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技術 焙煎コーヒー豆の製造方法、コーヒー抽出液の製造方法、及び容器詰めコーヒー飲料の製造方法

出願人 サントリー食品インターナショナル株式会社
発明者 高橋賢藏南善清金渕義幸戸上敬子三橋守男
出願日 2011年3月2日 (10年7ヶ月経過) 出願番号 2011-045529
公開日 2011年6月2日 (10年4ヶ月経過) 公開番号 2011-103901
状態 特許登録済
技術分野 茶・コーヒー
主要キーワード ラストノート コーヒー果実 乾燥コーヒー ペーパーフィルター 抽出原液 ブラックコーヒー シリコン栓 コーヒーアロマ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年6月2日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

簡便にコーヒー生豆香味を改善することにより、独特香りを有する風味豊かなコーヒー豆を得やすくするコーヒー生豆の処理方法を提供する。

解決手段

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程と、前記発酵処理済みのコーヒー生豆のみを選別する分離工程とを有するコーヒー生豆の処理方法。

概要

背景

コーヒー豆は、コーヒーノキと呼ばれるアカネ科の植物の果実コーヒー果実、またはコーヒーチェリーと称される)から果肉薄皮を除去する工程(精製工程)を経て得られる種子(コーヒー種子)、およびそれを加工した豆の総称である。このうち、コーヒー豆を加熱して煎り上げるプロセスである焙煎工程を経る前のコーヒー豆をコーヒー生豆、焙煎工程を経た後のコーヒー豆を焙煎コーヒー豆と称している。

そして、この焙煎コーヒー豆を粉砕した粉砕物熱湯や水などの抽出原液加水して濾布メッシュ等の濾材により濾過抽出することにより、抽出液であるコーヒー飲料を得ていた。

コーヒー飲料は嗜好飲料としてその需要もますます増大すると共にニーズ多様化が進んでいる。そのため、コーヒー飲料として従来とは異なる香味を有する等、多様な品種が望まれている。そのため、コーヒー飲料の香味の改善をして多品種の製造に対応できるのが望ましい。

コーヒー飲料の香味を改善するためには、コーヒー豆の香味を改善することが考えられる。例えば、前記焙煎工程において、加熱温度、加熱時間、圧力等を種々変更することによりコーヒー豆の香味を改善することが考えられ、実際、このようにして良好な香味を有するようにコーヒー豆を処理していた。

しかし、このような焙煎工程における諸条件を変更するのみでは、コーヒー豆の香味を改善するのに十分ではなかった。

そこで、焙煎後のコーヒー豆に香味成分を添加することにより、コーヒー飲料の香味を改善することが考えられている(例えば、特許文献1)。

具体的には、粉砕したコーヒー生豆に麹菌接種して発酵させた後に焙煎し、この際発生する香味成分を抽出し、焙煎コーヒー豆に添加する。抽出された香味成分は、強いコーヒー風味を有すると共に発酵に伴う特異な香味を伴わないため、香味成分を添加された焙煎コーヒー豆には良好なコーヒーの香味を添加でき、コーヒー豆の香味を良好に改善することができるとされている。

概要

簡便にコーヒー生豆の香味を改善することにより、独特香りを有する風味豊かなコーヒー豆を得やすくするコーヒー生豆の処理方法を提供する。コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程と、前記発酵処理済みのコーヒー生豆のみを選別する分離工程とを有するコーヒー生豆の処理方法。

目的

従って、本発明の目的は、簡便にコーヒー生豆の香味を改善することにより、独特の香りを有する風味豊かなコーヒー豆を得やすくするコーヒー生豆の処理方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有するコーヒー生豆の処理方法

請求項2

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程後に、発酵処理済みのコーヒー生豆のみを選別する分離工程を行うコーヒー生豆の処理方法。

請求項3

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させた後、微生物を接触させる発酵工程を有するコーヒー生豆の処理方法。

請求項4

微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させた後、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆を接触させる発酵工程を有するコーヒー生豆の処理方法。

請求項5

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有し、前記微生物が、酵母乳酸菌カビからなる群から選択される少なくとも1種であるコーヒー生豆の処理方法。

請求項6

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有し、前記資化成分が果肉果汁、糖類、穀物類培地からなる群から選択される少なくとも1種であるコーヒー生豆の処理方法。

請求項7

前記果肉がコーヒー果肉であり、前記コーヒー果肉は乾燥した状態である請求項6に記載のコーヒー生豆の処理方法。

請求項8

コーヒー生豆とコーヒー果肉とを有するコーヒー果実に対し、前記コーヒー果肉を資化する微生物を接触させて発酵処理させるコーヒー生豆の処理方法。

請求項9

前記コーヒー果実は乾燥した状態である請求項8に記載のコーヒー生豆の処理方法。

請求項10

前記酵母が醸造用酵母である請求項5に記載のコーヒー生豆の処理方法。

請求項11

コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有するコーヒー生豆の処理方法により処理されたコーヒー生豆を焙煎処理してある焙煎コーヒー豆

請求項12

請求項11に記載の焙煎コーヒー豆を粉砕して加水し、濾材により濾過抽出して得られるコーヒー飲料

技術分野

0001

本発明は、コーヒー生豆処理方法、その処理方法により得られたコーヒー生豆を焙煎処理してある焙煎コーヒー豆、及び、その焙煎コーヒー豆から得られたコーヒー飲料に関する。

背景技術

0002

コーヒー豆は、コーヒーノキと呼ばれるアカネ科の植物の果実コーヒー果実、またはコーヒーチェリーと称される)から果肉薄皮を除去する工程(精製工程)を経て得られる種子(コーヒー種子)、およびそれを加工した豆の総称である。このうち、コーヒー豆を加熱して煎り上げるプロセスである焙煎工程を経る前のコーヒー豆をコーヒー生豆、焙煎工程を経た後のコーヒー豆を焙煎コーヒー豆と称している。

0003

そして、この焙煎コーヒー豆を粉砕した粉砕物熱湯や水などの抽出原液加水して濾布メッシュ等の濾材により濾過抽出することにより、抽出液であるコーヒー飲料を得ていた。

0004

コーヒー飲料は嗜好飲料としてその需要もますます増大すると共にニーズ多様化が進んでいる。そのため、コーヒー飲料として従来とは異なる香味を有する等、多様な品種が望まれている。そのため、コーヒー飲料の香味の改善をして多品種の製造に対応できるのが望ましい。

0005

コーヒー飲料の香味を改善するためには、コーヒー豆の香味を改善することが考えられる。例えば、前記焙煎工程において、加熱温度、加熱時間、圧力等を種々変更することによりコーヒー豆の香味を改善することが考えられ、実際、このようにして良好な香味を有するようにコーヒー豆を処理していた。

0006

しかし、このような焙煎工程における諸条件を変更するのみでは、コーヒー豆の香味を改善するのに十分ではなかった。

0007

そこで、焙煎後のコーヒー豆に香味成分を添加することにより、コーヒー飲料の香味を改善することが考えられている(例えば、特許文献1)。

0008

具体的には、粉砕したコーヒー生豆に麹菌接種して発酵させた後に焙煎し、この際発生する香味成分を抽出し、焙煎コーヒー豆に添加する。抽出された香味成分は、強いコーヒー風味を有すると共に発酵に伴う特異な香味を伴わないため、香味成分を添加された焙煎コーヒー豆には良好なコーヒーの香味を添加でき、コーヒー豆の香味を良好に改善することができるとされている。

