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技術 偏光変換素子

出願人 株式会社リコー
発明者 伊藤泉
出願日 2010年3月9日 (11年11ヶ月経過) 出願番号 2010-052409
公開日 2011年9月22日 (10年5ヶ月経過) 公開番号 2011-186252
状態 未査定
技術分野 偏光要素 回折格子、ホログラム光学素子
主要キーワード 円柱構造 電気振動 磁気振動 プリズム領域 サブ波長構造体 無機ガラス材 構造周期 光学結晶材料
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

小型化可能であって低コストで製造することが可能な偏光変換素子を提供する。

解決手段

入射した光を2つの方向に偏向させ出射させるものであって、前記2つの方向のうち、一方の方向に偏向させる第1の領域11aと、他方の方向に偏向させる第2の領域11bとが、各々所定の幅で交互に形成された第1の偏向部11と、相互に直交する偏光成分の光を異なる角度で出射させる偏光分離部12と、異なる入射角度の光を略同一の方向の出射角度の光として出射する第2の偏向部14と、1/4位相差部が、前記所定の幅で、前記所定の幅と同じ長さの間隔で形成されている偏光回転部15と、を有し、前記偏光分離部と前記第2の偏向部とは所定のギャップ間隔で配置され、前記第1の偏向部、前記偏光分離部、前記第2の偏向部、前記偏光回転部は、すべて各々透明な基板面に、または、透明な基板上に形成された膜構造により形成されている偏光変換素子。

概要

背景

従来の偏光変換素子について、以下に記載する偏光変換素子の要素技術に基づき説明する。

偏光とは、光の電気振動(または、電気信号に直交する磁気振動)の振動方向がランダムな状態である白色光に対し、振動の方向が揃っている光である。

代表的な、偏光制御素子として偏光選択素子があり、例えば、偏光板がある。この偏光板は、自然偏光や偏光した光から特定の偏光成分を取り出す素子であり、入射光の直交する偏光の二成分の一方のみを透過させ、他方を吸収または反射散乱させることにより遮蔽するものである。現在広く使われている液晶パネルにおいては、偏光板を用いることにより画像表示させている。このような偏光板は、ヨウ素や有機染料等を含ませた高分子フィルムを特定方向に延伸させることにより形成されるものであり、一定方向の直線偏光の光だけを透過させ、この直線偏光の光に直交する偏光の光を吸収する構成のフィルム型の偏光板が広く実用化されている(例えば、特許文献1)。

また、別の偏光制御素子として、偏光分離素子がある。偏光分離素子は、入射角度に対して二つの偏光成分における反射率透過率の違いを利用して、各偏光成分出射角度を分離する機能を有する素子である。

一例として、結晶複屈折性を利用したプリズム型偏光子が知られている。複屈折を利用する偏光子は、光学結晶材料により形成されており、通常、ルチル方解石等の高価な結晶をくさび形またはプリズム型に精密に加工をすることにより形成される。このようにして形成された素子は、極めて高価であり、また、所定の大きさを必要とするため小型化が困難であり、使用できる波長領域に制限がある等の課題があった。

このような結晶を用いた素子に対して、分離性能は劣るものの安価に入手することができるものとして、誘電体多層膜を用いた偏光ビームスプリッタがある。このような偏光ビームスプリッタとしては、ガラス製のプリズム面基板面に、誘電体多層膜を積層したものが知られている。膜のそれぞれの界面においてブリュースター角となるように、膜の構造や、入射角を設定することにより、P偏光入射面に平行な偏光)は多層膜を透過し、S偏光(入射面に垂直な偏光)は反射するため、偏光方向に応じて光を分離することができる。

また別の偏光制御素子として、1/2波長板や1/4波長板等のようにリタデーションプレートとして用いられているものがある。リタデーションプレートは、複屈折性の材料により形成されており、結晶の配向に依存した常光線異常光線との屈折率の違いにより、偏光状態変調するものである。この常光線と異常光線との光路差が波長の1/2となるものが1/2波長板(half-wave plate)であり、波長の1/4となるものが1/4波長板(quarter-wave plate)である。このような複屈折性を示す材料としては、液晶プロジェクタ等の映像機器に広く用いられている高分子フィルムが挙げられる。このような高分子フィルムは、ポリビニルアルコールポリカーボネート透明フィルムを一定方向に延伸させて位相差を形成し、これをリターダンス(屈折率異方性)が得られるように積層させたものが一般的である。しかしながら、このような樹脂フィルムは、紫外線に対して影響を受けやすく、また、長時間使用することにより特性が劣化し、透明度が低下する等の信頼性において問題を有している。また、使用する際の温度条件が厳しく、液晶プロジェクタ等で使用する場合、使用環境における温度上昇を防ぐため、空冷のための冷却機構等を設ける必要がある。しかしながら、このような冷却機構等を用いた場合、偏光制御素子や光学系に埃等が付着し表示される画像の品質を低下させてしまう。

更に、別の例として旋光素子がある。旋光素子は、直線偏光の偏光面を任意に回転させ、直線偏光のまま出射させる素子である。このような偏光制御素子は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイにおける画素オンオフの制御に用いられる。この他の用途としては、エリプソメトリー偏光解析)等の光測定技術や、レーザ干渉計光シャッタ等が挙げられ、様々な光学機器又は計測機器に用いられている。特に、液晶プロジェクタ等の画像投影装置に用いられるものとして、旋光素子の需要伸びている。

