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技術 コンクリート構造物の補修方法

出願人 エス・ジー・エンジニアリング株式会社
発明者 加川順一
出願日 2009年11月6日 (11年3ヶ月経過) 出願番号 2009-255427
公開日 2011年5月19日 (9年9ヶ月経過) 公開番号 2011-099269
状態 拒絶査定
技術分野 トンネルの覆工・支保 既存建築物への作業
主要キーワード 操作媒体 ブルドン管式圧力計 スプリング軸 穿孔ノズル 一時固定 非圧縮流体 充填ムラ 排気効果
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年5月19日)のものです。
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図面 (6)

課題

建築構造物破壊して、初めから構築するよりはるかに低コストで、かつ補修後コンクリート構造物圧縮強度が、建築当初の圧縮強度にまで回復できるコンクリート構造物の補修方法を提供する。

解決手段

コンクリート構造物の表面に、掘削して穴を設ける工程、前記穴を、閉鎖可能な隙間と注入剤吐出口を除いて閉塞する工程、前記吐出口から、前記穴に、注入剤を、所定の圧力で吐出する工程、前記工程を継続しつつ、前記穴に注入剤が堆積して、前記穴内の空気を前記隙間から外部に排除して、前記穴の内部を減圧する工程、前記工程を継続しつつ、前記穴と連通している毛管状の空隙内の空気を、前記穴に一気に引っ張り、前記隙間から排除する工程、前記工程を継続しつつ、前記穴および前記穴と連通している毛管状の空隙内部に残留する空気が略排出された状態になったときに、前記隙間を封鎖し、さらに前記工程を継続する工程を含むことを特徴とする。

概要

背景

コンクリート構造物経年劣化の典型的な態様として、コンクリート構造物の内部および表面に発生した空隙が挙げられる。これらの空隙は、型枠へのフレッシュコンクリート充填ムラにより発生したジャンカ鉄筋周囲のコンクリート充填不足、部分的な水の分離等の施工時の構造上の欠陥要因、また、中性化塩害凍結融解、鉄筋の発錆膨張収縮等の物理化学的劣化要因、疲労等の物理的要因由来するコンクリート構造物の経年劣化に伴い発生したもの(以下、単に、コンクリート構造物の空隙ともいう)があげられる。

このようなコンクリート構造物の空隙を伴う劣化態様は、コンクリート構造物内外への漏水を引き起こしたり、コンクリート構造物の圧縮強度等の物理的特性の低下に繋がり易いため、これらの空隙に、注入剤注入充填硬化させて補修する方法が多数提案されている。

例えば、特許文献1には、特定の注入器によって、注入材をコンクリート構造物の空隙に注入し、注入圧力を一定範囲に維持して、注入された注入材を養生する方法が開示されている。

また、特許文献2には、コンクリート構造物の打継ぎまたはひび割れに、粘度が1万〜100万cpsエポキシ樹脂またはマイクロセメントを使用して、注入圧力200〜350kg/cm2で注入する補修工法が開示されている。

概要

建築構造物破壊して、初めから構築するよりはるかに低コストで、かつ補修後のコンクリート構造物の圧縮強度が、建築当初の圧縮強度にまで回復できるコンクリート構造物の補修方法を提供する。コンクリート構造物の表面に、掘削して穴を設ける工程、前記穴を、閉鎖可能な隙間と注入剤の吐出口を除いて閉塞する工程、前記吐出口から、前記穴に、注入剤を、所定の圧力で吐出する工程、前記工程を継続しつつ、前記穴に注入剤が堆積して、前記穴内の空気を前記隙間から外部に排除して、前記穴の内部を減圧する工程、前記工程を継続しつつ、前記穴と連通している毛管状の空隙内の空気を、前記穴に一気に引っ張り、前記隙間から排除する工程、前記工程を継続しつつ、前記穴および前記穴と連通している毛管状の空隙内部に残留する空気が略排出された状態になったときに、前記隙間を封鎖し、さらに前記工程を継続する工程を含むことを特徴とする。

目的

本発明は、劣化したコンクリート構造物の表面の微細な毛管状の空隙の内部にまで注入剤を充填することができ、建築構造物を破壊して、初めから構築するよりはるかに低コストで、かつ補修後のコンクリート構造物の圧縮強度が、コンクリート構造物の建築当初の圧縮強度に匹敵する程度にまで回復できる、もしくは増強できるコンクリート構造物の補修方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

(a)コンクリート構造物の表面に、掘削して穴を設ける工程、(b)前記穴を、閉鎖可能な隙間と注入剤吐出口を除いて閉塞する工程、(c)前記吐出口から、前記穴に、注入剤を、所定の圧力で吐出する工程、(d)前記工程(c)を継続しつつ、前記穴に注入剤が堆積して、前記穴内の空気を前記隙間から外部に排除して、前記穴の内部を減圧する工程、(e)前記工程(c)を継続しつつ、前記穴と連通している毛管状の空隙内の空気を、前記穴に一気に引っ張り、前記隙間から排除する工程、(f)前記工程(c)を継続しつつ、前記穴および前記穴と連通している毛管状の空隙内部に残留する空気が略排出された状態になったときに、前記隙間を封鎖し、さらに前記工程(c)を継続する工程を含むことを特徴とするコンクリート構造物の表面に設けた穴に、注入剤を吐出して注入するコンクリート建造物補修方法

技術分野

0001

本発明は、コンクリート構造物劣化部分補修方法に関する。

背景技術

0002

コンクリート構造物の経年劣化の典型的な態様として、コンクリート構造物の内部および表面に発生した空隙が挙げられる。これらの空隙は、型枠へのフレッシュコンクリート充填ムラにより発生したジャンカ鉄筋周囲のコンクリート充填不足、部分的な水の分離等の施工時の構造上の欠陥要因、また、中性化塩害凍結融解、鉄筋の発錆膨張収縮等の物理化学的劣化要因、疲労等の物理的要因由来するコンクリート構造物の経年劣化に伴い発生したもの(以下、単に、コンクリート構造物の空隙ともいう)があげられる。

0003

このようなコンクリート構造物の空隙を伴う劣化態様は、コンクリート構造物内外への漏水を引き起こしたり、コンクリート構造物の圧縮強度等の物理的特性の低下に繋がり易いため、これらの空隙に、注入剤注入充填硬化させて補修する方法が多数提案されている。

