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課題

タキサンの新たな製剤を提供することにある。

解決手段

本発明により、タンパク質被膜を有するタキサンを含むナノ粒子を含むタキサンの製剤であって、該ナノ粒子は約200ナノメーター以下の平均直径を有し、該製剤中におけるタキサンの濃度は、少なくとも2.0mg/mlであって、該製剤はクレマホアを含まない、製剤が提供される。

概要

背景

静脈ドラッグデリバリーにより、血流との急速かつ直接的な平衡が達成でき、身体の他の部分への投薬が可能である。血管内注射後、短時間で達成されるピーク血清レベルを避けるのに、安定なキャリャー内に存在し運ばれる薬物を投与すると、治療用ナノ粒子の単回静脈注射に引き続いて、血管内での薬物の徐放が可能となる。
注射可能で制御された放出ができるナノ粒子により、単回注射で数日から数週間及び数か月の範囲にわたる作用持続時間を、あらかじめプログラム化できる。

また、それらは従来法で投与される薬物よりも、投薬計画に対する自動的かつ確実な患者コンプライアンス、並びに特異的組織又は器官への薬物照準を含む、非常に多くの利点をもたらしている(Tice及び Gilley,非特許文献1)。
血中に存在する微小粒子及び異物は、一般的には、“血液ろ過器官”、すなわち脾臓及び肝臓などにより循環系から除去される。正常な全血中に含まれる粒子状物体には、赤血球(典型的には直径8ミクロン)、白血球(典型的には直径6〜8ミクロン)及び血小板(典型的には、直径1〜3ミクロン)がある。ほとんどの器官と組織における微小循環では、これら血球は自由通航が可能である。10〜15ミクロンより大きいミクロトロンビ(血液凝固物)が循環系に存在すると、梗塞症または毛細血管封鎖の危険が生じ、虚血または器官喪失つながり、組織の死の可能性も引き起こされる。そのため、直径が10〜15ミクロンより大きい粒子の循環系への注射は避けなければならない。一方、7〜8ミクロンより小さい粒子の懸濁物は相対的に安全で、リポソーム及び乳化物栄養剤、及び造影用途でのコントラスト媒体の形で、薬理学的に活性薬剤デリバリーに使用されている。

粒子サイズ及びデリバリーモードが、それら粒子の生物学的挙動を決定する。Strand らは粒子の運命がそれらのサイズに依存することを述べている(微小球体バイオメディカルへの応用,非特許文献2)。数ナノメータ(nm)〜100nmの粒度範囲にある粒子は、静脈注射に引き続いて、リンパ毛細管入り込み、リンパ腺内で食作用が起こる。2ミクロンより小さい粒子は静脈内/動脈内注射後、単核どん食細胞系(MPS)として知られる細網内皮系(RES)により、急速に血流から除去される。約7ミクロンより大きい粒子は、静脈内注射後、肺毛細血管で捕獲される。動脈内注射後、粒子は到達した最初の毛細管床で捕獲される。吸い込まれた粒子は肺胞マクロファージにより捕獲される。
不溶または水への溶解性に乏しく、かつ、での酸性環境に敏感な医薬は、従来法(例えば、静脈注射又は経口投与)では投与することができない。このような医薬の非経口的投与は、油に溶解した薬物を、安定なミクロエマルジョンを精製させる界面活性剤または乳化安定剤の存在下、水性液体生理食塩水など)に乳化することで達成されている。乳化物の成分が薬理学的に不活性である時、これら乳化物は静脈注射が可能である。特許文献1には、水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を油に溶解し、りん脂質、プルロニックス(ポリプロピレングリコールポリエチレングリコール共重合体)、ポリグリセロールオレエートなどの界面活性剤の存在下、水に乳化させ、投与する方法が述べられている。特許文献2には、ジミリストイルホスファチジルコリンなどのりん脂質で被覆され、皮内又は静脈注射に適した寸法を持つ麻酔薬微小滴が述べられている。

水不溶性の薬物例として、Waniらにより太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の木から最初に単離された天然物タキソール登録商標)(非特許文献3)がある。多くの抗腫瘍薬中、ジテルペン炭素骨格を有するタキソールが、有糸分裂紡錘体の生成原因となる微小管蛋白質に対して独特の作用モードを示す。

チューブリン構築を防止するビンブラスチンまたはコルヒチンなどの他の細胞分裂阻止性薬とは対照的に、タキソールはチューブリンの解重合阻害し、それにより細胞複製過程を妨げることが知られている唯一の植物生成物である。
自然界で得られるジテルペノイドのタキソールは、薬物耐性卵巣癌において、顕著な抗腫瘍作用制癌作用効果を示している。タキソールは、B16メラノーマ、L1210白血病、MX−1乳房腫瘍及びCS−1結腸腫よう異種移植片などの多様の腫瘍モデルに対しめざましい抗腫よう活性を示している。最近の新聞発表で、タキソールは新しい抗腫瘍性を持つ不思議な薬として報道されている。確かに、タキソールは最近、卵巣癌の治療用としてFDAの認可を受けたが、タキソールの乏しい水溶性は、ヒトへの投与に対して問題を提起している。元来、水性媒体に不溶又は難溶の薬物のデリバリーは、経口デリバリーが有効でない場合には著しく損なわれる。それゆえ、現在使用されているタキソール製剤は、その薬物を可溶化するためのクレマホァ(cremaphore)を必要としており、またヒトへの臨床での投薬量範囲は200〜500mgとなっている。この投薬用量エタノール:クレマホァの1:1溶液に溶解され、生理食塩水で約300〜1000mlの静脈注射可能な流体希釈される。現在使用されているクレマホァはポリエトキシル化ヒマシ油である。この製剤中にクレマホァが存在することが、動物内(Lorenzら、非特許文献4)及びヒト(Weissら, 非特許文献5)における厳しい過敏反応につながっており、結果として、コルチコステロイドデキサメタソン)と抗ヒスタミン薬患者への前投与が必要となっている。また、高希釈の結果、注入が大容量(典型的には投与用量は175mg/m2,又は最高リットル)になり、注入時間も3時間から24時間の範囲になっている。そのため、代わりの、より毒性の低いパクリタキセル製剤が必要とされている。

フェーズIの臨床試験では、タキソール(登録商標)そのものは過度毒性効果を示さなかったが、厳しいアレルギー性反応が薬物を可溶化するのに用いた乳化剤により引き起こされている。クレマホァによるアレルギー性副作用を減少させるため、最新の投薬計画では、注入前に患者に対して抗ヒスタミン剤ステロイドによる処置がなされる。
タキソールの水溶性を改善する努力のなかで、何人かの研究者らは、水溶性を高める官能基でその化学構造を修飾することを行っている。それらの中にかなりの生物学的活性を示すスルホン化誘導体(kingstonら、特許文献3(1991))、及びアミノ酸エステル誘導体(Mathewら、非特許文献6)がある。水溶性誘導体を生成させる修飾は、標準食塩水などの無害キャリャーに溶解されたタキソールの静脈内デリバリーを容易にする。しかしながら、このような修飾は薬物合成コスト引き上げ、また、好ましくない副反応及び/又はアレルギー反応を誘発する可能性もあり、及び/又はその薬物の効能を減少させる可能性もある。
薬理学用又は診断用薬物のキャリャーとしての蛋白質ミクロスフェアがいくつかの文献で報告されてきている。アルブミンのミクロスフェアは熱変性又は化学架橋のいずれかで調製される。熱変性ミクロスフェアは乳化混合物(例えば、アルブミン、取り込まれる薬物、及び適当なオイル)を、100℃から150℃の間の温度に加熱することで調製され、次いで、このミクロスフェアを適当な溶媒洗浄してから貯蔵される。Leucutaらは非特許文献7中で、熱変性ミクロスフェアの製造法を述べている。

化学架橋されたミクロスフェアの合成手順には、乳化物をグルタルアルデヒドで処理して蛋白質を架橋し、次いで、洗浄、貯蔵することが含まれている。Leeらは、非特許文献8、特許文献4で、この合成方法を教示している。
薬理学的に活性な薬物のキャリャーとしての蛋白質ミクロスフェアを合成するための上述の技法は、水溶性薬剤のデリバリーには適しているが、水不溶性薬剤の取り込みができない制限がある。この制限は、水/油乳化物の水相にある蛋白質成分の架橋又は熱変性に基づくこの合成法固有のものである。蛋白質含有水相中に溶解した水溶性薬剤はいずれも、結果として生じる架橋又は熱変性された蛋白質マトリックス中に閉じこめられるが、貧水溶性又は油溶性薬剤は、この技法で生成させた蛋白質マトリックス内に取り込むことはできない。

従来からの薬物含有ナノ粒子の製造方法の一つに、ポリ乳酸(又は、他の生体適合性水不溶性ポリマー)を水と混合しない溶媒(塩化メチレン又は他の塩素化脂肪族、又は芳香族溶媒)に溶解し、このポリマー溶液に医薬として活性な薬剤を溶解し、油相又は水相に界面活性剤を加え、適当な方法で油/水乳化物を生成させ、次いで、真空下、その乳化物をゆっくりと蒸発処理する工程が含まれている。油滴が十分に小さく、蒸発処理期間中安定であれば、水中にポリマーが懸濁した懸濁液が得られる。薬物はもともとポリマー溶液中に存在するので、この方法でポリマーマトリックスからなる粒子内に薬物分子が取り込まれた組成物を得ることができる。

多様の薬物が使用されているが、溶媒蒸発法によるミクロスフェアとナノ粒子の生成について幾人かの研究者から報告されている(例えば、Tice 及び Gilley,非特許文献9;Bodmeier 及びMcGinity, 非特許文献10、Cavalierら,非特許文献11);及び D'Souzaら, 特許文献5)。
Bazileらが、非特許文献12で、及びSpenlehauerらが特許文献6で二種類の生体適合性ポリマーを用いたナノ粒子の生成について報告している。その一つ(例えば、ポリラクチド)を薬物などの活性成分と共に有機相に溶解し、アルブミンなどのもう一方のポリマーを表面活性剤として用い、乳化及び溶媒除去後、ポリラクチド粒子のポリマーマトリックス中に薬物が存在するナノ粒子を得ている。このポリマーマトリックスが形成されるポリマー溶液の性質が、第一段階で適切な乳化物を生成させるのに重要である。例えば、ポリラクチド(注射可能なナノ粒子の調製の際、一般的に使用されるポリマー)はジクロロメタン水界面で、それらの迅速な吸着を引き起こす表面活性作用を有しており、界面張力の低下を引き起こし(例えば、Bouryら,非特許文献13を参照)、それにより乳化過程を改善している。さらに、同じ研究者らは、ウシ血清アルブミンBSA)がポリラクチドと相互作用し、油−水界面に存在するポリラクチド単分子層浸透することを見いだしている。上記参照文献基づくと、従来の溶媒蒸発法での乳化は、非水有機相の表面活性ポリマー(ポリラクチド)の存在により、非常に大きな恩恵を受けることが期待できる。事実、適当な大きさのナノ粒子を生成させるには、ポリラクチドの存在は十分条件であるばかりでなく、実際に必要である。

溶媒蒸発法に基づく他の方法には、ポリマーを有機溶媒に溶解することなく、薬物を親油性の有機溶媒(例えば、トルエン又はシクロヘキサン)に溶解し、従来型の界面活性剤を乳化剤として前記混合液に加え、超音波処理又は高せん断力装置を用いて油/水乳化物を生成させ、しかる後、溶媒を蒸発処理し、乾燥した薬物粒子を得る工程が含まれている(例えば、Sjostromら,非特許文献14を参照)。非極性溶媒を除去する際、溶媒滴の内部で薬物の沈殿が起こり、サブミクロン微子が得られる。
粒子の大きさは主に乳化物の最初の大きさで制御されることが見いだされている。さらに、最終の粒径有機相中薬物濃度の減少に伴い減少するという興味深い報告がなされている。この発見は、ナノ粒子の合成に従来の界面活性剤を用いていない(本発明のいくつかの実施態様)本明細書で報告される結果と逆になっている。さらに、使用した薬物の酢酸コレステリルは、トルエン中では表面活性剤であり、そのため油−水界面で配向する可能性があり、それゆえに界面での薬物濃度がより高くなり、沈殿潜在力が増大することが、Sjostrom論文著者らにより指摘されている。

サブミクロン粒子の生成は、Calvoらが、非特許文献15で述べているように、沈殿法でも達成されている。この方法は、薬物(例えば、インドメタシン)とポリマー(ポリカプロラクトン)を塩化メチレンとアセトンに溶解し、次いで、その溶液を界面活性剤(Poloxamer 188)を含む水相に注ぎ、サブミクロン粒子(216nm)を得ることに基づいている。しかしながら、この方法は乳化物が生成しない溶媒濃度で行われる。
タキソールは抗癌薬として非常に有望な天然化合物である。例えば、タキソールは薬物耐性卵巣癌の活性薬剤であることが McGuireらにより見いだされている(“タキソール:進行した卵巣上皮腫瘍に対して著しい活性を持つユニークな抗腫瘍薬” 非特許文献16参照)。以下において、本明細書中で言及する全ての特許、科学論文、及び他の文書は参照することで、あたかも完全に再生されるように本明細書中に取り込まれる。

不運にも、タキソールは水に対する溶解性が極めて低いため、適当な投薬形態にして供給することが非常に困難である。実際、フェーズI臨床試験では、タキソールの低溶解性を補うためにタキソールと共に投与された乳化剤により深刻なアレルギー反応が引き起こされ、乳化剤により誘発されたアレルギー反応で一人以上の患者が死に至っている。投与用量制限毒性には、好中球減少症末梢神経障害、及び過敏症などが含まれる。
Brownらは、“6時間静脈内注入で投与されたタキソールのフェーズI試験”非特許文献17で、タキソールを、前投与なしに毎日6時間IV注入したフェーズI試験を報告している。31人の患者がタキソールの64評価可能(assessable)推移試験を受け、一人の患者は深刻な(又は、急性)の過敏反応を起こし、注入を中断し、直ちに患者の救命処置をしなければならなかった。
他の患者は過敏反応を起こしたが、注入の中断を必要とするほどは深刻ではなかった。骨髄抑制が用量制限因子であり、敗血症による二死亡例が報告されている。非血液毒性は、グレード3の粘膜炎の一患者及び Grade3神経疾患の二患者を除けばグレード1及び2であった。この神経疾患は可逆的な痛ましい知覚異常からなり、二患者についてはタキソールの注入中断が必要であった。部分的応答が四例見られた(非小細胞肺ガン患者で3、及び原発不明の腺癌患者で1)。報告された最大耐用量は275mg/m2であり、推奨フェーズII開始用量は225mg/m2であった。過敏反応発生率は、投薬計画依存しており、薬物の6〜24時間注入では0%〜8%の過敏反応発生率であったことが報告されている。また、過敏反応は注入時間の延長に拘わらず、前投与に関係していたり、関係していなかったりした。これらフェーズIでの検討は種々の癌を患っている末期患者に対して行っているので、タキソール治療の効果は測定できなかった。

Krisらの研究では、脱水アルコール中でクレマホールELで製剤化されたタキソールが、21日毎に3時間IV注入、9エスカレーション段階に分かれた投薬量範囲15〜230mg/m2で投与された。Krisらは、“過敏反応の深刻さと予測不能性のため、この薬物製剤によるタキソールのさらなる使用は、この投与計画では考えられない。”と結論している(非特許文献18を参照)。
単回注射又は短時間(1〜3時間)注入による初期の試験でアナフィラキシー反応又は他の過敏性応答が誘発されたので、それ以上の研究では、最も深刻なアレルギー反応を避けるため、ステロイド(デキサメタソンなど)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)及びH2−きっ抗薬(シメチジン又はラニチジン)を前投与した後でのみ、タキソールが投与され、注入時間も24時間に引き延ばされた。最大全用量250mg/m2、24時間注入、3週間毎の繰り返しでタキソールを投与する多くのフェーズIとフェーズIIの研究結果が出版されている。患者はデキサメタソン、ジフェンヒドラミン、及びシメチジンで前処置され、アレルギー反応を相殺することが行われている(Einzigら、“転移性腎臓細胞癌を持つ患者でのタキソールのフェーズII試験”, 非特許文献19、及びA.B.Millerらの、“癌治療の報告結果”, 非特許文献20参照)。

