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技術 きのこの栽培用培地及びきのこの栽培方法

出願人 国立大学法人信州大学
発明者 天野良彦野崎功一水野正浩佐藤伸明
出願日 2010年3月2日 (10年10ヶ月経過) 出願番号 2010-045171
公開日 2011年9月15日 (9年3ヶ月経過) 公開番号 2011-177115
状態 特許登録済
技術分野 きのこの栽培
主要キーワード 添加物量 分割物 コーンコブミール 廃培地 栽培培地 栽培ビン 培地基材 乾燥重
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年9月15日)のものです。
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課題

主材としておが粉やコーンコブを用いた従来のきのこの栽培用培地では、おが粉やコーンコブが安価に入手できなくなりつつあるという課題を解決する。

解決手段

ソルガムの実を除く葉ととから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、前記試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地であって、前記培地は、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物が配合され、且つ蒸気殺菌が施されている。

概要

背景

従来、きのこの栽培用培地としては、主材として針葉樹おが粉が配合された培地が用いられていた(例えば、下記特許文献1参照)。しかし、針葉樹のおが粉は、きのこ菌に吸収される栄養分が少ないため、きのこ菌によって分解されずに廃培地となる割合が高い。更に、おが粉中のリグニンがきのこ菌によって分解され難く廃培地中に残り易いため、廃培地の肥料化や飼料化も多大な時間と労力が必要となる。しかも、おが粉は近年の製材事業減退に伴って入手が困難となりつつある。このため、近年、きのこの栽培培地には、おが粉に代えて、比較的入手が容易なコーンコブが主材として用いられている(例えば、下記特許文献2参照)。

概要

主材としておが粉やコーンコブを用いた従来のきのこの栽培用培地では、おが粉やコーンコブが安価に入手できなくなりつつあるという課題を解決する。ソルガムの実を除く葉ととから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、前記試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地であって、前記培地は、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物が配合され、且つ蒸気殺菌が施されている。なし

目的

本発明は、主材としておが粉やコーンコブを用いた従来のきのこの栽培用培地では、おが粉やコーンコブが安価に入手できなくなりつつあり、且つ培地の構造を確保するための培地基材ときのこ菌の栄養剤とをブレンドして用いているという課題を解決するためになされたものであって、主材としてのおが粉やコーンコブの使用量を可及的に少なくでき、且つ培地基材と栄養剤との両特性を有する材料を用いるきのこの栽培用培地及びきのこの栽培方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ソルガムの実を除く葉ととから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、前記試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地であって、前記培地は、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物が配合され、且つ蒸気殺菌が施されていることを特徴とするきのこの栽培用培地

請求項2

該培地が、試料の重量減が40重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地である請求項1記載のきのこの栽培用培地。

請求項3

該培地が、エノキタケ又はブナシメジを栽培する培地である請求項1記載のきのこの栽培用培地。

請求項4

該培地が、おが粉やコーンコブが配合されることなく、ソルガムの葉と茎とが粉砕された粉砕物が配合されている培地である請求項1記載のきのこの栽培用培地。

請求項5

ソルガムの実を除く葉と茎とから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、前記試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物を配合し、且つ蒸気殺菌を施した培地に植菌して栽培することを特徴とするきのこの栽培方法

請求項6

該きのこ菌として、試料の重量減が40重量%以上となるきのこ菌を用いる請求項5記載のきのこの栽培方法。

請求項7

きのこ菌として、エノキタケ又はブナシメジを用いる請求項5記載のきのこの栽培方法。

請求項8

該培地として、おが粉やコーンコブを配合することなく、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物を配合した培地を用いる請求項5記載のきのこの栽培方法。

