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技術 開閉器の診断方法及び開閉器の診断装置

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 久野勉山内一典高杉敏博
出願日 2009年11月11日 (10年4ヶ月経過) 出願番号 2009-257813
公開日 2011年5月26日 (8年9ヶ月経過) 公開番号 2011-103230
状態 特許登録済
技術分野 遮断器と発電機・電動機と電池等の試験 開閉器の消弧装置 開閉回路装置
主要キーワード 開閉動作特性 基礎架台 加速度振動 周波数解析装置 日常点検 点検周期 係数導出 動作診断
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この項目の情報は公開日時点(2011年5月26日)のものです。
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課題

機構部の異常の有無を主回路に触れることなく安全且つ容易に診断することが可能な、開閉器診断方法及び開閉器の診断装置を提供する。

解決手段

基礎架台又は基礎架台に固定された部材に加速度振動検出手段が取り付けられ、該加速度振動検出手段を用いて検出された基準となる加速度振動波形を記録する工程と、記録した基準となる加速度振動波形をn個のブロックに分割する工程と、加速度振動検出手段を用いて診断時における開閉器の加速度振動を検出し診断時の加速度振動波形を記録する工程と、該工程で記録した診断時の加速度振動波形をn個のブロックに分割する工程と、上記n個のブロック毎に加速度振動波形の相関係数導出する工程と、導出された相関係数が予め定められた値に満たない場合に機構部に異常があると判断する工程とを有する開閉器の診断方法、及び、該診断方法を実施可能な開閉器の診断装置とする。

概要

背景

電路に使用されている遮断器負荷開閉器等の開閉器は、電気設備事故点検等の際に電路の開閉を行ない、通常は静止している機器である。例えば遮断器は、事故時に一刻も早く系統から事故点切り離すために速やかに開動作しなければならず、重要な役目を果たしている。また負荷開閉器は、通常運転している電路の開閉を行なう装置である。これらの開閉器は、一旦故障すると電力系統への影響が非常に大きく、また修復するために長時間の停止を余儀なくされる。開閉器は使用によって各機構部に摩耗が生じ寸法に狂いが生じて開閉動作ができなくなったり、あるいは開閉に時間を要して開閉器本来の役目を果たせなかったりする可能性がある。また、円滑な動作を補償するために機構部にはグリスを塗布しているが、グリスは経年劣化硬化し、動作時間が遅くなることがある。そのため、定期的に日常点検や精密点検あるいは分解整備を行って、開閉器の健全性を確保している。

通常、精密点検や分解整備には時間を要するため、長時間のライン停止が必要である。また、点検整備専門家が行なうため、その費用も高価となる一方、開閉器を定期的に分解整備しても、特に緊急を要して補修する部位がない場合が多い。そのため、定期点検周期延長したいが万一の影響の大きさを考えると点検周期をなかなか延長できないのが現状である。

例えば遮断器の場合、定期的に行われる日常点検では、電路から切り離した状態で、遮断器の一次側と二次側の主回路測定器を接続し開閉動作時間を測定して、所定の時間で開閉可能であるか否かを診断するのが一般的である。しかし、この方法は正確であるものの、遮断器を電路から切り離して引き出さなければ、開閉動作時間を測定することができない。また、この方法では、開閉時間に異常が見つかったとしても、異常箇所を特定することはできないため、全体を調査して場合によっては分解整備を行なう必要がある。

このような開閉器に関する技術として、例えば特許文献1には、主回路を開閉する開閉器のコンタクト及び該コンタクトと連動する機構部の移動量と、コンタクトの導通タイミングを時系列データとして検出することにより開閉器の規定される試験データの開閉特性計測し、基準値と比較して異常を診断する開閉器の開閉動作特性診断方法及び装置が開示されている。また、特許文献2には、遮断器のケーシング加振し、ボルト締結部の振動を検出して共振周波数を求め、ボルトの緩みがないときの共振周波数との差を演算し、差が予め定められた値を超えたときボルト締結部の緩みありと診断する遮断器のボルトの緩み診断評価方法が開示されている。

