図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2011年7月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

解決手段

(1)チオレドキシン、(2)チオレドキシンのアミノ酸配列のうち1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつチオレドキシンと同等の活性を有する蛋白質、(3)(1)をコードする遺伝子、(4)(2)をコードする遺伝子から選択される、少なくとも一種類以上を有効成分として含み、カスパーゼ−1の阻害作用を有することを特徴とするプロテアーゼ阻害剤とする。

概要

背景

慢性閉塞性肺疾患Chronic Obstructive Pulmonary Disease: (以下、「COPD」と記載する。)とは、肺気腫慢性気管支炎、あるいは両者の併存により、進行性閉塞性換気障害を特徴とする疾患である。COPDにおける気流制限は、末梢気道病変における気道抵抗上昇と肺気腫による弾性収縮力低下に因り、2者の関与の程度は症例によって様々ではあるが、COPD患者の多くは肺気腫優位の傾向を示す。肺気腫の最大のリスクファクター喫煙である事は多くの疫学的研究より明らかである。2001年に米国National Heart, Lung and Blood Institution (NHLBI)とWorld Health Organization (WHO)との共同報告されたGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)にも述べてあるように、1990年の調査では世界でのCOPDの罹患率は、全人口に対し、男性で9.34/1000,また女性では7.33/1000となっており、罹患率が非常に高い疾患である。現時点でのCOPDによる呼吸不全が原因の死亡は、アメリカ死因の4位と推定されている。また、日本における厚生労働省の報告でもCOPDによる死亡率は、最近の30年間で約4倍に増加した。COPD治療薬として従来知られているのは、気管支拡張剤ステロイドもしくはこの組み合わせである。しかしながらあまり効果がなく、新規の治療薬が求められている。また、臭化チオトロピウム水和物も上市されているが、さらに有効な薬剤が求められている。

このため、COPDの根治的治療薬及び治療法はいまのところ確立されていない。

Pauwels, R. A., Buist, A. S., Calverley, P. M., Jenkins, C. R., and Hurd, S. S. “Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. NHLBI/WHO Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) Workshop summary.” 「American journal of respiratory and critical care medicine」, vol.163: PP.1256‐1276, 2001.
Barnes, P. J. “Novel approaches and targets for treatment of chronic obstructive pulmonary disease.” 「American journal of respiratory and critical care medicine」, vol.160: S72‐79, 1999.

また、COPDを含む慢性肺疾患による右心負荷が原因となって起こる肺性心等の心不全や、それに続く肝不全肺高血圧症等の循環不全等が、COPDに関連する循環器疾患として知られている。

このため、COPDの根治的治療薬及び治療法が求められている。

また、1980年代エイズ免疫不全症候群)に感染した患者のほとんどは死を免れなかった。HIVヒト免疫不全ウイルス)と呼ぶウイルスがCD4(抗原蛋白一種で、分子量59kDaの単鎖膜貫通型糖タンパク。)陽性細胞に感染し体の免疫系が破壊され、体力が弱って消耗し、死に至る。

しかし、近年米国をはじめ先進各国では、HIV感染者の運命は劇的に様相が違ってきた。1996年7月にカナダバンクーバーで開かれた国際エイズ会議では、関係者希望を抱かせる発表が相次いだ。例えばニューヨークにあるアーロンダイヤモンド・エイズ研究センターのホー(David Ho)は、プロテアーゼ阻害剤とすでに1991年以降に市場に出回るようになっていたAZT(ジドブジン逆転写酵素阻害剤の一種)タイプの抗ウイルス剤とを組み合わせたカクテル療法(人体内でHIVが増えるのを邪魔する薬を複数使用して、AIDSの発症押さえる方法)によって、非常に優れた結果が得られたと報告した。また、カクテル療法の中でも、HAART療法(高活性抗レトロウイルス療法)等が注目されている。

このカクテル療法は、根本治療にはならないものの、エイズ患者免疫細胞を増やすだけでなく、血液中ウイルス数検出限界以下にまで減らしたことが報告された。

AZT、d4T(スタブジン,逆転写酵素阻害剤の一種)、ddI(ジダノシン,逆転写酵素阻害剤の一種)のような以前からの逆転写酵素阻害剤薬と一緒服用すると、これらのプロテア−ゼ阻害剤は最も有効に働くことが知られている(いわゆる抗HIV療法(highly active antiretroviral therapy)HAART療法)。事実、1996年から1998年の間に、米国ではHIV感染に伴う死者が70%以上も減り、エイズは死因の上位10位から外れた。エイズの死亡率は統計がとられるようになった1987年以降、1998年に最低となり、更に低下する見通しである。

1995年12月、米食品医薬品局FDA)は最初のプロテアーゼ阻害剤「サキナビル」を認可した。1996年までには、さらに2つの阻害剤「リトナビル」と「インジナビル」が認可された。しかしながら、HIVプロテアーゼ阻害剤は、阻害作用は優れているものの副作用が多いという欠点を有している。

ところで、HIV患者血清中チオレドキシン著明発現している(Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Feb 27;98(5):2688‐93)ことが分かっているが、今のところその意義は明らかになっていない。

一方、エラスターゼは、肺を構成する弾性線維(elastic fiber)の主成分である不溶性タンパク質エラスチン加水分解するプロテアーゼとして知られている。このエラスターゼは、気管内へ投与することによって、COPDの一種である肺気腫を誘導することが古くから知られており、エラスターゼ投与動物が、肺気腫の動物モデルとして用いられている。

概要

新たなプロテアーゼ阻害剤、慢性閉塞性肺疾患・免疫不全症候群・肺胞蛋白症・循環器疾患の根治的治療薬及び治療法を提供すること。(1)チオレドキシン、(2)チオレドキシンのアミノ酸配列のうち1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつチオレドキシンと同等の活性を有する蛋白質、(3)(1)をコードする遺伝子、(4)(2)をコードする遺伝子から選択される、少なくとも一種類以上を有効成分として含み、カスパーゼ−1の阻害作用を有することを特徴とするプロテアーゼ阻害剤とする。なし

