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技術 Al合金鋳ぐるみ製品およびその製造方法

出願人 日新製鋼株式会社
発明者 吉崎布貴男山木信彦服部保徳清水剛
出願日 2010年3月29日 (10年3ヶ月経過) 出願番号 2010-076392
公開日 2011年10月20日 (8年8ヶ月経過) 公開番号 2011-206803
状態 特許登録済
技術分野 鋳ぐるみ鋳造 溶融金属による被覆
主要キーワード ポスト加熱 鋼材部品 液共存温度範囲 接合状況 Fe系合金層 車両用部材 金属学的 鋳型キャビティ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年10月20日)のものです。
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図面 (6)

課題

生産性良く、Al合金鋼材との界面において高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を提供する。

解決手段

溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として鋳型キャビティに配置し、Al合金溶湯鋳込んで被鋳ぐるみ材と一体化させたAl合金鋳ぐるみ製品であって、溶融Alめっき層がSi:0〜12質量%、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成をもち、Al合金とFeとの接合界面において両者が直接的に、あるいは不連続なAl−Fe系合金層を介して接している箇所が存在することを特徴とするAl合金鋳ぐるみ製品。基材鋼板と溶融Alめっき層の界面にN:3.0原子%以上のN濃縮層が形成されており、Al−Fe系合金層の生成を抑制することで接合強度が向上する。

概要

背景

Al合金鋳物やAl合金ダイカストは軽量であることから、自動車部品など軽量化が要求されるFe系部材の代替材として適用が拡大している。しかし、Al合金は鉄鋼材料(以下、鋼材と称することがある)に比べて機械強度や硬さが劣ることから、Al合金単体では満足できない特性(例えば機械強度、硬さ、耐摩耗性など)を改善するために、Al合金を鋳造する際に、鋼材をAl合金溶湯で「鋳ぐるむ」ことで部分的に複合強化することが行われる。しかし、鋼材をそのままAl合金で鋳ぐるんだ場合には、一般にAl合金と鋼材とは融合せず、溶湯凝固収縮および熱収縮により機械的な接触となるだけであることから、両者の界面では十分な密着性が得られない。これを改善する方法として、あらかじめ鋼材に表面処理をほどこしてからAl合金を鋳ぐるむ技術が知られている。

例えばアルフィン法として知られる方法は、鋼材部品を充分な時間、溶融Al浴に浸漬してから取り出し、付着したAlが溶融状態にあるうちにAl合金溶湯で鋳ぐるむ方法である。すなわちこの方法は表面に酸化アルミニウム皮膜が浮いた状態で鋳ぐるむことで、酸化アルミニウム皮膜を破壊して良好な密着性を得ようとするものである。このため鋳造作業には時間的な制約があり、冷却速度が遅く表面が凝固するまでに時間を要する比較的厚い部品に限られる。

特許文献1にはAl合金溶湯よりも低融点のAl合金(Al−Si系、Al−Si−Cu系)をあらかじめめっきし、Al合金で鋳ぐるむ技術が開示されている。この技術によれば、鋳込み時にAl合金溶湯が低融点のAl合金めっき層を溶かすので、Al合金めっき層の表層に生成している酸化アルミニウム皮膜が破れ、両者が融着するとされる。

これらの技術を使うと接合界面にはAl−Fe系合金層が生成し金属学的結合状態が達成される。しかし、Al合金と鋼材との界面に脆弱なAl−Fe系合金層が厚く生成することで接合強度が著しく低下するという問題が発生する。

