図面 (/)

技術 高清浄度鋼の製造方法

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 堀俊輔長尾元裕出浦哲史安孫子貴
出願日 2010年3月31日 (10年8ヶ月経過) 出願番号 2010-083674
公開日 2011年10月27日 (9年1ヶ月経過) 公開番号 2011-214084
状態 特許登録済
技術分野 溶融状態での鋼の処理
主要キーワード ガス通気路 通電加熱用電極 静止圧 底部側壁 前半処理 後半処理 添加合金 Fe分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年10月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって精錬を行うに際し、各底吹き用プラグの流量や合計の流量を適正化することによって、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物合計濃度の低い高清浄度鋼を製造することができるようにする。

解決手段

2つの底吹き用プラグ10a、10bを用いて、1回目精錬処理脱ガス処理前半処理、脱ガス処理の後半処理、2回目の精錬処理を行うこととし、各処理におけるガス流量規定範囲内にする。

概要

背景

従来より、転炉にて一次精錬が終了すると、溶鋼取鍋装入されて二次精錬工程に搬送され、二次精錬工程にて成分の調整や介在物の除去などが行われている。この二次精錬工程では、不活性ガスを溶鋼に吹き込んで溶鋼を攪拌しながら高清浄度鋼を製造するのが一般的である。このような高清浄度鋼を製造するための二次精錬を示すものとして特許文献1及び特許文献2に示すものがある。

特許文献1では、転炉又は電気炉から出鋼された溶鋼に対し1回目の二次精錬を行い、該1回目の二次精錬終了後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の二次精錬を行うことで高清浄鋼を製造する高清浄鋼の製造方法において、前記1回目の二次精錬処理では、攪拌動力密度が5〜60W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整すると共に、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、CaO/SiO2≧3.5且つCaO/Al2O3=1.5〜3.5且つT.Fe+MnO≦1.0質量%となるようにスラグ調整を行い、前記脱ガス処理では、当該脱ガス処理の中期までは攪拌動力密度が50〜200W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整し、脱ガス処理の中期以降は攪拌動力密度が140W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整し、前記2回目の二次精錬処理では、攪拌動力密度が25W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整している。

特許文献2では、取鍋の底部に設けた吹込口から内部にガスを吹き込み、内部の溶湯を攪拌して上記溶湯の表面に存在するスラグに溶湯中不純物捕捉させるようにした取鍋精錬装置において、1つの吹込口から吹き込むガスの流量を20〜40NL/分に設定している。また、特許文献1では、取鍋に注入し得る溶湯の重量トン数をW、前記吹込口の個数をNとしたときに、式(N−1)×20<W≦N×20を満足するようにしている。

特許文献2では、不活性ガスを吹き込む吹込口が複数設けられているが、この特許文献3と同じように不活性ガスを複数のプラグ(吹込口)ものとして特許文献3に示すものがある。
特許文献3では、底部にガス吹き込み用のプラグ、上部に取鍋底部側壁と同心円上に3本の通電加熱用電極を備えた精錬用取鍋であって、前記プラグは前記精錬用取鍋の底部を2分割した一方に偏在させて複数配置され、かつ、前記プラグが配置される取鍋底部側壁の内径(D)と該取鍋底部側壁と同心である前記プラグが配置される直径(d)との関係がd/D=0.50〜0.80を満足し、さらに、前記プラグが配置される直径(d)と電極の中心を通る円の直径(A)との関係をd>1.5Aを満足するようにしている。

概要

2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって精錬を行うに際し、各底吹き用プラグの流量や合計の流量を適正化することによって、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物合計濃度の低い高清浄度鋼を製造することができるようにする。2つの底吹き用プラグ10a、10bを用いて、1回目の精錬処理、脱ガス処理の前半処理、脱ガス処理の後半処理、2回目の精錬処理を行うこととし、各処理におけるガス流量規定範囲内にする。

目的

本発明は、上記問題点に鑑み、2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって精錬を行うに際し、各処理における底吹き用プラグの流量や合計の流量を適正化することによって、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物の合計濃度の低い高清浄度鋼を製造することができる高清浄度鋼の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

転炉又は電気炉から出鋼した溶鋼に対して1回目精錬処理を行い、当該1回目の精錬処理後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、当該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の精錬処理を行うことで高清浄度鋼を製造する方法において、前記精錬処理及び脱ガス処理を行うに際して2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むこととし、前記1回目の精錬処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(1)〜式(3)を満たすようにし、前記脱ガス処理では、当該処理を前半処理後半処理とに分けたうえで、前記前半処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(4)〜式(6)を満たすようにし、後半処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(7)〜式(9)を満たすようにし、前記2回目の精錬処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(10)〜式(12)を満たすようにすることを特徴とする高清浄度鋼の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、不活性ガスを吹き込みながら精錬を行うことによって高清浄度鋼を製造方法する高清浄度鋼の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より、転炉にて一次精錬が終了すると、溶鋼取鍋装入されて二次精錬工程に搬送され、二次精錬工程にて成分の調整や介在物の除去などが行われている。この二次精錬工程では、不活性ガスを溶鋼に吹き込んで溶鋼を攪拌しながら高清浄度鋼を製造するのが一般的である。このような高清浄度鋼を製造するための二次精錬を示すものとして特許文献1及び特許文献2に示すものがある。

