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技術 三成分系骨セメント

出願人 ヘレウスメディカルゲーエムベーハー
発明者 フォクトセバスチャンビュッヒナーフーベルト
出願日 2011年1月25日 (9年10ヶ月経過) 出願番号 2011-013356
公開日 2011年8月11日 (9年3ヶ月経過) 公開番号 2011-152419
状態 特許登録済
技術分野 医療用材料
主要キーワード 最小含有量 大量販売 セメント体 試料体 妨害的 三官能性化合物 液体モノマー成分 最終強度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年8月11日)のものです。
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課題

できる限り気泡がなくかつ高衝撃強さを有する骨セメントを生成することができるペーストを提供すること。

解決手段

本発明に係るペーストは、(i)15〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性メタクリル酸エステルと、(ii)40〜85重量%の少なくとも1つの充填剤と、(iii)0.01〜4重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有する少なくとも1つのラジカル開始剤と、(iv)0.01〜4重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつペルオキシド基を有しない少なくとも1つのラジカル開始剤と、(v)0.000001〜3重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ(iii)および(iv)に係るラジカル開始剤からラジカルを形成することができる少なくとも1つの促進剤と、(vi)0.001〜5重量%の少なくとも1つのハロゲン化物塩と、(vii)0.2〜3重量%の少なくとも1つの架橋剤とを含む。

概要

背景

ポリメタクリル酸メチル)(PMMA)系骨セメントは数十年にわたって知られており、Charnley卿の基礎研究非特許文献1)に由来している。そのPMMA骨セメント基本構成は、原理上はそのとき以来同じのままである。PMMA骨セメントは、液体モノマー成分および粉末成分を含む。このモノマー成分は、一般に、モノマーであるメタクリル酸メチルおよびこのモノマーに溶解された活性化剤(N,N−ジメチルp−トルイジン)を含有する。上記粉末成分は、メタクリル酸メチルおよびコモノマースチレンおよびアクリル酸メチル、または類似のモノマーなど)に基づいて、重合、好ましくは懸濁重合により製造された1以上のポリマー放射線不透過性物質、および開始剤ジベンゾイルペルオキシドを含む。この粉末成分が上記モノマー成分と混合されると、メタクリル酸メチルの中でのこの粉末成分のポリマーの膨潤に起因して、塑性変形できるペーストが製造される。同時に、活性化剤であるN,N−ジメチル−p−トルイジンはこのジベンゾイルペルオキシドと反応し、このジベンゾイルペルオキシドはラジカルの形成を伴って分解する。形成されたラジカルはメタクリル酸メチルの重合を開始する。このメタクリル酸メチルの重合の進行に伴って、当該セメントペーストの粘度は、このペーストが固化しそして硬化するまで、上昇する。

4点曲げ強度曲げ弾性率、および圧縮強度などのPMMA骨セメントの基本的な力学的な要求事項はISO 5833に記載されている。PMMA骨セメントの使用者にとっては、この骨セメントの不粘着性という特性は非常に重要である。用語「不粘着性」は、ISO 5833に定義されている。従来のPMMA骨セメントでは、不粘着性は、成分の混合後に当該セメントが、そのセメント粉末の中に含有されるポリマーが当該モノマーの中で膨潤することによって加工段階に到達したということを示す。原理上は、PMMA骨セメントは、使用者がそのセメントを成形施用することができるように、不粘着性でなければならない。PMMA骨セメントは手袋や、混合システムるつぼ、またはスパーテルなどの施用のための補助器具に付着してはいけない。

医療関係の使用者にとっての先行技術のPMMA骨セメントの著しい不都合は、使用者は、その液体モノマー成分は、そのセメントの施用の直前に混合システムの中またはるつぼの中で粉末成分と混合しなければならないということにある。この場合、混合のエラーが容易に起こる可能性があり、これが起こるとそのセメントの品質に悪影響を及ぼしかねない。この混合は、中断されることのないプロセスで実施される必要がある。この場合、セメント粉末全体が集塊の形成なしに当該モノマー成分と混合されること、およびその混合プロセスの間に気泡入り込みが回避されることが重要である。真空混合システムを用いると、手による混合とは対照的に、セメントペーストの中での気泡の形成はほぼ防止されるが、付加的な真空ポンプがこれらのシステムのために必要とされる。混合システムの例は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に開示されている。真空混合システムおよび真空ポンプは、相対的に高価である。そのモノマー成分を粉末成分と混合した後、セメントの種類によっては、そのセメントペーストが不粘着性であり施用することができるようになるまで、ある程度の長さの時間が経過しなければならない。従来のPMMA骨セメントの混合の際に多くのエラーが起こりうるため、適切に訓練された人材が必要とされる。この訓練には、無視することができないコストが伴う。さらには、上記液体モノマー成分と上記粉末成分との混合は、使用者がモノマー蒸気曝露されることおよび粉末セメント粒子が放出されることにつながる。

液体モノマー溶液およびポリマー粉末から骨セメントを製造する間のこれらの状態を防止するために、特許文献4はペースト様の骨セメントを提案する。このペースト様の骨セメントは、ポリマーをメタクリレートモノマーの中に溶解し、この溶液の中にそのメタクリレートモノマーに可溶でない微粒子ポリマーを懸濁させるという発想に基づく。このようにして、溶解したポリマーに由来する高い内部凝集を呈しかつ微粒子すなわち不溶性のポリマーに起因して高粘度を有するペースト様の塊を生成することが可能であり、そのため当該ペーストは一時的には滲み出し圧力に耐えることができる。このメタクリレートモノマーのラジカル重合に起因して、このペーストは硬化することができる。(i)バルビツール酸誘導体またはジベンゾイルペルオキシドなどのラジカル開始剤、および(ii)活性化剤としての銅塩を用いてラジカル重合が可能である。しかしながら、この開始剤系を用いると、形成された骨セメントペーストは均一に硬化せず、その代わりに中心部から、形成された骨セメントペーストの表面の方向に向かって外側方向に硬化するということが示された。骨セメントペーストの中に含有されるモノマーの蒸発に起因して、得られた骨セメントの中に気泡が形成される。さらには、この開始剤系を用いると、この骨セメントペーストの中に含有されるモノマーは完全には変換されないということが観察された。これらの状況は、骨セメントの物性、特に衝撃強さに対して不利な効果を及ぼす。

概要

できる限り気泡がなくかつ高衝撃強さを有する骨セメントを生成することができるペーストを提供すること。本発明に係るペーストは、(i)15〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性メタクリル酸エステルと、(ii)40〜85重量%の少なくとも1つの充填剤と、(iii)0.01〜4重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有する少なくとも1つのラジカル開始剤と、(iv)0.01〜4重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつペルオキシド基を有しない少なくとも1つのラジカル開始剤と、(v)0.000001〜3重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ(iii)および(iv)に係るラジカル開始剤からラジカルを形成することができる少なくとも1つの促進剤と、(vi)0.001〜5重量%の少なくとも1つのハロゲン化物塩と、(vii)0.2〜3重量%の少なくとも1つの架橋剤とを含む。なし

目的

本発明は、高衝撃強さを有してできる限り気泡がない骨セメントの製造が可能になるキットを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

キットであって、成分として、少なくとも(a1)一官能性の、疎水性メタクリル酸エステルと、(a2)充填剤と、(a3)(a1)に可溶でかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有するラジカル開始剤とを含有するキット成分(a)であって、キット成分(a)は、キット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(a1)および85重量%未満の充填剤(a2)を含有するキット成分(a)と、成分として、少なくとも(b1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(b2)充填剤と、(b3)(b1)に可溶でかつペルオキシド基を有しないラジカル開始剤とを含有するキット成分(b)であって、キット成分(b)は、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(b1)および85重量%未満の充填剤(b2)を含有するキット成分(b)と、成分として、少なくとも(c1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(c2)充填剤と、(c3)(c1)に可溶でかつ前記ラジカル開始剤(a3)および(b3)からラジカルを形成することができる促進剤とを含有するキット成分(c)であって、キット成分(c)は、キット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(c1)および85重量%未満の充填剤(c2)を含有するキット成分(c)と、を含み、前記キット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つは少なくとも1つのハロゲン化物塩を含有し、前記キット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つは少なくとも1つの架橋剤を含有し、前記キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて、(i)前記メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)の総重量%は15〜50重量%の範囲にあり、(ii)充填剤(a2)、(b2)、および(c2)の総重量%は40〜85重量%の範囲にあり、(iii)前記ラジカル開始剤(a3)の重量%は0.01〜4重量%の範囲にあり、(iv)前記ラジカル開始剤(b3)の重量%は0.01〜4重量%の範囲にあり、(v)前記促進剤(c3)の重量%は0.000001〜3重量%の範囲にあり、(vi)前記少なくとも1つのハロゲン化物塩の総重量%は0.001〜5重量%の範囲にあり、(vii)前記少なくとも1つの架橋剤の総重量%は0.2〜3重量%の範囲にあるキット。