この問題点を解決するために、Al—Fe系合金層の厚みを薄く制御することで、接合強度を向上させる技術が開示されている。例えば、特許文献2には溶融Alめっき条件(めっき浴温度、浸漬時間)を適正に管理することで、鋳ぐるみ後のAl−Fe系合金層の厚みを10μm未満にする技術が開示されている。特許文献3には溶融Alめっき浴から取り出した後、不活性ガスまたは還元ガス雰囲気中で急冷することで、Al-Fe系合金層の成長めっき層表面の酸化の進行を抑制し、Al合金と鋼材(鋳鉄材)との接合強度を向上させる技術が開示されている。特許文献4には、溶融Al系めっき以外のめっきとして、Cr、Niなどのめっきを施した後、Al合金で鋳ぐるむ技術が開示されている。この技術によればAl−Fe系合金層の生成が遅れ、薄く緻密な合金層が生成するとされている。

これらの技術はいずれも鋼材を成型加工した後で表面処理を施し、鋳ぐるみを行うものである。したがって、鋳ぐるみ前の工程が複雑で、格別の設備、技術を要し、生産性が悪く、製造コストの上昇を招くといった問題点がある。また、Cr、Niなどのめっき工程では環境対策上、排水処理等の問題が生じるといったこともあげられる。また、これらの技術で得られる鋳ぐるみ製品の接合界面には、薄いながらもAl−Fe系合金層が生成しており、その接合強度は用途によってはかならずしも十分とはいえない。

特開昭63−115666号公報
特開平9−192818号公報
特開平10−263793号公報
特開2003−113784号公報

概要

生産性良く、Al合金と鋼材との界面において高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を提供する。溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として鋳型キャビティに配置し、Al合金溶湯を鋳込んで被鋳ぐるみ材と一体化させたAl合金鋳ぐるみ製品であって、溶融Alめっき層がSi:0〜12質量%、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成をもち、Al合金とFeとの接合界面において両者が直接的に、あるいは不連続なAl−Fe系合金層を介して接している箇所が存在することを特徴とするAl合金鋳ぐるみ製品。基材鋼板と溶融Alめっき層の界面にN:3.0原子%以上のN濃縮層が形成されており、Al−Fe系合金層の生成を抑制することで接合強度が向上する。

目的

このように、Al合金と鋼材との界面で高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を生産性良く製造することは容易ではない。
本発明はこのような現状に鑑み、特殊な中間処理を施すことなく、生産性良く、高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として鋳型キャビティに配置し、Al合金溶湯鋳込んで被鋳ぐるみ材と一体化させたAl合金鋳ぐるみ製品であって、溶融Alめっき層がSi:0〜12質量%、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成をもち、Al合金と溶融Alめっき鋼板の基材鋼板との接合界面において両者が直接的に、あるいは不連続なAl−Fe系合金層を介して接合している領域が存在することを特徴とするAl合金鋳ぐるみ製品。

請求項2

溶融Alめっき鋼板がN:0.002〜0.020質量%を含む鋼板を基材鋼板とし、基材鋼板と溶融Alめっき層の界面にN:3.0原子%以上のN濃縮層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のAl合金鋳ぐるみ製品。

請求項3

溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として鋳型キャビティに配置し、Al合金溶湯を鋳込んで被鋳ぐるみ材と一体化させるAl合金鋳ぐるみ製品の製造方法において、Al合金溶湯鋳込み後に、Alめっき層とAl合金溶湯の双方が溶融状態になることで両者が融合することを特徴とするAl合金鋳ぐるみ製品の製造方法。

請求項4

前記溶融状態になって以後、300℃以下の温度まで冷却速度5℃/秒以上で冷却することを特徴とする請求項3に記載のAl合金鋳ぐるみ製品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、Al合金の優れた軽量性鋼材の優れた機械強度を兼ね備えたAl合金鋳ぐるみ製品、およびその製造方法に関するもので、鋼材とAl合金とが高い接合強度接合したものに関する。

