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図面 (8)

課題

耐食性耐水素吸収性の両者を同時に満たすジルコニウム基合金およびその製造方法を提供する。

解決手段

ニオブ質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)を満足するようにした。

概要

背景

一般に、ジルコニウム合金は、沸騰水型軽水炉加圧水型軽水炉などにおいて燃料被覆管及び炉心構造材料等に広く使用されている。

これまで一般的広く用いられてきたジルコニウム合金は、ジルカロイ2(錫1.2〜1.7質量%、鉄0.07〜0.2質量%、クロム0.05〜0.15質量%、ニッケル0.03〜0.08質量%、残部ジルコニウム)及びジルカロイ4(錫1.2〜1.7質量%、鉄0.18〜0.24質量%、クロム0.07〜0.13質量%、残部ジルコニウム)である。他にもジルコニウム−2.5%ニオブ、ジルコニウム−1%ニオブ合金なども原子炉に適用されている。上記合金は主に中性子経済性、強度及び耐食性を考慮して開発された合金である。

従前においては、沸騰水型原子炉等の原子炉運転中に上記材料表面にノジュラー腐食と呼ばれるレンズ状の局部腐食が発生することが問題となっていた。

ノジュラー腐食は、照射の進行につれてレンズ状の局部腐食が成長し、腐食層が厚くなると剥離に至ることがある。ノジュラー腐食の発生は構造材減肉をもたらすのみならず、腐食層の剥離によって冷却材中放射線濃度を高め、定検時の被曝量を増加させるおそれがあった。

このようなノジュラー腐食を防止するための技術としては、合金をα+β相あるいはβ相温度範囲短時間加熱急冷する熱処理方法特公昭61−45699号公報及び特公昭63−58223号公報)及び合金組成を変更する方法(特開昭60−43450号公報及び特開昭62−228442号公報)等が知られていた。

例えば、ジルカロイをα+β相温度範囲あるいはβ相温度範囲の高温から急冷する熱処理(βクエンチ処理)では、合金中析出している金属間化合物(主にZr(Cr、Fe)2、Zr2(Ni、Fe)の2種類が存在する)を微細化させることがなされている。

上記したようなβクエンチ処理によって、析出物が微細化し、これに伴いノジュラー腐食の発生が抑制され耐食性が大幅に向上することが知られていた。

上記のような改良によりノジュラー腐食の発生は抑制され、腐食形態は腐食生成物である酸化被膜が均一に成長する一様腐食へと変化しつつあった。

耐ノジュラー腐食性が改善された上記材料は、腐食形態が一様腐食となり、また形成される一様酸化膜が非常にうすく高い保護性を持つことから、現在の実炉運転条件下ではその機能を充分に果たしているといえる。

概要

耐食性と耐水素吸収性の両者を同時に満たすジルコニウム基合金およびその製造方法を提供する。ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)を満足するようにした。

目的

そこで、本願発明が解決しようとする課題は、耐食性と耐水素吸収性の両者を同時に満たすジルコニウム基合金およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ニオブ質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)を満足することを特徴とするジルコニウム基合金

請求項2

ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、プラセオジムの質量パーセント濃度をCPrとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CPr≦0.30(質量%)を満足することを特徴とするジルコニウム基合金。

請求項3

ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンとプラセオジムの2種類の元素の質量パーセント濃度の合計をCXとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CX≦0.30(質量%)を満足することを特徴とするジルコニウム基合金。

請求項4

ケイ素の質量パーセント濃度をCSiとしたときに、CSi≦0.008(質量%)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジルコニウム基合金。

請求項5

ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)のジルコニウム基合金を形成し、冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とするジルコニウム基合金の製造方法。

請求項6

ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、プラセオジムの質量パーセント濃度をCPrとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CPr≦0.30(質量%)のジルコニウム基合金を形成し、冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とするジルコニウム基合金の製造方法。