技術分野

0001

本発明はきのこの栽培用培地及びその栽培方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、きのこの栽培用培地としては、主材として針葉樹おが粉が配合された培地が用いられていた(例えば、下記特許文献1参照)。しかし、針葉樹のおが粉は、きのこ菌に吸収される栄養分が少ないため、きのこ菌によって分解されずに廃培地となる割合が高い。更に、おが粉中のリグニンがきのこ菌によって分解され難く廃培地中に残り易いため、廃培地の肥料化や飼料化も多大な時間と労力が必要となる。しかも、おが粉は近年の製材事業減退に伴って入手が困難となりつつある。このため、近年、きのこの栽培培地には、おが粉に代えて、比較的入手が容易なコーンコブが主材として用いられている(例えば、下記特許文献2参照)。

先行技術

0003

特開2007−151444号公報
特開2009−254351号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、我国において、きのこの栽培用培地に用いるコーンコブは、主として中国等の外国からの輸入に頼ってきた。しかしながら、最近、コーンコブは、輸出国でのきのこの栽培に用いられたり、或いはバイオエタノール原料等に用いられたりして、安価に輸入することが困難になりつつある。

0005

そこで、本発明は、主材としておが粉やコーンコブを用いた従来のきのこの栽培用培地では、おが粉やコーンコブが安価に入手できなくなりつつあり、且つ培地の構造を確保するための培地基材ときのこ菌の栄養剤とをブレンドして用いているという課題を解決するためになされたものであって、主材としてのおが粉やコーンコブの使用量を可及的に少なくでき、且つ培地基材と栄養剤との両特性を有する材料を用いるきのこの栽培用培地及びきのこの栽培方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

前記目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたきのこの栽培用培地は、ソルガムの実を除く葉ととから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、前記試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地であって、前記培地は、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物が配合され、且つ蒸気殺菌が施されている。

0007

請求項2に記載のきのこの栽培用培地は、請求項1に記載されたものであって、試料の重量減が40重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地である。

0008

請求項3に記載されたきのこの栽培用培地は、請求項1に記載されたものであって、エノキタケ又はブナシメジを栽培する培地である。

0009

請求項4に記載されたきのこの栽培用培地は、請求項1に記載されたものであって、おが粉やコーンコブが配合されることなく、ソルガムの葉と茎とが粉砕された粉砕物が配合されている培地である。

0010

請求項5に記載のきのこの栽培方法は、ソルガムの実を除く葉と茎とから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、前記試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物を配合し、且つ蒸気殺菌を施した培地に植菌して栽培する。

0011

請求項6に記載のきのこの栽培方法は、請求項5に記載されたものであって、きのこ菌として、試料の重量減が40重量%以上となるきのこ菌を用いる。

0012

請求項7に記載のきのこの栽培方法は、請求項5に記載されたものであって、きのこ菌として、エノキタケ又はブナシメジを用いる。

0013

請求項8に記載のきのこの栽培方法は、請求項5に記載されたものであって、培地として、おが粉やコーンコブを配合することなく、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物を配合した培地を用いる。

発明の効果

0014

本発明のきのこの栽培用培地には、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物が配合されている。かかるソルガムの葉と茎とは、菌糸呼吸に用いられる隙間を培地内に形成できる。しかも、ソルガムの葉と茎とは、培地に施す蒸気殺菌にも耐久性を有するため、蒸気殺菌を施した培地内にも、菌糸の呼吸に用いられる隙間を確保できる。更に、本発明で用いるきのこ菌としては、ソルガムの葉と茎とを分解して栄養分として吸収できるきのこ菌を用いるため、ソルガムの葉と茎との分解物はきのこ菌の栄養分としても利用される。かかる本発明のきのこの栽培用培地では、従来のきのこの栽培用培地で菌糸の呼吸用の隙間を培地内に形成する構造材として用いられていた、おが粉やコーンコブの配合量を可及的に少なくできる結果、きのこの栽培用培地の低コスト化を図ることができる。また、この本発明のきのこの栽培用培地を用いたきのこの栽培方法によれば、従来のきのこの栽培用培地を用いたきのこの栽培方法に比較して、同等ないしそれ以上のきのこの収穫量を得ることができるため、きのこの生産コストの低減を図ることができる。

