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技術 芳香族ポリエステル樹脂組成物とその成形体の製造方法

出願人 古河電気工業株式会社
発明者 池田英行斉藤稔大来裕稲森康次郎
出願日 2010年2月17日 (11年8ヶ月経過) 出願番号 2010-032915
公開日 2011年9月1日 (10年1ヶ月経過) 公開番号 2011-168679
状態 特許登録済
技術分野 高分子成形体の処理 高分子組成物
主要キーワード 高圧不活性ガス ポリトリメチレンテレフタラート 浸透効率 芳香族ポリエステル樹脂組成物 ナフタレンジカルボキサミド 食品用トレイ ポリブチレンテレフタラート 各成形品
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

本発明は、透明性を確保しつつ、耐熱性機械特性満足する芳香族ポリエステル樹脂成形体を提供することを課題とする。

解決手段

結晶化飽和状態にあり、かつ可視光領域の光線透過率が70%以上である芳香族ポリエステル樹脂組成物

概要

背景

ポリエチレンテレフタラートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタラートなどをはじめとする芳香族ポリエステル樹脂成形性および機械特性に優れ、食品衛生上の安全性や耐薬品性満足するため、一部の食品用容器食品用トレイ等の分野に使用され始めている。これらの芳香族ポリエステル樹脂は、成形条件を適宜選定することにより、結晶化度を上げ、機械特性や耐熱性に優れた成形品を得ることができる。特に成形体の耐熱性や剛性を確保する必要がある場合には、熱処理等による結晶化処理を行うことで、この要求性能を満足することが行われている。
しかし、容器トレイではその内容物を確認するために、成形体に高い透明性が要求される場合が多い。成形体に結晶化処理を行うと、結晶相による光散乱により、透明性が損なわれる。そこで透明性を上げるためには、成形品を構成する樹脂結晶性下げ、非晶質にする必要がある。

そこで成形体の透明性を確保するため、成形後のクエンチ等を行い、結晶化度を抑制することが行われている。また結晶性樹脂であるポリエチレンテレフタラートの成形工程で、急冷固化工程を経ることで非晶質構造を保持することが行われている。
しかし成形後のクエンチ等で結晶化度を抑制する場合は、最初は結晶化度が低く透明度が高くても、その後成形体高温で使用中に結晶化が進行し、透明度が損なわれることが多い。また、結晶性樹脂であるポリエチレンテレフタラートの成形工程で、急冷固化工程を経ることで非晶質構造を保持する場合は、基本的に非晶質構造のまま成形されているため耐熱性や剛性が不十分な上に、加熱処理後の透明性が低下するという問題点がある。
これらの問題を改善する方法としてポリエチレンテレフタラートに対しポリテトラメチレンテレフタラート等を配合した樹脂組成物を用いることにより、成形体の結晶性を低下させ高温下での透明性を確保することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この樹脂組成物は、結晶化度が低く、高温下での形状保持性が十分とはいえない。そのため、透明性を確保しつつ、高温での使用が可能な成形品を得ることはできない。

概要

本発明は、透明性を確保しつつ、耐熱性と機械特性を満足する芳香族ポリエステル樹脂成形体を提供することを課題とする。結晶化飽和状態にあり、かつ可視光領域の光線透過率が70%以上である芳香族ポリエステル樹脂組成物。なし

目的

本発明は、透明性を確保しつつ、高温での使用ができ、機械特性を満足する芳香族ポリエステル樹脂組成物とその成形体の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

結晶化飽和状態にあり、かつ光線波長550nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする芳香族ポリエステル樹脂組成物

請求項2

前記芳香族ポリエステル樹脂組成物が、芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、溶融型結晶化核剤0.1〜1.5質量部含有することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物。

請求項3

前記芳香族ポリエスエル樹脂組成物を構成する樹脂ポリエチレンテレフタラートであることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物。

請求項4

芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して溶融型結晶化核剤0.1〜1.5質量部含有する芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体に、可塑化による結晶化処理を行う工程を含む、結晶化飽和状態である芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体の製造方法。