0003

特許文献1では、転炉又は電気炉から出鋼された溶鋼に対し1回目の二次精錬を行い、該1回目の二次精錬終了後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の二次精錬を行うことで高清浄鋼を製造する高清浄鋼の製造方法において、前記1回目の二次精錬処理では、攪拌動力密度が5〜60W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整すると共に、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、CaO/SiO2≧3.5且つCaO/Al2O3=1.5〜3.5且つT.Fe+MnO≦1.0質量%となるようにスラグ調整を行い、前記脱ガス処理では、当該脱ガス処理の中期までは攪拌動力密度が50〜200W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整し、脱ガス処理の中期以降は攪拌動力密度が140W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整し、前記2回目の二次精錬処理では、攪拌動力密度が25W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整している。

0004

特許文献2では、取鍋の底部に設けた吹込口から内部にガスを吹き込み、内部の溶湯を攪拌して上記溶湯の表面に存在するスラグに溶湯中不純物捕捉させるようにした取鍋精錬装置において、1つの吹込口から吹き込むガスの流量を20〜40NL/分に設定している。また、特許文献1では、取鍋に注入し得る溶湯の重量トン数をW、前記吹込口の個数をNとしたときに、式(N−1)×20<W≦N×20を満足するようにしている。

0005

特許文献2では、不活性ガスを吹き込む吹込口が複数設けられているが、この特許文献3と同じように不活性ガスを複数のプラグ(吹込口)ものとして特許文献3に示すものがある。
特許文献3では、底部にガス吹き込み用のプラグ、上部に取鍋底部側壁と同心円上に3本の通電加熱用電極を備えた精錬用取鍋であって、前記プラグは前記精錬用取鍋の底部を2分割した一方に偏在させて複数配置され、かつ、前記プラグが配置される取鍋底部側壁の内径(D)と該取鍋底部側壁と同心である前記プラグが配置される直径(d)との関係がd/D=0.50〜0.80を満足し、さらに、前記プラグが配置される直径(d)と電極の中心を通る円の直径(A)との関係をd>1.5Aを満足するようにしている。

先行技術

0006

特開2007−231410号公報
特開平9−241720号公報
特許第3721872号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1は、1回目の二次精錬を行った後に脱ガス処理を行い、2回目の二次精錬を行うことによって清浄度の高い高清浄度鋼を製造することができる。この特許文献1の技術を改良することによって、さらに清浄度の高い高清浄度鋼を製造することが期待できる。
ここで、特許文献1に示すような精錬処理を行うに際して、特許文献2や特許文献3に示すように、2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって溶鋼を攪拌しながら取鍋精錬を行うことにより、清浄度の高い高清浄度鋼を製造することも考えられる

0008

しかしながら、特許文献1では、2回の精錬処理を行うと共に、1回の脱ガス処理を行う技術であり、特許文献2及び特許文献3の精錬処理の形態とは全く異なっているため、不活性ガスを吹き込む技術として特許文献2及び特許文献3の技術をそのまま特許文献1に適用することはできず、各処理に不活性ガスの流量などを詳細に規定する必要がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって精錬を行うに際し、各処理における底吹き用プラグの流量や合計の流量を適正化することによって、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物合計濃度の低い高清浄度鋼を製造することができる高清浄度鋼の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、転炉又は電気炉から出鋼した溶鋼に対して1回目の精錬処理を行い、当該1回目の精錬処理後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、当該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の精錬処理を行うことで高清浄度鋼を製造する方法において、前記精錬処理及び脱ガス処理を行うに際して2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むこととし、
前記1回目の精錬処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(1)〜式(3)を満たすようにし、前記脱ガス処理では、当該処理を前半処理後半処理とに分けたうえで、前記前半処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(4)〜式(6)を満たすようにし、後半処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(7)〜式(9)を満たすようにし、前記2回目の精錬処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(10)〜式(12)を満たすようにする点にある。

0010

発明の効果

0011

本発明によれば、2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって精錬を行うに際し、各処理における底吹き用プラグの流量や合計の流量を適正化することによって、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物の合計濃度の低い高清浄度鋼を製造することができる。

図面の簡単な説明

0012

二次精錬処理の工程図である。
取鍋の平面図である。
ポーラスプラグの全体図である。
各処理でのガス流量を示す図である。

実施例

0013

以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、高清浄度鋼を製造するに際して二次精錬処理の工程を示したものである。この二次精錬処理は、転炉や電気炉等によって一次精錬処理が終了した溶鋼に対して精錬処理や脱ガス処理を行い、これにより、高清浄度鋼を製造するものである。
二次精錬処理を行う装置(二次精錬装置)は、取鍋精錬装置1と、真空脱ガス装置2とを備えている。取鍋精錬装置1は、例えば、電極加熱式の精錬装置(以下、LF装置という)であって、真空脱ガス装置2は、例えば、取鍋4に蓋をして真空引きを行う脱ガス装置(以下、VD装置という)である。

