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技術 励起エネルギー予測装置、励起エネルギー予測方法およびプログラム

出願人 日本電気株式会社
発明者 岡本穏治
出願日 2009年10月1日 (11年2ヶ月経過) 出願番号 2009-229595
公開日 2011年4月14日 (9年8ヶ月経過) 公開番号 2011-076975
状態 未査定
技術分野 混成電池
主要キーワード 単回帰式 分子軌道法計算 線形従属 経済的コスト 販売メーカ 対象色素 回帰計算 半経験的
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

時間的・経済的負担を軽減し、十分な精度で色素励起エネルギー予測する装置を提供する。

解決手段

実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を保持する保持手段と、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付手段と、前記化学構造式を基に、前記分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出手段と、前記保持手段が保持する前記補正情報を利用して、前記算出手段が算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正手段と、を有する励起エネルギー予測装置を提供する。

概要

背景

色素の設計では、望ましい吸収・発光を得るために励起エネルギーを最適化する必要がある。この励起エネルギーの最適化を行うにあたり、既存の色素なら文献値を参照することで励起エネルギーを知ることができるが、新規な色素の場合、実験などにより励起エネルギーを求める必要がある。

しかし、実験により励起エネルギーを求める場合、その色素を合成するための時間的・経済的負担が大きい。所望の励起エネルギーを有する新色素を開発するためには、多数の新色素を試し、望ましい色素に絞り込んでいくのが望ましいが、多数の新色素を有機合成してスクリーニングするのは時間的・経済的無駄が大きい。

概要

時間的・経済的負担を軽減し、十分な精度で色素の励起エネルギーを予測する装置を提供する。実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を保持する保持手段と、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付手段と、前記化学構造式を基に、前記分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出手段と、前記保持手段が保持する前記補正情報を利用して、前記算出手段が算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正手段と、を有する励起エネルギー予測装置を提供する。

目的

本発明は、前記事情に鑑み、時間的・経済的負担を軽減し、十分な精度で色素の励起エネルギーを予測する装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

実験により得られた参照色素励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を保持する保持手段と、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付手段と、前記化学構造式を基に、前記分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出手段と、前記保持手段が保持する前記補正情報を利用して、前記算出手段が算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正手段と、を有する励起エネルギー予測装置

請求項2

請求項1に記載の励起エネルギー予測装置において、前記分子軌道法は、半経験的分子軌道法である励起エネルギー予測装置。

請求項3

請求項2に記載の励起エネルギー予測装置において、前記分子軌道法は、ZINDO法である励起エネルギー予測装置。

請求項4

請求項1から3のいずれか一に記載の励起エネルギー予測装置において、前記保持手段は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して算出された補正式を前記補正情報として保持する励起エネルギー予測装置。

請求項5

請求項4に記載の励起エネルギー予測装置において、前記補正式は、回帰分析により算出されている励起エネルギー予測装置。

請求項6

請求項5に記載の励起エネルギー予測装置において、前記回帰分析は、定数項をゼロとして励起エネルギーの2次式で表わされる回帰分析である励起エネルギー予測装置。

請求項7

請求項5に記載の励起エネルギー予測装置において、前記回帰分析は、定数項をゼロとし、2次の係数を1とした励起エネルギーの2次式で表わされる回帰分析である励起エネルギー予測装置。

請求項8

請求項1から7のいずれか一に記載の励起エネルギー予測装置において、前記保持手段は、化学構造式に応じて前記参照色素を複数のグループ分類し、前記複数のグループごとに前記補正情報を保持し、前記補正手段は、前記入力受付手段が入力を受付けた化学構造式がいずれの前記グループに属するか判断する判断手段と、前記保持手段から、前記判断手段が判断したグループの前記補正情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記補正情報を利用して、前記算出手段が算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する第一補正手段と、を有する励起エネルギー予測装置。

請求項9

励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式を基に、分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出し、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を利用して、前記算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する励起エネルギー予測方法

請求項10

請求項9に記載の励起エネルギーの予測方法において、前記分子軌道法は、ZINDO法であり、前記補正情報は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基にZINDO法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して回帰分析により算出された補正式である励起エネルギー予測方法。

請求項11

励起エネルギーを予測するためのプログラムであって、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付ステップと、前記化学構造式を基に、分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出ステップと、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を利用し、前記算出ステップで算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

請求項12

請求項11に記載のプログラムにおいて、前記分子軌道法は、ZINDO法であり、前記補正情報は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基にZINDO法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して回帰分析により算出された補正式であるプログラム。

技術分野

0001

本発明は、励起エネルギー予測装置励起エネルギー予測方法およびプログラムに関し、特に色素増感太陽電池等に用いられる色素の開発において、適当な励起エネルギーを持つ色素を低コストかつ高速スクリーニングする技術に関する。

