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技術 高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラム

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 平井真大塚喜久
出願日 2010年4月15日 (9年3ヶ月経過) 出願番号 2010-093839
公開日 2011年11月10日 (7年8ヶ月経過) 公開番号 2011-225898
状態 特許登録済
技術分野 鉄の製造 溶鉱炉
主要キーワード 各圧力損失 仮想値 空隙率ε 化学反応モデル 導出装置 仮想分 ガス密度ρ 粘性係数μ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年11月10日)のものです。
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図面 (12)

課題

高炉の層頂部における圧力損失の値を短時間で精度よく求めることができる高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムを提供することを課題とする。

解決手段

本発明は、層頂部内の所定の炉半径Rに沿った各位置での装入物の状態を取得し、高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び炉頂ガス量を取得し、圧力損失の仮想値を設定し、この仮想値と所定の炉半径Rに沿った各位置での装入物の状態と高炉ガスの特性とに基づいて所定の炉半径Rの高炉ガスの質量流速仮想分布を求め、この仮想分布に対応した所定の炉半径Rを含む高炉の水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速の総和Gcalを求め、この質量流速の総和が前記炉頂ガス量GTと一致するような前記仮想値を求め、この値を層頂部における圧力損失の値として導出することを特徴とする。

概要

背景

高炉の安定操業を行うためには高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の管理が重要となる。この圧力損失の値が増大すると、炉内での装入物の降下状態が悪化し、スリップ吊りといった異常が発生して生産性が悪化する。

圧力損失の増大は、高炉内において装入された装入物(鉱石コークス等)の粒径分布等の変化によって炉内の通気性が悪化することにより生じる。そこで、操業中の高炉において圧力損失の増大が認められると、操業条件(例えば、ムーバルアーマ等の高炉内へ装入物を装入するための装置の設定等)を変更することにより、炉半径方向における装入物の粒径分布や空隙率分布等を調整して圧力損失を抑える。

この圧力損失を抑えるための操業条件は、多数の操業条件案を検討し、その中から最も圧力損失の値が小さくなる操業条件案を見つけ出すことにより決定される。このとき、所定の操業条件案で操業を行った場合の高炉における圧力損失の値を求める方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。この方法では、所定の数学モデルを用いて高炉における圧力損失の値が算出される。

また、別の方法としては、特許文献2に記載の方法が知られている。この方法では、火入れ前の高炉に充填された装入物を炉内の複数箇所から採取し、この採取した装入物に基づく通気抵抗係数から操業中の高炉における圧力損失の値が求められる。

概要

高炉の層頂部における圧力損失の値を短時間で精度よく求めることができる高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムを提供することを課題とする。本発明は、層頂部内の所定の炉半径Rに沿った各位置での装入物の状態を取得し、高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び炉頂ガス量を取得し、圧力損失の仮想値を設定し、この仮想値と所定の炉半径Rに沿った各位置での装入物の状態と高炉ガスの特性とに基づいて所定の炉半径Rの高炉ガスの質量流速仮想分布を求め、この仮想分布に対応した所定の炉半径Rを含む高炉の水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速の総和Gcalを求め、この質量流速の総和が前記炉頂ガス量GTと一致するような前記仮想値を求め、この値を層頂部における圧力損失の値として導出することを特徴とする。

目的

そこで、高炉の層頂部における圧力損失の値を短時間で精度よく求めることができる高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の値を導出する装置であって、前記層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態を取得する装入物状態取得手段と、前記高炉炉頂部における高炉ガスの特性及び前記炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量である炉頂ガス量を取得するガス情報得手段と、前記層頂部における圧力損失の値を導出する圧力損失導出手段と、前記圧力損失導出手段によって導出された圧力損失の値を出力する出力手段と、を備え、前記圧力損失導出手段は、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値を設定する仮想値設定部と、前記仮想値設定部で設定された圧力損失仮想値と前記装入物状態取得手段により取得した前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と前記ガス情報取得手段により取得した高炉ガスの特性とに基づいて前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求める仮想分布導出部と、前記仮想分布導出部で導出された質量流速の仮想の分布に対応した前記所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和を求める総和導出部と、前記総和導出部で導出された質量流速の総和が前記ガス情報取得手段により取得された炉頂ガス量と一致するような前記圧力損失仮想値を求め、この値を前記層頂部における圧力損失の値として導出する圧力損失値導出部とを有することを特徴とする高炉の圧力損失導出装置

請求項2

請求項1に記載の高炉の圧力損失導出装置において、前記仮想分布導出部は、充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体流速との間の所定の関係に基づき、前記圧力損失仮想値と前記所定の炉半径方向に沿った各位置での装入物の状態と前記高炉ガスの特性とから前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求めることを特徴とする高炉の圧力損失導出装置。

