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技術 脚式移動ロボットの歩容生成装置

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 織田豊生
出願日 2010年3月1日 (10年0ヶ月経過) 出願番号 2010-044700
公開日 2011年9月15日 (8年6ヶ月経過) 公開番号 2011-177835
状態 特許登録済
技術分野 マニプレータ・ロボット マニプレータ
主要キーワード 代表部位 弾性樹脂材 偏差成分 並進運動量 外力作用 今回時刻 端部リンク 移動開始時刻
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年9月15日)のものです。
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図面 (20)

課題

複数の接触対象面からロボット外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合に、ロボットに作用させるべき外力に関する目標を効率よく適切に決定する。

解決手段

ロボット1の動作環境の複数の接触対象面FL,WL1,WL2を仮想面S3a,S2a,S2bで近似し、ロボット1全体の目標運動のうちの並進運動を実現するために、仮想面S3a,S2a,S2bからロボット1に作用させるべき並進力(仮想面必要並進力)の暫定値を決定する。さらに、ロボット1全体の目標運動のうちの回転運動を実現するために、仮想面必要並進力の暫定値と組み合わせるモーメント補償量を決定し、この仮想面必要並進力の暫定値とモーメント補償量との組に基づいて各接触対象面からロボット1に作用させるべき目標外力及び目標外力作用点を決定する。

概要

背景

脚式移動ロボット(以下、単にロボットということがある)の目標歩容を生成する技術としては、例えば、本願出願人が提案した特許文献1、2に見られる技術等が従来より知られている。これらの技術は、2足歩行ロボット等の脚式移動ロボットを床上で歩行動作走行動作によって移動させるような目標歩容を生成する技術である。その目標歩容は、ロボットの基体脚リンク等の各部の運動(位置及び姿勢時系列パターン)を規定する目標運動と、ロボットに床から作用させる床反力やその作用点全床反力中心点)を規定する目標床反力とから構成される。

なお、ロボットの実際の動作制御を行う場合には、一般に、ロボットの実際の運動を目標運動に制御するだけでは、ロボットの実際の動作環境床形状等)と目標歩容で想定されていた動作環境との誤差等に起因して、目標運動を実現するために必要な外力をロボットに作用させることができない状況がしばしば発生する。そして、このような状況では、ロボットの運動の制御だけでなく、ロボットに外界(ロボットの動作環境)から作用させる外力の制御も必要となる。このため、ロボットの目標歩容には、一般に、ロボットの目標運動に加えて、上記目標床反力の如き、外力に関する目標も必要となる。

概要

複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合に、ロボットに作用させるべき外力に関する目標を効率よく適切に決定する。ロボット1の動作環境の複数の接触対象面FL,WL1,WL2を仮想面S3a,S2a,S2bで近似し、ロボット1全体の目標運動のうちの並進運動を実現するために、仮想面S3a,S2a,S2bからロボット1に作用させるべき並進力(仮想面必要並進力)の暫定値を決定する。さらに、ロボット1全体の目標運動のうちの回転運動を実現するために、仮想面必要並進力の暫定値と組み合わせるモーメント補償量を決定し、この仮想面必要並進力の暫定値とモーメント補償量との組に基づいて各接触対象面からロボット1に作用させるべき目標外力及び目標外力作用点を決定する。

目的

従って、このような目標歩容を効率よく適切に生成し得る技術の構築が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

脚式移動ロボット動作環境に存する互いに異なる複数の接触対象面に該ロボットの複数の部位を接触させながら、該ロボットの運動を行なわせるための該ロボットの目標運動と、該ロボットに作用させるべき外力に関する目標とを含む目標歩容を生成する歩容生成装置であって、前記ロボットの目標運動と前記複数の接触対象面のそれぞれから前記ロボットに作用する外力の作用点の各接触対象面での目標位置暫定値である暫定外力作用点とを生成する歩容基本要素生成手段と、相互の姿勢関係があらかじめ定められた複数の仮想面から成る仮想面群を用い、該仮想面群の複数の仮想面が前記複数の接触対象面に一致又は近似する面になるように、該仮想面群をロボットの動作環境の空間に仮想的に設定する仮想面群設定手段と、前記生成された目標運動に基づいて、該目標運動を実現するためにロボットに作用させるべきトータルの外力のうちの並進力成分である必要総並進外力と、該トータルの外力のうちの前記仮想面群に対して固定された所定の基準点周りでのモーメント成分である必要総モーメント外力とを決定する必要総外力決定手段と、前記決定された必要総並進外力を実現するために前記仮想面群の複数の仮想面のそれぞれから前記ロボットに作用させるべき並進力である仮想面必要並進力の暫定値を決定する手段であり、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力の合力が前記決定された必要総並進外力に一致するという第1必要条件と、各仮想面における仮想面必要並進力のうちの該仮想面に垂直な成分である仮想面垂直抗力成分と該仮想面に平行な成分である仮想面摩擦力成分とに関して、該仮想面摩擦力成分の大きさが、少なくとも該仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第1所定値以下になるという第2必要条件とを少なくとも満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定する暫定仮想面必要並進力決定手段と、前記決定された各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が、該仮想面に対応する前記接触対象面上の前記暫定外力作用点を該仮想面に投影してなる点である仮想面上暫定外力作用点に作用するものとして、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力によって前記所定の基準点周りに発生するトータルのモーメントである仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を算出する暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段と、前記決定された必要総モーメント外力と前記算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値との偏差であるモーメント偏差を算出し、該モーメント偏差を解消するための補償量として、1つ以上の前記仮想面上暫定外力作用点の修正量から成り、該修正量による修正後の各仮想面上暫定外力作用点が、該仮想面上暫定外力作用点が存在する仮想面に対応する前記接触対象面に設定された外力作用点存在許容領域を該仮想面に投影してなる仮想面上外力作用点許容領域に存するという外力作用点存在領域条件を満足する第1補償量と、2つ以上の前記仮想面における仮想面摩擦力成分の修正量から成り、該修正量の総和が“0”になる第2補償量と、1つ以上の前記仮想面に垂直な方向の軸周りで該仮想面からロボットに付加的に作用させるねじり力から成る第3補償量とのうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量を、前記モーメント偏差を用いて決定するモーメント補償量決定手段と、少なくとも前記各仮想面に対応して決定された前記仮想面必要並進力の暫定値と前記決定されたモーメント補償量とに基づき、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力と該目標外力の作用点の目標位置である目標外力作用点とを決定し、その決定した目標外力及び目標外力作用点を前記目標歩容の構成要素として出力する接触対象面目標外力・作用点決定手段とを備えることを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項2

請求項1記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記第1必要条件を満足するために、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分を除く成分に一致するという第1A必要条件と、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面摩擦力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分に一致するという第1B必要条件とを満足するように、前記各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項3

請求項2記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記必要総並進外力のうちの前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分が“0”でない場合において、前記第1A必要条件、前記第1B必要条件及び第2必要条件を満足しつつ、前記仮想面群の複数の仮想面のうちの前記仮想面垂直抗力成分が“0”でない各仮想面において、該仮想面に対応して設定された前記第1所定値が大きいほど、該仮想面の仮想面摩擦力成分の大きさが大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記複数の接触対象面は、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群は、当該2つの接触対象面に対応する仮想面として、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含んでおり、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記決定された必要総並進外力が前記2つの対向仮想面と直交する方向の成分である対向仮想面直交成分を有する場合に、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足することに加えて、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分のうち、小さい方の仮想面垂直抗力成分の大きさがあらかじめ設定された第2所定値以下になるという第3必要条件を満足するように、各仮想面における前記仮想面必要並進力の暫定値を決定することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記第1補償量を、前記外力作用点存在領域条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第1補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第2処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第2補償量及び第3補償量の両方又は一方を決定する第3処理手段とを備えることを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項6

請求項5記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記複数の接触対象面は、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群は、当該2つの接触対象面に対応する仮想面として、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含んでおり、前記第3処理手段が決定するモーメント補償量には、前記第2補償量が含まれ、該第3処理手段により前記第2補償量が決定された後、前記仮想面群の複数の仮想面のうち、前記決定された第2補償量による仮想面摩擦力成分の修正を行なう各仮想面において、該第2補償量による修正後の仮想面摩擦力成分の暫定値が、前記第2必要条件を満足するか否かを判断する第1判断手段と、該第1判断手段の判断結果が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、少なくとも前記第1必要条件を満足し、且つ、当該否定的となる仮想面を含む前記2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさが前記決定された仮想面必要並進力の暫定値における仮想面垂直抗力成分よりも大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を再決定する暫定仮想面必要並進力再決定手段とを備え、該暫定仮想面必要並進力再決定手段による仮想面必要並進力の暫定値の再決定が行なわれた場合に、前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段は、前記再決定された仮想面必要並進力の暫定値と前記第1処理手段により決定された第1補償量による修正後の仮想面上暫定外力作用点とを用いて前記仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を改めて算出し、前記モーメント補償量決定手段は、前記決定された必要総モーメント外力と前記改めて算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値とから改めて算出した前記モーメント偏差を用いて、前記モーメント補償量を決定する処理を改めて実行することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項7

請求項5記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記複数の接触対象面は、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群は、当該2つの接触対象面に対応する仮想面として、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含んでおり、前記第3処理手段が決定するモーメント補償量には、前記第3補償量が含まれ、該第3処理手段により前記第3補償量が決定された後、前記仮想面群の複数の仮想面のうち、前記決定された第3補償量により前記ねじり力を付加する各仮想面において、該第3補償量により該仮想面に付加されるねじり力の大きさが、少なくとも該仮想面における前記決定された仮想面必要並進力の暫定値の仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第3所定値以下になるという第4必要条件を満足するか否かを判断する第2判断手段と、該第2判断手段の判断結果が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、少なくとも前記第1必要条件を満足し、且つ、当該否定的となる仮想面を含む前記2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさが前記決定された仮想面必要並進力の暫定値の仮想面垂直抗力成分よりも大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を再決定する暫定仮想面必要並進力再決定手段とを備え、該暫定仮想面必要並進力再決定手段による仮想面必要並進力の暫定値の再決定が行なわれた場合に、前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段は、前記再決定された仮想面必要並進力の暫定値と前記第1処理手段により決定された第1補償量による修正後の仮想面上暫定外力作用点とを用いて前記仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を改めて算出し、前記モーメント補償量決定手段は、前記決定された必要総モーメント外力と前記改めて算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値とから改めて算出した前記モーメント偏差を用いて、前記モーメント補償量を決定する処理を改めて実行することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項8

脚式移動ロボットの動作環境に存する互いに異なる複数の接触対象面であり、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含む複数の接触対象面に該ロボットの複数の部位を接触させながら、該ロボットの運動を行なわせるための該ロボットの目標運動と、該ロボットに作用させるべき外力に関する目標とを含む目標歩容を生成する歩容生成装置であって、前記ロボットの目標運動と前記複数の接触対象面のそれぞれから前記ロボットに作用する外力の作用点の各接触対象面での目標位置の暫定値である暫定外力作用点とを生成する歩容基本要素生成手段と、相互の姿勢関係があらかじめ定められた複数の仮想面から成ると共に、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含む仮想面群を用い、該仮想面群の複数の仮想面が前記複数の接触対象面に一致又は近似する面になり、且つ、前記2つの対向仮想面が前記互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面に対応する仮想面となるように、該仮想面群をロボットの動作環境の空間に仮想的に設定する仮想面群設定手段と、前記生成された目標運動に基づいて、該目標運動を実現するためにロボットに作用させるべきトータルの外力のうちの並進力成分である必要総並進外力と、該トータルの外力のうちの前記仮想面群に対して固定された所定の基準点周りでのモーメント成分である必要総モーメント外力とを決定する必要総外力決定手段と、前記決定された必要総並進外力を実現するために前記仮想面群の複数の仮想面のそれぞれから前記ロボットに作用させるべき並進力である仮想面必要並進力の暫定値を決定する手段であり、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力の合力が前記決定された必要総並進外力に一致するという第1必要条件と、各仮想面における仮想面必要並進力のうちの該仮想面に垂直な成分である仮想面垂直抗力成分と該仮想面に平行な成分である仮想面摩擦力成分とに関して、該仮想面摩擦力成分の大きさが、少なくとも該仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第1所定値以下になるという第2必要条件とを少なくとも満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定する暫定仮想面必要並進力決定手段と、前記決定された各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が、該仮想面に対応する前記接触対象面上の前記暫定外力作用点を該仮想面に投影してなる点である仮想面上暫定外力作用点に作用するものとして、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力によって前記所定の基準点周りに発生するトータルのモーメントである仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を算出する暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段と、前記決定された必要総モーメント外力と前記算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値との偏差であるモーメント偏差を算出し、該モーメント偏差を解消するための補償量として、1つ以上の前記仮想面上暫定外力作用点の修正量から成り、該修正量による修正後の各仮想面上暫定外力作用点が、該仮想面上暫定外力作用点が存在する仮想面に対応する前記接触対象面に設定された外力作用点存在許容領域を該仮想面に投影してなる仮想面上外力作用点許容領域に存するという外力作用点存在領域条件を満足する第1補償量と、2つ以上の前記仮想面における仮想面摩擦力成分の修正量から成り、該修正量の総和が“0”になる第2補償量と、1つ以上の前記仮想面に垂直な方向の軸周りで該仮想面からロボットに付加的に作用させるねじり力から成る第3補償量と、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の総和を一定に保持しつつ、該対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の大きさを互いに同じ量だけ修正する修正量である第4補償量とのうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量を、前記モーメント偏差を用いて決定するモーメント補償量決定手段と、少なくとも前記各仮想面に対応して決定された前記仮想面必要並進力の暫定値と前記決定されたモーメント補償量とに基づき、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力と該目標外力の作用点の目標位置である目標外力作用点とを決定し、その決定した目標外力及び目標外力作用点を前記目標歩容の構成要素として出力する接触対象面目標外力・作用点決定手段とを備えることを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項9

請求項1記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記第1必要条件を満足するために、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分を除く成分に一致するという第1A必要条件と、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面摩擦力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分に一致するという第1B必要条件とを満足するように、前記各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項10

請求項9記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記必要総並進外力のうちの前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分が“0”でない場合において、前記第1A必要条件、前記第1B必要条件及び第2必要条件を満足しつつ、前記仮想面群の複数の仮想面のうちの前記仮想面垂直抗力成分が“0”でない各仮想面において、該仮想面に対応して設定された前記第1所定値が大きいほど、該仮想面の仮想面摩擦力成分の大きさが大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項11

請求項8〜10のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記決定された必要総並進外力が前記2つの対向仮想面と直交する方向の成分である対向仮想面直交成分を有する場合に、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足することに加えて、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分のうち、小さい方の仮想面垂直抗力成分の大きさがあらかじめ設定された第2所定値以下になるという第3必要条件を満足するように、各仮想面における前記仮想面必要並進力の暫定値を決定することを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

請求項12

請求項8〜11のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの歩容生成装置において、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記第1補償量を、前記外力作用点存在領域条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第1補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第2処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第2補償量と第3補償量と第4補償量とのうちの少なくとも1つの補償量を決定する第3処理手段とを備えることを特徴とする脚式移動ロボットの歩容生成装置。

技術分野

0001

本発明は、脚式移動ロボット目標歩容を生成する装置に関する。

背景技術

0002

脚式移動ロボット(以下、単にロボットということがある)の目標歩容を生成する技術としては、例えば、本願出願人が提案した特許文献1、2に見られる技術等が従来より知られている。これらの技術は、2足歩行ロボット等の脚式移動ロボットを床上で歩行動作走行動作によって移動させるような目標歩容を生成する技術である。その目標歩容は、ロボットの基体脚リンク等の各部の運動(位置及び姿勢時系列パターン)を規定する目標運動と、ロボットに床から作用させる床反力やその作用点全床反力中心点)を規定する目標床反力とから構成される。

