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技術 抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 崎山達也及川初彦高橋靖雄
出願日 2010年1月18日 (10年5ヶ月経過) 出願番号 2010-008226
公開日 2011年7月28日 (8年11ヶ月経過) 公開番号 2011-143466
状態 未査定
技術分野 スポット溶接 抵抗溶接 抵抗溶接とその制御
主要キーワード シェル形 金属製燃料タンク 装置形態 溶接処理 溶接加圧力 抵抗シーム溶接 溶接ナゲット 重ね代
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図面 (5)

課題

比較的簡便な構成で、湾曲した溶接部位において溶接電極輪被溶接物との間で生じるねじりトルクを確実に解消して、溶接欠陥を防止することが可能な抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置を提供する。

解決手段

一対の溶接電極輪31、32で加圧力Fを付与して被溶接物であるタンク部材11、12のフランジ11A、12Aを挟持し、一対の溶接電極輪31、32を回転させるとともに、予め教示されたフランジ11A、12Aの溶接線Sに沿って一対の溶接電極輪31、32を移動させながら溶接電流通電することでフランジ11A、12Aを連続的に溶接する方法であり、少なくとも、フランジ11A、12Aにおいて溶接線Sが曲線状とされた溶接部位を溶接する際に、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方に振動Vを付加しながら溶接する。

概要

背景

一般に、自動車に用いられるシェル形金属製燃料タンクは、車体の狭いスペースの中に収納される。また、このような金属製燃料タンクは、収容可能な燃料の容量を大きく確保するために、複雑な形にプレス加工された上槽体と下槽体とをシェル形に組み合わせ、これによって得られる容器タンク)の外周に形成されたフランジ重ね代を、シーム溶接機によって気密に接合することで製作される。

上記構成の金属製燃料タンクを製造する際、図4に示すように、容器100の外周に形成されたフランジ101は、複数の直線部102と曲率の異なる複数の曲線部103とで構成されるため、直線部102並びに曲線部103毎に、溶接条件を個別に設定する必要がある。また、このようなフランジ101の溶接部は、直線部102と曲線部103が連続して構成されるが、直線部102と同一の溶接条件で曲線部103を溶接した場合、曲線部103においては、被溶接物である容器100が旋回する際に、溶接電極輪105とフランジ101との間で生じるねじりトルクに起因して引張応力が発生する。このため、フランジ101の曲線部103において、上記引張応力によって割れ等が発生し、溶接欠陥となるという問題があった。

上述のような溶接欠陥を防ぐ方法として、例えば、曲線部においては、直線部に比べて溶接速度溶接電流等を減少させた溶接条件とするか、又は、直線同士で直交溶接を行うことが提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
また、曲線部の溶接における上記問題を解決するために、上下の溶接電極輪を、各々の軸芯溶接線の曲率の中心側に近づくように傾斜させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。

概要

比較的簡便な構成で、湾曲した溶接部位において溶接電極輪と被溶接物との間で生じるねじりトルクを確実に解消して、溶接欠陥を防止することが可能な抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置を提供する。一対の溶接電極輪31、32で加圧力Fを付与して被溶接物であるタンク部材11、12のフランジ11A、12Aを挟持し、一対の溶接電極輪31、32を回転させるとともに、予め教示されたフランジ11A、12Aの溶接線Sに沿って一対の溶接電極輪31、32を移動させながら溶接電流を通電することでフランジ11A、12Aを連続的に溶接する方法であり、少なくとも、フランジ11A、12Aにおいて溶接線Sが曲線状とされた溶接部位を溶接する際に、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方に振動Vを付加しながら溶接する。

目的

本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、比較的簡便な構成で、湾曲した溶接部位において溶接電極輪と被溶接物との間で生じるねじりトルクを確実に解消して、溶接欠陥を防止することが可能な抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

一対の溶接電極輪加圧力を付与して被溶接物を挟持し、前記一対の溶接電極輪を回転させるとともに、予め教示された前記被溶接物の溶接線に沿って前記一対の溶接電極輪を移動させながら溶接電流通電することで被溶接物を連続的に溶接する抵抗シーム溶接方法であって、少なくとも、前記被溶接物において前記溶接線が曲線状とされた溶接部位を溶接する際に、前記一対の溶接電極輪の少なくとも一方に振動を付加しながら溶接することを特徴とする、抵抗シーム溶接方法。