目的

本発明のプロテアーゼ阻害剤は、従来知られている本発明の目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記(1)乃至(4)から選択される、少なくとも一種以上を有効成分として含み、プロテアーゼMMP−1、MMP−9およびカスパーゼ−1の少なくともいずれか一種以上を阻害することによる慢性閉塞性肺疾患治療剤又は予防剤。(1)チオレドキシン(2)チオレドキシンのアミノ酸配列のうち、1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつチオレドキシンと同等の活性を有するタンパク質(3)(1)をコードする遺伝子(4)(2)をコードする遺伝子

技術分野

0001

本発明は、慢性閉塞性肺疾患病因の一つと考えられるプロテアーゼ阻害剤に関するものである。

背景技術

0002

慢性閉塞性肺疾患Chronic Obstructive Pulmonary Disease: (以下、「COPD」と記載する。)とは、肺気腫慢性気管支炎、あるいは両者の併存により、進行性閉塞性換気障害を特徴とする疾患である。COPDにおける気流制限は、末梢気道病変における気道抵抗上昇と肺気腫による弾性収縮力低下に因り、2者の関与の程度は症例によって様々ではあるが、COPD患者の多くは肺気腫優位の傾向を示す。肺気腫の最大のリスクファクター喫煙である事は多くの疫学的研究より明らかである。2001年に米国National Heart, Lung and Blood Institution (NHLBI)とWorld Health Organization (WHO)との共同報告されたGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)にも述べてあるように、1990年の調査では世界でのCOPDの罹患率は、全人口に対し、男性で9.34/1000,また女性では7.33/1000となっており、罹患率が非常に高い疾患である。現時点でのCOPDによる呼吸不全が原因の死亡は、アメリカ死因の4位と推定されている。また、日本における厚生労働省の報告でもCOPDによる死亡率は、最近の30年間で約4倍に増加した。COPD治療薬として従来知られているのは、気管支拡張剤ステロイドもしくはこの組み合わせである。しかしながらあまり効果がなく、新規の治療薬が求められている。また、臭化チオトロピウム水和物も上市されているが、さらに有効な薬剤が求められている。

0003

このため、COPDの根治的治療薬及び治療法はいまのところ確立されていない。

0004

Pauwels, R. A., Buist, A. S., Calverley, P. M., Jenkins, C. R., and Hurd, S. S. “Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. NHLBI/WHO Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) Workshop summary.” 「American journal of respiratory and critical care medicine」, vol.163: PP.1256‐1276, 2001.
Barnes, P. J. “Novel approaches and targets for treatment of chronic obstructive pulmonary disease.” 「American journal of respiratory and critical care medicine」, vol.160: S72‐79, 1999.

0005

また、COPDを含む慢性肺疾患による右心負荷が原因となって起こる肺性心等の心不全や、それに続く肝不全肺高血圧症等の循環不全等が、COPDに関連する循環器疾患として知られている。

0006

このため、COPDの根治的治療薬及び治療法が求められている。

0007

また、1980年代エイズ免疫不全症候群)に感染した患者のほとんどは死を免れなかった。HIVヒト免疫不全ウイルス)と呼ぶウイルスがCD4(抗原蛋白一種で、分子量59kDaの単鎖膜貫通型糖タンパク。)陽性細胞に感染し体の免疫系が破壊され、体力が弱って消耗し、死に至る。

0008

しかし、近年米国をはじめ先進各国では、HIV感染者の運命は劇的に様相が違ってきた。1996年7月にカナダバンクーバーで開かれた国際エイズ会議では、関係者希望を抱かせる発表が相次いだ。例えばニューヨークにあるアーロンダイヤモンド・エイズ研究センターのホー(David Ho)は、プロテアーゼ阻害剤とすでに1991年以降に市場に出回るようになっていたAZT(ジドブジン逆転写酵素阻害剤の一種)タイプの抗ウイルス剤とを組み合わせたカクテル療法(人体内でHIVが増えるのを邪魔する薬を複数使用して、AIDSの発症押さえる方法)によって、非常に優れた結果が得られたと報告した。また、カクテル療法の中でも、HAART療法(高活性抗レトロウイルス療法)等が注目されている。

0009

このカクテル療法は、根本治療にはならないものの、エイズ患者免疫細胞を増やすだけでなく、血液中ウイルス数検出限界以下にまで減らしたことが報告された。

0010

AZT、d4T(スタブジン,逆転写酵素阻害剤の一種)、ddI(ジダノシン,逆転写酵素阻害剤の一種)のような以前からの逆転写酵素阻害剤薬と一緒服用すると、これらのプロテア−ゼ阻害剤は最も有効に働くことが知られている(いわゆる抗HIV療法(highly active antiretroviral therapy)HAART療法)。事実、1996年から1998年の間に、米国ではHIV感染に伴う死者が70%以上も減り、エイズは死因の上位10位から外れた。エイズの死亡率は統計がとられるようになった1987年以降、1998年に最低となり、更に低下する見通しである。

0011

1995年12月、米食品医薬品局FDA)は最初のプロテアーゼ阻害剤「サキナビル」を認可した。1996年までには、さらに2つの阻害剤「リトナビル」と「インジナビル」が認可された。しかしながら、HIVプロテアーゼ阻害剤は、阻害作用は優れているものの副作用が多いという欠点を有している。

0012

ところで、HIV患者血清中チオレドキシン著明発現している(Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Feb 27;98(5):2688‐93)ことが分かっているが、今のところその意義は明らかになっていない。

0013

一方、エラスターゼは、肺を構成する弾性線維(elastic fiber)の主成分である不溶性タンパク質エラスチン加水分解するプロテアーゼとして知られている。このエラスターゼは、気管内へ投与することによって、COPDの一種である肺気腫を誘導することが古くから知られており、エラスターゼ投与動物が、肺気腫の動物モデルとして用いられている。

