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技術 運動学習支援装置及び方法

出願人 国立大学法人東京大学
発明者 大武美保子中居雅明淺間一藤井惇平
出願日 2010年9月11日 (8年5ヶ月経過) 出願番号 2010-203798
公開日 2011年4月21日 (7年9ヶ月経過) 公開番号 2011-078753
状態 未査定
技術分野 訓練用具
主要キーワード 評価材料 ボール頭 相関関係データ 指定空間 運動特徴 スイング周期 固定ベクトル 指定マーカ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年4月21日)のものです。
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図面 (20)

課題

複数の運動特徴から1つあるいは複数の運動特徴を選択し、選択した運動特徴の状態を学習者提示することで、効果的に運動学習支援する。

解決手段

対象となる運動特徴付ける複数の運動特徴量間相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、運動学習者の運動を計測し、計測結果を用いて前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量を算出し、算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価し、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する。

概要

背景

一般に運動には「コツ」と呼ばれるものがあり、それを運動を行う人自身が体感的に掴み、反復練習することで自分のものとする。野球で言えば、「をしっかりいれる」、「ボールをよく見る」など多くの「コツ」があり、練習することでそれらを自分なりに消化・吸収する。「運動の上達」とは、「コツを掴む」ことであると言える。

多くのスポーツにおいてこの「コツを掴む」ことは重要ではあるが、一般に「コツ」は漠然とした表現で定義され、掴みづらいものも多く、運動が上手くなりたいと考えても、コツを掴めずなかなか上達しないといった経験をしたことがある人は多い。

本発明では、運動のコツを、その運動を特徴付け運動特徴であると捉え、このような漠然とした「コツ」を定量的に扱う。本明細書において、運動特徴を数値化したものを運動特徴量という。

運動学習支援するためには、被験者に対して「コツ」、すなわち運動特徴を提示することが有用であると考えられるが、通常、ある運動を特徴付ける運動特徴は複数存在することから、効果的に運動学習支援を行なうためには、どの運動特徴をどのように提示するかが重要となる。

従来の運動学習支援技術には、運動を特徴づける筋肉内在する感覚器直接刺激し、感度を高めることによって運動学習を支援する技術や(特許文献1)、運動情報を身体の解剖学的構造により変換し、学習者に提示することで運動学習を支援する技術(特許文献2、特許文献3)などがあるが、複数の運動特徴が同時に理想的な状態に近付くよう学習者を誘導する手法は存在しなかった。

特許文献4には、学習者の身体形状を表す学習者特徴点及び目標特徴点を含む、目標動作及び学習者の画像を重畳した合成画像を生成し、前記合成画像において、学習者特徴点の位置と学習者特徴点に対応する前記目標特徴点の位置との違いに応じて、学習者特徴点を表す図形を変化させる手法が開示されているが、運動特徴(運動のコツ)を学習者に提示するものではない。特許文献4における「特徴点」とは身体形状、すなわち被験者や骨格モデル姿勢を定義するための代表点(典型的には関節)であり、本発明における「運動特徴」とは異なる概念である点に留意されたい。

概要

複数の運動特徴から1つあるいは複数の運動特徴を選択し、選択した運動特徴の状態を学習者に提示することで、効果的に運動学習を支援する。対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴量間相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、運動学習者の運動を計測し、計測結果を用いて前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量を算出し、算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価し、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する。

目的

本発明は、複数の運動特徴から1つあるいは複数の運動特徴を選択し、選択した運動特徴の状態を学習者に提示することで、効果的に運動学習を支援することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

運動学習者運動計測する手段と、前記運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して用意された運動特徴量算出関数と、運動計測結果と運動特徴量算出関数とから複数の運動特徴量を算出する手段と、算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して用意された運動特徴評価関数と、算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価する手段と、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する手段と、前記複数の運動特徴量間相関関係を格納する手段と、を備え、前記複数の運動特徴量間の相関関係は、1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された当該運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を規定しており、前記複数の運動特徴量間の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示することを特徴とする運動学習支援装置

請求項2

前記複数の運動特徴量間の相関関係は各学習者に対応して格納されており、前記複数の運動特徴量間の学習者固有の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示することを特徴とする請求項1に記載の運動学習支援装置。

請求項3

前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量は、当該1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果を学習者に提示することで、評価結果が提示された運動特徴量に加えて、評価結果が提示されない他の1つあるいは複数の運動特徴量において提示効果を奏するように選択されることを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の運動学習支援装置。

請求項4

前記学習支援装置は、算出された運動特徴量を、運動特徴評価関数にしたがって評価する時に、算出された運動特徴量と比較するために用いられる参照運動特徴量を格納する手段を備えている、請求項1乃至3いずれかに記載の運動学習支援装置。

請求項5

前記評価手段は、算出された運動特徴量が、「適切な範囲内にある」、あるいは、「適切な範囲の外にある」を判定するものであり、前記評価結果は、「算出された運動特徴量が適切な範囲内にある」、「算出された運動特徴量が適切な範囲の外にある」のいずれかである、請求項1乃至4いずれかに記載の運動学習支援装置。

請求項6

前記学習支援装置は、評価結果を表示する表示手段を備え、各運動特徴量に対応するオブジェクトを用意して前記表示手段に互いに識別可能に表示し、前記評価結果を各オブジェクトの変化によって学習者に提示することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の運動学習支援装置。

請求項7

各運動特徴量に対応して、互いに識別可能な音を用意し、前記評価結果を音によって提示することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の運動学習支援装置。

請求項8

対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して運動特徴量算出関数が用意されており、算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して運動特徴評価関数が用意されており、1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された当該運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を規定する複数の運動特徴量間の相関関係が用意されており、対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴量間の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、運動学習者の運動を計測し、運動計測結果と運動特徴量算出関数とを用いて前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量を算出し、算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価し、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する、運動学習支援方法

請求項9

前記複数の運動特徴量間の相関関係は学習者毎に用意されており、前記複数の運動特徴量間の学習者固有の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択することを特徴とする請求項8に記載の運動学習支援方法。

請求項10

前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量は、当該1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果を学習者に提示することで、評価結果が提示された運動特徴量に加えて、評価結果が提示されない他の1つあるいは複数の運動特徴量において提示効果を奏するように選択されることを特徴とする請求項8、9いずれかに記載の運動学習支援方法。

請求項11

各運動特徴量に対応するオブジェクトを用意して前記表示手段に互いに識別可能に表示し、前記評価結果を各オブジェクトの変化によって学習者に提示することを特徴とする請求項8乃至10いずれかに記載の運動学習支援方法。

請求項12

各運動特徴量に対応して、互いに識別可能な音を用意し、前記評価結果を音によって提示することを特徴とする請求項8乃至10いずれかに記載の運動学習支援方法。

請求項13

運動学習者の運動を計測する手段と、前記運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して用意された運動特徴量算出関数と、運動計測結果と運動特徴量算出関数とから複数の運動特徴量を算出する手段と、算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して用意された運動特徴評価関数と、算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価する手段と、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する手段と、評価結果を格納する手段と、を備え、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示すると共に、提示されない他の運動特徴量の評価結果を取得し、提示された評価結果と提示されなかった評価結果を用いて、選択された運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を運動固有および/あるいは学習者固有に規定する複数の運動特徴量間の相関関係を取得することを特徴とする運動学習支援に用いられる運動特徴量の相関関係の取得装置

請求項14

前記学習支援装置は、算出された運動特徴量を、運動特徴評価関数にしたがって評価する時に、算出された運動特徴量と比較するために用いられる参照運動特徴量を格納する手段を備えている、請求項13に記載の運動特徴量の相関関係の取得装置。

請求項15

前記評価手段は、算出された運動特徴量が、「適切な範囲内にある」、あるいは、「適切な範囲の外にある」を判定するものであり、前記評価結果は、「算出された運動特徴量が適切な範囲内にある」、「算出された運動特徴量が適切な範囲の外にある」のいずれかである、請求項13、14いずれかに記載の運動特徴量の相関関係の取得装置。

請求項16

対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して運動特徴量算出関数が用意されており、算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して運動特徴評価関数が用意されており、運動学習者の運動を計測して、運動計測結果と運動特徴量算出関数とを用いて当該運動を特徴付ける複数の運動特徴量を算出し、算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価し、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示すると共に、提示されない他の運動特徴量の評価結果を取得し、提示された評価結果と提示されなかった評価結果を用いて、選択された運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を運動固有および/あるいは学習者固有に規定する複数の運動特徴量間の相関関係を取得することを特徴とする運動学習支援に用いられる運動特徴量の相関関係の取得方法

技術分野

0001

本発明は、運動学習支援する技術に関するものである。

背景技術

0002

一般に運動には「コツ」と呼ばれるものがあり、それを運動を行う人自身が体感的に掴み、反復練習することで自分のものとする。野球で言えば、「をしっかりいれる」、「ボールをよく見る」など多くの「コツ」があり、練習することでそれらを自分なりに消化・吸収する。「運動の上達」とは、「コツを掴む」ことであると言える。

0003

多くのスポーツにおいてこの「コツを掴む」ことは重要ではあるが、一般に「コツ」は漠然とした表現で定義され、掴みづらいものも多く、運動が上手くなりたいと考えても、コツを掴めずなかなか上達しないといった経験をしたことがある人は多い。

0004

本発明では、運動のコツを、その運動を特徴付け運動特徴であると捉え、このような漠然とした「コツ」を定量的に扱う。本明細書において、運動特徴を数値化したものを運動特徴量という。

0005

運動学習を支援するためには、被験者に対して「コツ」、すなわち運動特徴を提示することが有用であると考えられるが、通常、ある運動を特徴付ける運動特徴は複数存在することから、効果的に運動学習支援を行なうためには、どの運動特徴をどのように提示するかが重要となる。

0006

従来の運動学習支援技術には、運動を特徴づける筋肉内在する感覚器直接刺激し、感度を高めることによって運動学習を支援する技術や(特許文献1)、運動情報を身体の解剖学的構造により変換し、学習者に提示することで運動学習を支援する技術(特許文献2、特許文献3)などがあるが、複数の運動特徴が同時に理想的な状態に近付くよう学習者を誘導する手法は存在しなかった。