背景技術

0002

色素の設計では、望ましい吸収・発光を得るために励起エネルギーを最適化する必要がある。この励起エネルギーの最適化を行うにあたり、既存の色素なら文献値を参照することで励起エネルギーを知ることができるが、新規な色素の場合、実験などにより励起エネルギーを求める必要がある。

0003

しかし、実験により励起エネルギーを求める場合、その色素を合成するための時間的・経済的負担が大きい。所望の励起エネルギーを有する新色素を開発するためには、多数の新色素を試し、望ましい色素に絞り込んでいくのが望ましいが、多数の新色素を有機合成してスクリーニングするのは時間的・経済的無駄が大きい。

先行技術

0004

J.RidleyらTheoret.Chim.Acta 32巻、111ページ、1973年
K.HaraらJ.Phys.Chem.B 107巻、597ページ、2003年
K.HaraらJ.Phys.Chem.B 109巻、15476ページ、2005年
Y.KurashigeらJ.Phys.Chem.A 111巻、5544ページ、2007年
太刀川達也、他3名、"New−γを用いた半経験的分子軌道法による縮合多環芳香族炭化水素電子スペクトル計算"、[online]、[平成21年10月1日検索]、インターネット<http://polaris.hoshi.ac.jp/cicsj26/jfiles/JP05.pdf>
その他参考情報メロシアニン色素」、4−C有機色素系 表1、[online]、[平成21年10月1日検索]、インターネット<http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/solar_cell/4_c_1_b.htm>

発明が解決しようとする課題

0005

そこで、分子軌道法を用いて色素の分子構造仮定し、電子状態理論に基づく励起エネルギーを計算する手段が考えられる。しかし、例えば時間依存密度汎関数法などの非経験的手法の場合、計算時間の負担が大きいにもかかわらず、計算精度面で色素設計用途には十分でないことが多い。

0006

ZINDO法などの半経験的分子軌道法(非特許文献1)の場合、非経験的分子軌道法の1000分の1程度の時間で多数の色素の励起エネルギーを算出することができ、時間的メリットは大きい。しかし、計算精度は非経験的手法よりもさらに低く、結果の信頼性に欠け、色素スクリーニングに適さないという問題がある。

0007

また、例えば色素増感太陽電池に用いられる色素の設計では、励起エネルギーのピーク位置だけでなく吸収端エネルギーの情報も必要となることがある(非特許文献2、非特許文献3)。色素は溶媒中などの凝縮系に存在するため、溶媒分子との相互作用により吸収・発光スペクトルは大きな不均一幅を持つ。このため吸収端はピーク位置から大きくずれることになる。最近、クマリン系色素などに対して励起エネルギーの吸収ピーク位置は時間依存密度汎関数法などの非経験的手法で調べられているが(非特許文献4)、線幅に対して効率的な非経験的計算をする適当な方法はないのが現状である。

0008

本発明は、前記事情に鑑み、時間的・経済的負担を軽減し、十分な精度で色素の励起エネルギーを予測する装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明によれば、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を保持する保持手段と、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付手段と、前記化学構造式を基に、前記分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出手段と、前記保持手段が保持する前記補正情報を利用して、前記算出手段が算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正手段と、を有する励起エネルギー予測装置が提供される。

0010

本発明において、前記分子軌道法は、半経験的分子軌道法とすることができる。

0011

本発明において、前記分子軌道法は、ZINDO法とすることができる。

0012

本発明において、前記保持手段は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して算出された補正式を前記補正情報として保持することができる。

0013

本発明において、前記補正式は、回帰分析により算出されているものとすることができる。

0014

本発明において、前記回帰分析は、定数項をゼロとして励起エネルギーの2次式で表わされる回帰分析とすることができる。

0015

本発明において、前記回帰分析は、定数項をゼロとし、2次の係数を1とした励起エネルギーの2次式で表わされる回帰分析とすることができる。

0016

本発明において、前記保持手段は、化学構造式に応じて前記参照色素を複数のグループ分類し、前記複数のグループごとに前記補正情報を保持し、前記補正手段は、前記入力受付手段が入力を受付けた化学構造式がいずれの前記グループに属するか判断する判断手段と、前記保持手段から、前記判断手段が判断したグループの前記補正情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記補正情報を利用して、前記算出手段が算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する第一補正手段とを有する構成とすることができる。

0017

本発明によれば、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式を基に、分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出し、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を利用して、前記算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する励起エネルギー予測方法が提供される。

0018

本発明において、前記分子軌道法は、ZINDO法であり、前記補正情報は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基にZINDO法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して回帰分析により算出された補正式とすることができる。

0019

本発明によれば、励起エネルギーを予測するためのプログラムであって、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付ステップと、前記化学構造式を基に、分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出ステップと、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を利用し、前記算出ステップで算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される

0020

本発明において、前記分子軌道法は、ZINDO法であり、前記補正情報は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基にZINDO法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して回帰分析により算出された補正式とすることができる。