先行技術

0009

特開平1−112950号公報(第1頁参照

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1に開示の方法によると、抽出された香味成分を、他のコーヒー豆等のコーヒー製品に添加する工程が必要となるため、コーヒー豆の消費量が多くなるためコスト高になると共に、コーヒー豆の香味を改善するのに手間を要する。

0011

また、粉砕したコーヒー生豆に麹菌を接種しているため、粉砕したコーヒー豆と麹菌とを分離するのは困難である。しかも、粉砕したコーヒー豆からは香味成分が抽出された後であるため、これより得られるコーヒー飲料は香味が低下していると考えられ、この粉砕したコーヒー豆をコーヒー飲料抽出用に供することはできない。

0012

従って、本発明の目的は、簡便にコーヒー生豆の香味を改善することにより、独特香りを有する風味豊かなコーヒー豆を得やすくするコーヒー生豆の処理方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

(構成1)
上記目的を達成するための本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第1特徴構成は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有する点にある。

0014

後述の実施例2において、コーヒー生豆と微生物と資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を行った後、コーヒー生豆の香味に及ぼす影響を調べた実験を行った結果を示した。実験は乾燥コーヒー果実に微生物(酵母)懸濁液を吸収させて行った。ここで、コーヒー果実は、コーヒー生豆と資化成分としてのコーヒー果肉を有しているため、このコーヒー果肉が微生物により資化されることになる。

0015

そして、発酵工程後に、微生物発酵がコーヒー生豆の香味に及ぼす影響を官能評価および成分分析により検討している。

0016

この官能評価の結果は、発酵工程後のコーヒー生豆は、醸造香の評価が高く、独特の香りが添加されているものと認められ、異臭は認められないという結果が得られている(表2)。

0017

また、成分分析の結果は、発酵工程後のコーヒー生豆は、エステル類アルコール類および香味成分総量のいずれも増加したという結果が得られている(表3)。

0018

つまり、発酵工程において、微生物(例えば、醸造用酵母)の代謝により生成した香味成分がコーヒー生豆に移行していることが示された。これは、以下のように説明することができる。

0019

一般に、コーヒー種子は発に備えて吸水する性質がある。
一方、酵母を始めとする微生物は、炭素源窒素源の存在下でそれらを資化する能力があり、糖代謝、或いは、アミノ酸代謝により、アルコール類やエステル類を生成することが知られている。

0020

そして、コーヒー生豆(コーヒー種子)と資化成分と微生物とを接触させて発酵させると、微生物の資化により生成したアルコール類やエステル類が水分と共にコーヒー生豆に吸収されると考えられる。アルコール類やエステル類は香味成分として作用するため、これらがコーヒー生豆に移行することにより、コーヒー生豆には香味成分が添加されたことになると考えられる。

0021

つまり、コーヒー生豆と資化成分と微生物とを接触させて発酵させると、微生物による発酵工程を経ることで、好ましい香味を添加することができると認められた。

0022

(構成2)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第2特徴構成は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程後に、発酵処理済みのコーヒー生豆のみを選別する分離工程を行う点にある。

0023

(構成3)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第3特徴構成は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させた後、微生物を接触させる発酵工程を有する点にある。

0024

(構成4)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第4特徴構成は、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させた後、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆を接触させる発酵工程を有する点にある。

0025

(構成5)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第5特徴構成は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有し、前記微生物が、酵母、乳酸菌カビからなる群から選択される少なくとも1種である点にある。

0026

(構成6)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第6特徴構成は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有し、前記資化成分が果肉、果汁、糖類、穀物類培地からなる群から選択される少なくとも1種である点にある。

0027

(構成7)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第7特徴構成は、上記第6特徴構成に加えて、前記果肉がコーヒー果肉であり、前記コーヒー果肉は乾燥した状態である点にある。

0028

(構成8)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第8特徴構成は、コーヒー生豆とコーヒー果肉とを有するコーヒー果実に対し、前記コーヒー果肉を資化する微生物を接触させて発酵処理させる点にある。

0029

(構成9)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第9特徴構成は、上記第8特徴構成に加えて、前記コーヒー果実は乾燥した状態である点にある。

0030

(構成10)
本発明に係るコーヒー生豆の処理方法の第10特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、前記酵母が醸造用酵母である点にある。

0031

(構成11)
本発明に係る第11特徴構成は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程を有するコーヒー生豆の処理方法により処理されたコーヒー生豆を焙煎処理してある焙煎コーヒー豆とした点にある。

0032

後述の実施例3において、本発明のコーヒー生豆の処理方法により処理されたコーヒー生豆を焙煎し、得られた焙煎コーヒー豆の官能評価および成分分析を行っている。

0033

この官能評価の結果、この焙煎コーヒー豆は、醸造香の評価が高く、良好な香りを保持しているものと認められ、特に、揮発性の高い成分が十分多く残留しているものと認められ、異臭は認められないという結果が得られている(表4)。

0034

また、成分分析の結果、この焙煎コーヒー豆は、エステル類、アルコール類、及び、香味成分総量の何れも増加するという結果が得られている(表5)。

0035

つまり、本発明のコーヒー生豆の処理方法によりコーヒー生豆に添加された香味成分は、焙煎工程を経ても失われないものと認められる。

0036

(構成12)
本発明に係る第12特徴構成は、上記第11特徴構成に記載の焙煎コーヒー豆を粉砕して加水し、濾材により濾過抽出して得られるコーヒー飲料とした点にある。

0037

後述の実施例3において、本発明のコーヒー生豆の処理方法により処理されたコーヒー生豆を焙煎し、得られた焙煎コーヒー豆を粉砕して加水し、濾材により濾過抽出して得られるコーヒー飲料(ドリップ抽出液入りブラックコーヒー)の官能評価および成分分析を行っている。

0038

この官能評価の結果、これらコーヒー飲料は、醸造香やボディ感の評価が高く、良好な香りを有しているものと認められ、異臭は認められないという結果が得られている(表6,8)。

0039

また、成分分析の結果、このコーヒー飲料(ドリップ抽出液)は、エステル類、アルコール類、及び、香味成分総量の何れも増加するという結果が得られている(表7)。

0040

つまり、本発明のコーヒー生豆の処理方法によりコーヒー生豆に添加された香味成分は、コーヒー飲料に加工しても失われないものと認められる。

発明の効果

0041

本発明の第1特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、良好な香味成分を添加するために、例えば、抽出された香味成分を他のコーヒー豆等に添加する工程等の手間を要しないため、簡便にコーヒー豆の香味を改善することができる。即ち、前記発酵工程により、コーヒー生豆に直接好ましい香味を添加することができる。つまり、独特の香りを有する風味豊かなコーヒー豆を得やすくなるコーヒー豆の処理方法を提供することができる。

0042

本発明の第2特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、前記発酵工程で用いたコーヒー生豆は粉砕していないため微生物との分離は容易であることから、発酵処理済みのコーヒー生豆のみを分離工程で簡便に選別でき、これにより、好ましい香味が添加されたコーヒー生豆を得ることができ、さらに、香味が改善されたコーヒー生豆としてそのまま提供できる。

