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技術 色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池

出願人 日本バイリーン株式会社
発明者 稲葉智雄多羅尾隆川部雅章
出願日 2010年4月27日 (9年10ヶ月経過) 出願番号 2010-101567
公開日 2011年11月17日 (8年4ヶ月経過) 公開番号 2011-233312
状態 特許登録済
技術分野 光起電力装置 混成電池
主要キーワード 金属フルオロ錯体 プラス印加 第一線材 金属ノズル 略球体 ゲル状繊維 光半導体粒子 一体化処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年11月17日)のものです。
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図面 (10)

課題

本発明は、負極の基材側から色素増感型太陽電池へと透過する光の量を減少させず、発電効率の高い、色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池の提供を目的とする。

解決手段

本発明の色素増感型太陽電池用電極は、導電性繊維からなる繊維シートベースとしており、その全体に空隙を有しているため、色素増感型太陽電池へと透過する光を遮り難い。そのため、色素増感型太陽電池へと透過する光の量が減少しにくい。また、繊維シートの全体に存在している半導体材料色素と、繊維シートを構成している導電性繊維との接点数を多くすることができ、半導体材料および色素から、光との反応により生成された電子を、効率よく集電できるため、集電性能に優れた、発電効率の高い色素増感型太陽電池用電極である。

概要

背景

色素増感型太陽電池シリコン半導体を使用せず、低コストで作製できることから、近年注目を集めている。この色素増感型太陽電池は図1に模式的断面図を示すように、紙面上左から右にかけて、基材(101)、FTO(フッ素酸化スズ)やITO(酸化インジウム・スズ)などからなる透明導電性膜(106)及び隣接して存在する色素吸着した多孔質酸化チタン粒子(108)の層からなる負極(110)、ヨウ素溶液を備えた電解液(104)、白金膜(105)を有する透明導電性膜(106)からなる正極(120)、基材(101)で構成されており、負極(110)と正極(120)は導線(107)により互いに接続されている。

このような色素増感型太陽電池の負極(110)の基材(101)側から光をあてると、色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子(108)が光を吸収し、電子を放出するとともに、電解液(104)中のヨウ素イオン(3I−)が酸化されて、三ヨウ化物イオン(I3−)となる。放出された電子は色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子(108)の層を導電して、負極(110)側の透明導電性膜(106)に到達した後、導線(107)を通じて正極(120)へと到達する。そして、正極(120)に到達した電子は、電解液(104)中の三ヨウ化物イオン(I3−)をヨウ素イオン(3I−)に還元する。このサイクルによって、発電が行われる。

このような色素増感型太陽電池用電極として、本願出願人は「透明導電性膜領域と、前記膜領域と隣接する、すず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成したアスペクト比が1000以上の酸化すず含有繊維からなる不織布領域とを有することを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極。」を提案した(特許文献1)。

この特許文献1の色素増感型太陽電池用電極は、図2に示すように、透明導電性膜(20b)上に、酸化すず含有繊維からなる不織布(20c)が、色素および酸化チタン粒子担持してなる、多孔質酸化チタン粒子層(22)が設けられていることを開示している。

このような色素増感型太陽電池の負極の基材(20a)側から光をあてると、多孔質酸化チタン粒子層(22)中の色素および酸化チタン粒子が光を吸収し、電子を放出するとともに、放出された電子は酸化すず含有繊維からなる不織布(20c)を経て透明導電性膜(20b)へと伝導するため、伝導効率が高い色素増感型太陽電池用電極である。

しかしながら、特許文献1の色素増感型太陽電池の電極において、光は負極の基材(20a)側から多孔質酸化チタン粒子層(22)へと進行する際に、光の透過率が80%程度である透明導電性膜(20b)を透過しなければならず、多孔質酸化チタン粒子層(22)へと透過する光の量は減少してしまう。

このように光の透過率を低下させない、透明導電性膜を使用する必要性のない電極として、「導電性を有する多孔質高分子フィルムに、光半導体粒子が担持されていて、且つ透明であることを特徴とする光半導体電極。」が提案されている(特許文献2)。

この特許文献2の光半導体電極(21)は、図3に示すように、互いに絡み合う繊維状の導電性無機化合物(4’)を、スパッタリングイオンプレーティング等を用いて連通型多孔質高分子フィルム(1)に付着させることで、繊維状の導電性無機化合物(4’)からなる導電層(5)を有する光半導体電極(21)を製造できることを開示している。この光半導体電極(21)は導電層(5)を有するため、透明導電性膜を使用することなく、そのまま単独で電極として使用できるものである。

しかしながら、特許文献2の光半導体電極(21)において、繊維形状の導電性無機化合物(4’)は、連通型多孔質高分子フィルム(1)の内部奥深くまで侵入することが困難であることが開示されており、繊維形状の導電性無機化合物(4’)は連通型多孔質高分子フィルム(1)の表層付近のみに偏在するものである。

そのため、特許文献2の光半導体電極(21)において、繊維形状の導電性無機化合物(4’)は連通型多孔質高分子フィルム(1)の全体に存在しているものではないため、光半導体電極(21)の全体から繊維形状の導電性無機化合物(4’)により電子を集電することが困難であり、集電性能が低く、発電性能の低い電極であると考えられた。

更に、光の透過率を低下させない、透明導電性膜を使用する必要性のない電極として、「別体をなす第一電極と第二電極とが、少なくとも一つづつ、電解質を介して配されてなる光電変換素子であって、前記第一電極は、線状をなしており、少なくとも導電性を有する第一線材と、該第一線材の外周に配され、色素を担持した多孔質酸化物半導体層とから構成されていることを特徴とする光電変換素子。」が提案されている(特許文献3)。

この特許文献3は、例えば、Ti、Ni、W、Rh、Moなどからなるワイヤ棒材などの第一線材(11)表面に、例えば、酸化チタン、酸化スズなどの多孔質酸化物半導体層(12)を設けることで、第一電極(10)として使用できることを開示している。該第一電極(10)は互いに並列して配列されているため、光電変換素子(1A)の小型化、薄型化が図れるものとしている。

しかしながら、特許文献3の光電変換素子(1A)において、集電を担う第一電極(10)の態様が、互いに交点を有することなく並列した線状をなすものであることから、多孔質酸化物半導体と第一電極(10)との接点数は少なく、多孔質酸化物半導体層(12)から電子を集電する際の、集電性能が低く、発電性能の低い電極であると考えられた。

概要

本発明は、負極の基材側から色素増感型太陽電池へと透過する光の量を減少させず、発電効率の高い、色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池の提供を目的とする。本発明の色素増感型太陽電池用電極は、導電性繊維からなる繊維シートベースとしており、その全体に空隙を有しているため、色素増感型太陽電池へと透過する光を遮り難い。そのため、色素増感型太陽電池へと透過する光の量が減少しにくい。また、繊維シートの全体に存在している半導体材料と色素と、繊維シートを構成している導電性繊維との接点数を多くすることができ、半導体材料および色素から、光との反応により生成された電子を、効率よく集電できるため、集電性能に優れた、発電効率の高い色素増感型太陽電池用電極である。 7

目的

本発明は、上述した従来技術が有する限界を超えるべくなされたもので、負極の基材側から色素増感型太陽電池へと透過する光の量を減少させず、発電効率の高い、色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

