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技術 積層用固定子鉄心、回転電機および積層用固定子鉄心の製造方法

出願人 三菱電機株式会社
発明者 米谷晴之倉田裕次吉野裕加島正俊長谷川裕之
出願日 2010年5月18日 (10年6ヶ月経過) 出願番号 2010-114455
公開日 2011年12月1日 (8年11ヶ月経過) 公開番号 2011-244591
状態 特許登録済
技術分野 回転電機の鉄心 電動機、発電機の製造
主要キーワード 鋼板フレーム 円弧型 円周形状 山型形状 横中心線 打ち抜き位置 回転子シャフト 電磁加
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年12月1日)のものです。
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図面 (14)

課題

材料の歩留まりを改善するため、固定子鉄心の外周部に直線部が設けられていると、直線部とスロット底部の間隔が狭くなり、固定子鉄心の直線部で磁束の飽和が起きやすい。磁気飽和は、回転電機の効率を低下させ、電磁振動騒音を引き起こす原因となる。そこで、この発明は、固定子鉄心に起こる磁気飽和を緩和することを目的にしている。

解決手段

外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられコアバックの軸中心に向かって延出した連続する複数のティースを備えた積層用固定子鉄心を使う。コアバックの直線部に最も近いティースの背部には直線部より内側に向かう凹部が、コアバックの直線部に最も近いスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が、それぞれ設けられている。ひとつの直線部には、凹部と凸部が同数設けられていることが好ましい。

概要

背景

固定子鉄心は、電磁鋼板シート打ち抜き、これを積層することで形成される。固定子鉄心は、ティースコアバックからなり、ティースとティースの間はスロットと呼ばれる。固定子鉄心の外周部が円筒状の場合、固定子鉄心の内周面から周方向複数個開けられたスロット底部と外周部との距離は、周方向に等しくなっている。しかし、電磁鋼板から積層用固定子鉄心を打ち抜く際、固定子鉄心の外周が円形であれば4隅に電磁鋼板を利用できない部分が生じるため、材料の歩留まりが低下する。材料の歩留まりを向上する目的で、固定子鉄心の外周に直線状の部分を設けることが考えられている。

ところが、直線状の部分では、円周形状の場合と比較してスロット底部から外周までの距離が短くなり、この部分を通る磁束は磁気飽和を起こしやすい。固定子鉄心のコアバック部分に磁気飽和が発生すると、コイル励磁電流が増えるので、銅損が増加することで回転電機の効率が低下する。また第3次高調波が発生するため、Δ(デルタ結線では循環電流損失が発生し、効率が損なわれる。この高調波により電磁振動騒音が引き起こされる。

固定子鉄心の外周部に金属製のフレームが設けられている場合は、この金属フレーム漏れ磁束が流れることになる。漏れ磁束によって渦電流損失が増加するので、効率が低下する。また、固定子が4極機で、外周部が四角形状の固定子鉄心であれば、三相磁気抵抗アンバランスになり、三相不平衡が発生する。三相不平衡により発生する逆相磁界は、効率の低下、電磁振動・騒音の原因となる。

上記に鑑みて、特許文献1では、直線部にあるスロットの深さを他より浅くしてコアバックの距離をとることにより磁気飽和を緩和している。しかし、この方法では、周方向にスロットの断面積が異なることになり、同じ線径巻線なら小さいスロットに巻くことができる巻数が少なくなる。また巻線のピッチとスロットの大小の位置関係から、特に三相モータではうまく巻線できないという課題が発生する。

これに対し、特許文献2は、直線部に対するスロットの位置を最適化することで、磁気飽和を緩和する技術を開示している。また特許文献3では、打ち抜き時に段違いに鉄心打ち抜き位置をずらすことで、磁気飽和を緩和している。スロット位置の変更は、スロット数によってはうまく設定できないことがある。打ち抜き位置をずらす方法では、材料歩留まり犠牲にする必要が生じる。