0043

さらに、分離工程で選別されたコーヒー生豆は、粉砕されていないコーヒー豆の形態で流通させることができるため、製品としての適用範囲が広く、長期に亘って香味を保持させ易くなる。

0044

本発明の第3特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、発酵工程の開始時期を微生物の接触時期とすることができるため、所望の時期に発酵工程を開始させ易くなる。
また、微生物を接触させる発酵工程を開始する前に、pH調整剤等の添加剤を添加する等を行う、或いは、前記コーヒー生豆と前記資化成分とを接触させた状態で、貯蔵保管移送することが可能となる。

0045

従って、このコーヒー生豆の処理方法は、発酵工程を開始する前に各種処理を行う必要がある場合に好適な処理方法となる。

0046

本発明の第4特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、例えば、適切な資化成分と微生物とを予め発酵タンク内等で接触させておき、その後、コーヒー生豆をこれらと接触させることにより発酵工程を行うことができる。

0047

従って、このコーヒー生豆の処理方法であれば、資化成分と微生物とを予め接触させておき、これらに所望のタイミングでコーヒー生豆を接触させ、所定時間経過後にこのコーヒー生豆の接触を停止し、新たに別のコーヒー生豆を資化成分と微生物とに接触させる、といったサイクルで発酵工程を行うのに好適な処理方法となる。

0048

また、資化成分と微生物とを予め接触させておくことができるため、これらを攪拌する等した後にコーヒー生豆を接触させると、コーヒー生豆と、資化成分及び微生物との接触状態は良好になる。そのため、コーヒー生豆を、資化成分及び微生物と略均一に接触させたい場合に好適な処理方法となる。

0049

本発明の第5特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、酵母、乳酸菌、カビは、一般に入手が容易であり、かつ、取り扱い性は容易であるため、簡便に発酵工程を実施することができる。さらに、これら3種の微生物により発酵工程を行えば、各微生物の発酵により添加される香味成分は、それぞれ異なると考えられるため、コーヒー生豆に添加できる香味の範囲は広くなる。

0050

本発明の第6特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、前記資化成分を、果肉、果汁、糖類、穀物類、培地からなる群から選択される少なくとも1種とすることができるため、コーヒー生豆に添加する所望の香味成分を上記群から適宜選択できるため、添加できる香味の範囲は広くなる。

0051

つまり、このコーヒー生豆の処理方法であれば、多種類の香味を添加可能なコーヒー生豆の処理方法を提供することができる。

0052

本発明の第7特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、コーヒー果実からコーヒー生豆を得るための精製工程で得られる副産物であるコーヒー果肉を好適に用いることができる。従って、精製工程で得られたコーヒー果肉を破棄することなく有効利用することができると共に、迅速に資化成分を調達することができる。

0053

また、前記コーヒー果肉は乾燥してあるため、運搬保存性等の優れたコーヒー果肉を使用できるため、前記発酵工程を行う場所や時期等を適宜選択することができる。

0054

本発明の第8特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、資化成分としてコーヒー果肉を有するコーヒー果実を微生物と接触させて発酵工程を経ることができるため、コーヒー果実を採取した現地で発酵工程を行うことが可能となると共に、資化成分を別に調達する必要がなくなるため、迅速に処理を行うことができる。

0055

本発明の第9特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、前記コーヒー果実は乾燥してあるため、運搬や保存性等の優れたコーヒー果実を使用できるため、前記発酵工程を行う場所や時期等を適宜選択することができる。

0056

本発明の第10特徴構成に記載のコーヒー生豆の処理方法であれば、食品での使用実績のあるワイン発酵用酵母やビール発酵用酵母といった醸造用酵母を使用するため、香味を添加するに際して、安全性に優れた微生物を用いて発酵工程を実施することができる。

0057

本発明の第11特徴構成に記載の焙煎コーヒー豆であれば、第1の特徴構成に記載の処理方法で得られたコーヒー生豆を使用して、良好な香味が添加された焙煎コーヒー豆を提供することができる。

0058

本発明の第12特徴構成に記載のコーヒー飲料であれば、上記第11特徴構成に記載の焙煎コーヒー豆を使用して、良好な香味が添加されたコーヒー飲料を提供することができる。

図面の簡単な説明

0059

本発明のコーヒー生豆の処理方法の概略図
未乾燥コーヒー果実に酵母を接触させたときの重量減少量を調べたグラフ
乾燥コーヒー果実に酵母を接触させたときの重量減少量を調べたグラフ

0060

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示したように、本発明のコーヒー生豆の処理方法は、コーヒー果実由来の未粉砕の種子であるコーヒー生豆と、微生物と、前記微生物により資化される資化成分とを接触させて発酵処理させる発酵工程と、好ましくは、前記発酵処理済みのコーヒー生豆のみを選別する分離工程とを有することを特徴としている。
以下に、本発明のコーヒー生豆の処理方法について詳述する。

0061

(コーヒー)
本発明において、コーヒー果実とはコーヒーノキの果実を指し、概していえば、種子(コーヒー種子)と果肉からなる。品種としては、アラビカ種ロブスタ種、リベリカ種などが適用可能であり、また、産地についても、ブラジル産やエチオピア産などが適用可能であるが、特に限定されるものではない。コーヒー果実からコーヒー種子は1或いは2粒づつとれる。コーヒー種子は、コーヒー果実からコーヒー果肉や薄皮を除去する精製工程を経て得られ、焙煎工程を経る前の未焙煎のものをコーヒー生豆と称する。

0062

コーヒー果実からコーヒー生豆を得るための精製工程には、非水洗式と水洗式の二種類が知られている。
非水洗式とは、コーヒー果実を収穫後、そのまま乾燥させたものを脱穀して果肉や薄皮等を除去し、コーヒー生豆を得る方法である。
一方、水洗式とは、コーヒー果実を収穫後、水槽に沈めて不純物を除去し、果肉除去機でコーヒー果肉を除去してから、発酵槽で水中に沈めて粘着物を溶かして除去し、さらに、水洗した後に乾燥させたものを脱穀して薄皮等を除去し、コーヒー生豆を得る方法である。

0063

非水洗式の精製工程は操作が容易であるが、主に気候が乾燥している地域で適用される。一方、水洗式の精製工程は、主に多雨の地域で適用される。

0064

尚、本実施形態で使用したコーヒー果実は、未乾燥及び乾燥状態のものがあり、コーヒー生豆を1とした場合の重量比は、それぞれ1粒あたり、「コーヒー果実(未乾燥):乾燥コーヒー果実:コーヒー生豆=6:4:1」である。

0065

本発明に用いるコーヒー生豆は、コーヒー豆として流通させることや、焙煎工程での香味の喪失を防ぐ観点から、未粉砕のものを用いることが好ましい。

0066

(微生物)
本発明で用いる微生物は資化成分を資化することができる微生物であれば、特に限定されない。
具体的な微生物としては、酵母、乳酸菌、カビなどがあげられる。
これら3種の微生物は、入手が容易であり、取り扱い性の容易さから好適に用いることができる。