導電性繊維からなる繊維シートの全体に、半導体材料色素が存在していることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極

請求項2

請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極を備える、色素増感型太陽電池

技術分野

背景技術

0002

色素増感型太陽電池はシリコン半導体を使用せず、低コストで作製できることから、近年注目を集めている。この色素増感型太陽電池は図1に模式的断面図を示すように、紙面上左から右にかけて、基材(101)、FTO(フッ素酸化スズ)やITO(酸化インジウム・スズ)などからなる透明導電性膜(106)及び隣接して存在する色素吸着した多孔質酸化チタン粒子(108)の層からなる負極(110)、ヨウ素溶液を備えた電解液(104)、白金膜(105)を有する透明導電性膜(106)からなる正極(120)、基材(101)で構成されており、負極(110)と正極(120)は導線(107)により互いに接続されている。

0003

このような色素増感型太陽電池の負極(110)の基材(101)側から光をあてると、色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子(108)が光を吸収し、電子を放出するとともに、電解液(104)中のヨウ素イオン(3I−)が酸化されて、三ヨウ化物イオン(I3−)となる。放出された電子は色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子(108)の層を導電して、負極(110)側の透明導電性膜(106)に到達した後、導線(107)を通じて正極(120)へと到達する。そして、正極(120)に到達した電子は、電解液(104)中の三ヨウ化物イオン(I3−)をヨウ素イオン(3I−)に還元する。このサイクルによって、発電が行われる。

0004

このような色素増感型太陽電池用電極として、本願出願人は「透明導電性膜領域と、前記膜領域と隣接する、すず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成したアスペクト比が1000以上の酸化すず含有繊維からなる不織布領域とを有することを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極。」を提案した(特許文献1)。

0005

この特許文献1の色素増感型太陽電池用電極は、図2に示すように、透明導電性膜(20b)上に、酸化すず含有繊維からなる不織布(20c)が、色素および酸化チタン粒子担持してなる、多孔質酸化チタン粒子層(22)が設けられていることを開示している。

0006

このような色素増感型太陽電池の負極の基材(20a)側から光をあてると、多孔質酸化チタン粒子層(22)中の色素および酸化チタン粒子が光を吸収し、電子を放出するとともに、放出された電子は酸化すず含有繊維からなる不織布(20c)を経て透明導電性膜(20b)へと伝導するため、伝導効率が高い色素増感型太陽電池用電極である。

0007

しかしながら、特許文献1の色素増感型太陽電池の電極において、光は負極の基材(20a)側から多孔質酸化チタン粒子層(22)へと進行する際に、光の透過率が80%程度である透明導電性膜(20b)を透過しなければならず、多孔質酸化チタン粒子層(22)へと透過する光の量は減少してしまう。

0008

このように光の透過率を低下させない、透明導電性膜を使用する必要性のない電極として、「導電性を有する多孔質高分子フィルムに、光半導体粒子が担持されていて、且つ透明であることを特徴とする光半導体電極。」が提案されている(特許文献2)。

0009

この特許文献2の光半導体電極(21)は、図3に示すように、互いに絡み合う繊維状の導電性無機化合物(4’)を、スパッタリングイオンプレーティング等を用いて連通型多孔質高分子フィルム(1)に付着させることで、繊維状の導電性無機化合物(4’)からなる導電層(5)を有する光半導体電極(21)を製造できることを開示している。この光半導体電極(21)は導電層(5)を有するため、透明導電性膜を使用することなく、そのまま単独で電極として使用できるものである。

0010

しかしながら、特許文献2の光半導体電極(21)において、繊維形状の導電性無機化合物(4’)は、連通型多孔質高分子フィルム(1)の内部奥深くまで侵入することが困難であることが開示されており、繊維形状の導電性無機化合物(4’)は連通型多孔質高分子フィルム(1)の表層付近のみに偏在するものである。

0011

そのため、特許文献2の光半導体電極(21)において、繊維形状の導電性無機化合物(4’)は連通型多孔質高分子フィルム(1)の全体に存在しているものではないため、光半導体電極(21)の全体から繊維形状の導電性無機化合物(4’)により電子を集電することが困難であり、集電性能が低く、発電性能の低い電極であると考えられた。

0012

更に、光の透過率を低下させない、透明導電性膜を使用する必要性のない電極として、「別体をなす第一電極と第二電極とが、少なくとも一つづつ、電解質を介して配されてなる光電変換素子であって、前記第一電極は、線状をなしており、少なくとも導電性を有する第一線材と、該第一線材の外周に配され、色素を担持した多孔質酸化物半導体層とから構成されていることを特徴とする光電変換素子。」が提案されている(特許文献3)。

0013

この特許文献3は、例えば、Ti、Ni、W、Rh、Moなどからなるワイヤ棒材などの第一線材(11)表面に、例えば、酸化チタン、酸化スズなどの多孔質酸化物半導体層(12)を設けることで、第一電極(10)として使用できることを開示している。該第一電極(10)は互いに並列して配列されているため、光電変換素子(1A)の小型化、薄型化が図れるものとしている。

0014

しかしながら、特許文献3の光電変換素子(1A)において、集電を担う第一電極(10)の態様が、互いに交点を有することなく並列した線状をなすものであることから、多孔質酸化物半導体と第一電極(10)との接点数は少なく、多孔質酸化物半導体層(12)から電子を集電する際の、集電性能が低く、発電性能の低い電極であると考えられた。

先行技術

0015

特開2009-259733号公報(特許請求の範囲、0038-0039)
特開2001-160425号公報(特許請求の範囲、0019-0020、0024、0034、0036、0038、図2、図4)
特開2008-181691号公報(特許請求の範囲、0008、0022、図2)

発明が解決しようとする課題

0016

本発明は、上述した従来技術が有する限界を超えるべくなされたもので、負極の基材側から色素増感型太陽電池へと透過する光の量を減少させず、発電効率の高い、色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0017

請求項1に係る発明は、
導電性繊維からなる繊維シートの全体に、半導体材料と色素が存在していることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極。」
である。

0018

請求項2に係る発明は、
「請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極を備える、色素増感型太陽電池。」
である。

発明の効果

0019

本発明の請求項1の色素増感型太陽電池用電極は、導電性繊維からなる繊維シートをベースとしており、その全体に空隙を有しているため、色素増感型太陽電池へと透過する光を遮り難い。そのため、色素増感型太陽電池へと透過する光の量が減少しにくい。また、繊維シートの全体に存在している半導体材料と色素から集電できるため、発電効率の高い色素増感型太陽電池用電極である。

0020

更に、本発明の請求項1の色素増感型太陽電池用電極は、導電性繊維からなる繊維シートをベースとしているため、半導体材料および色素と、繊維シートを構成している導電性繊維との接点数を多くすることができる。半導体材料および色素から、光との反応により生成された電子を、効率よく集電できるため、集電性能に優れた、発電効率の高い色素増感型太陽電池用電極である。

0021

本発明の請求項2の色素増感型太陽電池用電極は、請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極を備えるため、発電効率の高い色素増感型太陽電池である。