液晶パネル等に用いられる偏光選択素子の多くは、ポリビニルアルコール等の基板フィルムにヨウ素や有機染料等の二色性の材料を染色、吸着させ、延伸、配向させることで吸収二色性を得ることができるものである。

ところで、上述した1/2波長板における問題点を解決する方法として、高分子フィルムに代えて、無機ガラス材料を用いた位相変調素子がある。具体的には、屈折率の異なる2つの媒質(例えば、一方が空気で、他方が等方性媒質)が光の波長よりも短い周期構造を持つような構造であるサブ波長構造(SWS:Sub Wavelength Structure)を有する光学素子が広く開発されている。このような光の波長よりも短い周期構造に関する技術としては、特許文献2から4、非特許文献1に記載されている。

このサブ波長構造を有する光学素子は、波長以上の周期を有する構造体により形成される回折光学素子とは、原理的に大きく異なる特性を有しており、特に、周期が光の波長よりも短い回折格子は、サブ波長回折格子と称されている。その中でも、更に周期が短く透過、反射ともに0次回折光しか出現しない周期を有する格子は0次格子と称されている。このような0次格子は、高次回折光が存在しないため、高次回折光により発生するエネルギー損失がない。よって、光利用効率の高い光学素子である。

このようにサブ波長構造の光学素子を透過した0次回折光は、格子構造に起因する屈折率変化により位相変調が生じることが知られている。例えば、構造周期を一定とし、単位周期あたりの凹部と凸部の面積比を変調(フィルファクター変調)することにより、透過光の波面を制御し、透過光を集光する素子が実現されている。

また、特許文献2では、同様に周期構造のフィルファクター変調をし、かつ、構造体の領域を分割することで、空間的に位相を変調した構造の回折光学素子が開示されている。

また、特許文献3では、円柱状のサブ波長構造体を用い、同様に単位面積当たり円柱構造が占める面積を変調することにより得られる位相変調光学素子が開示されている。

また、偏光選択素子としては、ワイヤグリッド構造等の微細周期構造を用いたものがある。無機材料による偏光制御素子としては、透明基板に、金やアルミニウム細線を形成したワイヤグリッド偏光子が提案されている。このような偏光子は、量産性が高く、低コストでの製造することができ、耐熱性に優れている。この偏光子は数μmの波長の赤外光に対して、機能する偏光素子として知られていたが、近年の微細加工技術が進歩したため、特許文献5に示されるような可視波長(400〜700nm)においても機能するワイヤグリッド構造が開示されている。

ところで、偏光変換素子は、上述した偏光制御素子を組み合わせることにより形成されるものであり、光利用効率の向上のために広く利用されている。このような偏光変換素子は、ランプ光源またはLED(Light Emitting Diode)光源等から出射されるランダム偏光成分を直交する二つの偏光成分に分離して、一方の直線偏光成分の偏光面を90度回転させ、偏光成分を特定の偏光方向に揃える機能を有している。これにより、特定方向の偏光に対し50%以上の光利用効率を得ることができ、よって、特定方向の直線偏光を用いる光学機器において用いることが好ましい。

このような素子としては、特許文献6等に示されるように偏光分離光路分岐した偏光成分をレンズアレイにて集光し、特定の偏光成分のみ偏光回転部を透過させて偏光方向を揃える素子と、特許文献7等に示されるように偏光ビームスプリッタアレイと偏光回転部を用いる素子とがある。

概要

小型化可能であって低コストで製造することが可能な偏光変換素子を提供する。入射した光を2つの方向に偏向させ出射させるものであって、前記2つの方向のうち、一方の方向に偏向させる第1の領域11aと、他方の方向に偏向させる第2の領域11bとが、各々所定の幅で交互に形成された第1の偏向部11と、相互に直交する偏光成分の光を異なる角度で出射させる偏光分離部12と、異なる入射角度の光を略同一の方向の出射角度の光として出射する第2の偏向部14と、1/4位相差部が、前記所定の幅で、前記所定の幅と同じ長さの間隔で形成されている偏光回転部15と、を有し、前記偏光分離部と前記第2の偏向部とは所定のギャップ間隔で配置され、前記第1の偏向部、前記偏光分離部、前記第2の偏向部、前記偏光回転部は、すべて各々透明な基板面に、または、透明な基板上に形成された膜構造により形成されている偏光変換素子。

目的

本発明は、上記従来技術に鑑み、小型化可能であって低コストで製造することが可能な偏光変換素子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

入射した光を2つの方向に偏向させ出射させるものであって、前記2つの方向のうち、一方の方向に偏向させる第1の領域と、他方の方向に偏向させる第2の領域とが、各々所定の幅で交互に形成された第1の偏向部と、相互に直交する偏光成分の光を異なる角度で出射させる偏光分離部と、異なる入射角度の光を略同一の方向の出射角度の光として出射する第2の偏向部と、1/4位相差部が、前記所定の幅で、前記所定の幅と同じ長さの間隔で形成されている偏光回転部と、を有し、前記偏光分離部と前記第2の偏向部とは所定のギャップ間隔で配置され、前記第1の偏向部に入射する光の光軸方向、前記一方の方向及び前記他方の方向は、すべて同一面における方向であって、前記他方の方向は、前記光軸を介し、前記一方の方向とは反対方向となるものであって、前記第1の偏向部、前記偏光分離部、前記第2の偏向部、前記偏光回転部は、すべて各々透明な基板面に形成されていること、または、透明な基板上に形成された膜構造により形成されていることを特徴とする偏光変換素子