0067

酵母は、食品としての安全性の面から、食品での使用実績のあるワイン発酵用酵母やビール発酵用酵母といった醸造用酵母を好適に用いることができる。
ワイン発酵用酵母としては、例えば、市販の乾燥酵母である、Lalvin L2323株(以下L2323と称する:セティカンパニー社)やCKS102株(以下S102と称する:Bio Springer社)などを用いることができる。通常は、L2323は赤ワイン醸造用、S102はロゼワイン醸造用に用いられる。このように酵母を用いた場合、醸造香といった特徴のある香味を添加することができる。

0068

乳酸菌は、発酵乳乳酸菌飲料チーズ発酵乳等の製造に用いられる公知の菌であれば、適用可能である。例えばLactobacillus属の乳酸菌が好適に例示される。
カビは、例えば、清酒焼酎、みそ、醤油といった発酵食品の製造に用いられるコウジカビ(麹菌)等が適用可能である。

0069

本発明によれば、微生物の種類や育成条件を選択することによって、様々な香味を添加することができる。従って、望ましい香味を添加することができる微生物を適宜選択して用いる。特に、資化成分としてコーヒー果肉を用いる場合や、コーヒー生豆と資化成分としてコーヒー果肉とを有するコーヒー果実を用いる場合は、資化成分の選択が限定されるため、微生物の選択が重要となる。

0070

微生物が乾燥したものである場合は、それぞれの適した方法にそって覆水を行うことができる。たとえば、乾燥酵母を用いる場合、37〜41℃に加温した水に20〜30分懸濁してから用いることができる。

0071

本発明における微生物の使用量は、香味の添加の効果が得られれば特に限定されないが、培養時間やコストを考え、適宜設定できる。例えば、コーヒー生豆重量あたりでは、酵母及び乳酸菌の場合では1.0×108cells/gから1.0×1010cells/g、カビの場合は胞子の量として0.01から0.1重量%が適当である。

0072

(資化成分)
本発明でいう資化成分とは、上述した微生物が資化できる成分でれば特に限定されない。例えば、果肉、果汁、糖類、穀物類、培地などが挙げられる。これらの資化成分群から少なくとも1種を選択する。資化成分を適宜選択することによって、様々な香味を添加することができる。

0073

これらの資化成分のうち、入手の容易さなどから、果肉を好適に用いることができる。
ここで、果肉とは果物の種子の周りについている糖分やその他の栄養分を含む部分のことである。果肉としては、コーヒー果肉、ぶどう果肉、サクランボ果肉、果肉などを適用することができる。
このうち、コーヒー果実からコーヒー生豆を得るための精製工程で得られる副産物であるコーヒー果肉を好適に用いることができる。従って、精製工程で得られたコーヒー果肉を破棄することなく有効利用することができる。

0074

上述した果肉は、生の果肉であってもよいし、乾燥させてあるものに水分を含ませたものであってもよい。運搬や保存性を考慮すると、乾燥されたコーヒー果実を用いることが好ましい。

0075

果汁としては、ぶどう果汁、桃果汁りんご果汁などを適用することができる。
糖類としては、サトウキビ甘藷などの植物からとれる単糖二糖多糖などを適用することができる。
穀物類としては、麦芽糖化させた麦汁などを用いることができる。
培地としては、通常の微生物培養に用いられるもの、例えば酵母の場合はWL Nutrient Broth(Difco社製)などを適用することができる。

0076

これら資化成分として、水分含量の低いものを用いる場合は、発酵工程において、適度に水分を含ませた状態で用いることが望ましい。

0077

コーヒー生豆と資化成分との混合割合は、微生物による資化が可能であれば特に限定されない。コーヒー生豆に添加する香味の程度によって、適宜設定できる。

0078

上述したように、資化成分としてコーヒー果肉を好適に用いることができることから、コーヒー生豆と資化成分としてコーヒー果肉とを有するコーヒー果実を好適に用いることができる。この場合、コーヒー果実と微生物とを接触させることによりコーヒー生豆を処理することができる。これにより、資化成分を別に調達する必要がなくなるため、迅速に処理を行うことができる。

0079

コーヒー果実は、未乾燥でも良いが、運搬や保存性を考慮すると、乾燥されたコーヒー果実を用いることが好ましい。
このとき、発酵工程に際しては、水分を含ませてから、或いは、水槽に浸した状態で用いることできる。

0080

また、発酵工程に際しては、コーヒー生豆と資化成分以外に、目的に応じて各種添加剤を添加することができる。例えば、クエン酸リンゴ酸といったpH調整剤、窒素源や炭素源を補うための市販の栄養培地などを補助的に添加することができる。

0081

(発酵工程における接触条件
本発明において、コーヒー生豆と資化成分と微生物との接触方法は、例えば、以下の方法があげられる。
(1)コーヒー生豆と資化成分を接触させた後、微生物を噴霧あるいは散布して接触させる方法
(2)微生物を含む懸濁液に、コーヒー生豆と資化成分とを浸漬する方法
(3)乾燥した資化成分を吸水させる際にその水に微生物を懸濁させた後(つまり、資化成分と微生物とを接触させた後)、その後、コーヒー生豆と接触させる方法
(4)乾燥させたコーヒー果実を吸水させる際にその水に微生物を懸濁させる方法

0082

発酵条件
微生物の発酵条件については、発酵が行われる条件であれば、特に限定されない。適用される微生物や資化成分によって、微生物の発酵条件を適宜設定すればよい。

0083

例えば、コーヒー生豆と資化成分としてコーヒー果肉とを有するコーヒー果実を用いる場合、コーヒー生豆の精製工程中に微生物発酵工程を行うことができる。
例えば、非水洗式の精製工程では、コーヒー果実を収穫後、乾燥前に微生物に接触させ、発酵工程を経た後、乾燥させればよい。
一方、水洗式の精製工程では、コーヒー果実を収穫後において、水槽に沈める前、水槽に沈めて不純物を除去するとき、或いは、水槽から出してコーヒー果肉を除去する前、といったタイミングで微生物に接触させればよい。

0084

更に、コーヒー果実の収穫前に、木に生っている状態で発酵させてもよい。

0085

これらの場合、他の微生物によるコンタミネーションの防止や、温度管理、pH管理と
いった条件を制御してもよいが、15〜30℃といった低温環境下で発酵可能な微生物を選択したり、クエン酸などを添加した酸性条件組成物を用いて他の雑菌の発酵を抑制するなどを行って発酵工程を行うことができる。

0086

また、資化成分として果肉、果汁、または培地等を用いる場合では、雑菌の混入を防止し、温度、二酸化炭素濃度などの育成条件の管理可能な恒温槽タンクまたは貯蔵庫にて発酵工程を行うことができる。

0087

発酵工程に要する時間は限定されず、添加される香味の質・強さによって、あるいは、微生物や資化成分によって、適宜、選択すればよい。また、資化成分の枯渇目安に、発酵工程を終了してもよい。

0088

発酵工程を終了させる際には、加熱滅菌する、水洗する、天日干しする、資化成分とコーヒー生豆を分離する、あるいは、焙煎するといった方法を組み合わせることができる。例えば、乾燥機を用いる場合、50〜60℃で1日程度乾燥させることにより、発酵を終了させることができる。

0089

上述したように、コーヒー生豆と資化成分と微生物とを接触させて発酵工程を経ることにより、発酵工程において、微生物(例えば、醸造用酵母)の代謝により生成した香味成分がコーヒー生豆に移行し、コーヒー生豆に独特の香りを有する風味豊かな香味成分を添加することができる。