0007

特許文献4には、学習者の身体形状を表す学習者特徴点及び目標特徴点を含む、目標動作及び学習者の画像を重畳した合成画像を生成し、前記合成画像において、学習者特徴点の位置と学習者特徴点に対応する前記目標特徴点の位置との違いに応じて、学習者特徴点を表す図形を変化させる手法が開示されているが、運動特徴(運動のコツ)を学習者に提示するものではない。特許文献4における「特徴点」とは身体形状、すなわち被験者や骨格モデル姿勢を定義するための代表点(典型的には関節)であり、本発明における「運動特徴」とは異なる概念である点に留意されたい。

先行技術

0008

特表2005−524448
特開2004−049608
特開2006−075398
特開2005−198818

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、複数の運動特徴から1つあるいは複数の運動特徴を選択し、選択した運動特徴の状態を学習者に提示することで、効果的に運動学習を支援することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明が採用した第1の技術手段は、
運動学習者の運動を計測する手段と、
前記運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して用意された運動特徴量算出関数と、
運動計測結果と運動特徴量算出関数とから複数の運動特徴量を算出する手段と、
算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して用意された運動特徴評価関数と、
算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価する手段と、
評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する手段と、
前記複数の運動特徴量間相関関係を格納する手段と、
を備え、
前記複数の運動特徴量間の相関関係は、1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された当該運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を規定しており、
前記複数の運動特徴量間の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示することを特徴とする運動学習支援装置
である。
ここで、「提示効果」とは、ある運動特徴量の評価結果を運動学習者に提示することによって、当該運動特徴量及び他の運動特徴量が目標とする運動特徴量、すなわち理想的な状態、に近づくことを意味する。
記相関関係は、例えば、運動特徴量A,B,C,D,Eがある場合に、運動特徴量Aの評価結果を提示した時に、運動特徴量A,B,C,D,Eが理想的な状態に近づくか、運動特徴量Bの評価結果を提示した時に、運動特徴量A,B,C,D,Eが理想的な状態に近づくか、を数値で規定する。さらに、複数の運動特徴量、例えば、2つの運動特徴量A,Bの評価結果を提示した時に、運動特徴量A,B,C,D,Eが理想的な状態に近づくか、を数値で規定してもよい。

0011

1つの態様では、前記複数の運動特徴量間の相関関係は各学習者に対応して格納されており、
前記複数の運動特徴量間の学習者固有の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示する。
学習能力には個人差個性があり、ある運動特徴の提示が全ての学習者に対して同様の効果を奏するとは限らない。

0012

1つの態様では、前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量は、当該1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果を学習者に提示することで、評価結果が提示された運動特徴量に加えて、評価結果が提示されない他の1つあるいは複数の運動特徴量において提示効果を奏するように選択される。
対象とする運動を実現するための運動特徴が複数ある場合、ある運動特徴を目標に近づけると、別の運動特徴は目標から遠ざかり、全体として目標とする運動に、学習者を導くことができないという課題を解決することができる。
1つの態様では、前記学習支援装置は、算出された運動特徴量を、運動特徴評価関数にしたがって評価する時に、算出された運動特徴量と比較するために用いられる参照運動特徴量を格納する手段を備えている。参照運動特徴量は、運動特徴及び運動特徴量に応じて異なる態様があり、学習者の生成した理想に近い運動特徴量や熟練者の運動特徴量などの目標となる運動特徴量や、運動特徴評価関数における評価判断の基準となる運動特徴量(閾値)が挙げられる。
1つの態様では、前記評価手段は、算出された運動特徴量が、「適切な範囲内にある」、あるいは、「適切な範囲の外にある」を判定するものであり、
前記評価結果は、「算出された運動特徴量が適切な範囲内にある」、「算出された運動特徴量が適切な範囲の外にある」のいずれかである。
また、評価結果をさらに細分化して提示してもよい。例えば、「算出された運動特徴量が適切な範囲の外にある」場合に、適切な範囲との差の程度に応じて運動特徴量を2種類に判別し、判別結果を運動学習者に識別可能に提示してもよい。

0013

1つの態様では、前記学習支援装置は、評価結果を表示する表示手段を備え、
各運動特徴量に対応するオブジェクトを用意して前記表示手段に互いに識別可能に表示し、前記比較結果を各オブジェクトの変化によって学習者に提示する。
1つの態様では、表示手段には、計測された運動学習者の運動データ(姿勢・動き)を人体モデル(多数のマーカー群による人体形状の特定を含む)に表現して表示させ、各オブジェクトは、各オブジェクトが対応する運動データに関連付けて表示される。例えば、運動特徴量が「腰の高さ」であれば、オブジェクトを人体モデルの腰の位置、あるいは、そこから水平方向に移動させた位置に表示する。
視覚的に識別可能な表示態様は、例えば、オブジェクトの色、形状、大きさから選択される1つあるいはこれらの任意の組み合わせである。そして、オブジェクトの色、形状、大きさから選択される1つあるいはこれらの任意の組み合わせを変化させることで各運動特徴量が目標に近いか遠いかを学習者に認識させることができる。

0014

各運動特徴量に対応して、互いに識別可能な音を用意し、前記評価結果を音によって提示する。または、視覚的に識別可能な提示手段と聴覚的に識別可能な提示手段の組み合わせでもよい。例えば、ある運動特徴については視覚的に識別可能に提示し、ある運動特徴については聴覚的に識別可能に提示する。あるいは、同じ運動特徴について視覚的に識別可能な手段及び聴覚的に識別可能な手段の両方で提示を行なってもよい。

0015

本発明が採用した第2の技術手段は、
対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して運動特徴量算出関数が用意されており、
算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して運動特徴評価関数が用意されており、
1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された当該運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を規定する複数の運動特徴量間の相関関係が用意されており、
対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴量間の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、
運動学習者の運動を計測し、運動計測結果と運動特徴量算出関数とを用いて前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量を算出し、
算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価し、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する、運動学習支援方法、である。

0016

1つの態様では、
前記複数の運動特徴量間の相関関係は学習者毎に用意されており、
前記複数の運動特徴量間の学習者固有の相関関係にしたがって、前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択する。

0017

1つの態様では、前記選択された1つあるいは複数の運動特徴量は、当該1つあるいは複数の運動特徴量の評価結果を学習者に提示することで、評価結果が提示された運動特徴量に加えて、評価結果が提示されない他の1つあるいは複数の運動特徴量において提示効果を奏するように選択される。

0018

1つの態様では、各運動特徴量に対応するオブジェクトを用意して前記表示手段に互いに識別可能に表示し、前記比較結果を各オブジェクトの変化によって学習者に提示する。

0019

1つの態様では、各運動特徴量に対応して、互いに識別可能な音を用意し、前記比較結果を音によって提示する。

0020

本発明が採用した第3の技術手段は、
運動学習者の運動を計測する手段と、
前記運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して用意された運動特徴量算出関数と、
運動計測結果と運動特徴量算出関数とから複数の運動特徴量を算出する手段と、
算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して用意された運動特徴評価関数と、
算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価する手段と、
評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する手段と、
評価結果を格納する手段と、
を備え、
前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示すると共に、提示されない他の運動特徴量の評価結果を取得し、提示された評価結果と提示されなかった評価結果を用いて、選択された運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を運動固有および/あるいは学習者固有に規定する複数の運動特徴量間の相関関係を取得することを特徴とする運動学習支援に用いられる運動特徴量の相関関係の取得装置、である。
運動特徴量と、その参照運動特徴量と比較した結果とを学習者に提示すると、運動特徴量を提示しない場合よりも、提示した運動特徴量が理想的な状態に近づく効果が得られる。この時、他の運動特徴量が、理想的な状態から遠ざかるという副作用がある場合があった。本発明を用いると、提示する運動特徴量が、他の運動特徴量に与える影響を網羅的に調べることができる。このため、提示することにより、結果として複数の運動特徴量を同時に目標に近づけることが可能な効果的な運動特徴量を同定することができ、学習者の運動が全体として目標とする運動に効果的に近づくことを支援できる。

0021

提示効果の評価手法については幾つかの態様がある。1つの態様は、閾値による提示効果の評価であり、特徴量が閾値内にある時の時間(閾値内秒数)を評価材料として、閾値内に特徴量があればある程、提示効果があるとする。もう1つの態様は、連続値による提示効果の評価であり、算出される運動特徴量について、値が大きいほど目標運動特徴量に近い値となる評価指標で運動特徴量を評価し、評価指標が大きいほど提示効果があるとする。提示効果の評価手法については、上記2つに限定されるものではなく、その他の評価手法が採用し得ることが当業者に理解される。

0022

本発明が採用した第4の技術手段は、
対象となる運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して運動特徴量算出関数が用意されており、
算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して運動特徴評価関数が用意されており、
運動学習者の運動を計測して、運動計測結果と運動特徴量算出関数とを用いて当該運動を特徴付ける複数の運動特徴量を算出し、
算出された運動特徴量を、対応する運動特徴評価関数を用いて評価し、
前記複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示すると共に、提示されない他の運動特徴量の評価結果を取得し、提示された評価結果と提示されなかった評価結果を用いて、選択された運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を運動固有および/あるいは学習者固有に規定する複数の運動特徴量間の相関関係を取得することを特徴とする運動学習支援に用いられる運動特徴量の相関関係の取得方法、である。

発明の効果

0023

本発明では、複数の運動特徴量間の相関関係にしたがって、複数の運動特徴から1つあるいは複数の運動特徴を選択し、選択した運動特徴の状態を学習者に提示することで、効果的に運動学習を支援する。

0024

本発明では、目標とする運動特徴量と異なる種類の運動特徴量の状態を提示することで、結果として目標とする運動特徴量を変化させることができる運動特徴量を同定することができる。同定した運動特徴量の状態を提示することで、複数の運動の特徴を、同時に理想的な状態に導くことができる。結果として、学習者の運動特徴量を、効果的に目標とする方向に誘導することができる。