発明が解決しようとする課題

0014

我々は、上記の通り、エラスターゼが肺気腫を引き起こすことに鑑み、エラスターゼ等に代表されるプロテアーゼの阻害が、COPDの一種である肺気腫の治療に役立つのではないかという仮説に基づき、プロテアーゼ阻害剤を探索し、また得られたプロテアーゼ阻害剤であるレドックス活性蛋白質が、実際にCOPDを強力に抑制することや、免疫不全症候群の治療の為に、単独であるいはHAART療法等のカクテル療法に用いられるプロテアーゼ阻害剤として使用できる可能性を見出し、本発明を完成するに至った。

課題を解決するための手段

0015

上述の目的は、下記(1)乃至(4)から選択される、少なくとも一種以上を有効成分として含み、カスパーゼ−1の阻害作用を有することを特徴とする、プロテアーゼ阻害剤によって達成される。

0016

(1)チオレドキシン
(2)チオレドキシンのアミノ酸配列のうち、1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつチオレドキシンと同等の活性を有するタンパク質
(3)(1)をコードする遺伝子
(4)(2)をコードする遺伝子

発明の効果

0017

本発明のチオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類又はその遺伝子を含むプロテアーゼ阻害剤は、COPDを強力に抑制することができる他、免疫不全症候群の治療の為に、単独であるいはHAART療法等のカクテル療法に用いられるプロテアーゼ阻害剤として使用可能である。チオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類又はその遺伝子は、もともと生物細胞中に存在するものであるため、従来免疫不全症候群のカクテル療法に用いられているプロテアーゼ阻害剤のような副作用が無いという利点を有している。

発明を実施するための最良の形態

0018

〈プロテアーゼ〉
プロテアーゼとは、蛋白質分解酵素のことであるが、例えば、メタロプロテアーゼシステインプロテアーゼセリンプロテアーゼアスパラギン酸プロテアーゼ酸性プロテアーゼ)等が挙げられる。

0019

メタロプロテアーゼとは、亜鉛などの重金属活性中心に持つタンパク質分解酵素であり、マトリックス・メタロプロテアーゼ(以下、「MMP」と記載する。)やサーモリシン等が挙げられる。
MMPとは、動物細胞細胞間の接着性マトリックス・タンパク質を加水分解し、細胞分裂形態形成、さらにはガン転移に関与している亜鉛含有プロテアーゼである。MMPとしては、MMP−1,2,・・・28等30種類近くが同定されている。

0020

システインプロテアーゼとは、システイン残基を活性中心に持つプロテアーゼであり、
カスパーゼ,パパイン(papain)等が挙げられる。カスパーゼとしては、カスパーゼ−1,
2,3・・等20種類近くが挙げられるが、中でもカスパーゼ−1、−3や−9が、本発
明のプロテアーゼ阻害剤のターゲットとして重要である。

0021

カスパーゼは、アスパラギン酸C末端側を切断するが、不活性型前駆体として存在し、アポトーシスシグナルにより切断されて活性型になるものである。具体的には、カスパーゼ−1等が挙げられ、これはインターロイキン1β変換酵素とも呼ばれ、IL‐18前駆体を切断し、活性型のIL‐18とすることも知られている。

0022

セリンプロテアーゼとしては、エラスターゼの他、キモトリプシン(chymotrypsin)やスブチリシン(subtilisin)等が挙げられる。

0023

エラスターゼとは、肺を構成する弾性線維(elastic fiber)の主成分である不溶性タンパク質エラスチンを加水分解するプロテアーゼとして知られている。

0024

アスパラギン酸プロテアーゼとしては、ペプシン(pepsin)やカテプシンD(cathepsin D)等が挙げられる。

0025

〈本発明のプロテアーゼ阻害剤〉

0026

(レドックス活性蛋白質)
本発明のプロテアーゼ阻害剤の有効成分として用いられるものとしては、下記(1)乃至(4)単独の他、これらの組み合わせ等が挙げられる。
(1)チオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類
(2)チオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつチオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類と同等の活性を有するタンパク質
(3)(1)をコードする遺伝子
(4)(2)をコードする遺伝子

0027

レドックス活性蛋白質と同等の活性とは、下記に示す、レドックス制御活性を言う。

0028

レドックス活性蛋白質とは、レドックス酸化還元,reduction‐oxidation)の両方の活性を有することによって、レドックス制御(酸化還元状態を調節すること)のできる蛋白質であり、レドックス活性ペプチド等をも含むものである。例えば、チオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類や、HO−1(ヘムオキシゲナーゼ−1)等が挙げられる。

0029

チオレドキシン(以下「TRX」と記載する。)ファミリーに属するポリペプチド類(以下、「TRX−P」と記載する。)とは、ジチオール結合やジスルフィド結合酸化還元活性を有するポリペプチド類であって、もともと、生物細胞中に存在するポリペプチド類である(特開2002−179588等参照)。

0030

本発明で言う「TRX−P」には、天然のヒトを含む動物、植物、大腸菌酵母からの抽出ポリペプチド類以外に、遺伝子組換えにより酵母や大腸菌等から抽出されるポリペプチド類、化学合成で作成されるポリペプチド類等も含まれる。但し、ヒト由来のもの、及びそれを大腸菌、酵母において遺伝子組換えで作成したもの、及びそれらと同一又は類似の配列からなる合成ペプチドが、生体に与える影響がより少ないと考えられるため好ましい。

0031

TRX−Pは、システイン残基を含む活性部位(−Cys−X1−X2−Cys −:X1 ,X2は、アミノ酸残基を表し、同一であっても異なるものでも良い。)を有し、類似の3次元構造を持つ分子群である。従って、本発明で言う「TRX−P」には、上記の他、ジチオール結合やジスルフィド結合の酸化還元活性を損なわない範囲で、一部のアミノ酸が欠失又は置換されたものや、他のアミノ酸,ペプチドが融合されたものであっても良い。

0032

活性部位の具体例としては、−Cys−Gly−Pro−Cys −,−Cys−Pro−Tyr−Cys −,−Cys−Pro−His−Cys −,−Cys−Pro−Pro−Cys −等が挙げられるが、中でも、−Cys−Gly−Pro−Cys −が、種を超えて保存されている配列であるため、マウスモデルによる実験結果の人間への応用がより確実であるという理由で好ましい。

