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技術 脂質二重膜にリポソームを融合させる方法

出願人 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー
発明者 大崎寿久竹内昌治瀧ノ上正浩
出願日 2010年1月22日 (10年10ヶ月経過) 出願番号 2010-012621
公開日 2011年8月4日 (9年3ヶ月経過) 公開番号 2011-147409
状態 未査定
技術分野 医薬品製剤 酵素,微生物の固定化,処理 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 誘電泳動効果 誘電効果 電解強度 平面膜 ナノポア 電圧印可 集合状態 棒状電極
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年8月4日)のものです。
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図面 (6)

課題

効率良く脂質二重膜リポソームを融合させることができる、脂質二重膜とリポソームを融合させる方法を提供すること。

解決手段

脂質二重膜にリポソームを融合させる方法は、透孔に形成された人工脂質二重膜の両側に電極を配置し、これらの電極間交流電圧をかけながら、前記脂質二重膜の少なくとも片面に、リポソーム懸濁液を接触させることを含む。

効果

本発明の方法により、効率良くリポソームを脂質二重膜と融合させることができ、一方、リポソームがタンパク質を含む場合には、脂質二重膜と融合するとタンパク質が脂質二重膜に保持されることはすでに確立しているので、タンパク質を含むリポソームを本発明の方法により脂質二重膜と融合させることにより、タンパク質を効率良く脂質二重膜に保持することができる。

概要

背景

生物を構成する細胞や、細胞内に存在するミトコンドリアゴルジ体小胞体等の各種オルガネラ細胞核等は、外側が生体膜で覆われており、この生体膜は、基本的に脂質二重膜から構成されている。生理活性を有する様々なタンパク質、すなわち、レセプター酵素等がこの脂質二重膜を貫通する形で脂質二重膜上に保持されている。これらの膜貫通タンパク質は、生体内で重要な役割を果たしている。特に、細胞膜上に存在する各種レセプターは、生体内に存在するリガンドと結合することにより、様々な生理学的反応を引き起こす引き金になることがわかっている。このため、レセプターの機能を亢進する各種リガンドや、レセプターの機能を阻害する阻害剤等が医薬品として用いられており、また、新たな医薬品として利用可能な天然又は人工のリガンドや阻害剤が研究されている。

これらの膜貫通タンパク質や、そのリガンド、阻害剤等を開発するためには、生体内と同じ状態、すなわち、膜貫通タンパク質が生体膜に保持された状態で各種測定を行うことが望まれる。従来、膜貫通タンパク質が生体膜に保持された状態を模するべく、透孔を塞ぐ形で脂質二重膜を形成し、この脂質二重膜に膜貫通タンパク質を保持させ、この状態で各種測定が行われている。とりわけ、イオンチャネルを形成するタンパク質についての電気生理学的研究が行われている(非特許文献1及び非特許文献2)。一方、脂質二重膜にタンパク質を導入するために、該タンパク質を含むリポソームを脂質二重膜に融合させることも知られている(非特許文献3)。

概要

効率良く脂質二重膜とリポソームを融合させることができる、脂質二重膜とリポソームを融合させる方法を提供すること。脂質二重膜にリポソームを融合させる方法は、透孔に形成された人工脂質二重膜の両側に電極を配置し、これらの電極間交流電圧をかけながら、前記脂質二重膜の少なくとも片面に、リポソーム懸濁液を接触させることを含む。本発明の方法により、効率良くリポソームを脂質二重膜と融合させることができ、一方、リポソームがタンパク質を含む場合には、脂質二重膜と融合するとタンパク質が脂質二重膜に保持されることはすでに確立しているので、タンパク質を含むリポソームを本発明の方法により脂質二重膜と融合させることにより、タンパク質を効率良く脂質二重膜に保持することができる。

目的

本発明の目的は、効率良く脂質二重膜とリポソームを融合させることができる、脂質二重膜とリポソームを融合させる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

透孔に形成された人工脂質二重膜の両側に電極を配置し、これらの電極間交流電圧をかけながら、前記脂質二重膜の少なくとも片面に、リポソーム懸濁液を接触させることを含む、脂質二重膜にリポソームを融合させる方法。

請求項2

前記リポソームがタンパク質又は核酸を含む請求項1記載の方法。

請求項3

前記交流電圧の周波数が0.1〜1.0MHz、形成される電場が0.2〜1.0 kVp/cmである請求項1又は2記載の方法。

請求項4

前記脂質二重膜の片面に前記リポソーム懸濁液を接触させ、他面に水又は水系緩衝液を接触させながら行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記透孔は、二つの流路又はチャンバー境界に設けられ、前記脂質二重膜の片面が前記チャンバー又は流路に露出し、他面が前記の他方のチャンバー又は他方の流路に露出している請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