0014

なお、本発明の高清浄度鋼を製造するための装置は、LF装置1、VD装置2に限定されず、例えば、CAS装置などにも適用可能である。
まず、LF装置1、VD装置2について説明する。
LF装置1は、溶鋼3が装入された取鍋4と、溶鋼3を加熱する電極式加熱装置5と、フラックス等を投入するための供給装置6とを有している。

0015

VD装置2は、溶鋼3が装入された取鍋4と、取鍋4内のガスを真空引きすることにより取鍋4内を真空状態にする真空引き手段7とを有している。真空引き手段7は、取鍋4の上部開口部を閉鎖する蓋体8と、この蓋体8に設けられて取鍋4内のガスを排気する排気管9とを有している。LF装置1及びVD装置2の取鍋4は、同じものであって、当該取鍋4の底部には、不活性ガスを吹き込むための底吹き用プラグ10が複数設けられている。

0016

このようなLF装置1では、電極式加熱装置(電極アーク加熱装置)5で溶鋼3を所定温度まで上げ、底吹き用プラグ10から不活性ガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌すると共に、フラックス等の精錬剤を供給装置6から供給することによって、溶鋼3の精錬処理を行うことができる。この精錬処理では、主に溶鋼3の成分調整非金属介在物の分離浮上を行う。

0017

このようなVD装置2では、取鍋4の上部開口部を蓋体8より閉鎖して、底吹き用プラグ10から不活性ガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌すると共に、排気管9により取鍋4内のガスを外部に排出することによって、溶鋼3の脱ガス処理を行うことができる。この脱ガス処理では、主に溶鋼3内に存在する水素等のガス成分を除去することができる。
本発明では、LF装置1によって上述したような1回目の精錬処理を行った後に、VD装置2によって上述したような脱ガス処理を行い、さらに、2回目の精錬処理を行っている。

0018

以下、本発明の高清浄度鋼の製造方法について詳しく説明する。
従来より、二次精錬処理を行うにあたり、1つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込んで精錬を行う技術は数多く存在する。しかしながら、1つの底吹き用プラグを用いて精錬を行った場合、清浄度を向上させるためには限界がある。一方、二次精錬処理を行うにあたり、2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込んで精錬を行うものもあるが、不活性ガスの吹き込みについて詳細に規定したものはない。

0019

そこで、本発明では、まず、2つの底吹き用プラグを用いて二次精錬処理を行うものとし、1回目の精錬処理、脱ガス処理、2回目の精錬処理のそれぞれの処理において、各底
吹き用プラグのガス流量を詳細に規定することによって、鋼の清浄度を向上させている。
まず、取鍋の構造及び底吹き用プラグについて詳しく説明する。
図2に示すように、各処理に用いられる取鍋4は、主に、取鍋4の本体を構成する有底状の鉄皮15と、鉄皮15の内面施工された耐火物16とにより構成されている。取鍋4の底部には、不活性ガスを吹き込むための2つの底吹き用プラグ10、10が設けられている。この底吹き用プラグ10、10は、ポーラスプラグである。説明の便宜上、一方のポーラスプラグを第1ポーラスプラグ10a、他方のポーラスプラグを第2ポーラスプラグ10bとして説明する。

0020

第1ポーラスプラグ10aは、当該ポーラスプラグ10aの中心と取鍋中心Oとの距離が900mmとなる位置に配置されている。
第2ポーラスプラグ10bは、当該ポーラスプラグ10bの中心と取鍋中心Oとの距離が680mmに配置されている。両ポーラスプラグ10a、10bは、取鍋中心Oを通る第1中心線C1を基準にすると、当該中心線C1とのなす角度が30度となる位置に配置されている。また、両ポーラスプラグ10a、10bは、第1中心線C1に直交する第2中心線C2を基準にすると、当該第2中心線C2を挟んで互いに対向配置されている。

0021

なお、第1ポーラスプラグ10aの位置や第2ポーラスプラグ10bの位置は、図2に示したものに限定されない。ここで、取鍋中心Oからポーラスプラグ10a、10bまでの距離は、それぞれ取鍋底部の半径の1/4〜4/5の範囲が望ましい。この理由は、1/4未満、すなわち中心部に近づきすぎると十分な対流を起こすのに非常に大きな流量を要する場合があるためであり、逆に4/5超、即ち、取鍋1の壁面に近づきすぎると耐火物が溶損する可能性があるためである。また、第1ポーラスプラグ10aと第2ポーラスプラグ10bのなす角度θは、90°〜180°が望ましい。これは、両者が接近しすぎると撒き込み量が増大する可能性があるためである。なお、両者は同一円周上にあっても、異なる円周上にあっても特に作用効果が影響されるものではない。取鍋4内の直径(ワークレンガ間の距離)は、2784mm〜3188mmに設定されている。

