の第1電極3aと脱磁コイル4の他端4bに接続されてコンデンサ3の第1電極3aから脱磁コイル4の他端4bに電流を流す第5スイッチング素子15と、脱磁コイル4の一端4aとコンデンサ3の第2電極3bに接続されて脱磁コイル4の一端4aからコンデンサ3の第2電極3bに電流を流す第6スイッチング素子16と、第1〜第6スイッチング素子11、12、13、14、15、16を制御して脱磁コイル4にパルス磁界を印加した後、交流減衰磁界を印加する制御装置17とを、備えている。

0039

一般に、脱磁コイル4には空心コイルが用いられ、第1〜第6スイッチング素子11、12、13、14、15、16は、サイリスタ(SCR)が用いられる。なお、第5スイッチング素子15は、一端(アノード側)が、第1スイッチング素子11(及び第2スイッチング素子12)とコンデンサ3の第1電極3aとの間の接続点に接続されるとともに、他端(カソード側)が、第3スイッチング素子13(及び第4スイッチング素子14)と脱磁コイルの他端4bとの間の接続点に接続されている。また、第6スイッチング素子16は、一端(アノード側)が、第1スイッチング素子11(及び第2スイッチング素子)と脱磁コイル4の一端4aとの間の接続点に接続されるとともに、他端(カソード側)が、第3スイッチング素子13(及び第4スイッチング素子14)とコンデンサ3の第2電極3bとの間の接続点に接続されている。

0040

図2は、本発明に係る脱磁装置の第2実施態様を示す回路図である。図2に示す脱磁装置1’は、コンデンサ3が、並列接続された第1コンデンサ31と第2コンデンサ32とを備え、第2コンデンサ32に直列接続により設けたスイッチ18により、コンデンサ3の容量を切換可能となっている。その他の構成は図1と同様であるので詳細な説明を省略する。スイッチ18は、制御装置17の制御指令に基づいて開閉制御される。

0041

LC直列回路の電流振動の周期を短く抑えることが、減磁減衰磁界量およびコイル発熱に対し有利であるため、コンデンサ容量を小さく切り換えられることが望ましい。すなわち、振動交流電流先行パルス電流より長時間通電になること、減衰磁界量は小さい方が脱磁にとって良いことから、先行パルス電流通電完了後にスイッチ18を遮断して、適当なコンデンサ容量に切り換えることが好ましい。コンデンサ容量の切換手段は、図2に示すものに限らない。

0042

図3は、本発明に係る脱磁装置の第3実施態様を示す回路図である。第3実施形態の脱磁装置は、第2実施形態から、第3〜第6スイッチング素子を取り外した形態であり、その他の構成は同様であるので、詳細な説明を省略する。第3実施形態の脱磁装置1”は、正パルス磁界しか印加できず、逆パルス磁界を印加することはできないが、正パルス磁界を印加した後、スイッチ18の切換により、パルス磁界より低い強度の交流減衰磁界を印加することができる。

0043

次に、上記構成を有する脱磁装置を用いた脱磁方法について説明する。本発明の脱磁方法では、脱磁すべき希土類磁石の磁石配向方向に対して脱磁コイルの減磁界が直角になるように、脱磁すべき希土類磁石を配置する。

0044

HDD(ハードディスクドライブ)は一般に厚みの薄い直方体形状をしていて、外周を肉厚アルミケースと薄い鉄板で覆われ保護されている。HDDの内部にはNdFeB磁石を1ないし2個使用した磁気ヘッドを駆動するためのVCMが内蔵されている。このVCM中のNdFeB磁石の配向方向は、直方体の薄い厚み方向である。

0045

したがって、HDDを分解することなくそのまま脱磁するためには、磁石配向方向が減磁界に直交するよう、脱磁コイル4を構成する空芯コイル中にHDDをたてて固定する。

0046

このようにして被脱磁物を脱磁コイル4中に固定しておいて、商用電源6から、昇圧トランス7、両波整流回路9を介して制御された電圧がコンデンサ3を充電する。このとき、放電回路5の第1〜第6スイッチング素子11〜16はオフとなっている。コンデンサ3の電圧が設定電圧に達して充電が完了したことを電圧検出回路10が検出すると、制御装置17の指令により、交流位相制御回路8で商用電源6とコンデンサ3とが電気的に切り離さる。