請求項2

光を透過する第1の基板と第2の基板とを有し、前記第1の基板の一方の面には、入射した光を2つの方向に偏向させて光を出射させるものであって、前記2つの方向のうち、一方の方向に偏向させる第1の領域と、他方の方向に偏向させる第2の領域とが、各々所定の幅で交互に配置された第1の偏向部が形成されており、前記第1の基板の他方の面には、相互に直交する偏光成分の光を異なる角度で出射させる偏光分離部が形成されており、前記第2の基板の一方の面には、異なる入射角度の光を略同一の方向の出射角度の光として出射する第2の偏向部が形成されており、前記第2の基板の他方の面には、1/4位相差部が、前記所定の幅で、前記所定の幅と同じ長さの間隔で形成されている偏光回転部が形成されており、前記第1の基板の他方の面と前記第2の基板の一方の面とは所定のギャップ間隔で対向して配置されており、前記第1の偏向部に入射する光の光軸方向、前記一方の方向及び前記他方の方向は、すべて同一面における方向であって、前記他方の方向は、前記光軸を介し、前記一方の方向とは反対方向となるものであることを特徴とする偏光変換素子。

請求項3

前記光軸と前記一方の方向となす角は、前記光軸と前記他方の方向のなす角と等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の偏光変換素子。

請求項4

前記ギャップ間隔の間隔Cは、Wを前記所定の幅、θを前記光軸と前記一方の方向または前記他方の方向となす角とした場合に、C=W/(2×tanθ)であることを特徴とする請求項3に記載の偏光変換素子。

請求項5

前記偏光分離部は、前記相互に直交する偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を直進させ、他方の偏光成分の光を偏向させるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項6

前記偏光分離部には、前記入射する光の波長以下、または、同程度の周期を有する回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項7

前記偏光分離部は、前記偏光分離部に入射した光の0次回折光、1次回折光を出射するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項8

前記第1の偏向部における前記第1の領域及び前記第2の領域には、前記基板面に対して傾斜を有する屈折面が各々形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項9

前記第1の偏向部における前記第1の領域及び前記第2の領域には、前記入射した光を各々異なる方向に偏向させるための回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項10

前記第2の偏向部には、前記入射する光の波長よりも長い周期を有する回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項11

前記第2の偏向部より出射した相互に直交する偏光成分の光のうち、一方の偏光成分の光を前記1/4位相差部に入射させ、他方の偏光成分の光を前記1/4位相差部の形成されていない領域に入射させるように、前記偏光回転部が設置されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項12

前記偏光回転部より出射した光を入射させ、所定の偏光方向の光のみを出射させる偏光選択部が設けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の偏光変換素子。

請求項13

前記偏光選択部は、前記入射する光の波長よりも短い周期の金属細線構造により形成されていることを特徴とする請求項12に記載の偏光変換素子。

技術分野

0001

本発明は、偏光変換素子に関する。

背景技術

0002

従来の偏光変換素子について、以下に記載する偏光変換素子の要素技術に基づき説明する。

0003

偏光とは、光の電気振動(または、電気信号に直交する磁気振動)の振動方向がランダムな状態である白色光に対し、振動の方向が揃っている光である。

0004

代表的な、偏光制御素子として偏光選択素子があり、例えば、偏光板がある。この偏光板は、自然偏光や偏光した光から特定の偏光成分を取り出す素子であり、入射光の直交する偏光の二成分の一方のみを透過させ、他方を吸収または反射散乱させることにより遮蔽するものである。現在広く使われている液晶パネルにおいては、偏光板を用いることにより画像表示させている。このような偏光板は、ヨウ素や有機染料等を含ませた高分子フィルムを特定方向に延伸させることにより形成されるものであり、一定方向の直線偏光の光だけを透過させ、この直線偏光の光に直交する偏光の光を吸収する構成のフィルム型の偏光板が広く実用化されている(例えば、特許文献1)。

0005

また、別の偏光制御素子として、偏光分離素子がある。偏光分離素子は、入射角度に対して二つの偏光成分における反射率透過率の違いを利用して、各偏光成分出射角度を分離する機能を有する素子である。

0006

一例として、結晶複屈折性を利用したプリズム型偏光子が知られている。複屈折を利用する偏光子は、光学結晶材料により形成されており、通常、ルチル方解石等の高価な結晶をくさび形またはプリズム型に精密に加工をすることにより形成される。このようにして形成された素子は、極めて高価であり、また、所定の大きさを必要とするため小型化が困難であり、使用できる波長領域に制限がある等の課題があった。

0007

このような結晶を用いた素子に対して、分離性能は劣るものの安価に入手することができるものとして、誘電体多層膜を用いた偏光ビームスプリッタがある。このような偏光ビームスプリッタとしては、ガラス製のプリズム面基板面に、誘電体多層膜を積層したものが知られている。膜のそれぞれの界面においてブリュースター角となるように、膜の構造や、入射角を設定することにより、P偏光入射面に平行な偏光)は多層膜を透過し、S偏光(入射面に垂直な偏光)は反射するため、偏光方向に応じて光を分離することができる。