請求項2

前記一対の溶接電極輪の少なくとも一方に付加する振動の周波数が10〜25kHzの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の抵抗シーム溶接方法。

請求項3

前記一対の溶接電極輪の少なくとも一方に付加する振動の振幅が5〜25μmの範囲であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の抵抗シーム溶接方法。

請求項4

被溶接物に対して加圧力を付与し、前記被溶接物を挟持しながら回転可能とされた一対の溶接電極輪を具備してなり、該一対の溶接電極輪が、予め教示された前記被溶接物の溶接線に沿って移動しながら溶接電流の通電を行うことで被溶接物を連続的に溶接する抵抗シーム溶接装置であって、少なくとも、前記被溶接物において前記溶接線が曲線状とされた溶接部位を溶接する際に、前記一対の溶接電極輪の少なくとも一方に振動を付加するための振動付加手段が備えられていることを特徴とする、抵抗シーム溶接装置。

請求項5

前記振動付加手段が、圧電素子磁歪素子振動モータのうちの少なくとも何れかからなることを特徴とする、請求項4に記載の抵抗シーム溶接装置。

技術分野

0001

本発明は、抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置に関し、さらに詳しくは、溶接線上に直線部及び曲線部の両方を有する被溶接物シーム溶接する際の、割れの発生を防止できる抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置に関する。

背景技術

0002

一般に、自動車に用いられるシェル形金属製燃料タンクは、車体の狭いスペースの中に収納される。また、このような金属製燃料タンクは、収容可能な燃料の容量を大きく確保するために、複雑な形にプレス加工された上槽体と下槽体とをシェル形に組み合わせ、これによって得られる容器タンク)の外周に形成されたフランジ重ね代を、シーム溶接機によって気密に接合することで製作される。

0003

上記構成の金属製燃料タンクを製造する際、図4に示すように、容器100の外周に形成されたフランジ101は、複数の直線部102と曲率の異なる複数の曲線部103とで構成されるため、直線部102並びに曲線部103毎に、溶接条件を個別に設定する必要がある。また、このようなフランジ101の溶接部は、直線部102と曲線部103が連続して構成されるが、直線部102と同一の溶接条件で曲線部103を溶接した場合、曲線部103においては、被溶接物である容器100が旋回する際に、溶接電極輪105とフランジ101との間で生じるねじりトルクに起因して引張応力が発生する。このため、フランジ101の曲線部103において、上記引張応力によって割れ等が発生し、溶接欠陥となるという問題があった。

0004

上述のような溶接欠陥を防ぐ方法として、例えば、曲線部においては、直線部に比べて溶接速度溶接電流等を減少させた溶接条件とするか、又は、直線同士で直交溶接を行うことが提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
また、曲線部の溶接における上記問題を解決するために、上下の溶接電極輪を、各々の軸芯が溶接線の曲率の中心側に近づくように傾斜させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。

0005

特開平11−047943号公報

先行技術

0006

表面処理鋼板抵抗溶接」、溶接技術、産報出版株式会社、1984年、Vol.32、No.7

発明が解決しようとする課題

0007

上述したように、自動車に用いられるシェル形の金属製燃料タンクのフランジは、複数の直線部と曲率の異なる複数の曲線部とで構成される。このようなフランジの溶接部は、直線部と曲線部とが連続して構成されるが、直線部に比べ、曲線部においては、直線方向に回転進行する溶接電極輪が、この溶接電極輪の進行方向に対して被溶接物を水平方向に回転させることで曲率部を旋回する。この際、溶接電極輪は溶接線の外へ広がろうとするので、溶接電極輪と被溶接物の間にねじれが生じる。このため、曲線部では、上述のような旋回時に溶接電極輪と被溶接物間で生じるねじりトルクに起因する引張応力により、割れ等の溶接欠陥が生じ易い。