請求項7

ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンとプラセオジムの2種類の元素の質量パーセント濃度の合計をCXとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CX≦0.30(質量%)のジルコニウム基合金を形成し、冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とするジルコニウム基合金の製造方法。

請求項8

ケイ素の質量パーセント濃度をCSiとしたときに、CSi≦0.008(質量%)のジルコニウム基合金を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のジルコニウム基合金の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、水冷却型原子炉装荷される燃料集合体及びチャンネルボックス等に用いられるジルコニウム基合金およびその製造方法に係り、特に、ランタンプラセオジムの2種類の元素質量パーセント濃度の合計を所定の範囲内にすること等により、腐食特性および水素吸収特性相反する要求を同時に満たすジルコニウム基合金およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、ジルコニウム合金は、沸騰水型軽水炉加圧水型軽水炉などにおいて燃料被覆管及び炉心構造材料等に広く使用されている。

0003

これまで一般的広く用いられてきたジルコニウム合金は、ジルカロイ2(錫1.2〜1.7質量%、鉄0.07〜0.2質量%、クロム0.05〜0.15質量%、ニッケル0.03〜0.08質量%、残部ジルコニウム)及びジルカロイ4(錫1.2〜1.7質量%、鉄0.18〜0.24質量%、クロム0.07〜0.13質量%、残部ジルコニウム)である。他にもジルコニウム−2.5%ニオブ、ジルコニウム−1%ニオブ合金なども原子炉に適用されている。上記合金は主に中性子経済性、強度及び耐食性を考慮して開発された合金である。

0004

従前においては、沸騰水型原子炉等の原子炉運転中に上記材料表面にノジュラー腐食と呼ばれるレンズ状の局部腐食が発生することが問題となっていた。

0005

ノジュラー腐食は、照射の進行につれてレンズ状の局部腐食が成長し、腐食層が厚くなると剥離に至ることがある。ノジュラー腐食の発生は構造材減肉をもたらすのみならず、腐食層の剥離によって冷却材中放射線濃度を高め、定検時の被曝量を増加させるおそれがあった。

0006

このようなノジュラー腐食を防止するための技術としては、合金をα+β相あるいはβ相温度範囲短時間加熱急冷する熱処理方法特公昭61−45699号公報及び特公昭63−58223号公報)及び合金組成を変更する方法(特開昭60−43450号公報及び特開昭62−228442号公報)等が知られていた。

0007

例えば、ジルカロイをα+β相温度範囲あるいはβ相温度範囲の高温から急冷する熱処理(βクエンチ処理)では、合金中析出している金属間化合物(主にZr(Cr、Fe)2、Zr2(Ni、Fe)の2種類が存在する)を微細化させることがなされている。

0008

上記したようなβクエンチ処理によって、析出物が微細化し、これに伴いノジュラー腐食の発生が抑制され耐食性が大幅に向上することが知られていた。

0009

上記のような改良によりノジュラー腐食の発生は抑制され、腐食形態は腐食生成物である酸化被膜が均一に成長する一様腐食へと変化しつつあった。

0010

耐ノジュラー腐食性が改善された上記材料は、腐食形態が一様腐食となり、また形成される一様酸化膜が非常にうすく高い保護性を持つことから、現在の実炉運転条件下ではその機能を充分に果たしているといえる。

先行技術

0011

特公昭61−45699号公報
特公昭63−58223号公報
特開昭60−43450号公報
特開昭62−228442号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかし、最近では原子力発電プラント経済性向上のため、燃料のさらなる高燃焼度化が段階的に進められている。

0013

このような燃料の高燃焼度化に伴って、原子炉燃料集合体の炉内滞在時間が長期化し、燃料集合体のチャンネルボックス等に用いられるジルコニウム合金基材は、耐食性だけでなく水素吸収特性も問題となるようになった。

