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課題

処理量を削減、受信処理並列に行わせる受信方法を提供する。

解決手段

第1及び第2の受信アンテナで受信した信号に基づいて、送信された信号を判定する受信装置において、既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、逆行列を生成する。対応する第1及び第2の受信信号点に対して逆行列を乗算して、変換された受信信号点を生成する。変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の夫々第1の送信信号候補点を選択し、第1の受信信号点との距離を演算する。変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、第2の受信信号点との距離を演算する。第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の距離とチャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、全体距離が所定条件を満たす第1及び第2の送信信号候補点が第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定する。

概要

背景

無線通信技術の一つとして、MIMO(Multiple Input Multiple Output)がある。MIMOは、例えば、複数の送信アンテナから異なる信号が並列に送信され空間的に多重されることで、高速伝送を実現する技術である。

このようなMIMOによる無線通信システムにおいて、受信側は、各送信アンテナから送信された送信信号をできるだけ正確に分離して各送信信号を検出できるようにするため、種々の検出処理を行う。

検出処理の一つとして、Full‐MLD(Maximum Likelihood Detection:最尤検出)がある。Full‐MLDは、例えば、受信信号点と各送信候補点(又は各信号レプリカ候補点)との距離を求めて当該距離が最も小さくなる送信候補点を送信信号点推定する検出処理である。しかし、Full‐MLDはすべての送信候補点に対する距離を演算するため、送信アンテナ数又は変調方式等により演算量が膨大になる。そこで、従来では、QRM‐MLDと呼ばれる送信信号の検出処理がある。

QRM‐MLDは、例えば、QR分解とMLDとを組み合わせたものであり、送信候補点を削減しながら(絞り込みながら)送信信号点を推定する。そのため、QRM‐MLDはFull‐MLDと比較して演算量が少ない。以下、QRM‐MLDについて説明する。

まず、MIMOによる無線通信システムは、例えば、以下のようにモデル化される。

式(1)において、yは受信信号ベクトル、xは送信信号ベクトル、nは雑音ベクトル、Hはチャネル応答行列(又はチャネル行列)を夫々示す。送信アンテナが「2」、受信アンテナが「2」の場合、式(1)は以下のように示すことができる。

式(2)において、y0,y1は受信信号点、x0,x1は送信信号点(又は送信信号候補点)、a,b,c,dはチャネル行列Hの各成分、n0,n1は雑音の各成分を夫々示す。

ここで、チャネル行列Hは、ユニタリー行列Q(複素共役転置行列Q*との行列積は単位行列に等しい行列)と上三角行列Rとに分解でき、

と表わすことができる(QR分解)。

式(2)の両辺に、ユニタリー行列Qの複素共役転置行列Q*を左側から乗算すると、

を得る。従って、式(4)は、

と表わすことができる。ここで、y0’,y1’は受信信号点y0,y1にユニタリー行列Qを乗算して得られる点、a’,b’,c’は上三角行列Rの各成分、n0’,n1’は雑音成分n0,n1にユニタリー行列Qを乗算して得られる値である。式(5)の各成分は、
y0’=a’x0+b’x1+n0’ ・・・(5‐1)
y1’=c’x1+n1’ ・・・(5‐2)
となる。

QRM‐MLDは、この候補点x0,x1の中から雑音が最も小さいもの、すなわち、
|y1’−c’x1|2+|y0’−a’x0−b’x1|2 ・・・(5‐3)
が最小となるx0,x1を選択する(MLD)。

すなわち、第1ステージで、|y1’−c’x1|2が閾値より小さくなるような候補点x1が複数選択され、|y1’−c’x1|2が計算される。そして、第2ステージで、第1ステージで選択された複数の候補点x1の中から、夫々|y0’−a’x0−b’x1|2 が最も小さくなる候補点x0が選択され、|y0’−a’x0−b’x1|2 が計算される。最後に、選択した候補点x0,x1の中から式(5‐3)が最も小さくなる候補点が選択され、選択された候補点が送信信号点と判定(又は推定)される。

尚、従来では、このようなQRM‐MLDによる送信信号の検出において、チャネル行列が複数の小行列に分割され、各小行列の逆行列を用いてQR分解させることで、処理量を削減するようにしたものがある。

概要

処理量を削減、受信処理を並列に行わせる受信方法を提供する。第1及び第2の受信アンテナで受信した信号に基づいて、送信された信号を判定する受信装置において、既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、逆行列を生成する。対応する第1及び第2の受信信号点に対して逆行列を乗算して、変換された受信信号点を生成する。変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の夫々第1の送信信号候補点を選択し、第1の受信信号点との距離を演算する。変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、第2の受信信号点との距離を演算する。第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の距離とチャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、全体距離が所定条件を満たす第1及び第2の送信信号候補点が第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定する。

目的

本発明の一目的は、処理量を削減するようにした受信装置、及び受信方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

第1及び第2の受信アンテナで夫々受信した第1及び第2の受信信号に基づいて、送信装置における第1及び第2の送信アンテナから夫々送信された第1及び第2の送信信号を判定する受信装置において、前記第1及び第2の受信信号に含まれる既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、更に当該チャネル行列に対する逆行列を生成する逆行列生成部と、前記第1及び第2の受信信号に夫々対応する第1及び第2の受信信号点に対して前記逆行列を乗算して、変換された前記第1及び第2の受信信号点を生成する逆行列乗算部と、前記変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の第1の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第1の送信信号候補点と前記変換された第1の受信信号点との距離を演算する第1の演算部と、前記変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第2の送信信号候補点と前記変換された第2の受信信号点との距離を演算する第2の演算部と、前記第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の前記距離と前記チャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、当該全体距離が所定条件を満たす前記第1及び第2の送信信号候補点が前記第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定する判定部とを備えることを特徴とする受信装置。

請求項2

前記第1及び第2の演算部は、前記距離が夫々最も近い前記第1及び第2の送信信号候補点を選択し、選択された前記第1及び第2の送信信号候補点からの距離が近い順に複数個の前記第1及び第2の送信信号候補点を夫々選択することを特徴とする請求項1記載の受信装置。

請求項3

前記第1及び第2の演算部は、前記第1及び第2の送信信号候補点のIQ平面上における夫々所定領域内に前記変換された第1及び第2の受信信号点が位置するとき、当該第1及び第2の送信信号候補点を、前記距離が最も近い前記第1及び第2の送信信号候補点として選択することを特徴とする請求項2記載の受信装置。

請求項4

更に、誤り訂正復号部を備え、前記判定部は、前記変換された第1及び第2の受信信号点に基づいて前記判定した第1及び第2の送信信号点に対して各々対数尤度比を演算し、前記誤り訂正復号部は、前記各対数尤度比に基づいて誤り訂正復号処理を行うことを特徴とする請求項1〜3にいずれかに記載の受信装置。

