図面 (/)

技術 アニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金と耐熱超合金部材

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 谷月峰袁勇長田俊郎横川忠晴原田広史
出願日 2010年5月6日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2010-106702
公開日 2011年11月24日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 2011-236450
状態 特許登録済
技術分野 タービンロータ・ノズル・シール タービンの細部・装置 ガスタービン、高圧・高速燃焼室 タービンロータ・ノズル・シール 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード アニーリング処理後 比重制御 添加成分元素 最小応力 ニッケル基耐熱合金 高温圧縮試験 応力破断 初期溶融温度

この技術の活用可能性のある市場・分野

関連する未来課題
重要な関連分野

この技術に関連する成長市場

関連メディア astavision

  • 人工筋肉・ソフトアクチュエータ

    人工筋肉とは、ゴムや導電性ポリマー、形状記憶合金、カーボン・ナノチューブなどで作られた伸縮性のアクチ…

  • ワクチンと自然免疫制御

    2009年6月、世界保健機関(WHO)は、新型インフルエンザA(N1H1)のパンデミック(pande…

  • 燃料電池車

    水素を燃料とし、空気中から取り込んだ酸素と反応させることで生み出した電気エネルギーを駆動力に利用する…

後で読みたい技術情報を見つけたら、ブックマークしておきましょう!

ページの右上にあるブックマークボタンからこのページをブックマークできます。
あなたがブックマークした技術情報は、いつでもマイページのリストから閲覧することが出来ます。

この項目の情報は公開日時点(2011年11月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

主には耐熱特性が大きく改善された、アニーリングツイン含有するニッケル基耐熱超合金を提供すること。

解決手段

クロムコバルトチタンアルミニウムおよびニッケルを主要元素として含み、添加成分元素不可避的不純物元素の含有を許容し、アニーリングツインの長さの合計が、断面積104μm2当たり500μm以上である。

背景

航空エンジン発電ガスタービンなどの耐熱部材、たとえば、タービンディスクは、動翼を保持し、高速回転する部品であり、このような部品には、非常に大きな遠心応力に耐え、かつ疲労強度クリープ強度および破壊靱性に優れる材料が必要とされる。一方、燃費や性能向上に伴い、エンジンガス温度の向上とタービンディスクの軽量化が求められ、材料にはより高い耐熱性強度も必要とされる。

一般に、タービンディスクにはニッケル基鍛造合金が用いられている。たとえば、γ’’(ガンマダブルプライム)相を強化相として利用したInconel718やγ’’相よりも安定なγ’(ガンマプライム)相を25vol%程度析出させ、強化相として利用したWaspaloyが多用されている。また、1986年以降、高温化の観点からUdimet720が導入されている。Udimet720は、γ’相を45vol%程度析出させ、かつγ相の固溶強化のためにタングステン添加され、耐熱特性に優れるものである。

一方、Udimet720は、組織定性が必ずしも十分ではなく、有害なTCP(Topologically close packed)相が使用中に形成するため、クロム量を減少させるなどの改良を施したUdimit720Li(U720Li/U720LI)が開発された。しかしながら、改良されたUdimit720Liにおいても、依然TCP相の発生が避けられず、長時間や高温での使用が制限されている状況にある。また、Udimit720およびUdimit720Liは、γ’固相線温度(solvus)と初期溶融温度の差が小さいため、熱間加工熱処理などのプロセスウィンドウが狭いことも指摘される。これらのことに起因して、鋳造鍛造プロセスにより均質なタービンディスクを製造することが難しく、実用上の問題となっている。

高強度が求められる高圧タービンディスクには、AF115、N18、Rene88DTなどに代表される粉末冶金合金が使用される場合がある。粉末冶金合金は、強化元素を多く含むにも関わらず、偏析のない均質なディスクが得られるというメリットがある。一方、この粉末冶金合金には、介在物混入を抑制するために、清浄度の高い真空溶解粉末分級時のメッシュサイズの適正化などの高度な製造工程管理要求され、製造コストが大幅に上がるという問題がある。