0025

運動特徴量と、その参照運動特徴量と比較した結果とを学習者に提示すると、運動特徴量を提示しない場合よりも、提示した運動特徴量が理想的な状態に近づく効果が得られる。この時、他の運動特徴量が、理想的な状態から遠ざかるという副作用がある場合があった。本発明を用いると、提示する運動特徴量が、他の運動特徴量に与える影響を網羅的に調べることができる。このため、提示することにより、結果として複数の運動特徴量を同時に目標に近づけることが可能な効果的な運動特徴量を特定することができ、学習者の運動が全体として目標とする運動に効果的に近づくことを支援できる。

図面の簡単な説明

0026

本発明に係る運動学習支援システムの全体図である。
運動計測により得られる三次元座標を持つマーカー群と、コンピュータ上の身体モデルとを連動させる手順を説明する図である。左上は全身マーカーの着いたスーツを着用している様子、右上は、運動計測装置により得られる三次元座標を持つマーカー群、下は、マーカー群の動きと連動するコンピュータ上の身体モデルを表わす。
運動情報計算装置より出力される、三次元座標を持つマーカー群に連動する身体モデルと、運動特徴量算出装置より出力される、運動特徴と、両方を連動させ提示した様子を示す図である。
運動特徴量の状態の提示を例示する図である。上図は、腰の高さが閾値内にある場合(図示の態様例では、運動特徴量に対応するオブジェクトは灰色)、下図は腰の高さが閾値外にある場合(図示の態様例では、運動特徴量に対応するオブジェクトは赤色)を示す。
複数の運動特徴量の状態の提示を例示する図である。
演算用マーカーの指定を説明する図である。
腰の重心位置に対応するオブジェクトの作成を示す図である。
腰の高さの変化の様子を示す図である。上図は、閾値を超えていない場合(図示の態様例では、球のオブジェクトは灰色)、下図は、閾値を超えた場合(図示の態様例では、球のオブジェクトは赤色)を示す。
両足の間隔を計算するためのマーカー位置を示す図である。
両足の間隔の提示画面を示す。上図は、閾値を超えていない場合(図示の態様例では、円柱のオブジェクトは緑色)、下図は、閾値を超えた場合(図示の態様例では、円柱のオブジェクトは青色)を示す。
手の高さを計算するためのマーカー位置を示す図である。
手の高さの提示画面を示す。上図は、閾値を超えていない場合(図示の態様例では、立方体のオブジェクトは灰色)、下図は、閾値を超えた場合(図示の態様例では、立方体のオブジェクトは赤色)を示す。
体の向きを計算するためのマーカー位置を示す図である。
体の向きの計算を説明する図である。
体の向きの提示画面を示す。図示の態様例では、体の向きが左方向を向いて閾値を超える時、円錐形のオブジェクトは緑色に(図中A)、体の向きが右方向を向いて閾値を超える時、円錐形のオブジェクトは赤色に(図中D)変化する。
振りを計算するためのマーカー位置を示す図である。
剣の振りの計算を説明する図である。図示の態様例では、赤の斜線で囲まれた部分、すなわち[x<-40かつy>]と[x>40かつy>140]を満たす部分が、木刀の先に指定したマーカーが通るべき空間である。
剣の振りの提示画面を示す。上側の左の図は、左側に指定した空間内を剣先が通ったことを示し(図示の態様例では、立方体のオブジェクトの色は緑色)、上側の右の図は、右側に指定した空間内を剣先が通ったことを示し(図示の態様例では、立方体のオブジェクトの色は青色)、下図は、指定空間に剣先マーカーがない場合(図示の態様例では、立方体のオブジェクトは灰色)を示す。
音声により運動の特徴量を実時間提示する運動学習支援システムを示す図である。

実施例

0027

[A]運動学習支援システム
図1に、本発明に係る運動学習支援システムを示す。運動学習支援システムは、学習者の運動をリアルタイムで計測する運動計測手段(モーションキャプチャ+運動情報計算装置)と、前記運動を特徴付ける複数の運動特徴が設定されており(運動特徴セット)、各運動特徴を運動特徴量として算出するために、各運動特徴に対応して用意された運動特徴量算出関数と、計測された運動データから予め設定した運動特徴量算出関数を用いて任意の運動特徴量を算出する運動特徴量算出手段(運動特徴量算出装置)と、算出された学習者の運動特徴量(算出運動特徴量データ)を格納する算出運動特徴量記憶手段と、算出された運動特徴量を評価するために、各運動特徴量に対応して用意された運動特徴評価関数と、算出された運動特徴量を対応する運動特徴評価関数を用いて評価する運動特徴評価手段(運動特徴評価装置)と、評価結果を運動学習者に実時間で認識可能に提示する評価結果提示手段(提示装置)と、を備えている。提示装置は、典型的には表示装置であって、評価結果に加えて、計測された学習者の運動データ(学習者の姿勢・動き)が表示される。運動データは、人体モデル(多数のマーカー群により人体形状を特定する場合を含む)により表現される。

0028

運動学習支援システムは、さらに、学習者の生成した理想に近い運動特徴量や熟練者の運動特徴量などの目標となる運動特徴量や、運動特徴評価関数における評価判断の基準となる運動特徴量(閾値)、などの参照運動特徴量(参照運動特徴量データ)を格納する参照運動特徴量記憶手段を備えている。運動特徴評価手段は、学習者の運動時に算出された運動特徴量と、参照運動特徴量とを運動特徴評価関数を用いて比較し、比較した結果を評価結果として提示する。

0029

ここで、評価結果とは、運動特徴評価関数によって規定された、参照運動特徴量と算出された運動特徴量との間の関係であり、1つの態様では、ある時点におけるある運動特徴量が「適切な範囲内にある」、あるいは「適切な範囲の外にある」ということである。

0030

1つの態様では、運動特徴評価関数は、ある目標とする値の中心点を定めた上で、ある閾値で設定される大きさの幅を持った値を「目標範囲」とし、その間の値の時は条件を満たす(適切な範囲内にある)ように定義する。例えば、腰の高さの分散値を運動特徴量とし、閾値で設定されるある値を超えない場合を定義する。1つの態様では、運動特徴評価関数は、基準となるある値(閾値)を超えるもしくは下回る場合は条件を満たす(適切な範囲内にある)ように定義する。例えば、腰の高さを運動特徴量とし、ある値の幅を上回らないもしくは下回らない場合を定義する。

0031

運動学習支援システムは、さらに、評価結果(運動特徴評価結果データ)を格納する評価結果記憶手段、評価結果を用いて複数の運動特徴間の相関関係を計算する運動特徴相関関係計算装置、及び、計算された運動特徴間相関関係データを格納する相関関係データ記憶手段、を備えている。運動特徴間相関関係データは、選択された運動特徴量の評価結果の提示が、評価結果が提示された運動特徴量及びそれ以外の運動特徴量に与える提示効果を運動固有および/あるいは学習者固有に規定する。運動特徴相関関係計算装置は、複数の運動特徴量から1つあるいは複数の運動特徴量を選択し、選択された運動特徴量の評価結果を運動学習者に実時間で提示すると共に、提示されない他の運動特徴量の評価結果を取得し、提示された評価結果と提示されなかった評価結果を用いて、提示効果を評価することによって、運動特徴量間の相関関係を数値化して取得する。例えば、運動特徴量間相関関係データは、提示効果がある場合「1」、提示効果がない場合「0」の2値からなる。

0032

ある運動学習者が運動学習支援システムを最初に使い始める時には、当該運動学習者固有の運動特徴間相関関係データは存在しない。1つの態様では、最初は相関関係データ無しに運動特徴を適宜選択して運動学習者の運動計測、選択された運動特徴量の算出、運動特徴量の評価、評価結果の提示、提示効果の評価を行うことによって、システムを一度運用すると運動特徴間相関関係データが格納された状態となり、次回の試行では、運動特徴間相関関係データを参照して運動特徴を選択することができる。また、対象となる運動に対応して初期データとしての運動特徴間相関関係データ(例えば、複数の運動学習者の運動特徴間相関関係データの代表値、具体的には、平均値メディアン)を用意しておき、特定の運動学習者が試行を繰り返すことで、初期データを修正更新することで当該特定の学習者用の運動特徴間相関関係データを取得してもよい。また、運動学習者固有の運動特徴間相関関係データについても、当該運動学習者の試行に伴って運動特徴間相関関係データを更新することができる。

0033

本実施形態では、運動学習支援システムは、モーションキャプチャシステムと、1つあるいは複数のコンピュータと、表示システムと、から構成することができる。コンピュータは、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ(具体的には、入力装置出力装置、CPU等からなる処理装置、ROM、RAM等の記憶装置、これらを接続するバス等、を備えている。)から構成することができる。また、評価結果提示手段が音を提示する場合には、運動学習支援システムは、音を出力するためのスピーカを備えていてもよい。

0034

学習者の運動時の運動特徴量を算出するためには、先ず、対象とする運動を特徴付ける複数の運動特徴を用意する必要がある。運動特徴の用意の仕方には幾つものやり方がある。例えば、対象とする運動の習熟者からの聞き取り、対象とする運動に関する文献(運動解析論文、本、雑誌インターネット上の情報源等)等により注目すべき複数の運動特徴を選択し、複数の運動特徴のセットを設定する。運動特徴のセットは、対象とする運動毎に異なり、運動毎に運動特徴のセットを用意する。

0035

運動特徴を決定したら、次に、運動計測手段によって計測された学習者の運動データから、運動特徴量を計算する手順を運動特徴量算出関数として設定する。各運動特徴量の計算手順を予めプログラミングしておくことで、運動計測手段によって計算された運動データを用いて各運動特徴量を実時間で算出する。

0036

1つの態様では、運動計測手段として光学式モーションキャプチャシステムを採用する。光学式モーションキャプチャシステムは、被験者に装着した多数の光学式マーカー(例えば、赤外線反射マーカー)と、光学式マーカーを装着した被験者の運動を撮影する複数のカメラと、各カメラで取得したマーカーの二次元位置再構成して当該マーカーの三次元位置を計算し、光学式マーカーの三次元位置と身体の三次元モデルから身体の各部位の三次元位置(被験者の姿勢)をリアルタイムで取得する処理部と、処理部の結果(被験者の姿勢の時系列データとして取得される動作)を表示する表示部と、からなる。モーションキャプチャシステムにおける各種計算はコンピュータによって実行される。