請求項2

前記メタクリル酸エステル(a1)、(b1)および(c1)のうちの少なくとも1つは、メタクリル酸メチルエステルおよびメタクリル酸エチルエステルからなる群から選択される、請求項1に記載のキット。

請求項3

前記充填剤(a2)、(b2)および(c2)のうちの少なくとも1つは、前記メタクリル酸エステル(a1)、(b1)および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマー、前記メタクリル酸エステル(a1)、(b1)および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマー、無機塩無機酸化物、金属、および金属合金からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載のキット。

請求項4

前記メタクリル酸エステル(a1)、(b1)および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマーは、少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項3に記載のキット。

請求項5

前記ラジカル開始剤(a3)は、ジベンゾイルペルオキシドおよびジラウロイルペルオキシドからなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキット。

請求項6

前記ラジカル開始剤(b3)は、バルビツール酸および1位または5位で置換されているバルビツール酸からなる群から選択される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のキット。

請求項7

前記ラジカル開始剤(b3)は、1−シクロヘキシル−5−エチル−バルビツール酸、1−n−ブチル−バルビツール酸、および5−ブチル−バルビツール酸からなる群から選択される、請求項6に記載のキット。

請求項8

前記促進剤(c3)は、酸化段階0のほかに、少なくとも2つの他の酸化段階をとることができる金属のイオンを有する塩からなる群から選択される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のキット。

請求項9

前記金属イオンは、銅イオン鉄イオンコバルトイオン、およびマンガンイオンからなる群から選択される、請求項8に記載のキット。

請求項10

前記促進剤(c3)は、2−エチルヘキサン酸銅(II)、ラウリン酸銅(II)、デカン酸銅(II)、オクチル酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトナート、およびメタクリル酸銅(II)からなる群から選択される、請求項8または請求項9に記載のキット。

請求項11

前記少なくとも1つのハロゲン化物塩は、金属ハロゲン化物塩酸塩、および第四級ハロゲン化アンモニウム塩からなる群から選択される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のキット。

請求項12

前記少なくとも1つの架橋剤は、多官能性メタクリレートモノマーからなる群から選択される、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のキット。

請求項13

前記多官能性メタクリレートモノマーは、エチレングリコールジメタクリレートブチレングリコールジメタクリレート、およびヘキサメチレンジメタクリレートからなる群から選択される、請求項12に記載のキット。

請求項14

前記キット成分(a)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの薬学的有効成分を含有する、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のキット。

請求項15

前記少なくとも1つの薬学的有効成分は、抗生物質抗炎症剤ホルモン成長因子ビスホスホネート類、および細胞分裂抑制剤からなる群から選択される、請求項14に記載のキット。

請求項16

前記キット成分(a)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの放射線不透過性物質を含有する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のキット。

請求項17

前記キット成分(a)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つは染料を含有する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のキット。

請求項18

ペーストであって、(i)15〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(ii)40〜85重量%の少なくとも1つの充填剤と、(iii)0.01〜4重量%の、前記メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有する少なくとも1つのラジカル開始剤と、(iv)0.01〜4重量%の、前記メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつペルオキシド基を有しない少なくとも1つのラジカル開始剤と、(v)0.000001〜3重量%の、前記メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ(iii)および(iv)に係る前記ラジカル開始剤からラジカルを形成することができる少なくとも1つの促進剤と、(vi)0.001〜5重量%の少なくとも1つのハロゲン化物塩と、(vii)0.2〜3重量%の少なくとも1つの架橋剤と、を含むペースト。

請求項19

関節内部人工器官を固定するための、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のキットまたは請求項18に記載のペースト。

請求項20

骨欠損充填するための、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のキットまたは請求項18に記載のペースト。

技術分野

0001

本発明は、骨セメントの製造のためのキット、骨セメントの製造のためのペースト、ならびにこのキットおよびペーストの使用に関する。

背景技術

0002

ポリメタクリル酸メチル)(PMMA)系骨セメントは数十年にわたって知られており、Charnley卿の基礎研究非特許文献1)に由来している。そのPMMA骨セメント基本構成は、原理上はそのとき以来同じのままである。PMMA骨セメントは、液体モノマー成分および粉末成分を含む。このモノマー成分は、一般に、モノマーであるメタクリル酸メチルおよびこのモノマーに溶解された活性化剤(N,N−ジメチルp−トルイジン)を含有する。上記粉末成分は、メタクリル酸メチルおよびコモノマースチレンおよびアクリル酸メチル、または類似のモノマーなど)に基づいて、重合、好ましくは懸濁重合により製造された1以上のポリマー放射線不透過性物質、および開始剤ジベンゾイルペルオキシドを含む。この粉末成分が上記モノマー成分と混合されると、メタクリル酸メチルの中でのこの粉末成分のポリマーの膨潤に起因して、塑性変形できるペーストが製造される。同時に、活性化剤であるN,N−ジメチル−p−トルイジンはこのジベンゾイルペルオキシドと反応し、このジベンゾイルペルオキシドはラジカルの形成を伴って分解する。形成されたラジカルはメタクリル酸メチルの重合を開始する。このメタクリル酸メチルの重合の進行に伴って、当該セメントペーストの粘度は、このペーストが固化しそして硬化するまで、上昇する。

0003

4点曲げ強度曲げ弾性率、および圧縮強度などのPMMA骨セメントの基本的な力学的な要求事項はISO 5833に記載されている。PMMA骨セメントの使用者にとっては、この骨セメントの不粘着性という特性は非常に重要である。用語「不粘着性」は、ISO 5833に定義されている。従来のPMMA骨セメントでは、不粘着性は、成分の混合後に当該セメントが、そのセメント粉末の中に含有されるポリマーが当該モノマーの中で膨潤することによって加工段階に到達したということを示す。原理上は、PMMA骨セメントは、使用者がそのセメントを成形施用することができるように、不粘着性でなければならない。PMMA骨セメントは手袋や、混合システムるつぼ、またはスパーテルなどの施用のための補助器具に付着してはいけない。

0004

医療関係の使用者にとっての先行技術のPMMA骨セメントの著しい不都合は、使用者は、その液体モノマー成分は、そのセメントの施用の直前に混合システムの中またはるつぼの中で粉末成分と混合しなければならないということにある。この場合、混合のエラーが容易に起こる可能性があり、これが起こるとそのセメントの品質に悪影響を及ぼしかねない。この混合は、中断されることのないプロセスで実施される必要がある。この場合、セメント粉末全体が集塊の形成なしに当該モノマー成分と混合されること、およびその混合プロセスの間に気泡入り込みが回避されることが重要である。真空混合システムを用いると、手による混合とは対照的に、セメントペーストの中での気泡の形成はほぼ防止されるが、付加的な真空ポンプがこれらのシステムのために必要とされる。混合システムの例は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に開示されている。真空混合システムおよび真空ポンプは、相対的に高価である。そのモノマー成分を粉末成分と混合した後、セメントの種類によっては、そのセメントペーストが不粘着性であり施用することができるようになるまで、ある程度の長さの時間が経過しなければならない。従来のPMMA骨セメントの混合の際に多くのエラーが起こりうるため、適切に訓練された人材が必要とされる。この訓練には、無視することができないコストが伴う。さらには、上記液体モノマー成分と上記粉末成分との混合は、使用者がモノマー蒸気曝露されることおよび粉末セメント粒子が放出されることにつながる。

0005

液体モノマー溶液およびポリマー粉末から骨セメントを製造する間のこれらの状態を防止するために、特許文献4はペースト様の骨セメントを提案する。このペースト様の骨セメントは、ポリマーをメタクリレートモノマーの中に溶解し、この溶液の中にそのメタクリレートモノマーに可溶でない微粒子ポリマーを懸濁させるという発想に基づく。このようにして、溶解したポリマーに由来する高い内部凝集を呈しかつ微粒子すなわち不溶性のポリマーに起因して高粘度を有するペースト様の塊を生成することが可能であり、そのため当該ペーストは一時的には滲み出し圧力に耐えることができる。このメタクリレートモノマーのラジカル重合に起因して、このペーストは硬化することができる。(i)バルビツール酸誘導体またはジベンゾイルペルオキシドなどのラジカル開始剤、および(ii)活性化剤としての銅塩を用いてラジカル重合が可能である。しかしながら、この開始剤系を用いると、形成された骨セメントペーストは均一に硬化せず、その代わりに中心部から、形成された骨セメントペーストの表面の方向に向かって外側方向に硬化するということが示された。骨セメントペーストの中に含有されるモノマーの蒸発に起因して、得られた骨セメントの中に気泡が形成される。さらには、この開始剤系を用いると、この骨セメントペーストの中に含有されるモノマーは完全には変換されないということが観察された。これらの状況は、骨セメントの物性、特に衝撃強さに対して不利な効果を及ぼす。

0006

米国特許第4,015,945A号明細書
欧州特許出願第0 674 888(A1)号明細書
特開2003−181270号公報
独国特許第102007050762(B3)号明細書

先行技術

0007

Charnley,J.、「Anchorage of the femoral head prosthesis of the shaft of the femur」、J.Bone Joint Surg.、1960年、第42巻、28−30頁