概要

機構部の異常の有無を主回路に触れることなく安全且つ容易に診断することが可能な、開閉器の診断方法及び開閉器の診断装置を提供する。基礎架台又は基礎架台に固定された部材に加速度振動検出手段が取り付けられ、該加速度振動検出手段を用いて検出された基準となる加速度振動波形を記録する工程と、記録した基準となる加速度振動波形をn個のブロックに分割する工程と、加速度振動検出手段を用いて診断時における開閉器の加速度振動を検出し診断時の加速度振動波形を記録する工程と、該工程で記録した診断時の加速度振動波形をn個のブロックに分割する工程と、上記n個のブロック毎に加速度振動波形の相関係数導出する工程と、導出された相関係数が予め定められた値に満たない場合に機構部に異常があると判断する工程とを有する開閉器の診断方法、及び、該診断方法を実施可能な開閉器の診断装置とする。

目的

本発明は、機構部の異常の有無を、主回路に触れることなく安全且つ容易に診断することが可能な、開閉器の診断方法及び開閉器の診断装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

基礎架台、並びに、該基礎架台に配設された機構部、及び、該機構部と連動する遮断部を備えた開閉器診断する方法であって、前記基礎架台又は前記基礎架台に固定された部材に加速度振動検出手段が取り付けられ、前記加速度振動検出手段を用いて検出された基準となる加速度振動波形を記録する、第1振動波形記録工程と、前記第1振動波形記録工程で記録した前記加速度振動波形を、n個(nは2以上の整数)のブロックに分割する、第1振動波形分割工程と、前記加速度振動検出手段を用いて診断時における前記開閉器の加速度振動を検出し、診断時の加速度振動波形を記録する、第2振動波形記録工程と、前記第2振動波形記録工程で記録した前記加速度振動波形を、n個(nは2以上の整数)のブロックに分割する、第2振動波形分割工程と、前記第1振動波形分割工程で分割された前記n個のブロックの前記加速度振動波形と、前記第2振動波形分割工程で分割された前記n個のブロックの前記加速度振動波形との相関係数を、前記n個のブロック毎に導出する、相関係数導出工程と、前記相係数導出工程で導出された前記相関係数が予め定められた値に満たない場合に、前記機構部に異常があると判断する、異常判断工程と、を有することを特徴とする、開閉器の診断方法

請求項2

主回路に前記開閉器が接続されている状態で、少なくとも、前記第2振動波形記録工程、前記第2振動波形分割工程、前記相関係数導出工程、及び、前記異常判断工程が行われることを特徴とする、請求項1に記載の開閉器の診断方法。

請求項3

基礎架台と、前記基礎架台に配設された機構部と、前記機構部と連動する遮断部とを備えた開閉器を診断する装置であって、前記基礎架台又は前記基礎架台に固定された部材に取り付けられた加速度振動検出手段を用いて特定された加速度振動波形を用いて前記機構部の異常の有無を判断する異常有無判断部を備え、前記異常有無判断部は、前記加速度振動検出手段を用いて特定された基準となる加速度振動波形及び診断時の加速度振動波形をそれぞれ記録する振動波形記録部と、前記振動波形記録部に記録された前記基準となる加速度振動波形及び前記診断時の加速度振動波形を、それぞれn個(nは2以上の整数)のブロックに分割する分割部と、前記分割部で分割された前記基準となる加速度振動波形と前記診断時の加速度振動波形との相関係数を、前記n個のブロック毎に導出する、相関係数導出部と、前記相関係数導出部で導出された前記相関係数が、予め定められた値に満たないか否かを判断する判断部と、を有することを特徴とする、開閉器の診断装置

請求項4

主回路に前記開閉器が接続されている状態で、前記機構部、前記遮断部、前記加速度振動検出手段、及び、前記異常有無判断部が作動することを特徴とする、請求項3に記載の開閉器の診断装置。