0037

光学式モーションキャプチャシステムで得られる、身体の各部位に配置した、光学式マーカーの三次元位置と、身体の三次元モデルから、身体の各部位の三次元位置姿勢を求める。予め設定した各運動特徴の計算方法にしたがって、モーションキャプチャシステムにより取得した身体の各部位の三次元位置姿勢データやマーカーの位置データ等を用いて、運動特徴を数値化し、運動特徴量を求める。学習者の運動特徴量は、計測運動特徴量記憶手段に格納される。対象とする運動が用具を用いる場合には、用具にマーカーを取り付けることで用具の運動データを取得することができる。

0038

モーションキャプチャシステムを用いることで被験者の運動データや運動用具の運動データを取得することができる。ある運動特徴量を計算するためにどこにマーカーを設け、そのマーカーを用いてどのように運動特徴量を計算するかを予め決めておくことで、計測された運動データを用いてあらゆる運動特徴を数値化することができる。

0039

本実施形態において、光学式モーションキャプチャシステムを用いて運動計測を行い、運動情報計算装置と運動特徴量算出装置を組み合わせて、運動特徴量を算出する手順を以下に示す。

0040

運動学習者は、全身にマーカーのついたスーツを着用する(図2左上)。光学式モーションキャプチャシステムを用いてマーカー群の三次元位置座標が得られる(図2右上)。運動情報計算装置により、マーカーの位置座標と連動する、身体モデルの位置姿勢が得られる(図2下)。運動情報計算装置より出力される、三次元座標を持つマーカー群に連動する身体モデルと、運動特徴量算出装置より出力される、運動特徴と、両方を連動させ提示した様子を図3に示す。

0041

運動情報計算装置、運動特徴量算出装置、運動特徴評価装置を構成するコンピュータにプロジェクタを接続し、スクリーンに提示することで、計測された運動データ、運動特徴(運動特徴のシンボルとしてのオブジェクト)、運動特徴についての評価結果などを実時間提示することができる。学習者は、運動を行いながら自分自身の動作を確認することができる。図1中に、実時間提示を行った際の実験の様子を示す。右手前に被験者がおり、左奥側のスクリーンに実時間提示が行われている。

0042

運動情報計算装置より出力される、三次元座標を持つマーカー群に連動する身体モデルと、運動特徴量算出装置ならびに運動特徴評価装置により得られる運動特徴についての評価結果を表現するオブジェクトとを、同時に提示した様子を図4Aに示す。

0043

光学式モーションキャプチャシステムは様々なものが市販されており、それらとコンピュータを用いて本発明の運動学習支援システムを構成することができる。

0044

さらに、運動計測手段には、光学式モーションキャプチャシステム以外にも、機械式モーションキャプチャシステム、磁気式モーションキャプチャシステム、ビデオ解析筋電図法、床反力計等、色々や手段が知られており、それらの運動計測手段によってどのような運動データが取得できるかわかっているので、得ようとする運動特徴量がその運動データから計算可能なものであれば、そのようないかなる運動計測手段を用いることができる。また、複数種類の運動計測手段、例えば、モーションキャプチャシステムと筋電位計、モーションキャプチャシステムとフォースプレート、を同時に用いて運動データを取得してもよい。

0045

参照運動特徴量記憶手段には、計算で取得される学習者の運動特徴量を運動特徴評価関数にしたがって評価する時に、算出された運動特徴量と比較するために用いられる参照運動特徴量が格納されている。

0046

1つの態様では、参照運動特徴量は、学習者にとっての目標値ないし理想値(目標運動特徴量)であり、目標運動特徴量としては、学習者が過去に生成した理想に近い運動特徴量や熟練者の運動特徴量を用いることができる。これらの目標運動特徴量は、実際に学習者や熟練者の運動を計測し、計測した運動に基づいて理想的な運動特徴量の状態を数値的に設定しておくことができる。また、目標運動特徴量は必ずしも実測値に限定されるものではなく、運動特徴量の性質によっては、理想値、統計値、既存のデータ等に基づいて運動特徴量を任意に設定してもよい。例えば、運動特徴量が分散値であって、経時的に変動が少ないことが望ましいものであれば、分散値0を理想値として目標運動特徴量に設定してもよい。

0047

後述する実施態様では、参照運動特徴量は閾値であって、運動特徴評価関数は、算出された運動特徴量と閾値で設定される値の範囲とを比較し、算出された運動特徴量が「適切な範囲内にある」か「適切な範囲の外にある」かを判定するように定義される。運動学習支援システムは、各運動特徴量に対応する閾値(参照運動特徴量)を格納する閾値テーブルを備えている。運動特徴量評価手段は、運動特徴評価関数を用いて、算出運動特徴量記憶手段に格納されている学習者の運動特徴量と、閾値テーブルに格納されている閾値とを比較し、算出された運動特徴量が閾値で設定される値の範囲内にあるか、閾値外にあるかを判定する。

0048

閾値の設定の仕方は、対象となる運動、運動特徴毎に異なるが、運動特徴の性質や学習者の身体的特徴、学習者の過去の運動データ等に基づいて当業者が閾値を適宜設定し得る。また、閾値の設定において、例えば、熟練者の運動特徴量を参考とすることもできる。運動特徴量評価手段が、算出された運動特徴量と閾値(参照運動特徴量)を直接比較するのではなく、算出された運動特徴量と、参照運動特徴量記憶手段に格納されている参照運動特徴量とを比較し、その差が予め設定した閾値の範囲内にあるか否かを判定するような場合、例えば、ある理想値が参照運動特徴量である場合に、熟練者の運動特徴量と参照運動特徴量との差の平均がd1であるならば、運動学習者に適用される閾値th1は少なくともd1よりも大きい値となるであろう。

0049

参照運動特徴量は、計算で取得される学習者の運動特徴量と比較できる形式で参照運動特徴量記憶手段に格納されている。比較できる形式とは、直接比較できる場合に限定されるものではなく、所定の計算により、参照運動特徴量、学習者の運動特徴量のいずれかあるいは両方を加工してリアルタイムで比較できる場合も含む。例えば、いずれかの特徴量をスケーリングしたり、正規化したりすることで比較してもよい。

0050

運動特徴評価手段により取得された評価結果は、学習者の運動特徴量の状態(ある時点におけるある運動特徴量が「適切な範囲内にある」か「適切な範囲の外にある」か)を示すものであって、学習者に認識可能な態様で実時間提示される。典型的には、評価結果は、表示システムのディスプレイに視覚的に識別可能に学習者に提示される。

0051

評価結果をどのように視覚的に識別可能に表示するかを予め決定しておく。1つの態様では、各運動特徴に対応するオブジェクトを用意しておき、各オブジェクトを互いに識別可能な態様でディスプレイに表示する。互いに識別可能な態様としては、形状、大きさ、色、あるいは、これらの任意の組み合わせが例示される。例えば、学習者の運動特徴量が参照運動特徴量である閾値を超えるか否かによって、オブジェクトを視覚的に認識可能に変化させる。例えば、学習者の運動特徴量が閾値内にある場合と閾値外にある場合とで、ディスプレイ上のオブジェクトの形状、大きさ、色、あるいは、これらの任意の組み合わせを変化させる。

0052

例えば、腰の高さを一定に保つことが重要な運動を教示する場合、腰の中心の三次元位置を計算し、高さを保ったまま実際の腰から平行移動した位置に球(オブジェクト)を提示する(図4A)。システムのユーザの身体モデルを実際に計測された空間上の位置に提示し、あらかじめ指定した閾値の範囲を超えるかどうかで、球の色を変化させる。これにより、従来指導者が目で見て教示を与えたり、ビデオカメラで計測した映像を後から解析することにより得られた情報を、リアルタイムで学習者に提示することができる。

0053

図4Aには、1つの運動特徴を提示したが、本発明に係る運動学習支援システムは、複数の運動特徴を提示可能なシステムである。図4Bに袈裟斬り運動を例とした場合の提示画面の例を示す。図4Bでは、腰の高さ(A)、両足の幅(B)、手の高さ(C)、腰の向き(D)、剣の振り幅(E)からなる5つの運動特徴に対応するオブジェクトが提示されている。

0054

評価結果を、聴覚的に識別可能に学習者に提示してもよい。例えば、互いに識別可能な、各運動特徴量に対応する音を用意しておき、学習者の運動特徴量が閾値外にある時に、当該運動特徴量に対応する音を生成するようにしてもよい。

0055

算出運動特徴量記憶手段には、算出した学習者の各運動特徴量の時系列データが保存されており、ある時刻における評価結果を事後的に計算することも可能である。1つの態様では、運動学習支援システムは、運動特徴毎の評価結果を格納する評価結果記憶手段を備えており、評価結果の時系列データから学習者の学習の程度を分析することができる。

0056

運動特徴量の計算について、簡単な例として、スクワット時の腰の高さの変動を例に説明する。この場合の運動特徴は、「腰の高さ」であり、「腰の高さ」の変動が大きい方が効果的なスクワットであると言える。

0057

運動特徴を決定したら、運動特徴量を計算して出力する。そのために、運動情報計算装置により計算され、提示装置に表示される、身体の各部位に配置した光学式マーカー群から、運動特徴量を計算するためのマーカーを選択する。マーカー群から腰の高さを求めるための必要なマーカーを指定する(図5A)。運動特徴量算出装置において、運動特徴量としてここでは腰の高さを選択し、腰の高さに連動して位置座標が変化するオブジェクトを、学習者に提示する。

0058

図5A、図5Bに示すように、腰の4点のマーカーから腰の重心を求め、腰の重心を用いて運動特徴、すなわち、腰の高さ(腰の重心の高さ)を算出する。

0059

腰の4つのマーカーの位置ベクトルをそれぞれ、V1、V2、V3、V4とすると、腰の重心ベクトルVGは、



と表わされる。

0060

腰の重心と連動するオブジェクトの位置ベクトルVtransを、



とすることで、腰の高さに連動するオブジェクトの作成が行われる。理想的なスクワットが行なわれているか否かを判定するための運動特徴量としては、腰の重心の上下の変動量や屈んだ時の腰の重心の高さ等が挙げられる。