0021

本発明では、分子軌道法を用いて励起エネルギーを予測すべき対象色素の励起エネルギー(計算値)を算出した後、実験により得られた参照色素の励起エネルギー(実測値)と、前記分子軌道法と同じ分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギー(計算値)と、の関係を示す補正情報を利用して、前記算出した対象色素の励起エネルギー(計算値)を補正する。このような技術によれば、所望の励起エネルギーを有する新色素を開発する際、実験により実測値を求めなくても、電子状態理論に基づく励起エネルギーを計算する手段により、十分な精度の励起エネルギーを得ることができる。その結果、時間的・経済的負担を軽減することが可能となる。

0022

また、本発明では、実験により得られた参照色素の励起エネルギー(実測値)として、励起エネルギーのピーク位置の値を持つだけでなく、吸収端の値を持つことも可能である。その結果、時間的・経済的負担を軽減し、精度高く、新色素の励起エネルギーのピーク位置の値を算出するのみならず、吸収端の値をも算出することが可能となる。

発明の効果

0023

本発明によれば、時間的・経済的負担を軽減し、十分な精度で色素の励起エネルギーを予測することが可能となる。

図面の簡単な説明

0024

実施形態1の励起エネルギー予測装置の機能ブロック図の一例である。
実施形態2の励起エネルギー予測装置の機能ブロック図の一例である。
クマリン系色素の化学構造式を示す図である。
メロシアニン系色素の化学構造式を示す図である。
メロシアニン系色素の化学構造式を示す図である。

実施例

0025

以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。

0026

なお、各実施形態の装置を構成する各部は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム(あらかじめ装置を出荷する段階からメモリ内に格納されているプログラムのほか、CDなどのリムーバブルメディアやインターネット上のサーバなどからダウンロードされたプログラムも含む)、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニットネットワーク接続用インターフェイスディスプレイなどを中心にハードウエアソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。

0027

また、以下の説明において利用する図1図2の機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位ブロックを示している。これらの図においては、各実施形態の励起エネルギー予測装置は一つの物理的に分離した装置により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、二つ以上の物理的に分離した装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により、各実施形態の励起エネルギー予測装置を実現してもよい。

0028

まず、本発明の概要について説明する。

0029

本発明では、例えばZINDO法などの半経験的分子軌道法を用いて算出された励起エネルギーの計算値を、例えばトレーニングデータからの学習によって算出された補正式に入力し、前記励起エネルギーの計算値を補正することで、励起エネルギーの予測値の精度を向上させる。

0030

ここで、「トレーニングデータ」とは、参照色素の化学構造式と、紫外可視スペクトル測定実験によって得られた参照色素の励起エネルギー(実測値)とを関連付けたデータの集合を意味している。この「励起エネルギー(実験値)」は、励起エネルギーのピーク位置の値であってもよいし、吸収端の値であってもよいし、それら両方であってもよい。「参照色素」とは、化学構造式が明らかであり、かつ、過去の紫外・可視スペクトル測定実験などにより、励起エネルギーの実測値が得られているあらゆる色素が該当する。例えば、文献に化学構造式および励起エネルギーの実測値が記載されている色素であってもよいし、または、実際に実験を行い、化学構造式および励起エネルギーを明らかにした色素であってもよい。

0031

また、「学習」とは、トレーニングデータに含まれる参照色素の化学構造式を基に、半経験的分子軌道法(例えば「ZINDO法」)を用いて算出された励起エネルギー(計算値)と、トレーニングデータとして保持されているその参照色素の励起エネルギー(実測値)と、を利用して回帰分析などにより補正式を算出する処理を意味している。

0032

次に、本発明の実施形態について説明する。
<実施形態1>

0033

図1に本実施形態の励起エネルギー予測装置の機能ブロック図および処理の流れの一例を示す。図に示すように、この励起エネルギー予測装置は大別して、データトレーニング部10と励起エネルギー予測部20の2つの部分からなる。

0034

データトレーニング部10は、既知色素データ部11、第一励起エネルギー計算部12、学習部13を有する。

0035

既知色素データ部11は、化学構造式が明らかであり、かつ、過去の紫外・可視スペクトル測定実験などにより、励起エネルギーの実測値が得られている参照色素の化学構造式と励起エネルギー(実測値:ZE。以下「実測励起エネルギーZE」という。)とを関連付けて保持する。

0036

保持するデータを取得する手段としては特段制限されず、例えば、あらかじめ当該励起エネルギー予測装置の出荷段階からメモリに格納されていてもよいし、または、当該励起エネルギー予測装置のユーザからデータ入力を受付け保持してもよいし、または、これらの組み合わせであってもよい。