その他に、従来のニッケル基耐熱超合金化学組成については数多くの改良提案がなされてきている。そのいずれも、主要構成元素として、コバルトクロムモリブデンまたはモリブデンとタングステン、アルミニウム、そしてチタン含有し、さらに、代表的なものでは、ニオブまたはタンタルのいずれか一方または両方を必須の成分元素としている。このようなニオブやタンタルの含有は、上記粉末治金には適しているものの、鋳造鍛造を難しくする要因となっている。また、コバルトは、比較的その含有割合が高いが、特定の場合を除き、コストなどとの兼ね合いから含有量は、20質量%程度以下に抑えられている。

チタンは、γ’相を強化させ、引張強度亀裂伝播抵抗を向上させる働きをすることから添加されている。しかしながら、チタンの過剰の添加は、γ’固相線温度を高めることに加え、有害相を生成させ、健全なγ’組織を得ることが難しいとの観点から、5質量%程度までに制限されている。

このような状況において、本発明者らは、ニッケル基耐熱超合金の化学組成の最適化について検討を加え、コバルトを55質量%まで積極的に添加することにより有害なTCP相の抑制が可能であることを見出している。また、本発明者らは、コバルトと同時にチタンを所定の比率で増加させることによって、γ/γ’の2相組織を安定化させることが可能であることを見出している。これらの知見に基づき、従来の合金に比べてより高い温度域においても長時間耐えることが可能であり、かつ加工性の良好なニッケル基耐熱超合金を提案している(特許文献1)。

一方、ニッケル基耐熱超合金の性能改善では、ニッケル基耐熱合金ミクロ組織に着目した提案がいくつか行われている。たとえば、粉末合金によるニッケル基耐熱合金ビレットを鍛造および熱処理工程を経ることによって、平均結晶粒度が20−40μmであり、粒子内の全体に30nmの細かいγ’が均一に分布し、かつ結晶粒界に0.3−0.4μmの粗いγ’が形成しているミクロ組織を有する合金が提案されている(特許文献2、3)。

また、透過型電子顕微鏡で2次元的に観測される金属組織中に、長径が0.5nm以上である析出物が1μm2当たり700個以上の割合で存在し、かつ平均径が25nmから1μmの大析出物が含まれる合金が提案されている(特許文献4)。

しかしながら、特許文献2、3に記載された合金は、プロセスが複雑で、製造コストの高い粉末合金であり、この合金では、最適なミクロ組織が化学組成によって異なり、一部の限定された材料および製法にのみ適用可能なものであると考えることができる。また、特許文献4には、好ましい金属組織の範囲が提案されているだけであり、合金特性との相関性に関する具体的なデータは見出されない。

概要

主には耐熱特性が大きく改善された、アニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金を提供すること。クロム、コバルト、チタン、アルミニウムおよびニッケルを主要元素として含み、添加成分元素不可避的不純物元素の含有を許容し、アニーリングツインの長さの合計が、断面積104μm2当たり500μm以上である。

目的

本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、主には耐熱特性が大きく改善された、アニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

クロムコバルトチタンアルミニウムおよびニッケルを主要元素として含み、添加成分元素不可避的不純物元素の含有許容するニッケル基耐熱超合金であって、アニーリングツインの長さの合計が、断面積104μm2当たり500μm以上であることを特徴とするアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項2

ミクロ組織平均結晶粒度が1μm以上60μm未満であることを特徴とする請求項1に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項3

質量%で、クロムを1.0%以上30.0%以下、コバルトを5.0%以上55.0%以下、チタンを2.5%以上15.0%以下、アルミニウムを0.2%以上7%以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項4

質量%で、コバルトを9.5%以上50.0%以下含むことを特徴とする請求項3に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項5

質量%で、コバルトを13.5%以上50.0%以下含むことを特徴とする請求項4に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項6

質量%で、コバルトを19.5%以上50.0%以下含むことを特徴とする請求項5に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項7

質量%で、チタンを5.1%以上15.0以下含むことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項8

質量%で、チタンを5.3%以上10.0以下含むことを特徴とする請求項7に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項9

5.0質量%以下のモリブデン、7.0質量%以下のタングステン、5.0質量%以下のニオブの少なくとも一つを添加成分元素として含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項10

0.01質量%以上0.2%質量以下のジルコニウム、0.01質量%以上0.15%質量以下の炭素、0.005質量%以上0.1質量%以下のホウ素の少なくとも一つを不可避的不純物元素として含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金。

