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技術 ポリビニルアルコール樹脂の製造方法及び製造装置

出願人 デンカ株式会社
発明者 小塚隆弘
出願日 2010年3月18日 (10年9ヶ月経過) 出願番号 2010-062768
公開日 2011年10月6日 (9年2ヶ月経過) 公開番号 2011-195672
状態 特許登録済
技術分野 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード モーター動力 流路中心 PVA粒子 混合度合い ニーダー型反応器 混合熱 ベルト型反応器 モーター効率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年10月6日)のものです。
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図面 (5)

課題

品質を低下させずに、消費エネルギーを低減することができるポリビニルアルコールの製造方法及び製造装置を提供する。

解決手段

先ず、1種若しくは2種以上のビニルエステル重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他の単量体とを共重合して、ポリビニルエステルを得る。次に、流路1内に、ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液通流させ、その中央部に鹸化触媒を含む溶液を導入する。そして、スタティックミキサー2でこれらを混合した後、その混合物4をベルト3上に載置し、鹸化反応を進行させる。

概要

背景

ポリビニルアルコールPVA)は、水溶性合成樹脂であり、従来は主に合成繊維原料として使用されていたが、近年、その特徴を生かして、フィルム材料乳化分散剤接着剤及びバインダー樹脂など様々な分野で使用されている。このPVA樹脂は、一般に、ビニルエステル重合し、得られたポリビニルエステルを、有機溶媒中において、触媒の存在下で鹸化することにより製造されている。

その際、ポリビニルエステルの鹸化には、例えばインライン式混合機を備えたベルト型反応器が使用されている。図4はベルト型反応器を使用した従来の鹸化方法を示す図である。図4に示すように、従来のベルト型反応器を使用し、ポリ酢酸ビニルメタノール溶媒中でアルカリ触媒により鹸化する場合は、先ず、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液アルカリ溶液とを混合容器101内に投入し、ローターミキサー(混合機)102などにより所定時間混合する。その後、混合物104をベルト103上に載置して、所定の温度条件下で鹸化反応を進行させる。

また、従来、ニーダーを使用して、ポリビニルエステル及び有機溶媒からなる鹸化反応原液スラリー)と鹸化触媒とを混合した後、型の鹸化反応器で鹸化反応を進行させる方法も提案されている(特許文献1、2参照)。更に、ポリビニルエステル溶液と鹸化触媒とをインラインミキサーで混合した後、プラネタリー攪拌機付き反応器中で鹸化する方法(特許文献3参照)や、鹸化を行う反応器内にスタティックミキサーを設けた装置(特許文献4参照)も提案されている。

概要

品質を低下させずに、消費エネルギーを低減することができるポリビニルアルコールの製造方法及び製造装置を提供する。先ず、1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他の単量体とを共重合して、ポリビニルエステルを得る。次に、流路1内に、ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液通流させ、その中央部に鹸化触媒を含む溶液を導入する。そして、スタティックミキサー2でこれらを混合した後、その混合物4をベルト3上に載置し、鹸化反応を進行させる。

目的

本発明は、品質を低下させずに、消費エネルギーを低減することができるポリビニルアルコールの製造方法及び製造装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

ポリビニルエステル有機溶媒とからなる鹸化原料溶液通流する流路中央部に鹸化触媒を導入する導入工程と、前記鹸化原料溶液と導入された鹸化触媒とをスタティックミキサーで混合する混合工程と、を有するポリビニルアルコール樹脂の製造方法。

請求項2

前記混合工程により得られた混合物ベルト上に載置して鹸化反応を進行させることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール樹脂の製造方法。

請求項3

前記混合工程は、10〜70℃の温度条件下で、剪断速度を100〜1000s−1にして、前記鹸化原料溶液と鹸化触媒とを混合することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリビニルアルコール樹脂の製造方法。