請求項3

請求項2に記載の高炉の圧力損失導出装置において、前記装入物状態取得手段により取得される前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態は、前記所定の炉半径における装入物の粒径分布空隙率分布、及び形状係数分布であり、前記ガス情報取得手段により取得される高炉ガスの特性は、ガス密度及びガス粘性係数であり、前記仮想分布導出部は、前記充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体の流速との間の所定の関係を規定するエルガン式に基づき、前記圧力損失仮想値と、前記粒径分布、空隙率分布及び形状係数分布と、前記ガス密度及びガス粘性係数とから前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求めることを特徴とする高炉の圧力損失導出装置。

請求項4

請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉の圧力損失導出装置において、前記圧力損失値導出部は、前記質量流速の総和と炉頂ガス量との差が所定の範囲内の場合は、前記質量流速の総和を求めたときの圧力損失仮想値を前記層頂部における圧力損失の値として導出すると共に、前記差が所定の範囲内にない場合は、前記仮想値設定部に前記質量流速の総和を求めたときの圧力損失仮想値を変更するように指示し、この指示は、変更後の圧力損失仮想値によって求めた質量流速の総和と前記炉頂ガスとの差が変更前の圧力損失仮想値によって求めた質量流速の総和と前記炉頂ガス量との差よりも小さくなる方向に圧力損失仮想値を変更するものであることを特徴とする高炉の圧力損失導出装置。

請求項5

高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の値を導出する方法であって、前記層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態を取得する装入物状態取得工程と、前記高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び前記炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量である炉頂ガス量を取得するガス情報取得工程と、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値を設定する仮想値設定工程と、前記圧力損失仮想値と前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と前記高炉ガスの特性とに基づいて前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求める仮想分布導出工程と、前記質量流速の仮想の分布に対応した前記所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和を求める総和導出工程と、前記質量流速の総和が前記ガス情報取得工程により取得された炉頂ガス量と一致するような前記圧力損失仮想値を求め、この値を前記層頂部における圧力損失の値として導出する圧力損失値導出工程と、を備えることを特徴とする高炉の圧力損失導出方法

請求項6

高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の値を導出するためのプログラムであって、前記層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と、前記高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び前記炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量である炉頂ガス量とをコンピュータが受け取ることで、このコンピュータを、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値を設定する仮想値設定手段と、前記圧力損失仮想値と前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と前記高炉ガスの特性とに基づいて前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求める仮想分布導出手段と、前記質量流速の仮想の分布に対応した前記所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和を求める総和導出手段と、前記質量流速の総和が前記受け取った炉頂ガス量と一致するような前記圧力損失仮想値を求め、この値を前記層頂部における圧力損失の値として導出する圧力損失値導出手段として機能させることを特徴とする高炉の圧力損失導出プログラム。

技術分野

0001

本発明は、操業中の高炉内における装入物の状態や高炉ガスの特性から、高炉内に積層された装入物の層頂部における圧力損失の値を求めるための高炉圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムに関する。

背景技術

0002

高炉の安定操業を行うためには高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の管理が重要となる。この圧力損失の値が増大すると、炉内での装入物の降下状態が悪化し、スリップ吊りといった異常が発生して生産性が悪化する。

0003

圧力損失の増大は、高炉内において装入された装入物(鉱石コークス等)の粒径分布等の変化によって炉内の通気性が悪化することにより生じる。そこで、操業中の高炉において圧力損失の増大が認められると、操業条件(例えば、ムーバルアーマ等の高炉内へ装入物を装入するための装置の設定等)を変更することにより、炉半径方向における装入物の粒径分布や空隙率分布等を調整して圧力損失を抑える。

0004

この圧力損失を抑えるための操業条件は、多数の操業条件案を検討し、その中から最も圧力損失の値が小さくなる操業条件案を見つけ出すことにより決定される。このとき、所定の操業条件案で操業を行った場合の高炉における圧力損失の値を求める方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。この方法では、所定の数学モデルを用いて高炉における圧力損失の値が算出される。

0005

また、別の方法としては、特許文献2に記載の方法が知られている。この方法では、火入れ前の高炉に充填された装入物を炉内の複数箇所から採取し、この採取した装入物に基づく通気抵抗係数から操業中の高炉における圧力損失の値が求められる。

先行技術

0006

特開平10−219317号公報
特開平11−140517号公報

発明が解決しようとする課題

0007

前記の数学モデルを用いた方法では、計算が複雑で且つ計算量が非常に多いため、圧力損失の値が求まるまでに多く時間が必要であった。具体的に、前記の数学モデルを用いた方法では、圧力損失は、2次元拡張されたエルガン式を用いた高炉数学モデルにより求められる。この高炉数学モデルでは、炉頂部における鉱石層厚比、炉半径方向における粒径分布及び空隙率分布、高炉内の送風条件境界条件として、物質移動モデル化学反応モデル伝熱モデル粉化モデル等の各解析モデルによる計算がそれぞれ行われる。そのため、この高炉数学モデルにおいては、ガス組成送風量、伝熱係数、反応速度等の多数のパラメータが必要となり、計算も複雑なものとなる。しかも、高炉の層頂部の圧力損失の値を求めるために、層頂部だけでなく高炉全体についての前記各解析モデルの計算を行わなければならず、層頂部の圧力損失の値が求まるまでに多くの時間が必要であった。