0003

なお、ロボットの実際の動作制御を行う場合には、一般に、ロボットの実際の運動を目標運動に制御するだけでは、ロボットの実際の動作環境床形状等)と目標歩容で想定されていた動作環境との誤差等に起因して、目標運動を実現するために必要な外力をロボットに作用させることができない状況がしばしば発生する。そして、このような状況では、ロボットの運動の制御だけでなく、ロボットに外界(ロボットの動作環境)から作用させる外力の制御も必要となる。このため、ロボットの目標歩容には、一般に、ロボットの目標運動に加えて、上記目標床反力の如き、外力に関する目標も必要となる。

先行技術

0004

特許第3674788号公報
特許第3679105号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ロボットに種々様々な作業を行なわせるためには、ロボットを単に床上で移動させるだけでなく、ロボットの外界に存する複数の接触対象面にロボットの複数の部位を接触させながら(例えば、ロボットの脚の先端部と腕の先端部とをそれぞれ床面と壁面とに接触させながら)、ロボットの所要の運動を行なわせることが要求される場合もある。

0006

このような場合には、ロボットを単に床上で移動させる場合と異なり、ロボットの外界の複数の接触対象面からロボットの複数の部位に外力が作用することとなる。

0007

従って、このような場合には、ロボットの適切な動作制御を行うために、ロボットの目標運動に加えて、複数の接触対象面のそれぞれから作用させるべき外力に関する目標(目標外力や、その外力の作用点の目標位置)を設定しておく必要がある。

0008

ところが、上記のように複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合には、ロボットの目標運動を、要求される運動形態に即して生成することは可能であるものの、その目標運動を実現するために、複数の接触対象面のそれぞれから動力学的にロボットに作用させるべき外力の時系列や組み合わせのパターンは、一般には1つのパターン又は限定的な範囲内のパターンに定まるものではなく、幅広い範囲で種々様々なパターンが存在し得る。

0009

従って、複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合に、複数の接触対象面のそれぞれからロボットに作用させるべき外力に関する適切な目標をどのような指針あるいは手順で決定すべきかが問題となる。

0010

しかるに、従来は、上記の如く複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況での目標歩容を生成する技術については、十分な検討がなされていないのが実状である。従って、このような目標歩容を効率よく適切に生成し得る技術の構築が望まれていた。

0011

本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合に、ロボットの目標運動を実現するためにロボットに作用させるべき外力に関する目標としての目標外力とその作用点の目標位置とを効率よく適切に決定することができる歩容生成装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明の脚式移動ロボットの歩容生成装置は、上記の目的を達成するために、脚式移動ロボットの動作環境に存する互いに異なる複数の接触対象面に該ロボットの複数の部位を接触させながら、該ロボットの運動を行なわせるための該ロボットの目標運動と、該ロボットに作用させるべき外力に関する目標とを含む目標歩容を生成する歩容生成装置であって、
前記ロボットの目標運動と前記複数の接触対象面のそれぞれから前記ロボットに作用する外力の作用点の各接触対象面での目標位置の暫定値である暫定外力作用点とを生成する歩容基本要素生成手段と、
相互の姿勢関係があらかじめ定められた複数の仮想面から成る仮想面群を用い、該仮想面群の複数の仮想面が前記複数の接触対象面に一致又は近似する面になるように、該仮想面群をロボットの動作環境の空間に仮想的に設定する仮想面群設定手段と、
前記生成された目標運動に基づいて、該目標運動を実現するためにロボットに作用させるべきトータルの外力のうちの並進力成分である必要総並進外力と、該トータルの外力のうちの前記仮想面群に対して固定された所定の基準点周りでのモーメント成分である必要総モーメント外力とを決定する必要総外力決定手段と、
前記決定された必要総並進外力を実現するために前記仮想面群の複数の仮想面のそれぞれから前記ロボットに作用させるべき並進力である仮想面必要並進力の暫定値を決定する手段であり、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力の合力が前記決定された必要総並進外力に一致するという第1必要条件と、各仮想面における仮想面必要並進力のうちの該仮想面に垂直な成分である仮想面垂直抗力成分と該仮想面に平行な成分である仮想面摩擦力成分とに関して、該仮想面摩擦力成分の大きさが、少なくとも該仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第1所定値以下になるという第2必要条件とを少なくとも満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定する暫定仮想面必要並進力決定手段と、
前記決定された各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が、該仮想面に対応する前記接触対象面上の前記暫定外力作用点を該仮想面に投影してなる点である仮想面上暫定外力作用点に作用するものとして、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力によって前記所定の基準点周りに発生するトータルのモーメントである仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を算出する暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段と、
前記決定された必要総モーメント外力と前記算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値との偏差であるモーメント偏差を算出し、該モーメント偏差を解消するための補償量として、1つ以上の前記仮想面上暫定外力作用点の修正量から成り、該修正量による修正後の各仮想面上暫定外力作用点が、該仮想面上暫定外力作用点が存在する仮想面に対応する前記接触対象面に設定された外力作用点存在許容領域を該仮想面に投影してなる仮想面上外力作用点許容領域に存するという外力作用点存在領域条件を満足する第1補償量と、2つ以上の前記仮想面における仮想面摩擦力成分の修正量から成り、該修正量の総和が“0”になる第2補償量と、1つ以上の前記仮想面に垂直な方向の軸周りで該仮想面からロボットに付加的に作用させるねじり力から成る第3補償量とのうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量を、前記モーメント偏差を用いて決定するモーメント補償量決定手段と、
少なくとも前記各仮想面に対応して決定された前記仮想面必要並進力の暫定値と前記決定されたモーメント補償量とに基づき、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力と該目標外力の作用点の目標位置である目標外力作用点とを決定し、その決定した目標外力及び目標外力作用点を前記目標歩容の構成要素として出力する接触対象面目標外力・作用点決定手段とを備えることを特徴とする(第1発明)。

0013

なお、本発明(後述の第2〜第12発明を含む)において、前記ロボットの動作環境に存する互いに異なる複数の接触対象面というのは、その複数の接触対象面に含まれる任意の2つの接触対象面(又はその2つの接触対象面をそれぞれ包含する平面)が互いに交差するか、又は、互いに間隔を存して平行もしくはほぼ平行に対向するような複数の接触対象面を意味する。この場合、各接触対象面は、それに接触させるロボットの部位に比して広い面積を有する面(例えば、通常の床面の如き面)である必要はなく、例えば、該部位と同程度又はそれよりも小さい面積を有する局所的な面であってもよい。

0014

また、前記目標歩容の目標運動において、各接触対象面に接触させるロボットの部位は、1つの部位である必要はなく、2つ以上の部位であってもよい。この場合において、ある接触対象面に接触させるロボットの部位が2つ以上である場合には、該接触対象面からロボットに作用させるべき前記目標外力は、該接触対象面からロボットの当該2つ以上の部位のそれぞれに作用させる外力の合力の目標値を意味する。

0015

また、各接触対象面における外力作用点は、その接触対象面からロボットに作用する外力の全体によって、該作用点の周りに発生するモーメントのうち、該接触対象面に平行な軸周りの成分が“0”となるような点を意味する。このことは、各仮想面における外力作用点についても同様である。

0016

前記第1発明によれば、前記複数の接触対象面のそれぞれからロボットに作用させるべき外力に関する目標(目標歩容の構成要素)としての前記目標外力及び目標外力作用点を決定するために、相互の姿勢関係があらかじめ定められた複数の仮想面から成る仮想面群が、前記複数の接触対象面の代用的な面として使用される。そして、この仮想面群は、前記仮想面群決定手段によって、該仮想面群の複数の仮想面が前記複数の接触対象面に一致又は近似する面になるように、前記ロボットの動作環境の空間に仮想的に設定される。

0017

なお、前記仮想面群設定手段の処理において、前記仮想面群をロボットの動作環境の空間に仮想的に設定するということは、該仮想面群を構成する各仮想面の、当該空間での配置を決定すること、より詳しくは、当該空間での各仮想面の位置と姿勢(空間的な向き)とを決定することを意味する。

0018

また、前記歩容基本要素生成手段によって生成された目標運動を実現するために前記ロボットに作用させるべきトータルの外力のうちの並進力成分である必要総並進外力と、該トータルの外力のうちの前記仮想面群に対して固定された所定の基準点周りでのモーメント成分である必要総モーメント外力とが前記必要総並進外力決定手段によって決定される。

0019

ここで、前記必要総並進外力は、換言すれば、前記目標運動によって発生するロボット全体の並進慣性力(慣性力の並進力成分)と、該ロボット全体に作用する重力との合力に釣り合う並進力である。また、前記必要総モーメント外力は、換言すれば、前記目標運動によって前記基準点周りに発生するロボット全体の慣性力モーメント(慣性力のモーメント成分)に釣り合うモーメントである。

0020

この場合、ロボットの目標運動によって、ロボットの各部(各リンク)の運動とロボットの全体重心点の運動とが規定されることとなるので、ロボットの適当な幾何学モデル剛体リンクモデル)を用いることで、ロボット全体の上記並進慣性力と慣性力モーメントとを前記目標運動に基づいて決定できる。また、ロボット全体に作用する重力は、ロボットの全体質量と重力加速度との積である。従って、前記目標運動に基づいて、前記必要総並進外力と必要総モーメント外力とを決定できる。

0021

なお、本発明では、前記目標運動は、例えば、ロボットに要求される運動形態(ロボットの脚リンクの先端部等の動かし方や、接触対象面への接触のさせ方等)に即して生成すればよい。

0022

そして、第1発明では、前記必要総並進外力決定手段によって決定された必要総並進外力を実現するために前記仮想面群の複数の仮想面のそれぞれから前記ロボットに作用させるべき並進力である仮想面必要並進力(暫定値)が前記暫定仮想面必要並進力決定手段によって決定される。なお、各仮想面は、各接触対象面に対応しているので、各仮想面における仮想面必要並進力は、該仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき並進力に対応するものである。

0023

この場合、暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力の合力が前記決定された必要総並進外力に一致するという第1必要条件と、各仮想面における仮想面必要並進力のうちの該仮想面に垂直な成分である仮想面垂直抗力成分と該仮想面に平行な成分である仮想面摩擦力成分とに関して、該仮想面摩擦力成分の大きさが、少なくとも該仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第1所定値以下になるという第2必要条件とを少なくとも満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定する。

0024

ここで、前記第2必要条件における第1所定値は、仮想面で発生可能な摩擦力の大きさの上限値に相当するものである。

0025

従って、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値は、それらの合力が前記必要総並進外力に一致するものとなると共に、各仮想面における仮想面摩擦力成分の大きさがその仮想面で発生可能な摩擦力の上限値に相当する前記第1所定値以下に収まるように決定される。

0026

これにより、ロボットの目標運動のうち、ロボット全体の(ロボットの全体重心点の)並進運動を実現することができる仮想面必要並進力(暫定値)が決定されることとなる。

0027

なお、前記第2必要条件に関する第1所定値は、例えば、各仮想面に対応する接触対象面における垂直抗力成分を該仮想面における仮想面垂直抗力成分に一致させた場合に該接触対象面で発生可能な摩擦力の大きさの上限値に一致するか、またはそれよりも小さめの値に設定することが好ましい。

0028

第1発明では、次に、前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段の処理が行なわれる。この処理では、各仮想面における仮想面必要並進力(暫定値)の作用点を、前記仮想面上暫定外力作用点として、これらの仮想面必要並進力(暫定値)によって前記基準点周りに発生するトータルのモーメントである仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値が算出される。

0029

ここで、この仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値が、前記決定された必要総モーメント外力に一致する場合には、各仮想面における仮想面必要並進力とその作用点としての仮想面上暫定外力作用点とは、前記目標運動のうちのロボット全体の回転運動(基準点周りの角運動量を変化させる運動)を実現する上で適切なものとなる。

0030

しかるに、仮想面上暫定外力作用点は、暫定的なものであるため、一般には、上記仮想面必要並進力依存モーメント(暫定値)は、前記必要総モーメント外力と一致せず、それらの間には偏差(≠0)が存在する。このように、仮想面必要並進力依存モーメント(暫定値)が、前記必要総モーメント外力に一致しない場合において、それらの間の偏差を解消する手法としては、いずれかの仮想面上の外力作用点(仮想面必要並進力の作用点)の位置を前記仮想面上暫定外力作用点から修正するという第1の手法と、いずれかの仮想面における仮想面必要並進力を修正するという第2の手法と、いずれかの仮想面に、その仮想面に垂直な軸周りのねじり力(モーメント)を付加するという第3の手法とが考えられる。

0031

但し、第1の手法においては、仮想面上の外力作用点は、該仮想面に対応する接触対象面における外力作用点に対応するものである。そして、接触対象面上の外力作用点は、該接触対象面とロボットとの接触面に応じた所定の存在許容領域内に存在する必要がある。従って、仮想面上の外力作用点の修正は、接触対象面上の所定の存在許容領域に対応する領域内での修正に制限する必要がある。

0032

また、第2の手法においては、いずれかの仮想面必要並進力を任意に修正すると、その修正後の各仮想面における仮想面必要並進力が、前記第1必要条件を満足しないものとなる場合がある。

0033

そこで、第1発明では、前記モーメント補償量決定手段によって、前記決定された必要総モーメント外力と前記算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値との偏差であるモーメント偏差を算出し、該モーメント偏差を解消するための補償量として、前記1つ以上の前記仮想面上暫定外力作用点の修正量から成り、該修正量による修正後の各仮想面上暫定外力作用点が、該仮想面上暫定外力作用点が存在する仮想面に対応する前記接触対象面に設定された外力作用点存在許容領域を該仮想面に投影してなる仮想面上外力作用点許容領域に存するという外力作用点存在領域条件を満足する第1補償量と、2つ以上の前記仮想面における仮想面摩擦力成分の修正量から成り、該修正量の総和が“0”になる第2補償量と、1つ以上の前記仮想面に垂直な方向の軸周りで該仮想面からロボットに付加的に作用させるねじり力から成る第3補償量とのうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量を、前記モーメント偏差を用いて決定する。

0034

上記第1補償量、第2補償量、第3補償量は、それぞれ、前記第1の手法、第2の手法、第3の手法によって、前記モーメント偏差を解消するためのモーメント補償量である。この場合、第1補償量は、前記外力作用点存在許容領域を満足するものであるので、仮想面上の外力作用点を適切に修正し得る。また、第2補償量は、2つ以上の前記仮想面における仮想面摩擦力成分の修正量から成り、該修正量の総和が“0”になるものであるから、この第2補償量によって、修正対象の仮想面における仮想面摩擦力成分を修正しても、その修正の前と後とで、各仮想面における仮想面必要並進力の合力は変化しない。従って、前記第1必要条件を満足する状態が維持されることとなる。

0035

なお、前記モーメント補償量決定手段が決定するモーメント補償量は、第1補償量、第2補償量、第3補償量の全てを含む必要はなく、前記モーメント偏差を解消し得るものであれば、第1補償量、第2補償量、第3補償量のうちのいずれか1つ又は2つの補償量だけを含むものであってもよい。この場合、第1〜第3補償量のいずれの補償量をモーメント補償量として用いるかは、目標運動の形態や目標歩容の時期などに応じて適宜選定してもよい。

0036

そして、第1発明では、前記接触対象面目標外力・作用点決定手段が、少なくとも前記各仮想面に対応して決定された前記仮想面必要並進力の暫定値と前記決定されたモーメント補償量とに基づき、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力と該目標外力の作用点の目標位置である目標外力作用点とを決定し、その決定した目標外力及び目標外力作用点を前記外力に関する目標の構成要素として出力する。

0037

この場合、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力は、例えば、次のように決定すればよい。すなわち、該目標外力のうちの該接触対象面に垂直な方向の並進力成分(垂直抗力成分)は、例えば、該接触対象面に対応する仮想面における仮想面必要並進力の仮想面垂直抗力成分の暫定値に一致するように決定すればよい。また、該目標外力のうちの該接触対象面に平行な並進力成分(摩擦力成分)は、該接触対象面に対応する仮想面における仮想面摩擦力成分の暫定値に一致するように(第2補償量による修正が無い場合)、又は該暫定値を前記第2補償量によって修正してなる値に一致するように決定すればよい。さらに、第3補償量によるねじり力を付加する仮想面に対応する接触対象面においては、該接触対象面に対応する仮想面のねじり力(第3補償量)を、該接触対象面に垂直な軸周りのねじり力の目標値とし、この目標値を目標外力の構成要素として決定すればよい。