0037

ユーザからデータ入力を受付ける手段としては特段制限されず、例えば、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、キーボードマウスタッチパネルディスプレイなどのデバイスにより実現されるユーザインターフェイスを備えておき、このユーザインターフェイスを介して、ユーザから数値データ、文字データ、図形データの入力を受付けてもよい。または、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、他の外部機器や、可搬型記憶装置などと通信可能に構成しておき、他の外部機器や、可搬型記憶装置などに格納されているデータを読み出すことで、データの入力を受付けてもよい。その他、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、インターネットに接続可能に構成しておき、定期的にまたは間欠的に、ネットワーク上の所定のサーバにアクセスし(予め、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、アクセスするサーバのURLなどを保持しておく)、新しいデータを取得するようにしてもよい。このサーバは、励起エネルギー予測装置の販売メーカなどが管理し、化学構造式と実測励起エネルギーZEとを関連付けたデータを定期的にまたは間欠的に、更新するようにしておいてもよい。

0038

第一励起エネルギー計算部12は、既知色素データ部11が保持する化学構造式を入力として、例えばPM3法やAM1法を用いて構造最適化後、分子軌道法、例えば半経験的分子軌道法、さらに詳細な例としてはZINDO法を用いて、前記最適化した化学構造式を入力として、励起エネルギー(計算値:ZC1、以下、「計算励起エネルギーZC1」という。)を算出する。具体的には、第一励起エネルギー計算部12は、構造最適化のためのPM3法やAM1法、および、励起エネルギーを算出するための分子軌道法、例えば半経験的分子軌道法、さらに詳細な例としてはZINDO法による計算処理を実現するための計算プログラムを保持しておき、当該計算プログラムを組み合わせて実行することで、計算励起エネルギーZC1の算出を実現する。算出した計算励起エネルギーZC1は、前記入力された化学構造式と関連付けて、以下で説明する学習部13に渡す。

0039

学習部13は、既知色素データ部11から実測励起エネルギーZEを取得し、また、第一励起エネルギー計算部12から計算励起エネルギーZC1を取得する。そして、化学構造式をキーとして、同一の色素の実測励起エネルギーZEと計算励起エネルギーZC1とを関連付ける。その後、前記関連付けたデータを利用して、計算励起エネルギーZC1を実測励起エネルギーZEに結び付ける補正式fを算出する。例えば、回帰分析やニューラルネットワークなどを用いることで補正式fを算出してもよい。具体的には、回帰分析やニューラルネットワークによる計算処理を実現するための計算プログラムを保持しておき、当該計算プログラムを実行することで、補正式fの算出を実現する。算出した補正式fは、内部メモリに格納する。

0040

ここで、色素設計においては基本構造を保持しながら周辺部分の原子あるいは原子団を変化させることで誘導体をつくる場合が多い。したがって、学習部13は、色素を化学構造式に応じて複数のグループに分類し、各グループに属する参照色素のみを用いて、グループごとに補正式を算出してもよい。このようにすれば、本実施形態で得られる励起エネルギー予測値の信頼度が向上する。

0041

このグループとしては、例えば、(1)金属錯体系、(2)ポルフィリン系、(3)フタロシアニン系、(4)非金属錯体系、(5)ポリメチン系、(6)ポリエン系、(7)スチリル系、(8)アゾ系、(9)カーボニウム系、(10)キサンテン系、(11)クマリン系、(12)ジケトピロロピロール系、(13)スクアリリウム系、(14)アントラセン系、(15)ペリレン系、(16)その他、などのように分類されたものであってもよい。この分類はあくまで一例であり、さらに細かく分類してもよいし、または、前記例よりも少ないグループに分類してもよい。

0042

なお、学習部13が、入力を受付けた参照色素を前記グループに分類する具体的手段としては特段制限されず、例えば、学習部13は、グループごとに特徴的な基本構造を示すデータを保持しておき、各参照色素の化学構造式の中に、いずれのグループの基本構造が存在するかを判断することで、各色素がどのグループに属するか判断し、分類するような手段であってもよい。どの基本構造が存在するかの判断を実現する手段は特段制限されず、例えば文字認識画像認識などの手法を用い、どの元素とどの元素が何本の線で結ばれているか、などを判断することで、実現してもよい。または、既知色素データ部11が参照色素の化学構造式の入力を受付ける手段として、使用する元素、単結合二重結合、などのアイテムを選択可能なインターフェイスを保持しておき、これらのアイテムを使用して化学構造式の入力を受付けるよう構成しておく。そして、入力を受付けた化学構造式が、どのアイテムを利用し、どのアイテムと繋がっているかを判断することで、実現してもよい。その他、既知色素データ部11が参照色素の化学構造式の入力を受付ける際、あわせてその参照色素がどのグループに属するかの入力も受付け、この入力されたグループに従い、参照色素をグループに分類するような手段であってもよい。

0043

学習部13が前記グループごとに補正式を算出する場合には、既知色素データ部11は、上述の手段と同様の手段により、取得した参照色素を基本構造ごとに分類し、保持するようにしてもよい。

0044

次に、本実施形態の学習部13が、回帰分析により補正式fを算出する場合に好ましい手法を詳細に説明する。

0045

まず、本発明者が実際に行った複数回のテスト計算から、回帰分析による励起エネルギーの予測値(あるいは再現値)をZPとすると単回帰式(1)の形式は、もとのZINDO計算値(ZC)からの改善が不十分であることがわかった。