0033

「TRX−P」には、具体的には、例えば、活性部位が−Cys−Gly−Pro−Cys −であるチオレドキシン(TRX),グルタレドキシン等が挙げられる。

0034

TRX−Pには、ヒト,大腸菌,酵母由来のものがあり、グルタレドキシンには、ヒト、大腸菌由来のものがある。

0035

ヒト細胞から「TRX−P」を抽出する具体的な方法としては、以下の方法が例示される。
(A)ヒト由来の細胞株から抽出する方法(特開平1−85097号公報等参照)。
(B)遺伝子組換え法を用いる方法(特開平1−85097号公報等参照)。
(C)ペプチド合成法を用いる(特開平5−139992号公報等参照)。

0036

本発明のプロテアーゼ阻害剤中の、有効成分の含有量は、剤形によって様々であり、一概に限定できず、各種剤形化が可能な範囲で、投与量との関係で適宜選択すれば良いが、例えば液剤の場合、0.0001〜10(w/v%),好ましくは0.001〜5(w/v%),特に注射剤の場合、0.0002〜0.2(w/v%),好ましくは0.001〜0.1(w/v%),固形剤の場合、0.01〜50(w/w%),好ましくは0.02〜20(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。

0037

本発明のプロテアーゼ阻害剤の投与量は、投与経路、症状、年齢、体重、剤の形態等によって異なるが、例えば、プロテアーゼ阻害剤中の有効成分の量が、処置を必要としている対象体重1kg当たり0.005〜500mg,好ましくは、0.1〜100mg,但し、成人に対して1日あたり、下限として0.01mg(好ましくは0.1mg),上限として、20g(好ましくは2000mg,より好ましくは500mg,更に好ましくは100mg)となるように、1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。

0038

本発明のプロテアーゼ阻害剤は、従来知られている本発明の目的とする疾患の予防又は治療成分との合剤としても良い。その予防又は治療成分としては、以下の1.−5.等が挙げられる。

0039

1.メディエーターアンタゴニスト
例えば、LTB4 antagonists (例えばLY29311, SC‐53228, CP‐105,696, SB201146, BIIL284)、5’‐Lipxygenase inhibitors (例えばzileutin, Bayx1005)、Chemokine inhibitors、IL‐8 antagonists (例えばSB225002; CXCR2 antagonists)、TNF inhibitors (例えばmonoclonal Ab, soluble receptors, MMP inhibitors)、Antioxydants (例えばNAC,NAL,グルタチオンスーパーオキシドジスムターゼ等)、Prostanoid inhibitors (例えばCOX‐2 inhibitors, thromboxane antagonists、isoprostane receptor antagonists)、iNOS inhibitor 等

0040

2.抗炎症剤
例えば、Phosphodiesterase 4 inhibitors (例えばSB207499, CP80633, CDP‐840)、Adhesion inhibitors (例えばanti‐CD11/CD18, anti‐ICAM1, E‐selectin inhibitors)、Prostaglandin E analogs (例えばmisoprostil, butaprost)、サイトカイン(例えばIL‐10)、Colchicine、Macrolide antibiotics (例えばerythromycin, clarithromycin, roxithromycin)等

0041

3.プロテアーゼインヒビター
例えば、Neutrophil elastase inhibitors (例えばICI200355, ONO‐5046,MR‐889, L658,758)、Cathepsin inhibitors (例えばsuramin)、Matrix metalloprotease inhibitors (例えばbatimastat, marimastat、KBR7785)、alpha1‐antitrypsin (例えばpurified, human recombinant, gene transfer)、Secretory leukoprotease inhibitor、Elafin等

0042

4.Immunoregulators:
例えば免疫抑制剤FK506等

0044

また、本発明のプロテアーゼ阻害剤には、その阻害効果を阻害しない範囲で、他の成分を含有させることができ、例えば薬学的に許容される担体として、賦形剤滑沢剤結合剤崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤希釈剤界面活性剤乳化剤可溶化剤吸収促進剤保湿剤吸着剤充填剤増量剤、付湿剤、防腐剤等の添加剤を用いて周知の方法で製剤化することができる。

0045

ここに、賦形剤としては、有機系賦形剤及び無機系賦形剤等が挙げられる。

0046

本発明のプロテアーゼ阻害剤は、主に経口投与するためのものであるが、具体的には、例えば錠剤カプセル剤顆粒剤散剤丸剤トローチ、もしくはシロップ剤等の形態で、経口投与される。

0047

投与形態としては、経口投与のほか、静注等の静脈投与筋肉内投与経皮投与、皮内投与、皮下投与腹腔内投与直腸内投与、粘膜投与吸入等が挙げられるが、静注等の静脈投与が安全かつ血中濃度を一定に保つという点で好ましい。

0048

尚、上述のレドックス活性蛋白質をコードする遺伝子を、遺伝子療法における、プロテアーゼ阻害剤やCOPD又は免疫不全症候群の予防・治療剤として用いることもできる。

0049

その際の遺伝子形態としては、DNAの他、RNA、プラスミドウイルスベクター等が使用可能であり、一本鎖であっても二本鎖であっても良い。

0050

プラスミドを用いる場合、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロインジェクション法リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポソーム法が好ましい。

0051

ウイルスベクターを用いる場合、(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994)等)に記載されているように、ウイルスに、目的とする遺伝子を組み込むことによって行うことができる。

0052

ウイルスベクターに用いるウイルスとしては、例えばレトロウイルスアデノウイルスアデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルスワクシニアウイルスポックスウイルスポリオウイルスシンビスウイルス等のDNAウイルス又はRNAウイルスが挙げられる。
ウイルスの中では、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス等が好ましく、特にアデノウイルスが好ましい。