発明が解決しようとする課題

0008

それゆえ、本発明は、高衝撃強さを有してできる限り気泡がない骨セメントの製造が可能になるキットを提供するという目的に基づく。

0009

別の目的は、できる限り気泡がなくかつ高衝撃強さを呈する骨セメントを生成することができるペーストを提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

これらの目的は、独立請求項の主題により成し遂げられる。

0011

従って、本発明は、キットであって、
成分として、少なくとも(a1)一官能性の、疎水性メタクリル酸エステルと、(a2)充填剤と、(a3)(a1)に可溶でかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有するラジカル開始剤とを含有するキット成分(a)であって、キット成分(a)は、キット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(a1)および85重量%未満の充填剤(a2)を含有するキット成分(a)と、
成分として、少なくとも(b1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(b2)充填剤と、(b3)(b1)に可溶でかつペルオキシド基を有しないラジカル開始剤とを含有するキット成分(b)であって、キット成分(b)は、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(b1)および85重量%未満の充填剤(b2)を含有するキット成分(b)と、
成分として、少なくとも(c1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(c2)充填剤と、(c3)(c1)に可溶でかつラジカル開始剤(a3)および(b3)からラジカルを形成することができる促進剤とを含有するキット成分(c)であって、キット成分(c)は、キット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(c1)および85重量%未満の充填剤(c2)を含有するキット成分(c)と、
を含み、
このキット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つは少なくとも1つのハロゲン化物塩を含有し、
キット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つは少なくとも1つの架橋剤を含有し、
当該キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて、(i)メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)の総重量%は15〜50重量%の範囲にあり、(ii)充填剤(a2)、(b2)、および(c2)の総重量%は40〜85重量%の範囲にあり、(iii)ラジカル開始剤(a3)の重量%は0.01〜4重量%の範囲にあり、(iv)ラジカル開始剤(b3)の重量%は0.01〜4重量%の範囲にあり、(v)促進剤(c3)の重量%は0.000001〜3重量%の範囲にあり、(vi)少なくとも1つのハロゲン化物塩の総重量%は0.001〜5重量%の範囲にあり、(vii)少なくとも1つの架橋剤の総重量%は0.2〜3重量%の範囲にあるキットを提供する。

0012

さらには、本発明は、(i)15〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(ii)40〜85重量%の少なくとも1つの充填剤と、(iii)0.01〜4重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有する少なくとも1つのラジカル開始剤と、(iv)0.01〜4重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつペルオキシド基を有しない少なくとも1つのラジカル開始剤と、(v)0.000001〜3重量%の、メタクリル酸エステル(i)に可溶でありかつ(iii)および(iv)に係るラジカル開始剤からラジカルを形成することができる少なくとも1つの促進剤と、(vi)0.001〜5重量%の少なくとも1つのハロゲン化物塩と、(vii)0.2〜3重量%の少なくとも1つの架橋剤とを含むペーストを提供する。

0013

互いに異なるラジカル開始剤と、一方で促進剤、ならびに他方で架橋剤との本発明に係る系の組み合わせを通して、数分以内にその最終強度に到達する高衝撃強さを有する、ほぼ気泡がない骨セメントの製造が可能である。

0014

独国特許第102007050762(B3)号明細書から公知であるように、当該骨セメントペーストの中に含有されるモノマーの重合のために、銅塩と一緒にバルビツール酸誘導体またはペルオキシドのいずれかが開始剤として使用される場合、これが気泡の形成およびその骨セメントペーストの中に含有されるモノマーの不完全な変換に起因する衝撃強さの低下につながっている。

0015

驚くべきことに、一方で、ペルオキシド基を有する少なくとも1つのラジカル開始剤、ペルオキシド基を有しないラジカル開始剤、および適切な促進剤を含有する開始剤系が使用され、他方で、重合が明確な濃度の架橋剤の存在下で行われる場合は、骨セメントの衝撃強さは増加させることができるということが見出された。

0016

これらの効果は、ペルオキシド基を有しないラジカル開始剤の使用に起因して、その開始剤が重合の迅速な開始および均一な加熱につながるということに由来する可能性がある。それに関連して、少なくとも1つのペルオキシド基を含有するラジカル開始剤によって後硬化が開始されるときに、固化が始まる。この後硬化は、強い熱ショックを伴う。さらには、これが、これらの2つの異なるラジカル開始剤間の反応につながり、重合プロセスが完全に実施されるという結果になるようである。架橋剤が同時に存在することに起因して、これは、硬化の初期段階で始まる粘度の大きな上昇につながる。

0017

本発明によれば、キット成分の混合前は少なくとも1つのペルオキシド基を有するレドックス開始剤がペルオキシド基を有しないレドックス開始剤と分離されることが必須である。両方のレドックス開始剤が1つのキット成分の中で一緒に存在すれば、これは、これらの2つのレドックス開始剤間の反応に起因してラジカルの生成につながり、従って存在するモノマーの所望されない重合につながるであろう。その結果、これらのキット成分は保存のためには安定ではないであろう。従って、互いから別々に以下の成分を含有する少なくとも3つのキット成分が必要とされる:(i)ペルオキシド基を有するレドックス開始剤、(ii)ペルオキシド基を有しないレドックス開始剤、および(iii)促進剤。

0018

従って、本発明によれば、キットが提供される。本発明の範囲では、キットは、いくつかの別々に梱包されたキット成分を有する系であると理解される。個々のキット成分は、例えば、瓶またはバッグの中で滅菌された形で梱包されて提供することができる。

0019

本発明の場合、当該キットは、異なる成分を含有し従って異なる組成を有する少なくとも3つのキット成分(a)、(b)、および(c)を含む。本発明によれば、当該キットが3つより多いキット成分を含有することも可能である。少なくとも3つのキット成分の中に含有される組成物を混合することにより、最初にペーストが製造され、硬化後に骨セメントを形成するために、使用者がこのペーストを最終的に形作ることができる。

0020

キット成分(a)は、成分として少なくとも(a1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(a2)充填剤と、(a3)(a1)に可溶でかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有するラジカル開始剤とを含有し、キット成分(a)はキット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(a1)および85重量%未満の充填剤(a2)とを含有する。

0021

加えて、キット成分(a)はさらなる成分を含んでもよい。しかしながら、キット成分(a)が上に挙げた成分からなることも可能である。

0022

メタクリル酸のいずれの疎水性のエステルも、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)として使用することができる。

0023

疎水性の、一官能性のメタクリル酸エステル(a1)の使用を通して、当該骨セメントの後の体積の増加、従って骨への損傷を防ぐことができる。好ましい実施形態によれば、一官能性のメタクリル酸エステル(a1)は、それがエステル基のほかにはさらなる極性基を含まない場合は、疎水性である。好ましくは、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)は、カルボキシル基ヒドロキシル基アミド基スルホン酸基スルフェート基、ホスフェート基、またはホスホネート基を有しない。

0024

本発明に従って使用されるメタクリル酸エステル(a1)は、好ましくは、1000g/mol未満の重量平均分子量を有する。

0025

本発明の範囲では、分子量に関する数字は、粘度測定により決定された分子量を指す。

0026

使用されるエステルは、好ましくはアルキルエステルである。好ましい実施形態によれば、このアルキルエステルは、メタクリル酸と1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは1〜6個の炭素原子、なおとりわけ好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコールとのエステルである。このアルコールは置換されていてもよいしまたは非置換であってもよいが、非置換であることが好ましい。さらには、このアルコールは飽和であってもよいしまたは不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。

0027

とりわけ好ましい実施形態によれば、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)はメタクリル酸メチルエステルまたはメタクリル酸エチルエステルを含む。

0028

キット成分(a)は、キット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%、さらにより好ましくは25〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)を含有する。結果として、キット成分(a)は、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)を含有することができる。

0029

キット成分(a)に含有される少なくとも1つの充填剤(a2)は、室温で固体でありかつキット成分(a)の中の他の成分から構成される混合物の粘度を上昇させることができる物質である。充填剤(a2)は生体適合性でなければならない。

0030

好ましい実施形態によれば、充填剤(a2)は、(i)少なくともメタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマー、より好ましくは少なくともメタクリル酸エステル(a1)に可溶なポリマー、(ii)メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマー、より好ましくは少なくともメタクリル酸エステル(a1)に不溶性のポリマー、(iii)無機塩、(iv)無機酸化物、(v)金属、および(vi)金属合金からなる群から選択される。充填剤(a2)は微粒子であることが好ましい。とりわけ好ましい実施形態によれば、充填剤(a2)は、10nm〜100μmの範囲、とりわけ好ましくは100nm〜10μmの範囲の平均粒径を有する。本願明細書で使用する場合、平均粒径は、その粒子の少なくとも90%によって占められるサイズの範囲であると理解されたい。