請求項4

前記鹸化原料溶液におけるポリビニルエステル濃度を20〜60質量%、粘度を0.01〜30Pa・sとし、該鹸化原料溶液に、鹸化触媒を、濃度が0.2〜10質量%となるように導入する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール樹脂の製造方法。

請求項5

ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液が通流する流路中央部に鹸化触媒を導入する触媒導入機構と、該触媒導入機構よりも下流側に配置され、前記鹸化原料溶液と導入された鹸化触媒とを混合する1又は2以上のスタティックミキサーと、を有するポリビニルアルコール樹脂の製造装置

請求項6

前記スタティックミキサーは、1エレメントあたりの圧力損失が0.05MPa未満であることを特徴とする請求項5に記載のポリビニルアルコール樹脂の製造装置。

請求項7

一方向に移動するベルトを有し、該ベルトに、前記スタティックミキサーから排出された混合物を載置して鹸化反応を進行させることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリビニルアルコール樹脂の製造装置。

請求項8

前記触媒導入機構は、前記流路の中心部を通り、通流方向に対して垂直に貫通するように配設され、触媒を含む溶液が通流する導入管と、該導入管の前記流路中心部に相当する位置に設けられ、前記スタティックミキサー側に開口する導入口と、を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール樹脂の製造装置。

技術分野

0001

本発明は、ポリビニルアルコール樹脂の製造方法及び製造装置に関する。より詳しくは、ポリビニルアルコール樹脂を製造する際の鹸化工程についての技術に関する。

背景技術

0002

ポリビニルアルコールPVA)は、水溶性合成樹脂であり、従来は主に合成繊維原料として使用されていたが、近年、その特徴を生かして、フィルム材料乳化分散剤接着剤及びバインダー樹脂など様々な分野で使用されている。このPVA樹脂は、一般に、ビニルエステル重合し、得られたポリビニルエステルを、有機溶媒中において、触媒の存在下で鹸化することにより製造されている。

0003

その際、ポリビニルエステルの鹸化には、例えばインライン式混合機を備えたベルト型反応器が使用されている。図4はベルト型反応器を使用した従来の鹸化方法を示す図である。図4に示すように、従来のベルト型反応器を使用し、ポリ酢酸ビニルメタノール溶媒中でアルカリ触媒により鹸化する場合は、先ず、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液アルカリ溶液とを混合容器101内に投入し、ローターミキサー(混合機)102などにより所定時間混合する。その後、混合物104をベルト103上に載置して、所定の温度条件下で鹸化反応を進行させる。

0004

また、従来、ニーダーを使用して、ポリビニルエステル及び有機溶媒からなる鹸化反応原液スラリー)と鹸化触媒とを混合した後、型の鹸化反応器で鹸化反応を進行させる方法も提案されている(特許文献1、2参照)。更に、ポリビニルエステル溶液と鹸化触媒とをインラインミキサーで混合した後、プラネタリー攪拌機付き反応器中で鹸化する方法(特許文献3参照)や、鹸化を行う反応器内にスタティックミキサーを設けた装置(特許文献4参照)も提案されている。

先行技術

0005

特開2000−355611号公報
特開2001−55414号公報
特表2008−510880号公報
国際公開第2003/033548号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、前述した従来の鹸化方法には、以下に示す問題点がある。即ち、ローターミキサー、ニーダー及びプラネタリー攪拌機などの動力を必要とする混合機を使用する方法は、エネルギー消費量が多いという問題点がある。一方、特許文献4に記載の装置のように、混合機にスタティックミキサーを使用すれば、エネルギー消費量を低減することができるが、反応器内にスタティックミキサーを配設しただけでは、原料を均一に混合することはできない。更に、特許文献4に記載の技術は、超臨界流体高温高圧流体を用いるため、耐圧性を有する装置が必要となるという問題点もある。