0047

充電完了後、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、制御装置17の制御に従い、第1スイッチング素子11、第4スイッチング素子14をオンにして導通状態とし、図4に示すように、最初の一方向パルス直交磁界を発生させる。第3実施形態では、第1スイッチング素子11を導通状態として、図4に示すような一方向パルス直交磁界を発生させる。
上記の第1実施形態及び第2実施形態において、図5に示すように、一方向正逆パルス磁界を被脱磁処理物に作用させる場合には、第1スイッチング素子11、第4スイッチング素子14をオンにして導通状態とし、最初の一方向パルス直交磁界を発生させた後、第1スイッチング素子11、第4スイッチング素子14をオフにして、再度、上記と同様にしてコンデンサ3を充電し、充電完了後、第5スイッチング素子15、第6スイッチング素子16をオンにして導通状態とし、逆方向パルス直交磁界を発生させる。このパルス電流の1パルス当たりの通電時間は極めて短時間(例えば、2〜3msec)であり、大電流による脱磁コイル4の発熱は通常の場合無視し得る程度に抑えられる。正逆パルス電流によるパルス直交磁界は、脱磁対象により異なるが、4回以下にするのが好ましい。パルス直交磁界強度のピーク値は、脱磁すべき磁石の材質、寸法、形状等によって異なるが、例えば、脱磁すべき磁石の保磁力Hcjの2〜3倍程度とすることができ、図5に示すように、最初のパルス直交磁界強度のピーク値とその次のパルス直交磁界強度のピーク値を同じ値とすることもできるし、或いは、コンデンサ3の充電電圧を制御することにより、図6に示すように、パルス直交磁界強度のピーク値を1パルス毎に減少させることもできる。

0048

次に、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、制御装置17の指示により、第5スイッチング素子15及び第6スイッチング素子16をオフにしておいて、第1スイッチング素子11と第2スイッチング素子12、第3スイッチング素子13と第4スイッチング素子14を導通状態とし、LCR共振による交流減衰磁界を脱磁コイル4中に発生させる(図5図6参照)。交流減衰磁界の印加時間は、例えば、40〜50msec程度である。上記第2実施形態では、交流減衰磁界を発生させる前に、制御装置17の指令に基づいて、スイッチ18をオフにすることで、コンデンサ容量を減少させておいて、パルス直交磁界よりも低い強度の交流減衰磁界を印加する。上記第3実施形態では、パルス電流を発生させた後、制御装置17の指令に基づいて、スイッチ18をオフにすることでコンデンサ容量を減少させてから、第2スイッチング素子12を導通状態として、LCR共振による交流減衰磁界を脱磁コイル4中に発生させる(図4参照)。上記第1実施形態において交流減衰磁界強度のピーク値をパルス直交磁界のピーク値より低くするには、コンデンサ3の充電電圧を制御することにより行うことができる。交流減衰磁界は、複数回印加することができるが、2回以下とすることが好ましい。

0049

図1に示すような脱磁装置1を用い、12mm×12mm×2.5mm、Hcj=1393kA/m(17.5kOe)のNdFeB磁石を、脱磁コイル内に配置して直交脱磁を行った。容量が2000μFのコンデンサを用い、まずピーク値が3.53MA/m(44.4kOe)の一方向パルス磁界を正逆1回計2回印加し、続いて脱磁磁界強度の最大値が3.06MA/m(38.5kOe)の振動減衰磁界を2回印加した。その結果、該磁石は鉄板に吸着することもなく、磁石表面磁束密度が1mT(10G)程度でクリップも吸着しない良好な脱磁状態が得られた。特開2002−141223号公報(特許文献2)に開示されている脱磁磁界強度の5.01MA/m(63kOe)と比較し本発明では磁石保磁力Hcjが特許文献2に開示の試料磁石の保磁力Hcjより大きいにも関わらず、最初に印加する磁界強度が3.53MA/m(44.4kOe)と1.48MA/m(18.6kOe)も小さくてもよい結果が得られている。さらに、脱磁に要した時間は、いずれも30秒以下であった。