0004

例えば、特許文献1には、特定の注入器によって、注入材をコンクリート構造物の空隙に注入し、注入圧力を一定範囲に維持して、注入された注入材を養生する方法が開示されている。

0005

また、特許文献2には、コンクリート構造物の打継ぎまたはひび割れに、粘度が1万〜100万cpsエポキシ樹脂またはマイクロセメントを使用して、注入圧力200〜350kg/cm2で注入する補修工法が開示されている。

先行技術

0006

特開2009−030244号公報
特開2001−012804号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、特許文献1に開示された方法だけでは、実際の多様なコンクリート構造物に対して汎用的に十分な強度が得られるとはいえない。

0008

また、特許文献2に記載されるような高粘度の注入剤を高圧注入しても、劣化したコンクリート構造物の内部の微細毛管状の空隙にまで注入剤が充填され得ない傾向があり、補修後のコンクリート構造物の圧縮強度が十分に回復できなかった。そのため、建築構造物破壊して、初めから再構築する必要があった。

0009

本発明は、劣化したコンクリート構造物の表面の微細な毛管状の空隙の内部にまで注入剤を充填することができ、建築構造物を破壊して、初めから構築するよりはるかに低コストで、かつ補修後のコンクリート構造物の圧縮強度が、コンクリート構造物の建築当初の圧縮強度に匹敵する程度にまで回復できる、もしくは増強できるコンクリート構造物の補修方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明のコンクリート建造物の補修方法は、(a)コンクリート構造物の表面に、掘削して穴を設ける工程、
(b)前記穴の穴部を、閉鎖可能な隙間と注入剤の吐出口を除いて閉塞する工程、
(c)前記吐出工から、前記穴に、注入剤を、所定の圧力で吐出する工程、
(d)前記工程(c)を継続しつつ、前記穴に注入剤が堆積して、前記穴内の空気を前記隙間から外部に排除して、前記穴の内部を減圧する工程、
(e)前記工程(c)を継続しつつ、前記穴と連通している毛管状の空隙内の空気を、前記穴に一気に引っ張り、前記隙間から排除する工程、
(f)前記工程(c)を継続しつつ、前記穴および前記穴と連通している毛管状の空隙内部に残留する空気が略排出された状態になったときに、前記隙間を封鎖し、さらに前記工程(c)を継続する工程を含むことを特徴とする。

0011

すなわち、コンクリート構造物の表面に、10〜100mmの深さを有するように掘削して穴を設け、前記穴の穴部を、閉鎖可能な隙間と注入剤の吐出口を除いて閉塞した後、前記吐出口から前記穴内に、100〜700cPの粘度の注入剤を、0.01〜0.1MPaの圧力で吐出すると、前記穴の底部によって反射されて、前記穴部に向う気流が生じ、この気流と前記穴内で注入剤の液面が上昇することによる前記穴の隙間から外へ排除される空気の流れとが相俟って、前記穴内の圧力が大気圧以下に減圧状態になると、エジェクト(eject)効果により、前記穴と連通している毛管状の空隙内の空気が前記穴の側に引かれ、前記隙間から外へ放出され、前記穴および前記穴と連通している毛管状の空隙内部の残留空気が略排出された状態になったときに、前記隙間を閉鎖すると、注入剤が前記穴と連通している毛管状の空隙内部に浸透し、硬化することにより、コンクリート構造物の物理的特性が回復し、漏水をなくすことができ、コンクリート構造物の全体を、施工直後の状態に匹敵する強度を有する状態にまで安定的に戻すことができる。

発明の効果

0012

本発明によれば、劣化したコンクリート構造物の表面の微細な毛管状の空隙および内部にまで注入剤を充填することができ、建築構造物を破壊して、初めから構築するよりはるかに低コストで、かつ補修後のコンクリート構造物の圧縮強度が、コンクリート構造物の建築当初の圧縮強度に匹敵する程度にまで回復および増強できるコンクリート構造物の補修方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

コンクリート構造体の表面に穿設された穴の一例を示した模式図である。
本発明のコンクリート建造物の補修方法に適用される注入器を図1に示される穴に適用した場合の一例を示した実施態様図である。
本発明のコンクリート建造物の補修方法に適用される注入器の連通手段の働きを説明するための説明図である。
本発明のコンクリート建造物の補修方法に適用される注入器の連通手段の働きを説明するための説明図である。
本発明のコンクリート建造物の補修方法に適用される注入器の連通手段の働きを説明するための説明図である。

実施例

0014

本発明が補修対象とするコンクリート構造物(以下、単に、コンクリート構造物ともいう)は、少なくともその表面に毛管状の空隙を有し、さらに、その内部に経年劣化により生じた空隙を有する場合も含む。

0015

なお、これらの空隙の発生に伴いコンクリート構造物の表面または内部に発生した微細なひび割れを介して、コンクリート構造物の内部の空隙と表面の毛管状の空隙とは連通している部分が存在する。本発明の補修方法では、毛管状の空隙から注入され、その内部に浸透した注入剤が、このようなひび割れを経由してコンクリート構造物の内部の空隙に到達して充填されている。

0016

経年劣化によって生じたこれらの毛管状の空隙およびコンクリート構造物の内部の空隙の有無は、コンクリート構造物の表面の毛管状の空隙については、目視で確認することができ、鉄筋コンクリート構造物では、その表面に、ひび割れ等の毛管状の空隙があれば、多くの場合、表面近傍に鉄筋があることが経験上予想できる。コンクリート構造物の表面の毛管状の空隙については、本発明の補修方法では、面積0.75mm2(直径約1mm)以上の毛管状の空隙への注入剤の注入が好ましく、面積3.1mm2(直径約2mm)以上の毛管状の空隙への注入剤の注入がより好ましい。

0017

コンクリート構造物の内部の空隙については、例えば、レーザーX線などの照射によって確認することができる。

0018

本発明の補修方法は、以下の工程からなる。

0019

工程(a):コンクリート構造物の表面に、穿設工具(先端に高速回転(8,700〜10,000rpmで回転するダイヤモンドカッター)用いて、前記工具の先端部から吐出水ミスト)(0.1MPa))を噴出しながら掘削し、同時に穴の形成時に生じた削粉(ヘドロ)をバキュームポンプ回収する。