0008

操業中の高炉において圧力損失の増大が生じたときには、圧力損失を抑えるための操業条件を見つけるために、高炉の操業が不安定にならないように限られた時間内に多数の操業条件案を検討する必要があった。

0009

しかし、前記の数学モデルを用いた方法によれば、各操業条件案における圧力損失の値の算出に多くの時間が必要であるため、多数の操業条件案を検討するとことが難しく、前記限られた時間内に圧力損失を抑えるための最適な操業条件案を見つけるのは困難であった。

0010

一方、通気抵抗係数を用いた方法では、高炉内の複数箇所の通気抵抗係数が求まるが、これら通気抵抗係数に基づいて求められた圧力損失の値においては炉半径方向の通気性によって変化するガス分配が考慮されていないため、層頂部における正確な圧力損失の値を求めることができなかった。

0011

そこで、高炉の層頂部における圧力損失の値を短時間で精度よく求めることができる高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

上記課題を解消すべく、本発明は、高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の値を導出する装置であって、前記層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態を取得する装入物状態取得手段と、前記高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び前記炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量である炉頂ガス量を取得するガス情報得手段と、前記層頂部における圧力損失の値を導出する圧力損失導出手段と、前記圧力損失導出手段によって導出された圧力損失の値を出力する出力手段と、を備える。そして、前記圧力損失導出手段は、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値を設定する仮想値設定部と、前記仮想値設定部で設定された圧力損失仮想値と前記装入物状態取得手段により取得した前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と前記ガス情報取得手段により取得した高炉ガスの特性とに基づいて前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求める仮想分布導出部と、前記仮想分布導出部で導出された質量流速の仮想の分布に対応した前記所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和を求める総和導出部と、前記総和導出部で導出された質量流速の総和が前記ガス情報取得手段により取得された炉頂ガス量と一致するような前記圧力損失仮想値を求め、この値を前記層頂部における圧力損失の値として導出する圧力損失値導出部とを有することを特徴とする。

0013

上記課題を解消すべく、本発明は、高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の値を導出する方法であって、前記層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態を取得する装入物状態取得工程と、前記高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び前記炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量である炉頂ガス量を取得するガス情報取得工程と、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値を設定する仮想値設定工程と、前記圧力損失仮想値と前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と前記高炉ガスの特性とに基づいて前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求める仮想分布導出工程と、前記質量流速の仮想の分布に対応した前記所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和を求める総和導出工程と、前記質量流速の総和が前記ガス情報取得工程により取得された炉頂ガス量と一致するような前記圧力損失仮想値を求め、この値を前記層頂部における圧力損失の値として導出する圧力損失値導出工程と、を備えることを特徴とする。

0014

かかる構成によれば、層頂部についてのパラメータに基づく計算によって圧力損失の値が求まるため、従来の数学モデルを用いた方法(即ち、高炉全体についてのパラメータに基づいて複数の解析モデルによる計算が必要な方法)に比べて計算量が少なく、短時間で層頂部における圧力損失の値が求まる。しかも、炉半径方向のガス分配に起因する高炉ガスの質量流速の分布を用いることにより、ガス分配の考慮された圧力損失の値が求まる。これにより、層頂部における圧力損失の値を精度よく求めることができる。

0015

具体的には、層頂部の圧力損失の値として、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値が設定され、この圧力損失仮想値と層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と高炉の炉頂部における高炉ガスの特性とに基づいて所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布が求められる。そして、この圧力損失の値が未定状態の質量流速の仮想分布に基づいて、所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の仮想の総和が求められる。このように求められた質量流速の総和が炉頂ガス量と一致するような圧力損失仮想値が求められ、この値が層頂部における圧力損失の値として導出される。このように層頂部についてのパラメータのみに基づく計算によって圧力損失の値が求まる。また、途中で質量流速の仮想の分布が求められていることから、上記のように求められた圧力損失の値には、炉半径方向のガス分配が考慮されている。

0016

本発明に係る高炉の圧力分布導出装置において、前記仮想分布導出部は、充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体流速との間の所定の関係に基づき、前記圧力損失仮想値と前記所定の炉半径方向に沿った各位置での装入物の状態と前記高炉ガスの特性とから前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求めること、が好ましい。