0015

本発明では、ソルガムの葉と茎とから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に植菌し、温度20℃に保持して3週間培養したとき、この試料の重量減が20重量%以上となるきのこ菌を用いる。この試料の重量減は、きのこ菌によって試料のソルガムの葉と茎とが炭酸ガスと水とに分解されたことを示す。従って、かかるきのこ菌によれば、確実にソルガムの葉と茎とを分解した分割物を栄養分として吸収できる。この様な、試料の重量減が20重量%以上となるきのことしては、エノキタケ、エリンギクリタケシイタケハタケシメジヒラタケ、ブナシメジ、マイタケ等の人工栽培用のきのこを挙げることができる。特に、試料の重量減が40重量%以上となるきのこ菌を好適に用いることができる。かかるきのこ菌としては、エノキタケやブナシメジを好適に用いることができる。尚、試料の重量減を測定する際に、3週間培養した試料の重量は、試料を110℃で乾燥してから測定した乾燥重量である。

0016

重量減が20重量%以上となるきのこ菌を栽培する培地としては、ソルガムの葉と茎とを粉砕した粉砕物を配合し、且つ蒸気殺菌を施した培地を使用する。ソルガムとは、学名Sorghum bicolorのことであり、高粱やタカキビとも称せられている。ソルガムは、乾燥につよく、米、小麦が育たない荒地でも育つことができる。勿論、荒廃農地でも栽培できる。従来、ソルガムは主として飼料として用いられてきた。かかるソルガムの葉と茎との粉砕は、コーンコブ等を粉砕する粉砕機を用いることができ、長さ6mm程度に粉砕することが好ましい。得られたソルガムの葉と茎との粉砕物は、栽培するきのこに適合した培地組成となるように他の組成物と混合し、直接栽培ビン充填してもよく、或いは一旦ペレット状に成形してから栽培ビンに充填してもよい。

0017

ここで、ソルガムの葉と茎との粉砕物は、従来のきのこの栽培用培地に用いられているおが粉やコーンコブに代えて用いることができる。この様に、おが粉やコーンコブを配合することなく、ソルガムの葉と茎との粉砕物を用いた培地は、蒸気殺菌を施しても、ソルガムの葉と茎との粉砕物によって形成された隙間を維持できる。また、ソルガムの葉と茎との粉砕物とおが粉やコーンコブとを併用することもできる。この様に、両者を混合した培地では、おが粉やコーンコブの使用量を減少できる。

0018

培地基材及び栄養剤を混合した培地に水を添加して所定湿度となるように調湿した後、栽培ビンに充填し、殺菌装置内に挿入して培地に蒸気殺菌を施す。この蒸気殺菌では、培地温度を殺菌できる温度である約100℃以上まで昇温する。かかる蒸気殺菌では、培地に配合したソルガムの葉と茎との粉砕物は、その形状を保持できる。このため、ソルガムの葉と茎との粉砕物によって培地内に形成した微細な隙間は、蒸気殺菌を施した培地内でも確保でき、きのこの菌糸の呼吸を助けることができる。ところで、ソルガムの実は、ソルガムの葉と茎との粉砕物に混入してもよいが、可及的に少なくすることが好ましい。ソルガムの葉と茎との粉砕物で培地内に形成した微細な隙間を確実に確保できるからである。

0019

この様に、蒸気殺菌を施した培地には、通常の人工栽培のきのこの栽培条件を採用できる。つまり、培地に所定のきのこを植菌した後、所定温度下で所定日数培養して菌掻きを施し、更に所定日数生育することによって、きのこを収穫できる。ソルガムの葉と茎との粉砕物を配合した培地を用いて収穫されたきのこの品質や収穫量は、ソルガムの葉と茎との粉砕物を配合しなく、おが粉やコーンコブを用いた従来の培地を用いた場合と同等又はそれ以上である。