0038

また、各仮想面に対応する接触対象面における目標外力作用点は、例えば、次のように決定すればよい。すなわち、各接触対象面における目標外力作用点は、該接触対象面に対応する仮想面における仮想面上暫定外力作用点を該接触対象面に投影してなる点に一致するように(第1補償量による修正が無い場合)、又は、該仮想面上外力作用点を前記第1補償量によって修正してなる点を該接触対象面に投影してなる点に一致するように決定すればよい。

0039

以上説明した第1発明によれば、まず、前記目標運動のうちの、ロボット全体の並進運動を実現するために必要な仮想面必要並進力が暫定的に決定される。この場合、各仮想面は、その相互の姿勢関係があらかじめ定まっているので、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足し得る仮想面必要並進力を決定する処理(前記仮想面必要並進力決定手段の処理)のアルゴリズムの構築が容易になる。

0040

そして、前記目標運動のうちの、ロボット全体の回転運動を、前記仮想面必要並進力の暫定値と合わせて実現するための操作量(前記モーメント偏差を解消するための操作量)として、前記第1補償量、第2補償量、及び第3補償量のうちの少なくともいずれか1つから構成されるモーメント補償量が決定される。

0041

この場合、これらの第1補償量、第2補償量、及び第3補償量は、それぞれの補償量による修正対象(仮想面上の外力作用点の位置、仮想面摩擦力成分、又は仮想面におけるねじり力)の修正の前と後とで、各仮想面における仮想面必要並進力のトータルの合力を一定に保つ補償量である。このため、先に決定された各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値に、モーメント補償量を組み合わせるだけで、前記目標運動におけるロボット全体の並進運動と回転運動との両方を実現し得る仮想面必要並進力と仮想面上の外力作用点との組、又は仮想面必要並進力と仮想面におけるねじり力と仮想面上の外力作用点との組が得られることとなる。従って、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値とモーメント補償量とに基づいて、各接触対象面における目標外力と目標外力作用点とを決定できることとなる。

0042

これにより、第1発明によれば、複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合に、ロボットの目標運動を実現するためにロボットに作用させるべき外力に関する目標としての目標外力とその作用点の目標位置とを効率よく適切に決定することができることとなる。

0043

かかる第1発明においては、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記第1必要条件を満足するために、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分を除く成分に一致するという第1A必要条件と、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面摩擦力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分に一致するという第1B必要条件とを満足するように、前記各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい(第2発明)。

0044

ここで、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させ得る並進力のうちの摩擦力成分(接触対象面に平行な成分)の大きさは、その上限値が該接触対象面における垂直抗力成分(接触対象面に垂直な成分)の影響を受け、該垂直抗力成分の大きさが小さいほど、摩擦力成分の大きさの上限値も小さくなる。また、該摩擦力成分が大きいと、接触対象面とロボットとの間の滑りも発生し易くなる。これに対して、接触対象面における垂直抗力成分は、摩擦力成分に比して幅広い範囲で、実現し得る。

0045

従って、各接触対象面に対応する仮想面における仮想面必要並進力は、できるだけ、仮想面摩擦力成分を含まないか、もしくは、該仮想面摩擦力成分の大きさが小さくなるように、決定することが望ましいと考えられる。換言すれば、前記必要総並進外力が、できるだけ、各仮想面における仮想面垂直抗力成分の合力によって実現され得るように、仮想面必要並進力の暫定値を決定することが望ましいと考えられる。そして、前記必要総並進外力を実現するために、各仮想面における仮想面摩擦力成分が必要となる場合には、その仮想面摩擦力成分の大きさは、該仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさに応じて設定される、ある所定値以下になるように決定することが望ましい。

0046

そこで、第2発明では、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、上記の如く、前記第1必要条件を満足するために、前記第1A必要条件と第1B必要条件とを満足するように、前記各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定する。

0047

これにより、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、可能な限り、各仮想面における仮想面垂直抗力成分の合力によって前記必要総並進外力を実現すると共に、仮想面摩擦力成分を、前記第2必要条件を満足する範囲で必要最小限に留めるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定できることとなる。

0048

このため、各接触対象面からロボットへの目標外力についても、可能な限り、各接触対象面における目標外力のうちの垂直抗力成分の合力によって前記必要総並進外力を実現すると共に、該目標外力のうちの摩擦力成分を、該接触対象面で発生可能な摩擦力の大きさの限界内で必要最小限に留めるように、各接触対象面からロボットへの目標外力を決定できることとなる。

0049

また、前記第1必要条件を、前記第1A必要条件及び第1B必要条件の組に限定することで、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定するための指針(前記必要総並進外力を、各仮想面における仮想面必要並進力に分配する指針)がより限定されることとなる。このため、仮想面必要並進力の暫定値を決定する処理のアルゴリズムの構築がより容易になる。

0050

かかる第2発明では、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記必要総並進外力のうちの前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分が“0”でない場合において、前記第1A必要条件、前記第1B必要条件及び第2必要条件を満足しつつ、前記仮想面群の複数の仮想面のうちの前記仮想面垂直抗力成分が“0”でない各仮想面において、該仮想面に対応して設定された前記第1所定値が大きいほど、該仮想面の仮想面摩擦力成分の大きさが大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい(第3発明)。

0051

この第3発明によれば、前記必要総並進外力のうちの前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分を、各仮想面に分配する指針がさらに限定され、各仮想面における仮想面並進力成分の暫定値を決定するための処理のアルゴリズムの構築がより一層容易になる。

0052

また、各仮想面における仮想面摩擦力成分の大きさを、各仮想面で発生可能な摩擦力の上限値に相当する前記第1所定値の大きさに整合した大きさに設定することができる。ひいては、各接触対象面における目標並進力の摩擦力成分を、該接触対象面で発生可能な摩擦力の大きさの限界内にバランスよく収まるように(いずれかの接触対象面での摩擦力成分が、他の接触対象面での摩擦力成分に比して、摩擦力の大きさの限界に近づき過ぎたりしないように)、決定できる。

0053

また、前記第1〜第3発明において、前記複数の接触対象面が、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群が、当該2つの接触対象面に対応する仮想面として、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含んでいる場合には、その2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分は、それらの大きさが“0”で無い場合に、互いに逆向きの並進力となる。

0054

従って、2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分のうち、大きさが小さい方の仮想面垂直抗力成分を第1仮想面垂直抗力成分、大きい方の仮想面垂直抗力成分を第2仮想面垂直抗力成分としたとき、第1仮想面垂直抗力成分と、第2仮想面垂直抗力成分のうちの第1仮想面垂直抗力成分と大きさの等しい成分とは、ロボットの運動に寄与しない内力として機能するものとなる。そして、この内力の大きさ(=第1仮想面垂直抗力成分の大きさ)が過大になると、ロボットのアクチュエータが発生可能な動力のうち、上記内力の発生のために必要な負担分が大きくなり、ロボットの運動を変化させるために利用し得るアクチュエータの動力が不足し易いものとなる。

0055

そこで、前記第1〜第3発明では、前記複数の接触対象面が、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群が、当該2つの接触対象面に対応する2つの前記対向仮想面を含んでいる場合には、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、次のように各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい。

0056

すなわち、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記決定された必要総並進外力が前記2つの対向仮想面と直交する方向の成分である対向仮想面直交成分を有する場合に、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足することに加えて、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分のうち、小さい方の仮想面垂直抗力成分の大きさがあらかじめ設定された第2所定値以下になるという第3必要条件を満足するように、各仮想面における前記仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい(第4発明)。

0057

この第4発明では、前記第3必要条件における前記第2所定値は、前記2つの対向仮想面の間での前記内力の大きさの上限値に相当するものとなる。従って、第4発明によれば、前記決定された必要総並進外力が前記2つの対向仮想面と直交する方向の成分である対向仮想面直交成分を有する場合に、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足することに加えて、前記2つの対向仮想面の間での前記内力の大きさが過大になるのを防止しつつ、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定できる。

0058

ひいては、前記2つの対向仮想面に対応する2つ接触対象面間でロボットに発生する内力が過大になるのを防止するように、各接触対象面における目標並進力を決定できる。換言すれば、ロボットのアクチュエータが発生可能な動力のうち、目標運動の実現に利用し得る動力が前記内力によって不足するのを防止しつつ、各接触対象面における目標並進力を決定できる。

0059

以上説明した第1〜第4発明では、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント補償量として、第1補償量、第2補償量及び第3補償量のいずれを決定してもよい。ただし、第2補償量及び第3補償量は、それらの大きさが過大になると、これらの第2補償量及び第3補償量による修正対象の仮想面に対応する接触対象面で発生させようとする摩擦力の大きさが過大になって、該接触対象面とロボットとの間の滑りを生じる恐れがある。これに対して、第1補償量は、仮想面とロボットとの間の摩擦力、ひいては、接触対象面とロボットとの間の摩擦力に影響を及ぼすものではない。

0060

そこで、第1〜第4発明では、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記第1補償量を、前記外力作用点存在領域条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第1補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第2処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第2補償量及び第3補償量の両方又は一方を決定する第3処理手段とを備えることが好ましい(第5発明)。

0061

この第5発明によれば、前記モーメント補償量決定手段は第1処理手段によって、前記第1補償量を決定した上で、第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記第2処理手段及び第3処理手段の処理によって、前記残偏差成分に応じて前記第2補償量及び第3補償量の両方又は一方を決定することとなる。従って、第5発明では、前記モーメント偏差の全体を解消し得る第1補償量を決定できる場合には、第1補償量だけが優先的にモーメント補償量として決定されることとなる。そして、第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記残偏差成分だけを解消するように、前記第2補償量及び第3補償量の両方又は一方が決定されることとなる。

0062

これにより、各仮想面に対応する接触対象面とロボットとの間の摩擦力を増加させる要因となる前記第2補償量又は第3補償量がモーメント補償量として決定されるのを極力回避することができる。また、前記第2補償量及び第3補償量の両方又は一方がモーメント補償量として決定される場合でも、それらの第2補償量又は第3補償量の大きさを極力小さくすることができる。

0063

なお、第5発明においては、前記第1処理手段は、例えば、次のようにして前記第1補償量を決定すればよい。すなわち、前記外力作用点存在領域条件の制限を排除して、前記モーメント偏差を解消するように第1補償量の候補値を決定し、この候補値が前記外力作用点存在領域条件を満足するか否かを判断する。そして、この判断結果が肯定的である場合に、前記候補値をそのまま第1補償量として決定し、該判断結果が否定的である場合には、第1補償量を強制的に前記外力作用点存在領域条件を満足する値(例えば、その値による修正後の仮想面上の外力作用点が前記仮想面上外力作用点許容領域の境界上の点となるような値)に制限する。

0064

また、前記仮想面群が前記対向仮想面を有する場合には、これらの対向仮想面間における前記内力の大きさを変化させても、各仮想面における仮想面必要並進力の合力には影響を及ぼさない。換言すれば、前記第1必要条件を満足したまま、前記内力を調整できる。

0065

そして、この内力の調整によって、対向仮想面で発生可能な摩擦力の上限値(前記第1所定値)を変化させることができる。

0066

そこで、前記第5発明において、前記複数の接触対象面が、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群が、当該2つの接触対象面に対応する仮想面として、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含んでおり、前記モーメント補償量決定手段が決定するモーメント補償量に、前記第2補償量が含まれる場合には、
該モーメント補償量決定手段により前記第2補償量が決定された後、前記仮想面群の複数の仮想面のうち、前記決定された第2補償量による仮想面摩擦力成分の修正を行なう各仮想面において、該第2補償量による修正後の仮想面摩擦力成分の暫定値が、前記第2必要条件を満足するか否かを判断する第1判断手段と、
該第1判断手段の判断結果が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、少なくとも前記第1必要条件を満足し、且つ、当該否定的となる仮想面を含む前記2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさが前記決定された仮想面必要並進力の暫定値における仮想面垂直抗力成分よりも大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を再決定する暫定仮想面必要並進力再決定手段とを備え、
該暫定仮想面必要並進力再決定手段による仮想面必要並進力の暫定値の再決定が行なわれた場合に、前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段は、前記再決定された仮想面必要並進力の暫定値と前記第1処理手段により決定された第1補償量による修正後の仮想面上暫定外力作用点とを用いて前記仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を改めて算出し、前記モーメント補償量決定手段は、前記決定された必要総モーメント外力と前記改めて算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値とから改めて算出した前記モーメント偏差を用いて、前記モーメント補償量を決定する処理を改めて実行することが好ましい(第6発明)。

0067

この第6発明によれば、前記第3処理手段で決定された第2補償量による修正後の仮想面摩擦力成分の暫定値が、前記第2必要条件を満足するか否かの判断結果(第1判断手段の判断結果)が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、少なくとも前記第1必要条件を満足し、且つ、当該否定的となる仮想面を含む前記2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさが前記決定された仮想面必要並進力の暫定値における仮想面垂直抗力成分よりも大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が再決定される。これにより、前記対向仮想面における摩擦力の上限値(前記第1所定値)が増加することとなる。

0068

なお、この場合、前記暫定仮想面必要並進力再決定手段は、前記第1必要条件を満足することに加えて、前記第4発明に関して説明した前記第3必要条件をも満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が再決定することがより好ましい。

0069

そして、第6発明では、このように、仮想面必要並進力の暫定値の再決定が行なわれた場合に、その再決定された仮想面必要並進力の暫定値を用いて前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段の処理が改めて実行され、さらに、前記モーメント補償量決定手段の処理(前記第1処理手段、第2処理手段及び第3処理手段の処理)が改めて実行される。

0070

これにより、各仮想面における仮想面必要並進力の合力が前記第1必要条件を満足する状態を維持するようにしつつ、第2補償量による修正後の仮想面摩擦力成分の暫定値が、前記第2必要条件を極力満足し得るように、第2補償量をモーメント補償量として決定できるようになる。すなわち、第2補償量による仮想面摩擦力成分の修正が、前記第2必要条件を損なうのを防止しつつ、前記第2補償量を決定できる。

0071

また、前記第5発明において、前記複数の接触対象面が、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含むと共に、前記仮想面群が、当該2つの接触対象面に対応する仮想面として、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含んでおり、前記モーメント補償量決定手段が決定するモーメント補償量に、前記第3補償量が含まれる場合には、
該モーメント補償量決定手段により前記第3補償量が決定された後、前記仮想面群の複数の仮想面のうち、前記決定された第3補償量により前記ねじり力を付加する各仮想面において、該第3補償量により該仮想面に付加されるねじり力の大きさが、少なくとも該仮想面における前記決定された仮想面必要並進力の暫定値の仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第3所定値以下になるという第4必要条件を満足するか否かを判断する第2判断手段と、
該第2判断手段の判断結果が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、少なくとも前記第1必要条件を満足し、且つ、当該否定的となる仮想面を含む前記2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさが前記決定された仮想面必要並進力の暫定値の仮想面垂直抗力成分よりも大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を再決定する暫定仮想面必要並進力再決定手段とを備え、
該暫定仮想面必要並進力再決定手段による仮想面必要並進力の暫定値の再決定が行なわれた場合に、前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段は、前記再決定された仮想面必要並進力の暫定値と前記第1処理手段により決定された第1補償量による修正後の仮想面上暫定外力作用点とを用いて前記仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を改めて算出し、前記モーメント補償量決定手段は、前記決定された必要総モーメント外力と前記改めて算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値とから改めて算出した前記モーメント偏差を用いて、前記モーメント補償量を決定する処理を改めて実行することが好ましい(第7発明)。

0072

なお、前記第4必要条件における第2所定値は、仮想面とロボットとの間の摩擦力によって発生可能なねじり力の大きさの上限値に相当するものである。この第2所定値は、例えば、各仮想面に対応する接触対象面における垂直抗力成分を該仮想面における仮想面垂直抗力成分に一致させた場合に該接触対象面とロボットとの間の摩擦力によって前記暫定外力作用点の周りに(詳しくは該暫定外力作用点を通って該接触対象面に垂直な軸周りに)発生可能なねじり力の大きさの上限値に一致するか、またはそれよりも小さめの値に設定することが好ましい。