0020

工程(b):前記工程(a)によって形成された穴を、閉鎖可能な隙間と注入剤の吐出口を除いて閉塞する。要するに、この工程は、形成された穴の開口を閉塞する機能を有する部材を設置する工程である。前記部材には、たとえば隙間と吐出口が設けられている。隙間としては、雌ねじ刻設されたねじ孔に雄ねじ螺合させる構成が好適に採用されるが、かかる構成に限定されることはない。また、吐出口には、後の工程で使用する注入剤を注入する注入手段が取り付けられる。注入手段としては、後述する注射器状の器具のほか、スラリー等を圧送するポンプを適用することができる。

0021

工程(c):前記吐出口から、前記穴に、注入剤を所定の圧力で吐出する。この工程から、後述する工程(d)、工程(e)および工程(f)において、注入剤は、前記穴内に穴の底部から前記隙間への気流を発生させるための操作媒体(operating medium)として機能する。

0022

工程(d):前記工程(c)を継続しつつ、前記穴に注入剤が堆積して、前記穴内の空気を前記隙間から外部に排除して、前記穴の内部を減圧する。

0023

工程(e):前記工程(c)を継続しつつ、前記穴と連通している毛管状の空隙内の空気を、前記穴に一気に引っ張り、前記隙間から排除する。

0024

工程(f):前記工程(c)を継続しつつ、前記穴および前記穴と連通している毛管状の空隙内部に残留する空気が略排出された状態になったときに、前記隙間を封鎖し、さらに前記工程(c)を継続する。

0025

本発明の補修方法では、ポンプの場合に要求される動力源が不要になるなど、構成の単純さ、取り扱いの容易性コストの削減の観点から、注入剤を吐出するために、後述するような注入器が好適に適用される。

0026

その場合の補修方法は、
後述する特定の穴を設ける工程(A)と、
後述する特定の注入器から、後述する特定の注入剤を、後述する特定の条件の下で前記穴に注入して、前記注入剤が充填されたコンクリート構造物を得る工程(B)と、
前記注入剤が充填されたコンクリート構造物を、後述する特定の条件の下で養生する工程(C)とを含む。

0027

前記穴は、コンクリート構造物表面の毛管状の空隙の部分に直接設けてもよいし、コンクリート構造物の表面に化粧塗装等の表面加工がなされ毛管状の空隙が認められない場合等で、その表面加工の下地の部分に毛管状の空隙がある場合は、表面加工された化粧塗装等を一度剥離して、下地を露出させ、下地の表面の毛管状の空隙の部分に穴を設けてもよい。本発明において、コンクリート構造物の表面とは、前記穴の内壁面と、上述した露出された下地の表面も含む概念である。

0028

図1は、本発明の補修方法の工程(A)(以下、単に工程(A)ともいう)で設けられる穴Aの一例を示している。工程(A)では、コンクリート構造物Xの表面X1に、穴Aの横断面の面積Spが、後述するSminの好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上であって、12.5〜180mm2(4〜15mm)、前記横断面の長軸daが4〜20mm、穴Aの深さが、面積Spの最大値の円の直径の2〜15倍の穴Aを設ける。なお、穴Aは、コンクリート構造物Xの表面X1から、穴Aの底まで、直線状に連通しており、後述する注入器から注入剤を吐出した場合、注入剤は、穴Aのコンクリート構造物Xの表面X1から、穴Aの底まで、直線状(実質的に放物線状の軌跡を描かない状態)に到達する。

0029

穴Aの横断面とは、穴Aのコンクリート構造物Xの表面X1に平行な断面をいう。

0030

穴Aの長軸daとは、前記穴Aの横断面の輪郭と交わる直線で截断される穴Aの横断面内線分のなかで最長のものをいう。例えば、穴Aの横断面が円形の場合、daは円の直径に等しく、穴Aの横断面が楕円形の場合、daは長軸の長さに等しい。

0031

穴Aの横断面は、穴Aの掘削の容易性の観点から、略円形または略楕円形が好ましく、略円形がより好ましい。

0032

また、穴Aの全体の形状は、注入剤の充填の効率性が良く、毛管状の空隙Bの内部への注入剤の浸透も効率よく行えるという観点と、穴Aの掘削のし易さという観点から、筒状が好ましく、円筒状がより好ましい。

0033

穴Aの内壁表面には毛管状の空隙Bが存在する。

0034

穴Aは、コンクリート構造物Xの表面X1で、後述する注入器の流管下流端部の端面1cで取り囲まれる必要があり、注入器から注入された本発明で使用する注入剤(以下、単に、注入剤ともいう)が、毛管状の空隙Bの内部に良好に充填されるという観点から、穴Aの横断面の面積Spは、好ましくは18〜80mm2(5弱〜10mm)であり、より好ましくは20〜55mm2(5強〜8mm)である。また、前記横断面の長軸daは、好ましくは5〜15mmであり、より好ましくは5〜12mmである。

0035

穴Aの深さは、注入された注入剤が、毛管状の空隙Bの内部への充填が良好にされるという観点から、好ましくは、面積Spの最大値の面積の円の直径の5〜12倍、より好ましくは7〜10倍である。穴Aが円筒状で、円筒の横断面Spが12.5〜180mm2(4〜15mm)であれば、穴Aの深さは、好ましくは20〜180mm、より好ましくは30〜150mmであり、円筒の横断面Spが18〜80mm2(5弱〜10mm)であれば、穴Aの深さは、好ましくは25〜120mm、より好ましくは35〜100mmであり、円筒の横断面Spが20〜55mm2(5強〜8mm)であれば、穴Aの深さは、好ましくは25〜90mm、より好ましくは35〜80mmであり、さらに好ましくは40〜60mmである。

0036

穴Aは、注入剤の毛管状の空隙B内部への充填性が良好で、コンクリート構造物の圧縮強度の回復性が良好という観点から、穴Aを掘削する前のコンクリート構造物Xの表面X1に毛管状の空隙があった部分に設けることが好ましい。