請求項11

請求項1から10のいずれか一項に記載のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金から、鋳造鍛造または粉末冶金の少なくとも一つの方法により製造されたものであることを特徴とする耐熱超合金部材

技術分野

0001

本発明は、航空エンジン発電用ガスタービンなどの耐熱部材、特に、タービンディスクタービン翼などに用いられるニッケル基耐熱超合金に関する。

背景技術

0002

航空エンジン、発電ガスタービンなどの耐熱部材、たとえば、タービンディスクは、動翼を保持し、高速回転する部品であり、このような部品には、非常に大きな遠心応力に耐え、かつ疲労強度クリープ強度および破壊靱性に優れる材料が必要とされる。一方、燃費や性能向上に伴い、エンジンガス温度の向上とタービンディスクの軽量化が求められ、材料にはより高い耐熱性強度も必要とされる。

0003

一般に、タービンディスクにはニッケル基鍛造合金が用いられている。たとえば、γ’’(ガンマダブルプライム)相を強化相として利用したInconel718やγ’’相よりも安定なγ’(ガンマプライム)相を25vol%程度析出させ、強化相として利用したWaspaloyが多用されている。また、1986年以降、高温化の観点からUdimet720が導入されている。Udimet720は、γ’相を45vol%程度析出させ、かつγ相の固溶強化のためにタングステン添加され、耐熱特性に優れるものである。

0004

一方、Udimet720は、組織定性が必ずしも十分ではなく、有害なTCP(Topologically close packed)相が使用中に形成するため、クロム量を減少させるなどの改良を施したUdimit720Li(U720Li/U720LI)が開発された。しかしながら、改良されたUdimit720Liにおいても、依然TCP相の発生が避けられず、長時間や高温での使用が制限されている状況にある。また、Udimit720およびUdimit720Liは、γ’固相線温度(solvus)と初期溶融温度の差が小さいため、熱間加工熱処理などのプロセスウィンドウが狭いことも指摘される。これらのことに起因して、鋳造鍛造プロセスにより均質なタービンディスクを製造することが難しく、実用上の問題となっている。

0005

高強度が求められる高圧タービンディスクには、AF115、N18、Rene88DTなどに代表される粉末冶金合金が使用される場合がある。粉末冶金合金は、強化元素を多く含むにも関わらず、偏析のない均質なディスクが得られるというメリットがある。一方、この粉末冶金合金には、介在物混入を抑制するために、清浄度の高い真空溶解粉末分級時のメッシュサイズの適正化などの高度な製造工程管理要求され、製造コストが大幅に上がるという問題がある。

0006

その他に、従来のニッケル基耐熱超合金の化学組成については数多くの改良提案がなされてきている。そのいずれも、主要構成元素として、コバルトクロムモリブデンまたはモリブデンとタングステン、アルミニウム、そしてチタン含有し、さらに、代表的なものでは、ニオブまたはタンタルのいずれか一方または両方を必須の成分元素としている。このようなニオブやタンタルの含有は、上記粉末治金には適しているものの、鋳造鍛造を難しくする要因となっている。また、コバルトは、比較的その含有割合が高いが、特定の場合を除き、コストなどとの兼ね合いから含有量は、20質量%程度以下に抑えられている。

0007

チタンは、γ’相を強化させ、引張強度亀裂伝播抵抗を向上させる働きをすることから添加されている。しかしながら、チタンの過剰の添加は、γ’固相線温度を高めることに加え、有害相を生成させ、健全なγ’組織を得ることが難しいとの観点から、5質量%程度までに制限されている。

0008

このような状況において、本発明者らは、ニッケル基耐熱超合金の化学組成の最適化について検討を加え、コバルトを55質量%まで積極的に添加することにより有害なTCP相の抑制が可能であることを見出している。また、本発明者らは、コバルトと同時にチタンを所定の比率で増加させることによって、γ/γ’の2相組織を安定化させることが可能であることを見出している。これらの知見に基づき、従来の合金に比べてより高い温度域においても長時間耐えることが可能であり、かつ加工性の良好なニッケル基耐熱超合金を提案している(特許文献1)。