請求項5

前記第1及び第2の演算部は、夫々重み付けされた前記第1及び第2の受信信号を受信したとき、又は、前記受信装置が受信する送信信号の数が変化したとき、閾値よりも少ない個数の前記第1及び第2の送信信号候補点と前記距離とを夫々演算することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれかに記載の受信装置。

請求項6

前記判定部は、第1及び第2の演算部から出力される前記距離を夫々l0,l1、前記第1の受信信号に対応する前記チャネル推定値をa,b、前記第2の受信信号に対応する前記チャネル推定部をc,dとすると、前記全体距離として、を演算し、前記1又は複数個の前記全体距離の中で最小値となる前記全体距離に対応する前記第1及び第2の送信信号候補点を夫々前記第1及び第2の送信信号点と判定することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれかに記載の受信装置。

請求項7

前記受信装置は、前記送信装置が基地局装置のとき端末装置であり、前記送信装置が端末装置のとき基地局装置であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれかに記載の受信装置。

請求項8

第1及び第2の受信アンテナで夫々受信した第1及び第2の受信信号に基づいて、送信装置における第1及び第2の送信アンテナから夫々送信された第1及び第2の送信信号を判定する受信装置における受信方法であって、前記第1及び第2の受信信号に含まれる既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、更に当該チャネル行列に対する逆行列を生成し、前記第1及び第2の受信信号に夫々対応する第1及び第2の受信信号点に対して前記逆行列を乗算して、変換された前記第1及び第2の受信信号点を生成し、前記変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の第1の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第1の送信信号候補点と前記変換された第1の受信信号点との距離を演算するとともに、前記変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第2の送信信号候補点と前記変換された第2の受信信号点との距離を演算し、前記第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の前記距離と前記チャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、当該全体距離が所定条件を満たす前記第1及び第2の送信信号候補点が前記第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定することを特徴とする受信方法。

技術分野

0001

本発明は、受信装置、及び受信方法に関する。

背景技術

0002

無線通信技術の一つとして、MIMO(Multiple Input Multiple Output)がある。MIMOは、例えば、複数の送信アンテナから異なる信号が並列に送信され空間的に多重されることで、高速伝送を実現する技術である。

0003

このようなMIMOによる無線通信システムにおいて、受信側は、各送信アンテナから送信された送信信号をできるだけ正確に分離して各送信信号を検出できるようにするため、種々の検出処理を行う。

0004

検出処理の一つとして、Full‐MLD(Maximum Likelihood Detection:最尤検出)がある。Full‐MLDは、例えば、受信信号点と各送信候補点(又は各信号レプリカ候補点)との距離を求めて当該距離が最も小さくなる送信候補点を送信信号点推定する検出処理である。しかし、Full‐MLDはすべての送信候補点に対する距離を演算するため、送信アンテナ数又は変調方式等により演算量が膨大になる。そこで、従来では、QRM‐MLDと呼ばれる送信信号の検出処理がある。

0005

QRM‐MLDは、例えば、QR分解とMLDとを組み合わせたものであり、送信候補点を削減しながら(絞り込みながら)送信信号点を推定する。そのため、QRM‐MLDはFull‐MLDと比較して演算量が少ない。以下、QRM‐MLDについて説明する。

0006

まず、MIMOによる無線通信システムは、例えば、以下のようにモデル化される。

0007

0008

式(1)において、yは受信信号ベクトル、xは送信信号ベクトル、nは雑音ベクトル、Hはチャネル応答行列(又はチャネル行列)を夫々示す。送信アンテナが「2」、受信アンテナが「2」の場合、式(1)は以下のように示すことができる。

0009

0010

式(2)において、y0,y1は受信信号点、x0,x1は送信信号点(又は送信信号候補点)、a,b,c,dはチャネル行列Hの各成分、n0,n1は雑音の各成分を夫々示す。

0011

ここで、チャネル行列Hは、ユニタリー行列Q(複素共役転置行列Q*との行列積は単位行列に等しい行列)と上三角行列Rとに分解でき、

0012

0013

と表わすことができる(QR分解)。

0014

式(2)の両辺に、ユニタリー行列Qの複素共役転置行列Q*を左側から乗算すると、

0015

0016

を得る。従って、式(4)は、

0017

0018

と表わすことができる。ここで、y0’,y1’は受信信号点y0,y1にユニタリー行列Qを乗算して得られる点、a’,b’,c’は上三角行列Rの各成分、n0’,n1’は雑音成分n0,n1にユニタリー行列Qを乗算して得られる値である。式(5)の各成分は、
y0’=a’x0+b’x1+n0’ ・・・(5‐1)
y1’=c’x1+n1’ ・・・(5‐2)
となる。

0019

QRM‐MLDは、この候補点x0,x1の中から雑音が最も小さいもの、すなわち、
|y1’−c’x1|2+|y0’−a’x0−b’x1|2 ・・・(5‐3)
が最小となるx0,x1を選択する(MLD)。

0020

すなわち、第1ステージで、|y1’−c’x1|2が閾値より小さくなるような候補点x1が複数選択され、|y1’−c’x1|2が計算される。そして、第2ステージで、第1ステージで選択された複数の候補点x1の中から、夫々|y0’−a’x0−b’x1|2 が最も小さくなる候補点x0が選択され、|y0’−a’x0−b’x1|2 が計算される。最後に、選択した候補点x0,x1の中から式(5‐3)が最も小さくなる候補点が選択され、選択された候補点が送信信号点と判定(又は推定)される。

0021

尚、従来では、このようなQRM‐MLDによる送信信号の検出において、チャネル行列が複数の小行列に分割され、各小行列の逆行列を用いてQR分解させることで、処理量を削減するようにしたものがある。

先行技術

0022

特開2009‐100408号公報

発明が解決しようとする課題

0023

しかし、QRM‐MLDによる検出において、QR分解後のMLDでは、第1ステージの実行結果に基づいて第2ステージが実行されるため、処理に時間がかかる。

0024

また、QR分解後のMLDでは、第2ステージにおいて|y0’−a’x0−b’x1|2 が最小となる候補点x0が演算されるが、|y0’−a’x0−b’x1|2 の計算式の中には第1ステージで選択した候補点x1が含まれている。従って、第1ステージにおいて選択された候補点x1によっては、第2ステージにおける|y0’−a’x0−b’x1|2 の値が大きく変動する場合もある。すなわち、第1ステージで選択されなかった候補点x1に対して、第2ステージにおける|y0’−a’x0−b’x1|2 の値が最も小さくなる候補点x0が存在する場合もある。そのため、QRM‐MLDでは、第2ステージにおいて全ての候補点x1に対して、|y0’−a’x0−b’x1|2 の計算が行われる場合もある。このような場合、例えば、受信装置における全体の処理量は、全ての候補点x1に対して|y0’−a’x0−b’x1|2の計算を行う分だけ増加する。