0031

本発明の範囲では、用語「ポリマー」はホモポリマーおよびコポリマーの両方を包含する。

0032

当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマーは、好ましくは、少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有するポリマーを含む。例えば、このポリマーは、メタクリル酸エステルのポリマーまたはコポリマーを含むことができる。とりわけ好ましい実施形態によれば、当該少なくとも1つのポリマーは、ポリメタクリル酸メチルエステル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチルエステル(PMAA)、ポリメタクリル酸プロピルエステル(PMAP)、ポリメタクリル酸イソプロピルエステル、および(ポリメタクリル酸メチル)−co−アクリル酸メチルからなる群から選択される。

0033

当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、例えば、ポリエチレンポリプロピレン、またはポリブタジエンを含む。当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、架橋されていてもよいしまたは架橋されていなくてもよい。

0034

充填剤(a2)として使用できる無機塩は、メタクリル酸エステル(a1)に可溶性または不溶性の塩であってもよい。好ましくは、この無機塩は、元素周期表の第2族から選択される元素の塩を含む。好ましい実施形態によれば、この無機塩は、カルシウムストロンチウム、またはバリウムの塩である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機塩は硫酸カルシウム硫酸バリウム、または炭酸カルシウムである。

0035

充填剤(a2)として使用できる無機酸化物は、好ましくは金属酸化物であってよい。好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は遷移金属酸化物である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は二酸化チタンまたは二酸化ジルコニウムを含む。

0036

充填剤(a2)として使用できる金属は、例えば遷移金属を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この金属はタンタルまたはタングステンである。

0037

充填剤(a2)として使用できる金属合金は、少なくとも2つの金属の合金である。好ましくは、この合金は、少なくとも1つの遷移金属を含有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、この合金は少なくともタンタルまたはタングステンを含有する。この合金は、タンタルまたはタングステンからできている合金を含むこともできる。

0038

少なくとも1つの充填剤(a2)の百分率は、キット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて85重量%未満、好ましくは80重量%未満、より好ましくは75重量%未満である。好ましくは、キット成分(a)は、キット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜84.99重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらにより好ましくは20〜75重量%の少なくとも1つの充填剤(a2)を含有する。従って、成分(a)は、充填剤(a2)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる充填剤(a2)を含有することができる。

0039

成分(a)は、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(a1)に可溶でかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有するラジカル開始剤(a3)をも含有する。本願明細書中では単数形で使用されるが、本発明によれば、用語「ラジカル開始剤(a3)」は複数の構造的に異なるラジカル開始剤(a3)にも及ぶ。

0040

本願明細書で使用する場合、ラジカル開始剤(a3)は、メタクリル酸エステル(a1)、(a2)、および(a3)の重合を誘発することができるラジカルを、促進剤(c3)の作用により生成することができる化合物であると理解されたい。従って、ラジカル開始剤(a3)はラジカル重合開始剤を含む。

0041

促進剤(c3)の存在下で、ラジカル開始剤(a3)は、ラジカル開始剤(b3)とは異なる分解速度を有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、促進剤(c3)の存在下で、ラジカル開始剤(a3)はラジカル開始剤(b3)よりも低い分解速度を有する。

0042

好ましい実施形態によれば、メタクリル酸エステル(a1)中のラジカル開始剤(a3)の溶解度は、メタクリル酸エステル(a1)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0043

とりわけ好ましい実施形態によれば、ラジカル開始剤(a3)は、ジベンゾイルペルオキシドおよびジラウロイルペルオキシドからなる群から選択される。

0044

成分(a)は、好ましくはキット成分(a)の中に含有される成分の総重量に基づいて、0.01〜12重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜8重量%、さらにより好ましくは0.05〜5重量%の少なくとも1つのラジカル開始剤(a3)を含有する。

0045

キット成分(b)は、成分として少なくとも(b1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(b2)充填剤と、(b3)(b1)に可溶でかつペルオキシド基を有しないラジカル開始剤とを含有し、キット成分(b)は、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(b1)および85重量%未満の充填剤(b2)を含有する。加えて、成分(b)はさらなる成分を含むことができる。しかしながら、成分(b)が上に挙げた成分からなることも可能である。

0046

メタクリル酸のいずれの疎水性のエステルも、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)として使用することができる。

0047

疎水性の、一官能性のメタクリル酸エステル(b1)の使用を通して、当該骨セメントの後の体積の増加、従って骨への損傷を防ぐことができる。好ましい実施形態によれば、一官能性のメタクリル酸エステル(b1)は、それがエステル基のほかには他の極性基を有しない場合は、疎水性である。好ましくは、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスフェート基、またはホスホネート基を有しない。

0048

本発明に従って使用されるメタクリル酸エステル(b1)は、好ましくは、1000g/mol未満の重量平均分子量を有する。

0049

このエステルはアルキルエステルを含むことが好ましい。好ましい実施形態によれば、このアルキルエステルは、メタクリル酸と1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは1〜6個の炭素原子、なおとりわけ好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコールとのエステルである。このアルコールは置換されていてもよいしまたは非置換であってもよいが、非置換であることが好ましい。さらには、このアルコールは飽和であってもよいしまたは不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。

0050

とりわけ好ましい実施形態によれば、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)はメタクリル酸メチルエステルまたはメタクリル酸エチルエステルを含む。

0051

キット成分(b)は、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%、さらにより好ましくは25〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)を含有する。従って、キット成分(b)は、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)を含有することができる。

0052

キット成分(b)に含有される少なくとも1つの充填剤(b2)は、室温で固体でありかつ成分(b)の中に含有される他の成分から構成される混合物の粘度を上昇させることができる物質を含む。充填剤(b2)は生体適合性でなければならない。

0053

好ましい実施形態によれば、充填剤(b2)は、(i)メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマー、より好ましくは少なくともメタクリル酸エステル(b1)に可溶なポリマー、(ii)メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマー、より好ましくは少なくともメタクリル酸エステル(b1)に不溶性のポリマー、(iii)無機塩、(iv)無機酸化物、(v)金属、および(vi)金属合金からなる群から選択される。

0054

当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマーは、好ましくは、少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有するポリマーを含む。例えば、このポリマーはメタクリル酸エステルのポリマーまたはコポリマーを含むことができる。とりわけ好ましい実施形態によれば、当該少なくとも1つのポリマーは、ポリメタクリル酸メチルエステル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチルエステル(PMAA)、ポリメタクリル酸プロピルエステル(PMAP)、ポリメタクリル酸イソプロピルエステル、および(ポリメタクリル酸メチル)−co−アクリル酸メチルからなる群から選択される。

0055

当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリブタジエンを含む。当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、架橋されていてもよいしまたは架橋されていなくてもよい。

0056

充填剤(b2)として使用できる無機塩は、メタクリル酸エステル(b1)に可溶性または不溶性の塩を含む。好ましくは、この無機塩は、元素の周期表の第2族から選択される元素の塩であってもよい。好ましい実施形態によれば、この無機塩は、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウムの塩である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機塩は硫酸カルシウム、硫酸バリウム、または炭酸カルシウムである。

0057

充填剤(b2)として使用できる無機酸化物は、好ましくは金属酸化物を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は遷移金属の酸化物である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は酸化チタンまたは二酸化ジルコニウムを含む。

0058

充填剤(b2)として使用できる金属は、例えば遷移金属を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この金属はタンタルまたはタングステンである。

0059

充填剤(b2)として使用できる金属合金は、少なくとも2つの金属の合金である。好ましくは、この合金は少なくとも1つの遷移金属を含有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、この合金は少なくともタンタルまたはタングステンを含有する。この合金は、タンタルおよびタングステンからできている合金を含むこともできる。

0060

少なくとも1つの充填剤(b2)の百分率は、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて85重量%未満、好ましくは80重量%未満、より好ましくは75重量%未満である。好ましくは、キット成分(b)は、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜84.99重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらにより好ましくは20〜75重量%の少なくとも1つの充填剤(b2)を含有する。従って、成分(b)は、充填剤(b2)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる充填剤(b2)を含有することができる。

0061

成分(b)は、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(b1)に可溶でかつペルオキシド基を有しないラジカル開始剤(b3)をも含有する。本願明細書中では単数形で使用されるが、本発明によれば、用語「ラジカル開始剤(b3)」は複数の構造的に異なるラジカル開始剤(b3)にも及ぶ。

0062

本願明細書で使用する場合、ラジカル開始剤(b3)は、メタクリル酸エステル(b1)、(b2)、および(b3)の重合を誘発することができるラジカルを、促進剤(c3)の作用により生成することができる化合物であると理解されたい。従って、ラジカル開始剤(b3)はラジカル重合開始剤を含む。

0063

促進剤(c3)の存在下で、ラジカル開始剤(b3)は、ラジカル開始剤(a3)とは異なる分解速度を有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、促進剤(c3)の存在下で、ラジカル開始剤(b3)はラジカル開始剤(a3)よりも高い分解速度を有する。

0064

好ましい実施形態によれば、メタクリル酸エステル(b1)中のラジカル開始剤(b3)の溶解度は、メタクリル酸エステル(b1)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0065

ラジカル開始剤(b3)は、好ましくはバルビツール酸、またはこのバルビツール酸が1位または5位のうちの少なくとも1つに置換基を有するバルビツール酸誘導体を含む。このようなバルビツール酸誘導体は、それらは薬理作用を呈しないという長所を有する。