請求項5

前記可塑化による結晶化処理が、加圧下でガス浸透させ、その後圧力を開放する工程を含むことを特徴とする請求項4記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体の製造方法。

請求項6

前記可塑化による結晶化処理が、有機溶媒を浸漬させることを特徴とする請求項4記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、透明性、耐熱性、および機械特性に優れた芳香族ポリエステル樹脂組成物におよびその成形体の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

ポリエチレンテレフタラートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタラートなどをはじめとする芳香族ポリエステル樹脂成形性および機械特性に優れ、食品衛生上の安全性や耐薬品性満足するため、一部の食品用容器食品用トレイ等の分野に使用され始めている。これらの芳香族ポリエステル樹脂は、成形条件を適宜選定することにより、結晶化度を上げ、機械特性や耐熱性に優れた成形品を得ることができる。特に成形体の耐熱性や剛性を確保する必要がある場合には、熱処理等による結晶化処理を行うことで、この要求性能を満足することが行われている。
しかし、容器トレイではその内容物を確認するために、成形体に高い透明性が要求される場合が多い。成形体に結晶化処理を行うと、結晶相による光散乱により、透明性が損なわれる。そこで透明性を上げるためには、成形品を構成する樹脂結晶性下げ、非晶質にする必要がある。

0003

そこで成形体の透明性を確保するため、成形後のクエンチ等を行い、結晶化度を抑制することが行われている。また結晶性樹脂であるポリエチレンテレフタラートの成形工程で、急冷固化工程を経ることで非晶質構造を保持することが行われている。
しかし成形後のクエンチ等で結晶化度を抑制する場合は、最初は結晶化度が低く透明度が高くても、その後成形体高温で使用中に結晶化が進行し、透明度が損なわれることが多い。また、結晶性樹脂であるポリエチレンテレフタラートの成形工程で、急冷固化工程を経ることで非晶質構造を保持する場合は、基本的に非晶質構造のまま成形されているため耐熱性や剛性が不十分な上に、加熱処理後の透明性が低下するという問題点がある。
これらの問題を改善する方法としてポリエチレンテレフタラートに対しポリテトラメチレンテレフタラート等を配合した樹脂組成物を用いることにより、成形体の結晶性を低下させ高温下での透明性を確保することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この樹脂組成物は、結晶化度が低く、高温下での形状保持性が十分とはいえない。そのため、透明性を確保しつつ、高温での使用が可能な成形品を得ることはできない。

先行技術

0004

特開2002−069278号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、透明性を確保しつつ、高温での使用ができ、機械特性を満足する芳香族ポリエステル樹脂組成物とその成形体の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは上記課題に鑑み鋭意研究した結果、結晶化飽和状態にあり、かつ可視光領域の光線透過率特定値以上である芳香族ポリエステル樹脂組成物が、透明性、耐熱性、および機械特性に同時に優れた成形体を提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)結晶化飽和状態にあり、かつ光線波長550nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする芳香族ポリエステル樹脂組成物、
(2)前記芳香族ポリエステル樹脂組成物が、芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、溶融型結晶化核剤0.1〜1.5質量部含有することを特徴とする(1)記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物、
(3)前記芳香族ポリエスエル樹脂組成物を構成する樹脂がポリエチレンテレフタラートであることを特徴とする(1)または(2)に記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物、
(4)芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して溶融型結晶化核剤0.1〜1.5質量部含有する芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体に、可塑化による結晶化処理を行う工程を含むことによる、結晶化飽和状態にある芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体の製造方法、
(5)前記可塑化による結晶化処理が、加圧下でガス浸透させ、その後圧力を開放する工程を含むことを特徴とする(4)記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体の製造方法、および
(6)前記可塑化による結晶化処理が、有機溶媒を浸漬させることを特徴とする(4)記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体の製造方法
を提供するものである。

発明の効果

0007

本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物は、強度や剛性が高く、機械特性に優れる。また可視光領域の光線透過率が特定値以上であるため、透明度が高い。このため、本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物は、各種容器やトレイなどの他、透明性と機械特性が要求される分野の製品に使用することができる。
さらに本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物の製造方法によれば、高温で使用することができる成形体を得ることができる。