0073

上記第7発明によれば、前記モーメント補償量に含まれる第3補償量により仮想面に付加するねじり力が、前記第4必要条件を満足するか否かの判断結果(第2判断手段の判断結果)が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、少なくとも前記第1必要条件を満足し、且つ、当該否定的となる仮想面を含む前記2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさが前記決定された仮想面必要並進力の暫定値における仮想面垂直抗力成分よりも大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が再決定される。これにより、該仮想面で発生可能なねじり力の大きさの上限値(前記第2所定値)が増加することとなる。

0074

そして、第7発明では、このように、仮想面必要並進力の暫定値の再決定が行なわれた場合に、第6発明と同様に、その再決定された仮想面必要並進力の暫定値を用いて前記暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段の処理が改めて実行され、さらに、前記モーメント補償量決定手段の処理(前記第1処理手段、第2処理手段及び第3処理手段の処理)が改めて実行される。

0075

これにより、第3補償量により仮想面に付加されるねじり力が、前記第4必要条件を極力満足し得るように、第3補償量をモーメント補償量として決定できるようになる。すなわち、第3補償量により仮想面に付加するねじり力によって、該仮想面で発生させることが必要となる摩擦力が過大にならないようにしつつ、前記第3補償量を決定できる。

0076

なお、前記第6発明及び第7発明を組み合わせてもよい。この場合には、前記第3処理手段が、前記第2補償量及び第3補償量を決定した後に、前記第1判断手段及び第3判断手段のいずれかの判断結果が否定的となる仮想面が存在し、且つ、当該否定的となる仮想面が前記2つの対向仮想面のうちの1つの仮想面である場合において、前記暫定仮想面必要並進力再決定手段の処理を実行するようにすればよい。

0077

補足すると、前記第5〜第7発明では、第1補償量を優先的にモーメント補償量として決定し、該第1補償量により前記モーメント偏差を解消できない場合に、前記第2補償量及び第3補償量の両方又は一方をさらなるモーメント補償量として決定するようにした。ただし、第2補償量及び第3補償量の両方又は一方を優先的にモーメント補償量として決定した上で、該2補償量及び第3補償量の両方又は一方によって前記モーメント偏差を解消できない場合、前記第1補償量を決定するようにすることも可能である。

0078

例えば、前記モーメント補償量に前記第2補償量を含める場合には、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記第2補償量を、前記第2必要条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第2補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第2補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第3処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第1補償量を決定する第3処理手段とを備える。

0079

また、前記モーメント補償量に前記第3補償量を含める場合には、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記第3補償量を、前記第4必要条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第2補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第3補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第3処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第1補償量を決定する第3処理手段とを備える。

0080

また、前記モーメント補償量に前記第2補償量及び第3補償量を含める場合には、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記2補償量及び第3補償量を、前記第2必要条件及び前記第4必要条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第2補償量及び第3補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第2補償量及び第3補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第3処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第1補償量を決定する第3処理手段とを備える。

0081

ところで、ロボットの動作環境に互いに間隔を存して対向する前記2つの接触対象面が存在し、ひいては、前記仮想面群に前記対向仮想面が含まれる場合には、前記第1〜第3補償量以外に、前記2つの対向仮想面の間の内力の大きさを調整することで、その2つの対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の総和を一定に保持したまま(ひいては、前記仮想面群の各仮想面における仮想面必要並進力の合力を一定に保持したまま)、前記基準点周りのモーメントを変化させることもできる。従って、上記内力の修正量は、前記モーメント補償量として利用することが可能である。

0082

そこで、本発明の脚式移動ロボットの歩容生成装置は、以下の態様を採用することもできる。

0083

すなわち、本発明の脚式移動ロボットの歩容生成装置の他の態様は、脚式移動ロボットの動作環境に存する互いに異なる複数の接触対象面であり、互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面を含む複数の接触対象面に該ロボットの複数の部位を接触させながら、該ロボットの運動を行なわせるための該ロボットの目標運動と、該ロボットに作用させるべき外力に関する目標とを含む目標歩容を生成する歩容生成装置であって、
前記ロボットの目標運動と前記複数の接触対象面のそれぞれから前記ロボットに作用する外力の作用点の各接触対象面での目標位置の暫定値である暫定外力作用点とを生成する歩容基本要素生成手段と、
相互の姿勢関係があらかじめ定められた複数の仮想面から成ると共に、互いに平行に対向する2つの仮想面である対向仮想面を含む仮想面群を用い、該仮想面群の複数の仮想面が前記複数の接触対象面に一致又は近似する面になり、且つ、前記2つの対向仮想面が前記互いに間隔を存して対向する2つの接触対象面に対応する仮想面となるように、該仮想面群をロボットの動作環境の空間に仮想的に設定する仮想面群設定手段と、
前記生成された目標運動に基づいて、該目標運動を実現するためにロボットに作用させるべきトータルの外力のうちの並進力成分である必要総並進外力と、該トータルの外力のうちの前記仮想面群に対して固定された所定の基準点周りでのモーメント成分である必要総モーメント外力とを決定する必要総外力決定手段と、
前記決定された必要総並進外力を実現するために前記仮想面群の複数の仮想面のそれぞれから前記ロボットに作用させるべき並進力である仮想面必要並進力の暫定値を決定する手段であり、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力の合力が前記決定された必要総並進外力に一致するという第1必要条件と、各仮想面における仮想面必要並進力のうちの該仮想面に垂直な成分である仮想面垂直抗力成分と該仮想面に平行な成分である仮想面摩擦力成分とに関して、該仮想面摩擦力成分の大きさが、少なくとも該仮想面垂直抗力成分に応じて設定された第1所定値以下になるという第2必要条件とを少なくとも満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定する暫定仮想面必要並進力決定手段と、
前記決定された各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値が、該仮想面に対応する前記接触対象面上の前記暫定外力作用点を該仮想面に投影してなる点である仮想面上暫定外力作用点に作用するものとして、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面必要並進力によって前記所定の基準点周りに発生するトータルのモーメントである仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値を算出する暫定仮想面必要並進力依存モーメント算出手段と、
前記決定された必要総モーメント外力と前記算出された仮想面必要並進力依存モーメントの暫定値との偏差であるモーメント偏差を算出し、該モーメント偏差を解消するための補償量として、1つ以上の前記仮想面上暫定外力作用点の修正量から成り、該修正量による修正後の各仮想面上暫定外力作用点が、該仮想面上暫定外力作用点が存在する仮想面に対応する前記接触対象面に設定された外力作用点存在許容領域を該仮想面に投影してなる仮想面上外力作用点許容領域に存するという外力作用点存在領域条件を満足する第1補償量と、2つ以上の前記仮想面における仮想面摩擦力成分の修正量から成り、該修正量の総和が“0”になる第2補償量と、1つ以上の前記仮想面に垂直な方向の軸周りで該仮想面からロボットに付加的に作用させるねじり力から成る第3補償量と、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の総和を一定に保持しつつ、該対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の大きさを互いに同じ量だけ修正する第4補償量とのうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量を、前記モーメント偏差を用いて決定するモーメント補償量決定手段と、
少なくとも前記各仮想面に対応して決定された前記仮想面必要並進力の暫定値と前記決定されたモーメント補償量とに基づき、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力と該目標外力の作用点の目標位置である目標外力作用点とを決定し、その決定した目標外力及び目標外力作用点を前記目標歩容の構成要素として出力する接触対象面目標外力・作用点決定手段とを備えることを特徴とする(第8発明)。

0084

この第8発明によれば、歩容基本要素生成手段、仮想面群設定手段、必要総外力決定手段、及び暫定仮想面必要並進力決定手段の処理は、前記第1発明と同様である。なお、第8発明では、仮想面群設定手段が設定する仮想面群には、前記対向仮想面が含まれる。

0085

一方、第8発明では、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を解消するためのモーメント補償量として、前記した第1補償量、第2補償量、第3補償量と、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の総和を一定に保持しつつ、該対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の大きさを互いに同じ量だけ修正する修正量である第4補償量とのうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量を前記モーメント偏差を用いて決定する。

0086

上記第4補償量は、前記2つの対向仮想面の間の前記内力の大きさの修正量としての意味を持つモーメント補償量である。従って、前記第1〜第4補償量のうちの少なくともいずれか1つを含むモーメント補償量は、それによる修正対象の修正の前と後とで、各仮想面における仮想面必要並進力のトータルの合力を一定に保持し得る補償量である。このため、第1発明と同様に、先に決定された各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値に、モーメント補償量を組み合わせるだけで、前記目標運動におけるロボット全体の並進運動と回転運動との両方を実現し得る仮想面必要並進力と仮想面上の外力作用点との組、又は仮想面必要並進力と仮想面におけるねじり力と仮想面上の外力作用点との組が得られることとなる。

0087

そして、第8明では、前記接触対象面目標外力・作用点決定手段が、第1発明と同様に、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力と該目標外力の作用点の目標位置である目標外力作用点とを決定し、その決定した目標外力及び目標外力作用点を前記目標歩容の構成要素として出力する。

0088

この場合、各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力のうち、該接触対象面に平行な並進力成分(摩擦力成分)とねじり力とは、第1発明に関して説明した如く決定すればよい。また、各仮想面に対応する接触対象面における目標外力作用点も、第1発明に関して説明した如く決定すればよい。また、対向仮想面以外の各仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力のうち、該接触対象面に垂直な方向の並進力成分(垂直抗力成分)も、第1発明に関して説明した如く決定すればよい。

0089

一方、対向仮想面に対応する接触対象面からロボットに作用させるべき目標外力のうち、該接触対象面に垂直な方向の並進力成分(垂直抗力成分)については、該接触対象面に対応する対向仮想面における仮想面垂直抗力成分の暫定値に一致するように(第4補償量による修正が無い場合)、又は該暫定値を前記第4補償量によって修正してなる値に一致するように決定すればよい。

0090

以上説明した第8発明によれば、第1発明と同様に、複数の接触対象面からロボットに外力が作用する状況でのロボットの目標歩容を生成する場合に、ロボットの目標運動を実現するためにロボットに作用させるべき外力に関する目標としての目標外力とその作用点の目標位置とを効率よく適切に決定することができる。

0091

かかる第8発明においては、前記第2〜第5発明と同様の形態を採用することが好ましい。

0092

すなわち、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記第1必要条件を満足するために、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分を除く成分に一致するという第1A必要条件と、前記複数の仮想面のそれぞれにおける仮想面摩擦力成分の合力が、前記決定された必要総並進外力のうちの、前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分に一致するという第1B必要条件とを満足するように、前記各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい(第9発明)。

0093

この第9発明によれば、前記第2発明と同様に、可能な限り、各接触対象面における目標外力のうちの垂直抗力成分の合力によって前記必要総並進外力を実現すると共に、該目標外力のうちの摩擦力成分を、該接触対象面で発生可能な摩擦力の大きさの限界内で必要最小限に留めるように、各接触対象面からロボットへの目標外力を決定できる。

0094

また、前記第1必要条件を、前記第1A必要条件及び第1B必要条件の組に限定することで、仮想面必要並進力の暫定値を決定する処理のアルゴリズムの構築がより容易になる。

0095

また、上記第9発明では、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記必要総並進外力のうちの前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分が“0”でない場合において、前記第1A必要条件、前記第1B必要条件及び第2必要条件を満足しつつ、前記仮想面群の複数の仮想面のうちの前記仮想面垂直抗力成分が“0”でない各仮想面において、該仮想面に対応して設定された前記第1所定値が大きいほど、該仮想面の仮想面摩擦力成分の大きさが大きくなるように、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい(第10発明)。

0096

この第10発明によれば、前記第3発明と同様に、前記必要総並進外力のうちの前記仮想面群の全ての仮想面に対して平行な成分を、各仮想面に分配する指針がさらに限定され、各仮想面における仮想面並進力成分の暫定値を決定するための処理のアルゴリズムの構築がより一層容易になる。

0097

また、各仮想面における仮想面摩擦力成分の大きさを、各仮想面で発生可能な摩擦力の上限値に相当する前記第1所定値の大きさに整合した大きさに設定することができるため、各接触対象面における目標並進力の摩擦力成分を、該接触対象面で発生可能な摩擦力の大きさの限界内にバランスよく収まるように決定できる。

0098

また、上記第8〜第10発明では、前記暫定仮想面必要並進力決定手段は、前記決定された必要総並進外力が前記2つの対向仮想面と直交する方向の成分である対向仮想面直交成分を有する場合に、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足することに加えて、前記2つの対向仮想面のそれぞれにおける仮想面垂直抗力成分のうち、小さい方の仮想面垂直抗力成分の大きさがあらかじめ設定された第2所定値以下になるという第3必要条件を満足するように、各仮想面における前記仮想面必要並進力の暫定値を決定することが好ましい(第11発明)。

0099

この第11発明によれば、前記第4発明と同様に、前記決定された必要総並進外力が前記2つの対向仮想面と直交する方向の成分である対向仮想面直交成分を有する場合に、前記第1必要条件及び第2必要条件を満足することに加えて、前記2つの対向仮想面の間での前記内力の大きさが過大になるのを防止しつつ、各仮想面における仮想面必要並進力の暫定値を決定できる。

0100

ひいては、前記2つの対向仮想面に対応する2つ接触対象面間でロボットに発生する内力が過大になるのを防止するように、各接触対象面における目標並進力を決定できる。

0101

また、前記第8〜第11発明では、前記モーメント補償量決定手段は、前記モーメント偏差を低減し得る前記第1補償量を、前記外力作用点存在領域条件を満足し得る範囲内で該モーメント偏差に応じて決定する第1処理手段と、前記決定された第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記モーメント偏差から、前記決定された第1補償量により解消される偏差成分を除いた偏差成分である残偏差成分を算出する第2処理手段と、該残偏差成分に応じて、該残偏差成分を解消するように前記第2補償量と第3補償量と第4補償量とのうちの少なくとも1つの補償量を決定する第3処理手段とを備えることが好ましい(第12発明)。

0102

この第12発明によれば、前記第5発明と同様に、前記モーメント偏差の全体を解消し得る第1補償量を決定できる場合には、第1補償量だけが優先的にモーメント補償量として決定されることとなる。そして、第1補償量により前記モーメント偏差の全体を解消できない場合に、前記残偏差成分だけを解消するように、前記第2補償量、第3補償量及び第4補償量のうちの少なくと1つの補償量(1つ又は複数の補償量)が決定されることとなる。

0103

これにより、各仮想面に対応する接触対象面とロボットとの間の摩擦力に影響を及ぼす前記第2補償量又は第3補償量又は第4補償量がモーメント補償量として決定されるのを極力回避することができる。また、前記第2補償量、第3補償量及び第4補償量のうちの少なくとも1つの補償量がモーメント補償量として決定される場合でも、それらの第2補償量、第3補償量、第4補償量の大きさを極力小さくすることができる。

図面の簡単な説明

0104

本発明の実施形態における脚式移動ロボットの機構的な外力構成を示す図。
図1のロボットに備えた制御ユニットの機能とセンサ群とを示すブロック図。
図3(a)〜(c)は、図1のロボットの目標歩容の一例としての壁登り歩容におけるロボットの瞬時的な動作状態時系列的に示す図。
図4(a),(b)は、図3(a)〜(c)の動作状態の後におけるロボットの瞬時的な動作状態を時系列的に示す図。
図5(a)〜(c)は壁登り歩容における外力作用点の設定位置の経時的変化の例を示すグラフ
壁登り歩容における外力作用点の存在許容領域の面積の経時的変化の例を示すグラフ。
図2に示す外力目標生成部の、第1実施形態における処理を示すフローチャート
図2に示す外力目標生成部の、第1実施形態における処理を示すフローチャート。
図2に示す外力目標生成部の第1実施形態における処理を示すフローチャート。
図7のS01で設定する仮想面を説明するための図。
図11(a)は図7のS05の処理により決定される仮想面必要並進力(仮想面垂直抗力成分及び仮想面摩擦力成分)の例を示す図、図11(b)は図7のS13までの処理により決定される仮想面必要並進力(仮想面垂直抗力成分及び仮想面摩擦力成分)の例を示す図。
図8のS19の処理を説明するための図。
図8のS25の処理を説明するための図。
図2に示す外力目標生成部の、第2実施形態における処理を示すフローチャート。
図2に示す外力目標生成部の、第2実施形態における処理を示すフローチャート。
図2に示す外力目標生成部の、第3実施形態における処理を示すフローチャート。
図2に示す外力目標生成部の、第4実施形態における処理を示すフローチャート。
図2に示す外力目標生成部の、第4実施形態における処理を示すフローチャート。
図19(a)〜(e)は図1のロボットの目標歩容の他の例におけるロボットの瞬時的な動作状態を時系列的に示す図。
図20(a)〜(d)は図1のロボットの目標歩容の他の例におけるロボットの瞬時的な動作状態を時系列的に示す図。