背景技術

0002

Al合金鋳物やAl合金ダイカストは軽量であることから、自動車部品など軽量化が要求されるFe系部材の代替材として適用が拡大している。しかし、Al合金は鉄鋼材料(以下、鋼材と称することがある)に比べて機械強度や硬さが劣ることから、Al合金単体では満足できない特性(例えば機械強度、硬さ、耐摩耗性など)を改善するために、Al合金を鋳造する際に、鋼材をAl合金溶湯で「鋳ぐるむ」ことで部分的に複合強化することが行われる。しかし、鋼材をそのままAl合金で鋳ぐるんだ場合には、一般にAl合金と鋼材とは融合せず、溶湯凝固収縮および熱収縮により機械的な接触となるだけであることから、両者の界面では十分な密着性が得られない。これを改善する方法として、あらかじめ鋼材に表面処理をほどこしてからAl合金を鋳ぐるむ技術が知られている。

0003

例えばアルフィン法として知られる方法は、鋼材部品を充分な時間、溶融Al浴に浸漬してから取り出し、付着したAlが溶融状態にあるうちにAl合金溶湯で鋳ぐるむ方法である。すなわちこの方法は表面に酸化アルミニウム皮膜が浮いた状態で鋳ぐるむことで、酸化アルミニウム皮膜を破壊して良好な密着性を得ようとするものである。このため鋳造作業には時間的な制約があり、冷却速度が遅く表面が凝固するまでに時間を要する比較的厚い部品に限られる。

0004

特許文献1にはAl合金溶湯よりも低融点のAl合金(Al−Si系、Al−Si−Cu系)をあらかじめめっきし、Al合金で鋳ぐるむ技術が開示されている。この技術によれば、鋳込み時にAl合金溶湯が低融点のAl合金めっき層を溶かすので、Al合金めっき層の表層に生成している酸化アルミニウム皮膜が破れ、両者が融着するとされる。

0005

これらの技術を使うと接合界面にはAl−Fe系合金層が生成し金属学的結合状態が達成される。しかし、Al合金と鋼材との界面に脆弱なAl−Fe系合金層が厚く生成することで接合強度が著しく低下するという問題が発生する。

0006

この問題点を解決するために、Al—Fe系合金層の厚みを薄く制御することで、接合強度を向上させる技術が開示されている。例えば、特許文献2には溶融Alめっき条件(めっき浴温度、浸漬時間)を適正に管理することで、鋳ぐるみ後のAl−Fe系合金層の厚みを10μm未満にする技術が開示されている。特許文献3には溶融Alめっき浴から取り出した後、不活性ガスまたは還元ガス雰囲気中で急冷することで、Al-Fe系合金層の成長めっき層表面の酸化の進行を抑制し、Al合金と鋼材(鋳鉄材)との接合強度を向上させる技術が開示されている。特許文献4には、溶融Al系めっき以外のめっきとして、Cr、Niなどのめっきを施した後、Al合金で鋳ぐるむ技術が開示されている。この技術によればAl−Fe系合金層の生成が遅れ、薄く緻密な合金層が生成するとされている。

0007

これらの技術はいずれも鋼材を成型加工した後で表面処理を施し、鋳ぐるみを行うものである。したがって、鋳ぐるみ前の工程が複雑で、格別の設備、技術を要し、生産性が悪く、製造コストの上昇を招くといった問題点がある。また、Cr、Niなどのめっき工程では環境対策上、排水処理等の問題が生じるといったこともあげられる。また、これらの技術で得られる鋳ぐるみ製品の接合界面には、薄いながらもAl−Fe系合金層が生成しており、その接合強度は用途によってはかならずしも十分とはいえない。

0008

特開昭63−115666号公報
特開平9−192818号公報
特開平10−263793号公報
特開2003−113784号公報

発明が解決しようとする課題

0009

このように、Al合金と鋼材との界面で高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を生産性良く製造することは容易ではない。
本発明はこのような現状に鑑み、特殊な中間処理を施すことなく、生産性良く、高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0010

上記目的は、めっき層がSi:0〜12質量%、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成溶融Alめっき鋼板を成型加工して被鋳ぐるみ材としたAl合金鋳ぐるみ製品であって、Al合金と溶融Alめっき鋼板の基材鋼板との接合界面において両者が直接的に、あるいは不連続なAl−Fe系合金層を介して接合している領域が存在することを特徴とするAl合金鋳ぐるみ製品によって達成される。