0037

穴Aの深さとは、穴Aの掘削前のコンクリート構造物Xの表面X1からの深さをいう。

0038

穴Aは穴の精度と作業のし易さの観点から、掘削によって設けることが好ましい。掘削は、例えば、穿孔ノズルダイヤモンドチップを付けた公知の円筒状穿孔機を使用できる。

0039

穴Aを掘削して設ける際には、掘削粉が穴A内の毛管状の空隙Bに埋設されないようにする観点から、掘削粉を吸引して外部に放出しながら掘削することが好ましい。さらに、掘削粉の穴A内の毛管状の空隙Bへの埋設を抑止し、穴Aの内部を平滑に仕上げて注入剤の毛管状の空隙Bへの安定した浸透性を確保する観点から、穿孔ノズル先端から水を噴霧しながら掘削し、掘削粉を水と混合し水と掘削粉のヘドロを形成させつつ、これをバキュームポンプ(吸引ポンプ)で回収し、ろ過して得た水を再利用することが好ましい。このような穴Aを掘削して設けるには、穿孔機として、例えば、SGエンジニアリング株式会社製「IPHミストダイヤ」を好適に用いることができる。

0040

本発明の補修方法で使用する注入器(以下、単に、注入器ともいう)について詳細に説明する。

0041

注入器は、一端に上流端部と、他の一端に下流端部とを備えた流管を有し、流管は、流管の横断面部の中、最小の面積Sminを有する最小横断面Aminの部位が下流端部側にあり、最小横断面Aminよりも大きな面積Sgを有する横断面Agの部位が最小横断面Aminよりも上流端部側にあり、最小横断面Aminの部位よりも下流端部側で、前記下流端部の端面(以下、下流端面ともいう)に至る流出路を有する。

0042

流管の横断面とは、流管の下流端面をコンクリート構造物Xの表面X1に当接した場合の、コンクリート構造物Xの表面X1に平行な流管の断面をいう。

0043

下流端面は、コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aを取り囲み、前記流出路が前記穴Aと連通するように前記コンクリート構造物Xの表面X1に当接できるようになっている。コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aが、下流端面からはみ出ていると、後述する、注入剤を穴Aに吐出した際の流出路、穴Aおよび毛管状の空隙Bから構成される閉路の内部での減圧効果と、前記閉路からのエアー排気効果が不十分となるからである。

0044

コンクリート構造物Xの表面X1に下流端面を安定に密着する観点から、下流端面は平面であることが好ましい。

0045

下流端面の、流出路の下流端部での横断面の面積を含む面積Seは、下流端面をコンクリート表面に安定して密着して当接させる観点から、好ましくは950〜1600mm2(35〜45mm)である。

0046

本発明において、流出路の下流端部での横断面とは、下流端面を含む面上の流出路の断面をいう。

0047

注入器の下流短面をコンクリート構造物Xの表面X1に当接したときに、注入剤は、その液面が、流管内の横断面Agと同じか、横断面Agよりも上流端部側に位置するように流管内に収納され、所定の加圧力の下で、流管の内部を上流端部側から下流端部側に流動し、注入剤の液面が、流管内の横断面Agと最小横断面Aminを通過し、さらに流出路を通過して前記下流端部から流管の外部に吐出できる。

0048

流管内の注入剤を、例えば、流管をゴムや、好ましくは蛇腹のような容積加圧によって伸縮できる材料で構成し、注入剤が充填されている流管に外部から圧力を加えて加圧して、流管内を上端部側から下流端部側に流動させ、注入剤の液面が、流管内の横断面Agと最小横断面Aminを通過し、さらに流出路を通過して前記下流端部から流管の外部に吐出できる。

0049

最小横断面Aminの面積Sminは0.75〜13mm2(1〜4mm)であり、流出路の下流端部での横断面の面積Sfoが、Spと同じか、または小さく、流出路の長さLfoは好ましくは1〜50mmである。

0050

流管は、下流端面を、コンクリート構造物Xの表面X1における前記穴Aを取り囲み、前記流出路が前記穴Aと連通するように前記コンクリート構造物Xの表面X1に当接した際に、流出路と注入器の穴A以外の外気を含む外部環境(以下、単に、注入器の外部環境ともいう)との連通または連通の遮断切り替えることができる閉鎖可能な隙間(以下、連通手段ともいう)を有する。連通手段としては、例えば、流出路の内壁から注入器の外部環境に貫通する連通路を設け、バルブまたはコックなどの開閉手段の開閉により連通路の連通または連通の遮断を切り替える手段が挙げられる。

0051

注入剤が、毛管状の空隙Bの内部に良好に充填される観点から、連通路の容積は、好ましくは100〜500mm3であり、より好ましくは120〜350mm3であり、さらに好ましくは150〜250mm3であり、さらに好ましくは150〜200mm3である。

0052

流出路から吐出された注入剤が、毛管状の空隙Bの内部に良好に充填されるという観点から、横断面Agの面積Sgは、好ましくは19.5〜8000mm2(5〜100mm)であり、より好ましくは75〜3850mm(10〜70mm)であり、さらに好ましくは320〜2000mm(20〜50mm)であり、さらに好ましくは480〜1000mm(25〜35mm)であり、Sminは、好ましくは1.7〜7.5mm2(1.5〜3mm)であり、より好ましくは3.0〜5.0mm2(2〜2.5mm)であり、流出路の下流端部での横断面の面積Sfoは、好ましくは1.7〜180mm2(1.5〜15mm)であり、より好ましくは4.8〜80mm2(2.5〜10mm)であり、さらに好ましくは12〜52mm2(4〜8mm)であり、さらに好ましくは12〜30mm2(4〜6mm)である。また、流入路1cの長さLfoは、好ましくは1〜10mmであり、より好ましくは1〜5mmであり、さらに好ましくは1〜2mmである。

0053

図2に、注入器の好ましい実施態様例を示す。

0054

流管は、注入剤を収納するための容器本体2と、容器本体2から注入剤が流入して通過し、外部に吐出するための流路4が設けられたノズル3を有し、流路4が、容器本体2と接続し、容器本体2から注入剤が流入する流入路4aと、流入路4aに接続し、流入路4aを通過した注入剤が流入し、流入した注入剤をノズル3から穴Aに吐出するための流出路4bとを有し、容器本体2が、面積Sgを有する横断面Agを有し、流入路4aが、面積Sminを有する横断面Aminを有することが好ましい。

0055

なお、流出路4bは、流管の流出路に相当し、ノズル3の流出路側の端面3a(以下、ノズルの端面3aともいう)が、流管の下流端面に相当する。

0056

流管は、流入路4aを有する第1ノズル31と、流出路4bを有する第2ノズル32から構成されていることがより好ましい。第2ノズル32の下流端部側の端面3aが、流管の下流端面に相当する。