0046

ZP=α1ZC+α0 (1)

0047

そこで、本発明者は、回帰式に含まれる説明変数を増やすことを考えた。この時、最初の説明変数ZCと無関係な説明変数を導入すると、後者の影響が非常に大きくなる場合があり、トレーニングデータに含まれていない色素に関して非常に悪い予測値を出力する恐れがある。すなわち、予測に関してロバスト堅牢)性が失われる。そこで、本発明者は、最初の説明変数の冪乗を加えることを考えた。この時、最初の説明変数の取りうる値が0と1のみからなる集合であるという特殊な場合を除くと、2番目以降の説明変数は、それ以前の説明変数に対して線形従属とはならず、回帰計算に問題を生じない。そこで、本発明者は、以下のN次の回帰式(2)を考えた。

0048

ZP=αNZCN+αN−1ZCN−1+・・・・+α1ZC+α0 (2)

0049

この(2)式において、定数項(α0)がゼロで無い場合、ZCが小さいときに予測値(ZP)は定数項に強く影響されることになる。例えば、定数項が負であるならZCが十分に小さくなると負の励起エネルギーを予測するという非物理的な状況となる。このため、α0=0に設定するのが適当である。一方、ZCの高次項が存在すると、高励起エネルギー側で予測値(ZP)が急激に変化することになるので、これもロバスト性の観点からは好ましくない。また、一般に説明変数が増えると一見、回帰計算のあてはまりの良さを示す決定係数は1に近づくが、自由度調整済み決定係数(以下、補正R2と表記)を考えると変数を増加させた効果が観測されず、むしろ補正R2を低下させることがある。以上より、本発明においては、切片なしの2次式(3)の形を利用するのが好ましいことがわかった。

0050

ZP=α1ZC+α2ZC2 (3)

0051

さらに、(3)式においてα1=1とおくと2次式(4)のようになる。

0052

ZP=ZC+α2ZC2 (4)

0053

この(4)式は、(予測値:ZP)=(分子軌道法(例:ZINDO法)を用いて算出した励起エネルギー)+(前記励起エネルギーの2次の補正項)と解釈可能で、説明変数が減少することから、再現精度は低下するが学習データ数が多くない場合でのロバスト性は向上する。すなわち、本発明においては、(4)式を利用するのも好ましいことがわかった。

0054

励起エネルギー予測部20は、新色素データ部21、第二励起エネルギー計算部22、出力部23を有する。

0055

新色素データ部21は、ユーザから入力を受付けた励起エネルギーを知りたい対象色素の化学構造式のデータを保持する。ユーザからデータ入力を受付ける手段としては特段制限されず、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスにより実現されるユーザインターフェイスを備えておき、このユーザインターフェイスを介して、ユーザからデータの入力を受付けてもよい。または、他の外部機器や、可搬型記憶装置などと通信可能に構成しておき、他の外部機器や、可搬型記憶装置などに格納されているデータを読み出すことで、データの入力を受付けてもよい。新色素データ部21が保持する対象色素の化学構造式のデータは、以下で説明する第二励起エネルギー計算部22に渡される。なお、新色素データ部21は、第二励起エネルギー計算部22に対象色素の化学構造式のデータを渡した後、その対象色素の化学構造式のデータを保持し続けてもよいし、破棄してもよい。

0056

第二励起エネルギー計算部22は、新色素データ部21が保持する対象色素の化学構造式を入力として、前記第一励起エネルギー計算部12が行った方法と同じ方法(好ましくは、同じ計算プログラム)を利用して、構造最適化、及び、励起エネルギー(計算値:ZC2、以下、「計算励起エネルギーZC2」という。)の算出を行う。その後、学習部13が算出した補正式fに、算出した計算励起エネルギーZC2を入力し、その演算結果(励起エネルギー(予測値:Zp、以下「予測励起エネルギーZp」という)。)を求める。この演算結果(予測励起エネルギーZp))は、以下で説明する出力部23に渡される。

0057

なお、学習部13が、色素を化学構造式に応じて複数のグループに分類し、グループごとに補正式を算出し保持している場合、第二励起エネルギー計算部22は、新色素データ部21からの入力を受付けた化学構造式が、いずれのグループに属するか判断し、その後、前記判断したグループの補正式fを学習部13から取得し、取得した前記補正式fに、算出した計算励起エネルギーZC2を入力して、その演算結果(予測励起エネルギーZp)を求める。入力を受付けた化学構造式が、いずれのグループに属するか判断する手段としては、前記学習部13において説明した手段と同様の手段を利用することができる。

0058

出力部23は、第二励起エネルギー計算部22が算出した予測励起エネルギーZpを、ディスプレイまたはスピーカなどを用いて出力する。その他、算出した予測励起エネルギーZpを紙媒体などに印刷し、出力してもよい。