0011

このような接合界面構造を形成するには、基材鋼板とAlめっき層との界面にFe拡散防止層を形成し、Al−Fe系合金層の成長を抑制することが有効である。それには本出願人が特許文献5にて開示したN濃縮層が有効である。N濃縮層によってAl合金と溶融Alめっき鋼板の基材鋼板との接合界面に生成する脆弱なAl−Fe系合金層の成長が抑制され、高い接合強度が得られる。

0012

このような鋳ぐるみ製品は、溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として鋳型キャビティに配置し、Al合金溶湯を鋳込み、Alめっき層とAl合金溶湯の双方が溶融状態になることで達成される。さらには、その後、300℃以下の温度まで冷却速度5℃/秒以上で冷却することによって達成される。

0013

特開平9−228018号公報

発明の効果

0014

本発明によれば、Al合金と鋼材との界面で高い接合強度をもったAl合金鋳ぐるみ製品を生産性良く製造することができる。この製品はAl合金と鋼材の長所を活かして、軽量化と機械強度が求められる車両用部材、例えば、サスペンションアームナックルブレーキディスクローターインテークマニホールドエンジンマウントオルタネーターブラケットなどに適用可能である。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明では溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として用いる。加工形状は特に制限されるものではなく、目的とする鋳ぐるみ製品の形状に応じて、例えば、シート形状や鋼管形状を用いることができる。

0016

〔基材鋼板〕
めっき原板となる基材鋼板としては、従来一般的にAl系めっき鋼板基材として使用されている各種鋼板、すなわち低炭素鋼中炭素鋼低合金鋼ステンレス鋼等が適用可能である。なかでも、Al−Fe系合金層の生成を抑制するNを0.002〜0.020質量%添加した鋼板が好ましい。Nを0.002〜0.020質量%を含む鋼板をめっき原板として溶融Alめっきを行った後、特定条件下加熱処理すると溶融めっき時に生成した合金層と下地鋼の界面にN濃縮層が生成する。この濃縮層のN含有量が3.0原子%以上になるとAl−Feの相互拡散が著しく抑制され、被鋳ぐるみ材として用いた場合には脆弱なAl−Fe系合金層の成長を抑制できる。

0017

〔溶融Alめっき層〕
溶融Alめっきの組成(めっき浴組成)は、質量%でSi:0〜12%、残部Alおよび不可避的不純物からなるものとする。Siは、Al系めっき浴の液相線温度を低減する作用を有する。ただし、めっき浴のSi含有量が12%を超えると共晶組成を過ぎて逆に液相線温度が上昇する領域に入る。また、そのように多量のSiを含有すると塊状のSiが多量に析出し、めっき層の曲げ加工性阻害するので、被鋳ぐるみ面での耐食性低下をもたらすおそれがある。したがってSiは無添加(0%)とするか、12%以下の範囲で含有させる。Siの残部は、Alおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として2%以下の範囲でFeの混入許容され、他の不純物元素は合計1%以下の範囲とすることが好ましい。

0018

溶融Alめっき鋼板表面には必要に応じて化成処理等の表面処理を施すことができる。

0019

片面あたりのAlめっき付着量は良好な接合強度を確保する上で15g/m2以上とすることが望ましい。これより薄いと接合強度の低下を招きやすい。めっき付着量の上限は特に規定されるものではないが、過剰に厚いと成型加工時割れが大きくなり、被鋳ぐるみ面での耐食性低下をもたらすおそれがあるので、例えば140g/m2以下の範囲とすることが好ましい。