0025

更に、チャネル行列が複数の小行列に分割され各小行列を用いてQR分解させたとしても、その後のMLDでは上述した各ステージの処理を行うため、同様に全体の処理量は増加する場合もある。

0026

そこで、本発明の一目的は、処理量を削減するようにした受信装置、及び受信方法を提供することにある。

0027

また、本発明の他の目的は、受信処理を並列に行わせるようにした受信装置、及び受信方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0028

一態様によれば、第1及び第2の受信アンテナで夫々受信した第1及び第2の受信信号に基づいて、送信装置における第1及び第2の送信アンテナから夫々送信された第1及び第2の送信信号を判定する受信装置において、前記第1及び第2の受信信号に含まれる既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、更に当該チャネル行列に対する逆行列を生成する逆行列生成部と、前記第1及び第2の受信信号に夫々対応する第1及び第2の受信信号点に対して前記逆行列を乗算して、変換された前記第1及び第2の受信信号点を生成する逆行列乗算部と、前記変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の第1の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第1の送信信号候補点と前記変換された第1の受信信号点との距離を演算する第1の演算部と、前記変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第2の送信信号候補点と前記変換された第2の受信信号点との距離を演算する第2の演算部と、前記第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の前記距離と前記チャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、当該全体距離が所定条件を満たす前記第1及び第2の送信信号候補点が前記第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定する判定部とを備える。

発明の効果

0029

受信処理の処理量を削減するようにした受信装置、及び受信方法を提供することができる。また、受信処理を並列に行わせるようにした受信装置、及び受信方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0030

図1は無線通信システムの構成例を示す図である。
図2(A)は送信装置、図2(B)は受信装置の各構成例を示す図である。
図3は受信装置の構成例を示す図である。
図4は送信信号点と受信信号点の例を示す図である。
図5(A)は送信信号点に対するビット割り当ての例、図5(B)は受信信号点と対向点候補の例を夫々示す図である。
図6(A)及び図6(B)は受信信号点と対向点候補の例を夫々示す図である。
図7は受信信号点と対向点候補の例を夫々示す図である。
図8は動作例を示すフローチャートを示す。

実施例

0031

本発明を実施するための形態について以下説明する。

0032

図1は無線通信システム10の構成例を示す図である。無線通信システム10は、送信装置100と受信装置200とを備える。

0033

送信装置100は無線基地局装置であり、受信装置200は端末装置である。送信装置100が端末装置で、受信装置200が無線基地局装置でもよい。送信装置100は、n(n≧2を満たす自然数)個の送信アンテナ150‐1〜150‐nを備え、受信装置はm(m≧2を満たす自然数)個の受信アンテナ210‐1〜210‐mを備える。送信装置100と受信装置200は、複数の送信アンテナ150‐1〜150‐nと複数の受信アンテナ210‐1〜210‐mを用いてMIMO方式により無線通信を行う。

0034

次に送信装置100と受信装置200の各構成例を説明する。図2(A)は送信装置100、図2(B)は受信装置200の各構成例を示す図である。これらの図に示す例は、送信アンテナ150が「2個」(n=2)、受信アンテナ210が「2個」(m=2)のMIMO無線通信システム10の例を示す。

0035

送信装置100は、誤り訂正符号化部110と、パイロット信号生成部120と、データマッピング部130と、変調部140と、第1及び第2の送信アンテナ150‐1,150‐2とを備える。

0036

誤り訂正符号化部110は、ユーザデータに対して予め決定した符号化率等により誤り訂正符号化処理を行う。誤り訂正符号化部110は、符号化されたユーザデータを、第1及び第2の送信アンテナ150‐1,150‐2毎にデータマッピング部130に出力する。

0037

パイロット信号生成部120は、パイロット信号(又は既知信号)を生成し、データマッピング部130に出力する。

0038

データマッピング部130は、符号化データとパイロット信号の各ビット列送信シンボル(例えば、OFDMシンボル)へマッピングする。

0039

変調部140は、データマッピング部130から出力された送信シンボルに対して、予め決められた変調方式により変調を行う。変調方式は、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM、64QAM等がある。変調部140は、無線通信システム10がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)システムの場合はIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)、CDMA(Code Division Multiple Access)システムの場合は拡散を行う。以下では、OFDMシステム場合で説明する。変調部140は、IFFT後の送信シンボルを送信信号として第1及び第2の送信アンテナ150‐1,150‐2に出力する。各送信アンテナ150‐1,150‐2からは、例えば、同一無線リソースを用いて異なる送信信号が無線信号として送信される。

0040

尚、本実施例の動作説明において、第1の送信アンテナ150‐1から送信される無線信号を第1のストリーム、第2の送信アンテナ150‐2から送信される無線信号を第2のストリームと適宜呼ぶことにする。後ほど説明するプリコーディングを用いたシステムでは、送信アンテナ150‐1,150‐2とストリーム間に1対1の対応関係はないが、ストリームを分離する処理は、1対1に対応する場合と同様な動作で可能である。

0041

一方、受信装置200は、第1及び第2の受信アンテナ210‐1,210‐2と、復調部230と、MIMOデコーダ240と、誤り訂正復号部260とを備える。

0042

第1及び第2の受信アンテナ210‐1,210‐2は、送信装置100から送信された無線信号を受信し、受信信号として復調部230に出力する。例えば、第1の受信アンテナ210‐1は、第1の送信アンテナ150‐1から送信された第1のストリームと第2の送信アンテナ150‐2から送信された第2のストリームとを受信する。また、第2の受信アンテナ210‐2も、第1のストリームと第2のストリームとを受信する。

0043

復調部230は、第1及び第2の受信アンテナ210‐1,210‐2で受信した2つの受信信号に対して、予め決められた復調方式により復調処理を行う。復調部230は、例えば、送信装置100の変調部140と同様に、OFDMシステムの場合FFTを行う。尚、復調部230はCDMAシステムの場合逆拡散を行う。復調部230は、第1及び第2のストリームのうちデータに対してFFT処理を行うことでデータシンボルを生成し、MIMOデコーダ240に出力する。また、復調部230は、第1及び第2のストリームのうちパイロット信号に対してFFT処理を行い、FTT処理後の信号に平均化処理等を施すことでチャネル推定値を生成し、MIMOデコーダ240に出力する。