0009

一方、ニッケル基耐熱超合金の性能改善では、ニッケル基耐熱合金ミクロ組織に着目した提案がいくつか行われている。たとえば、粉末合金によるニッケル基耐熱合金ビレットを鍛造および熱処理工程を経ることによって、平均結晶粒度が20−40μmであり、粒子内の全体に30nmの細かいγ’が均一に分布し、かつ結晶粒界に0.3−0.4μmの粗いγ’が形成しているミクロ組織を有する合金が提案されている(特許文献2、3)。

0010

また、透過型電子顕微鏡で2次元的に観測される金属組織中に、長径が0.5nm以上である析出物が1μm2当たり700個以上の割合で存在し、かつ平均径が25nmから1μmの大析出物が含まれる合金が提案されている(特許文献4)。

0011

しかしながら、特許文献2、3に記載された合金は、プロセスが複雑で、製造コストの高い粉末合金であり、この合金では、最適なミクロ組織が化学組成によって異なり、一部の限定された材料および製法にのみ適用可能なものであると考えることができる。また、特許文献4には、好ましい金属組織の範囲が提案されているだけであり、合金特性との相関性に関する具体的なデータは見出されない。

先行技術

0012

国際公開2006/059805号のパンフレット
特許第2666911号公報
特許第2667929号公報
特開2003−89836号公報

発明が解決しようとする課題

0013

近年のエネルギ効率改善を実現するために、航空エンジン、発電ガスタービンなどの耐熱部材については、より高温での使用を可能とする材料の開発が急務となっている。たとえば、タービンディスクについては、疲労強度、高温クリープ強度、破壊靱性、高温疲れ亀裂耐性などの機械的特性一段と優れた新しい合金の開発が強く要望されている。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、主には耐熱特性が大きく改善された、アニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは、上記の課題を解決するために、疲労強度、高温クリープ強度、破壊靱性、高温疲れ亀裂耐性などの機械的特性と、ニッケル基耐熱超合金のミクロ組織との相関性に着目した検討を行い、ニッケル基耐熱合金のアニーリング段階のミクロ組織を最適化することによって、上記機械的特性、特に耐熱特性の大幅な改善が可能であることを見出している。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。

0015

すなわち、本発明のアニールツインを含有するニッケル基耐熱超合金は、クロム、コバルト、チタン、アルミニウムおよびニッケルを主要元素として含み、添加成分元素不可避的不純物元素の含有を許容するニッケル基耐熱超合金であって、アニーリングツインの長さの合計が、断面積104μm2当たり500μm以上であることを特徴とする。

0016

このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、ミクロ組織の平均結晶粒度が1μm以上60μm未満であることが好ましい。

0017

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、質量%で、クロムを1.0%以上30.0%以下、コバルトを5.0%以上55.0%以下、チタンを2.5%以上15.0%以下、アルミニウムを0.2%以上7.0%以下含むことが好ましい。

0018

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、質量%で、コバルトを9.5%以上50.0%以下含むことが好ましい。

0019

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、質量%で、コバルトを13.5%以上50.0%以下含むことが好ましい。

0020

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、質量%で、コバルトを19.5%以上50.0%以下含むことが好ましい。

0021

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、質量%で、チタンを5.1%以上15.0以下含むことが好ましい。

0022

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、質量%で、チタンを5.3%以上10.0以下含むことが好ましい。

0023

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、5.0質量%以下のモリブデン、7.0質量%以下のタングステン、5.0質量%以下のニオブの少なくとも一つを添加成分元素として含むことができる。

0024

また、このアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金においては、0.01質量%以上0.2%質量以下のジルコニウム、0.01質量%以上0.15%質量以下の炭素、0.005質量%以上0.1質量%以下のホウ素の少なくとも一つを不可避的不純物元素として含むことができる。

0025

そして、本発明の耐熱超合金部材は、以上のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金から、鋳造、鍛造または粉末冶金の少なくとも一つの方法により製造されたものであることを特徴とする。

発明の効果

0026

本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金と耐熱超合金部材によれば、主には耐熱特性が大きく改善される。

図面の簡単な説明

0027

図1(a)および図1(b)ならびに図1(c)および図1(d)は、それぞれ、クリープ試験前の合金1および合金4のTEM写真である。図1(a)および図1(c)は、bright field imageを、図1(b)および図1(d)は、二次的なγ’相のdark field imageを示している。
図2(a)および図2(b)は、Electron Back-Scatter Diffraction(EBSD)システムを用いてアニーリングツインを観察した写真である。結晶粒の中に直線的な帯状で示される相がアニーリングツインである。
合金1から合金4までのアニーリングツインの長さの合計とクリープ寿命の関係を図示したものである。
合金1から合金4までのアニーリングツインの長さの合計と低サイクル疲労試験(LCF)の関係を図示したものである。
725℃においてクリープ試験を実施した後の合金1(図5(a)、図5(b))および合金2(図5(c))のTEM写真である。