実施例

0105

[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1図13を参照して以下に説明する。

0106

まず、図1を参照して、本実施形態における脚式移動ロボット1(以降、単にロボット1という)の機構的な概略構成を説明する。

0107

このロボット1は、基体3と、この基体3から延設された複数のリンク機構5とを有する。各リンク機構5は、ロボット1の脚として機能し得る機構である。そして、リンク機構5の個数は、本実施形態の例では4つである。

0108

なお、本実施形態の説明において、リンク機構5がロボット1の脚として機能し得るということは、該リンク機構5の先端部を、ロボット1の外界(動作環境)の床あるいは壁等の接触対象面に接触させた場合に、該リンク機構5が、ロボット1の自重(より正確には、ロボット1に作用する重力とロボット1の運動によって発生する慣性力との合力)の全部又は一部を支える外力を接触対象面から受けることができることを意味する。

0109

各リンク機構5は、複数の要素リンク7と、これらの要素リンク7を基体3側から順番連接する複数の関節9とから構成されている。この場合、各リンク機構5の先端部を構成する要素リンク7(以降、これを先端部リンク7a、又は単にリンク機構5の先端部という)が、該リンク機構5を脚として機能させる場合に、ロボット1の外界の床あるいは壁等の接触対象面に接触させる部分である。そして、各先端部リンク7aは、板状に形成されており、その表面(外界との接触面)には図示を省略するゴム材等の弾性樹脂材が装着されている。

0110

各リンク機構5の各関節9は、例えば公知の構造の回転型の関節であり、それぞれ、1つ又は複数の自由度を有する。この場合、各リンク機構5に含まれる全ての関節9のトータルの自由度数が“6”以上の自由度数となるように、各リンク機構5毎の各関節9の自由度数が設定されている。このため、基体3に対する各先端部リンク7aの空間的な位置と姿勢(空間的な向き)とは、それぞれ3自由度を有する。なお、各リンク機構5には、回転型の関節の他に、直動型の関節が含まれていてもよい。

0111

また、図1では図示を省略するが、ロボット1には、各関節9をそれぞれ駆動する電動モータ等の複数の関節アクチュエータ11(図2に示す)が搭載されている。そして、各リンク機構5の各関節9は、それに対応する関節アクチュエータ11から、図示しない減速機等を含む動力伝達機構を介して駆動力が伝達されるようになっている。

0112

以上が本実施形態におけるロボット1の機構的な概略構成である。

0113

補足すると、図1に例示するロボット1では、各リンク機構5の要素リンク7のサイズや個数、関節9の個数、トータルの自由度数等を含めた各リンク機構5の構造が、全てのリンク機構5で同じであるように記載されているが、それらの構造は、全てのリンク機構5で同じである必要はない。

0114

また、図1では、ロボット1が、2つのリンク機構5a,5bを脚として機能させて平地を移動させる2脚移動ロボット人型ロボットに類似するロボット)であるように記載されているが、例えば全てのリンク機構5を脚として機能させて平地を移動させるようなロボット(例えば4脚ロボット)であってもよい。

0115

また、リンク機構5の個数は、4個である必要ななく、例えば、3個もしくは5個以上であってもよい。

0116

次に、図2を参照して、以上の如く構成されたロボット1には、ロボット1の動作制御に利用されるセンサ群13と、CPU、RAM、ROM、関節アクチュエータ11の駆動回路等を含む電子回路ユニットにより構成された制御ユニット21とが搭載されている。

0117

センサ群13は、本実施形態の例では、ロボット1の代表リンク代表部位)としての基体3の空間的な姿勢を計測するための姿勢センサ15と、各リンク機構5の先端部に作用する外力を計測するための力センサ17と、各関節9の変位量(本実施形態では回転角)を計測するための関節変位センサ19とを備える。

0118

この場合、姿勢センサ15は、例えばジャイロセンサ等の角速度センサレートセンサ)と加速度センサとから構成され、図1に示す如く基体3に搭載されている。また、力センサ17は、例えば3軸方向の並進力及び3軸周りのモーメントを検出可能な6軸力センサにより構成され、図1に示す如く、各リンク機構5の最も先端側の関節9と先端部リンク7aとの間に介装されている。また、関節変位センサ19は、例えば各関節9に装着されたエンコーダポテンショメータ等により構成される。

0119

制御ユニット21は、ロボット1の適所、例えば基体3に搭載されている。この制御ユニット21は、実装されるプログラム等により実現される主要な機能として、ロボット1の目標とする動作を表す目標歩容を生成(作成)して出力する歩容生成部23と、この目標歩容に応じてロボット1の動作制御を行う動作制御部29とを備える。

0120

歩容生成部23の処理の詳細な説明は後述するが、該歩容生成部23が生成して出力する目標歩容は、ロボット1の目標運動と、ロボット1に外界から作用させる外力に関する目標とから構成される。

0121

この場合、目標歩容の構成要素のうちの目標運動は、各関節9の目標変位量の時系列と、ロボット1の代表リンク(本実施形態では基体3)のグローバル座標系での目標位置及び目標姿勢の時系列とから構成される。なお、代表リンク(基体3)の目標位置は、より詳しくは、該代表リンクに設定された代表点の目標位置である。また、グローバル座標系は、ロボット1の外界に対して固定される座標系である。

0122

また、目標歩容の構成要素のうちの外力に関する目標は、1つ以上のリンク機構5の先端部リンク7aを外界の接触対象面に接触させる場合に該接触対象面からロボット1に作用させるべき外力の目標値(目標外力)の時系列と、その外力の作用点の目標位置としての目標外力作用点の時系列とから構成される。この場合、目標外力は、本実施形態では、該外力のうちの並進力成分である並進外力の目標値(目標並進力)と、該外力のうち、外界の接触対象面に垂直な方向の軸周りでのねじり力(モーメント外力)の目標値(目標ねじり力)とから構成される。

0123

なお、接触対象面からロボット1に作用させるべき外力の作用点というのは、その接触対象面からロボットに作用する外力の全体によって、該作用点の周りに発生するモーメントのうち、該接触対象面に平行な軸周りの成分が“0”となるような点を意味する。その作用点は、ロボット1を単に床上で移動させる場合には、所謂、床反力中心点に相当する点である。

0124

補足すると、目標歩容に関する上記「時系列」は、ある期間内の瞬時値順序列そのものでよいことはもちろんであるが、該時系列のパターンを規定する関数式等のパラメータであってもよい。

0125

また、ロボット1のあるリンク機構5のトータルの自由度数が6自由度である場合には、基体3に対する該リンク機構5の先端部リンク7aの位置及び姿勢を指定すれば、該リンク機構5の各関節9の変位量が一義的に決定されることとなる。従って、6自由度のリンク機構5については、該リンク機構5の各関節9の目標変位量の代わりに、該リンク機構5の先端部リンク7aの目標位置及び目標姿勢を、前記目標運動の構成要素として用いてもよい。

0126

さらに、必要に応じて、ロボット1の所定の運動状態量の目標値、例えば、ロボット1の全体重心点の位置、速度、加速度の目標値、あるいは、ロボット1の基体3以外の特定の部位の位置、姿勢の目標値を、歩容生成部23で生成する目標運動の構成要素に含めるようにしてもよい。

0127

動作制御部25は、歩容生成部23が生成した目標歩容にロボット1の実際の動作を追従させるようにロボット1の各関節9をそれに対応する関節アクチュエータ11を介して制御する。この場合、本実施形態では、姿勢センサ15の出力と関節変位センサ19の出力とから認識されるロボット1全体の重心点の実際の位置と、目標運動により規定されるロボット1全体の重心点の目標位置との偏差に応じて、該偏差を“0”に近づけるために、ロボット1に付加的に作用させるべき外力が決定される。さらに、この付加的外力を目標歩容における外力の目標値に付加してなる外力と目標運動とに、それぞれ、実際の外力(前記力センサ17の出力から認識される外力)とロボット1の実際の運動とを追従させるように、各関節9に付与すべき駆動力が決定される。そして、この決定された駆動力に応じて各関節アクチュエータ11の駆動力が制御される。

0128

次に、前記歩容生成部23による目標歩容の生成処理を詳細に説明する。なお、以降の説明では、4つのリンク機構5を区別する場合には、図1に示す如く参照符号5a,5b,5c,5dを付する。

0129

歩容生成部23は、本願発明を適用した処理によって目標歩容を生成する。この生成処理のアルゴリズムは、種々様々な動作環境でロボット1を運動させる歩容を生成することが可能である。

0130

ただし、本実施形態における目標歩容の生成処理は、特に、ロボット1の外界(動作環境)に存する互いに異なる複数の接触対象面にロボット1の複数の部位を接触させながら、ロボット1の運動を行なわせるための目標歩容を生成する場合に特徴を有する。

0131

そこで、以降の説明では、本実施形態の理解の便宜上、複数の接触対象面にロボット1の複数のリンク機構5の先端部リンク7aを接触させながら、ロボット1の運動を行なわせるための一例の目標歩容を参考的に提示する。そして、その一例の目標歩容の生成処理に関する説明を適宜行いつつ、歩容生成部23の処理を説明する。

0132

以降の本実施形態の説明で参考的に例示する目標歩容に係わるロボット1の動作環境は、ロボット1の外界に存する互いに異なる接触対象面として、例えば図1に示すように、床面FLと、この床面FLからほぼ垂直に起立する2つの壁面WL1,WL2とを備える動作環境である。この場合、2つの壁面WL1,WL2は、互いに間隔を存して平行もしくはほぼ平行に対向する接触対象面である。

0133

そして、本実施形態の説明で参考的に例示する目標歩容は、2つの壁面WL1,WL2の間で、床面FL上から壁面WL1,WL2をよじ登らせるようにロボット1を動作させる目標歩容である。以降、この目標歩容を壁登り歩容ということがある。

0134

この壁登り歩容におけるロボット1の動作形態概要図3(a),(b),(c)及び図4(a),(b)を参照して以下に説明しておく。図3(a),(b),(c)及び図4(a),(b)は、壁登り歩容におけるロボット1の瞬時的な動作状態(時刻t1〜t5での動作状態)を時系列順に示している。

0135

なお、これらの図では、便宜上、ロボット1の各リンク機構5のリンク要素7及び関節9の図示を省略し、各リンク機構5をその基端部(基体3側の端部)と先端部とを結ぶ線分として記載している。この場合、図面上は、各リンク機構5の先端部は点となるが、実際には、前記した板状の先端部リンク7aである。

0136

また、これらの図における矢印F1〜F10は、各図のロボット1の動作状態で、接触対象面FL又はWL1又はWL2からロボット1に作用する外力(並進外力)の例を視覚的に示している。この場合、各並進外力F1〜F10の始点が接触対象面FL又はWL1又はWL2からロボット1への該並進外力の作用点(外力作用点)に相当する。

0137

また、これらの図において、接触対象面FL又はWL1又はWL2上に記載している丸枠領域AR1〜AR12は、各図のロボット1の動作状態で、接触対象面FL又はWL1又はWL2からロボット1への外力作用点の概略的な存在可能領域を視覚的に示している。その存在可能領域は、単一のリンク機構5の先端部だけが接触している接触対象面では、その単一のリンク機構5の先端部リンク7aと接触対象面との接触面内の領域である。また、複数のリンク機構5の先端部が接触している接触対象面での外力作用点の存在可能領域は、それらの複数のリンク機構5の先端部リンク7aのそれぞれと接触対象面との各接触面内の領域をひとまとめに連接してなる領域(所謂、支持多角形に相当する領域)である。

0138

以下、これらの図を参照して壁登り歩容を説明すると、図3(a)は壁登り歩容の初期状態を示している。この初期状態では、ロボット1の2つのリンク機構5a,5bの先端部を床面FLに接触(接地)させた状態で、ロボット1が壁面WL1,WL2の間で床面FL上に起立する。また、ロボット1の壁登り歩容の動作を開始するために、ロボット1は、残りのリンク機構5c,5dのうちの壁面WL1側のリンク機構5cの先端部を該壁面WL1に接触させると共に、壁面WL2側のリンク機構5dの先端部を該壁面WL2に接触させる。

0139

この場合、図3(a)の初期状態では、ロボット1の自重(より正確には、ロボット1に作用する重力とロボット1の運動によって発生する慣性力との合力)を支えるための外力として、例えば、矢印F1で示す外力が、床面FLの領域AR1からロボット1に作用する。なお、図示例では、壁面WL1,WL2からロボット1に作用する外力は“0”である。

0140

次いで、ロボット1の動作状態は、図3(b)に示す状態に移行する。この図3(b)の動作状態は、図3(a)の初期状態で壁面WL1,WL2に接触させたリンク機構5c,5dの先端部をそれぞれ壁面WL1,WL2に押し付けつつ、リンク機構5a,5bのうちの一方(図示例では、リンク機構5a)の先端部を床面FL上から浮上させることによって、図3(a)の初期状態から移行する動作状態である。

0141

この場合、図3(b)の動作状態では、ロボット1の自重を支えるための外力として、例えば、床面FLの領域AR4から矢印F2で示す外力がロボット1に作用すると共に、壁面WL1の領域AR5と壁面WL2の領域AR6とからそれぞれ矢印F3,F4で示す外力(上向きの摩擦力成分を有する外力)がロボット1に作用する。

0142

次いで、ロボット1の動作状態は、図3(c)に示す状態に移行する。この図3(c)の動作状態は、図3(b)の動作状態で壁面WL1,WL2にそれぞれ押し付けたリンク機構5c,5dの先端部の押し付け力を増加させ、さらに、図3(b)の動作状態で床面FLに接触させていたリンク機構5bを床面FL上から浮上させる(ひいては、リンク機構5a,5bの両方を床面FL上から浮上させる)ことによって、図3(b)の動作状態から移行する動作状態である。

0143

この場合、図3(c)の動作状態では、ロボット1の自重を支えるための外力として、例えば、壁面WL1の領域AR7と、壁面WL2の領域AR8とから、それぞれ矢印F5,F6で示す外力(上向きの摩擦力成分を有する外力)がロボット1に作用する。

0144

次いで、ロボット1の動作状態は、図4(a)に示す状態に移行する。この図4(a)の動作状態は、図3(c)の動作状態までに床面FLから浮上させたリンク機構5a,5bのうちのリンク機構5aの先端部を、リンク機構5cの先端部の下側で壁面WL1に接触させると共に、リンク機構5bの先端部を、リンク機構5dの先端部の下側で壁面WL2に接触させることによって、図3(c)の動作状態から移行する動作状態である。

0145

この場合、図4(a)に示した動作状態は、リンク機構5a,5bをそれぞれ壁面WL1,WL2に接触させた直後の状態である。この状態では、例えば、壁面WL1の領域AR9のうち、リンク機構5cの先端部寄りの点を外力作用点として、矢印F7で示す外力(上向きの摩擦力成分を有する外力)がロボット1に作用すると共に、壁面WL2の領域AR10のうち、リンク機構5dの先端部寄りの点を外力作用点として、矢印F8で示す外力(上向きの摩擦力成分を有する外力)がロボット1に作用する。