図面の簡単な説明

0022

透明導電性膜と、色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子の層を有する、従来の色素増感型太陽電池の模式的断面図である。
透明導電性膜と、酸化すず含有繊維からなる不織布の層を有する、従来の色素増感型太陽電池の模式的断面図である。
導電性を有する多孔質高分子フィルムに、光半導体粒子が担持されてなる、従来の色素増感型太陽電池の模式的断面図である。
第一線材の表面に、多孔質酸化物半導体層が設けられてなる、従来の色素増感型太陽電池の模式的断面図である。
本発明に係る色素増感型太陽電池用電極の模式的断面図である。
色素増感型太陽電池用電極の抵抗率を測定する方法を示す、模式的平面図である。
本発明に係る色素増感型太陽電池用電極を備えた、色素増感型太陽電池の模式的断面図である。
本発明に係る色素増感型太陽電池用電極を複数備えた、別の色素増感型太陽電池の模式的断面図である。
色素増感型太陽電池の負極側外部に透明導電性膜を有する、色素増感型太陽電池の模式的断面図である。

0023

本発明に係る色素増感型太陽電池用電極(110a、以降、電極と呼ぶ)について、図5、図7、図8を用いて説明する。

0024

本発明において電極(110a)は、負極の電極を構成する部材として透明導電性膜を使用しないため、負極の基材側から色素増感型太陽電池へと透過する光の量を減少させない。更に、本発明において電極(110a)は、導電性繊維からなる繊維シート(103、以降、繊維シートと呼ぶ)をベースとしており、その全体に空隙を有するため、透過してきた光を遮りにくい。そのため、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光の量が減少しにくいものとなり、電極(110a)中に存在している半導体材料と色素が多くの光と反応できる。

0025

そして、繊維シート(103)の全体に存在している半導体材料と色素から集電できるため、発電効率の高い電極(110a)である。

0026

本発明において導電性繊維は導電性が優れることで、発電効率の高い電極(110a)が得られるよう、体積固有抵抗値が45Ωcm以下の導電性の材料から構成されているのが好ましい。

0027

後述する繊維シート(103)が透明性を有していない、例えば、Ti、Ni、W、Rh、Moなどの導電性繊維から構成されていると、光が導電性繊維の内部を通過できず、導電性繊維を透過しにくいことで、光の進行が導電性繊維に遮られて半導体材料と色素に効率よく反応できず、発電性能が低い電極(110a)となる傾向がある。

0028

繊維シート(103)が透明性を有する、例えば、酸化すず、酸化亜鉛、FTO(フッ素・酸化スズ)、ITO(酸化インジウム・スズ)など金属酸化物の導電性繊維から構成されたものであると、光が導電性繊維を透過しやすい(光が導電性繊維の内部を通過できる)ことで、光の進行が導電性繊維に遮られることなく半導体材料と色素に効率よく反応できる、発電性能が高い電極(110a)となる。そのため、導電性繊維は透明性を有する金属酸化物から構成されているのが好ましい。

0029

導電性繊維として、導電性素材を公知の方法で細径化することで繊維化したものを用いることができるが、後述する平均繊維径が1μm以下であるとともに、そのアスペクト比が1000以上である導電性繊維を得やすいため、曳糸性ゾル溶液を用いて直接法(例えば、曳糸性ゾル溶液に気体を作用させて細径化する方法、静電紡糸法など)により紡糸して導電性繊維を得るのが好ましい。このような導電性繊維の調製方法として、スズ化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて静電紡糸法により紡糸した、酸化すず含有繊維を例示できる。

0030

スズ化合物を含む曳糸性ゾル溶液は、例えば、一般式SnXa・bH2O(XはCl原子、Br原子、I原子、F原子、OH基、SO4基、NO3基またはCH3COO基を表し、aは1〜4の整数を、bは0〜6の整数をそれぞれ表す)で表わされるスズ化合物を、スズ化合物を溶解可能な溶媒に溶解させて調製できる。

0031

より具体的には、スズ化合物として、SnCl2、SnCl2・2H2O、SnBr2、SnI2、SnF2、SnSO4、Sn(CH3COO)2、Sn(NO3)2等を挙げることができ、これらの中でも、SnCl2・2H2O、SnCl2、SnBr2は反応性溶解性の点から好適に使用できる。なお、Sn(CH3)2Cl2などの有機化合物化学修飾したものであっても使用することができる。また、例えば、一般式Sn(OR)2、Sn(OR)4、SnCl(OR)3(R=メチル基エチル基プロピル基ブチル基など)で表されるアルコキシドを用いることもできる。

0033

スズ化合物を含む曳糸性ゾル溶液の粘度は50〜3000cP(センチポイズ)であるのが好ましく、70〜1000cP(センチポイズ)であるのがより好ましい。粘度が50cP未満であると曳糸性でない傾向があり、粘度が3000cPを超えると得られる酸化すず含有繊維の繊維径が大きくなり、光を遮りやすくなるという傾向がある。曳糸性ゾル溶液をこのような粘度とするために、前記スズ化合物を溶解液に溶解した後、加熱処理を施しても良い。

0034

なお、曳糸性ゾル溶液とは、以下の特徴を有する溶液である。
アースしたアルミ板に対し、水平方向に配置した金属ノズル内径:0.4mm)から溶液(固形分濃度:20〜50wt%)を押し出す押出量:0.1〜1.0g/hr)と共に、ノズル電圧印加電界強度:1〜3kV/cm、極性プラス印加又はマイナス印加)し、ノズル先端に溶液の固化を生じさせることなく、1分間以上、連続して紡糸し、アルミ板上に繊維を集積する。この集積した繊維の電子顕微鏡写真を撮り、観察し、液滴がなく、繊維の平均繊維径(40点の算術平均値)が5μm以下、アスペクト比が100以上の繊維を製造できる条件が存在する場合には、その溶液を「曳糸性ゾル溶液」と判断する。

0035

これに対して、前記条件(すなわち、固形分濃度、押出量、電界強度、及び/又は極性)を変え、いかに組み合わせても、液滴がある場合、オイル状で一定した繊維形態でない場合、平均繊維径が5μmを超える場合、あるいは、アスペクト比が100未満(例えば、粒子状)で、繊維を製造できる条件が存在しない場合には、その溶液は「曳糸性ゾル溶液ではない」と判断する。

0036

以上の導電性繊維の平均繊維径は1μm以下であるとともに、そのアスペクト比は1000以上であるのが好ましい。

0037

平均繊維径の太さが1μmよりも太い導電性繊維からなる電極(110a)であると、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光が遮られやすくなる。そのため、平均繊維径の太さは0.5μm以下であるのがより好ましく、0.4μmであるのが最も好ましい。一方、導電性繊維の平均繊維径の太さの下限は発電効率および導電性や集電性が良い電極(110a)を作製できるのであれば、特別限定されるものではないが、電極(110a)の取り扱い性が優れるように0.05μm以上であるのが好ましい。