Koellerらは、“前投与無しで注入時間を延ばして投与されたタキソールのフェーズI薬物動態研究”,非特許文献21の中で、タキソール注入に用いられるクレモホア(ポリエトキシル化ひまし油ビヒクルにより引き起こされると考えられている多くのアレルギー反応を避けるため、ルーチン的な前投与を推奨している。また、患者は175mg/m2〜275mg/m2範囲の投薬を受けている。
Wiernikらは、“タキソールのフェーズI臨床及び薬物動態研究”,非特許文献22で、フェーズI研究での6時間かけてのクレモホァビヒクル中タキソールのIV注入による投与について報告している。グレード3〜4の過敏反応が13治療例中、4通りの治療例で発生した。この研究の開始用量は15mg/m2(に対する最低毒性用量の1/3)であった。用量を増やしていき、最低3名の患者を、毒性が認識されるまでそれぞれの用量水準で処置し、4〜6名の患者はそれぞれのその次のレベルで処置した。この研究から、神経毒性白血球減少症は用量−制限と結論し、フェーズII試験の用量を、前投与付きの250mg/m2を推奨した。

タキソールに関する他の模範的な研究として、Leghaらの、“転移性黒色腫でのタキソールのフェーズII試験”65:2478〜81(June 1990)、非特許文献23;Rowinskyらの、“薬物耐性の急性白血病におけるタキソールのフェーズI及び薬物動力学研究”、非特許文献24、Gremらの、“5日おきの短時間IV注入としてのタキソール投与のフェーズI研究”、非特許文献25、Donehowerらの、“進行した癌患者でのタキソールのフェーズI試験”、非特許文献26、Holmesらの、“転移性乳癌MBC)患者(PT)でのタキソールのフェーズII研究”、非特許文献27が挙げられる。また、Suffness、“国立癌研究所での抗腫瘍性天然物の開発” 非特許文献28(この文献では、タキソール(商標)の24時間注入を推奨している。)を参照すると良い。
Weissらは、“タキソール由来の過敏反応”、非特許文献29で、使用されたパクリタキセルの用量及び投薬計画が広範囲に変化していること、及び注入スケジュールの変更及び使用する前投与のHSR発生率に及ぼす効果などの未知影響度のため、過敏反応(HSRs)の信頼できるオーバーオール発生率を決めることは困難と報告している。例えば、前投与無しにタキソールの3時間注入を190mg/m2より大きい用量で受けた5名の患者中、3名に反応が現れたが、前投与なしで、それより高い用量で6時間注入を受けた30名の患者中、1名だけが反応を起こしただけであった。これは、注入時間を6時間以上に引き延ばすと、十分にHSR発生率を減少できることを示唆している。それにもかかわらず、Weissらは、24時間注入で250mg/m2のタキソール投与をうけた患者が、依然として明らかなHSRsを起こしていることを見いだしている。このことから、薬物注入を6時間〜24時間に引き延ばすことは、急性反応の危険性を軽減するが、この結論は、HSR反応の78%がタキソールの注入開始から10分以内で発生することから確認できず、全注入するのに計画した時間の長さは無関係であることを示唆している。さらに種々の少量タキソール用量に対して患者の大部分が反応を起こしたことより、注入中のパクリタキセル濃度では違いが生じないことが示唆された。

最後に、Taxol HSRの機構が未知であるばかりか、タキソールそのものがHSsを誘発しているのか又はHSRsが賦形剤(クレマホァEL;Badische Anilin und SodaFabrik AG(BASF)、Ludwigshafen,FederalRepublic of Germany)によるものなのかもはっきりしない。前投与が深刻さ又は数多くのHSRsを軽減するのに影響をおよぼしているか否かは不明確であるにもかかわらず、それの使用に由来する危険が知られていないので、前投与という予防的治療法が推奨されている。
延長された注入持続時間を採用した時、過敏反応を避けるために前投与を行うべきかに関する先行技術分野での対立する推奨、及び6時間以上かけて行った注入の効能データ不足により、クレマホァEL乳化物型タキソールの高投与用量(170mg/m2以上)での24時間注入が、癌治療プロトコルとして認められるに至っている。

延長された注入持続時間の採用により、乳化物型タキソールの投与に伴う副作用を最小化することが可能なように思われるが、長い注入持続時間は患者にとって不便であり、患者を6時間から24時間の注入時間中まるまる監視する必要があり、高価である。さらに、長い注入持続時間のため、患者は少なくとも一晩は病院又は治療クリニックで過ごす必要がある。
タキソールのより高い投与用量も文献に記述されている。シクロホスファミド及びシスプラチンの高用量と組み合わせたパクリタキセルの最高耐用量(MTD)の決定と、引き続いての自己造血幹細胞支持(AHPCS)のため、Stemmerらは(“自己造血幹細胞支持体による高用量パクリタキセル、シクロホスファミド及びシスプラチン:フェーズI試験”、非特許文献30)、予後不良の49名の乳癌、非 Hodgkin'sリンパ腫(NHL)又は卵巣癌患者で、24時間かけたパクリタキセルの増大投与用量注入、引き続いてのシクロホスファミド(5,625mg/m2)及びシスプラチン(165mg/m2)及びAHPCSの注入によるフェーズI試験を行った。825mg/m2のパクリタキセル投与のところで2名の患者に投与用量−制限毒性が現れ、1名は多臓器不全で死に、もう一人にはグレード3の気道CNS、及び腎臓毒性が現れたが、解決された。グレード3の多発性神経痛及びグレード4のCNS毒性もまた観察された。この組み合わせのAHPCSにフォローされたMTDを、パクリタキセル(775mg/m2)、シクロホスファミド(5,625mg/m2)、及びシスプラチン(165mg/m2)と決定した。感覚性多発性神経痛及び粘膜炎が際だった毒性であるが、両方とも可逆的で、許容できるものであった。33患者中18名の乳癌患者(54%)に部分応答が見られた。応答はNHLを持つ患者(5名中44名)及び卵巣癌患者(2名中2名)でも観察された。

特許文献7では、3時間注入投与、で175と135mg/m2の用量でタキソールを使用した例が報告されている。この注入プロトコルでは前投与を必要とし、35%の患者に過敏反応が現れ、神経毒性が51%の患者で見られたと報告している。また、高用量グループの66%の患者及び低用量グループの患者37%が神経毒性を経験していた。さらに、24時間の長時間注入を行った患者の48%が神経毒性を経験した一方、3時間の短時間注入を行った患者の54%が神経毒性を経験したことは注目すべきことである。

文献では、パクリタキセルの高投薬用量でより早い応答が得られる証拠が見られる。パクリタキセルの最適投薬用量と投薬計画はまだ研究中である。疾患応答の誘発に置いてパクリタキセル投与量強度が重要である可能性を評価するため、NCIの Reedらは、卵巣癌及び乳癌の治療における利用可能なフェーズII試験データを解析した(Reed E,Bitton R,Sarosy G, 及び Kohn E,“パクリタキセル用量強度”,非特許文献31)。という結果が示唆された。
対象疾患応答とパクリタキセル用量強度間の相関再発卵巣癌では2サイドp値が0.022で統計的に非常に有意であった。乳癌での関係はむしろ大きく、2サイドp値は0.004であった。135mg/m2/21日では、対象応答速度は13.2%、250mg/m2/21日では対象応答速度は35.9%であった。中間投与用量の175mg/m2での応答速度は、135mg/m2と250mg/m2の結果と直線関係にあり、これらデータの線形回帰分析相関係数0.946が得られた(Reedら、1996)。

Holmesらの研究(“転移性乳癌の治療における活性薬物、タキソールのフェーズII試験”、非特許文献32)及びMSKCCでの研究(ReichmanBSら、“転移性乳癌の初期化学療法としてのパクリタキセルと組換型人間か粒コロニー刺激因子”、非特許文献33)で、最高250mg/m2に及ぶパクリタキセルの高投薬用量で、最近、パクリタキセルで承認された175mg/m2、投薬用量(26%)より、さらに大きな応答(60%)が得られることが示されている。これらの結果は、このような高投薬用量でのより高度の毒性のため、再現できなかったが、パクリタキセルの増量投与でその応答速度が増加することの有力な証拠を与えていた。
タキソールを投与するには、患者が病院に一晩泊まることがしばしば必要となる前投与が必要なので、前投与の必要性が排除されたパクリタキセル製剤の開発が大いに望まれている。

タキソールでは、その薬物の投与に伴うHSRのため、前投与が必要であるので、過敏反応を引き起こさないパクリタキセル製剤の開発が希求されている。また、神経毒性を示さないパクリタキセル製剤の開発も同様に望まれている。
タキソール注入は一般的には前投与がそれに先だって行われ、また、注入後監視と記録保存が必要とされる。これらは患者が病院で一晩過ごすことを必要とするもので、治療を受ける者が外来患者基準で扱われるようなパクリタキセル製剤の開発が大いに望まれている。

毒性はより高くなるものの、タキソールのより高い用量により臨床応答が改善できることが実証されているので、この毒性無しでこの投薬用量を達成できるパクリタキセル製剤を開発することが望ましい。
タキソールの用量制限毒性は脳及び神経毒性であることが実証されているので、このような毒性を減少させたパクリタキセル製剤の開発が望まれている。
また、前投与は患者の不安を増し出費も増加させ、治療に要する時間も長くするので、この前投与を省くことも望ましい。

また、現在3〜24時間かけて投与されているパクリタキセルの注入時間の短縮し、患者が病院又は診療所滞在する時間を最短にすることも望ましい。
現在、タキソールは0.6〜1.2mg/mlの濃度、ヒトへの典型的投薬用量約250〜350mgの投与が認められているので、注入容量は、典型的には、300mL以上になる。
投与時間を短縮するため、高濃度で安定なパクリタキセル製剤を開発して、この注入容量を減少させることも望ましい。
タキソールの注入は、タキソール(商標)製剤中のクレマホァによる可塑剤溶出のため、特製のI.V.チューブ及びバッグ又はボトルを使用するように制限されているので、クレマホァを含まず、静脈注入に従来から使用されてきたプラスチック製チューブ又はバッグから潜在的に毒性物質を溶出させないパクリタキセル製剤の開発が望ましい。

概要

タキサンの新たな製剤を提供することにある。本発明により、タンパク質被膜を有するタキサンを含むナノ粒子を含むタキサンの製剤であって、該ナノ粒子は約200ナノメーター以下の平均直径を有し、該製剤中におけるタキサンの濃度は、少なくとも2.0mg/mlであって、該製剤はクレマホアを含まない、製剤が提供される。なし

目的

本発明は、液体型又は再分散性粉体型のドラッグデリバリーシステムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

タンパク質被膜を有するタキサンを含むナノ粒子を含むタキサンの製剤であって、該ナノ粒子は約200ナノメーター以下の平均直径を有し、該製剤中におけるタキサンの濃度は、少なくとも2.0mg/mlであって、該製剤はクレマホアを含まない、製剤。

請求項2

タキサンを含むナノ粒子を含むタキサンの製剤であって、該ナノ粒子は約200ナノメーター以下の平均直径を有し、製造材料中のタキサンの量は、対象に対して少なくとも135mg/m2のタキサンの投与量を提供するに十分な量であり、製剤は実質的に界面活性剤を含まない、製剤。

請求項3

2時間以内の投与時間にわたって少なくとも175mg/m2の投与量で全身的に投与するために医薬を製造するための、タキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在する、請求項2に記載の製剤。

請求項4

再発狭窄症治療するための医薬を製造するためのタキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在する、製剤。

請求項5

網膜症を治療するための医薬を製造するためのタキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在する、製剤。

請求項6

癌を治療するための医薬を製造するためのタキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在し、癌が、前立腺膵臓、骨、心臓腎臓および脾臓癌から選ばれる、製剤。

技術分野

0001

本発明は、薬理学的に活性薬剤静脈内投与するための微粒子ビヒクルの製造方法、並びに、それにより製造される新規組成物に関する。特に、本発明は、実質上水不溶の薬理学的に活性な薬剤(例えば、抗癌薬タキソール登録商標))のin vivoデリバリーの方法に関する。また、本発明の他面では、水不溶の薬理学的に活性な薬剤を含む分散性コロイドシステムが提供される。この懸濁粒子は100%活性な薬剤で形成されていても良く、または、生物適合性ポリマー調合されたポリマー殻中に入っていても良く、一般的には、約1ミクロン未満の直径を有している。

0002

本発明のコロイドシステムは、従来の界面活性剤ポリマー核マトリックスを使用せずに調製できる。この発明の好ましい一面として、殺菌−ろ過可能な極めて小さな粒子を調製する方法が提供される。
前記したポリマー殻には薬理学的に活性な薬剤の粒子及び、任意的に、生体適合性分散剤が含まれており、その中に薬理学的に活性な薬剤が溶解又は懸濁されている。かくして、本発明は、液体型又は再分散性粉体型のドラッグデリバリーシステムを提供する。どちらかの形態で、直ちにバイオベイラブルな薬剤分子(すなわち、分子的に蛋白質に結合した薬剤分子)及び蛋白質で被覆された純粋な薬剤粒子の両方が提供される。
本発明はまた、抗癌剤パクリタキセルなどの薬剤の医薬組成物(製剤)の使用法及び製造方法に関する。一面では、Capxolとして知られるパクリタキセル製剤は、商業的に利用可能なパクリタキセル製剤のタキソール(商標)よりも著しく低毒性であり、かつ、効力が強い。他面では、新規製剤Capxolは、非経口投与後、ある種の組織局在するので、このような組織が関係する癌の治療効果を高めている。

背景技術

0003

静脈ドラッグデリバリーにより、血流との急速かつ直接的な平衡が達成でき、身体の他の部分への投薬が可能である。血管内注射後、短時間で達成されるピーク血清レベルを避けるのに、安定なキャリャー内に存在し運ばれる薬物を投与すると、治療用ナノ粒子の単回静脈注射に引き続いて、血管内での薬物の徐放が可能となる。
注射可能で制御された放出ができるナノ粒子により、単回注射で数日から数週間及び数か月の範囲にわたる作用持続時間を、あらかじめプログラム化できる。

0004

また、それらは従来法で投与される薬物よりも、投薬計画に対する自動的かつ確実な患者コンプライアンス、並びに特異的組織又は器官への薬物照準を含む、非常に多くの利点をもたらしている(Tice及び Gilley,非特許文献1)。
血中に存在する微小粒子及び異物は、一般的には、“血液ろ過器官”、すなわち脾臓及び肝臓などにより循環系から除去される。正常な全血中に含まれる粒子状物体には、赤血球(典型的には直径8ミクロン)、白血球(典型的には直径6〜8ミクロン)及び血小板(典型的には、直径1〜3ミクロン)がある。ほとんどの器官と組織における微小循環では、これら血球は自由通航が可能である。10〜15ミクロンより大きいミクロトロンビ(血液凝固物)が循環系に存在すると、梗塞症または毛細血管封鎖の危険が生じ、虚血または器官喪失つながり、組織の死の可能性も引き起こされる。そのため、直径が10〜15ミクロンより大きい粒子の循環系への注射は避けなければならない。一方、7〜8ミクロンより小さい粒子の懸濁物は相対的に安全で、リポソーム及び乳化物栄養剤、及び造影用途でのコントラスト媒体の形で、薬理学的に活性な薬剤のデリバリーに使用されている。

0005

粒子サイズ及びデリバリーモードが、それら粒子の生物学的挙動を決定する。Strand らは粒子の運命がそれらのサイズに依存することを述べている(微小球体−バイオメディカルへの応用,非特許文献2)。数ナノメータ(nm)〜100nmの粒度範囲にある粒子は、静脈注射に引き続いて、リンパ毛細管入り込み、リンパ腺内で食作用が起こる。2ミクロンより小さい粒子は静脈内/動脈内注射後、単核どん食細胞系(MPS)として知られる細網内皮系(RES)により、急速に血流から除去される。約7ミクロンより大きい粒子は、静脈内注射後、肺毛細血管で捕獲される。動脈内注射後、粒子は到達した最初の毛細管床で捕獲される。吸い込まれた粒子は肺胞マクロファージにより捕獲される。
水不溶または水への溶解性に乏しく、かつ、での酸性環境に敏感な医薬は、従来法(例えば、静脈注射又は経口投与)では投与することができない。このような医薬の非経口的投与は、油に溶解した薬物を、安定なミクロエマルジョンを精製させる界面活性剤または乳化安定剤の存在下、水性液体生理食塩水など)に乳化することで達成されている。乳化物の成分が薬理学的に不活性である時、これら乳化物は静脈注射が可能である。特許文献1には、水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を油に溶解し、りん脂質、プルロニックス(ポリプロピレングリコールポリエチレングリコール共重合体)、ポリグリセロールオレエートなどの界面活性剤の存在下、水に乳化させ、投与する方法が述べられている。特許文献2には、ジミリストイルホスファチジルコリンなどのりん脂質で被覆され、皮内又は静脈注射に適した寸法を持つ麻酔薬微小滴が述べられている。