0146

次いで、ロボット1の動作状態を、図4(a)に示した如くリンク機構5a,5cを壁面WL1に接触させ、且つ、リンク機構5b,5dを壁面WL2に接触させた状態に維持したまま、下側のリンク機構5a,5bのそれぞれの壁面WL1,WL2への押し付け力を増加させていくと共に、上側のリンク機構5c,5dのそれぞれの壁面WL1,WL2への押し付け力を減少させていく。

0147

これにより、壁面WL1からロボット1への外力作用点を、領域AR9のうちのリンク機構5aの先端部寄りの箇所に近づけていくと共に、壁面WL2からロボット1への外力作用点を、領域AR10のうちのリンク機構5bの先端部寄りの箇所に近づけていく。そして、最終的には、壁面WL1からロボット1への外力作用点を、リンク機構5aの先端部と壁面WL1との接触面内に移動させると共に、壁面WL2からロボット1への外力作用点を、リンク機構5bの先端部と壁面WL2との接触面内に移動させる。

0148

次いで、ロボット1の動作状態は、図4(b)に示す状態に移行する。この図4(b)の動作状態は、図4(a)の動作状態で、上記の如く壁面WL1,WL2からロボット1への外力作用点を移動させた後に、リンク機構5a,5bをそれぞれ壁面WL1,WL2に押し付けた状態を維持したまま、リンク機構5c,5dの先端部のうちの一方(図示例では、リンク機構5cの先端部)を壁面WL1から離反させることによって、図4(a)の動作状態から移行する動作状態である。

0149

この場合、図4(b)に示した動作状態では、ロボット1の自重を支えるための外力として、壁面WL1の領域AR11から矢印F9で示す外力(上向きの摩擦力成分を有する外力)がロボット1に作用すると共に、壁面WL2の領域AR12から矢印F10で示す外力(上向きの摩擦力成分を有する外力)がロボット1に作用する。

0150

その後は、リンク機構5dの先端部も壁面WL2から離反される。そして、壁面WL1,WL2から離反されたリンク機構5c,5dの先端部が、それぞれ、図4(a)の動作状態よりも高所で壁面WL1,WL2に接触される。そして、図3(b)以降の動作と同様の動作の繰り返しによって、ロボット1が壁面WL1,WL2をよじ登っていく。

0151

以上が、壁登り歩容の概略的な形態である。

0152

このような壁登り歩容等の目標歩容を生成する歩容生成部23が実行する処理は、図2のブロック図に示す如く、基本歩容要素生成部25の処理と、外力目標生成部27の処理とに大別される。

0153

上記基本歩容要素生成部25は、目標歩容のうちの基本的な構成要素として、ロボット1の目標運動と、暫定的な目標外力作用点である暫定外力作用点とを生成する処理を実行する機能部である。なお、基本歩容要素生成部25は、暫定外力作用点を決定するために、目標外力作用点の存在許容領域を設定する処理も実行する。

0154

また、上記外力目標生成部27は、基本歩容要素生成部25が生成した目標運動と暫定外力作用点とを用いて、該目標運動を実現する上で適切な外力の目標値(目標外力)と目標外力作用点とを決定する処理を実行する機能部である。

0155

この場合、本実施形態では、外力目標生成部27は、基本歩容要素生成部25が生成した目標運動を評価する機能を有する。そして、外力目標生成部27は、生成された目標運動が適切である場合に、目標歩容の全期間における目標外力と目標外力作用点とを決定する処理を実行し、該目標運動が不適切であると評価されるときには、目標外力と目標外力作用点とを決定する処理を中止する。

0156

歩容生成部23が目標歩容を生成するとき、歩容生成部23には、制御ユニット21にあらかじめ記憶保持された移動指令データ、あるいは、外部から無線通信などにより制御ユニット21に入力される移動指令データが与えられると共に、ロボット1の外界に存在する接触対象面等に関する環境情報が与えられる。

0157

上記移動指令データは、例えば、ロボット1の移動開始時刻や、移動経路、移動の仕方等を指定するデータである。また、上記環境情報は、例えば、ロボット1の外界の接触対象面(床面FL、壁面WL1,WL2等)のロボット1に対する相対位置及び相対姿勢を認識するために必要な情報や、各接触対象面の性状摩擦係数等)を認識するために必要な情報等から構成される。

0158

なお、上記環境情報は、制御ユニット21に外部から無線通信等により入力される情報、又は制御ユニット21にあらかじめ記憶保持された情報でもよいが、ロボット1に搭載した図示しない撮像カメラ等の環境認識用のセンサの出力を基に、制御ユニット21で認識された情報であってもよい。

0159

そして、歩容生成部23は、これらの移動指令データと環境情報とを用いて、まず、基本歩容要素生成部25の処理を実行する。この基本歩容要素生成部25は、入力された移動指令データと環境情報とに基づいて、ロボット1の運動を制約する条件(ロボット1の目標運動が満たすべき条件)を設定し、その条件を満足させるように、逆運動学演算処理によってロボット1の目標運動を生成する。

0160

この場合、ロボット1の運動を制約する条件は、基本的には、該ロボット1の要求される運動形態に応じて適宜設定される。その制約条件としては、例えば、各リンク機構5の先端部の運動を制約する条件(各リンク機構5の先端部リンク7aを外界の接触対象面に接触させる時刻の目標、その接触時における接触対象面上の接触位置の目標、その接触時における先端部リンク7aの姿勢の目標、外界の接触対象面に接触させていない先端部リンク7aの、ある時刻又は期間における位置及び姿勢の目標等)と、基体2の運動を制約する条件(ある時刻又は期間における基体2の位置及び姿勢の目標等)とを使用することができる。

0161

なお、基体2の運動を制約する条件に代えて、もしくは、該条件に加えて、ロボット1の運動に関する所定の状態量を制約する条件(例えばロボット1の全体の並進運動量又は角運動量の目標等)を使用するようにしてもよい。また、該制約条件には、一般には、ロボット1の関節9の可動範囲や動作速度(関節9の変位量の変化速度)の許容範囲等、機構的な制約条件も含まれる。

0162

前記壁登り歩容の生成を行なう場合には、基本歩容要素生成部25は、図3及び図4を参照して説明した時系列的な形態で、ロボット1の各リンク機構5の先端部が接触対象面FL,WL1,WL2のいずれかに接触する動作が行なわれるように、ロボット1の運動を制約する条件(例えば、各リンク機構5の先端部の運動を制約する条件と、基体3の運動を制約する条件とを含む制約条件)を決定する。そして、基本歩容要素生成部25は、この制約条件を満足させるように、逆運動学の演算処理によってロボット1の目標運動の時系列を生成する。なお、目標運動は、不連続に(ステップ状に)変化することが無いように生成される。

0163

また、基本歩容要素生成部25は、上記の如く決定した目標運動に基づいて、各接触対象面(1つ又は複数のリンク機構5の先端部リンク7aを接触させている面)における暫定外力作用点の時系列を決定する。

0164

この場合、基本歩容要素生成部25は、まず、上記の如く生成した目標運動に基づいて、各接触対象面における外力作用点の存在許容領域を設定する。より詳しくは、基本歩容要素生成部25は、上記の如く生成した目標運動において、1つのリンク機構5の先端部リンク7aだけを接触させる接触対象面においては、該接触対象面と先端部リンク7aとの接触面内に外力作用点の存在許容領域を設定する。その存在許容領域は、接触対象面と先端部リンク7aとの接触面内で、その接触面の境界に近づき過ぎないような領域に設定される。

0165

また、2つ以上のリンク機構5の先端部リンク7aを接触させる接触対象面においては、基本歩容要素生成部25は、該接触対象面と各先端部リンク7aとの接触面を連接してなる領域(所謂、支持多角形の領域)内に外力作用点の存在許容領域を設定する。その存在許容領域は、支持多角形の領域内で、該支持多角形の領域の境界に近づき過ぎないような領域に設定される。

0166

そして、基本歩容要素生成部25は、上記の如く設定した外力作用点の存在許容領域内の点(例えば、該存在許容範囲内の中央点)を暫定外力作用点として決定する。なお、各接触対象面上の暫定外力作用点は、該接触対象面にいずれかのリンク機構5が接触する状態が連続的に継続する期間内において、該作用点の位置が不連続に(ステップ状に)変化することが無いように決定される。

0167

歩容生成部23が図3及び図4に例示した壁登り歩容の生成を行なう場合には、暫定外力作用点は、例えば、図5(a),(b),(c)に例示する時系列パターンで生成される。なお、図5(a)〜(c)における横軸の時刻t1〜t5は、それぞれ順番に、図3(a)、図3(b)、図3(c)、図4(a)、図4(b)の動作状態に対応する時刻を示している。

0168

図5(a)〜(c)に示す例では、床面FL上の暫定外力作用点の位置(壁面WL1,WL2に垂直な方向での位置)は、時刻t1から時刻t2の直前までに壁面WL1側から壁面WL2側に連続的に移動していくように決定される。

0169

また、壁面WL1上の暫定外力作用点の位置(高さ方向での位置)は、時刻t3と時刻t4との間の途中時刻まで一定の位置(壁面WL1とリンク機構5cの先端部との接触面内の位置)に維持された後、該途中時刻から時刻t4の直前まで、下方に連続的に移動していくように決定される。次いで、壁面WL1上の暫定外力作用点の位置は、時刻t4と時刻t5との間の途中時刻まで一定の位置(リンク機構5cの先端部の壁面WL1への接触面とリンク機構5aの先端部の壁面WL1への接触面との間の中間位置)に維持された後、時刻t5の直前の時刻まで、下方に連続的に移動していき、さらに、時刻t5の前後の期間で一定の位置(壁面WL1とリンク機構5aの先端部との接触面内の位置)に維持されるように決定される。

0170

また、壁面WL2上の暫定外力作用点の位置(高さ方向での位置)は、時刻t3と時刻t4との間の途中時刻まで一定の位置(壁面WL2とリンク機構5dの先端部との接触面内の位置)に維持された後、該途中時刻から時刻t4の直前の時刻まで、下方に連続的に移動していき、その後、時刻t5の直後の時刻までの期間で一定の位置(リンク機構5dの先端部の壁面WL2への接触面とリンク機構5bの先端部の壁面WL2への接触面との間の中間位置)に維持されるように決定される。

0171

なお、この場合、床面FLと壁面WL1,WL2のそれぞれにおける外力作用点の存在許容領域は、その面積が、例えば図6に示すようなパターンで連続的に変化するように設定される。

0172

補足すると、基本歩容要素生成部25が生成する目標運動は、基本的には、ロボット1に行なわせようとする運動に関する要求を形式的に(少なくとも運動学的に)実現し得るように生成されたものであればよい。換言すれば、該目標運動は、動力学的な実現性が厳密に保障されたものでなくてもよい。従って、該目標運動を実現するためにロボット1に作用させるべき外力が、実際にはロボット1に作用させることが困難となる場合や、該外力が好適な範囲を逸脱するようなものとなる場合(該外力が過大になり過ぎる場合等)もあり得る。

0173

歩容生成部23は、次に、外力目標生成部27の処理を実行する。この外力目標生成部27には、基本歩容要素生成部25で生成された目標運動、暫定外力作用点及び外力作用点の存在許容領域が入力される。さらに、外力目標生成部27には、前記環境情報も入力される。

0174

そして、外力目標生成部27は、これらの入力データを用いて、図7図9のフローチャートに示す処理を実行することによって、目標歩容の目標外力と目標外力作用点とを決定する。図7図9のフローチャートに示す処理は、目標歩容の各時刻(所定の刻み時間毎の各時刻)における目標運動の評価を行いつつ、目標外力及び目標外力作用点の瞬時値を決定するための処理を示しており、この処理を目標歩容の各時刻毎に順番に行なうことによって、目標運動が適切である場合に、目標外力と目標外力作用点とが時系列的に決定される。

0175

なお、外力目標生成部27の処理に関する以降の説明においては、図7図9のフローチャートの処理により今現在、決定しようとする目標外力及び目標外力作用点の瞬時値に対応する時刻を今回時刻という。また、今回時刻の1つ前の時刻を前回時刻、次の時刻を次回時刻という。

0176

以下説明すると、外力目標生成部27は、まず、S01の処理を実行する。このS01では、外力目標生成部27は、目標運動と環境情報とを基に、今回時刻での目標外力及び目標外力作用点を決定するための演算処理に用いる作業用の仮想面を、ロボット1の外界の各接触対象面(目標運動における今回時刻でいずれかのリンク機構5の先端部を接触させる接触対象面)に一致又は近似させるように設定する。

0177

ここで、本実施形態では、外力目標生成部27の処理のアルゴリズムに汎用性を持たせると共に該アルゴリズムの構築を行い易くするために図10に示す如く、相互の姿勢関係があらかじめ定められた6つの平面S1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bが、作業用の仮想面として使用し得る面として用意されている。そして、外力目標生成部27の処理では、ロボット1の目標運動を実現するために該ロボット1に各接触対象面から作用すべき外力は、各接触対象面に対応する仮想面からロボット1に作用する外力であると見なされる。

0178

この場合、本実施形態では、6つの仮想面のうちの仮想面S1a,S2a,S3aは相互に直交する平面とされ、仮想面S1b,S2b,S3bは、それぞれ仮想面S1a,S2a,S3aに平行な平面とされている。

0179

また、互いに平行に対向する2つの仮想面は、それぞれが発生し得る垂直抗力が互いに逆向き(各仮想面からこれに対向する仮想面に向かう向き)であるとされる。例えば、図10に示す如く、3軸直交座標系(XYZ座標系)を想定した場合において、X軸に直交する仮想面S1a,S1bがそれぞれ発生可能な垂直抗力N_1a,N_1bの向きは、それぞれX軸方向の正の向き(S1aからS1bに向かう向き)、X軸方向の負の向き(S1bからS1aの向かう向き)である。このことは、Y軸に直交する仮想面S2a,S2bの組、Z軸に直交する仮想面のS3a,S3bの組についても同様である。

0180

そして、S01の処理では、外力目標生成部27は、今回時刻での外界の各接触対象面(詳しくは、各接触対象面のうちのロボット1のリンク機構5の先端部との接触面)に、それぞれ、仮想面S1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bのいずれか1つを対応付ける。そして、外力目標生成部27は、今回時刻での各接触対象面に対応付けた仮想面が、それに対応する接触対象面に一致又は近似するように、今回時刻での接触対象面と同数の仮想面を、ロボット1の外界(前記環境情報により認識される外界)に対して仮想的に設定する。なお、外界に仮想面を設定するということは、外界における仮想面の配置位置及び姿勢を決定することを意味する。

0181

この場合、今回時刻での外界の接触対象面が複数となる場合には、各接触対象面(各接触対象面のうちのロボット1のリンク機構5の先端部との接触面)とこれに対応する仮想面との間の姿勢差(空間的な角度差)が、いずれの接触対象面についてもできるだけ“0”又はそれに近いものとなるように、外界における仮想面の配置(接触対象面と同数の仮想面から成る仮想面群の配置)が決定される。例えば、各接触対象面毎の上記姿勢差の空間的な各成分(3軸周りの角度差成分)の2乗値又は絶対値を、今回時刻での全ての接触対象面に関して加え合わせてなる値(又は該2乗値又は絶対値の平均値)が最小となるように、今回時刻での全ての接触対象面と同数の仮想面から成る仮想面群の配置が決定される。

0182

従って、本実施形態では、今回時刻での外界の接触対象面が複数となる場合に、S01で設定される複数の仮想面(仮想面群)は、接触対象面と同数の仮想面により構成され、その相互の姿勢関係は、任意の2つの仮想面が互いに直交するか、又は互いに平行に対向するものとなる。

0183

なお、今回時刻での接触対象面が前回時刻での接触対象面と同一の接触対象面を有する場合には、今回時刻において、その同一の接触対象面に対応付けられる仮想面は、前回時刻と同じ仮想面に維持される。