0017

高炉炉頂部では、装入物によって充填層が形成されているため、充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体の流速との間の所定の関係に基づくことにより、高炉内の高炉ガスの状態が精度よく求まる。これにより、層頂部における圧力損失の値が精度よく求まるため、この値を質量流速の仮想の分布に代入することによって所定の炉半径における高炉ガスの実際の質量流速の分布が精度よく求まる。

0018

より具体的に、前記装入物状態取得手段により取得される前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態は、前記所定の炉半径における装入物の粒径分布、空隙率分布、及び形状係数分布であり、前記ガス情報取得手段により取得される高炉ガスの特性は、ガス密度及びガス粘性係数であり、前記仮想分布導出部は、前記充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体の流速との間の所定の関係を規定するエルガン式に基づき、前記圧力損失仮想値と、前記粒径分布、空隙率分布及び形状係数分布と、前記ガス密度及びガス粘性係数とから前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求めること、が好ましい。

0019

充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体の流速との関係を精度よく表すエルガン式を用いることにより、高炉内の高炉ガスの状態がより精度よく求まり、その結果、所定の炉半径における高炉ガスの実際の質量流速の分布がより精度よく求まる。

0020

前記圧力損失値導出部は、前記質量流速の総和と炉頂ガス量との差が所定の範囲内の場合は、前記質量流速の総和を求めたときの圧力損失仮想値を前記層頂部における圧力損失の値として導出すると共に、前記差が所定の範囲内にない場合は、前記仮想値設定部に前記質量流速の総和を求めたときの圧力損失仮想値を変更するように指示し、この指示は、変更後の圧力損失仮想値によって求めた質量流速の総和と前記炉頂ガスとの差が変更前の圧力損失仮想値によって求めた質量流速の総和と前記炉頂ガス量との差よりも小さくなる方向に圧力損失仮想値を変更するものであることが、好ましい。

0021

このように圧力損失導出手段において、仮想値の設定と、この仮想値に基づく質量流速の総和と炉頂ガス量との比較とを繰り返すことにより、所定の精度の圧力損失の値を確実に且つ効率よく求めることが可能となる。

0022

また、上記課題を解消すべく、本発明は、高炉内に積層される装入物の層頂部における圧力損失の値を導出するためのプログラムであって、前記層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と、前記高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び前記炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量である炉頂ガス量とをコンピュータが受け取ることで、このコンピュータを、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値を設定する仮想値設定手段と、前記圧力損失仮想値と前記所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と前記高炉ガスの特性とに基づいて前記所定の炉半径における高炉ガスの質量流速の仮想の分布を求める仮想分布導出手段と、前記質量流速の仮想の分布に対応した前記所定の炉半径を含む高炉の水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和を求める総和導出手段と、前記質量流速の総和が前記受け取った炉頂ガス量と一致するような前記圧力損失仮想値を求め、この値を前記層頂部における圧力損失の値として導出する圧力損失値導出手段として機能させることを特徴とする。

0023

このようなプログラムをコンピュータに組み込むことにより、層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径に沿った各位置での装入物の状態と、高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び炉頂ガス量とを当該コンピュータに入力すれば、高炉の層頂部における圧力損失の値を短時間で精度よく求めることができる。

発明の効果

0024

上より、本発明によれば、高炉の層頂部における圧力損失の値を短時間で精度よく求めることができる高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0025

本実施形態に係る圧力損失導出装置の構成ブロック図である。
同実施形態における所定の炉半径、この炉半径を含む水平方向断面、メッシュを説明するための図である。
前記圧力損失導出装置において層頂部における圧力損失を求めるときのフローを示す図である。
実施例1における操業条件案A,Bを示す図である。
前記操業条件案Aで操業したときの高炉内の装入物の表面プロフィールを示す図である。
前記操業条件案Bで操業したときの高炉内の装入物の表面プロフィールを示す図である。
(A)は、前記操業条件案Aで操業したときの高炉の所定の炉半径における装入物の粒径分布を示し、(B)は、前記操業条件案Aで操業したときの高炉の所定の炉半径における空隙率分布を示す図である。
(A)は、前記操業条件案Bで操業したときの高炉の所定の炉半径における装入物の粒径分布を示し、(B)は、前記操業条件案Bで操業したときの高炉の所定の炉半径における空隙率分布を示す図である。
前記操業条件案Aで操業したとき高炉の所定の炉半径における高炉ガスのガス流速分布を示す図である。
前記操業条件案Bで操業したとき高炉の所定の炉半径における高炉ガスのガス流速分布を示す図である。
前記操業条件案A,Bで高炉の操業を行った場合の層頂部における圧力損失を圧力損失導出装置により求めた結果を示す図である。

0026

以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。

0027

高炉の圧力損失導出装置は、高炉の装入物の層頂部における圧力損失の値を求めるものである。本実施形態において、高炉内に積層された装入物の層頂部とは、鉱石の還元による粉化が殆ど生じていない装入物の状帯の上部のことである。