0044

MIMOデコーダ240は、データシンボルとチャネル推定値とに基づいて、データのビット系列に対するLLR(Logarithm of Likelihood ratio:対数尤度比)を第1及び第2のストリーム毎に求めて、誤り訂正復号部260に出力する。

0045

誤り訂正復号部260は、各LLRに基づいてユーザデータを復号し出力する。

0046

図3は、MIMOデコーダ240の構成例を含む受信装置200の構成例を示す図である。復調部230は、第1及び第2のFFT部231,232と、チャネル推定部233とを備える。

0047

第1及び第2のFFT部231,232は、夫々第1及び第2の受信アンテナ210‐1,210‐2から出力された受信信号に対してFFT処理を施す。第1及び第2のFFT部231,232はFFT処理後のデータシンボルr0,r1(以下、受信信号点r0,r1)を逆行列乗算部242に出力する。

0048

チャネル推定部233は、第1及び第2のFFT部231,232から出力されたFFT処理後の受信信号のうち、FFT処理後のパイロット信号を入力し、上述したように、平均化処理等を施すことでチャネル推定値を出力する。チャネル推定部233は、例えば、第1のストリームに含まれるパイロット信号に対して、チャネル推定値a,bを出力し、第2のストリームに含まれるパイロット信号に対して、チャネル推定値c,dを出力する。

0049

MIMOデコーダ240は、図3に示すように、逆行列生成部241と、逆行列乗算部242と、第1ステージ演算部243と、第2ステージ演算部244、トータル距離計算部及び判定部(以下、トータル距離計算部)245とを備える。

0050

逆行列生成部241は、チャネル推定値a,b,c,dに基づいて、チャネル行列Aの逆行列A‐1を求め、逆行列乗算部242に出力する。逆行列生成部241は、例えば、

0051

0052

とするチャネル行列Aを求め、

0053

0054

を演算する。

0055

逆行列乗算部242は、FFT処理後の受信信号点r0,r1に対して、チャネル行列の逆行列A‐1を乗算する。

0056

ここで、送信アンテナが「2」個、受信アンテナが「2」個のMIMO無線通信システム10において、第1及び第2の受信アンテナ210‐1,210‐2において夫々受信した受信信号点r0,r1は以下の式で与えられる。

0057

0058

式(8)において、s0,s1は、第1,第2の送信アンテナ150‐1,150‐2から各々送信された送信信号点、n0,n1は第1及び第2の受信アンテナ210‐1,210‐2が各々受信する雑音成分を示す。式(8)の左側に式(7)で示す逆行列A‐1を乗算すると、

0059

0060

となる。

0061

式(9)は、

0062

0063

0064

0065

0066

とおくことで、以下のように変形できる。

0067

0068

逆行列演算部242は、受信信号点r0,r1に対して逆行列A‐1を乗算し、式(10)〜式(13)に置き換える演算をすることで、変換された受信信号点r0’,r1’を夫々第1及び第2ステージ演算部243,244に出力する。

0069

式(14)の各成分は、
r0’=s0+n0’ ・・・(14‐1)
r1’=s1+n1’ ・・・(14‐2)
となる。

0070

QRM−MLDによる送信信号点の検出は、式(5‐1)及び式(5‐2)に示したように、第2ステージにおいて第1ステージに演算した候補点x1を用いて処理を行った。しかし、本受信装置200では、第1の送信アンテナ150‐1から送信された送信信号に対応する送信信号点s0は式(14‐1)から独立に演算でき、第2の送信アンテナ150‐2から送信された送信信号に対応する送信信号点s1は式(14‐2)から独立に演算できる。

0071

すなわち、本受信装置200は、第1ステージ演算部243において距離|r0’−s0|2(又は|r0’−s0|)が例えば最小となる送信信号s0の候補点を、第2ステージ演算部244に対して独立に求めることができる。また、本受信装置200は、第2ステージ演算部244において、距離|r1’−s1|2(又は|r1’−s1|)が例えば最小となる送信信号s1の候補点を、第1ステージ実行部243に対して独立に求めることができる。従って、本受信装置200は、並列に各ステージを処理することができる。

0072

第1ステージ演算部243は、送信信号点s0と受信信号点r0’との距離l0(=|r0’−s0|2(又は|r0’−s0|))のうち、最も距離l0が小さい送信信号点s0の候補点sx0を求める。そして、第1ステージ演算部243は、候補点sx0と受信信号点r0’との最小距離l0‐0を計算する。

0073

まず、候補点sx0を求め方について説明する。図4IQ平面上の受信信号点r0’と送信信号点s0の例を示す図である。同図において横軸I軸縦軸Q軸である。また、同図において、受信信号点r0’は白丸、送信信号点s0は黒丸で示される。送信信号点s0は、変調方式等により、IQ平面上で予め決められた点に配置される。図4の例では、変調方式は「16QAM」である。図4の例では矢印が距離l0を示し、第1ステージ演算部243は、最も距離が小さい送信信号点s0−1を送信信号の候補点sx0と判定する。

0074

このような判定方法としては、例えば領域判定法がある。領域判定法は、例えば、図4点線で示す各境界線による領域内に受信信号点r0’が位置するか否かにより候補点sx0を判定する方法である。実際には、例えば、図4の3つの送信信号点s0−1、s0−2、s0−3のIQ平面上の座標位置を夫々、(Is0−1,Qs0−1)、(Is0−2,Qs0−2)、(Is0−3,Qs0−3)とする。境界線は各座標中点に配置される。よって、送信信号点s0−1の領域は、I軸方向において、「0」から「1/2(Is0−1+Is0−3)」までの範囲、Q軸方向において、「0」から「1/2(Qs0−1+Qs0−2)」までの範囲となる。第1ステージ演算部243は、この領域内に受信信号点r0’が位置すると、送信信号点s0−1を候補点sx0と判定する。

0075

尚、IQ平面上の受信信号点の座標位置は、受信信号の位相振幅により決定される。よって、第1ステージ演算部243は、受信信号の位相と振幅により、受信信号点r0’のIQ平面上の位置を演算できる。また、送信信号点s0のIQ平面上の座標位置は、変調方式等により予め決められている。従って、第1ステージ演算部243は、各送信信号点s0に関してIQ平面上の位置と境界線とを演算し、それらを保持し、演算したIQ平面上の受信信号点r0’の位置により領域判定法を実行できる。このように、本受信装置200は、領域判定法を用いているため、受信信号点r0’と全ての送信信号点s0との距離を求めることがないため、全ての距離を求める場合と比較して、処理量を少なくすることができる。