0057

従って、ノズルの端面3aは、コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aを取り囲み、流出路が穴Aと連通するようにコンクリート構造物Xの表面X1に当接できる。

0058

流管は、ノズルの端面3aが、コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aを取り囲み、流出路が穴Aと連通するようにコンクリート構造物Xの表面X1に当接した際に、ノズル3が、流出路と注入器の外部環境との連通および連通の遮断を切り替えることができる連通手段を有することが好ましい。

0059

容器本体2の主要部は、ノズルの端面3aをコンクリート構造物Xの表面X1に当接させたときの、容器本体2の注入剤の収納部分のコンクリート構造物Xの表面X1に平行な横断面の面積がほぼ等しい筒状であることが好ましく、円筒状であることがより好ましい。

0060

容器本体の注入剤の収納容積は、注入剤の注入効率(1回の注入量が少なすぎず、かつ、多様な毛管状の空隙Bに対応できるよう適度に交換できる)観点から、好ましくは30〜70cm3であり、より好ましくは35〜60cm3であり、さらに好ましくは40〜50cm3である。

0061

流入路4aおよび流出路4bも、ノズルの端面3aをコンクリート構造物Xの表面X1に当接させたときの、流出路4bのコンクリート構造物Xの表面X1に平行な横断面がほぼ等しい筒状部分を有することが好ましく、筒状部分が円筒状であることがより好ましい。さらに、吐出された注入剤が途中で衝突する等の障害とならないように、流出路4bは、好ましくは筒状部分、より好ましくは円筒状部分の下流端部側が、これらの筒状部分や円筒部分の断面よりもさらに広がったラッパ状になっていることが好ましい。

0062

図2に示される本実施の形態においては、容器本体2とノズル3とを別体としているが、一体成型したものも採用することが可能である。

0063

後述するように、本発明の補修方法における工程(B)では、注入剤が流管から流出路を介して穴Aに注入される際に、連通手段によって連通路が形成され、流出路と注入器の外部環境とが連通される。より好ましくは、注入剤が容器本体2から流路4bを介して吐出されて穴Aに注入される際に、連通手段によって、連通路が形成され、流出路と注入器の外部環境とが連通される。

0064

このとき、穴Aおよび毛管状の空隙Bの内部からエアーが移動し、連通路から外部環境に排気され、注入剤がエアーを伴うことなく穴Aから毛管状の空隙Bの内部に浸透して充填されていく。そして、好ましくは、外気が、連通路を介して流出路および穴Aとで構成される閉路の内部に減圧されて侵入吸気)し、閉路内が真空状態に減圧され、その結果、前記閉路にもともと残留していたエアーが移動し、連通路を介して外部環境に排気され、注入剤がエアーを伴うことなく穴Aから毛管状の空隙Bの内部に浸透して充填されていく。

0065

流出路とノズル3とが連通するような連通路を設け、この連通路に、例えば電磁弁、バルブ、好ましくは螺合するノズル、またはこれらの組み合わせのような連通手段を採用することができる。

0066

例えば、ノズル3の流出路の内壁からの肉厚がTmmの場合、連通路は、流出路の内壁からノズル31の外部に向けて、半径が、好ましくは、(100/Tπ)1/2〜(500/Tπ)1/2mm3であり、より好ましくは(120/Tπ)1/2〜(350/Tπ)1/2mm3であり、さらに好ましくは(150/Tπ)1/2〜(250/Tπ)1/2mm3であり、さらにより好ましくは(150/Tπ)1/2〜(200/Tπ)1/2mm3である連通口を形成すればよい。なお、πは円周率である。

0067

図2を参照して説明すると、連通路のより好ましい態様は、ノズル3が第1ノズル31と第2ノズルとから構成され、第1ノズル31の先端にねじ、好ましくは雄ねじ31sが設けられ、第1ノズル31がその内部に嵌合できるような筒体32aが第2ノズル32に設けられ、筒体32aの内壁の下流端部側にねじ、好ましくは雌ねじ32sが設けられ、第1ノズル31を第2ノズルの筒体32aの内部に嵌合して互いに螺合して構成されたものである。螺合が締められているときは、第1ノズル31の先端と第2ノズル32の筒体32aの内壁とは連通していないが、螺合を緩めると、対向する第1ノズル31の先端の外壁と第2ノズル32の筒体32aの内壁との間に隙間が形成され、第2ノズル32の流出路と外部環境との間に連通路が形成される。前述の第1ノズル31と第2ノズルの筒体32aの間での螺合を、以下では、単に、螺合ともいう。

0068

なお、第2ノズル32は、第1ノズル31と螺合する筒体32aと、筒体32aに接続し、流出路4bがその中央に形成されているプレート32bとから構成されていることが好ましく、この場合、プレート32bの第1ノズル31とは反対側の端面が下流端面3aとなる。

0069

螺合を緩めたときに、安定した隙間を形成するには、第1ノズル31の外壁が、第1ノズル31の長さ方向に、第1ノズル31の連結部側から先端に向けて細くなるようにテーパー31bが形成されていることが好ましい。テーパー31bがあると、螺合を締めた状態(図4参照)から、螺合を緩めた状態(図3参照)にしたときに連通路5を形成できる。なお、図4において、ノズル31の雄ねじTmと第2ノズル32の筒体32a中の雌ねじTfとが対向している部分にも小さな隙間が形成され連通路として機能する。

0070

図2に、注入器の容器本体の好ましい実施態様例を示す。

0071

容器本体2は、注入剤を収納する容積を圧縮することができ、少なくとも容器本体2の容積の圧縮に伴い注入剤を、注出入口2から流路4を介して吐出できることが必要であり、注入剤を収納する容積を膨張させることもでき、容器本体2の容積の膨張に伴い注入剤を注出入口から吸入、またはスポイト等で注入できることが好ましい。

0072

容器本体2は注入剤の収納容積が圧縮・膨張できるような材質、例えば、ゴムのような伸縮性を有する材質で構成することが好ましい。

0073

また、容積の圧縮・膨張の安定性の観点から、容器本体2が、図2に示すような蛇腹状であることが好ましい。

0074

注入器は、容器本体2の交換を容易にできるという観点から、容器本体2が外筒7内に収納され、外筒7の一方の端部が前キャップ6と着脱自在に固定され(好ましくは螺合して固定され)、前キャップ6が第1ノズル31を有し、前キャップ6が容器本体2の注出入口2aと嵌合し、前キャップ6の第1ノズル31が、第2ノズル32の一方の端部に嵌合し、外筒7の他方の端部が後キャップ8と着脱自在に固定され(好ましくは螺合して固定され)ていることが好ましい。