0038

アスペクト比が1000以上であるということは、繊維径の太さに対して繊維長が長いことを意味する。平均繊維径の太さが1μm以下であるとともに、そのアスペクト比が1000以上の(繊維径の太さに対して繊維長が長い)導電性繊維からなる電極(110a)であると、集電性に優れる電極(110a)となる傾向があるとともに、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮りにくくなる。一方、平均繊維径の太さが1μm以下であるとともに、そのアスペクト比が1000未満の(繊維径の太さに対して繊維長が短い)導電性繊維からなる電極(110a)であると、集電性に劣る電極(110a)となる傾向がある。このように、導電性繊維の平均繊維径の太さが1μm以下であるとともに、そのアスペクト比が大きければ大きい程、発電効率が向上するとともに集電性が向上した電極(110a)となる傾向があるため、アスペクト比の上限は特に限定するものではない。好ましくは、繊維長が実質的に連続で、アスペクト比が無限大である。

0039

なお、「繊維径」は繊維シート(103)あるいは電極(110a)中の繊維シート(103)の断面を1〜5万倍に拡大した顕微鏡写真を撮り、この写真を元に算出した、導電性繊維の断面における繊維の直径(単位:μm)とする。なお、繊維断面形状円形でない場合には、同じ断面積を有する円の直径を繊維径とする。そして「平均繊維径」は、該顕微鏡写真から導電性繊維の40点を選出して、該選出した40点の導電性繊維の繊維径の算術平均値(単位:μm)とする。

0040

また、「繊維長」は繊維シート(103)あるいは電極(110a)の表面を500〜5万倍に拡大した顕微鏡写真を撮り、この写真を元に算出した値を意味し、「平均繊維長」は選出した40点の導電性繊維の繊維長の算術平均値をいう。

0041

なお、アスペクト比は導電性繊維の平均繊維長(単位:μm)を、その平均繊維径(単位:μm)で除した商とする。

0042

本発明において繊維シート(103)とは、不織布あるいは織物など、上述の導電性繊維同士が互いに交点を有してなる態様であることを指す。そして、繊維シート(103)は、その全体に導電性繊維同士により形成された空隙を有してなる多孔体である。

0043

そして、繊維シート(103)をベースとして電極(110a)を構成することで、後述する半導体材料および色素と導電性繊維との接点数を多くすることができるため、光との反応により生成される電子を半導体材料および色素から効率よく集電できるため、集電性能に優れた、発電効率の高い電極(110a)とすることができる。

0044

不織布などの態様の繊維シート(103)として、例えば、溶媒を用いずに導電性繊維を開繊した乾式繊維シート(103)、溶媒を用いて導電性繊維を開繊した湿式繊維シート(103)、直接法を用いて製造した繊維シート(103)などが挙げられる。特に、曳糸性ゾル溶液を用いて直接法により繊維シート(103)を製造すると、アスペクト比の高い導電性繊維から繊維シート(103)が得られるため、好ましい。

0045

繊維シート(103)が、導電性を有する接着剤により導電性繊維同士の接点接着されている、あるいは、直接法を用いて導電性繊維を紡糸するとともに、直接捕集することで、導電性繊維同士の接点が接着されていると、導電性が優れることで、発電効率の高い電極(110a)を得ることができるため好ましい。

0046

特に、本発明において好適な繊維シート(103)として、例えば、曳糸性ゾル溶液を用いて静電紡糸法により紡糸した導電性繊維からなる態様を例示できる。

0047

曳糸性ゾル溶液を用いて繊維シート(103)を製造する場合、曳糸性ゾル溶液を紡糸空間へ供給するとともに、供給した曳糸性ゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化させ、ゲル状繊維を形成すると共に、これを曳糸性ゾル溶液の供給手段と対向するように設けられた捕集体上に捕集する。

0048

より具体的には、ノズル、ワイヤーブラシ等の供給手段によって、曳糸性ゾル溶液を紡糸空間へ供給する。例えば、ノズルを使用する場合、内径が0.1〜3mmのものを使用すると平均繊維径1μm以下のゲル状繊維を製造しやすい。なお、供給手段は繊維シート(103)の地合いを向上させるために、揺動(特には、捕集体の幅方向に揺動)させても良い。

0049

なお、曳糸性ゾル溶液に作用させる電界は、ゲル状繊維の繊維径、供給手段と捕集体との距離、曳糸性ゾル溶液の溶媒、曳糸性ゾル溶液の粘度などによって変化するため、特に限定するものではないが、0.5〜5kV/cmであるのが好ましい。5kV/cmを超えると、空気の絶縁破壊が生じやすく、他方で、0.5kV/cm未満であると、繊維形状となりにくいためである。

0050

このように電界を作用させることにより、曳糸性ゾル溶液に静電荷蓄積され、捕集体側の電極によって電気的に引っ張られ、引き伸ばされて繊維化する。また、溶媒の蒸発によって細くなり、曳糸性ゾル中静電気密度が高まり、その電気的反発力によって分裂して更に細くなるのではないかと考えている。

0051

このような電界は、例えば、供給手段(例えば、ノズル)と捕集体との間に電位差を設けることによって作用させることができる。例えば、供給手段に電圧を印加するとともに捕集体をアースすることによって電位差を設けることができるし、逆に、捕集体に電圧を印加するとともに供給手段をアースすることによって電位差を設けることもできる。平均繊維径が1μm以下の繊維は、供給手段による曳糸性ゾル溶液の供給量、電界強度、ゾル溶液の濃度、及び/又はゾル溶液の粘度等を調整することによって得ることができる。

0052

次いで、前記ゲル状繊維を捕集体上に集積させる。この時に、捕集体を300〜750℃(好ましくは350〜700℃であり、より好ましくは400〜650℃であり、更に好ましくは450〜600℃)で加熱するのが好ましい。このように捕集体を加熱すると、ゲル状繊維を集積させるだけではなく、ゲル状繊維を焼成でき、結晶化が進行して、また繊維同士が接着(焼結)するため導電性が高くなる。また、溶媒などの有機成分も除去される。更には、繊維の収縮を抑え、クラックを生じることなく繊維シート(103)を製造できる。

0053

このように捕集体を加熱する場合、捕集体はゲル状繊維を焼成できる温度に維持しても使用できるものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、金属製、セラミックス製、カーボン製のロール又はコンベアを使用できる。捕集体がコンベアであると、その表面速度を調節することにより、ゲル状繊維を一方向に配向させ、繊維同士の長さ方向に連続して密着させることにより、空隙率の低い、電子が繊維の配向方向へ流れ易く、導電性、集電性に優れている繊維シート(103)を形成することができる。なお、セラミックス製のように、導電性のない場合には、別途金属等の導電性材料を電極として設置する。例えば、コンベアの供給手段(例えば、ノズル)側と反対側に、コンベアと接触して又は離間させて導電性材料を設置する。また、捕集体は多孔性であっても良いし、無孔性であっても良い。

0054

なお、捕集体を前記のような温度とするには、例えば、捕集体の内部又は外部にヒーターを設置し、加熱することによって実施できる。また、捕集体によるゲル状繊維の加熱焼成時間は、ゲル状繊維の結晶化が進行し、導電性に優れる繊維となるように、10秒以上であるのが好ましい。この繊維の集積と焼成を同時に行なう場合、効率的に繊維を構成する化合物を酸化することができるように、酸素存在下、特に空気雰囲気下で実施するのが好ましい。

0055

以上、捕集体でゲル状繊維の集積と焼成を同時に行う製造方法であるが、捕集体上にゲル状繊維を集積した後に焼成する方法によっても繊維シート(103)を製造することができる。