0059

本実施形態では、分子軌道法計算半経験的ベルで行われるので、処理速度は高速である。また、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、既存のソフトの組み合わせにより実現することも可能であり、極めて低価格で実現することができる。このため、極めて多数の新色素から望ましい色素をスクリーニングするような場合においても、複数の励起エネルギー予測装置を利用することにより、各色素に対する励起エネルギー計算を並列して行うことが可能となり、さらに処理速度を高速化できる。

0060

なお、励起エネルギー計算において、色素設計で興味がある励起状態最高占有軌道(HOMO)から最低占有軌道(LUMO)への電子励起、すなわちHOMO−LUMO遷移に相当する低い励起状態である。よって、本実施形態において、低い励起状態のみを計算対象に含めることで、励起エネルギー計算時間を短縮することも可能である。

0061

以上、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、半経験的計算手法の低い計算負荷を保ちながら、実験を代替可能とみなせる精度で色素の励起エネルギーを予測することができる。すなわち、本実施形態の励起エネルギー予測装置は、適当な回帰式を仮定して計算値から実験値を再現する補正式を見出して、その式を用いて所望とする新色素の励起エネルギーを計算することで、計算コストを増加させることなく非経験的計算手法以上の計算精度を与える装置を設計することができる。これにより、多数の色素を実際に合成することなく色素スクリーニングを行うことが可能となり、その結果、新色素開発の時間的・経済的コストの削減が実現される。

0062

ここで、非特許文献5には、ZINDO法と、回帰分析を利用して、励起エネルギーを算出する技術が開示されている。しかし、この技術では、回帰分析を利用し、ZINDO法に利用するパラメータの値を求めている。このような技術によれば、既存のZINDO計算のためのプログラムを利用することができず、この技術を利用するために適切な改良を行う必要がある。また、回帰分析のための参照データも、新たに収集する必要があり、時間的、コスト的負担が大きい。これに対し、本実施形態の場合、既存のZINDO計算のためのプログラムを改良することなく利用することも可能であり、時間的、コスト的負担が小さい。また、回帰分析のための参照データとして、既存の文献値を利用することも可能であり、かかる面でも時間的、コスト的負担が小さい。
<実施形態2>

0063

図2に本実施形態の励起エネルギー予測装置の機能ブロック図の一例を示す。図に示すように、この励起エネルギー予測装置は、保持部30と、入力受付部40と、算出部50と、補正部60とを有する。なお、出力部23を有してもよい。

0064

保持部30は、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を保持するよう構成される。保持部30は、化学構造に応じて参照色素を複数のグループに分類し、前記複数のグループごとに補正情報を保持してもよい。

0065

ここでの分子軌道法は、例えば半経験的分子軌道法であってもよく、さらに具体的にはZINDO法であってもよい。

0066

また、ここでの補正情報とは、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基に分子軌道法(以下で説明する算出部50が用いる分子軌道法と同一のもの)を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して算出された補正式であってもよい。この補正式は、回帰分析により算出されたものであってもよい。例えば、定数項をゼロとして励起エネルギーの2次式(3)で表わされる回帰分析により算出された補正式であってもよい。または、定数項をゼロとし、2次の係数を1とした励起エネルギーの2次式(4)で表わされる回帰分析により算出された補正式であってもよい。

0067

ZP=α1ZC+α2ZC2 (3)

0068

ZP=ZC+α2ZC2 (4)

0069

また、複数のグループなどの概念については、実施形態1のデータトレーニング部10で説明したものと同様の概念である。

0070

この保持部30は、実施形態1で説明したデータトレーニング部10と同じ構成であってもよい。または、本実施形態の励起エネルギー予測装置とは別の装置によりデータトレーニング部10を実現し、保持部30は、データトレーニング部10を有する装置から、有線/無線の通信により取得した補正式を保持するよう構成してもよい。

0071

入力受付部40は、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付けるよう構成される。入力受付部40は、実施形態1で説明した新色素データ部21と同様の構成により実現することができる。

0072

算出部50は、入力受付部40が入力を受付けた化学構造式を基に、分子軌道法、例えば半経験的分子軌道法、さらに具体的な例としてはZINDO法を用いて、対象色素の励起エネルギーを算出するよう構成されている。

0073

補正部60は、保持部30が保持する補正情報を利用して、算出部50が算出した対象色素の励起エネルギーを補正するよう構成されている。ここでの補正とは、例えば、保持部30が保持する補正式に、算出部50が算出した励起エネルギーを入力し、その演算結果を補正後の励起エネルギーとして算出する処理などが該当する。

0074

なお、補正部60は、判断部61と取得部62と第一補正部63とを有してもよい。判断部61は、入力受付部40が入力を受付けた化学構造式がいずれのグループに属するか判断するよう構成されている。このグループとは、保持部30がグループごとの複数の補正情報を保持するために、化学構造に応じて参照色素を分類したグループのことである。取得部62は、判断部61が判断したグループの補正情報を保持部30から取得するよう構成されている。第一補正部63は、取得部62が取得した補正情報を利用して、算出部50が算出した対象色素の励起エネルギーを補正するよう構成されている。