0090

本発明により風味豊かな香味が添加されたコーヒー生豆は、前記発酵処理済みのコーヒー生豆のみを選別する分離工程を経て資化成分や微生物から分離される。
分離工程は、コーヒー生豆と資化成分と微生物との混成物から、香味成分が添加されたコーヒー生豆のみを選別する方法(例えば、水洗する)であれば、何れの方法であっても適用可能である。前記発酵工程で用いたコーヒー生豆は粉砕していないため微生物との分離は容易である。
このようにして分離されたコーヒー生豆は、通常の方法で焙煎処理し、焙煎コーヒー豆を得ることができる。

0091

得られた焙煎コーヒー豆は、粉砕して加水し、濾材により濾過抽出することによってレギュラーコーヒーとして飲用に供することができるほか、工業用原料としてインスタントコーヒーコーヒーエキス缶コーヒーなどに使用することが可能である。

0092

このとき得られた焙煎コーヒー豆やコーヒー飲料は、後述の実施例3で示したように、良好な香味が添加されたコーヒー生豆を焙煎コーヒー豆やコーヒー飲料とした際にも、充分に良好な香味を有していることが確認されている。

0093

このように、本発明によれば、良好な香味成分を添加したコーヒー生豆が得られるが、更に、従来より知られているコーヒー豆の香味改質技術などと組み合わせて用いることができる。

0094

以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。

0095

コーヒー果実および酵母を用い、コーヒー果実の形態や、酵母の種類を変えて、発酵工程の各種条件の妥当性を検討した。

0096

コーヒー果実は、(1)未乾燥のコーヒー果実(縄産のアラビカ種を水洗したもの)、または、(2)乾燥させたコーヒー果実を覆水したもの(ブラジル産のアラビカ種の乾燥コーヒー豆を精製水に40分浸出したもの)の2種類を検討した。

0097

酵母は、2種類の乾燥酵母(上述したL2323および、S102)を用いた。

0098

これら乾燥酵母3gを、41℃に加温した水50mLに懸濁し、約30分放置して、1mLに6.0×109cellsの酵母が含まれる濃い酵母覆水溶液とした。さらに、これを20倍希釈して酵母懸濁液(3.0×108cells/ml)とした。

0099

上述した各コーヒー果実100gを、それぞれを三角フラスコに入れて前記酵母懸濁液を250mL添加し、シリコン栓で蓋をして22℃で7日間インキュベートした。その後、フラスコの重量減少量を測定した。酵母懸濁液の代わりに水を用いたものをコントロールとした。

0100

結果を図2および図3に示した。
(1)未乾燥のコーヒー果実(図2)、及び、(2)乾燥させたコーヒー果実を覆水したもの(図3)共に、コントロールでは重量減少が認められなかったが、2種類の酵母を添加した場合には何れも重量減少が認められた。

0101

ここで、前記シリコン栓は、通気性は有するものの通水性は有しないものを用いている。そして、酵母がコーヒー果実に含まれる成分を資化して二酸化炭素を生成すると、二酸化炭素がシリコン栓を経て外部に放出されるため、放出された二酸化炭素の分だけフラスコの重量は減少する。従って、この重量減少によりコーヒー果実に接触した酵母が生育したものと考えられた。

0102

また、7日経過後の各試料は、重量減少が頭打ちになっていることから、これ以降は、コーヒー果実は資化されないものと認められた。

0103

従って、コーヒー果実の乾燥、未乾燥によらず、酵母は、コーヒー果肉を資化成分として、資化、育成できるものと認められた。

0104

乾燥コーヒー果実を用い、微生物発酵がコーヒー生豆の香味に及ぼす影響を検討した。
乾燥させたコーヒー果実はブラジル産アラビカ種を用いた。酵母懸濁液として、実施例1記載の2種の酵母懸濁液(L2323およびS102)を用いた。

0105

乾燥させたコーヒー果実200gに対して酵母懸濁液500mLを添加し、吸収させた。これを三角フラスコに入れ、シリコン栓で蓋をし、22℃で6日間インキュベートした。

0106

6日後のフラスコの重量を測定した結果、両試料共に重量減少が認められた(表1参照)。従って、両試料共に微生物による発酵が進んだと考えられる。

0107

0108

<コーヒー生豆の評価>
6日間インキュベート後のフラスコ中の各コーヒー果実を乾燥機で55℃、24時間乾燥させた後、果肉や薄皮を取り除き、70〜90gのコーヒー生豆を得た。コントロールは、乾燥させたコーヒー果実を約1日、55℃に放置することによりさらに乾燥させ、果肉や薄皮を取り除いたものを用いた。得られたコーヒー生豆について、官能評価と香味成分分析を行った。

0109

L2323による発酵処理後のコーヒー生豆をL2323生豆、S102についてはS102生豆、コントロールについてはコントロール生豆と称する。

0110

1.官能評価
コーヒー官能専門のパネラー5名によって、官能評価を行った。各コーヒー生豆30gを、粉砕せずにそのままの形状で専用の官能グラスに入れて蓋をした。官能時に蓋をずらし、醸造香、トップノートラストノート、青臭さ、及び、異臭の有無の5項目を評価した。醸造香においてはコントロール生豆の評価を1として、それ以外の項目においてはコントロール生豆の評価を3として、それより大きい数字が強い(良い)、小さい数字を弱い(悪い)ことを示す5段階評価を行った。各パネラーが示した評価の平均値を求めた。結果を表2に示した。
尚、「醸造香」とはフルーティーな発酵香、「トップノート」とは最初の香りの印象、「ラストノート」とは香りの余韻、「青臭さ」とは植物的な臭い、及び、「異臭」とは本来コーヒー豆が有していない臭い、のことをそれぞれ示したものである。

0111

0112

L2323生豆、S102生豆とも醸造香の評価が高く、良好な香りが添加されているものと認められた。一方、異臭は認められなかった。

0113

2.成分分析
ガスクロマトグラフィGC)を用いて、香味成分を評価した。各コーヒー生豆を粉砕せずにそのままの形状でGC用サンプルチューブに10gずつ入れ、ヘッドスペース気体を測定した。装置は、「Agilent 7694 HeadspaceSampler」(Agilent Technologies社製)、及び、「Agilent 6890 GC System」(AgilentTechnologies社製)を用いた。

0114

試料導入は60℃、30分保持スプリット5:1、使用カラムはHP-INNOWax (60 m×内径0.25 mm、膜厚0.25μm)とした。温度条件は40℃4分保持、3℃/分で220℃まで昇温し、230℃で30分間保持した。検出器は、MSD、及び、FIDを用いた。

0115

本分析においては、香味成分として、エステル類およびアルコール類に着目し、ピーク面積で評価した。
ここで、エステル類は、香りの特徴となる酢酸メチル(保持時間:3.9)、酢酸エチル(保持時間:6.3)、及び、イソブチルエチル(保持時間:15.7)のピーク面積を合算した。
また、アルコール類は、エタノール(保持時間:8.5)とイソアミルアルコール(保持時間:25.0)ピーク面積を合算した。

0116

香味成分総量は、エステル類およびアルコール類に、さらに、アセトアルデヒドイソブチルアルデヒド、及び、フルフリルアルコールのピーク面積を合算した。
結果を表3に示した。