0056

また、繊維シート(103)は、例えばカーボンナノチューブ、通常ドーパントとして使用されているフッ化アンモニウムフッ化水素などのフッ素系化合物、金属、導電性の有機ポリマーや導電性の無機材料などの添加材料を、導電性の向上あるいは補強の目的で含有していてもよい。

0057

金属として、例えば、金、銀、白金クロムニッケルコバルトアルミニウムチタンなどを挙げることができ、またはこれらの金属の2種以上からなる合金などを挙げることができる。

0058

導電性の有機ポリマーとして、具体的には以下に示すモノマー重合させることにより製造された導電性高分子を挙げることができる。例えば、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール及び3−フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体アニリン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン及びp−メチルアニリン等のアニリン誘導体チオフェン、3−メチルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−n−ヘプチルチオフェン、3−n−オクチルチオフェン、3−n−ノニルチオフェン、3−n−デシルチオフェン、3−n−ウンデシルチオフェン、3−n−ドデシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−ナフトキシチオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられる。

0059

導電性の無機材料として、FTO(フッ素・酸化スズ)、ITO(酸化インジウム・スズ)、ZnO、SnO2などの金属酸化物を挙げることができる。また、これらにアルミニウム、ガリウムアンチモン、フッ素などをドープしたものを使用しても良い。

0060

繊維シート(103)の全体に存在できるように、前述の添加材料は、繊維形状あるいは粒子形状であるのが好ましく、直接法を用いて導電性繊維の紡糸を行う場合、紡糸液に前述の添加材料を混合して、導電性繊維の紡糸を行っても良い。

0061

繊維シート(103)に含有するこれらの緒添加材料の量は、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮りにくく、発電効率を低下させないように、適宜、調整する。

0062

本発明において、繊維シート(103)が透明性を有する金属酸化物の導電性繊維のみから構成されたものであると、光が導電性繊維の内部を通過でき、導電性繊維を透過しやすいことで、光の進行が導電性繊維に遮られることなく半導体材料と色素に効率よく反応できる、発電性能が高い電極(110a)となる。そのため、導電性繊維は透明性を有する金属酸化物のみから構成されているのが好ましい。

0063

繊維シート(103)の目付は特に限定するものではないが、取り扱い性、生産性の点から0.5〜20g/m2であるのが好ましく、0.5〜10g/m2であるのがより好ましい。この「目付」は繊維シート(103)1m2あたりの重量を算出した値である。

0064

また、繊維シート(103)の厚さは特に限定するものではないが、1〜100μmであるのが好ましく、1〜50μmであるのが更に好ましい。この「厚さ」は繊維シート(103)の断面の電子顕微鏡写真(倍率:1万倍)を撮り、その電子顕微鏡写真における無作為に選んだ5点における繊維シート(103)の厚さを計測し、算術平均した値をいう。

0065

繊維シート(103)の空隙率は60%以上であるのが好ましい。空隙率が60%未満であると、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮る傾向が高くなる。また空隙率が低いと、繊維シート(103)中の空隙に半導体材料と色素を充填する場合、繊維シート(103)中に半導体材料と色素が存在できる量が少なくなるため、電極(110a)の発電効率が低下する傾向がある。空隙率は高ければ高いほど、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮り難くなり、繊維シート(103)の空隙中に存在している半導体材料と色素の量を増加することができるため、電極(110a)の発電効率を向上することができる。そのため、より好ましい空隙率は65%以上であり、更に好ましくは70%以上であり、最も好ましくは80%以上である。また、空隙率の上限は100%(導電性繊維が存在していない状態)とならない限り限定するものではない。

0066

なお、空隙率は次の式から算出することができる。
P={1−W/(t×SG)}×100
ここで、Pは繊維シート(103)の空隙率(単位:%)、Wは繊維シート(103)の目付(単位:g/m2)、tは繊維シート(103)の厚さ(単位:μm)、SGは導電性繊維の比重(単位:g/cm3、導電性繊維が酸化すず100%の場合4.6g/cm3)をそれぞれ表わす。

0067

更に、上述の範囲の空隙率を有する繊維シート(103)はフレキシブルな特性を有することができるため、フレキシブルな特性を有する基材(101)とともに用いることで、後述するフレキシブルな色素増感型太陽電池(100)を得ることができる。

0068

繊維シート(103)の体積固有抵抗値は、45Ωcm以下であるのが好ましい。より好ましくは抵抗率が30Ωcm以下であるのが好ましい。抵抗率が小さければ小さい程、該繊維シート(103)をベースとしてなる電極(110a)の発電効率を優れたものにすることができるため、抵抗率の下限は特に限定するものではない。

0069

なお、「抵抗率」は次の手順により得られる値をいい、図6を用いて説明する。
(1)厚さを測定した繊維シート(103)から、5mm×10mm角試料(S)を3枚採取する。このとき、試料(S)の厚さ(d:単位=μm)は、繊維シート(103)の厚さと同じとなる。
(2)ガラス板(G)上に銀ペースト(P)を介して試料(S)を載せた後、温度60℃で1時間乾燥し、銀ペースト(P)でガラス板(G)と前記試料(S)とを接着する。なお、銀ペースト(P)による接着は、試料(S)の長手方向における各端部から2.5mmの領域に行い、試料(S)のみの領域を5mm×5mm角とする。
(3)両端の銀ペースト(P)に端子を接続した後、抵抗計により端子間の抵抗値(R:単位=Ω)を測定する。
(4)この抵抗値(R)と試料(S)の厚さ(d)から、次の式により試料(S)の抵抗率(ρ:単位=Ωcm)を算出する。
ρ=R/(1×104/d)
(5)3枚の試料(S)について抵抗率をそれぞれ算出し、その算術平均値を求めることで、繊維シート(103)の「抵抗率」とする。

0070

本発明において半導体材料と色素が繊維シート(103)の全体に存在しているとは、半導体材料と色素が繊維シート(103)の表層だけではなく、繊維シート(103)の内部にも存在している態様を指す。

0071

そのため、電極(110a)における半導体材料と色素の保持量を多くすることができるとともに、色素増感型太陽電池(100)へと透過した光が、半導体材料と色素に効率よく反応するため、光を効率良く利用でき発電効率が高い電極(110a)であることができる。

0072

繊維シート(103)の全体に半導体材料と色素を存在させる方法として、半導体材料を含有するペーストを繊維シート(103)に塗布し、焼成を施して半導体材料同士および半導体材料と繊維シート(103)を一体化した後に、この繊維シート(103)を色素の溶液に含浸する方法が挙げられる。

0073

又は、液相析出法により繊維シート(103)表面に半導体材料を析出させた後、析出した半導体材料に色素を吸着させることによっても形成することができる。なお、液相析出法とは、金属フルオロ錯体加水分解を利用した薄膜合成法であり、反応機構は次の通りである。
MFx(x−2n)−+nH2O=MOn+nF−+2nH+
H3BO3+4H++4F−=HBF4+3H2O