0184

以上のS01の処理によって、歩容生成部23が、前記壁登り歩容を生成する場合には、例えば、次のように仮想面が設定される。すなわち、図3(a)又は図3(b)に示した動作状態の時刻では、6つの仮想面S1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bのうちの互いに平行な2つの仮想面を含む3つの仮想面、例えば、仮想面S3a,S2a,S2bがそれぞれ接触対象面としての床面FL、壁面WL1、壁面WL2に対応付けられる(図中の括弧付きの参照符号を参照)。そして、これらの仮想面S3a,S2a,S2bがそれぞれ床面FL、壁面WL1、壁面WL2に一致又はほぼ一致する面になるように、ロボット1の外界における仮想面S3a,S2a,S2bの配置が決定される。

0185

また、図3(c)、図4(a)、図4(b)の動作状態の時刻では、図3(a),(b)の動作状態での壁面WL1,WL2にそれぞれ対応付けられた仮想面S2a,S2bが、そのまま、壁面WL1,WL2にそれぞれ対応付けられる(図中の括弧付きの参照符号を参照)。そして、これらの仮想面S2a,S2bがそれぞれ壁面WL1,WL2に一致又はほぼ一致するように、ロボット1の外界における仮想面S2a,S2bの配置が決定される。

0186

なお、以降の本実施形態の説明では、S01で設定される仮想面のうち、互いに平行に対向する2つの仮想面を対向仮想面ということがある。この対向仮想面の組は、本実施形態では、仮想面S1a,S1bの組、仮想面S2a,S2bの組、仮想面S3a,S3bの組のいずれかである。そして、これらの各組の対向仮想面を総称的に表記する場合に、対向仮想面Sna,Snb(n=1又は2又は3)、あるいは、単に対向仮想面Sna,Snbと表記することがある。

0187

図5の説明に戻って、外力目標生成部27は、次に、S03の処理を実行する。このS03では、外力目標生成部27は、基本歩容要素生成部25が作成した目標運動を基に、この目標運動を実現するために、今回時刻でロボット1に作用させるべきトータルの外力である必要総外力のうちの並進力成分である必要総並進外力Fallと、該必要総外力のうちの所定の基準点周りのモーメント成分である必要総モーメント外力Mallとを決定する。

0188

ここで、上記所定の基準点(以降、モーメント基準点という)は、ロボット1の外界に対して固定された点(例えば、外界の接触対象面又はこれに対応する仮想面上に設定された点)である。このモーメント基準点は、目標歩容の全期間で一定の点に維持してもよいが、目標歩容の所定の期間毎に適宜更新するようにしてもよい。

0189

なお、本実施形態における外力目標生成部27の処理では、必要総並進外力Fall、必要総モーメント外力Mall等の並進力もしくはモーメント、あるいは、空間的な位置、姿勢等の変数ベクトル量)は、S01で設定される仮想面に対して固定されたグローバル座標系(例えば、各仮想面に対して図10に示すような位置及び姿勢関係で設定される3軸直交座標系(XYZ座標系))で記述される。

0190

上記必要総並進外力Fall及び必要総モーメント外力Mallは、より具体的には次のように決定される。すなわち、必要総並進外力Fallを決定する場合には、外力目標生成部27は、ロボット1の目標運動を基に、ロボット1の幾何学モデル(剛体リンクモデル)を用いて、ロボット1の全体重心点の目標位置の2階微分値である目標重心加速度(今回時刻での目標重心加速度)を算出する。なお、ロボット1の全体重心点の目標位置、あるいは、目標重心加速度は、前記基本歩容要素生成部25で目標運動の要素として算出しておくようにしてもよい。

0191

そして、外力目標生成部27は、この目標重心加速度とロボット1の全体質量とから算出される並進慣性力(ロボット1の目標運動によって発生する慣性力の並進力成分)とロボット1に作用する重力との合力に釣り合う並進力を必要総並進外力Fallとして算出する。

0192

なお、目標運動によって発生するロボット1の全体の並進慣性力は、例えば、ロボット1の各リンク3,7毎の重心点の並進慣性力を加え合わせることによって算出するようにしてもよい。

0193

また、必要総モーメント外力Mallを決定する場合には、外力目標生成部27は、ロボット1の目標運動を基に、ロボット1の幾何学モデル(剛体リンクモデル)を用いて、ロボット1の目標運動によって該ロボット1の全体重心点の周りに発生する今回時刻での慣性力モーメント(慣性力のモーメント成分)と、該目標運動におけるロボット1の全体重心点の運動(並進運動)が前記モーメント基準点周りに発生する今回時刻での慣性力モーメントとの総和の慣性力モーメントを算出する。そして、外力目標生成部27は、この総和の慣性力モーメントに釣り合うモーメントを今回時刻での必要総モーメント外力Mallとして算出する。

0194

なお、ロボット1の目標運動によって発生する並進慣性力の時系列と、前記モーメント基準点周りの慣性力モーメントの時系列とを前記基本歩容要素生成部25で算出しておいてもよい。そして、今回時刻での並進慣性力の値と慣性力モーメントの値とを基本歩容要素生成部25から外力目標生成部27に入力するようにしてもよい。

0195

上記の如く必要総並進外力Fall及び必要総モーメント外力Mallを算出した後、外力目標生成部27は、次に、S05〜S15の処理を実行する。このS05〜S15の処理は、ロボット1の目標運動(より詳しくは、該目標運動により規定されるロボット1の全体重心点の並進運動)を実現するために、S01で設定した各仮想面からロボット1に作用させるべき並進力である仮想面必要並進力を決定する処理である。この各仮想面における仮想面必要並進力は、該仮想面に垂直な成分である仮想面垂直抗力成分と、該仮想面に平行な成分である仮想面摩擦力成分とから構成される。なお、S05〜S15の処理によって決定される仮想面必要並進力は暫定値であり、後述のS19以降の処理によって修正される場合がある。また、S05〜S15の処理には、決定する仮想面必要並進力に基づいて、目標運動の評価を行なう処理も含まれる。

0196

以下、S05〜S15の処理を具体的に説明すると、外力目標生成部27は、まず、S05の処理を実行する。このS05では、外力目標生成部27は、S03で決定した必要総並進外力Fallに応じて、各仮想面における仮想面必要総並進力のうちの、該仮想面に垂直な成分(垂直抗力成分)である仮想面垂直抗力成分N_iと、該仮想面に平行な成分(摩擦力成分)である仮想面摩擦力成分F_iとを決定する。

0197

なお、本実施形態の説明では、参照符号N_i,F_i等における添え字“i”は、今回時刻におけるS01で設定された仮想面のうちの任意の仮想面の識別符号を意味する。そして、この添え字“i”を付した参照符号は、識別符号iの仮想面に関連するものの参照符号であることを意味する。この場合、本実施形態の説明では、仮想面S1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bのそれぞれの識別符号は、仮想面を表す参照符号中の“S”の添え字、すなわち、1a,2a,3a,1b,2b,3bであるとする。そして、ある特定の仮想面に関連する参照符号には、その特定の仮想面の添え字と同じ添え字を付する。例えば、仮想面S2aにおける仮想面垂直抗力成分の参照符号を“N_2a”と表記する。

0198

この場合、外力目標生成部27は、今回時刻のS01で設定した全ての仮想面における仮想面必要並進力の合力がS03で決定した必要総並進外力Fallに一致するという第1必要条件を満足するように、各仮想面における仮想面必要並進力を構成する仮想面垂直抗力成分N_iと仮想面摩擦力成分F_iとを決定する。

0199

より詳しくは、本実施形態におけるS05の処理では、上記第1必要条件を満足するために、外力目標生成部27は、今回時刻で設定した全ての仮想面における仮想面垂直抗力成分N_iの合力が、必要総並進外力Fallのうち、当該全ての仮想面に対して平行な成分を除く成分に一致するという第1A必要条件と、当該全ての仮想面における仮想面摩擦力成分F_iの合力が、必要総並進外力Fallのうち、当該全ての仮想面に対して平行な成分に一致するという第1B必要条件とを満足するように、各仮想面における仮想面垂直抗力成分N_iと仮想面摩擦力成分F_iとを決定する。

0200

なお、S05の処理では、今回時刻で設定した仮想面が、互いに平行に対向する2つの対向仮想面Sna,Snb(n=1又は2又は3)を含んでおり、且つ、必要総並進外力Fallが、これらの対向仮想面Sna,Snbに垂直な成分Fall_nを有するような場合には、外力目標生成部27は、これらの対向仮想面Sna,Snbのうち、Fall_nと同じ向きの垂直抗力を発生可能な対向仮想面における仮想面垂直抗力成分Sna又はSnbを、Fall_nに一致させると共に、他方の対向仮想面における仮想面垂直抗力成分Snb又はSnaを“0”に設定する。

0201

また、S05の処理では、今回時刻で設定した仮想面が複数であり、且つ、必要総並進外力Fallが全ての仮想面に平行な成分を有する場合には、外力目標生成部27は、上記第1A必要条件を満たすように、各仮想面における仮想面垂直抗力成分N_iを決定した上で、前記第1B必要条件を満たしつつ、各仮想面における仮想面摩擦力成分F_iの大きさが、該仮想面で発生可能な摩擦力の上限値に応じた大きさとなるように(詳しくは該仮想面で発生可能な摩擦力の上限値が大きいほど、仮想面摩擦力成分F_iの大きさが大きくなるように)、各仮想面の仮想面摩擦力成分F_iを決定する。

0202

具体的には、外力目標生成部27は、今回時刻で設定した各仮想面の摩擦係数μ_iを、前記環境情報(詳しくは、該仮想面に対応する接触対象面の摩擦係数に関する環境情報)に基づいて設定する。この場合、各仮想面の摩擦係数μ_iは、該仮想面に対応する接触対象面の実際の摩擦係数と同一もしくはほぼ同一の値に設定してもよいが、余裕を見込んで、実際の摩擦係数よりも小さめに設定しておくようにしてもよい。

0203

なお、各仮想面の摩擦係数μ_iの設定は、目標歩容の各時刻で行なう必要はない。例えば、外力目標生成部27の処理を開始する前に、各接触対象面に対応付ける仮想面の摩擦係数を前記環境情報に基づいて事前に決定して記憶保持しておき、その記憶保持した摩擦係数から、S01で設定した各仮想面に対応させる摩擦係数を選定してもよい。

0204

さらに、外力目標生成部27は、各仮想面において、その仮想面に対応する摩擦係数μ_iを仮想面垂直抗力成分N_iの大きさ|N_i|に乗じてなる値(=μ_i*|N_i|)を、その仮想面で発生可能な摩擦力の上限値(以降、単に摩擦力上限値という)として設定する。

0205

なお、本明細書では、「*」は乗算記号として使用する。この場合、ベクトル同士の乗算演算における「*」は、外積ベクトル積)を意味するものとする。

0206

そして、外力目標生成部27は、上記の如く設定した摩擦力上限値が大きい仮想面ほど、仮想面摩擦力成分F_iの大きさがより大きくなるように、各仮想面における仮想面摩擦力成分F_iを決定する。

0207

例えば、上記第1B必要条件を満たしつつ、各仮想面の仮想面摩擦力成分F_iの大きさの相互の比率が、各仮想面の摩擦力上限値の相互の比率に一致するように、各仮想面の仮想面摩擦力成分F_iが決定される。なお、この場合、例えば、Fallのうちの全ての仮想面に平行な成分を、最も大きな摩擦力上限値を有する仮想面の仮想面摩擦力成分に一致させ、他の仮想面の仮想面摩擦力成分を“0”に設定するようにしてもよい。

0208

歩容生成部23が前記壁登り歩容を生成する場合には、以上説明したS05の処理によって、各仮想面における仮想面垂直抗力成分N_i及び仮想面摩擦力成分F_iは例えば、次のように決定されることとなる。

0209

例えば、図3(b)に示した動作状態の時刻t2において、必要総並進外力Fallが、図11(a)に示す如く床面FLに対応する仮想面S3aに垂直な成分Fall_zと、壁面WL1,WL2にそれぞれ対応する仮想面(対向仮想面)S2a,S2bに垂直な成分Fall_yと、これらの仮想面S3a,S2a,S2bの全てに平行な成分Fall_xを有する状況を想定する。

0210

この状況においては、S05の処理では、仮想面S3aの仮想面垂直抗力成分N_3aと仮想面S2aの仮想面垂直抗力成分N_2aとがそれぞれ、Fall_z、Fall_yに一致する値に決定されると共に、仮想面S2bの仮想面垂直抗力成分N_2bが“0”に決定される。これにより前記第1A必要条件を満足する各仮想面垂直抗力成分N_3a,N_2a,N_2bが決定される。なお、ここでは、μ_3a*|N_3a|>μ_2a*|N_2a|であるとする。

0211

そして、仮想面S3aの仮想面摩擦力成分F_3aと仮想面S2aの仮想面摩擦力成分F_2aとの合力(=F_3a+F_2a)がFall_xに一致し、且つ、|F_3a|>|F_2a|となるように(例えば|F_2a|/|F_3a|=μ_2a*|N_2a|/(μ_3a*|N_3a|)となるように)、仮想面S3aの仮想面摩擦力成分F_3aと仮想面S2aの仮想面摩擦力成分F_2aとが決定されると共に、仮想面S2bの仮想面摩擦力成分F_2bが“0”に決定される。これにより前記第1B必要条件を満足する各仮想面摩擦力成分F_3a,F_2a,F_2bが決定される。

0212

なお、壁登り歩容における図3(c)の動作状態以降の時刻では、必要総並進外力Fallが例えば図11(a)に示した場合と同様であるとした場合、S05の処理では、仮想面S2aの仮想面垂直抗力成分N_2aが、FallのうちのFall_yに一致し、且つ、仮想面摩擦力成分F_2aが、FallのうちのFall_zとFall_xとの合力に一致するように仮想面垂直抗力成分N_2a及び仮想面摩擦力成分F_2aが決定されると共に、仮想面S2bの仮想面垂直抗力成分N_2b及び仮想面摩擦力成分F_2bはいずれも“0”に決定される。

0213

図5のフローチャートの説明に戻って、以上のようにS05の処理を実行した後、外力目標生成部27は、S07の処理を実行する。このS07では、外力目標生成部27は、今回時刻のS01で設定した全ての仮想面のそれぞれにおいて、仮想面摩擦力成分F_iの大きさが仮想面垂直抗力成分N_iの大きさに応じて設定される所定の上限値としての前記摩擦力上限値以下になるという第2必要条件を満足するか否かを判断する。すなわち、外力目標生成部27は、S01で設定した全ての仮想面のそれぞれにおいて、前記の如く決定した摩擦力上限値(=μ_i*|N_i|)を用い、|F_i|≦μ_i*|N_i|であるか否かを判断する。

0214

外力目標生成部27は、S07の判断結果が肯定的である場合には、各仮想面における仮想面必要並進力(暫定値)を決定する処理を終了し、図8に示すS19以降の処理を実行する。この場合、S05で決定された、各仮想面における仮想面垂直抗力成分N_iと仮想面摩擦力成分F_iとの組が、そのまま仮想面必要並進力(暫定値)として決定されることとなる。

0215

一方、S07の判断結果が否定的である場合には、外力目標生成部27は、次にS09の処理を実行する。このS09では、外力目標生成部27は、S07の判断結果が否定的となる仮想面が、前記対向仮想面Sna又はSnb(n=1又は2又は3)であるか否かを判断する。

0216

このS09の判断結果が否定的となる状況では、S07の判断結果が否定的となる仮想面における仮想面垂直抗力成分の大きさを、前記第1A必要条件を満たしつつ増加させることができず、ひいては該仮想面における仮想面摩擦力成分の大きさを、前記摩擦力上限値以下で増加させることができない。そこで、この場合には、外力目標生成部27は、S17において、目標運動が不適切である(目標運動を修正する必要がある)とし、図7図9のフローチャートの処理(目標外力及び目標外力作用点を決定する処理)を中止する。

0217

従って、本実施形態では、S05において前記第1A必要条件及び第1B必要条件を満足するように仮想面必要並進力(仮想面垂直抗力成分N_iと仮想面摩擦力成分F_iとの組)を決定した上で、S07、S09の判断処理によって目標運動が評価される。そして、S07及びS09の判断結果がいずれも否定的となる場合に、目標運動が不適切であると評価されることとなる。