0117

0118

コントロール生豆に対して、L2323生豆、S102生豆とも、エステル類、アルコール類および香味成分総量のいずれもピーク面積が増加した、特に、L2323生豆では、著しいアルコール類の増加が認められた。

0119

従って、コーヒー生豆の官能評価および成分分析の結果より、醸造用酵母の代謝により生成した香味成分がコーヒー生豆に移行していることが示された。また、異臭は認められないことが判明した。これは、以下のように説明することができる。

0120

一般に、コーヒー種子は発芽に備えて吸水する性質がある。
一方、酵母を始めとする微生物は、炭素源や窒素源の存在下でそれらを資化する能力があり、糖代謝、或いは、アミノ酸代謝により、アルコール類やエステル類を生成することが知られている。
そして、コーヒー生豆(コーヒー種子)と資化成分と微生物とを接触させて発酵させると、微生物の資化により生成したアルコール類やエステル類が水分と共にコーヒー生豆に吸収されると考えられる。アルコール類やエステル類は香味成分として作用するため、これらがコーヒー生豆に移行することにより、コーヒー生豆には香味成分が添加されたことになると考えられる。

0121

つまり、微生物である酵母による発酵工程を経ることで、醸造香といった独特の香味を添加することができるため、本発明のコーヒー生豆の処理方法により処理を行うことは有用であるものと認められた。

0122

本発明のコーヒー生豆の処理方法により処理されたコーヒー生豆を用いて得られる焙煎コーヒー豆と、この焙煎コーヒー豆を粉砕して加水し、濾材により濾過抽出して得られるコーヒー飲料とについて評価を行った。コーヒー飲料については、ドリップ抽出液及び缶入りコーヒーを作製して評価を行った。

0123

A.コーヒー焙煎豆の評価
実施例2で得られた3種のコーヒー生豆(L2323生豆、S102生豆、コントロール生豆)を用いて、焙煎コーヒー豆を調製した。

0124

各コーヒー生豆70〜90gを焙煎機(PROBAT製;Battery Sample Roaster BRZ2)を用いて、約150〜200℃の温度で約30分焙煎し、L値(焙煎度の指標)20程度の焙煎コーヒー豆を約40〜50gを得た(それぞれ、L2323焙煎豆、S102焙煎豆、コントロール焙煎豆とする)。

0125

得られた焙煎コーヒー豆を粉砕せずに、官能評価およびガスクロマトグラフィ(GC)による成分分析を行った。

0126

A1.焙煎コーヒー豆の官能評価
評価方法は、醸造香、トップノート、ラストノート、焙煎香、及び、異臭の有無の5項目を評価すること以外は、実施例2記載の方法に準じて行った。結果を表4に示した。
尚、「焙煎香」とは香ばしさのことを示したものである。

0127

0128

この結果、L2323焙煎豆、S102焙煎豆共に、醸造香の評価が高く、良好な香りを保持しているものと認められた。ラストノートにくらべ、トップノートの評価が高いことから、特に、揮発性の高い成分が十分多く残留しているものと認められた。異臭は認められなかった。

0129

A2.焙煎コーヒー豆の成分分析
各コーヒー焙煎豆について、ガスクロマトグラフィ(GC)を用いて、香味成分を評価した。GC用サンプルチューブには各焙煎豆5gを入れて分析を行った。分析方法は実施例2記載の方法に準じて行った。結果を表5に示した。

0130

0131

コントロール焙煎豆に対して、L2323焙煎豆、S102焙煎豆とも、エステル類、アルコール類、及び、香味成分総量の何れのピーク面積も増加した。以上より本発明のコーヒー生豆の処理方法により添加された香味成分は、焙煎工程を経ても失われないものと認められた。

0132

B.コーヒー飲料(ドリップ抽出液)の評価
上記3種類の焙煎豆(L2323焙煎豆、S102焙煎豆、コントロール焙煎豆)を用いて、抽出液を調製した。各焙煎豆を細挽きにし、粉砕物30gに対して熱湯を270g加えてドリップ抽出を行い、約200gの抽出液を得た。得られた3種の抽出液を、それぞれ、L2323抽出液、S102抽出液、コントロール抽出液と称する。これら抽出液について官能評価および成分分析を行った。

0133

B1.ドリップ抽出液の官能評価
コーヒー官能専門のパネラー5名によって、官能評価を行った。評価項目は、醸造香、苦味酸味後味ボディー感、および異臭の有無の6項目とした。醸造香においてはコントロール生豆の評価を1として、それ以外の項目においてはコントロール生豆の評価を3として、それより大きい数字が強い(良い)、小さい数字を弱い(悪い)ことを示す5段階で評価し、各パネラーが示した評価の平均値を求めた。結果を表6に示した。
尚、「ボディー感」とは、コクや飲み応え、及び、風味の膨らみ、ということを示したものである。

0134

0135

L2323抽出液、S102焙煎豆とも、醸造香やボディ感の評価が高く、良好な香りを有しているものと認められた。

0136

B2.ドリップ抽出液の成分分析
各抽出液10mLをGC用サンプルチューブ入れてGC分析を行った。分析方法は実施例2記載の方法に準じて行った。結果を表7に示した。

0137

0138

コントロール抽出液に対して、L2323抽出液、S102抽出液とも、エステル類、アルコール類、及び、香味成分総量の何れのピーク面積も増加した。以上より、本発明のコーヒー生豆の処理方法により添加された香味成分は、コーヒー飲料(ドリップ抽出液)に加工しても失われないものと認められた。

0139

C.コーヒー飲料(缶入りブラックコーヒー)の評価
上記抽出液を用い、缶入り発酵ブラックコーヒーを調製した。
調製は、各抽出液約200gをペーパーフィルターでろ過し、ろ過後の液に炭酸水素ナトリウムを添加してpHを約5.7に調節し、水でBrixを約1.00に調節したものを190g缶につめ、レトルト殺菌(125℃、F値:12)することにより行った。

0140

得られた3種の缶コーヒーを、それぞれ、L2323缶コーヒー、S102缶コーヒー、及びコントロール缶コーヒーと称する。
これら3種の缶入りブラックコーヒーについて、官能評価を行った。

0141

C1.缶入りブラックコーヒーの官能評価
評価方法は、上記ドリップ抽出液を評価する際に採用した方法に準じて行った。結果を表8に示した。

0142

0143

L2323缶コーヒー、S102缶コーヒーとも醸造香が顕著に出ており、異臭は確認されなかった。また、ボディー感がコントロールに比較してより強く感じられた。

0144

上述したコーヒー焙煎豆、コーヒー飲料(ドリップ抽出液及び缶入りブラックコーヒー)の評価結果より、本発明のコーヒー生豆の処理方法を用いてコーヒー生豆に添加された香味成分は、焙煎コーヒー豆やコーヒー飲料とした際にも失われないことが示された。
従って、本発明のコーヒー生豆の処理方法により、風味豊かな香味を有する焙煎コーヒー豆やコーヒー飲料を調製できるものと認められた。

0145

上述したように、コーヒー果実からコーヒー生豆を得るために、非水洗式の精製工程が行われている。この非水洗式の精製工程の過程で本発明のコーヒー生豆の処理方法が適用できるかを調べる実験を行った。