0066

本発明によれば、このバルビツール酸誘導体は一置換されていることが好ましい。好ましい実施形態によれば、5位で置換されているバルビツール酸は、ラジカル開始剤(b3)として使用される。このバルビツール酸誘導体の置換基は、さらにより好ましくは疎水性の置換基を含む。好ましくは、このバルビツール酸誘導体は、バルビツール酸のアルキルシクロアルキル、またはアリール誘導体を含む。

0067

とりわけ好ましい実施形態によれば、当該バルビツール酸誘導体は、シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−フェニル−5−ベンジルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、5−ラウリルバルビツール酸、1−n−ブチル−バルビツール酸、5−n−ブチルバルビツール酸、5−アリルバルビツール酸、5−ヒドロキシ−5−ブチルバルビツール酸、5,5−ジブロモバルビツール酸、トリクロロバルビツール酸、5−ニトロバルビツール酸、5−アミノバルビツール酸、5−ヒドロキシバルビツール酸、および5,5−ジヒドロキシバルビツール酸からなる群から選択される。

0068

なおとりわけ好ましい実施形態では、当該バルビツール酸誘導体は、1−シクロヘキシル−5−エチル−バルビツール酸、1−n−ブチル−バルビツール酸、および5−n−ブチル−バルビツール酸からなる群から選択される。

0069

本発明によれば、用語「バルビツール酸誘導体」は、これらのバルビツール酸誘導体のアルカリ土類塩およびアルカリ塩も包含する。

0070

キット成分(b)は、好ましくは、キット成分(b)の中に含有される成分の総重量に基づいて0.01〜12重量%、好ましくは0.01〜8重量%、より好ましくは0.05〜6重量%、さらにより好ましくは0.05〜5重量%の少なくとも1つのラジカル開始剤(b3)を含有する。従って、キット成分(b)は、ラジカル開始剤(b3)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なるラジカル開始剤(b3)を含有することができる。

0071

キット成分(c)は、成分として少なくとも(c1)一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルと、(c2)充填剤と、(c3)(c1)に可溶でかつラジカル開始剤(a3)および(b3)からラジカルを形成することができる促進剤とを含有し、キット成分(c)はキット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%のメタクリル酸エステル(c1)、および85重量%未満の充填剤(c2)を有する。

0072

メタクリル酸のいずれの疎水性のエステルも、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)として使用することができる。

0073

疎水性の、一官能性のメタクリル酸エステル(c1)の使用を通して、当該骨セメントの後の体積の増加、従って骨への損傷を防ぐことができる。好ましい実施形態によれば、一官能性のメタクリル酸エステル(c1)は、それがエステル基のほかには他の極性基を有しない場合は、疎水性である。好ましくは、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスフェート基、またはホスホネート基を有しない。

0074

本発明に従って使用されるメタクリル酸エステル(c1)は、好ましくは、1000g/mol未満の重量平均分子量を有する。

0075

このエステルは、好ましくはアルキルエステルを含む。好ましい実施形態によれば、このアルキルエステルは、メタクリル酸と1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは1〜6個の炭素原子、なおとりわけ好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコールとのエステルである。このアルコールは置換されていてもよいしまたは非置換であってもよいが、非置換であることが好ましい。さらには、このアルコールは飽和であってもよいしまたは不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。

0076

とりわけ好ましい実施形態によれば、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)はメタクリル酸メチルエステルまたはメタクリル酸エチルエステルを含む。

0077

キット成分(c)は、キット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜85重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%、さらにより好ましくは25〜50重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)を含有する。従って、キット成分(c)は、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)を含有することができる。

0078

キット成分(c)に含有される少なくとも1つの充填剤(c2)は、室温で固体でありかつキット成分(c)の中に含有される他の成分から構成される混合物の粘度を上昇させることができる物質を含む。充填剤(c2)は生体適合性でなければならない。

0079

好ましい実施形態によれば、充填剤(c2)は、(i)メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマー、より好ましくは少なくともメタクリル酸エステル(c1)に可溶なポリマー、(ii)メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマー、より好ましくは少なくともメタクリル酸エステル(c1)に不溶性のポリマー、(iii)無機塩、(iv)無機酸化物、(v)金属、および(vi)金属合金からなる群から選択される。

0080

当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマーは、好ましくは、少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有するポリマーを含む。例えば、このポリマーは、メタクリル酸エステルのポリマーまたはコポリマーを含むことができる。とりわけ好ましい実施形態によれば、当該少なくとも1つのポリマーは、ポリメタクリル酸メチルエステル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチルエステル(PMAA)、ポリメタクリル酸プロピルエステル(PMAP)、ポリメタクリル酸イソプロピルエステル、および(ポリメタクリル酸メチル)−co−アクリル酸メチルからなる群から選択される。

0081

当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリブタジエンを含む。当該メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、架橋されていてもよいしまたは架橋されていなくてもよい。

0082

充填剤(c2)として使用できる無機塩は、メタクリル酸エステル(c1)に可溶性または不溶性の塩であってもよい。好ましくは、この無機塩は、元素の周期表の第2族から選択される元素の塩を含む。好ましい実施形態によれば、この無機塩は、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウムの塩である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機塩は硫酸カルシウム、硫酸バリウム、または炭酸カルシウムである。

0083

充填剤(c2)として使用できる無機酸化物は、好ましくは金属酸化物を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は遷移金属の酸化物である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は二酸化チタンまたは二酸化ジルコニウムを含む。

0084

充填剤(c2)として使用できる金属は、例えば遷移金属を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この金属はタンタルまたはタングステンである。

0085

充填剤(c2)として使用できる金属合金は、少なくとも2つの金属の合金である。好ましくは、この合金は、少なくとも1つの遷移金属を含有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、この合金は、少なくともタンタルまたはタングステンを含有する。この合金は、タンタルおよびタングステンからできている合金を含むこともできる。

0086

少なくとも1つの充填剤(c2)の百分率は、キット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて85重量%未満、好ましくは80重量%未満、より好ましくは75重量%未満である。好ましくは、キット成分(c)は、キット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて15〜84.99重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらにより好ましくは20〜75重量%の少なくとも1つの充填剤(c2)を含有する。従って、成分(c)は、充填剤(c2)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる充填剤(c2)を含有することができる。

0087

キット成分(c)は、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(c1)に可溶でかつラジカル開始剤(a3)および(b3)からラジカルを形成することができる促進剤(c3)をも含有する。本願明細書中では単数形で使用されるが、本発明によれば、用語「ラジカル開始剤(c3)」は複数の構造的に異なるラジカル開始剤(c3)にも及ぶ。

0088

好ましい実施形態によれば、メタクリル酸エステル(c1)中の促進剤(c3)の溶解度は、メタクリル酸エステル(c1)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0089

本発明によれば、ラジカル開始剤(a3)および(b3)からラジカルを形成することができる促進剤は、任意に、例えばハロゲン化物イオンなどの本発明に係るキットの中に含有されるさらなる化合物の存在下で、ラジカル開始剤(a3)および(b3)をラジカルへと変換することができる化合物であると理解されたい。このような促進剤は先行技術から周知である。

0090

促進剤(c3)は、酸化段階0のほかに、少なくとも2つのさらなる酸化段階をとることができる金属のイオンを有する塩を含むことが好ましい。とりわけ好ましい実施形態によれば、この金属イオンは、銅イオン鉄イオンコバルトイオン、およびマンガンイオンからなる群から選択される。従って、鉄塩コバルト塩、またはマンガン塩が促進剤(c3)として使用される。1つのなおとりわけ好ましい実施形態によれば、促進剤(c3)は、2−エチルヘキサン酸銅(II)、ラウリン酸銅(II)、デカン酸銅(II)、オクチル酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトナート、およびメタクリル酸銅(II)からなる群から選択される。

0091

キット成分(c)は、好ましくは、キット成分(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて0.00001〜12重量%、好ましくは0.0001〜9重量%、より好ましくは0.001〜6重量%、さらにより好ましくは0.05〜5重量%の少なくとも1つの促進剤(c3)を含有する。従って、キット成分(c)は、促進剤(c3)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる促進剤(c3)を含有することができる。

0092

キット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つはハロゲン化物塩をさらに含む。

0093

ハロゲン化物塩は、好ましくは、メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶なハロゲン化物塩を含む。好ましくは、このハロゲン化物塩は、ハロゲン化物塩と一緒に当該キット成分の中に存在するメタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つに可溶である。

0094

好ましい実施形態によれば、メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つ中の当該ハロゲン化物塩の溶解度は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0095

本発明によれば、ハロゲン化物塩は、少なくとも1種のハロゲン化物イオンを含有しかつメタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)のうちの少なくとも1つの中で解離する塩であると理解されたい。好ましくは、このハロゲン化物イオンは、塩化物イオンまたは臭化物イオン、非常に好ましくは塩化物イオンを含む。