技術分野

0001

本発明は、電路開閉に使用される遮断器負荷開閉器等の開閉器に備えられている機構部の異常有無を診断する開閉器の診断方法及び開閉器の診断装置に関する。

背景技術

0002

電路に使用されている遮断器や負荷開閉器等の開閉器は、電気設備事故点検等の際に電路の開閉を行ない、通常は静止している機器である。例えば遮断器は、事故時に一刻も早く系統から事故点切り離すために速やかに開動作しなければならず、重要な役目を果たしている。また負荷開閉器は、通常運転している電路の開閉を行なう装置である。これらの開閉器は、一旦故障すると電力系統への影響が非常に大きく、また修復するために長時間の停止を余儀なくされる。開閉器は使用によって各機構部に摩耗が生じ寸法に狂いが生じて開閉動作ができなくなったり、あるいは開閉に時間を要して開閉器本来の役目を果たせなかったりする可能性がある。また、円滑な動作を補償するために機構部にはグリスを塗布しているが、グリスは経年劣化硬化し、動作時間が遅くなることがある。そのため、定期的に日常点検や精密点検あるいは分解整備を行って、開閉器の健全性を確保している。

0003

通常、精密点検や分解整備には時間を要するため、長時間のライン停止が必要である。また、点検整備専門家が行なうため、その費用も高価となる一方、開閉器を定期的に分解整備しても、特に緊急を要して補修する部位がない場合が多い。そのため、定期点検周期延長したいが万一の影響の大きさを考えると点検周期をなかなか延長できないのが現状である。

0004

例えば遮断器の場合、定期的に行われる日常点検では、電路から切り離した状態で、遮断器の一次側と二次側の主回路測定器を接続し開閉動作時間を測定して、所定の時間で開閉可能であるか否かを診断するのが一般的である。しかし、この方法は正確であるものの、遮断器を電路から切り離して引き出さなければ、開閉動作時間を測定することができない。また、この方法では、開閉時間に異常が見つかったとしても、異常箇所を特定することはできないため、全体を調査して場合によっては分解整備を行なう必要がある。

0005

このような開閉器に関する技術として、例えば特許文献1には、主回路を開閉する開閉器のコンタクト及び該コンタクトと連動する機構部の移動量と、コンタクトの導通タイミングを時系列データとして検出することにより開閉器の規定される試験データの開閉特性計測し、基準値と比較して異常を診断する開閉器の開閉動作特性診断方法及び装置が開示されている。また、特許文献2には、遮断器のケーシング加振し、ボルト締結部の振動を検出して共振周波数を求め、ボルトの緩みがないときの共振周波数との差を演算し、差が予め定められた値を超えたときボルト締結部の緩みありと診断する遮断器のボルトの緩み診断評価方法が開示されている。

先行技術

0006

特開2001−145217号
特開2002−367492号

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、開閉器を一旦停止して、主回路の端子及び投入コイルトリップコイル等の信号を得るために測定器への信号線を接続する必要がある。そのため、異常の診断に時間がかかり、また主回路へ接続するために安全対策をとるか、又は、開閉器を電路から完全に切り離す必要が生じるので、開閉器の開閉動作特性を容易に診断することができないという問題があった。また、特許文献2に開示されている技術では、診断する遮断器の共振周波数に応じた加振器を準備する必要があるため、複数の遮断器を診断する場合には診断コストが増大しやすいという問題があった。また、特許文献2に開示されている技術には、ボルト締結部の緩みは診断できても開閉機構部の異常を診断することはできないという問題もあった。

0008

そこで、本発明は、機構部の異常の有無を、主回路に触れることなく安全且つ容易に診断することが可能な、開閉器の診断方法及び開閉器の診断装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。

0010

本発明の第1の態様は、基礎架台(1)、並びに、該基礎架台に配設された機構部(2)、及び、該機構部と連動する遮断部(3)を備えた開閉器(5)を診断する方法であって、基礎架台又は基礎架台に固定された部材に加速度振動検出手段(4)が取り付けられ、加速度振動検出手段を用いて検出された基準となる加速度振動波形を記録する第1振動波形記録工程(S1)と、該第1振動波形記録工程で記録した加速度振動波形を、n個(nは2以上の整数)のブロックに分割する第1振動波形分割工程(S2)と、加速度振動検出手段を用いて診断時における開閉器の加速度振動を検出し、診断時の加速度振動波形を記録する第2振動波形記録工程(S3)と、該第2振動波形記録工程で記録した加速度振動波形を、n個(nは2以上の整数)のブロックに分割する第2振動波形分割工程(S4)と、第1振動波形分割工程で分割されたn個のブロックの加速度振動波形と、第2振動波形分割工程で分割されたn個のブロックの加速度振動波形との相関係数を、n個のブロック毎に導出する相関係数導出工程(S5)と、該相関係数導出工程で導出された相関係数が予め定められた値に満たない場合に、機構部に異常があると判断する異常判断工程(S6)と、を有することを特徴とする、開閉器の診断方法である。