0146

収穫後のコーヒー果実を想定して未乾燥のコーヒー果実を使用し、酵母を噴霧した。
酵母は、L2323及びS102を使用した。これら酵母3gを別のチューブに入れ、それぞれのチューブに水50mLを加えて蓋をし攪拌した。そして、これらを41℃の水浴中で30分放置することで、1mLに6.0×109cellsの酵母覆水溶液を得た。

0147

コーヒー果実は沖縄産のアラビカ種を未乾燥のまま用いた。このコーヒー果実300gに上記酵母覆水溶液25mLを噴霧した。噴霧後のコーヒー果実を三角フラスコに入れ、シリコン栓で蓋をし、22℃で2日間インキュベートした。2日後、フラスコの重量を測定した。結果を表9に示した。

0148

0149

この結果、各試料において重量減少が認められた。従って、酵母を添加した試料では酵母による発酵が進んだと考えられる。

0150

その後、非水洗式の精製工程を続行してコーヒー果実からコーヒー生豆を得た。得られたコーヒー生豆について官能評価を行った。評価は実施例2に記載した方法に準じて行った。尚、酵母による発酵を経ないコーヒー生豆をコントロールとした。L2323による発酵処理後のコーヒー生豆をL2323生豆、S102による発酵処理後のコーヒー生豆をS102生豆、コントロールのコーヒー生豆についてはコントロール生豆と称する。結果を表10に示した。

0151

0152

L2323生豆、S102生豆とも醸造香の評価が高く、良好な香りが添加されているものと認められた。
従って、コーヒー豆を収穫した現地(生産地)にて、非水洗式の精製工程を経る際に、コーヒー果肉除去前の未乾燥のコーヒー果実に酵母覆水溶液を噴霧することで、本発明を適用できることが示された。

0153

非水洗式の精製工程中に、実際に発酵工程を経る場合を検討した。
収穫したブラジル産のアラビカ種のコーヒー果実(未乾燥)300Kgを、シート上に広げた。
次に、乾燥酵母(L2323)3kgに50Lの水を加えて攪拌して40分放置し、6.0×109cells/mLの酵母覆水溶液を得た。この酵母覆水溶液を、広げたコーヒー果実に均等にバケツで散布し、軽く攪拌した後、ビニールシートをかぶせて2日間静置した。

0154

その後、乾燥、脱穀して果肉や薄皮等を除去することで、良好な香味が添加されたコーヒー生豆を得ることができる。また、当該コーヒー生豆を定法に従って焙煎することで、良好な香味を持つ、焙煎コーヒー豆を得ることができる。

0155

上述したように、コーヒー果実からコーヒー生豆を得るために、水洗式の精製工程が行われている。この水洗式の精製工程の過程で本発明のコーヒー生豆の処理方法が適用できるかを調べる実験を行った。

0156

収穫後のコーヒー果実を想定して未乾燥のコーヒー果実を使用し、酵母懸濁液に浸漬させた。
酵母は、L2323及びS102を使用した。これら酵母3gを別のチューブに入れ、それぞれのチューブに水50mLを加えて蓋をし攪拌した。そして、これらを41℃の温水で30分放置したものを20倍希釈して酵母懸濁液(3.0×108cells/ml)を得た。

0157

コーヒー果実は沖縄産のアラビカ種を未乾燥のまま用いた。このコーヒー果実300gと上記酵母懸濁液500mLとを三角フラスコに入れ、シリコン栓で蓋をし、22℃で2日間インキュベートした。2日後、フラスコの重量を測定した。結果を表11に示した。

0158

0159

この結果、各試料において重量減少が認められた。従って、酵母を添加した試料では酵母による発酵が進んだと考えられる。

0160

その後、水洗式の精製工程を続行してコーヒー果実からコーヒー生豆を得た。得られたコーヒー生豆について官能評価を行った。評価は実施例2に記載した方法に準じて行った。尚、酵母による発酵処理を行わないコーヒー生豆をコントロールとした。L2323による発酵処理後のコーヒー生豆をL2323生豆、S102による発酵処理後のコーヒー生豆をS102生豆、コントロールのコーヒー生豆についてはコントロール生豆と称する。結果を表12に示した。

0161

0162

L2323生豆、S102生豆とも醸造香の評価が高く、良好な香りが添加されているものと認められた。
従って、コーヒー豆を収穫した現地にて、水洗式の精製工程を経る際に、果肉除去前の水槽中に酵母(微生物)を添加することで、本発明を適用できることが示された。

0163

実施例4及び6より、本発明のコーヒー生豆の処理方法は、非水洗式および水洗式のどちらの精製工程にも適用できることが示された。従って、コーヒー生豆の処理方法は、通常の精製工程中に容易に導入でき、大きな設備投資を行うことなく、コーヒー豆の生産地、あるいは、乾燥したコーヒー生豆を搬送した場所で適用可能であると認められた。

0164

水洗式の精製工程中に、実際に発酵工程を経る場合を検討した。
収穫したコロンビア産のアラビカ種コーヒー果実(未乾燥)300Kgを、洗い工程のあと1KLの発酵用タンクに入れた。

0165

次に、乾燥酵母(L2323)3kgに50Lの水を加えて40分放置し、酵母覆水溶液とした。この酵母懸濁液を水で20倍希釈し、3.0×108cells/mLの濃度とした。この酵母懸濁液500Lを上記1KLタンクに投入し、適宜攪拌しながら2日間保管した。
その後、コーヒー果実を水洗し、乾燥、脱穀して果肉や薄皮等を除去することで、良好な香味が添加されたコーヒー生豆を得ることができる。また、当該コーヒー生豆を定法に従って焙煎することで、良好な香味を持つ、焙煎コーヒー豆を得ることができる。

0166

各種資化成分を用いて、微生物発酵がコーヒー生豆の香味に及ぼす影響を検討した。
乾燥させたコーヒー生豆はブラジル産アラビカ種を用いた。酵母懸濁液として、実施例1記載の酵母懸濁液(L2323)を用いた。

0167

これら乾燥酵母3gを、41℃に加温した水50mLに懸濁し、約30分放置して、1mLに6.0×109cellsの酵母が含まれる濃い酵母覆水溶液とした。

0168

資化成分は、(1)リンゴ果汁(2)ぶどう果汁(3)YM培地、の3種類を検討した。リンゴ果汁およびぶどう果汁については、市販の濃縮果汁(50BRIX)を5倍に希釈して用いた。YM培については、Difco社のYM Brothを、1L当たり、Yeast Extract 3.0g、Malt Extract 3.0g、Peptone 5.0g、Dextrose 10.0g、になるように水に溶解して用いた。

0169

これら各種資化成分240mLを添加した後、前記酵母懸濁液を10mL添加し、上述したコーヒー生豆50gを、それぞれを三角フラスコに入れて、シリコン栓で蓋をして22℃で7日間インキュベートした。その後、フラスコの重量減少量を測定した。酵母懸濁液の代わりに水を用いたものをコントロールとした。

0170

結果を表13に示す。(1)リンゴ果汁(2)ぶどう果汁(3)YM培地共に、コントロールでは重量減少が認められなかったが、2種類の酵母を添加した場合には何れも重量減少が認められた。

0171

ここで、前記シリコン栓は、通気性は有するものの通水性は有しないものを用いている。そして、酵母が各種資化成分に含まれる成分を資化して二酸化炭素を生成すると、二酸化炭素がシリコン栓を経て外部に放出されるため、放出された二酸化炭素の分だけフラスコの重量は減少する。従って、この重量減少によりコーヒー果実に接触した酵母が生育したものと考えられた。