0007

そこで、本発明は、品質を低下させずに、消費エネルギーを低減することができるポリビニルアルコールの製造方法及び製造装置を提供することを主目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係るポリビニルアルコール樹脂の製造方法は、ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液通流する流路中央部に鹸化触媒を導入する導入工程と、前記鹸化原料溶液と導入された鹸化触媒とをスタティックミキサーで混合する混合工程と、を有する。
本発明においてはスタティックミキサーで混合しているため、混合に要するエネルギーが不要となる。また、スタティックミキサーでの混合は発熱しないため、混合中に鹸化反応が進行することがない。これにより、製造されるポリビニルアルコール樹脂の品質が安定する。更に、鹸化原料溶液が通流する流路の中央部に鹸化触媒を導入しているため、混合効率に優れ、短時間で鹸化原料溶液と触媒とを混合することができる。
この製造方法では、混合工程により得られた混合物をベルト上に載置して鹸化反応を進行させてもよい。
また、混合工程は、10〜70℃の温度条件下で、剪断速度を100〜1000s−1にして、前記鹸化原料溶液と鹸化触媒とを混合することもできる。
更に、鹸化原料溶液におけるポリビニルエステル濃度を20〜60質量%、粘度を0.01〜30Pa・sとし、この鹸化原料溶液に、鹸化触媒を、濃度が0.2〜10質量%となるように導入してもよい。

0009

本発明に係るポリビニルアルコール樹脂の製造装置は、ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液が通流する流路中央部に鹸化触媒を導入する触媒導入機構と、該触媒導入機構よりも下流側に配置され、前記鹸化原料溶液と導入された鹸化触媒とを混合する1又は2以上のスタティックミキサーと、を有するものである。
本発明においては、混合機にスタティックミキサーを使用しているため、混合機を動作させるための動力が不要となる。また、スタティックミキサーは混合熱が発生しないため、混合中に鹸化反応が進むことがなく、品質が安定する。更に、触媒導入機構により、触媒を流路中心部に導入しているため、短時間で良好な混合状態にすることができる。
この装置では、スタティックミキサーとして、1エレメントあたりの圧力損失が0.05MPa未満のものを使用することができる。
また、一方向に移動するベルトを有していてもよく、その場合、このベルトに、前記スタティックミキサーから排出された混合物を載置して鹸化反応を進行させることができる。
更に、前記触媒導入機構は、前記流路の中心部を通り、通流方向に対して垂直に貫通するように配設され、触媒を含む溶液が通流する導入管と、該導入管の前記流路中心部に相当する位置に設けられ、前記スタティックミキサー側に開口する導入口と、を有していてもよい。

発明の効果

0010

本発明によれば、ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液が通流する流路中央部に鹸化触媒を導入し、スタティックミキサーで混合しているため、製造されるポリビニルアルコール樹脂の品質を低下させずに、消費エネルギーを低減することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の実施形態に係るポリビニルアルコール樹脂の製造方法で使用する鹸化装置の構成を模式的に示す図である。
(a)は図1に示す鹸化装置の触媒導入機構の構成例を示す断面図であり、(b)は(a)に示すA−A線による断面図である。
横軸鹸化度縦軸頻度数をとって、実施例1及び比較例1のPVA樹脂における鹸化度分布を示すヒストグラムである。
ベルト型反応器を使用した従来の鹸化方法を示す図である。

0012

以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態に係るポリビニルアルコール(PVA)樹脂の製造方法では、以下に示す重合工程及び鹸化工程を行って、PVA樹脂を製造する。

0013

[重合工程]
本実施形態のポリビニルアルコール樹脂の製造方法では、先ず、1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他の単量体とを共重合して、ポリビニルエステルを得る。ここで使用するビニルエステルとしては、例えば、蟻酸ビニル酢酸ビニルプロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニルカプリン酸ビニルラウリン酸ビニルステアリン酸ビニル安息香酸ビニル、ピパリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニルなどが挙げられるが、重合安定性の観点から特に酢酸ビニルが好ましい。