0006

水不溶性の薬物例として、Waniらにより太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の木から最初に単離された天然物、タキソール(登録商標)(非特許文献3)がある。多くの抗腫瘍薬中、ジテルペン炭素骨格を有するタキソールが、有糸分裂紡錘体の生成原因となる微小管蛋白質に対して独特の作用モードを示す。

0007

チューブリン構築を防止するビンブラスチンまたはコルヒチンなどの他の細胞分裂阻止性薬とは対照的に、タキソールはチューブリンの解重合阻害し、それにより細胞複製過程を妨げることが知られている唯一の植物生成物である。
自然界で得られるジテルペノイドのタキソールは、薬物耐性卵巣癌において、顕著な抗腫瘍作用制癌作用効果を示している。タキソールは、B16メラノーマ、L1210白血病、MX−1乳房腫瘍及びCS−1結腸腫よう異種移植片などの多様の腫瘍モデルに対しめざましい抗腫よう活性を示している。最近の新聞発表で、タキソールは新しい抗腫瘍性を持つ不思議な薬として報道されている。確かに、タキソールは最近、卵巣癌の治療用としてFDAの認可を受けたが、タキソールの乏しい水溶性は、ヒトへの投与に対して問題を提起している。元来、水性媒体に不溶又は難溶の薬物のデリバリーは、経口デリバリーが有効でない場合には著しく損なわれる。それゆえ、現在使用されているタキソール製剤は、その薬物を可溶化するためのクレマホァ(cremaphore)を必要としており、またヒトへの臨床での投薬量範囲は200〜500mgとなっている。この投薬用量エタノール:クレマホァの1:1溶液に溶解され、生理食塩水で約300〜1000mlの静脈注射可能な流体希釈される。現在使用されているクレマホァはポリエトキシル化ヒマシ油である。この製剤中にクレマホァが存在することが、動物内(Lorenzら、非特許文献4)及びヒト(Weissら, 非特許文献5)における厳しい過敏反応につながっており、結果として、コルチコステロイドデキサメタソン)と抗ヒスタミン薬患者への前投与が必要となっている。また、高希釈の結果、注入が大容量(典型的には投与用量は175mg/m2,又は最高リットル)になり、注入時間も3時間から24時間の範囲になっている。そのため、代わりの、より毒性の低いパクリタキセル製剤が必要とされている。

0008

フェーズIの臨床試験では、タキソール(登録商標)そのものは過度毒性効果を示さなかったが、厳しいアレルギー性反応が薬物を可溶化するのに用いた乳化剤により引き起こされている。クレマホァによるアレルギー性副作用を減少させるため、最新の投薬計画では、注入前に患者に対して抗ヒスタミン剤ステロイドによる処置がなされる。
タキソールの水溶性を改善する努力のなかで、何人かの研究者らは、水溶性を高める官能基でその化学構造を修飾することを行っている。それらの中にかなりの生物学的活性を示すスルホン化誘導体(kingstonら、特許文献3(1991))、及びアミノ酸エステル誘導体(Mathewら、非特許文献6)がある。水溶性誘導体を生成させる修飾は、標準食塩水などの無害キャリャーに溶解されたタキソールの静脈内デリバリーを容易にする。しかしながら、このような修飾は薬物合成コスト引き上げ、また、好ましくない副反応及び/又はアレルギー反応を誘発する可能性もあり、及び/又はその薬物の効能を減少させる可能性もある。
薬理学用又は診断用薬物のキャリャーとしての蛋白質ミクロスフェアがいくつかの文献で報告されてきている。アルブミンのミクロスフェアは熱変性又は化学架橋のいずれかで調製される。熱変性ミクロスフェアは乳化混合物(例えば、アルブミン、取り込まれる薬物、及び適当なオイル)を、100℃から150℃の間の温度に加熱することで調製され、次いで、このミクロスフェアを適当な溶媒洗浄してから貯蔵される。Leucutaらは非特許文献7中で、熱変性ミクロスフェアの製造法を述べている。

0009

化学架橋されたミクロスフェアの合成手順には、乳化物をグルタルアルデヒドで処理して蛋白質を架橋し、次いで、洗浄、貯蔵することが含まれている。Leeらは、非特許文献8、特許文献4で、この合成方法を教示している。
薬理学的に活性な薬物のキャリャーとしての蛋白質ミクロスフェアを合成するための上述の技法は、水溶性薬剤のデリバリーには適しているが、水不溶性薬剤の取り込みができない制限がある。この制限は、水/油乳化物の水相にある蛋白質成分の架橋又は熱変性に基づくこの合成法固有のものである。蛋白質含有水相中に溶解した水溶性薬剤はいずれも、結果として生じる架橋又は熱変性された蛋白質マトリックス中に閉じこめられるが、貧水溶性又は油溶性薬剤は、この技法で生成させた蛋白質マトリックス内に取り込むことはできない。

0010

従来からの薬物含有ナノ粒子の製造方法の一つに、ポリ乳酸(又は、他の生体適合性、水不溶性ポリマー)を水と混合しない溶媒(塩化メチレン又は他の塩素化脂肪族、又は芳香族溶媒)に溶解し、このポリマー溶液に医薬として活性な薬剤を溶解し、油相又は水相に界面活性剤を加え、適当な方法で油/水乳化物を生成させ、次いで、真空下、その乳化物をゆっくりと蒸発処理する工程が含まれている。油滴が十分に小さく、蒸発処理期間中安定であれば、水中にポリマーが懸濁した懸濁液が得られる。薬物はもともとポリマー溶液中に存在するので、この方法でポリマーマトリックスからなる粒子内に薬物分子が取り込まれた組成物を得ることができる。

0011

多様の薬物が使用されているが、溶媒蒸発法によるミクロスフェアとナノ粒子の生成について幾人かの研究者から報告されている(例えば、Tice 及び Gilley,非特許文献9;Bodmeier 及びMcGinity, 非特許文献10、Cavalierら,非特許文献11);及び D'Souzaら, 特許文献5)。
Bazileらが、非特許文献12で、及びSpenlehauerらが特許文献6で二種類の生体適合性ポリマーを用いたナノ粒子の生成について報告している。その一つ(例えば、ポリラクチド)を薬物などの活性成分と共に有機相に溶解し、アルブミンなどのもう一方のポリマーを表面活性剤として用い、乳化及び溶媒除去後、ポリラクチド粒子のポリマーマトリックス中に薬物が存在するナノ粒子を得ている。このポリマーマトリックスが形成されるポリマー溶液の性質が、第一段階で適切な乳化物を生成させるのに重要である。例えば、ポリラクチド(注射可能なナノ粒子の調製の際、一般的に使用されるポリマー)はジクロロメタン水界面で、それらの迅速な吸着を引き起こす表面活性作用を有しており、界面張力の低下を引き起こし(例えば、Bouryら,非特許文献13を参照)、それにより乳化過程を改善している。さらに、同じ研究者らは、ウシ血清アルブミンBSA)がポリラクチドと相互作用し、油−水界面に存在するポリラクチド単分子層浸透することを見いだしている。上記参照文献基づくと、従来の溶媒蒸発法での乳化は、非水有機相の表面活性ポリマー(ポリラクチド)の存在により、非常に大きな恩恵を受けることが期待できる。事実、適当な大きさのナノ粒子を生成させるには、ポリラクチドの存在は十分条件であるばかりでなく、実際に必要である。

0012

溶媒蒸発法に基づく他の方法には、ポリマーを有機溶媒に溶解することなく、薬物を親油性の有機溶媒(例えば、トルエン又はシクロヘキサン)に溶解し、従来型の界面活性剤を乳化剤として前記混合液に加え、超音波処理又は高せん断力装置を用いて油/水乳化物を生成させ、しかる後、溶媒を蒸発処理し、乾燥した薬物粒子を得る工程が含まれている(例えば、Sjostromら,非特許文献14を参照)。非極性溶媒を除去する際、溶媒滴の内部で薬物の沈殿が起こり、サブミクロン微子が得られる。
粒子の大きさは主に乳化物の最初の大きさで制御されることが見いだされている。さらに、最終の粒径有機相中薬物濃度の減少に伴い減少するという興味深い報告がなされている。この発見は、ナノ粒子の合成に従来の界面活性剤を用いていない(本発明のいくつかの実施態様)本明細書で報告される結果と逆になっている。さらに、使用した薬物の酢酸コレステリルは、トルエン中では表面活性剤であり、そのため油−水界面で配向する可能性があり、それゆえに界面での薬物濃度がより高くなり、沈殿潜在力が増大することが、Sjostrom論文著者らにより指摘されている。

0013

サブミクロン粒子の生成は、Calvoらが、非特許文献15で述べているように、沈殿法でも達成されている。この方法は、薬物(例えば、インドメタシン)とポリマー(ポリカプロラクトン)を塩化メチレンとアセトンに溶解し、次いで、その溶液を界面活性剤(Poloxamer 188)を含む水相に注ぎ、サブミクロン粒子(216nm)を得ることに基づいている。しかしながら、この方法は乳化物が生成しない溶媒濃度で行われる。
タキソールは抗癌薬として非常に有望な天然化合物である。例えば、タキソールは薬物耐性卵巣癌の活性薬剤であることが McGuireらにより見いだされている(“タキソール:進行した卵巣上皮腫瘍に対して著しい活性を持つユニークな抗腫瘍薬” 非特許文献16参照)。以下において、本明細書中で言及する全ての特許、科学論文、及び他の文書は参照することで、あたかも完全に再生されるように本明細書中に取り込まれる。

0014

不運にも、タキソールは水に対する溶解性が極めて低いため、適当な投薬形態にして供給することが非常に困難である。実際、フェーズI臨床試験では、タキソールの低溶解性を補うためにタキソールと共に投与された乳化剤により深刻なアレルギー反応が引き起こされ、乳化剤により誘発されたアレルギー反応で一人以上の患者が死に至っている。投与用量制限毒性には、好中球減少症末梢神経障害、及び過敏症などが含まれる。
Brownらは、“6時間静脈内注入で投与されたタキソールのフェーズI試験”非特許文献17で、タキソールを、前投与なしに毎日6時間IV注入したフェーズI試験を報告している。31人の患者がタキソールの64評価可能(assessable)推移試験を受け、一人の患者は深刻な(又は、急性)の過敏反応を起こし、注入を中断し、直ちに患者の救命処置をしなければならなかった。
他の患者は過敏反応を起こしたが、注入の中断を必要とするほどは深刻ではなかった。骨髄抑制が用量制限因子であり、敗血症による二死亡例が報告されている。非血液毒性は、グレード3の粘膜炎の一患者及び Grade3神経疾患の二患者を除けばグレード1及び2であった。この神経疾患は可逆的な痛ましい知覚異常からなり、二患者についてはタキソールの注入中断が必要であった。部分的応答が四例見られた(非小細胞肺ガン患者で3、及び原発不明の腺癌患者で1)。報告された最大耐用量は275mg/m2であり、推奨フェーズII開始用量は225mg/m2であった。過敏反応発生率は、投薬計画依存しており、薬物の6〜24時間注入では0%〜8%の過敏反応発生率であったことが報告されている。また、過敏反応は注入時間の延長に拘わらず、前投与に関係していたり、関係していなかったりした。これらフェーズIでの検討は種々の癌を患っている末期患者に対して行っているので、タキソール治療の効果は測定できなかった。

0015

Krisらの研究では、脱水アルコール中でクレマホールELで製剤化されたタキソールが、21日毎に3時間IV注入、9エスカレーション段階に分かれた投薬量範囲15〜230mg/m2で投与された。Krisらは、“過敏反応の深刻さと予測不能性のため、この薬物製剤によるタキソールのさらなる使用は、この投与計画では考えられない。”と結論している(非特許文献18を参照)。
単回注射又は短時間(1〜3時間)注入による初期の試験でアナフィラキシー反応又は他の過敏性応答が誘発されたので、それ以上の研究では、最も深刻なアレルギー反応を避けるため、ステロイド(デキサメタソンなど)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)及びH2−きっ抗薬(シメチジン又はラニチジン)を前投与した後でのみ、タキソールが投与され、注入時間も24時間に引き延ばされた。最大全用量250mg/m2、24時間注入、3週間毎の繰り返しでタキソールを投与する多くのフェーズIとフェーズIIの研究結果が出版されている。患者はデキサメタソン、ジフェンヒドラミン、及びシメチジンで前処置され、アレルギー反応を相殺することが行われている(Einzigら、“転移性腎臓細胞癌を持つ患者でのタキソールのフェーズII試験”, 非特許文献19、及びA.B.Millerらの、“癌治療の報告結果”, 非特許文献20参照)。

0016

Koellerらは、“前投与無しで注入時間を延ばして投与されたタキソールのフェーズI薬物動態研究”,非特許文献21の中で、タキソール注入に用いられるクレモホア(ポリエトキシル化ひまし油)ビヒクルにより引き起こされると考えられている多くのアレルギー反応を避けるため、ルーチン的な前投与を推奨している。また、患者は175mg/m2〜275mg/m2範囲の投薬を受けている。
Wiernikらは、“タキソールのフェーズI臨床及び薬物動態研究”,非特許文献22で、フェーズI研究での6時間かけてのクレモホァビヒクル中タキソールのIV注入による投与について報告している。グレード3〜4の過敏反応が13治療例中、4通りの治療例で発生した。この研究の開始用量は15mg/m2(に対する最低毒性用量の1/3)であった。用量を増やしていき、最低3名の患者を、毒性が認識されるまでそれぞれの用量水準で処置し、4〜6名の患者はそれぞれのその次のレベルで処置した。この研究から、神経毒性白血球減少症は用量−制限と結論し、フェーズII試験の用量を、前投与付きの250mg/m2を推奨した。

0017

タキソールに関する他の模範的な研究として、Leghaらの、“転移性黒色腫でのタキソールのフェーズII試験”65:2478〜81(June 1990)、非特許文献23;Rowinskyらの、“薬物耐性の急性白血病におけるタキソールのフェーズI及び薬物動力学研究”、非特許文献24、Gremらの、“5日おきの短時間IV注入としてのタキソール投与のフェーズI研究”、非特許文献25、Donehowerらの、“進行した癌患者でのタキソールのフェーズI試験”、非特許文献26、Holmesらの、“転移性乳癌MBC)患者(PT)でのタキソールのフェーズII研究”、非特許文献27が挙げられる。また、Suffness、“国立癌研究所での抗腫瘍性天然物の開発” 非特許文献28(この文献では、タキソール(商標)の24時間注入を推奨している。)を参照すると良い。
Weissらは、“タキソール由来の過敏反応”、非特許文献29で、使用されたパクリタキセルの用量及び投薬計画が広範囲に変化していること、及び注入スケジュールの変更及び使用する前投与のHSR発生率に及ぼす効果などの未知影響度のため、過敏反応(HSRs)の信頼できるオーバーオール発生率を決めることは困難と報告している。例えば、前投与無しにタキソールの3時間注入を190mg/m2より大きい用量で受けた5名の患者中、3名に反応が現れたが、前投与なしで、それより高い用量で6時間注入を受けた30名の患者中、1名だけが反応を起こしただけであった。これは、注入時間を6時間以上に引き延ばすと、十分にHSR発生率を減少できることを示唆している。それにもかかわらず、Weissらは、24時間注入で250mg/m2のタキソール投与をうけた患者が、依然として明らかなHSRsを起こしていることを見いだしている。このことから、薬物注入を6時間〜24時間に引き延ばすことは、急性反応の危険性を軽減するが、この結論は、HSR反応の78%がタキソールの注入開始から10分以内で発生することから確認できず、全注入するのに計画した時間の長さは無関係であることを示唆している。さらに種々の少量タキソール用量に対して患者の大部分が反応を起こしたことより、注入中のパクリタキセル濃度では違いが生じないことが示唆された。

0018

最後に、Taxol HSRの機構が未知であるばかりか、タキソールそのものがHSsを誘発しているのか又はHSRsが賦形剤(クレマホァEL;Badische Anilin und SodaFabrik AG(BASF)、Ludwigshafen,FederalRepublic of Germany)によるものなのかもはっきりしない。前投与が深刻さ又は数多くのHSRsを軽減するのに影響をおよぼしているか否かは不明確であるにもかかわらず、それの使用に由来する危険が知られていないので、前投与という予防的治療法が推奨されている。
延長された注入持続時間を採用した時、過敏反応を避けるために前投与を行うべきかに関する先行技術分野での対立する推奨、及び6時間以上かけて行った注入の効能データ不足により、クレマホァEL乳化物型タキソールの高投与用量(170mg/m2以上)での24時間注入が、癌治療プロトコルとして認められるに至っている。