発明を実施するための最良の形態

0028

クリープ試験時 (Deformation Step)の変形強化メカニズムとしては、溶解原子による固溶強化(Solid solution strengthening by solute atoms)、化学反応による結晶粒界強化(Grain Boundary strengthening by chemicalreactionsto develop grain boundary)、ナノスケールのツイン境界による強化(Nanoscale twin boundary strengthening)などが議論されている。これらの因子は、各ニッケル基耐熱超合金の機械的特性に対してある程度の相関性を認めることができるものの、引張、高温クリープ応力破断および疲れ亀裂成長への耐性に対してバランスのとれたニッケル基耐熱超合金の望ましい材料設計因子を導き出すには至っていない。

0029

本発明者らは、ニッケル基耐熱超合金のミクロ組織の観察により、アニーリング過程において結晶粒内にアニーリングツインが生成すること、このアニーリングツインの単位面積当たりの長さの合計が、ニッケル基耐熱超合金の耐熱特性の改善に対して重要な因子になっていることを初めて見出した。

0030

アニーリングツイン(焼鈍双晶)とは、金属を焼鈍することによって形成される双晶のことである。
本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金は、各種の一般的な方法を適用することによって製造することができる。たとえば、所定の化学組成となるように高品質の各種の金属原料高周波真空溶解し、真空鋳造してインゴットを作製する。このインゴットを繰り返し鍛造して均一な微細組織を有する合金を作製し、最後に所定の形状に型鍛造してビレットとする。または、上記インゴットを溶融し、不活性ガス雰囲気中でアトマイズして合金粉末を作製後、この合金粉末を真空中で圧密化し、鍛造してビレットを作製する。これらのビレットを適切な条件でアニーリングすることによって、アニーリングツインを含有するミクロ組織を持ったニッケル基耐熱超合金を作製することができる。アニーリング処理の条件は、化学組成などによって異なるが、一般的には、600〜800℃で10〜30時間が例示される。また、アニーリング処理は、1回のみばかりではなく、2回以上の多段処理とすることができる。さらに、アニーリング処理に先立って、900〜1200℃で1〜10時間の溶体化処理を行い、結晶粒径が十分微細で均質なミクロ組織の形成などを促進させることもできる。

0031

アニーリングツイン長さの合計が、ニッケル基耐熱超合金の断面積である104μm2当たり500μm以上となるように制御することによって、ニッケル基耐熱超合金は、バランスのとれた非常に優れた耐熱特性を有するものとなる。このように、アニーリングツインをニッケル基耐熱超合金のミクロ組織内に数多く存在させることによって、アニーリングツインが、ディスロケーション動き、そして、ディフォメーションツインの動きを遮断し、高温下での耐熱特性の改善が達成されると考えられる。

0032

なお、ニッケル基耐熱超合金に形成するミクロ組織では、結晶粒の大きさは、アニーリングツイン長さの合計が、断面積104μm2当たり500μm以上存在する限りにおいて特に限定されるものではないが、通常、平均結晶粒度は、1μm以上60μm未満が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。

0033

本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金は、クロム、コバルト、チタン、アルミニウムおよびニッケルを主要構成元素として含み、不可避的不純物元素の含有を許容するものである。

0034

クロムは、耐環境性疲労亀裂伝播特性改善のために添加される。これらの特性改善のためには、含有量が1.0質量%未満では望ましい特性が得られず、30.0質量%を超えると、有害なTCP相が生成しやすくなる。このため、クロムの含有量は、1.0質量%以上30.0質量%以下であり、好ましくは、5.0質量%以上23.0質量%以下、より好ましくは、9.0質量%以上20.0質量%以下である。