0075

注入器は、容器本体2の容積を圧縮・膨張させる操作が安定するという観点から、容器本体2が外筒7内に収納され、容器本体2を圧縮・膨張させるための押圧手段を有していることが好ましい。

0076

本発明においては、容器本体2の押圧を安定に行う観点から、外筒7内の、後キャップ8と容器本体2のノズル3側とは反対側の端部(以下、容器本体2の後端部ともいう)とが対向する空間に弾性材9を圧入し、スプリング軸10を設けて容器本体2の押圧手段とすることが好ましい。弾性材9はバネから構成されることが好ましい。

0077

さらに、弾性材9の端部で、容器本体2の後端部と対向するように係止板10aがスプリング軸10の先端に固定され、容器本体2の押圧手段とすることがより好ましい。

0078

このスプリング軸10の押し引きにより、係止板10aが容器本体2の後端部と接触しながら、弾性材9から容器本体2への押圧を制御できる。弾性材9はバネから構成されることが好ましい。なお、スプリング軸10の押し引きを安定に行う観点から、スプリング軸10の後端には安全リング13を装着することが好ましい。

0079

また、スプリング軸10には、スプリング軸10による容器本体2の押圧の作動を一時固定する固定手段が設けられていることが好ましい。この固定手段とは、スプリング軸10の押し引きを一固定したい位置で、後キャップ8の外部側近傍に、スプリング軸10の直径方向固定翼11をそれぞれ設け、後キャップ8の中心には、スプリング軸10と固定翼11とが挿通する挿通孔12を形成し、スプリング軸10を90度ほど回動することにより、固定翼11が後キャップ8に係止されるよう構成したものが好ましい。

0080

容器本体2を交換する際の作業のし易さを確保する観点から、固定翼11は、容器本体2の後端部と係止板10aとが接触しない位置までスプリング軸10を引いたとき、そのスプリング軸10の位置での後キャップ8の外部側近傍に、スプリング軸10の直径方向に固定翼11をそれぞれ設けることがより好ましい。

0081

さらに、弾性材9が自然長に伸びきった位置でのスプリング軸10の後キャップ8の外部側近傍に、固定翼11の位置に対して略90度回転した位置のスプリング軸10の直径方向に、固定翼14をそれぞれ設けることがより好ましい。

0082

注入剤の毛管状の空隙Bの内部への充填性を向上する観点と、コンクリート構造物の圧縮強度の回復性が良好という観点から、本発明において使用する注入剤は、ポリマー接着剤系注入剤が好ましく、ポリマー接着剤系注入剤の中では、エポキシ樹脂および/またはアクリル樹脂が好ましい。また、特に、短期間の養生で硬化する必要がある場合は、アクリル樹脂が好ましい。

0083

注入剤の毛管状の空隙Bの内部への充填性を向上する観点と、コンクリート構造物の圧縮強度および曲げ強度の回復性が良好という観点から、本発明において使用する注入剤は、水硬性無機粉体スラリーが好ましい。

0084

水硬性無機粉体スラリーに使用される水硬性無機粉体は、好ましくはセメントスラグフライアッシュ高炉スラグセメントミルクからなる群から選ばれる1種以上の粉体であり、より好ましくはセメントおよびスラグでからなる群から選ばれる1種以上の粉体であり、さらに好ましくは高炉スラグである。

0085

注入剤の毛管状の空隙細部への充填性を向上する観点から、本発明において使用される注入剤のB型粘度計により23℃で測定された粘度は100〜700センチポアズであり、好ましくは150〜550センチポアズであり、より好ましくは200〜400センチポアズ、さらに好ましくは250〜350センチポアズである。

0086

ポリマー接着剤系注入剤の粘度は、公知の方法で調整できるが、分子量を相対的に低くしたり、架橋基密度を調整することで低粘度にすることがよく行われ、水硬性粉体スラリー系注入剤は、水と水硬性粉体の重量比である水/水硬性粉体比を相対的に大きくすることで、低粘度にすることがよく行われる。

0087

ポリマー接着剤系注入剤は、作業環境および養生時の安全性と、養生時の硬化が速やかに行われるという観点から、溶媒希釈せずに使用することが好ましく、水硬性粉体系スラリー系注入剤では、養生後の圧縮強度の回復を良好に確保するという観点から、水と水硬性粉体の重量比である水/水硬性粉体比が、好ましくは、1/0.2〜1/0.5、より好ましくは、1/0.5〜1/0.8、さらに好ましくは、1/1〜1/1.5である。

0088

前記工程(B)は、前述した本発明で使用する注入器を、下流端面で、コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aを取り囲み、流出路が穴Aと連通するようにコンクリート構造物Xの表面X1に当接させ、連通手段により、流出路と注入器の外部環境とを連通させ、注入剤を、加圧力0.01〜0.1MPaで、穴Aに注入し、穴Aが、前記注入剤で最初に充満したときに、前記連通手段により、前記流出路と前記ノズル外部環境との連通を遮断し、穴Aが、前記注入剤で最初に充満した状態のときに、前記連通手段により、前記流出路と前記ノズルの外部環境との連通を遮断し、その後、注入剤の注入が停止するまで、注入剤を、穴Aに注入して、注入剤が硬化することによって強化されるコンクリート構造物を得る工程である。注入剤の注入が停止した段階で、注入剤が充填されたコンクリート構造物が得られたとする。穴Aが、前記注入剤で最初に充満する状態は、注入器が透明であれば、目視で確認できる。

0089

なお、注入剤への加圧力は、流出路の下流端部にブルドン管式圧力計を設置して測定された注入剤に加わる圧力である。

0090

注入剤の毛管状の空隙細部への充填性を向上する観点から、注入剤の加圧力は、好ましくは0.01〜0.1MPaであり、より好ましくは0.02〜0.05MPaであり、さらに好ましくは0.05〜0.07MPaである。