0019

延長された注入持続時間の採用により、乳化物型タキソールの投与に伴う副作用を最小化することが可能なように思われるが、長い注入持続時間は患者にとって不便であり、患者を6時間から24時間の注入時間中まるまる監視する必要があり、高価である。さらに、長い注入持続時間のため、患者は少なくとも一晩は病院又は治療クリニックで過ごす必要がある。
タキソールのより高い投与用量も文献に記述されている。シクロホスファミド及びシスプラチンの高用量と組み合わせたパクリタキセルの最高耐用量(MTD)の決定と、引き続いての自己造血幹細胞支持(AHPCS)のため、Stemmerらは(“自己造血幹細胞支持体による高用量パクリタキセル、シクロホスファミド及びシスプラチン:フェーズI試験”、非特許文献30)、予後不良の49名の乳癌、非 Hodgkin'sリンパ腫(NHL)又は卵巣癌患者で、24時間かけたパクリタキセルの増大投与用量注入、引き続いてのシクロホスファミド(5,625mg/m2)及びシスプラチン(165mg/m2)及びAHPCSの注入によるフェーズI試験を行った。825mg/m2のパクリタキセル投与のところで2名の患者に投与用量−制限毒性が現れ、1名は多臓器不全で死に、もう一人にはグレード3の気道CNS、及び腎臓毒性が現れたが、解決された。グレード3の多発性神経痛及びグレード4のCNS毒性もまた観察された。この組み合わせのAHPCSにフォローされたMTDを、パクリタキセル(775mg/m2)、シクロホスファミド(5,625mg/m2)、及びシスプラチン(165mg/m2)と決定した。感覚性多発性神経痛及び粘膜炎が際だった毒性であるが、両方とも可逆的で、許容できるものであった。33患者中18名の乳癌患者(54%)に部分応答が見られた。応答はNHLを持つ患者(5名中44名)及び卵巣癌患者(2名中2名)でも観察された。

0020

特許文献7では、3時間注入投与、で175と135mg/m2の用量でタキソールを使用した例が報告されている。この注入プロトコルでは前投与を必要とし、35%の患者に過敏反応が現れ、神経毒性が51%の患者で見られたと報告している。また、高用量グループの66%の患者及び低用量グループの患者37%が神経毒性を経験していた。さらに、24時間の長時間注入を行った患者の48%が神経毒性を経験した一方、3時間の短時間注入を行った患者の54%が神経毒性を経験したことは注目すべきことである。

0021

文献では、パクリタキセルの高投薬用量でより早い応答が得られる証拠が見られる。パクリタキセルの最適投薬用量と投薬計画はまだ研究中である。疾患応答の誘発に置いてパクリタキセル投与量強度が重要である可能性を評価するため、NCIの Reedらは、卵巣癌及び乳癌の治療における利用可能なフェーズII試験データを解析した(Reed E,Bitton R,Sarosy G, 及び Kohn E,“パクリタキセル用量強度”,非特許文献31)。という結果が示唆された。
対象疾患応答とパクリタキセル用量強度間の相関再発卵巣癌では2サイドp値が0.022で統計的に非常に有意であった。乳癌での関係はむしろ大きく、2サイドp値は0.004であった。135mg/m2/21日では、対象応答速度は13.2%、250mg/m2/21日では対象応答速度は35.9%であった。中間投与用量の175mg/m2での応答速度は、135mg/m2と250mg/m2の結果と直線関係にあり、これらデータの線形回帰分析相関係数0.946が得られた(Reedら、1996)。

0022

Holmesらの研究(“転移性乳癌の治療における活性薬物、タキソールのフェーズII試験”、非特許文献32)及びMSKCCでの研究(ReichmanBSら、“転移性乳癌の初期化学療法としてのパクリタキセルと組換型人間か粒コロニー刺激因子”、非特許文献33)で、最高250mg/m2に及ぶパクリタキセルの高投薬用量で、最近、パクリタキセルで承認された175mg/m2、投薬用量(26%)より、さらに大きな応答(60%)が得られることが示されている。これらの結果は、このような高投薬用量でのより高度の毒性のため、再現できなかったが、パクリタキセルの増量投与でその応答速度が増加することの有力な証拠を与えていた。
タキソールを投与するには、患者が病院に一晩泊まることがしばしば必要となる前投与が必要なので、前投与の必要性が排除されたパクリタキセル製剤の開発が大いに望まれている。

0023

タキソールでは、その薬物の投与に伴うHSRのため、前投与が必要であるので、過敏反応を引き起こさないパクリタキセル製剤の開発が希求されている。また、神経毒性を示さないパクリタキセル製剤の開発も同様に望まれている。
タキソール注入は一般的には前投与がそれに先だって行われ、また、注入後監視と記録保存が必要とされる。これらは患者が病院で一晩過ごすことを必要とするもので、治療を受ける者が外来患者基準で扱われるようなパクリタキセル製剤の開発が大いに望まれている。

0024

毒性はより高くなるものの、タキソールのより高い用量により臨床応答が改善できることが実証されているので、この毒性無しでこの投薬用量を達成できるパクリタキセル製剤を開発することが望ましい。
タキソールの用量制限毒性は脳及び神経毒性であることが実証されているので、このような毒性を減少させたパクリタキセル製剤の開発が望まれている。
また、前投与は患者の不安を増し出費も増加させ、治療に要する時間も長くするので、この前投与を省くことも望ましい。

0025

また、現在3〜24時間かけて投与されているパクリタキセルの注入時間の短縮し、患者が病院又は診療所滞在する時間を最短にすることも望ましい。
現在、タキソールは0.6〜1.2mg/mlの濃度、ヒトへの典型的投薬用量約250〜350mgの投与が認められているので、注入容量は、典型的には、300mL以上になる。
投与時間を短縮するため、高濃度で安定なパクリタキセル製剤を開発して、この注入容量を減少させることも望ましい。
タキソールの注入は、タキソール(商標)製剤中のクレマホァによる可塑剤溶出のため、特製のI.V.チューブ及びバッグ又はボトルを使用するように制限されているので、クレマホァを含まず、静脈注入に従来から使用されてきたプラスチック製チューブ又はバッグから潜在的に毒性物質を溶出させないパクリタキセル製剤の開発が望ましい。

0026

米国特許第4,073,943号
PCT国際公開特許番号WO85/00011
米国特許第5,059,699号(1991)
米国特許第4,671,954号
WO94/10980
仏国特許第2 660 556
米国特許第5,641,803号

先行技術

0027

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発明が解決しようとする課題

0028

本発明の目的は、現在ドラッグデリバリーに採用され、添加されている乳化剤及び可溶化剤が引き起こすアレルギー反応を起こさない医薬組成物の形で、かつ、薬学的に活性な薬剤(例えば、タキソール、タキサンタキソテレなど)を化学修飾されていない形でデリバリーすることにある。
さらに本発明は、任意的に適当な生体適合性液体中に懸濁された、ミクロ粒子又はナノ粒子組成物中の薬学的に活性な薬剤をデリバリーすることを目的としている。
また本発明は、さらに、油/水乳化物からの溶媒蒸発法による薬学的に活性な薬物のサブミクロン粒子(ナノ粒子)の生成方法の提供を目的としている。ある方法では安定剤として蛋白質を使用し、また、ある方法では従来型の界面活性剤や、ポリマーコア物質を使用せずに実施した。
本発明のこれらの目的は、明細書及びクレームを再見することで明確になると思われる。

課題を解決するための手段

0029

本発明において、本発明者らは、実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を、水性懸濁物型の非経口投与に適したミクロ粒子又はナノ粒子の形でデリバリーできることを見いだした。このデリバリー様式により、実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤(すなわち、パクリタキセル)を、例えば、標準生理食塩水に希釈されたエタノールとポリエトキシル化ヒマシ油を含有する乳化物(例えば、Nortonら、Abstracts of the 2nd NationalCiuCer Institute Workshop on Taxol & Taxus, September 23−24,1992を参照)として投与する必要性を排除できた。

0030

このような既知の医薬組成物の不利益な点は、これらがアレルギー性副作用を起こす傾向をもつことである。
本発明によれば、多様の条件下で調製された油/水乳化物から、溶媒蒸発法で薬理学的に活性な薬剤のナノ粒子の製造方法が提供される。例えば、従来の界面活性剤を使用しない場合や、ナノ粒子のマトリックスを形成するポリマーコア材料を用いない場合には、高せん断力(例えば、超音波分散高圧ホモジナイゼーションなど)が用いられる。その代わりに、蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン)が安定化剤として使用される。代替法では、単に自動的にミクロ乳化物を形成する材料を選定するだけで、高剪断力無しでナノ粒子を形成できる。

0031

本発明はさらに、0.22ミクロンフィルターを通して殺菌−ろ過が可能な、異常に小さいナノ粒子(直径200nm以下)の再現性良い生成方法を提供する。この方法は水溶性溶媒(例えば、エタノール)を有機相に加えること、及び有機相のタイプ、相割合、及び有機相中の薬物濃度を慎重に選択することで達成される。有意量の蛋白質(例えば、アルブミン)を含む製剤は、オートクレーブ法などの従来方法では蛋白質の熱凝固が起こり殺菌できないので、0.22ミクロンのフィルターでろ過可能なサイズを持つナノ粒子を形成できることは、非常に重要かつ有意義である。

0032

本発明の別の実施態様で、実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤の in vivoデリバリーに有用な組成物を開発した。本発明の組成物は、ポリマー殻内に入った実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤(固体又は液体として)を含んでいる。このポリマー殻は架橋された生体適合性ポリマーである。その中に実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を含むポリマー殻は、次いで、投与のために生体適合性の水性液体に懸濁できる。

0033

本発明ではさらに、薬理学的に活性な分子の一部が蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン)に結合されており、ほ乳類に投与すると、ただちにバイオアベイラブルになるドラッグデリバリーシステムが供給される。
薬理学的に活性な薬剤の他の部分は、蛋白質で被覆されたナノ粒子内に含まれる。薬理学的に活性な薬剤を含むナノ粒子は、ポリマーマトリックスで希釈されずに、純粋な活性成分として存在している。
従来型の多数の薬理学的に活性な薬剤は、疎水性又はイオン性相互作用でキャリャー蛋白質(最も一般的な例として血清アルブミン)に結合して、血流中を循環する。本発明の方法及びそれにより製造される組成物により、投与に先立ち、(疎水性又はイオン性相互作用で)蛋白質に“予備結合された”薬理学的に活性な薬剤が提供される。

0034

本開示はヒト血清アルブミンに結合可能な抗癌薬物、タキソール(パクリタキセル)、のバイオアベイラビリティーの両方の上述したモードを実証するものである(例えば、Kumarらの、Research communications in Chemical Pathology and Pharmacology,80:337(1993)を参照)。タキソールと比較して、本発明の粒子中でアルブミンが高濃度であることは、有意量の薬物を血流中で薬物の天然キャリャーでもあるアルブミンに結合した分子の形にすることができる。

0035

さらに、ヒト血清アルブミンがタキソール並びに粒子表面へのタキソールの吸収能を増強する他の薬剤に結合する能力を利点として利用している。アルブミンはコロイド状の薬物粒子(有機溶媒の除去で生成)上に存在するので、電気的反発及び立体的安定化のため、長時間安定なコロイド状分散物の生成を容易にしている。

0036

本発明に従うと、水又は生理食塩水で容易に再構成可能なサブミクロン粒子が粉体形態でも提供される。この粉体は凍結乾燥で水を除去した後に得ることができる。ヒト血清アルブミンは、本発明の中でナノ粒子の構造成分凍結保護物質及び再構成補助剤として使用できる。本明細書中で前述した本発明の方法による0.22ミクロンフィルターでろ過可能な粒子の合成及び引き続いての乾燥又は凍結乾燥で、静脈内注射に有用な、殺菌した固体製剤が製造できる。

0037

本発明では、特に、抗癌薬、例えば、タキソール、組成物が液体分散物中のナノ粒子として、又は投与の際容易に再構成できる固体として提供される。
ある種の薬剤、例えばタキソール、の特異的性質のため、界面活性剤を頼りにした従来の溶媒蒸発法では、このような組成物が得られない場合がある。様様の界面活性剤の存在下、非常に大きな薬物結晶(例えば、大きさが約5ミクロンから数百ミクロン)が、調製過程後の貯蔵時に、数分以内で生成する。このような結晶の大きさは、通常、静脈注射で許容されている大きさよりもはるかに大きい。
本発明の方法で製造される粒子は、結晶体、非晶体又はそれらの混合物であっても良いと認識される一方、一般的には、薬物は製剤中で非晶体で存在することが好ましく、このことで溶解及び吸収がより容易になり、より良いバイオアベイラビリティーが得られる。

図面の簡単な説明

0038

Fig.1は、パクリタキセルナノ粒子の腫瘍保持マウス(各群n=5)への静脈内投与の結果を示している。食塩水を与えた対照群(●)と比較し、治療処置群(■)では腫瘍の完全退縮が見られる。対照群では、実質的非制御腫瘍成長は観察されなかった。治療処置群への5日間続けての単回静脈注射として投与したパクリタキセル投与用量は20mg/kgである。
Fig.2は、コラーゲンを皮内投与して足に関節炎を発生させたラットへの、パクリタキセルナノ粒子の非経口投与結果を示している。足容積を測定し、その疾患の重さを示した。足容積を治療開始時を100%として規準化した。日時0は治療の開始を意味している。食塩水投与の対照群(図中、細線で示し、“非治療処置”とラベル付与);パクリタキセルナノ粒子を投薬用量1mg/kgで受けた第一治療処置群(n=4、図中、太線で示し、“パクリタキセルナノ粒子1mg/kg”とラベル付与)、及びパクリタキセルナノ粒子0.5mg/kgとプレドニソン0.2mg/kgの組み合わせ投与用量の第二治療処置群(n=4、図中、太線で示し、“プレドニソン0.2mg/kg+パクリタキセルナノ粒子0.5mg/kg”とラベル付与)の三試料群を用意した。2個の治療処置群で、時間経過と共に、足容積の劇的な減少が見られ、関節炎の退縮を示していたが、対照群では同一期間中では足容積の増加が見られた。

実施例

0039

抗癌剤パクリタキセル(TAXOL, Bristol Myers Squibb, BMS)は、卵巣癌、乳癌、肺癌食道癌、頭及び首域の癌、膀胱癌及びリンパ腫を含む多くのヒト癌に対して著しい臨床活性を持っており、現在、シスプラチンと組み合わせて使用する卵巣癌の治療、及び組み合わせ化学治療法による優先的治療がうまくいかなかった転移性乳癌に対して承認されている。

0040

タキソール(商標)の主な制約は、それの貧溶解性にあり、そのため、そのBMS製剤は50%のクレマホァELと50%のエタノールを可溶化ベヒクルとして用いている。この製剤の各バイアルには、30mgのパクリタキセルが6mg/mlの濃度で溶解されている。静脈内投与に先立ち、この製剤を生理食塩水で1:10に希釈し、0.6mg/mlでパクリタキセルを含む最終投与溶液にしなければならない。この製剤は動物(Lorenzら., Agents Actions,7:63〜67(1987))とヒト(Weissら., J.Clin.Oncol.,8:1263〜68(1990))における深刻な過敏反応と関係しており、その結果、患者にコルチコステロイド(例えば、デキサメタソン)及び抗ヒスタミン剤を前投与する必要がある。また、高希釈により注入容量が大きくなり(典型的用量175mg/m2又は最高1L)、注入時間が3時間から24時間にもなる。そのため、代替のより毒性が低いパクリタキセル製剤が望まれている。

0041

カプクソール(CapxolTM)は新規で、クレマホァを含まない制癌剤パクリタキセル製剤である。本発明者らは、動物での研究から、クレマホァを含まない製剤は、著しく毒性が低く、患者の前投与は必要としないと確信した。現在承認され、市販されている(Bristol Myers Squibb)パクリタキセル製剤は、その中に含まれるクレマホァで引き起こされる過敏反応とアナフィラキシーの軽減のため、患者に対する前投与が必要とされる。

0042

カプクソール(CapxolTM)は、再構成され静脈内投与されるように凍結乾燥された粉体である。0.9%塩化ナトリウム注射液又は5%ブドウ糖注射液などの適当な水性媒体で再構成された時、CapxolTMは安定なパクリタキセルのコロイド溶液を生成する。コロイド状懸濁物のサイズは、20nmから8ミクロン、好ましくは、約20〜400nmの範囲にある。カプクソール(CapxolTM)の主要二成分は非修飾パクリタキセルとヒト血清アルブミン(HSA)である。HSAは自由に水に溶解するので、カプクソール(CapxolTM)は、所望のパクリタキセル濃度に再構成することができ、HSAの溶解度にだけ制約される。かくして、CapxolTMは希薄濃度(0.1mg/mlパクリタキセル)から高濃度(20mg/mlパクリタキセル)まで、広い濃度範囲で再構成が可能であり、その結果、かなり小容量の投与が可能である。