概要

材料の歩留まりを改善するため、固定子鉄心の外周部に直線部が設けられていると、直線部とスロット底部の間隔が狭くなり、固定子鉄心の直線部で磁束の飽和が起きやすい。磁気飽和は、回転電機の効率を低下させ、電磁振動・騒音を引き起こす原因となる。そこで、この発明は、固定子鉄心に起こる磁気飽和を緩和することを目的にしている。 外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられコアバックの軸中心に向かって延出した連続する複数のティースを備えた積層用固定子鉄心を使う。コアバックの直線部に最も近いティースの背部には直線部より内側に向かう凹部が、コアバックの直線部に最も近いスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が、それぞれ設けられている。ひとつの直線部には、凹部と凸部が同数設けられていることが好ましい。

目的

励磁電流の増加に伴う銅損の増加、Δ結線時の第3次高調波による循環電流損失の増加および金属フレームへの漏れ磁束による渦電流損失の増加を抑制することができるので、エネルギー効率の高い回転電機を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられ軸中心に向かって延出した連続する複数のティースを備えた積層用固定子鉄心であり、コアバックの直線部に最も近いティースの背部には直線部より内側に向かう凹部が、コアバックの直線部に最も近いスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が、それぞれ設けられていることを特徴とする積層用固定子鉄心。

請求項2

ひとつの直線部には、凹部と凸部が同数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層用固定子鉄心。

請求項3

コアバックの外周に第1の直線部と第2の直線部が線対称の位置に設けられていて、第1の直線部に設けられた凸部と、第2の直線部に設けられた凹部は、嵌合する形状関係にあることを特徴とする請求項2に記載の積層用固定子鉄心。

請求項4

直線部に設けられた凹部と凸部は山型であることを特徴とする請求項3に記載の積層用固定子鉄心。

請求項5

直線部に設けられた凹部と凸部は円弧型であることを特徴とする請求項3に記載の積層用固定子鉄心。

請求項6

外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられ中心軸に向かって延出した連続する複数のティースを備えた積層用固定子鉄心であり、コアバックの直線部に最も近いティースの背部には線分が設けられていて、しかもコアバックの直線部に最も近い2箇所のスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が該線分を挟んで設けられており、この凸線凸部に嵌合する凹線凹部が同一の直線部に設けられていることを特徴とする積層用固定子鉄心。

請求項7

外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられ軸中心に向かって延出した連続する複数のティースを備えた積層用固定子鉄心であり、コアバックの第1の直線部に最も近いティースの背部には第1の直線部より内側に向かう凹部が設けられていて、しかもコアバックの第1の直線部に最も近いスロットの背部には第1の直線部より外側に向かう凸部が設けられており、第1の直線部と線対称の位置にある第2の直線部はなだらかに外側に向かって膨らんでいることを特徴とする積層用固定子鉄心。

請求項8

積層用固定子鉄心が積層されてなる中空状の固定子と、固定子の内部に配置された回転子と、固定子と回転子を収容する円筒状のフレームを備えた回転電機において、積層用固定子鉄心は、外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられ軸中心に向かって延出した連続する複数のティースを備えていて、コアバックの直線部に最も近いティースの背部には直線部より内側に向かう凹部が、コアバックの直線部に最も近いスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が、それぞれ設けられていることを特徴とする回転電機。

請求項9

フレームの材料が鉄であることを特徴とする請求項8に記載の回転電機。

請求項10

金型を用いてフープ材から積層用固定子鉄心を打ち抜く方法であって、積層用固定子鉄心は、外周に円弧状の円周部と円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられコアバックの中心軸に向かって延出した連続する複数のティースを備えていて、コアバックの直線部に最も近いティースの背部には直線部より内側に向かう凹部が、コアバックの直線部に最も近いスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が、それぞれ設けられており、1段目の積層用固定子鉄心の凹凸部と2段目の積層用固定子鉄心の凹凸部が嵌合した状態で2段分一度に打ち抜ける金型をつかって積層用固定子鉄心を打ち抜く工程と、金型を2段分移動して、3段目の積層用固定子鉄心と4段目の積層用固定子鉄心を同時に打ち抜く工程を備えていることを特徴とする積層用固定子鉄心の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、回転電機に関し、特に回転電機の固定子に発生する磁束の飽和緩和する技術に関する。