0008

このような溶接欠陥を防ぐ方法として、従来、例えば上記非特許文献1のように、曲線部における溶接条件を、直線部に比べて溶接速度や溶接電流等を減少させた条件とするか、又は、直線同士で直交溶接を行う方法が採用されていた。しかしながら、溶接速度や溶接電流等を変化させる場合、その変化部においては溶接ナゲットの形成が不安定となり、連続したナゲットの形成が困難となるため、難しく気密性を確保できないという問題があった。さらには、フランジは、複数の直線部と曲率の異なる複数の曲線部とから構成されるため、直線部並びに曲線部毎に溶接条件を個別に設定する必要があることから、条件設定作業も煩雑となり、生産性が低下するといった問題があった。

0009

また、直線同士の直交溶接を行った場合、複数の直線部と曲率の異なる複数の曲線部とから構成される、自動車用のシェル形の金属製燃料タンクのフランジでは、フランジ幅を広くする必要があるとともに、溶接線の軌道が複雑になる等、工業生産的に実用的ではないという問題があった。
一方、上記特許文献1のような、上下の溶接電極輪を、各軸芯が溶接線の曲率の中心側に近づくように傾斜させる方法においては、金属性燃料タンク縦壁部と溶接電極輪との距離を十分に確保する必要がある。このため、フランジ幅を広くする等、タンク形状の制約を受けることから、大幅な設計変更が必要となることがあり、実用的でないという問題があった。

0010

本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、比較的簡便な構成で、湾曲した溶接部位において溶接電極輪と被溶接物との間で生じるねじりトルクを確実に解消して、溶接欠陥を防止することが可能な抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者等が上記問題を解決するために鋭意研究したところ、以下に示す構成の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置により、溶接欠陥の発生を抑制できることを新たに見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。

0012

[1] 一対の溶接電極輪で加圧力を付与して被溶接物を挟持し、前記一対の溶接電極輪を回転させるとともに、予め教示された前記被溶接物の溶接線に沿って前記一対の溶接電極輪を移動させながら溶接電流を通電することで被溶接物を連続的に溶接する抵抗シーム溶接方法であって、少なくとも、前記被溶接物において前記溶接線が曲線状とされた溶接部位を溶接する際に、前記一対の溶接電極輪の少なくとも一方に振動を付加しながら溶接することを特徴とする、抵抗シーム溶接方法。
[2] 前記一対の溶接電極輪に付加する振動の周波数が10〜25kHzの範囲であることを特徴とする、上記[1]請求項1に記載の抵抗シーム溶接方法。
[3] 前記一対の溶接電極輪に付加する振動の振幅が5〜25μmの範囲であることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の抵抗シーム溶接方法。
[4] 被溶接物に対して加圧力を付与し、前記被溶接物を挟持しながら回転可能とされた一対の溶接電極輪を具備してなり、該一対の溶接電極輪が、予め教示された前記被溶接物の溶接線に沿って移動しながら溶接電流の通電を行うことで被溶接物を連続的に溶接する抵抗シーム溶接装置であって、少なくとも、前記被溶接物において前記溶接線が曲線状とされた溶接部位を溶接する際に、前記一対の溶接電極輪の少なくとも一方に振動を付加するための振動付加手段が備えられていることを特徴とする、抵抗シーム溶接装置。
[5]前記振動付加手段が、圧電素子磁歪素子振動モータのうちの少なくとも何れかからなることを特徴とする、上記[4]に記載の抵抗シーム溶接装置。

発明の効果

0013

本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置によれば、上記構成により、一対の溶接電極輪の少なくとも一方の溶接電極輪に、曲線溶接時に振動を付加しながら溶接するものである。これにより、湾曲した溶接部位において、溶接電極輪と被溶接物との間にねじりトルクが発生した場合でも、回転する溶接電極輪に振動を付加して、溶接電極輪と被溶接物との間を低摩擦化することで、溶接電極輪と被溶接物との間で生じるねじりトルクを低減させ、従来のような溶接電極輪と被溶接物との間の引張応力を抑制し、割れ等の溶接欠陥を防ぐことができる。
さらには、溶接電流や溶接速度等を変化させることなく、直線部と同一の溶接条件で曲線部を抵抗シーム溶接することができるので、直線部並びに曲線部の各部毎の溶接条件設定が不要となる。従って、被溶接物の溶接部全長にわたって溶接速度を一定にすることができるので、生産性の低下を防止することができる。
またさらに、上記に加えて、被溶接部近傍の縦壁部と溶接電極輪との間の距離を広げる必要がないため、フランジ幅を広げることなくタンク形状を設計することができるので、設計自由度が向上する。