0022

図3は、当業者常法通りのポーラスプラグの全体図を示したものである。当然の如く、ポーラスプラグは、図3に示すものに限定されない。
図3に示すように、一般的な取鍋4の底部に設けられるポーラスプラグ10a、10bは、鉄(鉄板)により次第に径が大きくなる筒状に形成されたケース20と、このケース20の内壁の略全面に設けられた被膜層(例えば、キャスタブル)21と、この被膜層21の内側に設けられた円柱状のポーラス部22と、このポーラス部22に連結されたガス通気路(例えば、中空状の鉄棒)23とを備えている。このポーラス部22は、多層(例えば、上下に2層)に分かれたものであってもよい。

0023

次に、1回目の精錬処理、脱ガス処理、2回目の精錬処理のそれぞれの処理における各底吹き用プラグ10a、10b(第1ポーラスプラグ10a、第2ポーラスプラグ10b)のガス流量について説明する。なお、精錬処理や脱ガス処理において、溶鋼3を攪拌する以外の処理、例えば、フラックスなどの精錬剤の供給や合金添加などについては、当業者常法通りに行うものとする。
[1回目の精錬処理]
1回目の精錬処理では、電極式加熱装置5によって溶鋼の加熱を行い、添加したCaO等の滓化促進、添加合金均一混合、スラグ中(CaO)と溶鋼中の[S]との反応によって脱硫を行うことが主な目的である。また、溶鋼の攪拌によって溶鋼内の介在物の凝集なども行うことも目的としている。

0024

そのため、本発明では、1回目の精錬処理では、第1ポーラスプラグ10a(一方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(1)を満たすようにし、第2ポーラスプラグ10b(他方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(2)を満たすようにしている。ここで、ガス流量の単位NL/min/tonは、1分間当たり、溶鋼1ton当たりの流量を示すものであり、NL・min-1・ton-1若しくはNL/(min・ton)と同義である。

0025

0026

図4に示すように、1回目の精錬処理では、第1ポーラスプラグ10aのガス流量を、第2ポーラスプラグ10bのガス流量に比べて大きくしていて、第1ポーラスプラグ10aによって主に溶鋼3の攪拌をしている。
第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(1)の下限値よりも小さく強攪拌でないと(攪拌力が弱い)、スラグが余り動かず流動性が小さく、スラグの滓化性が悪くなる。加えて、ガス吹き込みによる溶鋼3の流動性も小さいため介在物の凝集が進まなかったり、溶鋼温度の均一化が図れなかったり、溶鋼成分が不均一になることもある。

0027

一方で、第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(1)の上限値よりも大きく攪拌力が強すぎると、スラグが溶鋼3の流動によって押し流されて溶鋼3の浴面大気に晒され、その結果、溶鋼3が再酸化したり、水素ピックアップが生じることにより溶鋼3の清浄度が低下する虞がある。また、攪拌力が強すぎると、処理後半において完全に浮上分離できないほどのスラグを巻き込んでしまい、結果的に清浄度が悪化する虞がある。

0028

このようなことから、1回目の精錬処理における第1ポーラスプラグ10aのガス流量は、式(1)に示すように、0.65NL/min/ton以上1.05NL/min/ton以下にする必要がある。
第2ポーラスプラグ10bのガス流量は、第1ポーラスプラグ10aのガス流量に比べて小さく、この第2ポーラスプラグ10bによって主に溶鋼3内の介在物の浮上分離を助ける役割がある。また、第2ポーラスプラグ10bでは、第1ポーラスプラグ10aのガス吹き込みによって攪拌が十分にできない領域(死水域)を小さくする役割もある。

0029

加えて、第2ポーラスプラグ10bは、第1ポーラスプラグ10aからの流れと、第2ポーラスプラグ10bからの流れとが相殺されないようにして溶鋼3を十分に均一攪拌するという役割もある。
つまり、第2ポーラスプラグ10bのガス流量が第1ポーラスプラグ10aのガス流量が同じである場合、両者のポーラスプラグ10a、10bのガス吹き込みにより発生した対流同士が干渉して、流れが相殺されるため、溶鋼3を十分に均一攪拌することができないが、本発明では、第2ポーラスプラグ10aのガス流量を第1ポーラスプラグ10aよりも小さくしてガス流量に付けているため、第1ポーラスプラグ10aからの流れと、第2ポーラスプラグ10bからの流れとが相殺するのを防止している。

0030

第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(2)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3の静止圧に負けて底吹きができなかったり、底吹きが出来たとしてもガスによって介在物を浮上分離させる効果が小さい。
一方、第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(2)の上限値よりも大きく攪拌力を強くしてしまうと、第1ポーラスプラグ10aのガス流量と近い値となってしまい、両ポーラスプラグからの流れが相殺されて溶鋼3の対流が形成し難くなる。その結果、溶鋼3の流動性の向上に期待ができず、溶鋼温度や溶鋼成分の不均一化が発生する虞がある。

0031

このようなことから、1回目の精錬処理における第2ポーラスプラグ10bのガス流量は、式(2)に示すように、0.15NL/min/ton以上0.35NL/min/ton以下にする必要がある。
また、1回目の精錬処理では、第1ポーラスプラグ10aのガス流量と、第2ポーラスプラグ10bのガス流量との合計(総流量ということがある)は、式(3)を満たすよう
にしている。