背景技術

0002

固定子鉄心は、電磁鋼板シート打ち抜き、これを積層することで形成される。固定子鉄心は、ティースコアバックからなり、ティースとティースの間はスロットと呼ばれる。固定子鉄心の外周部が円筒状の場合、固定子鉄心の内周面から周方向複数個開けられたスロット底部と外周部との距離は、周方向に等しくなっている。しかし、電磁鋼板から積層用固定子鉄心を打ち抜く際、固定子鉄心の外周が円形であれば4隅に電磁鋼板を利用できない部分が生じるため、材料の歩留まりが低下する。材料の歩留まりを向上する目的で、固定子鉄心の外周に直線状の部分を設けることが考えられている。

0003

ところが、直線状の部分では、円周形状の場合と比較してスロット底部から外周までの距離が短くなり、この部分を通る磁束は磁気飽和を起こしやすい。固定子鉄心のコアバック部分に磁気飽和が発生すると、コイル励磁電流が増えるので、銅損が増加することで回転電機の効率が低下する。また第3次高調波が発生するため、Δ(デルタ結線では循環電流損失が発生し、効率が損なわれる。この高調波により電磁振動騒音が引き起こされる。

0004

固定子鉄心の外周部に金属製のフレームが設けられている場合は、この金属フレーム漏れ磁束が流れることになる。漏れ磁束によって渦電流損失が増加するので、効率が低下する。また、固定子が4極機で、外周部が四角形状の固定子鉄心であれば、三相磁気抵抗アンバランスになり、三相不平衡が発生する。三相不平衡により発生する逆相磁界は、効率の低下、電磁振動・騒音の原因となる。

0005

上記に鑑みて、特許文献1では、直線部にあるスロットの深さを他より浅くしてコアバックの距離をとることにより磁気飽和を緩和している。しかし、この方法では、周方向にスロットの断面積が異なることになり、同じ線径巻線なら小さいスロットに巻くことができる巻数が少なくなる。また巻線のピッチとスロットの大小の位置関係から、特に三相モータではうまく巻線できないという課題が発生する。

0006

これに対し、特許文献2は、直線部に対するスロットの位置を最適化することで、磁気飽和を緩和する技術を開示している。また特許文献3では、打ち抜き時に段違いに鉄心打ち抜き位置をずらすことで、磁気飽和を緩和している。スロット位置の変更は、スロット数によってはうまく設定できないことがある。打ち抜き位置をずらす方法では、材料歩留まり犠牲にする必要が生じる。

先行技術

0007

特開平11−252841号公報
特開2009−247079号公報
特開2009−195031号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上述したように、材料の歩留まりを改善するため、固定子鉄心の外周部に直線部が設けられている場合、直線部とスロット底部の間隔が狭くなり、固定子鉄心の直線部で磁束の飽和が起きやすい。磁気飽和は、回転電機の効率を低下させ、電磁振動・騒音を引き起こす原因となる。そこで、この発明は、固定子鉄心に起こる磁気飽和を緩和することを目的にしている。

課題を解決するための手段

0009

本願に係わる積層用固定子鉄心は、外周に円弧状の円周部と該円周部に連なる弦状の直線部が設けられたコアバックと、コアバックの内周に設けられ軸中心に向かって延出した連続する複数のティースを備えた積層用固定子鉄心であり、コアバックの直線部に最も近いティースの背部には直線部より内側に向かう凹部が、コアバックの直線部に最も近いスロットの背部には直線部より外側に向かう凸部が、それぞれ設けられているものである。