0053

遺伝子を実際に医薬として作用させるには、当該遺伝子を直接体内に導入する「in vivo法」の他、ヒトから採集した細胞に当該遺伝子を導入し、その後、遺伝子導入細胞体内に戻すという、「ex vivo法」等がある(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994))が、「in vivo法」がより好ましい。

0054

「in vivo法」により投与する場合は、治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路を選択することができる。投与経路としては、例えば、静脈動脈、皮下、皮内、筋肉内等が挙げられる。

0055

「in vivo法」によって投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとりうるが、一般的には有効成分である遺伝子を含有する注射剤等の形態が好ましく、必要に応じて、慣用の担体を加えてもよい。

0056

また、遺伝子を含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルスHVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤凍結剤遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態として用いることができる。

0057

〈本発明の阻害剤を用いた、プロテアーゼ阻害方法
本発明のプロテアーゼ阻害剤を、上記のような様々な形態で投与すること、あるいは、本発明のプロテアーゼ阻害剤である遺伝子を、遺伝子治療において用いることによって、予防又は治療することができる。

0058

〈本発明の効果確認に用いる疾患動物モデルの作製方法
[伝統的COPD動物モデル]
本発明において、COPD抑制効果の確認のために用いる肺気腫動物モデルは、文献記載の方法を用いることができるが(Shapiro, S. D. Animal models for COPD. Chest, 117: 223S‐227S, 2000)、具体的には、例えば無菌PBSに懸濁したブタエラスターゼを、シリンジで気管内投与すること等によって作製することができる。

0059

[新規疾患動物モデル]
本発明において、COPD抑制効果の確認のために用いる疾患動物モデルとしては、本発明者(星野,特願2004−069835)によって開発された、新たなCOPD動物モデルも用いることができる。その作製方法を以下に記載する。

0060

ここで用いられるCOPD動物モデルとは、肺特異的に発現するプロモーターの制御下にある下記(X1)乃至(Y2)のいずれかの遺伝子を含むことを特徴とする組換え遺伝子を導入した動物モデルである。
(X1)インターロイキン−18遺伝子
(X2)インターロイキン−18のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつインターロイキン18と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(Y1)カスパーゼ−1遺伝子
(Y2)カスパーゼ−1のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつカスパーゼ−1と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子

0061

この動物モデルを用いることによって、生後約5から8週間という短期間で、肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症することが確認されている。これによって、従来、起炎物となるタバコの繰り返し投与のために6ヶ月に亘る長期間を要していた動物モデル作製期間が短縮され、しかもブタエラスターゼやパパイン等も含めて起炎物の投与を一切行わないで簡便に行うことができる。

0062

〈組換え遺伝子〉
この動物モデルに導入する組換え遺伝子は、下記(X1)又は(X2)遺伝子(以下、併せて「IL‐18遺伝子類」と記載することがある。)、あるいは下記(Y1)又は(Y2)遺伝子(以下、併せて「カスパーゼ1遺伝子類」と記載することがある。)を、肺特異的に発現するプロモーターの制御下に置くことによって、得ることができる。肺特異的に発現するプロモーターとしては、肺構成細胞由来プロモーター等が挙げられ、例えば肺サーファクタントプロモーター又はクララ細胞プロモーター等が挙げられる。

0063

(X1)IL‐18遺伝子
(X2)IL‐18のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつIL‐18と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(Y1)カスパーゼ−1遺伝子
(Y2)カスパーゼ−1のアミノ酸配列のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失,置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなりかつカスパーゼ−1と同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子

0064

IL‐18と同等の活性とは、IL‐18レセプターを通じたシグナル伝達等を意味し、例えばインタフェロンγ(IFN−γ)を誘導する活性等を意味する。また、カスパーゼ−1と同等の活性とは、IL‐18前駆体(プロIL‐18: proIL‐18)を切断して、活性型(成熟型IL‐18: matureIL‐18)とする活性を意味する。

0065

肺サーファクタントプロモーターとしては、ヒト肺サーファクタントプロモーター(surfactant protein‐C遺伝子プロモーター、以下、「SPCプロモーター」と記載する。)等が挙げられる。SPCプロモーターは、例えばEarly restriction of peripheral and proximal cell lineages during formation of the lung. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10482‐7.に記載された手法に準じて得ることができる。

0066

クララ細胞プロモーターとしては、CC10プロモーター(CCSPと言うことがある。)等が挙げられる。CC10プロモーターは、例えばcis‐acting elements that confer lung epithelial cell expression of the CC10 gene. J Biol Chem. 1992 Jul 25;267(21):14703‐12.に記載された手法に準じて得ることができる。

0067

これらのプロモーターを用いることで、本発明の疾患動物モデルを効率良く作成することができる。

0068

組換え遺伝子は、このほか、導入遺伝子細胞外への放出を促進するためのシグナルペプチド(SP)遺伝子や、コザック配列等のタンパク発現を最適化する作用を持つ配列、発現遺伝子釣り出し等に有用なポリA配列等を含んでいることが好ましい。

0069

シグナルペプチドとは、タンパク質が細胞外に分泌される際、その疎水性により脂質で出来た細胞膜を通過するのに役立つアミノ酸配列であり、膜を通過した後、シグナルペプチダーゼと言う酵素で切断されるものである。
シグナルペプチドとしては、例えばマウスの免疫グロブリン(以下「Ig」と記載する。)κチェーン・シグナルペプチド等が挙げられる。
マウスのIgκ−チェーン・シグナルペプチドは、例えば、Carroll, W. L., E. Mendel, S. Levy. 1985. Hybridoma fusion cell lines contain an aberrant kappa transcript. Mol. Immunol. 25:991.等に記載されている。

0070

コザック配列とは、遺伝子のATG開始コドン周辺で見つかった、細菌由来の、グアニンシトシンを多く含むDNA配列で、タンパク発現を最適化する作用をもち、クローニングの際に用いられている配列である。
例えば、Nucleic AcidsRes. 1984 Jan 25;12(2):857‐72. Compilation and analysis of sequences upstream from the translational start site in eukaryoticmRNAs. に記載されている。