0014

本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置によれば、上述のような抵抗シーム溶接の処理を、予め教示した溶接線の移動経路に依らずに行うことができるので、従来のシステムを大きく変更することなく、簡便な構成で、比較的安価に、且つ、確実に溶接品質を向上させる効果が得られる。

図面の簡単な説明

0015

本発明に係る抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置の一例を模式的に説明する図であり、溶接電極輪と振動付加手段の配置関係を示す概略図である。
本発明に係る抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置の他の例を模式的に説明する図であり、溶接電極輪と振動付加手段の配置関係を示す概略図である。
本発明に係る抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置の一例を模式的に説明する図であり、溶接時の溶接電極輪に対する被溶接物の移動及び旋回方向を示す平面図である。
従来の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置を模式的に説明する図であり、溶接線と溶接電極輪とを示す平面図である。

0016

以下、本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置の実施形態について、図1図3を適宜参照しながら説明する。なお、本実施形態は、本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り本発明を限定するものではない。

0017

本発明を適用できる被溶接物としては、例えば、図1〜3に示すように、自動車に用いられるシェル形の金属製燃料タンクを構成するタンク部材11、12のような、直線部11a、12aと曲線部11b、12bとが連続した外周部にフランジ11A、12Aが形成されたもの等が挙げられる。このようなタンク部材11、12においては、フランジ11A、12Aの重ね代を、直線部11a、12aと曲線部11b、12bとで連続して抵抗シーム溶接することにより、気密に接合されたシェル形の金属製燃料タンクを構成することが可能となる。

0018

[抵抗シーム溶接装置]
以下に、本発明に係る抵抗シーム溶接装置の一例について詳しく説明する。
本実施形態の抵抗シーム溶接装置1は、被溶接物(ワーク)であるタンク部材11、12に対して加圧力Fを付与し、タンク部材11、12を挟持しながら回転可能とされた一対の溶接電極輪3(31、32)を具備してなり、該一対の溶接電極輪31、32が、予め教示されたタンク部材11、12の溶接線Sに沿って移動しながら溶接電流Aの通電を行うことでタンク部材11、12を連続的に溶接する装置であり、少なくとも、タンク部材11、12の各々のフランジ11A、12Aにおいて溶接線Sが曲線状とされた曲線部11b、12bの溶接部位を溶接する際、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方に、振動Vを付加するための振動付加手段4が備えられ、概略構成されている。
また、図1に示す例の抵抗シーム溶接装置1は、振動付加手段4が、一対の溶接電極輪31、32の内の溶接電極輪31に対して、タンク部材11、12とは反対側から振動Vを付加できるように設けられている。

0019

一対の溶接電極輪3(31、32)は、回転軸31A、32Aを中心に回動可能に設けられており、図1に示すように、回転軸31A、32Aを回動可能に支持する支持体31B、32Bを介して、それぞれ一対の溶接ヘッド21、22に接続されている。この溶接ヘッド21、22には、制御ユニット5から溶接電流Aが供給され、この溶接電流Aが、支持体31B、32B及び回転軸31A、32Aを介して一対の溶接電極輪31、32に供給される。また、図示例では、支持体31B、32Bには、従来公知のアイアンマン治具によるピンカム式の保持手段が用いられ、一対の溶接電極輪31、32を、被溶接物であるタンク部材11、12のフランジ11A、12Aを挟持、あるいは離間するのが自在な構成とされている。
なお、溶接電極輪によって被溶接物であるタンク部材を自在に挟持、離間する構成としては、上記構成に限定されるものでは無い。例えば、多関節ロボットによって被溶接物を把持する構成等を採用することも可能であり、このような構成においても、詳細を後述するような、本発明を適用することによる顕著な効果が得られる。