0014

また、これらビニルエステルと共重合可能な他の単量体は、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィン類、(メタアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリルアミド及びN−メチロールアクリルアミドなどの不飽和アミド類、(メタ)アクリル酸クロトン酸マレイン酸イタコン酸及びフマル酸などの不飽和酸類、不飽和酸のアルキルメチルエチルプロピルなど)エステル無水マレイン酸などの不飽和酸の無水物、不飽和酸の塩(ナトリウム塩カリウム塩アンモニウム塩など)、アリルグリシジルエーテルグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有単量体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩類などのスルホン酸基含有単量体アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート及びアシッドホスホオキシプロピルメタアクリレートなどのリン酸基含有単量体、アルキルビニルエーテル類などが挙げられる。

0015

[鹸化工程]
次に、前述した重合工程で得られたポリビニルエステルを、有機溶媒中において、触媒の存在下で鹸化する。ここで使用する有機溶媒としては、メタノールエタノールプロパノールエチレングリコールプロピレングリコールグリセリン及びジエチレングリコールなどのアルコール類を使用することができるが、特に、メタノールが好ましい。

0016

また、鹸化触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウムナトリウムアルコラート及び炭酸ナトリウムなどのアルカリ触媒、硫酸燐酸及び塩酸などの酸触媒が挙げられる。これら鹸化触媒の中でも、アルカリ触媒を使用することが好ましく、水酸化ナトリウムを使用することがより好ましい。これにより、鹸化速度を早くして、生産性を向上させることができる。

0017

図1は本実施形態のPVA樹脂の製造方法で使用する鹸化装置の構成を模式的に示す図である。また、図2(a)はその触媒導入機構の構成例を示す断面図であり、図2(b)は図2(a)に示すA−A線による断面図である。本実施形態のPVA樹脂の製造方法では、例えば図1,2に示すように、流路1内に、重合工程で得たポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液を通流させ、その中心部に鹸化触媒を含む溶液を導入する。そして、これらを、スタティックミキサー2で混合した後、その混合物4を、例えばベルト3上などに載置して鹸化反応を進行させる。

0018

このとき、鹸化原料溶液の粘度は、0.01〜30Pa・sとすることが好ましい。鹸化原料溶液の粘度が0.01Pa・s未満の場合、溶媒使用量が多くなるため、製造コストが増加することがあり、また、鹸化原料溶液の粘度が30Pa・sを超えると、移送が難しくなることがあるからである。

0019

更に、鹸化原料溶液中のポリビニルエステル濃度は、20〜60質量%とすることが好ましい。なお、ポリビニルエステルの濃度が20質量%未満の場合、溶液の粘度が低くなるため反応は容易となるが、その一方でより多くの溶媒を使用することになるため、PVA樹脂の製造コストが増加してしまう。また、ポリビニルエステルの濃度が60質量%を超えると、溶液の粘度が高くなって移送が難しくなることがある。

0020

一方、鹸化触媒溶液中の鹸化触媒濃度は、0.2〜10質量%とすることが好ましい。鹸化触媒濃度が0.2質量%未満の場合、反応速度が遅くなることがあり、また鹸化触媒濃度が10質量%を超えると、反応終了後中和反応により塩が多量に生成し、洗浄工程で多量の洗浄液が必要となることがあるからである。

0021

また、流路1の中心部に鹸化触媒溶液を導入する方法としては、例えば、図2に示すように、流路1に、その通流方向と直交する方向に、導入口5aを備えた鹸化触媒導入管5を貫通させて、その導入口5aを、流路2の中心部に通流方向下流側に向けて配置する方法がある。ここで、鹸化触媒導入管5を貫通させているのは、流路1の通流方向に直交する断面における各位置での流速を極力等しくして、鹸化原料溶液の流れの乱れを最小限に抑えるためである。