0071

ポリA配列とは、遺伝子中のヌクレオチド配列で、アデニル酸(A)が連続している部分を言う。
ポリA配列としては、ウシ由来のポリA配列等が挙げられる。例えば、Goldman, L. A., E. C. Cutrone, S. V. Kotenko, C. D. Krause, J. A. Langer. 1996. Modifications of vectors pEF‐BOS, pcDNA1 and pcDNA3 result in improved convenience and expression. BioTechniques 21:1013.等に記載されている。

0072

また、組換え遺伝子が(X1)又は(X2)等のIL‐18遺伝子類を用いたものである場合には、導入遺伝子の細胞外への放出を促進するためには、シグナルペプチド遺伝子の導入のほか、proIL‐18を活性型IL‐18に変換するIL‐1β変換酵素(カスパーゼ−1)遺伝子を、IL‐18遺伝子類とともに動物モデルに導入し、共に発現させる方法等、他の公知の技術を用いることもできる。

0073

〈疾患動物モデル〉
疾患動物モデルは、例えば次のような方法で、作成することができる。

0074

本発明に使用される動物としては、げっ歯類動物、イヌネコサルウマ、ブタ等が挙げられ、このうち、げっ歯類動物としてはマウス、ラット等が挙げられるが、マウスが好ましく、マウスは、例えば、C57BL/6Nマウス(B6マウスとも言う)、Balb/cマウス等が好ましく用いられ、中でも、B6マウスが好ましい。

0075

以下本発明の説明においては、おもに、導入動物がマウスの場合を例に挙げて説明することがあるが、本発明は、マウスに関するものに限定されるものではない。

0076

上記を含む組換え遺伝子の作出方法としては、遺伝子組換えの公知の方法を用いることができるが、例示すると、以下の通りである。尚、以下では主にIL‐18遺伝子によって説明するが、上記(X2)のIL‐18関連遺伝子や、上記(Y1),(Y2)のカスパーゼ1遺伝子類の場合も同様に行うことができる。

0077

マウスIgκ−チェーンの、V‐J2‐C領域から取り出したシグナルペプチド(文献(1)Hoshino T, Kawase Y, Okamoto M, Yokota K, Yoshino K, Yamamura K, Miyazaki J, YoungHA, Oizumi K. Cutting edge:IL‐18‐transgenic mice: in vivo evidence of a broad role for IL‐18 in modulating immune function. J Immunol 2001;166:7014‐7018/文献(2)Kawase Y, Hoshino T, Yokota K, Kuzuhara A, Kirii Y, Nishiwaki E, Maeda Y, Takeda J, Okamoto M, Kato S, Imaizumi T, Aizawa H, Yoshino K. Exacerbated and Prolonged Allergic and Non‐Allergic Inflammatory Cutaneous Reaction in Mice with Targeted Interleukin‐18 Expression in the Skin. J Invest Dermatol 2003;121:502‐509)と、マウスのpro‐IL‐18cDNA(上記文献(1)参照)を用い、シグナルペプチドを持つ成熟IL‐18cDNAを、PCR法によって取得する(上記文献(1),(2)参照)。pro‐IL‐18cDNAは、活性型(mature IL‐18)になった際に、上記(X)又は(Y)遺伝子となるものであれば良い。

0078

シークエンス(DNA配列)を図12及び配列1に例示する。図12(配列1)の配列中、7〜9番目にある開始コドン「ATG」の直後の、10番目の配列Gから、69番目の配列Cまでが、マウスIgκ鎖のV‐J2‐C領域由来シグナルペプチド遺伝子,その直後の「AAC」コドンから541〜543番目の「TAG」STOPコドンの直前の「AGT」コドンまでが、マウスの成熟IL‐18cDNAである。

0079

尚、開始コドンの前の、「GGA ACA」は、元々マウスのpro‐IL‐18cDNAのゲノムにあった、コザック配列を含む、タンパク発現を最適化する配列領域である。

0080

また、STOPコドンの後の「GTG」は、元々マウスのpro‐IL‐18cDNAのゲノムにあった配列であるが、特に必要ではないと考えられる。

0081

次に、pCR2.1ベクター(Invitrogen製)を用いてPCR産物をクローニングし、シークエンスする(上記文献(1),(2)参照)。続いてヒトサーファクタントのプロモーターSPC(Early restriction of peripheral and proximal cell lineages during formation of the lung. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10482‐7.)、SV40small T intron(Early restriction of peripheral and proximal cell lineages during formation of the lung. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10482‐7.)とウシ由来ポリA(Goldman, L. A., E. C. Cutrone, S. V. Kotenko, C. D. Krause, J. A. Langer. 1996. Modifications of vectors pEF‐BOS, pcDNA1 and pcDNA3 result in improved convenience and expression. BioTechniques 21:1013.)を含む3.7SPC/SV40ベクター(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, August 6, 2002 vol. 99 no. 16 10482‐10487)を、EcoRI[New England Biolabs (MA, USA)]で切り出してEcoRIサイトに組み込む方法によってサブクローニングし、SPC‐IL‐18SPとする(図13)。

0082

SPC‐IL‐18SP をNdeI[New England Biolabs (MA, USA)]とNotI[New England Biolabs (MA, USA)]の制限酵素部位で37℃、2時間以上で(New England Biolabs (MA, USA)のプロトコールに準ずる)切断することによって、直鎖状DNAフラグメントを得ることができる。

0083

組換え遺伝子をマウスに導入する方法としては、公知の遺伝子導入方法を用いることができるが、例えば、マウスの受精卵に上述のようにして得られた組換え遺伝子(上述の直鎖状DNAフラグメント)をマイクロインジェクション法(注入時期前核期受精卵,注入箇所:雄生前核)にて注入し、代理母マウスの卵管に挿入して作製したSPC‐IL‐18TGマウス(founder)を得る。組換え遺伝子注入の確認は、生まれたマウス(ファウンダー)の尾部等の組織からDNAesay kit [Qiagen, Germany]等を用いて、DNAを抽出し、PCRで確認できる。雄性野生型のマウス(代理母と同系で無いもの)と掛け合わせ、その子孫雌雄どちらでも可。F2,F3,・・・・を含む)のうち、IL‐18を発現しているものを選別することで、組換え遺伝子導入の作製を行うことができる。選別する方法としては、尾部等の組織のゲノムDNAを用いたPCR分析、血清中の成熟IL‐18のELISA分析,肺や心臓肝臓等における、成熟IL‐18のウェスタンブロッティング分析等が挙げられる(上記文献(1),(2)参照)。