発明の効果

0010

本願に係わる回転電機の積層用固定子鉄心は、スロットの深さやピッチを周方向に固定したまま、大きく段違いに打ち抜くことなく、作成される。この積層用固定子鉄心から製造される固定子鉄心では、コアバック外周部の直線部における局所的な磁気飽和が緩和される。励磁電流の増加に伴う銅損の増加、Δ結線時の第3次高調波による循環電流損失の増加および金属フレームへの漏れ磁束による渦電流損失の増加を抑制することができるので、エネルギー効率の高い回転電機を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明にかかわる回転電機の概略を示す正面断面図(a)と側面断面図(b)である。
固定子鉄心とフレームの関係を表す断面図である。
固定子鉄心の磁束密度解析した結果を説明するための図である。
固定子鉄心に発生した漏れ磁束の影響を説明するための図である。
実施の形態1に対応し、磁気飽和の顕著な位置が2箇所のスロット底部に起きている場合を説明する図である。
磁気飽和の顕著な位置がスロット底部に一箇所起きる場合を説明するための図である。
4箇所の直線部を有する積層用固定子鉄心とフープ材配置関係を説明する図である。
固定子鉄心の直線部に設けられた山型の凹部と山型の凸部の関係を説明するための図である。
実施の形態2対応し、凹部と凸部の形状が円弧型である場合を説明する図である。
実施の形態3に対応し、円弧型の凹部と円弧型の凸部が直線部に一組設けられている場合を説明する図である。
実施の形態4に対応し、凹部と凸部の間に線分が設けられた凹凸部を説明するための図である。
実施の形態5に対応し、フープ材と、2箇所の直線部が設けられた積層用固定子鉄心の配置関係を説明する図である。
実施の形態5に対応し、直線部に設けられたなだらかな凸部を説明するための図である。

実施例

0012

実施の形態1.
本願は、汎用三相誘導機などの回転電機に広く利用可能である。回転電機の概略断面構成を表す正面図を図1(a)に、側面図を図1(b)に示す。インナーロータ型の回転電機1は、中空状の固定子2と、固定子2の内部に配置された回転子3と、固定子2と回転子3を収容する円筒状のフレーム4から構成されている。固定子2は、磁性材料からなる中空状の固定子鉄心5と、巻き線から形成された複数のコイル6から構成されている。ここでは9個のコイル6が示されている。回転子3は金属製の回転子シャフト7と、永久磁石が結合された回転子連結材8から構成されている。回転子3は、コイル6に電流を流して固定子2を励磁するに伴い回転を始める。

0013

図2はフレーム4と固定子鉄心5の関係を表す断面図である。固定子鉄心5は薄板状の積層用固定子鉄心11を複数枚積層し、一体化したものである。固定子鉄心5と積層用固定子鉄心11は、おおよそ環状のコアバック18と、コアバック18の内側に設けられたT字状の形態を有するティース12から構成されている。コアバック18の外周は、円弧状の円周部13と、弦状の直線部14を備えている。ここでは、直線部14は4箇所設けられている。フレーム4と固定子鉄心5の間には4箇所の隙間15が存在する。

0014

図2の例では、固定子鉄心5には36個のティース12が円周上、等間隔に途切れなく設けられている。スロット16はティース12とティース12の間の隙間を指している。隣り合うティース12を繋ぐ部分をスロット底部17と呼ぶ。4箇所の直線部14には、凹凸部22がそれぞれに設けられている。上下に設けられた凹凸部22は横中心線に対し互いに線対称の関係にある。同様に左右に設けられた凹凸部22は縦中心線に対し互いに線対称の関係にある。