0096

本発明によれば、好ましくは、金属ハロゲン化物塩酸塩、および第四級ハロゲン化アンモニウム塩をこのハロゲン化物塩として使用することができる。

0097

とりわけ好ましい実施形態によれば、このハロゲン化物塩は、塩化銅(II)、臭化銅(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、トリエチルアミン塩酸塩トリエチルアミン臭化水素酸塩プロピルアミン塩酸塩ブチルアミン塩酸塩、メタクリロイルコリン塩化物(methacryloyl choline chloride)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、および塩化トリエチルベンジルアンモニウムからなる群から選択される。

0098

キット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つの中でのこの少なくとも1つのハロゲン化物塩の百分率は、好ましくは、この少なくとも1つのキット成分の中に含有される成分の総重量に基づいて0.002〜10重量%、好ましくは0.002〜7重量%、より好ましくは0.003〜6重量%である。

0099

さらには、キット成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つは架橋剤を含有する。

0100

この架橋剤は二官能性または三官能性化合物を含む。

0101

本発明によれば、この架橋剤は、骨セメントの硬化の間に重合性の一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルの架橋を引き起こさなければならない。

0102

好ましい実施形態によれば、この架橋剤は少なくとも2つのアクリレート基を有する。

0103

この架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレートブチレングリコールジメタクリレート(例えば、ブタン−1,4−ジオール−ジメタクリレート)、およびヘキサメチレンジメタクリレート(例えば、ヘキサン−1,6−ジオール−ジメタクリレート)からなる群から選択されることがとりわけ好ましい。

0104

この少なくとも1つの架橋剤の百分率は、好ましくは、この少なくとも1つのキット成分の中に含有される成分の総重量に基づいて0.3〜10重量%、好ましくは0.4〜8重量%、より好ましくは0.5〜6重量%である。

0105

本発明に係るキットは、少なくとも1つの医薬物質をさらに含有することができる。

0106

この医薬物質は、好ましくは、抗生物質抗炎症剤ホルモン成長因子ビスホスホネート類、および細胞分裂抑制剤からなる群から選択することができる。

0107

上記少なくとも1つの抗生物質は、好ましくは、硫酸ゲンタマイシン塩酸ゲンタマイシン硫酸アミカシン、塩酸アミカシン硫酸トブラマイシン、塩酸トブラマイシン、塩酸クリンダマイシン塩酸リンコマイシンモキシフロキサシンシプロフロキサシンテイコプラニンバンコマイシンラモプラニンメトロニダゾールチニダゾール、およびオミダゾール(omidazole)からなる群から選択される。

0108

上記少なくとも1つの消炎剤は、好ましくは、非ステロイド系抗炎症剤およびグルココルチコイド類からなる群から選択される。とりわけ好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つの消炎剤は、アセチルサリチル酸イブプロフェンジクロフェナクケトプロフェンデキサメサゾンプレドニゾンヒドロコルチゾン酢酸ヒドロコルチゾン、およびフルチカゾンからなる群から選択される。

0109

上記少なくとも1つのホルモンは、好ましくは、セロトニンソマトトロピンテストステロン、およびエストロゲンからなる群から選択される。

0110

上記少なくとも1つの成長因子は、好ましくは、線維芽細胞増殖因子(FGF)、形質転換成長因子(TGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、表皮成長因子(EGF)、血管内皮増殖因子VEGF)、インスリン様成長因子(IGF)、肝細胞増殖因子HGF)、インターロイキン−1B、インターロイキン8、および神経成長因子からなる群から選択される。

0111

上記少なくとも1つの細胞分裂抑制剤は、好ましくは、アルキル化剤白金類似体挿入剤(intercalating agent)、核分裂阻止因子タキサン類トポイソメラーゼ阻害剤、および代謝拮抗物質からなる群から選択される。

0112

上記少なくとも1つのビスホスホネート類は、好ましくは、ゾレドロン酸およびアレンドロン酸からなる群から選択される。

0113

上記少なくとも1つの医薬物質は、キット成分(a)、(b)、および(c)のうちの1以上の中に含有されてもよい。

0114

本発明によれば、当該キットは、放射線不透過性物質をさらに有することができる。

0115

放射線不透過性物質は、好ましくは、二酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、およびタンタルからなる群から選択される。

0116

この少なくとも1つの放射線不透過性物質は、キット成分(a)、(b)、および(c)のうちの1以上の中に含有されてもよい。

0117

本発明によれば、当該キットは、少なくとも1つの染料をさらに有することができる。

0118

とりわけ好ましいことに、この染料は食用染料を含むことができる。とりわけ好ましい実施形態によれば、クロロフィリン(E141)、リボフラビン、および/またはリサミングリーンがこの染料として使用される。

0119

この少なくとも1つの染料は、キット成分(a)、(b)、および(c)のうちの1以上の中に含有されてもよい。

0120

当該キットは、少なくとも1つの安定剤も含有することができる。

0121

この安定剤は、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有されるモノマーの自発的な重合を防止するのに適していなければならない。さらには、この安定剤は、キット成分の中に含有される他の成分との妨害的相互作用を示してはならない。このような安定剤は先行技術から公知である。

0122

好ましい実施形態によれば、この安定剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールおよび/または2,6−ジ−tert−ブチル−フェノールを含む。

0123

この少なくとも1つの安定剤は、キット成分(a)、(b)、および(c)のうちの1以上の中に含有されてもよく、好ましくは3つのキット成分(a)、(b)、および(c)の各々の中に含有される。

0124

加えて、当該キットは、任意にさらなる添加剤を有することができる。

0125

メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)および充填剤(a2)、(b2)、および(c2)の明記された重量%によると、当該キット成分(a)、(b)、および(c)はペーストとして存在する。これは、異なるペースト様のキット成分を混合することにより使用者が問題なく骨セメントペーストを生成できるという長所を有する。特に、異なる凝集状態で存在する成分の混合の間、例えば粉末状の成分および液体のモノマー成分の混合の間に生じる問題点は解消される。

0126

キット成分(a)、(b)、および(c)は、それらのキット成分の中に含有される個々の成分が、当該キット成分の中に含有される成分の総重量に基づいて、正確に定められた量の範囲で存在するように、互いに調整される。

0127

本発明によれば、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量は、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の重量の和であると理解されたい。

0128

本発明によれば、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づく特定の成分の総重量百分率は、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量の百分率であり、これは、キット成分(a)、(b)、および/または(c)の中に含有されるその特定の成分の重量百分率の和によって仮定されると理解されたい。

0129

例えば、キット成分(a)の成分の総重量が100gまで加わり、キット成分(b)の成分の総重量が100gまで加わり、キット成分(c)の成分の総重量が100gまで加わる場合、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量は300gに等しい、

0130

この例によれば、30gの充填剤(a2)がキット成分(a)の中に含有され、80gの充填剤(b2)がキット成分(b)の中に含有され、40gの充填剤(c2)がキット成分(c)の中に含有される場合、充填剤(a2)、(b2)、および(c2)の総重量は150gに等しい。従って、この例の充填剤(a2)、(b2)、および(c2)の総重量%は、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて、50重量%に等しい。

0131

メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)の総重量百分率は、当該キット成分、好ましくはキット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて、15〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、より好ましくは20〜45重量%の範囲にある。

0132

充填剤(a2)、(b2)、および(c2)の総重量百分率は、当該キット成分、好ましくはキット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて、40〜85重量%、好ましくは42〜83重量%、より好ましくは45〜80重量%、さらにより好ましくは50〜75重量%の範囲にある。

0133

メタクリル酸エステル(a1)、(b1)、および(c1)、および充填剤(a2)、(b2)、および(c2)のこの百分率に起因して、成分(a)、(b)、および(c)の混合後は、使用者が作業をするのに容易な、特に容易に形作ることができるペーストが生成される。

0134

ラジカル開始剤(a3)の重量%は、当該キット成分、好ましくはキット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて0.01〜4重量%の範囲、好ましくは0.01〜3重量%の範囲、より好ましくは0.05〜2.5重量%の範囲、さらにより好ましくは0.05〜2重量%の範囲にある。

0135

ラジカル開始剤(b3)の重量%は、当該キット成分、好ましくはキット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて0.01〜4重量%の範囲、好ましくは0.01〜3重量%の範囲、より好ましくは0.05〜2.5重量%の範囲、さらにより好ましくは0.05〜2重量%の範囲にある。

0136

促進剤(c3)の重量%は、当該キット成分、好ましくはキット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて0.00001〜4重量%、好ましくは0.0001〜3重量%、より好ましくは0.001〜3重量%、さらにより好ましくは0.05〜2重量%の範囲にある。

0137

ラジカル開始剤(a3)、ラジカル開始剤(b3)、および促進剤(c3)の重量%は、特には重要ではない。特定された範囲の下限よりも低い含有量は、骨セメントの硬化は、さらなる重合助剤を使用しなければ、より遅く起こるという結果につながる。特定された範囲の上限よりも高い含有量は、著しい付加価値もなく、より高いコストにつながる。