0076

候補点sx0と受信信号点r0’との最小距離l0‐0は、例えば、候補点sx0の座標を(Is0,Qs0)、受信信号点r0’の座標を(Ir0’,Qr0’)とすると、

0077

0078

となる。第1ステージ演算部243は、式(15)を用いて最小距離l0−1を計算できる。なお、第1ステージ演算部243は、距離l0−1の2乗を出力してもよい。

0079

第1ステージ演算部243は、候補点sx0について、予め決められた複数個(例えば、m個)の候補点sx0−1,sx0−2、…、sx0−mを選択してもよい。この場合、第1ステージ演算部243は、最初に選択した最小距離の候補点sx0−1からの距離が近い順に複数の候補点sx0−2,…、sx0−mを選択する。図4の例で、m=5のとき、第1ステージ演算部243は最初に選択した送信信号点s0‐1(=sx0−1)と、送信信号点s0‐1に隣接する4つの送信信号点s0‐2〜s0‐5を候補点sx0として選択する。m=4のときは、送信信号点s0‐1に隣接する任意の3点(例えば、送信信号点s0‐2〜s0‐4)が選択される。

0080

更に、第1ステージ演算部243は、複数個の候補点sx0(sx0−1,sx0−2、…、sx0−m)を選択する場合、各候補点sx0と受信信号点r0’との各距離l0(l0‐1,l0‐2,…,l0‐m)を計算する。例えば、第1ステージ演算部243は、式(15)(又は|r0’−s0|2(又は|r0’−s0|))を用いて距離l0を計算する。この場合、第1ステージ演算部243は、式(15)の添字を変えることで、各候補点sx0と受信信号点r0’との各距離l0を計算できる。

0081

以上のようにして、第1ステージ演算部243は、1又は複数の候補点sx0と、1又は複数の距離l0とを演算し、トータル距離計算部245に出力する。

0082

第2ステージ演算部244は、第1ステージ演算部243と同様に、領域判定法を用いて、受信信号点r1’からの最も距離が小さい送信信号点s1−1を送信信号の候補点sx1と判定する。第2ステージ演算部244は、予め決められた複数個の候補点sx1−1,sx1−2、…、sx1−mを選択するときは、最小距離の候補点sx1−1からの距離が近い順に候補点sx1−2,sx1−3、…、sx1−mを選択する。第2ステージ演算部244は、式(15)(又は|r1’−s1|2(又は|r1’−s1|)等を用いて、1又は複数の候補点sx0(sx0−1,sx0−2、…、sx0−m)と受信信号点r1’との距離l1(l1‐1〜l1‐m)を計算する。

0083

以上のようにして、第2ステージ演算部244は、1又は複数の候補点sx1と、1又は複数の距離l1とをトータル距離計算部245に出力する。

0084

トータル距離計算部245は、逆行列生成部241から出力されたチャネル推定値a,b,c,dと、距離l0(=l0‐1〜l0‐m),l1(=l1‐1〜l1‐m)とに基づいて、以下の式に従ってトータル距離Lを演算する。

0085

0086

トータル距離計算部245は、式(16)により演算した複数個のトータル距離L1〜Lmから最もトータル距離Lが小さい距離l0とl1を求める。そして、トータル距離計算部245は、当該距離l0,l1に夫々対応する候補点sx0,sx1を第1及び第2の送信アンテナ150‐1,150‐2から送信された送信信号点s0,s1と決定する。

0087

ここで、式(16)について説明する。上述したように、受信信号点r0’,r1’は、FFT処理後の受信信号点r0,r1に対してチャネル行列Aの逆行列A−1を乗算して得られたものである。本受信装置200は、この変換された受信信号点r0’,r1’に基づいて、距離l0,l1を求め、更にトータル距離Lを演算し、候補点sx0,sx1を決定するようにした。

0088

他方、この変換された受信信号点r0’,r1’に行列Aを乗算することで、元の受信信号点r0,r1に変換することができる。このことを利用すると、距離l0,l1に行列Aを乗算すると、元の受信信号点r0,r1と候補点候補点sx0,sx1との距離が求められる。

0089

距離l0,l1に対して行列Aを乗算すると、

0090

0091

となる。トータル距離Lは、式(17)の各成分を2乗したものとなり、式(16)で表わすことができる。

0092

式(16)に着目すると、第1項と第2項は、夫々第1及び第2ステージ演算部243,244で演算した距離l0,l1のみを用いて演算が行われている。一方、第3項は第1及び第2ステージ演算部243,244で演算した距離l0,l1の双方が用いられている。

0093

第1及び第2ステージ演算部243,244は、どのような距離l0,l1を求めれば、トータル距離Lを最も小さくさせるかは、トータル距離計算部245が式(16)を演算しなければ分からない。他方、式(16)の第3項は、係数(a*b+cd*)が「0」のとき、距離l0,l1がどのような値をとっても第3項は「0」になる。このような場合、第1ステージ演算部243が演算した最小距離l0(=l0‐1)と、第2ステージ演算部244が演算した最小距離l1(=l1‐1)とが、トータル距離Lが最も小さくなる組み合わせとなる。すなわち、第1及び第2ステージ演算部243,244で最小距離となる送信信号s0,s1の候補点sx0、sx1がトータル距離Lでも最小値となり、第1及び第2の送信アンテナ150‐1,150‐2から送信された送信信号点s0,s1と決定できる。

0094

以上から、送信信号点s0、s1の候補数は、係数(a*b+cd*)が閾値より小さいとき少なくすることができ、処理量削減を図ることができる。逆に係数(a*b+cd*)が閾値よりも大きいとき、式(16)の第3項の影響で、候補数を所定数より多くすることで無線特性劣化を防止することができる。

0095

他方、MIMOによる無線通信システム10では、プリコーディング又はランクアダプテーションと呼ばれる技術が用いられている。プリコーティングは、例えば、端末から受信した通信品質等に基づいて、無線基地局が各送信アンテナ150‐1,150‐2から送信される送信信号に対して重み付けをして送信する技術である。したがって、第1のストリームがアンテナ150‐1,150‐2の両方から送信され、第2のストリームもアンテナ150‐1,150‐2の両方から送信されることになり、各ストリームは送信アンテナの重みづけにより分離される。また、ランクアダプテーションは、例えば、端末から受信した通信品質等に基づいて、無線基地局がストリーム数を変化させて送信信号を送信する技術である。