0008

また別の偏光制御素子として、1/2波長板や1/4波長板等のようにリタデーションプレートとして用いられているものがある。リタデーションプレートは、複屈折性の材料により形成されており、結晶の配向に依存した常光線異常光線との屈折率の違いにより、偏光状態変調するものである。この常光線と異常光線との光路差が波長の1/2となるものが1/2波長板(half-wave plate)であり、波長の1/4となるものが1/4波長板(quarter-wave plate)である。このような複屈折性を示す材料としては、液晶プロジェクタ等の映像機器に広く用いられている高分子フィルムが挙げられる。このような高分子フィルムは、ポリビニルアルコールポリカーボネート透明フィルムを一定方向に延伸させて位相差を形成し、これをリターダンス(屈折率異方性)が得られるように積層させたものが一般的である。しかしながら、このような樹脂フィルムは、紫外線に対して影響を受けやすく、また、長時間使用することにより特性が劣化し、透明度が低下する等の信頼性において問題を有している。また、使用する際の温度条件が厳しく、液晶プロジェクタ等で使用する場合、使用環境における温度上昇を防ぐため、空冷のための冷却機構等を設ける必要がある。しかしながら、このような冷却機構等を用いた場合、偏光制御素子や光学系に埃等が付着し表示される画像の品質を低下させてしまう。

0009

更に、別の例として旋光素子がある。旋光素子は、直線偏光の偏光面を任意に回転させ、直線偏光のまま出射させる素子である。このような偏光制御素子は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイにおける画素オンオフの制御に用いられる。この他の用途としては、エリプソメトリー偏光解析)等の光測定技術や、レーザ干渉計光シャッタ等が挙げられ、様々な光学機器又は計測機器に用いられている。特に、液晶プロジェクタ等の画像投影装置に用いられるものとして、旋光素子の需要伸びている。

0010

液晶パネル等に用いられる偏光選択素子の多くは、ポリビニルアルコール等の基板フィルムにヨウ素や有機染料等の二色性の材料を染色、吸着させ、延伸、配向させることで吸収二色性を得ることができるものである。

0011

ところで、上述した1/2波長板における問題点を解決する方法として、高分子フィルムに代えて、無機ガラス材料を用いた位相変調素子がある。具体的には、屈折率の異なる2つの媒質(例えば、一方が空気で、他方が等方性媒質)が光の波長よりも短い周期構造を持つような構造であるサブ波長構造(SWS:Sub Wavelength Structure)を有する光学素子が広く開発されている。このような光の波長よりも短い周期構造に関する技術としては、特許文献2から4、非特許文献1に記載されている。

0012

このサブ波長構造を有する光学素子は、波長以上の周期を有する構造体により形成される回折光学素子とは、原理的に大きく異なる特性を有しており、特に、周期が光の波長よりも短い回折格子は、サブ波長回折格子と称されている。その中でも、更に周期が短く透過、反射ともに0次回折光しか出現しない周期を有する格子は0次格子と称されている。このような0次格子は、高次回折光が存在しないため、高次回折光により発生するエネルギー損失がない。よって、光利用効率の高い光学素子である。

0013

このようにサブ波長構造の光学素子を透過した0次回折光は、格子構造に起因する屈折率変化により位相変調が生じることが知られている。例えば、構造周期を一定とし、単位周期あたりの凹部と凸部の面積比を変調(フィルファクター変調)することにより、透過光の波面を制御し、透過光を集光する素子が実現されている。

0014

また、特許文献2では、同様に周期構造のフィルファクター変調をし、かつ、構造体の領域を分割することで、空間的に位相を変調した構造の回折光学素子が開示されている。

0015

また、特許文献3では、円柱状のサブ波長構造体を用い、同様に単位面積当たり円柱構造が占める面積を変調することにより得られる位相変調光学素子が開示されている。

0016

また、偏光選択素子としては、ワイヤグリッド構造等の微細周期構造を用いたものがある。無機材料による偏光制御素子としては、透明基板に、金やアルミニウム細線を形成したワイヤグリッド偏光子が提案されている。このような偏光子は、量産性が高く、低コストでの製造することができ、耐熱性に優れている。この偏光子は数μmの波長の赤外光に対して、機能する偏光素子として知られていたが、近年の微細加工技術が進歩したため、特許文献5に示されるような可視波長(400〜700nm)においても機能するワイヤグリッド構造が開示されている。

0017

ところで、偏光変換素子は、上述した偏光制御素子を組み合わせることにより形成されるものであり、光利用効率の向上のために広く利用されている。このような偏光変換素子は、ランプ光源またはLED(Light Emitting Diode)光源等から出射されるランダム偏光成分を直交する二つの偏光成分に分離して、一方の直線偏光成分の偏光面を90度回転させ、偏光成分を特定の偏光方向に揃える機能を有している。これにより、特定方向の偏光に対し50%以上の光利用効率を得ることができ、よって、特定方向の直線偏光を用いる光学機器において用いることが好ましい。

0018

このような素子としては、特許文献6等に示されるように偏光分離光路分岐した偏光成分をレンズアレイにて集光し、特定の偏光成分のみ偏光回転部を透過させて偏光方向を揃える素子と、特許文献7等に示されるように偏光ビームスプリッタアレイと偏光回転部を用いる素子とがある。

発明が解決しようとする課題

0019

しかしながら、このような素子の場合、複数の偏光制御素子を必要とし、光学素子の数を削減することが困難なことから、高価なものとなり、更には、大型化する傾向にある。

0020

即ち、特許文献6等に記載されている素子の場合、レンズ等による収束拡散光学系であり、光路長が長くなることから素子全体の構成が大型なものとなってしまい、小型化することは困難である。また、レンズ光学系アライメントが煩雑であることから、素子の製造コストが高くなるという問題点を有している。また、特許文献7等に記載されているものの場合、主にキューブプリズムアレイにより構成されるが、プリズム自体が高価であること、アレイ化のための接着工程を行う必要があることから、製造コストが高く非常に高価な素子となってしまう。また、プリズムアレイは一定の大きさを必要とするため、小型化には限界があり、また、接着剤により接着しているものであるため、外部環境による影響も受けやすく、経時的な性能の劣化も生じやすい。