0061

このオブジェクトの座標位置を時系列データとして出力することができる。適当なフレームレートでオブジェクトの位置座標データ、すなわち、X成分、Y成分、Z成分をテキストデータとして出力して、事後的に運動を解析することができる。

0062

[B]運動特徴量の算出、運動特徴量の評価、評価結果の提示
以下、本発明の運動学習支援システムの実施形態について、鹿島神流の基礎となる動作の一つである袈裟斬り運動を例にとって詳細に説明する。運動特徴の設定については、専門家意見から本システムで提示可能な運動の特徴を選び、実装した。具体的には、以下に詳細に説明するように、運動特徴として、腰の高さ(A)、足幅(B)、手の高さ(C)、体の向き(D)、剣の振り方(E)を設定した(図4B参照)。また、これらの運動特徴は1つの例示に過ぎないものであり、他の運動特徴、例えば、学術論文「大武美保子,山根克,中彦.袈裟斬り動作の体性感覚に基づく主観評価と運動計測に基づく客観評価.第21回日本ロボット学会学術講演予稿集,2J26,2003.」にしたがって、「剣先の軌道がまっすぐで、カタカナの「ノ」の字のように剣先軌道がえぐれない(軌道の直進性を運動特徴とする)」に着目して、「剣先の速度ベクトルと斬り口方向の速度ベクトルとの内積」を運動特徴量としてもよい。

0063

(腰の高さ)
袈裟斬り運動の基本的なポイントの一つに、腰の高さが一定であることが挙げられる。腰の高さを運動特徴とし、腰の高さの分散を特徴量とする。分散値が低いほど、腰の高さは安定している。腰の高さは腰の重心位置として計算することができ、具体的な計算方法については、スクワット動作における腰の重心位置の計算を援用することができる。予め閾値を設定し、学習者の腰の高さが閾値外の場合、対応するオブジェクトの色が変化するようにした。閾値の値を被験者によって変化させた。閾値は、例えば、以下のように決定することができる。熟練者のデータを解析し、得られた分散値・平均値から基準となる高さを算出し、基準となる閾値の幅を決定する。被験者が袈裟斬りの構えをとり、その状態の時の腰の高さを基準とし、熟練者の基準となる高さとの比から、各被験者に閾値を決定する。

0064

腰の4点のマーカーから腰の重心位置ベクトルVGを求める。このベクトルのy成分vGyが腰の高さを表している。対象としている被験者の腰の高さの基準値をa、腰の高さの基準値からのずれをdとすると、



となる。次に閾値の設定を行う。腰の高さの基準値が85cmの時、許容される幅が5cmであるので、この被験者の閾値をtとすると、



となる。この閾値を基準値からのずれが超えた時、オブジェクトの色を変化させる。
関数T(d,t)を、



を色の判別式とする。オブジェクトの色を変化させるためのベクトルVcolorを、



とすることで、オブジェクトの色が腰の高さに応じて変化するようになった。Vcolorのベクトルの要素は、それぞれ赤、青、緑の輝度値に対応しており、(1,0,0)は赤色、(0,1,0)は緑色、(0,0,1)は青色を表わす。図7に、特徴量の提示の様子を示す。腰の高さが閾値内である時、球は灰色となる(図7上図)。腰の高さが閾値外の時、球は赤色となる(図7下図)。

0065

(両足の間隔)
袈裟斬り運動において、両足をしっかり開くことで全体に重心が低い運動となり、安定感のある運動となる。このことから両足の間隔を特徴量とした。図8の丸で囲んだ部分が足幅を計算するためのマーカーである。それぞれの丸内にある二点の中心を計算し、その中心点間の距離を両足の間隔とした。

0066

左足のマーカーをV1,V2とし、右足のマーカーをV3,V4とし、右足先中心座標VR、左足先の中心座標をVLとすると、



となる。両足の幅をdとすると、



と表わされる。被験者毎の足幅の閾値をdtとし、足幅がこの閾値を超えた時対応するオブジェクトの色が変化するよう設定する。色判別用に関数



を、



と定める。オブジェクトの色を変化させるためのベクトルVcolorを、



とすることで、足幅に対応して色が変化するオブジェクトの作成が行われる。

0067

次にオブジェクトが両足の間にフィットし、伸縮するよう定義する。オブジェクトの位置ベクトルをVtransとする。オブジェクトの中心座標を、両足間の重心座標と一致させ、オブジェクトの位置を定義する。



足の回転とオブジェクトの回転を同期させる。右足の位置ベクトルから左足の位置ベクトルを引いたベクトルVdifと、固定ベクトルVfを次のように定める。



ベクトルVdifとベクトルVfの成す角をθとすると、



と計算される。オブジェクトを回転させるベクトルをVrotとし、



とすることで足の回転とオブジェクトの回転が同期するようになる。最後に足幅とオブジェクトの大きさを同期する。オブジェクトのデフォルトの幅は20cmなので、dを20倍することで同期できる。オブジェクトの大きさを変化させるスケールベクトルVscaleを、



とすることで、足幅とオブジェクトの大きさが同期する。Vcolor,Vtrans,Vrot,Vscaleの4つのベクトルをオブジェクトを適用し提示を行う。

0068

これにより出力される提示は図9のようになる。オブジェクトが足のマーカーの間で、距離に合わせ拡大縮小し、あらかじめ設定した閾値を超えるとVcolorが(0,1,0)から(0,0,1)となり、色が緑(上図)から青(下図)に変化する。

0069

閾値の決定方法としては、袈裟斬りの構えをとり、被験者が実験を正しい構えの姿勢時の足幅を閾値とした。

0070

(手の高さ)
袈裟斬り運動において、木刀をしっかり上まで振り上げることは重要である。このことから手の高さを特徴量と設定した。

0071

計算方法について説明する。図10の丸で囲んだ部分のマーカーを測定するマーカーとする。手の高さ計算用のマーカーの位置ベクトルをVhとし、そのy成分をvhyとする。このvhyが手の高さとなる。オブジェクトの位置ベクトルVtransを、



とすることで、手のマーカーとオブジェクトの位置が同期する。またオブジェクトのデフォルトでの大きさが小さいため、スケールベクトルVscaleを、



とし、拡大する。

0072

最後に閾値による色の変化を定義する。対象被験者の閾値をhtとし、手の高さがこの閾値を超えた時、色が変化するよう設定する。色判別関数T(vhy,ht)を、



とする。オブジェクトの色を変化させるベクトルVcolorを



とすることで、手の高さに対応して色が変化するオブジェクトの作成を行う。

0073

出力される提示画面は図11のようになる。オブジェクト(ここでは立方体)が、指定したマーカーと同じ動きをし、あらかじめ設定した閾値を超えると色が赤に変化する。

0074

閾値の決定方法としては、袈裟斬り運動時、剣を一番高く振り上げる時の、指定したマーカーの高さを閾値とした。この値を超えた時には提示画面においてオブジェクトの色が変わる。

0075

(体の向き)
袈裟斬り運動において剣を振り切った時、正面方向つまり斬るべき方向に対して、体の向きが平行に近いことが望ましい。そこで、正面方向と腰骨付近のマーカーが作る方向ベクトルとの成す角度を特徴点とした。

0076

計算方法について説明する。腰骨付近のマーカーとして、図12の丸で囲った二つのマーカーを指定した。このマーカー間のベクトルと、正面方向のベクトルとの成す角を特徴量とする。ここでは正面方向のベクトルは絶対座標上の原点から画面向かって奥方向の(0,100)という成分を持つベクトルとした。図13に計算のイメージを示す。

0077

腰の二点のマーカーをVw1,Vw2とする。
図13中のV1,V2は、



と表わされる。ベクトルV1とベクトルV2の成す角をθとすると、



と計算される。このθと設定した閾値によりオブジェクトの色を変化させる。右に体が向く時の正面からの角度をθR、左に体が向く時の正面からの角度をθLとする。θがこの二つの閾値を超える、又は下回る時、オブジェクトの色を変化させるよう設定する。色判別用関数T1(θ,θR),T2(θ,θL)を、



とする。オブジェクトの色を変化させるベクトルVcolorを



とすることで、体の向きに対応して色が変化するオブジェクトの作成が行われる。

0078

オブジェクトの位置ベクトルVtrans、スケールベクトルVscaleを、



とし被験者に提示する。

0079

出力される提示画面は図14のようになる。計算した角度(単位は度数)の値をx成分の値とし、オブジェクトがその値によってX軸上を動く。設定した閾値を超えた場合に色が変化する。体の向きが左方向を向いて閾値を下回ると、Vcolorが(0,1,0)となり、オブジェクトは緑色(図14A)に変化する。体の向きが右方向を向いて閾値を上回ると、Vcolorが(1,0,0)となり、オブジェクトは赤色(図14D)に変化する。

0080

閾値の決定方法について説明する。上級者のデータから、計算された角度が35度以下または、145度以上の時必要な条件を満たしている、つまり閾値を超えているとした。この値を超えた時には、提示画面においてオブジェクトの色が変わる。

0081

(剣を大きく振る)
袈裟斬り運動において、剣を大きく振ることが重要である。縦に斬るというよりも斜めに振り下ろすようなイメージで、剣を振る必要がある。よって剣先に貼ったマーカーの位置情報を取得し、指定した空間内をマーカーが通っているか判定する。本来袈裟斬り運動において剣の振りおろし時のみ大きく振る必要があるが、本提示ではシステムの都合上、剣の振り上げ時も判定する。

0082

まず計算を行うためのマーカー指定を行う。図15内の丸で囲まれたマーカーが剣先のマーカーであり、今回の計算における指定マーカーとした。次にマーカーが通るべき空間の指定について説明する。図16内の斜線で囲まれた部分が指定する空間である。つまり、[x<−40かつy>140]と[x>40かつy>140]を満たす部分である。この時、z方向、つまり画面の奥方向は任意の値を取ってよい。