0022

更に、流路1の中心部に鹸化触媒溶液を導入しているのは、混合効率を良好にするためである。なお、流路1の中心部から外れた位置に鹸化触媒溶液を導入した場合、通流方向に直交する断面における各位置において濃度むらが生じる。なお、導入口5aの大きさは、特に限定されるものではないが、流路1の直径に対して、0.05〜0.5倍であることが望ましい。触媒導入機構をこのような構成にすることにより、鹸化原料溶液の流れの乱れを抑制し、効率的に原料を混合することができる。

0023

なお、鹸化触媒溶液の導入方法は、図2に示す方法に限定されるものではなく、装置構成などに応じて適宜選択することができる。例えば、鹸化触媒導入管5をL字状の片持ちとしたり、鹸化触媒導入管5を十字状とし、その中心に導入口5aを設けたりすることもできる。

0024

一方、スタティックミキサー2の種類や配設数は、特に限定されるものではなく、流量、流速及び濃度などの条件に応じて適宜選択することができる。その際、スタティックミキサー2としては、1エレメントあたりの圧力損失が0.05MPa未満のものを使用することが好ましい。これにより、許容圧力が高い高価なポンプを使用しなくても、複数のエレメントを配設することが可能となるため、既存の設備を利用して、従来よりも少ないエネルギーで、良好な混合状態(Cov=0.01以下)を得ることができる。

0025

また、スタティックミキサー2の1エレメントあたりの圧力損失は、0.03MPa未満であることがより好ましく、これにより、スタティックミキサー2の配設数を多くすることができるため、混合度をより高めることができる。ただし、スタティックミキサー2の配設数(エレメント数)を多くすると、混合度合いが高くなる一方で圧力損失が大きくなるため、原料供給ポンプ供給配管の許容圧力に応じて、口径を選択することが望ましい。

0026

更に、本実施形態のPVA樹脂の製造方法で使用する鹸化装置では、圧力損失が異なる複数種のスタティックミキサーを、組み合わせて使用することもできる。せん断速度と圧力損失とは相反する関係にあり、例えば、高いせん断速度を得るためには、スタティックミキサーの口径を小さくする必要があるが、口径が小さいと圧力損失が高くなる。このような場合でも、圧力損失が異なる複数種のスタティックミキサーを使用し、ポンプの許容圧力以下になるように、その配設比率を変えることにより、圧力損失の増加を抑制しつつ、せん断速度を高めることが可能となる。

0027

このスタティックミキサー2で混合した混合物4は、所定の温度条件下で所定時間保持し、鹸化反応を進行させる。例えば、図2に示すベルト型反応器の場合は、ベルト3を移動させながら、20〜50℃の温度条件下で保持する。このときの保持時間は、目的とする鹸化度に応じて設定することができ、例えば平均鹸化度を90モル%程度にしたいときは、30分程度保持すればよい。なお、本発明は、ベルト型反応器を使用するものに限定されるものではなく、ベルト型反応器以外に、例えばニーダー型反応器及び塔型反応器などにも適用することができる。

0028

この鹸化工程により、ポリビニルエステルにおけるビニルエステル単位の一部又は全部が鹸化されて、ビニルアルコール単位となる。なお、前述した鹸化工程により得られるPVA樹脂の鹸化度は、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜設定することができる。

0029

また、本実施形態のPVA樹脂の製造方法においては、前述した重合工程及び鹸化工程を行った後、必要に応じて、酢酸ナトリウムなどの不純物を除去するための洗浄工程や乾燥工程を行ってもよい。

0030

以上詳述したように、本実施形態のPVA樹脂の製造方法においては、鹸化原料溶液と鹸化触媒溶液とをスタティックミキサーで混合しているため、混合のための動力が不要となる。これにより、鹸化工程におけるエネルギー消費量を大幅に低減することができる。また、スタティックミキサーは、混合熱が発生しないため、混合時に鹸化反応が進行することがない。このため、製造されるPVA樹脂の品質を安定化することができる。