0014

すなわち、炉内滞在時間が長期化すると、ジルコニウム合金基材に吸収される水素吸収量が増加し、このため構造材が脆化する可能性が指摘されていた。

0015

なお、特開昭62−228442号公報に示されているように、ジルカロイ中の鉄添加濃度を高めることにより、水素吸収量が低減することは定性的に知られているため、現在は主に沸騰水型原子炉で使用されるジルカロイ2において、そのスペック範囲内で鉄濃度を高める等の成分調整を実施することが行われている。

0016

しかしながら、近年は原子炉の炉水給水系への水素注入等の環境変化が起きており、また、材料部材薄肉化といった変更等により、特に水素吸収に関してはより厳しい条件となってきている。

0017

ニッケルを含むジルカロイ2は、含まないジルカロイ4に比べて水素吸収率は大きくなるものの、腐食は小さくなる特徴がある。一方、ジルコニウムーニオブ合金は、ジルカロイ2に比べて水素吸収率は小さくなるが腐食は大きくなる特徴がある。このように元素によって腐食と水素吸収に対して相反する影響を生じる。

0018

今後のさらなる燃料の高燃焼度化に伴う長期使用に対して、また水素注入等といった環境の変化に対しても、原子炉燃料信頼性向上と高性能化のために、耐食性と耐水素吸収性の両者を同時に満たすジルコニウム基合金の開発が求められている。

0019

そこで、本願発明が解決しようとする課題は、耐食性と耐水素吸収性の両者を同時に満たすジルコニウム基合金およびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0020

本発明によるジルコニウム基合金は、
ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとしたときに、
0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)を満足することを特徴とする。

0021

本発明による他のジルコニウム基合金は、
ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、プラセオジムの質量パーセント濃度をCPrとしたときに、
0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CPr≦0.30(質量%)を満足することを特徴とする。

0022

本発明による他のジルコニウム基合金は、
ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンとプラセオジムの2種類の元素の質量パーセント濃度の合計をCXとしたときに、
0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CX≦0.30(質量%)を満足することを特徴とする。

0023

上記ジルコニウム基合金において、ケイ素の質量パーセント濃度をCSiとしたときに、CSi≦0.008(質量%)であるようにすることができる。

0024

本発明によるジルコニウム基合金の製造方法は、
ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとしたときに、
0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)のジルコニウム基合金を形成し、
冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とする。

0025

本発明による他のジルコニウム基合金の製造方法は、
ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、プラセオジムの質量パーセント濃度をCPrとしたときに、
0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CPr≦0.30(質量%)のジルコニウム基合金を形成し、
冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とする。

0026

本発明による他のジルコニウム基合金の製造方法は、
ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFe、ランタンとプラセオジムの2種類の元素の質量パーセント濃度の合計をCXとしたときに、
0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)、0.10(質量%)≦CX≦0.30(質量%)のジルコニウム基合金を形成し、
冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とする。

0027

上記ジルコニウム基合金の製造方法において、ケイ素の質量パーセント濃度をCSiとしたときに、CSi≦0.008(質量%)のジルコニウム基合金を形成するようにすることができる。

発明の効果

0028

本発明によるジルコニウム基合金は、ランタンまたはプラセオジムまたはそれらの両者を含む。

0029

ランタンを含むジルコニウム基合金は、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとすると、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)である。プラセオジムを含むジルコニウム基合金は、プラセオジムの質量パーセント濃度をCPrとすると、0.10(質量%)≦CPr≦0.30(質量%)である。ランタンとプラセオジムの両者を含むジルコニウム基合金は、ランタンとプラセオジムの2種類の元素の質量パーセント濃度の合計をCXとすると、0.10(質量%)≦CX≦0.30(質量%)である。

0030

ジルコニウム酸化膜ジルコニア)において、正方晶ジルコニア結晶が安定に存在することが耐腐食性の向上および水素吸収量の低減の効果において重要であると考えられる。本願発明者は、正方晶ジルコニアの安定化には、ジルコニウムよりイオン半径の大きな元素を添加することが効果的であるという知見の下、添加元素を選び、ランタンおよびプラセオジムのイオン半径は大きく、正方晶ジルコニアの安定化に寄与することを想到し、本願発明を考案した。