前記電極が前記透孔に対して1倍以上の表面積を有する電極である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記透孔は、二つのチャンバー又は流路の境界に設けられ、前記二つの電極がこれら前記のチャンバー又は流路に配置されている請求項6記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、透孔人工的に形成した脂質二重膜リポソームを効率良く融合させる方法に関する。

背景技術

0002

生物を構成する細胞や、細胞内に存在するミトコンドリアゴルジ体小胞体等の各種オルガネラ細胞核等は、外側が生体膜で覆われており、この生体膜は、基本的に脂質二重膜から構成されている。生理活性を有する様々なタンパク質、すなわち、レセプター酵素等がこの脂質二重膜を貫通する形で脂質二重膜上に保持されている。これらの膜貫通タンパク質は、生体内で重要な役割を果たしている。特に、細胞膜上に存在する各種レセプターは、生体内に存在するリガンドと結合することにより、様々な生理学的反応を引き起こす引き金になることがわかっている。このため、レセプターの機能を亢進する各種リガンドや、レセプターの機能を阻害する阻害剤等が医薬品として用いられており、また、新たな医薬品として利用可能な天然又は人工のリガンドや阻害剤が研究されている。

0003

これらの膜貫通タンパク質や、そのリガンド、阻害剤等を開発するためには、生体内と同じ状態、すなわち、膜貫通タンパク質が生体膜に保持された状態で各種測定を行うことが望まれる。従来、膜貫通タンパク質が生体膜に保持された状態を模するべく、透孔を塞ぐ形で脂質二重膜を形成し、この脂質二重膜に膜貫通タンパク質を保持させ、この状態で各種測定が行われている。とりわけ、イオンチャネルを形成するタンパク質についての電気生理学的研究が行われている(非特許文献1及び非特許文献2)。一方、脂質二重膜にタンパク質を導入するために、該タンパク質を含むリポソームを脂質二重膜に融合させることも知られている(非特許文献3)。

先行技術

0004

H. Suzuki, et al., Langmuir 2006, 22, 1937-42
T. Osaki, et al., Proc. MicroTAS 2008, San Diego, 1126-8.
B. Rudy and L. E. Iverson, "Methodsin Enzymology: Ion Channels", Academic Press, New York, 1992.
M. Washizu, J. Electrostat. 1990, 25, 109-23
T. Guillaume and S. Takeuchi, Anal. Chem. 2005, 77, 2795-801.
D. J. Estes and M. Mayer, Colloid and. Surf. B 2005, 42, 115-23.

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、脂質二重膜をリポソームと融合させることにより脂質二重膜にタンパク質を導入する公知の方法では、脂質二重膜とリポソームの融合効率が低く、再現性良く脂質二重膜とリポソームを融合させることができない。

0006

従って、本発明の目的は、効率良く脂質二重膜とリポソームを融合させることができる、脂質二重膜とリポソームを融合させる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本願発明者らは、鋭意研究の結果、脂質二重膜の両側に電極を配置し、これらの電極間交流電圧をかけながら脂質二重膜とリポソームの融合操作を行うと、誘電泳動によりリポソームが脂質二重膜に引き付けられ、その結果、リポソームが脂質二重膜と衝突する確率が高まり、脂質二重膜とリポソームの融合が促進されることを見出し、本発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は、透孔に形成された人工脂質二重膜の両側に電極を配置し、これらの電極間に交流電圧をかけながら、前記脂質二重膜の少なくとも片面に、リポソーム懸濁液を接触させることを含む、脂質二重膜にリポソームを融合させる方法を提供する。

発明の効果

0009

本発明により、脂質二重膜とリポソームの融合効率を高め、効率良く、再現性良くリポソームを脂質二重膜に融合させる新規な方法が提供された。本発明の方法により、効率良くリポソームを脂質二重膜と融合させることができ、一方、リポソームがタンパク質を含む場合には、脂質二重膜と融合するとタンパク質が脂質二重膜に保持されることはすでに確立している(非特許文献3)ので、タンパク質を含むリポソームを本発明の方法により脂質二重膜と融合させることにより、タンパク質を効率良く脂質二重膜に保持することができる。このため、本発明の方法を利用して、膜貫通タンパク質やそのリガンド等の性質を調べる実験を容易に行うことができるようになった。従って、本発明は、創薬のためのスクリーニング等に好適に用いることができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の方法の原理を説明するための模式図である。
本発明の方法を実施するためのデバイスの好ましい一具体例を模式的に示す図である。
実施例で行った方法における、リポソームの集合状態を経時的に示す顕微鏡写真である。
実施例で行った方法における、脂質二重膜近傍の電解強度シミュレートした結果を示す図である。
実施例で行った方法において、リポソームが脂質二重膜と融合する状態を示す顕微鏡写真及び蛍光強度プロフィール経時変化を示す図((b))である。