0032

0033

総流量が式(3)の下限値よりも小さく全体的な攪拌力が小さいと、スラグの滓化を促進することができず、脱硫反応が低下してしまうことがある。一方、総流量が式(3)の上限値よりも大きく全体的な攪拌力が大きいと、多量のスラグが溶鋼3に巻き込まれてしまい、溶鋼3の清浄度が低下する虞がある。
このようなことから、1回目の精錬処理における総流量は、式(3)に示すように、0.90NL/min/ton以上1.25NL/min/ton以下にする必要がある。[脱ガス処理]
脱ガス処理では、主に、取鍋4内を真空引きすることにより当該取鍋4上を真空状態とし、これにより、溶鋼3内に存在する水素等のガス成分を除去することとしている。

0034

本発明では、1回目の精錬処理を終了した後、VD装置2にて脱ガス処理を行うこととしている。具体的には、当業者常法通りに、1回目の精錬処理後の取鍋4を脱ガス処理を行う工程に速やかに移動して、VD装置2にて脱ガス処理を行う。
この脱ガス処理では、当該処理を前半処理と後半処理とに分けたうえで、前半処理では、第1ポーラスプラグ10a(一方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(4)を満たすようにし、第2ポーラスプラグ10b(他方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(5)を満たすようにしている。

0035

0036

図4や各式に示すように、脱ガス処理の前半処理では、1回目の精錬処理と同じように第1ポーラスプラグ10aと第2ポーラスプラグ10bとでガスを吹き込むこととし、その上下限値は、1回目の精錬処理に示した上下限値と同じである。
第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(4)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3上のスラグが余り動かないため溶鋼3の浴面が露出しない。その結果、溶鋼3内の水素が除去することができない。

0037

一方で、第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(4)の上限値よりも大きく攪拌力が強すぎると、スラグが溶鋼3の流動によって溶鋼3の浴面が露出し易いが、多量のスラグが溶鋼3に巻き込まれてしまい、溶鋼3の清浄度が低下する虞がある。
このようなことから、脱ガス処理の前半における第1ポーラスプラグ10aのガス流量は、式(4)に示すように、0.65NL/min/ton以上1.05NL/min/ton以下にする必要がある。

0038

第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(5)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3の静止圧に負けて底吹きができなかったり、底吹きが出来たとしてもガスによって介在物を浮上分離させる効果が小さい。
一方、第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(5)の上限値よりも大きいと、精錬処理にて説明したように、第1ポーラスプラグ10aからの流れと、第2ポーラスプラグ10bからの流れとが相殺されて対流が形成し難くなり、溶鋼温度や溶鋼成分の不均一化が発生する虞がある。

0039

このようなことから、脱ガス処理の前半における第2ポーラスプラグ10bのガス流量は、式(5)に示すように、0.15NL/min/ton以上0.35NL/min/ton以下にする必要がある。
脱ガス処理において前半処理では、第1ポーラスプラグ10aのガス流量と、第2ポーラスプラグ10bのガス流量との合計(総流量)は、式(6)を満たすようにしている。

0040

0041

総流量が式(6)の下限値よりも小さく全体的な攪拌力が小さいと、溶鋼3の浴面露出させて行う脱ガスを促進することができない。一方、総流量が式(6)の上限値よりも大きく全体的な攪拌力が大きいと、スラグが多量に巻き込まれてしまい、溶鋼3の清浄度が低下する虞がある。
このようなことから、脱ガス処理の前半における総流量は、式(6)に示すように、0.90NL/min/ton以上1.25NL/min/ton以下にする必要がある。

0042

さて、脱ガス処理の前半処理では、溶鋼3の浴面が露出するように溶鋼3を強攪拌することにより溶鋼3内の脱ガスを行っているが、このまま溶鋼3の強攪拌を維持した状態(浴面を露出した状態)で2回目の精錬処理に移行してしまうと、脱ガス処理から精錬処理に切り替えたときに、即ち、浴面が露出した状態で真空状態から大気圧に切り替えると溶鋼3内に水素が入って水素ピックアップが発生する可能性がある。

0043

加えて、脱ガス処理の前半処理のようにスラグが巻き込みやすい強攪拌を続けて行ってしまうと、後処理で完全に分離浮上できないほどのスラグを巻き込んでしまう虞がある。
このようなことから、本発明では、脱ガス処理の後半処理にて、不活性ガスのガス流量を前半処理よりも小さくし、水素ピックアップの防止や後処理(精錬処理)にて介在物が分離浮上し易いようにしている。

0044

具体的には、後半処理では、第1ポーラスプラグ10a(一方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(7)を満たすようにし、第2ポーラスプラグ10b(他方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(8)を満たすようにしている。