0096

送信装置100は送信信号に対してプリコーディングによる重み付けにより送信することで、ストリーム間の分離が行いやすくなる。このとき、受信装置200の各受信アンテナ210‐1,210‐2は重み付けされた受信信号を受信する。従って、チャネル推定値a,b,c,dは、重み付けを行う前と比較して変化し、係数(a*b+cd*)が閾値よりも小さくなる。よって、MIMO無線通信システム10における受信装置200は、プリコーディングにより、式(16)の第3項が所定値よりも小さくなる場合が多くなる。したがって、第1のステージ演算部243及び第2ステージ演算部244における候補数は閾値より少なくても特性劣化を防止することができ、処理量削減の効果を更に図ることができる。

0097

また、チャネル推定値a,b,c,dから求まる係数(a*b+cd*)が閾値より大きいときは、ストリーム数が所定数より多いとストリーム間の干渉により無線特性が劣化するため、ストリーム数を所定数より小さくした方が、無線スループットが大きくなる。このような場合、送信装置100は、ランクアダプテーションにより送信ストリーム数(又は使用する送信アンテナ)を例えば「2」から「1」に変化させる。ストリーム間干渉は発生しないので、受信装置200は、MIMOの信号分離を行うことがなく、処理量は閾値よりも非常に小さくなる。つまり、本実施例において、処理量を削減するためには、第1及び第2ステージ演算部243,244における候補数を閾値よりも減らす必要がある。一方、係数(a*b+cd*)が閾値より大きい環境では、式(16)の第3項の影響で候補数を閾値より小さくしにくくなる。しかし、無線スループットを上げるためにランクアダプテーションを導入したシステムは、係数(a*b+cd*)が閾値より大きい環境においてMIMOの信号分離を行わない。したがって、本実施例は、係数(a*b+cd*)が閾値より小さいとき、すなわち、候補数を小さくしてもよいときに適用されることになる。このように、ランクアダプテーションが用いられるシステムでは、第1及び第2ステージ演算部243,244における候補数を閾値より小さくすることができ、処理量の削減を図ることができる。

0098

尚、上述したように、第1及び第2ステージ演算部243,244は、送信信号s0,s1の候補数を「5」として距離l0(=l0‐1〜l0‐5),l1(=l1‐1〜l1‐5に)を演算した。候補数は「5」以外でもよい。また、予め式(16)の係数(a*b+cd*)が「0」になることが予想されるときは、候補数は「1」(最小距離)でもよい。実際の候補数の決め方としては、プリコーディング又はランクアダプテーションが行われることを考慮しつつ、シミュレーション等により、無線特性が劣化しない範囲又は無線特性劣化が許容範囲内となるように定められばよい。

0099

以上のようにして、トータル距離計算部245は、候補数個分の距離l0,l1を式(16)に代入して、トータル距離Lを演算し、その大小を比較する。そして、トータル距離計算部245は、トータル距離Lが最小となる距離l0,l1に対応する候補点sx0、sx1を送信信号点と判定する。以下、このように決定した送信信号点s0,s1を予想送信信号点と称する。本受信装置200は、予想送信信号点を第1及び第2の送信アンテナ150‐1,150‐2から各々送信された送信信号に対応する送信信号点s0,s1と判定する。

0100

受信装置200は、後段誤り訂正復号処理がなければ、予想送信信号点を決定して一連の処理は終了する。本実施例では、誤り訂正復号部260があり、トータル距離計算部245は、更に、誤り訂正復号処理で必要なLLRを計算し、誤り訂正復号部260に出力する。あるシンボルのnビット目のLLRは、
LLR=(予想送信信号点と受信信号点の距離の2乗)−(予想送信信号点のnビット目を反転した点と受信信号点の距離の2乗の最小値) ・・・(18)
により求めることができる。

0101

従って、トータル距離計算部245は、式(18)を用いてLLRを演算する。式(18)において、第1項は式(16)により既に計算されている。トータル距離計算部245は更に式(18)の第2項を計算することになる。式(18)の第2項の求め方について説明する。

0102

図5(A)〜図7は、当該第2項の求め方を説明するための図である。このうち、図5(A)は、変調方式が「16QAM」の場合の送信信号点s0に対するビット割り当ての例を示す図である。かかるビット割り当ては、Gray Mappingと呼ばれる。送信信号点s1に対するビット割り当ても同図(A)と同様にすることができる。

0103

図5(B)は、予想送信信号点の1ビット目を反転した点と受信信号点の距離の最小値が検索される様子を示す図である。トータル距離計算部245は、決定した予想送信信号点(図中、×印で示される)の1ビット目を反転したビットを1ビット目に有する各送信信号点s0(図中、2重丸で示される。1ビット目対向点候補)を求める。そして、トータル距離計算部245は、1ビット目対向点候補と受信信号点r0’との距離が最小となる候補点を検索する。この例では、図5(B)の例では、割り当てビットが「0001」である送信信号点s0との距離が最小距離となり、トータル距離計算部245は当該距離の2乗を求めて式(18)に代入し、1ビット目のLLRを演算する。

0104

図6(A)は、予想送信信号点の2ビット目「0」を反転した「1」を2ビット目に有する各送信信号点s0(図中、2重丸で示される。2ビット目対向点候補)と、受信信号点r0’との距離の最小値が検索される様子を示す図である。この例の場合、割り当てビットが「0101」である2ビット目対向点候補との距離が最小距離となるため、トータル距離計算部245は当該距離の2乗を求めて式(18)に代入し、2ビット目のLLRを演算する。

0105

図6(B)は3ビット目、図7は4ビット目に対する最小距離を検索する様子を示す図である。この例では、トータル距離計算部245は、3ビット目に対しては、「0010」を割り当てビットに持つ3ビット目対向点候補と受信信号点r0’との距離の2乗を計算し、3ビット目のLLRを計算する。また、トータル距離計算部245は、4ビット目に対して、「0001」を割り当てビットに持つ4ビット目対向点候補との距離の2乗を計算し、4ビット目のLLRを計算する。以上は、送信信号点s0に対する予想送信信号のLLRである。トータル距離計算部245は、更に、送信信号点s1に対する予想送信信号点のLLRについて、同様にして式(18)を用いて計算する。トータル距離計算部245は、受信信号点r0,r1にチャネル行列Aの逆行列A‐1を乗算した受信信号点r0’,r1’を用いて、LLRを演算している。

0106

トータル距離計算部245は、計算したLLRを誤り訂正復号部260に出力する。
誤り訂正復号部260は、軟判定情報であるLLRを用いて誤り訂正復号を行う。例えば、誤り訂正復号部260は、LLRを用いて情報ビットの確からしさを参照しながら、ユーザデータ(情報ビット)を復号する。

0107

次に動作について説明する。図8は受信装置200における動作例を示すフローチャートである。

0108

受信装置200は、処理を開始すると(S10)、チャネル行列Aの逆行列A‐1を演算する(S11)。例えば、チャネル推定部233は受信したパイロット信号に基づいてチャネル推定値a,b,c,dを求め、逆行列生成部241はチャネル推定値a,b,c,dからチャネル行列Aに対する逆行列A‐1を生成する。