0020

〔Al合金溶湯〕
本発明で用いるAl合金溶湯としては、純Al、Al−Si系、Al−Cu−Si系、Al−Mg系等公知のものを採用できる。

0021

〔Al合金と鋼板との界面構造〕
図1、2に、Al合金と鋼板の間に良好な接合強度が得られた本発明のAl合金鋳ぐるみ製品について、界面の断面組織写真を例示する。また、比較として図3に、良好な接合強度が得られなかったAl合金鋳ぐるみ製品の界面の断面組織写真を例示する。

0022

図1はAl−Fe系合金層が生成せず、Al合金とFeとが直接的に接合している場合の例である。

0023

図2は不連続なAl−Fe系合金層を介してAl合金とFeとが接合している場合の例である。

0024

図3は連続的なAl−Fe系合金層を介してAl合金とFeとが接合している場合の例である。

0025

図1〜3のいずれの場合も、Al合金とAlめっき層とは完全に融合し、元々の界面は認められないが、連続的にAl−Fe系合金層が生成した図3の場合には接合強度は不十分となる。これに対して、図1、2のようにAl—Fe系合金層の生成していない領域、あるいはAl−Fe系合金層が不連続に生成した領域が界面に存在する場合には、優れた接合強度が得られる。これは、引張荷重負荷させたときに、Al−Fe系合金層の生成していない領域で亀裂の進行が妨げられるためと推定される。

0026

〔製造方法〕
本発明のAl合金鋳ぐるみ製品は、溶融Alめっき鋼板を用いて成型加工した部材を被鋳ぐるみ材として鋳型キャビティに配置し、Al合金溶湯を鋳込んで被鋳ぐるみ材と一体化させることで製造される。Al合金とAlめっき層とが融合するためには、溶湯鋳込み後のAlめっき鋼板到達温度とそのときのAl合金溶湯の状態が重要となる。

0027

鋳込んだ溶湯の保有する熱量によってAlめっき鋼板の温度が上昇し、Alめっき層の液相線温度を超えるとAlめっき層が溶融状態となり、この時点でAl合金溶湯が溶融状態を維持していれば、双方が融合して良好な接合状態が得られる。

0028

溶湯鋳込み後のAlめっき鋼板の到達温度がAlめっき層の液相線温度より低いと、Alめっき層は固液共存状態となってAl合金溶湯とは完全に融合せず、両者の界面には隙間が生じやすい。Alめっき層の液相線温度に比べてAl合金溶湯の液相線温度が高い場合には、Alめっき層が溶融状態になった時点でAl合金溶湯が既に凝固していることがあり、このような場合にも両者は融合しない。

0029

溶湯鋳込み後にAlめっき層とAl合金溶湯の双方が溶融状態になるように、あらかじめ必要に応じて鋳型を加熱することができる。

0030

Alめっき層とAl合金溶湯の双方が溶融状態になった後、300℃以下の温度まで冷却速度5℃/秒以上で冷却することによって、Al—Fe系合金層の成長をさらに抑制し、高い接合強度を得ることができる。

0031

本発明で用いるAl合金の鋳造方法としては一般的な方法、例えば砂型鋳造金型鋳造ダイカスト鋳造等を適用できる。

0032

表1に示す組成を有する板厚1.6mmの冷延鋼板を用意し、これらを基材として、連続式溶融めっきラインを用いて溶融Alめっきを施した。めっき浴組成はSi:9.3質量%、Fe:1.7質量%、残Alである。めっき付着量制御は一般的なガスワイピング法で行い、いずれも片面あたりのめっき付着量を約40g/m2(両面とも同じ)に調整した。とくに化成処理は施さなかった。なお、この組成の溶融Alめっき層の液相線温度と固相線温度を熱分析により測定したところ、液相線温度は600℃、固相線温度は577℃であった。
さらに、基材をAとした溶融Alめっき鋼板は、めっき後に、75%H2−N2雰囲気中で450℃×15時間のポスト加熱を行った。この加熱処理後の溶融Alめっき鋼板の表面からAlめっき層を溶解除去したあと、オージェ分光分析により鋼板表面から深さ方向に各種元素濃度分布を求めた。その結果、基材鋼板と溶融Alめっき層の界面に、N:3.0原子%以上のN濃縮層が認められた。