0218

なお、S17で目標運動が不適切であると評価される場合、外力目標生成部27は、基本歩容要素生成部25にエラー情報を出力する。そして、基本歩容要素生成部25は、そのエラー情報に応じて、目標運動を作成し直す。

0219

一方、S09の判断結果が肯定的となる状況では、互いに平行な対向仮想面Sna,Snb(n=1又は2又は3)の仮想面垂直抗力成分N_na,N_nbの大きさを、前記第1A必要条件を満足しつつ(N_na+N_nbを一定に保ちつつ)、増加させることができる。すなわち、N_naとN_nbとは、互いに逆向きの垂直抗力であるので、それらの大きさを同じ量だけ増加させても、N_naとN_nbとの総和は変化しない。

0220

そこで、S09の判断結果が肯定的となる場合には、外力目標生成部27は、次に、S11の処理を実行する。このS11では、外力目標生成部27は、対向仮想面Sna,Snbの仮想面垂直抗力成分N_na,N_nbの大きさの増加量IN_nを、前記第2必要条件を満足させ得るように決定する。

0221

具体的には、外力目標生成部27は、対向仮想面Sna,Snbのうちの、S07の判断結果が否定的となった対向仮想面において、その仮想面摩擦力成分F_i(=F_na又はF_nb)の大きさから、S07の判断処理で用いた摩擦力上限値(=μ_i*|N_i|)を差し引いたものを、摩擦係数μ_iで除算してなる値を、上記増加量IN_nとして算出する。

0222

すなわち、外力目標生成部27は、次式01により、増加量IN_nを算出する。

0223

IN_n=(|F_i|−μ_i*|N_i|)/μ_i ……式01

次いで、外力目標生成部27は、S13の処理を実行する。このS13では、外力目標生成部27は、対向仮想面Sna,Snbの仮想面垂直抗力成分N_na,N_nbをそれぞれ、上記の如く決定した増加量IN_nだけ、S05の処理で決定した値の大きさよりも増加させ、その増加後の値を改めて、対向仮想面Sna,Snbのそれぞれの仮想面垂直抗力成分N_na,N_nbとして決定する。

0224

このS13までの処理によって、第1A必要条件、第1B必要条件及び第2必要条件を満足する仮想面必要並進力が決定されることとなる。

0225

次いで、外力目標生成部27は、S15の処理を実行する。このS15では、外力目標生成部27は、S13で大きさを増加させた仮想面垂直抗力成分N_na,N_nbの大きさのうちの小さい方の大きさ(=min(|N_na|,|N_nb|))があらかじめ設定された所定値IFC_n以下になるという第3必要条件を満足するか否かを判断する。

0226

ここで、min(|N_na|,|N_nb|)は、ロボット1の全体の並進運動に寄与しない内力に相当するものである。このような内力は、その大きさが大きくなると、ロボット1の関節アクチュエータ11が発生可能な動力(駆動トルク)のうち、該内力を発生させるために必要な負担分が増大し、ロボット1の所望の運動を行なうための利用し得る関節アクチュエータ11の動力(ロボット1の全体の並進運動を変化させるために利用し得る動力)が不足し易くなる。そこで、本実施形態では、この内力を所定値IFC_n以下に制限するために、S15の判断処理を実行する。

0227

なお、この所定値IFC_n(以降、内力上限値IFC_nという)は、例えば対向仮想面Sna,Snbにより発生する内力の向き(対向仮想面Sna,Snbの法線方向)に応じて設定される。ただし、内力上限値IFC_nを、内力の向きによらずに固定的な値に設定するようにしてもよい。

0228

このS15の判断結果が肯定的である場合には、外力目標生成部27は、S07の判断結果が肯定的である場合と同様に、各仮想面における仮想面必要並進力(暫定値)を決定する処理を終了し、図8に示すS19以降の処理を実行する。

0229

この場合、S07の判断結果が否定的となった仮想面を含む対向仮想面Sna,Snaを除く各仮想面については、S05で決定された仮想面垂直抗力成分N_iと仮想面摩擦力成分F_iとの組が、そのまま仮想面必要並進力(暫定値)として決定されることとなる。

0230

そして、上記対向仮想面Sna,Snaのそれぞれにおいては、S13で増加させた仮想面垂直抗力成分N_i(N_na,N_nb)と、S05で決定された仮想面摩擦力成分F_i(F_na,F_nb)との組が、仮想面必要並進力(暫定値)として決定されることとなる。

0231

また、S15の判断結果が否定的となる状況では、内力に関する第3必要条件を満足しつつ、ロボット1の目標運動を実現するために動力学的に必要な外力をロボット1に作用させることができないか、もしくは困難となる。このため、S15の判断結果が否定的となる場合には、外力目標生成部27は、S09の判断結果が否定的となる場合と同様に、S17において、目標運動が不適切である(目標運動を修正する必要がある)とし、図7図9のフローチャートの処理を中止する。

0232

補足すると、本実施形態では、S01で設定される仮想面が互いに平行な対向仮想面Sna,Snb(n=1又は2又は3)を含む場合に、S05の処理で決定される対向仮想面Sna,Snbの仮想面垂直抗力成分N_na,N_nbのうちの一方は“0”であるので、これらのN_na,N_nbの組は常に前記第3必要条件を満足する。従って、S07の判断結果が肯定的である場合に、S15の判断処理を行う必要は無い。

0233

以上のS05〜S15の処理によって、S09又はS15の判断結果が否定的となる場合(目標運動が不適切である場合)を除いて、前記第1A必要条件、第1B必要条件、第2必要条件及び第3必要条件を満足するように、各仮想面の仮想面必要並進力(暫定値)を構成する仮想面垂直抗力成分N_iと仮想面摩擦力成分F_iとの組が決定されることとなる。これにより、第1A必要条件、第1B必要条件、第2必要条件及び第3必要条件を満足しつつ、ロボット1の目標運動におけるロボット1の全体の並進運動(全体重心点の並進運動)を実現し得る仮想面必要並進力(暫定値)が決定されることとなる。

0234

従って、本実施形態では、S13までの処理によって、第1A必要条件、第1B必要条件及び第2必要条件を満足する仮想面必要並進力を決定した上で、S15の判断処理によって、再度、目標運動が評価される。そして、このS15の判断結果が否定的となる場合に、目標運動が不適切であると評価されることとなる。

0235

また、S07、S09、S15の判断結果がいずれも肯定的となる場合には、第1A必要条件、第1B必要条件、第2必要条件及び第3必要条件を満足し得る仮想面必要並進力を決定できることとなるので、基本歩容要素生成部25で生成された目標運動は、少なくとも該目標運動のうちのロボット1全体の並進運動(ロボット1の全体重心点の並進運動)を支障なく実現し得るように、ロボット1に外力を作用させることができる適切な目標運動であると言えることとなる。

0236

歩容生成部23が前記壁登り歩容を生成する場合に、以上説明したS05〜S15の処理によって仮想面垂直抗力成分N_i及び仮想面摩擦力成分F_iは例えば、次のように決定されることとなる。

0237

例えば、前記壁登り歩容のうちの図3(b)に示す動作状態の時刻t2において、S05の処理によって、前記した図11(a)に示した如く、各仮想面における仮想面垂直抗力成分N_i及び仮想面摩擦力成分F_i(i=3a,2a,2b)が決定された場合を想定する。この場合、仮想面S3aにおける仮想面摩擦力成分F_3aと、仮想面S2aにおける仮想面摩擦力成分F_2aとが、前記第2必要条件を満たしている場合(S07の判断結果が肯定的になる場合)には、S15までの処理によって最終的に決定される、各仮想面における仮想面必要並進力(N_i,F_i)は、S05で決定されたものに一致する。

0238

一方、例えば、仮想面S2aにおける仮想面摩擦力成分F_2aが前記第2必要条件を満たしていない場合には、図11(b)に示す如く、該仮想面S2aを含む対向仮想面S2a,S2bのそれぞれの仮想面垂直抗力成分N_2a,N_2bが、S05で決定された値よりも、S11で決定される増加量IN_2だけ増加してなる値に決定される。また、仮想面S3aの仮想面垂直抗力成分N_3a及び仮想面摩擦力成分F_3aと、仮想面S2a,S2bのそれぞれの仮想面摩擦力成分F2a,F2bの大きさは、S05で決定された値と同じ値に決定される。

0239

補足すると、本実施形態では、S01で設定される仮想面が互いに平行な2つの対向仮想面Sna,Snb(n=1又は2又は3)を含む場合に、S05の処理によって、一方の対向仮想面Sna又はSnbの仮想面垂直抗力成分及び仮想面摩擦力成分はいずれも常に“0”に決定される。但し、S05の処理において、必要総並進外力Fallが対向仮想面Sna,Snbに垂直な成分を有する場合に、前記第1A必要条件及び第3必要条件を満足する範囲で、両方の対向仮想面Sna,Snbの仮想面垂直抗力成分を“0”でない値に決定してもよい。そして、この場合において、必要総並進外力Fallが全ての仮想面に平行な成分を有する場合に、前記第1B必要条件を満足する範囲内で両方の対向仮想面Sna,Snbの仮想面摩擦力成分を“0”でない値に設定するようにしてもよい。

0240

なお、S05の処理において、上記の如く、両方の対向仮想面Sna,Snbの仮想面摩擦力成分を“0”でない値に設定するようにした場合には、その両方の対向仮想面Sna,Snbにおいて、S07の判断結果が否定的となる場合もあり得る。このような場合には、対向仮想面Sna,Snbの仮想面垂直抗力成分の増加量IN_nは、例えば次のように決定することができる。すなわち、各対向仮想面Sna,Snb毎に、前記したS11の処理によって暫定的に増加量IN_nを算出し、それらの暫定的な増加量IN_nのうちの大きい方を、対向仮想面Sna,Snbの仮想面垂直抗力成分の増加量IN_nとして決定する。

0241

以上説明したS15までの処理において、S07又はS15の判断結果が肯定的である場合(各仮想面における適切な仮想面必要並進力(暫定値)が決定された場合)には、外力目標生成部27は、次に、図8のフローチャートに示すS19の処理を実行する。このS19では、外力目標生成部27は、S15までに決定された仮想面必要並進力(暫定値)を各仮想面における仮想面上暫定外力作用点に作用させた場合(各仮想面における外力作用点を仮想面上暫定外力作用点に一致させた場合)に、該仮想面必要並進力によって前記モーメント基準点周りに発生するモーメントである仮想面必要並進力依存モーメントMsを算出する。

0242

ここで、上記仮想面上暫定外力作用点は、前記基本歩容要素生成部25で生成された今回時刻での各接触対象面上の暫定外力作用点を、あらかじめ定められた所定の規則に従って、該接触対象面に対応する仮想面上に投影してなる該仮想面上の外力作用点である。

0243

この場合、本実施形態では、上記投影のための規則は次のように設定されている。すなわち、図12に示す如く、ある接触対象面上の外力作用点を点Pr_i、該接触対象面に対応する仮想面上の外力作用点を点Ps_iとしたとき、仮想面上の外力作用点Ps_iは、例えば、接触対象面上の外力作用点Pr_iを通って、仮想面に垂直な直線(外力作用点Pr_iから仮想面への垂線)が該仮想面と交わる点に一致するものとされる。

0244

上記仮想面上暫定外力作用点は、このような規則に従って、今回時刻での各接触対象面上の暫定外力作用点を該接触対象面に対応する仮想面上に投影してなる該仮想面上の外力作用点である。

0245

S19の処理では、外力目標生成部27は、上記の如く決定される仮想面上暫定外力作用点の前記モーメント基準点に対する位置ベクトルを用いて、次式03によって、各仮想面の仮想面上暫定外力作用点に仮想面必要並進力(N_i,F_i)が作用した場合に、前記モーメント基準点の周りに発生する仮想面必要並進力依存モーメントMsを算出する。

0246

Ms=Σ(Irp_i*N_i)+Σ((Irp_i+Poff_i)*F_i) ……式03

この式03におけるIrp_iは、各仮想面(今回時刻のS01で設定された各仮想面)の仮想面上暫定外力作用点の前記モーメント基準点に対する位置ベクトル、Poff_iは仮想面上暫定外力作用点に対する接触対象面上の暫定外力作用点の位置ベクトル(又は該位置ベクトルのうちの仮想面に垂直な方向の成分ベクトル)である。

0247

さらに、(Irp_i*N_i)は、各仮想面における仮想面上暫定外力作用点の位置ベクトルIrp_iと仮想面垂直抗力成分N_iとのベクトル積、すなわち、N_iが仮想面暫定外力作用点に作用した場合にモーメント基準点周りに発生するモーメントである。

0248

そして、Σ(Irp_i*N_i)は、各仮想面毎のモーメント(Irp_i*N_i)の、全ての仮想面(今回時刻のS01で設定される全ての仮想面)についての総和、すなわち、各仮想面における仮想面垂直抗力成分N_iに起因してモーメント基準点周りに発生するトータルのモーメントを意味する。

0249

また、((Irp_i+Poff_i)*F_i)は、各仮想面における仮想面上暫定外力作用点の位置ベクトルIrp_iと仮想面摩擦力成分F_iとのベクトル積(Irp_i*F_i)、すなわち、F_iが仮想面暫定外力作用点に作用した場合にモーメント基準点周りに発生するモーメントと、仮想面上暫定外力作用点に対する接触対象面上の暫定外力作用点の位置ベクトルPoff_iとF_iとのベクトル積(Poff_i*F_i)、すなわち、F_iが接触対象面上の暫定外力作用点の周りに発生するモーメントとの総和のモーメントである。

0250

そして、Σ((Irp_i+Poff_i)*F_i)は、各仮想面毎のモーメント((Irp_i+Poff_i)*F_i)の、全ての仮想面(今回時刻のS01で設定される全ての仮想面)についての総和、すなわち、各仮想面における仮想面摩擦力成分F_iに起因してモーメント基準点周りに発生するトータルのモーメントを意味する。

0251

ここで、上記モーメント(Poff_i*F_i)に関して補足すると、接触対象面とこれに対応する仮想面とは、一般には同一面とはならないので、多くの場合、図12に示したように、接触対象面上の外力作用点Pr_iとこれに対応する仮想面上の外力作用点Ps_iとの位置ずれが生じる。そして、このような状況で、各仮想面における仮想面必要並進力が仮想面上暫定外力作用点に作用した場合にモーメント基準点周りに発生するモーメントと、該仮想面必要並進力と同じ並進力が該仮想面に対応する接触対象面上の暫定外力作用点に作用した場合にモーメント基準点周りに発生するモーメントとを比較すると、それらのモーメントには、上記位置ずれに起因する差異が生じる。この場合、接触対象面とこれに対応する仮想面とは、それらの法線方向が概ね同方向となるので、各仮想面毎の上記差異は、主に、仮想面摩擦力成分F_iに依存するものとなり、上記モーメント(Poff_i*F_i)にほぼ一致する。

0252

そこで、本実施形態では、上記位置ずれの影響を補償して、Msの信頼性を高めるために、上記モーメント(Poff_i*F_i)を付加した式03によって、仮想面必要並進力依存モーメントMsを算出するようにしている。

0253

なお、接触対象面上の暫定外力作用点と、これに対応する仮想面上暫定外力作用点との位置ずれが十分に微小なものとなる場合には、式03から、上記モーメント(Poff_i*F_i)の項を省略した式によって、仮想面必要並進力依存モーメントMsを算出するようにしてもよい。

0254

以上のS19の処理を、歩容生成部23が前記壁登り歩容を生成する場合に関して例示的に説明すると、例えば図11(b)に示した如く、仮想面必要並進力が決定された状況においては、図中に示す仮想面垂直抗力成分N_2a,N_2b,N_3aと仮想面摩擦力成分F_2a,F_3aとによって、モーメント基準点(例えば仮想面S2aとS3aとの交線上の点)の周りに発生するモーメントMsが上記式03によって算出されることとなる。この場合、図11(b)に示す例では、仮想面S2a,S2b,S3aは、それぞれ接触対象面WL1,WL2,FLに一致(又はほぼ一致)するので、式03における各仮想面S2a,S2b,S3a毎のPoff_i(Poff_2a,Poff_2b,Poff_3a)はいずれも“0”でよい。

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