図面の簡単な説明

0008

示差走査熱量計測定チャートから後述の式(1)で示される結晶化可能度を求める方法を示す模式図である。

0009

本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物について、詳細に説明する。
本発明において用いられる芳香族ポリエステル樹脂としては、芳香族環を有するポリエステル樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリブチレンナフタラート等を適宜選択することができ、これら一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、特にポリエチレンテレフタラートが結晶性、透明性の面で好ましい。
本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物には、芳香族ポリエステル樹脂のほかに、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、他の樹脂を配合してもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂ポリフェニレンスルフィド、およびこれら結晶性樹脂を主たる成分とする共重合体、またはこれらの樹脂の混合物等を挙げることができる。光透過性に影響しない範囲で透明性の低いものを使うことも可能である。
結晶性の点から、配合するのであればポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラートなどが好ましい。芳香族ポリエステル樹脂組成物中の芳香族ポリエステル樹脂は樹脂成分全体の98.5質量%以上、さらに好ましくは98.5〜99.9質量%、特に好ましくは、98.8〜99.5質量%である。他の樹脂成分の配合量が多すぎると、透明性や柔軟性の点で問題が生じ、少なすぎると結晶化行程後の透明性の点で問題が生じる。

0010

本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物は、結晶化飽和状態にあり、光線波長550nmでの光線透過率が70%以上である。本発明における芳香族ポリエステル樹脂組成物が結晶化飽和状態にあるとは、示差走査熱量計による昇温測定過程における、該樹脂組成物中の芳香族ポリエステル樹脂の理論結晶化熱量に対する、芳香族ポリエステル樹脂組成物の結晶化熱量の割合(以下、この値を「結晶化可能度」という。)が5%以下である状態をいう。結晶化可能度は、好ましくは、2.5%以下である。さらに好ましくは、1.0%以下である。
結晶化可能度は下記式(1)で求めることができる。

結晶化可能度(%)=(結晶化熱量/理論結晶化熱量α)×100 式(1)

式(1)中、αは芳香族ポリエステル樹脂組成物が100%結晶化した場合の理論的融解熱の値である。ポリエチレンテレフタラートの場合、117.6J/gである。

0011

結晶化可能度の求め方について、図面を参照しながら説明する。図1はポリエチレンテレフタラートを示差走査熱量計にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件時で測定した場合のDSC曲線の模式図である。100〜150℃に現れる結晶化ピーク1がポリエチレンテレフタラートの結晶化部分である。この部分の結晶化熱量は、結晶化部分のピーク面積を積分することで求めることができる。ポリエチレンテレフタラートの理論結晶化熱量αに対する、芳香族ポリエステル樹脂組成物の結晶化熱量の百分率で表示した割合をZ%(すなわち、結晶化可能度がZ%)とすると、該芳香族ポリエステル樹脂組成物は、Z%が結晶化している。すなわち、Z%の結晶化の可能性がある。例えば、結晶化可能度が0%のとき、それ以上結晶化する可能性がない。

0012

また本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物の光線波長550nmでの光線透過率は70%以上である。本発明における光線波長550nmでの光線透過率は、分光光度計による透過率測定によって測定することができる。本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物の光線波長550nmでの光線透過率は100%に近いほど好ましいが、70%以上であれば、成形品の透明度は満足できるものとして使用することができる。さらに好ましくは、80%以上である。光線波長550nmでの光線透過率がこの範囲内の芳香族ポリエステル樹脂組成物の成形体は、本発明の樹脂組成物を用い、昇温をともなわない結晶化処理を行うことにより得ることができる。
昇温をともなわない結晶化処理とは、例えば、高圧ガス浸透法や有機溶媒浸漬法を挙げることができる。
高圧ガス浸透法とは、例えば、1MPa以上の高圧不活性ガス下に樹脂組成物を保持し、樹脂組成物中への不活性ガスの浸透により結晶化を誘起する方法である。また、有機溶媒浸漬法とは有機溶媒中に樹脂組成物を浸漬させることで可塑化を促進し、結晶化を誘起する方法である。