0083

剣先マーカーの位置ベクトルをVk=(vkx,vky,vkz)とする。色判別用関数T1(vkx,vky),T2(vkx,vky)を、



とする。オブジェクトの色を変化させるベクトルVcolorを



とすることで、剣の振りに対応して色が変化するオブジェクトの作成が行われる。

0084

オブジェクトの位置は固定位置とし、位置ベクトルVtransは、



とした。

0085

出力される提示画面は図17のようになる。図17の左の提示画面は、剣先のマーカーが[x<−40かつy>140]を満たしていることを示しており、剣先のマーカーの状態を表すオブジェクトの色は(0,1,0)、すなわち緑色になる。右の提示画面では剣先のマーカーが[x>40かつy>140]を満たしていることを示しており、剣先のマーカーの状態を表すオブジェクトの色は(0,0,1)、すなわち青色になる。下の提示画面はいずれも満たしていない状態時である。

0086

閾値の決定方法は、各運動特徴の説明項目で述べた方法で行う。腰の高さ・足幅・手の高さの三項目に関しては、初回の実験時に袈裟斬りの構えや、木刀の振り上げ時の、対象とする特徴点の値を基準値と定めた。腰の高さに関しては、被験者の腰の高さに応じた値(木刀を構えた時の腰の高さが85cmの場合85±5cm)を閾値範囲内、足幅・手の高さに関しては、定めた基準値以上を閾値範囲内とした。体の向き・剣の振り方の二項目に関しては、事前に撮影した袈裟斬り運動の上級者のモーションデータを解析し、おおよその基準値を決定した。体の向きに関しては、特徴量の値がx<35または145140]または[x>40かつy>140]を満たす時、これを閾値範囲内とした。表1に被験者別の閾値範囲内となる特徴量の値を示す。

0087

[C]運動特徴量の相関関係(袈裟斬り運動を例として)
次に、本発明に係る運動学習支援システムを用いて、袈裟斬り運動について行なった2つの評価実験について述べる。

0088

[C−1]実時間提示の有無による運動の比較
提示する運動特徴を一つと設定し、実時間提示の有無による比較を行った。測定対象の運動は、鹿島神流の基礎となる動作の一つである袈裟斬りである。外部に対しては、速度や力を及ぼす動的な特性が求められると同時に、身体の安定性を保つという相反する条件を満たす必要があるため、本システムの評価に用いることとした。運動特徴は、満たすべき条件に対応して複数あるが、ここでは身体の安定性に対応する腰の高さを運動特徴とし、分散を特徴量とした。実験は被験者2名に対し行なった。被験者にはまず袈裟斬り運動の形を覚えてもらうために、熟練者のムービーを見せた。次に数分の練習を行った後、システムにおける提示がない場合を3回、提示がある場合を3回の試行を行った。一回の試行では木刀を10回振る。被験者の腰の高さの分散値はそれぞれ、10.56から8.71,3.77から1.43に減少し、提示がない場合より提示がある場合の方が安定性が増した。

0089

[C−2]運動特徴が異なる運動特徴量に与える影響
運動特徴の提示が、各運動特徴量に与える相対的効果の評価を行なう。袈裟斬り運動における運動特徴を複数設定した場合の実験を行った。腰の高さ(A)、両足の幅(B)、手の高さ(C)、腰の向き(D)、剣の振り幅(E)を運動特徴とした(図4B)。各運動特徴に対して、予め閾値を設定し、各運動特徴量が閾値に応じ、対応するオブジェクトの色を変化させる。実験は、基本的な動作を覚えた被験者3名に対し、週2回、3週に渡り計6回行った。1回目から5回目までは運動特徴を一つずつ提示し、6回目に全て提示した。各回とも、袈裟斬り20本を7セット行った。解析では、提示する運動特徴の種類によって、各々の特徴量がどの程度変化するのかを評価することで、運動特徴間の関係性を調べた。以下に2つの比較方法について分析を行なった。1つは、特徴量が閾値内にある時の時間(閾値内秒数)を評価材料として、閾値内に特徴量があればある程、提示効果があるとする。もう1つは、算出される運動特徴量について、値が大きいほど目標運動特徴量に近い値となる評価指標で運動特徴量を評価し、評価指標が大きいほど提示効果があるとする。

0090

(ア)運動特徴量間の相関
各運動特徴量が、提示する運動特徴によってどの程度異なるのかを閾値内秒数割合をもって評価することで、運動特徴間の関係性を検証する。例えば、5つの運動特徴の提示を行った試行時のそれぞれの腰の高さの閾値内秒数割合を比較する。ここでは、「腰の高さ」を提示した場合の閾値内秒数割合を分母、他の特徴点を提示した場合の閾値内秒数割合を分子とし比をとる。この比が1より小さい場合は、比較した他の特徴点を提示するよりも「腰の高さ」を提示した方が効果的であると言え、逆に他の特徴点を提示することは効果を下げる副作用があると言える。また比が1より大きい場合は、比較した他の特徴点を提示した方が「腰の高さ」を直接提示するよりも効果的であると言え、言い換えれば他の特徴点を提示することでも目的の効果を得られると言える。

0091

以上の計算を各運動特徴、各被験者毎に行い、その結果を表2に示す。列が提示した運動特徴、行が比較対象の運動特徴量である。例えば、被験者Aの腰の高さの行は、注目する運動特徴量が腰の高さであり、左から順に、腰の高さ、両足の幅、手の高さ、体の向き、剣の振り方を提示した時の値の比を示す。

0092

比較対象としている運動特徴量の効果を最も上げる特徴点は、その特徴量と同じ運動特徴、例えば腰の高さの効果を上げるのは腰の高さの提示である、ということがわかった。すなわち、多くの場合、運動特徴量を目的とする方向に変化させるのは、対応する特徴運動特徴量の状態の提示時である。表中の1より値の低い部分がそれにあたる。反対に1より値が大きい場合、例えば被験者Aの「体の向き」に関しては、「体の向き」を提示するよりも、「腰の高さ」や「両足の幅」を提示した方が効果的であるということである。

0093

提示による各運動特徴量の効果状況を相対的に評価する。比較方法は各運動特徴量の平均と比べ、上回っている時を1、下回っている時を0とし、表3にまとめた。すなわち、1の場合は相対的に効果があり、0の場合は、相対的に効果は薄い。この表より、3人の被験者に総じて、全てを提示した場合は多くの特徴量が平均を上回っており、効果的であることがわかる。被験者Bの場合、すべての特徴量が平均値を上回っている。被験者Cの場合も、手の高さを除くすべての特徴量が平均値を上回っている。

0094

目的とする特徴量を提示する場合、他の特徴量を提示する場合より、目的とする特徴量の評価値が高くなること、この他の特徴量についても、評価値が平均より高くなる場合があることなどが分かった。被験者Aの場合、腰の高さを提示した時、腰の高さの特徴量は平均を上回るが、両足の幅を提示した時と、すべてを提示した時も、腰の高さの特徴量は平均を上回ることが分かる。被験者Aの場合、両足の幅を見せた時、剣の振りをのぞくすべての特徴量が平均を上回っている。ひとつの運動特徴量のオブジェクトの提示で、多くの特徴量の評価が高まっている。被験者Cの場合も同様に、両足の幅を見せた時、体の向きをのぞくすべての特徴量が平均を上回っている。すなわち、被験者AとCに関しては、両足幅を提示した場合も効果的であることがわかる。逆に被験者Bに関しては両足幅の提示は効果的ではなく、手の高さ提示が比較的効果的である。このように被験者により効果的な提示方法が異なる。

0095

(イ)運動特徴量間の相関2
閾値内秒数割合による分析時と同様に、運動特徴提示間における運動特徴量の相関性を評価する。各運動特徴提示において対応した特徴量の評価指標の値を1とし、その他の特徴点提示における評価指標の比をとる。評価指標は、袈裟斬り運動の場合、対象となる運動特徴量により、分散の逆数、もしくは、最大値の平均値のいずれかとなる。以下、具体的に説明する。

0096

(腰の高さ)
腰の高さの分散値は小さいほどよい。したがって、評価指標は、腰の高さの分散値の逆数とする。評価指標が大きいほど効果が大きいと言える。腰の高さの特徴量提示の時の評価指標の値で、それ以外の特徴量提示の時の評価指標の値を割る。値が1以上の時、腰の高さの提示よりそれ以外の特徴量提示の方が、提示効果が大きい。

0097

(両足の幅)
両足の幅の最大値の平均値が大きいほどよい。したがって、評価指標は、両足の幅の最大値の平均値とする。評価指標が大きいほど効果が大きいと言える。両足の幅の特徴量提示の時の評価指標の値で、それ以外の特徴量提示の時の評価指標の値を割る。値が1以上の時、両足の幅の提示よりそれ以外の特徴量提示の方が、提示効果が大きい。

0098

(手の高さ)
手の高さの最大値の平均値が大きいほどよい。したがって、評価指標は、手の高さの最大値の平均値とする。評価指標が大きいほど効果が大きいと言える。手の高さの特徴量提示の時の評価指標の値で、それ以外の特徴量提示の時の評価指標の値を割る。値が1以上の時、手の高さの提示よりそれ以外の特徴量提示の方が、提示効果が大きい。

0099

(体の向き)
運動中の体の向きの最大値と最小値の差が大きいほどよい。したがって、評価指標は、運動中の体の向きの最大値と最小値の差の平均値とする。評価指標が大きいほど効果が大きいと言える。体の向きの特徴量提示の時の評価指標の値で、それ以外の特徴量提示の時の評価指標の値を割る。値が1以上の時、体の向きの提示よりそれ以外の特徴量提示の方が、提示効果が大きい。

0100

(剣の振り)
運動者の身体に向かって左右方向にx軸を取ると、剣を振り下ろす際の剣先のx座標の最大値と最小値の差で表わされる剣の振り幅が大きいほどよい。したがって、評価指標は、剣先のx座標の最大値と最小値の差の平均値とする。評価指標が大きいほど効果が大きいと言える。体の向きの特徴量提示の時の評価指標の値で、それ以外の特徴量提示の時の評価指標の値を割る。値が1以上の時、体の向きの提示よりそれ以外の特徴量提示の方が、提示効果が大きい。