0074

このように、液相析出法は金属フルオロ錯体(MFx(x−2n)−)の加水分解反応により、金属酸化物を溶液中で析出させるとともに、フッ化物イオンと反応しやすいホウ酸(H3BO3)を添加することにより、より安定なほうふっ化水素酸(HBF4)を形成し、効率的に金属酸化物を析出させることができる方法である。このように、液中において金属酸化物を析出させることができるため、繊維シート(103)の表面へ半導体材料を析出させ、繊維シート(103)全体に半導体材料と色素が存在している態様にすることができる。

0075

なお、本発明において色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮りにくく、発電効率を低下させないのであれば、半導体材料と色素からなる空隙を有する層を、電極(110a)の表面にさらに積層しても良い。

0076

繊維シート(103)における、半導体材料と色素が存在している割合は、発電効率の高い電極(110a)となるのであれば特別限定されるべきものではなく、電極内に存在する半導体材料と色素の割合は、適宜、調整されるのが好ましい。

0077

半導体材料として、例えば、酸化物半導体(TiO2、SnO、ZnO、WO3、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5、TiSrO3など)、硫化物半導体CdS、ZnS、In2S、PbS、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS2、CuS2など)、金属カルコゲナイド(CdSe、In2Se2、WSe2、PbSe、CdTeなど)、元素半導体GaAs、Si、Se、InPなど)が挙げられる。

0078

また、半導体材料の種類は上述に例示した内の一種類からなる場合に限らず、2種類以上の半導体材料を混合したものとして使用することもできる。更に、半導体材料として、上述に例示した2種類以上よりなる複合体(SnOとZnOとの複合体、TiO2とNb2O5の複合体など)を使用できる。

0079

半導体材料としてTi、Zn、Sn、Nbなどの酸化物を使用すると、後述する変換効率の高い色素増感型太陽電池(100)を製造することができ、より好ましい。

0081

ビピリジル錯体やターピリジル錯体として、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの金属を、キレートしてなる錯体を例示することができる。

0082

色素として、高い量子収率を有し、光に対する耐久性がよいことから、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、金属錯体色素を使用することが好ましい。

0083

半導体材料と色素の形状は、繊維シート(103)の全体に存在できるとともに、発電効率の高い電極(110a)となるのであれば特別限定されるべきものではないが、半導体材料の形状は球体略球体の粒子形状、繊維形状などであるのが好ましい。また、その大きさも適宜調整するのが好ましい。

0084

本発明に係る電極(110a)は、繊維シート(103)をベースとしてなるとともに、その全体に半導体材料と色素が存在するものである。電極(110a)は導電性を有する繊維シート(103)をベースとしているため、透明導電性膜を使用する必要がない。また、本発明に係る電極(110a)は、繊維シート(103)をベースとしてなるため、全体に空隙を分散した状態で有する多孔性の態様である。そのため、透明導電性膜を電極(110a)に用いた場合と異なり、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮りにくい。

0085

また、電極(110a)中の全体に半導体材料と色素が存在していることで、半導体材料と色素が光と反応することで発生した電子を、電極(110a)の全体から効率よく集電できるため発電効率の高い電極(110a)である。

0086

なお、例えば、図1や図2に記載しているような、構成中に透明導電性膜(106、20b)を有してなる電極(110、20bと20c)は、透明導電性膜(106、20b)が空隙を分散した状態で有する多孔性の態様ではないため、半導体材料と色素が電極の全体に存在できない。

0087

本発明に係る電極(110a)を備える、色素増感型太陽電池(100)が発電する仕組みを、図7をもとに説明する。

0088

色素増感型太陽電池(100)は、紙面左方向から紙面右方向に向かい、基材(101)、電極(110a)、電解液(104)、白金膜(105)を有するFTOやITOなどの透明導電性膜(106)、基材(101)より構成されている。

0089

なお、このとき電極(110a)は負極として作用し、白金膜(105)と透明導電性膜(106)は正極(120)として作用するものであり、また、負極の電極(110a)と正極(120)の透明導電性膜(106)は導線(107)により互いに接続されている。なお、負極の電極(110a)と正極(120)を離間するとともに、両極間に電解液(104)を保持するために、両電極間スペーサー(図示せず)を設けても良い。

0090

図2に記載しているような、一部に透明導電性膜を使用した従来技術の色素増感型太陽電池(100)において、基材(20a)の表面に存在している透明導電性膜(20b)は、集電を担う部材、例えば酸化すず含有繊維からなる不織布(20c)と一体化される際、あるいは多孔質酸化チタン粒子層(22)中の酸化チタン粒子同士を一体化する際、透明導電性膜(20b)は基材(20a)とともに高温下に曝される。透明導電性膜(20b)は焼成時に高温に曝されると、その導電性が低下することが知られており、また、基材(20a)はガラスなどの耐熱性を有する素材から構成されている必要があるため、使用できる素材が限定されるものである。

0091

本発明は、電極(110a)として導電性繊維からなる繊維シート(103)をベースとして、透明導電性膜を使用することなく電極(110a)を形成することを特徴としているため、焼成による電極(110a)の導電性が低下することなく、基材(101)として、例えば、耐熱性を有していない透明な樹脂フィルムなどを使用することができる。

0092

基材(101)として使用できる、透明な樹脂フィルムとして、例えば、低密度ポリエチレン高密度ポリエチレンポリプロピレンポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレンプロピレン、1−ブテン、α−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂(4−メチル−1−ペンテンなど)、エチレン−ビニル化合物共重合体樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体など)、スチレン系樹脂ポリスチレンアクリロニトリル−スチレン共重合体、ABSα−メチルスチレンスチレン共重合体など)、ビニル系樹脂ポリビニルアルコールポリビニルピロリドンポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体ポリアクリル酸ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなど)、ポリアミド樹脂ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11ナイロン12など)、ポリエステル樹脂ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートなど)、ポリカーボネートポリフェニレンオキサイドセルロース誘導体カルボキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースなど)、澱粉酸化澱粉エーテル化澱粉デキストリンなど)などの一種類あるいは複数種類からなるものを挙げられる。

0093

基材(101)として透明な樹脂フィルムのようなフレキシブルな素材を使用するとともに、繊維シート(103)が平均繊維径が1μm以下かつアスペクト比が1000以上のフレキシブルな導電性繊維からなる電極(110a)であると、フレキシブルな色素増感型太陽電池(100)を作製することができる。

0094

本発明に係る複数の電極(110a、110b)を備えた、別の色素増感型太陽電池(100)について、図8をもとに説明する。

0095

図8の色素増感型太陽電池(100)は、負極として複数の電極(110a、110b)を備えており、各々は導線(107)に接続されている。

0096

複数の電極(110a、110b)を有する色素増感型太陽電池(100)であると、光が半導体材料と色素と効率よく反応できるため、より発電効率が高い。特に各電極(110a、110b)が、吸収する光の波長が異なる色素を含有していると、例えば、電極(110a)が主に短波長(波長:350nm〜600nm)側の可視光を吸収する色素を含有し、電極(110b)が主に長波長(波長:600nm〜800nm)側の赤色光近赤外光を吸収する色素を含有していると、半導体材料と色素が光と効率よく反応でき、より発電効率が高い。

0097

なお、図8では2つの電極(110a、110b)が存在している状態を示しているが、その数は1つ以上であれば限定されるものではない。そして各電極(110a、110b)の、厚さ、空隙率、導電性繊維の組成、含有する色素を吸着した半導体材料(102)の種類や混合割合などは、各電極(110a、110b)の各々において適宜調整することができる。また、図8では電極(110a、110b)同士は離間している状態を示しているが、互いに接触している状態であっても構わない。