0013

本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物は、例えば混練機押出機などを用いて、加熱溶融して混練後、用途に応じて適宜、シートフィルム、およびブロックなど種々の形状の成形体とすることができる。本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物には、溶融型結晶化核剤を含むことが好ましい。溶融型結晶化核剤が配合されていると、芳香族ポリエステル樹脂組成物が加熱溶融され、その後冷却されて成形体とする際に、核剤付近に存在する芳香族ポリエステル樹脂が規則正しく並び、これが出発点になり、結晶化を進めることができる。溶融型結晶化核剤は、タルク変性されたポリエチレンのような従来の加熱時に完全相溶しない結晶化核剤と比べて、微細結晶構造を生成できるため、結晶化可能度を特定値以下にすることが可能となる。このため、結晶化飽和状態において透明性を担保した芳香族ポリエステル樹脂組成物の成形体を得ることができる。
溶融型結晶化核剤としては特に限定されることはないが、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド(エヌジェスターNU−100(商品名、新日本理化株式会社製))のほか、エヌジェスターPC−1(商品名、新日本理化株式会社製))や(T1465N(商品名、ADEKA社製))などを適宜選択することができる。これらは単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、特に新日本理化製エヌジェスターNU−100が透明性、生成される結晶粒径の点で好適である。
溶融型結晶化核剤の配合量は、芳香族ポリエステル樹脂組成物中の芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは、0.1〜1.5質量部であり、さらに好ましくは、0.5〜1.2質量部である。この量が少なすぎると結晶粒径が大きくなりすぎ透明性が損なわれ、多すぎると樹脂成型時の降温結晶化のために透明性が損なわれる。

0014

上記の芳香族ポリエステル樹脂組成物を用いる成形体に対して、70℃以上の加熱をともなわない可塑化による結晶化処理を行うことにより、より高度の結晶化飽和状態にある芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体を製造することができる。
可塑化による結晶化処理としては、例えば、加圧下でガスを浸透させ、その後圧力を開放する工程を含む方法を挙げることができる。ガスとしては、例えば、二酸化炭素窒素酸素アンモニア炭化水素希ガスなどを用いることができ、また空気などの混合気体でもよい。ガス浸透効率や取り扱いやすさなどの理由により二酸化炭素を用いることが望ましい。ガスが浸透することで、樹脂が可塑化され高分子鎖配向緩和することで密度の高い領域(結晶領域)が形成される。また、ガス浸透工程の温度としては−30〜80℃であることが好ましく、特に10〜35℃であることがより好ましい。ガスの浸透は、例えば、高圧下(好ましくは3〜7MPa)、気密容器封入し、上記の温度で好ましくは8時間以上放置することで行うことができる。その後、加圧容器から取り出して、所望の結晶度を有する芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体を得ることができる。

0015

また可塑化による結晶化処理としては、有機溶媒を浸漬させる方法でもよい。有機溶媒に浸漬することにより、芳香族ポリエステル樹脂組成物の成形品に有機溶媒が吸収され、その有機溶媒により可塑化され、所望の結晶度の芳香族ポリエステル樹脂組成物成形体を得ることができる。有機溶媒としては、芳香族ポリエステル樹脂組成物への吸収性がよく、該組成物の可塑化を行えるものであれば特に制限されない。好ましく使用できる有機溶媒としては、エタノールメタノールアセトンキシレントルエン酢酸エチルメチルエチルケトン等を便宜使用することができ、これらを単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、特にアセトンが結晶化促進効果、安全性の点で好ましい。浸漬時間や浸漬温度は、成型体透過率、結晶化度の点から適宜選択して決定することができる。例えば、20〜30℃で、48時間以上とすることができる。

0016

本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を損なわない限り、上記の溶融型結晶化核剤のほか、他の核剤を同時に使用してもよい。また可塑剤滑剤着色剤紫外線吸収剤酸化防止剤充填材ガラス繊維などの補強剤難燃剤帯電防止剤などの添加剤を必要に応じて適量加えてもよい。