0084

肺特異的に発現するプロモーターの制御下にあるIL‐18遺伝子の導入量は、マウスの種類や発症させたいタイミング、発症させたい程度等にて合わせて、適宜調節することができ、特に限定されるものではないが、一般的には、マウスの肺で1 ng/lung以上(50 ng/kg 体重),10 ng/lung以下(500ng/kg体重)が適当と考えられる。

0085

動物モデルにおけるIL‐18発現が、例えばマウス血清中の成熟IL‐18のELISA分析で1 ng/mL以上、10ng/mL以下となる程度に導入することが好ましい。導入量が多いほど、上記の標的とする肺疾患や循環器疾患の殆どが発症する傾向にある。本モデル動物においては、同時に様々な疾患が発症し得るが、例えば肺疾患と心疾患では、病巣が異なるので、スクリーニングに当たって、いずれの部位に効く薬かは、区別可能である。また、疾患部位が同じ病気の場合でも、それぞれ特徴となる病態が異なるため、いずれの疾患の薬剤候補となり得るかは個々の臓器解析することで判断可能である。

0086

SPC‐IL‐18導入から発症までの時期は、特に限定されるものではないが、早ければ4週齢前後から発症し始め、5週齢前後で殆どが発症し、高齢になるほど強い症状が現れる傾向にある。早い段階では、発症する疾患の種類やその出方に差があるが、5から8週齢前後で、上記の肺疾患や循環器疾患の殆どが発症する傾向にある。

0087

上記のようにして得られた疾患動物モデルは、慢性閉塞性肺疾患動物モデルとして有用であり、この動物モデルを用いることによって、この疾患の予防又は治療剤のスクリーニングが可能となる。

0088

試験管ベルでのTRXによる、プロテアーゼ抑制確認試験
TRXによる、カスパーゼ−1,MMP−1,MMP−9の抑制効果を調べた。
アッセイ方法

0089

〈カスパーゼ−1〉
Thornberry NA (Nature 356(30):768‐775,1992)に準じて行った。つまりリコンビナントヒトカスパーゼ−1を用い基質は20μM Ac‐YVAD‐AMC、37℃3時間反応させAMC(7‐amino‐4‐methylcoumarin)の蛍光量で2回定量した(MDS Pharma Services Japan, 京都に測定委託) 。

0090

〈MMP−1,9〉
リコンビナントMMP−1(ペプチド研究所,京都), リコンビナントMMP−9(ペプチド研究所,京都)を用い、基質は50μM P3163‐v(ペプチド研究所,京都):MOCAc‐Pro‐Leu‐Gly‐Leu‐A2pr(DNP)‐Ala‐Arg‐NH2を用い、37℃で2時間反応させ、蛍光量で2回定量した。

0091

試験結果〉
精製TRX 100μg/mLの存在下で、カスパーゼ−1は21%抑制された。また精製TRX 100 μg/mLの存在下でMMP−1,MMP−9がそれぞれ47%、76%抑制された。このことから、TRXには、システインプロテアーゼやメタロプロテアーゼ等のプロテアーゼの抑制効果があることが確認された。

0092

[伝統的動物モデルを用いた、TRXのCOPD抑制効果実験]
上述した、エラスターゼを用いた伝統的なCOPD動物モデルを使って、剤の効果を確認する実験を行った。8週齢C57BL/6Nマウスを下記1〜4の各群について5匹ずつ用いた。

0093

(第1群)DAY1に、無菌のPBS100μLをシリンジで気管内投与した群(参考例:controlマウス)。
(第2群)DAY1に、無菌のPBS 100μLに懸濁したブタエラスターゼ(SIGMA社製、0.3U)をシリンジで気管内投与した群(比較例1:病態マウスモデル1)。
(第3群) DAY0からDAY20まで隔日で、TRX投与のコントロールとして無菌のPBS 100μLに懸濁した卵白アルブミン(OVA,SIGMA社製、40μg)を腹腔内投与し、無菌のPBS 100μLに懸濁したブタエラスターゼ(SIGMA社製カタログ番号E1250、0.3U)を、DAY1にシリンジで気管内投与した群(比較例2:病態マウスモデル2)。
(第4群)DAY0からDAY20まで隔日で、無菌のPBS 100μLに懸濁したヒトリコンビナントTRX(40μg)を腹腔内投与し、無菌のPBS 100μLに懸濁したブタエラスターゼ(SIGMA社製 カタログ番号E1250、0.3U)をDAY1にシリンジで気管内投与した群(実施例2:病因+治療剤投与マウス)。

0094

すべてのマウスはDAY21で回収した。20%中和ホルマリン気管支から15cmH2O圧をかけてマウス肺を還流固定。肺パラフィン切片HE染色した。顕微鏡画像顕微鏡用デジタルカメラDXM1200(NIKON製)で取り込み、解析ソフトはACT−1(NIKON製)、Photoshop (Adobe社製)を用いた。具体的には各群からランダム肺組織スライド)を選ぶ。一匹のマウスの両肺から左右の上肺野中肺野と下肺野の計6断面のHE染色スライドから各断面5視野の画像をACT−1で取り込む。Photoshop (Adobe社製)を用いて各視野で300マイクロメーターグリッド(線)を4つ引く。肺胞がこのグリッドを横切った数を数える。例えば3回横切ると平均の肺胞の長さ(mean linear intercept: Lm)は300マイクロメーター/3=100マイクロメーターである。一匹のマウスのLmを6断面x5視野x4グリッド(線)=120グリッド(線)から求め各群の平均及びWelchのt検定統計解析を行った。