0035

コバルトは、γ’相のソルバス温度コントロールに有用な成分であり、コバルトが多くなることによりγ’固相温度が下がり、プロセスウィンドウが広くなって、鍛造性が向上する効果も生まれる。特にチタンを多く含む場合、TCP相を抑制して高温強度を向上させるために、コバルトはやや多めに添加することができる。通常、コバルトの含有量は、5.0質量%以上55.0質量%以下であり、好ましくは、9.5質量%以上50.0質量%以下、より好ましくは、13.5質量%以上50.0質量%以下であり、さらに好ましくは、8質量%以上35質量%以下である。チタンの含有量が5.1質量%以上の組成領域においても、コバルトの含有量を19.5質量%以上55.0質量%以下とすることによって、耐熱性と易加工性のバランスがとれ、ニッケル基耐熱超合金の実用的な使用が可能となる。

0036

本発明者らが、特許文献1において提案しているコバルト−チタンの複合添加の場合、たとえば、Co−Ti合金を添加する場合、コバルトとチタンの含有量は、後述の関係式にしたがって設定することができる。コバルトの含有量を19.5質量%以上、さらには、23.1質量%以上、そして、55.0質量%までとしても同様の効果が得られる。
ただし、高温圧縮試験結果に基づく限りでは、コバルトを、55.0質量%を超えて含有するニッケル基耐熱超合金は、750℃までの強度が低下する傾向にあるので、一般的には、コバルトの含有量の上限は、55.0質量%である。また、コバルトの含有量は、22.0質量%以上35.0質量%以下としても、また、23.1質量%以上35.0質量%以下とすることもできる。

0037

チタンは、γ’相を強化し、強度向上を導くために望ましい添加元素であり、チタンの含有量は、通常、2.5質量%以上15.0質量%以下である。上記コバルト−チタンの複合添加の場合には、5.1質量%以上15.0質量%以下のチタン添加によってより優れた効果が認められる。チタンは、コバルトとの複合的な添加によって、相安定に優れ、高強度なニッケル基耐熱超合金を実現する。基本的には、γ+γ’2相組織を有する耐熱超合金を選択し、Co+Co3Ti合金を添加することによって、高合金濃度まで組織が安定であり、強度が高いニッケル基耐熱超合金を実現することができる。この場合のチタンの含有量は、次式で示される範囲内とすることが好ましい。
すなわち、0.17×(コバルトの質量%−23)+3以上、
0.17×(コバルトの質量%−20)+7以下。
ただし、チタンの含有量が15.0質量%を超えると、有害相であるη相の生成などが顕著になることも多いので、チタンの含有量の上限は、15.0質量%とする。好ましくは、チタンの含有量は、5.1質量%以上15.0質量%以下、より好ましくは、5.3質量%以上11.0質量%以下、さらに好ましくは、5.3質量%以上10.0質量%以下である。

0038

アルミニウムは、γ’相を形成する元素であり、適切なγ’相の量となるようにアルミニウムの含有量を調整する。アルミニウムの含有量は、0.2質量%以上7.0質量%以下の範囲である。また、チタンとアルミニウムの含有比率はη相の生成に強く関係し、有害相であるTCP相の生成を抑制するためには、アルミニウムの含有量はできる限り多くすることが好ましい。さらに、アルミニウムは、ニッケル基耐熱超合金の表面におけるアルミニウム酸化物の形成に直接的に関与し、耐酸化性にも寄与する。

0039

本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金は、以上のクロム、コバルト、チタンおよびアルミニウムに加え、ニッケルを主要構成元素として含むものである。
また、本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金は、以下の元素を添加成分として含有することもできる。
モリブデンは、主としてγ相を強化させ、クリープ特性を改善するという効果がある。モリブデンは、密度の高い元素であるため、その含有量があまり多くなると、ニッケル基耐熱超合金の密度が増加するので、実用上好ましくない。通常、モリブデンの含有量は、5.0質量%以下、好ましくは、0.1質量%以上4.0質量%未満である。

0040

タングステンは、γ相およびγ’相に溶解し、いずれの相も強化し、高温強度の向上に有効な元素である。タングステンの含有量は、少ないと、クリープ特性が不十分になる場合があり、多くなると、モリブデンと同様に密度の高い元素であるので、ニッケル基耐熱超合金の密度の増加を招く場合がある。通常、タングステンの含有量は、7.0質量%以下、好ましくは、0.1質量%以上5.0質量%以下である。