0021

よって、本発明は、上記従来技術に鑑み、小型化可能であって低コストで製造することが可能な偏光変換素子を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0022

本発明は、入射した光を2つの方向に偏向させ出射させるものであって、前記2つの方向のうち、一方の方向に偏向させる第1の領域と、他方の方向に偏向させる第2の領域とが、各々所定の幅で交互に形成された第1の偏向部と、相互に直交する偏光成分の光を異なる角度で出射させる偏光分離部と、異なる入射角度の光を略同一の方向の出射角度の光として出射する第2の偏向部と、1/4位相差部が、前記所定の幅で、前記所定の幅と同じ長さの間隔で形成されている偏光回転部と、を有し、前記偏光分離部と前記第2の偏向部とは所定のギャップ間隔で配置され、前記第1の偏向部に入射する光の光軸方向、前記一方の方向及び前記他方の方向は、すべて同一面における方向であって、前記他方の方向は、前記光軸を介し、前記一方の方向とは反対方向となるものであって、前記第1の偏向部、前記偏光分離部、前記第2の偏向部、前記偏光回転部は、すべて各々透明な基板面に形成されていること、または、透明な基板上に形成された膜構造により形成されていることを特徴とする。

0023

また、本発明は、光を透過する第1の基板と第2の基板とを有し、前記第1の基板の一方の面には、入射した光を2つの方向に偏向させて光を出射させるものであって、前記2つの方向のうち、一方の方向に偏向させる第1の領域と、他方の方向に偏向させる第2の領域とが、各々所定の幅で交互に配置された第1の偏向部が形成されており、前記第1の基板の他方の面には、相互に直交する偏光成分の光を異なる角度で出射させる偏光分離部が形成されており、前記第2の基板の一方の面には、異なる入射角度の光を略同一の方向の出射角度の光として出射する第2の偏向部が形成されており、前記第2の基板の他方の面には、1/4位相差部が、前記所定の幅で、前記所定の幅と同じ長さの間隔で形成されている偏光回転部が形成されており、前記第1の基板の他方の面と前記第2の基板の一方の面とは所定のギャップ間隔で対向して配置されており、前記第1の偏向部に入射する光の光軸方向、前記一方の方向及び前記他方の方向は、すべて同一面における方向であって、前記他方の方向は、前記光軸を介し、前記一方の方向とは反対方向となるものであることを特徴とする。

0024

また、本発明は、前記光軸と前記一方の方向となす角は、前記光軸と前記他方の方向のなす角と等しいことを特徴とする。

0025

また、本発明は、前記ギャップ間隔の間隔Cは、Wを前記所定の幅、θを前記光軸と前記一方の方向または前記他方の方向となす角とした場合に、C=W/(2×tanθ)であることを特徴とする。

0026

また、本発明は、前記偏光分離部は、前記相互に直交する偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を直進させ、他方の偏光成分の光を偏向させるものであることを特徴とする。

0027

また、本発明は、前記偏光分離部には、前記入射する光の波長以下、または、同程度の周期を有する回折格子が形成されていることを特徴とする。

0028

また、本発明は、前記偏光分離部は、前記偏光分離部に入射した光の0次回折光、1次回折光を出射するものであることを特徴とする。

0029

また、本発明は、前記第1の偏向部における前記第1の領域及び前記第2の領域には、前記基板面に対して傾斜を有する屈折面が各々形成されていることを特徴とする。

0030

また、本発明は、前記第1の偏向部における前記第1の領域及び前記第2の領域には、前記入射した光を各々異なる方向に偏向させるための回折格子が形成されていることを特徴とする。

0031

また、本発明は、前記第2の偏向部には、前記入射する光の波長よりも長い周期を有する回折格子が形成されていることを特徴とする。

0032

また、本発明は、前記第2の偏向部より出射した相互に直交する偏光成分の光のうち、一方の偏光成分の光を前記1/4位相差部に入射させ、他方の偏光成分の光を前記1/4位相差部の形成されていない領域に入射させるように、前記偏光回転部が設置されていることを特徴とする。

0033

また、本発明は、前記偏光回転部より出射した光を入射させ、所定の偏光方向の光のみを出射させる偏光選択部が設けられていることを特徴とする。

0034

また、本発明は、前記偏光選択部は、前記入射する光の波長よりも短い周期の金属細線構造により形成されていることを特徴とする。

発明の効果

0035

本発明によれば、小型化可能であって低コストで製造することが可能な偏光変換素子を提供することができる。

図面の簡単な説明

0036

第1の実施の形態における偏光変換素子の構造図
第1の実施の形態における偏光変換素子の説明図
第1の偏向部の説明図
プリズム領域に形成されている第1の偏向部の構造図
回折格子領域に形成されている第1の偏向部の構造図
偏光分離部の構造図
偏光分離部の説明図
第2の偏向部の構造図
第2の偏向部の説明図
偏光回転部の構造図
偏光回転部における1/4位相差部を回折格子で形成した場合の説明図
第1の偏向部と偏光回転部の位置関係の説明図
偏光回転部の説明図
第2の実施の形態における偏光変換素子の構造図
第3の実施の形態における偏光変換素子の構造図
第3の実施の形態における他の偏光変換素子の構造図