0028

この圧力損失導出装置は、具体的には図1に示されるように、取得手段11と、取得手段11からの情報を処理する計算機本体14と、計算機本体14において処理された情報(層頂部における圧力損失の値)を外部に出力する出力手段20とを備える。

0029

取得手段11は、高炉技術者等の操業者によって所定の情報が入力され、この入力により取得した情報を計算機本体14に送信するものである。本実施形態の取得手段11は、装入物の状態を取得する装入物状態取得手段12と、高炉の炉頂部における高炉ガスの特性及び炉頂ガス量を取得するガス情報取得手段13と、を備える。ここで、炉頂ガス量とは、高炉の炉頂部から外部に排出される高炉ガスの単位時間あたりの質量のことである。

0030

装入物状態取得手段12は、具体的には、層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径R(図2参照)に沿った各位置における装入物の状態を操業者が入力することにより取得し、これを計算機本体14に送信する。本実施形態の装入物状態取得手段12は、所定の炉半径Rに沿った各位置における装入物の状態として、所定の炉半径Rにおける粒径分布、空隙率分布、及び形状係数分布を取得して計算機本体14に送信する。ガス情報取得手段13は、高炉ガスの特性と炉頂ガス量とを操業者が入力することにより取得し、これを計算機本体14に送信する。本実施形態のガス情報取得手段13は、高炉ガスの特性としてガス密度及びガス粘性係数を取得して計算機本体14に送信する。本実施形態では、装入物状態取得手段12とガス情報取得手段13とが共通のキーボードによって構成されている。装入物状態取得手段12やガス情報取得手段13の具体的構成は、限定されず、本実施形態ではキーボードであるが、タッチパネル等であってもよい。尚、装入物状態取得手段12とガス情報取得手段13とが別々に構成され、それぞれが独立して計算機本体14に接続されてもよい。また、装入物状態取得手段12及びガス情報取得手段13は、高炉の制御等に用いられる計算機等から有線又は無線により前記の各情報を直接取得するように構成されてもよい。

0031

計算機本体14は、種々の情報を処理可能ないわゆるコンピュータである。この計算機本体14には、所定のプログラムが組み込まれ、このプログラムの実行によって機能的に圧力損失導出手段15が構成される。具体的に、この圧力損失導出手段15には、前記プログラムの実行によって機能的に仮想値設定手段(仮想値設定部)16と、仮想分布導出手段(仮想分布導出部)17と、総和導出手段(総和導出部)18と、圧力損失値導出手段(圧力損失導出部)19とが構成される。

0032

仮想値設定手段16は、計算機本体14に取得手段11から上記の情報が入力されると、圧力損失の仮想の値(圧力損失仮想値)を設定する。この仮想値設定手段16は、所定の炉半径Rの各位置において値が一定となるように圧力損失仮想値を設定する。

0033

仮想分布導出手段17は、圧力損失仮想値と取得手段11により取得した情報とに基づいて所定の炉半径Rにおける高炉ガスの質量流速の仮想の分布(仮想分布)を導出する。具体的に、仮想分布導出手段17は、圧力損失仮想値と、装入物状態取得手段12により取得した所定の炉半径Rに沿った各位置での装入物の状態と、ガス情報取得手段13により取得した高炉ガスの特性と、に基づいて所定の炉半径Rにおける高炉ガスの質量流速の仮想分布を求める。

0034

詳しくは、仮想分布導出手段17は、エルガン式(以下の式(1))を質量流速G(G=ρU)及び気体状態方程式(P=KρT)を用いて変換した式(2)と、仮想値設定手段16が設定した圧力損失仮想値と、装入物状態取得手段12により取得した各メッシュの粒径Dpi、空隙率εi、及び形状係数φiと、ガス情報取得手段13により取得した炉頂部における高炉ガスのガス粘性係数μ(kg/m sec)及びガス密度ρ(kg/m3)とから各メッシュにおける高炉ガスの仮想質量流速Gi(kg/m2sec)を求める。

0035

ここで、Pが圧力(Pa)、Uが高炉ガスの流速(m/sec)、zが高炉の高さ方向座標(m)である。また、メッシュとは、図2に示されるように、層頂部内の所定の高さ位置における高炉の水平方向断面CSにおいて、炉中心から炉壁に向って1cmごとに区切った管状の各領域(図2における斜線部分を参照:但し、メッシュ1は半径が1cmの円形の領域)のことである。下付き文字iは、炉中心を1として炉壁に向って順に番号が大きくなるメッシュ番号とする。また、層頂部における圧力損失の値は、炉半径Rの各位置においてほぼ一定であるので、炉半径Rの任意の位置での((dP2/2KTdz)<0)の値は一定とする。