0138

少なくとも1つのハロゲン化物塩の総重量百分率は、当該キット成分、好ましくはキット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される成分の総重量に基づいて0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜4重量%、より好ましくは0.01〜4重量%の範囲にある。当該キット成分の中に含有される成分の総重量に基づいて0.001重量%というハロゲン化物塩の最小含有量が、当該重合を推進させることができるために、必要とされる。しかしながら、当該キット成分の中に含有される成分の総重量に基づいて5重量%を超える含有量は、そのハロゲン化物の毒性ため、不都合であることは明らかである。

0139

上記少なくとも1つの架橋剤の総重量は、成分(a)、(b)、および(c)の総重量に基づいて0.2〜3重量%、好ましくは0.5〜2.75重量%、さらにより好ましくは1〜2.5重量%の範囲にある。高衝撃強さを硬化した骨セメントに賦与するために、この範囲の架橋剤の百分率は必須である。硬化した骨セメントの衝撃強さは、各々当該キット成分の中に含有される成分の総重量に基づいて0.2重量%未満のおよび3重量%を超える含有量の場合に著しく低下することが示されている。

0140

好ましい実施形態によれば、キット成分(a)、(b)、および(c)の中に含有される化合物の総重量に基づいて、キット成分(a)に含有される組成物の百分率は20〜40重量%であり、キット成分(b)に含有される組成物の百分率は20〜40重量%であり、キット成分(c)に含有される組成物の百分率は20〜40重量%である。

0141

本発明によれば、キット成分(a)、(b)、および(c)を少なくとも含有するキットは、骨セメントの製造のために使用される。

0142

この目的のために、上記少なくとも3つのキット成分(a)、(b)、および(c)は、ペーストの生成のために互いに混合される。

0143

混合比は、好ましくは、0.5〜1.5重量部のキット成分(a)、0.5〜1.5重量部のキット成分(b)、および0.5〜1.5重量部のキット成分(c)である。

0144

混合は、典型的な混合装置、例えば、スタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを用いて実施することができる。

0145

このキットの成分の混合後は、得られるペーストは、ISO 5833規格によれば不粘着性であり、直ちに作業をすることができる。

0146

このペーストは、例えば、関節内部人工器官(joint endoprosthesis)を固定するためまたは骨欠損充填するために使用することができる。両方の使用は、従来のペーストに関連して、先行技術から公知である。

0147

硬化によって当該ペーストから製造された骨セメントは、個々のキット成分の混合のおよそ6〜8分後にその最終強度を達成する。

0148

本発明に係るペーストは、少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)を含有する。

0149

メタクリル酸のいずれの疎水性のエステルも、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)として使用することができる。

0150

疎水性の、一官能性のメタクリル酸エステル(i)の使用を通して、当該骨セメントの後の体積の増加、従って骨への損傷を防ぐことができる。好ましい実施形態によれば、一官能性のメタクリル酸エステル(i)は、それがエステル基のほかにはさらなる極性基を有しない場合は、疎水性である。好ましくは、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスフェート基、またはホスホネート基を有しない。

0151

本発明に従って使用されるメタクリル酸エステル(i)は、好ましくは、1000g/mol未満の重量平均分子量を有する。

0152

このエステルは、好ましくはアルキルエステルを含む。好ましい実施形態によれば、このアルキルエステルは、メタクリル酸と1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは1〜6個の炭素原子、なおとりわけ好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコールとのエステルである。このアルコールは置換されていてもよいしまたは非置換であってもよいが、非置換であることが好ましい。さらには、このアルコールは飽和であってもよいしまたは不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。

0153

とりわけ好ましい実施形態によれば、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)はメタクリル酸メチルエステルまたはメタクリル酸エチルエステルを含む。

0154

成分(i)は、当該ペーストの総重量に基づいて15〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、さらにより好ましくは20〜45重量%の少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)を含有する。従って、当該ペーストは、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる、一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)を含有することができる。

0155

本発明によれば、当該ペーストは充填剤(ii)を含有する。

0156

当該ペーストに含有される少なくとも1つの充填剤(ii)は、室温で固体でありかつ当該ペーストの粘度を上昇させることができる物質を含む。充填剤(ii)は生体適合性でなければならない。

0157

好ましい実施形態によれば、充填剤(ii)は、(a)メタクリル酸エステル(i)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマー、(b)メタクリル酸エステル(i)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマー、(c)無機塩、(d)無機酸化物、(e)金属、および(f)金属合金からなる群から選択される。

0158

メタクリル酸エステル(i)のうちの少なくとも1つに可溶なポリマーは、好ましくは、少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有するポリマーを含む。例えば、このポリマーは、メタクリル酸エステルのポリマーまたはコポリマーを含むことができる。とりわけ好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つのポリマーは、ポリメタクリル酸メチルエステル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチルエステル(PMAA)、ポリメタクリル酸プロピルエステル(PMAP)、ポリメタクリル酸イソプロピルエステル、および(ポリメタクリル酸メチル)−co−アクリル酸メチルからなる群から選択される。

0159

当該メタクリル酸エステル(i)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリブタジエンを含む。当該メタクリル酸エステル(i)のうちの少なくとも1つに不溶性のポリマーは、架橋されていてもよいしまたは架橋されていなくてもよい。

0160

充填剤(ii)として使用できる無機塩は、メタクリル酸エステル(i)に可溶性または不溶性の塩であってもよい。好ましくは、この無機塩は、元素の周期表の第2族から選択される元素の塩を含む。好ましい実施形態によれば、この無機塩は、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウムの塩である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機塩は硫酸カルシウム、硫酸バリウム、または炭酸カルシウムである。

0161

充填剤(ii)として使用できる無機酸化物は、好ましくは金属酸化物を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は遷移金属の酸化物である。とりわけ好ましい実施形態によれば、この無機酸化物は二酸化チタンまたは二酸化ジルコニウムを含む。

0162

充填剤(ii)として使用できる金属は、例えば遷移金属を含むことができる。好ましい実施形態によれば、この金属はタンタルまたはタングステンである。

0163

充填剤(ii)として使用できる金属合金は、少なくとも2つの金属の合金である。好ましくは、この合金は少なくとも1つの遷移金属を含有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、この合金は少なくともタンタルまたはタングステンを含有する。この合金は、タンタルおよびタングステンからできている合金を含むこともできる。

0164

少なくとも1つの充填剤(ii)の百分率は、当該ペーストの総重量に基づいて40〜85重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは45〜75重量%である。従って、当該ペーストは、充填剤(ii)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる充填剤(ii)を含有することができる。

0165

当該ペーストは、少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)に可溶でかつ少なくとも1つのペルオキシド基を有する少なくとも1つのラジカル開始剤(iii)をさらに含有する。

0166

本願明細書で使用する場合、ラジカル開始剤(iii)は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の重合を誘発することができるラジカルを、促進剤(v)の作用により生成することができる化合物であると理解されたい。従ってラジカル開始剤(iii)は、ラジカル重合開始剤を含む。

0167

促進剤(v)の存在下で、少なくとも1つのラジカル開始剤(iii)は、ラジカル開始剤(iv)とは異なる分解速度を有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、促進剤(v)の存在下で、ラジカル開始剤(iii)はラジカル開始剤(iv)よりも低い分解速度を有する。

0168

好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)中の少なくとも1つのラジカル開始剤(iii)の溶解度は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。とりわけ好ましい実施形態によれば、ラジカル開始剤(iii)は、ジベンゾイルペルオキシドおよびジラウロイルペルオキシドからなる群から選択される。

0169

当該ペーストは、当該ペーストの総重量に基づいて0.01〜4重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜2.5重量%、さらにより好ましくは0.05〜2重量%の少なくとも1つのラジカル開始剤(iii)を含有する。従って、当該ペーストは、ラジカル開始剤(iii)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なるラジカル開始剤(iii)を含有することができる。

0170

当該ペーストは、少なくとも1つの一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステル(i)に可溶でかつペルオキシド基を有しない少なくとも1つのラジカル開始剤(iv)をも含有する。

0171

本願明細書で使用する場合、ラジカル開始剤(iv)は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の重合を誘発することができるラジカルを、促進剤(v)の作用により生成することができる化合物であると理解されたい。従ってラジカル開始剤(iv)は、ラジカル重合開始剤を含む。

0172

促進剤(v)の存在下で、少なくとも1つのラジカル開始剤(iv)は、ラジカル開始剤(iii)とは異なる分解速度を有する。とりわけ好ましい実施形態によれば、促進剤(v)の存在下で、ラジカル開始剤(iv)はラジカル開始剤(iii)よりも高い分解速度を有する。

0173

好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)中の少なくとも1つのラジカル開始剤(iv)の溶解度は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0174

ラジカル開始剤(iv)は、好ましくはバルビツール酸、またはこのバルビツール酸が1位または5位のうちの少なくとも1つに置換基を有するバルビツール酸誘導体を含む。

0175

本発明によれば、このバルビツール酸誘導体は一置換されていることが好ましい。好ましい実施形態によれば、5位で置換されているバルビツール酸は、ラジカル開始剤(iv)として使用される。このバルビツール酸誘導体の置換基は、さらにより好ましくは疎水性の置換基を含む。好ましくは、このバルビツール酸誘導体は、バルビツール酸のアルキル、シクロアルキル、またはアリール誘導体を含む。