0020

以下、本発明について、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。

0021

(実施例1)
ソルガムの実を除く葉と茎とから成る乾燥重量5gの試料に対し10gの蒸留水を加えて調湿した調湿試料に、下記表1の菌糸を植菌した後、温度20℃に保持して3週間培養した。次いで、培養が終了した調湿試料を取り出して110℃で乾燥を施して乾燥重量を測定し、下記数1で重量減を算出した。その結果を下記表1に併記した。

0022

0023

0024

表1から明らかな様に、エノキ、エリンギ、クリタケ、ブナシメジ、マイタケは、試料の重量減が20重量%以上であって、調湿試料での菌回りも良好であった。特にエノキ及びブナシメジの重量減は40%以上であり、調湿試料での菌回りも更に良好であった。一方、ハタケシメジ及びヒラタケは、試料の重量減が20重量%未満であって、調湿試料での菌回りも、試料の重量減が20重量%以上のきのこに比較して劣っていた。

0025

(実施例2)
実施例1において、きのことして、ソルガムの実を除く葉と茎とから成る試料の重量減が40重量%以上であったブナシメジを用い、おが粉を用いた栽培を行った。培地組成を下記表2に示す。

0026

0027

表2に示す組成の培地に水を添加して、培地の水分率が65〜67%となるように調湿した。次いで、調湿した培地を栽培ビンに充填し蒸気殺菌を施した後、各栽培ビンの培地にブナシメジを植菌して、培地での菌回りを観察した。菌回りは、実施例2及び標準の培地では良好であったが、比較例の培地では菌回りが殆どみられなかった。このため、比較例の培地に対して施す以後の菌掻き等の作業を中止した。

0028

充分に菌回りがされた実施例2及び標準の培地には、植菌してから83日目に菌掻きを施し、菌掻き日から22日目にきのこを収穫した。きのこの収穫量は、実施例2の培地では、39g/100g仕込み培地であった。一方、標準の培地では、きのこの収穫量が44g/100g仕込み培地であった。また、収穫したきのこの品質は、ほぼ同等であった。

0029

ところで、ブナシメジは、実質的に杉おが粉のみから成る比較例の培地では、栽培することができないが、実施例2の様に、杉おが粉にSOPを配合することによって栽培することが可能である。このことは、SOP中のソルガムの葉と茎とが、ブナシメジによって分解されてブナシメジの栄養源ともなっていることを示している。

0030

但し、実施例2の培地では、きのこの収穫量が、標準よりも少ない。しかし、実施例2の培地には、米糠等のきのこの栄養源となる添加物が添加されておらず、栄養源の添加物量を調整することによって、標準の培地と同等以上の収穫量とすることは可能である。

0031

(実施例3)
きのこの栽培培地として、下記の表3に示す組成のペレット状の培地を用いてエノキタケを栽培した。

0032

0033

表3に示す組成のペレット状の培地を調湿後に栽培ビンに充填して蒸気殺菌を施しからエノキタケを植菌し栽培した。エノキタケの栽培条件及びその結果を下記表4に示す。

0034

0035

表4から明らかな様に、従来のエノキタケ栽培用の培地である対照例の培地と、対照例の培地のコーンコブミールの約半分をソルガムに置き換えた実施例3の培地とでは、収穫したエノキタケの収量及び品質はほぼ等しかった。

0036

(実施例4)
きのこの栽培培地として、下記の表5に示す組成のペレット状の培地を用いてブナシメジを栽培した。

0037

0038

表5に示す組成のペレット状の培地を調湿後に栽培ビンに充填し、蒸気殺菌を施してからブナシメジを植菌し栽培した。ブナシメジの栽培条件及びその結果を下記表6に示す。

実施例

0039

表6から明らかな様に、従来のブナシメジ栽培用の培地である対照例の培地のコーンコブの全量をソルガムに置き換えた実施例4の培地では、収穫したブナシメジの収量は、対照例よりも多かった。また、収穫されたブナシメジの品質は、実施例4及び対照例でほぼ等しかった。

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