0036

式(2)のGを未知数xとして式(2)をax2+bx+c=0と整理した場合に、その正の根が高炉ガスの質量流速となる。このとき、a,b>0,c<0であるため、ax2+bx+c=0の正の根が、





となり、これが各メッシュiでの仮想質量流速Gi、即ち、所定の炉半径Rにおける高炉ガスの質量流速Gの仮想分布となる。

0037

総和導出手段18は、仮想分布導出手段17により導出された所定の炉半径Rにおける高炉ガスの仮想質量流速(高炉ガスの質量流速Gの仮想分布)Giに対応した所定の炉半径Rを含む高炉の水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速Gの総和を求める。

0038

具体的には、総和導出手段18は、各メッシュの仮想質量流速Giから高炉の水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速の総和Gcal(kg/sec)を求める。具体的に、総和導出手段18は、以下の式(3)のように計算する。

0039

0040

圧力損失値導出手段19は、総和導出手段18で導出された質量流速の総和がガス情報取得手段13により取得された炉頂ガス量と一致するような圧力損失仮想値を求め、この値を層頂部における圧力損失の値として導出する。

0041

具体的に、圧力損失値導出手段19は、総和導出手段18で求めた総和Gcalと、ガス情報取得手段13により取得した炉頂ガス量GT(kg/sec)とから、式(2)におけるdP2/2KTdzを求める。

0042

詳しくは、圧力損失値導出手段19は、求められた質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとを比較する。このとき、圧力損失導出手段19は、質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとが合致し若しくはその差が許容範囲内であると判断すれば、この質量流速の総和Gcalが求められたときの圧力損失仮想値を高炉の層頂部における圧力損失の値として出力手段20に出力する。一方、圧力損失導出手段19は、質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとが合致せず且つその差が許容範囲内にないと判断すれば、圧力損失仮想値を変更するよう仮想値設定手段16に指示する。このとき圧力損失値導出手段19は、変更後の圧力損失仮想値によって求めた質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとの差が圧力損失仮想値の変更前の質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとの差よりも小さくなる方向に圧力損失仮想値を変更するように指示する。この指示を受けた仮想値設定手段16が、異なる値の圧力損失仮想値を設定する。この変更された圧力損失仮想値に基づいて仮想分布導出手段17、総和導出手段18により質量流速の総和Gcal1が求められ、圧力損失値導出手段19がこの質量流速の総和Gcal1と炉頂ガス量GTとを比較し、この質量流速の総和Gcal1と炉頂ガス量GTとが合致し若しくはその差が許容範囲内か否かを判断する。

0043

このような質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとの比較、及び圧力損失仮想値の変更が質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとが合致し若しくはその差が許容範囲内に収まるまで繰り返される。質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとが合致し若しくはその差が許容範囲内に収まると、圧力損失値導出手段19がそのときの質量流速の総和Gcalが求められたときの圧力損失仮想値を高炉の層頂部における圧力損失の値として出力手段20に出力する。

0044

このように圧力損失導出手段15では、反復法によりdP2/2KTdzの値が求められている。より具体的に、本実施形態の圧力損失導出手段15では、反復法の一種である2分法によってdP2/2KTdzの値が求められている。詳しくは、圧力損失導出手段15では、dP2/2KTdzの初期設定が、最大値0、最小値を十分小さな値に設定され、この区間中間値を圧力損失仮想値として質量流速の総和Gcalが求められ、これと炉頂ガス量GTとが比較される。そして、この比較に基づき、前記の中間値と前記最大値又は前記最小値との中間値を変更後の圧力損失仮想値として質量流速の総和Gcal1が求められ、これと炉頂ガス量GTとが比較される。圧力損失導出手段15では、これが質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとが十分に近づくまで繰り返されることによってdP2/2KTdzの値が求められる。

0045

圧力損失値導出手段19は、このようにして求めたdP2/2KTdzの値をCとし、気体の状態方程式(Ptop=KρT)を用いて圧力損失の値(atm/m)を以下のようにして求める。

0046

ここで、Tが炉頂における高炉ガス温度T(K)、Ptopが炉頂における圧力(Pa)である。

0047

圧力損失導出手段15では、上記のように、炉半径R方向のガス分配に起因する高炉ガスの質量流速の仮想分布Giが用いられているため、ガス分配の考慮された圧力損失が求められる。尚、上記の方法によれば、圧力損失の値を求めることにより、層頂部におけるガス流速分布(詳しくは、所定の炉半径Rにおける高炉ガスの流速分布)を得ることもできる。即ち、高炉ガスの質量流速の仮想分布Giに導出された圧力損失の値を代入することにより、高炉の層頂部における実際の質量流速の分布が精度よく求められ、この質量流速の分布から高炉ガスの流速分布が容易に求められる。