0045

0046

図4や各式に示すように、脱ガス処理の後半処理では、前半処理と同じように第1ポーラスプラグ10aと第2ポーラスプラグ10bとでガスを吹き込むこととし、その上下限値は、前半処理よりも小さいものとしている。
第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(7)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3中の温度が偏熱する原因となる。一方で、第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(7)の上限値よりも大きいと、溶鋼3に巻き込むスラグ量が抑制できず、後処理にて十分に介在物を分離浮上させることができない可能性がある。

0047

このようなことから、脱ガス処理の後半における第1ポーラスプラグ10aのガス流量は、式(7)に示すように、0.25NL/min/ton以上0.45NL/min/ton以下にする必要がある。
第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(8)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3の静止圧に負けて底吹きができなかったり、底吹きが出来たとしてもガスによって介在物を浮上分離させる効果が小さい。

0048

一方、第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(8)の上限値よりも大きいと、両ポーラスプラグ10a、10bからの流れが相殺されて溶鋼3の対流が形成し難くなり、溶鋼温度や溶鋼成分の不均一化が発生する虞がある。
このようなことから、脱ガス処理の後半における第2ポーラスプラグ10bのガス流量は、式(8)に示すように、0.15NL/min/ton以上0.35NL/min/ton以下にする必要がある。

0049

脱ガス処理において後半処理では、第1ポーラスプラグ10aのガス流量と、第2ポーラスプラグ10bのガス流量との合計(総流量)は、式(9)を満たすようにしている。

0050

0051

総流量が式(9)の下限値よりも小さく全体的な攪拌力が小さいと、不活性ガスの吹き込みによる介在物の浮上分離の促進ができない可能性がある。一方、総流量が式(9)の上限値よりも大きく全体的な攪拌力が大きいと、溶鋼3に巻き込むスラグ量が抑制できず、後処理にて十分に介在物を分離浮上させることができない可能性がある。
このようなことから、脱ガス処理の後半における総流量は、式(9)に示すように、0.45NL/min/ton以上0.70NL/min/ton以下にする必要がある。[2回目の精錬処理]
脱ガス処理が終了した後の2回目の精錬処理では、溶鋼3内の介在物を出来るだけ浮上分離させて鋼の清浄度を高めることとしている。この2回目の精錬処理では、過剰に溶鋼3を攪拌する必要はなく、適度に溶鋼3を攪拌することによって溶鋼温度及び溶鋼成分の均一化を行いつつ介在物の分離浮上も行うこととしている。

0052

具体的には、2回目の精錬処理では、第1ポーラスプラグ10a(一方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(10)を満たすようにし、第2ポーラスプラグ10b(他方の底吹き用プラグ)のガス流量は、式(11)を満たすようにしている。

0053

0054

図4や各式に示すように、2回目の精錬処理では、脱ガス処理の後半処理と同じように第1ポーラスプラグ10aと第2ポーラスプラグ10bとでガスを吹き込むこととし、その上下限値は、脱ガス処理の後半処理に示した上下限値と同じである。
第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(10)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3中の温度が偏熱する原因となる。一方で、第1ポーラスプラグ10aのガス流量が式(10)の上限値よりも大きいと、介在物を分離浮上させる以上にスラグの巻き込みによる介在物の増加が発生してしまう。

0055

このようなことから、2回目の精錬処理における第1ポーラスプラグ10aのガス流量は、式(10)に示すように、0.25NL/min/ton以上0.45NL/min/ton以下にする必要がある。
第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(11)の下限値よりも小さく攪拌力が弱いと、溶鋼3の静止圧に負けて底吹きができなかったり、底吹きが出来たとしてもガスによって介在物を浮上分離させる効果が小さい。

0056

一方、第2ポーラスプラグ10bのガス流量が式(11)の上限値よりも大きいと、第1ポーラスプラグ10aから吹き込まれたガスと、第2ポーラスプラグ10bから吹き込まれたガスとが合わさったときに、大きな溶鋼3流の衝突が発生するため、その結果、スラグの巻き込みが増加してしまう虞がある。そのため、第2ポーラスプラグ10bのガス流量を多くし過ぎないことが必要である。

0057

このようなことから、2回目の精錬処理における第2ポーラスプラグ10bのガス流量は、式(11)に示すように、0.15NL/min/ton以上0.35NL/min/ton以下にする必要がある。
2回目の精錬処理では、第1ポーラスプラグ10aのガス流量と、第2ポーラスプラグ10bのガス流量との合計(総流量)は、式(12)を満たすようにしている。

0058

0059

総流量が式(12)の下限値よりも小さく全体的な攪拌力が小さいと、不活性ガスの吹き込みによる介在物の浮上分離の促進をできない可能性がある。一方、総流量が式(12)の上限値よりも大きく全体的な攪拌力が大きいと、取鍋の側壁に付着した地金を洗い流してしまい、その地金が低級酸化物としてスラグ内入りスラグ中の低級酸化物の濃度を増加させてしまうことになる。この段階でスラグ中の低級酸化物の濃度が増加すると、溶鋼中のAl、Siと反応してAl2O3やSiO2が生成し、溶鋼3の清浄度を悪化させてしまう可能性がある。