0031

その結果、ランタンまたはプラセオジムまたはそれらの両者を所定の質量パーセント濃度添加した本発明によるジルコニウム基合金は、ノジュラー腐食の発生を抑制して一様腐食の腐食形態をとり、耐腐食性を維持でき、かつ、水素吸収量の低減を実現できることが判明した。

0032

一方、本発明によるジルコニウム基合金の製造方法は、冷間圧延後の焼鈍温度条件を580℃以上620℃以下とし、焼鈍時間条件を2時間以上15時間以下として焼鈍を行うことを特徴とするものである。

0033

一般に、ニオブ(Nb)を含むZr合金については、一般的に熱処理温度が相変態温度よりも高くなると、βジルコニウム相が生成し、降温後もこれが残存することにより耐食性を劣化させることが知られている。一方、加工性の観点からは焼鈍温度は高い方がよいことが知られている。

0034

耐食性の劣化を防止するため、従来はジルコニウム基合金は一般的に約500℃前後で焼鈍が行われていた。

0035

これに対して、本発明の合金組成によれば、焼鈍温度条件を580℃〜620℃でも耐食性の劣化を防止でき、焼鈍時間条件を2時間〜15時間とすることができる。

図面の簡単な説明

0036

本発明で規定した条件範囲内のジルコニウム基合金を、290℃、濃度1mol/literの水酸化リチウム水溶液中で腐食試験した結果の重量増加を示したグラフ
本発明で規定した条件範囲内のジルコニウム基合金を、290℃、濃度1mol/literの水酸化リチウム水溶液中で腐食試験した結果の水素吸収量を示したグラフ。
本発明で規定した条件範囲内のジルコニウム基合金を、290℃、濃度1mol/literの水酸化リチウム水溶液中で腐食試験した結果の重量増加を示したグラフ。
本発明で規定した条件範囲内のジルコニウム基合金を、290℃、濃度1mol/literの水酸化リチウム水溶液中で腐食試験した結果の水素吸収量を示したグラフ。
燃料集合体中のスペーサを示した平面図。
燃料集合体中の燃料棒を示した図。
チャンネルボックスを装着した状態の燃料集合体を示した斜視図。

実施例

0037

次に、本発明を実施するための最良の形態について以下に説明する。

0038

本願発明者は、ジルコニウム酸化膜(ジルコニア)において、正方晶のジルコニア結晶が安定に存在することが耐腐食性の改善および水素吸収量の低減の効果において重要であると考え、ジルコニウムよりイオン半径の大きなランタンおよびプラセオジムを添加することにより、ジルコニウム基合金の耐腐食性を低下させることなく水素吸収量の低減の効果を得られることを見いだした。

0039

具体的には、ニオブの質量パーセント濃度をCNb、鉄の質量パーセント濃度をCFeとしたときに、0.9(質量%)≦CNb≦1.0(質量%)、0.06(質量%)≦CFe≦0.11(質量%)の他に、ランタンを含むジルコニウム基合金は、ランタンの質量パーセント濃度をCLaとすると、0.10(質量%)≦CLa≦0.30(質量%)とすることにより、耐腐食性を低下させることなく水素吸収量の低減の効果を得られる。

0040

また、プラセオジムを含むジルコニウム基合金は、プラセオジムの質量パーセント濃度をCPrとすると、0.10(質量%)≦CPr≦0.30(質量%)とすることにより、同様に耐腐食性を低下させることなく水素吸収量の低減の効果を得られる。

0041

さらにまた、ランタンとプラセオジムの両者を含むジルコニウム基合金は、ランタンとプラセオジムの2種類の元素の質量パーセント濃度の合計をCXとすると、0.10(質量%)≦CX≦0.30(質量%)とすることにより、耐腐食性を低下させることなく水素吸収量の低減の効果を得られる。

0042

図1及び図2は、上記本発明で規定した仕様内の試作合金を、290℃、濃度1mol/literの水酸化リチウム水溶液中で腐食試験した結果(6日間及び12日間)を示す。