0020

そして、一対の溶接電極輪31、32は、被溶接物であるタンク部材11、12のフランジ11A、12Aに対して溶接電流を印加しながら、これらフランジ11A、12Aの重ね代を挟持しながら、予め教示された溶接線Sに沿って回転移動することが可能な構成とされている。これにより、フランジ11A、12Aを、溶接線Sに沿って抵抗シーム溶接することができる。

0021

振動付加手段4は、上述したように、一対の溶接電極輪31、32の内の少なくも一方に対して振動Vを付加するものである。図1に示す例の抵抗シーム溶接装置1においては、一方の溶接電極輪31に対して、タンク部材11、12とは反対側、即ち、電極裏面31bに対して振動Vを付加できる構成とされている。

0022

振動付加手段4としては、例えば、圧電素子、磁歪素子、振動モータ等の振動発生装置を用いて構成することができるが、一対の溶接電極輪31、32に対して振動Vを付加することが可能なものであれば、何ら制限されるものではなく、種々の振動発生装置を採用することが可能である。

0023

なお、図1に示す例の抵抗シーム溶接装置1においては、振動付加手段4を用いて、一対の溶接電極輪31、32の内の少なくも一方、図示例においては溶接電極輪31の電極裏面31bに対して振動Vを付加する構成とされているが、本発明では、このような構成には限定されない。例えば、図2に示す例の抵抗シーム溶接装置50のように、支持体55、56あるいは溶接ヘッド57、58が振動付加手段を含み、回転軸53、54を介して一方の溶接電極輪51(又は、溶接電極輪52)に振動を付加する構成としても良く、装置形態に応じて設計することができる。

0024

またさらに、本発明においては、タンク部材11、12のフランジ11A、12Aを溶接線Sに沿って溶接する際、曲線部11b、12bのみならず、直線部11a、12aを溶接する際に振動を付加しても構わない。

0025

[抵抗シーム溶接方法]
以下に、本発明の抵抗シーム溶接方法について、上述した本実施形態の抵抗シーム溶接装置1を用いて、タンク部材11、12に備えられるフランジ11A、12A間を抵抗シーム溶接する場合を例に説明する。

0026

本発明に係る抵抗シーム溶接方法は、一対の溶接電極輪31、32で加圧力Fを付与して被溶接物(ワーク)であるタンク部材11、12を挟持し、一対の溶接電極輪31、32を回転させるとともに、予め教示されたタンク部材11、12の溶接線Sに沿って一対の溶接電極輪31、32を移動させながら溶接電流Aを通電することで、被溶接物であるタンク部材11、12を連続的に溶接する方法であり、少なくとも、タンク部材11、12の各々のフランジ11A、12Aにおいて溶接線Sが曲線状とされた曲線部11b、12bの溶接部位を溶接する際、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方、図1に示す例では、一方の溶接電極輪31に振動Vを付加しながら溶接する方法である。

0027

抵抗シーム溶接装置1を用いて、タンク部材11、12に備えられるフランジ11A、12A間を溶接する場合、まず、各々のフランジ11A、12Aを重ね合せた状態とし、この重ね代を一対の溶接電極輪31、32によって挟持する。
この際、一対の溶接電極輪31、32によってフランジ11A、12Aを挟持する加圧力Fは、1.96〜6.86kNの範囲であることが、良好な溶接性及び生産性の両方が得られる点から好ましい。
なお、上記加圧力Fの範囲は、一般に、タンク部材の板厚や溶接速度等、溶接の際の諸条件の組合せによって適正範囲が変動する。このため、加圧力Fは、実際の板厚や溶接速度等の組み合わせを案しながら、上記範囲内で適宜調整することがより好ましい。

0028

次いで、図3に示すように、一対の溶接電極輪31、32でフランジ11A、12Aを挟持した状態でタンク部材11、12を旋回移動させ、予め教示された溶接線Sに沿って抵抗シーム溶接を行う。この際、少なくとも曲線部11b、12bの溶接部位においては、振動付加手段4によって一方の溶接電極輪31に振動を付加しながら溶接処理を行う。