0091

下流端面をコンクリート構造物の表面に密着する際には、注入操作の安定性を向上する観点から、好ましくは接着剤接着により密着して当接させる。

0092

接着剤としては、エポキシ系接着剤アクリル系接着剤、剥離可能な両面粘着シート等を使用できるが、閉路を液密的にでき、養生終了後に注入器の撤去作業を容易にする観点から、剥離可能なシーリング材が好ましい。

0093

さらに、下流端面の周囲から穴Aから充満した注入剤が漏出しないように、下流端面の周囲と隣接するコンクリート構造物の表面にペースト剤塗り込んで封鎖することが好ましい。この密封剤としては、ポリマー系、変成シリコン系、アクリル系等が好ましく使用できる。

0094

前記工程(B)について、図2を参照してさらに詳細に説明する。

0095

注入器を、ノズルの端面3aを、コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aを取り囲み、流出路が穴Aと連通するようにコンクリート構造物Xの表面X1に密着して当接し、前記流入路4a、前記流出路4bおよび前記穴Aとで構成される後述する連通路以外は液密的な閉路を形成し、雌ねじ32sと雄ねじ31sとの螺合を緩める、好ましくは螺合された部位を1回転緩めて、閉路とノズル3の外部環境とを連通させ、注入器から、注入剤を、本体容器2中のシール液面における加圧力0.01〜0.1MPaで、穴Aに注入し、穴Aが、前記注入剤で最初に充満した状態のときに、雌ねじ32sと雄ねじ31sとの緩い螺合を締めて、前記閉路と前記ノズルの外部環境との連通を遮断する。

0096

容器本体2が蛇腹状である場合について、本発明の補修方法の工程(B)のより好適な条件を詳細に説明する。

0097

注入剤が収納されていない容器本体2の注出入口2aから、容器本体2の容積を膨張させながら、注入剤を吸入する、または、スポイト等で注入して、注入剤を容器本体2に収納する。

0098

注入剤が充填された容器本体2を外筒7に挿入し、注出入口2aと前キャップ6の連結部(21a)を螺合し、この前キャップ6をさらに外筒7に螺合する。所定の押圧手段を組み込んだ上で、後キャップを外筒7と螺合する。蛇腹の押圧手段であるスプリング軸10は、蛇腹の後端部と接触しないように、固定手段により外筒7の後キャップ側7に弾性材9が圧縮した状態で固定されていることが好ましい。

0099

第1ノズル31を第2ノズル32の筒体32aの内部に嵌合して、ノズルの端面3aを、コンクリート構造物Xの表面X1における穴Aを取り囲み、流出路が穴Aと連通するようにコンクリート構造物Xの表面X1に密着して当接し、注入操作の安定性を向上する観点から、好ましくは接着剤で接着により密着して当接する。その結果、前記流入路4a、前記流出路4bおよび前記穴Aとで構成される連通路以外は液密的な閉路が形成される。

0100

注入剤の吐出を開始する前に、連通手段を操作して、例えば、電磁弁またはバルブ等を開く、好ましくは、第1ノズル31と第2ノズル32の筒体32aとの螺合を緩めて、好ましくは1回転緩めて、閉路と外部環境とを連通させる。

0101

この状態で、スプリング軸10の固定手段を開放し、注入剤が収納された容器本体2を弾性材9で自然押圧して容器本体2の容積が圧縮されると、注入剤が、第1ノズル31の流入路3aおよび第2ノズル32の流出路を通過して穴Aの内部に向けて吐出される。

0102

注入器のスプリング軸10の固定手段を開放して、圧縮した弾性材9が伸張して蛇腹の後端部の押圧を開始すると、注入剤が流入路3aおよび流出路を通過して穴の内部に吐出される。弾性材9が自然伸張して蛇腹の後端部を圧縮する間、注入剤の加圧力が0.01〜0.1MPa、好ましくは0.05〜0.07MPaであるように、弾性材9の強さと蛇腹の伸張応力の強さを調整しておく。

0103

穴Aが、注入剤で最初に充満したときに、連通手段を操作して、例えば、電磁弁またはバルブ等を閉じる、好ましくは、螺合を締めて、流出路と、第2ノズル32の外部環境との連通を遮断する。

0104

図2に示された穴Aの容量以上の注入液を収納した注入器によって、注入剤を穴Aに注入すると、通常は、吐出された注入液は、吐出の向きが下向きでも横向きでも、穴Aの底まで直線状に流出し、1秒前後で穴Aは注入液で充満するので、充満したことを目視で確認したら、連通手段を操作して、例えば、電磁弁またはバルブ等を閉じる、好ましくは、雌ねじ32sと雄ねじ31sとの螺合を締めて、閉路と外部環境との連通を遮断する。

0105

本発明の補修方法では、粘度が100〜700cPの注入剤を、加圧力0.01〜0.1MPaの下で、流管の横断面Agから、特定の最小横断面Aminに向けて流動させ、横断面Aminよりも広い横断面の流出路から、注入剤を流出路と同等以上に広い、好ましくは横断面Aminの3倍以上、好ましくは4倍以上広い横断面積Spの穴Aに向けて、穴Aの底に到達するまで直線状であるように吐出させ、その際に流出路と穴Aとで構成される液密的な閉路が、注入器の外部環境とを連通させている点に1つの特徴がある。本発明の補修方法では、粘度が100〜700cPの注入剤を、加圧力0.01〜0.1MPaの下で、上記の関係にあり、穴Aの深さがSpの最大値の面積の円の直径の5〜12倍、より好ましく7〜10倍のときには、注入剤は穴Aの底まで直線状に到達する。

0106

本発明は、特定の低い範囲の粘度の注入剤を、横断面Agを有する容器本体2から、特定の最小横断面Aminを有する流入路4aに流入させ、流入路3aよりも大きな横断面を有する流出路を介して、流出路と同等以上に広い横断面の穴Aに向けて、穴Aの底に到達するまで直線状であるように高速で吐出させ、その際に少なくとも流出路と穴Aとで構成される液密的な閉路が、注入器の外部環境と連通している点に1つの特徴がある。