0043

図1は、腐食による重量増加を示し、図2は水素吸収量を示している。

0044

図1,2の横軸は合金種類を示し、左側から、ランタン濃度が0.20質量%の本発明の実施例1によるジルコニウム基合金、プラセオジム濃度が0.20質量%の本発明の実施例2によるジルコニウム基合金、ニオブ濃度が0.92質量%の比較例1によるジルコニウム−ニオブ合金、及びジルカロイ2を示している。

0045

各合金種類のグラフは6日間及び12日間を経過した値を並列的に示している。

0046

図1縦軸は腐食試験による重量増加を、比較例1の結果を1とした相対値で示し、図2の縦軸は水素吸収量を、比較例1の結果を1とした相対値で示している。

0047

[実施例1]
実施例1のジルコニウム基合金の化学組成は、以下の通りである。
ニオブ:0.95質量%、鉄:0.09質量%、ランタン:0.20質量%、残部:ジルコニウム及び不可避不純物

0048

[実施例2]
実施例2のジルコニウム基合金の化学組成は以下の通りである。
ニオブ:0.94質量%、鉄:0.08質量%、プラセオジム:0.20質量%、残部:ジルコニウム及び不可避不純物。

0049

[比較例1]
比較例1のジルコニウム−ニオブ合金の化学組成は以下の通りである。
ニオブ:0.92質量%、鉄:0.11質量%、ケイ素:0.011質量%、残部:ジルコニウム及び不可避不純物。

0050

実施例1及び実施例2及び比較例1による合金は、以下の製法製作された。

0051

インゴットとして約170gのボタンプラズマアーク溶解法によって溶製し、ニオブについては、原料として純ニオブの薄板を使用した。

0052

次にこれを1050℃での鍛造を行い、1050℃で30分のβクエンチ処理を行った後600℃での熱間圧延を行い、600℃15分の焼鈍を行った。

0053

その後、冷間圧延と焼きなましを交互に3回繰り返し成形した。

0054

図1により、実施例1及び実施例2によるジルコニウム基合金は、比較例1による合金と比べても遜色のない耐食性を保持していることが分かる。

0055

図2により、添加元素により実施例1及び実施例2によるジルコニウム基合金は、6日間の試験で比較例のジルコニウムーニオブ合金の水素吸収量に比して、1−2割少ない水素吸収量の差を示すことが分かる。また、実施例1の合金については、12日間の試験でその差はより顕著であった。

0056

また実施例1及び実施例2は、沸騰水型炉で一般的に用いられているジルカロイ2に比べ、腐食は高いものの問題のない程度であり、一方水素吸収量は大幅に低下している。

0057

このように、ジルコニウム基合金に希土類元素添加物として加えた本発明による合金を燃料集合体の構造材等に使用することにより、特に水素吸収特性に優れた燃料集合体を提供することができる。

0058

図3及び図4は、上記本発明で規定した条件範囲内の試作合金を、209℃、濃度1mol/literの水酸化リチウム水溶液中で腐食試験した結果(6日間及び12日間)を示す。

0059

図3は、腐食による重量増加を示し、図4は水素吸収量を示している。

0060

図3,4の横軸は合金種類を示し、左側から、ランタン濃度が0.20質量%の本発明の実施例3によるジルコニウム基合金、プラセオジム濃度が0.20質量%の本発明の実施例4によるジルコニウム基合金、ニオブ濃度が0.92質量%の比較例1によるジルコニウムーニオブ合金、及びジルカロイ2を示している。

0061

各合金種類のグラフは6日間及び12日間を経過した値を並列的に示している。

0062

図3の縦軸は腐食試験による重量増加を、比較例1の結果を1とした相対値で示し、図4の縦軸は水素吸収量を、比較例1の結果を1とした相対値で示している。

0063

[実施例3]
実施例3のジルコニウム基合金の化学組成は、以下の通りである。
ニオブ:1.0質量%、鉄:0.10質量%、ランタン:0.20質量%、ケイ素:0.008質量%、残部:ジルコニウム及び不可避不純物。