0041

ニオブは、比重制御および強化元素として有効であるが、含有量がある程度多くなると、高温において望ましくない相の生成や焼き割れが発生する可能性がある。通常、ニオブの含有量は、5.0質量%以下、好ましくは、0.1質量%以上4.0質量%以下である。

0042

一方、ジルコニウムは、延性疲労特性などの改善に有効な元素である。通常、ジルコニウムの含有量は、0.01質量%以上0.2質量%以下、好ましくは0.01質量%以上0.15質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。

0043

炭素は、高温における延性およびクリープ特性改善に有効な元素である。通常、炭素の含有量は、0.01質量%以上0.15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上0.10質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。ホウ素は、高温におけるクリープ特性、疲労特性などを改善することができる。通常、ホウ素の含有量は、0.005質量%以上0.1質量%以下、好ましくは0.005質量%以上0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.03質量%以下である。炭素およびホウ素は、上記含有量の範囲を超えると、クリープ強度を低減させたり、プロセスウィンドウを狭めたりすることがある。ジルコニウム、炭素およびホウ素は、本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金では、不可避的不純物元素として化学組成に含有が許容されるものである。

0044

本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金は、その特性を損なわない限り、その他の元素として、レニウムバナジウムハフニウムまたはマグネシウムの少なくとも一つの元素を含有することもできる。含有量を適切に制御しながら添加することが可能である。また、ルテニウムの添加も許容され、ルテニウムは、耐熱性および加工性の改善に有効である。

0045

本発明の耐熱超合金部材は、以上のとおりのアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金から、鋳造、鍛造または粉末や金の少なくとも一つの方法により製造されるものである。

0046

以下、実施例を示し、本発明のアニーリングツインを含有するニッケル基耐熱超合金と耐熱超合金部材についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は、以下の例によって限定されることはない。

0047

真空誘導加熱方式により、表1に示す4種の化学組成でインゴットを作製し、さらに、これらのインゴットを鍛造してビレットを作製した。なお、Mo(モリブデン)およびW(タングステン)は、合金の化学組成において添加成分元素であり、C(炭素)、B(ホウ素)およびZr(ジルコニウム)は、不可避的不純物元素として化学組成に含有されるものである。

0048

0049

合金1から合金4の熱圧ロール圧延した試料について、空気中、1,100℃で4時間の溶体化処理を行った後、650℃で24時間、さらに760℃で16時間のアニーリング処理を行った。アニーリング処理を行った試料について、室温ならびに750℃における圧縮降伏圧力およびクリープ破断特性評価した。その結果を表2に示した。いずれの合金も、室温および高温下の両方において優れた圧縮降伏圧力およびクリープ破断特性を有していた。

0050

0051

また、アニーリング処理を行った試料について、750℃における0.2%クリープ時間および破断時間、650℃および725℃におけるLCF(Low Creep Fatigue)およびFCGR(Fatigue Crack Growth Rate)を評価した。その結果を表3に示した。

0052

0053

以上の合金1から合金4に関して種々の組織観察を行った。
図1は、クリープ試験前の合金1および4のTEM写真を示したものである。図1(a)および図1(c)は、bright field imageを、図1(b)および図1(d)は、二次的なγ’相のdark field imageを示している。
合金1および合金4の粒子径はいずれも10μm前後であり、γ’相の濃度も45%程度であった。また、図1(b)と図1(d)に示される二次的なγ’相は、ほぼ均一かつ約100nmのサイズであった。
以上の組織観察において、2つの合金に顕著な違いは認められなかった。

0054

図2は、Electron Back-Scatter Diffraction(EBSD)システムを用いてアニーリングツインを観察した写真である。図2(a)および図2(b)の結晶粒の中に直線的な帯状で示される相が、合金1および合金4において生成したアニーリングツインである。この帯状のアニーリングツインの量的関係は、合金1と合金4で異なっており、試料の単位断面積当たりのアニーリングツインの長さの合計を比較すると、合金1では、2,944μm/104μm2、合金4では、1,419μm/104μm2であった。同様に、合金2、合金3についてアニーリングツインの長さを測定したところ、それぞれ、2,144μm/104μm2、1,542μm/104μm2であった。