実施例

0037

本発明の実施の形態について説明する。

0038

〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態は、偏光変換素子であり、光源から発せられたランダムな偏光方向の入射光を所定の方向の直線偏光の出射光として出射する素子である。

0039

図1に基づき本実施の形態における偏光変換素子について説明する。本実施の形態における偏光変換素子は、第1の偏向部11、偏光分離部12、第2の偏向部14、偏光回転部15を有しており、偏光分離部12と第2の偏向部14との間には、ギャップ領域13が設けられている。図2は、本実施の形態における偏光変換素子内における光の状態を示すものである。尚、この偏光変換素子に入射する入射光21は、S偏光とP偏光の混在した光、また、光源等により発せられた偏光方向がランダムな光である。

0040

図3に示すように、第1の偏向部11は、例えば、ガラス等の透明基板上に複数の第1の領域11aと第2の領域11bとが形成されており、第1の領域11a及び第2の領域11bにおける各々幅はWとなるように形成されている。第1の領域11aに入射した光21aは、入射光21の光軸に対し図面上、左側に角度θ傾いた方向に光22aとして出射される。また、第2の領域11bに入射した光21bは、入射光21の光軸に対し図面上、右側に角度θ傾いた方向に光22bとして出射される。よって、第1の偏向部11における入射光21は、第1の領域11aと第2の領域11bとにおいて、入射光21の光軸を挟んで相互に異なる向きに傾いた方向に光22a及び光22bとして出射される。尚、出射される光22a及び光22bにおける入射光21の光軸に対する角度θは、20°〜70°の範囲内であることが好ましく、図2に示すように、45°となるように形成してもよい。本実施の形態では、第1の領域11aから出射される光22aの傾き角度と、第2の領域11bから出射される光22bの傾き角度とが、同じ角度θとなる場合について説明しているが、出射される光22aと22bとが光軸を挟んで反対方向となるものであればよく、相互に異なる角度となってもよい。また、Wの値は10μmから100μm程度であることが好ましい。

0041

このような第1の偏向部11としては、例えば、図4に示すように、第1の領域11aと第2の領域11bとが、互いに異なる傾きに削られているプリズム領域31a、31bが複数形成されたものが挙げられる。また、図5に示すように、第1の領域11aと第2の領域11bとが、回折格子領域41a、41bにより形成されており、この回折格子領域41a、41bにより、入射光21の光軸を挟んで相互に異なる向きに傾いた方向に光22a及び光22bとして出射するものであってもよい。尚、回折格子領域41a、41bは、図5には三角形の形状の回折格子が記載されているが、回折格子領域41a及び41bは、三角形の形状に限定されるものではなく、矩形形状の幅等を変調するデジタルブレーズ形状であってもよい。

0042

このような第1の偏向部11は、ガラス基板直接形成されるものであるか、またはガラス基板上に形成されるものである。具体的には、第1の偏向部11は、ガラス基板を加工することにより形成されたものであってもよく、また、ガラス基板上にTiO2等の膜等を形成し、このTiO2等の膜を加工することにより、図5に示すような回折格子領域41a及び41bを形成したものであってもよい。

0043

このようにして、第1の偏向部11に入射した光21は、第1の領域11aから出射される光22aと、第2の領域11bから出射される光22bとして出射される。このように出射される光22aと光22bは、入射光21の光軸を挟んで相互に異なる向きに傾いた方向に出射される。

0044

次に、偏光分離部12について説明する。偏光分離部12は、偏光分離部12に入射した光に対し、0次光と1次回折光を出射する機能を有している。例えば、図6に示されるように、偏光分離部12は、ガラス基板の表面に入射光21の波長λと略同程度の周期Aの回折格子が形成されているものであり、偏光分離板である。尚、この偏光分離部12においては、S偏光成分は1次光として2θ傾いた方向に出射するように、回折格子は所定の形状で形成されている。このような偏光分離部12に入射した光のうち、P偏光成分は0次光として、そのまま直進し、S偏光成分は1次光として2θ傾いた方向に出射する。

0045

図7に基づき、偏光分離部12について、より具体的に説明すると、第1の偏向部11の第1の領域11aから出射した光22aは、偏光分離部12に入射し、そのまま直進する0次光となるS偏光の光23aと、回折され1次光となるP偏光の光23bとして出射される。また、第1の偏向部11の第2の領域11bから出射した光22bは、偏光分離部12に入射し、そのまま直進する0次光となるS偏光の光23cと、回折され1次光となるP偏光の光23dとして出射される。ここで、1次光となるP偏光の光23bは、回折されるため角度2θ偏向して出射されるため、0次光となるS偏光の光23cと、同一方向の光となる。また、1次光となるP偏光の光23dは、回折されるため角度2θ偏向して出射されるため、0次光となるS偏光の光23aと、同一の方向となる。

0046

次に、第2の偏向部14について説明する。第2の偏向部14は、ガラス基板等により形成された第2の偏向板であり、偏光分離部12から出射した光23a、23b、23c、23dを入射させることにより、入射光21の光軸と略平行な方向に出射する機能を有している。

0047

例えば、図8に示されるように、第2の偏向部14は、ガラス基板上に入射光21の波長より長い周期Bの回折格子が形成されており、第2の偏向部14である第2の偏向板に垂直な方向に対しθで入射した光を第2の偏向板に垂直方向の光として出射させることができるものである。このため、第2の偏向部14に形成される回折格子の周期Bは、下記の(1)に示す式を満たすよう形成されている。尚、形成される格子の高さ等は透過効率が高くなるように形成されている。