0029

本実施形態では、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方に付加する振動Vの周波数hを10〜25kHzの範囲とすることが好ましい。
また、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方に付加する振動Vの振幅dを、5〜25μmの範囲とすることが好ましい。
本発明においては、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方に付加する振動Vの周波数hや、振幅dを上記範囲内とすることにより、より確実に、割れ等の溶接欠陥を防止することが可能となる。

0030

また、上記方法で抵抗シーム溶接を行う際の溶接電流Aとしては、11〜16kAの範囲とすることが好ましい。
また、上記方法で抵抗シーム溶接を行う際の溶接速度VSとしては、2〜8m/minの範囲とすることが好ましい。
溶接電流A及び溶接速度VSを上記範囲とすることにより、良好な溶接性や生産性を損なうことなく、抵抗シーム溶接を行うことができる。
なお、上述した加圧力Fと同様、上記溶接電流A並びに溶接速度VSの範囲は、タンク部材の板厚や鋼種、めっき種の他、加圧力F等も含めた溶接時の諸条件の組合せによって適正範囲が変動する。このため、溶接電流A並びに溶接速度VSは、実際の溶接諸条件の組み合わせを勘案しながら、上記範囲内で適宜調整することがより好ましい。

0031

また、本実施形態においては、直線部11a、12aと曲線部11b、12bとを連続して抵抗シーム溶接することが生産性向上の観点から好ましい。また、曲線部11b、12bのみならず、直線部11a、12aを溶接する際にも、振動付加手段4によって一方の溶接電極輪31に振動を付加しても良い。

0032

そして、フランジ11A、12Aの全周に渡って、溶接線Sに沿って抵抗シーム溶接を行った後、一対の溶接電極輪31、32をフランジ11A、12Aから離間させ、溶接処理を完了する。

0033

以上説明したように、本発明に係る抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置によれば、上記構成により、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方の溶接電極輪31に、曲線部11b、12bの溶接時に振動Vを付加しながら溶接するものである。これにより、湾曲した溶接部位である曲線部11b、12bにおいて、一対の溶接電極輪31、32と被溶接物であるタンク部材11、12のフランジ11A、12Aとの間にねじりトルクが発生した場合でも、回転する一方の溶接電極輪31に振動Vを付加して、一対の溶接電極輪31、32とフランジ11A、12Aとの間を低摩擦化することで、ねじりトルクを低減させることができる。従って、従来問題となっていた溶接電極輪と被溶接物であるタンク部材のフランジとの間で発生する引張応力を抑制し、割れ等の溶接欠陥を防ぐことができる。

0034

さらに、本発明によれば、溶接電流や溶接速度等の溶接条件を変化させることなく、直線部11a、12aと同一の溶接条件で曲線部11b、12bを抵抗シーム溶接することができるので、直線部11a、12a並びに曲線部11b、12bの各部毎の溶接条件設定が不要となる。従って、フランジ11A、12Aの溶接線S全長にわたって溶接速度を一定にすることができるので、生産性の低下を防止することができる。
またさらに、上記に加えて、フランジ11A、12A近傍の縦壁部11B、12Bと溶接電極輪31、32との間の距離を広げる必要がないため、フランジ11A、11Bの幅を広げることなくタンク形状を設計することができるので、設計自由度が向上する。

0035

また、本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置によれば、上述のような抵抗シーム溶接の処理を、予め教示した溶接線Sの移動経路に依らずに行うことができるので、従来のシステムを大きく変更することなく、簡便な構成で、比較的安価に、且つ、確実に溶接品質を向上させる効果が得られる。

0036

以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明はこの特定の実施の形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載する定義内で上記実施の形態に種々の変更を施すことができ、他の実施の形態を採り得るものである。
例えば、一対の溶接電極輪31、32の少なくとも一方への振動Vの付加は、本実施形態では、抵抗シーム溶接装置1の上部に配された溶接電極輪31に付加する例を説明しているが、下部に配された溶接電極輪32に振動Vを付加する構成としても良い。また、一対の溶接電極輪31、32の両方に、同時に振動Vを付加しても良く、この場合でも、上記同様、割れ等の溶接欠陥を防止できる優れた効果が得られる。
さらには、一対の溶接電極輪31、32の各々に付加する振動Vの周波数dはそれぞれ異なっていても良い。