0011

10脂質二重膜
12リポソーム
14基板
16チャンバー
18マイクロ流路
20 入口
22出口
24 脂質二重膜
26平面電極
28 棒状電極

実施例

0012

上記のとおり、本発明の方法の特徴は、脂質二重膜の両側に配置した電極間に交流電圧をかけながら、脂質二重膜にリポソームを接触させる点にある。交流電圧により、電場が形成され、それによって誘電泳動効果が発生し、リポソームが脂質二重膜に引き付けられ、リポソームが脂質二重膜に衝突する確率が大きくなり、ひいては脂質二重膜とリポソームが融合する確率が大きくなる。この原理を図1に示す。

0013

図1の左側は公知の方法、右側は本発明の方法を模式的に示すものである。図1は、脂質二重膜10を側面から見た模式図であり、12がリポソームである。図1の左側に模式的に示すように、従来の方法では、単にリポソーム懸濁液を脂質二重膜と接触させるだけであるので、リポソームのブラウン運動により、リポソームは脂質二重膜と衝突する。従って、リポソームが脂質二重膜に衝突する確率は高くなく、ひいては脂質二重膜とリポソームの融合確率は低い。

0014

これに対し、本発明の方法では、図1の右側に模式的に示すように、交流電圧をかけることにより電場が形成される。図1中、電場の電気力線破線で示す。この電場により、正の誘電泳動(DEP)効果が生じ、図1中に矢印で示すように、リポソーム12は、脂質二重膜10に引き付けられ、リポソーム12が脂質二重膜10に衝突する確率が増大し、ひいてはリポソーム12が脂質二重膜10と融合する確率が増大する。なお、誘電効果自体は公知であり、これを利用して細胞融合の効率を高めることも公知である(非特許文献4及び5)が、リポソームに誘電泳動を適用し脂質二重膜と融合することは知られていない。

0015

本発明の方法に用いる脂質二重膜は、透孔に形成された人工的な平面状の脂質二重膜であり、透孔の内壁にその周縁部が接し、該透孔を塞ぐ脂質二重膜である。このような脂質二重膜及びその形成方法は周知であり(例えば非特許文献1及び2)、脂質二重膜を構成する脂質溶液を、単に透孔に施すだけで形成することができる。脂質二重膜を構成する脂質としては、脂質二重膜、すなわち、親水性領域疎水性領域を1分子中に有する脂質分子が、疎水性領域を内側、親水性領域を外側に向けて2層に並んだ膜を形成できる脂質であれば特に限定されないが、生体膜における反応を模するためには、生体膜と同じか類似したものが好ましく、この分野において従来から広く用いられているリン脂質、例えば、ジフィタノイフォスファチジルコリン(diphytanoyl phosphatidylcholine,DPhPC)、ジオレオイルフォスファチジルコリン(dioleoyl phosphatidylcholineDOPC)、ジオレオイルフォスファチジルセリン(dioleoyl phosphatidylserine DOPS)、ジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン(dioleoyl phosphatidylethanolamine DOPE)やこれらリン脂質とスフィンゴミエリン類、コレステロール類等を成分とする脂質、また天然由来の脂質(phosphocoline from egg yolkなど)が好ましい例として挙げることができる。これらの多くは市販されているので、市販品を好ましく用いることができる。

0016

脂質二重膜の形成に用いられる溶液中の脂質の濃度は、脂質二重膜が形成可能な濃度であれば特に限定されないが、通常、1g/L〜40g/L程度、好ましくは5g/L〜20g/L程度である。また、脂質溶液の溶媒は、特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、n-デカンヘキサデカンのような脂肪族炭化水素溶媒が好ましい。

0017

透孔の直径は、従来と同程度でよく、通常、10μm〜数百μm、好ましくは10μm〜100μm程度である。

0018

リポソームを構成するリン脂質は、上記した平面脂質二重膜を構成する脂質と同じものでも異なっていてもよい。

0019

リポソームの形成方法自体は種々のものが周知であり、いずれの方法をも採用することができ、下記実施例にも具体的に記載されている。また、リポソーム内部にタンパク質等の任意の物質抱合する方法も周知である(例えば非特許文献3)。脂質二重膜に接触させるリポソーム懸濁液中のリポソームの濃度は、特に限定されないが、通常、100nM以下であり、好ましくは1pM〜1nMである。