0055

アニーリングツインの長さの合計とクリープ強度の関係を図3に点綴した。両者の因子には良好な相関関係があり、アニーリングツインの長さの合計が大きくなるにつれてクリープ寿命が改善されることが明らかとなった。また、アニーリングツインの長さの合計と低サイクル疲労(LCF)との間にも相関性が認められ、図4に示したように、アニーリングツインの長さの合計が大きくなるのに比例してLCFが改善されることが明らかとなった。

0056

このように、アニーリングツイン長さの合計値が、クリープ強度および低サイクル疲労と明らかな相関性を有しており、アニーリングツイン長さの合計が大きいほど機械的特性の改善に大きな効果がある。

0057

図5(a)および図5(b)は、725℃においてクリープ試験を実施した後の合金1のミクロ組織を示したTEM写真である。図5(c)は、同様の条件でクリープ試験を実施した後の合金2のミクロ組織を示したTEM写真である。
図5(a)は、ディスロケーション部位(B)が、アニーリングツイン(A)を貫通することができずに、ディスロケーションの動きが隣接するアニーリングツインによって阻止されている状態を示している。また、図5(b)と図5(c)は、いずれも、アニーリングツイン(A)がディフォメイションツイン(C)の動きを遮断している状態を示している。このように、アニーリングツインをニッケル基耐熱超合金のミクロ組織内に数多く存在させることによって、アニーリングツインが、ディスロケーションの動き、そして、ディフォメーションツインの動きを遮断し、高温下における優れた耐熱特性が達成されることを示唆している。

0058

ニッケル基耐熱超合金のさらなる要求因子となっている「疲れ亀裂成長への耐性」とは、疲れ亀裂成長速度(FCGR; Fatigue Crack Growth Rate)の減速化ということであり、タービンディスクのリム部の特性として特に重要な因子である。
疲れ亀裂成長速度(FCGR)の測定に用いた試験片の形状および寸法はASTM規格E647-81 (1981)に準拠した。試験条件は、高温大気中、応力比(最小応力最大応力) 0.05、荷重波形三角波繰り返し周波数2Hzとした。

0059

表3に示したように、650℃および725℃のいずれの温度において、多少の数値的なバラツキは認められるものの、アニーリングツインの長さの合計値の大小によらず、FCGRの値はほぼ一定であった。このことから、クリープ強度および低サイクル疲労の特性の改善のためにアニーリングツインの存在量を増加させても、疲れ亀裂成長速度にはほとんど影響せず、実用面で非常に性能のバランスの良いニッケル基耐熱超合金が実現されることが明らかとなった。

0060

また、合金1の試料を、空気中、1,140℃、1,150℃および1,160℃で4時間の溶体化処理を別々に行った後、650℃で24時間、さらに760℃で16時間のアニーリング処理を行った。アニーリング処理後のアニーリングツインの長さの合計は、溶体化処理温度に対して、104μm2当たり1,710μm、350μm、80μmであった。1,140℃で溶体化処理を行った試料では、750℃におけるクリープ寿命は100時間以上であったが、1,150℃および1,160℃で溶体化処理を行った試料では、アニーリングツインの長さが短く、750℃におけるクリープ寿命は5時間未満となった。また、それぞれの試料について結晶粒径を測定したところ、結晶粒径は、溶体化処理温度に対して、20μm、60μm、250μmであった。特に、1,160℃で溶体化処理を行った試料では、アニーリングツイン長さの合計値が小さく、しかも結晶粒径が大きいために、クリープ強度および低サイクル疲労、さらには疲れ亀裂成長速度のいずれも、満足のいくものではなかった。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する未来の課題

関連する公募課題

ページトップへ

おすすめの成長市場

関連メディア astavision

  • ロコモーティブ症候群・関節疾患

    加齢や過負荷のほか、スポーツ損傷や肥満によっても引き起こされる変形性関節症(OA:osteoarth…

  • IoT/M2M (InternetOfThings / MachinetoMachine)

    「Software-Defined Car(ソフトウェアで定義されるクルマ)」。そう呼ばれる米国Te…

  • 生体情報デバイス・バイオセンサ

    「音楽を学習した人工知能は、人間を感動させることができるか?」をテーマに、クラブイベント「2045」…

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

新着 最近公開された関連が強い技術

この技術と関連性が強い技術

この技術と関連性が強い人物

この技術と関連する未来の課題

関連する未来の課題一覧

この技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