0037

以下、本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置の実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本実施例で採用した条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するための一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。

0038

[本発明例]
本実施例(本発明例)においては、まず、被溶接物として、上下に重ね合わせた2枚のアルミニウムめっき鋼板(板厚0.8mm)を準備した。このアルミニウムめっき鋼板としては、少なくとも一部に曲率半径が100mmとされた曲線部を有することで、直線部と曲線部とが連続的に構成されているものを用いた。

0039

また、図1に示すような抵抗シーム溶接装置1を準備した。この抵抗シーム溶接装置1としては、上下に配された一対の溶接電極輪31、32の径φがともにφ250mmであり、また、溶接電極輪31、32の先端の曲率半径が4.5mmとされたものを使用した。
そして、上記構成とされた抵抗シーム溶接装置1を用いて、一対の溶接電極輪31、32によって上記2枚のアルミニウムめっき鋼板を、溶接加圧力を5kNとして挟持し、直線部から曲線部へ、さらに、曲線部から直線部への軌道を連続的に溶接した。なお、この際の溶接速度及び溶接電流は、下記表1に示すような条件とした。また、上部及び下部に配された一対の溶接電極輪31、32は、溶接面に対して垂直に配置し、曲線溶接時は、上部に配された溶接電極輪31に、磁歪素子からなる振動付加手段によって振動Vを付加しながら溶接した。

0040

そして、上記手順によって抵抗シーム溶接されたアルミニウムめっき鋼板について、溶接部における割れ発生の有無、ピット発生の有無、及び、肌荒れの発生の有無を、溶接部の目視観察とX線透過写真観察によって評価し、結果を下記表1に示した(○:正常、×:不良)。
また、断面研磨観察により、溶接部のナゲットの連続性を確認し、結果を下記表1に示した(○:正常、△:不安定、×:不良)。この際、溶接部の全ての場所で正常であるものを「合格」とし、少なくとも1箇所に不良がある場合は「不合格」と判定した。
そして、上記各評価に基づき、「合格◇」又は「不合格×」で総合判定を行い、結果を下記表1に示した。

0041

[比較例]
本比較例(従来例)においては、振動付加手段4による溶接電極輪31への振動Vの付加を行わなかった点を除き、下記表1に示す条件で、上記本発明例と同様の手順で、板厚が0.8mmとされた2枚のアルミニウムめっき鋼板を抵抗シーム溶接した。そして、上記本発明例と同様の方法で各種評価を行い、結果を下記表1に示した。

0042

下記表1に、本発明例及び比較例における各種溶接条件、並びに評価結果の一覧を示す。

0043

0044

表1に示すように、一方の溶接電極輪31に振動Vを付加する条件で抵抗シーム溶接を行った本発明例においては、直線部のみならず、曲線部においても割れ等の溶接欠陥が発生しないことが確認され、全て「合格◇」の判定結果となった。

0045

これに対し、溶接電極輪に対して振動を付加しない条件で抵抗シーム溶接を行った比較例においては、曲線部の溶接部位に、割れやピット、又は、肌荒れ等の何れかの溶接欠陥が生じていることが確認され、判定結果が全て「不合格×」となった。

実施例

0046

上記本実施例の結果により、本発明の抵抗シーム溶接方法及び抵抗シーム溶接装置を用いて抵抗シーム溶接を行うことで、湾曲した溶接部位において溶接電極輪と被溶接物との間で生じるねじりトルクを確実に解消して、溶接欠陥を防止することが可能であることが明らかである。

0047

1、50…抵抗シーム溶接装置、11、12…タンク部材(被溶接物)、11A、12A…フランジ(被溶接物)、11b、12b…曲線部、3、31、32、51、52…溶接電極輪(一対、一方の溶接電極輪)、4…振動付加手段、V…振動、A…溶接電流、F…加圧力、h…周波数(振動)、d…振幅(振動)、S…溶接線

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