0017

次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
実施例および比較例について、結晶化度および軟化温度を評価した。また可視光領域における光線透過率と引張弾性率は、初期の値とともに、160℃で48時間加熱後の25℃における値も同時に評価した。試験片は、0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形したものを用いた。評価結果を表1及び表2に示した。各試験とその評価は以下の方法で行った。

0018

(結晶化可能度)
示差走査熱量計(60A(商品名、島津製作所製))にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、各成形品の結晶化熱量を測定して、結晶化度を求めた。さらに各芳香族ポリエステル樹脂理論結晶化熱量に対する割合を求めることにより、結晶化可能度を%表示で求めた。実施例および比較例では、芳香族ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタラートを用いた。そこで、ポリエチレンテレフタラートの理論結晶化熱量は、117.6J/gを用いた。

0019

(可視光領域における光線透過率)
成形品を分光光度計(U−4100(商品名、日立ハイテク社製))で分光スリット(4nm)の条件で、光線波長550nmでの光線透過率の測定を行った。光線透過率については、初期値耐熱試験経過後の値も測定した。
光線透過率が初期値及び耐熱試験経過後も70%以上のものを合格、いずれか一方でも70%未満のものは不合格とした。

0020

引張強度
JIS K 6251のダンベル形状3号形に試験片を成形後、引張試験機5567(商品名、INSTRON社製))で引張速度50mm/分の条件で、引張強度を測定した。引張強度については、初期値と耐熱試験経過後の値も測定した。
引張強度が初期値及び耐熱試験経過後も3000MPa以上のものを合格、3000MPa未満のものを不合格とした。

0021

耐熱剛性
成形品の耐熱剛性について、TMA100(商品名、セイコー電子製)を用いて測定した。窒素雰囲気中にて昇温速度5℃/minにて室温(30℃)より170度まで昇温し、測定温度170度の際のプローブ変化量から耐熱剛性を求めた。プローブ膨張した場合は正の値、収縮した場合は負の値として、プローブ変化量を求めた。プローブとしては、径0.5mmのものを用い、測定加重は500mNとした。
プローブ変化量の絶対値が10%未満のものを耐熱剛性合格、10%以上のものを耐熱剛性不合格とした。

0022

<実施例1>
ポリエチレンテレフタラート(NEH2070(商品名、ユニチカ株式会社製))100質量部に、溶融型結晶化核剤としてエヌジェスターNU−100(商品名、新日本理化株式会社製)を1質量部配合して、二軸押出機で加熱溶融混練した後、0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。この樹脂シート圧力容器に入れ、17℃で5.5MPaの条件下で72時間、炭酸ガスを浸透させ、結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。このシートは高い透明性を有しており、可視光領域の光線透過率は85%であった。引張強度は3500MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−5.1%であった。160℃48時間の熱処理後も、光線波長550nmでの光線透過率は85%、引張弾性率は3500MPaであった。

0023

<実施例2>
溶融型結晶化核剤として、エヌジェスターPC−1(商品名、新日本理化株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でシート成形を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。得られたシートは高い透明性を有しており、可視光領域の光線透過率は80%、引張強度は3300MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−6.3%であった。160℃48時間の熱処理後も、光線波長550nmでの光線透過率は79%、引張弾性率は3300MPaであった。

0024

<実施例3>
溶融型結晶化核剤として、T1465N(商品名、ADEKA社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でシート成形を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。得られたシートは高い透明性を有しており、可視光領域の光線透過率は71%、引張強度は3400MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−4.2%であった。160℃で48時間の熱処理後も、光線波長550nmでの光線透過率は71%、引張強度は3400MPaであった。

0025

<実施例4>
ポリエチレンテレフタラート(NEH2070(商品名、ユニチカ株式会社製))100質量部に、溶融型結晶化核剤としてエヌジェスターNU−100(商品名、新日本理化株式会社製)を1質量部配合して、二軸押出機で加熱溶融混練した後、0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。この樹脂シートを室温にてアセトン中に浸漬し1週間保持し結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。またこのシートは高い透明性を有しており、可視光領域の光線透過率は83%、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−4.1%であった。160℃で48時間の熱処理後も、光線波長550nmでの光線透過率は83%であった。