0060

このようなことから、2回目の精錬処理における総流量は、式(12)に示すように、0.45NL/min/ton以上0.70NL/min/ton以下にする必要がある。
なお、1回目の精錬処理、脱ガス処理の前半処理、脱ガス処理の後半処理、2回目の精錬処理の各処理において、各処理を行っている間はガス流量を一定に維持することが好ましいが、上述した各式の範囲内であれば、途中でガス流量を変更してもよい。

0061

表1は、高清浄度鋼の製造を行うにあたっての実施条件を示したものである。

0062

0063

実施条件において、溶鋼成分は、[C]=0.2〜0.6質量%、[Si]=0〜0.4質量%、[Mn]=0.2〜1.4質量%、[Ni]=0〜3.0質量%、[Cr]=0〜3.0質量%を含有するものとした。残りの成分は、Fe分及び不可避不純物を含むものとした。一次精錬は当業者常法通りに電気炉にて行った。二次精錬は、上述したようにLF装置による精錬を2回、VD装置による精錬を1回行った。

0064

図2に示す取鍋を用いた。即ち、取鍋4の内径や第1ポーラスプラグ10aの位置、第2ポーラスプラグ10bの位置が示されている図1に示す取鍋4を用いた。取鍋1は、100tonクラスのものであり、取鍋精錬では、Arガス(アルゴンガス)を吹き込みガスとして用いた。
図3に示す底吹き用プラグ(ポーラスプラグ)を用いた。ポーラス部22の化学成分は
、Al2O3=80質量%、SiO2=18質量%であるものを用いた。また、ポーラスプラグの気孔率は27.6%のものを用いた。

0065

取鍋1において、スラグライン及び胴部の耐火物3はMgO−C系のものを用い、底部(敷部)の耐火物3は、Al2O3−MgO系のものを用いた。
二次精錬においてのスラグの制御は、例えば、特開2007−231410号公報に開示されているように当業者常法通りに行った。二次精錬後は下注ぎ造塊処理を行って鋳塊を製造した。

0066

表2及び表3は、表1に示す実施条件に基づいて、本発明の高清浄度鋼の製造方法にて処理を行った実施例と、本発明とは異なる方法にて処理を行った比較例とをまとめたものである。

0067

0068

0069

実施例及び比較例では、鋼材中に含まれる水素は鍛錬中の水素割れの原因となることから、溶鋼3中の水素濃度[H]について評価することとした。溶鋼3中の水素濃度[H]≦0.90ppmでは、どの製品でも水素割れが発生していないため、これを満たす場合を良好「○」とした。[H]の分析には、ヘレウスエレクトロイト社製の直接迅速分析装置 「ハイドリス(装置名)」を使用した。

0070

また、酸化物系介在物(介在物)が多いと疲労破壊の起点となることから、酸化物系介在物の総量を示すことができる溶鋼中酸素量[O]tについて評価することにした。溶鋼中酸素量[O]t<10ppmでは、介在物が少なく高清浄度鋼であることから、これを満たす場合を良好「○」とした。なお、溶鋼中酸素量[O]t<10ppmが良いとされることは、「鉄と鋼 vol.93 (2007)、高清浄度鋼における介在物の生成起源、川上ら著」に記載されている。[O]tの分析には、LECOジャパン株式会社製の酸素・窒素水素分析装置「THC−600」を使用した。

0071

さらに、スラグ中の低級酸化物(FexO、MnO,Cr2O3)は、酸化源として溶鋼3中のAl、Siなどと反応し、酸化物系介在物の発生原因となることから、スラグ中の低
級酸化物(FexO、MnO,Cr2O3)の合計濃度について評価することとした。スラグ中の低級酸化物の合計濃度が1質量%未満では、高清浄度鋼を製造することができることからこれを満たす場合を良好「○」とした。なお、スラグ中の低級酸化物の合計濃度が1質量%未満で良いとされることは、「鉄と鋼 vol.93 (2007)、高清浄度鋼における介在物の生成起源、川上ら著」に記載されている。低級酸化物の分析において、スラグ中のFe分はほとんどが酸化物となっていると考えられるため、T.Fe%のICP分析値をFexO%値と同等とした。低級酸化物の分析には、セイコー電子ICP発光分光分析装置SPS1500VR」を使用した。

0072

実施例1〜実施例10では、ガス流量を示すQ1、Q2の数値から分かるように、1回目の精錬処理、脱ガス処理、2回目の精錬処理のいずれにおいても、第1ポーラスプラグ10aや第2ポーラスプラグ10bにて不活性ガスを吹き込んでいる。
また、実施例1〜実施例10では、1回目の精錬処理では、各底吹き用プラグ(第1ポーラスプラグ10a、第2ポーラスプラグ10b)のガス流量が式(1)〜式(3)を満たすようにし、脱ガス処理の前半処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(4)〜式(6)を満たすようにし、後半処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(7)〜式(9)を満たすようにし、2回目の精錬処理では、各底吹き用プラグのガス流量が式(10)〜式(12)を満たすようにしている。