0015

図3は固定子鉄心5の磁界分布を解析した結果を表している。磁界強度は固定子鉄心5の右半分について濃度の差として表現されている。コアバック18の内周側から軸中心31に向かってティース12の足部12aが延出している。足部12aにはコイル6が取り付けられる。円周部13と直線部14を比較すると、直線部14ではスロット底部17から外周までの距離が短いため、鉄心が不足しがちである。これに対し、円周部13ではスロット底部17から外周までの距離が均等で、直線部14よりも長い。このため、直線部14は円周部13に比べると磁束が飽和しやすい。垂直線32は直線部14に垂直な直線のうち、固定子鉄心5の軸中心31を通る直線をあらわしている。コアバック18の直線部14には磁気飽和が顕著に起こりやすい場所が垂直線32を挟んで、上下に2箇所現われている。

0016

磁束が飽和した場合の影響を図4に基づいて説明する、固定子鉄心5が飽和していると主磁束のほかに漏れ磁束が存在する。図4には、主磁束は固定子鉄心5のコアバック18を通るが、漏れ磁束はフレーム4を通ることが描かれている。漏れ磁束はフレーム4に渦電流を誘発する。フレーム4に流れる渦電流は漏れ磁束に垂直な方向(紙面に対し垂直方向)に流れる。スロット背部17sでは鉄心の量が少ないため、ティース背部12sに比べると磁束が飽和しやすい。

0017

漏れ磁束が増加すると、コイルの励磁電流が増加するので、銅損が増大し回転電機の効率は低下する。また第3次高調波が発生するため、Δ結線では循環電流損失が発生する。この高調波は電磁振動・騒音を引き起こす可能性がある。固定子鉄心5の外周部に金属製のフレーム4を設けた場合は、この金属フレームに漏れ磁束が流れることになる。渦電流損失が発生するので、効率は損なわれる。例えば、4極機の固定子で、固定子鉄心が四角形状であれば、三相の磁気抵抗がアンバランスになり、三相不平衡が発生する。三相不平衡により発生する逆相磁界は、効率の低下、電磁振動・騒音の増大を誘引する。

0018

このため回転電機1のフレーム4の材料は鉄(鋼板または鋳鉄)であることが好ましい。フレーム4が鋼板フレームであれば、固定子鉄心5の外周部の直線部14で磁気飽和が顕著になると、磁束が鋼板に漏れることで、鋼板フレームに渦電流損失が発生するが、直線部14に凹凸部22を設けることで、鋼板フレームに発生する渦電流損失は低減する。

0019

直線部14の中でも、磁気飽和が最も顕著な場所はスロット底部17と直線部14の位置関係で変わる。図5には、ティース12mとスロット底部17mが表示されている。垂直線32は直線部14に垂直な直線のうち、固定子鉄心5の軸中心を通る直線をあらわす。ティース12mは直線部14に配置されたティースのうち、足部12aの付け根と直線部14との距離が最も短いものを指している。同様に、スロット底部17mは、直線部14に配置された複数(4箇所)のスロット底部の中で、直線部14との距離が最も短いものを指す。

0020

図5に示す位置関係では、図3の場合と同様に、垂直線32はティース12mの足部12aを通るが、スロット底部17mは通らない。垂直線32上にはティース12mの足部12aがあるため、磁気飽和は鉄心が少ないスロット底部17mで起こる。磁気が飽和しやすいスロット底部17mは2箇所存在する。図中の2本の矢印は磁気が飽和しやすい位置を示している。磁気飽和はスロット背部17sで起きている。残りの両隣の2箇所のスロット底部では、直線部との距離がスロット底部17mに比べると長いため磁束の飽和が起こりにくい。2箇所のスロット底部17mと垂直線32は半スロット分、上下に離れている。