0048

圧力損失導出手段15は、操業者が入力した情報に基づいて上記のように求めた計算結果を高炉の層頂部における圧力損失の値として出力手段20に出力する。

0049

出力手段20は、計算機本体14(詳しくは、圧力損失導出手段15)が出力した計算結果(高炉の層頂部における圧力損失の値)を受信し、これを外部に出力するものである。本実施形態の出力手段20は、CRTディスプレイ液晶ディスプレイ、PDP等の表示手段によって構成されているが、これに限定されず、プリンタ等の印刷手段や、他の装置(例えば、高炉の制御等に用いられる計算機等)等へ出力するように構成されてもよい。また、出力手段20は、これらを組み合わせたものでもよい。

0050

以上のように構成される圧力損失導出装置10では、図3を参照しつつ以下において説明するように、高炉の層頂部の圧力損失の値が求められる。

0051

先ず、操業者によって入力されることにより、取得手段11が層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径Rに沿った各位置の装入物の状態、詳しくは、各メッシュの粒径Dpi、空隙率εi及び形状係数φiを取得する(ステップS1A)。これら層頂部における各メッシュの粒径Dpi、空隙率εi及び形状係数φiは、計測した値でもよく、公知の装入物分布モデルに基づく計算等によって求めた値でもよい。

0052

また、操業者によって入力されることにより、取得手段11が炉頂部における高炉ガスの特性及び炉頂ガス量、詳しくは、ガス粘性係数μ、ガス密度ρ、及び炉頂ガス量GTを取得する(ステップS1B)。これらガス粘性係数μ、ガス密度ρ、及び炉頂ガス量GTは、操業中の高炉において実際に計測した値でもよく、計算によって求めた値でもよい。このステップS1Bは、ステップS1Aと同時に行われる必要はなく、ステップS1Aの前や後に行われてもよい。

0053

取得手段11は、取得したガス粘性係数μ、ガス密度ρ、及び炉頂ガス量GT、ガス粘性係数μ、ガス密度ρ、及び炉頂ガス量GTを計算機本体14の圧力損失導出手段15に送信する。

0054

これを受信した圧力損失導出手段15では、先ず、仮想値設定手段16により、層頂部の圧力損失の値が未定の状態で、仮想の値である圧力損失仮想値が設定される(ステップS2)。次に、仮想分布導出手段17により、圧力損失仮想値と、エルガン式(式(2)参照)と、取得手段11により取得した各メッシュの粒径Dpi、空隙率εi、及び形状係数φiと、取得手段11により取得した炉頂部における高炉ガスのガス粘性係数μ及びガス密度ρとから、各メッシュにおける高炉ガスの仮想質量流速Gi(所定の炉半径Rにおける質量流速Gの仮想分布)が導出される(ステップS3)。次に、総和導出手段18により、式(3)に基づき、仮想質量流速Giに対応した前記の水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速Gの総和Gcalが求められる(ステップS4)。そして、圧力損失値導出手段19により、水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速Gの総和Gcalと、取得手段11により取得した炉頂ガス量GTと、が比較され、合致し若しくはその差が許容範囲内であれば、この質量流速Gの総和Gcalを求めたときの圧力損失仮想値を(dP2/2KTdz)の値とする一方、比較結果が合致せず且つ許容範囲内になければ、ステップS2に戻る(ステップS5)。そして、圧力損失仮想値を変更しながら質量流速の総和Gcalと炉頂ガス量GTとが合致若しくはその差が許容範囲内になるまでステップS2〜ステップS5が繰り返される。圧力損失値導出手段19は、このようにして求まった(dP2/2KTdz)の値と気体の状態方程式(Ptop=KρT)とを用いて層頂部における圧力損失の値を導出する(ステップS6)。

0055

このようにして圧力損失導出手段15で導出された高炉の層頂部における圧力損失の値は、出力手段20に向けて出力される(ステップS7)。この圧力損失導出手段15からの出力を受信した出力手段20は、これを表示する。

0056

以上のような圧力損失導出装置10によれば、層頂部についてのパラメータに基づく計算によって圧力損失が求まるため、従来の数学モデルを用いた方法(即ち、高炉全体についてのパラメータに基づいて複数の解析モデルによる計算が必要な方法)に比べて計算量が少なく、短時間で層頂部における圧力損失が求まる。これにより、従来の数学モデルを用いた方法に比べ、所定の時間(期間)内により多くの操業条件案についての圧力損失の検討が可能になり、圧力損失を抑えるためのより好適な操業条件を求めやすくなる。しかも、炉半径方向のガス分配に起因する高炉ガスの質量流速の分布を用いることにより、ガス分配の考慮された圧力損失が求まる。これにより、層頂部における圧力損失を精度よく求めることができる。