0064

[実施例4]
実施例4のジルコニウム基合金の化学組成は以下の通りである。
ニオブ:1.0質量%、鉄:0.09質量%、プラセオジム:0.20質量%、ケイ素:0.008質量%、残部:ジルコニウム及び不可避不純物。

0065

実施例3及び実施例4による合金は、実施例1及び実施例2及び比較例1と同じ製法で製作された。

0066

図3により、実施例3及び実施例4によるジルコニウム基合金は、比較例1による合金と比べても遜色のない耐食性を保持していることが分かる。

0067

図4により、添加元素により実施例1及び実施例2によるジルコニウム基合金は、より長期の12日間の試験で、比較例1のジルコニウムーニオブ合金の水素吸収量に比して、3〜5割少ない水素吸収量の顕著な差を示すことが分かる。また、6日間の試験でも同様の傾向が得られ、水素吸収量低減効果があることが分かる。

0068

また、実施例1及び実施例2は、沸騰水型炉で一般的に用いられているジルカロイ2に比べ、腐食は高いものの問題のない程度であり、一方水素吸収量は大幅に低下している。

0069

このように、ジルコニウム基合金に希土類元素を添加物として加え、さらにケイ素を加えた本発明による合金を燃料集合体の構造材等に使用することにより、特に水素吸収特性に優れた燃料集合体を提供することができる。

0070

図5は、燃料集合体中のスペーサを示した図である。スペーサはスペーサセル内に燃料棒を個別に通し、燃料棒を束ねて配列する役割をもっている。現在燃料の高性能化に向け、ウランインベントリーの増加、圧力損失の低減といった観点から、スペーサセルやスペーサバンドには薄肉化が要求されている。スペーサ水素吸収量も燃料集合体の高燃焼度化に伴って増加する傾向にある(T.Miyashita,et al,2007 InternationalLWR Fuel Performance Meeting)。水素吸収の観点から、材料中の水素濃度は、おおよそ肉厚反比例して増加し、また材料の延性強度特性は、水素濃度に大きく支配されることから、燃料の更なる薄肉化並びに高燃焼度化のためには、水素吸収特性改善が必要である。このように水素吸収量の低減は、特にスペーサで要求されている。本発明による合金材料をこのスペーサに適用すれば、水素吸収量を低減でき薄肉化も可能となる。

0071

図6は、燃料集合体中の燃料棒を示した図である。図6(a)は燃料棒の斜視図、(b)は横断面図、(c)は縦断面図である。

0072

燃料棒は核分裂反応を起こして発熱する核燃料物質1、それを被覆する被覆管2、プレナム3、上部端栓4及び下部端栓5より構成される。

0073

図6に示すように、燃料被覆管2の内部に核燃料物質1が収納されている。燃料被覆管2は、ジルコニウム合金製の管6の内側に純ジルコニウムライナー層7が設けられている。本発明による改良ジルコニウム基合金を、高耐食性低水吸収特性が要求されるジルコニウム合金製の管6に使用することにより、より耐食性の優れた燃料棒とすることができる。

0074

図7は、チャンネルボックスを装着した状態の燃料集合体の斜視図を示している。

0075

符号8はチャンネルボックスを示している。燃料集合体は原子炉内に、チャンネルボックスを装着した状態で装荷され使用される。チャンネルボックス8は水素吸収の影響が避けられず、水素吸収によるチャンネルボックスの変形の現象が確認されている(S. T. Mahmood et al, 2007 InternationalLWR Fuel Performance Meeting)。

0076

本発明による改良ジルコニウム基合金を、チャンネルボックス8に適用することで、水素吸収による変形を防止できるチャンネルボックスを得ることができる。

0077

1核燃料物質
2被覆管
3プレナム
4 上部端栓
5 下部端栓
6 管
7ライナー層
8 チャンネルボックス

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