0021

図6においても、垂直線32は直線部14に垂直な直線のうち、固定子鉄心5の軸中心を通る直線をあらわしている。スロット底部17mは、複数のスロット底部の中で、直線部14からの距離が最も短いものを表している。図6に示す位置関係では、垂直線32はスロット底部17mを通る。この場合、磁気飽和が顕著な位置は一箇所になる。図5と比べると、図6では、スロット17の位置は半スロット分、周方向にずれている。図に3個示されているスロット底部17のうち、中央のスロット底部17mで磁気飽和が発生しやすい。両隣のスロット底部17では、直線部14からの距離がスロット底部17mに比べると長いため磁束の飽和が起こりにくい。図中の矢印は磁気が飽和しやすい位置を示している。磁気飽和はスロット背部17sで起きる。

0022

以上の解析を基に本願では、直線部14に凹凸部22を設けることによって、磁気飽和を緩和している。図7はフープ材20と積層用固定子鉄心11の配置関係を表している。積層用固定子鉄心11はフープ材20から金型を用いて打ち抜き加工で、一周分を周方向に分割することなく製造される。フープ材20は、細長鉄板をコイル状に巻いた鋼材を指し、ここでは電磁鋼板のシートを用いている。図には、一枚のフープ材20に6個の積層用固定子鉄心11が描かれている。1つの積層用固定子鉄心11には4箇所の直線部14が設けられている。

0023

積層用固定子鉄心11は、固定子鉄心5と同様に、およそ環状のコアバック18と、コアバック18の内側に設けられたT字状の形態を有するティース12から形成されている。フープ材20の幅は、円周部13の外寸法の2倍よりも狭い。本願では、フープ材20の材料取りを向上させるために、積層用固定子鉄心11の直線部14が、隣り合う積層用固定子鉄心11の直線部14とつき合わす格好に配置されている。鉄心打ち抜き時に隣の鉄心を少しずらすだけで、ほぼ直線と同様の材料歩留まりを達成することができる。

0024

右列の積層用固定子鉄心11と左列の積層用固定子鉄心11は中央の直線部14で互いに接触している。また、上段の積層用固定子鉄心11は中段の積層用固定子鉄心11と直線部14で互いに接触している。同様に、中段の積層用固定子鉄心11は下段の積層用固定子鉄心11と直線部14で互いに接触している。2本の縦点線33は積層用固定子鉄心11の中心をつなぐ線である。右列の積層用固定子鉄心11は概略一直線上に配置されているが、中央の積層用固定子鉄心11は上下の積層用固定子鉄心11に比べて右側に半スロット分ずれている。同様に左列の積層用固定子鉄心11は概略一直線上に配置されているが、中央の積層用固定子鉄心11は上下の積層用固定子鉄心11に比べて右側に半スロット分ずれている。

0025

3本の横点線34は、右側の積層用固定子鉄心11の中心と左側の積層用固定子鉄心11の軸中心を通る。上段右側の積層用固定子鉄心11は上段左側の積層用固定子鉄心11よりも上側に半スロット分ずれている。同様に中段右側の積層用固定子鉄心11は中段左側の積層用固定子鉄心11よりも上側に半スロット分ずれている。また下段右側の積層用固定子鉄心11は下段左側の積層用固定子鉄心11よりも上側に半スロット分ずれている。

0026

右側の積層用固定子鉄心11と左側の積層用固定子鉄心11の位置関係を図8を用いてさらに詳しく説明する。図8には、左側に配置された積層用固定子鉄心11aと、右側に配置された積層用固定子鉄心11bが、凹凸部が設けられた互いの直線部14を嵌合して配置されている様子が描かれている。積層用固定子鉄心11aの直線部14と、積層用固定子鉄心11bの直線部14にはそれぞれ凹部23と凸部24が設けられている。垂直線34aは直線部14に垂直な直線のうち、積層用固定子鉄心11aの軸中心を通る直線をあらわしている。垂直線34bは直線部14に垂直な直線のうち、積層用固定子鉄心11bの軸中心を通る直線をあらわしている。積層用固定子鉄心11bは、積層用固定子鉄心11aに比べると、半スロット分、上方向にずれている。スロット背部17sはスロット底部17と直線部14に挟まれた領域を指している。ティース背部12sは足部12aがあるため、鉄心が足りている。このことから、凸部24はスロット背部17sに、凹部23はティース背部12sに設ける。