0043

本発明によれば、水性懸濁液になり、非経口的投与に適したナノ粒子の形で生物活性物質をin vivoデリバリーするのに有用な組成物と方法が提供される。発明の組成物はポリマーで安定化されており、そのポリマーは蛋白質アルブミンなどの生体適合性物質である。生物活性物質のデリバリーに本発明の組成物を使用すると、生物活性物質の投与のために、標準食塩水に希釈されたエタノール及びポリエトキシル化ヒマシ油のような毒性希釈剤又はビヒクルに希釈する必要(例えば、Nortonらの、Abstracts of the 2nd National Cancer Institute Workshop on Taxol & Taxus,September 23−24,1992参照)がなくなる。

0044

このような既知組成物の不利な点は、それらが厳しいアレルギー性及び他の副作用を引き起こす傾向にあることである。粒子状懸濁物の形態で生物活性物質をデリバリーすると、肝臓、肺、脾臓、リンパ腺、循環系などの器官での細胞の細網内皮系(RES)による粒子取り込みにより、これら器官を照準としてデリバリーできることは既知である。RES含有器官に照準を合わせることは、種々のサイズを持つ粒子を使用すること及び異なるルートを通しての投与で制御される。しかしながら、ラットに投与した時、CapxolTMは、意外かつ驚いたことに、RESを持たない前立腺膵臓睾丸輸精管、骨などの組織に、同一用量のタキソール(商標)と比較して、かなり多く蓄積することを見いだした。

0045

ナノ粒子製剤である本発明のパクリタキセル製剤、CapxolTMがRESを持たない器官の、前立腺、膵臓、睾丸、輸精管、骨などの組織に、タキソール(商標)の様なパクリタキセル非粒子製剤よりもかなり高レベル濃縮されることは、非常に驚くべきことである。CapxolTMは、これら組織の癌治療にタキソール(商標)より高い効果で活用できる。しかしながら、他の多くの組織への配送は、CapxolTMとタキソール(商標)は類似しており、それ故、CapxolTMは他組織においてはタキソール(商標)と同等以上の抗癌活性を保持していることが期待できる。

0046

CapxolTMが前立腺内に局在した基因として、製剤の粒子径サイズ(20〜400nm)又は製剤中の蛋白質アルブミンの存在が考えられ、これらが特定膜受容体(gp60、gp18、gp13など)を通しての前立腺組織内への局在を引き起こしたと考えた。
また、アルブミン以外の生体適合性、生分解性ポリマーが、前立腺などの組織に特異性を示し、前述した性質の結果、これらの組織でパクリタキセルの局所的濃縮を起こしたとも考えられた。このような生体適合性物質は本発明の範囲に含まれる。前立腺でのパクリタキセルの高局所濃度を達成する好ましい組成物の実施態様は、粒子径が20〜400nmであり、パクリタキセルとアルブミンを含み、クレモホァを含まない製剤である。この実施態様は、等用量のタキソールと比べて、すい臓、腎臓、肺、心臓、骨及び脾臓でのパクリタキセルのより高レベルでの濃縮を示した。これらの特性により、テストステロンレベルの低下の方法、医学上の精巣摘出術の達成、及び再狭窄治療のための冠状血管系への高濃度局所集中を含むこのパクリタキセル製剤の新規な応用が可能となる。

0047

また、パクリタキセルが Capxolとして投与される場合、タキソールよりも、ずっと遅い速度でその代謝産物に代謝されることも驚くべきことである。これは、同じパクリタキセル用量でも、増進した抗癌作用を長時間持つことを意味している。
また、Capxolとタキソールをパクリタキセルで等用量、ラットに投与した時、Capxolと比較した時、タキソールでより高段階の骨髄抑制が起きたということも驚くべきことである。これは感染及び熱発作(例えば、好中球減少症)の低発生率という結果をもたらすことができる。また、現在、治療と治療の期間が21日となっている周期を減少させることもできる。かくして、Capxolは、タキソールよりも実質上、有利な点を持っている。

0048

また、驚いたことにタキソールビヒクル(食塩水に希釈されたクレモホァ/エタノール)だけが、マウスの幾つかの用量グループで強い骨髄抑制を起こし、深刻な過敏反応と死をもたらした。このような反応は等用量及びより高用量 Capxolグループでは起こらなかった。このように、タキソールのビヒクルを用いないパクリタキセル製剤Capxolは、実質的利点を有していた。
また、Capxolとタキソールをラットに、パクリタキセルで等用量になるよう投与したとき、Capxolでは、著しく高いLD50値で証明されるように、タキソールと比較して非常に低い毒性が見いだされた。これは非常に驚くべきことである。これはパクリタキセルをより高用量で、かつ、治療上効果的な用量で患者に投与できることを意味している。パクリタキセルの高用量に対する増大した応答速度を示す文献にもこの証拠を求めることができる。Capxol製剤では、低毒性のため、このような高用量投与ができ、それによりこの薬物の持つ全潜在能力を利用できる。

0049

また、実質的水不溶性薬物のパクリタキセル製剤、Capxol、が水性媒体中で、非制限的であるが、0.1〜20mg/mlの幾つかの異なる濃度水準で再構成した時、安定であることも驚くべきことである。このことは、それが注入用量をより小さくでき、タキソールで知られている不安定問題(沈殿)を克服でき、注入ラインでのインラインろ過を省くことを可能とし、薬剤の投与期間中でタキソールよりも優れた実質上の利点を提供する。
このように、Capxolは患者へのパクリタキセル投与を著しく簡略化し、改善している。
また、驚くべきことに、Capxolとタキソールをパクリタキセルの用量を同じにしてラットに投与すると、前者では神経毒性の徴候は見られなかったが、タキソールでは、低用量でも神経毒性作用を示した。

0050

本発明の製剤によりさらに、パクリタキセル及び他の実質上水不溶性の薬学的に活性な薬剤を、先行デリバリーシステムで必要とされていた投与容量および時間より、ずっと少量の液体容量と、投与時間で投与できる。
本発明の組成物(Capxol)は、生体適合性ポリマーマトリックスと組み合わせて、より低い毒性と引き延ばされた活性持続で、パクリタキセルを局所に保持されるようにデリバリーできる。
Capxolでの上述の驚くべき発見により、パクリタキセルで治療を受けている患者の生活の質(quality of life)を実質的に改善することが期待できる。

0051

パクリタキセルのためのCapxolTM製剤の潜在的利点
● CapxolTMは、単にパクリタキセルとヒト血清アルブミンだけが含まれる凍結乾燥粉体である。この凍結乾燥粉体の再構成で得られるコロイド状溶液の性質により、薬物を可溶化するためのクレモホァ(パクリタキセルのBMS製剤中に存在)やポリソルベート80(Rhone Poulenc社製ドセタキセル製剤中に存在)などの毒性乳化剤及びエタノールのような溶媒を必要としない。毒性乳化剤を除去したことで、タキソール製品で起こることが知られている深刻な過敏反応、アナフィラキシー反応の発生率を減少できる。
● さらに、この薬物を投与する前に、ステロイドや抗ヒスタミン剤を前投与する必要が無くなることが期待できる。
● LD10/LD50の研究から明らかなように、毒性の軽減により、より大きな薬効を求めて、より大きな投与用量を採用できる。
● また、骨髄抑制の減少(BMS製剤との比較)により、治療サイクル(現在は3週間)期間の短縮及び治療効果の改善が期待できる。
● CapxolTMは、BMS製剤(0.6mg/mL)と比較し、非常に高濃度(最高20mg/mL)で投与できるので、注入容量を著しく減少でき、単回静脈注射としての投与ができる。
● タキソールは、標準的な注入用チューブから製剤へ可塑剤が溶出するため、ニトログリセリンポリオレフ注入セットを用いて注入しなければならない。Capxolは、可塑剤の溶出を起こさないので、標準的な注入用チューブのいずれをも使用できる。さらに、クレモホァ含有溶液の貯蔵には、ガラス及びポリオレフィン容器のみが使用されていたが、Capxolはこのような制約を持たない。
● タキソールで認識されている問題として、留置カテーテルでのパクリタキセルの沈殿があり、その結果、不規則制御性に乏しい薬物投与が行われる。新規製剤の CapxolTMのコロイド状溶液は、元来、安定であるので、沈殿問題は緩和されている。
● この沈殿問題のため、タキソール(商標)の注入にはインラインフィルターを使用して沈殿物や他の粒子状物をろ過する必要があるが、CapxolTMはその固有安定性により、このような必要がない。
● 大きさが数100ナノメータの範囲にある粒子は腫瘍サイトでのリーク血管を通って腫瘍中に優先的に分配されることが、文献で示唆されている。CapxolTM製剤中のコロイド状パクリタキセル粒子は、そのため、優先的標的効果を示し、タキソール(商標)製剤で投与されたパクリタキセルの副作用を著しく軽減できる。

0052

それ故、上述してきた望ましい特性をもたらすパクリタキセルの新規製剤を提供することが本発明の第一義的目的である。
また、ある組織にパクリタキセルを局在化し、その場でより大きな抗癌作用を与えることができる新規パクリタキセル製剤の提供も、本発明の他の目的である。
また、注入容量を減少させるため、濃度2mg/mL以上でパクリタキセルを投与することも、本発明の他の目的である。

0053

また、タキソールビヒクルを含有しないパクリタキセル製剤の提供も、本発明の他の目的である。
さらにまた、癌治療でパクリタキセルの投与を受けている患者の生活の質を改善するパクリタキセル製剤の提供も、本発明の他の目的である。

0054

本発明により、パクリタキセル(paclitaxel)で治療を受けている患者で、パクリタキセルの毒性を低下する方法が提供され、この方法は2時間以下の投与時間にわたって少くとも175mg/m2の用量で上記のパクリタキセルを医薬的に許容できる処方物中で上記の患者に全身的に投与することからなる。

0055

[他の独立クレームについても繰り返して記載する]
本発明により、in vivoデリバリーのための実質的に水不溶性の生理学的活性剤調製方法が提供され、該調製方法は、
a)i) 該生理学的活性剤を溶解させる有機溶媒;
ii) 水または水性溶液
iii)サーファクタント;および
iv)コサーファクタント
一緒にして、マイクロエマルジョンを自動的に形成し;
b) 該有機溶媒を除去して、水における該生理学的活性剤のナノ粒子の懸濁液を得る、ことを含む上記調製方法である。

0056

本発明のさらに別な態様による時、活性剤を含有するナノ粒子を製造する方法が提供され、この方法は、ミクロエマルジョンを自然に形成する、非揮発性の相、上記の活性剤を含有する揮発性の相および界面活性剤を一緒にし、そして上記の揮発性相を除去することによって上記の非揮発性相中の固体ナノ粒子の懸濁液を得ることからなり、このナノ粒子は上記活性剤を含有しまた100nmより小さい平均直径を有する。

0057

上記した諸方法によって生成される組成物は、毒性が極めて低い形の種々の薬理学的活性剤を与えることが認められているので、特に有利である。毒性が低い形の薬理学的活性剤例えばパクリタキセルを製造する別な方法もまた本明細書に記載されている。

0058

好ましい態様において上記した粒子の平均直径は約200nm以下である。このような粒子は、それが無菌濾過かけられることができ、このことのため、所望の薬理学的活性剤を含有する溶液の殺菌を行うために一層強烈に処理する必要がなくなるので、特に有利である。

0059

本記載で用いる場合、異なった規定がなされない限り「パクリタキセル」という用語はパクリタキセルのあらゆる形、修飾および誘導体例えばタクソテーレ(taxotere)などを包含する。
カプキソール(CapxolTM)(登録商標)は本出願者の譲受人によって販売されるパクリタキセルのための登録商標である。本記載で用いる場合、カプキソール(登録商標)は実施例1の方法によってつくられるタンパク質コーティングされたパクリタキセルナノ粒子をさすための単なる略記的手段である。カプキソール(登録商標)は抗ガン薬パクリタキセルの、クレマフォーを含有しない特許登録された新規な処方物である。本発明者は動物での研究を基礎として、クレマフォーを含まない処方物は毒性が顕著に少なくまた患者のプレディケーションを必要としないと考えている。現在、認可されそして市販されているパクリタキセルのタキソール(Taxol)(登録商標)処方物中にクレマフォーがあるために起きる過敏症およびナナフィラキシーを減らすためにはプレメディケーションが必要である。カプキソール(登録商標)は再構成および静脈内投与のための凍結乾燥された粉末である。カプキソール(登録商標)はバイアル1つあたり30mgのパクリタキセルと約400mgのヒト血清アルブミンを含む。0.9%塩化ナトリウム注射液または5%デキストロース注射液のような適当な水性媒体で再構成される時、カプキソール(登録商標)はパクリタキセルの安定なコロイド溶液を形成する。コロイド状ナノ粒子の寸法は典型的に400nmより小さい。ナノ粒子はUSPヒト血清アルブミンと有機溶媒中のパクリタキセルの溶液とを高圧でホモジナイズすることにより調製される。次に、溶媒が除去されて、ヒトアルブミン中のコロイド懸濁液または溶液が生成される。この懸濁液は無菌濾過されそして凍結乾燥されて、カプキソール(登録商標)が得られる。この処方物は他に添加される助剤または安定化剤を含有しない。この製品の無菌性は無菌製造法によりそして(あるいは)無菌濾過により確保される。カプキソール(登録商標)の二つの主成分は変性されていないパクリタキセルおよびヒト血清アルブミン(HSA)である。HSAは水中に自由に溶解するので、カプキソール(登録商標)はHSAに関する溶解限度のみによって制限される所望の任意の濃度のパクリタキセルへと再構成されることができる。従ってカプキソール(登録商標)は稀薄な濃度(0.1mg/mlパクリタキセル)から濃厚な濃度(20mg/mlパクリタキセル)までの広い範囲の濃度で再構成されることができる。これにより、かなり小容量の投与が可能になる。

0060

本記載で用いる場合、「生体内投与」という用語は、経口、静脈内、皮下、腹膜内、包膜内、筋肉内、吸入的、局所的、経皮坐薬直腸内)、ペサリー内)、尿道内、門脈内肝臓内動脈内、体液内などの投与径路による薬理学的活性剤の投与をさす。
本記載で用いる場合、「ミクロン」という語はミリメートルの千分の一の尺度単位をさす。

0061

本記載で用いる場合、「バイオコンパチブル」という用語はある物質が生物学的な系内に導入されるとして、この系を何らかの仕方で害するように変化させたりあるいはこれに影響を与えたりしない物質について記述する語である。
本発明を実施するのに使用することが考えられる水に実質的に不溶である薬理学的活性剤には医薬的活性剤、診断剤栄養的価値のある薬剤などが含まれる。医薬的活性剤の例には以下のものがある。

0063

抗喘息剤(例えばアゼラスチン(Azelastine)、ケトティフェン(Ketotifen)、トラキサノックス(Traxanox)、アムレキサノックス(Amlexanox)、クロモリン(Cromolyn)、イブディラスト(Ibudilast)、モンテルカスト(Montelukast)、ネドクロミル(Nedocromil)、オキサトミド(Oxatomide)、プランルカスト(Pranlukast)、セラトロダスト(Seratrodast)、サプラタストトシレート(Suplatast Tosylate)、ティアラミド(Tiaramide)、ザフィルルカスト(Zafirlukast)、ジリュートン(Zileuton)、ベクロメソン(Beclomethason)、ブデソナイド(Budesonide)など);

0064

抗生物質(例えばネオマイシンストレプトマイシン、クロランフェニコルセファロスポリンアンピシリンペニシリンテトラクリンなど);
抗うつ薬(例えばネフォパムオキシペルチンドキセピンヒドロクロリド、アモキサピントラゾドンヒドクロリドアミトリプチリンヒドロクロリド、マプロチリンヒドロクロリド、フェネルジンサルフェート、デシプラミンヒドロクロリド、ノルトリプチリンヒドロクロリド、トラニルシプロミンサルフェート、フルオキセチンヒドロクロリド、ドキセピンヒドロクロリド、イミプラミンヒドロクロリド、イミプラミンパモエート、ノルトリプチリン、アミトリプチリンヒドロクロリド、イソカルボキサジド、デシプラミンヒドロクロリド、トリミプラミンマレエートプロトリプチリンヒドロクロリドなど);

0065

抗糖尿病薬(例えばビグァニド、ホルモンスルフィニル尿素誘導体など);
抗真菌剤(例えばグリセオフルビン、ケロコナゾールアンフォテリシンB、ニスタチン(Nystatin)、カンジシジンなど);

0067

抗炎症剤(例えば(非ステロイド性)インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、(ステロイド性)コルチゾーン、デキサメタゾーン、フルアザコート、ヒドロコルチゾーン、プレドニゾローン、プレドニゾーン、など);