0026

<比較例1>
ポリエチレンテレフタラート(NEH2070(商品名、ユニチカ株式会社製))100質量部に、溶融型結晶化核剤としてエヌジェスターNU−100(商品名、新日本理化株式会社製)を1質量部配合して、二軸押出機で加熱溶融混練した後、0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。この樹脂シートを150度の恒温槽中で72時間の加熱結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。またこのシートは白濁しており、可視光領域での光線透過率は18%、引張強度3800MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−0.8%であった。160℃で48時間の熱処理後の光線波長550nmでの光線透過率は16%、引張強度は3800MPaであった。

0027

<比較例2>
ポリエチレンテレフタラート(SA1206(商品名、ユニチカ株式会社製))100質量部に、結晶化核剤として変性ポリエチレン(MODIC−AP(商品名、三菱化学株式会社))を3質量部配合して溶融混練した後、0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。この樹脂シートを圧力容器に入れ、17℃で5.5MPaの条件下で、72時間の炭酸ガス浸透により結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。得られたシートは白濁しており、可視光領域での光線透過率は25%、引張強度は2900MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−4.6%であった。この樹脂シートを150度の恒温槽中で72時間の加熱結晶化処理を行った。得られたシートは白濁しており、光線波長550nmでの光線透過率は24%、引張強度2900MPaであった。

0028

<比較例3>
ポリエチレンテレフタラート(NEH2070(商品名、ユニチカ株式会社製))100質量部に、結晶化核剤としてSEBS熱可塑性エラストマー(8630P(商品名、JSR製)を1重量部添加して溶融・混練した後、0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。この樹脂シートを圧力容器に入れ、17℃で5.5MPaの条件下で72時間の炭酸ガス浸透により結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。またこのシートは白濁しており、光線透過率は9%、引張強度は2900MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−8.7%であった。この樹脂シートを150度の恒温槽中で72時間の加熱結晶化処理を行った。得られたシートは白濁しており、光線波長550nmでの光線透過率は9%、引張強度2900MPaであった。

0029

<比較例4>
ポリエチレンテレフタラート(NEH2070(商品名、ユニチカ株式会社製))を0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。この樹脂シートを圧力容器に入れ、17℃で5.5MPaの条件下で72時間の炭酸ガス浸透により結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は0%であった。またこのシートは白濁しており、光線波長550nmでの光線透過率15%、引張強度4400MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−4.7%であった、160℃48時間の熱処理後は白濁し、光線透過率は14%、引張弾性率は4400MPaであった。

0030

<比較例5>
ポリエチレンテレフタラート(NEH2070(商品名、ユニチカ株式会社製))を0.5mm厚×100mm幅×100mm長にシート成形した。このシートを圧力容器に入れ、17℃で5.5MPaの条件下で、72時間の炭酸ガス浸透により結晶化処理を行った。得られたシートの結晶化可能度は22%であった。シートは透明性が高く、光線波長550nmでの光線透過率は90%、引張強度は2900MPa、170℃雰囲気下のプローブ変化量は−85.6%であった。160℃48時間の熱処理後は白濁し、光線透過率は10%と大きく低下し、引張強度は4500MPaであった。

0031

0032

実施例

0033

表1及び2からわかるように、実施例1〜4では、結晶化可能度が0%であり、光線波長550nmでの光線透過率が70%以上である芳香族ポリエステル樹脂組成物が得られた。これらはいずれも加熱後も可視光領域の光線透過率の低下がほとんどなく、引張強度の低下もほとんどなかった。
これに対し、溶融型結晶化核剤を用い結晶化を行ったが光線波長550nmでの光線透過率が70%未満の比較例1、および溶融型結晶化核剤を使用していない比較例2〜4では、光線波長550nmでの光線透過率が大きく損なわれている。また可塑化による結晶化処理を行っても溶融型結晶化核剤を使用していない比較例5では、加熱後の光線波長550nmでの光線透過率が低く、耐熱剛性が非常に低いことがわかった。

0034

1結晶化ピーク
溶融ピーク
3 ガラス転移点

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