B×sinθ=λ・・・・・(1)

また、図9に示されるように、この第2の偏向部14は、偏光分離部12より所定の距離Cだけ離れた位置に、偏光分離部12と略並行に設置する。これにより、偏光分離部12と第2の偏向部14との間の領域、即ち、距離Cだけ離れている領域がギャップ領域13となる。これにより、S偏光の光23aとS偏光の光23cとは、第2の偏向部14において略同じ位置または、近接する位置に入射させることができる。このように入射したS偏光の光23aとS偏光の光23cは合波されて、第2の偏向部14よりS偏光の光24aとして、入射光21の光軸と略平行な方向となる第2の偏向部14に略垂直方向に出射させることができる。同様に、P偏光の光23bとP偏光の光23dとについても、第2の偏向部14において略同じ位置または、近接する位置に入射させることができる。このように入射したP偏光の光23bとP偏光の光23dは合波されて、第2の偏向部14よりP偏光の光24bとして、入射光21の光軸と略平行な方向となる第2の偏向部14に略垂直方向に出射させることができる。

0048

尚、ギャップ領域13における距離Cは、第2の偏向部14において、S偏光の光23aとS偏光の光23cとが略同一の位置に入射し、更に、P偏光の光23bとP偏光の光23dとが略同一位置に入射するように、設定されていることが好ましく、具体的には、(2)に示す式を満たしていることが好ましい。

C=W/(2×tanθ)・・・・(2)

また、第2の偏向部14において、S偏光の光23aとS偏光の光23cとの入射位置、及び、P偏光の光23bとP偏光の光23dとの入射位置は、近接していれば同様の効果を得ることができるため、Cの値の範囲は、上述した(2)に示される式により得られる値を中心とし所定の幅を有していてもよい。また、上記説明では、ギャップ領域13は空間である場合について説明したが、ギャップ領域13は、透明な材料により形成される所定の厚さの誘電体基板等により形成したものであってもよい。

0049

次に、S偏光の光24aとP偏光の光24bは、偏光回転部15に入射する。偏光回転部15は、偏光方向を変えることなくそのまま透過させる第3の領域15aと偏光方向を変えて出射させる第4の領域15bにより形成されている。例えば、図10に示すように、ガラス基板51上の第4の領域15bに、1/4波長板等からなる1/4位相差部52を形成し第3の領域15aには1/4位相差部52が形成されていない構造のものである。この1/4位相差部52は、幅がWであって、間隔がWとなるように形成されている。即ち、第3の領域15aと第4の領域15bは、各々の幅がWとなるように形成されている。1/4位相差部52は、色素含有ポリマー等からなる通常の1/4位相差部を形成してもよく、また、サブ波長構造、位相変調構造、旋光素子等により形成することも可能である。小型化や透過効率の観点からは、サブ波長構造、位相変調構造、旋光素子等により形成することが好ましい。このため、偏光回転部15に形成される1/4位相差部52は、図11に示されるように、入射光21の波長λ以下の周期構造の回折格子により形成することが好ましい。

0050

また、図12に示されるように、偏光回転部15は、1/4位相差部52が、入射光21と平行な方向において、第1の偏向部11における第1の領域11aと第2の領域11bとの境界部分のうち、一方の境界部分53が、1/4位相差部52の略中央に位置するように設置される。よって、他方の境界部分54は、1/4位相差部52の間の領域の略中央に位置するように配置されている。これにより、図13に示されるように偏光回転部15に入射するS偏光の光24aは、そのままS偏光の光25aとして出射され、偏光回転部15に入射するP偏光の光24bは、偏光回転部15における1/4位相差部52を介しS偏光の光25bとなり出射される。従って、偏光回転部15より出射される光25(25a、25b)は、すべてS偏光の光となる。

0051

このようにして、本実施の形態における偏光変換素子は、P偏光とS偏光が混在した光、偏光方向がランダムである光を、所定の偏光方向の光として出射することができる。

0052

本実施の形態では、入射光21のうち、P偏光の光についても、S偏光の光に変換して出射光25として出射させることができるため、入射光に対し50%以上の光利用効率を得ることができる。

0053

また、第1の偏向部11、偏光分離部12、第2の偏向部14及び偏光回転部15の各々は、ガラス等の透明基板の表面を加工すること、または、ガラス等の透明基板にガラス等と異なる屈折率を有する膜を形成し、その膜を加工することにより得ることができるものである。即ち、本実施の形態における偏光変換素子を形成するための第1の偏向部11、偏光分離部12、第2の偏向部14及び偏光回転部15は、第1の偏向板、偏光分離板、第2の偏向板及び偏光回転板により形成されており、プリズム等の大型の部材を含むものではなく、作製の際に接着工程を必要とすることなく、光学的なアライメント等を行う必要もない。よって、本実施の形態における偏光変換素子では、容易に小型化にすることができ、また、低コストで製造することが可能である。

0054

尚、上述した説明では、出射される光25がS偏光の光として出射される場合につて説明したが、偏光回転部15が設置される位置を変えることにより、P偏光の光を出射する偏光変換素子とすることができる。具体的には、偏光回転部15における1/4位相差部52が形成されている領域の位置が、S偏光の光が出射される場合と逆となるように配置することにより、P偏光の光を出射することができる。