0027

積層用固定子鉄心11aの垂直部14と積層用固定子鉄心11bの垂直部14には、スロット底部17mがそれぞれ2箇所存在する(図5参照)。右側のスロット底部17mは左側のスロット底部17mよりも半スロット分上がっている。このことを利用して、積層用固定子鉄心11aの直線部14では、上から先ず内側に向かう凹部23を設け、そのあと外側に向かう凸部24を設けている。さらに、直線部14は内側にへこみ、そのあと積層用固定子鉄心11bのほうに凸に膨らんでいる。結局、山型の凹部23と山型の凸部24が、積層用固定子鉄心11aと積層用固定子鉄心11bにそれぞれ2組設けられている。凹部23と凸部24は一箇所の直線部14に同数設けられる。

0028

積層用固定子鉄心11aの凸部24は積層用固定子鉄心11bの凹部23に嵌合する。積層用固定子鉄心11aの凹部23は積層用固定子鉄心11bの凸部24に嵌合する。凹部23と凸部24の深さは、ティース背部の凹部23とスロット底部の距離が、スロット底部と凸部24の距離より短くならない程度である。この場合、フープ材から打ち抜くときの上下左右コアのずれは、およそ半スロットになる。また、凹部23と凸部24をほぼ同形状にしておくことで、図7あるいは図12に示すように、少しずらすだけでフープ材から積層用固定子鉄心を廃材をうまずに抜くことができ、材料を歩留まり良く利用できる。

0029

なお、一枚の積層用固定子鉄心を打ち抜く金型を使って、図7のように、凹凸部22を嵌合させながら打ち抜くには、一回打ち抜くたびに金型の向きを90度回転させる必要があり、大層である。そこで実際には、1段目と2段目に含まれる4個の積層用固定子鉄心を一体で一度に打ち抜ける金型を使うと便利である。この金型を用いて、1段目の積層用固定子鉄心の凹凸部と2段目の積層用固定子鉄心の凹凸部が嵌合した状態で2段分一度に打ち抜く。次に、金型を下方向に2段分移動して、3段目の積層用固定子鉄心と4段目の積層用固定子鉄心を一度に打ち抜く。

0030

直線部に凹凸部22を設けた回転電機の固定子鉄心は、スロットの深さやピッチを周方向に固定したまま、大きく段違いに打ち抜くことなく、作成される。このように作成された回転電機では、固定子鉄心の外周部の直線部においてコアバックの局所的な磁気飽和が緩和される。励磁電流の増加に伴う銅損の増加、Δ結線時の第3次高調波による循環電流損失の増加および金属フレームへの漏れ磁束による渦電流損失の増加を抑制することができるので、エネルギー効率の高い回転電機を提供することができる。

0031

また、上記の第3次高調波などの磁気飽和により発生する高調波磁束を低減することができるため、電磁振動・騒音の原因となる電磁加振力が減少し、静粛な回転電機を提供することができる。さらに、極数によっては、三相のインピーダンスが局部磁気飽和によって異なるものとなり、三相不平衡電流が流れる可能性があるが、これによる効率の低下や電磁加振力を未然に防止することができる。

0032

実施の形態2.
実施の形態2〜実施の形態5では、凹部23と凸部24の別の形態を示す。実施の形態2を表す図9では、凹部23と凸部24がそれぞれ円弧状を呈している。円弧型の凹部23が2箇所、円弧型の凸部24が2箇所、一つの直線部14に設けられている。凹凸部の形状が山型形状に比べるとなだらかになっているため、磁束の漏れが減り、取り扱うときに怪我を防止する効果も生み出す。直線部14とスロット底部17の関係は図5と同じである。円弧型の凹部23と円弧型の凸部24は嵌合する形状関係にある。垂直線32は、ティースを通過している。