0020

リポソームは、タンパク質又はDNAやRNA等の核酸を含むことが好ましく、特にタンパク質を含むことが好ましい。ここで、「含む」とは、タンパク質や核酸が、リポソームを構成する膜に組み込まれている場合、リポソーム内に内包されている場合及びリポソームに吸着している場合を抱合する。リポソームが含むタンパク質は、その機能やリガンド、阻害剤等を調べる、被検対象となるタンパク質であり、各種レセプターや酵素を挙げることができ、具体例としては、ナノポアタンパク質(ヘモリシンなど)、イオンチャネル(KcsA、hERGなど)、トランスポータ(MGR1、MRP2など)等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、リポソームは、生細胞から精製された膜画分であってもよい。

0021

脂質二重膜とリポソーム懸濁液との接触は、脂質二重膜の片面に前記リポソーム懸濁液を接触させ、他面に水又は水系緩衝液を接触させながら行うことが好ましい。水系緩衝液としては、リン酸緩衝液等のこの分野で広く用いられている周知の緩衝液を用いることができる。脂質二重膜とリポソーム懸濁液との接触は、室温で行うことができ、接触からリポソーム誘引までの所要時間は、懸濁液の濃度にも依存し特に限定されないが、通常5分以内である。

0022

上記の通り、本発明の方法では、脂質二重膜の両側に電極を配置し、これらの間に交流電圧を印加しながら脂質二重膜とリポソーム懸濁液とを接触させる。これにより、正の誘電泳動効果が生じ、リポソームが脂質二重膜に引き付けられ、リポソームが脂質二重膜と衝突する確率が増大する。ここで、「脂質二重膜の両側に電極を配置する」とは脂質二重膜を挟んで反対側に電極を配置するという意味である。電極の形状や位置関係は、特に限定されないが、図1に示すように、脂質二重膜の位置に、電界が他の場所に比べて集中するような形状や配置をとることが好ましい。脂質二重膜の位置に、電界が他の場所に比べて集中するようにするために、表面積の大きな電極を用いることが有効であり、特に、少なくとも一方の電極の表面積が透孔の面積の1倍以上、さらに好ましくは10倍以上であることが好ましい。この場合の電極の形状の好ましい例として、一方の電極は、前記脂質二重膜に対して垂直に配置された棒状電極であり、他方の電極は、前記脂質二重膜に対して平行に配置された平面電極である場合を挙げることができるが、これに限定されるものではない。他の電極の形状と配置の例としては、両側の電極ともに棒状電極あるいは平面電極等を挙げることができる。また、電極材料についても限定されないが、好ましい例として銀-塩化銀電極白金黒電極、酸化インジウムスズ電極などを挙げることができる。

0023

電極間に印加する交流電圧は、特に限定されないが、周波数は通常10kHz〜2MHz、好ましくは100kHz〜1.0MHz、形成される電場が通常0.1〜5kVp/cm 、好ましくは0.2〜1.0 kVp/cmである。この条件が達成されるならば、電極のサイズや脂質二重膜からの距離は特に限定されないが、膜に対して電界を集中させるためには上記のとおり、透孔に対して十分に大きい電極サイズであることが好ましい。

0024

脂質二重膜の形成及びリポソームとの融合、並びに得られた脂質二重膜を用いた測定実験等を効率的に行うために、脂質二重膜の片面が流路露出され、他面が他の流路又はチャンバーに露出されることが好ましい。これは、透孔を流路間又は流路とチャンバーの境界に設けることにより容易に行うことができる。なお、ここで、流路は、マイクロ流路と呼ばれている幅と深さが10μm〜1000μm程度の微小な流路であることが好ましい。マイクロ流路を用いる場合には、必要な試薬の量を少なくでき、各種反応を効率的に行うことが可能になる等、利点が多い。

0025

透孔が流路とチャンバーの境界に形成され、その結果、脂質二重膜の片面がチャンバーに露出し、他面が流路に露出する好ましい一具体例を図2に示す。図2上段は模式平面図であり、下段は模式断面図である。基板14にはチャンバー16、マイクロ流路18、マイクロ流路18の入り口20と出口22が設けられ、チャンバー16とマイクロ流路18の間に透孔が形成され、ここに脂質二重膜24が形成される。従って、脂質二重膜24の上面はチャンバー16に露出し、下面はマイクロ流路18に露出している。マイクロ流路18の底面には底面と同じ形状で同じサイズの平面電極26がマイクロ流路18に沿って配置され、チャンバー16内には、棒状電極28が配置されている。