0055

また、上述した本実施の形態の説明では、第1の偏向部11、偏光分離部12、第2の偏向部14及び偏光回転部15を各々第1の偏向板、偏光分離板、第2の偏向板及び偏光回転板により形成したものについて説明したが、第1の偏向部11、偏光分離部12、第2の偏向部14及び偏光回転部15は、膜構造により形成することも可能である。例えば、基板上に、第1の偏向部11及び偏光分離部12について、各々を膜構造により所定の回折格子を形成し、同様に、第2の偏向部14及び偏光回転部15についても、各々を膜構造により所定の回折格子を形成した構造のものであってもよい。

0056

また、ギャップ領域13を透明なガラス基板により形成し、このガラス基板の一方の面に、偏光分離部12及び第1の偏向部11を膜構造により積層形成し、他方の面に、第2の偏向部14及び偏光回転部15を膜構造により形成したものであってもよい。

0057

〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる構成の偏光変換素子である。

0058

図14に基づき、本実施の形態における偏光変換素子について説明する。本実施の形態における偏光変換素子は、ガラス等からなる透明な基板である第1の基板61と第2の基板により形成されている。

0059

第1の基板61の一方の面には、入射した光を偏向するための第1の偏向領域71が形成されている。この第1の偏向領域71は、出射する光が相互に異なる方向となるように回折格子またはプリズム等の形状に加工された第1の領域71aと第2の領域71bとを有しており、第1の領域71aと第2の領域71bは、交互に幅がWとなるように形成されている。この第1の偏向領域71は、第1の実施の形態における第1の偏向部11としての機能を有するものである。また、第1の基板61の他方の面には、入射光21の波長λと程度の周期を有する回折格子が形成された偏光分離領域72が形成されている。この偏光分離領域72は、第1の実施の形態における偏光分離部12としての機能を有するものである。

0060

また、第2の基板62の一方の面には、入射光21の波長λよりも長い周期を有する回折格子が形成された第2の偏向領域74が形成されている。この第2の偏向領域74は、第1の実施の形態における第2の偏向部14としての機能を有するものである。また、第2の基板62の他方の面には、偏光回転領域75が形成されている。偏光回転領域75は、幅がWの1/4位相差部75aが、1/4位相差部75aの間隔がWとなるように形成されている。この偏光回転領域75は、第1の実施の形態における偏光回転領域15としての機能を有するものである。

0061

このような第1の基板61と第2の基板62は、第1の基板61の他方の面と第2の基板の一方の面とが対向するように配置され、第1の基板61と第2の基板62との間には、ギャップ領域73が形成される。このギャップ領域73は、第1の実施の形態におけるギャップ領域13と同様のものである。

0062

本実施の形態では、入射光21は第1の基板61の一方の面から入射して、第1の基板61の他方の面から出射し、更に、第2の基板62の一方の面に入射し、第2の基板62の他方の面から出射光25として出射する。よって、入射光21は、第1の偏向領域71、偏光分離領域72、ギャップ領域73、第2の偏向領域74及び偏光回転領域75を介し出射光25として出射される。

0063

本実施の形態では、2枚のガラス基板等により偏光変換素子を形成するため、より低コストで製造することができ、また、より小型化が可能である。

0064

〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における偏光変換素子は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態における偏光変換素子に偏光選択部80を設けた構造のものである。

0065

例えば、図15に示されるように、本実施の形態における偏光変換素子は、第1の実施の形態における偏光変換素子を構成する第1の偏向部11、偏光分離部12、第2の偏向部14、偏光回転部15に、更に、偏光選択部80を設けた構造のものである。尚、偏光分離部12と第2の偏向部14との間には、所定の間隔のギャップ領域13が設けられている。このような偏光変換素子においては、入射光21は、第1の偏向部11から入射させて、偏光選択部80より出射光26として出射させることができる。

0066

また、図16に示されるように、本実施の形態における偏光変換素子は、第2の実施の形態における偏光変換素子を構成する第1の基板61、第2の基板62に、更に、第2の基板62の偏光回転領域75が形成されている面側に、偏光選択部80を設けた構造のものである。尚、第1の基板61と第2の基板62との間には、所定の間隔のギャップ領域73が設けられている。このような偏光変換素子においては、入射光21は、第1の基板61から入射させて、偏光選択部80より出射光26として出射させることができる。

0067

偏光選択部80は、所定の方向の偏光を透過する偏光子であって、金属細線構造によるワイヤグリッド偏光子が好ましい。また、入射光21が可視領域の光(波長0.4μm〜0.7μm)である場合には、金属細線構造を形成する金属材料はアルミニウム(Al)が好ましい。

0068

このような偏光選択部80を最終段に配置することにより、特定の偏光成分をより高い消光比で得ることができる。

0069

以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。

0070

11 第1の偏向部
11a 第1の領域
11b 第2の領域
12偏光分離部
13ギャップ領域
14 第2の偏向部
15偏光回転部
15a 第3の領域
15b 第4の領域
21入射光
25出射光
31aプリズム領域
31b プリズム領域
41a回折格子領域
41b 回折格子領域
51ガラス基板
52 1/4位相差部
61 第1の基板
62 第2の基板
71 第1の偏向領域
72偏光分離領域
73 ギャップ領域
74 第2の偏向領域
75偏光回転領域
80偏光選択部

0071

特開2002−122733号公報
特開2001−318217号公報
特開2004−61905号公報
特開2005−10377号公報
特表2003−502708号公報
特開2000−171754号公報
特開2005−128241号公報

先行技術

0072

「Rigorous concept for the design of diffractive microlenses with high numerical apertures」Journal of the Optical Society of America A, Vol14(4),pp901-906 (1997))

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