0095

組織学的に(第1群:controlマウス)には肺に有意な変化はなかった(図1)。

0096

一方、(第2群:病態マウスモデル1)には著明に肺胞腔広がり、実験病理学的COPDが出来た(図2)。

0097

また、(第3群:病態マウスモデル2)には、著明に肺胞腔が広がり、実験病理学的COPDが出来るが、第2群と差がなかった。つまりレドックス蛋白でないコントロール蛋白であるOVAの腹腔内投与ではCOPDの発症は抑制されないことが判明した(図3)。

0098

(第4群:病因+治療剤投与マウス)では、肺に変化は少なく、TRXが実験病理学的COPDを強力に抑制することが分かった(図4)。

0099

そこで、これらHE染色スライドを用いて画像解析を行い、Lmを求めたところ、第1群, 第2群,第3群,第4群のLmの平均はそれぞれ31.7, 69.0, 82.0, 30.4マイクロメーターだった(図5)。

0100

Lmを計測すると、第4群(病因+治療剤投与マウス)は、第2群(病態マウスモデル1, p=2.62x10e‐24)、第3群(病態マウスモデル2, p=4.00x10e‐20)に比べCOPDを統計学的有意に抑制した。

0101

一方、第4群(病因+治療剤投与マウス)は、第1群(controlマウス)に比べLmに有意差はなかった。

0102

実験の結果、この系を用いてレドックス活性蛋白質であってチオレドキシンファミリーに属するポリペプチド類であるTRXが、実験病理学的COPDを強力にかつ統計学的有意に抑制することが確認された。

0103

また、レドックス活性蛋白質が、エラスターゼによって誘導される肺気腫動物モデルを抑制することから、このレドックス活性蛋白質が、エラスターゼ阻害剤として機能していることが確認された。つまり、実施例1の結果と考え併せると、レドックス活性蛋白質、又はこれらをコードする遺伝子が、エラスターゼに代表されるプロテアーゼを阻害する効果を有することは明らかである。

0104

[新規動物モデルを用いた、TRXの実験病理学的COPD抑制効果実験]
上述した新規COPD動物モデルを使って、剤の効果を確認する実験を行った。
上述の様にして作製した、7から8週齢のSPC‐IL‐18TGマウス(各群5匹)に、隔日で0.1mLの無菌のリン酸緩衝液(PBS)(コントロール)もしくは0.2mLに溶解したリコンビナントヒトTRX400μg/mL(つまり一匹あたり40μg)を腹くう内投与した。21日後にマウス肺を回収し、肺組織をHE染色した。

0105

結果を図6,7に示す。その結果、PBSを投与したコントロール(図6)では、実験病理学的COPDが発症していたのに対し、TRX投与群図7)では、COPDは見られなかった。

0106

上記のマウスモデルは、肺特異的にIL‐18を発生させることにより、疾患を発症させるものである。そして、TRXにはIL‐18阻害作用が知られており、これらのことから、IL‐18のシグナルを抑制すると、COPDを初めとする、上記のマウスモデルの呈する疾患の予防又は治療が可能となることは明らかである。

参考例

0107

[COPD患者の病変局所におけるTRXの強発現]
COPD患者10人の外科手術で得た組織及び交通事故等で亡くなった人等の6人の肺組織を、ホルマリン固定しパラフィン切片を作製した。抗ヒトTRX抗体(Serotec製)で免疫組織染色を行った。免疫組織染色は以下の論文の方法に従った。
Kitasato, Y., Hoshino, T., Okamoto, M., Kato, S., Koda, Y., Nagata, N., Kinoshita, M., Koga, H., Yoon, D. Y., Asao, H., Ohmoto, H., Koga, T., Rikimaru, T., and Aizawa, H. Enhanced expression of interleukin‐18 and its receptor in idiopathic pulmonary fibrosis. Am J Respir Cell Mol Biol, 31: 619‐625, 2004.

0108

その結果を、図8〜11に示す。健常者の肺胞上皮には、TRXは、弱くしか発現していなかった(図8,9)。
これに対して、COPD患者の肺病変部には、TRXが強く発現していた。特に浸潤炎症細胞、肺胞上皮や気管支の繊維芽細胞に強く発現していることが確認された(図10,11)。

0109

本発明のチオレドキシン又はその遺伝子を含むプロテアーゼ阻害剤は、COPDを強力に抑制すること,及び免疫不全症候群の治療の為に、単独であるいはHAART療法等のカクテル療法に用いられるプロテアーゼ阻害剤として使用可能である。

図面の簡単な説明

0110

実施例2の第1群(controlマウス)の肺組織の顕微鏡画像である(HE染色,×40倍)
実施例2の第2群(病態マウスモデル1)の肺組織の顕微鏡画像である(HE染色,×40倍)
実施例2の第3群(病態マウスモデル2)の肺組織の顕微鏡画像である(HE染色,×40倍)
実施例2の第4群(病因+治療剤投与マウス)の肺組織の顕微鏡画像である(HE染色,×40倍)
実施例2の第1〜4群のマウスの、平均の肺胞の長さ(mean linear intercept: Lm)を表す図である。
実施例3のSPC‐IL‐18TGマウスに、PBSを投与した群(コントロール)の肺組織の顕微鏡画像である(HE染色,×40倍)
実施例3のSPC‐IL‐18TGマウスに、TRXを投与した群の肺組織の顕微鏡画像である(HE染色,×40倍)。
参考例の、健常人の肺組織における、TRXの発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫組織染色,×40倍)。
参考例の、健常人の肺組織における、TRXの発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫組織染色,×200倍)。
参考例の、COPD患者の肺組織における、TRXの発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫組織染色,×40倍)。
参考例の、COPD患者の肺組織における、TRXの発現量を示す、免疫組織染色の結果を示す図である(免疫組織染色,×200倍)。
シグナルペプチドを持つ成熟IL‐18cDNAのシークエンス(DNA配列)である。
本発明で用いられる組換え遺伝子SPC‐IL‐18SPである。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