0011

ここに、「基準となる加速度振動波形」とは、例えば遮断器(5)を新たに設置したときや整備直後等の、正常に動作することが確認されているときの波形であり、診断に先だって予め記録されている。また、加速度振動検出手段(4)は、基礎架台(1)に直接取り付けられてもよいし、基礎架台(1)に固定された部材(例えば、機構部(2)を収納する外箱(2A))に取り付けられてもよい。

0012

上記本発明の第1の態様において、主回路に開閉器(5)が接続されている状態で、少なくとも、第2振動波形記録工程(S3)、第2振動波形分割工程(S4)、相関係数導出工程(S5)、及び、異常判断工程(S6)が行われても良い。

0013

本発明の第2の態様は、基礎架台(1)と、該基礎架台に配設された機構部(2)と、該機構部と連動する遮断部(3)とを備えた開閉器(5)を診断する装置(10)であって、基礎架台又は基礎架台に固定された部材に取り付けられた加速度振動検出手段(4)を用いて特定された加速度振動波形を用いて機構部の異常の有無を判断する異常有無判断部(11)を備え、該異常有無判断部は、加速度振動検出手段を用いて特定された基準となる加速度振動波形及び診断時の加速度振動波形をそれぞれ記録する振動波形記録部(12)と、該振動波形記録部に記録された基準となる加速度振動波形及び診断時の加速度振動波形をそれぞれn個(nは2以上の整数)のブロックに分割する分割部(13)と、該分割部で分割された基準となる加速度振動波形と診断時の加速度振動波形との相関係数を、n個のブロック毎に導出する相関係数導出部(13)と、該相関係数導出部で導出された相関係数が、予め定められた値に満たないか否かを判断する判断部(13)と、を有することを特徴とする、開閉器の診断装置(10)である。

0014

上記本発明の第2の態様において、主回路に開閉器が接続されている状態で、機構部(2)、遮断部(3)、加速度振動検出手段(4)、及び、異常有無判断部(11)が作動しても良い。

発明の効果

0015

本発明では、加速度振動検出手段(4)を用いて特定した加速度振動波形の相関係数を比較することによって、機構部(2)の異常の有無を診断する。そのため、周波数解析装置等の複雑な装置を用いることなく、開閉器(5)を主回路に接続したまま、機構部(2)の異常の有無を診断することができ、異常と診断された時のみ、開閉器(5)の精密点検や分解整備を行うことが可能になる。したがって、本発明によれば、機構部(2)の異常の有無を、主回路に触れることなく安全且つ容易に診断することが可能な、開閉器の診断方法及び開閉器の診断装置(10)を提供することができる。また、記録した振動波形の相関係数を比較することによって機構部(2)の異常の有無を診断する本発明によれば、基準となる加速度振動波形を開閉器毎に予め記録しておくことにより、開閉器の種類によらず、同一の手法で異常の有無を診断することが可能になるため、診断コストの増大を抑制することが可能になる。さらに、機構部(2)の異常診断時に開閉器(5)を主回路から切り離す必要がない本発明によれば、通常運転中の開閉器(5)の開閉動作から異常有無を診断することができるので、診断を目的として機構部(2)のラインを停止する必要がない。すなわち、通常運転中に開閉器(5)の動作診断が可能であり、開閉器(5)が異常と診断されれば、迅速に対応してその影響を最小限に留めることが可能になる。