0057

具体的には、層頂部の圧力損失の値として、圧力損失の仮想の値である圧力損失仮想値が設定され、この圧力損失仮想値と層頂部内の所定の高さ位置における所定の炉半径Rに沿った各位置での装入物の状態と高炉の炉頂部における高炉ガスの特性とに基づいて所定の炉半径Rにおける高炉ガスの仮想質量流速Giが求められる。そして、この圧力損失の値が未定状態の仮想質量流速Giに対応した水平方向断面CSを通過する高炉ガスの質量流速Gの総和Gcalが求められる。このように求められた質量流速の総和Gcalが炉頂ガス量GTと一致するような圧力損失仮想値が求められ、この値が層頂部における圧力損失の値として導出される。このように層頂部についてのパラメータのみに基づく計算によって圧力損失の値が求まる。また、途中で仮想質量流速Giが求められていることから、上記のように求められた圧力損失の値には、炉半径R方向のガス分配が考慮されている。

0058

高炉炉頂部では、装入物によって充填層が形成されている。そのため、圧力損失導出手段15(詳しくは、仮想分布導出手段17)において、充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体の流速との間の関係を精度よく表すエルガン式(式(2))に基づくことにより、高炉内の高炉ガスの状態が精度よく求まる。これにより、層頂部における圧力損失の値が精度よく求まる。そのため、この値を仮想質量流速Giに代入することによって所定の炉半径Rにおける高炉ガスの実際の質量流速の分布が精度よく求まる。即ち、炉半径Rにおける実際の高炉ガスの流速分布を精度よく求めることも可能である。

0059

尚、本発明の高炉の圧力損失導出装置、この装置に用いられる高炉の圧力損失導出方法、及び高炉の圧力損失導出プログラムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

0060

上記実施形態の圧力損失導出装置10は、1つの操業条件が入力されることによりこの操業条件における層頂部の圧力損失の値を求めてこれを出力するが、例えば、複数の操業条件が入力されることにより、各操業条件の圧力損失をそれぞれ求め、これらの圧力損失の中で最も低い圧力損失の値を選び、この選ばれた圧力損失の値とこの圧力損失の値を求めたときの操業条件とを出力するように構成されてもよい。

0061

また、本実施形態では、充填層における圧力損失とこの充填層を通過する流体の流速との間の関係をエルガン式(式(1)及び式(2))により規定しているが、これに限定されず、Burke−Plummerの式等により規定されてもよい。

0062

上記の圧力損失導出装置10を用い、図4に示される操業条件で高炉の操業を行ったときの層頂部の圧力損失の値をそれぞれ求めた。ここで、図5が操業条件案Aで操業を行ったときの高炉内の装入物の表面プロフィールを示し、図6が操業条件案Bで操業を行ったときの高炉内の装入物の表面プロフィールを示す。

0063

当該実施例1では、各操業条件案における装入物の粒径Dpの分布及び空隙率εの分布を装入物分布モデルに基づく計算によってそれぞれ求め、その結果(操業条件案Aが図7(A)及び図7(B)、操業条件案Bが図8(A)及び図8(B))を取得手段11に入力した。また、炉半径に沿った各位置の形状係数φを一定値として取得手段11に入力した。また、ガス粘性係数μ、ガス密度ρ、炉頂ガス量GTを操業中の高炉において実際に測定することにより取得し、その値を取得手段11に入力した。

0064

その結果、得られた高炉ガスの流速分布を図9(操業条件案A)及び図10(操業条件案B)に示し、層頂部における各圧力損失図11に示す。

0065

これらの図から、操業条件案Bの操業では、操業条件案Aと比べて炉中心にコークスが多く装入されることによって層頂部における圧力損失が低く、炉中心部における通気性がよくなっていることがわかる。

0066

本実施例1においては、各情報を高炉の圧力損失導出装置10に入力してから上記の結果を得るまでに、1秒程度かかった。これに対し、従来の数学モデルを用いた方法では、これら二つの操業条件案A,Bについての層頂部における圧力損失がそれぞれ求まるまでに、数時間が必要と考えられる。

実施例

0067

これにより、上記実施形態の高炉の圧力損失導出装置10によれば、従来の数学モデルを用いた圧力損失の導出よりも短時間で導出可能であることが確認できた。

0068

10圧力損失導出装置
11 取得手段
12装入物状態取得手段
13ガス情報取得手段
15圧力損失導出手段
16仮想値設定手段(仮想値設定部)
17仮想分布導出手段(仮想分布導出部)
18 総和導出手段(総和導出部)
19圧力損失値導出手段(圧力損失値導出部)
CS 水平方向断面
Dpi 装入物の粒径分布
Gcal 水平方向断面を通過する高炉ガスの質量流速の総和
Gi 高炉ガスの質量流速の分布
GT炉頂ガス量
R 所定の炉半径
εi空隙率分布
μガス粘性係数
ρガス密度
φi形状係数分布

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