0068

抗新生物薬(例えばアドリアマイシン、シクロホスファミド、アクチノマイシンブレオマイシンデュアノルビシンドキソルビシンエピルビシンミトマイシンメトトレキセートフルオロウラシルカルボプラチンカルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシドインターフェロン、カプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、タキソテーレおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチンタモキシフェン、エトポシド、ピポスルファンなど);

0070

免疫抑制剤(例えばシクロスポリンアザチオプリンミゾリビン、FK506(タクロリマス)など);

0071

抗偏頭痛剤(例えばエゴタミンタルタレート、プロパノロールヒドロクロリド、イソメテプテンムケート、ジクロルアルフェナゾンなど);

0072

鎮静剤催眠剤(例えばバリビツレート(例えばペントバルビタールペントバルビタールナトリウムセコバルビタールナトリウム)、ベンゾジアザピン(例えばフルラゼパムヒドロクロリド、トリアゾラム、トマゼパームミダゾラムヒドロクロリド)など);

0073

抗狭心症剤(例えばベータアドレナリン作用遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬(例えばニフェジピン、ジルチアゼムヒドロクロリドなど)、硝酸塩(例えばニトログリセリン、イソソルビドジニトレートペンタエリスリトールテトラニトレート、エリスリチルテトラニトレートなど);

0074

抗精神病薬(例えばハロペリドールロクサピンスクシネート、ロクサピンヒドロクロリド、チオリダジン、チオリダジンヒドロクロリド、チオチキセンフルフェナジンヒドロクロリド、フルフェナジンデカノエート、フルフェナジンエナンテート、トリフルオペラジンヒドロクロリド、クロルプロマジンヒドロクロリド、ペルフェナジンクエン酸リチウムプロクロルペラジンなど);

0075

抗躁病剤(例えば炭酸リチウム);

0076

抗不整脈剤(例えばブレチリウムトシレートエスモロールヒドロクロリド、ベラパミルヒドロクロリド、アミオダロンエンカイナイドヒドロクロリド、ジゴキシン、ディジトキシンメキシレチンヒドロクロリド、ジソピラミドホスフェート、プロカイナミドヒロクロリド、キニジンサルフェート、キニジングルコネート、キニジンポリガラクツロネートフレカイニドアセテートトカイニドヒドロクロライド、リドカインヒドロクロリドなど);

0077

抗関節炎剤(例えばフェニルブタゾンスリンダックペニシラミンサルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメートナトリウム、金ナトリウムチオマレートケトプロフェン、オラノフィン、オロチオグルコーストルメチンナトリウムなど);

0078

痛風剤(例えばコルチシン、アロプリノールなど);

0080

血栓溶解剤(例えばウロキナーゼストレプトキナーゼ、アルトプラーゼなど);

0081

繊維素溶解剤(例えばアミノカプロン酸);
ヘモレオロジック剤(hemorheologic agent)(例えばペントキシフィリン);
抗血小板剤(例えばアスピリン、エンピリンアスクリプチンなど);
抗痙攣剤(例えばバルプロン酸ジバルプロエートナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパムプリミドンフェノバルビトール、フェノバルミトールナトリウム、カルバマゼピン、アモバルビトールナトリウム、メトサキシミド、メタルビタール、メホバルビタール、メフェニトイン、フェンサキシミド、パラメタジオンエトトインフェナセミドセコバルビトールナトリウム、クロルアゼペートジカリウム、トリメタジオンなど);

0082

パーキンソン剤(例えばエトサキシミドなど);
抗ヒスタミン剤/抗掻痒症剤(例えばヒドロキシジンヒドロクロリド、ジフェニルヒドラミンヒドロクロリド、クロルフェニルアミンマレエート、ブロムフェニラミンマレエート、シプロヘプタジンヒドロクロリド、テルフェナジンクレマスチンフマレートトリプロリジンヒドロクロリド、カルビノキサミンマレエート、ジフェニルピラリンヒドロクロリド、フェニンダミンタルタレート、アザタジンマレエート、トリレナミンヒドロクロリド、デキスクロルフェニルアミンマレエート、メトジラジンヒドロクロライド、トリムプラジンタルタレートなど)

0083

カルシウム調整のために有用な物質(例えばカルシトニンパラチロイドホルモンなど);
抗菌剤(例えばアミカシンサルフェート、アズトレオナム、クロランフェニコル、クロランフェニコルパルミテート、クロランフェニコルナトリウムスクシネート、シプロフロキサシンヒドロクロリド、クリンダマイシンヒドロクロリド、クリンダマイシンパルミテート、クリンダマイシンホスフェート、メトロニダゾール、メトロニダゾールヒドロクロリド、ゲンタミシンサルフェート、リンコマイシンヒドロクロリド、トブラマイシンサルフェート、バンコマイシンヒドロクロリド、ポリミキシンBサルフェート、コリスティメテートナトリウム、コリスチンサルフェートなど);

0084

抗ウィルス剤(例えばインターフェロンガンマジドブジンアマンタジンヒドロクロリド、リバビリンアシクロビルなど);
抗微生物剤(例えばセファロスポリン(例えばセファゾリンナトリウム、セファラジン、セファクロールセファピリンナトリウムセフチゾキシムナトリウムセフォペラゾンナトリウムセフォテタンジナトリウム、セフトキシムアゾチル、セフォタキシムナトリウムセファドロキシルモノハイドレート、セフタジディム、セファレキシン、セファロシンナトリウム、セファレキシンヒドロクロリドモノハイドレート、セファマンドールナフェート、セフォキチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジディム、セファドロキシル、セファラジン、セフロキシムナトリウムなど)、ペニシリン(例えばアンピシリン、アモキシリンペニシリンGベンザシン、シクラシリンアンピシリンナトリウムペニシリンGカリウムペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウムオキサシリンナトリウム、ベカンピシリンヒドロクロリド、クロキサシリンナトリウム、トリカルシリンジナトリウム、アズロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカインメチシリンナトリウムナフシリンナトリウムなど)、エリスロマイシン(例えばエリスロマイシンエチルスクシネート、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンラクトビオネート、エリスロマイシンシエアレート、エリスロマイシンエチルスクシネートなど)、テトラサイクリン(例えばテトラサイクリンヒドロクロライド、ドキシサイクリンハイクレートミノサイクリンヒドロクロリドなど)、など);

0085

抗感染剤(例えばGMCSF);
気管支拡張剤(例えば交感神経興奮剤(例えばエピネフリンヒドロクロリド、メタプロテレノールサルフェート、テルブタリンサルフェート、イソエタリン、イソエタリンメシレート、イソエタリンヒドロクロリド、アルブテロールサルフェート、アルブテロール、ビトルテロール、メシレートイソプロテレノールヒドロクロリド、テルブタリンサルフェート、エピネフリンビタルタレート、メタプロテレノールサルフェート、エピネフリン、エピネフリンビタルタレート)、抗コリン作用剤(例えばイプラトロピウムブロマイド)、キサンチン(例えばアミノフィリンジフィリン、メタプロテレノールサルフェートアミノフィリン)、マスト細胞安定剤(例えばクロモリンナトリウム)、吸入用コルチコステロイド(例えばフルリソデベクロメタゾンジプロピオネートベクロメタゾンジプロピオネートモノハイドレート)、サルブタモール、ベクロメタゾンジプロピオネート(BDP)、イプラトロピウムブロマイド、ブデソニド、ケトティフェン、サルメテロールキナホエート、テルブタリンサルフェート、トリアムシノロンテオフィリン、ネドクロミルナトリウム、メタプロテレノールサルフェート、アルブテロール、フルニソリドなど);

0086

ホルモン(例えばアンドロゲン(例えばダナゾールテストステロンサイピオネート、フルオキシメステロン、テストステロンサイピオネート)、エストロゲン(例えばエストラジオールエストロパイペート、コンジュゲイテッドエストロゲン)、プロゲスチン(例えばメトキシプロゲステロンアセテート、ノルエシンドロンアセテート)、コルチコステロイド(例えばトリアシノロン、ベータメタソン、ベータメタソンナトリウムホスフェート、デキサメタソン、デキサメタソンナトリウムホスフェート、デキサメタソンアセテート、プレドニソン、メチルプレドニソロンアセテート懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニソロン、プレドニソロンナトリウムホスフェートメチルプレドニソロンナトリウムスクシネート、ヒドロコーチゾンナトリウムスクシネート、メチルプレドニソロンナトリウムスクシネート、トリアムシノロンヘキサカトナイド、ヒドロコーチゾン、ヒドロコーチゾンサイピオネート、プレドニソロン、フルオロコーチゾンアセテート、パラメタゾンアセテート、プレドニソロンテブレート、プレドニソロンアセテート、プレドニソロンナトリウムホスフェート、ヒドロコーチゾンナトリウムスクシネートなど)、甲状腺ホルモン(例えばレボチロキシンナトリウム)など)、など

0087

低血糖症剤(例えばヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリングリブリドクロルプロパミドグリピジドトルブタミドトラザミドなど);
ヒポリピデミック剤(hypolipidemic agent)(例えばクロフィブレート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコールロバスタチンニアシンなど);
タンパク質(例えばDNアーゼアルギナーゼスーパーオキシドジスムターゼリパーゼなど);

0088

核酸(例えば本記載のすべてのタンパク質を含めて治療上有用な任意のタンパク質をコードするセンス核酸またはアンチセンス核酸など);
赤血球造血刺戟に有用な物質(例えばエリトロポイエチン);
抗潰瘍剤/抗リフラックス剤(例えばファモチジン、シメチジン、ラニチジンヒドロクロリドなど);
抗悪心剤(antinauseants)/制吐剤(例えばマクリジンヒドロクロリド、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネートプロメタジンヒドロクロリド、チエチルペラジンスコポラミンなど);
油溶性ビタミン(例えばビタミンA,D,E,Kなど);そして
ミトタン、ビサジン、ハロニトロソ尿素アントロサイクリンエリプチシンなどのような他の薬物。

0089

本発明を実施するのに使用することが企図される診断薬には、超音波造影剤放射性造影剤(例えばヨードオクタンハロカーボンレノグラフィンなど)、磁気造影剤(例えばフルオロカーボン、脂質に可溶な常磁性化合物など)、そしてまた診断薬の水に実質的に不溶である性質を適応させるために物理的なおよび(または)化学的な修飾を行なうことなく容易に投与されることのできる他の診断薬が含まれる。

0090

本発明を実施するのに使用することが企図される栄養上の価値のある物質の例には、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物脂溶性ビタミン(例えばビタミンA,D,E,Kなど)、脂肪またはこれらの二つ以上の組み合わせがある。

0091

A.高剪断ホモジェニゼーションを用いるナノ粒子の形成
本発明のポリマーシェル中に含まれる薬理学的活性剤と先行技術のタンパク質微細球との重要な差異は、粒子の形成法の本質および粒子形成後のタンパク質の最終的状態、そして水溶性が劣悪であるまたは実質的に水不溶性である物質を坦持する、粒子の能力である。本発明に従う場合、ポリマー(例えばタンパク質)は、高圧ホモジェナイザー内で高剪断条件下に曝される結果、架橋されることができる。必要ならスルフヒドリル基またはジサルファイド基を有する(例えばアルブミン)バイオコンパチブルポリマー中に、溶解したまたは懸濁した薬理学的活性剤を含有する分散剤を分散するために高剪断が採用され、これによって非水性媒体微細な液滴のまわりに架橋ポリマーシェルが形成される。高剪断条件は液体中にキャビテーションを生じ、これによって極めて強力な局部的加熱惹起されまた、例えば、新たにジサルファイド架橋結合を生成するようにスルフヒドリル残基を酸化することにより(そして(あるいは)現存するジサルファイド結合をこわすことにより)、ポリマーを架橋できるスーパーオキシドイオンが生成されるに至る。

0092

本発明とは対照的に、グルタルアルデヒドの架橋を行う先行技術の方法は非特異的であり、またタンパク質構造内にある何らかの親核性基と実質的に反応を行える(例えばアミン、そしてヒドロキシル)。先行技術が教示するように、熱的変性によってタンパク質構造は顕著にまた不可逆的に変化する。対照的に本発明によって企図されるジサルファイドの形成では、タンパク質は実質的に変性しない。さらにシェル内に含まれている、水に実質的に不溶の薬理学的活性剤の粒子は、本発明の方法によって形成されるポリマーシェルが、コーティングされた粒子の直径に比べて比較的薄いので、先行技術の架橋されたまたは熱で変性されたタンパク質微細球とは異なる。ポリマーコーティングの「シェルの厚さ」は、直径が1ミクロン(1000ナノメータ)であるコーティングされた粒子の場合約25ナノメータであることがわかった(透過電子顕微鏡による)。対照的に、先行技術の微細球にはタンパク質シェルはなく、微細球の体積にわたって微細球が分散されている。

0093

従って本発明による時、薬理学的活性剤は好適な溶媒(例えばクロロホルムメチレンクロライドエチルアセテート、エタノール、テトラヒドロフランジオキサンブタノールブチルアセテートアセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシドジメチルホルムアミドメチルピロリドンなど、そしてこれらの任意の二つ以上の混合物)中に溶解される。本発明を実施するのに企図する追加的な溶媒には、大豆油ココナッツ油オリーブ油紅花油、綿実油ゴマ油オレンジ油リモネン油、C1〜C20アルコール、C2〜C20エステル、C3〜C20ケトン、ポリエチレングリコール、脂肪族炭化水素芳香族炭化水素ハロゲン化炭化水素およびこれらの組み合わせがある。

0094

ナノ粒子を形成するための慣用的方法とは異なって、ポリマー(例えばポリ乳酸)は溶媒中に溶解されない。本発明の組成物を製造するのに使用する油相は溶媒中に溶解された薬理学的活性剤のみを典型的に含有する。
安定なナノ液滴を形成するための安定化剤として作用させるためにタンパク質(例えばヒト血清アルブミン)が次に添加される。タンパク質は約0.05〜25%(重量/体積)、一層望ましくは約0.5〜5%(重量/体積)の範囲の濃度で添加される。ナノ粒子を形成するための慣用的な方法とは異なって、混合物に界面活性剤(例えばナトリウムラウリルサルフェート、レシチントゥイーン(Tween)80、プルロニック(pluronic)F−68など)は添加されない。
次に、高い圧および大きな剪断力の下でのホモジェニゼーションによってエマルジョンが形成される。このようなホモジェニゼーションは約3000psiから60,000psiまでの範囲にある圧力で典型的に運転される高圧ホモジェナイザー中で実施される。このような方法は約6,000psiから40,000psiまでの範囲の圧力で実施される。得られるエマルジョンは非水性溶媒(薬理学的活性剤を溶解して含む)の極めて小さいナノ液滴とタンパク質安定化剤の極めて小さいナノ液滴とを含む。

0095

許容されるホモジェニゼーションの方法には、高圧ホモジェニゼーション、高剪断混合機、超音波処理、高剪断インペラーなどのように高剪断とキャビテーションを生じる方法がある。
最後に溶媒が蒸発されて、薬理学的活性剤のタンパク質でコーティングされたナノ粒子とタンパク質とからなるコロイド系が生成される。許容される蒸発方法は、回転蒸発器、落下膜蒸発器噴霧乾燥機凍結乾燥機などの使用を含む。限外濾過もまた溶媒を除去するのに用いられてよい。

0096

溶媒の濾過に引続いて、薬理学的活性剤とタンパク質とを含有する粉末を得るために液状懸濁液が乾燥されることができる。得られる粉末は、生理食塩水、緩衝された生理食塩水、水、緩衝された水性媒体、アミノ酸の溶液、ビタミンの溶液、炭水化物の溶液などそしてまたこれらの二つ以上を組み合わせたもののような適当な水性媒体中に好都合な任意の時に再分散されて、哺乳動物に投与されることのできる懸濁液を得ることができる。この粉末を得るために考えられる方法には、凍結乾燥、噴霧乾燥などがある。
本発明の別な一態様に従うと、異常に小さいサブミクロン粒子(ナノ粒子)つまり直径が200ナノメートルより小さい粒子を形成するための別法が提供される。このような粒子は液状懸濁液の形で使用するのに先立って無菌濾過されることができる。本発明の処方法の最終生成物(すなわち薬物粒子)が無菌濾過され得ることは、オートクレーブ処理のような慣用的な手段によって、タンパク質(例えば血清アルブミン)を高濃度で含有する分散液を殺菌することは不可能であるので、著るしく重要である。