図面の簡単な説明

0016

本発明にかかる開閉器の診断方法を示すフローチャートである。
ガス遮断器5の側面図である。
ガス遮断器5の正面図である。
正常な遮断器の投入直後から50ms間の振動波形を示す図である。
機構部に異常が発生した遮断器の投入直後から50ms間の振動波形を示す図である。
分割したブロック毎の波形データの散布図である。図6(a)は投入直後から5ms後までの波形データの散布図、図6(b)は投入の5ms後から10ms後までの波形データの散布図、図6(c)は投入の10ms後から15ms後までの波形データの散布図、図6(d)は投入の15ms後から20ms後までの波形データの散布図である。
分割したブロック毎の波形データの散布図である。図7(a)は投入の20ms後から25ms後までの波形データの散布図、図7(b)は投入の25ms後から30ms後までの波形データの散布図、図7(c)は投入の30ms後から35ms後までの波形データの散布図、図7(d)は投入の35ms後から40ms後までの波形データの散布図である。
ガス遮断器5及び本発明にかかる開閉器の診断装置10を簡略化して示す図である。

実施例

0017

以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。

0018

1.開閉器の診断方法
図1は、本発明にかかる開閉器の異常診断方法(以下において、「本発明の診断方法」ということがある。)の流れを示すフローチャートである。図1に示すように、本発明の診断方法は、第1振動波形記録工程(S1)と、第1振動波形分割工程(S2)と、第2振動波形記録工程(S3)と、第2振動波形分割工程(S4)と、相関係数導出工程(S5)と、異常判断工程(S6)と、を有し、工程S1〜工程S6によって、開閉器の機構部に異常があるか否かが診断される。

0019

図2は、本発明の診断方法によって異常の有無を診断されるガス遮断器5(以下において、「開閉器5」という。)を示す側面図である。図3は、開閉器5の正面図である。図2及び図3に示すように、開閉器5は、基礎架台1と、該基礎架台1に配設された機構部2と、該機構部2と連動するように配設された遮断部3と、を備え、機構部2を収納する外箱に加速度振動検出手段4が配設されている。開閉器5は、例えば開放信号が入力されると、機構部2のトリップコイルが作動し、このトリップコイルと連動する遮断部3が、主回路を繋げるように作動することにより、開放動作が行われる。開放動作の動作時間は、およそ数十ミリ秒である。一方、開閉器5に投入信号が入力された場合には、機構部2のトリップコイルが作動し、このトリップコイルと連動する遮断部3が、主回路を断ち切るように作動することにより、投入動作が行われる。投入動作の動作時間は、開放動作よりも遅く、およそ数十ミリ秒から数百ミリ秒である。本発明の診断方法では、加速度振動検出手段4を用いて、機構部2が作動する際に生じる加速度振動を測定し、その測定結果を用いて機構部2の異常の有無を診断する。以下、図面を参照しつつ、本発明の診断方法における工程毎の内容を、具体的に説明する。

0020

<第1振動波形記録工程(S1)>
第1振動波形記録工程S1(以下において、「工程S1」という。)は、加速度振動検出手段4を用いて、開閉器5の加速度振動を検出し、検出された加速度振動を用いて基準となる加速度振動波形を特定し、当該基準となる加速度振動波形を記録する工程である。工程S1は、例えば、開閉器5を新しく設置したときや整備して正常な動作が行なえることが確認されているときの機構部2を作動させた際に生じる加速度振動を、加速度振動検出手段4を用いて検出し、検出結果から特定される基準となる加速度振動波形を記録する工程、とすることができる。工程S1で加速度振動を検出する時間は、機構部2の動作開始から動作終了までの加速度振動を検出可能な時間であれば特に限定されるものではなく、例えば、100msとすることができる。また、工程S1では、投入動作の際及び開放動作の際の両方で、加速度振動を検出するのが良い。

0021

<第1振動波形分割工程(S2)>
第1振動波形分割工程S2(以下において、「工程S2」という。)は、上記工程S1で記録した加速度振動波形を、所定の時間毎のn個(nは2以上の整数)のブロックに分割する工程である。各ブロックの時間幅は、機構部2の異常の有無を判断可能であれば特に限定されない。工程S2は、例えば、上記工程S1で記録した加速度振動波形を5ms毎の20個のブロックに分割する工程、とすることができる。