0098

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。

0099

(1)電極の作製
(a)紡糸原液の調製
100mlの反応容器塩化第一スズ(SnCl2)10gとメタノール100mlを加え、撹拌して溶解させた。次いで、40℃で1日間反応させた後、エバポレーターにて濃縮を行い、紡糸原液を得た。この紡糸原液の固形分濃度は47wt%、粘度は110mPa・sであり、曳糸性ゾル溶液であった。

0100

(b)繊維シートの製造
上記、得られた紡糸原液を、金属ノズル(内径:0.4mm)を備えたプラスチックシリンジに2.00ml入れ、押し出し量1.00g/時間の速度で金属ノズルから押し出すとともに、金属ノズルに電圧10kV印加し、金属ノズルの先端から8cm離れた金属ドラム(アース)上に集積し、スズ化合物ゲル状繊維の繊維ウェブを形成した。
次いで、この繊維ウェブを電気炉に入れ、電気炉内の温度を2時間かけて室温から450℃まで昇温して、温度450℃で2時間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.5μm、目付:8.8g/m2、厚さ:30μm、空隙率:95.4%、体積抵抗率:0.39Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で実質的に連続した、酸化すず含有繊維から構成されていた。
この不織布を、縦0.5cm、横2.5cmに切り取ることで、長方形の繊維シート(103)とした。

0101

(2)太陽電池の作製
(a)負極の電極(110a)の作製
(i)繊維シート(103)への半導体材料の充填方法
半導体材料として酸化チタン(日本アエロジル社製、P-25)2.10g、純水4.90g、ジルコニアビーズ(3mm径)20.0gを混合し、ロッキングミルで15時間処理することで酸化チタン分散液を調製した。
(1-b)項で得た繊維シート(103)に、酸化チタン分散液を0.05213g滴下することで、繊維シート(103)の全体に酸化チタン粒子(102)が存在するように充填した。

0102

(ii)酸化チタン粒子が充填された繊維シート(103)の焼成処理方法
次いで、酸化チタン粒子が充填された繊維シート(103)を電気炉に入れ、電気炉内の温度を2時間かけて室温から450℃まで昇温して、温度450℃で2時間維持することにより焼成処理し、繊維シート(103)の全体に存在している、酸化チタン粒子同士および酸化チタン粒子と繊維シート(103)の一体化処理を行った。

0103

(iii)酸化チタン粒子が充填された繊維シート(103)への色素の吸着方法
主に、300nm〜700nmの範囲の波長を吸収する色素(Ru(2,2'-bipyridyl-4,4'-dicarboxylate)2-cis-(NCS)2・2TBA(N719)、小島化学薬品株式会社製)0.05984gをt-ブタノール50mlとアセトニトリル50mlに溶解させて色素溶液として、その溶液に(2-a-ii)項で得た焼成処理した繊維シート(103)を、30℃の条件下で一日浸漬して色素を半導体材料に吸着させた。
その後、脱水したアセトニトリルで洗浄して、銀ペースト(図示せず、化成製、ドータイトD-500)を繊維シート(103)の長手方向における一辺の端部から2.5mmまでの領域に塗り、そこに端子を設けることで、色素を吸着した半導体材料(102)を全体に存在させてなる電極(110a)を作製した。

主に、400nm〜900nmの範囲の波長を吸収する色素(Ru(4,4',4''-tricarboxy-2,2':6,2''-terpyridine)-(NCS)3・3TBA(N749)、ソラロニクス社製)0.05975gをt-ブタノール50mlとアセトニトリル50mlに溶解させて色素溶液として、その溶液に(2-a-ii)項で得た焼成処理した繊維シート(103)を、30℃の条件下で一日浸漬して色素を半導体材料に吸着させた。
その後、脱水したアセトニトリルで洗浄して、銀ペースト(図示せず、藤倉化成製、ドータイトD-500)を繊維シート(103)の長手方向における一辺の端部から2.5mmまでの領域に塗り、そこに端子を設けることで、色素を吸着した半導体材料(102)を全体に存在させてなる電極(110b)を作製した。

0104

(b)電解液(104)の調製
遮光性容器に3-メトキシプロピオンニトリル(10ml)、LiI(0.13358g)、I2(0.1269g)、4TBP(4-tert-butylpyridine、0.67605g)、DMPr2-I(1,2-Dimetyl-3-n-propylimdazoliumiodide、1.3572g))を入れ、撹拌して溶解させ、電解液(104)を調製した。

0105

(c)正極(120)の作製
縦1.5cm、横2.5cmのITO膜被膜PEN(ポリエチレンナフタレート、以下同様)フィルム(透明導電性膜106と基材101とに相当、ペクセル・テクノロジーズ株式会社製)を用意し、エタノール及びアセトンでITO膜(106)表面を洗浄した後、紫外線を5分間照射して更に洗浄した。
次いで、スパッタリング装置(JEOL JFC-1600)を用い、電流40mAで2分間の処理を2回(白金の厚みの狙い値:60mm)行い、前記ITO膜(106)表面に白金層(105)を蒸着した。
ITO膜被膜PENフィルム(透明導電性膜106と基材101とに相当、ペクセル・テクノロジーズ株式会社製)表面の白金層(105)の長手方向における一辺の端部から2.5mmまでの領域に銀ペースト(図示せず、藤倉化成製、ドータイトD-500)を塗り、そこに端子を設けることで、PENフィルム(101)上に正極(120)を形成した。

0106

(d)色素増感型太陽電池(100)の組み立て
(実施例1)
紙面左方向から紙面右方向に向かい、PENフィルム(101)、電極(110a)、スペーサー(タマポリ製、HM-52、厚さ:30μm、図示せず)、PENフィルム(101)上に形成された正極(120)の順で積層し、電極(110a)と正極(120)の間に電解液(104)を封入してクリップで固定することにより、図7の色素増感太陽電池(100)を組み立てた。
更に、電極(110a)の受光面積が0.25cm2(縦0.5cm、横0.5cm)になるよう、得られた色素増感太陽電池(100)を、一辺0.5cmの正方形状に穴があけられたアルミ箔(図示せず)で覆った。

0107

(参考例)
PENフィルム(101)の代わりに、ITO膜被膜PENフィルム(透明導電性膜106と基材101とに相当)を、電極(110a)による集電作用に該ITO膜被膜PENフィルム(透明導電性膜106と基材101とに相当)が関与しないように、つまり、紙面左方向にITO膜(106)が存在するように設けたこと以外は、実施例1と同様にして、図9の色素増感太陽電池(100)を組み立てた。

0108

(比較例1)
実施例1と等量の(2-a-i)項で得られた酸化チタン分散液を、ITO膜被膜PENフィルム(透明導電性膜106と基材101とに相当)のITO膜(106)上に均一に塗布し、室温(24.5℃)で乾燥させた後にプレス機(株式会社 井元製作所製)を行いて1分間加圧(100MPa)することで、酸化チタン粒子(102)同士および酸化チタン粒子(102)とITO膜(106)の一体化処理を行い、ITO膜被膜PENフィルムと色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子の複合体(図1における、透明導電性膜106と基材101と色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子108に相当)を作製した。
このようにして得られた複合体(図1における、透明導電性膜106と基材101と色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子108に相当)を、実施例1のPENフィルム(101)および電極(110a)の替わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図1の色素増感太陽電池(100)を組み立てた。