0075

この算出部50と補正部60は、実施形態1で説明した第二励起エネルギー計算部22と同様の構成により実現することができる。

0076

本実施形態の励起エネルギー予測装置においても、実施形態1の励起エネルギー予測装置と同様の効果を実現することができる。

0077

上述の実施形態1および2の説明により、以下の発明も開示されている。

0078

励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式を基に、分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出し、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を利用して、前記算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する励起エネルギーの予測方法。

0079

前記励起エネルギーの予測方法において、前記分子軌道法は、ZINDO法であり、前記補正情報は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基にZINDO法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して回帰分析により算出された補正式である励起エネルギーの予測方法。

0080

励起エネルギーを予測するためのプログラムであって、励起エネルギーを予測すべき対象色素の化学構造式の入力を受付ける入力受付ステップと、前記化学構造式を基に、分子軌道法を用いて前記対象色素の励起エネルギーを算出する算出ステップと、実験により得られた参照色素の励起エネルギーと、前記参照色素の化学構造式を基に前記分子軌道法を用いて算出された前記参照色素の励起エネルギーと、の関係を示す補正情報を利用し、前記算出ステップで算出した前記対象色素の励起エネルギーを補正する補正ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

0081

前記プログラムにおいて、前記分子軌道法は、ZINDO法であり、前記補正情報は、実験により得られた複数の参照色素の励起エネルギーと、前記複数の参照色素それぞれの化学構造式を基にZINDO法を用いて算出された前記複数の参照色素の励起エネルギーと、を利用して回帰分析により算出された補正式であるプログラム。
<実施例>

0082

<実施例1:クマリン系色素の励起エネルギーの再現(吸収ピーク位置)>

0083

表1は、9個のクマリン系色素(C343、NKX−2195、NKX−2311、NKX−2384、NKX−2388、NKX−2393、NKX−2398、NKX−2510、NKX−2586)の励起エネルギーの実験値(吸収ピーク)と、ZINDO法による励起エネルギー計算値と、(3)式および(4)式による励起エネルギーの再現値と、を示したものである(エネルギーの単位はeVで、実験値は非特許文献2による)。図3に、9個のクマリン系色素それぞれの化学構造式を示す。(3)式および(4)式は、前記9個のクマリン系色素のデータを利用した回帰分析により算出した。

0084

もともとのZINDO法による計算値は、実験値を12.4〜31.3%程度過大評価している(平均で20.2%)。(3)式(ZP=1.161054ZC−0.10667ZC2)による再現値は、実験値に対して−5.1〜+10.2%のずれ(平均で+0.02%)に留まっている。補正R2は0.855と1に近い値が得られたので、回帰分析は良好である。また(4)式(ZP=ZC−0.05477ZC2)による再現値は、実験値に対して−5.4〜+9.6%のずれ(平均で−0.01%)に留まっている。補正R2は0.829となって、この場合も回帰分析は良好である。

0085

0086

<実施例2:クマリン系色素の励起エネルギーの再現(吸収端のエネルギー値(しきい値))>

0087

表2は、実施例1と同じ9個のクマリン系色素の励起エネルギーの実験値(吸収端のエネルギー値)と、ZINDO法による励起エネルギー計算値と、(3)式および(4)式による吸収端のエネルギー値と、の再現値を示したものである(エネルギーの単位はeVで、実験値は非特許文献2による)。(3)式および(4)式は、前記9個のクマリン系色素のデータを利用した回帰分析により算出した。

0088

(3)式(ZP=0.629647ZC+0.014883ZC2)による再現値は、実験値に対して−5.8〜+13.6%のずれに留まっている。補正R2は0.852と1に近い値が得られたので、回帰分析は良好である。また(4)式(ZP=ZC−0.10446ZC2)による再現値は、実験値に対して−6.0〜+11.5%のずれに留まっている。補正R2は0.850で回帰分析は良好である。

0089

0090

<実施例3:クマリン系色素の励起エネルギーの予測>

0091

表3は、実施例1のトレーニングデータに含まれていないNKX−2677を未知な色素として、実施例1の(3)式(ZP=1.161054ZC−0.10667ZC2)、および、(4)式(ZP=ZC−0.05477ZC2)を用いて励起エネルギー(ピーク位置)の予測値を算出し、この予測値と、実験値(実験値は非特許文献3による)と、時間依存密度汎関数(TDDFT)法による計算値と、を比較したものである(エネルギーの単位はeV)。TDDFT計算はB3LYP/6−31+G(d,p)レベルでメタノール溶媒中の効果を取り入れるためにSCRF法を用いた。