0101

結果を表4に示す。1より値が大きい場合は、他の運動特徴提示によっても同等かそれ以上の効果が得られる点であり、1より小さい場合は、他の運動特徴提示を行うことで効果が薄まる点である。ほとんどの点で1を下回っており、運動特徴量の効果を向上するのは、対応する運動特徴のオブジェクトの提示時であることがわかる。しかし1より大きい場合も少なからずあり、例えば被験者Aの手の高さに関しては、両足の幅や体の向きなど、他の運動特徴を提示した場合でも効果があることが分かり、被験者Bは、すべての特徴点を提示した場合、手の高さ・体の向き・剣の高さについては効果の向上が見られる。

0102

提示による各運動特徴量の効果状況を相対的に評価する。比較方法は閾値内秒数の時と同様、表4の各評価値の平均から見て上回っているか、下回っているか評価する。上回っている場合を1、下回っている場合を0とし、表5に提示する。全ての運動特徴のオブジェクトを提示した場合は、他の多くの運動特徴量も平均を上回っており、複数同時に提示することで効果が見られることが分かった。また体の向きと剣の振り提示は、被験者によっては効果的であることがわかる。被験者Aにおける両足の幅のように、単一の運動特徴のオブジェクトの提示でも複数の運動特徴量に対し、効果がある場合もあること、そのような特徴量は被験者により異なることが分かる。

0103

表3と表5を比較すると、異なる提示効果の評価方法を用いても、提示効果の評価結果には同様の傾向がみられることがわかる。(ア)で述べた閾値内秒数で定義される評価関数は、評価値が簡便に得られるが、(イ)で述べた運動特徴量から直接計算される評価値は、閾値の設定に左右されないという特徴を持つ。両者の結果から以下のことが分かる。先ず、提示した運動特徴量が、提示していない特徴量に影響を与える場合があることが明らかになった。ある運動特徴量の状態を提示すると、提示された運動特徴量が目標に近づくことに加えて、提示されない運動特徴量も同時に変化する、すなわち、各運動特徴量間には相関関係がある。提示した運動特徴量が、提示していない特徴量に影響を与える場合があることが明らかになった。注目すべきは、単一の運動特徴の状態の提示であっても、提示しない他の運動特徴量の状態が目標に近づく場合があるということである。したがって、他の多くの運動特徴と相関の高い運動特徴を提示することで、学習者の運動学習を効果的に支援することができる。そして、運動特徴量間の相関関係は、同じ運動であっても、被験者毎に異なるものである。

0104

本運動学習支援システムを用いると、提示する運動特徴量が、他の運動特徴量に与える影響を網羅的に調べることができる。このため、提示することにより、結果として複数の運動特徴量を同時に目標に近づけることが可能な効果的な運動特徴量を特定することができ、学習者の運動が全体として目標とする運動に効果的に近づくことを支援できる。運動毎に、運動特徴量の相関性を評価して、複数の運動特徴量間の相関関係を各学習者に対応してテーブルとして格納しておくことで、各学習者に対応して効果的な運動特徴の提示を行なうことができる。

0105

本運動学習支援システムを用いることで、対象となる運動の運動特徴を最適化することもできる。専門家の意見、運動解析論文、本、雑誌、インターネット上の情報源等から複数の運動特徴の候補を用意し、各運動特徴候補を用いて学習者の運動学習の向上の程度や運動特徴候補間の相関関係を評価し、評価結果を用いて運動特徴候補を最適化して運動特徴を決定することもできる。

0106

[D]運動と運動特徴
運動「袈裟斬り」を例として運動特徴について論じてきたが、あらゆる運動において複数の運動特徴が存在する。以下に、運動と運動特徴について幾つか例示する。以下において、(ア)運動のポイント、(イ)運動のポイントを運動計測(モーションキャプチャ)における特徴量として表現、(ウ)特徴量の変化で、運動のコツやポイントを表現、である。運動特徴量の具体的な計算式について省略するが、例えば、光学式モーションキャプチャを用いて運動を計測する場合に、ある運動特徴が与えられた時に、所望の運動特徴量を計算するためにどの部位にマーカーを取り付けるか、計測された運動データからどのようにして運動特徴量を計算するか等については、当業者において適宜設計し得る事項である。

0107

[D−1]バスケットボール(3Pシュート
(ア)「体幹の軸がずれない」、「ボールの軌道が高いアーチを描く」、「バックスピン」、「常に一定の力がかかるようにする」など。
(イ)「腰の重心を腰の4点のマーカーの重心とする」、「手首、肩、の角度と角速度を3点のマーカーではかる」など。
(ウ)「腰の重心がリリース前とリリース後とでずれていない。」、「手首の角度はリリース前とリリース時とで変化が大きい。」など。

0108

[D−2]バスケットボール(ジャンプシュート)
(ア)「ボール頭フォームをしっかりする」、「肘を外に開けない」など。
(イ)「頭のマーカーの中心と右手のマーカーの中心を同じ高さにする」、「右腕のマーカーを通る平面と、腰の4点のマーカーを通る平面の間の角度」など。
(ウ)「頭のマーカーの中心と右手のマーカーの中心の高さの差が小さいほどよい」、「右腕のマーカーを通る平面と、腰の4点のマーカーを通る平面の間の角度が90度に近いほどよい」など。

0109

[D−3]野球のバッティング
(ア)「下半身タメをつくる」、「スウィングするときに腕をたたんで肘をボールにぶつける感覚で出す」、「ヘッドを下げない」など。
(イ)「上半身の角度を、胸部背面と前面のマーカーを結んだベクトルで表わし、下半身の角度を、腰部背面と前面のマーカーを結んだベクトルで表わし、これらのベクトルがなす角で、下半身と上半身のねじりの大きさを表す」、「バットの先端のヘッドスピード」、「スウィング中のヘッドの位置とグリップ位置関係」、「スウィング始動時の体幹と腕のマーカーの距離」など。
(ウ)「下半身と上半身の角度を表わすベクトルがなす角が大きいほどよい」、「ヘッドスピードが速ければよい」、「ヘッドがグリップに対して下がりすぎていると良くない」、「スウィング始動時の体幹と腕のマーカーの距離が小さいほどよい」など。

0110

[D−4]野球のバッティング2
(ア)「軸足に体重をのせてバッティングする」、「バットのヘッドを利かせ遠回りさせた方が遠心力が生まれ飛距離がのびる」など。
(イ)「重心と軸足の位置関係を計測する」、「バットの軌跡をはかる」など。
(ウ)「重心が軸足にのっているとよい」、「バットの軌跡の半径が大きければよい」など。

0111

[D−5]ロボットダンス
(ア)「関節を固定する」、「動かさない部分は絶対に動かさない」など。
(イ)「各関節にマーカーをつけ、位置・運動を計測する」など。
(ウ)「動かさないと決めた関節のマーカーが動かない」、「ある関節を中心に回転させた時、それより先にある関節のマーカーの相対的位置関係が保たれている(ex.肩を中心に腕を動かす際、肩・ひじ・手首の三角形の形が保たれている)」など。

0112

[D−6]テニスフォアハンドストローク1)
(ア) 「ショルダーローテーション(右肩を前に出すが、体の軸はブラさない)」など。
(イ)「右肩と左肩、腰の右左にマーカーをつけてその4点の重心を通る地面に垂直な直線を軸とする」
(ウ)「右肩と左肩を入れ替えつつも軸がぶれないようにする」など。

0113

[D−7]テニス(フォアハンドストローク2)
(ア)「腰のひねりもどしで打つ」、「スタンスを広く取り、上体がはみ出さないように打つ」など。
(イ)「腰の重心を腰の4点のマーカーの重心とする」、「足のマーカーの4点で長方形を作る」など。
(ウ)「腰の4点のマーカーがテイクバックインパクトフォロースルーに従って回転しているのが良い」、「足のマーカーの長方形内に腰の重心があるのが良い」など。

0114

[D−8]テニス(ストローク)
(ア)「球を4つ並べたくらい、押し返す」、「力をぬく」、「頭から背筋にかけて、一本柱が入った感覚をもつ」など。
(イ)「頭のてっぺん、首、背筋、腰まで一直線にマーカーをつける」、「ラケットの先端とグリップにマーカーをつけ、二つのマークの平行移動がみられる」など。
(ウ)「頭から背筋にかけての直線が保たれて、横にぶれない」など。

0115

[D−9]テニス(サーブ
(ア)「重心の移動」、「肘をしっかり上げる」、「肘を十分にあげ伸ばしきったところでインパクト」、「ラケットを放り投げるようなフォロースルー」など。
(イ)「重心の移動」、「肘の高さ」、「インパクト時の肘の角度」、「ラケットの軌道と速度」など。
(ウ)「重心がタイミングよく移動できているか」、「インパクト時に肘の角度が180度に近いほどよい」など。

0116

[D−10]テニス(スマッシュ
(ア)「横向き、右足で踏ん張ってラケットをかつぐようにあげる」、「背筋を伸ばすなどして、打点をできるだけ高くして打つ」など。
(イ)「肩、肘、手にそれぞれマーカーをつけ肩から肘へのベクトルと肩から手へのベクトルの外積」、「太もも、腰、肩それぞれマーカーをつけ太ももから腰へのベクトルと腰から肩へのベクトルの外積」など。
(ウ)「外積の値が0に近いほどよい」など。

0117

[D−11]モデル歩き
(ア)「軽くあごを引く」、「接地している方の足の膝を曲げない」、「かかとには体重をかけない」、「常に両足の内ももがこすれるくらいに前後が交差しながら歩く」、「肩胛骨を内側に寄せる」、「ストライドに合わせて手を大きく振る」など。
(イ)「頭の向きのベクトルと目から注視点へのベクトルの角度」、「足の付け根から膝へのベクトルと膝からくるぶしへのベクトルの角度」、「接地の際のかかとと爪先高低差」、「接地足ボーンと逆足のボーンの移動時最短距離」、「乳首と両肩の距離(平常時との比較)」、「一歩の運動における爪先の移動距離指先の移動距離の比較」など。
(ウ)「注視点と頭の向きの差が小さい程よい」、「足の二つのベクトルの向きの差が小さい程よい」、「高低差が0以上であり、ある値に近い程よい」、「最短距離が実際の骨と骨の距離に近い程良い」、「平常時よりも乳首と両肩の距離がある程度開いていればよい」、「爪先の移動距離に応じて、指先の移動距離が変化すれば良い」など。