0109

次いで、受信装置200は、受信信号r0,r1に対して逆行列A‐1を乗算し、ストリーム毎に第1及び第2ステージ演算部243,244に出力する(S12)。例えば、逆行列乗算部242は、逆行列生成部241で生成した逆行列A‐1を受信信号r0,r1に乗算し、乗算後の受信信号r0’,r1’を夫々第1及び第2ステージ演算部243,244に出力する。

0110

次いで、受信装置200は、送信信号点s0,s1と受信信号点r0’,r1’との距離が最も小さい候補点sx0,sx1を求め、更に、予め決められた候補数個分の距離l0,l1を求める(S13)。

0111

例えば、第1ステージ演算部243は、領域判定法を用いて、距離l0(=|r0’−s0|)が最も小さくなる候補点sx0を選択する。第2ステージ演算部244も、領域判定法を用いて、距離l1(=|r1’−s1|)が最も小さくなる候補点sx1を選択する。第1及び第2ステージ演算部243,244は、予め決められた複数個の候補点sx0,sx1を選択するときは、最小距離の候補点sx0‐1,sx1‐1に隣接する複数個の候補点sx0−2,sx0−3、…、sx0−m,sx1−2,sx1−3、…、sx1−mを選択する。このとき、第1及び第2ステージ演算部243,244は、各候補点sx0−1, …、sx0−m,sx1−1, …、sx1−mと受信信号点r0’,r1’との距離l0(l0‐1,…,I0‐m),l1(l1‐1,…,I1‐5)を演算する。

0112

次いで、受信装置200は、距離l0,l1とチャネル推定値a,b,c,dとに基づいて、トータル距離Lを計算する(S14)。例えば、トータル距離計算部245は、式(16)にチャネル推定値a,b,c,dと、距離l0、l1を各々代入して、トータル距離Lを計算する。

0113

次いで、受信装置200は、複数個のトータル距離L1〜Lmの中から、トータル距離Lが最も小さい距離l0,l1に対応する送信信号点s0,s1を予想送信信号点として決定する(S15)。例えば、トータル距離計算部245は、式(16)を用いてトータル距離Lを複数個分計算し、予想送信信号点を決定する。

0114

次いで、受信装置200は、決定した予想送信信号点s0,s1に対して、LLRを求める(S16)。例えば、トータル距離計算部245は、式(18)と領域判定法を用いて、予想送信信号点s0,s1夫々に対応するLLRを求め、誤り訂正復号部260に出力する。

0115

このように、本受信装置200は、チャネル行列Aの逆行列A‐1を受信信号r0,r1に乗算することで、式(14‐1)及び式(14‐2)で示すように、2つの送信信号点s0,s1を独立に演算することができる。これにより、第1及び第2ステージ演算部243,244において、各々、2つの距離l0(=|r0’‐s0|)、l1(=|r1’‐s1|)が独立に計算でき、本受信装置200は並列処理が可能となる。

0116

また、第1及び第2ステージ演算部243,244で計算する2つの距離l0(=|r0’‐s0|)、l1(=|r1’‐s1|)の夫々には、一方の変数s0,s1しか含まれていない。そのため、本受信装置200は、全ての送信信号点s0に対して、距離l1の計算(又はその逆の計算)を行うこともない。従って、第2ステージで全てのx0に対する距離|y0’−a’x0−b’x1|2の計算を行う場合もあるQRM‐MLDと比較して、本受信装置200は処理量を削減できる。

0117

次に他の実施例について説明する。上述した例は、送信アンテナ数が「2」、受信アンテナ数が「2」の例で説明した。例えば、送信アンテナ数が「n」、受信アンテナ数が「m」の場合でも同様に実施できる。この場合、受信装置200は、送信ストリーム数分のステージ演算部(第1〜第nステージ演算部)を備える。逆行列生成部241は、チャネル行列Aとして、

0118

0119

を得る。ここで、i=1,…,m、j=1,…,nであり、aijは、例えば、i番目の受信アンテナ、j番目送信ストリームにおけるチャネル推定値である。尚、「n」は本他の実施例において送信ストリーム数としている。送信ストリーム数は送信アンテナ数よりも少なく、各ストリームはプリコーディングによる重み付けが行われた後、各送信アンテナから送信される。ある送信アンテナでは複数のストリームが多重されることとなる。aijは各ストリームのチャネル推定値であり、各送信アンテナのチャネル推定値を重みづけ加算により求めることができる。

0120

そして、逆行列生成部241は、以下に示す逆行列A‐1を生成する。

0121

0122

受信アンテナ数mと送信ストリーム数nは、例えば、n<mの関係を有する。受信アンテナ数mが送信ストリーム数nより多いとき、受信装置200は送信ストリームを分離でき、無線特性の劣化を防止できるからである。

0123

逆行列生成部241は、m個の受信信号点rを成分に有するm元ベクトルに、左から数式(19)で求めたn行m列行列を乗算し、n元ベクトルを演算する。

0124

第1及び第2ステージ演算部243,244は、このn元ベクトルを変換後の受信信号点r’として、送信信号候補点sとの距離lを求めることになる。

0125

そして、トータル距離演算部243は、以下に示す数式(20)を演算することで、トータル距離Lを演算し、最小のトータル距離Lとなる距離lに対応する、送信信号候補点sを予想送信信号点s0として決定する。

0126

0127

ここで、変換後のk番目の受信信号点rkと、送信信号候補点skとの距離をlkとし、距離lkを成分に有するn元列ベクトルをL’とする。トータル距離演算部243は、式(20)により、チャネル行列Aと、n元列ベクトルL’の積AL’により、m元ベクトルを求め、このm元ベクトルの各成分の2乗和をトータル距離Lとして求めることになる。

0128

また、トータル距離計算部245は、式(18)を用いて、各予想送信信号点sに対してLLRを演算し、誤り訂正復号部260に出力する。

0129

以上まとめると付記のようになる。

0130

(付記1)
第1及び第2の受信アンテナで夫々受信した第1及び第2の受信信号に基づいて、送信装置における第1及び第2の送信アンテナから夫々送信された第1及び第2の送信信号を判定する受信装置において、
前記第1及び第2の受信信号に含まれる既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、更に当該チャネル行列に対する逆行列を生成する逆行列生成部と、
前記第1及び第2の受信信号に夫々対応する第1及び第2の受信信号点に対して前記逆行列を乗算して、変換された前記第1及び第2の受信信号点を生成する逆行列乗算部と、
前記変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の第1の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第1の送信信号候補点と前記変換された第1の受信信号点との距離を演算する第1の演算部と、
前記変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第2の送信信号候補点と前記変換された第2の受信信号点との距離を演算する第2の演算部と、
前記第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の前記距離と前記チャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、当該全体距離が所定条件を満たす前記第1及び第2の送信信号候補点が前記第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定する判定部と
を備えることを特徴とする受信装置。