0092

同様に、実施例2の(3)式(ZP=0.629647ZC+0.014883ZC2)、および、(4)式(ZP=ZC−0.10446ZC2)を用いて励起エネルギー(吸収端のエネルギー値)の予測値を算出し、この予測値と、実験値(実験値は非特許文献3による)と、を比較したものを表3に示してある。TDDFT法では吸収端のエネルギー値を計算できないので、この方法による計算値との比較はない。

0093

(3)式および(4)式を用いて算出した励起エネルギー(ピーク位置)の予測値はいずれも、TDDFT法よりも、実験値に近い値となっている。また、(3)式および(4)式を用いて算出した励起エネルギー(吸収端のエネルギー値)については、実験値に近い値となっている。

0094

0095

<実施例4:メロシアニン系色素の励起エネルギーの再現(吸収ピーク位置)>

0096

表4は、4個のメロシアニン系色素(Ma(2)−N、Mb(2)−N、Mb(2)'、Ma(2)−NM)の励起エネルギーの実験値(吸収ピーク)と、ZINDO法による励起エネルギー計算値と、(3)式および(4)式による励起エネルギーの再現値と、を示したものである(エネルギーの単位はeV)。図4および図5に、4個のメロシアニン系色素それぞれの化学構造式を示す。(3)式および(4)式は、前記4個のメロシアニン系色素のデータを利用した回帰分析により算出した。

0097

ZINDO法による計算値は、実験値を33.7〜41.1%程度過大評価している(平均で38.9%)。(3)式(ZP=0.916564ZC−0.0579ZC2)による再現値は、実験値に対して−3.6〜+1.9%のずれに留まっている。また(4)式(ZP=ZC−0.08252ZC2)による再現値は、実験値に対して−3.5〜+2.0%のずれに留まっている。補正R2は(3)式および(4)式の場合それぞれ、0.499および0.663となって実施例1よりも悪い。これは、もとのZINDO法による計算値と実験値のずれが実施例1よりも大きいことと学習データとなる色素の数が少ないためと考えられる。しかし、励起エネルギー(吸収ピーク位置)の算出においては十分な値である。また、必要ならば、学習データとなる色素の数を増やすなどの対応をとることで、さらに精度を上げることが可能である。

0098

0099

<実施例5:メロシアニン系色素の励起エネルギーの再現(吸収端のエネルギー値(しきい値))>

0100

表5は、実施例4と同じ4個のメロシアニン系色素の励起エネルギーの実験値(吸収端のエネルギー値)と、ZINDO法による励起エネルギー計算値と、(3)式および(4)式による吸収端のエネルギー値の再現値と、を示したものである(エネルギーの単位はeV)。(3)式および(4)式は、前記4個のメロシアニン系色素のデータを利用した回帰分析により算出した。

0101

(3)式(ZP=1.563423ZC−0.27134ZC2)による再現値は、実験値に対して−2.9〜+1.3%のずれに留まっている。また(4)式(ZP=ZC−0.1052ZC2)による再現値は、実験値に対して−3.2〜+3.6%のずれに留まっている。補正R2は実施例4と同様の理由で、(3)式および(4)式の場合それぞれ、0.499および0.665となって若干悪い。しかし、励起エネルギー(吸収端のエネルギー値)の算出においては十分な値である。また、必要ならば、学習データとなる色素の数を増やすなどの対応をとることで、さらに精度を上げることが可能である。

0102

0103

<実施例6:メロシアニン系色素の励起エネルギーの予測>

0104

表6は、実施例4のトレーニングデータに含まれていないMb(5)−NおよびMb(2)−Mを未知な色素として、実施例4の(3)式(ZP=0.916564ZC−0.0579ZC2)、および、(4)式(ZP=ZC−0.08252ZC2)を用いて励起エネルギー(ピーク位置)の予測値を算出し、この予測値と、実験値(実験値は非特許文献6による)と、TDDFT法による計算値と、を比較したものである(エネルギーの単位はeV)。TDDFT計算は、B3LYP/6−31+G(d,p)レベルでメタノール溶媒中の効果を取り入れるためにSCRF法を用いた。

0105

同様に、実施例5の(3)式(ZP=1.563423ZC−0.27134ZC2)、および、(4)式(ZP=ZC−0.1052ZC2)を用いて励起エネルギー(吸収端のエネルギー値(しきい値))の予測値を算出し、この予測値と、実験値と、を比較したものを表6に示してある。TDDFT法では吸収端のエネルギー値を計算できないので、この方法による計算値との比較はない。

0106

(3)式および(4)式を用いて算出した励起エネルギー(ピーク位置)の予測値はいずれも、TDDFT法よりも、実験値に近い値となっている。また、(3)式および(4)式を用いて算出した励起エネルギー(吸収端のエネルギー値)については、実験値に近い値となっている。

0107

10データトレーニング部
11既知色素データ部
12 第一励起エネルギー計算部
13 学習部
20励起エネルギー予測部
21 新色素データ部
22 第二励起エネルギー計算部
23 出力部
30 保持部
40入力受付部
50 算出部
60補正部
61 判断部
62 取得部
63 第一補正部

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