0176

とりわけ好ましい実施形態によれば、当該バルビツール酸誘導体は、シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−フェニル−5−ベンジルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、5−ラウリルバルビツール酸、1−n−ブチル−バルビツール酸、5−n−ブチルバルビツール酸、5−アリルバルビツール酸、5−ヒドロキシ−5−ブチルバルビツール酸、5,5−ジブロモバルビツール酸、トリクロロバルビツール酸、5−ニトロバルビツール酸、5−アミノバルビツール酸、5−ヒドロキシバルビツール酸、および5,5−ジヒドロキシバルビツール酸からなる群から選択される。

0177

1つのなおとりわけ好ましい実施形態では、当該バルビツール酸誘導体は、1−シクロヘキシル−5−エチル−バルビツール酸、1−n−ブチル−バルビツール酸、および5−n−ブチル−バルビツール酸からなる群から選択される。

0178

本発明によれば、用語「バルビツール酸誘導体」は、これらのバルビツール酸誘導体のアルカリ土類塩およびアルカリ塩も包含する。

0179

当該ペーストは、当該ペーストの総重量に基づいて0.01〜4重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜2.5重量%、さらにより好ましくは0.05〜2重量%の少なくとも1つのラジカル開始剤(iv)を含有する。従って、当該ペーストは、ラジカル開始剤(iv)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なるラジカル開始剤(iv)を含有することができる。

0180

当該ペーストは、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)に可溶でかつラジカル開始剤(iii)および(iv)からラジカルを形成することができる少なくとも1つの促進剤(v)をさらに含有する。

0181

好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)中の促進剤(v)の溶解度は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0182

ラジカル開始剤(iii)および(iv)からラジカルを形成することができる促進剤は、は、任意に、例えばハロゲン化物イオンなどの本発明に係るペーストの中に含有されるさらなる化合物の存在下で、ラジカル開始剤(iii)および(iv)をラジカルへと変換することができる化合物であると理解されたい。このような促進剤は先行技術から周知である。

0183

促進剤(v)は、酸化段階0のほかに、少なくとも2つのさらなる酸化段階をとることができる金属のイオンを有する塩を含むことが好ましい。とりわけ好ましい実施形態によれば、この金属イオンは、銅イオン、鉄イオン、コバルトイオン、およびマンガンイオンからなる群から選択される。従って、好ましくは鉄塩、コバルト塩、またはマンガン塩が促進剤(v)として使用される。なおとりわけ好ましい実施形態によれば、促進剤(v)は、2−エチルヘキサン酸銅(II)、ラウリン酸銅(II)、デカン酸銅(II)、オクチル酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトナート、およびメタクリル酸銅(II)からなる群から選択される。

0184

当該ペーストは、当該ペーストの総重量に基づいて0.00001〜4重量%、好ましくは0.0001〜3重量%、より好ましくは0.001〜3重量%、さらにより好ましくは0.05〜2重量%の少なくとも1つの促進剤(v)を含有する。従って、当該ペーストは、促進剤(v)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる促進剤(v)を含有することができる。

0185

当該ペーストは少なくとも1つのハロゲン化物塩(vi)も含有する。

0186

ハロゲン化物塩(vi)は、好ましくは、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)に可溶なハロゲン化物塩を含む。

0187

好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)中のハロゲン化物塩(vi)の溶解度は、少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の重量に基づいて少なくとも0.5重量%である。

0188

本発明によれば、ハロゲン化物塩(vi)は、少なくとも1種のハロゲン化物イオンを含有しかつ少なくとも1つのメタクリル酸エステル(i)の中で解離する塩であると理解されたい。好ましくは、このハロゲン化物イオンは、塩化物イオンまたは臭化物イオン、非常に好ましくは塩化物イオンを含む。

0189

本発明によれば、好ましくは、金属ハロゲン化物、塩酸塩、および第四級ハロゲン化アンモニウム塩をこのハロゲン化物塩として使用することができる。

0190

とりわけ好ましい実施形態によれば、このハロゲン化物塩(vi)は、塩化銅(II)、臭化銅(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、トリエチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン臭化水素酸塩、プロピルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、メタクリロイルコリン塩化物、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、および塩化トリエチルベンジルアンモニウムからなる群から選択される。

0191

少なくとも1つのハロゲン化物塩(vi)の百分率は、当該ペーストの総重量に基づいて0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜4重量%、より好ましくは0.01〜3重量%である。従って、当該ペーストは、ハロゲン化物塩(vi)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なるハロゲン化物塩(vi)を含有することができる。

0192

当該ペーストは、少なくとも1つの架橋剤(vii)をも含有する。

0193

本願明細書で使用する場合、この架橋剤は、互いに異なる少なくとも2つのモノマー単位との共有結合に入ることができる多官能性化合物であると理解されたい。

0194

架橋剤(vii)は二官能性または三官能性化合物を含む。

0195

本発明によれば、この架橋剤は、骨セメントの硬化の間に重合性の一官能性の、疎水性のメタクリル酸エステルの架橋を引き起こさなければならない。

0196

好ましい実施形態によれば、架橋剤(vii)は少なくとも2つのアクリレート基を有する。

0197

架橋剤(vii)は、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート(例えば、ブタン−1,4−ジオール−ジメタクリレート)およびヘキサメチレンジメタクリレート(例えば、ヘキサン−1,6−ジオール−ジメタクリレート)からなる群から選択されることがとりわけ好ましい。

0198

少なくとも1つの架橋剤(vii)の百分率は、当該ペーストの総重量に基づいて0.2〜3重量%、好ましくは0.5〜2.75重量%、より好ましくは1〜2.5重量%である。従って、当該ペーストは、架橋剤(vii)の総重量が特定された範囲の中にある限り、1以上の構造的に異なる架橋剤(vii)を含有することができる。

0199

加えて、当該ペーストは、さらなる成分を含有することもできる。これらの成分は、例えば薬学的有効成分、放射線不透過性物質、染料、および安定剤からなる群から選択することができる。

0200

好ましい実施形態によれば、これらには、当該キットに関連して上で記載された薬学的有効成分、放射線不透過性物質、染料、および/または安定剤が含まれる。

0201

本発明に係るキットまたは本発明に係るペーストは、好ましくは、関節内部人工器官を固定するために使用することができる。

0202

この目的のために、好ましくはペーストは本発明に係るキットから製造され、そしてこれは、関節内部人工器官を固定するための、先行技術から公知であるペーストと同様に使用される。

0203

さらには、本発明に係るキットまたは本発明に係るペーストは、骨欠損を充填するためにも使用できる。

0204

この目的のために、ペーストは同様に、好ましくは本発明に係るキットから製造され、そしてこれは、骨欠損を充填するための、先行技術から公知であるペーストと同様に使用される。

0205

実施例1〜3で使用したモノマーおよび他の化学物質は、最高純度で提供を受け、大量販売化学薬品取引から入手した。約200,000g/molの分子量を有するポリ(メタクリル酸メチル)−co−アクリル酸メチルを使用した。このポリマーは、以下では簡単にするためにPMMAと表示する。加えて、エチレングリコールジメタクリレートで架橋したポリ(メタクリル酸メチル)を使用し、これを以下では架橋PMMAとして表示する。Aliquat 336は、以下では塩化メチルトリオクチルアンモニウムを表す。キット成分(a)、(b)、および(c)のそれぞれのペーストを以下のようにして製造した。最初に、不活性プラスチック容器の中にメタクリル酸メチルを量した。次いで、安定剤およびそれぞれの開始剤、または(c)では促進剤を、室温で撹拌しながらメタクリル酸メチルに溶解させた。次に、他の成分すべてを加えた。次いで得られた混合物を徹底的に混合した。このようにして、塗りやすいペーストを形成した。

0206

実施例1
キット1

0207

キット成分a1、b1、およびc1を互いと徹底的に混合した。塗りやすいセメントペーストを製造した。これは約4分まで作業することができ、約6分後に硬化した。硬化したセメントは、白色固体物体であった。

0208

実施例2
キット2

0209

キット成分a2、b2、およびc2を互いと徹底的に混合した。塗りやすいセメントペーストを製造した。これは約4分まで作業することができ、約6分後に硬化した。硬化したセメントは、白色固体の物体であった。

0210

実施例1および実施例2のキットを用いて、75mm×10mm×3.3mmの寸法を有する試料セメント体細片)を製造した。曲げ強度および衝撃強さを測定するために(Dynstat法)、16mm×10mm×3.3mmの寸法を有する試料セメント体を製造した。これらの試料体を23℃で24時間保存した。加えて、試験体を水の中で、37℃で24時間保存した。

0211

保存した試料体の4点曲げ強度および曲げ弾性率を、Zwick万能試験機を用いて測定した。

0212

0213

曲げ強度および衝撃強さを、Dynstat試験装置を用いて測定した。

0214

0215

実施例3
下記のキット成分をこれまでの実施例と同様に製造した。

0216

キット成分(a)

0217

キット成分(b)

実施例

0218

キット成分(c)

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