0033

0034

図4の鋳型を用いて鋳ぐるみを行った。溶融Alめっき鋼板を鋳型キャビティに配置して鋳型とともに所定の温度に加熱し、Al合金溶湯を鋳込み、図5に示すAl合金鋳ぐるみ材を作製した。用いたAl合金溶湯はJISADC2相当のAl合金溶湯であり、その組成はSi:10.8質量%、Cu:2.5質量%、残Alである。溶湯温度鋳型温度、鋳込み後300℃までの冷却速度を種々変えて、それぞれ複数枚のAl合金鋳ぐるみ材を作製した。

0035

鋳込み後のAl合金溶湯とAlめっき鋼板の温度変化を測定した。図4に示した位置で熱電対(φ0.32mm、ガラスウール被覆)を用いてAlめっき鋼板の表面温度を測定し、めっき層の溶融、凝固の進行状態調査した。熱電対をスポット溶接後、溶接部を50μm厚みのステンレス箔で覆い、鋳込み後にAl合金溶湯と熱電対との直接の接触を防止することで鋼板表面温度を測定した。

0036

Al合金と鋼板との接合状況断面観察した。以下の基準で評価し、○以上の評価を合格と判定した。
◎:界面全長にわたり隙間が無く、界面にはAl−Fe系合金層が無くAl合金とFeとが直接的に接合する領域が存在する
○:界面全長にわたり隙間が無く、界面には不連続なAl−Fe系合金層を介してAl合金とFeとが接合する領域が存在する
△:界面全長にわたり隙間が無く、界面は連続的なAl−Fe系合金層を介してAl合金とFeとが接合している
×:Al合金とAlめっき鋼板とが融合しておらず、隙間があいている
××:接合していない

0037

上記判定のうち、××のものを除いて、Al合金と鋼板との接合強度をせん断引張試験で測定した。引張速度は1mm/分とした。以下の基準で評価し、○を合格と判定した。
○:Al合金で破断
×:接合界面で破断

0038

以上の結果を、表2にまとめて示す。

0039

0040

表2からわかるように、鋳込み後の到達板温度がAlめっき層の液相線温度(600℃)を超えたもの(No.3〜11)では、Al合金とAlめっき層とは融合しており隙間はない。なかでも基材としてAを用い、Al合金を鋳込み、Alめっき層とAl合金溶湯の双方が溶融状態となった後に、300℃以下の温度までの冷却速度を5℃/秒以上と速くした本発明例のものは、Al合金と鋼板との接合状況は○以上の判定となる適正な界面構造を有しており良好な接合強度を示している。

0041

一方、比較例No.1は鋳込み後の到達板温度がAlめっき層の固相線温度(577℃)より低いため接合しない。No.2は鋳ぐるみ後の到達板温度がAlめっき層の固液共存温度範囲にあるため、Al合金とAlめっき層とは完全に融合せず、両者の界面には隙間があいている。この場合には接合強度は低い。No.3、6は鋳込み後に室温まで放冷したために、連続的な合金層が生成し、接合強度は低くなっている。No.10、11はN濃縮層が生成していないAlめっき鋼板を使用したために、鋳込み後の冷却速度が速いにもかかわらず連続的な合金層が生成し低い接合強度しか得られない。

図面の簡単な説明

0042

本発明のAl合金鋳ぐるみ製品におけるAl合金とFeとの界面の断面組織写真で、Al−Fe系合金層の生成がみられない場合。
本発明のAl合金鋳ぐるみ製品におけるAl合金とFeとの界面の断面組織写真で、不連続なAl−Fe系合金層が成長した場合。
Al合金とFeとの界面に連続的にAl−Fe系合金層が成長した場合の断面組織写真。
実施例で採用した鋳型の断面図。
実施例で採用した鋳ぐるみ材の斜視図。

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