0097

無菌濾過可能な粒子(すなわち、200nmより小さい粒子)を得るために、薬理学的活性剤は、水と実質的に混合しない有機溶媒(例えばクロロホルムのように水中の溶解度が約5%より小さい溶媒)中に高濃度でまず溶解され、これによって薬理学的活性剤を含有する油相が生成される。好適な溶媒は上記に示されている。ナノ粒子を形成するための慣用的な方法とは異なり、ポリマー(例えばポリ乳酸)は溶媒中に溶解されない。本発明の方法で使用される油相は溶媒中に溶解された薬理学的活性剤だけを含有する。
次に水と混合可能な有機溶媒(例としては、例えばエタノールのように水中の溶解度が約10%より大きい溶媒)が、全有機相の約1〜99体積/体積%、望ましくは約5〜25体積/体積%の範囲の最終濃度となるように油相に添加される。水混合性有機溶媒は、エチルアセテート、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ブタノール、アセトン、プロピレングリコールグリセロール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリジノンなどのような溶媒から選択できる。あるいは別に、水混合性溶媒との水不混合性溶媒の混合物が先ずつくられ、続いてこの混合物に薬理学的活性剤が溶解される。

0098

次に、ヒト血清アルブミンまたは上記したような好適な他の任意の安定化剤が水性媒体中に溶解される。この成分は安定なナノ液滴を形成するための安定化剤として働く。必要ならば、十分な量の第1の有機溶媒(例えばクロロホルム)が、これが飽和濃度近接するように水性相中に溶解される。計量された別個な有機相(この時、薬理学的活性剤、第1の有機溶媒および第2の有機溶媒を含む)が飽和水性相に添加され、有機相の相分率を0.5〜15体積/体積%、望ましくは1〜8体積/体積%とする。
次に、ミクロ液滴とナノ液滴とからなる混合物が小さな剪断力でのホモジェニゼーションによって形成される。これは、当技術に熟達する者によって容易に知られるように、約2,000rpmから約15,000rpmまでの範囲で運転される慣用実験室用ホモジェナイザーを例えば使用することにより様々な方法で実施されることができる。この後、高圧(つまり約3,000psiから60,000psiまでの範囲)下のホモジェニゼーションが行なわれる。得られる混合物は、タンパク質水溶液(例えばヒト血清アルブミン)、水不溶性の薬理学的活性剤、第1の溶媒および第2の溶媒からなる。最後に、真空下で溶媒が急速に蒸発されて、無菌濾過されることのできる極度に小さいナノ粒子(つまり約10nm〜200nmの直径を有する)の形のコロイド分散系(薬理学的活性剤およびタンパク質)が生成される。粒子の好ましい寸法範囲は処方物および使用上のパラメータに応じて約50nm〜170nmの間にある。

0099

本発明に従ってつくられるコロイド系は、これから水を除去することにより、例えば、適当な温度−時間プロフィルで凍結乾燥または噴霧乾燥することによって、粉末へとさらに転換される。タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)そのものは凍結防止剤またはリオプロテクタント(lyoprotectant)として作用し、またこの粉末は、マンニトール蔗糖グリシンなどのような慣用の凍結防止剤の使用を必要とせずに、水、生理食塩水または緩衝液を添加することに容易に再構成される。必要ではないまでも、所望するなら本発明の処方物に慣用の凍結防止剤が添加されてよいことを勿論理解せねばならない。
薬理学的活性剤のコロイド系は、比較的小さい体積で大きな用量の薬理学的活性剤を投与することを可能にする。これによって、大きな容積の液体を受けいれる時の患者の不快感が最小化されまた病院での滞在が最短になる。加えて、ポリマーシェルまたはコーティングの壁は、一般にタンパク分解酵素により生体内で完全に分解されることができ(例えばポリマーがタンパク質である時)、投与システムに由来する副作用は実質的になく、これは従来の処方物によってもたらされる顕著な副作用とは鋭い対照をなす。

0100

水に実質的に不溶な薬理学的活性を包囲するポリマーシェルを形成するために本発明を実施する際には、多くのバイオコンパチブルポリマーが使用されてよい。構造内にスルフヒドリル基またはジサルファイド結合を必要なら有する天然のまたは合成的な実質的に任意のポリマーが、水に実質的に不溶な薬理学的活性剤の粒子のまわりに、ジサルファイドが架橋したシェルをつくるために利用されてよい。スルフヒドリル基またはジサルファイド結合はポリマー構造内に前以って存在してよくあるいは適当な化学的修飾によって導入されてよい。例としては、タンパク質、ペプチドポリ核酸多糖類(例えば澱粉セルロースデキストランアルギネートキトサンペクチンヒアルロン酸など)、プロテオグリカンリポタンパクなどのような天然のポリマーがこのような変性のために挙げられる。

0101

本発明に従って安定化剤として使用することが考えられるタンパク質にはアルブミン(システイン残基を35個含む)、免疫グロブリンカゼインインシュリンシステインを6個含む)、ヘモグロビン(a2β2単位あたりシステインを6個含む)、リゾチーム(システインを8個含む)、免疫グロブリン、α−2−マクログロブリンフィブロネクチン、ヒドロネクチンフィブリノーゲン、リパーゼなどがある。タンパク質、ペプチド、酵素、抗体およびこれらの組み合わせが本発明での使用が企図される安定化剤の一般的な種類である。

0102

安定化剤として使用するのに現在好ましいタンパク質はアルブミンである。水に実質的に不溶の薬理学的活性剤のシェル内に包封された粒子のマクロファージ様の細胞による取り込みを助長するため、あるいは肝臓および脾臓内へのシェル内に包封された粒子の取り込みを助長するために、既知のオプソニンであるアルファ−2−マクログロブリンのようなタンパク質が望むなら使用できるであろう。特定の位置にナノ粒子を向かわせるために特定の抗体も利用できる。バイオロジック(biologic)を所望の場所に向かわせることを容易にするであろう抗体または酵素のような他の機能性タンパク質も安定化タンパク質の成分として使用できる。

0103

同様に合成ポリマーもまた、ポリマーシェルを有する粒子を形成するための良い候補である。さらにポリアルキレングリコール(例えば線状鎖または分枝状鎖)、ポリビニルアルコールポリアクリレートポリヒドロキシエチルメタクリレートポリアクリル酸ポリエチルオキサゾリンポリアクリルアミドポリイソプロピルアクリルアミドポリビニルピロリドン、ポリラクチド/グリコリドなどおよびこれらの組み合わせもまた本発明の処方物中のバイオコンパチブルポリマーとしての良い候補である。

0104

同様に合成ポリペプチドもまた水に実質的に不溶な薬理学的活性剤のための安定化剤としての良い候補である。さらに、本発明の実施のために使用することが企図されるのは、システイン残基および(または)ジサルファイド基を含む合成ポリアミノ酸遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されているポリビニルアルコール;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリヒドロキシエチルメタクリレート;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリアクリル酸;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリエチルオキサゾリン;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリアクリルアミド;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリビニルピロリドン;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリアルキレングリコール;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリラクチド、ポリグリコリドポリカプロラクトンまたはこれらのコポリマー;そしてまた以上のもののいずれか二つ以上の混合物のような物質である。

0105

本発明の組成物を製造する際、水に実質的に不溶な薬理学的活性剤を懸濁または溶解するために種々の有機媒体が使用できる。本発明を実施するのに企図される有機媒体には、薬理学的活性剤を懸濁または溶解することができ、シェルをつくるのに使用されるポリマーまたは薬理学的活性剤そのものと化学的に反応しない任意の非水性液体が含まれる。例としては、植物油(例えば大豆油、オリーブ油など)、ココナツ油、紅花油、綿実油、ゴマ油、オレンジ油、リモネン油、炭素原子を4〜30個もつ脂肪族、環式脂肪族または芳香族炭化水素(例えばn−ドデカン、n−デカンn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなど)、炭素原子を2〜30個もつ脂肪族または芳香族のアルコール(例えばオクタノールなど)、炭素原子を2〜30個をもつ脂肪族または芳香族のエステル(例えばエチルカプリレートオクタノエート)など)、炭素原子を2〜30もつアルキルアリールまたは環式エーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、炭素原子を1〜30個もつ(そして場合によっては一つより多くのハロゲン置換基をもつ)アルキルまたはアリールハロゲン化物(例えばCH3Cl,CH2Cl2,CH2−CH2など)、炭素原子を3〜30個もつケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトンなど)、ポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコールなど)、あるいはこれらの任意の二つ以上の組み合わせがある。

0106

本発明を実施するのに使用することが考えられる有機媒体の特に好ましい組み合わせは約200℃以下の沸点を有し、またジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、ベンゼン、エタノール、ブタノール、ブチルアセテートなど(つまり、薬理学的活性剤に対する溶解度が大きくまた使用する別な有機媒体中に可溶である溶媒)のような揮発性液体を分子量がより大きい(揮発性のより低い)有機媒体とともに含む。別な有機媒体に添加されるとき、これらの揮発性添加剤は薬理学的活性剤の有機媒体中への溶解を増大させるのに役立つ。このことは、通常、この段間には時間を要するので好ましい。溶解に続いて、揮発性成分は蒸発(必要なら真空下での)によって除去されてよい。
上記のようにつくられる、ポリマーシェルと連関する薬理学的活性剤の粒子はバイオコンパチブルな水性液体中の懸濁液として投与される。この液体は水、生理食塩水、適当な緩衝剤を含有する溶液、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、ビタミンまたは脂肪のような栄養物質を含有する溶液などから選択されてよい。

0107

これらのバイオコンパチブル物質は、拡散および(または)基質の分解によって薬理学的活性剤、例えばパクリタキセルが放出される基質を供与するようにいくつかの物理的形態、例えばゲル(架橋されているあるいは架橋されていない)で使用されてもよい。本発明の処方物のための分散用基質として感熱性物質もまた利用されてよい。従って例えばカプキソール(登録商標)が、腫瘍の個所でゲル化しそしてカプキソール(登録商標)をゆっくりと放出する感熱性物質(例えばポリアクリルアミドのコポリマーあるいはポリアルキレングリコールのコポリマーおよびポリアクチド/グリコリド)の液状処方物中に注入されてよい。カプキソール(登録商標)処方物はパクリタキセルを制御しつつ放出する処方物を与えるように上記したバイオコンパチブルポリマーの基質中に分散されてよく、この処方物はカプキソール(登録商標)処方物(パクリタキセルと結びつけられたアルブミン)の特性によって下記に述べるように脳組織に対するより低い毒性および全身に対するより低い毒性が得られる。カプキソール(登録商標)またはこれと同様に処方される化学療法剤とバイオコンパチブルポリマー基質とのこの組み合わせは、脳および腹膜での固形腫瘍卵巣ガン)を治療するために、そして他の固形腫瘍に対して局所的に適用する際に、化学療法剤を制御しつつ局所的に放出するのに有用であろう。これらの組み合わされた処方物はパクリタキセルを使用することだけに限定されず、また抗感染剤、免疫抑制剤、他の化学療法剤などを含めて広汎な種類の薬理学的活性のある成分とともに利用されてよい。

0108

本記載のようにつくられる、ポリマー安定化剤中に実質的に完全に含められているあるいはこれと結びつけられているコロイド状粒子は単独にあるいは望むならバイオコンパチブル媒体中の懸濁液として投与される。この媒体は水、緩衝された水性媒体、生理食塩水、緩衝生理食塩水、望むなら緩衝されたアミノ酸溶液、望むなら緩衝されたタンパク溶液、望むなら緩衝された糖溶液、望むなら緩衝された炭水化物溶液、望むなら緩衝されたビタミン溶液、望むなら緩衝された合成ポリマー溶液、脂質を含有するエマルジョンなどから選択されてよい。

0109

さらにコロイド状粒子は望むなら好適な物質によって変性されることができ、この場合この物質は望むなら共有結合によってポリマー層に結びついている。このような結合として考えられる共有結合には、エステル、エーテル、ウレタンジエステルアミド第二アミンまたは第三アミンホスフェートエステル、サルフェートエステルなどがある。ポリマーシェルを望むならこのように変性するために考えられる好適な物質には、合成ポリマー(ポリアルキレングリコール(例えば線状あるいは分枝鎖のポリエチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなど)、燐脂質(ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、スフィンゴミエリンなどのような)、タンパク質(酵素、抗体などのような)、多糖類(澱粉、セルロース、デキストラン、アルギネート、キトサン、ペクチン、ヒアルロン酸などのような)、化学的変性剤ピリドキサル5′−ホスフェート、ピリドキサルの誘導体、ジアルデヒド、ジアスピリンエステルなどのような)、あるいはこれらの二つ以上の任意の組み合わせがある。

0110

安定化されたコロイド状粒子についての一般的なテーマに関して変更を行うことができる。バイオコンパチブル分散剤中薬理学的物質微細粒子の懸濁液は、分散剤で懸濁されたバイオロジックの粒子を含むポリマーシェルをつくるために(溶解されたバイオロジックを含有するバイオコンパチブル分散剤の代りに)使用できよう。換言するとポリマーシェルは分散剤中のバイオロジックの飽和溶液を含んでよいであろう。別な変形は、揮発性有機溶媒(例えばベンゼン)中にバイオロジックをまず溶解し、ポリマーシェルを形成しそして揮発性溶媒を真空下で、例えば蒸発器、噴霧乾燥機内で蒸発し、あるいは懸濁液全体を凍結乾燥することにより形成されるバイオロジックの固体のコアを含むポリマーシェルである。これによってポリマーコーティングによって包囲されたバイオロジックの固体のコアを有する構造が得られる。この後者の方法は比較的小さい体積で大きな用量を投与するのに特に有利である。ある場合には、コアのまわりにシェルを形成するバイオコンパチブル物質はそれ自体が治療剤または診断剤であり、例えばインスリンの場合は、それが、上記した方法で形成されたポリマーシェルの一部として投与されてよい。別な場合、シェルを形成するポリマーは、例えば、標的に向けるために使用される抗体の場合あるいはヘモグロビンの場合、バイオロジックを投与する際に一緒にかかわってよく、ヘモグロビンは上記した超音波照射法で形成されるポリマーシェルの一部として投与されてよく、これによって酸素に対する結合能力が大きい血液代用物が提供される。

0111

技術上熟達する者なら、本発明のこの面に関する範囲および趣意のうちでいくつかの改変が可能であることを認めるであろう。ポリマーシェル中の有機媒体は変更されてよく、広汎な種類の薬理学的活性剤が利用されてよくまた広い範囲のタンパク質そしてまた天然のおよび合成的なポリマーがポリマーシェルの壁を形成する際に使用されてよい。薬物、診断剤(画像化への応用での)、人工血液および腸管外栄養物質の投与のような生医学的応用以外に、本発明のポリマーシェル構造物は、スキンクリームまたはヘアケア製品のような化粧品塗布物中に、香料塗布物中に、感圧インキ中などに含められてよい。
本発明のこの面について、以下の限定的ではない実施例を参照しつつ以下に一層詳細に述べる。

0112

例 1
高圧均質化によるナノ粒子(nanoparticle)の製造
パクリタキセル(paclitaxel)30mgを3.0mlの塩化メチレンに溶かした。この溶液をヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)27.0mlへ加えた。粗製エマルションをつくるため混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザーモデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも五回再循環させて乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器に移し、塩化メチレンを減圧(30mmHg)で20−30分間40℃で迅速に除いた。得られた分散系半透明であり、生じたパクリタキセル粒子の典型的な直径は160−220nmであった(Z−平均、Malvern Zetasizer)。凍結防止剤をなんら添加することなく分散系を48時間更に凍結乾燥した。この結果生じたケーキは滅菌水または食塩水の添加により、容易に元の分散液に戻すことができた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。

0113

例 2
通常の界面活性剤とタンパク質の使用は大型結晶の形成を起こす
下記の例は、従来の溶媒蒸発法で使用される界面活性剤添加の効果を実証するものである。例1で述べた方法と同様の手順を用いて一連実験を行なうが、Tween 80といった界面活性剤(1%から10%)を有機溶媒へ加える。塩化メチレン除去後、光学顕微鏡により、また偏光下で見たとき、1−2ミクロンの平均粒径をもつ多数のパクリタキセル結晶が得られることが分かった。これら結晶は2,3時間以内に成長して非常に大きい針様結晶を形成し、これは約5−15ミクロンの範囲内の大きさを有した。他の常用界面活性剤、例えば Pluronic F−68,Pluronic F−127,Cremophor ELおよびBrij 58、を用いても同様な現象が観察された。

0114

これらの結果から、通常の界面活性剤をアルブミンのようなタンパク質と併用する従来の溶媒蒸発法は、極性溶媒(例えば、塩化メチレン)を使用しても、重合体の芯無しにはミクロン以下の薬物粒子(例えば、パクリタキセル)の形成に適さないと結論できる。