0026

なお、本発明の方法に用いることができるデバイスは、図2に示すものに限定されるものではなく、例えば、チャンバー16をマイクロ流路に変更したものでもよいし、反対にマイクロ流路18をチャンバーに変更してもよい。前者は例えば標的タンパク質に対して薬剤交換洗浄することができ、後者は例えば閉鎖系であることを利用して標的タンパク質の輸送特性を評価できる。その他、高速機能解析のために透孔数を多く配列してもよく、様々な変形例が可能である。

0027

以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

0028

実施例1
1.デバイス
図2に模式的に示すデバイスを作製した。透孔の直径は10〜70μm、厚さは100μm、チャンバー16の直径は4 mm(容量20μL)、マイクロ流路18の幅と深さはそれぞれ500 μmと200μmであった。基板のサイズは4cm x 3 cm x 3mm であった。デバイスはアクリルポリメチルメタクリレート(PMMA)製であった。膜形成やリポソームの導入を行うため、マイクロ流路18はテフロン登録商標チューブを介してシリンジに接続されている。マイクロ流路18の底面は透明な平面電極であるITOガラス導電性ガラス)になっており、チャンバー16に棒状の銀電極28を挿入することで誘電泳動のための電圧印可を可能にした。棒状電極28の直径は1mm、長さは20mmであった。加えてITOガラスの透明性により倒立顕微鏡を用いた観測を行うことができる。電極間距離は約500 μmとした。

0029

2.実験方法
2-1.リポソームの調製
脂質二重膜に融合させるプロテオリポソームタンパク質含有リポソーム)のモデルとしてジャイアントリポソームをエレクトロフォーメーションにより調製した。リポソームの脂質には卵黄由来の脂質(phosphocholine from Egg yolk)にローダミン標識された蛍光脂質を1%程度混合したものを用いた。クロロホルムに溶解した脂質をITOガラス上で乾燥させ、もう一枚のITOガラスとの間に交流電圧(10 Hz、10 Vp/cm)を2時間印可することでリポソームを得た。このときの水溶液としてここではMilliQ(商品名)水を用いた。これにより最大30μmの径をもつリポソームが得られた。

0030

2-2.平面脂質膜の形成
平面脂質膜の形成は以下の方法で行った。まず上側チャンバー16をMilliQ(商品名)水(20 μL)で満たし、次に脂質のn-デカン溶液(20 mg/mLDPhPC、0.2 μL)をマイクロ流路18に導入した。さらにMilliQ(商品名)水(10 μL)をマイクロ流路18に導入すると少量の脂質が孔部分に残り、これが薄膜化することで最終的に平面脂質二重膜24が形成された(非特許文献1及び2)。

0031

3.誘電泳動によるリポソームの輸送
平面脂質膜の形成後、上で調製したリポソーム溶液をマイクロ流路18に導入した。上側チャンバー16に電極28を挿入しITO電極26との間に交流電圧(0.1〜1MHz、0.2〜1 kVp/cm)を印可することで誘電泳動によるリポソームの輸送が確認された(図3参照)。誘電泳動の効果は交流電圧の印可後数分以内に現れた。

0032

図3は、脂質二重膜の顕微鏡写真であり、リポソームの様子を経時的に表している。図3の(d)では電圧印加を停止してDEPをオフにし、(e)では再度電圧をかけてリポソームの集合状態の変化を調べた。DEPによりリポソームが脂質二重膜の周縁部に集まることが明瞭に示されており、DEPの効果がわかる。

0033

なお、リポソームは、脂質二重膜の周縁部に集中しているが、これは理論と合致するものである。すなわち、印加された電場の状態をシミュレートした結果、図4に示すように、印可された電場は平面脂質二重膜とそれを支えるデカンを多く含む外周部(Annulus)との境界に集中した。そのためリポソームの多くはこの境界部分に輸送される。最大で20μm程度の径をもつリポソームの輸送が確認された。

0034

また、輸送されたリポソームと平面膜との融合も確認された(図5参照)。図5の(a), (c)〜(g)は顕微鏡写真であり、(c)中の矢印で示されるものがリポソームである。融合の様子は、(d)〜(g)の経時的に示されている。すなわち、蛍光標識された脂質分子の拡散の様子が(d)〜(g)に示されている。(a)中の一本の右下下がりの斜めの直線に沿った蛍光強度のプロフィールの経時的変化が(b)に示されている。脂質の拡散が明瞭に認められた((b)中の矢印)。各写真間の時間間隔は100mSであり、電界強度は0.4 kVp/cm、周波数は100kHzであった。

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