0022

<第2振動波形記録工程(S3)>
第2振動波形記録工程S3(以下において、「工程S3」という。)は、加速度振動検出手段4を用いて、開閉器5の診断時の加速度振動を検出し、診断時の加速度振動波形を記録する工程である。主回路に接続されている開閉器5の、機構部2の異常を診断する場合、工程S5は、定期的に機構部2を作動させた際に生じる加速度振動を、加速度振動検出手段4を用いて検出し、検出結果から特定される加速度振動波形を記録する工程、とすることができる。工程S5で加速度振動を検出する時間は、機構部2の動作開始から動作終了までの加速度振動を検出可能な時間であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記工程S1と同じ時間(100ms)とすることができる。また、工程S5でも、上記工程S1と同様に、投入動作の際及び開放動作の際の両方で、加速度振動を検出するのが良い。

0023

<第2振動波形分割工程(S4)>
第2振動波形分割工程S4(以下において、「工程S4」という。)は、上記工程S3で記録した加速度振動波形を、所定の時間毎のn個(nは2以上の整数)のブロックに分割する工程である。各ブロックの時間幅は、機構部2の異常の有無を判断可能であれば特に限定されないが、第1振動波形分割工程(S2)と同じ時間幅とする。工程S4は、例えば、上記工程S3で記録した加速度振動波形を5ms毎の20個のブロックに分割する工程、とすることができる。

0024

上記工程S1で記録した基準となる加速度振動波形及び上記工程S3で記録した診断時の加速度振動波形のうち、0.05sまでの加速度振動波形を、上記工程S2及び上記工程S4でそれぞれ5ms毎の10ブロックに分割した一例を、図4に示す。この例は、投入動作の際の波形であり、図4縦軸は加速度振動の振幅[G]、横軸は時間[s]である。図4では、基準となる加速度振動波形(実線)と診断時の加速度振動波形(破線)とを重ねて表示している。図4に示すように、この例では加速度振動波形は、すべてのブロックにおいて、基準となる加速度振動波形とほとんど一致している。

0025

上記工程S1で記録した基準となる加速度振動波形及び上記工程S3で記録した診断時の加速度振動波形のうち、0.05sまでの加速度振動波形を、上記工程S2及び上記工程S4で5ms毎の10ブロックに分割した別の例を、図5に示す。この例も、投入動作の際の波形である。なお、「基準となる加速度振動波形」は、図4に示したものと同一である。図5に示すように、投入を開始してから0.021s後から0.022s後の時間帯までは、診断時の加速度振動波形と基準となる加速度振動波形とが一致していたが、これ以降は、両者の加速度振動波形が一致しなかった。

0026

<相関係数導出工程(S5)>
相関係数導出工程S5(以下において、「工程S5」という。)は、上記工程S2で分割されたn個のブロックそれぞれにおける加速度振動波形と、上記工程S4で分割されたn個のブロックそれぞれにおける加速度振動波形との相関係数を、n個のブロック毎に導出する工程である。すなわち、上記工程S2及び上記工程S4で加速度振動波形が20ブロックに分割されている場合、工程S5は、基準となる加速度振動波形と診断時の加速度振動波形との相関係数を、20個のブロックすべてで導出する工程である。工程S5は、例えば、上記工程S2で分割された加速度振動波形、及び、上記工程S4で分割された加速度振動波形から、それぞれ同一のサンプリング間隔(例えば、数十μs間隔)で波形データを抽出して散布図を作成し、作成した散布図を用いて相関係数を導出する工程、とすることができる。