0033

実施の形態3.
図10は、垂直線32がスロット底部17mを通る場合を示している。凹部23が1箇所、凸部24が1箇所、一つの直線部14に設けられている。この場合、フープ材20から打ち抜くときの上下左右のコアのずれは、およそ半スロットになる。直線部14とスロット底部17の関係は図6と同じである。ここでも、凹部23の数と、凸部24の数は等しい。円弧型の凹部23と円弧型の凸部24は嵌合する形状関係にある。

0034

実施の形態4.
図11では、垂直線32はティース12の足部12aを通る。実施の形態2と比べると、凹部23と凹部23の間、および凸部24と凸部24の間に線分25が2箇所設けられている点が異なる。凸部24は図の下側から線分25を挟んで2箇所設けられ、凹部23に直接繋がっている。この下側の凹部23は線分25を挟んで上側の凹部23に繋がっている。凸線凸(凸部−線分−凸部)部と凹線凹(凹部−線分−凹部)部は嵌合する形状関係にある。最も磁気飽和が発生しやすい場所は、図5で説明したように2箇所ある。スロット背部が上下の凸部24に対応している。この場合、フープ材20から打ち抜くときの上下左右のコアのずれは、1スロット以上になる。

0035

実施の形態5.
フープ材20から複数の積層用固定子鉄心を打ち抜く際、積層用固定子鉄心は少しずれて打ち抜かれるため、フープ材20の端には少し余裕ができる。図12は、積層用固定子鉄心11cと積層用固定子鉄心11dとフープ材20の関係を表している。4枚の積層用固定子鉄心11cはフープ材20の上端側および下端側に配置された積層用固定子鉄心を指している。3枚の積層用固定子鉄心11dは積層用固定子鉄心11cに挟まれた積層用固定子鉄心を指す。

0036

図7と同様に、1段目の積層用固定子鉄心と3段目の積層用固定子鉄心は、一直線上にある。2段目の積層用固定子鉄心と4段目の積層用固定子鉄心は、一直線上にある。2段目の積層用固定子鉄心および4段目の積層用固定子鉄心は、1段目の積層用固定子鉄心に対し、半スロット分、右方向にずれており、凹凸部22を嵌合させた状態で配置されている。

0037

積層用固定子鉄心11cと積層用固定子鉄心11dには直線部14が2箇所設けられている。積層用固定子鉄心11dの2箇所の直線部には、それぞれに凹凸部22が設けられているが、積層用固定子鉄心11dには凹凸部22を一箇所設けている。積層用固定子鉄心11cの開放端側の直線部では、凹部があっても意味はないので、なだらかな凸部24を設ける。図13は、積層用固定子鉄心11cの開放端側を示している。開放端側の直線部14cは一つの凸部24のみで構成されていて、なだらかに外側に向かって膨らんでいる。

0038

一枚の積層用固定子鉄心を打ち抜く金型を使って、図12のように、凹凸部22を嵌合させながら打ち抜くには、一回打ち抜くたびに金型の向きを180度回転させる必要がある。そこで実際には、1段目と2段目に含まれる2個の積層用固定子鉄心11を一度に打ち抜ける金型を使うと便利である。

0039

本願は、回転電機の固定子一般に利用可能である。特に、固定子鉄心を一体で電磁鋼板のシートから打ちぬく回転電機において、コアバックの磁束密度が高くなる場合に効果がある。

0040

1回転電機、2固定子、3回転子、4フレーム、5固定子鉄心、6コイル、11積層用固定子鉄心、12ティース、12s ティース背部、13円周部、14 直線部、16スロット、17 スロット底部 、17s スロット背部、18コアバック、20フープ材、22凹凸部、23 凹部、24 凸部、25 線分

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