0115

例 3
通常の界面活性剤の単独使用は大型結晶の形成を起こす
本例は、重合体芯材料無しに通常の界面活性剤を用いても、極性水非混和性溶媒(例えば、クロロホルム)に可溶の薬理活性薬剤でナノ粒子をつくることは不可能なことを実証するものである。
タキソール30mgをクロロホルム0.55mlとエタノール0.05mlに溶かした。この溶液をクロロホルム1%で前飽和させた Tween 80溶液(1% w/v)29.4mlへ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器に移し、クロロホルムを40℃で減圧(30mmHg)において15−30分迅速に除去した。生じた分散系は不透明であり、薬物の大きい針様結晶を含んでいた。結晶の初期の寸法(偏光によっても観察)は0.7−5ミクロンであった。分散系を室温で数時間貯蔵すると結晶の寸法は更に増加し、最後には沈殿を生成した。

0116

例 4
200nm未満の無菌濾過できるナノ粒子の調製
本例は、無菌濾過の可能な薬物粒子を得ることのできる方法を説明する。このようにして、30mgのタキソールをクロロホルム0.55mlとエタノール0.05mlに溶かした。この溶液を、1%のクロロホルムで前飽和させたヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)29.4mlへ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器へ移し、クロロホルムを40℃で、減圧(30mmHg)において15−30分迅速に除いた。生じた分散系は半透明であり、得られた粒子の典型的な直径は140−160nm(Z−平均、Malvern Zeta Sizer)であった。この分散系を0.22ミクロン濾過器(Millipore)に通して濾過したが、濁り度、あるいは粒径に有意な変化がなかった。タキソール含量のHPLC分析は、タキソールの97%より多くが濾過後に回収されたことを示し、従って無菌タキソール分散系が得られたことになる。
この無菌分散系を凍結防止剤の添加無しに更に48時間凍結乾燥した。得られたケーキは無菌水または食塩水の添加により元の分散系に容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。

0117

例 5
200nm未満の無菌濾過できるナノ粒子の調製
本例は無菌濾過の可能な薬物粒子を得ることのできる方法を説明する。従って、225mgのタキソールをクロロホルム2.7mlとエタノール0.3mlに溶かした。この溶液を97mlのヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器に移し、40℃で、減圧(30mmHg)において、15−30分クロロホルムを迅速に除去した。生じた分散系は半透明であり、得られた粒子の典型的な直径は140−160nm(Z−平均、Malvern Zeta Sizer)であった。この分散系を0.22ミクロン濾過器(Sartorius, sartobran 300)に通して濾過しても濁り度あるいは粒径に有意な変化がなかった。タキソール含量のHPLC分析は、用いた条件により、濾過後70−100%のタキソールを回収できたことを典型的に示した。このようにして、無菌タキソール分散系が得られた。

0118

無菌分散系を無菌ガラスびん中に無菌的に詰め、凍結防止剤を加えずに凍結乾燥した。得られたケーキは、無菌水または食塩水の添加により最初の分散系に容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。

0119

例 8
モデル薬物のナノ粒子形成
イソレセルピン(モデル薬物)30mgを3.0mlの塩化メチレンに溶かした。この溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも五回再循環させながら、9000−18,000psiで乳化を行なった。生じた系を回転蒸発器へ移し、40℃で、減圧(30mmHg)において20−30分塩化メチレンを迅速に除いた。得られた分散系は半透明であり、生じた粒子の典型的な直径は120−140nmであった(Z−平均、Malvern Zetasizer)。分散系を0.22ミクロン濾過器(Millipore)に通して濾過した。

0120

この無菌分散系を、凍結防止剤を加えずに、更に48時間凍結乾燥した。生じたケーキは無菌水または食塩水の添加によりもとの分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。

0121

例 9
モデル薬物を用いる極小粒子の形成
粒径縮小に及ぼすエタノール添加の効果をイソレセルピンについて実証した。このようにして、イソレセルピン30mgを塩化メチレン2.7mlおよびエタノール0.3mlに溶かした。この溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも5回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。得られた系を回転蒸発器へ移し、40℃で、減圧(30mmHg)において、20−30分塩化メチレンを迅速に除去した。生じた分散系は半透明で、生じた粒子の典型的な直径は90−110nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)であった。この分散系を0.22ミクロン濾過器(Millipore)に通して濾過した。

0122

この無菌分散系を、凍結防止剤の添加なしで更に48時間凍結乾燥した。生じたケーキは無菌水または食塩水の添加によりもとの分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。

0123

例10
薬物で過飽和とした水混和性溶媒単独の使用、本発明方法に対して不適当
タキソールパクリタキセル30mgを0.6mlのエタノールに分散させた。この濃度(50mg/ml)においては、タキソールパクリタキセルは完全には溶解せず、過飽和分散液を生ずる。この分散系を29.4mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製分散系をつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。得られた系を回転蒸発器へ移し、エタノールを40℃で、減圧(30mmHg)において、15−30分迅速に除去した。生じた分散系の粒径はきわめて幅広く、約250nmから数ミクロンまでに及んだ。

0124

顕微鏡下の観察は、タキソールパクリタキセルの大きい粒子と典型的な針状結晶の存在を示した。これら粒子は静脈注射に対して大き過ぎた。この実験は、水に自由に混和しうるエタノールのような溶媒を本発明方法に用いると、非常に幅広い粒径分布をもつ大きい粒子の生成を起こし、それ自体単独では本発明方法に使用できないことを実証している。従って、本発明方法は、薬物成分の溶解あるいは分散に単独で使用する場合に、水と混和しうる溶媒の使用を明確に排除する。本発明方法は、このような溶媒を使用しなければならないときは、本発明ナノ粒子の製造を可能ならしめるために、本質的に水と混和しない溶媒と混合しなければならないことを要求する。

0125

例12
X線粉末回折によるナノ粒子形のパクリタキセルの物理的状態の決定
パクリタキセル粗製物質は、種々な大きさ、典型的には5−500ミクロン、の針状結晶として普通存在する。静脈注射用の薬物製剤中に結晶が存在すると、もしそれが数ミクロン以上の大きさで存在するなら、毛細血管をふさぐ可能性があるので明らかに有害である。その上、薬物結晶の溶解性は、一般に無定形薬物の溶解性より低いので、静脈内投与後の薬物のバイオアベイラビリティを低下させる。製剤中の薬物含有量を増すにつれて、結晶化の傾向も増加することも公知である。従って、製剤は薬物を本質的に無定形の状態で含むのが有利である。
X線粉末回折法を用いることにより、凍結乾燥された粉末製剤中のパクリタキセルの結晶または非結晶性状を測定した。次の試料を分析した:試料1−パクリタキセル粉末;試料2−凍結乾燥した血清アルブミン;試料3−パクリタキセルとアルブミンとの物理的混合物;および試料4−製剤化されたパクリタキセル。各試料にCuKa放射線加速電圧40KeV/30mA、ステップサイズ0.05°2−シータ、およびデータ取り込み時間2.0秒/ステップを使用して2°から70°2−シータ角からX線を当てた。試料1は結晶性試料の典型である強いピークを示した。最も強いパクリタキセルピークは5.1°2−シータに位置した。試料2は無定形材料の典型である幅広い突出部を示した。試料3は殆ど大部分試料2の幅広い突出部を示したが、それに加えて、5.1°2シータのところにパクリタキセルのピークが見られた。試料4、即ち製剤化されたパクリタキセル、はパクリタキセルの結晶質の特徴の証拠を示さず、試料2と同一に見え、このことは製剤化された試料中に実質的に無定形な薬理活性薬剤が存在することを示している。

0126

本発明方法に従って製造されたナノ粒子の無定形性は、ナノ粒子を製造するためにこの分野で述べられた他の方法によりつくられた製品と直接対比を示す。例えば、米国特許第5,145,684号(Liversidge 等)に記載された、またLiversidge-Merisko 等、pharmacentical Research, 13(2):272−278(1996)に記載された粉砕技術の使用は実質的に結晶性の製品を生ずる。

0127

例13
高圧均質化によるシクロスポリン(カプソリン、静脈内)のナノ粒子の製造
シクロスポリン30mgを塩化メチレン3.0mlに溶かした。次にこの溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、この混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザーモデル:Tempest I.Q.)で5分均質化し、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも5回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。得られた系を Rotavap に移し、塩化メチレンを40℃で、減圧(30mmHg)において、20−30分迅速に除去した。生じた分散系は半透明であり、得られた粒子の典型的な直径は160−220nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)であった。

0128

この分散系を、凍結防止剤の添加なしで、48時間更に凍結乾燥した。得られたケーキは無菌水または食塩水の添加によりもとの分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。

0129

例14
高圧均質化によるシクロスポリン(カプソリン経口用)のナノ小滴の製造
シクロスポリン30mgを3.0mlの適当な油(オレンジ油10%を含む胡麻油)に溶かした。次に溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% v/w)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPM(Vitrisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)で5分均質化し、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも5回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。生じた分散系は160−220nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)の典型的な直径を有した。
この分散系は直接使用できるが、あるいは適当な凍結防止剤を任意に加えることにより、48時間凍結乾燥することもできる。生じたケーキは無菌水または食塩水の添加により、もとの分散系へ容易に再構成できた。

0130

B.超音波を用いるナノ粒子の形成
高せん断ホモジネーションの使用と同様に、水不溶性の生理学的活性剤の蛋白質被覆ナノ粒子の形成のための超音波使用は、分子内ジスルフィド結合の形成を介して蛋白質を架橋することによって作用すると信じられる。前記した高せん断ホモジネーション技術による先行技術を上回る多くの利点が、以下に記載する超音波方法にも同様に適用される。
超音波方法に使用される有機溶媒、蛋白質および非蛋白質ポリマーに関しては、高せん断ホモジネーションに関して前記したそれらの組成が参照される。同じ組成の全てが、両者の方法に同様に働くと期待される。
本発明のこの点は、以下の非限定例を参照して更に詳細に記載される。

0131

例15
抗喘息薬吸入薬のための製剤
抗喘息医薬品は、乾燥粉末吸入器(DPI)に有効な製剤をつくるため、ミクロ粒子技術を用いて製造されて来た。ステロイド系薬物(例えば、ベクロメタソン、ベクロメタソンニプロピオネート、ブデソニド、デキサメタソン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニドなど)から出発して、呼吸器への効果的な送り込みを確保するために適した粒径と放出特性を有する乾燥製剤がつくられた。
この製剤は、溶媒に溶かした活性薬物をタンパク質水溶液中に分散させてナノ粒子のエマルションをつくるという超音波処理技術、または均質化を用いてつくられる。次にこのエマルションを蒸発させて溶媒を除き、溶液のタンパク質で被覆された活性薬物を残す。コロイド薬物粒子を含むこの液体試料を Malvern Zetasizer により測定し、260nmのZ−平均粒径を得た。特に適当な具体例においては、これらコロイド粒子の粒径の範囲は約50−1,000nmであり、一層好ましくは約70−400nmである。

0132

この液体形には他の付形薬を溶かすことができる。このような付形薬の例として(しかし、これに制限されない)、マンニトール0.5−15%、ラクトース0.1−5%、およびマルトデキストリンが挙げられる。この段階で得られる活性薬物、タンパク質、および付形薬の溶液は、噴霧乾燥するか、あるいは凍結乾燥し、粉砕して乾燥粉末とする。噴霧乾燥後の乾燥粒径を Malvern Mastersizer で測定しD(v.0.5)約1−10μmを得た。これら粒子に対し特に適当な粒径範囲は0.5−15μmであり、一層好ましい範囲は0.7−8μmである。
次にこの噴霧乾燥粉末付形剤担体粉末と混合する。この場合にも、幾つかの担体、例えばラクトース、トレハロースファルマトース325M、ショ糖、マンニトールなど、が利用できる。担体粉末の粒径は製剤化された薬物粒子のそれよりもかなり大きい(ラクトースに対しては〜63−90μm、ファルマトースに対しては40−100μm)。

0133

乾燥粉末製剤の効力は、Andersen 8段階カスケードインパクターを用いる試験により実証される。インパクター試験の結果は、微細粒子分率FPF)〜60%を示す。これは呼吸器沈着にふさわしい大きさをもつ粒子のきわめて効果的な放出を示す。このFPFは驚く程高く、そして大きい製剤粒子中に薬物のコロイド状ナノ粒子を含む製剤組成の結果である。
この製剤は、DPIによるエーロゾル投与に対する乾燥粉末製剤の処理と構成におけるミクロ粒子および噴霧乾燥技術の適用性を示している。ここに示した高いFPFの結果は、DPI製剤への効率のよいかつ有望な方法を示す。

0134

例16
現在適当とされる製造法の要約:BDSとして1グラムのパクリタキセルから
出発
3%HSA溶液をつくる。25%アルブテイン51.7mlへ注射用の水379.3mlを加える。十分よく混合し、溶液を無菌0.22μm Nalgene使い捨て濾過器に通して濾過する。使用まで4℃に保つ。
パクリタキセル1.0gをガラスびんに秤り取る。CHCl3とエチルアルコールびん中で適当な割合で合わせ、よく混合する。このパクリタキセルへクロロホルム/エチルアルコール混合物13.33mlを加える。かきまぜてすべてのパクリタキセルを溶かす。この溶液を0.22ミクロン無菌テフロンフィルターに通して濾過し、無菌ガラスびん中に集める。

0135

ガラスびん中の溶けパクリタキセル溶液へHSA溶液を加える。Sentry Microprocessorミキサーを用いてパクリタキセル/HSA溶液を混合する。溶液を混合しながら内容物をホモジナイザーのチャンバー中に注ぎ込む。求める粒径が得られるまで、混合物をある圧力でホモジナイザーに循環させる。均質化された試料を無菌の Kontes丸底フラスコに集める。
最終試料を入れたフラスコを回転蒸発器に付ける。回転蒸発器の最大限まで真空で回転させて有機溶媒を蒸発させる。これによりヒトアルブミン中パクリタキセルのコロイド溶液を生ずる。この回転蒸発させた試料の〜3mlを粒径の分析に備えて保存する。

0136

無菌フード下で、無菌0.45/0.2μmフィルターを使用してコロイド溶液を濾過し、無菌の受器に集める。パクリタキセル濃度をHPLCにより分析するために、濾過した試料の〜3mlを保存する。
一びん当りパクリタキセル30mgを得る容器一杯の量(あるいは他の誘導量)を決定する。無菌濾過した試料をオートクレーブにかけた Wheaton 30mlびん中に各びん約17mlまで入れる(検定法に基づく)。びんをオートクレーブにかけた Wheaton血清びんのストッパーで閉じる。各びんは約30mgのパクリタキセルを含むに違いない。

0137

試料をFTSステムストッパーリング(System Stoppering)トレー凍結乾燥機で、所定の凍結乾燥サイクルを用いて凍結乾燥する。試料が凍結乾燥し終ってから、びんに施栓し、びんを20mm Wheatonアルミニウム引剥がしキャップで、その端を曲げることにより封じる。試料に適当にレッテルを貼る。全過程は無菌条件下に清潔な室環境で行なう。
凍結乾燥された試料は、残留溶媒を<1000ppm、更に好ましくは<500ppm、更には<100ppmのレベルで含む。
最終生成物の無菌濾過:溶媒を蒸発により除去した後、フラスコ中のパクリタキセルのコロイド溶液を、コンビネーション0.45/0.2ミクロン滅菌フィルターに通して無菌濾過する。濾過した溶液を無菌ビーカーに集め、30mlのびん中に無菌的に詰める。次にびんを凍結乾燥機に入れる。凍結乾燥サイクルの完了後、びんを乾燥無菌窒素ガス掃気し、窒素気流下で栓をする。

0138

高圧均質化法を利用すると細菌および他の細胞を破って殺し、その内容物を抽出できることは注目に値する。

0139

例17
油を含むタンパク質殻の調製
USP(合衆国薬局方)5%ヒト血清アルブミン溶液(Alpha Therapentic Corporation)3mlを、超音波処理プローブ(Heat Systems、モデルXL2020)に付けることのできる円筒容器に採った。このアルブミン溶液を6.5mlのUSP品等大豆油(soya oil)で重層した。ソニケータープローブのチップをこれら二溶液間境界に配置し、組み立てを20℃の冷却浴中に保持した。系を平衡化させ、ソニケーターを30秒働かせた。激しい混合が起こり、白い乳状懸濁液が得られた。この懸濁液を通常の食塩水で1:5に希釈した。粒子カウンター(Particle Data Systems, Elzone、モデル280PC)を用いて粒径分布と油含有タンパク質殻の濃度を測定した。生じたタンパク質殻は、最大横断面寸法約1.35±0.73ミクロンを有すると測定され、また全濃度は最初の懸濁液中〜109殻/mlであると測定された。

0140

対照としてのタンパク質を含まない上記成分は、超音波照射に当てたとき安定なミクロエマルジョンを形成しなかった。この結果は、タンパク質が微小球の形成に不可欠であることを示している。このことは後述の走査電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡写真の研究により確証された。

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