0118

上記のような本や口伝による運動特徴の他にも、各種の運動解析論文や運動解析サービスを利用することで運動特徴を抽出することができる。運動特徴を抽出できたならば、モーションキャプチャデータ等を用いてそれを数値化する計算手法は当業者において適宜設計し得ることが理解される。

0119

[E]音声を用いた運動特徴量の評価結果の提示
上記実施形態では、運動特徴量の評価結果を視覚的に提示する運動学習支援システムについて説明したが、運動特徴量の評価結果を音声を用いて聴覚的に提示してもよい。

0120

運動特徴の評価結果を音声を用いて提示する実施形態について、袈裟斬りを例にとって説明する。達人によれば、振り始めの姿勢さえできたら、後は一息で振り下ろすと、力を出し切って、結果として振り終わりの姿勢に自然と収まると言われている。力を出し切らない場合は、振り終わりの姿勢になっても力が残っていて止まらないので、自分の力を使って止めなければならない。また、運動の間中姿勢を意識し続けると、動きが固くなったり遅くなったりしがちであると言われている。したがって、袈裟切りにおいては、「振り始め姿勢」を特徴付ける運動特徴量(振り始め姿勢は袈裟切り運動の一部であるので、この運動特徴量は袈裟切りを特徴付ける運動特徴である)及び「振り終わり姿勢」を特徴付ける運動特徴量(振り終わり姿勢は袈裟切り運動の一部であるので、この運動特徴量は袈裟切りを特徴付ける運動特徴である)が袈裟切りにおける他の運動特徴量に影響を与えるものと考えられる(すなわち、運動特徴量間に相関関係がある)。そこで、「振り始め姿勢」及び「振り終わり姿勢」における運動特徴量が達人の運動特徴量を持つように予め練習した上で、袈裟斬りを行う。

0121

先ず、「振り始め姿勢」を特徴付ける複数の運動特徴を用意し、達人の「振り始め姿勢」における運動特徴量を取得しておく。運動学習者の「振り始め姿勢」における運動特徴量をリアルタイムで取得し、予め用意した運動特徴評価関数を用いて、運動学習者の「振り始め姿勢」における運動特徴量を評価する。

0122

予め練習する際には、運動学習者の「振り始め姿勢」を特徴付ける運動特徴量が達人の「振り始め姿勢」の運動特徴量に近づいた時(適切な範囲内にある)のみ各運動特徴に対応する音が提示されるようにしておき、全ての運動特徴に対応する音が提示された時に「振り始め姿勢」が整ったものとする。例えば、特徴量である腰から下の重心位置が適切な範囲内になったらドの音が出て、特徴量である全身の重心位置が適切な範囲内になったらミの音が出て、特徴量である腰から上の重心位置が適切な範囲内になったらソの音が出て、ドミソ和音が聞こえたら振り始め姿勢が整ったものとする。

0123

同様に、運動学習者の「振り終わり姿勢」を特徴付ける運動特徴量が達人の「振り終わり姿勢」の運動特徴量に近づいた時(適切な範囲内にある)のみ各運動特徴に対応する音が提示されるようにしておき、全ての運動特徴に対応する音が提示された時に「振り終わり姿勢」が整ったものとする。例えば、特徴量である腰から下の重心位置が範囲内になったらレの音が出て、特徴量である全身の重心位置が範囲内になったらファの音が出て、特徴量である腰から上の重心位置が範囲内になったらラの音が出て、レファラの和音が聞こえたら振り終わり姿勢が整ったものとする。

0124

以上の練習を十分に行い、「振り始め姿勢」及び「振り終わり姿勢」を体が覚えたら、その場で一連の袈裟斬り動作を行い、振り始めと振り終わりに、もともと学習した際の音が出るかどうかを確かめながら繰り返す練習を行う。上記の例では、重心位置という全体的な特徴量を提示することにより、結果として他の特徴量(例えば、腰の高さ、両足の幅、手の高さ、腰の向き、剣の振り幅等の個別の特徴量)も最適化される。

0125

この実施形態では、ある重要な姿勢(上記例では、「振り始め姿勢」、「振り終わり姿勢」)における運動特徴のみの評価結果を音声で提示し、「振り始め」〜「振り終わり」の途中の姿勢の運動特徴の評価は行わない(評価したとしても提示は行わない)。このような評価結果の提示は、運動学習者の姿勢をリアルタイムで検出し、運動学習者の姿勢がある重要な姿勢にあるか否かを判断して行うことができる。

0126

「始めの姿勢」に着目した上記手法は、袈裟切りに限定されず、他の運動にも適用することができる。例えば、テニスなどにおいて、「どこに球が飛んできても一番よい姿勢で打つことができる位置に移動し、その場所で姿勢を作ることができれば、後は自在に打ち返すことができる」ということと共通する。また、野球のバッティングや剣道面打ちなど、他のスポーツや武道でも、素早い運動を伴うものについて、運動の間は意識することなく、特に始めを意識することがポイントになる運動について適用することができると考えられる。

0127

音声を用いて聴覚的に情報を運動学習者に提示することは、運動中にリアルタイムで視覚的に情報(運動特徴量の判定結果や運動特徴量)を提示する場合に比べて、以下のような有利な点がある。
●視覚で情報(運動特徴量の判定結果や運動特徴量)を提示する場合、モニタ等に視線を向けなければならず、運動を阻害するおそれがある。音を用いることで、視線に依存しない情報提示が可能となり、ゴルフなど、下を向いて行う運動にも用いることができる。
●視覚では得られる情報が多すぎ、運動特徴量の判定結果の把握が難しくなることが多い。上述のように、運動中の運動学習者は、3つの音であれば同時に鳴っても和音として認識できるが、3つの視覚情報を同時に認識することは困難である。また、音を用いることで運動特徴量の判定結果や運動特徴量の変化が把握しやすい。

0128

音声提示を用いることで、運動特徴量を音声に変換してリアルタイムで提示することができる。音声により運動の特徴量を実時間提示する運動学習支援システムについて説明する。運動学習支援システムの構成を図18に示す。運動の測定にはモーションキャプチャシステムを用いる。取得したデータからリアルタイムで運動の特徴量を算出し、算出した運動特徴量を周波数に変換し音声で提示する。また、記録したモーションデータから音を鳴らすことも可能とする。音の再生、周波数の変更にはXAudio2を用いた。データを分析する場合には作成したシステムを用いて、記録したデータから特徴量をテキストデータとして出力、分析する。

0129

運動学習支援システムでは、身体重心の高さ、身体各部位の高さ、腰の回転角から周波数を計算し音提示することができる。ここでは、様々な動きで特徴量が変化し、運動のリズムを把握しやすく、多くの運動に対してこのシステムを使用できる身体重心を提示特徴量とし実験する。身体各部位の質量比(長沢光雄 立幅跳びの身体重心の分析秋田大教育学部研究紀要教育科学 (34), 58-68, 1984-02)から身体重心を算出し、式(1)を用いることで周波数に変換した。指数部小数点以下を切り捨てることによって音を音階提示する(十二平均律)。



fは出力される周波数[Hz]、f´は基準高さでの周波数[Hz]、aは音の変化度合、hは基準高さ[inch]、xは身体重心の高さ[inch]とする。

0130

運動学習支援システムは、次のように用いることができる。まず、利用者は、上級者の運動で鳴る音(上記例では、重心の高さの変化を音に変換して提示したもの)を視覚と共に覚える。真似をして同じような音が鳴った(同じような音が鳴るまで真似をした)場合、上級者の特徴を持つ運動を習得できたものとする。上手く運動できているときの音を覚え、音によるイメージを頭の中に残しながら、同時に筋肉等からのフィードバックを記憶する。次に、音をイメージしながら運動を再現する。利用者は、上級者からのずれを音声により確かめながら運動を練習することができる。

0131

音声による運動学習支援システムの有用性や問題点を調査するため、袈裟切り運動(運動により身体重心が大きく変化する)の学習について運動学習支援システムを用いた。

0132

実験方法は以下のとおりである。運動学習支援システムを用いた初心者3名と、用いない初心者3名の袈裟斬り運動を比較する。音声はノートパソコンのスピーカを用いて提示し、式(1)のa,f´はa=200、f´=440、hは実験開始時の身体重心高さとした。実験は3回の試行で構成される。被験者には、剣の軌道が袈裟を斬るようにすることと、剣を振り上げるときに手を高く上げることのみを袈裟斬り運動のポイントとして伝えた。
[試行1]
腰の高さとの関係が小さい運動のコツを説明した後、上級者の運動を見せ、最低限の練習を行う。その後測定。
[試行2]
音声を提示する場合:上級者の運動による音声を覚えるよう指示、リアルタイムで音声を提示しながら練習した後、音声を出したまま再び測定。
音声を提示しない場合:再び上級者の運動を見せた後、練習、測定。
[試行3]
音声を出さずに再び測定を行い、最後にアンケートを行う。

0133

袈裟斬り運動において上級者と初級者の差がでる、腰の高さ、両足間の距離、手の速さ、スイング周期を特徴量とし測定した。実験の結果、全身の重心位置という大局的な特徴量一つのみで全身運動を調整することで、結果として個別の特徴量が変化する現象が見られた。身体重心で音声を提示した場合、特徴量は上級者の値に近づいたが、大きく近づく特徴量は被験者によって異なることが分かった。例えば、スイング中の腰の最低高さでは、音提示あり被験者において変化が顕著であった。またアンケートでは、上級者の運動との差を音声によってより強く認識したとの意見を得た。

0134

本発明は、フィットネスクラブ等における運動学習支援に用いることができる。

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