0107

このように低粘度の注入剤が、流管内を、広い横断面(好ましくは、容器本体の横断面)(Ag)から一定の最小横断面(好ましくは、流入路3aの横断面)(Amin)に移動することで、アスピレータ系のような非圧縮流体におけるベルヌーイの法則近似される流体系が構成され、流出路を矢印Wの方向に通過する注入剤の速度が、穴Aの底に到達するまで直線状であるほど増大し、少なくとも流出路および穴Aで構成される連通路以外は液密的な閉路の内部が、広い横断面(好ましくは、容器本体2の横断面)(Ag)における加圧力に比べて減圧される。このような減圧効果により、穴Aの内壁にある毛管状の空隙Bの内部のエアーが、穴Aに向って(矢印V参照)一気に引かれるように移動する。このエアーの移動がなされる間に、穴Aの内部には注入剤が充填されるため、穴A内のエアー全体が、注入剤の液面の上昇と共に、流出路に設けられた連通路(好ましくは、連通路5)を通過して注入器の外部環境中に排気される。実際、注入剤を、上記の条件で穴Aに注入すると、エアーの排気音と思われる音を聞き取れる場合がある。注入剤は、穴A内部で液面を上昇させながら、エアーが抜けた穴A内の毛管状の空隙Bの内部に浸透し、エアーの残留が少ない状態で毛管状の空隙Bの内部に充填される。連通路は、ノズル31と筒体32aとの螺合を緩めたとき、より好ましくは、螺合を1回転ゆるめたときに形成される微細な空間で構成されることが好ましい。また、螺合を緩めることによる微細な空間が安定して構成されるという観点から、ノズル31がテーパー状に形成されたねじによって構成されることがより好ましい。

0108

後述するように、穴Aが注入剤で充満した状態で連通路を遮断しても、エアーが十分に抜けた状態の毛管状の空隙B内部に、注入剤は円滑に浸透・充填される。

0109

本発明の補修方法は、従来の補修方法に比べて、注入剤を毛管状の空隙B内部で空気の残留が少ない状態で充填する結果、劣化したコンクリート構造物の圧縮強度の回復に優れる。

0110

一方、従来は、例えば、特許文献2のように、粘性の高い注入剤を高圧力の下で毛管状の空隙に注入させており、流出路を通過する際の注入剤の速度が確保できず、減圧効果が不十分となり、毛管状の空隙Bからエアーが穴Aに移動しないまま、注入剤が高圧力でエアーと共に毛管状の空隙の内部に押し込まれたり、残留するエアーにより注入剤の毛管状の空隙内部への充填が不十分なままコンクリート構造体の表面に走るひび割れ沿いに充填がされるにとどまってしまった場合があり、このような状態で養生したため、コンクリート構造物の圧縮強度が十分に回復しなかったり、充填部位によって圧縮強度にばらつきが生じることがあった。

0111

また、このような粘性の高い注入剤は、電動式注入ガンのような圧入力の強い注入器でなければ高圧注入できないのに対して、本発明では、組立て容易な簡易プラスチック製注入器を使用することで、注入剤を、エアーの残留が少ない状態で毛管状の空隙Bの内部に浸透・充填させることができる。

0112

即ち、従来の注入剤の充填では、より高粘性の注入剤を、高い圧力で圧入していたが、本発明の補修方法では、従来の注入剤に比べて、きわめて低い粘性の注入剤を、きわめて低い圧力の下で、かつ、高速で吐出することによって、毛管状の空隙Bの内部への注入剤の充填性が向上した。

0113

注入剤が充填されたコンクリート構造物の養生の好ましい条件を説明する。

0114

工程(B)で、連通路を遮断した後も、注入器はそのままコンクリート構造物Xの表面X1に当接させたままにする。穴Aに注入された注入剤は、毛管状の空隙Bに浸透し、注入器中の注入剤は減少する。蛇腹の容量が、注入剤が吐出される前の当初の容量の10〜15%以下になったら、容器本体2を、注入剤が充填されたものと交換して、0.01〜0.1MPa、より好ましくは0.015〜0.05MPa、さらに好ましくは0.015〜0.025MPaの圧力下での蛇腹の押圧を繰り返す。

0115

蛇腹の容量が、注入剤が吐出される前の当初の容量の15%超で、蛇腹の圧縮がそれ以上進まなくなった状態で、注入剤の注入が停止したとして、注入剤の交換を停止し、加圧状態で硬化させる。

0116

その後、注入器をコンクリート構造物Xの表面X1に当接させておき、好ましくは0.01〜0.1MPa、より好ましくは0.02〜0.06MPa、さらに好ましくは0.015〜0.025MPaの加圧力が加えられたまま、注入剤が注入されたコンクリート構造物中の注入剤を硬化させる。

0117

弾性材9による押圧では、注入剤が充填されたコンクリート構造物が得られた状態のときの加圧力のまま加圧力の調整をしないで放置しておくことが好ましい。

0118

本発明における養生は、注入剤として可使時間が500gで90分(JISK6870)、硬化時間が72時間(JISA6024)のものを使用することを目安に、本発明の補修方法を実施した環境温度で、用途により、2〜24時間の養生時間を選択することが好ましい。

0119

本発明の補修方法では、このように、注入剤の当初の注入時において、毛管状の空隙Bからエアーが排除されているため、注入剤の毛管状の空隙Bへの浸透が円滑に進行し、養生をしている間も、低い加圧力の下で、注入剤が毛管状の空隙Bに浸透し続ける。毛管状の空隙Bの内部に浸透した注入剤は、さらにコンクリート構造物の深部にまで浸透し、コンクリート構造物の内部の空隙をも充填して硬化される。

0120

以上のような補修方法を採用することで、補修前のコンクリート強度に対して、コンクリート強度が、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上となるようなコンクリート構造物を製造することができる。

0121

養生が終了したコンクリート構造物は、注入器を取り外した後、注入剤を注入した穴の周辺を、コンクリート、モルタルおよび/またはペーストを塗工して仕上げ、必要に応じて、さらに、平滑塗装タイル貼り等の装飾的仕上げがなされ、補修されたコンクリート構造物を製造することができる。

0122

1流管
2容器本体
2a注出入口
3ノズル
3a ノズルの端面
4流路
4a流入路
4b流出路
5連通路
6 前キャップ
7外筒
8 後キャップ
9弾性材
10スプリング軸
10a係止板
11固定翼
12挿通孔
13 安全リング
14 固定翼
31 第1ノズル
31a 連結部
31bテーパー部
31s ねじ(雄ねじ)
32 第2ノズル
32a筒体
32bプレート
32s ねじ(雌ねじ)
A 穴
B毛管状の空隙
Tf 雌ねじ
Tm 雄ねじ
Xコンクリート構造物
X1 コンクリート構造物Xの表面

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