0073

実施例では、溶鋼3中の水素濃度[H]を0.90ppm以下にすることができ、溶鋼中酸素量[O]tを10ppm未満にすることができ、さらに、スラグ中の低級酸化物の合計濃度も1質量%未満にすることができた。
一方、比較例1〜比較例3は、一方のポーラスプラグ(第1ポーラスプラグ10a)のみでしかガスを吹き込んでいない。なお、表中には各式の上下限値が記載されているため、比較例の説明では、説明の便宜上、各式の数値の説明は省略する。

0074

しかも、比較例1では、各処理において、一方のポーラスプラグ10aのガス流量が上限値を上回っている。比較例2では、脱ガス処理の後半及び2回目の精錬処理において、一方のポーラスプラグ10aのガス流量が上限値を上回っている。比較例3では、脱ガス処理の後半及び2回目の精錬処理において、ガス流量の合計量(総流量)が下限値を下回っている。

0075

そのため、比較例1では、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物の合計濃度のいずれも評価の上限値を満たすことができず、比較例2及び比較例3では、溶鋼中酸素量[O]tが評価の上限値を満たすことができなかった。
比較例4〜比較例10では、2つのポーラスプラグ10、10にてガスを吹き込んでいるが、各処理においてガス流量が規定する量を満たしていない。

0076

例えば、1回目の精錬処理及び脱ガス処理の前半において、比較例4では、一方のポーラスプラグ10aのガス流量が上限値を上回っており、比較例5では、一方のポーラスプラグ10aのガス流量が下限値を下回っている。加えて、比較例4及び比較例5では、1回目の精錬処理及び脱ガス処理の前半において、ガス流量の合計量(総流量)も規定を満たしていない。

0077

比較例6は、1回目の精錬処理及び脱ガス処理の前半において他方のポーラスプラグ10bのガス流量が上限値を上回っており、しかも、脱ガス処理の後半及び2回目の精錬処理においてガス流量の合計量(総流量)も規定を満たしていない。
比較例7は、各処理におけるガス流量の合計量(総流量)が規定を満たしておらず、比較例8では、1回目の精錬処理及び脱ガス処理の前半においてガス流量の合計量(総流量)が規定を満たしておらず、比較例9では、脱ガス処理の後半及び2回目の精錬処理においてガス流量の合計量(総流量)が規定を満たしていない。

0078

比較例10では、各処理において他方のポーラスプラグ10bのガス流量が上限値を上回っていて、ガス流量の合計量(総流量)も規定を満たしていない。
そのため、比較例4〜比較例8及び比較例10では、溶鋼3中の水素濃度[H]が評価の上限値を満たすことができず、比較例5及び比較例7〜比較例10では、溶鋼中酸素量[O]tが評価の上限値を満たすことができず、比較例6、7、10では、スラグ中の低級
酸化物の合計濃度が評価の上限値を満たすことができなかった。

0079

以上、本発明によれば、精錬処理及び脱ガス処理を行うに際して2つの底吹き用プラグ(第1ポーラスプラグ10a、第2ポーラスプラグ10b)として、1回目の精錬処理、脱ガス処理の前半処理、脱ガス処理の後半処理、2回目の精錬処理において、ガス流量を規定通りにすることにより、溶鋼3中の水素濃度[H]、溶鋼中酸素量[O]t、スラグ中の低級酸化物の合計濃度の低い高清浄度鋼を製造することができる。

0080

なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
高清浄度鋼として、例えば、疲労特性が必要とされる軸受け鋼やクランク軸用鋼などが考えられるが、本発明は、軸受け鋼やクランク軸用鋼に限定されない。

0081

1取鍋精錬装置
2真空脱ガス装置
3溶鋼
4 取鍋
5電極式加熱装置
6供給装置
7真空引き手段
8蓋体
9排気管
10 底吹き用プラグ
10a 第1ポーラスプラグ
10b 第2ポーラスプラグ
15鉄皮
16耐火物
20ケース
21被膜層
22ポーラス部
23 ガス通気路

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 日本製鉄株式会社の「 台車走行用の軌道の設置方法」が 公開されました。( 2020/10/08)

    【課題】天井クレーンが横断する区間を有する台車走行用の軌道の設置を、作業効率を悪化させずにできるようにする。【解決手段】無線操縦で動作する重機を用いて既設の構造物の撤去作業および地盤の掘削作業を行う第... 詳細

  • 東京窯業株式会社の「 ガス吹き込みプラグ」が 公開されました。( 2020/10/08)

    【課題】交換時期の判定の見落としが発生しにくいガス吹き込みプラグを提供すること。【解決手段】本発明のガス吹き込みプラグ1は、溶融金属にガスを吹き込むガス吹き込みプラグ1であって、所定形状の多孔質体より... 詳細

  • JFEスチール株式会社の「 耐サワー鋼材の製造方法」が 公開されました。( 2020/10/01)

    【課題】 MgとCaとを成分に含む耐サワー鋼材において、Ca添加量を増やすことなくMnSの生成を抑制し、耐HIC性を高めることが可能な耐サワー鋼材の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明に係る耐... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