0027

図6(a)〜(d)は、前述の図4及び図5の例について、投入直後から20msまでの4ブロックの加速度振動波形(診断時の加速度振動波形及び基準時の加速度振動波形)から、80μs間隔で波形データをサンプリングすることにより作成した散布図である。図6(a)は投入直後から5ms後までの波形データの散布図、図6(b)は投入開始の5ms後から10ms後までの波形データの散布図、図6(c)は投入開始の10ms後から15ms後までの波形データの散布図、図6(d)は投入開始の15ms後から20ms後までの波形データの散布図である。図6(a)〜(d)の縦軸は加速度振動振幅[G]、横軸は時間[s]であり、図6(a)〜(d)の実線は図4の例における回帰直線、破線は図5の例における回帰直線、図6(a)〜(d)の◇は図4の例での波形データ、■は図5の例での波形データである。また、投入開始の20ms後から40ms後までの4ブロックの加速度振動波形(診断時の加速度振動波形及び基準となる加速度振動波形)から、80μs間隔で波形データをサンプリングすることにより作成した散布図を図7(a)〜(d)に示す。図7(a)は投入開始の20ms後から25ms後までの波形データの散布図、図7(b)は投入開始の25ms後から30ms後までの波形データの散布図、図7(c)は投入開始の30ms後から35ms後までの波形データの散布図、図7(d)は投入開始の35ms後から40ms後までの波形データの散布図である。直線、プロット表記図6と同様である。また、投入直後から40ms経過後までは図6及び図7に示した散布図のデータを用い、40ms以降はこれらと同様の方法で作成した散布図を用いて算出した相関係数の値を表1に示す。表1の計測時間欄には、投入開始からの経過時間[ms]を示している。

0028

0029

図6及び図7並びに表1によれば、図4に示した例では診断時の加速度振動波形と基準となる加速度振動波形とから算出した相関係数は、投入開始直後からほとんどが0.8以上(18個が0.8以上。このうち8個が0.9以上。)となっていた。これに対し、図5の例では、診断時の加速度振動波形と基準となる加速度振動波形とから算出した相関係数は、最初の4ブロックではすべて0.9以上であったが、5ブロック目(投入開始より20ms〜25ms)が0.251、6ブロック目(投入開始より25ms〜30ms)が−0.388であり、5ブロック目から大きく相関係数が変化した。

0030

<異常判断工程(S6)>
異常判断工程S6(以下において、「工程S6」という。)は、上記工程S5で導出された相関係数が予め定められた値に満たない場合に、機構部2に異常があると判断する工程である。工程S6は、例えば、各ブロックにおいて算出される相関係数のうち最も低い相関係数をもって、当該相関係数が0.3よりも大きい場合には異常が無いと判断するとともに、当該相関係数が0.3以下である場合には相関が弱いと判断し、さらに、当該相関係数が0未満である場合には負の相関があるため機構部2に異常があると判断し、当該相関係数が0以上0.3以下である場合には要注意と判断する工程、とすることができる。また、工程S1〜S5までで投入動作の際の波形と開放動作時の波形の両方について各ブロックの相関係数を求めておき、それらのうち最も低い相関係数をもって同様の判断をする工程とするのが好ましい。投入動作と開放動作の両方を診断することで開閉器の異常の有無をより的確に判断することが可能になる。異常があると判断された場合には、開閉器5の精密点検や分解整備を実施することができる。これに対し、異常が無いと判断された場合には、直ちに精密点検や分解整備を実施することなく、開閉器5の使用をそのまま継続することができる。また、要注意と判断された場合には、次回の診断をこれまでより早めて実施し、異常の進展を細かく観察するといった管理が可能となる。

0031

このように、工程S1〜工程S9によって異常の有無を診断する本発明の診断方法によれば、わずか1msの動作時間遅れが発生した場合であっても、異常の有無を診断することができ、異常有りと診断された時のみ、開閉器の精密点検や分解整備を行うことが可能になる。

0032

機構部2の動き高速であり、瞬時に動作が完了する。そのため、機構部2の動作開始から動作終了までの全区間によって構成される1つのブロックのみを評価対象にすると、些細な異常は全体のデータの中に埋もれてしまい異常の診断が困難になる。そこで、上記工程S2及び工程S4では、短時間の異常が発生した場合であっても異常有と診断可能にするため、分割した各ブロックの時間幅を5msとした。例えば、図5に示した例の場合、機構部2の動作開始から100msまでの全区間によって構成される1つのブロックで相関係数を求めると、正常時の相関係数は0.931となる一方、診断時の相関係数は0.643となり、その差が小さくなるため、異常の判断が困難となる。これに対し、分割した各ブロックの時間幅を5msとした上記例では、相関係数が1ブロックでも負の値になったときには、異常と判断することができる。

0033

また、上記例のように、時系列的に複数のブロックへ区分して評価することにより、異常が起きた時点、つまり負の相関になった時点(あるいはその前に要注意があればその時点)が、動作開始からどの程度の時間が経過した時点なのかを特定することができるので、機構部2の動作メカニズムが明確な場合は、機構部2のどの部位に異常があるのかを推定することも可能になる。