0172

また、7日経過後の各試料は、重量減少が頭打ちになっていることから、これ以降は、コーヒー果実は資化されないものと認められた。
従って、資化成分の種類によらず、酵母は、資化、育成できるものと認められた。

0173

0174

<コーヒー生豆の評価>
コントロールを含めた上述4種類の生豆を7日間インキュベート後のフラスコ中の各コーヒー生豆を乾燥機で55℃、24時間乾燥させ、約50gのコーヒー生豆を得た。得られたコーヒー生豆について、官能評価を行った。

0175

資化成分がリンゴ果汁による発酵処理後のコーヒー生豆をリンゴ果汁生豆、ぶどう果汁についてはぶどう果汁生豆、YM培地についてはYM培地生豆、コントロールについてはコントロール生豆と称する。

0176

1.官能評価
コーヒー官能専門のパネラー5名によって、官能評価を行った。各コーヒー生豆30gを、粉砕せずにそのままの形状で専用の官能グラスに入れて蓋をした。官能時に蓋をずらし、醸造香、トップノート、ラストノート、青臭さ、及び、異臭の有無の5項目を評価した。醸造香においてはコントロール生豆の評価を1として、それ以外の項目においてはコントロール生豆の評価を3として、それより大きい数字が強い(良い)、小さい数字を弱い(悪い)ことを示す5段階評価を行った。各パネラーが示した評価の平均値を求めた。結果を表14に示した。

0177

尚、「醸造香」とはフルーティーな発酵香、「トップノート」とは最初の香りの印象、「ラストノート」とは香りの余韻、「青臭さ」とは植物的な臭い、及び、「異臭」とは本来コーヒー豆が有していない臭い、のことをそれぞれ示したものである。

0178

0179

各種資化成分サンプルとも醸造香の評価が高く、良好な香りが認められた。一方、異臭は認められなかった。

0180

<コーヒー焙煎豆の評価>
コントロールを含めた上述4種類の生豆を70〜90gを焙煎機(PROBAT製;Battery Sample Roaster BRZ2)を用いて、約150〜200℃の温度で約30分焙煎し、L値(焙煎度の指標)20程度の焙煎コーヒー豆を約40〜50gを得た。
リンゴ果汁生豆を焙煎したものをリンゴ果汁焙煎豆、ぶどう果汁生豆を焙煎したものをぶどう果汁焙煎豆、YM培地についてはYM培地焙煎、コントロールについてはコントロール焙煎と称する。得られた各種コーヒー焙煎について、官能評価を行った。

0181

1.官能評価
コーヒー官能専門のパネラー5名によって、官能評価を行った。各コーヒー生豆30gを、粉砕せずにそのままの形状で専用の官能グラスに入れて蓋をした。官能時に蓋をずらし、醸造香、トップノート、ラストノート、焙煎香、及び、異臭の有無の5項目を評価した。醸造香においてはコントロールの評価を1として、それ以外の項目においてはコントロール生豆の評価を3として、それより大きい数字が強い(良い)、小さい数字を弱い(悪い)ことを示す5段階評価を行った。各パネラーが示した評価の平均値を求めた。結果を表15に示した。

0182

尚、「醸造香」とはフルーティーな発酵香、「トップノート」とは最初の香りの印象、「ラストノート」とは香りの余韻、「焙煎香」とは香ばしさ、及び、「異臭」とは本来コーヒー豆が有していない臭い、のことをそれぞれ示したものである。

0183

0184

コントロールに比較して、本発明品の各種焙煎豆はいずれも醸造香の評価が高く、良好な香りが認められた。一方、異臭は認められなかった。

0185

B.コーヒー飲料(ドリップ抽出液)の評価
上記4種類の焙煎豆(リンゴ果汁焙煎豆、ぶどう果汁焙煎豆、YM培地焙煎豆、コントロール焙煎豆)を用いて、抽出液を調製した。各焙煎豆を細挽きにし、粉砕物30gに対して熱湯を270g加えてドリップ抽出を行い、約200gの焙煎豆抽出液を得た。得られた4種の抽出液を、それぞれ、リンゴ果汁焙煎豆抽出液、ぶどう果汁焙煎豆抽出液、YM培地焙煎豆抽出液、コントロール焙煎豆抽出液と称する。これら抽出液について官能評価を行った。

0186

(ドリップ抽出液の官能評価)
コーヒー官能専門のパネラー5名によって、官能評価を行った。評価項目は、醸造香、苦味、酸味、後味、ボディー感、および異臭の有無の6項目とした。醸造香においてはコントロール生豆の評価を1として、それ以外の項目においてはコントロールの評価を3として、それより大きい数字が強い(良い)、小さい数字を弱い(悪い)ことを示す5段階で評価し、各パネラーが示した評価の平均値を求めた。結果を表16に示した。
尚、「ボディー感」とは、コクや飲み応え、及び、風味の膨らみ、ということを示したものである。

0187

0188

コントロールに比較して、リンゴ果汁焙煎豆抽出液、ぶどう果汁焙煎豆抽出液、YM培地焙煎豆抽出液とも、醸造香やボディ感の評価が高く、良好な香りを有しているものと認められた。

0189

C.コーヒー飲料(缶入りブラックコーヒー)の評価
上記抽出液を用い、缶入り発酵ブラックコーヒーを調製した。
調製は、各抽出液約200gをペーパーフィルターでろ過し、ろ過後の液に炭酸水素ナトリウムを添加してpHを約5.7に調節し、水でBrixを約1.00に調節したものを190g缶につめ、レトルト殺菌(125℃、F値:12)することにより行った。

0190

得られた4種の缶コーヒーを、それぞれ、リンゴ果汁缶コーヒー、ぶどう果汁缶コーヒー、YM培地缶コーヒー、及びコントロール缶コーヒーと称する。
これら4種の缶入りブラックコーヒーについて、官能評価を行った。

0191

C1.缶入りブラックコーヒーの官能評価
評価方法は、上記ドリップ抽出液を評価する際に採用した方法に準じて行った。結果を表17に示した。

0192

0193

リンゴ果汁缶コーヒー、ぶどう果汁缶コーヒー、YM培地缶コーヒーともに醸造香が顕著に出ており、異臭は確認されなかった。また、ボディー感がコントロールに比較してより強く感じられた。

実施例

0194

上述したコーヒー焙煎豆、コーヒー飲料(ドリップ抽出液及び缶入りブラックコーヒー)の評価結果より、本発明のコーヒー生豆の処理方法を用いてコーヒー生豆に添加された香味成分は、焙煎コーヒー豆やコーヒー飲料とした際にも失われないことが示された。
従って、本発明のコーヒー生豆の処理方法により、風味豊かな香味を有する焙煎コーヒー豆やコーヒー飲料を調製できるものと認められた。

0195

本発明は、精製や焙煎といったコーヒー果実の加工処理業を始めとして、本発明によって処理されたコーヒー生豆の焙煎豆から種々の製品(レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、缶コーヒー、コーヒーアロマ等)を製造する、コーヒー飲料類の製造業においても非常に有用であり、このような産業のさらなる発展に寄与し得るものである。

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