0109

(実施例2)
紙面左方向から紙面右方向に向かい、PENフィルム(101)、電極(110a)、スペーサー(タマポリ製、HM-52、厚さ:30μm、図示せず)、電極(110b)、スペーサー(タマポリ製、HM-52、厚さ:30μm、図示せず)、PENフィルム(101)上に形成された正極(120)の順で積層し、電極(110a)と電極(110b)の間、および電極(110b)と正極(120)の間に電解液(104)を封入してクリップで固定することにより、図8の色素増感太陽電池(100)を組み立てた。

0110

以上のようにして組み立てられた、実施例1〜2、参考例、比較例1の色素増感太陽電池(100)を次のようにして評価した。
擬似太陽光照射装置(100、セリック製、SXL-500V2形)の光源を、あらかじめ10分間照射してウォームアップした。次いで、フォトダイオード分光計器製、シリコン系フォトダイオード、BS-520)に、ウォームアップ後擬似太陽光を照射し、出力電流値0.606mAを示すように試料台の高さを調節した。これによりAM1.5(100mW/cm2)の太陽光を、実施例1〜2、参考例、比較例1の色素増感太陽電池(100)に照射できる状態となった。
擬似太陽光照射装置に実施例1〜2、参考例、比較例1の色素増感太陽電池(100)を納め、AM1.5(入射光:100mW/cm2)の擬似太陽光を色素増感太陽電池(100)の負極側から照射しながら、2400型汎用ソースメータKEITHLEY社製)を用いて、I-V特性を測定し、短絡電流値(mA/cm2)、開放電圧値(V)、形状因子ff(フィルファクター)の値を測定した。

0111

短絡電流値(mA/cm2)とは、色素増感太陽電池に電圧を印加しない条件下での電流値を示すものである。短絡電流値が高いほど、発電効率が良く、発電量の高い色素増感太陽電池(100)である。

0112

開放電圧値(V)とは、色素増感太陽電池(100)内で発生している電圧と、逆極性の電圧を色素増感太陽電池(100)へと印加する条件下において、色素増感太陽電池(100)の相対的な電圧値が0(V)となる時に、印加している電圧の絶対値を示すものである。

0113

形状因子ffの値とは、「開放電圧値と短絡電流値の積(理論上の最大発電量)」における「実測された電圧値と短絡電流の積(実測された色素増感太陽電池の発電量)」の割合を示すものである。

0114

次いで、下記式により、実施例1〜2、参考例、比較例1の色素増感太陽電池(100)の変換効率(%)を算出した。
変換効率(%)=[短絡電流値(mA/cm2)×開放電圧値(V)×{形状因子ffの値/入射光(100mW/cm2)}]×100

0115

以上のようにして得られた、実施例1〜2、参考例、比較例1の色素増感太陽電池(100)における、測定結果を表1にまとめた。

0116

表1

0117

*実施例2の色素増感太陽電池は、面積が0.25(cm2)の電極(110a、110b)各々を、図8のように積層した態様である。

0118

表1の結果から、本発明に係る「導電性繊維からなる繊維シートの全体に、半導体材料と色素が存在している」電極(110a)を有した実施例1の色素増感太陽電池(100)は、参考例および比較例1の色素増感太陽電池(100)と比べて、短絡電流値および変換効率に優れることが判明した。

0119

この結果から、本発明に係る実施例1の色素増感太陽電池(100)は、
1.光が透過してくる負極の電極(110a)を構成する部材として透明導電性膜を使用しないため、負極の基材(101)側から色素増感型太陽電池(100)へと透過する光の量を減少させない。
2.負極の電極(110a)が、全体に空隙が分散して存在してなる繊維シートをベースとしているため、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮り難く、半導体材料と色素が多くの光と反応できるため、光を効率良く利用でき発電効率が高い。
3.負極の電極(110a)が、繊維シートをベースとし、その全体に存在している半導体材料および色素と、繊維シート(103)を構成している導電性繊維との接点数を多くすることができるため、光との反応により生成される電子を半導体材料および色素から効率よく集電できる、
という効果を奏することが判明した。

0120

また、本発明に係る実施例1の色素増感太陽電池(100)は、
1.繊維シート(103)をベースとしてなる電極(110a)であるため、光を遮りにくい。特に、該繊維シート(103)が、透明性を有する金属酸化物の導電性繊維のみから構成されているため、更に光の進行が該繊維シート(103)によって遮られにくい。
2.電極(110a)の全体に半導体材料と色素が存在しているため、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光が、半導体材料と色素に効率よく反応できる。
3.電極(110a)が透明導電性膜を使用することなく形成されているため、焼成処理を施すことによる電極(110a)の導電性が低下することがなく、発電効率を低下させない。
4.フレキシブルな電極(110a)とすることが可能であり、フレキシブルな素材を基材(101)として使用することで、フレキシブルな色素増感型太陽電池(100)を作製することができる。
という効果を奏することが推測された。

0121

また、表1の結果から、複数の電極(110a、110b)を有する実施例2の色素増感太陽電池(100)は、実施例1の色素増感太陽電池(100)と比べて、短絡電流値および変換効率に優れることが判明した。

実施例

0122

この結果から、複数の電極(110a、110b)を有する色素増感型太陽電池(100)は、広範囲の波長の光を利用できることで、光が色素を吸着した半導体材料(102)と効率よく反応できるため、発電効率が高いという効果を奏することが判明した。

0123

本発明に係る色素増感型太陽電池用電極(110a)は、光が透過してくる負極の電極(110a)を構成する部材として透明導電性膜を使用しないため、負極の基材(101)側から色素増感型太陽電池(100)へと透過する光の量を減少させない。そして、負極の電極(110a)が、全体に空隙が分散して存在してなる繊維シートをベースとしているため、色素増感型太陽電池(100)へと透過する光を遮り難く、半導体材料と色素が多くの光と反応できるため、光を効率良く利用でき発電効率が高い。
また、本発明に係る色素増感型太陽電池用電極を備えた色素増感型太陽電池(100)は、光を効率良く利用できる。

0124

100・・・色素増感型太陽電池
101・・・基材
102・・・色素を吸着した半導体材料
103・・・導電性繊維からなる繊維シート
104・・・電解液
105・・・白金膜
106・・・透明導電性膜
107・・・導線
108・・・色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子
110・・・負極
110a、110b・・・色素増感型太陽電池用電極
120・・・正極

20a・・・基材
20b・・・透明導電性膜
20c・・・酸化すず含有繊維からなる不織布
22・・・多孔質酸化チタン粒子層

21・・・光半導体電極
1・・・連通型多孔質高分子フィルム
4’・・・繊維状の導電性無機化合物
5・・・導電層
6・・・光半導体粒子

10・・・第一電極
11・・・第一線材
12・・・多孔質酸化物半導体層
1A・・・光電変換素子

G・・・ガラス板
P・・・銀ペースト
S・・・試料

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