0034

本発明の診断方法において、加速度振動の周波数は、周波数分析の結果、数kHz程度であった。そのため、加速度振動検出手段4の周波数帯域は10kHz程度まであれば十分である。

0035

また、オフラインで定期的に診断計測を行なう場合は、計測周期が数ヶ月から数年に亘ると考えられる。そのため、加速度振動検出手段4の取り付け位置が毎回同じ位置になるように、取り付け位置にマーキングをしておくと、計測誤差を小さくすることが可能になる。

0036

本発明の診断方法は、交流遮断器のみならず、直流遮断器電磁接触器等にも適用できる。また三相交流の場合、各相に遮断部が別れている場合は、加速度振動検出手段を各相に取り付けることにより、どの相で異常が発生しているかを診断することも可能になる。

0037

2.開閉器の診断装置
図8は、本発明にかかる開閉器の診断装置10(以下において、「本発明の診断装置10」ということがある。)を簡略化して示す図である。図8において、図1及び図2と同様に構成されるものには、これらの図で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。

0038

図8に示すように、本発明の診断装置10は、異常有無判断部11、入力ポート14、及び、出力ポート15を備え、異常有無判断部11は、振動波形記録部12(以下において、「RAM12」という。)及び中央処理装置13(以下において、「CPU13」という。)を有している。機構部2に接続された加速度振動検出手段4によって検出された加速度振動の検出結果は、加速度振動検出手段4から異常有無判断部11へと向けて発信され、入力ポート14を経由してCPU13へと達した後、CPU13で加速度振動波形が作成される。このようにして作成された、機構部2の異常の有無を診断する時における加速度振動波形(診断時の加速度振動波形)、及び、基準となる加速度振動波形は、RAM12で記録される。本発明の診断装置10において、CPU13は、上記機能に加え、RAM12に記録された診断時の加速度振動波形及び基準となる加速度振動波形をそれぞれn個(nは2以上の整数)のブロックに分割する分割部、該分割部で分割された診断時の加速度振動波形と基準となる加速度振動波形との相関係数をn個のブロック毎に導出する相関係数導出部、及び、該相関係数導出部で導出された相関係数が予め定められた値に満たないか否かを判断する判断部としても機能する。そして、CPU13における判断結果は、出力ポート15を介して図示されていない判断結果出力手段へと達し、当該判断結果出力手段に異常診断の結果が出力される。

0039

このように構成される本発明の診断装置10によれば、上記工程S1〜工程S6を行うことができる。それゆえ、本発明によれば、機構部2の異常の有無を、主回路に触れることなく安全且つ容易に診断することが可能な、開閉器の診断装置10を提供することができる。そして、上記工程S1〜工程S6は、開閉器5が主回路に接続されているか否かに関わらず、機構部2の異常の有無を診断することが可能であるため、本発明によれば、開閉器5が主回路に接続されている状態で、機構部2の異常の有無を診断することが可能な、開閉器の診断装置10を提供することができる。

0040

本発明において、加速度振動検出手段4は、機構部2が作動する際に発生する加速度振動を検出することが可能なものであれば、その形態は特に限定されるものではなく、加速度ピックアップを備えた公知の加速度検出器等を用いることができる。

0041

また、本発明に関する上記説明では、加速度振動検出手段4が機構部2を収容する外箱
に取り付けられている形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明において、加速度振動検出手段は、機構部が作動する際に発生する加速度振動を検出可能な位置に配置されていれば良く、機構部が配設されている基礎架台に加速度振動検出手段を取り付けることも可能である。

0042

本発明は、交流遮断器のみならず直流遮断器や電磁接触器等の開閉器の機構部における異常発生有無の診断に利用することができる。

0043

1…基礎架台
2…機構部
3…遮断部
4…加速度振動検出手段
5…開閉器
10…開閉器の診断装置
11…異常有無判断部
12…RAM(振動波形記録部)
13…CPU(分割部、相関係数導出部、判断部)
14…入力ポート
15…出力ポート

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