0131

(付記2)
前記第1及び第2の演算部は、前記距離が夫々最も近い前記第1及び第2の送信信号候補点を選択し、選択された前記第1及び第2の送信信号候補点からの距離が近い順に複数個の前記第1及び第2の送信信号候補点を夫々選択することを特徴とする付記1記載の受信装置。

0132

(付記3)
前記第1及び第2の演算部は、前記第1及び第2の送信信号候補点のIQ平面上における夫々所定領域内に前記変換された第1及び第2の受信信号点が位置するとき、当該第1及び第2の送信信号候補点を、前記距離が最も近い前記第1及び第2の送信信号候補点として選択することを特徴とする付記2記載の受信装置。

0133

(付記4)
更に、誤り訂正復号部を備え、
前記判定部は、前記変換された第1及び第2の受信信号点に基づいて前記判定した第1及び第2の送信信号点に対して各々対数尤度比を演算し、
前記誤り訂正復号部は、前記各対数尤度比に基づいて誤り訂正復号処理を行うことを特徴とする付記1〜3のうちいずれかに記載の受信装置。

0134

(付記5)
前記第1及び第2の演算部は、夫々重み付けされた前記第1及び第2の受信信号を受信したとき、又は、前記受信装置が受信する送信信号の数が変化したとき、閾値よりも少ない個数の前記第1及び第2の送信信号候補点と前記距離とを夫々演算することを特徴とする付記1〜4のうちいずれかに記載の受信装置。

0135

(付記6)
前記判定部は、第1及び第2の演算部から出力される前記距離を夫々l0,l1、前記第1の受信信号に対応する前記チャネル推定値をa,b、前記第2の受信信号に対応する前記チャネル推定部をc,dとすると、前記全体距離として、

0136

0137

を演算し、前記1又は複数個の前記全体距離の中で最小値となる前記全体距離に対応する前記第1及び第2の送信信号候補点を夫々前記第1及び第2の送信信号点と判定することを特徴とする付記1〜5のうちいずれかに記載の受信装置。

0138

(付記7)
前記受信装置は、前記送信装置が基地局装置のとき端末装置であり、前記送信装置が端末装置のとき基地局装置であることを特徴とする付記1〜6のうちいずれかに記載の受信装置。

0139

(付記8)
第1及び第2の受信アンテナで夫々受信した第1及び第2の受信信号に基づいて、送信装置における第1及び第2の送信アンテナから夫々送信された第1及び第2の送信信号を判定する受信装置における受信方法であって、
前記第1及び第2の受信信号に含まれる既知信号に基づいてチャネル行列を生成し、更に当該チャネル行列に対する逆行列を生成し、
前記第1及び第2の受信信号に夫々対応する第1及び第2の受信信号点に対して前記逆行列を乗算して、変換された前記第1及び第2の受信信号点を生成し、
前記変換された第1の受信信号点に基づいて1又は複数の第1の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第1の送信信号候補点と前記変換された第1の受信信号点との距離を演算するとともに、前記変換された第2の受信信号点に基づいて1又は複数の第2の送信信号候補点を選択し、選択した前記1又は複数の第2の送信信号候補点と前記変換された第2の受信信号点との距離を演算し、
前記第1及び第2の演算部から夫々出力される1又は複数個の前記距離と前記チャネル行列の各成分とに基づいて全体距離を演算し、当該全体距離が所定条件を満たす前記第1及び第2の送信信号候補点が前記第1及び第2の送信信号に対応する送信信号点と判定する
ことを特徴とする受信方法。

0140

(付記9)
前記演算ステップにおいて、前記距離が夫々最も近い前記第1及び第2の送信信号候補点を選択し、選択された前記第1及び第2の送信信号候補点からの距離が近い順に複数個の前記第1及び第2の送信信号候補点を夫々選択することを特徴とする付記8記載の受信方法。

0141

(付記10)
前記演算ステップにおいて、前記第1及び第2の送信信号候補点のIQ平面上における夫々所定領域内に前記変換された第1及び第2の受信信号点が位置するとき、当該第1及び第2の送信信号候補点を、前記距離が最も近い前記第1及び第2の送信信号候補点として選択することを特徴とする付記9記載の受信方法。

0142

(付記11)
前記判定ステップにおいて、前記変換された第1及び第2の受信信号点に基づいて前記判定した第1及び第2の送信信号点に対して各々対数尤度比を演算し、
更に、前記各対数尤度比に基づいて誤り訂正復号処理を行うことを特徴とする付記8〜10のうちいずれかに記載の受信方法。

0143

(付記12)
前記演算ステップにおいて、夫々重み付けされた前記第1及び第2の受信信号を受信したとき、又は、前記受信装置が受信する送信信号の数が変化したとき、閾値よりも少ない個数の前記第1及び第2の送信信号候補点と前記距離とを夫々演算することを特徴とする付記8〜11のうちいずれかに記載の受信方法。

0144

(付記13)
前記判定ステップにおいて、第1及び第2の演算部から出力される前記距離を夫々l0,l1、前記第1の受信信号に対応する前記チャネル推定値をa,b、前記第2の受信信号に対応する前記チャネル推定部をc,dとすると、前記全体距離として、

0145

0146

を演算し、前記1又は複数個の前記全体距離の中で最も最小値となる前記全体距離に対応する前記第1及び第2の送信信号候補点を夫々前記第1及び第2の送信信号点と判定することを特徴とする付記8〜12のうちいずれかに記載の受信方法。

0147

(付記14)
前記受信装置は、前記送信装置が基地局装置のとき端末装置であり、前記送信装置が端末装置のとき基地局装置であることを特徴とする付記8〜13のうちいずれかに記載の受信方法。

0148

10:無線通信システム100:送信装置
110:誤り訂正符号化部 120:パイロット信号生成部
130:データマッピング部 140:変調部
150‐1,150‐2:第1、第2の送信アンテナ
200:受信装置
210‐1,210‐2:第1、第2の受信アンテナ
230:復調部 231,232:第1、第2のFFT部
240:MIMOデコーダ241:逆行列生成部
242:逆行列乗算部 243:第1ステージ演算部
244:第2ステージ演算部 245:トータル距離計算部及び判定部
260:誤り訂正復号部

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