0050

さらに、最初に印加する一方向正逆パルス磁界ピーク値を4.79MA/m(60.2kOe)、4.29MA/m(53.9kOe),3.78MA/m(47.5kOe)と変更し、続いて同じく脱磁磁界強度の最大値が3.06MA/m (38.5kOe)の振動減衰磁界を2回印加した。いずれも3.53MA/m(44.4kOe)の一方向正逆パルス磁界印加時と同様に良好な脱磁状態が得られた。平行交流減衰磁界脱磁で問題となる減衰磁界量の制約(たとえば減衰磁界量44.6kA/m(560Oe)以下)が1.73KA/m(21.7KOe)まで大きくしても良く大幅に緩和されていることが分かる。

0051

3台のHDD中から飽和着磁されたままのVCM磁気回路を取り出し、容量が2000μFのコンデンサを用い、磁石配向方向が脱磁コイルの軸線と直交して直角脱磁となるようVCM磁気回路を空芯コイル中央部に固定した。ついで、充電電圧を3000Vにセットし、ピーク値が3.66MA/m(46kOe)の一方向正逆パルス磁界を正逆1回計2回印加し、ひき続いて脱磁磁界強度の最大値が3.06MA/m(38.5kOe)の振動減衰磁界を2回印加した。3台ともNdFeB磁石を使用しており、処理後の磁気回路は磁力を失ったために上下に分解し、磁石は回路継鉄を吸着できないような良好な脱磁状態であった。脱磁に要した時間は、いずれも30秒以下であった。脱磁処理前のVCM磁気回路の継鉄からNdFeB磁石をはがし、磁石保磁力を2種類測定したところ、Hcjは1321kA/m(16.6kOe)および1393kA/m(17.5kOe)であった。

0052

次に、図2に示すような脱磁装置を用い、HDDをそのまま脱磁するため内径110mm、高さ120mmの脱磁コイル(空芯コイル)と容量可変(最大容量4000μF)のコンデンサを用い、磁石配向方向が減磁界に直交するよう脱磁コイル中にHDDをたてて固定した。最初に3500V−4000μFで一方向正逆パルス磁界4.46MA/m(56kOe)を正逆1回計2回印加し、次いでコンデンサ容量を2000μFに変更し脱磁磁界強度の最大値が2.23MA/m(28kOe)の直角交流減衰磁界を印加した。4台脱磁処理したが処理後HDDを分解しVCMを取り出したところ、脱磁磁界強度が2.23MA/m(28kOe)とかなり低い値にも拘らず4台ともほぼ磁石は良好に脱磁されていた。脱磁に要した時間は、いずれも30秒以下であった。最初の減磁界を4.06MA/m(51kOe)の一方向パルス磁界正逆1回計2回印加に変更し、2台のHDDにつき同様に処理したが、取り出したVCM磁石はほぼ良好に脱磁されていた。いずれのHDDでも磁石はNiメッキを施したNdFeB磁石であった。

実施例

0053

なお、比較実験として、HDDを横方向に固定して、通常の脱磁で行われる減磁界と磁石配向と平行な脱磁(平行脱磁)を行ったところ、HDD外周金属渦電流が流れ、該電流と印加磁界相互作用により、大きな力が発生しHDDが動いて危険であることが判明した。

0054

本発明は、希土類磁石自体、希土類磁石含有回路、希土類磁石を内蔵しているHDDや圧縮機のローター等の希土類磁石内蔵機器を、再生、リサイクル、或いは、廃棄物処理等に利用可能である。

0055

1、1’、1”脱磁装置
2充電回路
3コンデンサ
4脱磁コイル
5放電回路
11 第1スイッチング素子
12 第2スイッチング素子
13 第3スイッチング素子
14 第4スイッチング素子
15 第5スイッチング素子
16 第6スイッチング素子
17 制御装置

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