0031

更に、本実施形態のPVA樹脂の製造方法では、ポリビニルエステルと有機溶媒とからなる鹸化原料溶液が通流する流路の中心部に、鹸化触媒を含む溶液を導入しているため、スタティックミキサーを使用しても、短時間で良好な混合状態を得ることができる。その結果、製造されるPVA樹脂の品質を低下させることがなく、製造に要するエネルギーを低減することができる。

0032

以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例おいては、図1に示すスタティックミキサー2を備えるベルト型反応器(実施例)又は図4に示すローターミキサー102を備えるベルト型反応器(比較例)を使用して、重合工程で得たポリ酢酸ビニルを鹸化し、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂を得た。

0033

具体的には、実施例1〜5では、1エレメントあたりの圧力損失が異なる2種類のスタティックミキサーA(圧力損失高),B(圧力損失低)を使用し、下記表1に示す条件で、鹸化原料溶液であるポリ酢酸ビニル・メタノール溶液(濃度:37.5質量%)と、鹸化触媒溶液である水酸化ナトリウム・メタノール溶液(濃度:3質量%)を混合した。一方、比較例1では、ケーシングとローターにピンを配置したローターミキサーを使用し、回転数を650rpmにして、下記表1に示す条件で、ポリ酢酸ビニル・メタノール溶液(濃度:37.5質量%)と、水酸化ナトリウム・メタノール溶液(濃度:1.5質量%)とを混合した。

0034

0035

なお、上記表1に示す粘度は、CVレオメーターを使用し、モード:Viscometry Modeマルチ剪断速度測定、温度:40℃、濃度:37.5質量%、コーン:CP4°/40mm、剪断速度:1〜1000s−1、Delay:5〜15秒、Integration:10秒にして、測定した値である。また、モーター動力は、モーター効率を0.6として計算した値である。更に、CoV(Coefficient of Variation)は、ミキサー出口における偏差定数(σ√X)である。

0036

次に、前述した方法及び条件で混合した混合物を、ベルト3,103上に載置し、40℃の温度条件下で、30分保持して、鹸化反応を進行させた。その後、濾過・乾燥を行い、実施例1〜5及び比較例1のPVA樹脂を得た。

0037

そして、実施例1及び比較例1のPVA樹脂について、赤外分光(IR:Infrared Spectroscopy)法により鹸化度分布を測定した。具体的には、1回反射形全反射測定装置(ZnSeプリズム)を備えた島津製作所FT−IR8400装置を使用して、任意に抽出したPVA粒子50粒について一粒毎にIR測定を行い、下記数式1に示す計算式を用いて、それぞれの鹸化度を求めた。なお、下記数式1におけるD1730は波数1730cm−1の吸光度であり、D844は波数844cm−1の吸光度である。

0038

0039

図3は横軸に鹸化度、縦軸に頻度数をとって、実施例1及び比較例1のPVA樹脂における鹸化度分布を示すヒストグラムである。図3に示すように、混合にスタティックミキサーを使用した場合でも、ローターミキサーを使用した場合と同等の鹸化度分布をもつPVA樹脂が得られた。

0040

一方、ローターミキサーを使用して、年間で8000時間稼働させると想定した場合、表1に示すようにモーター動力が33kWであるため、年間動力は約260MWHとなる。これに対して、混合機をスタティックミキサーにすることにより、この動力の全てを削減することができる。また、表1に示すように、ローターミキサーで混合した場合、4℃の混合熱が発生したが、スタティックミキサーで混合すると、混合熱は発生しなかった。

実施例

0041

以上の結果から、混合機にスタティックミキサーを使用し、鹸化原料溶液が通流する流路の中心部に、鹸化触媒溶液を導入することにより、従来よりも少ないエネルギーで、従来と同等以上の品質のPVA樹脂を製造することが可能であることが確認された。

0042

1流路
2スタティックミキサー
3、103ベルト
4、104 混合物
5鹸化触媒導入管
5a 導入口
101混合容器
102ローターミキサー

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